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墨田区向島のスズカケの街路樹

 「東京スカイツリー」をけなすつもりも墨田区を批判する気持ちも毛頭ないが、やはり言わざるを得ない。書かざるを得ない。

 「スカイツリー」がたくさんのお客さんを呼ぶのは結構なことだ。しかし、あれは「故郷」と同じだ。遠くから眺めると確かに美しく見えるかもしれないが、近くから仰ぎ見ると異形の形がぐっと迫ってくるようで心臓に悪い。地元の人はどのような評価をしているのだろう。

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押上駅前からのスカイツリー

 コスモスイニシアの賃貸マンションの取材を兼ねて、スカイツリーのある押上から向島3丁目、4丁目、5丁目を歩いた。

 「向島」は永井荷風などの小説の舞台になっており、昔からいいイメージを持っているのだが、街を歩いてあまりにも街路樹が貧しいのに悲しくなった。写真を見ていただきたい。緑がないところを選んで撮ったのではない。どこを歩いても四方八方を眺めても強剪定されたスズカケしかないのだ。あの枝を見ると記者は木が発狂しているようで恐怖を感じる。

 唯一と言っていいくらいの墨田区らしい街路樹は、森鴎外の居宅跡がある桜橋通りに植えられたハナモモだった。これは最近整備されたようで、高さは3mもなかった。

 社に戻り、ネットで調べて愕然とした。墨田区内には23年度現在、街路樹は7,452本ある。多いか少ないかはさておくが、このうちスズカケが約42%の3,123本だ、次に多いのがトウカエデの1,221本、それにアオギリ278本、イチョウ267本、マテバシイ188本、アメリカフウ154本、ハナミズキの142本と続き、その他が1,746本だ。

 読者のみなさんはここで気が付いただろうか。なんと常緑樹はマテバシイだけで、他は全て落葉樹。街が寒々と感じるのは記者だけでないはずだ。さらにいえば、その他1,746本の樹木はひとくくりにされていることだ。その木は何の木だ。気になるどころの話ではない。街路樹にそんなにたくさんの樹種があるはずがない。

 わが街多摩市はどうか。街路樹は約1万本ある。このうち常緑樹はクスなど約2割ある。各敷地内にも常緑樹はたくさん植わっているので、真冬でも緑は豊かだ。スズカケ(プラタナス)は284本しかない。そしてなによりこれが大事なのだが、50種ある樹木の中で「その他」はわずか2本のみだ。1本1本をきちんと管理している証左ではないか。

 墨田区は、緑化にも力を入れているようで、沿道緑化や壁面・屋上緑化にも補助金を出している。しかし、この街路樹はあまりではないか。隗より始めよといいたい。

 記者は街のポテンシャルを測るモノサシとして①ホテルの有無②デパートの有無③職を中心とする文化-この3つを掲げているが、これでは不十分。4つ目としてこれから「緑」を追加する。スカイツリーで押上の人気は高まっているのだろうが、記者のマンション坪単価相場としてはせいぜい200万円だ。23区内では最低クラスだ。

 区の担当者に「なぜ落葉樹ばかりなのか」聞いたら、「人それぞれ。紅葉がきれいという人もいる」-木を鼻でくくるような答えが返ってきた。思想・哲学などまったくない。進士・東京農大名誉教授が言った通りだ。「自治体に公園緑地のプロはいない」と。

 先のハナモモはどうして植えたかだが、森鴎外が住んでいたところは「向島小梅町」と呼ばれていたそうだ。「小梅町」にちなんで、ウメは街路樹にふさわしくないと考え「ハナモモ」にしたのだう。これは正解か。

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向島の街路樹

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森鴎外居宅跡地付近(街路樹はハナモモ)

続「街路樹が泣いている~街路樹と街を考える」流山と越谷、三郷の差(2014/10/17)

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「向島5丁目プロジェクト」エントランス

 コスモスイニシアは3月20日、用地の取得から建物竣工までをプロデュースした投資用賃貸マンション「向島5丁目プロジェクト」の竣工見学会を行った。

 入居者と住まい、入居者と街や地域の人々を「TSUNAGU(つなぐ)」がテーマになっており、写真家の若木信吾氏が向島地域の印象的な写真を撮り、その写真にニューヨークで活躍するペイントアーティストのマイク・ミン氏がペインティングを施した作品を1階エントランスのギャラリースペースに展示する。

 若木氏とマイク氏は、大学時代にアメリカを横断する旅をしたことがきっかけで共同作品を発表したこともあり、今回もそれぞれ東京とニューヨークという別の場所と時間で作品を作り上げた。

 建物は7階建て全53戸。専用面積は26.02~57.28㎡。総合プロデュースがコスモスイニシア、ギャラリープロデュースがアクシス・アマナ。

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外観とエントランスホール・ギャラリー

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 記者は写真もペイントアートにもあまり興味はないが、若木氏の作品は1点百万円以上するものもあるようだ。マイク氏との共同作品は全部で4点。買ったらいくらになるかは想像に任せるが、了解を得たのでその作品を紹介する。素人のカメラなのでうまく撮れていないことを了承していただきたい。

 アクシスのギャラリープロデュースもなかなかいい。エントランスホールと壁は木目調のタイルが使用されているが、これがなかなかいい。分譲マンションにも使えそうだ。外廊下は木目調のシート貼り。

 コスモスイニシアのこだわりでは、ワンルームにもトイレのドアを壁面までセットバックさせていた。

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エントランスホール

 

 大成有楽不動産は3月19日、三鷹市のマンション「オーベルグランディオ吉祥寺Ⅱ」(284戸)の第1期販売120戸のうち105戸に申し込みが入ったと発表した。

 吉祥寺駅圏(京王線仙川駅圏)であることや、住環境のよさ、広い居住面積などが評価されたという。

 第1期の価格は4,180万~6,280万円(最多価格帯4,800万円台)、専有面積は73.87~93.68㎡。最高4倍、平均1.17倍。

 隣接する「オーベルグランディオ吉祥寺Ⅰ」(177戸/2014年竣工)と合わせて461戸の大規模マンション。都市再生機構(UR)によって進められてきた総開発面積約41,000㎡の「牟礼団地総合再生プロジェクト」。

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 この物件については、別掲の記事を参照していただきたい。面積が広いことだけが懸念材料だったが、まずは好調なスタートを切ったようだ。

坪単価は“旧価格” 「オーベルグランディオ吉祥寺II」(2015/1/27)

 

 

 

 

 

 

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「インペリアルガーデン」

 住友不動産は3月19日、小石川植物園に隣接した低層マンション「インペリアルガーデン」が竣工したのに伴い記者見学会を行った。すべての住戸から植物園の借景が望めるわけではないが、格子ルーバーを多用した外観が美しいマンションだ。

 物件概要などは分譲開始時の記事を参照していただきたい。現在の売れ行きは87戸が契約済みで、持ち家からの住み替えが4割強にのぼっており、最低面積でも約70㎡あり、価格も7,000万円台以上ということから投資・セカンドハウスの割合が1割に満たないというのが特徴だ。

 エントランス部分はシンメトリックな外観で、タイル張りの外壁と濃茶の縦格子バルコニー、横のラインを強調したルーバー庇に割肌仕上げの天然石積みの列柱のコントラストが美しい。

 天然石はカルチャーストーン(鉄平石)で、石積みはコバ積み仕上げというのだそうだ。

 ルーバーはバルコニー手すりや目隠しにも多用されており、建物全体をきりり引き締めている。外構のみどりが成長すればもっと美しくなるはずだ。

 坪400万円というのは最初に見学したときはやや高いという印象を受けたが、今となっては割安感もあるのではないか。坪430万円と聞いても驚かない。

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エントランス

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モデルルーム

用地取得から10年 小石川植物園に隣接した「インペリアルガーデン」(2014/1/16)

 大和ハウス工業は3月18日、経済産業省と東京証券取引所が女性活躍推進に優れた上場企業を選出する平成26年度(2015年)「なでしこ銘柄」に選定されたと発表した。

 「なでしこ銘柄」は平成24年度から毎年実施されているもので、前年の26社から今回は40社に大幅に増加した。これまでは1業種1社とされていたが、今年度から社数の多い業種については2社に広げたのが主な増加の要因。「女性活躍」の取り組みが増えたためかどうかは不明。

 建設業では同社が初めて選ばれたほか、積水ハウスが2年ぶりに復帰した。また、不動産業界からはNTT都市開発が初めて選定された。

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 わが住宅・不動産業界から一挙に3社も「なでしこ銘柄」に選定されたことは結構なことだ。しかし、1業種2社までと制限をつけるのはいかがなものか。基準を満たしている会社は全て選定するのが本筋だろう。

 さらに言えば、ことさら「なでしこ」を推奨するのも問題がある。性差は関係ないという意味で「サムライ・なでしこ」か「ジェンダーフリー」、あるいは「ダイバーシティ・なでしこ」にすべきだろう。銘柄が増えすぎて推奨する意味がなくなるのが理想ではないか。

 

 国土交通省は3月18日、第6回「住宅団地の再生のあり方に関する検討会」(座長:浅見泰司・東大大学院教授)を開き、これまでの論議やヒアリングの結果を踏まえ、施策検討の基本的方向性をまとめることで合意した。

 団地全体の再生を図るため建て替えや改修、あるいは段階的・部分的な建て替えなどを円滑に進めるための事業制度、建築基準法第86条の一団地認定のあい路をどう打開するかが今後の検討課題になるようだ。

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 今回、国交省から新たに示された資料は、第5回までの検討会で指摘された課題を踏まえ、同省がコンサル・学識経験者など8名、デベロッパー7社に対するヒアリングを行った結果をまとめたものだ。主な意見を紹介する。

・事業性が高くないケースでは、負担面から一部の区分所有者が一括建替えに同意せず、結果として3分の2の決議要件を満たせず進捗がとまる

・建物部分の底地が共有でないテラスハウスを含む団地では、一括建替え決議の要件を満たさない

・市街地再開発の手法を用いても、保留敷地を設定し、戸建て用地を確保するのが困難

・建て替えの賛成者が各棟に分散している場合には、住戸交換が円滑にできる仕組みが必要

・団地再生に合わせて道路整備を行う場合、現状では全員同意で敷地分割したうえで処分する必要がある

・部分的な建て替えを行う場合、建て替え棟と非建て替え棟との間の管理費や長期修繕計画の扱いが課題

・郊外では1000戸規模の団地が多数あり、すべてマンションにすることはマーケット的に不可能。余った土地は戸建て用地として売却するのが適当

・一部の土地を戸建て用地として売却する計画は、一団地認定の取り扱いが難しい

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 会合でもこれらの問題が横たわっていることが論議された。各委員の主な意見を紹介する。

小林秀樹委員(千葉大大学院教授) 団地再生事業法をつくったらどうか。郊外団地はこれからコンビニなどに一部を売却するか賃貸にするか処分行為が多発するはず

西周健一郎委員(都市再生機構ウェルフェア推進事業部長) 団地内の共有給排水管、道路関係、日影規制、既存不適格、ネット・グロスの問題などあい路は多い

鎌野邦樹委員(早大法学学術院法科大学院教授) 敷地分割は民法からのアプローチではなく行政法的な手法で可能にすべき

大西誠委員(竹中工務店参与) 敷地分割はハードルが高い。大阪のURの山本団地では、URが排水管を整備して費用を負担し、民間に分譲用地として売却した事例があるが、分譲同士だと合意形成が難しい。古い団地では面積割合でなく、戸数割合で土地の共有持ち分を決めているところが多い

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 会合は予定されていた2時間を約45分も余して終了した。浅見座長を除く15委員のうち7人が欠席した。浅見座長は「ご意見ありませんか」と発言を促したが、一部の人に限られた。

 これは、検討会が盛りあがらないということではなくて、意見がすべて出尽くしたのだろうと理解した。

 出尽くしたうえでうまい解決策が見つかったらいいのだが、どうもそうではないようだ。話を聞いていて、団地型の住宅再生は容易ではないと改めて感じた。法の壁はもちろん排他的絶対的な土地所有権・財産権の難問をクリアするのは途方もない困難が伴うはずだ。

 法の壁を突き抜けようが乗り越えようが、その時点で違法行為になりかねない。この検討会の委員でもある櫻井敬子・学習院大教授が「建基法関係の法律は窮屈」と他の会合で話したように、解釈によって法を捻じ曲げるのは困難ではないか。「行政法」の手法を用いようが、結局、民法の規定にぶち当たるはずだ。

 仮に法の問題をクリアしても、こんがらがった繊細な絹の糸玉をほぐすような「合意形成」の難問も待ち受ける。気が遠くなるような作業になるのは間違いない。各委員は頭を抱えているのではないか。

国交省・住宅団地の再生検討会 「無反応者」を母数に含めない是非(2014/12/17)

 

 

 

 

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マンション2025ビジョン懇話会シンポジウム(霞ヶ関・東海大校友会館で)

 マンション2025ビジョン懇話会(座長:齋藤広子・明海大教授)は3月16日、マンション管理業協会から諮問を受けている後期高齢者の急増や資産価値の維持・向上など将来の課題について話し合うシンポジウムを開き、同時に「2025年問題」に対する提言を行った。

 冒頭、挨拶に立った山根弘美・マンション管理協理事長は、「あと10年、2025年には団塊世代がすべて後期高齢者になり、どこの国も経験したことがない超高齢化社会をわが国は迎え、人口減少も顕在化する。そうした将来を見据え一歩踏み込んだ提言を懇話会にお願いしたい」と話した。

 続いて、来賓の国交省土地・建設産業局不動産業課長・清瀬和彦氏が「2025年問題」に取り組むのは「慧眼の至り。将来を考えるうえで大きなヒント、気づきになることを期待する」と挨拶した。

 基調講演では、日本建築家協会関東甲信越支部メンテナンス部会長・宮城秋治氏がマンション再生について、弁護士でマンション2025年ビジョン懇話会委員・篠原みち子氏が高経年マンションの課題に対する〝予防力〟についてそれぞれ講演した。

 パネルディスカッションでは、懇話会メンバーと講演者で資産価値をどう維持・向上させていくか、合意形成をどう進めるかなどについて話し合った。

 提言は、①長く安心して住まうための「マンション再生」②居住者の高齢化への対応③マンションの資産価値の維持・向上のための施策④マンションの多様化に伴う他業態との連携⑤マンション管理の新たな責務-の4項目。

 マンション再生では、再生メニューの多様化に伴う合理的で妥当性のある議決要件を設定すべきとしている。ユニバーサルデザインの考えも取り入れるべきとした。

 居住者の高齢化対応では、従来の管理規約や使用細則の概念を超えた新たなルールを整備し、地域との連携や多世代間交流の場と機械を提供すべきとしている。

 資産価値の維持・向上では、単体だけでなく地域全体で付加価値を高める連携態勢を取り、高経年マンションの管理の状態が適正に市場で評価される体制を構築すべきとした。

 こうした提言を実現するために、管理組合、管理業者、不動産流通業、政策当局など関係者はそれぞれの立場で最大限の努力をすべきとしている。

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齊藤氏から提言を受け取る山根理事長

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 記者が提言に注目したのは、修繕履歴などのマンション再生の実施状況や管理状態が中古市場で適正に評価される体制を構築すべきとした点だ。

 ここ1週間で2回、中古市場に関する取材を行った。現行の中古住宅の情報伝達手法を変える必要を感じている。旧態依然だから様々な外野からの批判も受けている。

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「プレミスト佃二丁目」完成予想図

 大和ハウス工業が3月19日(木)から第1期100戸の申し込み登録を受け付ける「プレミスト佃二丁目」を見学した。中央区佃エリアでは10年ぶりのマンション供給で、人気を集めそうだ。

 物件は、東京メトロ有楽町線・都営大江戸線月島駅から徒歩3分、中央区佃二丁目に位置する10階建て全153戸。第1期(100戸)の専有面積は54.01~92.79㎡、価格は6,078万~10,998万円(最多価格帯7,300万円台・8,000万円台)。坪単価は340万円。竣工予定は平成29年2月中旬。施工は長谷工コーポレーション。第1期の申し込み締め切りは21日。

 現地は石川島記念病院に隣接しており、敷地も石川島記念病院の跡地。北側は佃中学校・小学校に隣接。佃公園も徒歩3分。建物はエの字型で、南東向きと北西向きが9:7の割合。北西向き住戸からは学校の借景が望めるのが特徴でもある。

 住戸プランは50㎡台が1戸あるほかは全て70㎡台以上のファミリー向け。設備面ではディスポーザー、食洗機、ミストサウナなどが標準。億ションは6戸。

 販売担当者は「最大の特徴は立地。ぜひ豊洲や有明のマンション見学者に見ていただきたい」と競合を歓迎していた。100戸のうちすでに約7割に申し込み希望が入っているという。

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 佃エリアのマンション見学は、10年くらい前に大京とゴールドクレストがそれぞれタワーマンションを分譲したとき以来だ。物件の最大の〝売り〟はこの「佃」にある。ご存じない方も多いだろうが、物件の先にはバブル期に分譲されて圧倒的な人気を呼んだ三井不動産レジデンシャルの「リバーシティ21」がある。確か異常な申し込みが予想されたため、急きょ賃貸に変更された住棟もあったはずだ。

 佃は、このタワーマンション群(URの賃貸もあり)と、戦前からの古い街並みが融合とまでは言えないかもしれないが共存する街であることが最大の特徴だ。

 記者は取材するごとにじっくり時間をかけて散歩する。とにかく心が安らぐのだ。狭い路地を歩くと昔を思い出す。街のポテンシャルとしては豊洲や有明などとは比較にならない。

 さて、問題の価格。記者はマンションギャラリーのシアターを見ながらいつものように単価を予想した。出発点は坪320~330万円。これ以下はあり得ないと思った。シアターはホームドラマのような仕立てで中々の出来だったので、坪350万円に修正した。公園に隣接していればもっと高くても売ると読んだ。

 ただ、近くにある前出の大京とゴールドクレストのマンションの複合日影が気になったので、それを確かめた。真昼には双方のマンションの影響はほとんど受けないが、やはり午前と午後は影響を受ける。それで単価予想を引き下げた。「350万円はきつい」と担当者に話したら「第1期は340万円です」という答えが返ってきた。予想が当たって胸をなでおろした。

 ほとんどオプション仕様(2,000万円くらいか)だが、木目調のシート貼りを壁・建具などに多用した92㎡のモデルルームがいい。ステンレスのキッチンカウンタートップ、アクリルと木材を交互に挟み込んだ引き戸のリビングドア、有機ELを採用した三面鏡の提案もアッパーミドル・富裕層の心をくすぐるのではないか。

 同社の企業姿勢について。総合設計制度を利用すれば建物は35階くらいまで建てることができたのだが、北側の学校への影響を最小限に抑えるために10階建てに抑えたのが一つ。もう一つは、立地条件からしてコンパクトタイプの需要も想定されるが、投資用に買われる恐れがあり、それを避けるため住戸プランをほとんどファミリーにしたというのだ。嬉しいではないか。

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「新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」

 国土交通省は3月12日、第4回「新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」(座長:進士五十八・東京農大名誉教授・元学長)を開き、喫緊の課題になっている保育所など子育て施設を公園内に設置することなどを了承し、近く先行とりまとめとして公表することを決めた。

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 約2時間行われた会合の内容は、細大漏らさずメモをしたので引き起こせないこともないが、国交省が議事録として公表するはずだからそちらを読んでいただきたい。

 保育所などの施設を都市公園内に設置することに対して多くの委員は、「軒先貸して母屋取られるでは困る」「行政から攻め込まれているイメージが強い。子育て機能は公園が持っている本来的な機能。こちら側から積極的にメッセージを送ってはどうか」などとし、攻めの姿勢に転換することを申し合わせた。

 国交省の舟引敏明・大臣官房審議官は、「(様々な外野から)攻め込まれているとは思っていないが、(相手の)攻めてくるスピードが速い。公園を利用する人が増えれば予算的にも人的に公園事業はやりやすくなる。公園法がブレーキになっている部分もあるが、いかに応援団を増やすかだと考えている。夢のある世界を描いていきたい」と語った。

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 この「検討会」を傍聴するのは2度目だが、実におおらかでいい。「検討会」というタイトルは同じだが、マンション管理会社は姑息な手段を使って儲けることをたくらむ集団だとか、600万人の居住者の声を反映した「意見書」を「私の授業なら『不可』にする」などと罵倒し、委員とオブザーバー間でバトルを展開した「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」とは雲泥の差だ。

 どうしてこのような差が出るのか考えた。それは今回の「検討会」の座長を務める進士氏の人徳もそうだろうが、各委員が農学や園芸学、環境学、家政学など人と自然・みどり、人と環境などについて研究をされてきた方々の品格の反映だろうと結論づけた。

 今度、ピケティ氏の「21世紀の資本」を読もうと思っているが、富の集中と格差社会の蔓延を助長する21世紀の経済学者と農学者とではこの点で対極をなすのではないかと思う。

 「検討会」は来年度以降も継続して行われるようだが、都市公園の再編によって都市居住者の生活がどのように変わるのか注視したい。

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 おおらかさ、和やかさを象徴する場面があった。会合が終わった後、国交省のスタッフが各委員に進士氏が平成27年(第9回)「みどりの学術賞」を受賞したリリースを配布した(記者席には配布されなかった)。すぐ拍手が巻き起こった。進士氏は相好を崩した。

 「みどりの学術賞」は、「みどり」についての国民の造詣を深めるために、国内において植物、森林、緑地、造園、自然保護等に係る研究、技術の開発その他の「みどり」に関する学術上の顕著な功績のあった個人に内閣総理大臣が授与するもの。進士氏は寺島一郎・東京大学大学院理学系研究科教授とともに受賞した。

 進士氏の受賞理由は、進士氏が「日本庭園は日常生活から隔離された特殊な空間ではなく、自然との共生により育まれてきたわが国の生活・文化が凝縮されたものであることを解明し、みどりに対する国民の理解増進に寄与した」というもの。

 進士氏は、受賞に対して「日本庭園が究極の都市づくりであることを言い続けてきたことが認められてうれしい」とコメントした。

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この日の進士氏(リリースの写真よりはいいはずだ)

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 この種の会合はかくあるべしというようなエピソードも紹介しよう。進士氏はときどき、涌井委員に対して「涌井」と呼び捨てにした。進士氏と涌井氏の関係を知らない人だったら仰天するだろう。座長と委員の差は毫ほどもない。ましてや涌井氏はタレント並みの活躍をされている押しも押されもせぬ学者兼コメンテーターだ。

 なぜ進士氏が涌井氏を呼び捨てにしたのか。理由は簡単。東京農大の同窓同級生だからだ。歳は進士氏が一つ上だ。

 呼び捨てにされた涌井氏も口では進士氏に負けない。国交省から配布された資料に写っている進士氏の写真をみて、「これじゃご霊前に飾る写真だ」と言い放った。記者は「涌井先生、進士先生の次(の受賞は)は涌井先生でしょ」と声を掛けたら「いやいや、演芸(園芸の洒落のつもりか)賞はないの? 」と絶妙の切り替えしをした。確かに農学・造園を茶の間に演芸の手法でもって浸透させた功績は「みどり学術賞」にぴったりではないか。

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 脇道にそれてしまったが、本題に戻る。ここ数年、記者が気がかりに思っていることを委員の池邊このみ・千葉大大学院教授が代弁してくれたので紹介する。

 池邊氏は、「公園の統廃合という文言が使われているが、再編・再構築が適当ではないか。維持管理について触れられていないのもどうか。管理費がどんどん削られ、街路樹も削られ汚くなっている。だから〝あんな公園いらない〟になっていく。管理コストの削減は自己否定ではないか。景観の言葉も少ない。もっと美しい公園にしていくことが大事ではないか」と話した。

 進士氏は「都市公園条例は管理条例になっている。運用条例にしないといけない。人口率ではなく、面積率で公園の広さを考えるべき」などと本質的な問題点を指摘した。

公園に保育所、マンション岩盤規制を打ち破れるか国交省公園のあり方検討会(2015/2/2)

 

 

 

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 左から小倉氏、三津川氏、一色氏(霞ヶ関:東海大校友会館で)

 一般社団法人次世代不動産業支援機構(代表理事:三津川真紀氏)は3月16日、ICT(information and communication technology)技術を駆使して消費者が住宅選択する際の判断指標となり、既存住宅の流通促進を後押しする「次世代不動産業あり方検討会」を発足させたと発表した。

 既存住宅を単なる物件概要にとどまらず、ICT技術を用い趣味・エンターテイメント、仕事・雇用、交通・地域、環境・エネルギー、医療・介護、教育・子育て、家事・家庭などの切り口からアプローチし、それぞれの価値の見える化、可視化を図り、すべての不動産を統一した評価軸でラベリングしようという試み。「スマートリボン住宅」として商標登録している。

 「検討会」の座長は同機構顧問で神奈川工科大教授・一色正男氏が務め、内閣府、小林史明衆議院議員が協力する。元日本テレビアナウンサーで現在フリーの小倉淳氏が理事・プロモーション統括として名を連ねている。

 主な構成メンバーはイオン、NTTデータ経営研究所、日本コムシス、パナソニック、エコソリューションズ社など。

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三津川氏

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 記者発表会は、代表理事・三津川氏が冒頭、現在の既存住宅は必ずしも消費者目線にあっていないことを指摘した。

 つまり、①様々な取り組みは領域ごとに論議されており、内容に偏りがある②領域ごとの取り組みは領域単位でしか把握されていないので、消費者は理解しにくい③領域ごとの議論は融合されておらず、統一した評価軸(指標)がない③住まい(暮らし)や地域(周辺環境)のバリューを可視化し、情報として開示・提供すべき-などで、三津川氏は「たとえばヘムスなどと言われても消費者は理解できていない。住宅も生活も街も消費者の判断基準でアイデンティティの転換が必要」と強調した。

 記者は三津川氏の話をいちいちごもっともだと聞いていた。新築マンションの場合、デベロッパーは単に物件情報だけでなくありとあらゆる情報を広告に盛り込んで物件特性をアピールしている。〝〇〇は日本一〟〝〇〇は東京初〟〝主婦の評価№1〟などだ。その意味でかなり可視化は進んでいる。物件規模が大きければ可視化に伴う費用もかけられる。

 ところが中古住宅の場合、最近は流通会社が詳細な情報を提供はしているが、消費者がほしい情報は自ら探すしかない。ネガティブ情報などがとくにそうだ。まず、仲介会社はそのような情報を積極的に開示しない。〝旧耐震〟〝歓楽街に隣接〟〝前に建物あり、日照不可〟などは絶対表示されない。かといえば、〝〇〇(スーパーゼネコン)施工〟などと物件概要に書かれていないことまで大文字で色つきでアピールする。

 その意味で、先日、スムストックのシンポジウムで中川日大教授が話した「情報の非対称性」は厳然として存在する。

 とはいえ、不動産は極めて個別性の高い商品だし、消費者の物件選考要素は多様化しており、それこそ十人十色、千差万別。様々なファクターを可視化したところで役に立たない場合も想定される。例えばコミュニティ。三津川氏はコミュニティを可視化したいと語った。記者も大賛成だ。これが実現したら中古市場は変わるはずだ。

 しかし、「コミュニティなど関係ない」という消費者は少なくない。〝コミュニティ濃密〟などと表示したら即選考の対象外にされる物件もあるはずだ。街のポテンシャルも測りづらい。そのあたりをどうするかが課題だろう。

 それでも「検討会」には大いに期待したい。流通業界に風穴を開ける気持ちで取り組んでいただきたい。 

 

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