聞きたいことは不明 オリ・パラ選手村の街の名称「HARUMI FLAG」来春分譲
「HARUMI FLAG」全景
三井不動産レジデンシャルを幹事会社とする特定建築者11社は10月31日、2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村にもなる「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」の開発区域のタウンネームを「HARUMI FLAG」に決定したと発表。街づくりのコンセプト、テーマなど概要を公表した。同日、オフィシャルサイトを開設し、会員登録の受付を開始した。来年春にモデルルームをオープンし、5月に販売開始する。
HARUMI FLAGは、開発面積約13haの敷地に5,632戸(分譲4,145戸、賃貸1,487戸)の住宅と商業施設の合計24棟から構成され、保育施設、介護住宅などを整備し、多様なライフスタイルを受け入れる人口約12,000人となる街づくり計画。
官民が一体となって創出した直径約100mもの拠点空間であるCENTER CORE(中心広場)や、分譲街区に51室の共用室などを設置し、敷地内にはバリアフリーなアクセシブルルートを設置。2,318台を収容する駐車場は全て地下方式とし、各住宅棟の共用廊下幅も1.5mとする。平均専有面積も一般的なものより広くする。
このほか、次世代のエネルギーを供給する「水素ステーション」が設けられるほか、日本初の街区をまたいだ専用の光ケーブル網を使ったエリアネットワークにより街全体のセキュリティ管理やエネルギーマネジメントなどを効率的に行う。都心直結の新交通システム「BRT」も運行する予定。
事業者を代表して三井不動産レジデンシャル取締役常務執行役員・山田貴夫氏は、「銀座から2.5キロの東京のど真ん中に今までにない街が誕生する。後世に残るレガシーとなる街づくりを進めていく」と話した。
事業は、中央区晴海五丁目に位置する総開発面積約133,906㎡、総計画戸数住宅5,632戸(分譲住宅街区4,145戸、賃貸住宅街区1,487戸(シニア住宅、シェアハウス含む)、他に店舗・介護住宅・保育施設(区画数未定)、施工は東急建設、長谷工コーポレーション、前田建設工業、三井住友建設。再開発コンサルタントは日建設計。設計は日建ハウジングシステム、日本設計、長谷工コーポレーション、三菱地所設計、前田建設工業、三井住友建設。25人のデザイナーを起用し、光井純氏がマスターアーキテクトを担当する。
14~18階建ての住宅棟は大会終了後リニューアルを施したうえ2022年秋に竣工。タワー棟は2024年3月に竣工する。
CENTER CORE(直径は約100m)
FLAG CORE 辻の広場
4街区からの風景
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発表会には約100名の報道陣が詰めかけた。住宅はオリ・パラの選手村となり、東京都が事業者に譲渡した土地の値段が約130億円で、坪単価約32万円、容積率100%当たりの一種は坪約8万円だったことから話題になった割には少ないような気がしたし、予想はしていたが、聞きたいことは10分の1も聞けなかった。肩透かしをくったというのが正直な気持ちだ。以下は大急ぎで書いた記事だ。順次加筆訂正する。
誰もが関心がある坪単価について報道陣が質問した。もちろん「価格は未定」という答えしか返ってこなかった。(本当は返ってこない質問などしてはいけない)「〇年転売禁止」の特約は設けないようだ。
記者は〝東京のど真ん中〟のプロジェクトだから、ストレートに質問しようとも考えたが、変化球を3つ投げた。これは野球と一緒、効果的なときもある。
一つは、「容積率を400%と仮定すると一種当たりの単価は8万円になるが、これに誤りはないか」と。同社の担当者からは、「都の募集に応じた結果であり、答えられない」と返ってきた。(これは想定内。しかし、容積を仮に300%としても一種約11万円の破格値であるのは変わりない)
もう一つは、共用施設はかなり充実しており、2,318台を収容する駐車場は全て地下、共用室は51室もあるように有効率(レンタブル比率)は相当低いと思ったので、「レンタブル比率はどれくらいか」と聞いた。これは後で教えてくれることになっている。この比率が分譲価格・賃料に大きく影響するはずだ。
それでも、土地代がただ同然(と言っては失礼か。ちなみに住友不動産が分譲中の「シティタワーズ東京ベイ」の一種単価は約42万円)だから、分譲単価は抑えられる。2年前、「アッパーで坪250万円ではないか」と書いたのもそのためだ。噂されている価格については、公表された計画から判断すればレベルは高いとは思うが、ものを見ないと何とも言えない。
しかし、いくらで売ろうが、これは事業者の勝手だし、市場が決めることだ。われわれがとやかくいう問題ではない。しかし、そんなに当初の予想が大外れずれることはないと確信した。タワーはもちろんもっと高くなるはずだが…。適正な価格で分譲すべきと考えているだけで、〝安くしろ〟〝高くしろ〟と言っているのではない。
3つ目の質問は、「せっかくレガシーマンションにするのだから、各選手にサインやら手形やら足形を壁などに残してもらって、オークションにかければ世界中から申し込みが殺到するのではないか」と、エールを送る意味で聞いた。これには「我々には権限がないので、組織委員会に声として伝える」と前向きな返事をもらった。
おそらく組織委はやらないだろうが、これは前例がある。住友不動産が品川の「ワールドシティタワーズ」で実施した。確か坪単価は800万円くらいしたのでなかったか。暴利を貪ったら批判されるかもしれないので、余剰金は寄付でもすれば誰も文句は言わないのではないか。
このほか、たくさん聞きたいことはあったが、他の記者の方に失礼と思ったので、これだけにとどめた。本当は、一種8万円になった根拠である、不動産鑑定評価手法に選んだ開発法の是非について質問したかったのだが、これも絶対に返事は返ってこなかったはずだ。〝専門家が評価した価格に瑕疵はない〟というのが当局の判断だ。鑑定業界には〝クライアントプレッシャー〟なる不思議な言葉があるのだか…。
DOTS PLAZA(敷地内には約3,900本、約100種の樹木が植えられる)
11社の代表(それぞれ一言コメントを聞きたかった)
東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟(2016/8/4)
72年の〝超長期〟定借で価格も〝超々〟割安 住友不動産「シティタワー品川」(2008/8/1)
大京 福岡・札幌・熊本でホテル開発事業
「札幌」の外観イメージ
大京は10月30日、ホテル開発事業を福岡市、札幌市、熊本市でそれぞれ行うと発表した。
同社は2017年度を初年度とする「大京グループ中期経営計画」で、新たな事業の柱として不動産ソリューション事業に注力するとしており、「ホテル開発事業」「賃貸マンション開発事業」「CRE 戦略支援事業」「オフィスビル開発事業」などを行う「ソリューション事業部」を今年6月に立ち上げた。年間売り上げ目標は300億円。
「福岡」は、福岡市地下鉄七隈線渡辺通駅から徒歩4分、敷地面積約1,241㎡の12階建て242 室(予定)。開業予定は2021年9 月。
「札幌」は、札幌市営地下鉄南北線大通駅から徒歩4分、敷地面積約1,071㎡の12階建て全182室(予定)。 開業予定は2020年6 月。
「熊本」は、熊本市電辛島町駅から徒歩2分、敷地面積約788㎡の10 階建て200 室(予定)。 開業予定は2021年1月。
配偶者を愛している84% 健気で円満なDINKS層浮き彫り アットホーム調査
「配偶者を愛している」84%-不動産情報サービスのアットホームは10月29日、「共働き夫婦の実態」調査をまとめ発表した。11月22日の“いい夫婦の日”に合わせて行ったもので、一都三県で持ち家に住み、子どものいない共働き夫婦(DINKS)の男女548名を対象にしたもので、住宅取得価格は平均4,179万円で、「配偶者を愛している」比率は84%、「一緒に風呂」が30%に達するなど〝円満夫婦〟であることを浮き彫りにした。
調査によると、①自宅の購入価格は平均4,179万円、住宅ローンの借入額は平均3,243万円②住宅ローンを完済した世帯は14.6%③自宅は夫婦共同名義 51.1%④それぞれが自分の給料を個別に管理する世帯は50.5%⑤今後も共働きの生活を継続したいは86.3%⑥配偶者を愛している度合いは平均84.2点-などがわかった。
このほか、生活が安定している世帯は平均67.7%、仕事に満足している人は65.3%、自由に使えるお金は6.4万円、家事負担は夫が3.3割、妻が6.7割、帰宅時間は夫が18:56、妻が18:34、一緒に風呂に入るが30.3%だった。
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予想通りの結果となった。取得価格からして23区の駅近マンションは絶望的であることを改めて印象付けたが、極めて健気で仲良し夫婦像が浮かび上がり、とても嬉しくなった。
やや意外だったのは、自宅の延床面積が平均83.9㎡と広いことだが、これは中古マンション(16.1%)、新築建売住宅(20.6%)、中古一戸建て(5.5%)の購入者も合計で42%に上っていることの反映か。
「配偶者の年収を知っているか」の問いでは夫の74.8%、妻の88.3%が知っていると答えたが、知らない人が少なくないのに少し驚いた。
一緒に風呂に入る世帯が30.3%にも上ったのには嫉妬を感じたが、30代、40代の子どもなしでは当然か。子どもができてごらんよ…野暮なことは書かない。記者は二十歳を過ぎてもお父さんと風呂に入っていた女性を知っている。
これらの結果をデベロッパーはよく研究すべきだ。70㎡台の平凡な間取りではDINKS層を満足させられないということだ。主寝室を広くする、風呂を豪華にする-などはすぐ実行すべきだ。
駅近 100㎡ 商業隣接 驚愕の坪140万円 大和地所レジ「千葉NT中央ザ・フロント」
「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央 ザ・フロント」完成予想図
大和地所レジデンスが今月から分譲を開始した「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央 ザ・フロント」を見学した。5年かけても完売できないマンションがあるエリアで、何と第1期で50戸以上に申し込みが入ったという。駅から3分、商業施設隣接、100㎡住宅、無料駐車場などを前面に打ち出し、〝真の豊かさ〟をアピールした商品企画がユーザーの心を捉えた。坪単価は驚愕の140万円だ。
物件は、北総線・成田スカイアクセス線千葉ニュータウン中央駅から徒歩3分、千葉県印西市中央南二丁目の商業地域(建ぺい率80%=角地緩和により90%、400%)に位置する敷地面積9,693.14㎡、15階建て全234戸の規模。現在分譲中の第1期1次(15戸)の専有面積は80.00㎡~101.25㎡、価格は3,298万円~4,398万円(最多価格帯4,100万円台)、坪単価は140万円。竣工予定は2020年3月下旬。設計・監理はT設計工房。施工は長谷工コーポレーション。
建物は三方角地の全戸南向き。共用部分にプロによるアートを配し、住戸プランは8mワイドスパンの100㎡が中心。玄関幅1.4m、メーターモジュール廊下幅、ディスポーザー、食洗機、床暖房、主寝室8畳大、1620浴室などが特徴。平置無料駐車場も100%確保している。奥行き4mのオープンエアバルコニー付きプランも100戸以上ある。
オープンエアリビング
オープンエアリビングバルコニー
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最初、同社から見学の誘いを受けたとき、〝またかよ、大丈夫か〟と思った。
同社はこれまで千葉ニュータウンで5棟約1,000戸の供給実績があり、得意としているのかもしれないが、時代が異なる。同社が4年前に分譲した「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」217戸は坪130万円もしなかったはずだ。
建築費が高止まりしている今は、土地代がタダでも坪単価150万円以下はあり得ない。前期売上計上戸数約900戸で、完成在庫が1戸もない快挙を成し遂げたのに、在庫の山を築くことにならないか、あえて火中の栗を拾うようなことをなぜするのかと。
ところがどうだ。「坪単価は140万円」と担当者から聞かされてびっくり仰天。絶対あり得ない価格だ。土地はUR都市機構と千葉県から購入したということなので、「県から補助金をもらったのではないか」と聞いたほどだ。
しかし、安かろう悪かろうでは絶対ないと断言できる。設備仕様レベルは直床ではあるが、バルコニーにはしっかりシンクを設け、11階以上だがキッチン天板は御影石。その他の建具家具も郊外マンションとしては水準以上だ。天井高も2500・2550・2600ミリ確保している。
印西市がどうして「住みよさランキング」(東洋経済新報社調べ)で7年連続全国1位なのか、これだけはよく分からない。皆さん調べていただきたい。
玄関
圧巻約34畳の空間提案 日本綜合地所「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」(2014/2/4)
元赤坂アドレスで35年振り 1フロア2戸 阪急阪神不「ジオ元赤坂」完成販売
「元赤坂アドレス」完成予想図
阪急阪神不動産が近く完成販売する「ジオ元赤坂」を見学した。「元赤坂アドレス」では35年ぶりの新規マンションがどのような評価を受けるか注目される。
物件は、東京メトロ赤坂見附駅から徒歩2分、港区元赤坂一丁目の商業地域に位置する14階建て全22戸。専有面積は41.64~109.54㎡、第1期(戸数未定)の予定価格は7,200万円台~22,800万円台(最多価格帯7,600万円台・7,900万円台)、坪単価は650万円。竣工は2018年9月。設計・施工・監理は新日本建設。デザイン監修は押野見邦英氏。
現地は、青山通りの鹿島建設本社ビルと「AKASAKA K-TOWER」の間を入った二方接道の角地。鹿島ビルとK-TOWERの間は幅数十メートルにわった公開空地とされているため、開放感がある。
建物は、1階がラウンジなどの共用施設で、住戸は2階以上。1フロア2戸構成(最上階は1戸)。赤坂御用地は中層階以上でないと眺望は難しい。
1階のラウンジは無垢のヘリンボーン仕上げ。住戸内のプラン・設備仕様は、ディスポーザー、ドイツ・ミーレ社製食洗機、シーザーストーンキッチン天板、グローエ水栓、バックカウンター・吊戸棚、ミストサウナ、洋室床暖房、突板フローリング(プレミアムのみ)、Low-E複層ガラスなど。
ラウンジ(完成予想図)
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赤坂見附エリアでは、昨年末から分譲され、立地がよく、単価が安かったモリモト「ピアース赤坂」が完売し、現在、記事にもした大和ハウス工業「プレミスト赤坂翠嶺」と、東急不動産「ブランズ永田町」が分譲されている。
この3物件はそれぞれターゲットがよくわかる。「永田町」は、赤坂見附駅からだと10層くらいの坂を上らなければならないが、衆議院議長公邸が目の前。眺望は素晴らしいはずだ。「赤坂翠嶺」は隠れ家的な雰囲気がある。
しかし、「元赤坂」は35年間も供給がなかったエリアだけに、記者も需要層が読めない。投資用としては希少ではあるが、賃貸利回りはどうなるのか。居住用としては、開放感はあるが逆に外からの視線が気になりそうだ。
坪単価650万円は安いと思うが、だからこその単価設定ともいえる。
6回からの眺望(左が「K-TOWER」、右が鹿島本社ビル)
左が鹿島本社ビル、右が「K-TOWER」(押野見氏は鹿島出身。気を使って外観を同じようにしたのか)
中身は最高だが…応募半減 木住協 第21回「木のあるくらし」作文コンクール表彰式
第21回「木のあるくらし作文コンクール」表彰式(すまい・るホールで)
日本木造住宅産業協会(木住協)は10月27日、第21回「木のあるくらし作文コンクール」表彰式を開催した。
同コンクールは「木造住宅は地球環境にやさしい住宅」であるという同協会の広報・啓発活動の一環として、毎年10月18日の「木造住宅の日」にちなんだイベント。昨年までのテーマ「木の家・こんな家に住みたい」としていたのを応募しやすくするため「木のあるくらし」に変更し、国土交通省大臣賞、文部科学大臣賞、農林水産大臣賞、環境大臣賞の4つの大臣賞に加え新たに「外務大臣賞」を設けた。
応募の結果、国内1,087校(前年比62.7%)と海外のベトナム、ニューシーランド、オーストラリア、インドネシア4カ国からの106作品を合わせ10,882点(同47.9%)の作品が寄せられた。審査の結果、各大臣賞と住宅金融支援機構理事長賞、日本木造住宅産業協会理事長賞、朝日小学生新聞賞と木住協地方各ブロック賞など35作品が表彰された。
同協会・市川晃会長(住友林業社長)は、「今回からより取り組みやすいテーマに変更し、外務大臣賞も設けたことで新たな第一歩を踏むことができました。寄せられた作品は、日ごろ目にされたり触れたりされていることを豊かな文章力で表現されており、感動をいただいた。この感動をみなさんと共有し、自然と共生する大事さを次世代につなげていきます」と挨拶した。
審査委員長のイラストレーター・はせがわゆうじ氏も、「作文が上手な人は朗読力も上手ということがよくわかりました。驚きの連続でした。他の人は持っていない何かを皆さんは持っている」と絶賛し、「白い紙を広げて、何でもいいから表現してみてください。そうすると自分の気持ちが整理され、見えないものが見えてきます」とエールを送った。
市川会長
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作品は、市川会長やはせがわ氏が「感動的」と話したように、みんな素晴らしいものばかりだった。その中で2つ選べと言われたら、記者も国土交通大臣賞を受賞した群馬県・伊久間彩愛さんの「シマトネリコが守る家」(高学年の部)と、徳島県・中本侑志くんの「ぼくの木のいえ きいくん」(低学年の部)を選ぶ。
佐久間さんがいきなり「僕の家はいい物件だ」と話しだしたときはびっくりしたが、燕のことだと分かり、鳥の目線から同じ鳥の世界や人間界を観察する洞察力に感嘆の声を上げたくなった。
佐久間さん、最高に素晴らしい。なにが素晴らしいかと言えば、ツバメのオスの気持ちでものごとを考えられるということです。参考ですが、わたしの好きな小説家・小池真理子さんは「わたしは両性具有。男女それぞれの視点で小説を書ける」話しました。「両性具有」とはミミズとかウニなどオスとメスの機能を持ち合わせている動物です。
大きくなったらぜひ小池さんの小説を読んでみてください。男や女、社会の出来事をよく観察されていることが分かるはずです。これからの世の中は、男(オス)と女(メス)のそれぞれの立場からものごとを考えるモノサシ(思考力)が必要になるはずです。佐久間さん、今度は虫の目線で書いて。
中本くんは2年生くらいか。曾祖父の時代から育ててきた木を材料にして建てた家を紹介する内容だが、「ぼくの家はヒノキ(桧)、スギ(杉)、マツ(松)、クリ(栗)、ツゲ(栂)、ケヤキ(欅)、カヤ(榧)、ネズ(杜松)で出来ている」と話した。
中本くん、すごいね。おじさんは7つ目までは分かるけど、「ネズ(杜松)」は初めて聞いた名前です。みんな中本くんの住んでいる徳島県で採れた木なんでしょうね。
中本くん、国土交通省の人が「木は人にやさしい、環境にやさしい、地球にやさしい」と言いましたよね。おじさんもそう思う。みんなそう思っている。けど、日本の家は、昔は80%くらいが木で出来ていたのが今は60%くらいに減っています。その代わり鉄やコンクリートの家がどんどん増えています。
なぜだと思いますか。お父さんやお爺さんに聞いてみてください。おじさんもよくわかりません。木住協の中で一番偉い住友林業の市川社長さんにも聞いてみてください。「市川さんの会社は何種類の木を使っていますか。徳島の木は使っていますか」と。
農林水産大臣賞(低学年の部)を受章した群馬県・小暮浩輔さんと、文部科学大臣賞(高学年の部)を受章した鹿児島県・阿部恵さんはそれぞれ4分間、作文を手にしたままで暗唱した。木住協関係者は「何回も参加しているが、暗唱するのを見たのは初めて」と感嘆の声を上げた。
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前段で書いたが、応募作品が激減したのにも驚かされた。昨年は6年連続の2万点超の22,778点だから、今回は半減以下だ。各ブロック賞を含め表彰・受賞した35作品を都県別にみると東京、神奈川、埼玉、大阪、名古屋などの大都市はゼロで、各4作品の群馬、静岡、千葉など21県しかないのも気になった。〝山林王〟諸戸林業を擁し、平成30年度農林水産祭で速水林業の速水亨・速水紫乃両氏が夫婦連名で天皇杯を受賞したわが三重県は作文コンクールに縁のないのはどうしたことか。
その理由を木住協関係者は、「われわれも驚いている。手を抜いたわけではない。その逆で、取り組みやすいテーマにした。先生の長時間労働が問題となり、働き方改革が進められていることと関係があるのかどうか」「わたしにも子どもがいるが、子どもも先生も負担を減らそうという動きはある」「他の作文コンクールも応募が激減しているという情報もある」などと話した。市川会長も「原因を分析する」と語った。
なにも知らない記者は言葉を慎まなければならないが、母語(日本語)を読む・書く・朗読することは教育・人格形成の基本ではないのか。「負担を減らす」のは分からないではないが、この基本までも減らしたら思考力はどうなるのか。教育現場で何が起きているのか、何が終わったのか。
応募2万点超 木住協 第20回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクール表彰式(2017/10/29)
オリックス 大京株式を公開買い付け 完全子会社化へ
オリックスは10月26日、大京の普通株式を公開買付けにより取得することを決定したと発表した。大京も同日、公開買い付けに賛同すると発表した。
オリックスは現在、大京の株式を67.95%(一部子会社所有を含む)を所有し連結子会社としているが、大京の普通株式全てを取得することで完全子会社とする。
買い付け期間は2018 年10月29日(月曜日)から2018年12月10日(月曜日)まで。買付価格は1株2,970円で、買い付け予定額は約769億円。手続きを経て大京は上場廃止となる。
公開買い付けを実施する経緯・目的についてオリックスは、それぞれ意思決定プロセスが異なり、全社的な情報共有が十分でなく、経営資源の有効活用ができていない状況にあるとし、大京を完全子会社化することで、グループが行う大規模複合開発の一端を担うことにより、大規模な開発案件の増加が見込まれ、マンション管理業や不動産流通業などストックビジネスの拡大や海外事業の展開など総合力を早期に向上させることが期待できるとしている。
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大京からマンションのイロハを教わった記者としては、時代の流れとは言え寂しい。マンションなどの開発事業は大手デベロッパー数社による寡占化がどんどん進んでいる。寡占化市場にオリックスと大京はどう挑むのか。
今年5月亡くなられた大京創業者・横山修二氏が存命されていたらどう思うだろうか。
一低の傾斜地巧みに生かしたプラン秀 末長組「青葉台」
「ロイヤルシーズン青葉台」
末長組が分譲中の「ロイヤルシーズン青葉台」を見学した。建ぺい率40%、容積率80%という普通のデベロッパーだったらまず手掛けない第一種低層住居専用地域に位置する4・8階建て(建基法では地下1階地上3・4階建て)の全69戸。通風・採光・プライバシーにこだわったプランに唸るしかなかった。
物件は、東急田園都市線青葉台駅から徒歩8分、横浜市青葉区松風台1丁目に位置する「EAST」46戸と「WEST」23戸の全69戸。現在分譲中の住戸(19戸)の専有面積は50.40~106.47㎡、価格は3,890万~10,990万円。建物は平成30年7月3日に竣工済み。施工は同社。売主は同社のほか末長企画。販売代理はライフコーディネーター。
現地は、他社のマンション見学のため何度も足を運んだことがある比高差にして4層分くらいある傾斜地。建物は、PRC構造(プレストレス鉄筋コンクリート構造)とF2システム(PRC構造+耐震壁付ラーメン構造)を採用して、住戸内に柱・梁型が極力出ないようにし、〝2戸1〟エレベータを採用しているのが特徴。
住戸プランは、プライバシーを重視して共用廊下側に窓を極力設けないようにし、多面採光・通風プランが中心。
エントランスホール
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添付した70㎡台の3LDKのプランを見ていただきたい。今はほとんどなくなった〝2戸1〟エレベータを採用。開口部は7カ所。ルーフバルコニーとバルコニー面積を合わせると9.6坪もある。プレミアム仕様は、挽き板仕上げのフローリング、天然石のキッチンカウンタートップ、突板の建具・家具、本皮のドア把手など。
販売を担当するライフコーディネーター・由井氏も「末長組さんの物件を担当しだした頃は驚きの連続。普通のデベロッパーならやらないことをされていた。階段室にもタイルを張るかよと。お客さんに寄り添う理念は創業時から変わらない」と話した。
何よりも経済設計が優先される世の中にあって、同社は貴重な存在だ。
モデルルーム
眺望
70㎡のプラン
末長組の矜持を見た 傾斜地だからこそ生きる技術力 「ロイヤルシーズン西麻布」(2018/10/5)
積水ハウス 積和建設の木造軸組「積和の木の家」発売 坪55万円から
「PARTAGE(パルタージュ)」
積水ハウスは10月25日、同社グループの積和建設18社の木造軸組構法による戸建住宅「積和の木の家」の事業強化・拡大の一環として、11月1日(木)から初の全国統一新商品「PARTAGE(パルタージュ)」を発売すると発表した。調達や物流を一本化することで坪単価55万円~(消費税抜き)という価格を実現した。年間販売目標は300棟。
「PARTAGE(パルタージュ) 」は、積和建設18社が各社独自に運用していた商品や調達、物流などを全国で一本化し、コストパフォーマンスを高めた商品にすることで、戸建住宅取得者のボ リュームゾーンである30~40代の共働き子育て世帯の暮らしのニーズに対応するもの。
新たなブランドコンセプト「仕立てのいい家、ちょうどいい家」に基づき、家事を効率よくこなせる機能と家族の団らんや趣味を楽しめる空間をコンパクトに集約した「家事も、楽しみも、わかちあう」住まい。
モダンで優れた耐久性を持つガルバリウム鋼板の屋根や外壁、樹脂サッシ+遮熱断熱複層ガラス、国産ヒノキ材の木製玄関ドアなどグレード感の高い仕様を厳選して20プランを中心に展開する。
終わりよければすべてよし 官民協働で拓く「森林×SDGs」シンポに200名
「官民協働で拓く『森林×SDGs』シンポジウム」(全国都市会館大ホールで)
書かない(未然)、書きます(連用)、書く(終止)、書くとき(連体)、書けば(仮定)、書け(命令)-書こう。美しいし森林づくり全国推進会議と林業復活・地域創生を推進する国民会議は10月23日、「官民協働で拓く『森林×SDGs』シンポジウム~新産業創出と地方創生につなぐ、分野横断的な森づくり・木づかい~」を行った。約200名が集まった。
出だしは最悪だった。冒頭、3名の方が挨拶に立たれた。このうちの2人の方はそれぞれ数分間、聴衆に向き合わず、ほとんど(文章が用意されていたのか)下を向くかプロジェクターに呼び掛けるのみで、一通りの挨拶を済ませると〝そそくさ〟と降壇した。情けない。残念至極。
〝そそくさ〟は記者が受けた印象だが、あり得ない光景だった。これが何かのプレゼンだったら、審査員はみんな×印を付けたはずだ。もう帰ろうかと思った。それでも我慢したのは「森林×SDGs」のタイトルに期待したからだ。
そのあと基調報告として登壇された川廷昌弘・博報堂DYホールディングスグループ広報・IR室CSRグループ推進担当部長は、「アドレナリンが出っぱなしといつも注意を受ける」と〝過ぎたるは猶及ばざるが如し〟を自覚されていたようだが、熱っぽく聴衆に呼び掛けた。
それからまた4人の方が合計で約2時間かけて概要報告をされた。配布されたプロジェクター用の資料は全72ページ。すべて紹介されたわけではないが、びっしり文字が書き込まれた図表を1枚につき約30秒で読まされる聴衆はたまったものじゃない。〝文字が小さい!〟と渡辺謙さんのように叫びたくなった。
それでも救いがあった。最後に登壇された東急リゾートサービス 資産企画統括部グループリーダー・徳田圭太氏は、「アカデミックな話ではなく、現場・生の声を報告したい」と切り出し、660haの「東急リゾートタウン蓼科」が2012年の土砂災害を受け、その復興に取り組むうちに単なる土木対応では災害を奉仕できないと考え、「守る」(間伐)-「つなぐ」(育てる)-「使う」(利用)することこそが「我々の使命」に気づき、「MORIGURASHI」事業を展開するようになったと話した。プロジェクターはほとんど使用しなかった。
徳田氏から〝森と山と幸と恵み〟と紹介された同じ部署の森山幸恵氏は、様々なイベントなどを行うことで「今年の夏は大盛況だった」と語った。
二人の概要報告に、パネルディスカッションのコーディネーターを務めた東京農大教授で美しいし森林づくり全国推進会議事務局長の宮林茂幸氏は「それこそSDGsの実践者」と讃えた。
パネルディスカッションでは、あらゆる生産活動、消費活動をSDGsの視点から問い直し、プラットホームを構築することが必要とパネリスト全員が確認しあった。
記者は終わりよければすべてよしと安堵した。参加者も同じ感想を抱いたのではないか。
徳田氏(左)と森山氏
宮林氏
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SDGsは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月の国連総会で採択された「Transforming our world :the 2030 Agenda for Sustainable Development (我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ)」と題する成果文書で示された具体的行動指針。17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)から構成されている。