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「ザ・レジデンス金沢」完成予想図(手前の上層部がマンション)

 大京は11月1日、オリックスが開発を進めている石川県金沢市の「金沢駅西口大規模複合開発プロジェク ト」内に建設中の分譲マンション「ザ・レジデンス金沢」 のモデルルームを11月3日にオープンすると発表した。

 「金沢駅西口大規模複合開発プロジェクト」は、金沢駅西広場に隣接。新たなランドマークとして位置づけられているツインタワー。

 同マンションのほか、外資系ホテル「ハイアット セントリック 金沢」「ハイアット ハウス 金沢」や外部庭園、商業施設が建設される。

 第1期1次(70)が10月19日に抽選分譲され全戸に申し込みが入った。専有面積は42.07から180.77㎡、価格は3,040万~1億9,980万円(最多価格帯5,200万円台=約75㎡)。申込者の約6割が地元居住者で、残りの4割は北は北海道から九州まで全国にわたっている。同社は「想定外を超える反響」としている。

 物件は、北陸本線金沢駅から徒歩2分、15階建て全114戸。第1期2次(戸数未定)の専有面積は50.03~85.65㎡。竣工予定は2020年4月下旬。設計・施工は竹中工務店。

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 記者は昨年、金沢に取材のために行った。駅東口も立派なアートに圧倒されるが、西口は実に広々としており最高の立地だ。5,200万円台(坪229万円)はわが多摩センターより安い。人気になるのは当然か。

三菱地所レジ 北陸初マンションは北國銀行本店跡地 坪単価は最高峰の200万円超か(2017/6/5)

 

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「アメリカン・ヴィンテージの暮らし」モデルルーム

 大京グループの大京穴吹不動産は11月1日、同社が展開する専有1戸単位のリノベマンションブランド「Renoα(リノアルファ)」に、インテリアブランド「ACME Furniture(アクメファニチャー)」を展開するACMEとコラボレーションし、内装仕様・インテリアコーディネート・家具などの生活空間を提案する「アメリカン・ヴィンテージの暮らし」を加え、その第1号物件を発売すると発表した。

 フローリングにダメージ加工のワイルドヒッコリーの無垢材(厚さ18ミリ)フローリングを採用しているほか、建具は框組、モールガラスなどのデザイン扉、ブラケット・スタンド照明を多用しているのが特徴。ディススプレイ家具は120万円で販売する。

 大京穴吹不動産取締役リノベーション事業部長・櫻田強氏は、「感性とセンス、今後の中古&リフォームの展開という2つのチャレンジの側面から採用した」と新提案の目的について述べ、同社事業統括部研究開発室係長・田渕裕美氏は「ACMEさんのクラフトマンシップに共鳴し、心が震えた」などと絶賛した。

 「Renoα(リノアルファ)」は年間約1,500戸、累計約7,000戸の販売実績がある。物件は、東急大井町線上野毛駅から7分、世田谷区上野毛4丁目に位置する築40年の「ライオンズマンション上野毛A棟」の79.38㎡。登録申し込みは2019年1月10日(木)~14日(日)。販売価格は4,980万円(税込、リノベ費用950万円含む)。

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 「アメリカン・ヴィンテージの暮らし」は、BtoBビジネスの拡大を狙うACMEとぴったりで、ACME CCO・辻雅彦氏が「わたしたちの家具はデイリーユースがコンセプト」と話したのにも同感だ。

 露悪趣味ではないかと思えるほどのこれ見よがしの途轍もなく高そうなアンティーク家具はマンションモデルルームでたくさん見てきた記者も、この値段(坪単価208万円)の中古マンションにはぴったりだと感じた。田渕氏のように「心が震える」ほどではなかったが、ダメージ加工のワイルドヒッコリー(くるみ材)の無垢材はとてもよかった。

 以下は、田渕氏が企画主旨について話された一部だ。記者はほとんど手を加えていない。

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 (当社は)蓄積した実績やノウハウに限定せず、異業種さまとの共創によりもたらされる新たな感性やセンスを取り入れることにより、多様化する住空間のニーズにアプローチし、当社ではリーチできなかった新たな顧客層の開拓を推し進めていきたいと考えております。

 今回コラボレーションとしてふさわしいと思い、こちらからお声掛けさせていただいた株式会社ACMEさまですが、ACMEさまとお話しさせていく中で、取り扱っていらっしゃるヴィンテージ家具といった古いものに手を加えながら大切に使い続けていくということと、そして、ACMEさまより言葉をお借りすると〝We are Craftsman〟という表現ですが、家具を大切にするだけにとどまらず、新たなデザインや専門職人による匠の技術により、さらなる価値を加え家具を輝かせる『クラフトマンシップ』というスピリットをお聞かせいただきました。

 これは、まさに大京グループにおける、ものづくりのスタンスに共鳴するものがあり、お話しを聞きながら心が震え、このお考えは、当社の中古住宅をリノベーションという形で甦らせ、古いものを長く維持しつづけるという考えと親和性があると考え、今回のコラボレーションの実現にいたりました。

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 なぜ紹介したか。田渕氏が、ACMEの理念は「当社のものづくりのスタンスに共鳴するものがあり、お話をききながら心が震えた…」と話された部分に記者もビビッと来たからだ。だから見出しにも取った。

 田渕氏は全体で1,200字くらい話されたのだが、時間にして3分くらいだったか。記者がメモを取るにはやや早口だとは感じたが、ほぼ完璧の内容だと思った。「えー」「あのー」などの無機能語はほとんどなかった。

 これは取材していつも感じることだが、挨拶される皆さんは第一に話が長すぎるし、早口すぎる。分量としてはよく言われるように1分間に300字だ。そして訴えることもできれば1つ、限界は3つ。ちあきなおみさんの「四つのお願い」は欲張りすぎだ。

 この点で言えば、先日行われた木住協の第21回「作文コンクール」表彰式での国土交通省住宅局住宅生産課長・長谷川貴彦氏の挨拶は最高に素晴らしかった。「木のいいところ」として、「木は人にやさしい」「木は環境にやさしい」「木は地球にやさしい」(メモをなくしたので定かでないがほぼ間違いない)の3つを挙げられた。

 記者のようなweb記事は文字数に制限はないが、紙媒体は指数に限りがある。3分間話しても、記事にするのは限られる。挨拶される方は、「詳細はニュースリリースを読んでください。わたしの強調したいのは1つ(あるいは3つのお願い)」くらいにとどめたらどうか。わたしは、リンカーンの「government of the people, by the people, for the people」を超える挨拶を期待しているのだが…。

 最近の挨拶で一番だと思うのは、矢野龍氏の木住協会長の退任の挨拶だった。ここに添付する。

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左からACME池田耕太郎氏、辻氏、田渕氏

「time flies like an arrow 光陰〝矢野〟如し」 木住協・矢野会長(住林会長)が退任(2016/5/30)

 

 

 

 

 昨日(10月31日)書いた2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村にもなる「HARUMI FLAG」の記事のうち、次の文章を削除する。

 「大会終了後の改修費について他の記者の方が質問されたが、これも明確な返事はなかった。報道では約500億円とあるが、これを住宅戸数で割ると887万円になる(タワー棟を除けば1戸当たり1,000万円くらいか)。これはあり得ない。三菱地所ホームの全館空調フルリフォームだってこんなにしない。

 大会組織委員会が負担するのであれば、間違いなく国民の批判を浴びる。どのような契約になっているのか情報を開示すべきだ。開発法ではこの改修費をどこが負担することになっているのか聞きたいものだが…。」

 削除するのは、新たな事実が分かったからだ。東京都オリンピック・パラリンピック準備局が平成30年5月7日付で都議会用に作成・公開した「選手村宿泊棟の整備について」と題する文書を入手した。(誰でもホームページで閲覧できる)

 そこには、「東京都が施行する市街地再開発事業において特定建築者が整備中の住宅棟を選手村の宿泊棟として一時借用して活用」「構造躯体の状態まで整備した住宅棟に、組織委員会が大会用の仮設内装を付加し、大会期間中に使用した後、撤去」「大会終了後、大会中に一時使用した宿泊棟は、特定建築者が分譲・賃貸住宅等として改修」「ベッドやテーブル、椅子などの備品は組織委員会が調達」とある。

 また、宿泊棟の大会時内装工事については、住宅棟を選手村として使用するための内装、設備等の新設工事及び解体工事(工事監理業務等を含む)の金額は約444.9億円(工事費:約441億円、工事監理費:約4億円)で、組織委員会と特定建築者の間で平成30年3月27日に契約が交わされたとある。

 費用負担は、宿泊棟の大会時内装工事等の費用、メインダイニングなどの仮設施設を整備する費用、住宅棟等を特定建築者から選手村として借りる費用を東京都が、備品の調達など運営等に係る費用は組織委員会がそれぞれ負担するとある。

 さらに文書には、「選手村宿泊室(イメージ)」の簡単な間取り図が添付されており、給湯器、室内ダンボール建具、シャワーユニット・トイレ、3点ユニットバス、壁ボード、フローリング、天井ボード、エアコンなどは撤去するとしている。

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 この文書から、東京都と組織委員会が特定事業者から建物がスケルトンの状態で借り、組織委員会が内装工事を施し、大会終了後に撤去し、その費用負担は都と組織委員会が追うことが決まっていることが分かる。

 文書を読まれれば、記者が「あり得ない金額だ。三菱地所ホームの全館空調フルリフォームだってこんなにしない」と書いたのはいかに的外れであるかもわかる。知らなかった記者が馬鹿だということだ。

 なので、取り消すが、記者は昨年8月、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に施設の設備仕様などについて問い合わせたところ、「大会時の選手村用の施設・設備の仕様等の詳細については、セキュリティの観点などからお伝えすることはできません」と回答があった…これはどういうことか。セキュリティはどうした。ものごとは全て力関係ということか。

 昨日だって、きちんと説明すれば誰も不思議に思わなかったはずだ。

 選手村としての内装は、キッチンを付けないのは分からないではないが、ダンボール建具や3点ユニットバスを採用するとは…ビジネスホテルと一緒だ。世界トップクラスの選手に失礼ではないか。有名なサッカー、バスケットボール、メジャーリーグの選手は絶対泊まらないと思う。アメリカでは紙のドアは当たり前かもしれないが、この前見た末長組のウォルナットのリビングドアは重さ60キロだった。いっそのこと、伴茂さんの〝紙の家〟にしてはどうか。

 分譲する住戸のリビングの標準天井高は2500ミリで、サッシ高は身長が高い選手が頭をぶつけるような1800ミリということはないようだ。

聞きたいことは不明オリ・パラ選手村の街の名称「HARUMI FLAG」来春分譲(2018/10/31)

東京オリンピック・パラリンピック選手村「施設・設備の仕様は非公開」なぜ(2017/8/1)

 

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「本とあそぼう全国訪問おはなし隊」

 企業メセナ協議会は10月26日、「メセナアワード2018」の受賞活動7件を決定。メセナ大賞には講談社「本とあそぼう全国訪問おはなし隊」が選ばれた。

 「本とあそぼう全国訪問おはなし隊」は、同社の創業90周年の1999年にスタート。全国47都道府県におはなしを届け、本好きな子どもに育ってほしいという願いから始まった活動。4トン車を改造したキャラバンカー2台に、他社の寄贈本もあわせた約550冊の絵本や児童書を積載し、それぞれ1つの県を1カ月かけて巡回する。

 キャラバンカーはどこへでも走り続け、2018年3月までに訪問回数は21,447回、走行距離は約104.2万キロとなっている。

 受章の喜びを同社広報室読書推進グループ担当部長・藤安里氏は、「少子高齢化を背景に本を読む人が少なくなり、書籍の売り上げが減りつつあるアゲインストの風を何とかしないといけないという切実な思いから始まった活動。地域ボランティアの助けも借りて、参加者は200万人を突破した。今後も継続していきたい」と語った。

 このほか、優秀賞には、「みんな笑顔で賞」にアコム「笑顔のおてつだい バリアフリーコンサートアコム“みる”コンサート物語」、「アートで未来盛り上げ賞」損害保険ジャパン日本興亜「SOMPOアート・ファンド」、「芸術創庫賞」に東横イン「ART FACTORY 城南島の運営」、「酒芸の極み賞」に八戸酒造「sake × art 日本酒を通じた陸奥八仙の取り組み」、「瞬間の芸術賞」に富士フイルム「写真の過去・現在・未来」を発信し、『人』」と『人』をつなぐFUJIFILM  SQUARE(フジフイルムスクエア)の活動」、特別賞の文化庁長官賞はぺんてる/キヤノンマーケティングジャパン「校舎の思い出プロジェクト」が選ばれた。

 住宅・不動産業界からは選ばれなかった。

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講談社 藤氏

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「HARUMI FLAG」全景

 三井不動産レジデンシャルを幹事会社とする特定建築者11社は10月31日、2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村にもなる「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」の開発区域のタウンネームを「HARUMI FLAG」に決定したと発表。街づくりのコンセプト、テーマなど概要を公表した。同日、オフィシャルサイトを開設し、会員登録の受付を開始した。来年春にモデルルームをオープンし、5月に販売開始する。

 HARUMI FLAGは、開発面積約13haの敷地に5,632戸(分譲4,145戸、賃貸1,487戸)の住宅と商業施設の合計24棟から構成され、保育施設、介護住宅などを整備し、多様なライフスタイルを受け入れる人口約12,000人となる街づくり計画。

 官民が一体となって創出した直径約100mもの拠点空間であるCENTER CORE(中心広場)や、分譲街区に51室の共用室などを設置し、敷地内にはバリアフリーなアクセシブルルートを設置。2,318台を収容する駐車場は全て地下方式とし、各住宅棟の共用廊下幅も1.5mとする。平均専有面積も一般的なものより広くする。

 このほか、次世代のエネルギーを供給する「水素ステーション」が設けられるほか、日本初の街区をまたいだ専用の光ケーブル網を使ったエリアネットワークにより街全体のセキュリティ管理やエネルギーマネジメントなどを効率的に行う。都心直結の新交通システム「BRT」も運行する予定。

 事業者を代表して三井不動産レジデンシャル取締役常務執行役員・山田貴夫氏は、「銀座から2.5キロの東京のど真ん中に今までにない街が誕生する。後世に残るレガシーとなる街づくりを進めていく」と話した。

 事業は、中央区晴海五丁目に位置する総開発面積約133,906㎡、総計画戸数住宅5,632戸(分譲住宅街区4,145戸、賃貸住宅街区1,487戸(シニア住宅、シェアハウス含む)、他に店舗・介護住宅・保育施設(区画数未定)、施工は東急建設、長谷工コーポレーション、前田建設工業、三井住友建設。再開発コンサルタントは日建設計。設計は日建ハウジングシステム、日本設計、長谷工コーポレーション、三菱地所設計、前田建設工業、三井住友建設。25人のデザイナーを起用し、光井純氏がマスターアーキテクトを担当する。

 14~18階建ての住宅棟は大会終了後リニューアルを施したうえ2022年秋に竣工。タワー棟は2024年3月に竣工する。

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CENTER CORE(直径は約100m)

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FLAG CORE 辻の広場

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4街区からの風景

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 発表会には約100名の報道陣が詰めかけた。住宅はオリ・パラの選手村となり、東京都が事業者に譲渡した土地の値段が約130億円で、坪単価約32万円、容積率100%当たりの一種は坪約8万円だったことから話題になった割には少ないような気がしたし、予想はしていたが、聞きたいことは10分の1も聞けなかった。肩透かしをくったというのが正直な気持ちだ。以下は大急ぎで書いた記事だ。順次加筆訂正する。

 誰もが関心がある坪単価について報道陣が質問した。もちろん「価格は未定」という答えしか返ってこなかった。(本当は返ってこない質問などしてはいけない)「〇年転売禁止」の特約は設けないようだ。

 記者は〝東京のど真ん中〟のプロジェクトだから、ストレートに質問しようとも考えたが、変化球を3つ投げた。これは野球と一緒、効果的なときもある。

 一つは、「容積率を400%と仮定すると一種当たりの単価は8万円になるが、これに誤りはないか」と。同社の担当者からは、「都の募集に応じた結果であり、答えられない」と返ってきた。(これは想定内。しかし、容積を仮に300%としても一種約11万円の破格値であるのは変わりない)

 もう一つは、共用施設はかなり充実しており、2,318台を収容する駐車場は全て地下、共用室は51室もあるように有効率(レンタブル比率)は相当低いと思ったので、「レンタブル比率はどれくらいか」と聞いた。これは後で教えてくれることになっている。この比率が分譲価格・賃料に大きく影響するはずだ。

 それでも、土地代がただ同然(と言っては失礼か。ちなみに住友不動産が分譲中の「シティタワーズ東京ベイ」の一種単価は約42万円)だから、分譲単価は抑えられる。2年前、「アッパーで坪250万円ではないか」と書いたのもそのためだ。噂されている価格については、公表された計画から判断すればレベルは高いとは思うが、ものを見ないと何とも言えない。

 しかし、いくらで売ろうが、これは事業者の勝手だし、市場が決めることだ。われわれがとやかくいう問題ではない。しかし、そんなに当初の予想が大外れずれることはないと確信した。タワーはもちろんもっと高くなるはずだが…。適正な価格で分譲すべきと考えているだけで、〝安くしろ〟〝高くしろ〟と言っているのではない。

 3つ目の質問は、「せっかくレガシーマンションにするのだから、各選手にサインやら手形やら足形を壁などに残してもらって、オークションにかければ世界中から申し込みが殺到するのではないか」と、エールを送る意味で聞いた。これには「我々には権限がないので、組織委員会に声として伝える」と前向きな返事をもらった。

 おそらく組織委はやらないだろうが、これは前例がある。住友不動産が品川の「ワールドシティタワーズ」で実施した。確か坪単価は800万円くらいしたのでなかったか。暴利を貪ったら批判されるかもしれないので、余剰金は寄付でもすれば誰も文句は言わないのではないか。

 このほか、たくさん聞きたいことはあったが、他の記者の方に失礼と思ったので、これだけにとどめた。本当は、一種8万円になった根拠である、不動産鑑定評価手法に選んだ開発法の是非について質問したかったのだが、これも絶対に返事は返ってこなかったはずだ。〝専門家が評価した価格に瑕疵はない〟というのが当局の判断だ。鑑定業界には〝クライアントプレッシャー〟なる不思議な言葉があるのだか…。

 

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DOTS PLAZA(敷地内には約3,900本、約100種の樹木が植えられる)

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11社の代表(それぞれ一言コメントを聞きたかった)

東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟(2016/8/4)

72年の〝超長期〟定借で価格も〝超々〟割安 住友不動産「シティタワー品川」(2008/8/1)

住友不動産「シティタワー品川」最高378倍、平均17.65倍で即日完売(2008/9/5)

好スタート 第1期は330戸 住友不「シティタワーズ東京ベイ」 プラン秀(2017/8/17)

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「札幌」の外観イメージ

 大京は10月30日、ホテル開発事業を福岡市、札幌市、熊本市でそれぞれ行うと発表した。

 同社は2017年度を初年度とする「大京グループ中期経営計画」で、新たな事業の柱として不動産ソリューション事業に注力するとしており、「ホテル開発事業」「賃貸マンション開発事業」「CRE 戦略支援事業」「オフィスビル開発事業」などを行う「ソリューション事業部」を今年6月に立ち上げた。年間売り上げ目標は300億円。

 「福岡」は、福岡市地下鉄七隈線渡辺通駅から徒歩4分、敷地面積約1,241㎡の12階建て242 室(予定)。開業予定は2021年9 月。

 「札幌」は、札幌市営地下鉄南北線大通駅から徒歩4分、敷地面積約1,071㎡の12階建て全182室(予定)。 開業予定は2020年6 月。

 「熊本」は、熊本市電辛島町駅から徒歩2分、敷地面積約788㎡の10 階建て200 室(予定)。 開業予定は2021年1月。

 

 「配偶者を愛している」84%-不動産情報サービスのアットホームは10月29日、「共働き夫婦の実態」調査をまとめ発表した。11月22日の“いい夫婦の日”に合わせて行ったもので、一都三県で持ち家に住み、子どものいない共働き夫婦(DINKS)の男女548名を対象にしたもので、住宅取得価格は平均4,179万円で、「配偶者を愛している」比率は84%、「一緒に風呂」が30%に達するなど〝円満夫婦〟であることを浮き彫りにした。

 調査によると、①自宅の購入価格は平均4,179万円、住宅ローンの借入額は平均3,243万円②住宅ローンを完済した世帯は14.6%③自宅は夫婦共同名義 51.1%④それぞれが自分の給料を個別に管理する世帯は50.5%⑤今後も共働きの生活を継続したいは86.3%⑥配偶者を愛している度合いは平均84.2点-などがわかった。

 このほか、生活が安定している世帯は平均67.7%、仕事に満足している人は65.3%、自由に使えるお金は6.4万円、家事負担は夫が3.3割、妻が6.7割、帰宅時間は夫が18:56、妻が18:34、一緒に風呂に入るが30.3%だった。

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 予想通りの結果となった。取得価格からして23区の駅近マンションは絶望的であることを改めて印象付けたが、極めて健気で仲良し夫婦像が浮かび上がり、とても嬉しくなった。

 やや意外だったのは、自宅の延床面積が平均83.9㎡と広いことだが、これは中古マンション(16.1%)、新築建売住宅(20.6%)、中古一戸建て(5.5%)の購入者も合計で42%に上っていることの反映か。

 「配偶者の年収を知っているか」の問いでは夫の74.8%、妻の88.3%が知っていると答えたが、知らない人が少なくないのに少し驚いた。

 一緒に風呂に入る世帯が30.3%にも上ったのには嫉妬を感じたが、30代、40代の子どもなしでは当然か。子どもができてごらんよ…野暮なことは書かない。記者は二十歳を過ぎてもお父さんと風呂に入っていた女性を知っている。

 これらの結果をデベロッパーはよく研究すべきだ。70㎡台の平凡な間取りではDINKS層を満足させられないということだ。主寝室を広くする、風呂を豪華にする-などはすぐ実行すべきだ。

 

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「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央 ザ・フロント」完成予想図

 大和地所レジデンスが今月から分譲を開始した「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央 ザ・フロント」を見学した。5年かけても完売できないマンションがあるエリアで、何と第1期で50戸以上に申し込みが入ったという。駅から3分、商業施設隣接、100㎡住宅、無料駐車場などを前面に打ち出し、〝真の豊かさ〟をアピールした商品企画がユーザーの心を捉えた。坪単価は驚愕の140万円だ。

 物件は、北総線・成田スカイアクセス線千葉ニュータウン中央駅から徒歩3分、千葉県印西市中央南二丁目の商業地域(建ぺい率80%=角地緩和により90%、400%)に位置する敷地面積9,693.14㎡、15階建て全234戸の規模。現在分譲中の第1期1次(15戸)の専有面積は80.00㎡~101.25㎡、価格は3,298万円~4,398万円(最多価格帯4,100万円台)、坪単価は140万円。竣工予定は2020年3月下旬。設計・監理はT設計工房。施工は長谷工コーポレーション。

 建物は三方角地の全戸南向き。共用部分にプロによるアートを配し、住戸プランは8mワイドスパンの100㎡が中心。玄関幅1.4m、メーターモジュール廊下幅、ディスポーザー、食洗機、床暖房、主寝室8畳大、1620浴室などが特徴。平置無料駐車場も100%確保している。奥行き4mのオープンエアバルコニー付きプランも100戸以上ある。

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オープンエアリビング

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オープンエアリビングバルコニー

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 最初、同社から見学の誘いを受けたとき、〝またかよ、大丈夫か〟と思った。

 同社はこれまで千葉ニュータウンで5棟約1,000戸の供給実績があり、得意としているのかもしれないが、時代が異なる。同社が4年前に分譲した「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」217戸は坪130万円もしなかったはずだ。 

 建築費が高止まりしている今は、土地代がタダでも坪単価150万円以下はあり得ない。前期売上計上戸数約900戸で、完成在庫が1戸もない快挙を成し遂げたのに、在庫の山を築くことにならないか、あえて火中の栗を拾うようなことをなぜするのかと。

 ところがどうだ。「坪単価は140万円」と担当者から聞かされてびっくり仰天。絶対あり得ない価格だ。土地はUR都市機構と千葉県から購入したということなので、「県から補助金をもらったのではないか」と聞いたほどだ。

 しかし、安かろう悪かろうでは絶対ないと断言できる。設備仕様レベルは直床ではあるが、バルコニーにはしっかりシンクを設け、11階以上だがキッチン天板は御影石。その他の建具家具も郊外マンションとしては水準以上だ。天井高も2500・2550・2600ミリ確保している。

 印西市がどうして「住みよさランキング」(東洋経済新報社調べ)で7年連続全国1位なのか、これだけはよく分からない。皆さん調べていただきたい。

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玄関

圧巻約34畳の空間提案 日本綜合地所「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」(2014/2/4)

 

 

 

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「元赤坂アドレス」完成予想図

 阪急阪神不動産が近く完成販売する「ジオ元赤坂」を見学した。「元赤坂アドレス」では35年ぶりの新規マンションがどのような評価を受けるか注目される。

 物件は、東京メトロ赤坂見附駅から徒歩2分、港区元赤坂一丁目の商業地域に位置する14階建て全22戸。専有面積は41.64~109.54㎡、第1期(戸数未定)の予定価格は7,200万円台~22,800万円台(最多価格帯7,600万円台・7,900万円台)、坪単価は650万円。竣工は2018年9月。設計・施工・監理は新日本建設。デザイン監修は押野見邦英氏。

 現地は、青山通りの鹿島建設本社ビルと「AKASAKA K-TOWER」の間を入った二方接道の角地。鹿島ビルとK-TOWERの間は幅数十メートルにわった公開空地とされているため、開放感がある。

 建物は、1階がラウンジなどの共用施設で、住戸は2階以上。1フロア2戸構成(最上階は1戸)。赤坂御用地は中層階以上でないと眺望は難しい。

 1階のラウンジは無垢のヘリンボーン仕上げ。住戸内のプラン・設備仕様は、ディスポーザー、ドイツ・ミーレ社製食洗機、シーザーストーンキッチン天板、グローエ水栓、バックカウンター・吊戸棚、ミストサウナ、洋室床暖房、突板フローリング(プレミアムのみ)、Low-E複層ガラスなど。

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ラウンジ(完成予想図)

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 赤坂見附エリアでは、昨年末から分譲され、立地がよく、単価が安かったモリモト「ピアース赤坂」が完売し、現在、記事にもした大和ハウス工業「プレミスト赤坂翠嶺」と、東急不動産「ブランズ永田町」が分譲されている。

 この3物件はそれぞれターゲットがよくわかる。「永田町」は、赤坂見附駅からだと10層くらいの坂を上らなければならないが、衆議院議長公邸が目の前。眺望は素晴らしいはずだ。「赤坂翠嶺」は隠れ家的な雰囲気がある。

 しかし、「元赤坂」は35年間も供給がなかったエリアだけに、記者も需要層が読めない。投資用としては希少ではあるが、賃貸利回りはどうなるのか。居住用としては、開放感はあるが逆に外からの視線が気になりそうだ。

 坪単価650万円は安いと思うが、だからこその単価設定ともいえる。

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6回からの眺望(左が「K-TOWER」、右が鹿島本社ビル)

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左が鹿島本社ビル、右が「K-TOWER」(押野見氏は鹿島出身。気を使って外観を同じようにしたのか)

〝赤坂の隠れ家〟 本物志向の大和ハウス「プレミスト赤坂翠嶺」(2018/10/19)

赤坂3分 多様なニーズ取り込むか モリモト「ピアース赤坂」(2017/12/9)

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第21回「木のあるくらし作文コンクール」表彰式(すまい・るホールで)

 日本木造住宅産業協会(木住協)は10月27日、第21回「木のあるくらし作文コンクール」表彰式を開催した。

 同コンクールは「木造住宅は地球環境にやさしい住宅」であるという同協会の広報・啓発活動の一環として、毎年10月18日の「木造住宅の日」にちなんだイベント。昨年までのテーマ「木の家・こんな家に住みたい」としていたのを応募しやすくするため「木のあるくらし」に変更し、国土交通省大臣賞、文部科学大臣賞、農林水産大臣賞、環境大臣賞の4つの大臣賞に加え新たに「外務大臣賞」を設けた。

 応募の結果、国内1,087校(前年比62.7%)と海外のベトナム、ニューシーランド、オーストラリア、インドネシア4カ国からの106作品を合わせ10,882点(同47.9%)の作品が寄せられた。審査の結果、各大臣賞と住宅金融支援機構理事長賞、日本木造住宅産業協会理事長賞、朝日小学生新聞賞と木住協地方各ブロック賞など35作品が表彰された。

 同協会・市川晃会長(住友林業社長)は、「今回からより取り組みやすいテーマに変更し、外務大臣賞も設けたことで新たな第一歩を踏むことができました。寄せられた作品は、日ごろ目にされたり触れたりされていることを豊かな文章力で表現されており、感動をいただいた。この感動をみなさんと共有し、自然と共生する大事さを次世代につなげていきます」と挨拶した。

 審査委員長のイラストレーター・はせがわゆうじ氏も、「作文が上手な人は朗読力も上手ということがよくわかりました。驚きの連続でした。他の人は持っていない何かを皆さんは持っている」と絶賛し、「白い紙を広げて、何でもいいから表現してみてください。そうすると自分の気持ちが整理され、見えないものが見えてきます」とエールを送った。

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市川会長

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 作品は、市川会長やはせがわ氏が「感動的」と話したように、みんな素晴らしいものばかりだった。その中で2つ選べと言われたら、記者も国土交通大臣賞を受賞した群馬県・伊久間彩愛さんの「シマトネリコが守る家」(高学年の部)と、徳島県・中本侑志くんの「ぼくの木のいえ きいくん」(低学年の部)を選ぶ。

 佐久間さんがいきなり「僕の家はいい物件だ」と話しだしたときはびっくりしたが、燕のことだと分かり、鳥の目線から同じ鳥の世界や人間界を観察する洞察力に感嘆の声を上げたくなった。

 佐久間さん、最高に素晴らしい。なにが素晴らしいかと言えば、ツバメのオスの気持ちでものごとを考えられるということです。参考ですが、わたしの好きな小説家・小池真理子さんは「わたしは両性具有。男女それぞれの視点で小説を書ける」話しました。「両性具有」とはミミズとかウニなどオスとメスの機能を持ち合わせている動物です。

 大きくなったらぜひ小池さんの小説を読んでみてください。男や女、社会の出来事をよく観察されていることが分かるはずです。これからの世の中は、男(オス)と女(メス)のそれぞれの立場からものごとを考えるモノサシ(思考力)が必要になるはずです。佐久間さん、今度は虫の目線で書いて。

中本くんは2年生くらいか。曾祖父の時代から育ててきた木を材料にして建てた家を紹介する内容だが、「ぼくの家はヒノキ(桧)、スギ(杉)、マツ(松)、クリ(栗)、ツゲ(栂)、ケヤキ(欅)、カヤ(榧)、ネズ(杜松)で出来ている」と話した。

中本くん、すごいね。おじさんは7つ目までは分かるけど、「ネズ(杜松)」は初めて聞いた名前です。みんな中本くんの住んでいる徳島県で採れた木なんでしょうね。

中本くん、国土交通省の人が「木は人にやさしい、環境にやさしい、地球にやさしい」と言いましたよね。おじさんもそう思う。みんなそう思っている。けど、日本の家は、昔は80%くらいが木で出来ていたのが今は60%くらいに減っています。その代わり鉄やコンクリートの家がどんどん増えています。

なぜだと思いますか。お父さんやお爺さんに聞いてみてください。おじさんもよくわかりません。木住協の中で一番偉い住友林業の市川社長さんにも聞いてみてください。「市川さんの会社は何種類の木を使っていますか。徳島の木は使っていますか」と。

 農林水産大臣賞(低学年の部)を受章した群馬県・小暮浩輔さんと、文部科学大臣賞(高学年の部)を受章した鹿児島県・阿部恵さんはそれぞれ4分間、作文を手にしたままで暗唱した。木住協関係者は「何回も参加しているが、暗唱するのを見たのは初めて」と感嘆の声を上げた。

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 前段で書いたが、応募作品が激減したのにも驚かされた。昨年は6年連続の2万点超の22,778点だから、今回は半減以下だ。各ブロック賞を含め表彰・受賞した35作品を都県別にみると東京、神奈川、埼玉、大阪、名古屋などの大都市はゼロで、各4作品の群馬、静岡、千葉など21県しかないのも気になった。〝山林王〟諸戸林業を擁し、平成30年度農林水産祭で速水林業の速水亨・速水紫乃両氏が夫婦連名で天皇杯を受賞したわが三重県は作文コンクールに縁のないのはどうしたことか。

 その理由を木住協関係者は、「われわれも驚いている。手を抜いたわけではない。その逆で、取り組みやすいテーマにした。先生の長時間労働が問題となり、働き方改革が進められていることと関係があるのかどうか」「わたしにも子どもがいるが、子どもも先生も負担を減らそうという動きはある」「他の作文コンクールも応募が激減しているという情報もある」などと話した。市川会長も「原因を分析する」と語った。

 なにも知らない記者は言葉を慎まなければならないが、母語(日本語)を読む・書く・朗読することは教育・人格形成の基本ではないのか。「負担を減らす」のは分からないではないが、この基本までも減らしたら思考力はどうなるのか。教育現場で何が起きているのか、何が終わったのか。

 

応募2万点超 木住協 第20回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクール表彰式(2017/10/29)

 

 

 

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