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 首都圏の分譲マンション単価がどんどん上昇している。不動産経済研究所の調査によると、2014年11月の1戸当り価格は5,224万円、1㎡当り単価は73.7万円(坪243万円)となり、2011年比で1戸当り価格は34.0%、1㎡当たり単価は35.7%それぞれ上昇している。

 同研究所の調査は、供給時点での調査であるから遅行指標だ。では、この先々単価はどうなるのか。業界内ではまだまだ単価は上昇するとみられているが、先行指標でもある国土交通省の住宅着工統計の工事予定額の推移を見た。

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 建築基準法15条第1項は、建築主が建築物を建築しようとする場合、建築場所、工事の予定期間、建築物の用途、建築物の使途、構造、床面積の合計、工事費予定額などを都道府県知事に届け出なければならないと定めており、数字は毎月、国土交通省の住宅着工統計で発表されている。別表は、統計数字のうち、鉄筋コンクリート造(RC)の分譲住宅(マンション)の工事予定額の推移を全国と東京都でみたものだ。マンションには鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC)もあるが、今回は除外した。

 工事予定額とは、建物の建築に要する金額のことで、既存建物の除却費、造成費などは含まれず、あくまでも建築主が届け出た金額である。

 したがって、この工事予定額はおおよその目安を示すもので、実際の建築費とは乖離がある。しかし、どれくらいの乖離があるかはゼネコンもデベロッパーも建築原価を公表しないので分からない。当然のことながら、分譲価格には建築費と土地代、デベロッパーの販管費、利益などが上乗せされる。それが分譲坪単価だ。

 とはいえ、件数が多い大都市圏などの工事予定額の推移を見れば先々分譲単価がどうなるかが読める。マンションの分譲が許可されるのは、建基法の建築確認の許可が下りてからだが、一般的には工事着手してから数か月以降と考えてよい。ここ数カ月の工事予定額は間違いなく今後分譲されるマンションの分譲単価に反映される。先行指標として参考になるはずだ。(分譲価格は市場が決めるものであるため、必ずしも原価がそのままオンされるわけでもないが)

 前置きが長くなった。さて、その工事予定額の推移。それほどマンション単価の上昇が顕著でなかった2011年、2012年あたりの1㎡当たり単価は全国平均で18万円(坪59.4万円)、東京都は21万円(坪69.3万円)だった。

 2013年になると全国で19万円(坪62.7万円)、東京都で23万円(坪75.9万円)に上昇。はっきりと上昇傾向が見て取れる。業界内で「工事費が高くなってきた」という声が聞かれたころだ。

 そして翌年の2014年になると、デベロッパーが「工事を発注しようにも高くて発注できない」と悲鳴を上げた。いつもデベロッパーに叩かれてきたゼネコンはうっ憤を晴らすかのように、利益率の高い震災復興や公共事業、ビッグプロジェクトにシフトしたからだ。

 2014年4月以降の表をみれば、デベロッパーの悲鳴が裏付けられる。毎月のように金額が上昇しており、東京都は4月に27万円(89.1万円)を記録。その後は若干下がってはいるが、2011年、2012年比で2~3割上昇している。冒頭に紹介した不動産経済研究所の上昇率のほうが高いのは、売れ行き好調を背景にしたデベロッパーの強気な値付け設定にあると見た。

 注目したいのが、11月の東京都の1戸当たり工事予定額だ。1,377万円÷25万円­­­=55.1㎡、つまり1戸当たり平均の広さは1LDKか2LDKくらいの広さしかないということだ。これはたまたまコンパクトマンションが多かったための要因なのか、それとも〝いつか来た道〟だ。昭和50年代の〝60㎡の3LDK〟に逆戻りするのか。注視する必要がある。

 問題はまだある。この先どうなるかだ。10年間で200兆円とも言われる国土強靱化基本計画、リニアにオリンピックetc.…、ゼネコンが仕事に困ることはまず考えられない。分譲マンションにも単価上げ圧力がかかるのは間違いない。

 しかし、消費者の取得能力にも限界がある。富裕層やアッパーミドル向けはまだ余力があるかもしれないが、第一次取得層はもはや限界を超えている。専有面積圧縮も打開策にならない。都内の分譲単価は軒並み坪200万円以上になる。20坪で4,000万円以上だ。神奈川県、埼玉県、千葉県の遠隔地でも坪150万円以下はあり得ないのではないか。

 20坪で3,000万円以下のマンションが姿を消すのは何とも情けない。もう国にすがるしかない。とはいえ国も病んでいる。国家予算95.9兆円のうち歳出は社会保障費が31.5兆円、国債費が23.5兆円だ。双方で5割を突破する。

 この矛盾を一挙に解決するにはハイパーインフレしかないように思えるのだが、みなさんはどう考えるか。バブルに浮かれた経験がある記者は、二度とあの狂乱とその後の悪夢を見たくない。せめてもの救いはただ同然のローン金利くらいか。

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マンション管理協の新年賀詞交歓会(帝国ホテルで)

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山根理事長

 マンション管理業協会(管理協)は1月14日、恒例の2015年新年賀詞交歓会を開き、マンション居住者の防災意識を高め、公共性が高いマンション共用部に対する抜本的な税制の見直しを要求し、マンション管理のプレゼンスを劇的にあげるために活動することを誓いあった。関係者ら約500人が集まった。

 冒頭、挨拶に立った山根弘美理事長(ダイワサービス会長)は、①節目の年②消費税対応③「マンションのWa」の三点について話した。

 節目の年については、今年は戦後70年、第一次マンションブームからは50年、阪神・淡路大震災からは20年の節目の年であるとし、「マンションは耐震性に優れ、災害時に多くの国民の命を守る、都市のシェルターでもある。そのマンションに暮らす住民の防災意識を高め、防災計画の策定、訓練の活性化、そしてハートの継承」が必要とし、「それを後押しする仕組み、制度、人材育成が必要」と語った。

 消費税対応については、消費税が10%に引き上げられたら、修繕積立金会計など管理組合収支が深刻な事態になるとし、「マンション共用部は歳運営の効率、インフラ効率の切り札であり、公共性の高いマンション共用部の維持管理に対する抜本的な税制見直しが必要」と、税率の軽減措置を求めた。

 「マンションのWa」では、「マンションストック600万戸、その9割以上の方々とわれわれは繋がっている。われわれは主人公の管理組合の方々と防災、防犯、建物の長寿命化、入居者の高齢化、環境エネルギー対策などの課題に果敢に取り組んでいるが、その輪を一層広げるために取り組んでいこう」と呼びかけた。

 来賓として招かれた太田昭宏国交相は、「地方創生の核心はコンパクト+ネットワークの構築であり、これに果たすマンションの役割は極めて大きい。建物の老朽化と入居者の高齢化という二つの課題に対処し、資産価値を高め、安全性を高めていくことが求められている。昨年はマンション円滑化法が改正されたが、今年は法改正による取り組みが本格始動する年になる」と挨拶した。

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太田国交相

◇      ◆     ◇

 山根理事長のあいさつはご自身がマンションの管理員を務めていただけに具体的で面白いが、今日はとくに力が入っていた。

 記者が注目したのは、マンションの共用部に対する税の軽減措置を訴えたことだ。

 山根氏は、一戸建ての開発道路(街路)などはほとんどが自治体管理となっており、当然ながら固定資産税や都市計画税の住民負担はなく、街路灯や樹木管理なども自治体負担であるのに対し、近隣住民が利用するマンションなどの舗道、公園は組合負担となっていることに疑問を投げかけた。

 これは説得力がある。例えば街路樹。自治体が管理する高木の街路樹は年間1本で約1万円の経費が掛かっているはずだ。マンション敷地内にある一般の人が通れる舗道にある樹木は補助があって当然だ。来賓としてあいさつした区分所有法・マンション管理のプロ、井上義久・公明党幹事長も「考え直す時」と、税の軽減について触れた。

 「マンションのWa」の「Wa」は、「輪」でもあり「和」でもあるのだろうが、これも今後の大きなテーマになるはずだ。山根氏は「事実は小説よりも奇なり! 泣き笑いのドラマが満載。これを世の中に紹介し、表彰し、できればドラマ化していきたい。今年はマンション管理のプレゼンスを劇的に上げる」と力を込めた。以下、会場内で拾った声を紹介する。( )内は記者。(順不同)

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黒住氏

 黒住昌昭・前マンション管理協理事長(現URコミュニティ社長) (手? どうされたんですか)現場主義ですよ。年末に名古屋の営業所を訪問したとき、転んじゃった。受身の技は心得ているつもりだったが、骨折しちゃった(黒住氏は寝業師。立ち技に弱いということか)

 関敏昭・副理事長(野村不動産パートナーズ社長) (マンションコミュニティの見える化を図り、中古市場で正当に評価されるシステムの構築はどうですか)先生方はいろいろ言われるが簡単ではない。オハナ(野村不動産のブランド)のような郊外型ではいいかもしれないが、都心の物件では無理(オハナは建築費の上昇で供給できなくなるのでは)僕に聞かれても答えられないよ

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川崎氏(左)と中村氏

 中村元宣・副理事長(東急コミュニティー会長) 情報発信を積極的に行なっていく(乾杯の音頭で)コミュニティの見える化? 具体的にはなっていないが、身内では議論が出ている(マンションコミュニティの見える化は今後も取材していきたい)

 川崎達之氏(平成3年5月から19年6月までマンション管理協理事長) 理事長を辞めてから7年になるが、様変わりしたねぇ。今? なにもやってないよ。歳? 今年4月で84歳だよ。俳句? 時々やるよ。ここで一句? 即興ではできなくなっちゃった(俳句の達人)

 小佐野台・副理事長(日本ハウズイング社長) コミュニティの見える化? 関さん(野村不動産パートナーズ)がよく仰ることで、われわれはその取り組みに積極的でなかったかもしれない。反省も必要

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山根氏らと談笑する菅義偉・自民党幹事長 

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「パークタワー晴海」完成予想図

 三井不動産レジデンシャルは1月9日、今秋に分譲開始する「パークタワー晴海」(1,084戸)の情報発信について、LINEが提供するマーケティングサービス「LINE ビジネスコネクト」を採用すると発表した。

 分譲マンションを対象とした「LINE ビジネスコネクト」を活用するのは今回が初めて。多くの企業が活用している情報発信がメインの「LINE 公式アカウント」ではなく、対話型コミュニケーションを主軸にしたもので、ユーザーは、LINE およびWEBサイト上で情報検索・閲覧から各種質問・お問い合わせまで、即座に完結できるようになるのが特徴。

◇       ◆     ◇

 そもそも「LINE」が何なのかさっぱり分からないのでコメントのしようもないが、意図はよく理解できる。1人ひとりの顧客対応を徹底しようということだろう。

 いよいよ同社が「晴海」を分譲する。いったいいくらになるのか。坪300万円を突破するのは間違いないが、記者は高値追求しないと見る。320万円でどうだろう。

 対岸の「ららぽーと豊洲」まで水上バスを運行すれば豊洲駅まで10分くらいでないか。いっそのこと日本橋まで遡上すれば30分で着くのではないか。かつて水上バスは公共の用以外は許可されなかったが、最近は随分緩和されたという。晴海から船に乗って都心へ通勤というのも優雅でいい。時化のとき以外は遅延もないはずだ。

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ラインアカウントに友だち登録するとクジラのスタンプがもらえるという(記者は今日、広告に絵文字を使ったらどうかという提案を行った。これも同じようなものではないのか。マンションもイメージで売る時代だ。この漫画を利用すれば、価格発表、登録開始、完売、キャンセル発生、モデルルーム販売、竣工など様々な場面で的確なメッセージが伝えられる)

 

 大京は1月13日、同社グループの第1 号で中野区では初めてのサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「かがやきの季(とき) 中野南台」(28 戸)の入居を2月1日(日)から開始すると発表した。

 「かがやきの季 中野南台」は、大京と個人が共同で所有する社員寮(1991 年竣工)を、サ高住の登録基準に適合した建物にコンバージョン(改修)したもの。提携先のウイズネット(本社:埼玉県さいたま市)が併設する訪問介護事業所を運営し、生活相談、安否確認、緊急時対応、食事サービスを提供するほか、エクセリーベが提供する業界初の「TV 電話による見守りサービス」を導入する。

 物件は、東京メトロ丸ノ内線方南町駅から徒歩5 分、中野区南台3 丁目に位置する4階建て28戸。専用面積は19.11~19.16㎡。建物管理はオリックス・ファシリティーズ。家賃は125,000円、共益費は35,000円、基本サービス料は55,000円、食事サービス費は54,000円。合計で269,000円(消費税込)。

 大京は、利便性の高い立地環境と必要なものだけを選択できる介護サービスをコンセプトに今後10 年で「かがやきの季」シリーズ60 棟の稼動を目指す。

 

 

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「ザ・プレミアスカイ品川中延」完成予想図

 三菱地所レジデンス(事業比率90%)と総合地所(同10%)の「ザ・プレミアスカイ品川中延」を見学した。ガスや電力を効率的に利用することでCO2の排出量を大幅に削減でき、環境にも優しいマンション用の「エネファーム」を搭載した物件で、リビング天井高を約3m(一部)確保するなど見どころの多いマンションだ。

 物件は、都営浅草線中延駅から徒歩5分、または東急大井町線中延駅から徒歩7分、品川区西大井6丁目に位置する15階建て全100戸の規模。専有面積は54.01~76.61㎡、価格は未定。竣工予定は2015年9月上旬。施工は長谷工コーポレーション。3月から分譲する予定。

 特徴の一つはマンション向け家庭用燃料電池「エネファーム」が搭載されていることだ。一昨年、東京ガスとパナソニックが〝世界初〟として発表した際、東急不動産と総合地所が採用するとされていた。

 その後、相次いで他のデベロッパーが採用したことから採用物件は9件に上り、世界初でも日本初でもなくなったが、エネルギーロスが少なく環境に優しい最新のシステムであるということに変わりはない。1600(幅)×959(奥行き)×高2200(高さ)とややスペースをとるが、メーターボックスに収まっているのであまり目立たないし、玄関周りをタイル仕上げにしており、違和感もない。

 それよりほかにこのマンションの見どころはある。12階以上ではあるが、リビング天井高が約3m確保されているのが特徴の一つだ。キッチン部分も約2400ミリある。他のフロアのリビング天井高は約2500~2800ミリ。

 敷地はチサンホテルの跡地。敷地内にケヤキの既存樹を残し、エントランス周りは天然石を配し、ラウンジにはフローリングを使用。住戸は東向き。インテリアデザインは「The SAZABY LEAGUE」が担当。直床でディスポーザも食洗機もついていないが、バックカウンターは標準で、水栓などはジーマテック。敷地西側に第2京浜が走っていることから、窓は2重サッシを採用。

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 肝心の価格は未定だが、三菱地所レジデンスが昨年末に発売し即日完売した「ザ・パークハウス品川荏原町」(47戸)は坪326万円だった。これよりは安くなるはずだ。都内城南のマンションはこれから軒並み坪300万円を突破する。

 事業比率が三菱地所レジデンスが90%で、総合地所が10%なのには驚いたが、双方の利害が一致したということだろう。商品企画は総合地所だが、モデルルームのインテリアなどは三菱地所レジデンスだ。

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エントランス(完成予想図)

 たまたま時間があったので、住宅情報誌に掲載されているマンションのキャッチコピーを読んでみた。これがなかなか面白い。次のようなコピーが目に留まった。

 「購入者からも『デザインが素敵!』との声、多数」

 一般の方はこの文言をどう理解されるか分からないが、業界関係者なら「えっ、こんな表現許されるのか」と思うはずだ。

 不動産業界には、業界の自主規制団体「不動産公正取引協議会連合会」(不動産公取協)があり、「不動産の表示に関する公正競争規約(公取規約)」で広告に関する様々な基準・規制を設けている。とくに消費者に誤解されるような、事実と異なる表示には厳しく、同規約18条(特定用語の使用基準)では、「完全」「完ぺき」「絶対」「万全」「日本一」「日本初」「業界一」「超」「当社だけ」「他に類を見ない」「抜群」「買得」「掘出」「土地値」「格安」「投売り」「破格」「特安」「激安」「バーゲンセール」などは、根拠が示せるものを除き原則禁止されている。

 ここで一つ断っておきたい。記者などが書く記事にはこの規約はまったく適用されない。当然だ。これは憲法によって表現の自由が保障されているからだ。記者が書く記事に規約が適用されたら、ほとんど「不可」になるはずだ。最近書いた「人気必至」などは誘因行為として公取協から厳重注意を受けるはずだ。

 さて、では冒頭の「デザインが素敵!」という文言はどうか。住宅情報誌は記事の体裁を取ってはいるが、これは「記事広告」でもなくチラシ広告と同じ扱いになる。使用する文言には先の厳しい制約があるが、「素敵」そのものは禁止されていないし、発行する側も十分審査しているはずだから問題はないと判断したのだろう。

 しかし、「素敵」も「最高」も意味はほとんど同じで、記者なども連発する。感嘆符(!)も1つどころかダブル(!!)で使うときもあるし、感嘆疑問符(!?)もよく使う。「素敵」の根拠を示さないのは問題がないとはいえないが、購入者の声などをどんどん使用してもいい。手あかのついた文言より効果があるのではないか。

 それにしてもマンションの広告担当者の仕事も大変だ。使用する文言の制約を受け、かつコピーで物件の特徴を表現しなくてはならない。いくつか紹介しよう。( )内は記者のコメント。

 「堂々完成!」「特別事前案内会」(完成して残っているという意味にもとれるが、「特別」とは何か意味不明)

 「足元に緑を纏う」「静謐を纏う邸宅」「東京・城南に住まう」(よくある広告手法。この業界は「静謐」「纏う」「邸宅」「至福」「住まう」などの言葉が好きなようだ)

 「バス停まで徒歩4分」「『東京』駅20分」(松戸からバス便)「柏駅徒歩10分」(ズバリそのもの)

 「1LDK・ゆとりの44㎡台」(44㎡の1LDKが〝ゆとり〟の広さであるかどうかは異論のあるところ)

 「光と風が満ちる」「中枢を自在に使いこなす」「心に響く私邸の品格に出会える」「明るさ・楽しさ・暮らしやすさが集う街」(豊島園)「本当の豊かさと出会い、美しき家族の時をここに刻んでゆく」(これらも不動産広告ではよく使われる。イメージ戦略も重要だ。豊島園はそんなに住みよい街だったか)

 「最大520万円の価格改定!」「返済不安の方に相談会開催」(これから年度末に向かって値引き物件は増える。価格は市場が決めるもの。「返済不安のある」人に相談会とは意味が分からない。きちんと書くべき)

 広告の表現に四苦八苦するのだったら、いっそのこと絵文字はどうか。記者は絵文字をまったく理解できないが、若い人たちはみんな利用しているではないか。「素敵!」と書く代わりに「ヤバイo(^-^)o」などと書いたら、来場が殺到するのか見向きもされないのか。

 もうずいぶん昔だが、公取協は不動産広告の事例集をまとめたことがある。なかなか面白いものだった。記者が印象に残っているものでは、売れない郊外マンションは「駅まで徒歩15分、格好のジョギングコース」と謳った。貧すれば鈍するの見本のような広告だった。

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「シティテラス草加松原」完成予想図

 住友不動産は1月10日、総開発面積54ha、約6,000世帯の埼玉県草加市の「草加松原団地」再生事業の一環として開発を進めている分譲マンション「シティテラス草加松原」(538戸)のマンションギャラリーをオープンした。

 物件は、東武伊勢崎線松原団地駅から徒歩6 分、草加市松原二丁目に位置する11階建て「シーズン」259戸と「ガーデンズ」279戸の合計538戸。専有面積は70.17~87.79㎡、価格は未定だが、坪単価は170万円台の後半から180万円になる模様。竣工予定は「シーズンズ」が平成27年10月、「ガーデンズ」が平成28年4月。設計・施工は三井住友建設。

 「草加松原団地」は、高度成長期に東京のベッドタウンとして日本都市公団(現在、UR 都市機構)が開発し、昭和39 年に完成した当時は総戸数5,926 戸、324 棟が建ち並び“東洋一”と謳われたマンモス団地。建物の老朽化などにより、平成15年、UR都市機構が団地の建て替えに着手。

 全体がA、B、C、Dの4街区にゾーン区分され、駅に近いA街区から順次整備が進められている。全体で従前と同じ約6,000戸が賃貸と民間による分譲マンションになる予定。A街区は約1,500戸の賃貸と分譲が整備済み。今後、B街区約1,500戸(住友不動産のマンション以外は賃貸の予定)、C・D街区はそれぞれ約1,500戸が建設避ける模様だが、詳細は未定。一部戸建ても検討されている。あわせて草加市による道路や公園、公益施設の整備なども進められている。

 建物はコの字型に配置。住宅専有部は南向き75㎡(3LDK)が中心で、キッチンには生ゴミディスポーザー、浴室ミストサウナ、リビング床暖房など。

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 このマンションについては、先に書いた記事を参照していただきたい。分譲単価170万円台の後半から180万円は建築費がどんどん上昇していることを考慮すると予想通りではあるが、これまで松原団地駅圏で分譲されたマンションより単価は3~4割上昇。東武伊勢崎線沿線の埼玉県前駅圏と比べても最高値圏にある。専有面積は最低でも70㎡であることから多様なニーズに応えられそうになく、「高い」という印象はぬぐえない。これほどの戸数でプランが5つくらいしかないのも最近では珍しい。ユーザーがどのような反応を見せるか。

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「シーズンパークアベニュー」完成予想図

約6000戸の松原団地 建て替え本格化 戸数(面積)制限はなぜ(2015/1/12)

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「シティテラス草加松原」完成予想図

 住友不動産が東武スカイライン松原団地駅で約6,000戸の「松原団地」建て替え事業の一環として538戸のマンション「シティテラス草加松原」を分譲する。この記事を書く前に、分譲に際してURと草加市が協議してつけた要件について触れたい。建築費の上昇と厳しい面積要件によってサラリーマンのマンション取得は絶望的になってきた。

◇             ◆    ◇

 昭和30年代に建設された約40,000戸のUR賃貸の建て替えが決定されたのは昭和60年代の初めだった。松原団地も昭和39年に完成した総開発面積約54ha、全5,926戸の建て替え対象団地で、計画の概要がまとまったのは平成15年。この間、URと地元の草加市はなにをやってきたのだろう。

 「松原団地」という誰も知らないようなマイナーなイメージが、信じられないような時間的ロスを生んだのか。記者はマンションの取材などで「松原団地駅」には数回訪れているが、業界関係者も含めどこにあるかを知っている人は圧倒的少数だろう。獨協大学があることで知られている駅だが、駅名を「獨協大学」に変えて欲しいという地元住民の要求はあるようだが、具体的にはなっていないはずだ。スカイツリーラインの愛称をつけた時点で駅名を変えていたらまた違った展開になっていたのではないか。

 この問題はともかく本題に入る。すでにA街区の約1,500戸の分譲・賃貸はほぼ事業完了しており、これからB・C・D街区の開発が始まる。住友不動産が分譲するマンションはB街区に該当し、B街区のほかは全てURの賃貸になる模様だ。残りのC・D街区は未定で、戸建ても含め約3.000が建設される。

 建て替え事業が始まって10年間で約1,500戸だ。全て建て替えられるまで何年かかるか分からないが、これまでの事業スピードからして30年かかるのだろうか。これから少子高齢化が加速度的に進むことを考えれば、様々な問題を抱えているといえる。

 第一に指摘したいのが、今回、住友不動産にマンション用地を売却する際の条件だ。敷地面積約2haに対して、草加市とURが課した条件は1戸につき38㎡の土地を確保することだった。2ha÷38=526。同社はほぼ条件通りに建設することが分かる。

 敷地の容積率は200%だから、容積いっぱいに住宅を建設すると、4ha÷538=74.3㎡。同社のマンションの専有面積は約70~87㎡で、平均は約75㎡というから、これもほぼ売却条件通りだ。

 さて、業界関係者の皆さんはこの条件をどう思われるか。同業の記者は「一定の条件は必要。いやなら住まなければいい」と話した。

 なるほど、確かに住宅の質は「広さ」だ。広いほうがいいに決まっている。しかし、先立つのはお金だ。いったいどれくらいのサラリーマンがお金の心配なしに自由にエリアを選ぶことができるだろうか。低中所得層が東京23区内で購入できるマンションはほとんどない。「広さ」は当然入居する人の家族構成によって変わる。単身者なら40㎡でも十分な広さではないか。一律に網をかぶせるなんて暴挙だ。

 よって、記者はURと草加市が付した条件は納得ができない。駅から徒歩6分だ。「松原団地」がマイナーなイメージしかないとはいえ、市民やその他沿線の多様なニーズが期待できる。子育てファミリーだけでなく単身者、DINKS、高齢者の需要もあるはずだ。戸数条件を設けたことは、こうした多様な需要に背を向け、商品企画の自由度を奪うものでしかない。URはこれまでも住宅用地の売却には同様の条件を付してきたが、記者はまったく理解できない。行政もURの意向にどうして沿うのかこれもまた理解できない。

 問題はこれだけにとどまらない。戸数制限(面積要件)は分譲価格に大きな影響を与える。同社は価格は現段階で未定としているが、記者は最低で175万円、アッパーで180万円と読んだ。マンションの建築費がどんどん上昇しているので、他と比べ割高ではないとおもう。

 しかし、「松原団地」駅圏のこれまでのマンションと比べればとんでみない単価になりそうだ。草加駅圏ではリーマン・ショック前に駅近で同社の物件(93戸)と東京建物の物件(63戸)が坪185万円で分譲された。東建のほうは立地条件がよく戸数も少なかったことから早期完売したが、同社は完売まで3年くらいかかったのではないか。

 草加でも坪185万円というのは限界価格だと思う。南越谷の駅近マンションもアッパーは180万円だ。

 松原団地でいえば、これまでは坪130~140万円が相場だ。今回はこれらから3~4割のアップだ。単価が上昇する分だけ専有面積を圧縮すればまた展望が開けるが、今回はそれがない。同社はこの厚い壁を打ち破れるのか。

 住宅ローン金利はただ同然まで下がったが、容易に超えられる壁ではない。街はお金持ちも低所得者も年よりも若者も住んで生き生きしたものとなる。都市計画のイロハだ。URはそれをやってこなかったから解体されようとしている。十分学習したはずだと思っていたが、まだ固陋にしがみつこうとしているのか。

 批判的なことばかり書いてきたが、一つだけ突破口になりそうな「切り口」もある。草加市は財政的に健全だが、市民の施策に対する満足度は水環境、緑環境、景観、防犯など20~30%台で決して高くない。しかし、「松原団地駅西口」の都市計画に対する満足度は57.9%で、「草加駅東口」の55.1%より高く市内でもっとも評価が高い。今後、住宅、公園などが整備されれば、「草加」を上回る住みよい街になる可能性はあるとみた。

住友不動産 全6,000戸の「松原団地」建て替えエリアで538戸のマンション(2015/1/13)

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「(仮称)品川ベイサイド大規模プロジェクト」完成予想図

 住友不動産は1月8日、東京ガスのマンション向け家庭用燃料電池「エネファーム」と「停電時発電機能」を「(仮称)品川ベイサイド大規模プロジェクト」に搭載すると発表した。

 「停電時発電機能」を導入することで停電時に「エネファーム」が発電停止中でも、自立起動して発電し、停電時使用可能コンセントを通じて電力を家庭内に供給することができる。同社は51戸に採用する。

 物件は、JR 山手線品川駅からバス4 分・「天王洲アイル」バス停徒歩5分の全254戸。竣工予定は平成28 年2 月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。

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 マンション向け「エネファーム」は、東急不動産が昨年分譲開始した「ブランズ品川勝島」に採用されたのが第一号で、これまで三菱地所レジデンス・総合地所「ザ・プレミアスカイ品川中延」、サンケイビル「ルフォン石神井公園」、東京建物「Brillia東小金井」、同「Brillia山手動坂」、積水ハウス「グランドメゾン上原コート」、伊藤忠都市開発「クレヴィア小竹向原」の7件に採用されている。「停電時発電機能」を搭載しているのは今回が初めて。開放廊下側に設置するためかなりのスペースが必要で、コンパクト化が課題。

 

 

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「グレイプス大森西」

 東京建物グループは1月8日、東京建物シニアライフサポートが介護サービス(居宅介護支援・訪問介護)を提供する初のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「グレイプス大森西」の現地案内会を開き、1 月17 日から開業すると発表した。12月から募集しており、7区画に申し込みが入っている。

 「グレイプス大森西」の主な特徴は、①24時間365日、介護スタッフが常駐②入居者をサポートする〝もう一人の家族〟のコンシェルジュ③各部屋に設置したセンサーによる最新型の見守りシステム④家庭の味を大切にした現地調理で提供する食事サービス⑤分譲マンション「Brillia」準拠の設備・仕様⑥終身建物賃貸借と入居一時金不要の賃貸方式-など。

 発表会に臨んだ東京建物シニアライフサポート・加藤久利社長は、「2009年にサ高住の第一弾『グレイプス浅草』の営業を開始して以来、やさしい手などの外部オペレーターに依存してきたが、これからは外部オペレーターとコンソーシアムを組んでより質の高いサービスを提供することで顧客満足度を高めていく。当社グループは高齢者向け住宅事業を重点分野と位置付けており、今後、中長期的には50棟(今回の物件で5棟目)を目指す」などと話した。

 物件は、JR 京浜東北線蒲田駅から徒歩13分、大田区大森西七丁目に位置する5階建て全56戸(ほかに訪問介護事業所・居宅介護支援事業所)。専用面積は18.60~53.67㎡、月額賃料は127,000~383,000円。管理費は15,000円(浴室あり)・20,000 円(浴室なし)。基本サービス(税込)は37,800円(1人入居)・54,000円(2人入居)。食費(税込)は朝食:540円昼食:756円夕食:864円、3食30日分:64,800円。事業主は東京建物、貸主は東京建物不動産販売、運営受託は東京建物シニアライフサポート。設計・監理はINA 新建築研究所。施工は古久根建設。

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 同社グループのサ高住事業が軌道に乗り、いよいよ加速度を高めるようだ。サ高住は〝玉石混淆〟と言われるが、同社は「サ高住」「有料老人ホーム」双方を検討している顧客のニーズを幅広く取り込む戦略で、居室面積を広くしたり、サービスを充実させたりして差別化を図っていく。

 今回の物件では、敷地に制約があり、サ高住の適正規模といわれる60~70戸を確保するため約18~21㎡のコンパクト住戸を36戸設けているが、一方でニーズが高い広めの約35~53㎡の住戸も5戸設置しているのが特徴だ。

 有料老人ホーム・サ高住事業は、積水ハウスなどのハウスメーカーが積極的に取り組んでおり、デベロッパーでは東急不動産グループ、オリックス不動産グループ、NTT都市開発グループなどが力を入れている。

 今後は、入居者の資産管理・運営、所有建物の空き家管理・処分、土地の有効活用などの周辺事業も期待される。どこが抜け出すか。

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「グレイプスホール」(左)と共用浴室

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 現地案内会には、やさしい手から出向している東京建物シニアライフサポート取締役介護運営部長の小林新吾氏も同席していた。記者は「外から入ってこられてデベロッパーの印象はどうですか」と聞いた。小林氏はすぐさま「お客さま第一主義を貫かれている点ではデベロッパーらしくないかもしれませんが、すべての事業もこれが一番大切。全然違和感はありません」と答えられた。

 この答えには記者もびっくりしたが、コツンと胸に響くものがあった。東建を30数年間取材してきているが、まさに〝デベロッパーらしくない〟のが同社の特徴だ。みんなおっとりしている。時には他社の後塵を拝することもあるが、長い目でみればこの姿勢がもっとも必要なことかもしれない。

 ついでにもう一つ。見学会は業界紙記者向けだけでなく、証券会社のアナリスト向けにも行っており、こちらのほうは業界紙向けより多い約30人が参加したという。アナリストは机上の計算しかしないと思っていたが、大間違いだ。ごめんなさい。

 13.洋室(110号室).jpg
25㎡の居室(浴室なし)

 

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