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「第6回埼玉県環境住宅賞」表彰式(対玉県民健康センターで)

 埼玉県住まいづくり協議会は12月18日、「第6回埼玉県環境住宅賞」表彰式を開催し、応募49作品の中から埼玉県知事賞(副賞クオカード10万円分)に「秩父の寒さでも無暖房で子育てできる究極の家」(高橋建築・高橋慎吾氏)を選んだ。

 高橋建築は秩父郡小鹿野町にある年間12棟くらい建築する工務店。受賞した住宅は7年前に建設されたもので、建築費は3,100万円。延べ床面積は154㎡(坪単価66万円)。

 高橋氏は「秩父の冬は青森より厳しいので、北海道並みにしようとドイツのパッシブハウス基準認定を取得。住宅はシンプルにし、太陽光、地中熱、地下水などの自然エネルギーを活用しながらトリプルガラス、ネオマフォームを採用することで高断熱・高気密住宅を実現した。外気温がマイナスになっても室内は17度以上を保ち、真冬でも無暖房で過ごせる」などと話した。

 表彰式では、このほか優秀賞(同1万円分)に「グランピング -外と内を繋げる-」(アキュラホーム埼玉西新座営業・坂口詩乃氏)、「だんだん育つ家」(小林建設・小林伸吾氏)、「ウチとソト」(日本大学・額賀愛美氏)をそれぞれ選んだ。このほか審査委員特別賞、協議会特別賞各1作品、入選5作品、奨励賞6作品を選んだ。

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知事賞を受賞した高橋ご夫妻

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 高橋建築の住宅は素晴らしい。坪単価66万円で真冬でも暖房なしで暮らせるという。他の作品もみんな素敵なのだろう。

 しかし、この表彰式については文句を言わざるを得ない。〝環境住宅〟の名が泣くと。この日の参加者は〝サクラ〟も含めて100名いたかどうか。盛り上がりを欠いた。

 埼玉県に本拠を置くポラス、アキュラホーム、高砂建設、藤島住宅、ケイアイスター不動産などのハウスメーカーのほか積水ハウス、大和ハウス工業、ミサワホーム、さらには東京ガス、LIXIL、埼玉県住宅供給公社などもメンバーに名を連ね、埼玉県の後援を得ているのにどうしたことか。主催者は「残念」と話したが、応募作品は、学校関係の応募が激減したこともあり、もっとも多かったころと比べると半減だとか。応募作品の半数がアキュラホームというのもどう理解したらいいのか。

 さらにまた、報道陣とも呼べない記者を含めて参加した報道陣はわずか数人。配布された資料も〝字が小さすぎで読めない!〟記事に対するアクセス数も最初に書いた第2回と比べると第4回は3分の1に激減している。記者のせいではない。

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 収穫もあった。朝から何も食べていない記者はお腹が空いたので、途中、会場を抜け出し、埼玉県庁舎のコンビニでおにぎりを1個買い、一人の利用者もいない県庁第2庁舎地下の暗い食堂で160円の機械式コーヒーを飲んだときだ。正面の衝立に「上田知事おすすめ 4つの勝利の方程式ランチ」のポスターが掲示されていた。知事は毎朝、①豆腐か納豆②小松菜かほうれん草のおひたし③いりこ、にぼし、又はシシャモ④海苔やひじき-を食べているのだそうだ。

 なるほど。こんな健康的な食事をしているから選挙でも圧勝できるのだと合点がいった。協議会の皆さん!埼玉県でもっとも元気なのは上田知事ではないか。知事と同じくらいの朝食を摂ったらどうか。

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上田知事の4つの勝利の方程式ポスター

埼玉県知事賞に小林建設 高校生の作品も入賞「第4回埼玉県環境住宅賞」(2016/12/23)

「埼玉で、がんばる! 埼玉を、創る!」 スローガンが泣く 埼玉県住まいづくり協議会(2016/12/23)

埼玉県住まいづくり協議会環境住宅賞最優秀賞に「森林公園の家」(2014/12/24)

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「ヒーリング街区」モデルハウス

 ポラスグループの中央住宅とポラスガーデンヒルズが共演して分譲している戸建て分譲「アドバンスドプレイス船橋・北習志野」を見学した。記者発表会を行った8月末に続き2度目の見学だったが、IoTの機器を装備するだけでなく、機器を使いこなせばどのような生活ができるかをプランに反映していた。わずが5カ月で供給した70戸のうち47戸が成約済みという売れ行きにも驚いた。2回に分けて紹介する。

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 今回は、全91棟を「フィンテック街区」(37棟)「ヒーリング街区」(26棟)「サードプレイス街区」(28棟)の3つの街区に分けたうちの「ヒーリング街区」について。

 最初の見学会で記者は「今回のIoT商品で言えば、今回のモデルハウスにはなかったが、『ヒーリング街区』『サードプレイス街区』がいい。映像も含めた音や香りなど五感に訴える工夫が住まいを変えるかもしれない」と書いた。〝単にIoT機器を装備しただけでは訴求力は弱い。間取りプランなどでそれを使えば生活がどう変わるか、どれだけ豊かになるかを見える化すべき〟という意味を込めたつもりだ。

 なので、2つの街区は必ず見学しようと決めていた。それが実現して嬉しい。

 「ヒーリング街区」のモデルハウスは2棟。その一つは、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課1係主任・角張泰広氏が設計を担当した住棟。ヒーリングの意味そのものの癒し効果がある国産材のスギをふんだんに採用したモデルハウス。同社はこれまでも挽き板のフローリング、木材のデザイン壁を採用しているが、今回はリビング天井も含めて「森林浴リビング」を提案している。

 東京大学薬学部の竹内春樹氏と共同開発したもので、45度以下の低温で乾燥させることで20年間スギの香りを抜けにくくしているのが特徴だ。見た目が美しく、吸湿、断熱性能のほか鎮静効果があることも学術論文で証明されているという。

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国産杉パネル

 もう一つのモデルハウスは、ポラスガーデンヒルズ設計部企画設計課課長・工藤政希氏が設計を担当。化粧梁天井、窓から差し込む太陽の光や調光機能付きダウンライトによって空間を自由に変えられる「木漏れ陽リビング」を中心にリビング-ダイニング-キッチンが緩やかにつながっており、家族のそれぞれのシーンに応じ使い分けができるよう間取りも工夫されている。壁には消臭効果のあるエコカラットのデザインウォールが採用されている。

 「ヒーリング街区」全住戸のキッチンに1個標準装備されているパナソニックの新製品「ダウンライト付きスピーカー」について。記者はこれを見るのは野村不動産「千里」、大成有楽不動産販売「世田谷弦巻」、東急不動産「中野富士見町」(オプション)に次いで4件目だ。とても音がいい。

 今回の同社のモデルハウスでは、「西武ライオンズの応援歌が聞きたい」「にんべんでは鰹節の削る音が流れた」「カエルの合唱」「コオロギの虫の息じゃなかった虫の音」「伊良子岬の波の音」などと口走ったら、何と担当者がものの一、二分で再現して見せた-これだ!真冬にウグイスの鳴き声を駅の構内で流すことに何のためらいを感じず、それを良しとする我々とは違う。狂った世の中に慣らされるのと、進んで狂った自分を演じるのとでは180度異なる。

 これからはAI、IoTの時代だ。365日、全国のあるいは全世界の川のせせらぎか海の音か、コケコッコーの声、あるいはまたベートヴェン(今日17日は誕生日だそうだ)の「運命」で目覚め、ヘンデルの「水上の音楽」を聞きながら仕事をし、「五木の子守歌」かグレゴリアン・チャント、あるいはチャイコフスキー「眠れる森の美女」か、ベートヴェンの「月光」で深い眠りに付き、さらにまたエディットピアフの「パダムパダム」で絶望的な永遠の眠りにつく…素晴らしいではないか。

 記者は小さいころ、恋に恋焦がれ「山のロザリア」を口ずさみながらほろほろと涙し、独身の頃には起きるとすぐラヴェル「ボレロ」をかけた。約15分だ。最後のジャジャーンの音を聞いて〝今日も頑張ろう〟と出勤した。

 AI、IoTならその人の好み・心境に応じて音楽を流してくれる時代がやってくる。そのためにも部屋の設えは大事だ。機器だけを装備して売れるほど甘くない。魂を込めるのは人だ。

 全26棟の「ヒーリング街区」のうち供給されたもののほとんどが成約済みというのも、ユーザーに評価されているという証だ。一言で表現すれば潜在的なユーザーのニーズを引き出したということではないか。

 この日は、朝から小雨が降りとても寒かった。取材が空振りに終わればせっかく治り始めた風邪がぶり返すのではないかと心配したが、取材途中から気温がどんどん上昇し、終わるころにはコートがいらなくなる陽気になった。お天道様もまじめに取材していることをほめてくれたのだろう。期待以上の成果が得られた。明日には「サードプレイス街区」も紹介できそうだ。

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モデルハウス

「かゆいところに手が届く」商品企画IoT搭載の戸建て ポラス「船橋・北習志野」(2018/8/30)

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唐氏(左)がその場で認めた書「海内存知己 天涯若比隣」を受け取る久米RBAインターナショナル代表(書は、唐時代の詩人・王勃が友人を見送った際に詠んだ詩で、「心の知れた友がいれば世界のどこにいても近しく感じる」という意味だそうだ。京王プラザホテル東京で)

杉並区高円寺「RBAプラザ阿波おどり館」1/11まで

RBAインターナショナル

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挨拶する唐氏

 文化・芸術・スポーツなどを通じて世界平和の実現を目指すRBAインターナショナル(代表:第三企画代表取締役・久米信廣)と中国人民対外友好協会国際芸術交流院は2018年12月13日(木)~2019年1月11日(金)、日中平和友好条約締結40周年を記念して、中国の著名な書道家・唐思領氏の作品展「藝述中国之旅―唐思領書道展」を杉並区高円寺の「RBAプラザ阿波おどり館」で開催している。

 展示されている唐氏の作品は約30点。楷書・行書・篆書(てんしょ)を駆使し、一度墨を付けたら最後まで描き切る〝一筆書き〟や利き腕ではない左手書き作品などが会場いっぱいに展示されている。

 唐氏は、「書は書き直しができないから難しい。一挙に500字を書くこともあれば、1日6,000字くらい書くこともある。わたしが尊敬するのは師事した沙曼翁の他では啓功(けいこう)」などと話した。

 唐思領(Tang Siling)氏は、1954年4月中国河南省生まれ。中国書道大師沙曼翁氏の内弟子。中国人民対外友好協会理事・中友国際芸術交流院副院長、中国日本友好協会理事など。主な作品展・受賞は1995年「第三回中国書壇新人作品展」、1996年「中日書道交流展」優秀賞、1998年「九八中国現代書画芸術大会」金賞、2007年「毛沢東詩詞 全国書画大会」金賞など。

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 「書道展」開催を祝うセレモニーに来賓として登壇した公明党衆議院議員・太田昭宏氏は「日中関係がよくなかった2002年、4人組と呼ばれた野中広務氏、古賀誠氏、二階俊博氏とともに関係改善のために訪中したとき、敦煌を訪れ、書画など芸術・文化交流が必要なことを身をもって体験した。今日は『唐』先生と『(西村)東軒』先生(日展会員、読売書法会常任理事)という2人の異なる『トウ』先生がいらっしゃる。わたしは『公明党』。この親父ギャグはちゃんと(中国語でも)伝わるのでしょうか」と笑わせながら、「この日(13日)は、書を通じて日中平和友好条約締結40周年を祝うという歴史的な日」と讃えた。

 唐氏は、「わたしの個展が開催されて光栄。わが国の書道は三千年の歴史があり、その独特の書き方や視覚的な表現は芸術です。また、漢字と書は中日交流の重要な絆です。書道展を通じ日本に漢字・書を広め、交流し学びあうことができれば幸い」などと語った。

 ※「唐」は中国語で「táng 」、「東」は「dōng」、「党」は「dǎng」と発音することが通訳から説明された。わが国には同音異義語がたくさんあるが、中国発音がそれぞれ異なるケースが多い。

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唐氏が書かれた「中日友好 世界平和」の書を受け取る太田氏

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 唐氏に「わが国では毎年、一年間を漢字一文字に現わすとどのような字になるかをお寺のお坊さんが毛筆で大書きするイベントがあります。今年は『災』が選ばれました。中国でこれに相当する字はどうでしょう」と質問した。

 唐氏はしばらく考えた末、「福です。企業も家庭もです」と答えた。

 記者は絶句した。確かに中国は8年前に国内総生産(GDP)でわが国を抜き世界第2位になると、その後は我が国との差を広げる一方で、最近は「一帯一路」戦略が世界を席巻している。「福」というのはその通りだろう。

 一方で、わが国の「今年の漢字」は過去13年間、震・倒・毒・末・戦・災・偽・暑・安など暗いイメージのオンパレードで、前向きな字は「愛」と「新」くらいだ。「福」などと言えばそれこそ〝袋叩き〟にあう。〝禍福は…〟と言われるが、わが国に「福」はやってくるのか。

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「今年の中国の漢字一文字は福です」

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RBAプラザ高円寺阿波おどり館

RBAプラザ高円寺阿波おどり館のホームページはこちらへ
http://www.awaodorikan.jp/

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平成30年度手づくり郷土賞グランプリ&ベストプレゼン賞に選ばれたJR大歩危駅活性化協議会(東京国際交流館プラザ平成で)

 国土交通省は12月16日、平成30年度手づくり郷土賞に選定された全23団体(一般部門20団体、大賞部門3団体)活動報告・グランプリ発表会を開催し、一般部門は「徳島県三好市・地域の駅から世界の大歩危駅へ」(JR大歩危駅活性化協議会、以下「大歩危」)を、大賞部門は「北海道小樽市小樽雪あかりの路」(小樽雪あかりの路実行委員会、以下「小樽雪あかり」)をそれぞれグランプリに選んだ。また、会場参加者の投票によるベストプレゼン賞には、投票総数119票のうち36票を獲得した「大歩危」が選ばれた。

 「大歩危」は、平成22年10月に無人化されたJR大歩危駅に賑わいを取り戻そうと、同年11月に協議会を設立。駅構内や周辺の清掃活動、サクラの植樹やライトアップなどを行い、駅事務所を観光案内所に改装し、国内外に情報を発信した結果、駅利用者は平成22年の約2万5千人から平成30年は約4万人に増加する見込みになっており、駅の利便性向上や地域の活性化に寄与していることが評価された。

 「小樽雪あかり」は、従来では観光資源として考えられなかった厳寒地の冬の夜という条件を逆手にとって、延べ12万本のキャンドルの灯かりを歴史的世界遺産である小樽運河の街の夜を演出するイベントを開催。韓国や中国からの海外ボランティアもPR活動に一役買うなど冬場の来街者、宿泊客が劇的に増加したのが評価された。

 ベストプレゼン賞の受賞理由は明かされなかったが、総勢10人くらいが法被や菅笠姿で壇上に上がり、中国語や韓国語などの外国語を含めた幟を立てて活動をアピールし、「限界集落から玄関集落へ」などと親父ギャグを放ったのが圧倒的な人気を呼んだ模様だ。

 選定委員長の横浜市立大学国際総合科学部教授・鈴木伸治氏は、「応募があった53作はみんな個性的かつ魅力にあふれており、23作に絞るのに苦労した。とてもハードルが高い賞だ。これほど地域を巻き込んだ活動をしているのは他の国にはない。その意味でわが国は先進国だ。廃線、廃校など危機的状況に直面し、生活が衰退していくという危機感がきっかけになっているというのが特徴でもある。これら地域資源を支える活動を多くの地域に伝えていただきたい」と講評した。

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グランプリ賞に選ばれた「大歩危」(左)と「小樽雪あかり」(いずれも写真左は鈴木氏)

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「小樽雪あかり」プレゼン

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W受賞を喜ぶ「大歩危」関係者

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 参加者全員がベストプレゼン賞を選べるというので、伊勢出身の記者は「三重県伊勢市 伊勢河崎・町並みと川を生かしたまちづくり~伊勢河崎商人館を核とした暮らしのデザイン~」(特定非営利活動法人伊勢河崎まちづくり衆)に一票を投じようと決めていた。

 しかし、みんな甲乙つけられない素晴らしい活動をされているので、これは公平に選ばないと失礼と改め、約3分のプレゼンを完璧に演じた「岐阜県美濃市 美濃和紙あかりアート展」(美濃和紙あかりアート展実行委員会)を選ぼうか、それとも「限界集落から玄関集落へ」などと〝親父〟ギャグと呼ぶにはあまりにも年を取りすぎたおじいさん・おばあさん(皆さん70歳代のようだ)たちの奮闘ぶりに感動した「大歩危」を選ぼうかと判断に迷ったが、「美濃和紙」は他のイベントでも表彰されているはずなので、「大歩危」に投票した。他の参加者の皆さんも同じように考えたのだろう。

 グランプリを逸した他の団体は、3分間しかない時間を有効に使えていなかったような気がした。訴えたいことよりも聞き手は何を知りたいかを考え、ワンフレーズで決める工夫をすべきだと思った。総じてしゃべりすぎだった。

 国土交通省の担当者の方へ。一般参加者が増えるようイベントの方法を考えるべきだと思う。1団体に付き3分のプレゼン時間は短すぎるし、他方で休みなく23団体のプレゼンを聞かされるのもまたかなり苦痛だ。

 また、大学教授など専門家の審査員を呼んでいるのだから、講演や受賞団体を交えたパネル・ディスカッションなどを行ってもいいのでは。プレゼンより、各団体のブースを設け、参加者が自由に聞けるようにしたほうが効果的ではないか。

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国政の喫緊の課題――地方の再生 観光都市・伊勢の再生はあるか④(2008/1/18)

国政の喫緊の課題――地方の再生 観光都市・伊勢の再生はあるか③(2008/1/17)

国政の喫緊の課題――地方の再生 観光都市・伊勢の再生はあるか②(2008/1/16)

国政の喫緊の課題――地方の再生 観光都市・伊勢の再生はあるか①(2008/1/15)

 

 

 国土交通省は12月14日、来年10月に予定されている消費税率10%への引上げ後の平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間に入居した場合を対象に、住宅ローン減税の控除期間を3年間延長(建物購入価格の消費税2%分の範囲で減税)することが平成31年度与党税制改正大綱で決定したと発表した。

 適用年の11年目から13年目の控除限度額は住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1%と建物購入価格(4,000万円を限度)×2/3%のいずれか小さい額(長期優良住宅や低炭素住宅の場合は借入金年末残高の上限5,000万円、建物購入価格の上限5,000万円)。

 また、消費税率10%への引上げ時に採用されるすまい給付金は、対象となる所得階層を拡充し、給付額も最大50万円に引上げる。さらに、贈与税の非課税枠も最大1,200万円から最大3,000万円に引上げることも決まっている。

 消費税率引上げによる駆け込み需要とその反動減が生じた場合の経済に与える影響が大きいと考えられることから今回の決定となった。

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 住宅が景気の〝調整弁〟として利用されるのは不愉快だが、今回の措置によってこと住宅に関しては消費者の買い控えは減殺され、増税の影響は少なくなりそうだ。

 しかし、ローン減税制度の決定的な欠陥は取得住宅の50㎡以上という面積要件にある。

 不動産経済研究所の調査によると、首都圏供給マンションのうち専有面積が30~50㎡未満のいわゆるコンパクトマンションの供給比率をこの10年間でみると、最高だったのは2009年の10.5%で最低だったのは2014年の3.7%になっている。14年以降は増加傾向を示しており、2017年は7.5%に上昇。1戸当たりの価格も2018年上半期は4,466万円となり、前年同期比6.2%上昇している。

 首都圏マンション供給量の10%前後を占めるこれらの30~50㎡のマンションをローン減税対象外とするのは法の下に平等という憲法の原則からしても問題だ。このことは今年8月、不動産流通経営協会(FRK)が面積要件の引き下げを要求したときにも記事にしているのでぜひ読んでいただきたい。FRKが指摘する「住宅ローン減税制度などの面積要件が『一次取得時のハードル』を高くし、最低居住水準や誘導居住水準以下の世帯の住宅取得意欲を減殺するように働いている」ことは否定できないと思う。

 つい先日、中国の書道家・唐思領氏と話す機会があった。わが国の今年の社会全体を漢字一文字で表わすと「災」だと話したら、唐氏は「国としてもわたし個人としても漢字一文字で表現すれば『福』です」と語り、色紙に「福」と書いてくれた。このところの中国の躍進をみれば唐氏だけでなく多くの中国の人はそういうのではないか。

 一方のわが国の「今年の漢字」は過去13年間をみたら震・倒・毒・末・戦・災・偽・暑・安など暗いイメージのオンパレードだ。希望が持てるのは「愛」と「新」くらいだ。「福」などと言えばそれこそ〝袋叩き〟にあう。

 「景気の気は気分」というではないか。国民を前向きにさせてくれる、うそでもいいから猪突猛進してみたくなるような思い切った住宅支援策は打ち出せないものか。気分はシュリンクする一方ではないか。

不動産流通経営協会 住宅ローン控除の面積要件引き下げ要求に賛成 住宅貧乏なくせ(2018/8/6)

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「ザ・パークハウス代々木上原」完成予想図

 三菱地所レジデンスが分譲中の「ザ・パークハウス代々木上原」を見学した。駅から徒歩4分の第一種低層住居専用地域(一部第一種住居地域含む)に位置する全47戸で、坪単価は647万円。サペリの鏡面仕上げ壁がとても美しい。どうして最上クラスの〝グラン〟を付けなかったのか不思議なくらい素晴らしいマンションだ。

 物件は、東京メトロ千代田線・小田急小田原線代々木上原駅から徒歩4分、渋谷区元代々木町の第一種住居地域・第一種低層住居専用地域(建ぺい率70%、容積率184%)に位置する敷地面積約2,700㎡、地上5階・地下2階建て全47戸(事業協力者住戸10戸含む)。専有面積は64.14~142.05㎡、現在分譲中の住戸(5戸)の価格は10,000万~23,000万円。竣工予定は2020年1月下旬。施工はフジタ。総合デザイン監修は日建ハウジングシステム・米丸陽氏。

 現地は、幅員約7mの南側道路に面している第一種住居地域と、その奥が第一種低層住居専用地域に指定されている、比高差約13mの傾斜地の南西角地。敷地は1軒の邸宅跡地。

 建物は、従前から桜坂と呼ばれていた現地の街並みと調和するよう割肌の自然石やアースカラーのタイルなどを外壁に多用。また、既存樹のサクラ、カエデ、ケヤキなどをアートオブジェに用い、アクセントとして林に見立てたロートアイアンを採用しているのが特徴。

 近く分譲する第1期2次9戸と先着順で分譲中の7戸を合わせ、残りは16戸。

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モデルルーム エントランス・ホール(壁はサペリ)

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 モデルルームは114㎡。玄関を入ると息をのむほどの目もあやなサペリの建具・壁が目に飛び込んできた。これを見た瞬間、同社の坪850万円のバブル崩壊後最高値の「ザ・パークハウス渋谷南平台」より上ではないかと思った。全体的な設備仕様レベルも高い。来場者の評価も高いというのも当然だろう。

 ドレッシングルームには、ケミカル製品のような薄手のGUCCIやらアルマーニの女性用シャツ(と呼ぶのかどうか分からないが)がたくさんあったので、「5,000円でどうですか」と担当の女性に聞いたら「それだったら私も買う」と笑っていた。

 モデルルームの備品などはどうせ借りものだろうが、あのサペリはどうなるのだろう。あれは何度でも使いまわしができそうだ。

 米丸氏についても一言。グッドデザイン賞を受賞した「横濱紅葉坂レジデンス」や「ザ・パークハウス新宿御苑」などを担当された方だ。

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モデルルーム

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 同社は来春、JRの新駅・高輪ゲートウェイ駅から徒歩4分の「ザ・パークハウス 高輪フォート」43戸を分譲すると聞いた。プリンスホテル高輪にも近い。

 記者は坪900万円と予想した。駅も建物も完成する2020年に分譲すれば1,000万円以上も可能かもしれず、オークションにかければもっと高くても売れるかもしれない。2013年に京阪電鉄・京阪電鉄不動産が分譲した「品川タワーレジデンス」は坪385万円だった。(当時はまだ新駅を隈研吾氏が設計することまでは決まっていなかった)

 同社は年明けにも記者見学会を行うという。皆さんはいくらの値を付けるか。

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外観

三菱地所レジデンス 最高値更新の坪850万円 「ザ・パークハウス渋谷南平台」(2018/10/4)

野村不動産「プラウド上原」 垂涎の的の低層3階建て(2011/4/25

記者も惚れた本物志向 モリモト「ディアナコート代々木上原」(2011/5/23)

「関西」電鉄会社の矜持を見た 京阪電鉄・京阪電鉄不動産「品川タワーレジデンス」(2013/11/10)

人気必至 新日鉄都市開発・三菱地所「横濱紅葉坂レジデンス」(2010/5/14)

 

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 ことしもあとわずか。皆さんは今年1年間はどのような年だったでしょうか。わたしは〝古稀〟を目前にしたこの1年間を恙なく過ごし、どれだけ人の役に立ったか立たなかったかは分からないが、そう呼べるなら〝愛〟を込めて記事を書いたつもりだ。以下は、1年というよりもう少し長いスパンでマンションと分譲戸建て(建売住宅と呼びたいのが嫌う人もいるので分譲戸建てと呼ぶ)市場について考えてみた。独断と偏見に満ちた私論として読んでいただいて結構です。

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 別表は、ここ20年間の全国のマンションと分譲戸建ての住宅着工戸数の推移をみたものだ。周知のとおり、マンションは平成20年(2008年)のリーマンショックの影響で中堅マンションデベロッパーが軒並み退場を余儀なくされ、中堅が地盤・ターゲットとする第一次取得層向けの物件供給が激減。21年の供給量はそれまでの2分の1から3分の1まで落ち込んだ。最近はやや回復しつつあるとはいえ、戸数的には低空飛行を続けている。

 その一方で、分譲戸建ての着工戸数はリーマンショック後の21年は若干減少したもののすぐ取り戻し、ここ数年間は12~13万戸台を維持している。

 この結果、着工戸数は分譲戸建てが分譲マンションを上回るという逆転現象がここ数年続いている。マンションと分譲戸建ての比率も従前は6:4だったのが、いまは逆だ。

 問題はこの先どうなるかだ。まずマンション。少子化・高齢化、人口減少社会へ突入し、ストック活用の流れも加速していることなどを考えると、年間10万戸を維持できるかどうかも疑わしく、漸減傾向をたどるのは間違いない。大手の寡占化は一層進む。

 首都圏では三井、三菱、住友、野村の4強がしのぎを削り、あるいはまた手を握り市場をリードしている。この流れをせき止め、劇的に変えるのはどこかと考えもするのだが、残念ながらその兆しはない。

 オリックスの軍門に下った大京も失地を回復するのは至難の業だろう、売上10兆円企業を目指す大和ハウスと連携すれば4強の一角を崩すことができるのではないかと思うが…。

 他の電鉄系、商社系なども寄らば大樹の陰とばかり大手連合にぶら下がろうと懸命になっているとしか思えない。

 となると、あとはもうこれらの4強が手を出さない中小規模や外周部の〝隙間〟〝空白区〟を埋めるしかなく、あるいはまた突出した商品企画でもって鼻を明かす元気なデベロッパーの活躍に期待する以外ない。

 このように分譲マンション市場は先が読める。分からないのは分譲戸建て市場だ。理解不能の異様な展開を見せている。

 表でもわかるように、リーマンショックの大混乱に乗じて平成21年度に着工戸数でマンションを逆転すると、一度は再逆転を許したが、その後は再びリードを奪い、その差を広げつつある。

 その立役者は飯田グループホールディングスだ。2013年に一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社が経営統合したころは、企業風土が異なるので成功に記者は懐疑的だったが、その後は建売りの雄として玉座に座り続けている。2018年3月期の売上高は1兆3,353億円、戸建分譲事業(土地売含む)は44,275棟。戸数は全国市場の実に30%を占めるガリバー企業だ。営業所がないのは富山、鳥取、島根、高知、大分、宮崎の6県のみ。全国制覇は時間の問題だ。

 同社の強みは何といっても販売価格の安さだ。1棟単価は飯田産業と東栄住宅が3,000万円を超えるが他は3,000万円以下で、一建設は26.1百万円、アーネストワンは23.3百万円。三井不動産レジデンシャルの1棟単価60.2百万と比較するとほぼ3分の1だ。

 価格競争になったら、飯田に勝てる企業は皆無だ。同社ホームページのヘッドコピーは〝誰もがあたり前に家を買える、そんな社会にしたい〟-〝家〟とは何かはさておき、これに異論を唱える人はいない。飯田の独走はこれからも続くのか。

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 この20数年間、記者の頭を悩ませているのが、マンションや戸建ての若年需要者の消費動向・物件選考の基準が分からない、はっきり言えば理解不能ということだ。

 住宅ローンの支払いを終えた団塊世代がより利便性の高い駅近・都心のマンションを志向するのは分かりやすい。自分もそうだ。しかし、ミレニアル世代やバブル後世代、ゆとり世代は何を考えているのかさっぱり分からない。

 そうした層を対象にした住宅選好に関するアンケート調査が行われており、

 「戸建て志向が強い」「現実的な思考をする」「価格を優先する」などと言われても釈然としない。これらは今も昔も変わらない。戸建てを持ちたいが、買えないからマンションにしたり中古にしたり、価格を優先したりして寸詰まりの基本・居住性能が劣るのを承知で購入する。ましてや世帯年収の低い若年層にとって選択の余地はない。

 そもそも、アンケートなるものの信ぴょう性が疑わしい。集計した数を足して割って平均値を出したところで、きわめて個別性が高い不動産に関する考え方など分かるはずがない。ダイコンやニンジンを買うのとはわけが違う。

◇       ◆     ◇

 とはいえ、デジタルネイティブ=ミレニアル世代の意識、消費志向を探るのはそれなりに意義のあることだとは思う。平成2年のバブル崩壊を境に世の中が暗転したのは紛れもない事実で、経済社会の激変は消費者の消費動向にも大きな影響を与えたからだ。

 労働者派遣法が施行されたのは昭和61年で、その後「非正規雇用」が激増した。「専業主婦世帯」と「共働き世帯」が逆転したのも平成4~5年だ。厚労省が「ニート」なる言葉を使ったのは平成16年だ。昔はそんな言葉すらなかった「フリーター」は現在150万人もいるという。「格差社会」「ワーキングプア」なる言葉も一般化した。

 このほか、あらゆるデータも社会が変わったことを証明している。例えば出版物。売上高はこの20年間で35%、約8,700億円も減少した。自動車の国内需要もこの20年間ほぼ一貫して減り続けている。百貨店・スーパーも同様だ。

 グローバリズムの進展とネオリベラリズムの台頭は、この先も若年層にとっては生き辛い世の中になるのは容易に想像できる。

 そうした層が分譲住宅市場では主役になりつつある。どのような住宅を選ぶのか注意深く見守りたい。当面は消費増税が吉となるか凶となるか注目したい。デフレ脱却がまた先送りになるのだけは回避してほしい。

「市場激変 忍の1年」記者が選んだ今年の重大ニュース(2009/12/21)

建売住宅トップ一建設と2位のアーネストワンが激烈な首位争い~建売住宅市場が面白い展開に~(2012/7/17)

「独身でマンションを購入すると結婚できない」噂は迷信 シースタイル調査(2017/7/25)

第一次取得層向けの郊外マンションは復活するのか(2016/8/30)

世相の反映か 「4人家族が幸せに暮らす住宅の広さは89㎡」 アットホーム調査(2017/8/1)

配偶者を愛している84% 健気で円満なDINKS層浮き彫り アットホーム調査(2018/10/30)

「近所付き合い」必要 一戸建て79.8% マンション72.4% アットホーム調査(2016/11/1)

 

 

 

 

 【大和ハウス工業】「2018年PRアワードグランプリ表彰式.jpg
表彰式

 大和ハウス工業は12月12日、共働き世帯のために家事の時間的・心理的負担を軽減する戸建住宅「家事シェアハウス」のPR 活動が、日本パブリックリレーション協会主催「2018年度PRアワードグランプリ」のグランプリ(最高賞)と特別賞を受賞したと発表した。

 「PRアワードグランプリ」は、コミュニケーション技術の向上とパブリックリレーションの理解促進を図ることを目的に設立された表彰制度。同社の提案する「家事シェアハウス」のPR 活動は電通と電通パブリックリレーションズとともに展開しているもので、「課題解決のための戦略性」や「独創性」に富んでいるとして今回の受賞となった。

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 同社が一昨年5月、共働き夫婦の「家事」に関する意識調査をまとめ発表し、家事労働に関し夫婦間に大きな認識の隔たり・壁があることに衝撃を受けた。

 この隔たり・壁を放置すると間違いなく夫は捨てられる。心当たりのある人や記者のように感謝の気持ちをストレートに伝えられない人はもう一度しっかり読んでいただきたい。

 個人的には同社の今年のTVCM「物流×AI」が最高に面白かった。〝物流の未来を変えるんだ 「愛」をローマ字にすると「AI」になるんだ 「AI」は、そうなんだ、「愛」なんだ〟というものだ。

大和ハウスの新TVCM 「物流×AI」が最高に面白い(2018/1/8)

働く男性必読! 「名もなき家事」を妻に押しつけるな 大和ハウス調査(2017/5/18

 

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協定書を交わすマンション管理協理事長・岡本潮氏(左から3人目)と東海日動常務執行役員・大塚祐介氏(同4人目)

  マンション管理業協会(マンション管理協)と東京海上日動火災(東海日動)は12月12日、マンション管理業を取り巻く社会問題の解決とマンション管理業の社会的役割を高めることを目的とした連携・協力を行う連携協定を締結したと発表した。

 その第一弾として災害対策出動保険を開発。管理会社ごとに加入するのを条件に、緊急災害対策本部または非常災害対策本部が設置され、避難勧告または避難警報が発令されるか、激甚災害に指定された場合、①居住者への説明や説明会等に関する費用②罹災証明や公的制度への申請に要する費用③応援人員の宿泊費や交通手段等の調達費用④仮設トイレなどのライフラインの調達費用⑤災害によって発生した(超過)給与等に関わる費用-などが保険金として支払われる。

 今後、第二弾として、マンション管理業界や会員会社が行っている事業リスクの分析に基づく新たな保険、居住者の高齢化に伴うリスクに対する保険の開発を検討していく。

 協定締結に至った背景には、わが国のマンションストックは平成29年末現在644 万戸を超え、うち約92%をマンション管理協加入会社が管理しており、急速に進む少子高齢化・人口減少、大規模災害の増大、建物と居住者の「2つの高齢化」、管理員の人手不足などの問題がある。

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「ブランズ中野富士見町パークナード」完成予想図

 東急不動産とパナソニックホームズが分譲中の「ブランズ中野富士見町パークナード」を見学した。駅から徒歩4分の全48戸。坪単価は345万円。道路を挟んで敷地東側が公園に面しており、マンション向けIoTサービス「rimoco」を全戸に搭載し、スマートスピーカーを無償で配布するのが特徴。

 物件は、東京メトロ 丸ノ内線中野富士見町駅から徒歩4分、中野区本町五丁目に位置する14階建て全48戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は53.93~70.00㎡、第1期(19戸)の価格は5,170万~7,880万円(最多価格帯5,600万円台)。坪単価345万円。竣工予定は2020年2月中旬。施工は森本組。

 現地は、近くに神田川が流れ、敷地東側の道路を挟んだ対面は本五ふれあい公園に隣接。

 建物は1フロア4戸構成で、3タイプが公園側。北東角住戸の70㎡を除き50㎡台の小家族向け。

 エアコン、床暖房、給湯設備、照明、玄関錠などをスマートフォンなどで管理できるスマートホームサービス「rimoco (リモコ)」(ファミリーネット・ジャパン提供)を全戸に搭載。「rimoco」と連動して音声操作できるスマートスピーカーを無償で配布する。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、御影石キッチンカウンター、ミストサウナなど。リビング天井高は2500ミリ。オプションだがパナソニックの新商品スピーカー付きダウンライトもつけられる。

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 スマートスピーカー「OK Google」なるものに生まれて初めてお目にかかった。話しかければ照明を点けたり消したりテレビの音を大きくしたり小さくしたりしてくれるのは知っていたが、そのもの(と呼べばだが)を見たのは初めてだった。

 もう嬉しくなって、マンションの商品企画などどうでもよくなり、想像していた子どもロボットではなく、缶詰か茶筒のような格好には面食らったが、いろいろ話しかけた。今年のパリーグのホームラン王がわが西武の山川であることも円周率を小数点以下10桁までは言えなかったが、その頭のよさに仰天した。

 「1+1は2です」「3×9は27です」「円周率は3.142」と即座に正解した。外気温、天気予報もすらすらと答え、飲食店情報も教えてくれる。記者のようないじわる爺さんの質問に対しても(顔がないのは残念だが)嫌がる様子を見せず、公平平等に接してくれる。「開けろ」「閉めろ」「止めろ」「付けよ」「上げろ」「下げろ」の判断に迷いそうな声にもきちんと答える姿勢は称賛に値する。そのかわいらしい声には怒りも蔑みもない。「あなたは頭がいいね」と褒めたら、「いえ、選択するのが得意だけです」などと謙譲する心も持ち合わせているではないか。人間を超えた存在と思えるくらいだ。

 だが、しかし、言いたくはないのだが、よくよく考えたらあなたは学習能力が決定的に欠けている。呼びかけ人の性別、年齢も判別できないし、いちいち「OK  Google」と呼び掛けないと反応できないのはまず人間社会では一人前の扱いを受けるのは難しい。せめて「グーちゃん」「お前」「あんた」くらいには反応すべきだし、「灯かりを消して」の言葉に込められている意味を忖度し、明かりを虹色に染めるとか麝香の香りを振りまくとか、深海ザメの求婚の鳴き声を流すとかくらいはしていいはずだ。

 さらにまた、夫、または妻が夜遅く帰ってきたとき、吐息のアルコール濃度を計測し、体から発散する匂いをかぎ取り、「あなた(またはお前)、酒飲んできたでしょう」「うちのシャンプーとは違うわよ」と夫婦仲を引き裂き、致命傷にもなりかねない警告の一つや二つ発する勇気が必要ではないか。

 正邪、善悪、好悪などを瞬時に判断し、善導するのがロボットの中のロボットではないのか。これではいつまでたっても、人間を超える存在にはならない。このままでは所詮大人子どもの手慰みものとしてしか評価されないのではないか。残念でならない。

 そういえば、読者の皆さんは東急不動産こそが「五感に訴える」を最初に標榜したデベロッパーであることをご存じか。同社は2013年、ビクターエンタテイメントと共同して自然界に近い音が体感できる「KooNe (クーネ)」空間を提案した。その後立ち消えになった。

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 IoT商品については、ポラスの分譲戸建て分譲「アドバンスドプレイス船橋・北習志野」でも書いた。以下、記事を引用する。

 今回のモデルハウスにはなかったが、「ヒーリング街区」「サードプレイス街区」がいい。映像も含めた音や香りなど五感に訴える工夫が住まいを変えるかもしれない。

 例えば、ひばりのような夜鷹のよがり声、ヒキガエルに似た息が詰まる夫のいびき、絶滅危惧種トキ(鬨)の雄たけび、かわいい七つの子のカラスの勝手口のきしみ、寒さに震えるキリギリスの虫の息、遠き島より流れ寄る椰子の実を胸に聞く伊良子岬の波の音、マリアナ海溝の海底に棲む深海魚の寝息、マダタスカル(いつもの誤植ではない。念のため)で発見されるかもしれぬ不死鳥の羽音、催眠と催淫がごちゃ混ぜになった麝香の香り、えも言えぬ心鎮まる可憐なドクダミとヘクソカズラのブレンド香、荒城の月の月下美人の花の蜜…そんな音や香りが自由自在に体感できる時代がやってくると考えただけでワクワクするではないか。パナソニックのスピーカ付きダウンライトはとても音がいい。「千里」で体感した。

 さらに言えば、風呂のお湯張りも結構だが、だれが風呂掃除をするのか考えたほうがいい。部屋掃除もしかり。風呂を洗い、階段を上って部屋を掃除するロボットを開発したら拍手喝采してやってもいい。

「かゆいところに手が届く」商品企画IoT搭載の戸建て ポラス「船橋・北習志野」(2018/8/30)

東急不動産「KooNe(クーネ)」空間体感 「見える化」もお願い(2013/7/2)

 

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