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「リビオ新宿ザ・レジデンス」完成予想図

 新日鉄興和不動産のマンション「リビオ新宿ザ・レジデンス」を見学した。狭い道路の解消と木造住宅が密集している防災上の問題を解決するために進められている約4.7haの再開発エリアの最終段階のマンションだ。

 物件は、東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線中野坂上駅から徒歩6分・東京メトロ丸ノ内線西新宿駅から徒歩8分、新宿区北新宿二丁目に位置する6階建て全103戸。専有面積は37.38~72.69㎡、第2章1期(20戸)の価格は4,800万円~7,800万円(最多価格帯6,300万円台)、分譲済み第1章23戸の坪単価は340万円。竣工予定は平成27年3月下旬。設計・施工・監修は淺沼組。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 現地は、青梅街道と神田川が交差するエリアで進められている約4.7haの東京都施行による「北新宿地区第二種市街地再開発事業」地内に位置。全体で9棟が予定されている商業・業務棟、住宅棟などのうち7棟が完成済み。今回のマンションとやはり新日鉄興和不動産が建設する賃貸住宅棟を残すのみとなっている。

 マンションは都の事業コンペに当選して建てられるもので、「地域防災拠点となり得る共同住宅」というのがコンセプト。法定建蔽率90%・容積率400%の商業地であるにもかかわらず後背地の日照などを配慮して建物は6階建てとし、建物の建蔽率は48%、容積率は182%に抑えているのが大きな特徴だ。

 帰宅困難者の受け入れなどを想定し、敷地の一部を「地域防災拠点」として開放する予定で、「かまどベンチ」「浄水ポンプ」「マンホールトイレ」なども整備する。

◇       ◆     ◇

 このエリアの再開発マンション第1弾として2011年に三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス新宿タワー」が分譲されたときは、質は高いがファミリー層をどう取り込むのだろうと考えたが、今回、現地を見学して住環境が整っていたのには正直驚いた。さすが都の施行による再開発事業だ。

 幹線道路から一歩入っており、近くに神田川も流れる。ファミリーでも十分住めると思った。青梅街道も税務署通りもきれいに整備された。単価もリーズナブルなものだと思う。

 今後、青梅街道を挟んだ西新宿五丁目では三菱地所レジデンスの60階建てタワーマンションなど再開発マンションなどが続々建設される。5年、10年後はどのような街になるのか。

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右側奥のシートが掛かっている部分が分譲マンション(左側は賃貸マンション)

西新宿の日本最高峰60階建て976戸 三菱地所レジなど再開発起工式(2014/5/12)

満点☆3つ 三菱地所レジデンス・平和不動産「ザ・パークハウス新宿タワー」(2011/1/12)

 

 

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「アルビオコート・一橋学園」

 ミサワホームの軸組工法による分譲戸建てブランド〝アルビオコート〟第一弾「アルビオコート・一橋学園」を見学した。注文住宅の伸びが期待できない今後の市場を見据え、分譲戸建てでカバーする狙いがありそうだが、全13棟とも造り手の思いが伝わってくる商品企画だ。同業他社や大手デベロッパーとも十分戦える商品と見た。

 物件は、西武多摩湖線一橋学園駅から徒歩13分、小平市小川町2丁目に位置する全13区画。建蔽率40%、容積率80%地域。敷地面積は122.20~124.34㎡、建物面積は96.67~99.36㎡。現在分譲中(5戸)の価格は4,390万円~4,890万円。構造・規模はミサワホームMJウッド(耐震木造住宅)2階建て。施工はミサワホーム多摩。建物は竣工済み。販売代理は三井不動産リアルティ。

 道路には保水性のインターブロックを敷き詰め、建物外観は南仏・プロバンスの街並みをモチーフにオレンジの瓦と塗り壁風の白の外壁が特徴で、凹凸をつけることで陰影を醸し出す工夫も凝らしている。全棟に印象的な意匠ウォールを施している。

 建物プランが面白い。全棟とも「階段書斎のある家」「思い出ギャラリーのある家」「小料理屋さん風キッチンのある家」「ホームパーティができる家」「土間部屋のある家」「週末はアウトダイニングの家」など個性的なものばかりだ。

 これまで青田の段階で4棟が売れており、ほぼ半数の契約が現段階で見込まれている。年末までは完売したい意向だ。

 同社は3年後までに軸組工法による分譲戸建てを400~500戸供給する目標を掲げている。

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 同社の分譲戸建てを見学するのは久々だし、もちろん軸組工法は初めてだ。最近見学した三井不動産レジデンシャルの「ファインコート国分寺日吉町」とはコンセプトもターゲットも全然異なるので比較はできないが、どちらかと言えば野村不動産の〝プラウドシーズン〟に似ているといえば似ている。いわゆるパワービルダーの戸建てとは全く異なる。

 街並み、建物の商品企画・設備仕様などを総合的に評価すれば、価格は間違いなく安い。

 思い切った商品企画を採用しているのは、他社と異なり一人の担当者が一気通貫で担当するからだろう。この現場も説明を受けた分譲開発部建売分譲課の多井中新介氏が用地の仕入れからプランニング-販売までを担当している。多井中氏が自ら作ったというコンセプトブックは3冊もあり、全部で56ページもあった。

 個性的なプランの提案は勇気のいることだが、平凡な万人向けのプランよりいい。そのプランを気に入った一人に買ってもらえばいいのだから。本来の分譲戸建てとはそのようなものだ。

 意匠・デザインはそれぞれ好みがあるので何とも言えないし、他社との差別化を図ろうという意図があったのだろうが、巾木が10㎝くらいあるのはいいのだが、回り縁が〝立派〟すぎ、ケーシングもやや派手だと思った。同社の注文住宅は〝シンプルイズベスト〟だそうだが、記者も賛成だ。シンプルなほうが美しい。

 もう一つ、これはいいと思ったのが子ども部屋だ。広さは4.5畳大になっていた。同社は「子ども部屋」の「個室」は「子失」という考えが浸透しており、広さを狭くし、その代わりに親子や家族が集えるスペースを確保することに力を入れているとのことだった。

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左から記者発表に臨んだファストリ グループ上席執行役員・岡崎健氏、柳井氏、大野氏、大和ハウス常務執行役員・浦川竜哉氏(帝国ホテルで)

 大和ハウス工業と「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは10月14日、江東区有明1丁目にファーストリテイリング専用物流倉庫を建設し、双方が究極の顧客ニーズに応える物流スキームを構築していくと発表した。

 両社は共同出資による物流事業会社を設立し、お客様の多様なニーズに対応できる多機能物流拠点を中心とした新たな物流スキームの構築を目指す。

 現在の物流スキームは消費地と倉庫が遠いところにあるのが問題で、バーチャルとリアルの双方で生み出される顧客との接点を束ね、新しい小売業の時代を構築していく狙いがある。有明の物流センターは首都圏の顧客が対象で、注文品を即日発送し、ところによっては当日配達できるところもあるという。

 大和ハウスは同社初の私募リートを組成し、ファーストリテイリング向けの多機能物流拠点用地の取得及び開発のための資金調達を行っていく。同社は1990年からファーストリテイリングの店舗開発に取り組んでおり、これまで約550店舗の開発をサポートしてきた。

 会見に臨んだ柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長は、「大和さんとは90年からのお付き合い。会社と会社の信頼関係があったからこそできたスキーム。有明は日本で最高の立地。奇跡に近い。ワクワクしている。単に物流センターを作るということにとどまらず、双方の成長の基をつくるもの。グローバルに展開していきたい。我々が目指している服を変え、常識を変え、世界を変える産業革命への第一歩であり、夢の実現に向かうもの」と話した。

 これに対して大野直竹・大和ハウス社長は、「お世話になっているのは私ども。新しい事業に参加できるのは限りない喜び。用地は昨年9月、UR都市機構から取得した。わが国最大規模の都市型の最先端の物流センターになる。様々な産業革命を具現化したい」と応えた。

 物流センターは、敷地約36,000㎡、RC+鉄骨造6階建て延べ床面積約112,000㎡。着工予定は2014年11月15日、竣工予定は2016年1月25日。同社オリジナルの免震システムや非常用電源などのBCP対策、壁面緑化や周辺緑地整備など環境配慮を施した最先端の物流センターとなる。

 私募ファンドは2016年に組成し、資産規模は当初650億円程度。大和ハウス不動産投資顧問が運用する。今後、国内で10カ所くらいの物流拠点の開発を行っていく。

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有明の物流センター

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 「知らないことは聞くな。どのような答えが返ってくるか分からない質問はするな」というのが記者の鉄則だ。このニュースは前日、日経新聞が1面で詳細に報じているし、記者は物流のことは全然知らないので黙って聞いていた。

 柳井氏と大野氏がお互いこれ以上ない賛辞のやり取りをしたのはともかく、数えてはいなかったが、「産業革命」やら「物流革命」やら「革命」という言葉が10回くらい両氏の口から飛び出したのにはいささか驚いた。

 物流がひと・もの・かねの動きを一変させ、さらにそれぞれが作用しあいさらに高次の段階に進むということだろうが、そうなったら肝心の人の暮らしや住まいはどうなるのだろうかとずっと考えていた。

 ユニクロは2020年までに売上高5兆円を、大和ハウスは2055年までに売上高10兆円をそれぞれ目指す。両社が革命を先導すれば、世界中の人々がつま先から頭のてっぺんまで「ユニクロ」のブランドを身に着け、大和ハウスの「xevo(ジーヴォ)」に住むことになるのだろうか。

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会見場(記者約80人が詰めかけた)

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「プラウド京都麩屋町御池」完成予想図

 野村不動産が京都初の“プラウド”マンション「プラウド京都麩屋町御池」を分譲する。京都市営地下鉄東西線京都市役所前駅から徒歩4分の10階建て全43戸。専有面積は67.34~104.10㎡。価格は未定だが、坪単価は370万円。設計・施工・監理は野村建設工業。入居予定は平成28年3月下旬。

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 同社は9日に記者発表を行ったが、記者は参加していないので何とも言えないが、京都は好きで結構行っているし、リッツ・カールトンの見学会があったときも周辺をみている。

 坪単価はやはりびっくりしたが、今後供給される一等地のマンションは坪500万円を超えるというから、こんなものかとも思う。バブル期は熱海のリゾートマンションだって坪400~500万円がざらだった。購入する人は東京や大阪などの富裕層が相当数占めるのではないか。設備仕様は同社の東京の都心部の物件とどうなのだろう。

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「シティテラス吉祥寺南」完成予想図

 住友不動産は10月10日、三鷹台団地の建て替え・再生プロジェクトの最終章マンション「シティテラス吉祥寺南」のマンションギャラリーを11月1日にグランドオープンすると発表した。価格は未定だが、坪単価は260万円台に収まる模様だ。

 物件は、京王井の頭線三鷹台駅から徒歩12分、三鷹市牟礼三丁目に位置する6階建て5棟全268戸の規模。専有面積は67.11~85.68㎡、価格は未定だが70㎡で南西向きが5,000万円台の後半、東向きが5,000万円台前後、坪単価は260万円台になる模様。竣工予定は平成27年10月中旬。施工は三井住友建設。

 現地は、昭和30年代に建設された旧住宅公団の「三鷹台団地」の一角。平成9年から建て替え・再生が行われており、同社は平成23年に用地をUR都市機構から取得した。敷地面積は約16,000㎡、容積率は120%で、地区計画で高さ規制も20mに抑えられている。敷地南側は第一種低層住居専用地域。

 空地率は45%、緑地面積は約3,600㎡の緑豊かなランドスケープが特徴で、既存樹のケヤキ4本をシンボルツリーとして残し、新たに約2万本の樹木を植樹する。

 外観は、落ち着いた色調のタイルとコンクリート打ち放しの対比を演出し、バルコニーはガラス手すりを採用。一部の住棟には直線的なラインのパーゴラを設け、重厚感を醸し出す。

 住戸プランは70㎡台が中心で、全住戸とも玄関は横入りタイプ。カスタムオーダーメイドも一部対応する。

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外観

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 このマンションが建つ敷地は2年前、大京「ライオンズ三鷹台」を取材したとき見ており、何が建つのだろうと思っていた土地だ。大京のマンションは坪単価220万円くらいだったので、今回はいくらになるかが最大の関心事だった。同社は単価を明らかにしなかったが、坪260万円台になる模様で想定内に収まりそうだ。三鷹駅圏ではべらぼうな単価になると聞いているので、この程度では全然驚かない。

 一般サラリーマンの取得限界にきているが、専有面積も70㎡台が中心だから5,000~6,000万円台中心になるはずだ。

 驚いたのは全住戸の玄関が横入りだったことだ。昨日書いたコスモスイニシア「イニシア武蔵新城ハウス」(124戸)も全戸が横入りだったので、これはデベロッパーもゼネコンも今後はこのようなプランを多く採用するのだろうと思った。いいことは真似たほうがいい。

 高さ規制は納得がいかない。今日も国立マンション裁判の記事で書いたし、大京の「三鷹台」の記事でも書いているので省略するが、高さ規制をあと1m高くして21mにしたら7階建てが可能になり、価格が下げられるし広さも天井高も確保できる(土地代がそれだけ高くなることもあるが)。せめて質の高い建築物は規制を緩和すべきだ。

 ものはついでだ。この際、言っておく。明和地所の国立問題が起きたとき、記者は業界をあげて高さ規制を阻止すべきだと思った。業界団体に「これは国立対明和の問題ではない。業界全体の問題だ。対岸の火事視すべきでない」と詰め寄ったが、相手にされなかった。その結果は皆さんご存知の通りだ。

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エントランス

大京 ライオンズ・リビング・ラボをフル装備した「ライオンズ三鷹台」(2012/5/16)

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「田丸屋ビル」

 ブルースタジオは10月9日、先に改修工事か完了した築44年の賃貸ビル「田丸屋ビル」の竣工内覧会を行った。

 建物は、銀座駅から徒歩6分、中央区銀座7丁目に位置する狭小敷地の5階建て延べ床面積約200㎡。エレベータがついておらず建物の老朽化が進み、賃料を1.2万円/坪に下げても入居者が決まらなかったことから、同社に相談が持ち込まれたもの。

 階段室のステップに木を貼り、オフィスの内部にはオーク材を敷き詰めた。賃貸の対象は2、3階の広さ約53~54㎡。賃料は1.7万円/坪。1階と4階は入居済み。5階は田丸屋が利用する。

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オフィス内部

 国立マンション問題で、国立市が上原公子元市長に損害賠償金の「求償」を求めた訴訟で、市は9日、請求を棄却した東京地裁判決を不服として控訴した。

 朝日新聞の報道によると、市は「今回の判決は住民訴訟判決の判断と乖離があり、訴訟審の判断を仰ぐ必要があると考えた」ためで、これに対して上原氏は支持者の集会で「地方自治のあり方が論じられた一審判決だった。裁判を続けることは国立市民の不幸であり、税金の無駄遣いだ」と訴えたとある。

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 この問題については先に書いた記事を参照していただきたい。市の控訴は当然だ。記者は市が勝訴すると思っている。

 上原氏が「税金の無駄遣い」と批判したようだが、そのままこの言葉を上原氏に返したい。税金の無駄遣いをしたのは当時の市であり、上原氏はその責任者でもあり、自らが旗振り役を買って出たではないか。法人市民、つまりはマンション購入者の財産を大きく毀損したその罪は大きい。

 さらに言えば、あの裁判をきっかけに建物の絶対高さを制限する動きが全国に広まった。街のスカイラインを統一することも美しい場合があることを記者も理解するが、規制をなくしたほうが公開空地を確保でき防災にも役立つし、良好な住宅が建設できる側面もあることを忘れてはならない。

 高さ規制があるために最近のマンションは窮屈なものが増えていることにもっと関心を払うべきだ。

「求償権の放棄」は問題 国立市は上原元市長に賠償請求すべき(2014/10/1)

 

 

 

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「イニシア武蔵新城ハウス」

 コスモスイニシアが11月に分譲する「イニシア武蔵新城ハウス」を見学した。同社の創業40周年を記念するフラッグシッププロジェクトで、その冠にたがわぬ好物件だ。

 物件は、JR南武線武蔵新城駅から徒歩8分、川崎市中原区下新城3丁目に位置する5階建て全124戸。専有面積は70.08~85.79㎡、価格は未定だが、坪単価は231万円の予定。竣工予定は平成27年7月下旬。設計・監理はコスモスイニシア一級建築士事務所/コスモスデザイン。施工はライト工業。

 テーマは「やさしいシカク」-パンフレットなどには、その意味として「住む人にとってやさしい住まいって、どんなカタチ? それは空間から柱や梁の凸凹をなくした、フラットで、伸びやかな自由空間」とある。

 この言葉通り、リビング、居室、コーナー、天井、壁などの面に一切柱型や梁型が出ていない。カーテンボックスも埋め込み型にしてすっきりさせ、廊下と居室ドアの引き戸の高さも2400ミリにし、収納なども天井まですっきり収まるように工夫している。

 特徴はこれだけではない。玄関は全て横入り型とし、下足入れ下部には業界初と思われる内倒し窓を設置。専有面積は70㎡台が中心だが、居室はほぼ正方形の5畳大とし、それぞれがフレキシブルに使えたり、シェアしたり可変性を持たせたりして住まい方の提案を行っている。外廊下側の窓は壁面より1mセットバックさせ、その上部は花台、下部は室外機置場としている。外廊下とバルコニーの床は新製品という木目調シート張り。

 二重床二重天井で、フローリングの遮音性能はLL-40。床は有償だがチェリー、メイプル、オークに変更も可能。キッチンカウンターは最近珍しいステンレス製。食洗機も標準装備で、水栓はグローエ。カラーリングは白が基調。

 建物のエントランス左官職人・久住有生氏による「土の壁」を採用。壁は左官コテ仕上げも多用している。

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すっきりした住空間

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 今回の物件が創業40周年の記念マンションだということはモデルルームを見学するまで知らなかったが、同社野球部の選手から「ぜひ武蔵新城をみてほしい」と言われていた物件だ。

 同社の40年のマンションの歴史で、真っ先に思い出すのは「コスモ蕨」だ。昭和60年に完成した12階建て150戸のマンションで、当時の社名はリクルートコスモス。最大の特徴は住戸プランが7900×7650=60㎡、つまりほとんど正方形の間取りで、南面に3室を確保し、廊下スペースをほとんどなくすことで60㎡でありながら居住性を高めていたことにある。

 記者はこれに驚愕した。高層マンションにこのような商品企画を持ち込んだのは同社が初めてだった。リクルート系のデベロッパーとして末恐ろしさを感じた。

 あれから30年余。同社には紆余曲折があったので、当時の社員が残っているかどうかわからないが、記者はあのキュービックプランと今回の「シカク」が1本の線としてつながった。面白いことに、今回のマンションの5畳大の居室もほとんど四角だ。「シカク」とは「四角」ではないか、それとも「死角」、つまり盲点となっていたものをあぶりだすという狙いか。

 先につらつらと書いたように商品企画が秀逸だ。下足入れの窓は換気と脱臭に効果があるはずだ。ステンレスのキッチンカウンターは美しい。洗面所のデザインもいい。とにかく美しいマンションだ。

 おまけに坪単価について。販売事務所で真っ先に環境開発やらリクルートの上場の話しやらをした後、いつものように単刀直入に「坪単価230万円でどうですか」と聞いた。答えは「231万円」だった。読者のみなさんは嘘だろうと思うかもしれないが、聞いたとき広報担当者と販売担当の3人の方がいた。まさかズバリ的中するとは思わなかったが、これが記者の相場観だ。

 それからプランを見たのだが、単価と商品企画を総合的に評価すれば、これは間違いなく売れる。駅の反対側には野村不動産の「プラウド」もある。こちらは見ることができなかったので何とも言えないが、コスモスイニシアが勝っても驚かない。

 川崎市には注文をつけたい。ここの用途地域は第一種中高層住居専用地域(建蔽率60%、容積率200%)だが、高さ規制も15mと定められている。公開空地を確保することなどを条件に高さ規制を緩和すれば、もっと素晴らしいプランのマンションになるし、街づくりにも貢献する。高さ規制の是非をもういちど官民が考えるべきだ。

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キッチン

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洗面

 

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「東京大学稷門(しょくもん)賞」受賞式

 大和ハウス工業が今年4月、東京大学に寄贈した「ダイワユビキタス学術研究館」が今後の同大学の教育研究分野への貢献が期待されるとして、個人、法人または団体に贈られる「東京大学稷門(しょくもん)賞」を受賞した。

 「ダイワユビキタス学術研究館」は、同大学院情報学環の坂村健教授が監修。世界最先端のICT技術を活用し、温度・湿度などを自動検知する「環境モニタリングシステム」、自分の場所を自動認識する「ユビキタス場所情報インフラ」が導入されている。

 意匠・設備設計は同大学院工学系研究科の隈研吾教授が担当。杉板や土など自然素材を多用しているのが特徴。

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「ダイワユビキタス学術研究館」

表も裏も美しい 東大「ダイワユビキタス学術研究館」完成(2014/5/14)

 

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「飯田橋サクラテラス」

 三井不動産などが今年6月に竣工させた30 階建てのオフィス・商業施設「飯田橋グラン・ブルーム」の1~3 階部分の商業ゾーン「飯田橋サクラテラス」が10月10日(金)にグランドオープンする。8日、開業に先駆け報道陣に公開された。

 1 階にはベーカリー、スーパー、フィットネスクラブ、2階にはカフェ・バー・ダイニング、牡蠣系魚介ビストロ、3階には魚系居酒屋、中華料理、焼肉、ラーメン、医療機関など新業態7店舗を含む25店舗が出店する。

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壁にモザイク状の木片が張りめぐらされている

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 6月の竣工見学会の記事でも書いたが、商業ゾーンはいたるところに本物の木の素材が用いられているのが特徴だ。「室町」も自然素材をふんだんに採用しているが、やはり木はいい。店舗関係者にも好評だった。

 もう一つ改めて感心したのは、街全体の緑化だ。〝サクラテラス〟と名づけられている通り様々なサクラが植えられているのだが、他の高木もテラス部分も含めてたくさん植えられている。街びらきの段階で高木がしっかり植えられているのが嬉しい。

 先週末、吉川美南駅の貧弱な街路樹を見せられただけに、その差を考えてしまった。樹齢差はおそらく20年、30年はあるはずだ。予算をかけたくないからだろうが、幼木しか植えず、成木したらしたでお金を掛けて電柱のようにぶった切る。自治体の街づくりがまったく理解できない。少しぐらい民間を見習ったらどうか。

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2階テラス(左)と敷地内の高木

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 店舗で気に入ったのは「牡蠣ビストロ 貝殻荘」だ。記者は牡蠣が大好きで、「牡蠣」を見たり聞いたりするとまるでパブロフの犬のように反応してしまう。

 ミントの香りをしみこませたウオッカに火をつけて蒸し牡蠣を出す演出が特徴。他の店舗が全て禁煙なのに、こちらは喫煙できるのもいい。この日は無料で飲み放題の計らいを断るのも失礼かと考え、美味しいワインも2杯頂いた。最近はあちこちに牡蠣料理店ができている。結構なことだ。三重県の世界ブランド「的矢の牡蠣」が少ないのは残念だが、あっても高くて食べられないか。

 2階中庭に面したイタリア料理とワインの「Luccollina 」もいい。イタリアの食材、ワインの輸入卸業を展開する会社の初の直営店。ワインは50種以上、割安で飲めるという。

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「牡蠣ビストロ 貝殻荘」(左)と「Luccollina 」

ひと・もの・かねの動きを一変 三井不動産「飯田橋」再開発が完成(2014/5/31)

 

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