東急リバブル 都心のハイグレートマンションの賃貸仲介業に本格参入
東急リバブルは9月27日、昨年7月に開設した港区のハイグレードマンションの仲介に特化した「GRANTACT(グランタクト)」の賃貸仲介事業を10月1日から開始すると発表した。
「GRANTACT」は、港区内(一部渋谷区含む)の大手デベロッパーによる分譲済ハイグレードマンション254棟23,517戸に限定し、エリアと該当物件に精通したスタッフが対応する不動産コンサルティングビジネス。賃貸仲介に本格参入することで、都心エリアでの賃貸仲介のシェア拡大を図る。
「GRANTACT」は、〒106-0032 港区六本木1-4-5 アークヒルズ サウスタワー3F。東京メトロ南北線六本木一丁目駅3番出口直結。営業時間は10:00~18:00(定休日:毎週火曜日・水曜日)。https://www.livable.co.jp/grantact/
東京駅から青山1丁目と同じ距離 公園隣接 大成有楽「オーベル住吉マスターテラス」
「オーベル住吉マスターテラス」完成予想図
大成有楽不動産の「オーベル住吉マスターテラス」と「オーベル藤が丘」を見学した。前者は東京メトロ半蔵門線住吉駅から徒歩3分の全70戸、後者は田園都市線藤が丘駅から徒歩2分の51戸。同社は、メディア向けに2物件のニュース・リリースをほぼ同時期に発信した。
記者は、基本的にこの種の発売ニュースは紹介しない。デベロッパーがマンションを販売するのが主たる業務だ。よほど特殊な物件ならいざ知らず、50戸、70戸の物件をリリースそのまま引き写して記事にする価値はないと思っている。だから、両方とも見学することにした。
まず、「住吉」から。物件は、東京メトロ半蔵門線住吉駅から徒歩3分、江東区住吉一丁目に位置する13階建て全70戸。専有面積は66.60〜75.46㎡、価格は未定だが坪単価は300万円台の前半に落ち着く模様だ。竣工予定は2019年12月上旬。施工は長谷工コーポレーション。
現地は、三方道路の角地。用途地域は準工業地域、商業地域だが、マンション化が進んでおり、嫌悪施設はほとんどない。それどころか、敷地北側は道路を挟んで公園。南側は高層マンションが建っているが、まずまずの環境にある。
建物は西向きが中心。公園が眺められるセットバック住戸はルーフバルコニー付き。歩道上空地の前面には植栽を施し、インターロッキング舗装としている。
住戸プランの基本性能・設備は、二重床・二重天井、フル装備の同社オリジナルオレンジ収納、リビング天井高は2450ミリが標準、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、ミストサウナなど。
リリースによると、住吉駅徒歩3 分以内の分譲マンションは16 年ぶりの供給で、5月からの資料請求は想定を上回る約600件に達しているという。分譲は11月の予定。
エントランス(完成予想図)
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リリースを読んで、もう笑うしかなかった。「『田町』『青山一丁目』『豊洲』駅などと同距離の『東京』駅4.5km圏内に位置」とあるではないか。
物件がいかに都心に近いかを同心円で描いて示すのはデベロッパーの常套手段だか、「青山一丁目」と同距離であるのにびっくりした。坪800万、900万円と一緒かと。なるほど。嘘はない。
ややマイナーな「住吉」がどのような位置にあるかをよく伝えている。同社はかつて「勝島」でも同じような広告展開を行って成功している。「品川駅圏のマンション」を前面に打ち出し、大井競馬場や倉庫街としてか知られていなかった「勝島」をマンション化が進む住宅地であることをアピールした。
さて、肝心の価格。同社は「未定」としているが、坪単価は300万円台前半に収まると予想される。街のポテンシャルをどう考えるかだが、「大手町」へ電車で10分圏という利便性を考えると、割安感がある。東京駅を中心とする4.5km圏の主要なエリアは坪400万円以上だ。300万円台は東側エリアしかない。ファミリー向けに受けるかもしれない。
清洲橋を渡れば徒歩3分で中央区アドレスとなる江東区の野村不動産「プラウド清澄白河リバーサイド」を思い出した。
大京 富裕層向けに リノベマンションが体感できる「原宿サロン」開設
「リノエージェントサロン(原宿サロン)」
不動産流通事業を手掛ける大京穴吹不動産とリフォーム事業を展開する大京リフォーム・デザインは9月27日、中古マンションのリノベーションを実際のマンションの一室で体験できるリノベーションショールーム「リノエージェントサロン(原宿サロン)」を渋谷区神宮前に開設し、報道陣に公開した。サロンは顧客向け専用サロンとして活用する。
東京都心のプレミアムマンションの取り扱い強化を目的とするもので、富裕層の嗜好をくすぐるこだわり空間を提供する。両社が連携しワンストップで対応することで、今後の売買・仲介、リフォームの拡大につなげる意向だ。
大京穴吹不動産取締役・大津隆紀氏は、「2012年にリノベーション事業を開始して以来、2018年3月期には1,468戸を供給、累計では約7,000戸まで拡大した。第一弾のサロンは非日常を演出し、新築にも他のリノベにもないオンリーワンの空間を提供する」と語り、大京リフォーム・デザイン取締役の宮澤理樹氏は「いわゆる業者売主のリノベーションマンションはこの数年で数倍にも伸びているが、お客さんのニーズも多様化しており、ワンストップで対応していく」と話した。
原宿サロンは、東京メトロ千代田線明治神宮前駅・JR原宿駅から徒歩9分、渋谷区神宮前2丁目に位置するマンション「ビラ・ビアンカ」の一室。建物は東京オリンピックが開かれた1964年に竣工。専有面積は約64㎡。営業時間は平日10:00~19:00(定休日:火・水曜日)。問い合わせは0120-988-264(本社インフォメーションデスク)。
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そんな時々には、取るに足らない被造物さえ、犬でも鼠でも甲虫でも、いじけた林檎の木でも、丘の上を越えてくねくねと続いていく荷馬車道でも、苔むした小石でも、わたしには、絶世の美女、世にも熱烈な恋人とすごす至福の一夜より、素晴らしいものになるのです。これら口もきけず、場合によっては生き物ですらない被造物は、かくも愛に満ち、愛をまざまざと感じさせながら迫ってくるので、有頂天になったわたしの視界には、生なきものなどなくなってしまいます。何もかもが、この世にある森羅万象が、思い出しうる全てのものが、すっかりと散らかったわたしの思考がふれるあらゆるものが、何か意味をもつかのようになるのです。
フーゴ―・フォン・ホフマンスタール「チャンドス卿の手紙」(1902)早川書房
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なぜ「チャンドス卿の手紙」を引用したかだが、記者の貧しい語彙ではサロンの良さを伝えきれないし、書き出したら止まらないからだ。
サロンは非常によくできている。内装に1,800万円掛けただけの価値は確かにある。
築54年のマンションだから、天井は最大で約2100ミリしかないのを逆手にとって、あるいは開き直って天井のコンクリ壁やダクトをむき出しにし、床をスキップさせて空間をうまく演出している。
記者のお勧めは、ドイツ生まれの95%が金属というメタルコーティングした建具ドアだ。塗装だけで20万円かかるというしろものだが、軽くて美しい。一般的なシート張りのものよりはるかにいい。リフォームはもちろん、分譲マンションに採用したら間違いなくうける。無垢のドアとどれくらいの価格差があるのか。
もう一つはキッチン扉・収納の面材だ。天然石をシート状に加工したものだ。これも値段は分からないが、どこかのマンションのモデルルームでも使用されていた。これもやがて普及するはずだ。
観たいときは観ることができるテレビの存在を隠す鏡面仕上げのデザイン壁もいい。壁面をすっきりさせたい人には支持される。
このほか、ふかふかのウレタン浴槽やミラノ・サローネの最新のトレンドを取り込んだ洗面ボウルやその他のグッズもあった。
だが、しかし注文も一つ。これは何度も書いてきたことだが、あのテーブルに置かれていた造花(フェイク)は絶対ない。富裕層が100円ショップでも買えそうな造花を飾るかといいたい。ナイフもフォークもワインも高価には見えなかった。
ただの飾りだからいいのかもしれないが、最高のパフォーマンスを見せるのがプロだ。1,800万円もかけるのだから、全て本物を揃えるべきだ。什器類や造花などにはホフマンスタールが言うところの「愛」のかけらも感じられなかった。記者がマンションなどの見学でいつもしっかり見るのは「愛」と「美」だ。
「住宅新報」の記事「スルガ銀行は金融機関なのか」に絶句
9月25日付「住宅新報」の1面袖記事に目を奪われた。5段組で見出しには「スルガ銀行は金融機関なのか」とあるではないか。
アパートローンなど個人向け融資とネットバンキング展開で圧倒的な収益力を誇ってきた〝地方銀行の雄〟とも呼ばれてきた同行が、まさにその特異なビジネスモデルに不正があったことから、経営陣5名が責任を取り辞任し、金融庁も調査に乗り出した問題を取り上げたものだ。
住宅新報と言えば、紋付羽織袴の形式ばった記事が多く、この3年間で編集長が2人辞任し、出版部門と新聞部門を切り離し分社化し、元編集長で前論説主幹のH氏は「住宅評論家」として衣替えしたのはともかく、元編集長は定年退職なのか忽然と姿を消し、〝このほど、このほど〟と人を小ばかにした記事のオンパレードに記者は辟易しているのだが、銀行を名指しして〝金融機関なのか〟と、まるでそう呼べないかのような見出しで〝糾弾〟するその英断? に言葉を失った。
かくいう記者もときには激しい口調で罵る記事を書く。例えば〝それでも男か〟と。しかし、これは記者なりの心を込めたエール、勇気付けであって、誰かや何かを為にする記事は書いた覚えは皆無ではないがあまりない。その逆に、「記事をお客さんが読んだらマンションが売れなくなる」と頼まれて取り下げたものがあるくらいだ。だからと言って、記者は誰かのような業界妾には絶対ならない。
住宅新報のスルガの記事は、サブタイトルに「上」とあり、読んだ限りでは、報道されている通り第三者委員会の報告をトレースしたもので、いわば鉈を振り上げた状態だ。次はいきなり「下」として一刀両断に叩き潰す展開にはならず、「中」として不正のあれやこれや、その背景について触れることになるはずで、そのあとに「下」としてどう結論付けるのか、新しい問題が飛び出すのか、記者も興味津々、戦々恐々で次号以下の展開を待とう。
金融庁の処分次第では、融通が利き審査が速いことから不動産業界からも重宝がられてきた同行だけでなく他の金融機関への監視体制が強化され、賃貸市場へ大きな影響を与えるのは必至だ。消費増税どころでないパニックに陥ることだってありうると記者は見ている。ソフトランニングの手はないのか。
積水ハウス 保育園「深川冬木」 キッズデザイン賞 少子化対策担当大臣賞
「ナーサリールーム ベリーベアー深川冬木」遊戯室棟 園庭
9月25日に行われたキッズデザイン協議会「第12回キッズデザイン賞」受賞発表・表彰式で、積水ハウスの街をつなぐ保育園「ナーサリールーム ベリーベアー深川冬木」が優秀賞・少子化対策担当大臣賞を、 ライフスタイル提案「トモイエ 共働きファミリーが暮らす家」が奨励賞・キッズデザイン協議会会長賞をそれぞれ受賞した。同社の受賞は2部門4点で、同賞の創設以来12年連続。
「深川冬木」は、高速道路の高架下の空間を有効活用し、建物配置や外構計画を工夫することで、街との多様な関係が生まれるよう、「地域資源」としての取り込みが評価された。審査員は「高速道路高架沿いの全長180メートルを超える緑地帯を活用し、『街に開く』『自然を感じる』のテーマを、空間環境としても、運用としても見事に実現させている」と評価した。
「トモイエ」は、2009年から展開しているもので、「みんな家事」をコンセプトに「洗濯」「料理」「掃除」を家族みんなで楽しく効率的にこなせるよう間取りや空間、収納、設備の工夫を行っているのが評価された。
同賞は、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品・空間・サービス・活動・研究などを顕彰するもので、この日は、受賞作品252点の中から最優秀賞、優秀賞、奨励賞、特別賞など優秀作品33点が選ばれた。最優秀賞 内閣総理大臣賞は、着脱が容易で、一定の力が加わるとスライダーが外れるYKKのファスナー「QuickFree®」が選出された。
保育室棟 内部
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「深川冬木」はニュース・リリースで読んだような気がしたが、実物をみようと早速見学した。
保育園は、東西線門前仲町駅から徒歩5分の高架サイドの準工エリア(建ぺい率60%、容積率300%)に位置する約200m×約22mの細長い敷地に重量鉄骨ラーメン構造の2階建て延べ床面積約2,012㎡の保育室棟と、木造平屋建て延べ床面積約290㎡の遊戯室棟から構成されている。完成は2017年3月。園児定員は200名で、運営はネス・コーポレーション。
道路に面する敷地北側には緑地帯を設置し、高架下に面した南側には園庭を配し、フェンスを設けることで地域との緩やかな交流ができるようにしているのが特徴だ。
保育室棟、遊戯室棟とも、内装材には無垢の柱、床材などを多用。玄関・ホールには既存樹のケヤキの高木を取り込んでいる。
保育室棟エントランス
既存樹のケヤキを取り込んだ保育室棟玄関・ホール
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一昨日(23日)に同社の「江古田の杜」街びらきを取材し、緑の質と量に圧倒されたのだが、今回もけた違いの緑地帯に天にも昇る気持ちになった。
添付した写真を見ていただきたい。道路を挟んだ対面の建物群と何と対照的であるか。記者はこれまで公開空地や緑被率を高めた建築物には容積率を緩和するとともに高さ規制を緩めるべきだと主張してきた。現行の建基法や都市計画法は単体の規制のみで、街のポテンシャル・価値を向上させるという視点が欠落していると思う。総合設計制度ももう少し弾力的に運用すべきだ。
保育園にお願いして、玄関・ホールも見せていただいた。玄関サイドのカウンターには前日(9月24日)が「中秋の名月」であったためか、秋の七草にちなんだススキ、キキョウなどが飾られていた。
皆さんは秋の七草ハギ、キキョウ、クズ、フジバカマ、オミナエシ、オバナ(ススキ)、ナデシコはご存じか。記者は頭文字をとって「おすきなふくは?(お好きな服は?)」と覚えることにしている。オミナエシ(女郎花)はどこにでも生えていたが、今は絶滅危惧種ではないか。
対照的な対面との街並み
「中秋の名月」のお飾り
中学2年・栗田哲くん キッズデザイン協議会会長賞を小中学生として初受賞
栗田哲くん(キッズデザイン賞授賞式で)
キッズデザイン協議会「第12回キッズデザイン賞」記者発表会・表彰式が9月25日行われ、中学2年生の栗田哲くん(13歳)が考案した「食べ残しNOゲーム」(NPO・DeepPeople)が、小中学生個人の受賞としては初となる「キッズデザイン協議会会長賞 奨励賞」を受賞した。
同ゲームは、当時、小学6年生だった栗田君がDeepPeopleの助言を受けながら考案したものを商品化したカードゲームで、プレイヤーが飲食店の店主となり、儲けを出しつつ食べ残しをどう減らすかを競うもの。遊びながら食品ロス問題を考え、その原因や解決法を楽しく学べる。
審査委員は、「プロダクトとしてのクオリティには改善の余地はあるが、実家の飲食店でフィールドワークを行うことで気づいた問題を、その原因と消費者としてとるべき行動までを理解できる教材に仕立て、意志ある事業者がそれを社会デビューさせたプロセスを応援したい」とコメントしている。
「未来価値創造大学校 自分学部 アドベンチャーコース 研究生」という肩書を持つ栗田くんは、大阪市で飲食店を営む栗田太樹・早苗ご夫妻の兄兄姉姉の末っ子。「飲食店を経営する父とDeepPeopleの牧さん(理事長・文彦氏)が知り合いだった縁で、6年生の時から取り組み始めました。店のゴミ箱に捨てられている食べ残しの量にびっくりしたのが、考えるようになったきっかけです。将来? まだはっきり決めていませんが、父のあとを継ぎたい」と喜びを語った。
この日は学校が休みとかで、両親と姉と一緒に上京していた。栗田くんの嫌いな食べ物はピーマンで、好きなものは寿司、ラーメンとか。
「食べ残しNOゲーム」(NPO・DeepPeople)のブース
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栗田くん、受賞おめでとう。おじさんは、キッズデザイン賞を応援したくて取材してきたが、小中学生個人が初の受賞であることを知り、とても嬉しくなった。
人としてもっと大切な「食」をテーマに、しかも「食品ロス」に真正面から取り組む姿勢に感動すら覚えた。奇しくも、この日の朝日新聞は「食品ロス」の問題を社説で取り上げていた。食べる量と捨てる量が同じだと。
どうしたら改善できるか。むずかしい問題だ。おじさんも分からない。しかし、食べ物を生産する農家や、さらには森林・林業、水産業などにも思いをはせてほしい。食べていくのが大変で、山や田畑がどんどん荒れている。美しい自然や文化も危機的状況にある。
食物を育てるのに欠かせない水だって、われわれはただのように思っているが、世界の科学者は「バーチャル・ウォーター」といって、食物を生産するのにどれだけの水を消費するかを研究している。栗田くんもこの問題に取り組んでほしい。
こんなことを言ったら怒られるかもしれないが、この日、総理大臣賞を受賞した着脱が容易で、外れたほうが安全という考えから商品化されたYKKのファスナー「Quick Free」は結構な商品だとは思う。が、しかし、難儀しながら掛け違いなくボタンを付けられるようにする学習も必要ではないか。「ボタンの掛け違い」は死語になってもいいのか。おじさんは栗田くんのほうに1票を投じる。
さらに言えば、キッズデザイン賞についてもわれわれは考えないといけない。この賞がもてはやされるのは、逆に考えれば、これまであまり考えられてこなかったからではないかと。
記者は大人も子どもも、健康な人もそうでない人も高齢者も、みんなが使いやすいユニバーサルデザイン(UD)の思想が大事だと思っているが…。それぞれ大人の立場があるようだ。
安倍総理は、この日の発表式・表彰式に「日本は、今、少子高齢化という、国難とも呼ぶべき危機に直面しています」「安倍政権は、待機児童の解消や子育て世代の負担の軽減など、未来を見据えた新たな国創りのため、子どもたちに大胆に投資していきます」とメッセージを寄せた。「『働き方改革』を断行し、仕事と子育てを両立できる環境整備も進めていきます」と述べた。
しかし、その一方で「子どもを3人以上産め」とか「LGBTは生産性がない」(栗田くんにはちょっと難しいか)などと平気でしゃべる政治家もいる。子どもを産みたくても産めないひとはいっぱいいる。経済が許さないし、ゆとりある家にも住めない。そうした人たちを思いやる心を持ってほしい。
それにしても、お母さんを5度も孕ませた(失礼)元気なお父さんも立派だが、お母さんはえらい。どんな痛い目をしたかおじさんは男だから分からないが、頭が下がる。
そんな立派なきみのお父さんお母さんがいるのに、どうして「少子高齢化という、国難とも呼ぶべき危機に直面」したのか、安倍総理は他人ごとのように話すのはなぜか。おじさんは4人兄兄姉姉の末っ子だが、少なくとも昭和40年くらいまでは〝子だくさん〟はごく普通で、貧しくても生きられた時代だった。
そして、栗田くん。この日、審査委員長の益田文和氏も触れたように、国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs=Sustainable Development Goals)」の視点を忘れずに新たな目標にチャレンジしてほしい。おじさんの記者としてのモットーは「愛」です。人にやさしい、地球環境にやさしい-この視点・モノサシでものを計ると、見えないものが見えてくるのです。頑張れ、栗田くん。
「第12回キッズデザイン賞」記者発表会・表彰式(六本木ヒルズで)
8月の訪日客 前年同月比4.1%増の257万人 累計2,130万人 過去最速2,000万人突破
日本政府観光局(JNTO)は9月19日、2018年8月の訪日外客数は前年同月比4.1%増の257万8千人となり、8月として過去最高を記録したと発表した。8月までの累計は2,130万9千人となり、これまでで最も速いペースで2,000万人を超えた。
新規就航などによる航空路線の拡充に加え、継続的に展開している訪日旅行プロモーションの効果が伸びた要因としている。
一方で、大阪府北部の地震や7月豪雨の影響により、これまで訪日者数の伸びを牽引してきた東アジア市場の一部で訪日需要が抑えられたことが、訪日外客数全体の伸びの鈍化に影響を及ぼした。
市場別では、イタリア、スペインが単月として過去最高を記録したほか、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、ロシアの16市場で8月として過去最高を記録した。
緑の質量に圧倒 エントランスに樹齢100年巨木「江古田の杜」街びらきに千数百人
街びらきテープカット(左から総合東京病院・渡邊貞義氏、横山副区長、子どもたち、田中氏、積水ハウス東日本建築事業本部本部長・篠崎浩士氏)
総合東京病院、積水ハウス、都市再生機構が連携して開発を進めている住宅、医療、保育施設などからなる約3.9haの「江古田の杜プロジェクト」の街びらきが9月23日、行われた。総合東京病院が主催する「江古田のまつり」と合わせ同時開催されたもので、子育て世代から高齢者、障がい者まて〝新しい街づくりのモデルになる〟コンセプトにふさわしい多様な千数百人の人々が集まり、終日にぎわった。
街びらきイベントに出席した中野区・横山克人副区長は、「このプロジェクトは区が10年以上前から取り組んでいるもので、本来は酒井直人区長が出席すべきですが、本日は、棟方志功にゆかりのある自治体の関係者が集う『棟方志功サミット』が富山県で行われており、区長は公務でそちらに出張していますので、わたしが代わりご挨拶させていただきます。棟方志功は昭和の初期、江古田の近く大和町に約10年住み、江古田の里山や緑をたくさんスケッチしたとても縁の深いところです。区は子育て先進国として、この『江古田の杜』を位置づけ〝新しい街づくりのモデル〟になるよう取り組んでおります」と述べた。
平成20年に国家公務員宿舎跡地約4.4haを国から取得し、プロジェクトを主導してきた都市再生機構東日本都市再生本部本部長・田中伸和氏は、「多世代・子育て、防災、緑、健康・スポーツという4つのテーマを設定し、総合東京病院さんと積水ハウスの協力を得て協議会を立ち上げ整備してきました。今後は、管理組合や積水さんを中心とする新たなステージを担うリブインラボ協議会にバトンタッチしますが、立派な街づくりを行っていただきたい」と語った。
公園にシートを敷き子どもと食事をしていた40歳代の女性は、「近所に住んでいます。子どもは3人。専業? いえ、働いたりそうでなかったり。ここはいいわよ。学校も公園も病院も近いから。ちょっと駅まで遠いけど。わたし? 中野までは自転車、新江古田駅を利用するときは歩きます」と話した。
別の30代の夫婦は、「マンション? もうちょっと安くてもいいのでは(坪単価300万円弱)。この環境に価値があると思う人にはいいかも」とイベントに急いだ。
プロジェクトは、積水ハウスの531戸の分譲マンション「グランドメゾン江古田の杜」(A街区、施工:長谷工コーポレーション)、総合東京病院B棟(B街区、施工:熊谷組)、積水ハウスの子育て世帯向け賃貸263戸、サ高住121戸、学生向けマンション85戸、医療従事者向けマンション56戸、介護付き有料老人ホーム94室などからなる「プライムメゾン江古田の森」(施工:積水ハウス)の3街区で構成。認可保育所や学童クラブも誘致予定。
「
植樹祭
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積水ハウスの「5本の樹計画」はたくさん見学しており、マンションは「東京テラス」「玉川上水」「杉並」「伊勢山」「狛江」などの植栽に圧倒されたのを思い出す。
今回の「江古田」も一部は見学しているが、完成した街を歩いて、緑の質と量に言葉を失った。
最初に目に飛びこんできたのは、「グランドメゾン江古田の杜」の900㎡もあるエントランスに植えられているユリノキの巨木だった。メジャーを借りて計ったら胴回りは約3.14m、つまり直径約1mあった。樹齢は100年超と推測した。しかし、ちょっと待てよ、ユリノキは外来種ではないか。同社の「里山」は在来種で構成されているのでは?
その謎はすぐ解けた。メインストリートの街路樹はハナミズキだ。明治45年、わが国がアメリカにサクラを贈ったお礼としてハナミズキがアメリカからもたらされ、江古田の森に植えられたと横山副区長が説明した。記念の植樹もハナミズキだった。
なるほど。ユリノキもまたハナミズキと一緒に輸入されたのだと確信した。明治45年に植えられたとすれば、樹齢100年超は符合するではないか。その巨木をマンションのエントランスに移植する-これが積水だ。
江古田の森公園の前身、東京市療養所(後の国立療養所中野病院)が設けられたのは1919年5月とある。約100年前だ。公園内にはヒマラヤスギの大木がたくさんある。これらは全てアメリカから贈られたものに違いない。
エントランスのユリノキ
計測した胴回り
エントランス
マンションの外周グリーンベルト(幅は13mくらいか)
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同社のサ高住+子育て支援住宅は「古河庭園」を見学しているが、今回は今春竣工した「グランドマスト勝どき」(サ高住62戸+子育て支援住宅44戸)についで3棟目だそうだ。
バルコニーの外にすぐ「杜」が展開するのに驚いたが、62㎡のサ高住のトイレは幅102cm×182cmもあった。同業の100キロの巨漢記者は「おお、俺でも楽に入れる」と歓声をあげた。普通のマンションもこれくらいの広さがあっていい。谷崎潤一郎はエッセー「厠のいろいろ」で、投げ出したくなるような〝蘊蓄〟を披瀝しているが、デベロッパーはもっとトイレの商品企画に力をいれるべきだ。
サ高住の居室とトイレ
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ニチイの介護付き有料老人ホーム「ニチイホーム江古田の杜」も見学した。この種の施設は、特養に体験宿泊もし、オリックスや東急不動産の富裕層向けなどを見ているが、ニチイの施設は全体的にレベルが高いという印象を受けた。食器類も立派なものが使われており、ある〝食〟が売りの施設とは雲泥の差だった。同社は約30年の実績があり、今回で74棟目というのも納得だ。
「ニチイホーム江古田の杜」エントランスホール(左)と食事メニュー例
サニーテーブルの無料サービスに長蛇の列
持続可能な街づくり推進 積水ハウスなど 「江古田の杜プロジェクト」説明会(2017/10/26)
江古田の杜 コミュニティ施設に「Casita(カシータ)」のサニーテーブル(2017/12/12)
積水ハウスUR都市機構と江古田三丁目で「画期的」な複合タウン(2015/3/9)
積水ハウス 住宅メーカーにこだわり医療・介護事業を強化(2013/12/13)
子育て住宅と高齢者住宅の複合賃貸 積水ハウス・積和不動産「古河庭園」(2012/3/1)
里山を見るような見事な植栽 積水ハウス「グランドメゾン狛江」竣工(2013/9/21)
億ションの歴史を変える積水ハウス「グランドメゾン伊勢山」(2011/5/13)
景観美に圧倒される積水ハウス他「グランドメゾン東戸塚」(2008/3/25)
積水ハウス「グランドメゾン杉並」で見た売主の〝良心〟(2006/9/1)
植栽が見事「東京テラス」「玉川上水グランドメゾン」(2006/5/31)
〝敷延は売り辛い〟概念を覆す 和モダンのデザイン・プラン秀逸 ポラス「北浦和」
「ことしな北浦和」
ああ、あそこ。いまはポラスさんが住宅を建てているところ? あそこはね、以前は雑木林だったところで、車を停め、窓から足を出して昼寝したもんです。タヌキなども生息していて、近所の人たちは「今日は出るかもね」などと楽しみにしてたもんです。今は世知辛い世の中で、全部位置情報で会社に分かるからね。成績のいい運転手は見て見ぬぬりをしてもらえるが、成績が上がらない者は呼び出しを食らっちゃう。それにしても、ポラスさんは偉いね。大きなことをする。あそこの社長が阿波踊りを初めて、いまでは埼玉で1、2位を争う祭りに育てた。(えっ。ポラスさんってそんなに大きいんですか)いゃ、大したもんですよ。
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ポラスグループのポラスタウン開発が分譲中の分譲戸建て「ことしな北浦和」を見学した。冒頭は、同社広報マンと北浦和からタクシーに乗って、行き先を伝えたところ、運転手さんが〝勝って〟に話したことをそのまま紹介した。タクシーの運転手さんも〝雑木林〟と話したように、現地は以前、一軒の邸宅が建っていたところで、その環境を極力残そうと飛騨古川の町並みをモチーフにしたランドスケープデザインと、住戸プランが秀逸だ。
物件は、JR京浜東北線 北浦和駅からバス10分バス停徒歩1~2分、さいたま市浦和区瀬ヶ崎3丁目、建ペイ率60%、容積率172%の第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域に位置する全42棟。現在分譲中の住戸の土地面積は約100~108㎡、建物面積は約94~102㎡、価格は4,380万~5,380万円。構造は木造2階建(在来工法)。建物は一部完成済み。
現地は、木崎中学に近接、浦和高校も徒歩圏の文教エリアの一角。地域住民からも親しまれていた住環境を少しでも残そうと企画。「相場崩しを嫌う」(伝統の街並みを壊すみっともないものは建てないという意味)飛騨古川の町並みを担当者が歩き商品化した。
街並みを形作る大きなアイテムである犬矢来、戸格子、下見板、大和塀、隈寄席など古来の建築様式を現代風にアレンジしたのが特徴。大きな提供公園にはクスノキを植えている。舗装材には遮熱、透水性の高い素材を採用。
住戸の配棟計画では、敷地境界に塀を設けず、洗い出しの色やタマリュウ、トクサなどの植物で見分けられるようにしたり、2~3戸で共有するコモンガーデンを設置したりして緑被率を上げるとともにオープンな街並みを演出している。
各住戸には、銘木フローリングのほか、化粧梁、柱見せ(壁で隠さずに敢えて見せる)、タモ材の腰壁などの木を多用。壁は珪藻土塗り壁・左官壁を採用。
今年2月から分譲が始まっており、半分以上が成約済みという。
洗い出しの色によって敷地境界が分かるようにしている(中央の樹木はイロハモミジ)
コモンガーデン
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広報担当から企画をしたのは同社の百瀬修氏であることを知らされた。「ああ、あの百瀬さんか」とすぐ思い出した。
百瀬氏の「作品」に最初に出会ったのは8年前だ。注文住宅モデルハウス「『ARZILL(アルジール)』~街のCOTTAGE ~」だった。「ダイニング・寝室・リビング」といった既成の概念を「食べる・寝る・遊ぶ」スペースに置き換えたプランに驚嘆した。
その後、百瀬氏が主導したモデルハウスや販売現場を取材し、その都度、間接的に会話を交わしてきたような気がする。
今回の「ことしな北浦和」は、百瀬氏の街や住まいに対する思想が全て盛り込まれていると思った。敷地境界に黒竹を配する都市型戸建てなど絶対にないはずだ。犬矢来、戸格子、下見板、大和塀などはわれわれの世代にとって日常的な風景だった。それが〝フェイク〟ではあったが、至るところに採用されていた。
モデルハウスもよくできている。いかにも百瀬らしい土間の提案もさることながら、記者が感動したのは若手の建築士、内田里絵氏による敷地延長プランだった。コモンガーデン-玄関-坪庭--土間-和室-キッチンを緩やかにつなぐブランが抜群だ。建具・家具を古民家風にまとめているのもプランとマッチする。〝敷延は売りづらい〟という既成概念をこのプランは覆した。
モデルハウス
わずか2週間で14戸成約 徒歩19分のハンディ克服 ポラスグループ「朝霞」(2017/2/6)
ポラス 1棟1棟にこだわりのデザイン「グレースヴィラ越谷レイクタウン」(2014/5/1)
ポラス 新越谷に2棟のモデルハウス「音楽好き」と「くるま好き」を想定(2010/10/18)
ポラス 一挙に5棟のモデルハウスオープン(2010/6/18)
チーム匠がグランプリ 初参加の三井ホームはトーナメント制す 第1回「カベワン」
第1回「壁-1(カベワン)グランプリ」(埼玉・ものつくり大学で)
昨年度の第20回で終了した「木造耐力壁ジャパンカップ」に代わって新たに企画された第1回「壁-1(カベワン)グランプリ」が9月15日~17日、埼玉県・ものつくり大学で行われ、参加した12体の耐力壁が予選を戦い、勝ち残った8体による決勝トーナメント戦の結果、チーム匠(アキュラグループ+東大木質材料学研究室+篠原商店)の「一位の壁」がグランプリを獲得、従来の「ジャパンカップ」を含めて初参加の三井ホームGT「G-WALL HD」が、トーナメント戦を制した。
グランプリは、性能(耐震性+デザイン性)を材料費や環境負荷費で割った数値がもっとも大きかった耐力壁に贈られる。トーナメントは強さのみで競われる。
トーナメント常勝軍団のポラスグループのポラス暮し科学研究所は参加しなかった。
ジャッキで引き合うトーナメントでは敗退したが、グランプリ優勝した「チーム匠」の壁(左)
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耐力(体力)、知力、気力、忍耐力、想像力、生産力…などあらゆる「力」で劣る記者は、だからこそこの種の「力」の差がはっきり出るイベントが大好きで、今回の「カベワン」は「ジャパンカップ」を含め10回目くらいの取材になる。
取材の第一の目的は、「ジャパンカップ」から「カベワン」に衣替えしたのはなぜかを聞き出すことだった。
これまで「ジャパンカップ」を主導してきた東大大学院木質材料学研究室教授・稲山正弘氏は「若い人に交代したほうがいい。わたしは引退。一出場者(チーム匠)として参加していく」と話した。
稲山氏からバトンタッチを受けた「カベワン」代表で東大大学院 農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 助教・落合陽氏(32)は「稲山先生も還暦(60歳)。スタッフの高齢化も進み、マニアックになりすぎていたことを反省し、今後は広く一般の方に木造建築のよさと技術を発信し、人材も育成することに貢献したい」と語った。
従来と大きく変わったのは、耐力壁の大きさだ。これまでは柱は4本で、柱と柱の間は一間(910ミリ=1P)、つまり3Pだったのを、柱を3本に減らし2Pにした。
これによって狭いスペースでも組み立てることができ、コスト的にも抑えることができるようになったという。
落合氏(左)と稲山氏
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準々決勝戦は波乱含みで始まった。過去の「ジャパンカップ」で何度も総合優勝している稲山氏と落合氏もチームの一員として参画しているチーム匠の「一位の壁」がKAMAGIC「ねじと斜材と平成最後の夏」に初戦で敗れた。
稲山氏は「壊れていない。ジャッキを引ききった時点の数値が下回った。あと10センチあったら勝っていたはず」と悔しさをにじませ、落合氏は「それぞれの接合部分に力を分散するつもりだったが、1カ所に集中してしまった」と敗因を分析した。
「一位」が「平成最後の夏」に敗れるという何とも形容しがたい結果に記者は戸惑ったが、結局は、チーム匠がデザイン性やコストなどが評価され逆転勝利した。
驚いたのは、2×4の三井ホームがトーナメント戦で大活躍したことだ。
配布されたパンフレットの触れ込みがすごい。「K-1グランプリに金肉ムキムキの野獣が殴り込み!『ホゾ? ヌキ? ナンダソレハ? 』木造技術を圧倒的な金力で破壊してやる!(『金』は〝metal〟なのか〝money〟なのか…)」と挑発し、「当社オリジナル木ねじによる耐力壁『Gウォール』を壁-1用にアレンジしました。シンプルなツーバイフォー耐力壁で挑戦」とあった。
「金」は金物=金がかかるという意味のようで、その威力をまざまざと見せつけた。耐力を示す数値では65キロニュートンという、かつてポラスがマークした最高値に並んだ。
三井ホームGT「G-WALL HD」のメンバー
解体された壁を前に話し込む稲山氏
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過去数度の優勝を飾っているポラスグループのポラス暮し科学研究所はノミネートしなかった。関係者は「若手中心の大会になると聞かされていたので、ポラス建築技術訓練校だけを参加させた」と〝敵前逃亡〟は否定した。
その訓練校チームは予選を8位で突破、準々決勝戦に勝ちあがったが、予選2位の「ねじと斜材と平成最後の夏」に負荷30キロニュートンの時点で敗れた。
チームを代表してプレゼンした池畑蓮氏(18)は「ノミとかマルノコの扱さえ知らなったわれわれが日本家屋を彷彿とさせる壁を造った。無謀にも金物を使わずチャレンジした。温かい目で見てほしい」と思いのたけを訴えた。
チームは敗退し、みんな落ち込んでいると思いきや、メンバーの一人、奈良雄也氏(18)は「そんなことはありません。闘志がわいてきた」と前を向いた。
壁の前でプレゼンする池畑氏(左端)
解体作業(左)とそのメンバー
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「美しいもののみが機能的である」と語ったのは丹下健三だ。だがしかし、わが国は、美しくて機能的なその壁をイチジクの葉っぱのようにせっこうボードで覆い隠さないと建てられない。
実行委員会には是非ともこの不可思議な問題にも踏み込んでいただきたい。どうせ隠さないとだめなのだから、デザインなどどうでもいいという暴論も正論に聞こえるし、準々決勝戦で敗れるチームがどうしてグランプリを獲得し、圧倒的な力持ちの壁が覇者になれないのか。耐震評価とデザイン評価の配点はどうなっているのか、材料費などのコスト計算はどうなのか-よく分からない。
三井ホームに依頼したら、「G-WALL HD」が送られてきた。材料はベイマツ、カラマツ、スギの集成材。確かに他チームとは全く異なる。これが軸組工法と枠組工法の違いだ。三井ホームは強さで他を圧したが、グランプリを逸した。デザインの評点が低かったのか、コストなどが高かったのか、現段階で詳細なデータは発表されていないので何とも言えないが、〝美は単調にあり〟(瀬戸内晴美は「美は乱調にあり」)も真理だと思う。同社の足立区の老人ホームの工事現場も見たが、とても美しかった。
グランプリに輝いた「チーム匠」の壁は、縦貫にシラカシを用いているのが特徴。関係者は「シラカシはほとんど流通していない。マキにしか利用されない。需要はあるはず」と話していた。
三井ホームGT「G-WALL HD」
ポラス建築技術訓練校の壁(左)と勝利した法大宮田研究室の壁