創建 外断熱を前面に押し出す「ルナ越谷レイクタウン クルムのまち」
「ルナ越谷レイクタウンクルムのまち」
創建が分譲中の建売住宅・建築条件付き土地分譲「ルナ越谷レイクタウンクルムのまち」を見学した。競合物件が多い中、「外断熱」を前面に押し出し、コンスタントに成約している団地だ。
物件は、JR武蔵野線越谷レイクタウン駅から徒歩15分、越谷市越谷レイクタウン特定土地区画整理事業区域内に位置する全80区画。現在分譲中の建売住宅(3戸)の価格は3,580万〜4,450万円、土地面積は151.49〜165.42㎡、建物面積は114.12〜116.94㎡。建物は木造2階建て(外断熱工法)。建築条件付土地分譲(29区画)は、価格が1,680万〜2,280万円(最多価格帯2,100万円台)。
昨年10月から分譲開始しており、これまで21戸・区画が契約済み。営業部チーフの宮澤太一氏は、「外断熱を前面に押し出し、コミュニティを大事にしていることを訴求している。月3~4棟の契約ペース」と話した。
大手との競合は避けられないが、外断熱のよさをどこまでアピールできるかがカギだ。「外断熱」のよさは、実際に体験してみないと分からない。同社はモデルハウスの体験宿泊も行っている。
モデルハウス リビング
宅建主任者を宅建取引士に昇格させる意味が全く分からない
「士」の印籠を振りかざすのかイチジクの葉っぱか
宅地建物取引主任者(宅建主任者)を「宅地建物取引士(宅建取引士)」に〝昇格〟させる議員立法を自民党が作成中であることを業界紙が報じた。手元に法案に関する資料がないからよく分からないが、現行の試験制度はそのままにし、宅建取引士に公正かつ誠実に行う義務を課し、信用失墜行為の禁止などを求め、能力向上に努める規定を新たに設けるようだ。そのための宅地建物取引業(宅建業法)の一部を改正する法案を今国会に提出するという。
宅建主任者を宅建取引士に昇格させる話はずいぶん前からあったので驚きはしないが、どうして現行の宅建主任者を「士」にしなければならないのか、その理由が全く分からない。宅建主任者の資質を向上させるため、現在、約90万人いる宅建主任登録者の資格をはく奪・ご破算して再試験を行うというのなら意味はあるが、名称だけ変更し、新たな「士」に何を求めるのかが分からない。
名称を「士」に変えたところで、山積する問題の解決につながらない。むしろ「士」を隠れ蓑にした新たな儲け先を企図する陰謀ではないかと勘繰らざるを得ない。
◇ ◆ ◇
宅建業界の現状を概観するとこうだ。この数字を見るだけでもどうすればいいかの課題も見えてくる。
国交省のデータによると、平成25年3月末の全国の宅地建物取引業者(宅建業者)の数は約12万業者だ。平成4年の約14万業者から14.1%減少している。このうち約85%が5人未満の業者で、従事者は約52万人。
記者は、この宅建業者の数は極めて多いと思っている。街の商店などはどんどん姿を消しつつあるのに、宅建業者はしぶとく生き残っている。個人業者の平均年齢はずっと右肩上がりだ。24年度は63.9歳だから、あと1~2年には高齢者人口に仲間入りするのは間違いない。
総務省の平成18年度のデータによると、いわゆる街の不動産屋さんと呼ばれる「不動産賃貸・管理業」は約25.5万で、420の事業分類でトップに君臨している。「食堂・レストラン」の約23.5万、「医療業」の約23.3万、「教育・学習支援業」23.2万、「バー・キャバレー」の約15.2万などをしのぐ。
一方、宅地建物取引主任者(宅建主任者)の平成24年度末の登録者数は約90万人で、平成14年の約71万人と比べると27.0%増加している。
宅建主任者も多い。主任者登録者のうち仕事に従事している専任の取引主任者は約20万人で、1業者当たりの平均取引主任者数は1.6人だ。宅建主任者の資格者が90万人もいるのだから、資質はともかく人数に不足をきたすことはないはずだ。問題は質だ。この資格者を含め不動産業界で働く人がすべて社会から評価されるようにするのが先決だ。
また、平成23年度の宅地建物取引業法(宅建業法)違反は免許取り消し216件を含む358件で、そのほかに勧告・指導を行ったものが793件ある。違反、勧告の数値はこの10年間でほとんど横ばいだ。
この数が多いのか少ないのか。記者は判断できる材料がないが、以前と比べれば違反件数は激減したのではないか。バブル崩壊前は、都内などのミニ開発の建売住宅の大半は違反建築だった。違反を摘発するパトロールが行われたが、これなどは「違反に厳しく対処している」というアリバイづくりでしかなかった。
違反は減ってはいるが、詐欺師そのものの不動産投資の勧誘を行うあくどい業者が後を絶たない。資産などまったくない記者の自宅に電話してくるくらいだから、「振り込め詐欺」と同じ被害者がいなければいいがと心配している。
宅建主任者が取得しなければならない宅地建物取引主任者資格の試験(宅建試験)もなかなか理解しづらい制度だ。
受験資格に年齢制限がないため、過去の最年少合格者は小学6年生だし、最高齢者は90歳のおじいちゃんもいた。宅建主任者は、単に重要事項の文章を読んで聞かせるだけではない。相手に理解させるのが目的だ。小学生や高齢者でも合格できる制度が適当かどうか考えるべきだ。ペーパーテストのみで資質まで見抜こうとするからこうなる。記者は、20年くらい不合格になっても「俺がルールブックだ」と豪語した立派な営業マンを知っている。
合格点も一定していない。本来、資格試験は一定の資質を問うものだから、試験の難易度は一定であるべきだが、そうなっていない。毎年のように合格基準は変わる。平成2年は50点満点のうち26点で合格という国家資格の格を問われる失態をやらかした。逆に不動産不況で需要が減退したときは、36点でないと合格できなかった年もあった。一定の合格者を確保したい各都道府県関係者と、一定のレベルを確保したい試験機関が綱引きをするからこのような結果になる。試験が形骸化し、調整弁の役割しか果たしていない現実がここにある。
過去の試験問題が参考にならなければ、受験者も講習屋もパニックになる。とくに過去問題を必死で取り組んでいる受験者にとっては災難だ。
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記者は、そんな呼称の変更よりも現行の宅建業法を徹底させることが重要だと思う。
宅建業法の第1条では、「この法律は、宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営と宅地及び建物の取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もつて購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする」と高らかに宣言している。この目的の実践あるのみだ。
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「士」について参考になる、沖縄の泡盛を「全国区」にし、中小企業研究の第一人者として知られる明治大学名誉教授・百瀬恵夫氏の文章を紹介する。
百瀬氏は共著「『武士道』と体育会系 <もののふの心>が日本を動かす」(発行:第三企画出版)で「『武士道』とは、日本人が長い歴史をかけて磨き上げてきた『もののふの心』というべき精神性の基盤である。残念ながら、現在は『武士道』精神に代表される日本人の伝統ある美しいならわしが大きく損なわれてしまった。…それが、多くの社会問題の原因ともなっているのは疑いない」「先見性に富み、潔く、清々しい心を持つ日本人はどこへ行ってしまったのか。『もののふの心』をもう一度見直し、日本人がそこから広く新しい道を切り開いていくことが今、われわれに問われているのではないか」と記している。
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ある業界紙のコラム氏は、「『士』への名称変更は、不動産業界で働くすべての人たちが、顧客を決して裏切らないプロフェッショナルになることを誓うような証(あかし)のようなものであろう」と言い放った。
記者もコラム氏の言うように宅建主任者であろうと宅建取引士であろうと名前はともかく、真に「士」のように崇められるプロになってほしいと願う。しかし、今検討されている問題は、「士」の印籠を振りかざし、イチジクの葉っぱのように恥部・暗部を覆い隠し「身の証」を立てようという狙いが見え隠れする。「顧客」とはいったい誰のことかも書いてほしかった。
越谷レイクタウンで見た雑草すら生えない建売住宅の一群
積水、ダイワ、ポラスなどと対照的な驚愕の戸建て
本来あるべき戸建て分譲の街並み(左がハウスメーカーの停止条件付き戸建て、右がポラスの分譲戸建ての住宅は北道路だが、隣接する住宅が美しいことから、南道路の住宅より人気が高かったそうだ)
以下の記事は、先に書いた創建の「感謝のつどい」と、改めて書く越谷レイクタウンにある同社やポラスの記事と一緒に読んでいただきたい。
創建が「感謝のつどい」を開いた前日、2時間かけて越谷レイクタウンの戸建てを見学した。
越谷レイクタウンはUR都市機構が開発主体となり、平成22年に街開きした約225.6haの区画整理団地だ。駅前には国内最大級のイオンレイクタウンやマンション、一戸建てなどが建設されており、まだまだ開発途上だ。
一戸建ては、駅前に大和ハウスが開発した見事な団地があり、積水ハウス、ミサワホーム、ポラスなどの戸建てもゆったりとした敷地にみどりをふんだんに配したのが特徴だ。創建は外断熱で大手に対抗していた。
これらの一戸建てと明らかに異なる対照的な街区があった。単調な建物が連たんし、庭・エントランスには樹木は1本も見当たらないばかりか、敷地は全てコンクリートで固められていた。雑草すら生えていなかった。
記者は数年前から、いわゆるパワービルダーの建売住宅は見ないことにしている。見る価値がないからだし、見ると劣悪な建物に腹が立つからだ。この日見た建物は想像を絶するものだった。まるで地面の下には観てはならないものが隠されているような風情だった。
住宅の質を左右するのはもちろん敷地の広さやデザインだが、樹木などみどりも大きな役割を果す。それが1本もないとはどういうことか。怒りがこみ上げた。どうしてこうなったか、どうすべきか書かざるを得ない。
まずUR都市機構に提言したい。土地をその建売り会社に卸したのはURだ。このエリアには地区計画の網が敷かれており、その街区は「良好な低層住宅の環境を保全する」地域に指定されている。1区画150㎡以上とか、建物の壁面後退、色彩、生け垣や柵の形状などがこと細かに定められている。どういうわけか、緑化率には規定がない。緑がまったくない一戸建ての街がどうして良好な低層住宅地を形成するのか、URは答えるべきだ。緑化率を40%とは言わない。せめて30%は確保するようデベロッパーに求めるべきだ。
越谷市には注文をつけたい。地域住民とともに地区計画を改正し、是非とも緑化率の規定を盛り込むべきだ。悪貨は良貨を駆逐する。たとえ少ない街区でも街全体の価値の低下を招き、固定資産税も減り、やがては空き家となり頭痛の種になる。
この建売り会社には苦情を申し立てる。大手と対抗するためには価格の安さを前面に打ち出さざるを得ないのは理解できる。しかし、良質住宅を供給して地域に貢献するのがデベロッパーの役割ではないか。地面の下では芽を出せない雑草が怒りで煮えくり返っているはずだ。もう一度、原点に戻って建売り会社とは何かを考えてほしい。
ユーザーには注意を喚起する。こんな建売りを買ってはいけない。買ったその日から価値は半減する。安もの買いの銭失いだ。売りに出したときは二束三文に買い叩かれる。自分の家だけが評価されるのではない。街としての価値が評価されることを肝に銘ずべきだ。資金が不足するのだったら10年間、飲まず食わずの辛抱をして頭金を蓄えることだ。1,000万円も貯めれば、大手の住宅が買えるはずだ。
越谷レイクタウンの空き地で摘んだ雑草(ポピー、タンポポ、ハナニラ、ハルジオン、アカツメグサ、シロツメグサ、ジシバリ、チガヤ)
創建 首都圏進出10年 初の「心伝える 感謝のつどい」約960名が参加
創建「心伝える感謝のつどい」(帝国ホテル 孔雀の間で)
創建は4月29日、同社の首都圏の住宅を購入したお客さんを対象にした第1回「心伝える感謝のつどい」を帝国ホテルで行った。約260組960人が参加した。
冒頭挨拶に立った吉村孝文社長は、次のように感謝の言葉を述べた。
「今年で創業31年、首都圏に進出して10年目。3年前にも行なう予定でしたが、東日本大震災があり、当社もリーマンショックの影響で初めて赤字を計上して中止しました」
「私が創業以来ずっと考えているのは〝倒産させてはいけない〟ということです。倒産はお客さんに対する裏切り行為です。ですから他の事業には手を出さない、本業に徹しています。さらに社是として〝感謝、希望、工夫、改革、感動〟の5つのKを掲げていますが、大事なのは、利益優先ではなく、お客さんに対する感謝、感激の気持ち。これからも建ててよかった、出会えてよかったと思っていただくように邁進します」
挨拶する吉村社長
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「感謝のつどい」に参加した公務員のSさん(37)に話を聞いた。Sさんは奥さんとお子さん2人の4人家族。稲城市の「ルナオーヴ若葉台」(108区画)を購入して3年目だ。
「それまで住んでいた溝の口のマンションを売却して購入しました。住環境がよく土地が170㎡と広いのが決め手。まるで公園の中に住んでいるようで、外断熱も快適。最寄り駅の若葉台駅までは自転車通勤。勤務先の大手町までは約1時間」と、住み心地を語った。
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同社は平成16年に首都圏進出。翌年、第一号として千葉ニュータウン・西白井で86区画の戸建てを供給開始。これまで670戸を供給。現在173戸を販売中。今後約190戸を予定している。2006年からは外断熱工法の供給を開始している。平成25年5月期の売上高は157億円。
右は同社のマスコット「創犬(そうけん)」くん
建築家と消費者・施主をつなぐ「グローエ アーキテクト クラブ」
」
「グローエアーキテクトクラブ」セミナー(グランド ハイアット東京で)
ドイツの水栓金具のトップ企業GROHE(グローエ)ブランドを輸入販売するグローエジャパンが4月23日に行った「GROHE ARCHITECT CLUB(グローエアーキテクトクラブ)」のキックオフイベントを取材した。建築家など約150人が参加した。
「GROHE ARCHITECT CLUB(グローエアーキテクトクラブ)」は、建築家と消費者・施主をつなぐプラットホームで、同社が世界の最新の情報を提供するとともに、わが国の水回りをより豊かにすることを目的に昨年発足。4月には、グローエ製品を使用した建築家の施工実績を「採用事例」として掲載するWebも開設する。
当日は、グローエ関係者からコンピュータによる最新の設計技術やデザイン、今後の世界的な潮流などが紹介された。
記者も、グローエが高いクオリティやテクノロジーをデザインによっていかに感性の高い商品にするか、サステナビリティを重視しているかがよく分かった。1坪サイズが主流の浴室については、SPAやセラピー、可動式なども提案していくという話は説得力があった。
グローエはLIXIL傘下になったが、ドイツの最高レベルの商品とわが国の技術・文化の融合がありそうだ。
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記者は建築については素人だし、建築家(一級建築士)について語る資格はない。しかし、言わざるをえないことがある。以下は誤謬・偏見に満ちたものかもしれないが、考えていることをそのまま書く。
医師や弁護士と同様、建築士が世の中から「先生」と崇められるのは当然だ。一つ間違えれば人命にかかわる仕事をしている。高い志がなければ建築士は務まらない。
ところが、世間から注目され、尊敬される建築家はほんの一握りに過ぎないことを見聞する。仕事がないから、地上げ屋まがいの仕事をしている人もいる。
なぜ「先生」と尊敬されながら、一部の人しか食べられないのか。その根本理由は分からないが、建築士に決定的に欠けるのは営業力、プレゼン能力ではないかと思っている。「士」プライドが許さないのか邪魔をするのか。自ら頭を下げることはしないし、卓越したデザイン力を簡潔にアピールする術も持っていない人を多く見てきた。
もう一つ、こちらがもっと重要だと思うのが、世間、ユーザーのことをご存じないということだ。ユーザーとは、建築士にとって一般のお客さんではなく、コンペ狙いのゼネコンやデベロッパー、公共団体ではないか。これらの顧客ばかりを見ているから、背後にいる真のユーザーが見えてこない。
マンションでいえば、消費者が何を志向しているか、家事労働・動線を理解していないと設計などできないはずだが、これが欠落している。真のユーザー、つまり消費者を知らないのだから、ゼネコンやデベロッパーに媚びる、言いなりになる以外に方法はない。だから似たり寄ったりの経済設計しかできないのだと思う。
ユーザーを理解しないのは建築士だけではなさそうだ。不動産鑑定士にしてもそうだ。
鑑定士の世界では〝クライアント・プレッシャー〟なる意味不明の言葉がまかり通っている。つまり、公正中立な不動産鑑定を行うのを妨げるプレッシャーをクライアント、お客さんから受けるというのだ。何の商売でも相手の要求を喜びではなくプレッシャーと感じたらおしまいだ。一歩も前に進めない。かといえば、クライアントのためなら公正中立をかなぐり捨てて、ろくに現場を見ないで注文通りの査定をする鑑定士もいるようだ。
このように「士」が生きづらい世の中になってきたというのに、あろうことか、宅建取引主任者を「宅建取引士」に〝昇格〟させる動きがある。まさか呼称だけ変えようということではないだろうが、全国に100万人近くいる宅建主任者をダシにしてひと儲けしようという企みが見え隠れする。今やるべきことは主任者の資質の向上だ。講習屋を儲けさせるための、一定の人数だけを確保するためとしか思えない宅建試験は根本的に見直すべきだ。
「今後も定期的にセミナーを行なっていく」と挨拶したグローエジャパン・森一幸社長
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話しが横道に外れてしまったが、この日のセミナーに参加した建築士の皆さんはレベルが違っていた。セミナーが始まる前の雰囲気からして違っていた。さすがドイツ、グローエだ。BGMで流れたのはぺートーベンの第九第4楽章の冒頭の部分だ。いったいわが国を代表する音曲はあるのか。まさか「スキヤキソング」でもないだろうし、結局は誰もが聞いたことのないような雅楽におちつくのか。
プレゼンを行ったドイツのグローエ関係者が話したのは英語だった。記者はちんぷんかんぷん。同時通訳のイヤホンで日本語を聞くしかなかったが、約150人の参加者でイヤホンを耳にしたのはざっと半分、多くみても6割ぐらいだった。これには驚いた。端から聞く気がない人はいなかったはずだ。通訳なしで建築に関する専門の話を理解できるのだから、間違いなくグローバルに活躍できる資質の持ち主ばかりだと記者は理解した。
「参加者の方からコメントを取りたいのですが」とグローエジャパンの広報担当者に聞いたら、「そこにいらっしゃる南部さんはいかがですか」と勧められた。〝南部さん〟? どこかで聞いたような気がした。
早速、名刺交換した。肩書には「フォワードスタイル代表取締役社長 南部昌亮」とあった。南部氏から先に声をかけられた。「牧田先生、いつも記事を拝見しています」
ここで南部氏が野村不動産の「プラウド」やモリモトのマンションの優れたデザインをたくさん手掛けていらっしゃる「先生」であることと、かつてある建築家を「先生」と呼び、「私は先生と呼ばれるほど馬鹿ではない」とやり返されたのを同時に思い出した。すかさず南部氏に「私は先生などと…」としゃべりそうになったのをぐっと堪えた。記者は馬鹿そのものだからだ。返す言葉がない。
その南部氏から紹介されたのが押野見邦英氏だった。押野見氏は、圧倒的な人気を呼んだ三井不動産レジデンシャルの「パークコート千代田富士見ザタワー」の専有部分のデザインを鬼倉めぐみ氏とともに担当された方で、モリモトの成城学園、大井町、南品川などの繊細なデザインに記者がほれ込んでいる「先生」だ。早速、記念写真を撮らせていただいた。
鬼倉氏は三井不動産レジデンシャルの「千鳥ケ淵」や「麻布霞町」も担当しており、近く公開されるモリモトのマンションを手掛けるそうだ。モデルルームがオープンしたら取材してレポートしたい。
南部氏(左)と押野見氏
三菱地所レジデンス 最後の同潤会建て替え「上野」 ワイドスパンがいい
「ザ・パークハウス上野」完成予想図
三菱地所レジデンスが5~6月に分譲開始する「ザ・パークハウス上野」を見学した。同潤会アパートとして最後まで残っていた「上野下アパート」の建て替えマンションで、東西軸が長い敷地形状を生かした全戸南向きのワイドスパンプランがいい。
物件は、東京メトロ銀座線稲荷町駅から徒歩1分、またはJR山手線・京浜東北線上野駅から徒歩8分、台東区東上野5丁目に位置する14階建て全128戸(事業協力者住戸52戸含む)。専有面積は25.17~75.26㎡、価格は未定だが、坪単価は280万円台になる模様。竣工予定は平成27年8月下旬。施工は東亜建設工業。
現地は、稲荷町駅から徒歩1分だが、表通りから一歩入ったところで、すぐ近くに銭湯があるようにまだ下町の風情が残るところ。用途地域は商業地域で、前面道路の幅員は6m。前建の影響は受けるが、高層建物は1棟くらいしかない。
敷地が東西軸に細長い形状を生かしたプランが最大の特徴。1階は駐車場や店舗、共用施設で、2~5階まではコンパクトタイプが中心。6階以上の62㎡プランでも間口は約8.5mのものや、75㎡では12.8mのものもある。全住戸の6割ある逆梁タイプにはバルコニーに花台を設置しているのも特徴のひとつ。
2週間前に予約制の事前案内会を開始したばかりだが、平日でも全て満席。約100組の来場者がある。
◇ ◆ ◇
説明を受けたのは同社街開発事業部主任・上村剛司氏。「単価はいくらですか」と聞いたら、「いくらだと思いますか」と返された。「坪275万円はどうですか」と答えたら、上村氏はしばし沈黙。顔には「そんなに安いはずないでしょ」と書いてあった。
記者だってそんな反応が返ってくるのは百も承知、千の風だ。鎌をかけたわけではなく、ストレート勝負で聞いたのだが、皆もの上がる春の風をしっかり読んでいる。そこで「290万円でも高い」と返した。上村氏は「まだ決まっていませんが…」と即答はしなかったが、当たらずとも遠からず。280万円台に落ち着くことを匂わせた。いい線だ。
台東区の人は、「320万円の武蔵小杉よりどうしてそんなに安いのか」と抗議するかもしれないが、新幹線の始発駅を東京に奪われてから23年。あのころから上野の地盤沈下は始まり、加速している。「ああ上野駅」「上野発の夜行列車…」 演歌のメッカはかつて昔だ。最後の砦というべき常磐線・高崎線・宇都宮線も来年には東京乗り入れになるのではなかったか。山手線で坪300万円以下のマンションが買える-これが上野のいいところだ。
三菱地所レジデンスは、「18坪の3LDKですが、ワイドスパンなので70㎡の機能があります」とは言わないだろうが、それに近いことはアピールしていい。
75㎡のプラン
最後の同潤会「上野下アパート」 三菱地所レジデンスが現地見学会(2013/5/8)
大京&穴吹 柏で再開発タワー含む3物件350戸 第一弾「柏旭町」
「ライオンズ柏旭町サーパスレジデンス」完成予想図
大京と穴吹工務店は4月24日、千葉県柏市の両社初の共同事業マンション「ライオンズ柏旭町サーパスレジデンス」の記者見学会を行った。この物件を含め柏市内では3物件350戸(非分譲26戸含む)を供給することになっており、今回はその第一弾。
物件は、JR常磐線・東武野田線柏駅から徒歩5分、柏市旭町3丁目に位置する15階建て全42戸の規模。専有面積は61.10~73.33㎡、予定価格は2,900万円台~4,300万円台(最多価格帯3,900万円台)、坪単価は170万円台の後半の予定。竣工予定は平成27年9月18日。施工は穴吹工務店。設計は穴吹エンジニアリング。分譲は6月中旬。
現地は商業地域と第1種住居地域にまたがるエリアで、建物は白が基調の南西向き。プランは1フロア3戸で、角住戸比率が66%。前面には第一種住居の東葛飾高校の敷地や住宅街が広がっている。南東側は水戸街道が走っており、サッシは旭硝子の防音・断熱性能が高い新製品「マイミュート」が採用されている。
発表会に臨んだ穴吹工務店東日本支店長・竹本勝氏は、「昨年4月に当社が大京グループ入りして初めての共同事業マンション。土地を仕入れたのは当社で、設計、施工も担当する。大京さんのスペックを搭載し、シナジー効果を発揮する。これまで柏市内では両社で23棟1,492戸の供給実績があり、この物件を含めもう1物件を共同事業で、もう一つの再開発物件は大京さんが単独で分譲する」と話した。
◇ ◆ ◇
両社には申し訳ないが、記者の関心事はこのマンションではなく、大京が5月にも発表会を予定している再開発の「ライオンズタワー柏」にある。免震の27階建て全265戸(非分譲26戸含む)で、施工は竹中工務店だ。
同社はいくらになるか公表していないが、記者は最低で坪230万円と読んだ。240万円を超えるかどうかだ。超えても驚かないが、補助金もあるのでまず超えないと思う。
ユーザーだってこちらのタワーが気になって判断できないだろうが、単価が異なる。
旭化成ホームズ 3階建て「ヘーベルハウスFREX」に制震装置を標準装備
標準装備する「サイレス(SeiRReS)」
旭化成ホームズは4月24日、同社の重量鉄骨ラーメン構造の3階建て住宅「ヘーベルハウスFREX(フレックス)」に、新たに開発したオイルダンパー制震装置「サイレス(SeiRReS)」を5月1日から標準採用すると発表した。
「サイレス(SeiRReS)」は、高層ビルなどの地震対策として採用されているものを戸建て住宅用に開発したもので、大地震から中小地震までに制震効果を発揮し、度重なる余震による躯体の損傷も軽減する効果が期待できる。耐用年数はへーベルハウスと同等の約60年。1個約15万円。
プランにもよるが、30坪程度の3階建てで1個、60坪程度で2個設置すればいいという。1階部分に設ける。大地震で約15.%、中地震で約40%揺れを軽減できる。販売目標は年間2,500棟。
取締役常務執行役員マーケティング本部長・川畑文俊氏は、「業界トップシェアを占める3階建て商品を強化するのが狙い。2階建てはすでに制震を採用しているが、3階建てでも採用することでお客さんにアピールすることができる。現場サイドからの要求もあった」と話した。
住友不動産 明和地所の国立マンションの隣接地に7階建て277戸
住友不動産は4月24日、建設中のマンション「グローブアベニュー国立」も事前案内会を4月26日から開始すると発表した。
物件は、JR国立駅から徒歩18分、国立市富士見台2丁目に位置する7階建て全277戸。専有面積は54.92~87.04㎡。竣工予定は平成27年2月。設計・施工は長谷工コーポレーション。
3方向が公道に面する約9,100㎡の整形敷地で、同社独自の設備・配管集約システム「S-マルチコア」を採用、最大約2.48の天井高、ダブルアウトフレームなどが特徴。
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このマンション計画は全く知らなかった。驚いたのは、かつて明和地所が建設した「クリオレミントンヴィレッジ国立」(14階建て343戸、高さ44m)の南隣にあることだ。明和地所のマンションについては、別掲の記事を参照していただきたいが、記者が前職を辞めるきっかけになったマンションだ。
今回、住友不動産が建設しているエリアには地区計画が定められておらず、建築物の高さ規制はない。あるのは斜線制限のみだ。それなのにどうして7階建て(1層を3mとすると21m)に抑えたのか。必ず現地取材してレポートしたい。
住友不動産「シティタワー武蔵小杉」 好調1期の坪単価は仰天の320万円
住友不動産は4月24日、地上53階建て全800戸の「シティタワー武蔵小杉」第1期185戸のうち175戸を契約したと発表した。
物件は、JR横須賀線・湘南新宿ライン、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩4分の53階建て全800戸。専有面積は55.23~72.35㎡。竣工予定は平成28年1月。設計・施工は前田建設工業。
第1期の価格は5.290万~7,690万円(最多価格帯6,700万円台=70㎡台)、坪単価は320万円。今回分譲したのは価格が高い部分と比較的低い部分。契約者の居住エリアは川崎市中原区・幸区、横浜市港北区で約50%、東京都内ほかが約50%。
昨年11月にモデルルームをオープンして以来、これまで約1,600組の来場者を集めている。2期分譲は5月下旬。
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坪単価に仰天した。同社が記者見学会を行った時点で、坪単価は三井不動産レジデンシャルや野村不動産などの物件とほぼ同じか若干高い185万~290万円台の前半だろうと読んだ。まさか300万円を大きく上回るとは全く考えなかった。
これまで分譲された同駅圏の最高値の物件より約10%のアップだ。上昇率よりも坪当たり30万円も高いのにただただ驚くばかりだ。これは「新価格」の序章に過ぎないのか。
「70平米でも75~80平米と同様の居住性能」 住友不「武蔵小杉」(2013/10/24)