三井不動産 安心な街づくりへ実証実験 Park-PFI制度の公園整備運営事業の一環
三井不動産は9月14日、NTTコミュニケーションズとともに、都市における課題の解決や経済的な発展をICTによって可能とする「安心安全な街づくり」の実現に向けた検証を9月18日から開始すると発表した。
Park-PFI制度を活用した事業としては全国で最大規模の再整備が行われている愛知県名古屋市の久屋大通公園の北エリア・テレビ塔エリア(全長約900m、面積約54,500㎡)の公園整備運営事業の一環として実施する。
公園内地下広場(旧もちの木広場)の防犯カメラ映像をNTT ComのAIを用いて解析し、防犯や事故防止に活用するほか、匿名化・統計化されたスマートフォンの位置情報データを用いて来園者の行動を解析し、施設運営やマーケティングに活用する実験を行う。
積水ハウス 「彩の国みどりの基金」へ累計1607万円寄付/課題も多い埼玉の緑環境
本日(9月14日)行われる予定だった、積水ハウスの「彩の国みどりの基金」への今回の寄付額が134万2千円となり、累計で18回1,607万4千円に達したことに対する大野元裕・埼玉県知事による感謝状贈呈式は延期となった。
「彩の国みどりの基金」は、埼玉県の豊かな自然環境を次世代に引き継いでいくことを目的に平成20年4月に創設された制度で、自動車税収入の1.5%相当額と企業・個人からの寄附を基金に毎年積み立て、森林の整備・保全や身近な緑の保全・創出、県民運動などに活用しているもの。
平成30年度までの累計積立額は、自動車税収入の1.5%相当額が約143億円、寄付額が約4億2,634万円となっている(他に運用益1億3,259万円)。活用額は約388億円で、「森林の整備・保全」の分野で11,409haの森林を整備、再生したほか、民間施設や公共施設の緑化、校庭・園庭の芝生化などによる「身近な緑の保全・創出」の分野で515か所の緑を創出している。
同社は戸建て住宅1棟に〝3本は鳥のために、2本は蝶のために〟の「5本の樹」計画を盛り込むことを基本としていることから基金制度に賛同し、県内で建設した環境配慮型住宅「グリーンファースト」1棟につき2千円寄付を寄付している。基金への全寄付額に占める割合は約3.8%に達している。
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小生は60年来の西武ライオンズファンだ。西武とつながっている埼玉も好きだ。〝ださいたま〟と揶揄されるのも受け入れられる。しかし、好きだからこそ、埼玉の弱点、課題も見えてくる。以下、埼玉が抱える課題などをデータで示す。
埼玉県の平成27年度の都市計画に関するデータによると、県内の市街化調整区域住む人口は県人口の16.0%に当たる約115万人で、調整区域面積も北海道に次ぎ全国2位だ。
調整区域が多いということは、それだけ〝緑〟が多いともいえるのだが、緑被率は東京、神奈川、大阪、愛知、福岡に次ぎ全国6位の少なさで、農耕地を除いた植林地、二次林だけで比較すると東京都より少なく全国最低だ。
1人当たり都市公園面積も東京都とそれほど変わらない少なさだ。さいたま市の5.10㎡はむしろ多いほうで、所沢市4.02、春日部市3.27、川口市3.22、越谷市2.70、草加市1.92、蕨市1.85などと東京23区平均の4.42㎡を下回っている市が多い。
都市のポテンシャルを計る指標の一つでもある、良好な低層住宅の環境を保護する第一種低層住居専用地域の全用途地域に占める面積割合も首都圏で埼玉県が〝断トツ〟に少ない。東京都は36.9%、神奈川県は30.4%、千葉県は31.3%であるのに対し、埼玉県は17.7%だ。調整区域が多いことを割り引いてもいかにも少ない。ちなみに大阪市は第一種低層住居専用地域が全くない。
第二種低層住居専用地域を含めて50%を上回っている都市計画エリアはさいたま、志木、北本、富士見、朝霞、越谷、新座しかない。
街路樹が貧しいことも戸田市、三郷市、白岡市、八潮市などの事例を紹介してきた。街路樹の豊かさと街のポテンシャルとは相関関係にあることは言うまでもない。
以上、埼玉県の緑や住環境について問題を指摘したが、明るい材料もある。マンションの分譲単価は東京、神奈川より相対的に低いが、浦和、大宮、所沢、川口などは千葉県の各駅圏より高く、一方で第一次取得層に手が届くエリアも多い。自虐的な〝翔んで埼玉〟がヒットしたのも、他都県にない良さをアピールできているからではないか。
彩の国みどりの基金が、少しでも県の緑環境の向上に役立ち、イメージアップにつながることを期待したい。
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県庁の代表電話から都市計画課につないでもらう保留音に〝おお 埼玉 埼玉 輝く埼玉〟の音楽が流れた。埼玉県歌であることはすぐ分かった。保留音が何度も繰り返されても嫌にならない。もう50年以上東京に住んでいる小生は「東京音頭」なら歌に合わせて踊ったことはあるが、東京都歌があるのかどうかも知らないくらいだ。長野県歌を〝知らない県民はいない〟のは例外だ。
そこで県庁に問い合わせた。県歌は昭和40年に制定されたもので、県庁の電話の着信音として採用したのは平成25年1月4日からという。
県民への浸透度はいま一つで、マスコット「コバトン」には遠く及ばないようだ。県の施設などでどんどん流せばいいのではないか。(電話保留音で長くなっても嫌にならないのは積水ハウス「積水ハウスの歌」だが、デベロッパーでは三菱地所で、確かビバルディの「四季」だと思う)
ついでに「みどりの基金」の表彰式について。行うのなら広く県民に理解してもらうようイベントがいいのではないか。同社には緑のプロ涌井史郎取締役(東京都市大学特別教授)がいる。トークショーを行えば参加者が殺到するはずだ。
埼玉県「彩の国みどりの基金」への寄付累計1473万円 上田知事から感謝状 積水ハウス(2019/7/13)
貧しい街路樹 低い緑被率 「緑」に対する市民の不満率44% 「八潮らしさ」を考える(2020/2/15)
樹齢30年以上 戸建てより低く〝伐採〟された「白岡ニュータウン」のケヤキの街路樹(2016/4/27)
続々「街路樹が泣いている~街と街路樹を考える」 支離滅裂の「新三郷」(2014/10/24)
続「街路樹が泣いている~街路樹と街を考える」流山と越谷、三郷の差(1014/10/17)
貧弱な戸田市の緑・街路樹 市民の満足度が上がらないのは行政の責任(2012/3/13)
東京都 新型コロナ感染者 5日連続で30代男性が最多 20代の減少顕著
pdfはこちら感染者.pdf
東京都の新型コロナ感染者は減少傾向にあるが、世代別・性別属性では、30代男性が5日連続して最多となっている。20代の感染者が減少している分だけ押し出された格好だ。
別表は過去5週間の日ごとの20~40代の世代別・性別感染者の推移をみたものだ。8月26日までの18日間では、20代男性が14日間最多だったのが、その後の1週間では20代女性が6日間最多となり、この5日間は30代男性が最多となっている。
ポラスグループ特例子会社 障がい者雇用職場改善好事例 2度目の「奨励賞」受賞
右から高齢・障害・求職者雇用支援機構埼玉支部 高齢・障害者業務課・岡田氏、同課長・柳瀬氏、同社課長・鈴木氏、同主任・加藤氏、同部長・岩井氏(写真提供:ポラス)
ポラスグループの特例子会社ポラスシェアードは9月11日、高齢・障害・求職者雇用支援機構が主催する令和2年度 障害者雇用職場改善好事例 入賞事業所表彰で「奨励賞」を受賞したと発表した。
同表彰は、障がい者の雇用管理や雇用環境の改善などの取組みの中から、他の事業所のモデルとなる好事例を募集し、優秀事例を表彰するもの。
今回の募集テーマは「障害者の健康に配慮し安心・安全に働けるように取り組んだ職場改善好事例」で、「事務所移転の際、本社や最寄駅間の経路を実際に移動して危険を洗い出し、ヒヤリマップを作成するほか、自転車の講習会を実施するなどの対策を行った。また、視覚障害のある社員に配慮し、事務所内のカーペットで通路の貼り分けを行ったことに加え、まぶしさを防ぐために個人用ブースを作成し、遮光を行うなどの取組を行った」(講評)ことが評価された。同社の受賞は平成30年(2018年)に続き2回目。
同社は、埼玉県越谷市瓦曽根に所在。代表取締役は中内晃次郎氏。会社設立は2015年2月6日。従業員数46名(うち障がい者35名)。ポラスグループの運営に伴う設計補助業務や事務などの代行業務を行っている。
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表彰制度が「障害者雇用職場改善好事例」などと法律用語ではあるのだろうが、いまは誰も使わなくなった差別的な「障害者」(小生のパソコンは頭がよく、「しょうがいしゃ」と打つと「障碍者」に変換する。まだ「碍」のほうがまし。日本ガイシの商号は「日本碍子」)を使用しているのがいかにも役所的で気に障るのだが、特例子会社ポラスシェアードは会社設立時に取材している。当時の記事も添付したのでぜひ読んで頂きたい。マンションの記事ではないのに3,000件を超えるアクセスがあった。
取材したときの社員数は20名(うち17名が障がい者)だった。倍近くになったのがうれしい。
主催者は、このようなイベントこそメディアを呼ぶべきだ(呼んでいたらごめんなさい)。小生はすっ飛んでいく。
野村不・ケンコーポ 六本木ヒルズに隣接の1.6ha再開発 住宅は500戸
外観パース
野村不動産とケン・コーポレーションは9月10日、西麻布三丁目北東地区市街地再開発準備組合の事業協力者として準備を進めてきた「西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業」の組合設立の認可を受けたと発表した。
同地区は、東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅から西へ約300m、「六本木ヒルズ」に隣接する約1.6haの規模。都市居住機能、商業・業務機能を整備する。
同事業は、施行区域面積約1.6ha、建築面積は超高層棟約3,800㎡、寺社(3棟)約1,290㎡、延べ面積は超高層棟約96,000㎡、寺社(3棟)約2,730㎡。主要用途は住宅、事務所、商業、ホテル、子育て支援施設、神社及び寺院並びにこれらに付属する建築物。住宅の予定戸数は約500戸(地権者住戸含む)。
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この場所はよく知っているが、再開発予定地になっているのまでは知らなかった。着工も竣工も住宅は分譲か賃貸かもリリースには書かれていないが、分譲なら社会・経済状況にも左右されるが、最低でも坪1,500万円で、2,000万円超もありうると見たが、どうだろう。まさに「世界一の時間」を提供する「プラウド」になるのは間違いない。
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三井不動産ワークスタイリング 三井ガーデンホテルなど18拠点でサービス開始
ワークスタイリングSHARE オープンスペース(左)と個室
三井不動産が展開している法人向け多拠点型サテライトオフィス「ワークスタイリング」は9月10日、三井不動産ホテルマネジメントが運営する「ザセレスティンホテルズ」「三井ガーデンホテルズ」と連携し、9月15日(火)から10ホテル、10月中に8ホテル、合計18ホテルをワークスタイリングSHARE提携拠点として加え、サテライトオフィスサービスの提供を開始すると発表した。
新型コロナの感染拡大により在宅勤務を含めたテレワークを導入、推進する企業が急増したことで、通信環境やセキュリティなどが整備されたテレワークに適したワークスペースのニーズに応えるもの。
通常のワークスタイリング拠点に加え、対象ホテルの客室をプライベートな一人用個室ワークスペースとしてご利用することが可能になる。
同サービスは、法人会員向けで、料金は法人請求。基本料金はオープンスペース利用で10分間300円。従量課金制。
2017年4月にサービスを開始したワークスタイリングは、2020年9月現在、会員企業数は約600社、登録会員数は15万人を超え、サービス拠点は63拠点に上っている。今回、「ザセレスティンホテルズ」「三井ガーデンホテルズ」の18拠点が加わることで、ワークスタイリングの拠点ネットワークは81拠点に拡大する。
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いいサービスだと思う。記者もK社の会員として取材の空き時間に記事を書くことがあるが、ホテルの客室で原稿が書けるなら最高だ。外で働く環境としてはホテルが一番安全だと思う。
しかし、やはり費用・料金、費用対効果が問題だ。オフィスワーカーの賃金を時間給に置き換えれば、この3,500円(時給1,750円)は決して高くはないが、安くもない。
「三井ガーデンホテルズ」もテレワーク応援プランとして2時間利用で約3,500円のデイユースサービスを行っているが、金銭的に余裕のある人はともかく、小生のような貧乏人はやはり抵抗感がある…タバコを吸うための500円のコーヒー代は高いとは思わないが…。
ホテルにも一言。オフィスサービスとして客室を提供するなら、リネンは必要ない。トイレ、シャワー室は共用にして、個室を増やせば利用率は高まり、料金も安くできるのではないか。
リストグループ 3Dインテリアコーディネイトオンラインサービス開始
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リストグループのリストインターナショナルリアルティ( LIR)は9月4日、コシックと業務提携を結び、3Dインテリアコーディネートオンライン提案サービスを銀座支店で開始した。
家具も合わせてコーディネートができないかという、国内外のリゾート物件などを含む高級不動産不動産を購入した顧客の要望に応えるもの。
コシックは、インテリアのプロが数十万点に及ぶ800以上のブランド商品の中から厳選したコーディネートを提案する会社で、顧客の要望に応じてオリジナルでコーディネートプランをリアルな3DCGで提案する。
対象となるのは銀座支店で不動産購入契約を結んだ顧客。今後は、他支店での採用も視野に入れていく。
縦格子の円形平屋デザインが美しい 安藤忠雄氏の「神宮通公園トイレ」完成 日本財団
「神宮通公園トイレ」
日本財団が安藤忠雄、伊東豊雄、隈研吾、槇文彦氏ら16人の著名なクリエイターを起用し、渋谷区の公園17か所にトイレを建設したうえ市に寄付し、維持管理は同財団と市・渋谷区観光協会が行うプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の一つ、建築家・安藤忠雄氏が担当した「神宮通公園トイレ」が9月7日、報道陣に公開された。近く供用開始される。
施設は、渋谷駅から徒歩渋谷駅から徒歩5分(原宿駅から徒歩9分)の渋谷区神宮前6-22-8に位置。先に開業したばかりの「MIYASHITA PARK」に道路を隔てて隣接する。名前は「あまやどり」。直径10.5m、外周約33.0mの円形の平屋建てで、外周に張り巡らせた縦格子(素材はアルミ合金の模様)が美しい。
【あまやどり】 安藤忠雄氏コメント
小さな〝あずまや〟なりに、公共トイレという機能をだけではない、都市施設としての意味、パブリックな価値を持つものでありたい。そのもっともシンプルかつ明快な回答として、円形平面の棟から、屋根庇が大きくせりだし縁側をつくる造形を考えました。安全で安心な空間とするため、外壁は風と光を通すたて格子とし、利用者が円形を描くその壁に沿ってグルリと通り抜けられるようになっています。「神宮通公園」の木々の緑の中にひっそりと佇むこのトイレ、名付けて「あまやどり」です。
多機能トイレ
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記者が見学するのは、完成した7か所のトイレのうち4か所目。みんな素晴らしい。今回の安藤氏が担当した「あまやどり」は、外周の格子越しに光を施設内に巧みに取り込むデザインが美しく、外観は風格もある。縦格子の素材が木だったら、隈研吾氏とひと悶着起きるのではないかと心配になったが、木でも鉄でもなくアルミ合金のはずだ。
街行く人は〝なんだろう〟と立ち止まること請け合いだ。入ったきり出てこない人ばかり…ということにならないことを祈ろう。
値段は、前回の記事を参照していただきたい。
〝カア、カア〟 俺の色を真似るな!俺の塒を荒らすな!と異議を唱えたのか、歓迎の声だったのかはカラスに聞いていただきたい
日本財団 渋谷区公園トイレ整備に17億円 「西原一丁目」完成/真逆の児童遊園(2020/8/31)
東京都 新型コロナ感染者1カ月で大きな変化 20代女性が最多に 20代男性は48%減
冒頭の表・グラフを見ていただきたい。左の表・グラフは8月5日~8月22日間(以下、A)の20代男性・20代女性・30代男性の東京都の新型コロナ感染者の推移で、右の表・グラフは8月23日~9月5日間(以下、B)のそれだ。大きな変化が読み取れる。
感染者は、Aでは20代男性が660人、20代女性が562人、30代男性が500人(全体は3,585人)なのに対し、Bでは20代男性は342人、20代女性は384人、30代男性は308人(全体は2,535人)となっている。感染者が減少していることもさることながら、20代女性の感染者が20代男性を上回っていることが大きな特徴・変化だ。AからBへ20代女性は31.7%減、30代男性は38.4%減なのに対し、20代男性は48.2%減少している。
もう少し詳しく見てみよう。感染者の数を年代・性別に分け、その数を1位、2位などと順位づけるのは感染者に失礼で、小生も違和を覚えるのだが、新型コロナと最前線で戦っているのは間違いなく若い世代だ。分かりやすくするために順位付けしたことを理解していただきたい。
Aでは、20代男性は14日間で間に実に11回トップに立ち、2位は1回、3位は2回となっている。20代女性は1位が3回、2位が9回、3位が2回。30代男性は1位がゼロで、2位は6回、3位は8回だ。(回数がトータルで14日にならないのは同数を同じ順位にしたため)
ところが、Bでは様相が一変する。20代女性が8回トップに立ち、2位は4回、3位は2回。20代男性は1位が5回、2位は6回、3位は3回。30代男性は1位が2回、2位が6回、3位が7回となっている。
この変化は何を意味するか。小生はこの半年間、ほとんど休まず東京都の年代別・性別コロナ感染者数データを記録している。コロナは科学だ。ジェンダー性差を色濃く反映していると思う。読者の皆さんも考えていただきたい。
一つだけ言えるのは、第一波の時も第二波の時も、20代の女性が常に〝主導権〟を握っていることだ。
若い人で溢れかえる 「立体都市公園制度」を活用した三井不「MIYASHITA PARK」
「MIYASHITA PARK」(写真提供:三井不動産)
新型コロナの影響で当初予定の6月から7月27日延期され、その後段階的に開業となった三井不動産の公園・商業・ホテル・駐車場の複合施設「MIYASHITA PARK」を見学した。「立体都市公園制度」を活用したPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)施設で、見学した9月3日(木)は平日であったにも関わらず、若い人などで溢れかえっていた。かつて路上生活者の〝住まい〟となっていた公園は一変した。
「立体都市公園制度」は、平成16年に都市公園法を改正し創設された制度で、様々な都市課題を解決するため、都市公園の地下を多目的に利用したり、建築物の屋上や人工地盤上に公園を設置したりすることを可能にした制度。同制度を活用した施設は横浜市の「アメリカ山公園」がある。
事業は、老朽化した宮下公園の再生・利活用増進を図るため、渋谷区が平成26年8月に公募型プロポーザルにより事業者を募集し、同27年2月に三井不動産をPPPによる事業者として決定。同29年4月の都市計画変更を経て、同29年8月に期間30年の定期借地権契約を締結。2020年4月に竣工した。
商業施設名称は「RAYARD MIYASHITA PARK(レイヤード ミヤシタパーク)」で、様々な「ヒト・モノ・コト」が集まり、それらが複層的に交わることで新しい価値が生まれる場所という想いを込め、“層・重なり”という意味の「LAYER」に、「RAY(光)+YARD(庭)」=光の当たる庭という意味を加えて「RAYARD」と名付けられた。同社の公園一体型のブランドだ。
1~3階の店舗フロアには、日本初出店の6店舗、商業施設初出店の31店舗をはじめ業種業態に捉われない様々な店舗約90店が出店。個性豊かな渋谷の新たな「ストリート」となっているのが特徴。
南街区1階には、日本の古きよき横丁文化を発信する「渋谷横丁」を構え、2、3階には公園のアクティビティと親和性の高いスポーツブランドやカルチャーブランドを配置。原宿エリアやキャットストリートと繋がる北街区1、2階には高感度なファッションブランドを揃えている。
施設は、渋谷駅から徒歩1~2分、南街区が渋谷区渋谷1 丁目、北街区が渋谷区神宮前6 丁目に位置。全長約330m、敷地面積約10,740 ㎡、延床面積約46,000 ㎡。商業棟の南街区は1~4階建てS造15,922㎡(駐輪場2階1,404 ㎡含む)、北街区は1~3階建てS造・SRC造・RC造10,649 ㎡(地下駐車場階除く)とホテル棟4~18階(240 室)、渋谷区立公園、駐車場375 台(南街区97台、北街区278台)から構成。プロジェクトアーキテクトは日建設計、設計・施工は竹中工務店。公園は専用使用権を設定し、区が運営する。三井不動産は総額235億2,100万円を支払う。
「RAYARD」ブランド第2号施設として、PFI事業による名古屋市の久屋大通公園「RAYARD Hisaya-odori Park(レイヤード ヒサヤオオドオリパーク)」が9月18日(金)に開業する。
「sequence MIYASHITA PARK」(写真提供:三井不動産)
「sequence MIYASHITA PARK」ラウンジ(写真提供:三井不動産)
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記者は9月3日(木)の14:30~16:30の約2時間、1階から3階の商業施設、4階の屋上公園、ホテルを見て回った。
もともとデパートなどの商業施設は好きではなく、この6か月間は繁華街に立ち寄ったこともないので、混んでいるのかそうでないのか判断できないが、その光景は異様に映った。
当然のこととはいえ、新宿駅や東京駅を行き交う人々とは全く異なっていた。10人のうち7割くらいは20代から40代の若い人で、ファッションショーから抜け出してきたような目も彩な、肌も露わな女性が圧倒的に多かった。小生のようなくたびれたスーツを着た年寄りはほとんど皆無(当たり前か)だった。
カップルだけでなく女性同士で手をつなぐ人も多く、ソーシャルディスタンスとは無縁の世界が広がっていた。昼日中というのに、電車の車両と同じように席がすべて埋まっている飲食・居酒屋なども少なくなかった。
とはいえ、コロナ対策を怠っているようには見えなかった。随所に消毒液が置かれていた。小生が利用したその場で醸造したワインが飲める「渋谷ワイナリー東京」では、マスク1枚がプレゼントされた。
来街者数人におずおずと「コロナは怖くないですか」と声をかけた。友だちが感染した人も含めて口では「怖い」といいながら、顔はみんな「大丈夫」と語っていた。-こういう人たちがafter&withコロナをリードしていくのだろうと思った。
施設エントランス(以下、写真は全て記者。人が少ないように見えるのは、映り込みを極力避けたため)
「渋谷横丁」
店舗の植栽(全て本物の観葉植物だった)
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従前の「宮下公園」にはほろ苦い、甘酸っぱい思い出がある。星降る寒天の夜(当時は都心でも星がきれいに見えた)、公園のベンチに体を寄せたあい(当時は夜ともなると人もまばら)、〝あの星のように永遠に輝き続けるようなあなたにする〟などと永遠の愛を誓った。その数年後には、〝花を愛せる人になって〟の殺し文句、三行半の台詞でもって捨てられるとは夢にも思わなかった。もう50年も昔だ。
あれ以来、あちこちにテントが張られている光景を取材の行き帰りに横目で眺めたことはあったが、公園を訪れることはほとんどなくなった。区がナイキジャパンにネーミングライツ(命名権)を売却するため、路上生活者を排除したときからも10年が経過した。
われら団塊世代やここを塒にしていた路上生活者は、今の「MIYASHITA PARK」を訪れたらどのような思いを抱くだろうか。
隣接の路地裏のんべい横丁(ここだけは50年前と変わっていない)