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 今週号の業界紙は待ち遠しかった。14日に発表があった三菱地所の「CLT晴海プロジェクト」だけはきちんと伝えるだろうという確信があったからだ。

 ところがどうだ、住宅新報を見てあ然、呆然。見事に期待を裏切ってくれたどころか、扱いは小さく紙面の隅の〝囲み〟に追いやられていた。期待が大きかった分だけ怒りも倍増した。またも批判記事を書かざるをえない。

 その記事は3段囲みの扱いで、ページの全スペースの10分の1くらい、紙面トップの「ドレッセWISEたまプラーザ」のエリアマネジメント記事と比較すると5分の1くらいしかない。料理に例えると、小生はもうお腹いっぱいで、カロリーも気になるのでほとんど口にしない最後の水菓子だ。

 例えがちょっと過ぎたかもしれないが、こんな失礼なことがどうしてできるのか。これは書いた記者より編集、デスクの責任だ。ニュースの価値判断がまるでできていない。メディア・リテラシーが欠落、欠損している。

 エリマネの記事にケチなど付けたくないが、これは旧聞。小生は分譲時の2017年8月に取材し記事にしている。この時は「CASBEE横浜」Sランクに注目し、単価が信じられないほど高いにも関わらず人気になっており、「CO-NIWA」も評価されていると伝えた。

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 新報の記事しか読まない読者の方にも知っていただきたいので、「CLT晴海プロジェクト」について少し紹介する。

 CLT発表会には、同社の吉田淳一社長、岡山県真庭市の太田昇市長、建築家の隈研吾氏が出席し、それぞれ挨拶・スピーチし、CLTの実物も公開した。いかに力が入ったイベントであったかは出席すればすぐわかる。国会議員の先生4人も応援に駆けつけたほどだ。

 言うまでもなく森林林業の活性化、地方創生は喫緊の課題であり国策だ。CLTはその「起爆剤」(隈氏)として期待されている。

 小生は木造ファンなので、これはビッグニュースだと判断し、あらかじめ記事を書き、解禁にあわせて12:00にweb記事としてアップした。配布された画像を追加したのは12:30くらいでなかったか。

 ニュースは速さが勝負だ。他のメディアはよく分からないが、とにかく第一報では負けなかったはずだ。見出しを「〝美しい〟〝画期的〟隈研吾氏が連発」としたのもその場の雰囲気を伝えられたはずだ。

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 とても面白い記事もあった。共同住宅としては唯一環境省のZEH宿泊事業の連携事業者に選定されている積水ハウスの「亀有」に体験宿泊したK記者の体験ルポ記事だ。Kさんとは最近名刺交換したばかりで、新報の記者さんだとは全然知らなかった。

 Kさんは築浅の集合住宅(74㎡)に午後5時にチェックインしてから翌日の午前9時のチェックアウトまで、LDK、寝室、居室、玄関などの温度を5回ほど測定。最後に「暖房の効きやすさ、室温の下がりにくさは素晴らしく、1泊2日の体験中に『快適』の言葉を何度も口にした」と締めくくっている。

 笑ってしまったのは次のくだりだ。「スーパーから買ってきた食パンを電子レンジでトーストし、ソーセージをIHヒーターで焼き、夕食とした」

 食パンが電子レンジでトーストできるのはいまネットで調べて初めて知ったが、トーストとソーセージだけとは…いつもそんな夕食なのかと思うとかわいそうになった。宿泊経費は会社持ちじゃないのか。酒も飲まないのか。元編集長Hさんの居酒屋紹介記事の飲み代は半分くらい会社が負担していると聞いた。えらい差ではないか。

 それにしてもKさん、「体験中に『快適』の言葉を何度も口にした」というのはどういうことか。話す相手がいないのに言葉が出るものなのか。小生などは西武が逆転サヨナラ勝ちしても小さくガッツポーズするくらいしかできない。羨ましい。

 記事は完ぺきではない。普通のマンションと比べてどうなのかも書いてほしかった。Kさんが住む築30年以上の19㎡のワンルームはおそらく単板ガラスで壁厚も薄い。「快適」などの言葉も隣に筒抜けでないか。そんなレヘルの低いわが家からして宿泊したマンションは「素晴らしく快適」なのは当然ではないか。参考までに。小生のマンションの洗面室は真冬の朝方は13度くらいまで下がる。昔の三重の農家は台所の水がめが凍った。(注)

 Kさん、今度は三菱地所ホームの全館空調モデルハウスの体験を申し込むといい。温度を設定すればトイレもロフトもほとんど変わらない。「快適」とはこのような住空間をいう。あっ、ゴメン。ZEHはいいですよ。

 (注)積水ハウスの提供資料によると、155㎡の「グリーンファース ゼロ」のモデルプランでは、真冬の深夜、トイレに行くときの温度は主寝室が20.0℃、トイレが15.3℃(旧省エネ基準は9.2℃)で、リビングの温度差は、外気温が-0.5℃のとき、20.0℃~13.9℃と6.1℃の差であるのに対し、旧省エネ基準は20.0℃~6.5℃と13.5℃の差があるとしている。

美しい〟〝画期的〟隈研吾氏が連発 三菱地所「CLT晴海プロジェクト」(2019/2/14)

圧倒的人気 「CASBEE横浜」S評価 東急電鉄他「ドレッセWISEたまプラーザ」(2017/8/23)

効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)

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「ブランズタワー豊洲」完成予想図

 東急不動産(事業比率55%)、NIPPO(同25%)、大成有楽不動産(同15%)、JR西日本プロパティーズ(同5%)は2月18日、江東区豊洲五丁目で開発を進めている「豊洲地区1-1街区開発計画」のタワーマンション「ブランズタワー豊洲」に関する事業説明会を行った。メディアの関心が高いのか、40名を超える記者が駆け付けた。

 物件は、東京メトロ有楽町線・ゆりかもめ豊洲駅から徒歩4分、江東区豊洲五丁目に位置する48階建て全1,152戸。専有面積は43.41~219.44㎡、価格は未定で、3LDKで8,000万円台の予定。竣工予定は2022年10月。施工は熊谷組。販売開始は今年10月上旬。6月にモデルルームをオープンする。

 現地は、約2.4haの東京ガスの元所有地で、2014年に東急不動産が取得。その後、冒頭の3社と共同で開発することとなった。敷地内には、マンションのほか生活利便施設、保育所が設置される。また、敷地の一部は江東区に小学校用地として譲渡されている。

 計画では、敷地に隣接する「東電堀」の水辺資産を取り込んだ約7,950㎡のプロムナードを整備。また、地域の継続的賑わいや活性化・価値向上に貢献するためエリアマネジメント手法を採用し、事業主がサポートする管理組合が主体の一般社団法人を設立する。財源には区分所有者からの会費とテナントへの賃貸料を充当する。

 説明会で東急不動産執行役員住宅事業ユニット首都圏住宅事業本部本部長・大谷宗徳氏は、「戸数は当社としては過去最大級。都心で『タワー』とつけるのも初めて。今秋より販売を始めるが、海に面した立地、敷地計画、利便性からいっても競合に負けない。即日完売を目指す」と語った。

 記者団の価格についての質問に、同部マンション開発第二部統括部長・武田敬氏は、「現段階では、3LDKで8,000万円台とまでしか公表できない。『月島』(三井レジ)がベンチマークになる。あと半年あるのでよく精査したい」と語るにとどめた。

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空撮

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プロムナード

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左から大成有楽不動産マンション事業本部長・糺幸男氏、大谷氏、NIPPO執行役員 開発事業部長・真田昭彦氏、JR西日本プロパティーズ執行役員不動産開発部長・前久司氏

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 「晴海シビックセンター」に設けられた事業説明会場に入ったとたん、報道陣の数の多さにびっくりした。大谷氏も「これだけたくさんの方が集まるとは予想していなかった」と切り出したほどだ。どれだけ多いか説明しないと分からないので、少し書く。

 昨年10月に行われた「HARUMI FLAG」説明会に参加した記者は約100名だった。ここには数では負けるが、事業主の数は「「HARUMI FLAG」は11社だ。今回は4社だから、1社あたりの数では「豊洲」の勝ちだ。

 今年に入って三菱地所レジデンスが立て続けに行った「本厚木」「高輪」「北千住」の記者見学会の参加者も多くて20数名だった。吉田社長、隈研吾氏も出席した画期的な「CLT」発表会だって40名はいなかったような気がする。

 過去にさかのぼったらどうか。記憶は定かでないが、あるいは6年前の三井不動産レジデンシャル「千代田富士見」と東京建物ほか「池袋」、5年前の東京建物「目黒」などが上回っていたかどうか。住友不動産が10年くらい前に行った見学会には50名集まったのは知っている。広報責任者が「うちは動員力があるんだ」と豪語したからだ。

 よって、記者の記憶に間違いがなければ、今回は10年ぶりの記者動員力ということになる。間違っていたら謝るほかない。

 しかし、皆さん、昔はもっとすごかった。17年前の8社JV「東京ツインパークス」は100名集まった。1社当たり12.5名だからこれが近年の記録かもしれない。

 馬鹿なことと思うかもしれないが、それだれ最近のデベロッパーのマンション記者見学会への動員力は落ちているし、メディアの〝見る目〟はどんどん退化・劣化している。

 なので、今回、これだけたくさんの記者を集めた関係者に拍手喝采したい。同社の「四番町」も「一番町」もこれほど集まらなかったはずだ。

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説明会場(晴海シビックセンター)

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建設現地(向こうの高層マンションは晴海)

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 ここからが本題。いちばん知りたかったこと、聞きたかったことだ。商品企画と価格だ。

 記者は、三井不動産レジデンシャルの「MID TOWER GRAND」記者見学会のとき、次のように書いた。

 「『豊洲』は中央区でなく江東区だが、ポテンシャルは負けていないと思う。『月島』が434万円なら400万円超はありうるような気がするがどうだろう。『月島』は制振で『豊洲』は免震。規模もはるかに大きい。チャレンジしてほしいが、戸数が1,230戸(本日発表は1,152戸)もあるのでそんな勇気があるかどうか」

 残念ながら今回は詳細な商品企画は明らかにされなかったし、価格も武田氏は「3LDKで8,000万円台。ベンチマークは『月島』」としか話さなかった。モデルルーム公開の記者見学会を行うそうだからそこまで待とう。

 同業の記者の方にも一言。こんなにたくさん集まったのは嬉しいのだが、最近の各社のマンション見学会に集まる記者の数から判断して、半数くらいの方は普段現場を見ていないのではないか。記者は現場を見ないジャーナリズムを信じない。自分の視点を持たないか、持とうとしないと言ったら言い過ぎか。これをきっかけに、是非とも周辺の湾岸マンションを取材して記事にしていただきたい。自らが情報発信者にならないとだめだ(していたらごめんなさい。小生は他の媒体はあまり読まない)。

 言い忘れたことが一つ。現場の囲いに「愛が、長続きするタワー。」と大書きされていた-これにいたく興味をそそられた。エリアマネジメントのことだろうが、愛が長続きするタワーマンションなんて想像もつかない。これだ、愛だ。昨年、大和ハウスの正月のTVCM「物流に愛《AI》を。」が最高に面白かった。みんな「愛」に飢えている。ここに切り込めば大ヒットするのではないか。間違っても「HARUMI」などと価格競争すべきではない。

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工事現場の囲い

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左側がマンション建設地。手前が公園、その奥が東電堀

聞きたいことは不明 オリ・パラ選手村の街の名称「HARUMI FLAG」来春分譲(2018/10/31)

三井レジ 「月島」再開発タワー「MID TOWER GRAND」第1期189戸 坪単価434万円(2018/7/17)

分譲では初か オーバル型の中庭がいい20数年前の〝アート〟蘇る 野村不「東雲」(2018/11/15)

好スタート 第1期は330戸 住友不「シティタワーズ東京ベイ」 プラン秀(2017/8/17)

大和ハウスの新TVCM 「物流×AI」が最高に面白い(2018/1/5)

2年で690戸ほぼ完売 三井不動産レジ「パークホームズ豊洲 レジデンス」竣工(2017/2/21

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「中日ビル」完成予想図

 三菱地所グループは2月15日、中部日本ビルディングと中日新聞社が計画する名古屋市中区栄の「中部日本ビルディング(中日ビル)」の建て替えをグループでサポートすると発表。三菱地所がプロジェクトマネジメント支援業務を、三菱地所設計がコンストラクションマネジメント業務を手掛け、建て替え後のビルに「ロイヤルパークホテルズ」が出店する。

 中部エリアの「ロイヤルパークホテルズ」の出店は、「ザロイヤルパークキャンバス名古屋」(2013年11月開業)に続き2店舗目。中部エリアのフラッグシップホテルとして計画中。宿泊主体型で約250室の予定。

 新しいビルは、敷地面積約6,857㎡、延床面積約113,000㎡の事務所、ホテル、商業施設、多目的ホール、駐車場などからなる地上31階地下4階建て。設計・設計監理は竹中工務店。竣工予定は2024年度。

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体験イメージ

 住友不動産は2月15日、2011年10月から展開してきた同社が販売する全てのマンション物件情報を提供する「総合マンションギャラリー」を、まだ具体的な検討物件を決めていない顧客のニーズにも応えるため、「新宿館」の2月16日(土)を皮切りに「池袋館」「秋葉原館」を順次リニューアルすると発表した。

 同社は2011年10月、都心ターミナルの「新宿」「渋谷」「池袋」「秋葉原」「田町」に「総合マンションギャラリー」をオープンし、その後、横浜、大阪、名古屋にも開設し、現在9店舗まで拡大している。

 ギャラリーでは、ネットと異なり環境・間取り・設備・インテリアがリアルに体感できることから支持を集め、首都圏7館では年間約15,000件の来場がある。このうち具体的な希望物件を特定していない人が約3,000件にのぼることから、これらの顧客に幅広い物件情報や不動産購入に関する知識などを提供するギャラリーへと衣替えする。

 リニューアルに際しては、効率的な物件探しを求める共働き世帯の増加や検討エリアの拡大傾向がみられることから、近郊・郊外のコンセプトルームを新規導入する。これによって、物件非特定の顧客を年間3,000件から5,000件に増やす。

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「新宿館」エントランス・ラウンジ

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 同社は一昨年、全国で7,177戸のマンションを発売するなど4年連続で供給ランキング首位の座を占め、2018年もトップは確実と見られている。業績も絶好調で、他社のように完成完売を目指さなくとも利益を確保できている。これも向こう5年間約3万戸分の用地の仕入れができており、市況に応じて供給を早めたり遅らせたり自在に調整できる強みがある。

 しかも、ギャラリーは全9館のうち自社ビルが5館なので維持費も低く抑えられているはずで、他社ではまず真似ることができない芸当だ。報道陣に公開した「新宿館」は約1,700㎡もある。希望を言えばきりがないが、コンセプトルームの設備仕様は水準以上だと思う。

 具体的な検討物件を特定していない顧客向け情報を拡充するのも大賛成。個人的には、会員制にしてカードキーで出入りを自由にし、不動産にかんする書籍、雑誌が自由に読め、コーヒーなども飲める空間も設けてほしい(長谷工コーポレーションの多摩センターの研究所はマンションの歴史が学べる)。「住まいクラブ」を充実させて、三菱地所レジデンスクラブ(会員数約60万世帯)のようなワンストップ対応体制も整えてはどうか。100万世帯になるのではないか。

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報道陣に公開された新しいコンセプトルーム(カーテンで隠れているが天井までのハイサッシが特徴)

住友不 トップシェア狙う 名古屋に初の「総合マンションギャラリー」 「葵」分譲へ(2019/2/9)

 

 

 

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「グランフォーラム青葉台一丁目」

 コスモスイニシアが明後日(2月17日)抽選分譲する戸建て「グランフォーラム青葉台一丁目」を見学した。徒歩4分圏内では過去20年供給事例がない田園都市線青葉台駅圏の全11区画で、敷地南側はサクラがきれいな公園に立地。その得難い土地の価値を最大限に引き出した商品企画が、同業他社をはねのけ事業コンペで選ばれた。価格は1億円前後の高額だが、販売担当は「即日完売の可能性もある」と手応えを感じている。

 物件は、田園都市線青葉台駅北口から徒歩4分、横浜市青葉区青葉台一丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全11区画。第1期1次(8棟)の土地面積は125.00~138.88㎡、延床面積は97.66~117.67㎡、価格は8,990万~12,500万円。登録受付は2月16日(土)~2月17日(日)、抽選日は2月17日。入居予定は3月下旬。施工は東急建設。構造・工法は木造(枠組壁)2階建て。事業主は同社のほか中日本高速道路。

 現地は、中日本高速道路の社宅跡地。同社が跡地利用に関する事業コンペを行い、大手デベロッパー数社が応札した結果、同社の「収益性よりも土地の価値を最大化した商品企画」が選ばれた。敷地南側はサクラやケヤキなどが植わっている青葉台公園。坂が多い同駅圏の北口にあって駅が近く、比較的坂も少ないエリアの一角。

 全体敷地は三方道路の角地で、街区全体を公園側、中央、北道路側に分けてプランニング。片流れタイプ、リビング天井高を高くし、色彩豊かな植栽、自然石舗装、電線の地中化などが特徴。

 サクラが目の前にある南側住戸(4戸)は天井高約5m(一部除く)の2階リビングとし、バルコニーもフラット化している。中央の住戸(3棟)は、南側の建物を南側によせ、幅員約5mの私道と駐車スペースを巧みに生かすことでコモンスペースのような開放感のある構成としている。北道路住戸(4棟)は建物を北側に寄せることでその南側の住棟との間隔を広げ、日照・通風・開放感を確保している。

 主な設備仕様は、木目調フローリング、浮造り調建具・家具、フィオレストーン天板、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス、防犯合わせガラス、メーターモジュール廊下・玄関など。

 プロジェクトマネージャーの販売担当の同社分譲事業部分譲二部二課・木村健太氏は、「来場は5週で80組。今後の展開を見据え、今回から植栽に力を入れ、木の素材感のある木目調や浮造り、新素材の壁材(エコカラットの倍の価格とか)を多用しているが、お客さまには概ね理解を得ており、『15,000万円くらいでもいいから土地を60坪くらいにしてほしかった』というお客さまもいらっしゃるほど、全体的にはすこぶるいい反応を頂いている。売りづらい住戸がないので、即日完売もありうる」と話していた。

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高さ約5mのリビング天井

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 書こうと思えばいくらでも書けるのだが、時間がない。価格予想はどんぴしゃりだった。現地は、マンションの取材などでおおよその検討はついていたが、まさか公園に隣接しているとは全然思わなかった。だが、しかし、瞬時に1億円くらいだと読んだ。そして、公園に面した住戸は1億2,000万円くらいでないかと尋ねたらほぼ当たった。人気になるのは当然。同駅圏には信じられないようなお金持ちがたくさんいる。

 そんなことより言いたいのは、極めて優れた商品企画が事業者でもある中日本高速道路に評価されたことだ。落札できなかったデベロッパーは地団太を踏んでいるかもしれないが、いま同社の戸建てに勝てるところはないのではないか。

 マンションも戸建てもアパートも不祥事が後を絶たないが、企業も地主もオーナーも、儲かればいいというカネの亡者ではなく、中長期的な視点でものごとを考え、街の資産となるような建物を建てるべきだ。

 今回の商品企画では、間違いなくこの土地の価値を最大限に引き出しいる。見事というほかない。昨年見学した同社の「グランフォーラム田園調布本町 桜坂」もそうだったが、戸数を増やそうと思えば増やせたのに、同社は街並みを大切するためにあえて減らした。売却した地主だって、人気になって嬉しくないはずはない。

 国土交通省はESGやSDGsに沿った投資環境整備へ向けた「ESG不動産投資のあり方検討会」を立ち上げ、初会合も開いた。地域の環境に配慮した持続可能な開発事業がきちんと評価される世の中になってほしい。

 小生は、男か女か年齢も素性も明らかにしないのは卑怯だと思っているのだが、なぜか人気のチコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られないように記事を書いているつもりだ。この記事は(この記事も)多くのデベロッパーの方々に読んで頂きたい。

 ちょっと同社を褒めすぎたか。注文を付けるとすれば、設備仕様はもっとあげられる。1億円以上であれば、仕様レベルを上げ価格をもっと上げても売れると記者は見ている。

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玄関

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主寝室

一頭地を抜く コスモスイニシアの都市型戸建て「田園調布 桜坂」「成城」(2018/4/20)

コスモスイニシア 分譲戸建て「成城学園前」2億円前後の4戸完売(2018/5/10)

価格に見合う価値あり コスモスイニシア「グランフォーラム石神井公園」(2017/12/3)

 国土交通省は2月14日、「ESG不動産投資のあり方検討会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の初会合を開催した。

 人口減少・少子高齢化、地球温暖化、防災減災などの我が国の諸課題に対応する不動産形成を進めるとともに、わが国不動産市場へESGやSDGsに沿った中長期的な投資を投資家から呼び込むにはどのような情報開示が必要かなどについて検討するのが目的。

 会合は4回程度行い、今年6月ころに中間とりまとめを行う予定。

 

 日本木造住宅産業協会(木住協)は2月12日、第5回「木造軸組工法住宅における国産材利用実態調査報告書」の報告会を行った。平成29年度の住宅供給会社の国産材の利用割合は材積換算で前回の32.3%から45.4%へ増加し、過去最高となった。

 調査は、木住協会員を対象に平成18年度から3年毎に行っているもので、報告書はA4判で120ページに上る。

 今回、回答があった住宅供給会社は160社(有効回答率35.9%)で供給戸数は62,417戸、プレカット会社は66社(同12.7%)で供給戸数は117,023戸。全国の木造軸組工法住宅戸数に占める割合はそれぞれ15.2%、28.6%。

 住宅供給会社の国産材の利用割合は49.9%となり、平成26年度の28.0%から21.9ポイント増加。材積換算では前回の32.3%から45.4%へ増加し、過去最高となった。

 樹種別でみると、製材のスギが4.1ポイント、集成材のスギが2.5ポイント、構造用合板のスギが3.1ポイントそれぞれ増加し、全体を引き上げた。

 部位別では、通し柱、母屋・棟木の国産材利用割合が大きくなっている。

 外国産材は、製材が20.0%から7.6%へ減少した一方で、集成材は38.5%から39.7%へ増加し、樹種ではベイマツが1.2%から7.9%へ増加した。

 プレカット会社を対象とした調査では、国産材の利用割合は43.6%で、平成26年度の32.5%から11.1ポイント増加している。

 調査結果について、同協会資材・流通委員会主査の東洋大学 理工学部 建築学科教授・浦江真人氏は、「国産材の利用が増加しているとはいえ、使用する理由は『イメージがよい』『補助金が出る』などであるのに対し、使用しない理由として『外国産材に比べて高い』が大きな割合を占めており、楽観はできない」と話した。

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 記者は単純に木造・国産材利用率が高まればいいと思っているのだが、気になることもいくつかある。

 まず、調査の捕捉率について。全国の木造軸組住宅に占める割合15.2%が高いのか低いのかはさておくとして、平成29年度の軸組工法以外も含む木造分譲住宅着工は全国で135,444戸なのに対し、調査は10,834戸だから8.0%しか捕捉できていない。軸組に限っても10%はないのではないか。捕捉できていない圧倒的多数の住宅がどうなっているのか気になる。調査対象を会員外にも広げたらどうなるのか興味深い。また、注文と建売住宅は似て非なるものだから、これも別けて調査したらどうなるか。

 国産材の利用について。利用する理由として調査では「イメージがよい(地球にやさしい…など)」「地産地消の推進」「他の住宅会社との差別化」「品質が良い」「消費者のニーズが高い」などが上位で、「補助金が出る」は平成26年度調査より大きく後退している。これは補助金が出なくなったのか、あるいは他の理由の比重が高くなったためなのか不明。

 一方で、国産材を利用しない理由としては、「外国産材に比べて価格が高い」が70%を占めている。この理由もよくわかる。経済原則が貫徹されるのは当たり前だ。

 だが、しかし、わが国の森林・林業は危機に瀕している。農山村は営農意欲を失うほど獣害に苦しめられている。森林・林業が死滅したらわが国は立ち行かなくなる。

 この窮状を救うには政治の力しかないと考えるが、情けないかな、林野庁の平成31年度の概算予算額3,433億円は防衛予算の6.9%しかない。誰が敵なのか味方なのか、なにも生産しないそんなことより、あるいはまた「安いから」などと目先の利益を優先するより50年、100年先のことを考え、目に見えてやせ衰え死滅しつつある国土を回復させるほうが大事ではないかと思うが…。

浦江氏が作成した「地域別にみた各社の供給住宅数と国産材使用割合の傾向(H23度分)」

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 一つ嬉しいニュース。林野庁は先日、平成30年のわが国の木材輸出額は351億円で、前年比7%の増加となり、41年ぶりに350億円を超えたと発表した。

 国別では、韓国が32億円(前年比13%減)となっているほかは中国159億円(同9%増)、フィリピン79億円(同8%増)、米国25億円(同32%増)、台湾20億円(同21%増)といずれも増加。

 中国向けは主に梱包材や土木用材などに利用される丸太が増加。米国向は、これまで住宅フェンス用材として利用されていた米スギ(ウエスタンレッドシダー)の価格高騰を背景に、代替材として日本のスギ製材の輸出が増加したとしている。

 わが業界紙へいつもの愛情たっぷりのメッセージ。

 住宅新報が3月から年間購読料を約9%値上げし、税・送料込み17,280円(消費増税前の価格)にすると発表した。年間50回として1部約346円、12ページだから1ページ約29円だ。週刊住宅は8ページで19,980円(同)。1ページだと新報が29円、週刊住宅は50円。新報が圧勝なのか完敗なのか、敵に塩なのか、それとも徹底して潰しにかかる戦略なのか。不思議だ。

 値上げ後は「引き続き経費の削減に努める一方、紙面づくりでは〝企画主義〟を掲げ、紙面の充実に取り組みます」とあるから、業界関係者も応援すべきだろう。コーヒー代と思えばものすごく安いと思う。

 だが、記事そのものには注文を付けざるを得ない。小生の取材フィールドであるマンション・戸建てでいえば、新報の1月29日号、週刊住宅の2月4日号はそれぞれ1面で今年のマンション市場展望記事を掲載している。

 はっきり言えば、新報はひどい。あれやこれやのマクロデータを寄せ集めているだけに過ぎない。競馬予想だってもっとましなことを書く。同紙はもともと分譲分野の記事は精彩を欠くが、これでは〝企画主義〟が泣く。

 ついでに言えば、今年に入って三菱地所レジデンスは「本厚木」「高輪」「北千住」のマンション見学会を行ったが、同紙の記事は他のニュース・リリース記事と同じか少ないくらいだ。

 例えば「北千住」。発表会があったのは1月23日(金)で掲載は2月5日号だから2週間も空いている。当然他紙はとっくに報じている(弊紙のwebは当日)。さすがに他紙と同じ記事は書けないと判断したのかもしれないが、書こうと思えば1月29日号で書けたはずだし、それくらいのインパクトがあるマンションだった。北千住で坪単価が400万円に迫るなど業界関係者はだれも予想しなかったはずだ。なぜその驚きを記事にしないのか。この種の記事は刺身と一緒、鮮度が命だ。腐臭が漂うような記事を書いていたら読者は離れる。

 週刊住宅の展望記事はどうか。新報よりはましかもしれないが、見出しに「問われる商品企画」とあるのに、その商品企画そのものについての言及がほとんどない。記事にあるように価格設定と商品企画に的を絞った記事を書くべきだった。「晴海の価格を見てから決断したい」という顧客が目立つのであれば、「HARUMIフラッグ」について核心に踏み込むべきだ。

 小生は2016年に都が土地を売却した時点で「坪単価は250万円」と書いた。その当否を探るべく近く記事を書くことにしている。その要諦は「特定建築者募集要領」にある「敷地譲渡契約締結後、東京都の事由により事業計画を変更する場合及び特定建築者が応募時に提案した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合は、敷地譲渡金額について協議するものとします」だと思う。いったい「著しく」とはどの程度のことなのか。事業者11社の中でもっとも収益率が高い東京建物の粗利益率は29.7%(2018年12月期)だが、三井不動産レジデンシャルは20%前後だろうし、低いところは10%あるかどうかだ。モノサシの基準をどこにするかで「著しい」もまた異なってくる。

 仮に「著しく収益増」となったらなったで、当初の開発法による不動産鑑定の適否、鼎の軽重が問われる。この点について都は、「弁護士などと相談しながら『著しく』という文言も含めて何が協議対象になるか判断していく」(都市整備部)としている。

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 批判ばかり書いてきたが、キラリと光る記事もあった。1月29日付新報1面の「住まい選びは街選び 上」という見出しの企画記事では、埼玉県のキャンペーン「住むなら埼玉!」が紹介されていた。

 県のキャンペーンは明らかに流山市の〝母になるなら流山〟の二番煎じだが、県住宅課へのホームページアクセス数は毎月2万件くらいだったのが倍増どころか多いときは7万件くらいに増加していると書かれていた。

 いま、「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ」という大炎上しそうなキャッチフレーズが踊る魔夜峰央氏の自虐的漫画「翔んで埼玉」が県内で爆発的にヒットし、映画化もされるのだという。結構なことだ。

 しかし、同紙の連載は次号で「柏の葉」を紹介したきり2回で終わってしまった。やるなら徹底してやるべき。多摩ニュータウンもやってほしい。小生は〝美しくなるなら多摩〟〝死ぬまで多摩〟を提案しているのだが…。

 面白い囲み記事もあった。2月4日号の週刊住宅1面コラムにいきなり「行く川の流れは絶えずして、しかも下の水にあらず」とあった。これは必ず落ちがある、川の下にまた川があると読み進めたが、何もなかった。川に落とされなかった。人のことは笑えないがギャハハハハ。

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「GRANODE (グラノード)広島」完成予想図

 大和ハウス工業は2月12日、広島市東区二葉の里5街区で開発を進めている中国・四国地方最大のオフィスフロア面積を誇る複合施設の名称を「GRANODE (グラノード)広島」に決定し、4 月1日開業すると発表した。

 「GRANODE 広島」はJR広島駅から徒歩4分、地上20階・地下2階建て延床面積約5万㎡(「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島」の約2個分)。オフィスフロア総面積および1フロア面積が中国・四国地方最大を誇るオフィス(3~11 階)のほか、商業施設(1・2 階)、全197室のホテル(13~20 階)が入居する。

 現地は都市再生機構(UR都市機構)が2010年12月から施行している全13.8haの土地区画整理事業地内の一角。2014年5月、同社と広島テレビ、エネルギア・コミュニケーションズの3社が一般競争入札で取得した。

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「クリオライフスタイルサロン名古屋」

明和地所が1月に開設した名古屋市のマンション販売拠点「クリオライフスタイルサロン名古屋」を見学した。

サロンは名古屋の商業の中心地・栄に位置し、1階にグッチの店舗が入居するRICCO栄ビル4階。全体で約100坪の広さで、明るくて軽やかなアースカラーのカラーリングが特徴。モデルルームは約80㎡のファミリータイプと約36㎡のコンパクトタイプの2つ。

 80㎡のモデルルームは、インテリアショップACTUS(アクタス)がコーディネートしたもので、約8mスパンの2LDK。主な設備仕様はフィオレストーンキッチン天板、食洗機、二重床・二重天井、天井高2500ミリ、16×20の浴室などドアの把手を壁面までセットバックしている。

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接客ブース

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 サロンに入ったとたん、同社の横浜、銀座の常設販売拠点を上回ったと感じた。全体は淡いグリーンやベージュが基調で、壁には木目調の縦格子パネルが張られており、天井は今流行りのネイキッド。陰影を巧みに利用した照明計画も目立った。

名古屋圏の市場が分からないので評価しづらいのだが、首都圏の仕様レベルと比較してもそん色ない。

同社は名古屋では後発だ。他社との差別化をどう図るのかに興味があった。サロン、モデルルームは十分戦えるとみた。あとは目利き力、物件次第だ。

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モデルルーム

 

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