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「スカイフォレストレジデンス」

 住友不動産の業務・住宅・多目的ホールで構成される「新宿スカイフォレスト」のマンション棟「スカイフォレストレジデンス」が竣工し、報道陣に公開された。

 物件は、JR山手線高田馬場駅から徒歩6分、新宿区大久保3丁目に位置する26階建て全361戸。専有面積は41.86~81.74㎡、価格は5,000万円台前半から8,000万円台後半。坪単価は380万円。住戸プランは3LDKが中心で、コンパクトタイプは70戸。引き渡しは平成27年3月。施工は大林組。

 昨年3月から分譲されており、これまで197戸が契約済み。契約者の住所は新宿区が約34%、豊島・中野・杉並・練馬区が約20%、その他東京が約26%、年齢は40歳代~50歳代が約49%、20歳代~30歳代が約37%、入居予定は0~1人が約33%、2人が約35%。購入動機で投資用というのはほぼ2割という。

 購入者に評価されたのは、山手線内側の都心立地に、戸山公園近接の豊かな緑と交通の利便性、文教エリア、免震構造の安心性など。

 全体竣工は来春。オフィス棟の入居も3割くらい決まっているという。オフィス棟の上層階には賃貸住居も併設される。

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エントランス

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 この物件については分譲開始時にも記事にしているのでそちらを参照していただきたい。率直な感想を言えば、よく売れていると思うし、隣接するオフィスビルとお見合いする一部北側のコンパクトタイプを除けば、南東から南西にかけての眺望がすばらしい。

 投資用に購入した人が2割くらいというのも納得だ。分譲当初は同社の池袋の「グランドミレーニアタワー&スイート」と比較されたが、記者はこちらのほうが立地に優れているし、単価的にも高くなると読んでいた。その通りで、分譲開始時の単価は「池袋」が340万円くらいで、「高田馬場」は360万円くらいだった。現在は約20万円高くなっているが、これから都心部の高値のマンションが続々供給されるので、いまとなっては安いくらいか。今後は、期分けごとに単価が上昇する局面もあるかもしれない。

 都の総合設計制度の適用を受けているので、公開空地などの緑がよく整備されているのも特徴の一つだ。

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用地取得から9年…「スカイフォレストレジデンス」分譲へ(2013/10/14)

 

 

 

 

 旭化成ホームズ「マンション建替え研究所」(向田慎二所長)は3月4日、マンション建替え円滑化法改正後の展望と高経年マンションのコミュニティをテーマとした「第4回目メディア懇談会」を行った。多数のメディア関係者が参加した。

 第一部では、阪神・淡路の被災マンションの再生や建て替えなどに詳しい弁護士の戎正晴氏(戎・太田法律事務所、明治学院大学法科大学院教授)と同研究所・大木祐悟主任研究員が「マンション建替え円滑化法改正後の展望と課題について」パネルディスカッションを行った。

 昨年12月24日に施行された円滑化法の「マンション敷地売却制度」は、マンション敷地の買受人をあらかじめ決め、特定行政庁から「要除却マンション」認定を受けたうえ、敷地売却決議-敷地売却組合の設立-不参加者に対する売渡請求-分配金取得計画の決定-組合がマンション敷地の権利を取得-買受人に敷地を売却-買受人がマンションなどを建設-するもので、手続きが簡素化され、一気通貫で敷地売却-建て替えができる制度として注目されている。一定の要件を満たせば、容積率が最大1.5倍まで緩和される。

 一方で、自治体によって建築物の絶対高さ制限、接道制限、公開空地、外壁の後退距離などを定めた総合設計制度などにより、容積率の割り増しを受けてもマンションは建てづらいなどの報告もされた。店舗などの借家人への補償、団地型は不可などの問題も残されていると戎氏は語った。

 第二部では、同社が参画した建て替えマンションの事例を基に「高経年マンションの区分所有者とコミュニティの高齢化」について向田氏と同研究所・杉山直美氏が報告した。

 区分所有者の平均年齢は60歳以上が70.7%(70歳以上は41.9%)で、従前の空き家率は24%、単身世帯は41%など、多くの問題点を抱えていることが語られた。

 建物の解体までに少なくとも8回くらいの説明会が行われ、女性スタッフなどによる高齢者などへの個別サポートは数えきれないほどという苦労話も杉山氏は話した。

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 マンション敷地売却制度は、業界からも「画期的」制度として歓迎されたが、記者は冷ややかに見てきた。すんなり決議ができればいいが、様々な思惑が交錯し5分の4の賛成を得るのも容易でない。しかも、容積率が割り増しされて、高さ規制も日影規制も用途規制もなく、なおかつ居住性の優れたマンションが建つ案件は都心の商業地くらいにしか残っていないのではないか。

 個人的には不参加者に対する売渡請求の金額算定にも問題があると考えている。請求額は素地価格から解体費用などを除いた額となるようだが、敷地を売却することによって二束三文の価値しかなかったマンションが建て替え後は数倍に跳ね上がるわけだから(そうならないケースもあるが)、その利益も考慮していいような気がする。

 例えが適当かどうか分からないが、囲繞地とよく似ている。公道につながっていない囲繞地はそれこそ何の価値もない。資材置き場か畑にしかならない。しかし、公道につながる土地の所有者(不参加者)から土地を買収できれば相場の数倍のお金を払ってもいいケースはたくさんある。その意味で、不参加者の意向は事業の成否のカギを握る。

 と、ここまで書いたが、この問題は解消されるようだ。つまり、補償額は建て替え後の価値が上昇することを想定して算定されるので、不参加者の不利益にはならないということだ。記者の不勉強だった。

 もう一つは、従前と比べ価値がそれほど上がらない修繕はともかく、新築の8掛けくらいに価値を上げられる改修もこれからは大きな選択肢になるということだ。

 好例を紹介する。青木茂建築工房がリファイニング建築手法を用いて設計・監修を担当した再生マンション「千駄ヶ谷緑苑ハウス」の解体現場見学会には行政、不動産、設計事務所、研究者ら約300人が押し寄せた。マンションは相場の8掛けくらいで早期完売した。

 同工房は近く「笹塚」の見学会を行うが見学申し込みが殺到したため、申し込みを途中で打ち切った。ここも設計図書などない古い建物だという。取材してレポートしたい。

 第二部では杉山氏の話が興味深かった。同社の建て替え事業が他社よりぬきんでているのは、そうした裏方の合意形成にいたる努力があってこそではないかとずっと思ってきた。裏方の取材はできないものだろうか。

 

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陸前高田市(岩手県の資料より)

 2011年3月11日の東日本大震災からもうすぐ4年目の春を迎える。岩手県陸前高田市は、県内でもっとも多くの多くの死者1,559人を出し、いまだに行方不明者が215人いる。死者・行方不明者の1,814人は人口の7.78%に達する。また、日本の白砂青松100選にも選ばれていた「高田松原」の砂州と約7万本の松が消滅した。「奇跡の一本松」は「希望」のシンボルとして〝全国区〟になった。

 そしていま、陸前高田市は「IPPON MATSU」を合言葉に急速に復興への街づくりを進めている。数字から過去-現在-未来へアプローチする。

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 別表は陸前高田市の震災前の平成22年と震災後の26年の数字を比較したものだ。人口は約3,000人減少し約2万人になった。市町村税も約1割減少した。その一方で、一般会計は120億円から1,293億円へ約11倍に膨れ上がった。予算規模は、人口約32万人の東京都中野区の1,206億円を上回る。

 歳出を目的別にみると、災害復旧費が約223倍、土木費が約46倍、総務費が約27倍と激増した。もちろん、増加した分はほとんど国や県からの支出・補助金による復興事業に充てられている。

 その復興の目玉でもあるのが住宅地を高台に移転し、あわせて市街地の整備を行う土地区画整理事業だ。

 市では別表のように「高田地区」と「今泉地区」合わせて約303ha、計画戸数2,120戸、事業費約1,200億円の区画整理事業が進行中だ。

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 事業前の土地の評価額は約415億円で、事業後は約716億円へ約300億円、1.7倍増加する。1,200億円の事業費を投入してもそのうち900億円は回収できないという計算も成り立つ。

 復興のもう一つの目玉は防災集団移転促進事業(防集事業)だ。国費から宅地造成費、住宅建設補助金として360億円が投じられ503戸が建設されることになっている。1戸当たりに換算すると約7,200万円だ。このほか災害復興公営住宅が約300戸建設される。

 これら区画整理事業、防集事業、災害復興公営住宅による住宅建設戸数は約2,900戸。震災で蒙った全壊と半壊戸数3,341戸の86.8%が新たに建設される計算だ。

 「復興への希望の象徴となり、岩手県民だけでなく国内外の多くの人々を勇気づけてきた」(高田松原津波復興祈念公園基本構想)「奇跡の一本松」はどうなるのか。消滅した砂丘は、計画では国営追悼・祈念施設を含む約124haの県営公園として生まれ変わる。具体的な整備計画はまとまっていないが、整備費に約100億円かかると試算されている。

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「奇跡の一本松」(同)

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 記者は昨年の3月、宮城県名取市に別件の取材で出かけ、閖上地区を見て、仙台空港アクセス線美田園駅前の仮設住宅に住む被災者にインタビューをした以外、3.11はまったく取材していない。

 取材もしないで、復興のための土地区画整理事業について書く資格はないのかもしれない。それでも書かざるを得ない。果たして大丈夫かと。

 かつて区画整理事業は「都市計画の母」ともてはやされた。ところが、バブル崩壊後は、高い梯子を外されたのと同じ格好で、ほとんどの事業が行き詰まった。首都圏ばかりでなく広島や岡山の悲惨な事業も取材している。死屍累々ということばがぴったりだった。「姥捨て山」と書いて怒られたことがある。

 そもそも区画整理事業は、そこに住む人を呼び込むポテンシャルがあり、土地が上昇することが前提となっている。右肩下がりでは保留地がねん出できず、金利負担だけが覆いかぶさってくる。

 しかし、「震災復興」の大義名分のためにはだれも「無謀」などと異論を挟めない。それでも、緑の木々が切り倒され、赤土がむき出しになった区画整理の無残な姿を見ている記者は「大丈夫か」と言わざるを得ない。

 陸前高田市と同じように、被災地では50カ所くらいで土地区画整理事業が進められている。「日本創成会議」が昨年、2040年までに東北4県は全市町村の8割以上が人口半減すると予測し、大騒ぎになった。立派な「街」を造れば人口は維持できるのか。国土強靭化政策は実を結ぶのか。

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 この記事を書き出したころ、発刊されたばかりの重松清氏著「希望の地図3.11から始まる物語」(幻冬舎文庫)を読んだ。現地取材をもとにしたドキュメントノベルだ。

 重松氏は巻末の「四度目の春を前に-文庫版あとがきにかえて」で、2014年暮れに取材したときの陸前高田の風景を次のように書いている。

 「2011年秋の時点では悲しいほど静かだった町に、絶えることなく工事の音が鳴り響く。自衛隊や警察の車輌が行き交うだけだった国道を、ダンプカーが土埃を舞い上げて駆け抜ける。どこも大規模な工事だった。文字どおりゼロからつくりあげているのだというのが、まざまざとわかる。

 …もしかしたら、いまの陸前高田は、『復旧』はもちろん、『復興』をも超えて、ふるさとの『創造』の段階に足を踏み入れているのかもしれない。

 …『町』の時計が前へ前へと進んでいく一方で、『ひと』の時計は行きつ戻りつを繰り返す。それを忘れるな、と自戒した。書き手として自分が言葉を尽くして伝えるべきものは、『町』と『ひと』のどちらなのか――わかっているよな、と肝に銘じた」

 重松氏はまた、「単行本版のときは見過ごしていたことに気がついた。…『目処』という言葉が、驚くほど数多く用いられていたのだ。…それは書き手として恥じ入るべき話である。…いまだに『目処』すら立たない原発事故など幾つもの事柄に、あらためてやりきれなさや憤りがつのらないか? 」と書いている。

 しかし、記者は「目処」よりも「希望」が頻繁に出てくるのに戸惑いを覚えた。タイトルからして「希望の地図」だから多いのはやむを得ないが、ざっと数えたら95個もあった。「人々の希望を背負って」「涙と希望の成人式」「希望というのは、未来があるから使える言葉なんだよ」などだ。ページ数は280ページくらいだから、3ページに1回出てくる勘定だ。

 さすがに重松氏も自らをとがめたのか。「『希望』の響きや字面が、甘くはないか。軽くはないか。とても怖い。単行本刊行からの三年間で、『希望』という言葉は、こんなにも磨り減らされ、疑われ、色褪せて、時として欺瞞や偽善や選挙活動の小道具にまで貶められたのだから。

 もしも題名に冠した『希望』に違和感を覚える方がいらっしゃったら、そして、その違和感が辛い記憶を呼び起こしてしまったり、悲しい思いを生んでしまったりしたなら、書き手として心からお詫びしたい」と書く。

 記者も「希望」に違和感を覚えた一人で、「希望」やら「平和」やら手あかにまみれ陳腐化した言葉などむやみやたらに使うものではないと思っている。

 重松氏の作品をいま一つ好きになれないのは次の一文に象徴的に表れている。「そのうえで、しかしあえて、改題は行わずに文庫化させていただく。『希望』とは未来に向けての思いである。キツい現在を踏ん張るための底力である。…『希望』はある。絶対にある」――まだ「希望はあるというものでもなく、ないというものでもない」と書いた魯迅のほうが正直だ。

 

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「グレイプスフェリシティ戸塚」

 東京建物と日立アーバンインベストメント(旧・中央商事)は3月1日、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)共同事業第1弾「グレイプスフェリシティ戸塚」を開業した。施工は鹿島建設で、大手介護事業者ツクイが生活支援サービスを行い、日立製作所が開発した見守りシステムが採用される。

 入居者をサポートするコンシェルジュが日中常駐し、介護の必要がない人から要介護5まで入居者の要望に応じてパッケージプランが用意されている。居室は分譲仕様の全24タイプ、終身建物賃貸借契約で、入居一時金不要。

 開業に先立って26日行われた記者見学会で、東京建物シニアライフサポート・加藤久利社長は「当社のサ高住はこれで7棟目。日立アーバンインベストメントさんとはこれまでマンションの共同事業があるが、サ高住は初めて。日立さんが開発した見守りサービスを採用し、次世代型のサ高住を目指す」と話した。

 両社共同事業の第2弾「(仮称)戸塚町361計画」74戸も開発を進めている。竣工は平成27年11月。

 物件は、JR東海道本線・横須賀線・湘南新宿ライン・横浜市営地下鉄ブルーライン戸塚駅から徒歩15分、横浜市戸塚区吉田町字上打越に位置する6階建て全97戸(ほかにデイサービス、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所)。専用面積は19.08~62.02㎡。月額賃料は74,000円~265,000円。管理費は16,500円(浴室あり)・21,500円(浴室なし)。基本サービス費は32.400円(1人入居)・54,000円(2人入居)。食事は3食30日分で48,600円。事業主は東京建物、日立アーバンインベストメント。貸主は東京建物不動産販売。運営受託はツクイ。医療連携は福和会横浜さくらクリニック。設計・監理は日立建設設計。施工は鹿島建設。

 1月27日から入居募集を開始しており、南向きや50~60㎡台の全戸をはじめ22戸に申し込みが入っている。

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モデルルーム

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デイサーピス(左)と介護浴室

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 加藤社長はあいさつの中で「日立アーバンインベストメントさんはこれまで戸塚で1,500戸のマンション供給事例がある」と話した。記者は日立アーバンインベストメントを全然知らなかったが、1,500戸も供給していれば知らないはずはないと思った。日立系の中央商事ならよく知っている。桜並木が美しい高台で素晴らしいマンションを分譲したことがあるし、その他も取材している。

 ひょっとしたら社名を変更したのではないかと、発表会に出席していた同社不動産営業本部事業開発部部長・服部三次郎氏に聞いたらその通りだった。中央商事が2012年、現社名に社名変更したのを記者が知らなかっただけだ。

 そんなことより大事なのは施工が鹿島である点だ。記者はサ高住のことはよく知らないが、施工が鹿島というのはほとんど事例がないのではないかと思う。スーパーゼネコンも少ないはずだ。ましてやゼネコンはオリンピックやら復興やら都市の再開発などビッグプロジェクトに忙しく、利益率の低いマンションやサ高住など受注するはずがない。

 そこで、「なぜ鹿島か」とぶしつけな質問をした。服部氏は「敷地は日立系の社宅跡地で、鹿島さんには施設やマンションなどを多く手掛けていただいており、地域住民からも美しい桜並木を壊さないでという要望があったので、実績が豊富な鹿島さんにお願いした」と話した。「コストは? 」と畳み掛けたら「安くはない」と服部氏は笑って答えた。この答えで鹿島の読みも理解した。

 日立アーバンインベストメントがこれからどのような事業を展開するか注目したい。

 居室内のセンサーなどと組み合わせた日立の見守りシステムもなかなかいい。しかし、この種の技術は日進月歩。いちばんいいのは24時間365日、入居者の健康が管理できることだ。人権問題もあるが、タグを耳などに埋め込むのはどうか。

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フェリシティホール(食堂)

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「第24回全国女性建築士連絡協議会(略称:全建女)」(建築会館ホールで)

 日本建築士会連合会女性委員会(女性委員長:永井香織・日大准教授)は2月27・28日、全国から20歳代~70歳代の女性会員が集まり「第24回全国女性建築士連絡協議会(略称:全建女)」を開催した。今年のテーマは「未来へつなぐ居住環境づくり~大切にしたい暮らし方~」で、震災を経験したからこそ、女性だからこそ未来を見据えて子どもや高齢者など社会的弱者の暮らしを守り、未来を見据えた安心・安全の居住環境づくりに取り組んでいくとアピールした。赤ちゃんを抱えた参加者もいた。

 初日の27日は、日本建築士会連合会副会長・岡本森廣氏と来賓の日本女性学習財団理事長・村松泰子氏の挨拶に続いて、永井氏が「震災を経験したからこそ、将来の子どもたちの安心な居住環境づくりは私たち女性建築士の責務。未来に向けて新たなステージでの活動を行なっていこう」と呼びかけた。

 基調講演では、HITOTOWA INC代表取締役・荒昌史氏が「ネイバーフットデザイン~東日本大震災から学ぶ〝よき避難者〟を育成する防災減災~」をテーマに集合住宅でのコミュニティをどうマネジメントするか、来るべき大災害にどう備えるかなどについて話した。

 その後、秋田県、東京都の活動報告と福島・宮城・岩手の被災3県、液状化に見舞われた千葉県浦安市からそれぞれ被災地からの現状報告や取り組みが紹介された。

 2日目の28日には、8つの分科会で震災後の取り組み、歴史的建造物の再生、景観まちづくり、福祉住宅などについて報告・討論が行なわれ、「未来につなぐ居住環境づくり」「防災に対するハード・ソフト両面での取り組み強化」「震災復興に対する継続的な活動」「社会への情報発信」の4つのアピールを提言した。

 国交省と建設業関連5団体は、女性技術者・技能者を5年以内に倍増させる行動計画を打ち出している。

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永井氏

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 建築士への取材はたくさん行なってきたが、全国組織のしかも女性で構成される団体の取材は初めての経験だった。「建築士」は男性も女性もない「士」の集団だから、ことさら「女性」を枕詞に付ける意味がよく分からなかった。

 なので、永井氏に「どうして女性を付けるのか」という直截的な質問をした。永井氏は待ってましたといわんばかりに、「男女雇用機会均等法(1985年制定)後入社の私も同じ意見を持っていた。女性の建築士は20年も前から、子どもを連れて会議に出たり勉強会に出席したりして、男以上に頑張って社会とつながり仕事との両立を実践してきた。『女性』を付けているのは、女性だからこそという思いが込められている」と答えた。

 「女性だからこそ」――この言葉の意味、重さを探るのが取材の主な目的になった。永井氏が記者会見で強調したのも「女性だからこそ」果たせる活動だった。

 転機になったのは東日本大震災だった。「これから先どうした活動をしたらいいか模索していたとき3.11が起きた。地域・暮らしに根付いた活動のほかに原発の課題も加わった。われわれも震災に対する支援活動をやってきたが、復興は進んではいない。20年以上も前から子どもと弱者に寄り添ってきた私たちこそもう一度足元を見つめ、震災復興の取り組みを全国に発信していく」と永井氏は強調した。

 「協議会」のテーマをこれまでの「地域」から「未来」に転換したのも、より強く社会にアピールしていこうという決意が読み取れる。永井氏は「震災の支援活動を通じて安心・安全の居住環境づくりはハードだけではサポートが難しい。コミュニティを大事にしなければならないことに気づいた」とし、「初めて建築以外の方(荒昌史氏)を講師に招いた」と、ハードもソフトも備えた知識・技能集団として職域の拡大に意欲を見せた。

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 参加者へも直接「女性だからこそ」の質問をぶつけた。生後6カ月の子どもを抱えて参加した新潟県三条市から参加したiaトキワ専務取締役・渡邊久美氏は「主にインテリア関係の仕事をしていますが、わたしのような小さい子どもがいる家のリフォームも多いですからハンディがあるとは思いません」と話した。

 愛知県から参加した人は「みんな性別は意識していないと思います。男性の建築士と異なる点を強いてあげれば、仕事に真面目に取り組むことだと思います」と語った。

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三条市から参加した渡邊氏とお子さん

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 記者が「女性」という色眼鏡で観ていたこともあるのだろうが、気がついたことが二つあった。

 一つは居眠りをする人の少ないことだ。初日の会合は300人近くが参加した。集会は午後1時から5時30分まで4時間30分に及んだ。休憩は2回のみ。この間、居眠りをしている人は皆無ではなかったが、男性の会合などと比べ極端に少なかった。記者などは1時間もじっとしていられない性質なので、これにはびっくりした。

 もう一つは、永井氏もそうだったが、報告者が「あー」とか「えー」とかの機能語をあまり話さなかったことだ。千葉県浦安市の「災害に強いまち〝浦安〟をめざして」について報告した度会紀子氏は約20分間、過不足なく論理的に語りかけたのに惚れ惚れして聞き入った。

 普段から無駄を省き、あいまいさを排除し、それこそミリ単位の仕事をこなしているからだろうか。「坪」「万円」単位でしかものごとを考えられない記者は恥じ入るしかなかった。全国女性建築士連絡協議会の略称は「ゼンケンジョ(全建女)」と呼ぶそうだが、「全賢女」に置き換えられそうだ。

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防災訓練

 千葉県習志野市の大規模マンション「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」管理組合は3月1日、竣工・入居開始後初めての防災訓練を事業主の三菱地所レジデンスと管理会社の三菱地所コミュニティのサポートを得て行なった。同マンションは三菱地所レジデンスが売主の2013年6月に竣工した総戸数721戸の規模。この日はかなりの雨が降り寒かったが、午前、午後の部をあわせて約160世帯350人が参加した。

 訓練開始は9時30分(午後の部は1時)。「震度6弱の地震が発生しました。ガラスやタイルなどが落下する恐れがあり危険ですので、慌ててマンションの外へ逃げないでください。カフェラウンジに災害本部が設置されました。これより安否確認を実施いたします。各住戸の玄関扉に『安否確認シート』を貼り、自宅で待機してください」のアナウンスが各住戸と敷地内共用部分に流れた。

 管理組合オリジナルの「防災計画書」に基づき、A~D棟それぞれ5名の理事と三菱地所コミュニティの担当者が階別の安否確認シートに確認した後、参加者は1階に集合。市消防署から消火栓の使い方やマンホールトイレの設置方法を学んだほか、「被災生活ワークショップ」、「防災セミナー」などを行なった。

 防災担当の理事、安部修氏(40)は「購入したのは震災後で、耐震性や災害時の対応が問題になっていたとき。理事になって2年目だが、自分たちでつくった防災計画書を実際に動かしてみようと行なった。問題なくこなせた。すごく勉強になった」と話し、同じ防災担当の吉野修史氏(35)は、「わたしも初めてのマンション居住。仕事以外で幅広い年齢層の方々と話す機会が増えておもしろい」と理事会活動について語った。

 訓練に参加した長崎守男氏(67)は、「これまで約35年間、分譲と賃貸を合わせ2,000世帯もある大規模なマンションに済んでおり、理事長も自治会長も経験している。震災で液状化も経験した。管理組合は個人情報の問題もあり災害時には活動に限界がある。自治会では高齢者などがどこに住んでいるのか把握しているので、大きな力になる」と話した。

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消火訓練

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安部氏(左)と吉野氏

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 先週末、国交省の第10回「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」が、マンション標準管理規約のコミュニティ条項を削除する方向を打ち出した直後のマンション防災訓練の取材だったので、とても興味があった。

  ここでは、いったいどこまでが管理組合の活動か自主的な住民の活動かは問わないし、線引きなどできないはずだ。生きるか死ぬかの災害時に法がどうとかなど言っていられない。家族の安否確認ができたら、ほとんど全ての人は隣近所の住民のことを考えるはずだし、近所づきあいがなければ隣のドアを叩くことすらためらうのではないか。

  ところが、「検討会」は任意団体の自治会活動は区分所有法上問題があるとして、明確に区分すべきという方向性を示した。この見解に疑義を挟まざるを得ない。別掲の記事も是非読んでいただきたい。以下に再度問題点を指摘したい。

 「検討会」に聞きたいことがいくつかある。

 まず、どうして2年6カ月間の空白があるのか。国交省の事情か委員の事情か、これははっきりさせなければならない。後回しにしていい課題ではなかったはずだ。

 もう一つ。当初、検討会の委員は6名だった。ところが途中から1人減った。第10回の会合では5人になっているから、補充はされていないはずだ。どうして1人減ったのか、議事録にはその記載はない。

 委員の増減決定は誰の権限でできるのか。欠格条件はあるのかないのか。検討会の規約第3条(委員等の任命)には「検討会の委員は、学識経験のある者のうちから、国土交通大臣が任命する」とあるから権限は国交省にあるようだが、その委員はどうして委員でなくなったのか、委員が一人減ったことは答申に影響を与えたのかどうか聞きたい。

 さらにもう一つ。10回目の会合では「第三者管理方式」という文言は出ていない。最初の会合で「第三者管理という言葉は、管理組合と管理会社と結びつくイメージが強い。名称を変えたほうがいい」という意見が出されたが、この声の影響はあるのかどうか。

 さて、これからが本題。最終的な答申がどうなるか分からないが、少なくとも標準管理規約から「コミュニティ条項」は削除される方向が示され、第三者管理方式に大きく道を開くことになるのは確実のようだ。

 旗幟を鮮明にしておく。記者は管理組合の財産管理とコミュニティは車の両輪と考えている。いずれかが機能しないと健全なマンション管理運営はできないと思っている。機能不全を起こしているマンションに対しては、救いの手を差し伸べるべきだが、他方で、コミュニティ活動を萎縮させるような今回の案には承服しかねる。

 そこで、考えたい。第三者管理方式を導入することでだれが得をするのか損をするのか、コミュニティ活動をけん制することがどのような影響を及ぼすかについてだ。思いつくままに書く。

 手間も暇もかかるのにお金にならないコミュニティ形成に専門家は関わろうとはしないしできない。専門家に出来るのは法の定めに従い粛々と事務的にことを進めることだ。

 報酬がどうなるか分からないが、常識的には月額5万円から10万円くらいではないか。これなら10件くらい受託できれば専門家としてのプライドを満たし生活もできてゆくだろう。

 そうなれば、〝俺がやりたい〟と組合員である入居者が管理者として名乗りでるかもしれないが、仮にその人が専門家の資格を持っていても、「利益相反」「欠格要因」に該当する可能性が大きい。よってそれは不可だろう。

 管理会社はどうか。これも「利益相反」が大きな壁になりそうだ。検討会委員の中には、管理会社をプリンターとトナーの関係と同じ(つまり、プリンターのリース料を安くして、トナーなどの維持管理費で儲けるというたとえ)と語ったほどだ。検討会は管理会社が管理人になることに足かせをはめるだろうし、管理会社も受けたがらない。痛くない腹を探られるのが怖いからだ。

 となると、第三者管理方式の採用で儲けるのは自ずと限られてくる。問題は、管理組合が報酬を払えるかどうかだ。富裕層向けや投資向けにはピッタリかもしれない。自分が理事になることもないし、財産をきちんと管理してくれればそれ相応の報酬を支払うことに何のためらいもないはずだ。

 検討会の委員の方へ。今回、コミュニティ条項を削除する方向を打ち出したことの意味を皆さんはよく考えたのか。

 分からないでもない。記者は組合員として理事として20数年間マンション管理に関わってきたが、いつも考えるのは「これは本来の法に基づく活動かどうか」「コミュニティ活動は法の趣旨に逸脱した活動だ。もし事故が起きたら誰が責任を取るのか」-これは多くの居住者が考えていることだ。この悩ましい問題に皆さんは正面から受け止めず、結局〝悪法も法なり〟と法を最優先した。しかし、皆さんの役割はあれやこれや評論することではないはずだ。財産管理とコミュニティをどう両立させるか、その隘路を解き明かし、解決策を提示することにあるのではなかったか。

 今からでも遅くない。考え直していただきたい。生きるか死ぬかの緊急時、専門家はほとんど役に立たないと断言できる。この日、三菱地所レジデンスからは約35人、三菱地所コミュニティからは約25人、合計約60人が応援のために駆けつけた。どこのデベロッパーも管理会社もコミュニティこそが非常時に大きな力を発揮することが分かっているからこそ必死で取り組んでいる。

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安否確認シール(左)と全世帯に配布されている防災リュックとその中身

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「被災生活ワークショップ」(トイレの問題は軽視できないこと、個人情報保護が非常時には師匠になることなどが話しあわれた)

標準規約からマンションコミュニティ条項が消える?第10回「管理ルール検討会」(2015/2/27)

 

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壁の耐力を大きくする「ロッドマン」について説明する担当者

 三井ホームは2月26日、枠組壁工法(2×4工法)では国内初の4階建て有料老人ホーム「あっとほーむ鎌倉山」の上棟現場見学会を行なった。

 建物は、鎌倉市笛田5丁目に位置する敷地面積約1,400㎡、4階建て延べ床面積約2,300㎡の耐火建築物。70室。工期は2014年10月から2015年6月の予定。運営は医療法人光陽会鎌倉ヒロ病院。

 敷地条件とコストを考慮して中廊下を敷地なりにクランクさせ、1階は食堂や浴室などの共用スペースと地域住民との交流やイベントが可能なスペースを設置。上層階と壁位置を極力抑えているのが特徴。

 1階部分の壁の端部には大きな引抜力が加わるため、同社が独自に開発した耐力が大きい「ロッドマン」を10本採用している。

 RC造は最近の資材高騰・職人不足が顕著になっており、同社では木造のよさと工期の短さ、コストの低さなどから福祉介護施設などの受注増に期待している。建築コストは一般的なRC造と比較して2割近く抑えられている模様だ。

 木造による大規模耐火建築物では、国内初の2×4工法(1階はRC)による5階建て延べ床面積約9,000㎡の特養施設の入札が近く行なわれる。国交省の先導モデルにもなっている。

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 いつも思うことだが、木造は美しい。どうしてこの木の上にボードなどの不燃材で被覆しなければならないのか。〝燃えていいのか〟と言われれば黙るしかないし、「法の定め」と言われればそれまでだ。

 平成15年の東京都消防庁「隣棟建物への延焼阻止に関する調査研究」(消防科学研究初報40号)には、建物構造別の焼損床面積について次のように書かれている。

 「木造、防火造、準耐火造、耐火造と建物の不燃化が進むにつれて、平均焼損床面積の割合が減少していく傾向が見られた」

 「平成12年度第6回東京都市街地状況調査から、特別区と多摩地区との合計東京都建物構造別比率は、木造15%、防火造57%、準耐火造13%、耐火造15%となっている」

 「出火建物及び延焼被害建物構造別比率は、木造31%、防火造54%、準耐火造5%、耐火造10%となっている」

 そしてまた、「延焼受害性、延焼加害性の双方を考慮し、その火災の綿密な延焼経路、屋根、軒裏、壁、開口部等の防火性や窓などの開口の有無等、様々な基礎データを集積していくことが望まれる」としている。

 調査研究は、木造のほうが非木造と比較して2倍の延焼被害があることを証明している。当たり前だ。

 しかし、それでも「木造住宅は日本の文化だ」と言いたい。美しいわが国の文化をコンクリやら化学製品で覆い隠さないとだめなのか。記者は理解できない。木は燃えるものだ。コンクリや鉄の土俵で木造を戦わせることに無理があるし不公平だ。どんなに頑張っても鉄やコンクリは木のような美しい表情をつくれない。

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建築中の老人ホーム

 

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「プラウド日本橋三越前」

 問い合わせ・資料請求が4,500件を突破している野村不動産「プラウド日本橋三越前」を見学した。「日本橋三越前」と「プラウド」人気が相乗効果を呼んだ数字だが、モデルルームは間違いなくその期待に応えるとみた。いかに顧客満足度を向上させるか、商品企画の参考にしたいマンションだ。

 物件は、銀座線・半蔵門線三越前駅から徒歩6分(総武快速新日本橋駅から徒歩4分他)、中央区日本橋堀留町1丁目に位置する12階建て全88戸。専有面積は41.54~72.02㎡、予定価格は4,600万円台~10,000万円台(最多価格帯6,000万円台)、坪単価は380~390万円の予定。竣工予定は平成28年8月上旬。施工は三井住友建設。

 現地は、三越前駅から再開発が進む同社の「YUITO」、三井不動産の「COREDO室町」を抜けて、昭和通り(首都高速1号線)を渡った商住混在地区。

 建物は扁平梁と梁型の出ない戸境壁を採用した三井住友建設の独自工法を採用。内廊下方式で、住戸は60~70㎡台の南向きと40~50㎡台の北向きがそれぞれ1フロア4戸ずつ。

 設備仕様を高めているのが大きな特徴で、リビング床はチークの突板仕様で、玄関・ホール、キッチン天板・袖壁、洗面・トイレカウンターなども天然石張り。

 第1期の登録申し込みは3月7日~15日(日)。モデルルームオープンは2月28日(土)。これまで問い合わせ件数は4,500件を突破している。

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 「ものすごい人気」だとは同社の関係者から聞いていたが、問い合わせ件数の多さにびっくりした。戸数が数百戸規模ならこれくらいの問い合わせは不思議ではないが、この程度の規模にしては信じられない多さだ。三井不動産レジデンシャルの「銀座」の人気にも驚いたが、「日本橋」も負けてはいない。

 単価は決して安くはないが、最近の価格上昇を考えればリーズナブルな値段といえなくもない。かつてコンパクトマンションが流行した平成10年ころ、プロバストが分譲した「プラティーク日本橋」などは坪200万円を切っていたし、人形町界隈の価格の高い物件でも相場はせいぜい220~230万円くらいだったことを考えると、時代は変わったものだ。

 ただ、グレードの高さは、当時の物件とは比較にならないほど高いし、近年の銀座、八丁堀あたりの物件と比べてもはるかに高い。

 ここが「プラウド」の他社物件との違いだ。それを端的に示しているのが、玄関・ホールに採用している大理石だ。

マンションギャラリー副所長の村田大輔氏は、この石を「ビンテージマンションとして知られている『広尾ガーデンヒルズ』の玄関床に使用されたイラン産のゴハレベージュです」と説明した。

 「希少種の…産です」と説明するデベロッパーの営業マンは少なくない。それだけで貴重な石であることは分かるのだが、「広尾ガーデンヒルズと一緒」と説明されたらどう感じるか。もう40年近く前のマンションだが、今もわが国の億ションとして燦然と輝いている。そのマンションと同じものを採用したと聞いたら、ほとんどの来場者は感動するはずだ。

 住宅は感動を売る商売でもある。野村不動産はいかに人を感動させられるかをよく弁えている。同じようなことだが、同社は「1418サイズ」のオハナの浴室を説明するときは「これは親子風呂ですよ」という。もちろん親子が一緒に入れるくらい広いという意味だ。「広めの1418ですよ」というのと「親子風呂ですよ」というのとでは、響き方がまったく異なる。これが同業他社と「プラウド」の差だ。

 一つだけ注文も付けたい。マンションギャラリーは草月流の師匠がコーディネートしており、高価そうな袋帯が4本も5本も飾られていた。ところがだ。8,000万円はしそうな豪華なモデルルームに飾られていたカサブランカは造花だった。かつてのプロバストは白と黒が基調のモデルルームに飾る赤いバラの花を東京中の花屋から探してきた。

 記者は「これはない」と話した。ひょっとしたら28日のオープン時には本物のカサブランカが飾られているかもしれない。

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モデルルーム(造花のカサブランカも写っている)

 

 国交通省は2月26日、第10回「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(座長:福井秀夫・政策研究大学院大学教授)を開き、主な論点とその検討の方向性について話し合った。あと1回くらいの会合を開き、最終的な考えが示される模様だ。

 同省から示された案によると、最大の論点である「第三者管理方式」については、「随時必要に応じて、外部の専門家に管理運営の執行権限を与え、区分所有者がそれを監視するという管理方式に移行できるよう、専門家を活用した多様な管理方式の類型を用意していく必要性があるのではないか」とし、「理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型」など3つのパターンを提案している。

 専門家については、「専門性のある資格、能力認証を持つ者に幅広く門戸が開かれていることが望ましいのでないか(マンション管理士や理業務主任者に加え、例えば、弁護士、司法書士、建築士、マンション管理会社OB、企業法務担当経験者など)」としている。

 また、専門家や理事会の役員についての報酬についても言及しており、「マンション全体の管理の適切なあり方を大所高所から検討し執行する役割を担う者であることから、役員がその個人的資質、能力を発揮してマンションの管理に寄与するものであれば、その点を考慮して報酬を支払うことも考えられる」として、役員や専門家に対して正当な報酬を支払ってもいいという方向性を示した。

 しかし、その一方で、「役員としての不適格者の排除を確実、迅速に行なうことができるよう…役員の欠格要件の規定を設けることが適切」といった意見もあるとしている。その際の「利益相反取引」の要件などを具体的に示し、外部監査などのチェック機能が必要としている。

 もう一つの論点である管理組合と自治会の関係、コミュニティ活動については、「管理費からの支出をめぐる意見の対立・内紛(合意形成阻害)や訴訟等の法的リスクを回避し、適正な管理、自治会活動を図る観点から、マンション管理と自治会活動の関係、特に自治会費の徴収方法の改善策を提示すべきではないか」とし、「標準管理規約第27条(管理費)」及び32条(業務)から、『地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成』という規定は削除してはどうか」としている。

 さらに、「管理費の支出は、区分所有の対象となる建物並びにその敷地及び付属施設の管理という目的の範囲内で認められるという基本的な考えを示すことが適切ではないか」という声も盛り込まれている。

 これに関連する声として、「会議での飲食については、議論や決議、ひいては管理の質を向上させるために必要か疑義があるものが多い(飲食が役員への対価、即ち報酬の代わりであるとしているマンションもあるが、今後報酬を払う場合も考えれば、ますます飲食の必要性は無くなってくる)」と、会議や様々なイベントでの飲食についても問題を提起している。

◇     ◆   ◇

 第9回が行われたのが2012年8月29日だから、2年6カ月ぶりに開かれた。記者はこの日、他の取材があり会合を傍聴できなかった。どうしてこれほどの空白があったのか会合で釈明があったかどうか知らない。会合後の同省の担当者からも明快な答えは得られなかった。

 記者の勝手な推測だが、検討会はコミュニティの評価、管理組合と自治会の役割などについて論議が紛糾し収拾がつかない事態となり、みんな頭を冷やそうということになったのではなかったのか。さらに言えば、検討会は空中分解し、そのままうやむやに済まされるのではないかとさえ思っていた。それほど真っ向から委員間の意見が対立していた。

 それでも第10回目の会合を開くのは、お互いの主張を認め、この種の会合の答申にありがちな〝玉虫色〟の両論併記のあたりさわりのないものにまとめるためではないかと思った。

 ところが、あにはからんや。甘かった。「悪法もまた法なり」だ。示された案は現行の区分所有法を楯にほとんど全てコミュニティを否定する内容となった。

 過去にも書いたが、確かに区分所有法とコミュニティはなじまない。法はコミュニティなどまったく想定していない。コミュニティを多とする側は標準管理規約を唯一の拠りどころとしてきたが、やはり無理がある。理論武装が足りない。法の改正を迫るべきだった。

 ここを衝かれた。しかし、それにしても法を振りかざす委員は、ようやくコミュニティや「絆」を真剣に考えるようになってきたデベロッパー、管理会社、マンション管理組合に冷水を浴びせかけるようなことをよくもやったものだ。記者はこの日2月26日は「マンションコミュニティが死んだ日」として忘れまい。マンション600万戸の居住者のみなさんも、管理組合とはそのようなものだということをしっかり認識すべきだ。

 もう腹立ち紛れだ。案は役員を「マンション全体の管理の適切なあり方を大所高所から検討し執行する役割を担う者であることから、役員がその個人的資質、能力を発揮してマンションの管理に寄与するもの」と規定している。それができないから第三者管理方式が提示されたのだ。つまり、自らの財産の管理を行う能力、資格に欠けるマンションが多いというのだ。あろうことか、会議での飲食についても疑義があるとされた。

 記者もマンション居住者だし理事の経験もある。組合員も理事も役割は「ひとりがみんなのために、みんなはひとりのために」が基本だ。少ない予算で様々なイベントや会議を行い、その後の発泡酒と乾きものの慰労会に疑義を挟まれたら、それこそ「理事などやってられない」になるのではないか。

 「大所高所」…結構な言葉だ。しかし、多くの組合はそれぞれの知見を持ち合い懸命に努力してマンションの価値を維持しようと頑張っている。なんだか600万戸の居住者みんなが大所高所から判断する能力、資質に欠けていると言われているようで無性に腹が立つ。役員の「欠格要件」などを提示されたら、みんな理事になることをしり込みするはずだ。どこから「欠格者」の矢が飛んでくるかわからない。

 適格者になれるのは、酒も飲まないタバコも吸わない(最近のマンションは共用部分での喫煙を禁止しているものが多い)ヒットラーのような独裁者しかいないのではないか。

 「検討会」はやりたがらない理事を益々難しいものにし、その仕事を専門家に独占させるような管理を目論んでいるのではないか。

 議決権割合を土地持分割合ではなく、価値割合つまり眺望、日照、方角などを加味した高額住居居住者の権利を土地持分割合に付加してはどうかという暴論も出るくらいだから、不公平を増大させ、格差社会をより進めようとしているとも受け取れる。

迷走する「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(2012/8/29)

 

 

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「スマートコミュニティ稲毛」

11.4haにマンション771戸とクラブハウス、グラウンド

 スマートコミュニティ(千葉市稲毛区、染野正道社長)は2月25日、アクティブシニア向けの所有権付きマンションと会員制クラブハウス利用権をセットにした「スマートコミュニティ稲毛」の記者発表会&内覧会を行なった。5年前から開発を行なっているもので、マンションは全5棟771戸の規模で、隣接する延べ床面積約34,000㎡のクラブハウスやゴルフ練習場、テニスコートなどを備えた約74,000㎡のグラウンドが利用できる。戸数は計画中も含め1,200戸くらいまで増やす計画だ。

 マンションは、JR総武線稲毛駅からバス18分徒歩2分、千葉市稲毛区長沼町に位置する敷地面積約22,000㎡、4~14階建てA~E棟全771戸。今回竣工したD棟(103戸)とE棟(41戸)の専有面積は28.81~76.48㎡、価格は29㎡のタイプが1,890万~、76㎡のタイプが3,830万円~。施工は鵜沢建設。50歳以上の健常者が購入条件。

 管理については、「管理者管理方式」を採用しており、同社の子会社が管理受託者となりマンション管理会社と委託契約を結んでいる。第三者管理方式に近いものだろう。

 クラブハウスは、商業施設イトーヨーカ堂をリノベーションしたもので4階建延べ床面積約34,000㎡。敷地面積約74,000㎡のグラウンド付き。レストラン、カフェ&バーラウンジ、フィットネスルーム、音楽スタジオ、カラオケルーム、アトリエ、ダンスホール、テニス、ゴルフ練習場などが利用できる。毎日行なわれるアクティビティメニューは数十にのぼる。初期費用は入会金、私設利用権が1人入居の場合190万円、2人入居の場合285万円。月額費用はコミュニティサービス費と朝・夕の食事費込みで1人利用が84,763円、2人利用が160,002円。

 具合の悪いときは部屋まで食事の宅配を行なうほか、日常の安否確認、看護士の常駐、協力医院との連携、マンションとクラブハウスとの送迎バスなどのサービスも受けられる。

 マンションの敷地は大地主の屋敷跡地。築300年以上の屋敷などがあったという。地主がイトーヨーカ堂を誘致して事業を始め失敗、屋敷を手放さざるを得なくなり同社が取得。イトーヨーカ堂の店舗も「格安」で取得しクラブハウスにリノベーションしたという。

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染野社長

 発表会に臨んだ染野社長は、「アメリカで人気になっているリタイア後の高齢者が健康なうちに入居し、終身で過ごすことができるCCRCを学んでわが国に生かそうと考えたのが事業のきっかけ。月額9万円の年金の範囲内で安心・安全の生活を楽しめるというのがコンセプト。5年前に始めたころは苦労したが、最近は順調に推移しており、会員数は600人になっている。クラブハウスの運営の損益分岐点は800戸くらいと考えており、隣接地でF棟103戸の分譲を始めるのをはじめ、G棟も計画中で、当面1,200戸くらいまで増やす。もう少し規模の小さいプロジェクトもやっていきたい。住民一人が年間200万円くらいを消費すると考えられ、1エリア1,000人として年間20億円が地元に還元でき、高齢者コストも大幅に削減できる」などと話した。

 会員の属性は女性:男性比が58:42、単身:2人比が74:26、平均年齢が71歳。前居住地は都内と千葉県が各30%、その他首都圏が40%。永住希望が多いという。要介護者は現在13人。

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◇     ◆   ◇

 マンションとクラブハウス、グラウンドの合計敷地面積は約11.4ha。そのスケールの大きさに驚いた。他に事例がなく、ましてやリーマンショック後だ。事業を始めた同社・宮本雅史会長に信用力と資金力がないとできないことだと思った。よくぞここまでやってこられたものだ。年間100戸を上回る分譲スピードは、こういった高齢者専用分譲マンションのニーズが確実にあることをうかがわせる。

 マンションは分譲当初、坪100万円くらいで始め、最近は坪130万円台で、今後は建築費の上昇の影響から坪165万円前後になるという。単価そのものは相場より高めだが、一般的な分譲マンションと単純な比較はできない。各住棟にはほとんど共用施設がなく、設備仕様も高くはないが、クラブハウスの利用権とセットで考える必要がある。今年1月に見学したフージャースコーポレーション「デュオセーヌつくばみらい」も坪170万円で販売は好調に推移している。

 85歳のご主人と84歳の奥さんが楽しそうに焼き物を楽しんでいた。図書コーナーには入居者からの寄贈による図書約6,000冊が収められていた。貸し出し簿などへの記入も必要ない。これらの価値はマンション単価で測れない。

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クラブハウス内

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図書コーナー

◇     ◆   ◇

 課題もありそうだ。入居者の高齢化に伴う重度要介護入居者の増加や死亡に伴う退去の増加だ。そうなった場合の中古市場での評価はどうなるのか。

 染野社長は「クラブハウスなどの利用権付きなどを考えれば、一般的なマンションより評価は高くなるのでは。要介護の入居者には訪問介護などのケア事業も考えている」と話したが、ビジネスモデルの完成にはもう少し時間が必要かもしれない。

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85歳のご主人の素焼きの作品(左)とご夫婦の合作(バイオリンがご主人の焼き物の、花は84歳の奥さんの粘土の作品)

根づくかシニア向け分譲マンション 「デュオセーヌつくばみらい」(2015/1/26)

 

 

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