パーカーズとコラボの第三弾 コスモスイニシア「中央湊」の緑の質と量に感動

「イニシア中央湊」モデルルームからの眺望(合成)
コスモスイニシアが分譲中のマンション「イニシア中央湊」モデルルームを見学した。「青山フラワーマーケット」を運営するパーク・コーポレーションの空間デザインブランド「parkERs(パーカーズ)」とコラボレーションした第3弾で、古材を用いたテーブルやハンモックなどの什器・設えとよくなじんだ緑の量と質に感動した。モデルルームのおもてなしはかくありきの見本だ。
物件は、東京メトロ日比谷線八丁堀駅から徒歩5分、中央区湊1丁目に位置する10階建て全36戸。第2期1次(戸数未定)の専有面積は71.78~77.10㎡。全体平均坪単価は425万円(隅田川向きは470万円、反対側は380万円)。竣工は2019年12月下旬。施工は大豊建設。4月末から分譲開始し、これまで16戸が販売済み、
建物は内廊下方式で、1フロア4戸構成。道路を挟んで隅田川に面した東向き2タイプ(南側にも採光・開口部)と、西向きの2タイプ。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、突板フローリング、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス、シーザーストーン天板など。
パーカーズが商品化した家具や小物が選択でき、当初2年間は毎月1輪の花が届けられるほか、共用部分内の植栽メンテナンスが受けられるのが特徴。
同社分譲事業部分譲二部プロジェクトマネージャー・岡端知子氏は「お客さまの評価も高く、もちろん販売促進につながっています」と話した。


音が出る水盤


完成予想図
◇ ◆ ◇
パーカーズとコラボした同社の戸建て・リノベマンションは見学しているが、分譲マンションでは「墨田」「江古田」に続く第三弾の今回が初めてだった。
モデルルーム玄関を入るとすぐアロマの甘美な香りが心を満たし、ゆったりした玄関・廊下が目に飛び込んできた。玄関カウンターはシーザーストーンで、反対側の壁面との距離は最大で約1.5mもある。岡端氏は「居住面積は70㎡台ですが、90㎡台とかわりません」といみじくも言ったように、同社が最近力を入れている〝魅せる玄関〟の演出だ。
そして、いたるところに置かれている観葉植物。エバーフレッシュ、ノシラン、ペペロミア、シェフレア、シノブ、胡蝶蘭、エスキナンサス、ヤブラン…モデルルームだけで13種、販売事務所を合わせると約20種にも上る。費用は約130万円(高いと感じる人もいるかもしれないが、著名な画家の絵画はけた違い)。
100万円もする古材を用いたダイニングテーブルや、やはり100万円近くする音の出る大盤の水盤、ハンモックなどはともかく、床は最近ほとんど見かけなくなった突板フローリングで、戸数36戸にしては珍しいディスポーザーが標準装備だ。
岡端氏によると、この秋にはこの物件に近い築地エリアで同社も含めて5物件、戸数にして500~600戸が供給されるという。間違いなく単価はここより高い。全て見学しよう。

エントランス

販売事務所が入居するビルの看板(この看板をみて見学する人も多いとか)
33年連続全国トップの41,533件 2018年度仲介取扱件数 三井不リアルティ
三井不動産リアルティは5月31日、不動産仲介事業の売買仲介取扱件数が33年連続で全国No.1を達成したと発表した。
2018年度の売買仲介取扱件数は全国で41,533件(2017年度40,658件、前年度比2.1%増)となり、1986年度から2018年度まで33年連続の全国No.1となった。
取扱件数第2位の住友不動産販売の2018年度は37,058件。その差は縮まりそうで縮まらない。
「マンションいい話コンテスト」リニューアル 賞金も増額 マンション管理協

マンション管理業協会は6月3日、協会設立40周年を記念して、昨年まで実施してきた「マンションいい話コンテスト」をリニューアルし新たに住み心地や建物・設備などマンションにおけるバリューアップを図った事例や提案を募集する「マンション・バリューアップ・アワード(MVA)2019」を開催すると発表した。
募集テーマは、①マンションライフ部門(住み心地、居住価値向上)②工事部門(建物資産価値の向上)③防災部門(防災力の向上)④財政部門(組合財政の健全化)⑤高齢者対応部門(居住者の高齢化に伴う先進事例)。
応募資格はマンション管理組合、サークル等組織、マンション居住者、管理会社、管理員、マンション管理士、設計事務所関係など誰でも可能で、複数部門への応募も可能。応募期間は6月3日(月)~8月31日(土)。
賞及び賞品はグランプリ1点40万円(従来は30万円)、部門賞数点各10万円、特別賞数点ほか。
応募方法など詳細は「マンションのWa」サイト内で。
マンション管理協 いい話コンテスト「かわら版って、いいよ!」 高橋さんグランプリ(2018/12/4)
「大都市圏中心に展開する優位性あり」川畑社長 旭化成ホームズが新中計発表

川畑社長を中央に、左が鶴川氏、右が兒玉氏
旭化成ホームズは5月31日、2024年度を最終年度とする「中期経営計画2021」を発表。「Challenge & Growth(挑戦そして成長)」を戦略コンセプトに掲げ、数値目標として売上高7,200億円(2018年度比19.1%増)、営業利益720億円(同13.4%増)を目指す。
「良質な社会ストックの追求」「拡大への挑戦」「グループ基盤の構築」の3つを経営戦略の柱とし、「良質な社会ストックの追求」では、「ロングライフ住宅の実現」で培ってきた財産をベースにリフォーム提案力、買取借上げなどのサービス充実、ファイナンシャル相談を推進する。
「拡大への挑戦」では、シニア向け賃貸住宅の棟数ナンバーワンを目指すとし、「へーベルハウス」(健常期)⇒「へーベルVillage」(フレイル期)⇒「Villageリーシュ」(要介護期)へとシームレスなサービス提供体制を構築する。中高層建築や海外事業も積極的に展開する。
「グループ基盤の構築」では、IT活用に40~50億円を投資し、働く場所を選ばない「シンクライアント」の導入や常務システムを開発する。人材育成にも力を入れ、グループ全体のバリューチェーンの強化・拡張を目指す。
発表会に臨んだ川畑文俊社長は、「住宅市場は今後縮小しているが、大都市圏など21都府県で展開している当社の縮小スピードは緩やかで優位性がある。営業体制も戸建て・賃貸・集合住宅などを併売する体制を敷いているのが強み」などとし、2025年度には売上高1兆円を目指すと語った。
2019年4月付で旭化成リフォーム代表取締役に就任した鶴川和豊氏(旭化成ホームズ執行役員)は、旭化成ホームズ、旭化成不動産レジデンスとの連携を強化し、2021年度売上高を700億円(2018年度比19.9%増)、営業利益73億円(同17.7%増)に伸ばすと話した。
また、2019年4月付で旭化成不動産レジデンス代表取締役社長に就任した兒玉芳樹氏(旭化成ホームズ取締役常務執行役員)は、引き続きマンション建て替えナンバーワンブランドを目指し、商業ビル、オフィスビル、賃貸マンションなど新しい事業にもチャレンジし、2021年度売上高1,850億円(2018年度比37.0%増)、営業利益198億円(同43.5%増)を掲げた。
◇ ◆ ◇
記者がもっとも注目している「宮益坂ビルディング」の建て替えマンションについて、「計画が発表された段階では坪800~850万円と予想したが、その後の展開を見ると、オークションでもやれば坪1,000万円どころか1,500万円もありうるのではないか」と兒玉氏を挑発したら、「現在、権利変換手続きが長引いており、いつ分譲するか、いくらになるか申し上げられない。確かに定借マンションの坪800万円はベンチマークだが…」とかわされた。
(かつて昔、宮下公園で星空を眺めながら永遠の愛を誓った彼女に捨てられた記憶しか渋谷にはなく、好きになれないのだが、蓼食う虫も好き好きだ)
「働き甲斐のある業界に」 プレハブ建築協会・芳井敬一会長

芳井氏(如水会館で)
プレハブ建築協会は5月31日、通常総会後の記者会見を行い、芳井敬一会長(大和ハウス工業社長)は3つの重要課題として、災害に備える準備を行うこと、10月に予定されている消費増税後の反動減の有無を注視すること、住宅ストック向上に向け先導的な役割を果たすことを上げた。
また、「先日、事務局から報告を受けたデータを見て、会員会社の退職者の退職理由が〝自分の成長が感じられない〟というのが多いのに衝撃を受けた。働き甲斐が感じられるような業界にするための方策を検討していく」と語った。
平成30年度のプレハブ住宅の着工戸数が減少していることについては、「賃貸との併用などはカウントされていないものも少なくない。精査しないと分からない部分もある」と、業界全体として工業化住宅をさらに進めていくと話した。
平成30年度の住宅着工戸数は前年度比0.7%増の952,936戸だったが、建て方別でプレハブは同3.9%減の130,916戸で2年連続の減少、ツーバイフォーは同2.5%減の116,690戸で2年連続の減少となった。
◇ ◆ ◇
芳井会長が働き方改革に言及したのに注目したい。芳井氏は5月16日行われた大和ハウス工業の経営方針説明会でも「第6次中期経営計画」の最終年度2021年度までに「従業員の働きがい実感度」を現状の65%から80%へ、「取引先総合満足度」を現状の70%から90%へそれぞれ引き上げると語った。
◇ ◆ ◇
プレハブの着工戸数の減少はよくわからない(記者は木造ファンだが)。しかし、木造だって丸太のまま輸入されるケースは激減し、現場で大工さんが材木を切り、かんなを削る時代はとっくの昔になくなっている。〝プレカット〟が主流だ。分譲マンションもほとんどがprefabricatedだし、ケミカル製品だらけだ。
その一方で、洋服は「既製品」から「レディ―メード」「プレタポルテ」に、「中古住宅」は「既存住宅」「安心R住宅」に変わった。小生はもう40年も昔から「プレハブ」という呼称は改めたほうがいいとずっと思っている。
型式適合認定制度の理解・認識不足 大和ハウスの建基法不適合問題 外部調査委報告
大和ハウス工業は5月31日、戸建て・賃貸住宅の建基法不適合問題について、社外の監査役と専門家専門家で構成される外部調査委員会の中間報告を受け、全文を公表した。再発防止策を含めた最終報告は6月中をめどに作成される予定。以下、概要。
現在の調査状況
大和ハウス工業では、2000年12月より、改正建基法施行(2000年6月)に基づく型式適合認定を取得、個々の建築確認の簡略化を図っていた。同社が型式適合認定制度を用いて建築確認申請を行う場合、型式適合認定を受けている仕様(独立基礎高さ620ミリ)しか用いることしかできず、その仕様から少しでも外れている場合は、一般的な建築確認申請を行う必要があった。
独立基礎不適合問題
同社では、型式適合認定制度導入以前の戸建て住宅・賃貸共同住宅の独立基礎は、高さ620ミリの独立基礎を用いることとされていたが、高さ620ミリ以外の独立基礎も採用されていた。
しかしながら、型式適合認定制度導入後、各事業所の設計責任者は高さ620ミリ以外の独立基礎の型式適合認定を取得しているものと誤認した可能性があり、そのことが今回発覚した独立基礎不適合問題発生の事態を生じさせた原因の一つであると思料される。
2001年9月、技術本部長名で各事務所の設計責任者に発信した社内通達でも、高さ620ミリ以外の独立基礎は型式適合認定を取得していないことを周知させることができなかったことが問題である
L字型受柱不適合問題
同社は、型式適合認定制度導入以前、関東地区の賃貸共同住宅の居住空間を多くとりたいという顧客の要望に応えるため、2階外部廊下を支える独立柱の代わりにL字型受柱を採用することがあった。それにより、2階外部廊下を建築面積に含めずに建ぺい率を計算することができ、賃貸共同住宅の居住面積を大きくすることができた。
しかし、型式適合認定制度導入に際し、L字型受柱については型式適合認定を取得しているものと誤認し、建築確認申請を行った可能性がある。
2007年ころ、建築確認検査機関からL字型受柱の型式適合認定取得に関して疑問を呈され、型式適合認定を取得していない事実が判明した。2008年以降、L字型受柱不適合問題は終息した。
防火基礎不適合問題
同社がL字型受柱不適合問題の調査を進めていた際、2階外部廊下を支える受柱に防火基準に不適合のおそれのある物件があることが判明した。
L字型受柱を採用した建物については、一般的な建築確認申請を行い、L字型受柱について耐火被覆による防耐火措置を講ずることが建基法・消防法、その他関係条例の防火基準に照らし必要か否かを指定建築確認検査機関の厳格な審査・チェックを受けるべきであったが、型式適合認定を取得しているものとして建築確認申請を行ったため、防火基準に不適合の恐れがある建物が建築されることとなった。
型式適合性等のチェックに係る体制
同社では、今回の不適合問題以前に過去3回(2014年、2015年、2015年、2016年)不適合問題を発生させ、2016年4月に仕様監理部を設置し、現在、新規仕様及び変更仕様に関する技術情報を一元管理し、不適合を防止する体制となっている。
しかしながら、今回の不適合が発生した2000年から2013年時点では、同部署は存在せず、型式適合認定については、各部署の設計者が自らチェックシート等に基づく管理体制を執っていたが、実際には今回の不適合問題が発生していることから、今後、これらのチェックに係る体制についても実際に機能していたか等についても、調査を進めていく必要がある。
現時点における考え得る本件不備の原因・背景
これまでの調査委員会の調査によれば、今回の不適合問題が発生した原因ならびに背景には、型式適合認定制度を導入した当時、同社の役職員に型式適合認定制度を用いて建築確認申請を行うためには、型式適合認定を取得している仕様しか用いることができず、その仕様から少しでも外れている場合は一般的な建築確認申請を行う必要があることについての理解・認識が不十分な者が少なからずいたと思われる。この点についてもさらなる調査が必要である。
平成30年の外国・国内外資系による森林買収は732ha 太陽光発電目的も 農水省発表
農林水産省は5月31日、平成30年の外国資本による森林買収の事例について調査結果をまとめ発表。全国で30件、373haの事例が報告され、このほか国内の外資系企業と思われる買収も43件、359haあり、合計で732haに上っている。
規模が大きいものでは、いずれもアメリカの法人が太陽光発電を目的に兵庫県姫路市で118ha、上郡町で140haを買収しており、宮城県大崎市でも太陽光発電目的の米国法人による2haの買収が報告されている。太陽光発電目的では平成29年もいわき市で90haの米国資本による買収事例が報告されている。
平成18年から30年の累計は223件、2,076haで、市町村別では北海道倶知安町の62件、318ha、砂川市の1件、292ha。
◇ ◆ ◇
記者の記憶では、目的が不明なものはたくさんあるが、太陽光発電目的として森林買収が報告された事例は平成29年の1件に続き続きこれで4件目だ。
太陽光発電は森林資源や生態系への影響も大きいはずで、この種の買収に注視する必要があるのではないか。昨日も「新木場」の記事で書いたが、118haは皇居より広い。2,076haは港区とほぼ同じだ。
住友林業 タイで初の戸建て分譲事業 現地不動産会社と合弁で約1,400戸開発
住友林業は5月31日、タイで初めての戸建て分譲事業を現地の大手不動産開発と合弁で約1,400戸開発すると発表した。
住友林業100%子会社のSumitomo Forestry Singapore Ltd.(SFS社)とタイの不動産開発会社Property Perfect PCL(PF社)との共同事業で、首都バンコクの中心部まで車で約1時間の約52haの敷地に5つのプロジェクトを開発。延べ床面積110~230㎡/戸、平均分譲価格162千USドル/戸で2019年6月に開発を開始、2027年の完成を目指す。総投資額は約190百万USドル。出資比率はSFS社が49%、PF社が51%。
同社は年間、米国で10,000戸、豪州で3,000戸の販売体制の確立を目指しており、アジア圏は米豪に次ぐ第3のエリアとして事業領域の拡大を図っている。
「安心R住宅」運用1年 1,266件が市場に流通 国土交通省
国土交通省は5月31日、消費者が安心して購入できる物件に国が商標登録をしたロゴマークの使用を認める「安心R住宅」制度の運用を平成30年4月1日に開始して1年が経過したことを受け、登録事業者9団体を対象にした調査結果を発表。平成31年3月末時点で1,266件の既存住宅が「安心R住宅」として流通(広告に標章が使用されるなど)していることが確認できたとしている。
内訳はリフォーム済が1,139件(一戸建て349件、共同住宅等790件)、リフォーム提案127件(一戸建て118件、共同住宅等9件)。
住宅不可の151ha〝処女地〟新木場にライフサイエンス拠点 三井不の新事業

「(仮称)三井リビングラボ新木場」完成予想図
首都圏のJR・私鉄の全駅名を諳んずることができるギネス級の才能の持ち主のアンビシャスの安倍徹夫社長にははるかに及ばないが、小生はマンションや戸建てが分譲された駅はほとんど〝踏破〟している。数えてはいないが、400駅くらいはあるはずだ。
東京メトロ有楽町線・りんかい線・JR京葉線3駅が利用できる、東京駅から約10分の新木場駅は2度ほど、マンション見学ではなかったが降り立ったことがある。1度目は20年前、貯木場を見るためだった。沢山の丸太があり、小さいころ見た筏師を思い出した。もう一度は、木造中高層建築物「木造会館」を見学するためだった。
そして一昨日(5月30日)、驚いたことに新木場は地区計画で「マンションは不可」になっていることを三井不動産関係者から聞いた。
工業専用地域(工専)でも調整区域(条件付きだが家も店舗も建つ)でもあるまいし、東京駅から電車で10分の交通利便なエリアで住宅建築を不可とする地区計画などはあり得ないと思ったが、区のホームページと担当者に確認したらその通りだった。
平成11年11月15日付で従前の用途地域・工専を準工業に変更し、なおかつ「新木場・辰巳三丁目地区 地区計画」を定め、「木材関連をはじめとする多様な生産・流通機能と商業・業務機能などが共存できる複合地区の形成を図る」目的に適さない住宅や風俗系建築物、廃棄物処理場を不可とした。
網をかけたエリアは江東区新木場一丁目、新木場二丁目、新木場三丁目及び辰巳三丁目の約151haだ。規模は、約180haの昭和記念公園には負けるが、約115haの皇居を上回る広さだ。
試しに、区のホームページで住民登録をしている人がいるかどうかも調べた。何と74世帯88人が〝住んでいる〟ではないか。男女別では71人:17人。圧倒的に男性が多い。
この不可思議を都市計画担当者に伝えたら「既存不適格? それはあり得ない。もともと工専だから、住んでいる人がいるとすればNG(罰則はないそうた)」と話した。このことを住民登録担当に伝えたら、広報に回され、広報担当の方も答えられなかった。つまり、住民登録と都市計画法はリンクしていないことは明らかだ。
都市計画担当者から話を聞いて、地区計画を決定した平成11年のころ、当時の江東区長とデベロッパーの間で大喧嘩したのを思い出した。区長は、激増するマンション開発に小学校などのインフラが整備できないと激怒し「マンションなど蹴とばしたい」と都の都市計画に関する会合で発言した。工専が解除されるのを見越して土地を購入していた大手デベロッパーは色をなくし、色めき立った。新木場を「住宅不可」としたのは知らなかった。(個人的には〝何でもあり〟の準工用途が圧倒的に多い同区には同情するが…)

新木場の位置図(〝海の孤島〟ではあるが都心に残された〝処女地〟であることが分かる)
◇ ◆ ◇
ここまではプロローグ。都市計画法ではありえない住宅不可の、駅前に行かないと飲食店はなく、フーゾクもない151haもの広いエリアに男女比71:17の88人の方はどのような生活をしているのか、職業は何か興味をそそられないわけではないが、本当に書きたいのはこれからだ。
5月30日、三井不動産は記者発表会を行い、オフィスビル、住宅、商業施設、ホテル・リゾート、物流施設に続く、新しいアセットクラスの不動産事業である「賃貸ラボ&オフィス」事業を開始すると発表した。
「三井のラボ&オフィス」は、これまで日本橋を中心に進めてきた一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネッ トワーク・ジャパン(LINK-J)と連携した「コミュニティの構築」、イノベーションによる新産業の創造・育成につながるエコシステムを構築するための「場の整備」、およびライフサイエンス系ベンチャー企業へのLP投資をおこなう「資金の提供」の取り組みをさらに一歩進めるもので、「本格的なウェットラボ」(創薬や再生医療等の研究者が液体気体等を使って実験を行う場所のこと)と「オフィス」が一体化した施設の賃貸事業のことだ。
具体的な取り組みとして「(仮称)三井リビングラボ葛西」「(仮称)三井リビングラボ新木場」を開設し、柏の葉でも計画していることを明らかにした。
「葛西」は第一三共の延べ床面積約678坪の研究棟を賃借(マスターリース)する。2019年9月竣工。
「新木場」は駅から徒歩11分、同社が土地を賃借し、ラウンジ、会議室、共通実験機器室なども利用可能な6階建て延べ床面積約2,280坪の事務所棟を2020年1月に竣工する。ワンフロア30坪から最大480坪まで賃貸可能。
会見に臨んだ同社常務執行役員でLINK-Jの理事を務める植田俊氏は「この種の事業は欧米ではけた違いの規模で行われているが、わが国には市場そのものがない。具体的な事業規模は現段階で申し上げられないが、マーケットメークし、当社の6番目の新しい事業に育てたい。『コミュニティ』の構築、『場』の整備、『資金』の提供を3本柱とし、わが国がライフサイエンス産業における世界に冠たるアジアナンバーワンの地位を確立することに貢献する」と話した。

右から植田氏、三枝氏、LINK-J理事 事務局長・曽山明彦氏
◇ ◆ ◇
小生はライフサイエンスのことはちんぷんかんだが、同社ライフサイエンス・イノベーション推進部長・三枝寛氏などによると、米国ボストンには新木場をはるかに上回るライフサイエンス拠点があるという。2025年の先端医療・ライフサイエンス市場を約2兆円と予想した富士経済のレポートもある。
さて「新木場」に戻す。東京駅から10分の至便な位置に皇居を上回る約151haにも及ぶ土地に「住宅不可」の地区計画の網をかぶせてきたからこそ乱開発を防止してきた。〝海の孤島〟というよりは都心に残された最後の〝処女地〟だ。
地価はどうか。地価公示は坪当たり約100万円(容積200%として1種50万円)で、〝陸の孤島〟晴海の坪470万円と比べると5分の1だ。
同社がいくらで賃借したかは分からないが、賃料は都心一等地の数分の1ではないか。同社の発想力には舌を巻くほかない。湾岸開発は同社の十八番だ。
◇ ◆ ◇
以下は、いわばエピローグ。同社が3年前、ベンチャー共創事業に関する記者発表会を行った際の同社取締役専務執行役員・北原義一氏(現同社代表取締役副社長執行役員)の感動的な名演説を紹介する。
北原氏は「当社の事業の柱であるオフィス、商業施設、分譲住宅を野球に例えるなら3番、4番、5番のクリーンアップ。しかし、これが20年先、30年先、永遠に続くわけではない」と切り出し、「ダーウィンは『変化に順応できるものが生き残る』といったが、それだけでは十分でない。変化の後追いだけでは進歩はない。そのためには、異端、異能を重視し、柔軟性のある社会に変えないといけない」「社会を切り開くのは既存のベンチャーの専売特許でもない。当社のオフィス・商業施設のネットワークは約5,500社の50万人、60万人にのぼる。こうしたオフィスワーカーのベンチャースピリットを覚醒させ、化学反応、爆発を誘引したい。そこから新しい産業が生まれるかもしれない。わたしはワクワクしている」「もう一つ重要なのは、短期的利益を求めず、中長期的視点で育てていくということだ」などと語った。
ひょっとしたら、菰田正信社長も北原副社長も第4、第5(第3は心当たりあり)の〝東京ミッドタウン〟候補に「新木場」を上げているのではないか。10年先には〝東京ミッドタウン新木場〟構想が発表される可能性があるのではないか。
江東区の都市計画担当者は「オフィス? もちろん可能。地区計画の変更? 手続き上は可能ですが、まずありえない。ホテル計画の相談があったが、インフラの整備ができず立ち消えになった。都市再生特区? 10年くらい先のスパンであればありうるかもしれない」と話した。
冒頭の貯木場に戻る。あれから20年。木材の輸入形態が丸太から製品に変化したことなどにより、貯木場はいまほとんど未使用状態のようだ。筏師は観光地でしか見られなくなった。

