三井不 京都・二条城に近接 三井家ゆかりの地にホテル 内外の建築家・デザイナー起用
エントランス
三井不動産は2月7日、京都・二条城の東側に隣接する250年以上にわたり三井総領家(北家)の居宅があり、三井グループゆかりの地で、フラッグシップとなるホテル「「(仮称)京都二条ホテルプロジェクト」の概要を発表した。
計画地は、地下鉄東西線二条城前駅から徒歩3分、京都市中京区油小路通二条下る二条油小路町に位置する敷地面積約7,451㎡。施設は地下1階、地上4階建て延床面積約18,987㎡。客室数161室。開業予定は2020 年夏。設計・施工は清水建設。
現地は、二条城の東側・堀川通りに面し、17世紀末頃より昭和中頃まで三井総領家(北家)の居宅があったところ。2015年に同社が取得し、2018年3月に工事着手した。
開発に当たっては、三井総領家時代に存在した回遊式庭園のコンセプトを踏襲し、現在のデザインと技術を用いて庭園と水盤からなる約1,300㎡超の空間を新たに設ける。
建築・デザインには、マスターデザインアドバイザーに栗生総合計画事務所・栗生明氏を、ランドスケープデザインにプレイスメディア・宮城俊作氏、客室・ロビーのインテリアデザイ ンにAFSO のアンドレ・フー氏、SPA・レストランのインテリアデザインにSTRICKLAND・赤尾洋平氏をそれぞれ起用。国内外のトッププレーヤーが共演する。
客室は平均50㎡超で、約210㎡のプレジデンシャル・スイートルームも設置する。
ホテルの運営は三井不動産リゾートマネジメントが行い、総支配人にはザ・リッツ・カールトン東京営業部長、フォーシーズンズホテル東京 丸の内 セールス&マーケティング部長、マンダリンオリエンタル東京副総支配人を歴任した楠井学氏が就任する。
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ニュース・リリースを読んで驚いた。そんな計画があることなど全然知らなかった。起用する建築家やデザイナーの経歴からして、最高峰のホテルにするのだろう。気迫が伝わってきた。
同社はこれまで、「マンダリンオリエ ンタル東京」、「ザ・リッツ・カールトン東京」を誘致し、三重県志摩市の「NEMU RESORT」に「AMANEMU(アマネム)」を開業。今後も「ハレクラニ沖縄」「フォーシーズンズ・ホテルズ・アンド・リゾーツ」、「ブルガリ ホテルズ&リゾーツ」を開業する。
庭園と水盤
ポラス 「浦和美園E-フォレスト」第2弾好発進 わが国初のDGRによる電力融通実験も
「浦和美園E-フォレスト コネクテッドサイト」モデルハウス
ポラスグループ中央住宅は2月7日、さいたま市に指定されている「次世代自動車・スマートエネルギー特区」の第二弾で、わが国初のDGRによる「次世代型電力コミュニティ」実証実験を行う「浦和美園E-フォレスト コネクテッドサイト」の記者見学会を行った。
物件は、埼玉高速鉄道浦和美園駅から徒歩5 分、さいたま都市計画事業浦和東部第一特定区画整理事業57街区他の保留地に位置する全45棟(同社が33棟、高砂建設が8棟、アキュラホームが4棟)。同社の第1期1次(14棟)・第1期2次(4棟)の敷地面積は150.00~184.51㎡、建物面積は95.43~111.58㎡、価格は4,780万~5,680万円。建物は在来工法2階建て。
1月下旬に第1期18戸を供給、駅に近く質が高い割に価格が抑制されていることから人気を呼び、13棟が成約済み。好調なスタートを切った。来場者数は257組。第2期15棟は4月に分譲する予定。
特区事業は、埼玉県住まいづくり協議会会員3社の共同提案がコンペで選定されたもの。2016年分譲の第一弾「浦和美園 E-フォレスト」(同社は21棟、全体で33棟)は約半年で完売した。
太陽光発電、ハイブリッド給湯・暖房システム、Low-Eガラス、HEMSなど先進の省エネ・創エネ設備を搭載。ニアリーZEH(ZEH率75%)を達成し、UA値0.46以下とすることで、冬季に暖房を使わなくても室温が概ね15°Cを保つ設計となっているのが特徴。
今回はさらに、環境省の実証事業としてわが国初の電力融通と電力識別を自動で行うシステムDGR(デジタルグリッドルータ)を5棟(同社は3棟)に搭載する。
実証事業は、デジタルグリッド社が代表として行うもので、イオンモール浦和美園内に設置する太陽光発電と分譲地内の5棟に設置される太陽光発電と蓄電池、浦和美園のイオン系コンビニ5店舗との間で電力の融通実証を行い、仮想的な取引市場を構築する。9年間データを蓄積し、その後は無償譲渡される。
モデルハウス「アートの家」
モデルハウス「スタジオハウス」
モデルハウス「森の家」
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戸建ての基本性能・設備仕様などは添付した「浦和美園 E-フォレスト」の記事を読んでいただきたい。現時点で最高レベルの分譲戸建てだと思う。好調なスタートを切ったのは当然だ。来場者の約26%が都内居住者というのも、第一弾の購入者の声を反映させ、地元パン屋さんと連携したカフェ、ワークショップなどの活動の成果だろう。
細かいことだが、全ての開き戸にソフトクローズ機能が付いていたことに驚いた。これは、先に取材した同社の「氷川台」でそうなっていたのに感動したのだが、関係者によると数年前から1,000棟規模で採用しているとのことだった。同社の戸建ては数えきれないほど見学しているのに、言われるまで全く気が付かなかった。
なぜか。引き戸についてはソフトクローズかどうかを必ずと言っていいほどチェックする。そうなっていないものも多いからだ。一方、開き戸はそうなっていないと思い込んでいたので、チェックする必要などなかったからだ。これまでの同社の見学会でもそれを強調する担当者はいなかった(はず)。このことを企画担当者に話したら、他社はその機能が付いていないことを知らない人もいた。
なにを言いたいかといえば、優れているとか劣っているとかは、基準があって初めて判断できる。判断基準を持たなければ消費者に利点も欠点も伝えられない。われわれ記者も同じだ。いいか悪いかの見る目を養わなければ、それこそ群盲象を評す、木を見て森を見ずだ。小生はこの数年間、何を見てきたのだろう。
今回公開したモデルハウスは、意匠性と使いやすさを両立させたTJMキッチンを採用した「スタジオハウス」、シルキーウッドをキッチンの天井に配した「森の家」、セメントの質感と暖かみが感じられるSOLIDO壁やシナ合板を天井に配した「アートの家」の3棟。
ひとつ付け加えておく。この戸建てには洗面所にも暖房機がついている(17.3度以下に下がらないのであれば付ける必要もないような気がするが)。さらに一言。キッチンにも都心の高級戸建て並みに床暖房機能を付けたら、みんな目を見張り、息を止めるのではなく飲むはずだ。
価格が低く抑えられているのは、「浦和美園」のポテンシャルの反映だ。これ以上書かない。
自然石のピンコロ舗道(電線を地中化、敷地の一部に地役権を設定し、コモンスペースとしているのも特徴)
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DGRについて。あらゆるものが周波数や数値に置き換えられ処理されたり伝達されたりされているのは常識なのだろうが、記者はちんぷんかんぷんだった。電力融通を行い、仮想取引が行われるようになれば、売り買いが交錯し株価のように乱高下するのか、あるいは平準化されるのか。
デジタルグリッド社企画部長・松井英章氏は「環境価値を可視化する」と語った。電気やガスだけでなく水やごみ、ガソリン代などあらゆる消費をCO2排出量に換算し、地球温暖化防止に役立つシステムの構築を目指してほしい。
蓄電池(手前)とDGR(スペースは幅約2m、奥行き約75cm、高さ約1.2m)
ポラス 浦和レッズレディース選手が「ONE LINKカフェ」でワークショップ(2018/7/30)
どこにも負けない先進の街づくり「浦和美園E-フォレスト」竣工 街びらき(2017/3/27)
〝生きた実験場〟〝やるしかない〟 多摩NT再生 第6回シンポ 藤村氏もエール
「多摩ニュータウン再生プロジェクト第6回シンポジウム」(パルテノン多摩で)
多摩市は2月4日、多摩ニュータウン再生の取り組みについて情報共有、意見交換する「多摩ニュータウン再生プロジェクト第6回シンポジウム」を開催した。定員250名の会場はほぼ満席となった。
今回は、東京藝術大学准教授で、鳩山ニュータウンなど県内の団地再生に取り組んでいる建築家・藤村龍至氏(42)の基調講演が〝目玉〟で、「多摩市ニュータウン再生推進会議」の学識委員、市民委員、多摩市長による活発な座談会が行われた。
西浦氏(左)と楊氏
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シンポジウムは三部構成。第一部は、多摩市ニュータウン再生推進会議職務代理者の西浦定継氏(明星大学理工学部総合理工学科教授)から「多摩市ニュータウン再生推進会議からの報告」があり、同市民委員・楊光耀氏が「永山駅周辺再構築ビジョンについて」と題する基調報告を行った。
第二部では、藤村氏が「市民目線での魅力づくり・ブランディングについて」基調講演を行った。
埼玉県出身の藤村氏は、埼玉県の鳩山、椿峰、白岡各ニュータウンなどでの具体的な団地再生の取り組みについて紹介し、公的補助がなくてもマルシェなどの活動を通じて地域や行政を巻き込むことは可能と語った。
藤村氏
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藤村氏が鳩山ニュータウンの再生に取り組んでいることは承知していた。しかし、あの鳩山を再生することなどは絶望的だと思っていた。学者先生の道楽、趣味の域を出ないと高をくくっていた。
ところが、まったく逆だった。自らが先頭に立って青息吐息の「鳩山」や「椿峰」に若者を呼び込み、2,000人、3,000人規模のマルシェを開き、自治体を動かす活動を実践しているではないか。推進会議委員長・上野淳氏(首都大学東京学長)は「極めて刺激的」「動く建築家」と絶賛した。
記者も感動で胸が震えた。なぜそうなったか、別掲の記事(鳩山ニュータウンに吹いた風に想う)を読んでいただければわかっていただけるはずだ。西武ライオンズファンの記者は「椿峰」も度々取材しており、戸建て購入を真剣に考えたほど素晴らしい団地だった。何と藤村氏が「椿峰」出身と聞いて、なんだか他人には思えなくなってきた。バブルで消えた日本新都市開発は「中堅所得層に良質な住宅を」という哲学があった。
徒手空拳でそこまで入れ込まなくてもいいのに、本業が疎かになっていないのかと心配もしたので、ご本人に聞いた。「大丈夫です」とのことだったし、推進会議委員の松本真澄氏(首都大学東京助教)が「本業のほうが有名なんです」と付け加えてくれたので安堵したのだが…。
「鳩山」には、一低層の壁をぶち壊し念願の飲食店もオープンしたという。必ず取材に行く。桜の春まで待つか、それとも今が旬か。
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第三部では、コーディネーターを務めた上野氏の呼びかけに応じで、パネリストがそれぞれ多摩ニュータウンの魅力などについて次のように語った。以下、発言順。
小野澤裕子氏(推進会議市民委員) 落合で育ち、地元で建築事務所を設けている。多摩は環境もいいし空気がきれい。子育てもしやすい。坂が多いが、足腰が鍛えられる。コミュニティ形成ができる街づくりに期待する。〝駅近〟マンションもいいが、遠くても住みやすく買いやすい住宅にカスタマイズすることは可能
加藤岳洋氏(推進会議市民委員) 永山で活動している。10年前に引っ越してきた。ニュータウンは今の時代に合わなくなった部分もあるが、開発当初は英知を結集したはず。ポジティブな発想に転換し、多摩の魅力を次世代につなげていきたい。情報発信力が弱いのは課題
楊光耀氏(東大で建築を研究中) 多摩には大学が多い。若者も多い。これは大きな魅力。企業誘致の拠点をつくれば若者が集まってくる。尾根街道はイノヴェイティブな街づくりの可能性を秘めている
阿部市長 多摩には元気な年寄りが多い。ニュータウンは歩車分離なので安全な街でもある。乗降客は3駅で18万人にのぼり、府中、調布に引けを取らない。昼間人口も多い。京王も小田急もアクセスがぐんとよくなった。街のポテンシャルを挙げる取り組みを強化していく
松本真澄氏 街づくりの骨格がしっかりしているのが何よりの魅力。時代にあわなくなってきたもの、例えば住宅転用などを容易にするアイデアが欠け、融通が利かないハードルが課題。高齢者の居場所は大事だが、さらにその上の85、90歳のお年寄りをどうするか、うまく起動する仕組み必要。しかし、とにかくやるしかない。市民が動きやすい行政の支援に期待
藤村龍至氏 ニュータウンは戦後の街づくりの生きた教科書。もっと情報を発信すべき。ニュータウンを見学して、個人的には落合・鶴巻が好きだ。プラスワン住宅など当時の実験住宅は今の時代にむしろあっている。民間を行政がサポートするという発想の転換も必要
これらについて、上野氏は緑のネットワークの価値を強調し、尾根街道の開発の可能性や留学生向けのシェアハウス、企業誘致などに期待したいと話した。
左から小野澤氏、加藤氏、松本氏
上野氏
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パネリストの方々が異口同音に話した「情報発信力が弱い」ことについて。
これはその通りだと思う。不動産メディアの端くれであり、多摩市民でもある記者は忸怩たるものがある。マスメディアもそうだろう。
少しだけ言い訳をさせていただく。小生は〝オールドタウン〟などと一度も書いたことがない。むしろ逆に多摩市や多摩ニュータウンの魅力をことあるごとに伝えてきた。この40年の記者生活の中で〝頑張れ〟という叱咤激励の意味も込めて数十回は書いてきたはずだ。このシンポジウムも所用で参加できなかった1度を除き取材し、記事にもしてきた。
では、どうすればいいか。阿部市長は市が運営するweb「丘のまち」を紹介したが、これは形式張っていて、最高の中身のものもあるが、一般の方が気軽にアクセス・投稿できるようにはなっていない。
このシンポだって、開催の告知はしているが、肝心のシンポで誰が何を話したかを市はまったく発信していない(どこかにあるのか)。これは完全にアウトだ。情報を共有しようという姿勢が決定的に欠けている。
こうなったらついでだ。阿部市長、「健幸都市」も結構だが、伊崎流山市長の「母になるなら流山」「父になるなら流山」には歯が立たない。それを真似た「住めば、北区」「住むなら埼玉!」もたいしたことないが、そこそこ効果があるようだ。
どうせやるなら「死ぬまで多摩市」はどうか、「美しい人は多摩市」もいいかも。
市内にある6つの大学についても。エリアに4つある足立区・北千住駅近くのマンションは坪300万円台の後半だ。6つもある市内は駅から10分ちょっとの坪200万円が四苦八苦している。大学ももう少しはエリアのポテンシャルを上げるために汗をかいてほしい。
桜美林大学については苦言を呈せざるを得ない。旧「ウェルサンピア多摩」跡地の多摩アカデミーヒルズは、市民もよく利用していた宿泊、浴場、プールを閉鎖した。あろうことか、プール跡地と旧落合中学校のグラウンドと図書館の〝不等価交換〟を計画していた。市民などの反対で計画は立ち消えになったが、建学の精神はどこへ行ったのか。
恵泉女学園は立派。多摩センター駅前の美しい景観形成に多大な貢献をされている。キャンパスも学生も教員も美しい。松村先生(女ではない)頑張れ!
この記事は、クレジットさえつけてくれればいかように利用されても結構です。むしろどんどん攪乱じゃなくて拡散していただきたい。
あの熱気どこに 多摩市 第5回 多摩NT再生プロジェクトシンポ(2018/2/5)
人・街・未来を語り合う 多摩市 第2回「多摩NT再生シンポジウム」(2016/2/5)
多摩ニュータウンの課題を解決し、魅力をどう発信するか(2014/2/13)
「多摩NTにおける人的不良在庫」 吉川徹・首都大教授が軽妙発言(2016/6/6)
コスモスイニシア 不動産小口化商品「セレサージュ表参道」入居決定 販売開始
「セレサージュ表参道」
コスモスイニシアの共同出資型の投資用不動産「セレサージュ表参道」が1月末に竣工し、販売を開始した。2017年に販売した「セレサージュ代官山」に次ぐ第2弾で、店舗6区画は全て入居契約・申し込み済み。3月から契約を開始する。
物件は、東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線表参道駅から徒歩6分、渋谷区神宮前三丁目に位置する地下1階地上4階建て、延床面積約995.33㎡。全6区画。建物は1月に竣工済み。
募集総額は26.5億円、募集口数は530口、申込単位は1口500万円、最低申込金額は二口1,000万円。予定利回りは4.29%、運用期間は15年間。
現地は、都営青山北町アパートの建て替えとともに、民間活力を生かしながら青山通り沿道との街づくりを段階的に行い、賑わい・文化・緑をつなぐ最先端の文化・両行の発信拠点を目指す約4ヘクタールの「北青山三丁目地区まちづくりプロジェクト」に近接。
契約・入居が決まっているのは複数の美容室・美容院のほかゴルフクリニックなど。
G.G.佐藤さんの実父 トラバース社長・佐藤克彦氏がポラス分譲地で絵画展
「鯛」
2008年の北京オリンピック野球日本代表に選ばれながら、星野仙一監督から一度も経験がない左翼を守らされたことによって準決勝戦と3位決定戦で3失策を犯し、その後の野球人生を狂わされた元西武ライオンズの主砲・G.G.佐藤さん(本名:佐藤隆彦氏)のお父さんで、地盤改良会社トラバースの社長・佐藤克彦氏(74)が、玄人はだしの絵画展をポラスグループ中央住宅の分譲地「ザ・マインドスクェア葛西」のモデルハウスで行っている。
「ザ・マインドスクェア葛西」は、東西線葛西駅から徒歩14分の全5戸。土地面積は100.50~103.13㎡、建物面積は91.23~101.93㎡、価格(4戸)は6,490万~7,690万円。
絵画展の企画を行った中央住宅東京事業所長・南部好克氏は、「事業所を開設して10余年が経過し、1,000戸を超える実績を残して来れた。わたしの父が不動産業だった縁で、佐藤さんは小さい頃から存じあげている。佐藤さんの会社の近くの喫茶店で話し合っていたとき、佐藤さんが描かれた絵がたくさんあったので、それから企画が始まった。この種のイベントはこれまでやったことがないが、少しでも地域に貢献できたらうれしい」と経緯を語った。
佐藤氏に話を聞いた。( )内は記者。
佐藤氏(左から2人目)と同社関係者
「あさやけ」
遭難時の「危機一髪」
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(絵を描くきっかけは)「平成に入ってから。危機一髪の物語があるんだよ。友人に誘われて東京湾へ好きな釣りに行ったんだよ(夜釣りですか? )いや、昼間(意味が通じなかったよう)。マリンスタジアムの沖だった。海がひどく荒れていてね、小さな和船だったもんだからね、2度ほど大波に襲われて、もう死ぬかと思った。その体験・光景を残そうと絵に描いた。NHKがその絵があることを保安庁から聞き出し、取材に来て、テレビにも放映された。まあ、きっかけはこんなもんだ」
(G.G.佐藤さんはまだ西武に入っていなかった? )「そう、まだ入団前の法政大の学生。あのとき父が死んでいたら野球の選手にならなかったかも」(G.G.佐藤)
「当時は釣りばっかりやっていたが、本業では住宅づくりを始めたんだ。船橋のだれも手掛けない、土地が安い傾斜地ばかりを仕入れてね。東大の先生が驚くほどの軸組パネル工法をあみだし、特許も取得して売り出した。20棟くらい建てたか。あまりにも素晴らしいもんだから、周りの建売業者はみんな貧相な自分たちの住宅をシートで覆ったほどだった。取引先だった旭化成ホームズの部長さんも視察に来てね。『斜面地はうちはやらないから、バッティングはしないからいいか』と不問にしてくれた。ただ、あれは時代を先取りしすぎちゃった」
(しかし、いまは凄い売上ですね)「180億円くらいか。目標は200億円」
(話は絵に戻りますが、これまでどれくらい描かれているんですか、売らないのですか)「年間3作品くらいか。トータルで50~60作品。この前、会社を辞めたかわいい子にプレゼントしたこともあるが、売らないね。金がないわけじゃないからね。展覧会? 応募なんかしない」(記者も絵を描くからこの気持ちはよくわかる。魂を込める自分の分身を金で売りたくはないのだろう)
ここで、南部氏が「絵画展は1月26日に始めたばっかりですが、先日の土日には18組くらいお客さんがいらっしゃるほどの盛況でした。購入されたインド人のお金持ちを含めて2人の方が『絵を譲ってほしい』と希望されていますが…」と話した。「お金に困っているわけじゃないからね…」(社長、社長の絵にG.G.佐藤さんのサインを入れたらとんでもない値が付きますが)「……」
(いったい、いつ絵を描かれるんですか)「朝8時から1時間くらい。9時から17時まで仕事。それからまた1時間くらい描いて。夜の社員との会議に出かける」(飲み会? )「それもあるが、日替わりで社員と歓談するんだよ。税務署にも経費として落とせるよう認めさせた。飲むとね(どれくらい飲まれるんですか)ビールをジョッキで3杯、焼酎割を2~3杯。酒を飲むとね、頭が回るんだよ」(社長、頭が回るというのはちょっと税務署に具合が悪い。だだの飲み会じゃないですか)「そうそう。酒を飲むとね、血の巡りがよくなっていいアイデアも浮かぶんだよ。そして終わるのが9時半ころ。土曜、日曜はかみさんと一緒」
(それにしても、ずいぶんお元気そうですね)「入れ歯は一本もないよ。メガネ? これはガラス。視力は1.0だからね。糖尿? 全然ない」
(G.G.佐藤さん、お父さんのように絵を描かれたら? )「目覚めたら…」
同社広報マンの「一番のお気に入りの作品は? 」との問いに「(熱海の40号くらいの絵について)ほら、空に全くムラがないだろ。小さな建物もきちんと描かれているだろ。これはね、独学で会得した技術があるんだ。しかし、人物、とくにこの人(自分のこと)が描けないんだよね…」
佐藤父子
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佐藤氏は1944年、愛知県生まれ。法政大学卒。1976年、東京西神田に測量会社を起業。1989年、トラバースに社名変更。趣味は絵画のほか囲碁(3段)、将棋(2段)、海釣り、ウクレレ演奏。
絵を鑑賞される来場者(左上の「あさやけ」が最高に素晴らしい)
うまく撮れていないがこれも素晴らしい
「ザ・マインドスクェア葛西」
三井不レジ 山手線の内側初の都市型戸建て「茗荷谷」「新大塚」早期完売へ
「ファインコート茗荷谷」
三井不動産レジデンシャルの都市型戸建て「ファインコート茗荷谷」を見学した。20年超の歴史を持つ「ファインコート」の中で山手線の内側は初めて。同社は早期完売を狙っている。
物件は、東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅から徒歩11分・都営地下鉄三田線千石駅 から徒歩10分、文京区千石2丁目の第一種低層住居専用地域(建ペイ率60%・容積率150%)に位置する全7戸。土地面積は95.02㎡(他に私道負担1.18㎡)~115.57㎡(他に私道負担0.83㎡)、建物面積94.59~125.31㎡、予定価格は1億1,500万円~1億5,800万円。入居予定は2019年4月下旬。構造・階数は木造2×4工法2階建て。施工は東急建設。
現地は標高21mの第一種低層住居専用地域。茗荷谷駅からだとアップダウンの激しい高台だが、千石駅からだとほぼフラット。
建物は、小石川植物園・六義園などの日本庭園との繋がりを意識した「和」テイストのデザインで、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)レベルの断熱性能を有し、リビング天井高は約2700~3000ミリ、フィオレストーンキッチン天板、食洗機、アルミ樹脂サッシ、Low-Eガラス、エネファーム、タオルウォーマー、リビング・キッチン床暖房、洗面室暖房機付きなどが特徴。
同社地域開発事業部営業室主管・坪井清治氏は、「文京区にわずか10%しかない第一種低層住居専用地域。茗荷谷駅からだと坂がありますが、千石駅からだとほぼフラット。(モデルハウスの)玄関に皆さん驚かれる。最高価格住戸にも希望が入っている」と販売に自信を見せていた。販売開始は2月下旬。
すぐそばに「明治天皇行幸記念碑」
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山手線内初のファインコートという触れ込みだったのでものすごく興味があった。茗荷谷駅から向かった。途中には野村不動産「プラウド小石川」、住友不動産「インペリアルガーデン」がある。価格は間違いなく1億円以上だ。しかし、後で知ったのだが標高21mの坂は相当きつい。下って上って。誰が買うのかと悪態も口に出た。
ところが、現地に着いてびっくり。すぐそばに「明治天皇行幸記念碑」があるではないか。そしてモデルハウスを見て〝誰が買うのか〟の疑問はどこかに消し飛んだ。巧みな〝魅せ方〟に圧倒された。
玄関を入ってすぐ天井高約3mある大きなリビング空間が広がる。リビングドアは両開きの引き戸で、開け広げると幅は約1.6m。このような圧倒的な空間を提案した都市型戸建ては他にないはずだ。タオルウォーマーが浴室に付いているのもいい。座って化粧できる洗面スペースを提案しているのも人気とか。
20年以上も「ファインコート」を分譲してきた同社だからこそできる企画だと再確認した。来場者が驚くのも当然だ。
逆に言えば、三井ですらここまでやる。ランド力で劣る同業が三井を越えないと絶対に勝てない。
山手線内初の物件では、この「茗荷谷」と2月中旬に分譲する「ファインコート新大塚」5戸がある。「新大塚」は敷地が20坪の3階建てだが、こちらも手応えは十分という。
エントランス&ホール
リビング
タオルウォーマー(左)と洗面室
立地特性を生かした商品企画 明和地所 練馬の2物件 即完スタート
「クリオ練馬ガーデンマークス」完成予想図
明和地所が分譲開始した「クリオ練馬ガーデンマークス」28戸と「クリオ練馬北町」60戸を見学した。それぞれ地域特性を生かした商品企画で、好調なスタートを切った。
「練馬」は、西武池袋線練馬駅北口から徒歩7分、練馬区桜台4丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する6階建て全28戸。専有面積は45.04~90.33㎡。坪単価は300万円台の前半。入居予定は2020年4月上旬。竣工予定は2020年3月下旬。設計はいしばし設計。施工は岩田地崎建設。
「練馬北町」は、東武東上線東武練馬駅から徒歩6分、練馬区北町1丁目の近隣商業・準工業に位置する10階建て全60戸。専有面積は54.75~71.90㎡。坪単価は280万円前後。竣工予定は2020年3月下旬。設計はオームラ建築設計。施工は岩田地崎建設。
前者は、1995年以降わずか4物件しか供給がなく、住居系に限れば2物件しか事例がない駅北口の物件。周囲はほとんどが戸建て。
住環境のよさに加え、多くの住戸が7.6mのワイドスパンであることから人気になっており、1月26日の第1期8戸が即日完売した。
後者は、立地は近商・準工だが、北側道路に面した一部住戸を除き、日照・眺望条件は悪くない。価格も軒並み坪単価300万円を超えてきている西武池袋線の物件と比較し抑制気味だ。1月26日の第1期9戸が即日完売した。
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「練馬」は、敷地は高さ規制60mの東南角地。住戸は東向きと南向きが半々。よくぞこれほど恵まれた土地(元邸宅)を仕入れられたものだ。仕入れ担当者に〝あっぱれ〟を献上したい。
プランがまたいい。ほとんどの住戸が全室採光で、間口は7m以上。売れるのは当然だ。
「練馬北町」は、現地を見たとき完売まで時間がかかると思ったが、日照にやや難のある東向き住戸は専用庭付きとし、地域特性を考慮したグロス抑制型中心なのに納得もした。
「クリオ練馬ガーデンマークス」の現地(手前が南側)
「クリオ練馬北町」の現地(手前が北側)
他社物件にない小家族向け タカラレーベン 激化する本厚木のマンション販売戦 下
「レーベン本厚木THE MASTERS TOWER」完成予想図
三菱地所レジデンス、総合地所、大和ハウス工業に続いて今回が最後のタカラレーベン「レーベン本厚木THE MASTERS TOWER」を紹介する。他社物件にはない1LDK・2LDKの住戸が約4割あるのが特徴だ。北東向きだが、このプランは競合がないだけに圧勝か。単価もそれほど高くないと見た。
物件は、小田急小田原線本厚木駅北口から徒歩4分、厚木市中町四丁目に位置する19階建て全134戸。専有面積は34.14~115.54㎡、予定価格は1,900万円台~8,900万円台(最多価格帯4,300万円台)。竣工予定は2020年8月末。設計・監理は三輪設計。施工は大末建設。デザイン監修はウイ・アンド・エフヴィジョンの石倉雅俊氏。インテリアデザインはM-nessの遠坂麻理子氏。販売開始は2月下旬。
現地は、前回書いた大和ハウス工業のマンションの隣接地。同じ並びなので日影の影響は受けない。
建物はメインの南東向き62・65・68・71・78㎡がそれぞれ1スパンの80戸と、82~115㎡のプレミアム住戸6戸、北東向きの34・40・58㎡の1LDK~2LDKが48戸の構成。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ(10階まで)~2600ミリ(11階以上)、たからの水など。
販売担当者は「モデルルームを公開したのはうちが一番遅く、1月の初めから。それでも来場は先週末まで120組。プレミアムもお客さまが付いている。大和ハウスさんはもっと高くなると思っていましたが…当社の価格はこれから決めます」と話していた。
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坪単価はまだ決めていないようだが、最低価格は34㎡の1LDKで1,900万円台というから単価は200万円を切りそうだ。他社物件にはこのタイプがないから圧勝か。プレミアム住戸も最高で8,900万円台というからMAXでも坪260万円か。
大和ハウスと同じ南東向きの80戸の競合は避けられない。価格を決めるのは市場だから、競合はお客さんに有利に働く。単価は意外と高くならないとみた。
食洗器はオプション。記者は共働きファミリーには必須アイテムだと考えるが、同社の調査では意外と使わないユーザーが多いとか。
モデルルーム
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3物件を見学し終えたのが17:00前。朝から何も食べていなかったので、駅前の洋食レストランに入った。ビールと店頭に飾られていた写真のカキフライ5個を頼もうとしたら「単品のカキフライは1個からでも大丈夫です」と言われた。それで3個だけ頼み、タバコを吸うために店を出た。
戻ると、椅子の背もたれに掛けておいたくたびれたコートに布ナプキンが被せられていた。これに感動した。ナプキンは絹製だった。
しかも、女性スタッフがまた美しい。まるで白磁のような色白の楚々とした姿に、久米の仙人が神通力を失ったように記者は色(これは「いろ」)を失った。
このおもてなしに、わが多摩センターはマンション単価で敵わないのは当然で、何もかも完全に負けたと思った。そんな店は京王プラザホテルしかないし、京王プラザも最近は若い女性スタッフがめっきり少なくなった。以前は心臓が止まるくらい素晴らしくきれいな女性がいた。
あとで調べ驚いた。厚木市の人口は約22.4万人だが、男性が約11.6万人なのに対し、女性は10.8万人と男性が上回っていたことだ。都県別では神奈川県や埼玉県、愛知県などでは男性の比率が高いことは知っていたが、これは生産人口が多いということか。
わが多摩市の人口は約14.8万人で、うち男性は7.3万人、女性は7.6万人と女性が多い。多分お年寄りの。これから多摩ニュータウン再生シンポの取材だ。
お客さまの評価高い〟 プレミスト・大和 激化する本厚木のマンション販売戦 中(2019/2/1)
〝お客さまの評価高い〟 プレミスト・大和 激化する本厚木のマンション販売戦 中
「プレミスト本厚木」完成予想図
「ルネ本厚木」に続いて大和ハウス工業が2月2日にモデルルームをオープンする「プレミスト本厚木」を紹介する。緑をふんだんに配置し、プッシュプルドア、IH、引き戸の多用など細かな点にも工夫を凝らしている商品企画が特徴だ。
物件は、小田急電鉄小田原線本厚木駅から徒歩4分、厚木市中町4丁目に位置する19階建て全144戸。専有面積は65.17~85.20㎡、価格は未定だが、坪単価は210~220万円くらいになる模様。竣工予定は2020年11月中旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。販売開始は3月中旬予定。
現地は、旧イトーヨーカ堂本厚木店跡地で、三方道路の角地。全体で約3,971㎡だったうちの約56%を同社が地主から取得。残りの別の地主が所有していた約1,737㎡をタカラレーベンが取得した。
建物は東南向きで、青山フラワーマーケットの空間デザイン部「parkERs」を起用し、外周のフロントガーデンやガーデンラウンジ、インナーガーデンなどに本物の緑を配し、癒しを演出する。
主な基本性能・設備仕様は、IHクッキングヒーター、ディスポーザー、ソフトクローズ機能付き引き戸全室採用、プッシュプルドア、スロップシンクなど。
販売責任者の東京本店マンション事業部・東本剛氏は、「大激戦だが、各物件がよく色分け(住み分け)されている。当社はDINKSや共働きファミリー、アクティブシニア層にターゲットを置き、本物の緑を共用部分に多用するなどほっとできる空間を提案する。事前案内会では、お客さまから『大和さんのがいちばんいい』という言葉をたくさん頂戴している」と話した。
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東本氏は、本厚木駅圏の販売合戦について「戦国時代」と称し、「お客さまからしっかりヒアリングし、その方のライフスタイルに最適な物件を勧める。当社の物件もよく説明はするが、お金持ちには地所さんを、ファミリーには総合地所さんをといった具合に」と語った。
普通なら他社の欠点をあげつらい、自社物件の優位性をアピールするはずだが、東本氏はそんな各社が消耗するような売り方はしないと明言した。久々に本物の営業マンに出会ったような清々しい心地がした。また別の販売現場でお会いしたい。
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マンションギャラリーに入ったとたん、雲の上に上ったようなハイな気分になった。長い間〝フェイクをやめよ〟と言い続けてきたことが報われ、同じ考えの人もいるのだと思うと嬉しさがこみ上げてきた。
写真を見ていただきたい。何と天井からポトスが吊り下げられているではないか。他の接遇スペースやモデルルームもすべてほんものの観葉植物が飾られていた。
もう多くを語らない。一昨年の同社グループのコスモスイニシアの戸建て「練馬田柄」、昨年4月のマンションモデルルームの記事、今年1月の同社の3階建てモデルハウス「森が家」の記事を読んでいただきたい。
添付するポトスの写真は、記者の机の上に置いているものだ。業者の方がオフィスの観葉植物を剪定しに来たとき、枝が伸びたポトスを切っていたのをもらったものだ。つまりただ。もう10カ月くらい経過する。水遣りは2週間に一度くらいで十分。肥料もいらない。根腐れも起こさない。
販売事務所に吊り下げられていたポトス
記者の机の上のポトス
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アマゾンのスマートスピーカー「アレクサ」を全戸に導入するのも特徴の一つだ。「OK Google」でもそうしたのだが、「アレクサ あなたはいくつ? 男? 女? 」と聞いたら「分かりません」だった。また、「このマンションは売れますか? 」と尋ねたら「難しくて答えられません」と返事した。
家電操作は得意かもしれないが、自分の性別、年齢が分からず、主人(大和ハウス)の売るマンションの販売予測もできないようじゃ大したことないね。
ガーデンラウンジ
〝先行逃げ切りだ〟 絶好調スタート ルネ総合 激化する本厚木のマンション販売戦 上(2019/2/1)
大和ハウス 都市ストレスを解放する3階建て木造モデル「森が家」販売(2019/1/18)
パーク・コーポとコラボ 空間デザイン秀逸 コスモスイニシアの戸建て「練馬田柄」(2017/11/7)
1週間に5件 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物(2018/4/19)
〝先行逃げ切りだ〟 絶好調スタート ルネ総合 激化する本厚木のマンション販売戦 上
「ルネ本厚木」完成予想図
〝マンション相模川の乱〟に突入-神奈川県央の中核都市・厚木市の小田急線本厚木駅圏で激しいマンション販売合戦が展開されている。昨年末にファミリー向け総合地所他「ルネ本厚木」222戸が第1期100戸完売の狼煙を挙げると、年初には〝駅近〟の三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス本厚木タワー」163戸が富裕層のプライドをくすぐる戦法で応戦。すると大和ハウス工業「プレミスト本厚木」144戸が〝癒し〟を旗幟に掲げ、DINKS、DEWKS層の心を揺さぶる作戦で参戦。さらにまた、大和と隣り合う中堅の雄・タカラレーベンは「レーベン本厚木THE TOWER of PEAKS」134戸を投入。1L・2Lの需要を独り占めしようと企図する。このほか戸建てトップの一建設も43戸を分譲する予定で、その数トータルで約700戸。
相模川向こうの海老名駅圏でも約2,000戸のマンション販売が佳境に入っており、市場は何やら相模川を挟んだ陣取り合戦の様相を呈している。
関係者は、厚木市は日産、ソニー、日立、NTTなどの研究所が多く、財政も健全で自立型の市場を形成し、ここ4~5年間はマンションの供給が途絶えていることからマグマは溜まっていると楽観視するが、相模川向こうの海老名市からの需要は見込み薄で、年間150~200戸が販売の限度という見方では一致しており、どこも自陣の引き締めに懸命で、他社の動向に神経をとがらせている。
いったいどこが抜け出すか、割を食うのはどこか、それとも血を血で洗う乱戦となり最悪の共倒れになるのか。ここは高みの見物-おっと、これは失礼。みんながwin-winのハッピーな結果になることを祈りつつ、昨日(31日)見学した「ルネ本厚木」「プレミスト本厚木」「レーベン本厚木」の順に、見たまま聞いたままを紹介する。提灯持ちにはならないが、火に油を注ぐような記事にはしないつもりだが…。
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「うちは先行逃げ切り」-この日、メディア向けに「ルネ本厚木」の見学会を行った総合地所の広報担当者が本音ともとれる冗談を放った。そして販売責任者も控えめではあったが「腕」とつぶやいた。この二人の言葉に物件の特性、自信のほどが全て示されている。
物件は、小田急電鉄小田原線本厚木駅から徒歩6分、厚木市田村町に位置する15階建て全222戸。第2期の専有面積は60.99〜82.27㎡、価格は3,538万~4,968万円(最多価格帯3,900万円台)。坪単価は195万円。竣工予定は2020年2月。設計・施工は長谷工コーポレーション。売主は同社(事業比率50%)のほか東急不動産(同30%)・西日本鉄道(同20)の3社。販売代理は長谷工アーベスト。
現地の用途地域は容積率400%の商業地域。敷地は旧イトーヨーカ堂厚木店の駐車場だったところで、イトーヨーカ堂が閉店し、この駐車場に新たな店舗を建設する際に長谷工コーポレーションが敷地の一部を譲り受けて、同社グループの総合地所などがマンションを建設することになったもの。幅員約3.6mの道路(建設工事に伴い約6mに拡幅)を挟んだ南側は住居系用途。土地は戸建てなどに細分化されているため、高い建物が建つ可能性は少ない。敷地北側の隣接地は4層のイトーヨーカ堂の店舗が今春開業する。
分譲開始は昨年11月。第1期100戸を完売したのをはじめ、これまでに供給した133戸のうち120戸が成約済みと絶好調。
来場・成約とも約70%が厚木市内居住者。成約者の年齢層は30歳代が36%(来場は33%)、40歳代30%(同24%)、60歳代~18%(同23%)。年収帯は400万円台19%(同15%)、600万円台15%(同15%)、500万円台11%(同13%)。
建物は東西軸に細長い全戸南向き。子育てファミリー層をメインターゲットにしており、共用施設には「育てるレジデンス」の意を込めた〝イクレジ〟として「知・食・読・音・色・遊・木・眠」の8つの要素からなる「八育」を盛り込む。
また、イトーヨーカ堂と提携し、電子マネー「nanaco」の機能が付いた居住者限定カードを採用。様々な特典が受けられるようにしている。
主な基本性能・設備仕様は、パッシブデザインの玄関ドア脇の窓、キッチンバックカウンター、扁平梁と連窓の2.15mハイサッシ、4本の柱全てアウトフレーム、可変間仕切りシステム「ウゴクロ」が2スパン(28戸)、ディスポーザー、食洗機など。
キッズスペース
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いつものことながら、微に入り細をうがつ説明資料を配布する総合地所の見学会に頭が下がる。今回は特に「用地取得額 非公開」とあったのに記者は敏感に反応した。これは間違いなく〝格安〟で取得できたのだと読んだ。
スーパーの適正床面積は分からないが、イトーヨーカ堂は南側にマンションが建ったほうがコストを下げられ、事業採算もアップすると考えたのではないか。
好調なスタートを切ったのもよくわかる。郊外型で外廊下側もアウトフレームにしているのは最近では極めて珍しい。スパンも全体的に広めで、角住戸はコーナーサッシ付きだった。
「全戸南向き」も説得力がある。関係者から住宅地図を見せられたが、ほぼ全域が京都の町家のように東西軸が短く南北に長い区画割になっていた。つまり、これまで建設されたマンションは南向きが極めて少ないことを見ただけで分かるようにしていた。ここにも「腕」が隠されている。
気になったのは、60歳以上の来場者比率は23%を占めながら、成約比率では18%に下がり、年収700万円以上の来場比率も12%だったのが、成約比率では11%未満になっていることだ。子育てファミリー層だけでなく、多様なニーズに応えるプランも盛り込んでもよかったのではないか。
先行逃げ切りといっても、競馬に例えれば向こう正面、山なら五合目だ。勝負は4コーナー、八合目を回ったあたりだろう。そこでまた鞭を揮えるか。
パーティ イメージ図
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これはおまけ。どうでもいいことも。1つ目。77㎡のモデルルームはよくできていた。しかし、リビングのほぼ中央にフェイクであることが明らかな観葉植物が置かれていた。これは何度も書いてきた。本物とフェイクを並べたら、みんなフェイクに見える。いかがか。
2つ目。玄関を入ってシューズインクロークを開けたら鳥の声が聞こえた。ウグイスでもホトトギスでもヒバリでもなかった。スズメではなかったか。マイクが仕込まれていた。寝室は麝香の香りがするかと予想したが、無音無臭だった。吉永小百合さんのシカの〝フン フン フン〟でも流したらどうか。
3つ目。若い女性担当者が「八育」の説明をした。他の7つは全て音読みだったのに、「色育」だけは「いろいく」と湯桶読みした。記者はうろたえ恥ずかしくなった。周りの同業記者から「そんなに過剰反応するのはあなただけ」とたしなめられた。そうかなあ。
建設現場(右がイトーヨーカ堂)
地元富裕層を中心に人気 坪単価260万円の三菱地所レジ「本厚木タワー」(2019/1/16)