2018年 業界回顧 分譲住宅のこと、業界紙が伝えなかったこと
感謝!西武ライオンズ優勝 糖尿の数値も安定
今年もあと1週間。カウントダウンが始まった。業界紙誌が恒例の「重大ニュース」を発表したのに合わせ、記者もこの1年間の足跡を残すことにした。間違いなく4コーナーを回り、人生のゴールを目指しよたよたと走り続けている駄馬の自覚はある。その姿は美しい。だから余計に書く意義はあるはずだ。
個人的にはやはりわが西武ライオンズのパリーグ優勝が一番だ。約8カ月、試合数143試合の勝率は12球団トップの.624。巨人をはじめ7球団は勝率5割以下だったから価値がある。万歳。
勝てば当日はもちろん翌日も気分がよかったので、この8カ月間のうち7~8割は気力が充実しハイな気分で記事も書けた。西武に感謝。
お陰で酒の量が増えたが、糖尿の数値は年間を通じて安定して推移した。恙なく1年間を過ごせた。酒は計量カップで目盛りを測り、カロリー消費を抑えてくれたかみさんにも感謝。
とはいうものの、〝古稀〟を目前にし、体力・知力の衰えはいかんともしがたく、風邪を引く回数が多くなり、寝込むこともしばしばあった。あろうことか「女性化乳房」なる病気にも罹った。右のおっぱいが手のひらにすっぽりと収まるくらい腫れあがり、歩くたびにスーツなどがすれ、痛みが走った。電車に乗るときはいつも右胸をガードした。
さすがに我慢できず、生まれて初めて病院の乳腺科に駆け込んだ。女医さんではなかった。「ああ、これ。典型的な『女性化乳房』。思春期や初老の男性にたまに見られる症状。ガンじゃないから大丈夫。痛い? 薬はない。2~3カ月で収まるはずだ」「女性になれるんですか」と聞いたら「いや」とつれない返事が返ってきた。女性になれたらいとも簡単にスケベ爺をたぶらかすことも可能だろうと夢想したのだが…。
住宅・不動産業界は晴れ 明るい陽射し燦燦
以上が私的な回顧。住宅・不動産業界では地面師問題と積水ハウスの人事騒動、かぼちゃの馬車問題で表面化したスルガ銀行のずさんな審査、シェアオフィス・サービスオフィス・コワーキングスペースの拡大、KYB問題、不動産テック、AI、IoT、DX、民泊、インスペクション、空き地・空き家、SDGsなどが話題となった。
自然界は猛威を振るった。このところ毎年のように大きな自然災害が容赦なく襲ってきた。亡くなられた方のご冥福と、被害に遭われた方々にこころからお悔やみ申し上げる。
だが、しかし、太陽は分け隔てなく万物に明るい陽射しを降り注いだ1年間ではなかったか。わが業界全体を振り返ると、雲一つない快晴とまでは言えないだろうが、入道雲が湧きたつ気配はなく、はるかかなたに驟雨の箒雲が見られる程度だ。世の中は公平ではない。
このところ株価は下落の一途で、デフレ脱却は先送りとなり、来年は消費増税が待ち受けるが、少なくとも2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでは突っ走る展開になるのではないかと楽観視している。
第30回記念にふさわしい〝下剋上〟のRBA野球大会
以下、記者の取材フィールドであるRBA野球大会、マンション、分譲戸建てを中心に業界紙誌があまり触れなかった問題について振り返る。
発信した記事量はRBA野球記事も含めて約750本。ここ数年と変わらない。中にはコピペもあり、的外れの記事はあったかもしれないが、極力〝足〟で書くよう努力した。年間トータルで40~50万件くらいのアクセス数になったのではないか。
まず、RBA野球。バブル崩壊後の平成3年から取材を始めた大会は、ついに記念すべき第30回目を迎えた。ご存じない方はたかが野球と思われるかもしれないが、単に住宅・不動産業界だけでなく建設、管理、その他周辺産業など業際を越えた大会であるのが特徴で、業界動向を映す鏡でもあり、この間の各社の浮沈を見続けてきた。ラッキーだった。
今年はまさに〝下剋上〟大会だった。水曜ブロックの覇者は王者・旭化成ホームズでも強豪の積水ハウス神奈川でもなく、あと一歩で苦汁を飲まされてきた野村不動産アーバンネットだった。日曜ブロックも〝出ると負け〟を繰り返してきた三井不動産レジデンシャルリースと三菱地所リアルエステートサービスが決勝に勝ち進んだ。
このほか東京建物、ミサワホーム東京、三井不動産リアルティ、エイブル、初参加のトラバース、三菱地所ハウスネットなどの健闘も光った。56歳のミサワホーム鉄人・大野が引退したのも記録に留めたい。
分譲は年間3~4万戸が常態化 質の低下は否めず
分譲住宅はどうか。業界各紙は「低調」などと振り返っているが、記者はそう思わない。マンションの供給量でいえば、首都圏で年間3~4万戸というのはこれから常態化するのではないか。戸建てはガリバー企業・飯田グループの動きがよく分からないが、こちらも首都圏の年間供給量は3~4万戸くらいで推移するのではないか。玉石混交の物件を寄せて集めて契約率をはじき出すことなど意味がない。
とはいえ、マンションは価格の上昇で、グロス価格を抑えるため専有面積を圧縮し、階高・天井高を低くし、設備仕様レベルを落とす事例が増えた。基本的に住宅の質は広さだと記者は思っているので、その意味では質の低下が一層鮮明になった年だ。気になる材料だ。
一方で、都心部の好立地・高額物件は坪800万円を突破してきた。来年あたりは〝一等地1000万円〟の市場になるのではないか。富裕層向けの価格が上昇するのは結構なことだ。どんどん高値挑戦すべきだ。
喧伝されている〝郊外不振〟は適切な見方・表現ではない。先にも書いたが、マクロデータを寄せ集め、平均値を出し、それをもって好調だの不調だのと決めてかかる短絡的思考は改めるべきだ。近く「話題のマンション」記事でも書くが、大健闘している郊外物件は少なくない。商品企画が勝負だ。
戸建てではコスモスイニシア「成城」の2億円前後4戸が瞬く間に売れたのに驚いた。リビング天井を3m以上確保し、掃き出し窓をフラットにしたのも評価された。
三菱地所ホームが国産材使用率を82%に引き上げた英断に拍手喝さいしたいし、非住宅に力を入れるすてきナイスグループ、ポラス、三井ホーム、さらにはCLTの取り組みを強化している三菱地所の動きに注目したい。アキュラホームは「木造ストロー」を開発して話題を呼んだ。木造の時代は加速する。
首をかしげざるをえない業界紙の「重大ニュース」
「住宅新報」と「週刊住宅」の「重大ニュース」は、ともにインスペクション・安心R住宅が筆頭で、民泊新法、所有者不明土地問題、かぼちゃの馬車問題、消費増税を取り上げている。ほかは分かれた。当然と言えば当然。はっきり言えば、業界紙が大上段に構えて「重大ニュース」を発表する時代はとっくに過ぎた。個々の記者がどう見るかが大事ではないか。
旧弊を墨守しているから前例主義に陥り、当たり障りのない官報のような記事になってしまう。だから、そんなに重大なニュースかと首をかしげたくなるものも少なくない。
天と地がひっくり返るくらいびっくりしたのは、全宅連会長の交代を「週刊住宅」が重大ニュースの一つにしていたことだ。理由は分からないではない。10万会員を擁す業界最大の団体であり、大スポンサーだからだろう。しかし、これはあまりにも露骨だ。これでは贔屓の引き倒しだ。業界妾であることを宣言するようなものだ。魂まで売るのか。
それよりも、大正生まれのいずれも創業社長で年齢も同じ92歳の木下工務店・木下長志氏、大京・横山修二氏、ナイス・平田周次氏と、住友不動産販売元代表取締役会長・社長の岩井重人氏も享年87歳で亡くなられたことを記録に留めておくべきではないか。一つの時代は終わった。
他方、「住宅新報」はリバースモーゲージ型住宅ローンの増加や賃貸経営管理士の国家資格化への動きを伝えている。
これもよく分からないので深追いしないが、もっと書くべき「重大事」があったのではないか。
進行する「働き方改革」 三菱地所が新本社内公開
例えば、業界内での働き方改革。三菱地所が新本社オフィスを公開したことだった。完全フリーアドレスで袖机も取っ払った。吉田淳一社長自らがプレゼンし、「オフィスを取り巻く環境の急激な変化を先取りし、われわれ自身がオフィス空間の情報を発信し、働き方を変え、アイデアを伝える必要性が高まっている」と述べたのに同社の意気込みを感じた。国土交通省の不動産業課も7月からフリーアドレスを実施した。
積水ハウスは「3歳未満の子を持つ男性社員全員が子の誕生から3歳に達する日までに1ヵ月以上の育児休業を取得し、最初の1ヵ月は有給とする」ことを発表した。業界紙も業界各社の働き方改革に関する記事を発信してほしい。
和田氏退任残念だが、積水ハウスの「幸せ」追求に拍手
地面師被害もそうだが、積水ハウス会長兼CEO・和田勇氏が退任したのは小事ではないと思うがいかがか。
記者は和田氏と大和ハウス工業会長兼CEO・樋口武男氏、住友林業会長・矢野龍氏を絶滅危惧種の大阪弁を死守する〝御三家〟に奉り、あの人を食ったような語りを楽しみにしていた。3社とも後任の会長、社長は関西弁をほとんど話さない。残念だ。
和田氏の退任は残念だったが、積水ハウスはその〝失点〟をすぐ取り戻した。わが国の企業では初となる「幸せ」を研究する「住生活研究所」を設立し、初代所長に河崎由美子氏が就任した。「幸せ」追求は永遠のテーマだ。研究成果や商品化に期待したい。
ビル・商業施設では、空室率が低下しているのは結構なことだ。個人的には建物形状が美しい三井不動産「ミッドタウン日比谷」が半年で年間来館者目標を達成したのには驚いた。第3の〝ミッドタウン〟は三菱地所との対決を回避する模様だ。
〝マンションの敵〟ホテルが一気に抜き去り独走態勢
マンションの敵だと思っていたホテルが完全に優位に立ち、もはや敵なしの独走状態の観を呈しているのには複雑な気持ちを抱いている。
今年春、コスモスホテルマネジメント社長・藤岡英樹氏が「京都市内のマンションやホテルは1種当たり(容積率100%当たりの坪単価)は200万円以上。マンションは厳しい。当社は今回のホテルを含め7件の土地は取得済み」と語った。
そして秋、京都へ取材に行ったときだ。タクシーの運転手が「マンション? あきまへん。もうホテルには勝てない」と話した。タクシーの運転手もホテルに席巻されていると話した。京都市内では2020年までに30棟くらい建設されるのではないか。
そのコスモスイニシアの新業態のアパートメントホテルも上々のスタートを切った。業界紙には用地の争奪戦など生の情報を提供してほしい。面白い記事になるのではないか。
グローバル化加速 海外事業が稼ぎ頭の時代へ
海外事業について業界紙は触れていないのもどうかと思う。積水ハウスは戸建ての伸び悩みを補完するどころか稼ぎ頭になる勢いを見せている。住友林業は今期営業利益550億円のうち海外事業比率を34%と見込んでいる。三井不動産は今年5月に発表した「VISION 2025」で、「街づくり」「テック活用」とともに「海外事業」を主要な取り組みの一つにしており、連結営業利益3,500億円程度のうち海外事業利益を30%程度に増やす意向だ。このほかのデベロッパーはもちろん、電鉄会社なども海外に積極的だ。
「海外事業の生の情報が欠けている」と書いたら、12月25日付「住宅新報」が東急不動産のインドネシア開発について詳報している。また「このほど」だった。津波は大丈夫だったのだろう。
時代の流れとは言え寂しい上場廃止3社も
時代の流れとはいえ、上場会社が3社も消えたのにも衝撃を受けた。三井ホーム、大京、NTT都市開発の3社もそれぞれ三井不動産、オリックス、NTTの完全子会社となり上場廃止となった。一方、4月1日付でパナホーム(昨年に上場廃止)が4月にパナソニック ホームズに、日本郵政は日本郵政不動産をそれぞれ設立した。
ITは蚊帳の外 漢字一文字 わが国は「災」 中国書道家は「福」
以下は番外編。あるデベロッパー広報担当者は「今年もトランプvs中国。トランプ劇場。日本が世界の注目事から遠ざかっており、寂しい」と今年1年を振り返ったが、記者も同感だ。
わが国の「今年の漢字」一文字は「災」だったが、中国人の書道家に同じ質問をしたら「公私ともに福」と答えた。
いまITの世界を支配しているのはAGFA(Apple、Google、Facebook、Amazon)とMicrosoftを加えた5強だと思っていたら、ファーウェイ事件で中国のIT関連企業がその5強を激しく追っていることを認識させられた。わが日本は蚊帳の外だ。
林野庁の来年度予算額 防衛予算の増額分と一緒のなぜ
さらにもう一つ。林野庁の来年度予算概算要求額は前年度比15.2%増の3,452億円だ。結構な伸びだ。しかし、防衛予算は同7.2%増の5兆2,926億円で、増加額3,538億円は林野庁の予算を上回る。国土強靭化の肝であるはずの国土保全の公益的機能と森林・林業の再生・活性化を管轄する役所とどうしてこんな差がでるのか。納得できない。
平成が終わる。この日(24日)、天皇陛下の「象徴天皇としての旅」の会見のお言葉に図らずも涙した。新しい元号は平和で豊かな「日出国」にふさわしい元号になることを期待したい。
県都・浦和を抜く 埼玉県最高単価マンション 住友不・住商「所沢」
「シティタワー所沢クラッシィ」完成予想図
住友不動産と住友商事が分譲開始した「シティタワー所沢クラッシィ」を見学した。西武鉄道の車両工場跡地を含む再開発エリアに建つ制震29階建て全311戸のタワーマンション。坪単価は350万円くらいになる模様で、浦和を抜くバブル崩壊後の埼玉県最高単価マンションとなる。
物件は、西武池袋線・西武新宿線所沢駅から歩3分、所沢駅西口土地区画整理事業施行地区内の一角にある敷地面積約4,012㎡の29階建て全311戸(非分譲35戸とその他住戸15戸含む)。第1期(31戸)の専有面積は54.21~81.18㎡、価格は5,980万~1億2,980万円。坪単価は350万円くらいになる模様。設計はINA新建築研究所。施工は前田・西武建設共同企業体。竣工予定は2021年1月。
現地は、西武鉄道所沢車両工場跡地を含む約8.5万㎡(西武ドーム4.5個分)の土地区画整理事業によって再開発が進められているエリアの一角。敷地の南側と西側には西武ホールディングス・住友商事の商業施設が建設されることになっているが、建築確認を受けておらず、詳細は未定。高層建築にはならない模様だ。
建物は駅とぺディストリアンデッキで結ばれる予定で、マンション-西武所沢店・ワルツ所沢-所沢駅-グランエミオ所沢がつながる。建物の1・2階は商業施設で3階は共用部分、4階以上が住戸。
基本性能・設備仕様は、制震構造、リビング天井高2580ミリ、内廊下方式、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンタートップ、ダイナミックパノラマウィンドウ、Low-Eガラスなど。
同社は「広告を全然打っていないが、すごい反響。『松が丘』など周辺に住む富裕層の買い換え、買い増しも期待できそう」と話している。
バルコニー
◇ ◆ ◇
以下は西鉄時代を含め西武ライオンズファン歴60年の記者の私情が入っていることをご了承願いたい。
何が嬉しいかといえば、西武ライオンズが10年ぶりにパリーグを制したこの年に、住友不動産が県都・浦和を抜く埼玉県最高値マンションに敢然と挑戦したことだ。これまで、埼玉県のマンション相場は常に京浜東北線・宇都宮線・高崎線がリードしてきており、坪単価記録は2015年分譲の三菱地所レジデンス・大栄不動産「ザ・パークハウス 浦和タワー」の330万円台だった。
西武線といえば、2007年分譲の西武不動産販売他「HIBARI TOWER (ひばりタワー)」も坪300万円の壁を破れなかった。所沢駅圏にはタワーマンションが7~8棟建っているが坪300万円に届かず、2015年竣工の野村不動産「プラウドタワー大泉学園」も坪300万円にわずか4万円届かなかった。今回、住友はそれを大幅に更新した。
だが、しかし、残念ながらこの記録はあと2年くらいで破られそうだ。浦和駅前では再開発マンションが計画されており、間違いなく坪単価は350万円を突破する。まあ、短命ではあるがそれまでは埼玉一のマンションであるのは変わりない。
西武球団にお願いだ。モデルルームを見たが、ピッチング・素振り練習は無理だ。1フロア(10~12戸)バルグ買いし、リフォームすれば365日24時間、心おきなく練習できるスペースを確保できる。お金は菊池雄星さんのメジャー移籍で入る移籍金で十分賄える。楽天に移籍した浅村選手の金銭補償額は1億2,600万円らしいから、これでも1戸買える。外国人獲得やトレードでも〝職住近接〟は有利に働く。
西武ライオンズの選手の皆さん、このマンションはお勧めだ。西武沿線ではこのマンションを上回る物件はまず供給されない。秋山さん、中村さんは2戸買えるし、年俸1億円台に達した山川さんも大楽勝。源田さん、多和田さんも大丈夫。住宅ローン控除の年収制限ぎりぎりの3,000万円の野田さん、平井さん、木村さんあたりも買うならここだ。
モデルルーム
エントランス
埼玉県の最高単価マンション 地所レジ・大栄不「浦和タワー」好調スタート(2015/12/14)
「Bloomoi(ブルーモア)」の提案前面 坪330万円弱で好調 東建「Brillia 浦和仲町」(2018/10/16)
「ひばりタワー」に反響3000件 単価は超割安?(2007/5/11)
あっぱれ! 率先垂範 国土交通省不動産業課がフリーアドレス・ペーパーレス化実践
国土交通省 第36回社会資本整備審議会産業分科会不動産業部会(国交省会議室で)
官公庁だけは進まないだろうと思っていた、職員の座席を固定しないフリーアドレス、ペーパーレス化を国土交通省の土地・建設産業局不動産業課と不動産市場整備課が率先垂範していることを本日(21日)知り、その現場も見た。
今年7月から実施しているもので、「打ち合わせなどの席取りがなくなった」と職員は話した。
他の省庁ではどうかと総務省に問い合わせた。同省行政管理局行政情報システム企画課は平成27年2月27日付で、「国家公務員のワークスタイル変革を目指し、これまでのオフィス環境を一新する試行的取組」として「ワークスタイルを変えるオフィス改革の試行的取組」を公表。
①個人の座席を固定しないフリーアドレス制により、印刷物の削減、ペーパーレス化を推進②同じ仕事をする職員が一つの机を囲むことで、チーム内の情報共有が容易になるなど、職場内のコミュニケーションが活性化③無線LAN等のICTを活用することで、パソコンを持ち運び執務室内のどこでもペーパーレスで打合せが可能に-などとしている。
その後、同課には全国の地方自治体や民間からの視察が相次ぎ、これまでに4,000人が訪れているという。同課によると、「全てを把握しているわけではないが、フリーアドレス化を推進している官公庁は国土交通省航空局、消費者庁徳島オフィス、北九州市東京事務所などがある」と話した。
ペーパーレス化に対する職員の評価は、仕事がしやすくなった、テレワークが進んだ、シームレス化が進みコミュニケーションが取りやすくなった、考える時間に集中できるなどと概ね好評だという。
不動産業界では今年2月、三菱地所が本社機能を「大手町パークビルディング」に移したのをきっかけにオフィスを報道陣に公開して話題となった。
各区委員に用意されているタブレット(配布された紙は数枚ではなかったか。戸惑う委員はほとんどいなかった。マイクの調子はいま一つだった)
◇ ◆ ◇
皆さんは信じられないだろうが、記者もフリーアドレスではなく袖机もあるのだが、退勤時には机の上にはパソコンのモニター(字を大きくするため)とキーボードとマウス(ノートパソコンは難しくて記事が書けない)、電話機、観葉植物しかない。
貰ったマンションのパンフレット、その他の資料は捨てる(資源ごみ)ことにしている。袖机をなくしても全く問題はないと思う。記事を校閲するにはプリントアウトして読んだほうがいい記事になるのは間違いない。電子化保存もできるようだが、名刺をどうするかだが…。
三菱地所には、職場の環境を変えて生産性が上がったかどうかは必ず取材して報告したい。
退勤時の記者の机の上(モニターはなくても大丈夫。観葉植物は定期的に点睛に来る業者さんから枝を貰って生けたポトス。つまりただ)
開館2周年記念特別展⽰「夢⾒る⼒〜空想⼤劇場」 絹⾕幸⼆ 天空美術館
「夢無辺」
積⽔ハウスが設⽴・運営する「絹⾕幸⼆ 天空美術館」は12月21日(金)~2019年6月10日(月)、開館2周年を記念する特別展示「夢⾒る⼒〜空想⼤劇場」を開催する。
新たに3D映像化した「平治の乱」を初公開。東京・⻘⼭「こどもの城」のエントランスを飾っていたアフレスコ(壁画古典技法)の傑作「アラベスク」全20⾯をテーマごとに展⽰する。
美術館は、大阪・梅⽥スカイビル タワーウエスト27階。
「アラベスク」
◇ ◆ ◇
絹谷先生はもう40年くらい昔からのファンだ。あのころ絵画を買っていたらとんでもない値段がついているのに…今は絵を買えないから先生がデザインしたネクタイを締めている。図柄は確か2~3点しかない。もっと図柄を増やしてほしい。
ミサワホーム 米国に子会社設立し、米国・不動産会社を子会社化へ
ミサワホームは12月20日、米国に子会社Misawa Homes America, Inc.(ミサワホーム アメリカ)を設立し、同社を通じてImpression Homes LLC(インプレッションホーム、以下IH社)の持分51%を取得し、その後段階的に全持分を取得することを決定したと発表した。
2009年設立のIH社は、テキサス州ダラス及びフォートワース周辺で不動産用地の取得から戸建分譲住宅の建設、販売まで幅広く事業を手掛けている。地域に根ざした事業展開と高い成長性・収益性を強みとして順調に業績を拡大してきた。完成宅地を取得して分譲販売するビジネスモデルが中心。2017年度売上高は115百万USD。
ミサワホームは3カ中期経営計画(2017~2019年度)で海外事業を重点事業の1つに掲げ、2019年度の海外事業売上高100億円を目指している。今年11月には豪州の住宅建設会社「Homecorp Constructions Pty Ltd.(ホームコープコンストラクションズ)」を子会社化した。
2018年 記者が選んだ「ベスト3マンション」
2018年記者が選んだ首都圏ベスト3マンションは、坪単価750万円の高額でもよく売れ、ゲストサロンの設えが最高によかった東京建物・三菱地所レジデンス「Brillia 一番町」と、苦戦必至と見ていたにも関わらず信じられない売れ行きを見せているポラス「ルピアグランデ浦和美園」の2物件で、あと1物件は「該当なし」とした。今年1年間に見学・取材した首都圏マンションは86物件だった。
坪750万円でも好調 「Brillia」最高峰 東建・地所レジ「一番町」 サロンに乃村工藝(2018/4/18)
〝待つわ〟ピアキッチン4割に設置 レベル高いが一層の差別化を ポラス「浦和美園」(2018/6/2)
「Brillia 一番町」
◇ ◆ ◇
まず言い訳から。見学した物件は前年の105物件より減少した。残念至極。その理由は供給量が減ったからではなく、寄る年波には勝てないということだ。フットワークが落ちていることは否めない。
もう一つは、取材機会に恵まれなかったということだ。RBA野球が始まる6月下旬から11月にかけては、その取材と記事の執筆に追われるので、月曜日と木曜日は他の取材はほとんどできず、マンションや戸建てのモデルルーム・モデルハウスは火曜日から水曜日(物件によっては木曜日も)が休みだから、現地取材できるのは金曜日のみになる。
「ベスト3」マンションが2物件になったことについて。実は、年初から渋谷区庁舎の建て替え整備事業に伴う事業スキームによって建設されている三井不動産レジデンシャルの期間70年の定期借地権付き「パークコート渋谷ザ・タワー」を選定することを決めていた。しかし、見学していないので除外した。
無理に選ぼうと思えばその他の候補はいくつもあるが、甲乙つけがたく1物件に絞り切れず、2物件になったということだ。
◇ ◆ ◇
「Brillia 一番町」を選んだ理由は簡単。乃村工藝社を起用したゲストサロンの設えに感動したからだ。接遇空間は実にシンプルだが、シアタールームは水盤付きで、四季折々の自然などが映し出されるように工夫されていた。しかも、数組が同時に見ても隣り合う個室とは壁で仕切られており、プライバシーにも配慮されていた。そして、何より嬉しかったのは、あちらこちらに飾られている花は造花ではなく、プロが1週間に一度生けて飾るというおもてなし・ホスピタリティに感動したのだ。
考えてみれば、これは当然のことだ。数千万円の住宅購入を検討している人にお寺の仏花のような、あるいはまた100円ショップでも売っていそうなフェイクを飾る神経が理解できない。「管理が大変」「枯れる」などの理由は理由にならない。来場者1件当たりの集客コストはどれくらいか分からないが、掛けた分だけしっかりお返しをするのが礼儀だ。
どこの現場もアンケートなどと称し、慇懃無礼にも個人情報を聞き出し丸裸にするではないか。そしてまた、分譲価格にオンする(といっては失礼か)に決まっている訳の分からない商品券「来場キャンペーン」を配布する。その分価格を下げよと言いたい。
「一番町」以外にも本物の観葉植物を配していたモデルルームはほかにもあり、概ね好調な売れ行きを見せた。
「ルピアグランデ浦和美園」ピアキッチン
「ルピアグランデ浦和美園」の売れ行きには驚いた。6月から分譲を開始し、これまで供給した140戸のうち130戸が成約済みだという。
坪単価が156万円と安く、同社オリジナルの「ピアキッチン」付きを約4割に高め、食洗機、ディスポーザー、バックカウンター・吊戸棚、98センチの廊下幅、複層ガラスなどを標準装備にしているのが人気なのだろうが、信じられない。
記者は、このエリアの第一号マンションの東急不動産他「センターフィールド浦和美園」(197戸)から取材している。いい物件だったが、完売まで数年かかった。いま隣接地で分譲されているNTT都市開発も相当苦労しているようだ。
戸建てとの競合が避けられず、大型商業施設の「イオン」までは結構あり、何よりも駅前が貧弱だからだ。イオモールまでは徒歩3分だが、食事ができてタバコが吸える店までは記者の足で10分はかかる。埼玉スタジアムまで徒歩15分だ(西武ドームは駅前)。球場寂れる一方の郊外・田舎の街ならいざ知らず、これから人を呼び込もうとする街ではありえない。完全に都市計画に失敗したと記者は思う。
そうしたハンディを跳ね返しているポラスは称賛に値する。戸建ても絶好調だが、マンションも大健闘している。
なぜ人気 ポラス「船橋・北習志野」 在宅ワークも視野に「サードプレイス街区」②
「サードプレイス街区」モデルハウス
一昨日のポラスグループ「アドバンスドプレイス船橋・北習志野 ヒーリング街区」に続いて「サードプレイス街区」(28棟)を紹介する。
「サードプレイス」については、一般的に職場・学校と家庭とは別の、かといって独立したものではなく、いわばつかず離れずの関係を保てる「第三の居場所」と理解されている。自分の時間が持て、かつ他人とも緩やかにつながり気兼ねなく過ごせる空間とも言われている。
最初に同社がその「サードプレイス」の考えを街づくりに取り込むと聞いたとき、どのようなプランを提案するのか想像もできなかった。家族それぞれが憩う場所とは別のスペースを設けることは、下手をすれば家族間をバラバラにし、「孤立化」を一層助長しかねないのではと心配もした。
そうした危惧を抱きながら2棟あるモデルハウスの一つ目に入った。玄関を入るとすぐ大きな「土間」空間が広がっていた。広さは約4.3畳大。上がり框があり、スライドウォールもあるので仕切ることはできるのだが、その奥の約20.7畳大のLDKとは繋がっていた。全体の広さは約24畳大だ。
初めて見るらしい同社の女性広報担当者は「凄い!」と歓声をあげた。記者はマンションにしろ戸建てにしろ、この種の大空間は高額物件で結構見てきているのでさほど驚かなかったが、確かに郊外の分譲住宅では珍しい、というより皆無かもしれない。敷地が30~40坪、建物が30坪前後の一般的な分譲戸建てに約4.3畳大の「土間」を設けることなど、普通の企画担当者はまず考えないはずだ。
しかし、だからこそその思い切った提案に声援を送った。お金持ちだけが享受できるこの種の大空間を一般住宅に解放した意味は大きい。近所の人との語らいの場、ギャラリーなど多目的に利用できる空間になる。
このプランを担当したのは、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部部長・野村壮一郎氏であることを聞いて納得もした。万人向けの没個性的なプランを野村氏はつくらないことをよく知っている。
「土間」
もう一つのモデルハウスは、ポラスガーデンヒルズ設計部部長・安藤欣司氏が設計を担当。仕事場・書斎などとして利用できる中2階の〝フロートリビング〟、その下の玄関ともつながっている収納、2階の居室と繋がっているロフトを合わせれば3層、4層にもなる住宅だ。
記者はデザイン・カラーリングがいいと思った。黒、グレー、グリーン、ブルーなど結構色を使っているのだが、それぞれがよく調和してしっとりとした空間となっている。バーカウンター付きの対面キッチンの提案も面白い。
「サードプレイス街区」は、Wi-Fiアクセスポイントを標準設置。在宅ワークなどの「自宅のサードプレイス化」も視野に入れているのも特徴の一つだ。
モデルハウス
売れ行きについて。分譲開始からわずか5カ月で47棟の成約は驚異的だ。販売担当者は「5,000万円を超える住戸は成約まで時間がややかかるが、他社の物件などと比較して結局はうちの物件に戻ってきてもらえる」と話した。
なぜ売れるか。一言で言えば、商品企画が優れているからだ。今回見学した4棟で共通しているのは、1階のリビング天井高約2.7mの利点を最大限生かしていることだが、それぞれが微妙に異なる。中央住宅とポラスガーデンヒルズが共演している効果が表れている。
細かいことだが今回、玄関ドアにガラススリットが付いていたのに気が付かなかった。もちろん玄関サイドの下足入れの上にも窓はついているのだが、このガラススリットと窓があることによって、暗いときでも明かりを付けなくても済むという工夫だ。マンションやホテルなどで出かけるときや帰ったとき、スイッチや鍵の位置を探すのに苦労することがある。皆さんもそんな経験をされているはずだ。
同社の2018年3月期の契約棟数は、分譲住宅2,300棟と注文住宅683棟を合わせると約3,000棟に達する。圧倒的な実績を踏まえ、地域のニーズを熟知しているからこそできる芸当だ。
今回も細かいことだが、玄関ドアにガラススリットが付いていたのに気が付かなかった。もちろん玄関サイドの下足入れの上にも窓はついているのだが、このガラススリットと窓があることによって、暗いときでも明かりを付けなくても済むという工夫だ。記者などは一人で出かけるときや帰ったとき、スイッチや鍵の位置を探すのに苦労することがある。皆さんもそんな経験をされているはずだ。
玄関ドアのスリットと窓
最後に、この「アドバンス ド プレイス船橋・北習志野」が2018年度グッドデザイン賞を受賞した際の「一方で、せっかく街を作っているのに、フィジカルな部分に対してあまり言及がなく、風景としての豊かさに対してどのような思想を持つのか、より明らかにすべきであろう」という審査員のコメントについて。
これは記者も分からない。AIやらIoT、ビッグデータなどのサイバー空間に対して、現実社会という意味でフィジカル空間という言葉が用いられるようだが、そのサイバー空間とフィジカル空間が相互連携・融合したCPS/IoT社会や第5世代モバイル通信システム(5G)が本当に我々を幸せ・豊かにしてくれるのか。
英語で馬鹿を意味する「idiot」をGoogleで検索するとトランプ大統領が真っ先にヒットする時代だ。心配になって「牧田」で検索したらサブマリンの牧田投手が最初に出てきた。当然か。「こだわり記事」も上位にあった。「牧田 馬鹿」と検索したら、先月書いた「HARUMI FLAG」の記事が出て来た。
モデルハウス
設計担当メンバー写真左上から野村氏、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課課長・古垣雄一氏、同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課2係係長・山下隆史氏、写真左下から角張氏、安藤、工藤氏
秩父の寒さでも無暖房で過ごせる 高橋建築の究極の家 第6回埼玉県環境住宅賞 知事賞
「第6回埼玉県環境住宅賞」表彰式(対玉県民健康センターで)
埼玉県住まいづくり協議会は12月18日、「第6回埼玉県環境住宅賞」表彰式を開催し、応募49作品の中から埼玉県知事賞(副賞クオカード10万円分)に「秩父の寒さでも無暖房で子育てできる究極の家」(高橋建築・高橋慎吾氏)を選んだ。
高橋建築は秩父郡小鹿野町にある年間12棟くらい建築する工務店。受賞した住宅は7年前に建設されたもので、建築費は3,100万円。延べ床面積は154㎡(坪単価66万円)。
高橋氏は「秩父の冬は青森より厳しいので、北海道並みにしようとドイツのパッシブハウス基準認定を取得。住宅はシンプルにし、太陽光、地中熱、地下水などの自然エネルギーを活用しながらトリプルガラス、ネオマフォームを採用することで高断熱・高気密住宅を実現した。外気温がマイナスになっても室内は17度以上を保ち、真冬でも無暖房で過ごせる」などと話した。
表彰式では、このほか優秀賞(同1万円分)に「グランピング -外と内を繋げる-」(アキュラホーム埼玉西新座営業・坂口詩乃氏)、「だんだん育つ家」(小林建設・小林伸吾氏)、「ウチとソト」(日本大学・額賀愛美氏)をそれぞれ選んだ。このほか審査委員特別賞、協議会特別賞各1作品、入選5作品、奨励賞6作品を選んだ。
知事賞を受賞した高橋ご夫妻
◇ ◆ ◇
高橋建築の住宅は素晴らしい。坪単価66万円で真冬でも暖房なしで暮らせるという。他の作品もみんな素敵なのだろう。
しかし、この表彰式については文句を言わざるを得ない。〝環境住宅〟の名が泣くと。この日の参加者は〝サクラ〟も含めて100名いたかどうか。盛り上がりを欠いた。
埼玉県に本拠を置くポラス、アキュラホーム、高砂建設、藤島住宅、ケイアイスター不動産などのハウスメーカーのほか積水ハウス、大和ハウス工業、ミサワホーム、さらには東京ガス、LIXIL、埼玉県住宅供給公社などもメンバーに名を連ね、埼玉県の後援を得ているのにどうしたことか。主催者は「残念」と話したが、応募作品は、学校関係の応募が激減したこともあり、もっとも多かったころと比べると半減だとか。応募作品の半数がアキュラホームというのもどう理解したらいいのか。
さらにまた、報道陣とも呼べない記者を含めて参加した報道陣はわずか数人。配布された資料も〝字が小さすぎで読めない!〟記事に対するアクセス数も最初に書いた第2回と比べると第4回は3分の1に激減している。記者のせいではない。
◇ ◆ ◇
収穫もあった。朝から何も食べていない記者はお腹が空いたので、途中、会場を抜け出し、埼玉県庁舎のコンビニでおにぎりを1個買い、一人の利用者もいない県庁第2庁舎地下の暗い食堂で160円の機械式コーヒーを飲んだときだ。正面の衝立に「上田知事おすすめ 4つの勝利の方程式ランチ」のポスターが掲示されていた。知事は毎朝、①豆腐か納豆②小松菜かほうれん草のおひたし③いりこ、にぼし、又はシシャモ④海苔やひじき-を食べているのだそうだ。
なるほど。こんな健康的な食事をしているから選挙でも圧勝できるのだと合点がいった。協議会の皆さん!埼玉県でもっとも元気なのは上田知事ではないか。知事と同じくらいの朝食を摂ったらどうか。
上田知事の4つの勝利の方程式ポスター
埼玉県知事賞に小林建設 高校生の作品も入賞「第4回埼玉県環境住宅賞」(2016/12/23)
なぜ人気 ポラス「船橋・北習志野」91戸 潜在ニーズ引き出す「ヒーリング街区」①
「ヒーリング街区」モデルハウス
ポラスグループの中央住宅とポラスガーデンヒルズが共演して分譲している戸建て分譲「アドバンスドプレイス船橋・北習志野」を見学した。記者発表会を行った8月末に続き2度目の見学だったが、IoTの機器を装備するだけでなく、機器を使いこなせばどのような生活ができるかをプランに反映していた。わずが5カ月で供給した70戸のうち47戸が成約済みという売れ行きにも驚いた。2回に分けて紹介する。
◇ ◆ ◇
今回は、全91棟を「フィンテック街区」(37棟)「ヒーリング街区」(26棟)「サードプレイス街区」(28棟)の3つの街区に分けたうちの「ヒーリング街区」について。
最初の見学会で記者は「今回のIoT商品で言えば、今回のモデルハウスにはなかったが、『ヒーリング街区』『サードプレイス街区』がいい。映像も含めた音や香りなど五感に訴える工夫が住まいを変えるかもしれない」と書いた。〝単にIoT機器を装備しただけでは訴求力は弱い。間取りプランなどでそれを使えば生活がどう変わるか、どれだけ豊かになるかを見える化すべき〟という意味を込めたつもりだ。
なので、2つの街区は必ず見学しようと決めていた。それが実現して嬉しい。
「ヒーリング街区」のモデルハウスは2棟。その一つは、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課1係主任・角張泰広氏が設計を担当した住棟。ヒーリングの意味そのものの癒し効果がある国産材のスギをふんだんに採用したモデルハウス。同社はこれまでも挽き板のフローリング、木材のデザイン壁を採用しているが、今回はリビング天井も含めて「森林浴リビング」を提案している。
東京大学薬学部の竹内春樹氏と共同開発したもので、45度以下の低温で乾燥させることで20年間スギの香りを抜けにくくしているのが特徴だ。見た目が美しく、吸湿、断熱性能のほか鎮静効果があることも学術論文で証明されているという。
国産杉パネル
もう一つのモデルハウスは、ポラスガーデンヒルズ設計部企画設計課課長・工藤政希氏が設計を担当。化粧梁天井、窓から差し込む太陽の光や調光機能付きダウンライトによって空間を自由に変えられる「木漏れ陽リビング」を中心にリビング-ダイニング-キッチンが緩やかにつながっており、家族のそれぞれのシーンに応じ使い分けができるよう間取りも工夫されている。壁には消臭効果のあるエコカラットのデザインウォールが採用されている。
「ヒーリング街区」全住戸のキッチンに1個標準装備されているパナソニックの新製品「ダウンライト付きスピーカー」について。記者はこれを見るのは野村不動産「千里」、大成有楽不動産販売「世田谷弦巻」、東急不動産「中野富士見町」(オプション)に次いで4件目だ。とても音がいい。
今回の同社のモデルハウスでは、「西武ライオンズの応援歌が聞きたい」「にんべんでは鰹節の削る音が流れた」「カエルの合唱」「コオロギの虫の息じゃなかった虫の音」「伊良子岬の波の音」などと口走ったら、何と担当者がものの一、二分で再現して見せた-これだ!真冬にウグイスの鳴き声を駅の構内で流すことに何のためらいを感じず、それを良しとする我々とは違う。狂った世の中に慣らされるのと、進んで狂った自分を演じるのとでは180度異なる。
これからはAI、IoTの時代だ。365日、全国のあるいは全世界の川のせせらぎか海の音か、コケコッコーの声、あるいはまたベートヴェン(今日17日は誕生日だそうだ)の「運命」で目覚め、ヘンデルの「水上の音楽」を聞きながら仕事をし、「五木の子守歌」かグレゴリアン・チャント、あるいはチャイコフスキー「眠れる森の美女」か、ベートヴェンの「月光」で深い眠りに付き、さらにまたエディットピアフの「パダムパダム」で絶望的な永遠の眠りにつく…素晴らしいではないか。
記者は小さいころ、恋に恋焦がれ「山のロザリア」を口ずさみながらほろほろと涙し、独身の頃には起きるとすぐラヴェル「ボレロ」をかけた。約15分だ。最後のジャジャーンの音を聞いて〝今日も頑張ろう〟と出勤した。
AI、IoTならその人の好み・心境に応じて音楽を流してくれる時代がやってくる。そのためにも部屋の設えは大事だ。機器だけを装備して売れるほど甘くない。魂を込めるのは人だ。
全26棟の「ヒーリング街区」のうち供給されたもののほとんどが成約済みというのも、ユーザーに評価されているという証だ。一言で表現すれば潜在的なユーザーのニーズを引き出したということではないか。
この日は、朝から小雨が降りとても寒かった。取材が空振りに終わればせっかく治り始めた風邪がぶり返すのではないかと心配したが、取材途中から気温がどんどん上昇し、終わるころにはコートがいらなくなる陽気になった。お天道様もまじめに取材していることをほめてくれたのだろう。期待以上の成果が得られた。明日には「サードプレイス街区」も紹介できそうだ。
モデルハウス
日中平和友好条約締結40周年「藝述中国之旅―唐思領 書道展」RBAプラザ1/11まで
唐氏(左)がその場で認めた書「海内存知己 天涯若比隣」を受け取る久米RBAインターナショナル代表(書は、唐時代の詩人・王勃が友人を見送った際に詠んだ詩で、「心の知れた友がいれば世界のどこにいても近しく感じる」という意味だそうだ。京王プラザホテル東京で)
杉並区高円寺「RBAプラザ阿波おどり館」1/11まで
RBAインターナショナル
挨拶する唐氏
文化・芸術・スポーツなどを通じて世界平和の実現を目指すRBAインターナショナル(代表:第三企画代表取締役・久米信廣)と中国人民対外友好協会国際芸術交流院は2018年12月13日(木)~2019年1月11日(金)、日中平和友好条約締結40周年を記念して、中国の著名な書道家・唐思領氏の作品展「藝述中国之旅―唐思領書道展」を杉並区高円寺の「RBAプラザ阿波おどり館」で開催している。
展示されている唐氏の作品は約30点。楷書・行書・篆書(てんしょ)を駆使し、一度墨を付けたら最後まで描き切る〝一筆書き〟や利き腕ではない左手書き作品などが会場いっぱいに展示されている。
唐氏は、「書は書き直しができないから難しい。一挙に500字を書くこともあれば、1日6,000字くらい書くこともある。わたしが尊敬するのは師事した沙曼翁の他では啓功(けいこう)」などと話した。
唐思領(Tang Siling)氏は、1954年4月中国河南省生まれ。中国書道大師沙曼翁氏の内弟子。中国人民対外友好協会理事・中友国際芸術交流院副院長、中国日本友好協会理事など。主な作品展・受賞は1995年「第三回中国書壇新人作品展」、1996年「中日書道交流展」優秀賞、1998年「九八中国現代書画芸術大会」金賞、2007年「毛沢東詩詞 全国書画大会」金賞など。
◇ ◆ ◇
「書道展」開催を祝うセレモニーに来賓として登壇した公明党衆議院議員・太田昭宏氏は「日中関係がよくなかった2002年、4人組と呼ばれた野中広務氏、古賀誠氏、二階俊博氏とともに関係改善のために訪中したとき、敦煌を訪れ、書画など芸術・文化交流が必要なことを身をもって体験した。今日は『唐』先生と『(西村)東軒』先生(日展会員、読売書法会常任理事)という2人の異なる『トウ』先生がいらっしゃる。わたしは『公明党』。この親父ギャグはちゃんと(中国語でも)伝わるのでしょうか」と笑わせながら、「この日(13日)は、書を通じて日中平和友好条約締結40周年を祝うという歴史的な日」と讃えた。
唐氏は、「わたしの個展が開催されて光栄。わが国の書道は三千年の歴史があり、その独特の書き方や視覚的な表現は芸術です。また、漢字と書は中日交流の重要な絆です。書道展を通じ日本に漢字・書を広め、交流し学びあうことができれば幸い」などと語った。
※「唐」は中国語で「táng 」、「東」は「dōng」、「党」は「dǎng」と発音することが通訳から説明された。わが国には同音異義語がたくさんあるが、中国発音がそれぞれ異なるケースが多い。
唐氏が書かれた「中日友好 世界平和」の書を受け取る太田氏
◇ ◆ ◇
唐氏に「わが国では毎年、一年間を漢字一文字に現わすとどのような字になるかをお寺のお坊さんが毛筆で大書きするイベントがあります。今年は『災』が選ばれました。中国でこれに相当する字はどうでしょう」と質問した。
唐氏はしばらく考えた末、「福です。企業も家庭もです」と答えた。
記者は絶句した。確かに中国は8年前に国内総生産(GDP)でわが国を抜き世界第2位になると、その後は我が国との差を広げる一方で、最近は「一帯一路」戦略が世界を席巻している。「福」というのはその通りだろう。
一方で、わが国の「今年の漢字」は過去13年間、震・倒・毒・末・戦・災・偽・暑・安など暗いイメージのオンパレードで、前向きな字は「愛」と「新」くらいだ。「福」などと言えばそれこそ〝袋叩き〟にあう。〝禍福は…〟と言われるが、わが国に「福」はやってくるのか。
「今年の中国の漢字一文字は福です」
RBAプラザ高円寺阿波おどり館
RBAプラザ高円寺阿波おどり館のホームページはこちらへ
http://www.awaodorikan.jp/