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「新省エネ東京仕様開発提示プロジェクト研究」施設(庇の下に「ライトシェルフ」がある)

 首都大学東京リーディングプロジェクト「新省エネ東京仕様開発提示プロジェクト研究」に基づいて建設された都の施設を見学した。

 同施設は、東京都と首都大学東京都市環境学部特任教授・山本康友氏らが中心になって4年間にわたり研究を続けてきたもので、IT技術を駆使し、太陽光発電、再生可能エネルギーの導入、地中熱利用ヒートポンプ、木材の利用、壁面緑化など現状で最高水準の省エネと省エネ仕様で整備したもの。

 都財務局建築保全部機械技術担当課長・中村圭一氏は、「この施設と同等規模のものと比べ半分以下のエネルギーで運営できるよう試算して建設された。環境配慮のためにコストをかけており、この施設のデータ結果を踏まえ、今後の施設に採用していく」と話している。今後、計測データを蓄積して検証する。

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「エコパティオ」(ツタが生長していないのが分かる)

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屋上の太陽光パネルと屋上緑化

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 この施設について山本教授が「最高レベルの環境配慮型ビルにした」と語ったよう、様々な最新技術が導入されている。まず、自然光採光・自然換気装置。自然光採光では、南側外壁に取り付けられた「ライトシェルフ」は太陽光を取り込み、反射させて室内の天井などを明るくする。

 自然換気システムは、最低と最高の温度を設定すれば、その温度内で窓が自動的に開閉し、外気と室内の空気や風の入れ替えを行い、快適な執務環境を保つものだ。強風時には、室内の書類などが飛散しないよう自動的に閉じられる。三協立山の製品だった。

 南側から取り入れた風は北側の窓から抜け、「エコパティオ」を通じて上空へ流れるようになっている。「エコパティオ」の壁面には緑化も施されている。地中熱利用は大きなスペースが必要でイニシャルコストが掛かることから期待はされているほど普及は進んでいないが、この施設では冷暖房費を大幅に削減できるとしている。

 屋上には太陽光発電施設や屋上緑化とともに保水性のタイルが採用されていた。建物の北側壁面には「エコウォール」が採用されており、車の排気ガスや騒音などの環境負荷を軽減する。1階の受付コーナーのカウンターには多摩産材のスギが使用されていた。

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自然換気装置の窓が開いている状態(左)とエコウォール(ここもイタビカズラがほとんど生長していない)

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 記者が感動した最高レベルの環境配慮型ビル「日土地虎ノ門ビル」との比較にはならないが、立派な施設だ。一つ注文がある。壁面緑化と外構だ。竣工したばかりなのでやむをえない部分もあるが、「ココパティオ」(中庭)」の壁面緑化用のアルミ柵は剥き出しで、カロラインジャスミンなどのつた植物は10センチほどもなく、壁を這い上がるどころか地を這っていた。中村氏は「計画ではもちろん4層まで届くことになっているが、コストもかかるのでどうしても外構にしわ寄せがくる」と申し訳なさそうに話した。外構の樹木も幼木が目立った。

 ビルもマンションも価値を大きく左右するのは緑だ。時間が経過すれば立派な樹木に育ち、壁面緑化も完成するのだろうが、都が誇る建物とは対照的な貧弱な緑が気になった。

 もうひとつ、これはどうでもいいことで尾篭な話で申し訳ないのだが、面白かったので紹介する。雨水利用のトイレだ。

 都心部のオフィスビルほど豪華ではなかったが、女性用トイレはしっかりと気配りされていた。便器は消音・擬音装置付きで、すがすがしいさわやかな軽井沢の小川のせせらぎのような水音がした。

 その一方で、男性用の小便器は小型で飛沫が四方八方へ飛散するのではと心配になった。大便器も女性用とは対照的に、糞尿はもちろんだが義憤やら憤怒やらの不条理を一挙に海に放出するかのような九頭竜川の激流の水音そのものに聞こえた。

 木村技研の「節水トイレ」が採用されており、同社のホームページには「画期的な商品」「トイレブース内に利用者が滞在する時間を対人センサーで計測し、滞在時間の長さに応じて大用・小用を判断します。それぞれに必要な水量を流し分けることで、ムダな洗浄水をカットすることができます」とある。

 しかし、ちょっと待ってほしい。いくら最近は草食系なり絶食系が増えているとはいえ、わざわざ小を足すために大のブースに入り、長く滞在する男性はいるのだろうか。時間センサーでなく臭いセンサーはできないのか。擬音装置は小川のせせらぎがいいのかよく分からないが、華厳の滝は逆効果か。

 施設は一般の方が見学に押し掛けられると業務に差し障りがでるのかオープンにされていないが、もちろん拒否ではない。壁面のツタが生い茂る数年後には素晴らしいビルになるはずだ。

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男性用トイレ

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外構

全てが腑に落ちる首都大学東京「リーディングプロジェクト最終成果報告会」(2014/3/19)

「日土地虎ノ門ビル」竣工 浮利を追わず、環境にかける矜持を見た(2013/12/18)

「新価格 みんなで渡れば怖くない」

「高値待ち 後出しジャンケン一挙駆け」

(以下は、不動産業界の方というより一般の方に読んでいただくように書いた記事です)

 言葉は悪いのですが、いまのマンション市場を一言で言い表せれば「新価格みんなで渡れば怖くない」「高値待ち後出しジャンケン一挙駆け」です。いま分譲されている1戸当たりの平均価格も専有面積3.3㎡あたり単価(坪単価)も、昨年の今頃と比べ確実に1割以上値上がりしています。従来相場の〝旧価格〟をどんどん更新する高値の〝新価格〟が登場しています。これは序章、序の口にすぎません。これからは新価格どころか〝新々価格〟も出現するのが必至です。

 用地取得費や建築費の上昇が最大の要因ですが、他にも理由があります。市場がアベノミクスによる景気回復や低金利、先高観を誘って極めて好調に推移しているからです。売れ行き好調が価格上昇の大きな要因の一つです。

 大手不動産会社などで組織する業界団体・不動産協会の岩沙弘道会長は、先日の同協会総会後の懇親会でも「消費税は8%に引き上げられたが、分譲住宅はローン減税の拡充、すまい給付金などの支援策によって、いまのところ反動減は避けられている」と、消費増税の分譲住宅事業への影響は限定的と語りました。

 では、いったいいくらまで上昇するか。都心部は軒並み坪400万円以上となり、リーマン・ショック後の坪単価の最高値800万円を来年あたりは突破し1,000万円くらいになると見ています。これまでは250~260万円が相場と思われていた準都心部(都心を除く概ね23区や横浜方面)では坪単価300万円を超えてくると思われます。一般的なサラリーマンが無理なく買える坪単価が200万円以下(分譲価格が3,500万~4,000万円)の地域は23区内では城東エリアの一部しかなく、郊外部でも最寄り駅からバス便などの遠い物件に限られると予測しています。

 とはいえ、消費者の取得能力に限界もあります。強気な価格を設定して売れなければ業績に影響します。だから、同業他社が高値を付けたところで、やや低めの価格にして一挙に売ろうというのがデベロッパーの戦略です。先ごろマンションの供給量が激減したと報じられたのも、売りものがないのではなく様子見です。

 売り急ぎをしなくてもいいのです。大手デベロッパーは今期の売上計上予定の6~7割はすでに契約済みです。これから分譲する物件は来期や再来期に計上する物件です。お互い腹の探りあいを演じ、新価格が出揃ってから押っ取り刀で他社を圧倒しようというのが今のマンション業界です。

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 さて、このような過熱気味の市場に消費者はどう対応したらいいか。これが難しいのです。消費者と言ってもそれこそ百人百様、みんな考え方も家族構成も異なります。しかも、不動産という商品は唯一無二、世界に同じものが二つとしてないという特性があります。

 ですから、一人ひとりに適切なアドバイスなどできません。確実に言えるのは、性懲りもなく繰り返される〝マンション今が買い〟〝分譲か賃貸か〟などの見出しが躍る雑誌記事などは読まないことです。雑誌社も不動産に関する記事は〝売れるから〟取り上げるのであって、決して消費者の味方ではありません。斯く言う筆者も業界紙の記者であり、お客さんの味方ではありません。かといって敵ではありません。劣悪な住宅の取材からすっかり足を洗いました。

 そもそも住宅は、金利動向や地価・建築費動向、市況によって買うものではありません。通勤に不便、子どもが成長する、陽が当たらない、家賃が高いなど買わざるをえない動機・理由があります。こうした問題と無縁の富裕層の方は、不動産を金融商品のように買ったり売ったりするのは自由ですが、一般的なサラリーマンの方にとって煉獄の苦しみが到来しないことを望むしかありません。

 お勧めは自ら居住する地域の不動産流通会社に相談することです。最近の仲介会社は敷居を低くして、お客さんとの距離を縮めようとしているところが増えています。新築が無理なら中古を買うのも選択肢の一つです。最近流行りのリノベーションもあります。

 間違っても猫の額ほどの庭もない、ぺんぺん草も生えないような一戸建てや、安かろう悪かろうのマンションを買わない勇気を持ってほしいものです。とにかく〝見る目〟を養ってください。

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廣岡社長

 フージャースホールディングスは5月21日、2014年3月期決算説明会を開き、廣岡哲也社長は、急速に進む少子高齢化や都市の成熟化など時代の変化を見据え、安定的な収益構造を構築するため事業戦略を大幅に転換していくことを明らかにした。3月期では72.5%の事業ポートフォリオ構成比を占める首都圏マンション事業を2017年3月期には20.0%に抑制し、地方・再開発を20.0%に、シニアマンションを20.0%に、分譲戸建てを20.0%に、中古再販・リノベーションを5.0%にそれぞれ引き上げる。

 今後の事業展開について廣岡社長は、「首都圏の一次取得層向けマンションは、需要はあるが土地や建築費の上昇でやりたくともやれなくなってきた。分譲戸建ては相対取引で用地も取得できており、建築費の上昇もそれほどでない。商品企画を向上させたことで、大手と戦える手ごたえもある。引き続き拡大させ、年間200棟くらいを目標にしていく。地方は駅前の一等地や再開発案件など優位性のある案件を中心に手がけていく。中古再販・リノベーションも事業化が進んでいる。シニア事業は、補助金目当ての25㎡以下の『サ高住』とは一線を画す。70㎡くらいの『住まいを提供する』シニア向けの所有権で新しいニーズを掘り起こしていく。今年度は増収減益を見込んでいるが、事業転換のための端境期で、ネガティブな考えは持っていない」などと語った。

 同社の2014年3月期は、売上高369億円(前期比12.1%増)、営業利益67億円(同8.1%増)、経常利益64億円(同6.7%増)、当期純利益38億円(同30.8%減)を計上。マンションの売り上げ増が業績に寄与した。

 2015年3月期は売上高390億円(前期比5.6%増)、営業利益51億円(同24.9%減)、経常利益47億円(同26.8%減)、当期純利益28億円(同27.4%減)の増収減益を見込んでいる。

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 廣岡社長の話を聞いていて、至極もっともな選択だと思った。首都圏マンションは大手の寡占化が振興している。一次取得層向けは大手があまり手を出さない〝隙間〟ではあるが、用地争奪戦が激化するはずだし、建築費の上昇は当分続く。サラリーマンの取得限界に来ているだけにリスクも大きいと見ている。

 一方で、同社の分譲戸建ては数問前と比較してデザイン・外構が劇的に変わった。以前はパワービルダーと対して違わず、〝果たして大丈夫か〟と見ていたが、現在の商品企画なら大手と互角に戦える。

 地方はよく分からないが、廣岡社長は「地方は3匹目の土俵はないと思っている。エリアの一等地で展開していく」と慎重な構えも見せた。かつて地価の上昇局面で、首都圏から地方圏へ転戦したデベロッパーはことごとく失敗しているだけに廣岡社長の舵取りに注目したい。

 シニア事業について廣岡社長は「第二の柱に育てたい」と話した。「サ高住」は競争が激しいが、「施設」利用権ではなく「住まい」としての所有権分譲は大きな可能性を秘めていると思う。同社は全150戸の中高齢者向け「デュオセーヌ」をつくばで分譲中とのことだ。天然温泉、医療・介護・看護サービス、コミュニティを盛り込んでいるのが特徴だという。機会があったら見学したい。

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「グランドメゾン上原レジデンス」完成予想図

 積水ハウスの「グランドメゾン上原レジデンス」モデルルームを見学した。渋谷区上原2丁目の第一種低層住居専用地域に位置する低層3階建てで全15戸のうち12戸が億ション。坪単価は480万円。先週に分譲開始され、残りは3戸のみとすこぶる好調。

 物件は、小田急電鉄小田原線・東京メトロ千代田線代々木上原駅から徒歩7分、渋谷区上原2丁目の第一種低層住居専用地域に位置する地上3階地下1階建て全15戸。専有面積は54.92~117.29㎡、坪単価は480万円。現在分譲中の3戸の価格は7,500万円(54.92㎡)・13,000万円(94.85㎡)・18,000万円(114.03㎡)。竣工予定は平成26年12月下旬。設計・監理は宮川憲司建築事務所。施工は東急建設。

 現地は、北西側から南側に向かって1層分くらい高くなっている角地。敷地は高級賃貸として知られるホーマットの跡地。地下にアプローチ、エントランスホール、駐車場などを配し、住戸部分は1フロア5戸。6割は角住戸で、残りの中住戸はワイドスパンとし、それぞれの住戸プランに特徴を持たせている。

 設備仕様レベルも高い。リビングドアには黒檀の突板を採用しているほか天然石、自然木を随所に採用。リビング天井は折り上げ。バックカウンターも標準。他のマンションと同様、ドアノブは壁面まですべてセットバックさせている。先週から分譲開始し、残りは3戸。

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1階のテラス付きも人気で、残りは1戸

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 もともとこの日に取材する予定には入っていなかったのだが、他のマンションの現場を見るつもりで降り立った代々木八幡駅の駅前に販売事務所があり、早速取材を申し込んだ。

 対応してくれたのは長嶺伸之氏だった。どこかでお会いした方だと思った。若いころはお会いした方、特に女性の方は名前と顔はしっかり覚えるほうだったが、ここ数年間は加齢のためか、最近は会った人はすぐ右から左へと抜けていく。その一方で、同社が30年も昔に分譲した故・宮脇壇氏の設計による「参宮橋」のマンションを思い出すのだから不思議だ。

 記憶を手繰り寄せようと必死で考えたら、長嶺氏のほうから声を掛けてくれた。同社の記念碑的なマンション「伊勢山」と「白金」でも案内してもらった方だった。瞬時に物件のことがよみがえった。長嶺氏は同社の高級マンションばかりを担当しているのではなかったか。

 今回のマンションも一級品だ。品がある。長嶺氏は「概念ですが、集合住宅というより1戸1戸の住宅を造って実現させました。擁壁は石積みとし、植栽も里山の雰囲気を再現しました」と語ったように、戸数こと少ないが、邸宅マンションにふさわしいレベルの高い物件だ。

 単価は決して安くない。今回の現場のすぐ近くには、野村不動産が3年前にほとんど即日完売した「プラウド上原」がある。確か410万円だった。それより坪70万円も高い。

 同社は、今回の近接地のホーマットの跡地でやはりマンションを分譲する。着工も済んでいるという。敷地形状からすれば単価は今回より高くなるかもしれないが、こちらも人気になるのは必至とみた。

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現地の近く

積水ハウス「グランドメゾン白金の杜ザ・タワー」 「伊勢山」と肩並べる記念碑的物件(2011/5/13)

野村不動産「プラウド上原」垂涎の的の低層3階建て(2011/4/25)

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「ディアナコート学芸大学レジデンス」完成予想図

 モリモトの「ディアナコート学芸大学レジデンス」を見学した。南向きワイドスパンが特徴で、大理石、シーザーストーン、ウォールナットなど自然素材をふんだんに用い、逆梁ハイサッシ、床の遮音性能もL-40にするなどレベルの高いマンションだ。デザイン監修は南條洋雄氏と清野燿聖氏。

 物件は、東急東横線学芸大学駅から徒歩12分、目黒区目黒本町1丁目に位置する5階建て全43戸。専有面積は46.45~86.37㎡、価格は未定だが坪単価は350万円までにおさまりそうだ。竣工予定は平成27年8月下旬。設計・監理はアトリエモルフ建築事務所。デザイン監修は南條設計室、清野耀聖事務所。施工は冨士工。

 現地は、目黒通りから少し入ったところで、「林試の森公園」へは徒歩7分。近くにはほぼ即日完売した野村不動産「プラウド目黒本町」(63戸)がある。

建物は天然石のマリオンやロートアルミを採用。住戸プランは約7.1~10.7mの南向きワイドスパンが特徴。

 販売を担当する同社分譲営業部課長・大川貴弘氏とマンションギャラリーチーフ・登坂憲嗣氏は、「床も壁もウォールナットの突板。床はうづくり仕上げ。キッチンと出窓のカウンタートップはミラノサローネでもたくさん出品されていたシーザーストーン。ドアノブも新しいものを採用、仕様レベルは『ディアナコート小石川竹早』と同レベル。スタッフは5人体制で、週30件の来場。極めて順調。野村さん? 負けません」と話していた。

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 モリモトの物件はほとんどすべて見学しているが、このマンションもレベルは高い。二重床で遮音等級はL-40を採用している。問題の単価だが、大川氏も登坂氏も明言は避けたが、坪350万円までに収まりそうだ。

 大川氏は「これからどんどん新価格マンションが登場するが、当社は高値追求しない。質を落とさず、利益を圧縮してお客さまのニーズに応える」と語った。記者の相場観からしたら、坪350万円はやや高い。「利益を落として」330万円くらいに設定することが「お客さまのニーズに応える」ことだと考えるがどうだろう。

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外観

来場者も絶賛 モリモト「ディアナコート小石川竹早」(2014/2/21)

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「イズ・ステージ」外観

 積水ハウスは5月19日、基本性能を向上させ、ストック価値を高めた鉄骨戸建2階建てのモデルハウス新「イズ・シリーズ」を小田急線・新百合ヶ丘の住宅展示場で公開した。

 強くて美しい外壁「ダインコンクリート」と、防汚性能を高めた「タフクリア30-ハイブリット光触媒仕様」により従来15年だったメンテナンスサイクルを30年に伸ばした。また、進化したユニバーサルフレームシステムにより、陰影の深い外観シルエットと連続大開口や吹き抜け空間などを採用した「スローリビング」を提案。高断熱仕様でネット・ゼロ・エネルギー化を推進する高性能樹脂サッシも提案している。

 「イズ・シリーズ」は、発売から30年近く経過するロングセラー商品で、今回の進化型はコストアップ要因にもなるが、企業努力によって従来商品とそれほど価格はアップしないという。

 6寸勾配の大きな屋根が特徴の「IS STAGE(イズ・ステージ)」と、5寸勾配及びフラット屋根の「IS ROY+E(イズ・ロイエ)」で構成される。標準仕様で坪単価は62万円から。

 モデルハウスの延べ床面積は191.35㎡(57.88坪)。深い庇を持ち、1、2階ともフルフラットサッシを採用し、縁側やバルコニーに樹脂系のデッキを敷き詰めることで外部と内部の一体化を図っているのが特徴。

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「イズ・ロイエ」外観

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 まるでマジックショーを見るようだった。モデルハウスのエントランスの体験コーナーには「タフクリア30-ハイブリット光触媒仕様」の外壁タイルと一般的な外壁タイルが用意されていた。同社担当者がマジック(サインペン)でそれぞれに落書きでもするかのように着色した。一瞬だった。一般的なタイルはサインペンの青がそのまま付着したままなのに対して、前者のタイルはほんの1、2秒で色が消えた。驚いた記者は「これはマジックですか」と尋ねたら、担当者は笑って「マジックではありません」と答えた。

 「タフクリア30-ハイブリット光触媒仕様」は、このように太陽光に当てると発生する活性酸素が付着した汚れを分解するとともに、大気中の有害物質も分解する機能を持つという。

 また、太陽の紫外線による塗装の色褪せなどを抑制し、超親水性作用を持つため汚れが付きにくい優れた機能を持っているという。

 これまでもこの種の機能を持つ外壁材は同業他社やデベロッパーがマンションなどに採用していたが、これほどの性能を持つ外壁材を採用するのは同社が初めてだという。塗装剤に銀や銅の成分を5倍増量したという。

 「光触媒」を発見した東京理科大学長・藤嶋昭氏も今回の新商品の紹介ビデオにも登場した。藤嶋氏は毎年のように「ノーベル化学賞」候補に名が上がる方だ。

 記者はカタツムリの殻が汚れないという性質にヒントを得て「ナノ親水」の技術が開発されたのを思い出した。「光触媒」と「ナノ親水」はどう違うのか。積水は「光触媒は、汚れを分解するNOXやSOXを浄化する藻やカビを防ぐなどの分解作用も備えているという優れた点がある」としている。

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「ダインコンクリート」

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「リアージュつくば春日」

 リビタは5月15日、2017年までに国家公務員社宅の大量廃止が決定した「つくば」エリアで専有面積99㎡(30坪)中心の元大手企業社宅を買取り、一棟丸ごとリノベーションしたマンション「リアージュつくば春日」を販売開始すると発表した。

 「リアージュつくば春日」は、つくばエクスプレスつくば駅から徒歩16分、地上14階建て、内廊下設計の全54戸。築23年。周辺の新築マンションよりも約2割程度安い価格帯(3500万円台中心)で分譲する。空地率80%の広い敷地を生かし、住民・地域コミュニケーションの場を創出するという。

 同社は一棟丸ごとリノベーション分譲マンションをこれまで30棟・950戸(2014年3月時点)を企画、供給している。

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 記者はこれまで同社との取材チャンネルがなくリノベーションマンションも見たことはないが、今回、同社広報からこのニュースリリースをいただいた。記事はコピー&ペーストだが、必ず現地を見学してレポートしたい。

 

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「アトラス池尻レジデンス」

 旭化成不動産レジデンスは5月15日、世田谷区池尻3丁目の「池尻団地」の建て替えマンション「アトラス池尻レジデンス」が完成したのに伴い、報道陣に公開した。どこか「広尾ガーデンヒルズ」に似た風格が漂う、同社の記念碑的なマンションであるのは間違いない。

 物件概要などは省略するが、従前は昭和38年に竣工した125戸の住戸と事務所、店舗などから構成される5階建て延べ床面積約11,000㎡の建物。完成した建物は11階建て全205戸(非分譲89戸含む)。専有面積は31.20~94.76㎡。坪単価は337万円。約9カ月で完売した。

 同社が発表したリリースは、従前建物が所有権、借地権、底地権が複雑に絡み合い、敷地の一部に区の公園が入り込み複雑な敷地形状をしていたこと、区分所有者の高齢化が進み、合意形成に心を配ったことなどが記載されている。

 見学会も、このような苦労の末完成させた「今後の貴重な事例」を紹介するということに主眼が置かれているようだった。

 しかし、記者は違った。建物そのものの完成度の高さ、デザイン・意匠にほれ込んだ。同社の記念碑的な建て替えマンションは同潤会アパート「江戸川アパートメント」だとずっと思っていたが、今回の「池尻大橋」は「江戸川」と同等かそれ以上の値打ちがあるとみた。近接する鹿島の「マスタービュー」にも引けを取らない(これは言い過ぎか)。

 実は、見学会の前日、旭化成ホームズの前社長でこの4月に旭化成の副社長に就任した平居正仁氏と話す機会があり、「平居さん、明日『池尻大橋』の見学会があります」と話したら、平居氏は「そう、あれはホームズの集大成マンション」と語った。記者は「江戸川」が頭にあるので、〝平居さんも分かっていない〟と黙っていた。

 そして、見学当日。外観を見たときどこか「広尾ガーデンヒルズ」に似ていると思った。見学会に同行していた設計・監理を担当したネクストアーキテクトアンドアソシエイツ・山中猛社長にそのことを話したらその通りだった。山中氏は、「『広尾』は私の設計の原点。とくにA棟、B棟がいい。権利者の方たちと『広尾を目指そう』と取り組んできました」と語った。

 この話を聞いて、「池尻大橋」が美しいことの理由をすべて把握したような気がした。同社が販売時に用意したどんなCGも、リリースをもとに書いた記者のつたない記事をもはるかに凌駕する品格を備えた建物を前にして、うなるしかなかった。平居氏の言葉に嘘はなかった。

 例えは、共用部分にふんだんに用いられている栃木県那須産の「白河石」(那須産は「芦野石」と呼ばれ、「白河石」と同質とされる)。これも山中社長が苦労して入手したもので「大理石の2倍、3倍の値がする」と話した。外壁の2丁掛けタイルは特注品で一枚一枚、職人が張ったのだという。窓やバルコニーのタイルは、雨垂れによって汚れないようタイルには「ボウズ」処理を施し、「水切り」を行っている。タイルとタイルの目地も、実際にジョウロで水を流して水の伝わり方を実験したという。

 アルミサッシは鋳鉄製のような表情を持っていた。軒天は4色を用いてグラデーションをかけ、バルコニーなどはアクセントとして有孔ブロックを配している。花台はタイルが張られていた。廊下の壁はローラー仕上げだった。白砂とモミジを配した大きな中庭は箒で文様を描けば龍安寺の庭にも仕立てあげられると思った。

 山中社長は「このような建物の設計はこれからできるかどうか。『江戸川アパートを超えた』?『江戸川』もまたいいですから…」と話した。

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中庭

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ブラックウォールナットを使用した「ブックサローネ」(左)と白河石をふんだんに用いた共用部分

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 今回の取材でつくづく思った。デベロッパーもわれわれ記者も建物のディテールをしっかり伝える必要があると。デベロッパーは販売用のパンフレットやシアターなどで基本性能や設備機器についてはかなり詳細に説明し、図示している。

 しかし、建物のデザイン・意匠、採用している素材などについては画像などで示してはいるが、完成後の姿そのものは描き切れていない。絵画に例えれば、ルノワールが描く少女は素肌が透けて見えるようだし、フェルメールの絵は見るものを射すくめる鋭さがある。モネは光と風を写し取った。

 同社も含めデベロッパーは、絵画と同様、CG技術を高め本物の完成品を見るような予想図を製作してほしい。設計者の意図やディテールについてもっと詳細に知らせる必要もある。「白河石」など聞いて初めて知った。

 ネクストアーキテクトアンドアソシエイツは、同社の「江戸川」「国領」、いま分譲中の「調布」も設計・監修を担当している。「調布」の完成が楽しみだ。

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「ボウズ」処理されたバルコニー手すり

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付け替えられた区の公園(左)とエントランス

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坪単価410万円した鹿島「マスタービューレジデンス」


旭化成不動産レジ14棟目の建て替え 「アトラス池尻レジデンス」(2013/3/27)

鹿島建設の記念碑的マンション「マスタービューレジデンス」(2006/9/12)

今野投手あわやノーヒット・ノーランあと一人で交代

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山本監督を胴上げする旭化成ホームズナイン

  1 2 3 4   合 計
ケンコーポレーション  
旭化成ホームズ  

 

ケンコーポ 6度目の正直ならず 小笠原の力投報われず

 旭化成ホームズが2年ぶり12度目の総合優勝-第25回RBA野球大会総合優勝戦、ケンコーポレーション-旭化成ホームズが5月14日、東京ドームで行われ、旭化成が2-0でケンコーポを倒し2年ぶり12度目の優勝を飾った。木下が5回、1死満塁から決勝2点打を放った。今野投手は7回3分の2をノーヒット・ノーランに抑えたが、あと一人で降板。最後は期待の新戦力・篠永投手が三振に抑えた。これまで両チームの総合優勝戦は5度ありいずれも旭化成が勝利しているが、今回も旭化成が勝利し6連勝。山本監督は就任1年目で優勝監督に輝いた。

 ケンコーポ小笠原投手は力で強打の旭化成打線を抑えたが、5回は連続四球から失点したのが悔やまれる。打線も凡打の山を築いた。

 ケンコーポ小笠原、旭化成・今野の投手戦のまま0-0で迎えた5回裏、旭化成はこの回先頭の5番大久保と続く久保田が連続四球を選び、7番佐藤の犠打安打で無死満塁と攻め立て、8番津久井は浅い左翼飛で倒れた1死満塁から9番木下が前進守備の二遊間を抜ける安打を放ち2点をもぎ取った。放った安打はこの回の2安打を含め4安打のみだったが、ワンチャンスをものにした。

 今野投手は初回、2三振を奪うなど絶好の立ち上がりを見せると抜群のコントロールで相手打線を翻弄。3回と5回の味方の失策と8回の死球による走者を許したのみで7回3分の2を完璧に抑えた。球数は85球のみで、奪った三振は7個。あと一人で登板した篠永は最後の打者を三振に切って取った。

 ケンコーポは小笠原の力投に応えられず完敗。得点圏に走者を進めたのは2度のみで、今野-篠永にノーヒット・ノーランに抑えられた。

 小笠原投手は初回、変化球の制球に苦しみ先頭打者の北寒寺に四球を与えたが、後続を断ってから波に乗り、力勝負のストレートで4回まで1安打に抑えた。しかし、5回に与えた2四球が命取りになった。1点もやれない重圧がコントロールの乱れになったか。小笠原の球数は97球。

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旭化成ホームズ木下

○山本監督 言うことなし。多くの選手を出すことができた。あと一人の場面で篠永を投げさせるのは最初から決めていた

○今野投手 今日は調子がよかった。捕手のリードもよかった。ほとんど狙い通りに投げられた。9回完投するつもりで臨んだ

○篠永 今野さんには申し訳なかったが、おいしいところで出させてもらった。最後に投げさせると監督から指示は受けていました

○木下 みんなが作ってくれたチャンス。あそこで取れなければ流れ的にきつかったので、打ててよかった

○北寒寺 あれは僕のエラー(後述する2回の守りについて)

○大久保 僕の四球がきっかけで得点できた。小笠原さんが意識してくれたお陰(2年前、小笠原から特大の3塁打を放っている)

○平山 今野さん? 僕だったら打てる(2番手投手も出番なし。練習では鋭い変化球を投げていた)

●田辺監督 完敗。今野投手にやられましたね。守りはよかった。打てなさすぎ

●小笠原 今野さんの投球術を学ばないといけない

●小田 スライダー狙いでその通りの球だったが打ち損じ

●笠&奥さん あれは内野安打でしょ。北寒寺さんの守備が深かった(内野安打か失策か微妙な当たり)

●金子 バント失敗に併殺打。最悪。最初の打席は全部スライダー。今野さんは出し入れがうまい(巧打者も今野に脱帽)

●矢澤 ダメでしたね

笠の当たりは内野安打か失策か

 今野のノーヒット・ノーランを消した? 

山本監督采配は是か非か

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旭化成ホームズ勝利の瞬間(中央は今野投手)

 ヒットかエラーか、あと一人でノーヒット・ノーラン投手を降板させるのは是か非か、記者にとってこれほど悩ましい試合は過去に経験がない。

 まず、ヒットかエラーか。2回のケンコーポの攻撃。1死から7番笠が三遊間深い当たりのショートゴロ。ここで守備はプロ級の旭化成・北寒寺がファンブル、すばやく1塁に投げたが笠の足が速くセーフ。記者は失策と判断したが、RBAの並みの遊撃手なら間違いなく内野安打だろうとも思った。旭化成のベンチはエラー。ケンコーポは内野安打と記録した。

 そこで北寒寺のファンでもあり笠ファンでもある「俺がルールブック」の記者は、今野には申し訳ないが、この時点で内野安打と記録した。記者はまた今野ファンでもあるのだが、安打の1本や2本は許すだろうし、今野も許してくれるだろうと考えた。

 しかし、今野は絶好調。素晴らしいピッチングで7回まで全然安打を許さなかった。8回で試合終了と告げられたとき、今野がそのまま8回を抑えたら笠の安打を失策にしようと考えた。プロの公式記録員だってたまには記録を訂正する。今野は8回の先頭打者・大原に死球を与えた。次打者・金子は右翼前にポトリと落ちる安打に思えたが、大原は走れず2塁封殺。金子は右翼ゴロに。金子の代走・村上は盗塁に成功したが、続く笠は三振で2死。

 記者は、25年のRBA野球の歴史の中で初のノーヒット・ノーラン試合(完全試合は1試合ある)になるものと確信した。

 ところがだ。山本監督は何を思ったのか、今野を降板させたではないか。今野が怪我をしたわけではない。DHを解き、今野を1塁の守備に付かせた。記者は2007年の日本シリーズの第5戦、中日の山井投手があと1回で完全試合という場面で、落合監督が岩瀬投手に交代したのを思い出した。当時、プロの専門家の間でも賛否両論が飛び交った。非情采配だ、いや勝負にこだわるのなら当然だとかいう意見が相半ばした。

 まさか、山本監督はRBAでも物議を醸す演出をやろうとしたわけではないだろうが、この采配には唖然とした。最終回2死から大逆転の試合などいくらでもある。ここで一度も登板したことがない投手を送り出すなど常識では考えられない勝負に山本監督は出た。監督と選手間の信頼関係がなければできない決断だ。

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旭化成ホームズ応援席

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ケンコーポ応援席(なぜか、どこがいいのか、女性の矢澤ファンは20人くらいいた)

【お断り】 さすがに記者も歳。今日(15日)の仕事に支障をきたしそうですので、以後の記事は15~16日に配信します(5月15日3時) 

 

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「ダイワユビキタス学術研究館」(東大春日門すぐ)

 大和ハウス工業と東京大学は5月14日、このほど完成した東京大学大学院情報学環「ダイワユビキタス学術研究館」を報道陣向けに公開した。

 同研究館は、大和ハウスが寄贈したもので、同大学大学院情報学環・坂村健教授が監修。世界最先端の技術を導入し、「情報」に関する諸領域を流動的に連携させる研究機関として利用される。

 デザイン・設備設計は同大学大学院工学系研究科・隈研吾教授が担当。構内通路側の外観には約15トンの不燃処理を施した杉板をウロコ状に張り巡らし、隣接する懐徳館庭園側の外壁には、わが国を代表する左官職人・挟土秀平氏による土壁を配し、日本庭園と建築との融合を図っているのが特徴。

 公開に先立って挨拶した同社代表取締役会長・樋口武男氏は、「創業者の石橋信夫が亡くなる1年前に『創業100周年までに10兆円企業にしてくれ。これか俺の夢だ』と聞かされた。その夢の実現のために邁進しているが、社会貢献も創立時の精神。石橋も草葉の陰で喜んでいるはず。今回の施設を世界に誇れる人材育成の場として役立てていただきたい」と語った。

 建物は地上3階地下2階建て延べ床面積約2,700㎡。構造はラーメン構造で、施工は大和ハウス工業。実物大の虚像展示を可能とする空間物アーカイブプレゼンテーションルームや126席の「ダイワハウス石橋信夫記念ホール」、カフェ「厨菓子くろぎ」も併設されている。

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挨拶する樋口氏(左)と隈氏

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テープカット(左から坂村氏、樋口氏、東大大学院情報学環・須藤修氏、隈氏)

◇       ◆     ◇

 完成予想図は見ていたが、やはり完成した建物に鳥肌が立つほど感動した。隈氏の〝特許〟と思われる格子は、最近作では「ザ・キャピトルホテル東急」や三井不動産レジデンシャルの「神楽坂」のマンションでも見ているが、今回もどうしてこんなことができるのかと唸ってしまった。

 隈氏は、「外観のテーマは、コンピュータ技術と建築デザイン、それと自然をどう融合させるかだ。一枚一枚、杉板の角度を変え、すき間もアトランダムに開けたが、これはコンピュータ技術が可能にしたもの。裏側の土壁は特殊な接着剤を用いて挟土さんが全部作った。懐徳館との融合を図った。庭を借景にしたカフェも設けた。デザインを工事に落すところが難しかった」と語った。杉板は多摩産材で、外壁に5500枚、軒天に2300枚それぞれ使用されている。

 表も美しいが裏もまた美しい。この日は懐徳館庭園も公開されたが、挟土氏の土壁は表の杉板とそん色なかった。

 こんなことを書くと、貧弱な想像力しか持ち合わせていないプロの建築家は「杉板が朽ちたらどうする」と批判するかもしれないが、隈氏は自らの作品を堅忍不抜、未来永劫にわたってそのままの姿にとどまっているのが美しいとは思っていないはずだ。学問も同様。30、40年後に中身も含めてリノベーションすればまた違った味わいのある建物になるのではないか。

 記者は、「我が国の耐火・防火基準は厳しすぎないか」と樋口氏と隈氏に質問した。「耐火基準は厳しいが、緩和の方向にある」(樋口氏)「林農水相(国交省ではない)も建築学会で木造建築物の普及に力を入れると力説された」(隈氏)とのことだった。もっと前向きな答えを期待していたのだが、〝燃えていいのか、死んでいいのか〟という反論に黙らざるを得ない記者の薄弱な論理ではこの問題には踏み込めないもどかしさを覚えた。

 隈氏ファンの富裕層には朗報だ。圧倒的な人気を呼んだ東建「Brillia Tower池袋」の次は東京ミッドタウンに隣接する三井不動産レジデンシャルのマンションだそうだ。どんな物件かは知らないが、最低でも坪単価は800万円、ひょっとすると1,000万円になるかもしれない。

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構内通路 反対側から撮る

◇       ◆     ◇

 カフェのコーヒーもおいしい。850円は高いが、それだけの価値はあるし、3~4杯分の量がある。店舗内のデザインは隈氏によるもので、サクラの突板が用いられていた。

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懐徳館庭園

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懐徳館庭園に面した挟土氏の土壁

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カフェ「厨菓子くろぎ」


究極の隈研吾マンション 豊島区庁舎と一体の「Brillia Tower池袋」(2013/3/19)

大和ハウス、東大に学術研究棟を寄贈 設計は隈研吾氏(2012/10/10)

「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」完成(2010/8/20)

 

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