国産材100%のZEH平屋住宅「杜和(とわ)」販売開始 菊池建設
「杜和(とわ)」
ナイスグループの菊池建設は7月19日、長期優良住宅仕様のZEH平屋住宅「杜和(とわ)」の販売を開始したと発表した。
高性能グラスウール断熱材をはじめとした断熱性の高い建材を採用し、断熱等性能等級6の取得が可能で、和瓦葺きの屋根と調和する屋根材一体通気型の太陽光発電システムを採用。主要木材の国産材使用率を100%としている。
住戸プランは、延べ床面積52.17㎡(15.75坪)から79.49㎡(24坪)まで、5タイプを用意している。
住宅と外構はセット 分譲戸建ての緑化に力を 大和ハウス 戸建住宅事業説明会
永瀬氏
大和ハウス工業は7月18日、メディア向け「戸建住宅事業 計画説明会」を行い、同社取締役常務執行役員・永瀬俊哉氏は次のように説明した。
2024年3月期の住宅事業は、売上高,510億(うち海外4,967億円)、営業利益351億円(うち海外315億円)、営業利益率3.7%に対して、2025年3月期売上高は11,120億円(うち海外6,190億円)、営業利益は580億円(うち海外470億円)、営業利益率は5.2%を見込む。請負住宅の棟数3,000棟(前期は3,424棟)を維持しつつ、分譲住宅を4,000棟(同1,760棟)に拡大し、注文住宅は高額商品の投入に加え、規格・セミオーダー住宅を強化することで、オーダー:規格・セミオーダーを30:70にする(現在は59:41)。2027年度目標は請負3,000棟、分譲住宅7,000棟の合計10,000棟とする。
改正労働基準法(建設業2024年問題)への対応では、各工程での改善施策を推進したことで従業員の残業時間を前期から約31%削減した。
ZEH率・太陽光発電搭載率は、2023年度の戸建住宅のZEH(ゼッチ)率:97%、太陽光発電搭載率:96%、分譲住宅はZEH率100% を達成した。
CS向上については、家づくりを楽しんでもらうことを目的に施工中の報告・連絡を毎日実施したことでお客さま満足度は飛躍的に向上し、今後も毎日報告を継続することで、顧客の紹介による受注増につなげていく。
分譲住宅7,000棟へ向けた体制づくりとしては、分譲設計に特化した「まちなみ設計」を各事業所に配置し、事業所毎でバラツキがある分譲物件を全体最適で効率的に対応。建設は、グループ会社の大和ランテックが担当することで、品質向上と生産性向上を図る。
注文住宅では、注文住宅のフラッグシップ商品として最新フルスペック仕様を搭載した最上位パッケージとして軽量鉄骨の「xevoΣ PREMIUM SMILE Edition」と木造の「PREMIUM GranWood SMILE Edition」を投入する。販売目標は前者が年間50棟、後者が20棟、販売価格は175万円から/坪。
国内の販売戦略として、規格商品とセミオーダー商品を「Smart Made Housing.」(スマートメイドハウジング)として新たに訴求し、分譲住宅の「Ready Made Housing.」と合わせて、住宅一次取得層へのアプローチを強化する。好調な海外事業(米国)は2026年度に10,000棟超を目指す。
カーボンニュートラルへの取り組みとしては、CO2排出量の多い鉄骨造から木造へのシフトを強化し、新たな戦略商品としてZEH・耐震等級3・構造と防水の初期保証30年にした分譲商品「Comfort Wood」の建設を推進。第1弾「セキュレア飾磨区城南町」を供給した。
リブネス事業(住宅ストック事業)を更に加速させるため、「自社物件」に限らず「他社戸建住宅」や「区分マンション」などの買取再販を拡大。1棟賃貸マンション仲介(オーナーチェンジ)も取り組む。
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記者はこの30年来、男女の性差がなくなる社会と同じように、住宅は分譲も賃貸も、マンションも戸建も、新築もと中古も、オーダーもレディメイドも関係なく、ライフスタイルによって自由に選択できる時代がやってくるのではないかとずっと考えてきた。各種の調査結果からもその傾向が強まっていることがうかがえる。住宅着工戸数で、持家が2021年12月以降29か月連続して前年同月比でマイナスになっているのもその一つだではないか。
この日の永瀬氏の話も時代の流れに沿ったもので、市場縮小が続く注文住宅は現状を維持し、規格・セミオーダー比率を高め、分譲戸建てを強化するというのも説得力がある。分譲を7,000棟に伸ばすというのは、地方のビルダーや不動産会社との連携は必要だろうが、圧倒的なブランド力を誇る同社が本気で取り組めば不可能な数字ではないはずだ。賃貸から注文、分譲への提案も可能だろうし、リブネス事業(住宅ストック事業)はまだまだ伸ばせる余地があると思う。
分譲を強化する意味で参考になるのは、記事にもした「セキュレア多摩聖蹟桜ヶ丘」だ。1棟現場だが、周辺の戸建て環境に負けない植栽計画が秀逸だし、リビング天井高を3.16m確保して差別化を図っているのもいい。
課題を指摘すれば、外構ではないか。説明会で記者団から「外構計画」について質問があったが、永瀬氏は「2~5棟現場ではコストがかからないよう華美にはしない」と答えた。
この「華美」はどのような意味か分からないが、昨年見学した「セキュレア西大宮V」でも、説明会で紹介された4棟現場の「セキュレア飾磨区城南町」の画像も樹木は貧弱だった。
いわゆるパワービルダーの分譲戸建てなどはぺんぺん草も生えないものばかりだが(敷地が30坪では植栽はほとんど無理だが)、住宅と外構=植栽はセットだ。しっかり緑化を図るべきだと思う。野村不動産やポラスグループは〝街をつくる〟を掲げ、小規模区画でも植栽には力を入れ、差別化を図っている。
「駐車スペースの緑化」で検索したら、同社グループ大和リースのホームページがヒットした。「景観が良くなる」「温度の上昇を抑えられる」「地域に貢献できる」などとあり、様々な提案がなされている。分譲もそうすべきではないか。同社に限ったことではないが、「5本の樹」計画の独走を許していいのか。
大和ハウス飯田グルーフ飯田産業と分譲戸建ての設計・施工契約トップの深謀遠慮か(2024/7/19)
大和ハウス分譲戸建て拡大へ見本となるか「聖蹟桜ヶ丘」植栽に力天井高3.16m(2024/7/18)
基本性能・設備仕様は素晴らしいが…課題も大和ハウス「セキュレア西大宮V」(2023/11/24)
【お詫び&訂正】大和ハウス分譲戸建て 発注先「飯田産業」⇒「飯田グループ」
永瀬氏
2024年7月19日付の当Web記事「大和ハウス 飯田グループ飯田産業と分譲戸建ての設計・施工契約 トップの深謀遠慮か」の記事中、「飯田産業」は誤りにつき「大和ハウス 飯田グループと分譲戸建ての設計・施工契約…」に変更します。ご迷惑をおかけした関係者にお詫びするとともに、記事を以下のとおり、訂正し再掲載します。
大和ハウス工業が飯田グループの飯田産業と設計・施工契約-大和ハウス工業は7月18日、メディア向け「戸建住宅事業 計画説明会」を行い、同社取締役常務執行役員・永瀬俊哉氏は、この8月に埼玉県で完成する分譲戸建て3戸の設計・施工を分譲戸建てのガリバー企業集団・飯田グループホールディングスの1社に発注し、同社が売主になると話した。同様の契約を分譲戸建て供給ナンバー2のオープンハウスとも結ぶ計画が進行しているとも語った。
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これには、記者は心臓が飛び出さんばかりの衝撃を受けた。同社が2021年9月に行った基準地価に関する記者レクチャー会で、同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ部長・本間生志氏が、「いわゆるパワービルダーの市場占有率が高い北関東などでは苦戦が続いている」と語ったのに対し、記者は「そもそも建築単価が倍くらい違う分譲戸建て御三家とは争わないで、大手デベロッパーのように都市型に絞り、経営資源もそこに集中したほうがいいのでは」と質問したところ、本間氏は「仰る通り。当社も含め大手ハウスメーカーは互角に戦えない。人的資源を都市部に移すよう着手している」と答えていたからだ。飯田グループへの設計・施工依頼は、戦わないで手を組むとも受け取れる。
だが、しかし、よくよく考えてみると、これもありかと思う。今回の飯田グループとの契約について永瀬氏は、同社・芳井敬一社長の決断であることを明らかにした。大和ハウス工業と大東建託は今年3月、「災害における連携及び支援協定」を締結したが、これも同社・芳井社長と大東建託・竹内啓社長のトップ同士の決断だった。そういえば、先の積水ハウスの「都市の生物多様性フォーラム2024」にはデベロッパーの東急不動産ホールディングスと三菱地所レジデンスも参加していた。企業トップの深謀遠慮が見え隠れする。三井不動産レジデンシャルは浦和美園の分譲戸建てに施工したポラスをパンフレットやチラシに大書きして宣伝したのも思い出す。
記者は飯田グループ6社が経営統合した2013年以降ほとんど見学・取材はしていないが、それまではグループ内の2社は結構取材している。レベルの高い大規模開発を両社は行っていた。
また、飯田グループも新しい動きがある。「飯田グループホールディングスTCFDレポート2023」(発行日:2023年7月11日)では「2023年3月時点の基準において、当社グループで供給する約80%の住宅は、ZEH(ゼッチ)水準である『断熱等性能等級5』かつ『一次エネルギー消費量等級6』を取得しています。この性能の住宅は一般的な住宅と比べて約20%の削減効果があります」と公表した。飯田グループの中核企業である一建設は長期優良住宅認定制度に対応した分譲戸建住宅の供給を2024年8月末より全国の営業エリアで順次開始するとし、その記者説明会を8月1日に行う。
全国の分譲戸建ての着工戸数は令和4年までは増え続けてきたが、令和5年からは減る一方で、令和6年6月現在、19か月連続して前年同月を下回っている。直近4か月は二ケタ台マイナスだ。
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以下は、記事掲載から今日までの経緯。問題になった記事について、飯田グループホールディングス広報から7月25日付で「飯田産業の築地社長に確認したところ、記載されているような事実は全くないことが確認されました。よって、本記事の削除をお願い申し上げます」とのメールが届いた。記者は「永瀬氏が明言しましたので、記事に誤りはないと思います」と記事削除の依頼を断った。
しかし、その後、「飯田産業」は「東栄住宅」の誤りではないかと思い、記事を非公開にするとともに、8月中旬に大和ハウス工業広報に事実確認のお願いをしていたところ、9月4日付で同社広報から「正しくは、飯田グループホールディングスの1社に発注となります」との連絡が入った。
大和ハウスがどうして間違ったか不明だが、永瀬氏の当時のトークをアーカイブ用視聴URLから再現する。以下の通りだ。
「あの…言っていいのか…大丈夫なの…他社…デベロッパー…大丈夫かい? あの…、えっと、実はいま埼玉で、飯田産業さんに…3棟かな、3棟発注させていただいて…これは、えーっと、当社の社長の芳井と飯田産業さんのトップの方が財界活動の中で案外親しくされているみたいなんですけど、そういう話の中で、ちょっと一緒にJVの形でやってみようかということになり…我々が買った土地で分譲住宅を計画していたんですけど、ちょっと計画していただけませんかとプランを出していただいて、設計・施工でやっていただいてます。それが8月くらいに竣工して、それを売主・大和ハウス工業、設計・施工は飯田グループさんの…飯田さん…なんちゅうところでしたか…あそこは何社かありますよね…そういう形で販売しようということでやってます。
実は、ほかのエリアでも、例えばオープンハウスさんとそういうチャレンジしてみたいとやってますので、自社施工の分、グループの大和ランテックに施工してもらう分と、他社に純粋に設計・施工をお願いして、我々としてはデベロッパーだけでやっていこうという分…いろいろやり方を試しているということです」
いかがか。永瀬氏は前半の部分で2度も「飯田産業」を口にした。後半の部分で言いよどんだのが引っ掛かるが、文脈からして「飯田産業」と受け取るのが自然だ。
しかし、記者にも責任がある。永瀬氏が後半の部分で言いよどんだ理由を聞くべきだった。なぜそうしなかったか。言い訳になるが、勉強会が終わったのは午後2時半ころ。個別質問の列に加わればよかったのだが、この日は午後4時に、同社の聖蹟桜ヶ丘駅圏の分譲戸建ての取材が入っており、時間的余裕はなかった。
これで一件落着となり、恥をかいたのは小生だけなのだが、新たな疑問も浮上してくる。先述したように、永瀬氏はリアルとオンライン合わせて40人くらい参加したと思われる説明会で、「飯田産業」に設計・施工を発注すると話した。
ところが、それを伝えたのはどうやら小生だけのようだ。これが解せない。売上高5兆2,029億円(2023年度)のわが国最大のハウスメーカー・デベロッパーの同社と、全国分譲戸建て市場の約3割、年間約40,000棟を販売するガリバー企業・飯田グループが手を組むという、人が犬を咬むようなビッグニュースを伝えないメディアはリテラシーが欠落していると言わざるを得ない。例えて言えば、歌を忘れたカナリア、盗人に尻尾を振る番犬、ネズミを追わなくなった飼い猫、1週間遅れのコピペ記事を書くのに何の痛痒を感じなくなったゆでガエル記者と一緒といったら失礼か。
大和ハウス分譲戸建て拡大へ 見本となるか 「聖蹟桜ヶ丘」 植栽に力 天井高3.16m(2024/7/18)
大和ハウス分譲戸建強化 4年後に4.5倍増の7000戸「木造」へ舵切り(2023/11/24)
住宅性能評価の分譲戸建てシェア74% 飯田GHは「ZEH化50%」に舵切りを(2023/8/28)
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全120区画の1~3期64戸が即日完売 飯田産業「ハートフルタウン豊田」(2011/2/18)
大和ハウス分譲戸建て拡大へ 見本となるか 「聖蹟桜ヶ丘」 植栽に力 天井高3.16m
「セキュレア多摩聖蹟桜ヶ丘」
大和ハウス工業が分譲中の戸建て「セキュレア多摩聖蹟桜ヶ丘」を7月18日見学した。見学する前に同社のメディア向け「戸建住宅事業 計画説明会」が行われ、同社取締役常務執行役員・永瀬俊哉氏が2027年度に分譲戸建てを7,000戸に拡大するなどと語ったのだが(2023年度は1,760戸)、この「多摩聖蹟桜ヶ丘」は永瀬氏の話を補完・補強する見本でもあり、あるいは同社の戸建て分譲のあるべき姿を示唆する物件だ。
物件は、京王電鉄京王線聖蹟桜ヶ丘駅から徒歩8分、多摩市関戸二丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率80%)に位置する敷地面積121.94㎡、軽量鉄骨2階建て延床面積97.13㎡、価格は8,490万円。建物は6月に完成済み。
現地は、同駅圏の閑静な戸建て住宅街の一角。三方角地に位置しており、基本性能・設備仕様は、xevoΣ(ジーヴォシグマ)仕様で、ZEH対応、1階LDK天井高2.7mからリビング部分は床面を約40cm下げたロースタイル天井高3.16m(吹き抜け5.64m)、アルミ・樹脂複合サッシ、階段ステップ15段など。多摩川へは徒歩1~2分。
企画、販売担当の同社東京西支店住宅営業所南多摩住宅営業所分譲三課・塩谷心氏は「三方角地の立地特性を考え。日差しが日常的に入るよう窓面を多くし、1階は吹き抜けを含めてリビング天井高を3m以上確保して、外構も周辺の戸建て住宅街と調和するよう植栽にも力を入れました。ターゲットは地域の富裕層です」と話した。
リビング
吹き抜け
エントランス
◇ ◆ ◇
取材が実現した種明かしから。30年以上前から取材しているRBA野球大会の試合終了後だ。昔は強かった時期もあったが、この十数年間はほとんど〝出ると負け〟(くじ運に恵まれて1勝か2勝したときもあったが)を繰り返してきた、大和ハウス工業の主力メンバーの一人、足立英彦氏(同社東京西支店住宅営業所南多摩住宅営業所分譲一課上席主任)がチラシを持って現れた。「不動産会社向けに6現場の分譲住宅見学会を7月18,19日に行う。ぜひどうぞ」と記者に声を掛けた。
渡りに船だ。見学会が行われる7月18日は、同社の「戸建住宅事業 計画説明会」を取材することになっていたので、その後の取材・見学を申し込み実現した。足立氏と、見学に同行していただいた同社広報担当者に感謝申し上げる。
結果は大成功。駅からの現地までの道すがら〝劣悪な物件だったらどうしよう〟とずっと考えていたのだが、外構の植栽を見てこの不安は吹っ飛んだ。素晴らしい。1階のLDKや洗面・浴室、この洗面・浴室と一体利用できる北側のテラスの提案もいい。わが多摩市の分譲戸建ては20年くらい見ていないが、どこの物件と比較しても負けないはずだ。
足立氏は、「この『聖蹟桜ヶ丘』は塩谷が企画に力を入れた物件。18日、19日の見学会には100人くらいの見学を予定している。地域の不動産会社の方の声を聴き、情報を収集し、今後の事業展開に生かしていきたい」と話した。
冒頭に「永瀬氏の話を補完・補強する見本でもあり、あるいは同社の戸建て分譲のあるべき姿を示唆する」と書いたが、詳細については明日書く。
左から足立氏、塩谷氏、同社東京西支店建築営業所営業課・林太陽氏(足立氏は母校の攻玉社が17日行われた高校野球東東京大会3回戦の対板橋高戦で最終回、0-6から同点に追いつき、タイブレークでサヨナラ勝ちしたと話した)
抜群においしいミニトマト ポラス「浦和」街びらき+富山マルシェワークショップ
「結美の丘 浦和 きときとプロジェクト」街びらき+富山マルシェワークショップ
ポラスグループ中央住宅は7月6日、分譲戸建て「結美の丘 浦和 きときとプロジェクト」(全17戸)の街びらき+富山マルシェワークショップを開催、模様をメディアに公開した。全世帯に「ベジトラグ」が無償で提供されたほか、「朝採れ野菜」の試食・格安販売が行われ、市場には卸せない小ぶりのタマネギ一袋がプレゼントされた。購入者14世帯(4世帯は未入居)のうち6世帯が参加した。同様の取り組みは他の住宅地でも行っていく。
同プロジェクトがスタートしたのは2022年11月。富山県は47都道府県の中で野菜生産量が最下位であることに頭を悩ませていた富山青果市場の職員・大石和さんが現状を何とかしたいとホームページで呼び掛けたのを、同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課主任・小瀧愛美さんが知ったのがきっかけ。
小瀧さんは、SNSやりモートとリアルな体験を組み合わせれば、富山県産の食(農)を通じて「フードロス」「地球温暖化」「SDGs」などの社会課題に自分事として向き合えるのではないかと考えた。以来、5回富山県に赴き、全農家と話し合い、賛同を得て今回の食育提案にこぎつけた。
小瀧さんはまた、その背景には、同社が4年前、春日部市の市街化調整区域内で分譲した「ハナミズキ春日部 藤塚」(全22戸)で、隣地に約300㎡の市民農園を確保し、「農のある暮らし」をサポートすることにしていたが、生産者の日ごろの作業や想いを知る交流は出来ず、住人の畑の管理が難しくなったこともあると話した。
このため、今回のプロジェクトでは、「農」を軸とした地域交流を「日常」にし、人・モノ・地域をつなげ、生産者支援にも広げる工夫を凝らしたという。
同プロジェクトは、浦和駅東口からバス・徒歩21分(自転車で17分)、さいたま市南区大字広ヶ谷戸の第一種中高層居住専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全17戸。土地面積は100~103㎡、建物面積は約30坪、価格は4,480万~5,980万円。昨年8月から分譲開始されており、これまで14戸が契約済み(うち4戸は未入居)。従前敷地は畑。
提供された「ベジトラグ」(組み立て前)
提供された「ベジトラグ」を前に記念撮影(小生が「浦和」駅前の再開発マンションは30坪で1億5000万円」と話したら驚いていた)
◇ ◆ ◇
富山県といえば、面積は47都道府県の33番目に小さな県で、ホタルイカと日本酒「立山」、「三協立山」くらいしか知らないのだが、1級河川だけでも黒部川、常願寺川、神通川、庄川、小矢部川の5河が富山湾に注いでいる。急峻なアルプスから一挙に下るためだろう、水はとてもきれいだ。だから米どころとして知られているのだろう。しかし、野菜の生産量が最下位で、県民の野菜摂取量も愛知県に次ぐワースト2位とは全然知らなかった。
この日のワークショップでは、ただで試食していいといわれたので、ミニトマトを1個食べた。抜群においしかった。やや酸味が勝っていたが、甘みもあった。生産者は「山下兄弟」とあった。
自慢じゃないが、家計は火の車のわが家のトマトの年間消費額は一般的な家庭の年間消費額6~7千円の3倍以上だ。まずいトマトは食べない。血糖値の数値が安定しているのはトマトのおかげだと思っている。酒のつまみにしている。
だから、1個食べただけでおいしいかまずいかがわかるのだ。この「山下兄弟」のミニトマトはアメーラには勝てないだろうが、控えめに評価してもスーパーのトマトの2倍はおいしい(同業の記者の方は「3倍おいしい」と言ったが、この方はよりまずいトマトを日常的に食べているからではないか=失礼)。7~8個食べ、1パック100円のトマト3パックと、1個100円のトウモロコシ4個(かみさんの好物。小生は買って食べようと思ったことはない。この差を皆さんは理解できるか)を買った。小生の買ったものをけなすのが趣味のかみさんもトマトを1個食べて「おいしい」といった。
山下兄弟!記事も添付した。「三井ショッピングパーク ららテラスHARUMI FLAG」の「TEAM JAPAN 2020 VILLAGE Cafe&Restaurant CENTRALE」を研究していただきたい(好き嫌いはあるだろうが)。
生産者・廣瀬琢磨さんの「新川(ニイカワ)きゅうり」も丸かじりしたが、いかんせん、生のきゅうりを丸かじりしたのは65年ぶりくらいだ。最近は味が付いたきゅうりもみしか食べたことがないので、比べようがなかった(多分、おいしいのだろう)。
この日提供された富山産の野菜がおいしいのは、化学肥料を極力避け、有機・路地栽培だからだと思う。水も井戸を掘って地下水を利用しているとも聞いた。
左から大石さん、廣瀬さん、小瀧さん
無料のタマネギを袋詰めする参加者
◇ ◆ ◇
市民農園付きの「ハナミズキ春日部 藤塚」(全22戸)は見学取材している。記事を添付したので読んでいただきたい。記者の皆さんにも市民農園は好評だった。しかし、農家出身の小生は農業の苦労をよく知っているので、以下のように書いた。その通りの結果になったようだ。
「老婆心ながら、コロナの影響で〝田舎暮らし〟もいいなと考えている人に一つ忠告したい。佐藤春夫ではないが、『都会』より『田園』のほうがはるかに『憂鬱』だ。もはや田舎の里山はクマ、イノシシ、シカ、サルなどの獣に支配されており、主客が転倒した世界であることを認識すべきだ。怖いのは彼らが運んでくるヤマヒルだ。マダニ、スズメバチ、マムシなども里山を徘徊しており、山頂の風力発電は生態系を狂わせている。田舎暮らしは断じて楽園ではない。〝そんなはずはなかったと〟失楽園となるのは必至だ」
ポラスに提案だ。この種のワークショップは全社的に取り組んではどうか。流通コストの問題はあるだろうが、無限の可能性を秘めていると思う。
「結美の丘 浦和 きときとプロジェクト」
この日買ったトマトを利用したわが家のメインデッシュ・酒のつまみ
調整区域の市民農園付き200㎡邸宅ポラス「ハナミズキ春日部・藤塚」企画秀逸(2020/7/3)
駅距離と調整区域開発要件(165㎡)逆手に取った企画秀逸 ポラス「八千代緑が丘」
「REASON(リーズン)八千代緑が丘 とわの街」
ポラスグループ中央住宅は6月14日、全戸165㎡(約50坪)超の分譲戸建て「REASON(リーズン)八千代緑が丘 とわの街」(全72戸)のメディア向け見学会を行った。駅から徒歩18分の市街化調整区域立地だが、駅距離・面積要件(165㎡)を逆手に取った商品企画が素晴らしい。
物件は、東葉高速鉄道八千代緑が丘駅から徒歩18分、八千代市大和田新田の市街化調整区域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全72戸。第1期(19戸)の土地面積は165.31~200.37㎡、建物面積は96.05~107.23㎡、価格は3,780万~5,180万円。構造は木造軸組み工法平屋建て・2階建て。施工はポラテック。完成予定は2024年10月。
現地の従前は東邦大学の薬草園で、化粧品会社を経て同社が取得した。住宅地開発が可能になったのは市の条例により市街化区域に連坦している条件を満たしているため。最低敷地面積は165㎡と規定されている。
敷地の広さを活かし、勾配屋根のある開放的な平屋(1期は3戸)のほか、一部住戸(1期は4戸)に屋外用サウナ「IESAUNA(イエサウナ)」を採用。モデルハウスは平屋のほか、格子天井、吹き抜け、ウッドデッキを配した「NAGOMI」、同社のマンションに多用しているピアキッチン、フラットDEN、ワイドポーチ付きの「OMOMUKIの3種。
基本性能・設備仕様はリビング天井高2700ミリ、サッシ高2200ミリ、Ua値0.60、メープルの挽板床、オークのアクセント壁、ポタジェ、雨水タンクなど。
今年2月から集客を開始し、これまでの反響数は127件、モデルハウス見学は50件、第1期19戸は5月から販売開始し、17戸が成約済み(2戸は戦略上未販売)。反響数の約7割が千葉県内(うち半数が地元)、残り3割は都内や神奈川方面。
見学会で同社戸建分譲設計本部設計二部営業企画設計課係長・大井川隆氏は「『住環境』『街づくり』『家づくり』『コミュニティ』の4つの視点から『とわの街』と名付けた」と、同課主任・日山麻子氏は「家と人、人と人をつなぐ設計に重点を置いた」と、同部船橋事業所事業所長・髙橋元毅氏は「八千代緑が丘駅での当社の戸建ては過去最大。創業55周年の目玉物件。いいスタートが切れた。今後2カ月置きにおきに順次供給し、来年1月に第5期として15戸を分譲する。中広域から集客できるかが早期完売のカギを握るが、しっかり訴求していく」とそれぞれ語った。
平屋
平屋
2号棟
「IESAUNA(イエサウナ)」
外気温30℃超なのに実演コーナーの約60℃のサウナに入るもの好きな同業記者(小生は水着姿の女性が実演すると待ち構えたが空振り)
1号棟
1号棟モデル
◇ ◆ ◇
公開されたモデルハウスは文句なしにいい。敷地が広いから可能になったのだろうが、ピアキッチン付きの1号棟、LDK-ガーデンテラス(上部吹抜け)-Tatami room(5畳)をつないだ2号棟、最大天井高2800ミリの勾配天井の平屋建てなどだ。
平屋建てを提案したことから、50~60代の反響も多いそうだが、平屋は年代に関係ないと思う。住宅は平屋がいいに決まっている。植栽も豊かで、きちんと天然芝が植えられていた。
記者は風呂が嫌いなので、いま流行しているという。19.8万円もする屋外用サウナの価値は全然わからない。この価値はわからないが、仮に駅に近いところでマンションが分譲されたら、坪300万円は無理だろうが坪250万円はする。
現地から駅方面を望む
植栽
◇ ◆ ◇
大規模住宅地開発といえば、バブル崩壊前は都市計画法の「線引き」による調整区域が圧倒的多数を占めていた。ところが、バブル崩壊後は、地価が下落し、長期にわたって造成工事を行わなければならない事業そのものが成り立たなくなり激減した。一方で、人口が減少する社会ではそもそも市街化区域と調整区域の「線引き」は意味しないという論議から、線引きを廃止するところが相次いでいる。
ネットで調べたら、宮崎県(平成10年)、香川県(同16年)、熊本県荒尾市(同)、愛媛県西条市(同)、愛媛県新居浜市(同)、岡山県笠間市(同21年)、長野県安曇野氏(同24年)、京都市綾部市(同28年)、静岡県伊豆市(同29年)、島根県松江市(2026年度予定)がヒットした。調整区域から市街化区域への編入も相当数あるはずだ。
今後も線引き廃止を行うところが増えそうだ。用途や面積、高さ、緑化、日影規制などは必要だろうが、記者も賛成だ。八千代市は調整区域での開発に当たっては最低面積を165㎡にしているから、今回の広い敷地の住宅地が誕生した。やはり調整区域開発のMIRARTHホールディングスグループの平屋建て「レーベンプラッツ南栗橋」(16区画)は敷地面積が100坪あった。
敷地100坪建物30坪の平屋ミラースHDの戸建て「南栗橋」企画ヒット(2022/11/13)
伊勢崎線の№1戸建て住宅街 トヨタ&東武鉄道「WELL BIND CITY 獨協大学前」
「WELL BIND CITY 獨協大学前」
草加市、獨協大学、都市再生機構、東武鉄道、トヨタホームの産・官・学5者連携による街づくりが進められている草加市の「獨協大学前〈草加松原〉駅西側地域」の戸建て住宅地「WELL BIND CITY 獨協大学前」を見学した。分譲開始は6月22日。
現地は、かつて“東洋一のマンモス団地”と呼ばれた旧松原団地を中心とした総面積約54haの再開発エリアの一角。団地は老朽化と住民の高齢化などの課題を解決するため2003年から草加市、獨協大学、UR都市機構の3者が連携し、多様な世代の共生、グリーンインフラ、防災拠点の構築、教育の提供、団地の再生などを進めてきた。
今回の「WELL BIND(ウェルバインド)」は、新たに東武鉄道とトヨタホームが加わり、開発面積約6.5haの戸建て住宅地を整備するもの。ソフト・ハード両面から継続的なにぎわいと交流を創出し、地域の活性化に取り組んでいく。周辺には、公園、小・中学校のほか、草加市立松原児童青少年交流センター、獨協大学コミュニティスクエア、商業施設「トーブ イコート」などの施設が整っている。
開発街区はL字型で、Airy Zone(鳥)、Bright Zone(太陽)、Ripple Zone(蝶々)の3つに分け、テーマごとにデザインし、電線地中化、2棟の平屋建て約30坪のクラブハウス、3つの街区公園、敷地面積130㎡以上、太陽光発電・ZEHを搭載したスマートハウスなどが特徴。今後7~8年かけて分譲していく。
物件は、東武スカイツリーライン獨協大学前〈草加松原〉駅から徒歩13分~15分、草加市松原4丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する開発面積約65,357㎡、全373戸。第1期18戸(トヨタホーム10戸、パナソニックホームズ6戸、ミサワホーム2戸)の敷地面積は131.15~134.67㎡、建物面積は102.60~108.76㎡、価格は7,000万円台中心。建物は完成済み。土地売主はトヨタホーム、東武鉄道。
トヨタホーム、東武鉄道は東武日光線南栗橋駅圏でも久喜市、イオン、早稲田大学の5者連携による約16万㎡の「BRIGE LIFE Platform構想」を推進しており、全172区画の戸建て住宅地「BLP-MINAMIKURIHASHI SMART VILLA」の開発を行っている。
モデルハウス
植栽
クラブハウス
クラブハウス
雨水タンク
◇ ◆ ◇
皆さんは、この再開発エリアでの分譲マンション第一号で、東武鉄道の新マンションブランド〝ソライエ〟の第一号マンション「ソライエ草加松原」をご存じか。分譲開始は2012年で、駅から徒歩3分の全255戸。坪単価138万円、最多価格帯3,100万円台と圧倒的に安かったことから人気を呼んだ。
その後、駅名は草加松原から獨協大学前に変わり(草加松原は副駅名)、住友不動産、東部鉄道が継続的にマンションを分譲している。坪単価は250万円くらいのはずだ。都心への近さから言えば安いと思うが、戸数(平均面積74.3㎡)要件が付されており、20坪で5,000万円はする。
「WELL BIND CITY」は駅からややあるが、公園などを通れるからアクセスはとてもいい。そして何よりも土地面積が広く、30坪のスマートハウスが7,000万円台で買えるのだから、これまたものすごく安い。東武スカイツリーラインのナンバーワン戸建て住宅街だと思う。
ただ、同線は京王線と同様、利便性が高いのに不動産価格は他の沿線と比較して〝割負け〟している。足立区北千住のマンションは坪500万円を突破している。しかし、誰も同線だとは考えていない。千代田線北千住だ。縁あって書きたくはないのだが、草加市のイメージもまたいいとは言えない。鉄道会社と自治体はブランディング化にもっと力を入れるべきだ。
余談はこれくらいにして本題。トヨタホームのモデルハウスは約106㎡。基本性能が優れているのは言うまでもないが、リゾート(ストックフォルム)を想定したデザインが抜群。同社によると、6種のコンセプトと14か国のインテリア、つまり6×14=84種のコーディネートが選択できることになっているそうだ。
いつものように、あら捜しをした。1階の天井高2400ミリは高くない(ポラスは2700ミリが標準)ので、同社担当者にもその旨話した。階段幅も〝狭い、世界のトヨタともあろうものが〟と指摘しようと思ったら、そうではなかった。メーターモジュールを採用していた(パナソニックホームズとミサワホームは尺モジュール)。
この他、サッシ高2380ミリ、2ボウルの洗面、ユニバーサルデザインを考慮した引き戸多用、壁面角のR状仕上げなどが目を引いた。
外構では150~185リットル入る大型雨水タンク、ホースと蛇口が別々の水栓、5本を上回る中高木の植栽(角住戸は11本だった)もいい。
7~8年かけてゆっくり販売するという戦略も納得だ。さすがトヨタ、東武というべきか。販売担当は尻をたたかれなくて済む。全戸が完売するころには、草加駅よりいい街になっているかもしれない。急行停車も草加からこちらに変更されることにはならないか。
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まるで武蔵野リゾート 断熱等級7を初めて体感 旭化成ホームズ 戸建て甲州街道モデル
「Asu-haus(アスハウス)」甲州街道モデル
旭化成ホームズは6月5日、木造戸建て住宅の新ブランド「Asu-haus(アスハウス)」甲州街道モデルハウスをメディア向けに公開した。外気温は30度を超えていたにもかかわらず、エアコン1台で建物内は25度前後に保たれる断熱等級7のすごさを初めて体験し、豊かな緑に圧倒された。〝武蔵野リゾート〟と名付けた。
〝Asu-haus(アスハウス)の未来につながる暮らしと空間〟がコンセプトで、「暮らし」については、エアコン1台で季節・時間・場所を問わず快適な生活ができる「経験価値」、断熱等級6のエアコンをつけたままの全館空調より消費電力は約40%削減できる「経済価値」、ZEHからLCCM(Life Cycle Carbon Minus)の「環境価値」をそれぞれ実現。「空間」については、断熱等級が国内最高クラスの断熱等級7の「温熱性能」、長期にわたって快適性を担保する「構造安全・耐久性能」、地域や自然とつながり多用途に使える「デザイン」としているのが特徴。
これにより、温度差は±1℃以内、温度は夏26~28℃、冬20~23度、湿度は夏60%以下、冬40~60%、壁・床・天井などの表面温度は室温±2℃以内の理想的な環境を目指す。
主なターゲットは、必要最小限の空間と環境を重視し、クリエイティブでファミリー志向の60代夫婦。間取りはシンプルな田の字型で、汎用性を重視している。
見学会に臨んだ同社GREENOVATION推進室室長・白石真二氏は「未来のあるべき姿を見据え、暮らしと空間のそれぞれ3つの価値を実現する。そのために、具体的な4つの温度・湿度の目標値を設定した」と語り、合わせて、ブランドコンセプトである「GREENOVATIONには、環境性と経済性の両立という概念を取り込み、さらに若々しく健康に生きようという意味も込めた」と語った。
また、同推進室企画グループ・高梨拓己氏は外観・外構などについて「5.5寸の切妻屋根を採用することでソーラーの設置、都下での北側斜線制限にも対応できるようにし、日射を遮断するパーゴラのほか、ベビーカー、車椅子にも対応できるスロープを設けた。エクステリアでは14本の中高木を植樹した」と話した。
モデルハウスは、多摩モノレール線甲州街道駅から徒歩4分、敷地面積は約50坪、建物は木造軸組工法(平屋~2階)の切妻屋根の延床面積約30坪。断熱等級7(Ua値0.26W/㎡・K以下)、耐震等級3、耐風等級2。坪単価は135万円から。家庭用エアコン1台で快適性が保たれる全館空調を採用。床はクリ材の突板、窓はトリプル樹脂サッシ。最大天井高はロフトを含めて約6m。販売棟数は2024年度16棟、2025年度25棟を上限とする限定販売。販売エリアは東京都城南・城西地区、都下の一部。6月1日から販売開始されている。
植栽(手前はじゃかご)
◇ ◆ ◇
〝武蔵野の別荘はかくやあらん〟-これが見学した率直な感想だ。これほどコンセプトが明確で、ターゲットも的確なモデルハウスは他にそうないはずだ。
建物外観と外構を見たとき、勾配屋根と左官調仕上げの飽きのこないヴァナキュラーデザインに惹かれ、〝5本の樹計画〟をはるかに上回る圧倒的な緑量に興奮すら覚えた。売上高1兆円を目指す同社にとって2024~2025年度の販売棟数41棟は微々たるものだろうが、〝堅牢だが価格が高い〟〝コンクリート住宅〟とは違った世界観、価値観を垣間見ることができた。
植栽計画について。玄関エントランスには樹肌・樹皮に横縞模様がある「武蔵野ヒノキ」が植えられていた。樹高は高くならないよう建物の高さ6mくらいにコントロールするとのことだった。(どうして「武蔵野」がついているのか、ネットで調べたがわからなかった)。この他はシラカシ、ヤマボウシ、ナナカマド、シャラ、ポプラ、オリーブ、ソヨゴなど。
住宅性能、特に断熱性について。あちらこちらの部屋の壁、サッシ枠、ガラスの温度などを確認した。熱伝導率が異なる木、鉄、コンクリ、ガラスなどが室温とほとんど同じ25℃前後で一定していた。普通はありえないことだ。ただ、断熱等級7は初めての体験だったので、断熱等級6や一般的な全館空調との差はいまひとつよくわからなかった。これは体験してみないとわからないことだ。真夏か真冬が一番いい。
玄関の温度計は外気温31.2℃、建物内は24.5℃を示していた
リビング
モデルハウス(2階から写す)
モデルハウス
武蔵野ケヤキ
外観
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驚愕!用賀12分 敷地91坪、建坪52坪で25,800万円 大和ハウス・リブネス戸建て
世田谷区瀬田のリブネス戸建て
大和ハウス工業は5月15日、住宅ストック事業ブランド「Livness(リブネス)」のリノベーション戸建て工事がほぼ完了したのに伴う報道陣向け見学会を行った。東急田園都市線用賀駅から徒歩12分の第一種低層住居専用地域に位置する築17年の邸宅をリノベしたもので、土地面積は91坪、延べ床面積は52坪で、価格は25,800万円。レベルの高さと価格の安さに驚愕した。
物件は、東急田園都市線用賀駅から徒歩12分、二子玉川駅から徒歩16分、世田谷区瀬田4丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%、最低敷地面積80㎡)に位置する敷地面積303.57㎡(約91.82坪)、床面積:173.78㎡(52.56坪)。竣工は2006年10月(築17年)で、施工は桧家住宅。販売価格は25,800万円(税込)。
同社の家事シェアをコンセプトに、水回りを2階から1階へ集約し、家事効率を向上させるため回遊動線を確保し、外国人の購入も想定して純和風の6畳間を多目的に利用できるモダンな和風に、アクセントウォールに環境に配慮し再生材料アップサイクル材を多用しているほかは、既存の高級材のカバザクラ材の無垢フローリング、ウッドデッキ、現しの天井化粧梁、樹脂サッシなどはそのまま残しているのが特徴。
同社の本社からバスで移動したため、現地はよくわからかったが、周りの街並みなどから判断して土地代だけでも坪300万円(現地は幅員4mのいわゆる旗竿地なので少し安いはずだが)とはじいた。30坪で1億円だ。マンションなら坪単価650万円はすると考えた。つまり650×52坪=33,800万円だ。これに土地の広さ91坪を考慮したら、新築戸建ては4億円でも安いのではないかと予想した。
リノベなのでそこまでは無理としても、あまりにも価格が安いのに、「値段は記事に書きますよ。変更するつもりはありませんね」と念押しした。
驚いたのはまだある。同社東京本社経営戦略本部リブネス事業推進部部長・平井聡治氏は「土地価格は22,764万円、建物は2,760万円、消費税は276万円)。改修費は建物が1,600万円、外構が600万円の合計2,140万円」と明らかにした。外構にここまで経費をかける分譲戸建ては皆無だろう。
この現地見学会に先立ち、同社は業界動向勉強会(不動産ストック事業篇)を開催。平井氏が約1時間にわたって同社のリブネス事業のこれまでの業績や今後の展開などについて説明、質疑応答にも丁寧に応えた。この勉強会の模様は、機会を改めて紹介する。
リビング(床はすべて無垢のカバザクラ材)
アップサイクル材の壁
キッチン(床はカバザクラの無垢材)
階段室
既存の庭(手前はソメイヨシノ)
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エントランス(Before⇒After)
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ワークスペース(Before⇒After)
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和室(Before⇒After)
平井氏
ポラス「東武動物公園」「ジャパン・レジリエンス・アワード2024」最優秀賞
「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」
ポラスグループのポラスタウン開発は4月26日、同社が開発・分譲した「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」が、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会主催の「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2024」の最優秀賞を受賞したと発表した。NPO法人日本防災環境、ユニソンと取り組んだプロジェクトで、3法人での共同受賞。最優秀賞の受賞はポラスグループとして初。
プロジェクトは、東武スカイツリーライン・東武日光線東武動物公園駅から徒歩10分の全37棟(うち25棟が入居済み)の分譲地。災害に強い街をつくるため、「いつも」と「もしも」の境界をなくすフェーズフリーの考え方を取り入れた分譲地。身の回りにあるモノを、日常時だけではなく非日常時にも役立て、災害時には住民同士が助け合う「共助」、自ら主体的に考え行動する「自助」の醸成が自然にできる街と家づくりを目指し、「防災意識の高い街づくり」に挑戦した。
左2人目からポラスタウン開発・内田里絵氏、NPO法人日本防災環境・加藤愛梨氏、ユニソン・鷲津智也氏
ユニソン「防災トークセッション」に170名/AIの文字起こしは凄いが課題も(2023/7/15)
可視化難しい「防災」「コミュニティ」「環境」に挑戦ポラス「東武動物公園」(2023/6/16)