RBA OFFICIAL
 

1.jpg

 2018年の分譲マンション市場は、優れた立地や商品性など、ターゲット層に合致した物件に人気が集中しており、二極化の傾向が進んでいる。当社としては、交通利便性を基礎条件として、好環境・大規模・タワー・複合開発等の特徴を備えた物件を中 心に堅調に推移し、この1年間の供給戸数は3,800戸超であった。

 直近で契約を開始した「ザ・パークハウス福岡タワーズ」など新規物件の引き合いも順調で、「ザ・パークハウス高輪フォート」「ザ・パークハウス和光市」なども現時点で多くのお問い合わせを頂いている。首都圏・地方都市ともに立地とニーズに適う物件の提供を継続し、堅調な需要に応えていきたい。

  資産形成コンパクトマンション事業として展開している「ザ・パークワンズ」ブランドは、渋谷区初の同ブランド展開となる「ザ・パークワンズ渋谷本町」が2018年7月の販売開始以降順調に進捗しており、完売間近である。投資・実需双方の堅調なニーズによりご好評を頂いており、今後も都心の好調エリアを中心として展開していく。

  「一生ものに、住む。」というモノづくりにおける当社の原点を掲げ、引き続き都心部を中心とした「ザ・パークハウス」ブランドの分譲事業や再開発事業・建替え事業を進めるほか、賃貸マンションブランド「ザ・パークハビオ」の開発、築古ビル等を再生する「Re ビル」事業、今後本格的な利益寄与が予定されている東南アジアを中 心とした海外事業、有料老人ホーム・学生マンション開発など、利益の下支えとなる多様な事業展開を推進し、事業ポートフォリオの再構築・強化を目指す。

  2019年度は、三菱地所グループの中期経営計画終年度となる。昨年は、グループとして成長しバリューチェーンを強化すべく、住宅事業各社の会員組織を統合し、住宅関連サービス情報を網羅的に提供するプラットフォームとなる新たな会員組織「三菱地所のレジデンスクラブ」を立ち上げた。

 今後もグループ間連携を進め、ノウハウやネットワークを生かし、さらなる顧客満足度の向上を目指すほか、新技術やテクノロジーを駆使したビジネスモデルの革新にも取り組んでいく。

  2019年は、元号が変わるなどまさに節目となる「変化」の年である。当社も新年より働き方改革の推進を目的として本社オフィスを「大手町フィナンシャルシティグランキューブ」に集約移転する。フリーアドレス制の導入やオープンスペースの拡充 などの導入により、社内のコミュニケーションを活性化させ、時代を先取りする、競 争力あふれる企業への変革を目指す。

三菱地所 執行役社長 吉田淳一.jpg

 昨年は、米中間の貿易摩擦問題の深刻化、新興国の金融経済環境の悪化、英国Brexit交渉の先行き不透明感等、国際金融市場のリスクが高まった一年であり、年末に日経平均株価が急落したことはそれらリスクに起因する可能性があることを否定できない。

 昨年、国内では、自然災害が相次いだが、良好な雇用環境、好調な企業業績等から、景気は緩やかに持ち直した。

 2019年は、世界経済の停滞リスクが高まる中、日本経済を取り巻く状況が一層厳しさを増す可能性があるが、企業による設備投資の増加や人手不足対策への投資等により景気回復の動きは維持され、昨今の訪日外国人数の増加に加え、本年のラ グビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けた需要等により内需が支えられ、底堅く推移すると期待したい。

 オフィス賃貸市場は、企業の業績好調に伴う採用拡大、人手不足の中での優秀な人材確保、生産性向上のための働き方改革推進等を背景としたオフィス需要が強まっており、本年も良好なマーケット環境が続く見込みである。

 ソフト面での付加価値提供やブランディング向上を図り、より一層、競争力のあるオフィスを提供していきたい。

 分譲住宅市場は、優れた立地・商品性がターゲット層に合致すれば底堅いニーズがあるが、駅近・複合開発など魅力が高い物件と、そうでない物件の二極化傾向がますます強まっており、顧客の厳選志向は本年も継続していくものと思われる。

 また、既存のビジネスモデルに囚われない多様な事業展開を推進し、事業ポートフォリオの再構築・強化を図りたい。

 商業施設では、アウトレットを中心に、着実に増加する訪日外国人客の需要を捉えていきたいが、訪日外国人客の購買単価の低下やネット通販との競争激化が見られる中、より一層、各施設の魅力をターゲットに訴求することが必要である。また、旺盛なホテル需要も継続すると考えられるが、多様化するニーズを捉えた出店計画や、それを支える人財確保等が求められていく。

 2019年度は中期経営計画の最終年度にあたる。中期経営計画の総仕上げとして、堅調なマーケット環境下で収益基盤強化の成果を利益として具現化することに加え、環境変化の加速をチャンスと捉え、時代の変化を先取りして新たな事業を創造する等、2020年代の更なる成長に向けたビジネスモデル革新を推進していく。

 

ポラスグループ 代表 中内画像データ.jpg

 本年は「平成」最後であり、新元号が施行される年です。些か名残惜しくもありますが、どんな時代になるのか大変楽しみでもあります。また消費税の10%への増税が予定されており、住宅業界への影響は今のところ読み切れない状況ですが、3月末と9月末に向けて、少なからず市場に動きがあると考えられますので、しっかりとした対策を打ち、流れに乗り遅れないようにしていきたいと思います。

 また昨今、各分野で人手不足が顕在化してきておりますので、すべての職種において生産性の向上を推進します。そのためには、出戻りや滞りが発生しないよう、事前の計画をしっかりと立て、その計画に向かって情熱をもって取り組み、『やり抜く』ことを意識して効率よく業務を進めてまいります。

 ポラスグループ創業50周年を迎える本年のキーワードは、『自他共栄』です。「互いに信頼し、助け合い、感謝し合うことで、自分も世の中の人も、ともに栄えることができる」という意味の言葉です。創業以来今日まで、当社を支えていただいた全ての方々に感謝するとともに、原点である経営理念に立ち返り、「農耕型経営」の考え方を今一度再確認し『自他共栄』の経営を推進することにより、次の半世紀に向けて全社一丸となって力強い成長を続けてまいります。

 

 

 
 

2018年夏頃撮影

 

 年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年の日本は、度重なる自然災害により多くの方々が被災されました。心からお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。

 さて、そうした中で日本経済は、好調な企業収益を背景とした雇用、所得環境の改善が個人消費を下支えし、回復傾向が続きました。米中貿易摩擦やFRB による政策金利の引き上げなど、不透明な世界経済の情勢には注視が必要ですが、当面は堅調に推移すると考えます。

 当社の不動産流通事業においては、近年分譲されたマンションが良質なストックとして積み上がる中で、全国売買仲介取扱件数が前年を上回り、良好な業績を納めることができました。

 また、駐車場事業においては、新規開設が順調に進み、昨年9月に運営管理台数が24万台を超えました。

 カーシェアリング事業は、昨年10月に会員数が10万人を突破し、首都圏・関西を中心に事業を拡大しました。

 昨今、社会の状況は少子高齢化やデジタル活用の普及などにより日々大きく変化しており、お客さまの価値観やニーズは多様化、高度化、複雑化しています。

 当社は、住宅の仲介や不動産資産コンサルティング、三井不動産グループの多岐にわたるサービスを提供していくとともに、社員一人ひとりが不動産のプロとして更なる研鑽を積み、お客さまの抱える課題や思いと真摯に向き合いながら、最適なソリューションの提供に努めてまいります。

 また、デジタルを活用した円滑なコミュニケーションを行うことにより、お客さまの利便性を向上させてまいります。

 本年7月15日には、当社の前身となる三井不動産販売の創立から50周年を迎えます。これからも“すまい”や“くらし”といった事業フィールドで、お客さまや社会から必要とされるサービスや価値を提供し続けるべく、全社一丸となって邁進してまいります。

image002.png
「ポチのしつけ編」

 東急リバブルは12月30日(日)から新TVCMの放映を開始する。

 新たに放映するのは「ポチのしつけ編」「リバ部編」。「ポチのしつけ編」ではペットのポチが登場し、「リバ部編」では中学生になった長男のユータが部活に入部するなど山口智充さんを中心とする成長した家族が紹介される。

 同社は2014年からリテール売買仲介事業のブランディング施策の一環としてぐっさんこと山口智充さんを起用したTVCMを放映している。

◇       ◆     ◇

 放映開始から5年目になる。記者はあまりテレビを観ないし、CMにも興味がないが、最初のころの〝リバブル、知ってる〟にドキリとさせられた。同社の野球部とはもう30年近くのお付き合いだが、本業の不動産流通業については素人同然の知識しかないからだ。

 ユータくんが入部したのは「野球部」ではない? アンビ〝リバブル〟。ユータくんは声変わりしたのか。しっかり観てみよう。「ポチ」はこれまでのブルドックに全然似ていない。これも不思議。

甲乙つけがたい「渋谷」「所沢」「東雲」「南平台」

6.png

2018年 記者が選んだ「ベスト3マンション」(2018/12/20)

 記者が選んだ2018年「話題のマンション」を選んだ。今年は首都圏34物件に地方の物件7物件を追加した。首都圏の見学物件は86物件。見逃した物件もかなりあり、いささか恥ずかしいのだがやむを得ない。

 まず、「ベスト3」に入れるかどうか迷った物件から。その筆頭は年末に分譲開始となった住友不動産・住友商事の「シティタワー所沢クラッシィ」。個人的には選定したかったのだが、西武ファンの記者の私情が入っていると批判されるのも嫌なのでベスト3には入れなかった。

 しかし、バブル崩壊後では県都・浦和を上回る埼玉県下最高高値の坪単価350万円(第1期31戸は条件のいい価格が高い住戸が中心だったので360~370万円くらい)に設定したのがうれしかった。浦和で坪単価350万円を突破しそうな再開発マンションが予定されているので、トップの座は短命かもしれないが、西武ライオンズが10年ぶりに優勝したその年に最高値とは所沢市民も喜んでいるのではないか。選手をはじめライオンズ関係者が殺到しないか。少なくとも10戸は売れるはずだ。

 もうずいぶん昔だが、石毛選手が都内の億ションを買ったのを知り、球団を通じて了解も得てスクープ記事を書いたことがある。離婚の前だった。その後どうなったか。吉永小百合さんが買ったマンションも知っているが、これは書かなかった。

 野村不動産「プラウドシティ東雲キャナルマークス」もベスト3に入れようかどうかで迷った。オーバル状の建築物は商業ビルでは結構あり、マンションでも一昨年、三井不動産レジデンシャル「青山」がアール形状だったが、「東雲」は建物全体をオーバル状にし、その中に代々木第一体育館のアリーナ面積とほぼ同じ長辺約90m、面積約4,000㎡の中庭を設置した商品企画がいい。

 記事にも書いたが、かつて見た「くまもとアートポリス」(KAP)の建築家・山本理顕氏が設計した熊本県営保田窪第一団地とよく似ている。中庭でコンサートなど開いたら感動的なイベントになるのではないか。

 この物件のいいところはもう一つある。最近の子どもたちは公園で遊ばないのだという。我々の世代はすぐ「外で遊んで来い」などと怒られたものだが、今の親は外で遊ばせると怖いから塾などに通わせるのだそうだ。しかし「東雲」なら大丈夫。城郭都市のようだから。

 もう一つの候補は三菱地所ほか「ザ・パークハウス 渋谷南平台」だ。再開発ラッシュでマンション相場も天井知らずの様相を呈してきた「渋谷」の南平台で、坪単価850万円という同社のバブル後の最高値を更新した。追い抜かれたのが「千鳥ヶ淵」というのは複雑な気持ちがするがやむを得ないか。

 設備仕様レベルは最上級の〝ザ・パークハウス グラン〟そのものだ。そうしなかったのは、売主に大林新星和不動産、東急不動産が名を連ねているためだ。

 この物件と三井不動産レジデンシャルの「渋谷」が高値を付けたことで注目されるのは、旭化成ホームズは「宮益坂」でいくらの値を付けるかだ。同社は「一般分譲するかどうかも未定」としている。縁故販売でこっそり売るつもりか。住むにはどうかと思うが、坪単価は1,000万円でどうか。

 三菱地所レジデンスといえば、「ザ・パークハウス代々木上原」もいい物件だ。坪647万円は高いような気がしたが、記者はあのサペリの美しい建具・家具に圧倒された。似たものでは昔、住友商事があれは方南町だったか富士見台だったか、突板のカバザク(またはカリンか)を全面に貼ったモデルルームを思い出した。そんな思い切った提案をするマンションが少なくなったのは残念。

 さて、皆さん。以上の3~4物件のうち「ベスト3」にふさわしい物件を選べと言われたらどれを選ぶか。甲乙つけがたく迷うだろう。だから「渋谷」も含めて「ベスト3」の一つは「該当なし」にした。

県都・浦和を抜く 埼玉県最高単価マンション 住友不・住商「所沢」(2018/12/22)

分譲では初か オーバル型の中庭がいい20数年前の〝アート〟蘇る 野村不「東雲」(2018/11/13)

三菱地所レジデンス 最高値更新の坪850万円 「ザ・パークハウス渋谷南平台」(2018/10/4)

駅4分の1低層 息をのむほど美しいサペリの建具 三菱地所レジ「代々木上原」(2018/12/14)

「千葉NT」「川越南台」「守谷」 価格の安さだけでない

 都心の富裕層マンションもそうだが、何より嬉しいのは郊外マンションが売れることだ。「ベスト3」に入れたポラス「浦和美園」以外にも大健闘した郊外物件がある。大和地所レジデンス「ヴェレーナシティ千葉NT中央 ザ・フロント」、タカラレーベン「レーベン川越南台The Arena」、同「レーベン守谷THE SQUARE(イーストコート)」だ。

 「千葉NT」は読者の皆さんもご存じだろうが、総じて売れ行きは芳しくない。どうして同社の物件がよく売れるのか。

同社は前期、引き渡し929戸を期末までに売り切った。しかも、郊外中心だから価値がある。完成在庫ゼロというのは関西のプレザンスコーポくらいだろう。

 「千葉NT」は、坪単価が140万円と土地代がただでも建たないような安さでありながら設備仕様はまずまずで、駅近、8mワイドスパン、100㎡、玄関幅1.4m、メーターモジュール廊下幅、ディスポーザー、食洗機、床暖房、主寝室8畳大、1620浴室、平置無料駐車場100%確保、奥行き4mのオープンエアバルコニー付きプランも100戸以上-などの商品企画が優れているからだ。

 「川越南台」の売れ行きにも驚いた。見学したのは三井不動産のロジスティクス見学のついでだった。30戸くらい売れているだろうかと思ったが、逆で残りが30戸だった。

 「守谷」も同様だ。こちらは大規模商業施設「YORK TOWN MORIYA」に隣接しているのも好調な要因の一つだが、驚異的な売れ行きだ。

 いまの消費者はお金がないから買えないのではない(もちろんそうした層もいるが)。住宅購入は多くある選択肢の一つで、住宅そのものもマンション、戸建て、中古、賃貸などと比較し、どれが合理的であるかを優先して選ぶ。

 大和地所レジデンスもタカラレーベンもポラスもそんな売り方をしていない。誰だって〝2,980〟〝3,980〟などとどこかの安売りTVCMと同じように価格の安さだけを全面に出された二の足を踏むのではないか。

 住友不動産「シティテラス八千代緑が丘」も売れ行き好調。

 あっ、そうだ。この前、ある人が「ユニクロは2年寝かすのが常識」と話した。みなさんはこの意味をご存じか。マンションはそういうわけにはいかないが…。

駅近100㎡ 商業隣接 驚愕の坪140万円 大和地所レジ「千葉NT中央ザ・フロント」(2018/10/30)

〝タカラの奇跡〟 関係者も驚く売れ行き 残りわずか30戸 「レーベン川越南台」(2018/11/7)

郊外苦戦〟跳ね返す 売れ行き好調 タカラレーベン「守谷」554戸(2018/11/26)

郊外不振〟吹っ飛ばす 全1,006戸 販売順調 住友不「八千代緑が丘」(2018/6/23)

フランスのファッションと同じ マンションも「美」だ

 デザインについて。話は横道にそれるが、年末、高崎経済大非常勤講師の権代美重子氏から「パリのファッション」と題する講義を受けた。聴講者は記者のような、というよりはまだ記者は若いほうで、後期高齢者のほうが多いくらいのOSI研究会のメンバー。

 記者も含めてファッションには無縁の方が圧倒的多数派を形成していたと思うが、権代先生の話はとても参考になった。必至でメモも取ったので機会があったら記事にしたい。

 何を学んだかといえば、もともとパリのファッションは宮廷ファッションが源流で、なぜブランドとして今も世界をリードしているかといえば、それは機能的価値・情緒的価値・自己表現価値という3つの価値を守り続けてきたということに他ならないと先生は仰った。

 マンションも基本的には同様だと記者は思う。あの丹下健三は「機能的なものが美しいのではない。美しいもののみが機能的なのだ」という言葉を残した。

 機能的に優れているのは当たり前だ。これが劣るものは論外。消費者に感動を与える美しさを備えていないといいマンションとはいえない。記者がしつこく〝フェイクをやめよ〟と書くのもそのためだ。

 自己表現価値とは、そのマンションに住めばどのような新しい生活ができるかを具体的に示すことではないか。

 さて、今年も美しいデザイン(いうまでもないが、単に意匠デザインが美しいという意味で用いているのではない)のマンションがたくさん供給された。「話題のマンション」として選んだ36物件のうち、外観やモデルルームがとくに美しかったのはモリモト「ディアナコート用賀」、伊藤忠都市開発他「クレヴィア文京関口」、大和ハウス工業「プレミスト赤坂翠嶺」「プレミスト山吹神楽坂」、先に紹介した三菱地所「代々木上原」、住友不動産「所沢」などだ。

 モリモトの物件は8割方観ているが、当たり外れがない。見直したのは大和ハウスだ。「赤坂翠嶺」「山吹神楽坂」もしっかり造りこんでいる。

プラン・デザイン秀逸 地所レジ、住友に勝てるか モリモト「ディアナコート用賀」(2018/3/6)

デザイン秀逸 第1期1次43戸が即日完売 伊藤忠都市・東急不「文京関口」(2018/4/7)

〝赤坂の隠れ家〟 本物志向の大和ハウス「プレミスト赤坂翠嶺」(2018/10/19)

ワイドスパン、フラットバルコニーなど企画秀 大和ハウス「山吹神楽坂」(2018/12/10)

宣伝コピーやシアターにはっとし、ニヤリとし感動もした

 いつも思うのだが、マンションを探している人はいったい何を基準に選ぶのか。今も昔も、それは交通便であり価格であり環境だ。いわゆる「3K」だ。検索サイトもエリア、価格、面積、間取り、駅距離を選択して選べるようになっている。

 これはこれで結構だ。必要条件だ。デベロッパー各社もいかに検索サイトの条件にヒットするかに腐心しているようだ。

 試しにあるサイトで探してみた。ところが「エリア」は区市単位になっていた。条件を「子育てファミリーに嬉しいマンション」で検索したら66件もヒットした。並び替え条件は価格、間取り、戸数くらいしかない。欲しいのは勤務先までの通勤時間や保育園・幼稚園、学校までの距離、買い物の便、住環境、治安、売主が信頼できるデベロッパーであるかとうかだと思うが、残念ながらこのサイトでは、それを探り当てるのは不可能ではないか。「ハイグレード」でも検索したら37件ヒットした。しかし、これも何をもってハイグレードなのか示してくれない。どうみてもそう思えない物件もあるし、〝住宅評論家〟がコミットしているのにも驚いた。

 自分が希望する条件を全て打ち込んでそれこそワンストップで条件にマッチする物件を探してくれるサイトはないのか。いまの検索サイトは便利なようで不便だ。

 記者などは自分の目しか信じないので、検索サイトで見学する物件を探すことは全くない。手垢にまみれた宣伝コピーも信じない。しかし、大成有楽不動産「オーベル住吉マスターテラス」、野村不動産「プラウド川口タワー」、新日鉄興和不動産他「リビオシティ・ルネ葛西(TOKYO ALOHA PROJECT)」、京阪電鉄不動産他「DISCOVER ★TERRACE★ ファインシティ武蔵野富士見」、近鉄不動産他「ローレルタワー ルネ浜松町」などの宣伝コピーやシアターにははっとし、あるいはにやりとさせられ感動もした。

 「住吉」は何と〝東京駅から青山一丁目と同じ距離〟と謳った。「川口」は〝もう二者択一はやめよう〟(同社は駅東口の予定物件もあるが)迫った。「葛西」は〝TOKYO ALOHA〟が面白い。「武蔵野富士見」は〝DISCOVER〟と意表を突いた。「浜松町」は最寄り駅は日の出だが、質は極めて高い。シアターもよくできていた。

東京駅から青山1丁目と同じ距離 公園隣接 大成有楽「オーベル住吉マスターテラス」(2018/9/27)

〝二者択一は終わりにしよう〟 川口初の免震×長期優良 絶好調 野村不動産「川口」(2018/5/14)

アロハ! 商業・価格・平置き 3点セット奏功 1期162戸即完 新日鉄興和「葛西」(2018/4/10)

敵か味方か 京阪電鉄不 見たことない「コト」企画で勝負「武蔵野富士見」(2018/2/24)

近鉄不の矜持を見た 天井高2700ミリ 「港区」「タワー」「海」前面に「浜松町」(2018/4/23)

第一種低層住居専用地域立地・公園隣接

 第一種低層住居専用地域の物件は、先に紹介した「代々木上原」がそうだが、大和地所レジデンス「ヴェレーナグラン浜田山」、三井不動産レジデンシャル「パークホームズ荻窪 ザ レジデンス」もいい物件だ。

 「浜田山」は桜並木が美しい神田川遊歩道に面している。「荻窪」は〝パークホームズ〟シリーズでは久々の1低層に位置する物件で、隣は公園。

 公園隣接といえば、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス早稲田」は戸山公園が敷地南側。これもいい物件だ。

 

サクラ満開 神田川遊歩道に隣接 清張も徒歩2分 大和地所レジ「浜田山」(2018/3/27

久々に1低層の〝パークホームズ〟 三井不レジ「荻窪」売れ行き好調(2018/12/9)

戸山公園に面する立地とデザインが素晴らしい 三菱地所レジの建て替え「早稲田」(2018/10/11)

「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」を批判したが…

 〝駅近〟が人気になった要因と記事にしてきた記者にも責任の一端はあるが、あろうことか「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」という本が出版された。いかにも売らんがためのタイトルであるのを承知で記者はこれを痛烈に批判した。ある方から「却ってその本を買わせることになりかねない」と親切な忠告も頂いた。〝駅近〟が今年もまたよく売れた。

 相鉄不動産他「グレーシアタワー三鷹」、モリモト「ピアース赤坂」、東京建物「Brillia 浦和仲町」、三菱地所レジデンス他「津田沼 ザ・タワー」などだ。

 「三鷹」は、中央線沿線のマンションは軒並み坪400万円以上となる相場を形成した。「赤坂」は瞬く間に売れたが、確か単価は600万円以下で安くしすぎたのではないか。後続物件の値付けにも影響を与えた。「浦和仲町」は坪330万円でも売れた。「津田沼」は価格が安かった。千葉県下で坪300万円の大台に乗るのはいつか。

また怒り沸騰 「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」の本は買うな!(下)(2018/2/1)

早期完売間違いなし 三鷹駅直結の相鉄不・三菱地所レジ「グレーシアタワー三鷹」(2017/12/21)

赤坂3分 多様なニーズ取り込むか モリモト「ピアース赤坂」(2017/12/9)

三菱地所レジ他「津田沼 ザ・タワー」 第1期は半数以上の340戸 絶妙の値付け(2018/3/23)

「Bloomoi(ブルーモア)」の提案前面 坪330万円弱で好調 東建「Brillia 浦和仲町」(2018/10/16)

大規模・再開発 「十日市場」「月島」「武蔵小杉」「日吉」 

 大規模・再開発は、東急電鉄・東急不動産・NTT都市開発の3社JVマンション「ドレッセ横浜十日市場」、三井不動産レジデンシャル他「MID TOWER GRAND(月島)」、三井不動産レジデンシャル・東急不動産「Kosugi 3rd Avenue(コスギ サード アヴェニュー ザ・レジデンス)」、野村不動産・関電不動産開発・パナソニックホームズ「プラウドシティ日吉」を選んだ。

 「横浜十日市場」はレベルが高い。「MID TOWER GRAND」は早期完売を狙った値付けだが、困るのは周辺物件。言葉は悪いが頭を押さえつけられた状態。「コスギ サード アヴェニュー」は設備仕様レベルのダウンがない。三井デザインテックの黒須理枝氏が担当したモデルルームもよかった。黒須氏デザインはこのほか大和ハウス「赤坂翠嶺」でも見た。もう1物件見たような気がするが思い出せない。「日吉」では、野村の新提案「街の共用部」が設置される。

レベルが高い 長期優良住宅認定 東急電鉄他「十日市場」 順調なスタート(2018/4/9)

三井レジ 「月島」再開発タワー「MID TOWER GRAND」第1期189戸 坪単価434万円(2018/7/17)

第1期174戸が即日完売 三井レジ・東急不「コスギ サード アヴェニュー」(2018/12/4)

1,320戸の多機能型街づくり「日吉」始動 「街の共用部」設置 野村不動産ほか(2018/10/10)

「元赤坂」「鷺沼」「日吉」「西麻布」「虎ノ門」「四谷」など

 

 その他、話題性・人気・商品企画などで以下の物件を選んだ。阪急阪神不動産「ジオ元赤坂」は元赤坂アドレスで35年ぶりのマンション。1フロア2戸。単価は安い。大成有楽不動産「鷺沼」は最高の立地で、「オレンジラボ」の提案もよかった。JR西日本プロパティーズ(略称:Jプロ、旧菱重プロパティーズ)の「ジェイグランディア日吉」は近隣のどこの物件にも負けないレベルの高さだった。

 野村不動産「虎ノ門」は、全国区の人気とか。末長組「西麻布」は同社だからこそ実現したプラン。旭化成不動産レジデンス「アトラス四谷本塩町」は民間マンション第一号の建て替え。伊藤忠都市開発「クレヴィア池袋West」は「HITO-TUBO(ヒトツボ)」提案がいい。

元赤坂アドレスで35年振り 1フロア2戸 阪急阪神不「ジオ元赤坂」完成販売(2018/10/30)
ヒルトップの社宅跡地 「オレンジラボ」がいい 大成有楽不「鷺沼」(2018/5/8)
 圧倒的人気呼ぶか Jプロ「日吉」 事前内覧会は満席 キャンセル待ち50組超(2018/8/7)

「虎ノ門」アドレス 人気も全国区 野村不動産「プラウド虎ノ門」(2018/8/22) 

末長組の矜持を見た 傾斜地だからこそ生きる技術力 「ロイヤルシーズン西麻布」(2018/10/5)

民間マンション第一号建て替え 旭化成不レジ「アトラス四谷本塩町」完売(2018/11/13) 

高単価エリアだからこそ生きる「HITO-TUBO(ヒトツボ)」 伊藤忠都市開発「池袋」(2018/12/5)

呼びかけに「NO」と言わない 地方も10回取材 大きな成果

 今年から地方への取材を増やした。もうあとはないし、呼んでいただいたらきちんと応えるのが記者の役割だ。「NO」と言わないのが基本姿勢だ。10回近く取材した。

 その成果はあった。地方が元気を取り戻しつつあることが分かったし、一方で東京都との「格差」もまだまだ大きいことも見えてきた。

 三菱地所レジデンス他「hitoto 広島The Tower」では、主催者の挨拶に拍手を送った記者団に驚いたし、「マンションは愛だ」と挨拶した主催者にもまた感動を覚えた。記者のモットーは〝記事はラブレター〟だ。

 やはり三菱地所レジデンス他「ザ・ パークハウス 神戸タワー」は坪266万円で市内最高峰であることを知った。歴史的建造物を残そうという姿勢にも感動した。

 そして東急不動産「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」では、関西圏最高峰の坪610万円であることを取材できた。首都圏から取材にきていたメディアはなかったはずだ。

 大京の「ライオンズ芦屋グランフォート」は、わが国初の「NearlyZEH-M(ニアリーゼッチマンション)」だったが、単価は東急の「芦屋」の3分の1だった。

 野村不動産・大林新星和不動産「プラウドタワー北浜」は、昨年見た三井不動産レジデンシャルの「北浜」と同様、ものすごい売れ行きだった。

 住友不動産「シティテラス千里桃山台」は坪270万円で、基本性能・設備仕様レベルの高さに驚いた。

 大和ハウス工業「プレミスト梅田」は、「芦屋」にはかなわないが、大阪府ナンバーワンの単価になった。

 このほか現地は見ていないが、積水ハウス他「上町台」、旭化成不動産レジデンス「草津」、大京「金沢」も人気を呼んだ。

 余計なことかもしれないが、大阪市には第一種低層住居専用地域がひとつもないことを知った。守るべき良好な低層住宅地がないということか。都構想も結構だが、街づくりについて議論すべきではないか。

マンションは愛だ 中四国・九州 最高階数の地所レジ他「hitoto 広島The Tower」始動(2018/2/22)

驚嘆 〝世界初〟積水ハウス&大阪ガス 燃料電池・SHE搭載「上町台」半数以上成約(2018/2/27)

さすが三菱 神戸の歴史的建物保存・復元「神戸タワー」 過去最高峰の坪単価266万円(2018/3/15)

首都圏の億ションに負けない 関西最高峰の坪610万円 東急不「芦屋」(2018/7/23)

わが国初の大京NearlyZEHマンション 坪単価は東急「芦屋」の3分の1(2018/7/29)

首都圏に負けない〟レベル 販売好調 野村不・大林新星和不「プラウドタワー北浜」(2018/9/1)

坪単価270万円に納得 梅田に16分の近さ 住友不動産「シティテラス千里桃山台」(2018/10/9)

坪400万円の大台に乗るか 全戸角住戸 大和ハウス「プレミスト梅田」(2018/10/9)

駅前の一等地 大京「金沢」第1期1次70戸が即日完売 4割は地元以外(2018/11/2)

 

感謝!西武ライオンズ優勝 糖尿の数値も安定

 今年もあと1週間。カウントダウンが始まった。業界紙誌が恒例の「重大ニュース」を発表したのに合わせ、記者もこの1年間の足跡を残すことにした。間違いなく4コーナーを回り、人生のゴールを目指しよたよたと走り続けている駄馬の自覚はある。その姿は美しい。だから余計に書く意義はあるはずだ。

 個人的にはやはりわが西武ライオンズのパリーグ優勝が一番だ。約8カ月、試合数143試合の勝率は12球団トップの.624。巨人をはじめ7球団は勝率5割以下だったから価値がある。万歳。

 勝てば当日はもちろん翌日も気分がよかったので、この8カ月間のうち7~8割は気力が充実しハイな気分で記事も書けた。西武に感謝。

 お陰で酒の量が増えたが、糖尿の数値は年間を通じて安定して推移した。恙なく1年間を過ごせた。酒は計量カップで目盛りを測り、カロリー消費を抑えてくれたかみさんにも感謝。

 とはいうものの、〝古稀〟を目前にし、体力・知力の衰えはいかんともしがたく、風邪を引く回数が多くなり、寝込むこともしばしばあった。あろうことか「女性化乳房」なる病気にも罹った。右のおっぱいが手のひらにすっぽりと収まるくらい腫れあがり、歩くたびにスーツなどがすれ、痛みが走った。電車に乗るときはいつも右胸をガードした。

 さすがに我慢できず、生まれて初めて病院の乳腺科に駆け込んだ。女医さんではなかった。「ああ、これ。典型的な『女性化乳房』。思春期や初老の男性にたまに見られる症状。ガンじゃないから大丈夫。痛い? 薬はない。2~3カ月で収まるはずだ」「女性になれるんですか」と聞いたら「いや」とつれない返事が返ってきた。女性になれたらいとも簡単にスケベ爺をたぶらかすことも可能だろうと夢想したのだが…。

住宅・不動産業界は晴れ 明るい陽射し燦燦

 以上が私的な回顧。住宅・不動産業界では地面師問題と積水ハウスの人事騒動、かぼちゃの馬車問題で表面化したスルガ銀行のずさんな審査、シェアオフィス・サービスオフィス・コワーキングスペースの拡大、KYB問題、不動産テック、AI、IoT、DX、民泊、インスペクション、空き地・空き家、SDGsなどが話題となった。

 自然界は猛威を振るった。このところ毎年のように大きな自然災害が容赦なく襲ってきた。亡くなられた方のご冥福と、被害に遭われた方々にこころからお悔やみ申し上げる。

 だが、しかし、太陽は分け隔てなく万物に明るい陽射しを降り注いだ1年間ではなかったか。わが業界全体を振り返ると、雲一つない快晴とまでは言えないだろうが、入道雲が湧きたつ気配はなく、はるかかなたに驟雨の箒雲が見られる程度だ。世の中は公平ではない。

 このところ株価は下落の一途で、デフレ脱却は先送りとなり、来年は消費増税が待ち受けるが、少なくとも2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでは突っ走る展開になるのではないかと楽観視している。

第30回記念にふさわしい〝下剋上〟のRBA野球大会

 以下、記者の取材フィールドであるRBA野球大会、マンション、分譲戸建てを中心に業界紙誌があまり触れなかった問題について振り返る。

 発信した記事量はRBA野球記事も含めて約750本。ここ数年と変わらない。中にはコピペもあり、的外れの記事はあったかもしれないが、極力〝足〟で書くよう努力した。年間トータルで40~50万件くらいのアクセス数になったのではないか。

 まず、RBA野球。バブル崩壊後の平成3年から取材を始めた大会は、ついに記念すべき第30回目を迎えた。ご存じない方はたかが野球と思われるかもしれないが、単に住宅・不動産業界だけでなく建設、管理、その他周辺産業など業際を越えた大会であるのが特徴で、業界動向を映す鏡でもあり、この間の各社の浮沈を見続けてきた。ラッキーだった。

 今年はまさに〝下剋上〟大会だった。水曜ブロックの覇者は王者・旭化成ホームズでも強豪の積水ハウス神奈川でもなく、あと一歩で苦汁を飲まされてきた野村不動産アーバンネットだった。日曜ブロックも〝出ると負け〟を繰り返してきた三井不動産レジデンシャルリースと三菱地所リアルエステートサービスが決勝に勝ち進んだ。

 このほか東京建物、ミサワホーム東京、三井不動産リアルティ、エイブル、初参加のトラバース、三菱地所ハウスネットなどの健闘も光った。56歳のミサワホーム鉄人・大野が引退したのも記録に留めたい。

分譲は年間3~4万戸が常態化 質の低下は否めず

 分譲住宅はどうか。業界各紙は「低調」などと振り返っているが、記者はそう思わない。マンションの供給量でいえば、首都圏で年間3~4万戸というのはこれから常態化するのではないか。戸建てはガリバー企業・飯田グループの動きがよく分からないが、こちらも首都圏の年間供給量は3~4万戸くらいで推移するのではないか。玉石混交の物件を寄せて集めて契約率をはじき出すことなど意味がない。

 とはいえ、マンションは価格の上昇で、グロス価格を抑えるため専有面積を圧縮し、階高・天井高を低くし、設備仕様レベルを落とす事例が増えた。基本的に住宅の質は広さだと記者は思っているので、その意味では質の低下が一層鮮明になった年だ。気になる材料だ。

 一方で、都心部の好立地・高額物件は坪800万円を突破してきた。来年あたりは〝一等地1000万円〟の市場になるのではないか。富裕層向けの価格が上昇するのは結構なことだ。どんどん高値挑戦すべきだ。

 喧伝されている〝郊外不振〟は適切な見方・表現ではない。先にも書いたが、マクロデータを寄せ集め、平均値を出し、それをもって好調だの不調だのと決めてかかる短絡的思考は改めるべきだ。近く「話題のマンション」記事でも書くが、大健闘している郊外物件は少なくない。商品企画が勝負だ。

 戸建てではコスモスイニシア「成城」の2億円前後4戸が瞬く間に売れたのに驚いた。リビング天井を3m以上確保し、掃き出し窓をフラットにしたのも評価された。

 三菱地所ホームが国産材使用率を82%に引き上げた英断に拍手喝さいしたいし、非住宅に力を入れるすてきナイスグループ、ポラス、三井ホーム、さらにはCLTの取り組みを強化している三菱地所の動きに注目したい。アキュラホームは「木造ストロー」を開発して話題を呼んだ。木造の時代は加速する。

首をかしげざるをえない業界紙の「重大ニュース」

 「住宅新報」と「週刊住宅」の「重大ニュース」は、ともにインスペクション・安心R住宅が筆頭で、民泊新法、所有者不明土地問題、かぼちゃの馬車問題、消費増税を取り上げている。ほかは分かれた。当然と言えば当然。はっきり言えば、業界紙が大上段に構えて「重大ニュース」を発表する時代はとっくに過ぎた。個々の記者がどう見るかが大事ではないか。

 旧弊を墨守しているから前例主義に陥り、当たり障りのない官報のような記事になってしまう。だから、そんなに重大なニュースかと首をかしげたくなるものも少なくない。

 天と地がひっくり返るくらいびっくりしたのは、全宅連会長の交代を「週刊住宅」が重大ニュースの一つにしていたことだ。理由は分からないではない。10万会員を擁す業界最大の団体であり、大スポンサーだからだろう。しかし、これはあまりにも露骨だ。これでは贔屓の引き倒しだ。業界妾であることを宣言するようなものだ。魂まで売るのか。

 それよりも、大正生まれのいずれも創業社長で年齢も同じ92歳の木下工務店・木下長志氏、大京・横山修二氏、ナイス・平田周次氏と、住友不動産販売元代表取締役会長・社長の岩井重人氏も享年87歳で亡くなられたことを記録に留めておくべきではないか。一つの時代は終わった。

 他方、「住宅新報」はリバースモーゲージ型住宅ローンの増加や賃貸経営管理士の国家資格化への動きを伝えている。

 これもよく分からないので深追いしないが、もっと書くべき「重大事」があったのではないか。

進行する「働き方改革」 三菱地所が新本社内公開

 例えば、業界内での働き方改革。三菱地所が新本社オフィスを公開したことだった。完全フリーアドレスで袖机も取っ払った。吉田淳一社長自らがプレゼンし、「オフィスを取り巻く環境の急激な変化を先取りし、われわれ自身がオフィス空間の情報を発信し、働き方を変え、アイデアを伝える必要性が高まっている」と述べたのに同社の意気込みを感じた。国土交通省の不動産業課も7月からフリーアドレスを実施した。

 積水ハウスは「3歳未満の子を持つ男性社員全員が子の誕生から3歳に達する日までに1ヵ月以上の育児休業を取得し、最初の1ヵ月は有給とする」ことを発表した。業界紙も業界各社の働き方改革に関する記事を発信してほしい。

和田氏退任残念だが、積水ハウスの「幸せ」追求に拍手

 地面師被害もそうだが、積水ハウス会長兼CEO・和田勇氏が退任したのは小事ではないと思うがいかがか。

 記者は和田氏と大和ハウス工業会長兼CEO・樋口武男氏、住友林業会長・矢野龍氏を絶滅危惧種の大阪弁を死守する〝御三家〟に奉り、あの人を食ったような語りを楽しみにしていた。3社とも後任の会長、社長は関西弁をほとんど話さない。残念だ。

 和田氏の退任は残念だったが、積水ハウスはその〝失点〟をすぐ取り戻した。わが国の企業では初となる「幸せ」を研究する「住生活研究所」を設立し、初代所長に河崎由美子氏が就任した。「幸せ」追求は永遠のテーマだ。研究成果や商品化に期待したい。

 ビル・商業施設では、空室率が低下しているのは結構なことだ。個人的には建物形状が美しい三井不動産「ミッドタウン日比谷」が半年で年間来館者目標を達成したのには驚いた。第3の〝ミッドタウン〟は三菱地所との対決を回避する模様だ。

〝マンションの敵〟ホテルが一気に抜き去り独走態勢

 マンションの敵だと思っていたホテルが完全に優位に立ち、もはや敵なしの独走状態の観を呈しているのには複雑な気持ちを抱いている。

 今年春、コスモスホテルマネジメント社長・藤岡英樹氏が「京都市内のマンションやホテルは1種当たり(容積率100%当たりの坪単価)は200万円以上。マンションは厳しい。当社は今回のホテルを含め7件の土地は取得済み」と語った。

 そして秋、京都へ取材に行ったときだ。タクシーの運転手が「マンション? あきまへん。もうホテルには勝てない」と話した。タクシーの運転手もホテルに席巻されていると話した。京都市内では2020年までに30棟くらい建設されるのではないか。

 そのコスモスイニシアの新業態のアパートメントホテルも上々のスタートを切った。業界紙には用地の争奪戦など生の情報を提供してほしい。面白い記事になるのではないか。

グローバル化加速 海外事業が稼ぎ頭の時代へ

 海外事業について業界紙は触れていないのもどうかと思う。積水ハウスは戸建ての伸び悩みを補完するどころか稼ぎ頭になる勢いを見せている。住友林業は今期営業利益550億円のうち海外事業比率を34%と見込んでいる。三井不動産は今年5月に発表した「VISION 2025」で、「街づくり」「テック活用」とともに「海外事業」を主要な取り組みの一つにしており、連結営業利益3,500億円程度のうち海外事業利益を30%程度に増やす意向だ。このほかのデベロッパーはもちろん、電鉄会社なども海外に積極的だ。

 「海外事業の生の情報が欠けている」と書いたら、12月25日付「住宅新報」が東急不動産のインドネシア開発について詳報している。また「このほど」だった。津波は大丈夫だったのだろう。

時代の流れとは言え寂しい上場廃止3社も

 時代の流れとはいえ、上場会社が3社も消えたのにも衝撃を受けた。三井ホーム、大京、NTT都市開発の3社もそれぞれ三井不動産、オリックス、NTTの完全子会社となり上場廃止となった。一方、4月1日付でパナホーム(昨年に上場廃止)が4月にパナソニック ホームズに、日本郵政は日本郵政不動産をそれぞれ設立した。

ITは蚊帳の外 漢字一文字 わが国は「災」 中国書道家は「福」

 以下は番外編。あるデベロッパー広報担当者は「今年もトランプvs中国。トランプ劇場。日本が世界の注目事から遠ざかっており、寂しい」と今年1年を振り返ったが、記者も同感だ。

 わが国の「今年の漢字」一文字は「災」だったが、中国人の書道家に同じ質問をしたら「公私ともに福」と答えた。

 いまITの世界を支配しているのはAGFA(Apple、Google、Facebook、Amazon)とMicrosoftを加えた5強だと思っていたら、ファーウェイ事件で中国のIT関連企業がその5強を激しく追っていることを認識させられた。わが日本は蚊帳の外だ。

林野庁の来年度予算額 防衛予算の増額分と一緒のなぜ

 さらにもう一つ。林野庁の来年度予算概算要求額は前年度比15.2%増の3,452億円だ。結構な伸びだ。しかし、防衛予算は同7.2%増の5兆2,926億円で、増加額3,538億円は林野庁の予算を上回る。国土強靭化の肝であるはずの国土保全の公益的機能と森林・林業の再生・活性化を管轄する役所とどうしてこんな差がでるのか。納得できない。

 平成が終わる。この日(24日)、天皇陛下の「象徴天皇としての旅」の会見のお言葉に図らずも涙した。新しい元号は平和で豊かな「日出国」にふさわしい元号になることを期待したい。

04_外観6空撮合成見下げ_昼景_180706.jpg
「シティタワー所沢クラッシィ」完成予想図

 住友不動産と住友商事が分譲開始した「シティタワー所沢クラッシィ」を見学した。西武鉄道の車両工場跡地を含む再開発エリアに建つ制震29階建て全311戸のタワーマンション。坪単価は350万円くらいになる模様で、浦和を抜くバブル崩壊後の埼玉県最高単価マンションとなる。

 物件は、西武池袋線・西武新宿線所沢駅から歩3分、所沢駅西口土地区画整理事業施行地区内の一角にある敷地面積約4,012㎡の29階建て全311戸(非分譲35戸とその他住戸15戸含む)。第1期(31戸)の専有面積は54.21~81.18㎡、価格は5,980万~1億2,980万円。坪単価は350万円くらいになる模様。設計はINA新建築研究所。施工は前田・西武建設共同企業体。竣工予定は2021年1月。

 現地は、西武鉄道所沢車両工場跡地を含む約8.5万㎡(西武ドーム4.5個分)の土地区画整理事業によって再開発が進められているエリアの一角。敷地の南側と西側には西武ホールディングス・住友商事の商業施設が建設されることになっているが、建築確認を受けておらず、詳細は未定。高層建築にはならない模様だ。

 建物は駅とぺディストリアンデッキで結ばれる予定で、マンション-西武所沢店・ワルツ所沢-所沢駅-グランエミオ所沢がつながる。建物の1・2階は商業施設で3階は共用部分、4階以上が住戸。

 基本性能・設備仕様は、制震構造、リビング天井高2580ミリ、内廊下方式、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンタートップ、ダイナミックパノラマウィンドウ、Low-Eガラスなど。

 同社は「広告を全然打っていないが、すごい反響。『松が丘』など周辺に住む富裕層の買い換え、買い増しも期待できそう」と話している。

05_外観4全景_180727.jpg

バルコニー.jpg
バルコニー

◇      ◆     ◇

 以下は西鉄時代を含め西武ライオンズファン歴60年の記者の私情が入っていることをご了承願いたい。

 何が嬉しいかといえば、西武ライオンズが10年ぶりにパリーグを制したこの年に、住友不動産が県都・浦和を抜く埼玉県最高値マンションに敢然と挑戦したことだ。これまで、埼玉県のマンション相場は常に京浜東北線・宇都宮線・高崎線がリードしてきており、坪単価記録は2015年分譲の三菱地所レジデンス・大栄不動産「ザ・パークハウス 浦和タワー」の330万円台だった。

 西武線といえば、2007年分譲の西武不動産販売他「HIBARI TOWER (ひばりタワー)」も坪300万円の壁を破れなかった。所沢駅圏にはタワーマンションが7~8棟建っているが坪300万円に届かず、2015年竣工の野村不動産「プラウドタワー大泉学園」も坪300万円にわずか4万円届かなかった。今回、住友はそれを大幅に更新した。

 だが、しかし、残念ながらこの記録はあと2年くらいで破られそうだ。浦和駅前では再開発マンションが計画されており、間違いなく坪単価は350万円を突破する。まあ、短命ではあるがそれまでは埼玉一のマンションであるのは変わりない。

西武球団にお願いだ。モデルルームを見たが、ピッチング・素振り練習は無理だ。1フロア(10~12戸)バルグ買いし、リフォームすれば365日24時間、心おきなく練習できるスペースを確保できる。お金は菊池雄星さんのメジャー移籍で入る移籍金で十分賄える。楽天に移籍した浅村選手の金銭補償額は12,600万円らしいから、これでも1戸買える。外国人獲得やトレードでも〝職住近接〟は有利に働く。

 

 西武ライオンズの選手の皆さん、このマンションはお勧めだ。西武沿線ではこのマンションを上回る物件はまず供給されない。秋山さん、中村さんは2戸買えるし、年俸1億円台に達した山川さんも大楽勝。源田さん、多和田さんも大丈夫。住宅ローン控除の年収制限ぎりぎりの3,000万円の野田さん、平井さん、木村さんあたりも買うならここだ。

LD昼.jpg
モデルルーム

13_エントランス(人追加)_180706.jpg
エントランス

埼玉県の最高単価マンション 地所レジ・大栄不「浦和タワー」好調スタート(2015/12/14)

「Bloomoi(ブルーモア)」の提案前面 坪330万円弱で好調 東建「Brillia 浦和仲町」(2018/10/16)

「ひばりタワー」に反響3000件 単価は超割安?(2007/5/11)

 

00120001.jpg
国土交通省 第36回社会資本整備審議会産業分科会不動産業部会(国交省会議室で)

 官公庁だけは進まないだろうと思っていた、職員の座席を固定しないフリーアドレス、ペーパーレス化を国土交通省の土地・建設産業局不動産業課と不動産市場整備課が率先垂範していることを本日(21日)知り、その現場も見た。

 今年7月から実施しているもので、「打ち合わせなどの席取りがなくなった」と職員は話した。

 他の省庁ではどうかと総務省に問い合わせた。同省行政管理局行政情報システム企画課は平成27年2月27日付で、「国家公務員のワークスタイル変革を目指し、これまでのオフィス環境を一新する試行的取組」として「ワークスタイルを変えるオフィス改革の試行的取組」を公表。

 ①個人の座席を固定しないフリーアドレス制により、印刷物の削減、ペーパーレス化を推進②同じ仕事をする職員が一つの机を囲むことで、チーム内の情報共有が容易になるなど、職場内のコミュニケーションが活性化③無線LAN等のICTを活用することで、パソコンを持ち運び執務室内のどこでもペーパーレスで打合せが可能に-などとしている。

 その後、同課には全国の地方自治体や民間からの視察が相次ぎ、これまでに4,000人が訪れているという。同課によると、「全てを把握しているわけではないが、フリーアドレス化を推進している官公庁は国土交通省航空局、消費者庁徳島オフィス、北九州市東京事務所などがある」と話した。

 ペーパーレス化に対する職員の評価は、仕事がしやすくなった、テレワークが進んだ、シームレス化が進みコミュニケーションが取りやすくなった、考える時間に集中できるなどと概ね好評だという。

 不動産業界では今年2月、三菱地所が本社機能を「大手町パークビルディング」に移したのをきっかけにオフィスを報道陣に公開して話題となった。

00140001.jpg
各区委員に用意されているタブレット(配布された紙は数枚ではなかったか。戸惑う委員はほとんどいなかった。マイクの調子はいま一つだった)

◇           ◆     ◇

 皆さんは信じられないだろうが、記者もフリーアドレスではなく袖机もあるのだが、退勤時には机の上にはパソコンのモニター(字を大きくするため)とキーボードとマウス(ノートパソコンは難しくて記事が書けない)、電話機、観葉植物しかない。

 貰ったマンションのパンフレット、その他の資料は捨てる(資源ごみ)ことにしている。袖机をなくしても全く問題はないと思う。記事を校閲するにはプリントアウトして読んだほうがいい記事になるのは間違いない。電子化保存もできるようだが、名刺をどうするかだが…。

 三菱地所には、職場の環境を変えて生産性が上がったかどうかは必ず取材して報告したい。

00160001.jpg
退勤時の記者の机の上(モニターはなくても大丈夫。観葉植物は定期的に点睛に来る業者さんから枝を貰って生けたポトス。つまりただ)

三菱地所の本丸を見た 機能一新 士気高揚 トマト最高 地所が新本社公開(2018/2/12)

3d_yumemuhen4.jpg
「夢無辺」

ハウスが設・運営する「絹 天空美術館」は1221日(金)~2019610日(月)、開館2周年を記念する特別展示「夢〜空想劇場」を開催する。
 新たに
3D映像化した「平治の乱」を初公開。東京・⻘⼭「こどもの城」のエントランスを飾っていたアフレスコ(壁画古典技法)の傑作「アラベスク」全20をテーマごとに展⽰する。
 美術館は、大阪・梅
スカイビル タワーウエスト27階。

arabesque7.jpg
「アラベスク」

◇      ◆     ◇

 絹谷先生はもう40年くらい昔からのファンだ。あのころ絵画を買っていたらとんでもない値段がついているのに…今は絵を買えないから先生がデザインしたネクタイを締めている。図柄は確か2~3点しかない。もっと図柄を増やしてほしい。

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン