大和ハウス スマートハウス「SMAEco(スマ・エコ)」ブランド展開
「D-HEMS 3」を利用するイメージ
大和ハウス工業は4月3日、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)、太陽光発電システムを標準搭載したスマートハウスブランド「SMAEco(スマ・エコ)」を戸建住宅全商品に4月5日から展開すると発表した。
第一弾として、エネルギーの収支ゼロを目指す「スマ・エコゼロエナジー」と、家庭用リチウムイオン蓄電池を搭載した「スマ・エコチャージ」を発売する。
「SMAEco」には、パナソニックと共同開発した新型HEMS「D-HEMS 3(ディー・ヘムス・スリー)」、太陽光発電システムを標準搭載。「D-HEMS 3」とエネルギー機器や家電機器をつなげることで、宅外から遠隔で施錠やエアコンなど家電の操作ができ、HEMSとしては初のテレビ視聴や録画などの機能も付加している。
「スマ・エコゼロエナジー」では、断熱仕様を次世代省エネルギー基準仕様としたほか、LED照明などの採用により、エネルギー収支がゼロとなる。
「スマ・エコチャージ」では、蓄電池、「D-HEMS 3」、太陽光発電システムを組み合わせることで、新省エネ基準による住宅と比べ、光熱費を年間約26万円削減できるとしている。
「スマ・エコゼロエナジー」は、次世代省エネルギー基準仕様が37.8万円、「D-HEMS 3」が16.2万円、太陽光発電システムが54万円/kW。
「スマ・エコチャージ」は、6.2kWhリチウム蓄電池が225.72万円、「D-HEMS 3」が16.2万円、太陽光発電システムが54万円/kW。
積水ハウス 業界初「字幕付きテレビコマーシャル」開始
テレビCM
積水ハウスは4月3日、住宅業界で初めて「字幕付きテレビコマーシャル」トライアル放送を実施すると発表した。
長年、家づくりで培ったユニバーサルデザインの視点をCMにも反映させるもので、音声情報を字幕で選択表示することで、耳の不自由な人により正確な情報やメッセージの伝達を目指すもの。
BSフジの同社が提供する番組「五木寛之『風のCafe』」内で字幕付きCMのトライアル放送を4月5日(土)から実施する。
わが国の難聴者人口は潜在的な難聴の方も含めると約2000万人と推定されており、デジタル放送への移行に伴って字幕番組は年々増加し、NHK(総合)では83.5%、在京民放テレビ5 社では9 割以上(93.3%)が字幕付きになっている。1週間の総放送時間の約18%を占めるテレビCMへの字幕付与は数社によるトライアル放送が始まっている。
ナイス 常識破りの「住まいるCafe」来館者は前年度比8倍増9.6万人
「住まいるCafe鶴見東」の「キットパス教室」(記念写真は記者が頼んだわけでもないのに集まってくれた。お互いの信頼関係が築けているからできることだ)
店舗はまるで幼稚園・保育所状態
年度末の3月下旬。不動産仲介店舗は目標数字を達成するために追い込みに躍起になっている。営業マンは店長に尻を叩かれ飛び回っているはずだ。通りかかったナイスの仲介店舗「住まいるCafe鶴見東」にはたくさんの人が集まっているように見えたが、様子が変だった。覗いてみようと近づいたら、久保正人所長が手招きした。久保氏とはRBA野球で10年かそれ以上のお付き合いだ。
店に入って驚いた。奥の方には商談か会議か額を突き合わせているグループもあったが、店内はまるで保育所・幼稚園化していた。小さな子どもを連れたお母さんたちで溢れていた。10組くらい集まっていたのではないか。何事かと聞いたら専門家を呼んで「キットパス」の教室を開いているという。キットパスとはつるつるした平板なものなら絵が描けて、ぬれたタオルなどで簡単に消せる新しい絵の具だそうだ。
もともと記者は仲介の取材はほとんど行ってこなかったが、このような光景は他社の店舗ではまずないはずだ。ナイスの店舗では日常化しているというから驚きだ。
スペースは無料で開放。習いごとやサークル活動に利用できるほか、町内会や商店街の特売情報なども発信している。コーヒーが無料で飲めるコーナーもあり、毎日のように訪れるお年寄りや、若い女性が立ち寄ることもあるという。スタッフから物件を紹介することなどは厳禁。久保所長は「私も何をやっているかよくわかりません」と笑う。
「住まいるCafe」
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同社グループが運営するホームセンター「ライブピア」内に昨年11月にオープンした「住まいるCafe鶴見ライブピア」は、他の「住まいるCafe」とはまた違っている。
車いすなど介護用品やユニバーサルデザイン商品がたくさん展示されており、バリアフリーなども体験することができるほか、耐震、断熱リフォームなど住まいに関するあらゆることが分かる工夫が凝らされている。
すべてのスタッフが福祉用品貸与事業を行なう事業者に義務付けている「福祉用具専門相談員」講習を受けているという。無料の耐震診断・相談が受けられるほか、リフォームに関するセミナーなども頻繁に行なわれている。
「住まいるCafe鶴見ライブピア」
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同社広報室室長・渡利勝也氏は「住まいるCafe」の事業を開始した経緯、目的などを次のように話した。
「当社はもともと地域に根ざした仲介店舗を展開してきました。最近は他社でもマンション、戸建て、賃貸、仲介などワンストップで対応するところもあります。当社は当社らしい他社にはできない切り口の店舗展開をやろうとそれまでの『住まいの情報館』から社内公募により名称を『住まいるCafe』に昨年4月に変更しました。店舗数は鶴見、川崎を中心に18店舗。不動産情報の提供だけでなく、地域のプラットホーム、地域の交番でありたいというのが理念です。
なぜ、そのようなことができるか。われわれはこのエリア中心に最近はマンションだけでも年間1,000~1,500戸を供給しています。仲介店舗もあります。新規物件を供給する際には公共施設、商業施設、学校などの情報をパンフレットに盛り込みますし、チラシも配布する。地域の情報はみんな知悉しています。
ならば、こうした情報を地元の人に還元しようという取り組みです。仲介店舗は当社もそうですが他社も土曜、日曜日はともかく平日はガラガラです。地域に開放しても不都合は生じない。
『ライブピア』に福祉用品などの情報を提供する新しい形の店舗を提案したのも、『ライブピア』を利用されるお客さんの6~7割の人が60歳以上ということから設置を決めたものです。
地域密着の究極を目指そうというのがわれわれの取り組み。理念の共有も徹底して進めています。
マンション事業で進めている免震や外断熱、戸建て事業で展開している『パワーホーム』も、住宅のトラブルをなくしたい、住宅を通じて家族を守ろうという発想が基本です」
「キットパス教室」
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同社は経営理念に「お客様の素適な住まいづくりを心を込めて応援する企業を目指す」ことを掲げている。〝住まいづくり〟に〝素適な〟〝心を込める〟と2度も強調されると、逆にマイナスにならないかと心配もするが、ここに同社の強いメッセージが込められている。
同社が地盤とする鶴見、川崎エリアは以前からマンションデベロッパーの激戦地となってきた。大手デベロッパーや中堅との競争を余儀なくされてきた。それでも圧倒的なシェアを守り、競争に打ち勝ってきたのは免震であり外断熱であり、〝70㎡の4LDK〟提案だったりする。70㎡の4LDK提案など地域を熟知しているからできることだ。
大切なことは死守し、そうでないことは柔軟に対応するということだ。その姿勢は、今回に限らずマンションや野球大会での取材でも感じることができる。まったく気負いがないのだ。ギラギラとしたものがない。その一方で、野球では勝っても負けても延々と反省会をやる。分譲と仲介の人的交流も積極的に行なうのも同社の特徴だ。
記者は平田恒一郎社長が社長に就任した1988年前に「うちは地域ナンバー一の座は譲らない」と話したのを今も覚えている。1950年に会社が生まれてから64年になるが、社名は2007年に持ち株会社移行に伴い旧「ナイス」が「すてきナイス」に社名変更したのを含め5度も変わった。これほど社名が変わった上場会社はほかにないはずだ。変わらないのは「住宅」を通じて社会に貢献しようという理念だろう。
「住まいるCafe」の来館者は2012年度の1カ月当たり約1,000件(全店合計)から2013年度は約8,000件と実に8倍増だそうだ。年間にすると約9.6万人だ。常識を破る取り組みが今後どのような展開を見せるか注視したい。
「住まいるCafe鶴見ライブピア」 無料耐震診断や同社の「パワーホーム」の構造も見ることができる
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元三井不動産販売(現三井不動産リアルティ)コンプライアンス室長で、NPO法人日本レジデンシャル・セールスプランナーズ協会理事・谷中健太郎氏と電話で話す機会があった。
このナイスの事例を話すと、谷中氏は「それはすごい。私も多くの仲介会社と付き合って40年になるが、一部を除き売り上げのことばかり。地域密着とはみんな口では言うが、どこまで実践できているか。私は、日本古来の地域の風土記を語れるくらいにならないとダメだと思っている。この業界は本物のプロ集団になれるか、ステップアップできるのか、各社の仲介戦略・戦術の優劣が鮮明になると実感している」と話した。
アキュラホーム〝カンナ社長〟宮沢氏、入社式で手本示す
アキュラホームグループの入社式(この女性新入社員の腕は相当なもの。右は宮沢社長)
アキュラホームとグループ会社のオカザキホームは4月1日、合同の入社式を行い、アキュラホーム・宮沢俊哉社長は「夢をもって大いに経験を積み、道を極めてほしい」と訓示した。
今年度の新卒新入社員は、アキュラホーム51名、オカザキホーム4名の合計55名(男性31名、女性24名)。
宮沢社長は入社式で、「今年度は、アキュラグループにおいて史上最も多い1 万3 千人以上のエントリーがありました。数ある企業の中から慎重に検討し、当社を選んでいただいたことを心より感謝いたします」「皆さんには、ぜひ夢を持ち、それを目指していただきたいと思います。どんなに小さなことでも構いません。それを目指しながら、これから自分に合うことを徐々に見つけていってください。アキュラホームは皆さんに夢を持つ場、実現できる場を提供していきます」「失敗を恐れず様々なことに挑戦し、大いに経験を積んで道を極めてほしい」などと呼びかけた。
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同社は2006年から入社式で〝カンナ社長〟の異名を持つ宮沢社長が直々にカンナがけを行うことが恒例となっている。宮沢社長が手本を示し、新入社員全員がカンナかけを体験した。
「そうじゃないんだよ。そう、そう。それでいいんだよ」社長のうれしそうな声が聞こえそうだ。
新入社員には宮沢社長手づくりの辞令が手渡された。辞令の寸法はB4。カンナで削ってできたヒノキの削り華(かんなくず)を和紙に接着させたもので、人の個性と同じように、一枚一枚柾目が異なるものだという。55人分の辞令をつくるために社長は1日3時間、10日間費やしたという。1人当たり32分だ。社長室で黙々制作に励んだのだろうか。
記者は、宮沢社長のカンナかけを見せてもらったことがある。さすが元大工。シュルシュルと香しい薄絹のような削り華がしなやかに舞いながらカンナ口から紡ぎだされてきた。
そんな宮沢社長でも、ミクロンの技を競い合うカンナかけの全国大会では入賞すらできないそうだ。いま大工さんは現場でカンナを使うことはあるのだろうか。
辞令
一次取得層向けの希望の星 清水総合「ヴィークスクエア船橋高根台」健闘
「ヴィークスクエア船橋高根台」完成予想図
消費税が8%に引き上げられた4月1日、清水総合開発が分譲中の「ヴィークスクエア船橋高根台」を見学した。第一次取得層にとっては何とか取得できる希望の星、最後の砦のような存在だ。
物件は、新京成線高根公団駅から徒歩10分、船橋市高根台3丁目に位置する7階建て全262戸。現在分譲中の住戸の専有面積は67.27~82.46㎡、価格は2,428万~3,278万円、坪単価は120万円前後。竣工予定は平成27年3月中旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
物件が位置する「高根台団地」は、昭和30年代にUR都市機構(当時日本住宅公団)によって開発された施行面積約73ha。計画戸数約5,000戸の千葉県内でも屈指の大規模団地で、建物が老朽化したのに伴い建て替え・再生事業が進行中だ。
住宅の建て替えのほか、民間によるマンションや戸建て分譲のほか、商業施設、病院、高齢者支援施設、保育園・幼稚園、公園などが整備されることになっている。
これまで民間マンションとしては、清水総合開発「ヴィークステージ船橋高根台」(130戸)が今年1月に竣工、すべて完売。戸建てとしては野村不動産「プラウドシーズン船橋高根台」(62戸)も残りはほとんどない。
「ヴィークスクエア船橋高根台」の建物は南向きが中心に東向きと西向きの4棟構成。専有面積は平均74㎡で、設備仕様としてはディスポーザが標準装備。全戸平置き駐車場付きで、料金は無料。
3月中旬から分譲開始されており、供給された140戸のうち半分の約70戸が契約済みだ。
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都心から測れば近いとは言い難い。乗り換え時間などを入れれば1時間半くらいかかる。しかし、圧倒的な価格の安さがある。坪120万円でこれから建てられるマンションなど首都圏はおろか地方圏でも難しいのではないか。一次取得層にとっては最後の砦のような存在だ。
現地販売担当者によると、「ヴィークステージ船橋高根台」は4か月くらいで完売となったそうで、坪単価は115万円くらいとか。今回は消費増税率3%を上回る4.3%の上昇だ。これでも長谷工コーポだから低く抑えられたと記者は見ている。
今後のマンション用地としては「ヴィークスクエア船橋高根台」の隣接地約6,600㎡の入札が予定されているほか、さらに数百戸分に当たる用地が分譲されるようだ。戸建て用地としてはポラスグループが約130戸を分譲する予定。駅前の5,000㎡弱は商業施設用地となる。
現地(左側がマンション敷地。街路樹はユリノキと思われる)
新入社員に贈るキーワードは「チャレンジ」 「R.E.port」の各社社長あいさつから
昨日(4月1日)の不動産流通研究所のWeb「R.E.port」は住宅・不動産・流通17社の入社式での社長あいさつ要旨を紹介している。同社の了解を得たので、以下に紹介する。
鉄は熱いうちに打て。春爛漫のこの日、各社長は新人の胸に響く熱い言葉を放った。キーワードは「チャレンジ」「挑戦」だ。17社の社長が語ったあいさつの中で「チャレンジ」「挑戦」の言葉は全部で20ある。
三井不動産・菰田正信社長、野村不動産ホールディングス・中井加明三社長がそれぞれ3度用いたのをはじめ、12社の社長が果敢にチャレンジすることを呼び掛けた。語らなかったのは三井不動産リアルティ・竹井英久社長、三菱地所レジデンス・小野真路社長、東京建物不動産販売・種橋牧夫社長、積水ハウス・阿部俊則社長、森トラスト・森章社長の5氏のみだ。
三井不・菰田社長は、新人に期待することとして「自立した個人」「幅広い視野を持つ」「チャレンジスピリット」「健全な心身を保つ」「社会人としてのコモンセンスを持つ」-の5つを語った。
三菱地所・杉山博孝社長は、「守るべき」創業の原点である三菱三綱領(所期奉公・処事光明・立業貿易)を引き合いに出し、「英語に直せばそれぞれpublic、fair、globalだ」と話した。
住友不・仁島浩順社長は、「寄らば大樹の陰は通用しません。誰かに言われるがまま盲従することなく、皆さん一人ひとりが自ら考え、信念をもって行動することが肝要」と語りかけた。
野村不ホールディングス・中井社長は、「私の信念でもありますが、『人を育てる事が、すべての戦略実現に繋がる』」と自らの信念通り、新人を育てることを約束した。
東建・佐久間一社長は、仕事をする上で大切にして欲しい基本姿勢として「総合力の発揮」「現場主義」「スピード」の3点を強調した。
大京・山口陽社長は、「我々のようなBtoCを中心業務としている企業は、お客さまからの信頼という貯金を積み上げる努力が必要です。誠実で嘘がなく、人望がなければ相手から信用、信頼はされません」と、生き方を説いた。
三井リアル・竹井社長は、「『ひと、社員』に積極的に投資を続けて行こうというのが当社の成長戦略の柱であり、新入社員の皆さんは、我々の希望の星、期待の星」と最大級の言葉で望みを託した。
住友不販・田中利和社長は、「皆さんの成長なくして、当社の発展はありません。知識の習得はもちろん、人としての成長も期待しています」と人間力を磨くことを強調した。
積水化学工業・根岸修史社長は、「貧乏くじは当たりくじ」「難題のタイミングには意味がある」「振り出しに戻る時が新たな成長へのチャンス」の3つをアドバイスとして贈った。
大和ハウス・大野直竹社長は、「役職員全員が売上高3兆円という通過点を超えるため積極果敢に挑んでおり、一丸となって業容拡大を図っています」と同社の現状を踏まえ、「皆さん一人ひとりがその大きな仕事を託す価値のある人間かどうかにかかっている」と成長を託した。
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新入社員の諸君には、この不動産流通研究所の「R.E.port」を毎日読むことを記者は勧めたい。深く考えなければならないことはともかく、これほど世の中の動きが激しいと、週刊・月刊の業界紙誌に頼っていては、毎日生起する事象に追いついていけなくなる。
「R.E.port」は唯一といっていいくらい住宅・不動産・流通各社のニュースリリースを網羅し、毎日報じている。ただで読めるのだからありがたいことだ。寝る前、出社したとき必ずチェックしてほしい。病的なまでに指をせわしなく動かすスマホもいいが、しっかり新聞を読み、本も読んでほしい。
記者が贈る言葉は、月並みだが「石の上にも三年」だ。がむしゃらに3年も頑張れば未来が見えてくる。それでも芽が出なければ、さっさと会社に三下り半、絶縁状を突きつければいい。再チャレンジの時間は十分残されている。
大和ハウス 管理会社の大和ライフネクストとダイワサービス合併
大和ハウス工業は4月1日、同社グループ会社のマンションやビルなどを管理する大和ライフネクスト(渡邉好則社長)とダイワサービス(城戸知幸社長)を同日付で合併すると発表した。合併によりマンション管理戸数は約23万戸となる。
存続会社はダイワサービスで、代表取締役会長には山根弘美氏、代表取締役社長には渡邉好則氏がそれぞれ就任する。
大成有楽不動産「オーベル志村城山」駅3分の一等地に立地
「オーベル志村城山」完成予想図
大成有楽不動産の「オーベル志村城山」を見学した。駅から徒歩3分の高台に立地する志村坂上の〝一等地〟マンションだ。
物件は、都営三田線志村坂上駅から徒歩3分、板橋区志村二丁目に位置する9階建て全74戸(地権者予定住戸7戸を含む)。専有面積は62.29~101.68㎡、価格は未定だが、坪単価は230万円前後になる模様。竣工予定は平成27年2月中旬。施工は大成ユーレック。販売開始予定は5月下旬。
現地は、駅近でありながら車などほとんど通らないマンションや戸建てが建ち並ぶ閑静な住宅街の一角。敷地の近くには、江戸時代に徳川吉宗が鷹狩りの際に立ち寄り、清らかな湧水を称えたという逸話を記す石碑が建っている。北側の道路との比高は約12mあり、眺望もいい。
マンションのレベルも高い。建物基壇部には自然石を配し、エントランスホールには大理石にガラス素材を貼りつけた「光壁」を採用。
住戸設計では、天井や壁際の梁の出っ張りを解消した「壁内蔵梁工法」や逆梁ハイサッシを採用。
モデルルームは100㎡のオーダータイプ。同社のオリジナル商品を開発していく取り組み「O-range LABO(オレンジラボ)」から生まれた「オレンジ収納」をフル装備しているほか、大理石、御影石をふんだんに用いている。キッチンシンクはユーテイリティシンクを採用。ドア把手は壁面から出っ張らないようセットバック。物干しポールをリビングに取り付けている。「スマートマンション」認定も取得している。
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販売事務所には驚いた。過去6~7年間の間に3度も訪れたことのあるところだったからだ。最初は野村不動産の、その次は三菱地所レジデンス(当時、藤和不動産)、3度目は大京のマンションだった。そして今回。同じ場所で異なる4社のマンションモデルルームを見学するのは記憶にない。
過去に見学した3物件と比較しても今回が立地は一番いい。そこで記者がはじき出した単価は230~240万円。ほぼぴったりだった。一等地にふさわしい単価設定だ。
毎回毎回、単価予想が的中することについて読者の方々は不思議に思うかもしれない。「嘘だろう」と訝るかもしれないが、現地取材を重ねると、単価が見えてくるのだ。単価予想が外れるようならよほど市場が激変しているか、記者の見る目がないかのどちらかだ。
大成有楽不動産のマンションは飛躍的によくなっている。今回の見学でそれを確認することができた。「浦和」でも官庁街の一角で分譲するというので近く見学してまたレポートしたい。
完成予想CG
サ高住「コーシャハイム千歳烏山」 「囲い込み施設にしない」JKK狩野氏
「コーシャハイム千歳烏山」9号棟
東京都住宅供給公社(JKK東京)、東京建物不動産販売、やさしい手、はなまる会の4者は3月31日、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「コーシャハイム千歳烏山」の現地発表会を行った。サ高住と24時間在宅サービスを組み合わせ、かつ団地内やその周辺に居住する高齢者にもサービスを提供する地域包括ケアシステムの拠点としての役割を担う新しい取り組みとして注目される。
現地は京王線千歳烏山駅から徒歩5分。世田谷区南烏山6丁目に位置する昭和32年に管理開始したJKKの「烏山住宅」(21棟584戸)の建て替え事業の一環として整備されたもので、サ高住86戸を含む賃貸住宅94戸のほか、居宅介護支援などを行う高齢者施設、認証保育所、クリニック、レストラン、コミュニティカフェなどを備えた多世代交流を促進する機能を持たせているのが特徴。サ高住の専用面積は約25~67㎡、賃料は67,800~184,600円。管理費は約3万円。サービス料は1人入居が33,000円、2人入居が48,000円。オプションの食事代は60,000円。
JKKが建設した建物を東建不販などが一括賃貸し、管理運営するもの。併設する施設は転貸により運営する。平成25年に工事着手し、今年2月、建物が竣工した。施設事業費は約22億円。
JKK少子高齢対策部長・狩野信夫氏は、「烏山住宅」の建て替え、今回のサ高住について説明し、「医療・介護などのサービスは入居者だけでなく、団地や周辺の方々にも開放するのが大前提。街の中にサ高住が溶け込むヒューマンスケールの事業にしなければならない。これまでのような囲い込みをする施設・住宅であってはならない」と強調した。
サ高住と併設施設を管理・運営する東建不販賃貸営業本部シニアレジデンス事業担当部長・菊地達也氏は、「25㎡のワンルームタイプだけでなく、夫婦二人で住むニーズがあると考え50~60㎡台の広めのタイプも多く企画したのが当たった。1期募集55戸には174件の登録があるなど予想通り評価された。5月には引き続き2期として30戸くらいを募集する。賃料はマーケット並みに設定した。多世代の住まいを創出するプロジェクトとして万全のサポートをしていく」と語った。
◇ ◆ ◇
さすがJKKだ。住環境が抜群。各住棟の間隔が十分確保され、植栽計画もいい。分譲マンションなら坪300万円でも売れるような価値のある団地だ。東建不販のサ高住はこれまでも見てきたが、これまた水準以上。
ただ、既存住宅の躯体を改修した一般住宅との共生を目指すという11号棟のプランは首をかしげざるを得ない。床をバリアフリーにするため200~250ミリかさ上げしており、天井高は2200ミリで、玄関ドア、サッシ、梁型の部分などは1500~1700ミリしかない。入居する人が腰の曲がったおじいちゃんおばあちゃんならいいかもしれないが、住宅としては問題ありだ。
既存住宅を改修した11号棟
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一般に開放するカフェレストラン「てらすチトカラ」、コミュニティカフェ「ななつのこ」に注目した。やさしい手・香取幹社長によると、最近はこのように一般に開放した施設の取り組みが増えており、概ね好評とのことだった。
しかし、記者は一般の人が気軽に利用するにはハードルが高いような気がしてならない。特別養護老人ホームや民間の有料老人ホームにも体験宿泊したことがあるが、要介護の方たちと一般の方が談笑しながら食事をしたりお茶を飲んだりする雰囲気ではない。交流を促す工夫が必要だと思う。サ高住は決して「囲い込み施設」でも「姥捨て山」でもない。高齢者の知見、知識をどんどん引き出し、活用する場にしてほしい。
クリニック、保育所、コミュニティカフェなどが入居する12号棟
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医療サービスを担当する医療法人社団はなまる会理事長(院長)矢野孝子氏が素晴らしいスピーチを行った。事業概要の説明が終わるころで、記者は早く現場を見たい一心で矢野氏の話は全然聞いていなかった。
ところがだ。「戦争に生き抜いた…」という言葉にピクリと反応した。後で矢野氏に詳しく聞いた。矢野氏は、「戦争に生き抜き、戦後の今の豊かな時代を築き上げた人生の大先輩の方々に感謝と敬意を表して、これまでの人生に花丸を差し上げたい」と話したのだそうだ。「はなまる会」の名前はそのために付けたという。
矢野氏は「父が死んだ病院で介護医療は経験したことがある。理想の在宅医療を求めて医療法人を立ち上げた」と話した。
矢野氏には、「先生、我々団塊世代も大変な苦労をしてきました。受験地獄を味わいましたし、バブル崩壊にリーマンショック、阪神淡路に東日本大震災。どうぞわれわれにも『花丸』を付けてください」とお願いした。今回開業した「烏山はなクリニック」のカーテンはピンクで統一されていた。先生の好みだそうだ。かかりつけの医院をここにしようかしら。
クリニック(カーテンはピンクで統一されていた)
◇ ◆ ◇
もう一つ。質疑応答で、介護・福祉関係の記者と思われる方が、24時間サービスを行う「コンシェルジュ」について、「賃金はいくらか」とあからさまな質問をした。香取社長もこのような質問には驚いたようで「普通よりはいいと思います。正社員並み」と答えるにとどまった。
記者などは「坪単価はいくらか」と必ずマンションの価値を価格に換算して聞くが、さすがに商品を提供するデベロッパーの社員の給与を聞く勇気はない。しかし、専門紙誌の記者の方が単刀直入に聞かざるを得ないほど介護・福祉関係に勤める人の待遇が良くないのは記者も理解している。特養に体験宿泊した翌日、記者は疲れて半日ダウンした。
タカラレーベン新ブランド「THE LEBEN」第一弾「G/CLASSIC 山の手PJ」
「G/CLASSIC 山の手PJ」モデルルーム
商品企画は女性中心リーダー高荒氏は営業統括グループ長に昇格
タカラレーベンの新ブランド「THE LEBEN」シリーズ第一弾「G/CLASSIC 山の手PJ」を見学した。JR山手線大塚駅から徒歩11分、比高差にして約9mの丘の上に位置し、敷地は江戸時代中・後期の大名で、肥前国平戸藩の第9 代藩主だった松浦清(まつらきよし)氏の私邸跡地。商品企画は女性メンバーが中心の部署が担当。単価320万円は割安感があると見た。
物件は、東京メトロ丸の内線新大塚駅から徒歩9分、JR山手線大塚駅から徒歩11分、豊島区南大塚一丁目の第1種中高層住居専用地域に位置する地下1階地上5階建て全43戸。1期(8戸)の専有面積は58.71~80.15㎡、価格は4,998万~7,898万円。坪単価は320万円。竣工予定は平成27年3月上旬。施工は大和小田急建設。設計・監理はアーバンライフ建築事務所。3月30日に1期分譲が始まる。
モデルルームは〝非日常を〟演出しているが、玄関床は天然大理石、キッチンカウンターは御影石かフィオレストーンか無料で選択できる。食洗機、ディスポーザ、食器棚、バックカウンターも標準装備。
商品企画を担当したのは同社第4営業部。女性7人に男性2人の女性が中心の部署だ。物件の販売も担当する同部1課課長代理・岩元里江氏は、「用地は昨年取得。野村(克也)さんが『勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし』と話されたのは、もともとは清の随筆集『甲子夜話』が出典です。2月22日からモデルルームをプレオープンしており、来場者は約300件。巣鴨駅や六義園駅はフラットなのもセールスポイントのひとつ」と話した。
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記者は、道すがらいつものように分譲単価をはじいた。320万円だった。表通りからなだらかな坂を上った。坂は長所でもあり短所だ。とりあえず坂の上まで上ってみようとのぼった。工事中のその一角だけが大きな区画のままであることからも、邸宅跡地であることがすぐわかった、。現地から周囲を眺めた。南西側は1階部分でも前面の建物の日影をほとんど受けないことが確認できた。敷地南側の法面には竹林が残っていた。これなら340万円でも行けるかもしれないと考えた。
岩元氏から320万円くらいだと聞いて納得。腹八分目がいちばんいい。この単価なら文京区などの競合物件に負けないのではないか。
◇ ◆ ◇
岩元氏とは他の現場でもお会いしているが、岩元氏が所属する女性中心の部署のリーダーは高荒美香氏だ。初めてお会いしたのは3年前だが、当時は次長だった。現在は営業本部第四営業部副部長で、この4月1日には同部営業統括グループ長兼営業推進部長兼営業企画室長に昇格する。
同社は4月1日付で現社長の村山義男氏が会長に、副社長の島田和一氏が社長にそれぞれ就任するが、島田氏は高荒氏を以前から高く買っていた。全幅の信頼を寄せているようだ。
モデルルーム