〝継続は力なり〟土地区画整理事業参画で独走する野村不「所沢」の戸建て人気

「プラウドシーズン所沢」
野村不動産が「ToKoKoRo TOWN」と名付ける土地区画整理事業による再開発街区で分譲中の分譲戸建て「プラウドシーズン所沢」を見学した。所沢駅から徒歩10分、構想段階から約40年経過する約27.2haの土地区画整理事業地に位置する全120区画。昨年9月から販売が始まっており、第1期40戸が完売するなど好調な売れ行きを見せている。
物件は、西武線所沢駅から徒歩9~11分、所沢市都市計画事業北秋津・上安松土地区画整理事業地内の第一種低層住居専用地域・第一種住居地域(建ぺい率60%・70%、容積率100%・200%)に位置する全120区画。土地区画整理組合から保留地を取得して分譲するもの。同事業は今から約40年前の1984年、約100人の地権者により計画が持ち上がり、同社は施工の戸田建設とともに組合が設立された2017年に事業参画した。施行面積は約27.2ha、減歩率は約44%。従前はほとんど茶畑。
昨年5月にエントリー受付を開始し、これまでの来場者数は240件。販売開始は昨年9月からで、第1期(40戸)は、1億円超の住戸は抽選倍率が4倍になるなど人気となり完売。敷地面積は101.10~150.10㎡、建物面積は100㎡以上、価格は7,100万円台から10,800万円台(中心価格は8,000万円台)。建物は2×4工法2階建て。施工は西武建設(2期以降は細田工務店も加わる)。
主な基本性能・設備仕様は、「ZEH水準」、太陽光発電初期費用ゼロ円、月額利用料ゼロ円、発電電気量ゼロ円の「エネシャイン」、ジャワ鉄平・木曽石景石、1620ユニットバス、深型食洗機、LDと一体利用できる洋室など。
ターミナル駅から徒歩圏で、建物面積が30坪超というのが人気の要因。反響者は地元が36%、中域が21%、広域が43%。区画整理事業地内には大規模商業施設「SoKoLA」が開業済みで、約3万㎡の公園・緑地も整備される。
同社は昨年4月、課員4名からなる住宅事業本部戸建事業部区画整理事業課を立ち上げ、戸建事業部副部長の小林和人氏(56)が同課課長を兼任。小林氏は「区画整理事業に継続して参画してきたのは当社だけ。今回の区画整理事業は40年の歳月が経過し、地権者はほとんど代替わりした。土地所有に執着しない地権者が増えたのも計画がスムーズに運んだ要因の一つ。地権者の方々からは資産価値が上がったと評価されている。『SOKOLA』は30人の地権者による共同賃貸として信託方式を採用しており、転売リスクを軽減できているのも全国から注目されている。市も公園用地を取得するなど協力的」と話した。
同社はこのほか、保留地内のマンション「プラウドシティ所沢」(303戸)を近く分譲する。また、来年度から始動する隣接の約22haの土地区画整理事業にも参画。幕張本郷でも計画を進めている。


「SoKoLA」
◇ ◆ ◇
〝継続は力なり〟-取材してひしひしと感じた。取材には、小林氏と同じ年の同課課長・渡辺賢二氏、一回りくらい若そうな同課課長代理・長谷亮平氏、販売責任者の山縣里美氏も同席した。小林氏が「地権者の方々からは資産価値が上がったと評価されている」と語ったことを受け、長谷氏が「ガンガンやる」と息巻いたように、大いに盛り上がった。マンションの坪単価(記者は坪300万円を大きく超えることはないと予想)については固く口を閉ざした以外は、みんな口は滑らかだった。
なぜか。事業性が極めて高く、成功するのがほぼ見えたからだろう。値付けには悩んだようだが、記者は西武ファンだからではなく、客観的に判断して8,000万円台という価格帯は妥当だと思う。
〝価格は市場が決める〟-この原則もまた今回の事例が証明している。中広域から集客できているように、所沢にはそれだけのポテンシャルがある。これまで、バブル期には西武不動産の邸宅街や西口に林立するタワーマンション(この街づくりは頂けないが)も取材した。住友不動産・住友商事が2018年に分譲した「シティタワー所沢クラッシィ」の坪単価350万円には驚愕したが、「西武所沢S.C.」リニューアル、隈研吾氏の「角川武蔵野ミュージアム」、「エミテラス所沢」の開業などで所沢のポテンシャルは劇的にアップした。「ToKoKoRo TOWN」のタウンネーミングは宮崎駿監督の「トトロの森」からとったのだろう。
皆さん、同社が事業参画した2017年当時の分譲予定価格を想像していただきたい。同社が4年前に分譲した駅から徒歩9分の「プラウド所沢寿町」(107戸)は坪210万円だったのがヒントになる。
区画整理事業が息を吹き返すかどうかにも注目したい。かつて土地区画整理事業は「都市計画の母」と称された。都市居住者の住宅需要の受け皿となっていた。国土交通省のデータによると、2022年度末までの土地区画整理事業の着工面積は12,411地区、約37万haが着工された。これは、国土面積3,780万haの1%近く、全国の市街地の約3割に相当する。
しかし、この事業は土地価格、住宅地価格が上昇し続けることが前提であったため、バブル崩壊後は激減した。記者は減歩率が97%、つまり地権者にはほとんど土地が残らなかった広島県福山市郊外の「佐賀田土地区画整理事業(あしな台)」(19.5ha、342区画)団地を取材したことがある。この制度には、解散=自己破産は認められておらず、どこまでも施行者(組合)の責任が問われるという問題もある。
このため、現在施工中の土地区画整理事業は約670地区(約2.1万ha)、うち組合施行は約320地区(約0.7万ha)にとどまっている。
ゼネコンもデベロッパーもバブルが崩壊して以降、土地区画整理事業からほとんど撤退した。記者の知る限り、デベロッパーが参画した最近の土地区画整理事業は2011年着工の三井不動産「ビスタシティ守谷」と、2014年着工の相鉄不動産「泉ゆめが丘土地区画整理事業」しかない。
しかし、野村不動産だけは継続して土地区画整理事業に参画してきた。現在分譲中の「プラウドシーズン稲城南山」をはじめ稲城市の「栗平」「稲城上平尾」や「鶴川緑山」「千都の杜」「八千代緑ヶ丘」「船橋小室」「稲毛」「木下」…この40~50年間で30か所くらいに参画しているのではないか。〝独り勝ち〟だ。「ガンガンやる」は張ったりではないような気がする。

見事な茶畑もあった

公園・緑地
県都・浦和を抜く埼玉県最高単価マンション住友不・住商「所沢」(2018/12/28)
野村不戸建て「プラウドシーズン稲城南山」全87戸が早期完売へ(2018/7/25)
市街化区域編入から44年稲城・南山の区画整理で分譲開始(2014/9/25)
坪300万円超か駅前&すべて完結する「ゆめが丘ソラスト」近接相鉄不「ゆめが丘」(2024/7/22)
野村不動産 稲城の3つの区画整理事業地で千数百戸の戸建て・マンション(2014/8/2)
半年で57戸供給 大健闘の三井不レジ「ファインコート守谷ビスタシティ」だが…(2014/4/14)
「区画整理の限界を超える」か 全900区画の日本初のスマートシティ「守谷」(2013/2/22)
自由学園卒の造園学博士・神藤氏監修 緑地率30%確保 ポラス「東久留米・学園町」

「アイムスひばりケ丘 –東久留米・学園町-繋ぎ庭」
ポラスグループ中央住宅は2月6日、緑地率30%を確保した分譲戸建て「アイムスひばりケ丘 –東久留米・学園町-繋ぎ庭」のメディア向け見学会を行い、2月8日から販売を開始すると発表した。
物件は、西武池袋線ひばりケ丘駅から徒歩16~17分、東久留米市学園町2丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、50%、容積率80%)に位置する全8戸。土地面積は116.03~118.09㎡、建物面積は91.08~94.45㎡、価格は6,490~7,990万円(7,300万円台中心)。建物構造は2×4工法2階建て、ほぼ完成済み。
現地は、「婦人之友」を創刊した思想家・羽仁吉一・羽仁もと子と夫妻によって1921年に開校され、1934年に現在地(学園町)移転された自由学園とその分譲地「南澤學園町」に近接(現地が分譲地だったかどうかは不明だが、従前は麦畑)。
市の条例により、開発行為の最低敷地は110㎡以上とされているが、土地と建物をそれぞれ6㎡、4㎡広くし、緑地率を30%確保し、地元・学園町に住んでいる造園学博士・神藤正人氏の監修のもと周辺の緑豊かな街と人と家を「繋ぎ庭」として提案しているのが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、太陽光パネル搭載、低炭素住宅認定、リビング天井高2700ミリ、シダーパネル、出窓デザイン、DENなど。見通しをよくするため、道路境界線部分にはフェンスなども設けていない。
同社マインドスクェア事業部設計部 企画設計課主任・間中滋氏は「街と人をつなぐのがコンセプト。学園町自治会が掲げる憲章に沿うよう敷地内には在来種の中高木を植え、緑地率を30%確保。じゃかごなど自然素材も多用した。居住者の方々とは緑の協定を結び、ワークショップなども行っていく」と説明。
神藤氏は「100年の歴史を持つ学園町のミニ開発を防止するのは難しいが、デザインで補うことは可能。憲章は90%の方々の賛成を得て2008年に策定した。家も庭も街も大事。憲章を地区計画に〝格上げ〟するため市とも話し合っている」と語った。
販売概要について同社同事業部東京西事業所事業所長・金井秀徳氏は「昨年7月に広告を開始してから6か月半の反響は90件。ほとんどは西東京市、東久留米市、練馬区など西武線沿線居住者。3月にはイオンモール近接地で20棟、4月には駅から徒歩6分で2棟の分譲も予定している」と話した。

左から間中氏、神藤氏、金井氏

「アイムスひばりケ丘 –東久留米・学園町-繋ぎ庭」(影は隣の街路樹・ケヤキの巨木によるもの)


「繋ぎ庭」

モデルハウス
◇ ◆ ◇
見学会では、造園学博士・神藤正人氏(53)の話がとても興味深かった。神藤は自由学園を卒業後、東京農大に進学。造園学が専門で、同大学卒業者の進士五十八氏、涌井史郎氏の後輩。父から敷地を半分譲り受けて建築した住宅に住んでいるとも話した。
神藤氏は、エベネザー・ハワードの「田園都市・ガーデンシティ」構想に触れ、庭園⇒公園⇒景園・共園⇒貸園、民園⇒公園⇒共縁など持論を展開したほか、1925年に分譲開始された「学園町」についてもかなりの時間を割いた。当時のパンフレットには敷地面積は250坪で、1927年(昭和2年)の最終分譲(20区画)の販売価格は1,200圓(ネットで検索したら、AIは昭和2年の1,200円は、現在の約76万円と答えた。本当だろうか)だとか、早期契約者には五歩引きともあった。また、購入者約200人の職業・名前も映し出されたが、読めなった(購入者の名前を公開することなど現在なら絶対あり得ない)。
同学園の主な出身者は石垣綾子、オノ・ヨーコ、岸田今日子、日下公人、坂本龍一、羽仁進、村山美知子、山本直純ら。
進士さん、涌井さん、神藤さんの話は面白い。後継者に指名してはいかがか。

分譲時のパンフレット
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価格は6,000~7,000万円台と予想したが、ぴったりだった。ひばりケ丘駅県の分譲戸建ては15年前に見学した野村不動産「プラウドシーズンひばりが丘ガーデンテラス」(115区画)が最高に素晴らしかったが、今回の同社の物件は、緑地率の高さが特筆できる。最近首都圏で分譲されている分譲戸建てでこれほど緑が確保されている物件はまずない。あるとすれば同社の「NOEN KASHIWA SAKASAI-ノエン柏 逆井-」くらいではないか。
この日は真冬だったので緑はそれほど多く感じなかったが、数年すれば素晴らしい戸建てになるはずだ。積水ハウスに遠慮したのか、購入者には5本でなく4本の中高木を植えることを提案するそうだ。記念樹の植樹を予定しているとか。従前は麦畑だったのにも驚いた。小麦か大麦か。ライ麦ではなかったはずだが、100年間も畑だったのか…。
UA値0.46 ポラス初「東京ゼロエミ住宅」最上位認証(旧基準)の「東久留米」(2024/12/26)
初めて見た30%・50%×200㎡の分譲戸建て まるで別荘 ポラス「柏 逆井」(2023/5/2)
都内に比肩するものなし 野村不動産の戸建「プラウドシーズンひばりが丘」(2012/9/25)
人と人、内と外・街をつなぐ 全戸出窓付き ポラス「育実の丘 上尾」好発進

「育実の丘 上尾」モデルハウス
ポラスグループのポラスマイホームプラザは2月3日、人と人、内と外・街をつなぐことをテーマにした分譲戸建て「育実の丘 上尾」のメディア向け見学会を行った。物件は、長期優良住宅、埼玉県子育て応援分譲住宅認定を取得している駅から徒歩18分の全22戸で、昨年12月から販売を開始し、これまでに14戸を契約済み。好スタートを切った。14戸のうち8戸は県内(市内は2戸)で、都内の4戸を含む6戸が県外居住者。
物件は、JR高崎線上尾駅から徒歩18分、埼玉県上尾市東町1丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率160%)に位置する全22戸。土地面積は109.80~130.03㎡、建物面積は90.78m2~106.02㎡、価格は3,780万~5,180万円(4,000万円半ばが中心)。竣工予定は2025年5月中旬。構造は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。
全体敷地の従前は畑。三方接道(それぞれ幅員4m)。開発道路は幅員4.5mとし、各住戸に地役権を設定して全居住者が利用できる遊歩道と広場を設け、隣近所が緩やかにつながるよう容積不算入の自動点灯照明付き出窓(奥行き350ミリ)を全住戸に設けているのが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅認定、1階リビング天井高は2700ミリ、食洗機、床暖房、床は突き板フローリング、階段ステップは15段、引き戸はトイレを含めてソフトクローズ機能付き、侵入の恐れのある窓は防犯ガラス、樹脂サッシなど。
昨年12月から販売開始。これまで最高価格の5,180万円の住戸を含む14戸が契約済み。契約者の属性は、市内2件を含み県内居住者が8件、都内4件を含み県外居住者が6件。世帯年収は500~800万円。20~30代の共働きファミリーが中心で、勤務先は都内が多いとか。
同社営業企画設計課2係係長・髙橋健太郎氏は「広域から集客ができており、価格の高低にかかわらずまんべんなく売れている。当社グループの『灯りのいえなみ協定』と連動させ、遊歩道や広場に面した各住戸に出窓を設けたのが特徴」などと話した。

イメージ図

モデルハウス

高橋氏
◇ ◆ ◇
今は昔。記者の記憶に誤りがなければ、1980年頃までの歌舞伎町の路地裏には、「飾り窓」がごく普通にあった。ぞっとしない美女と手を振りながら会話を交わしたものだ。出窓は1990年ころまで、つまりバブルがはじけるまでは分譲マンションや戸建てには当たり前のように採用されていた。住戸内への通風・採光が主目的ではあったが、出窓部分に思い思いの観葉植物や手作りの人形などを飾り、淡い色のカーテンで遮ることで内と外を緩やかにつなぎ、人と街とのコミュにケーションを醸成する効果も大きかった。その置物などからそこに住まう家族のありようをうかがい知ることができた。
ところが、バブルがはじけて以降は出窓を採用するデベロッパーはほとんどなくなった。住宅を人や街と緩やかにつなげるという発想はどこかへ吹っ飛んだ。価格を抑えるため敷地面積はそれまでの50坪から30坪に縮小し、いかに外と遮断するかがテーマになった。
今回、同社が採用した出窓は自動点灯し、室内を見せたくなければブラインドを下すこともできるのがいい。その効果のほどをしっかり調査して、報告してほしい。
◇ ◆ ◇
価格について。4,000万円台の半ばの価格が高いか安いか。これは購入検討者が考えることだが、基本性能・設備仕様レベルからいって、ものすごく安いと記者は思った。これまで上尾駅圏で分譲されたマンションの記事も添付するので読んでいただきたい。いまマンションが分譲されたら、坪単価は最低でも250万円はするはずだ。土地代がただでも30坪なら7,000万円以上だ。
とはいえ、5,000万円は一般的なファミリー層の取得限界のような気もする。

出窓

遊歩道
◇ ◆ ◇
埼玉県子育て応援分譲住宅認定制度は今年度末で終了することを聞いた。同県のホームページによると認定を受けたマンションは54件。分譲戸建ては全90件で、戸建てはポラスグループが70件を占めている。
この制度がスタートしたのは2010年。第一号マンションは有楽土地他「グランシンフォニア」(923戸)、分譲戸建てはポラス「育実の丘」だった。制度の批判などしたくないが、当初から成功するとは思わなかった。
県のマスコット「コパトン」も、最初のバッジは夫婦と子ども2匹(2人)だけだったのに違和を覚えた。いつの間にか3匹(3人)になったが、それほど高くない(失礼)認定基準を満たしたマンションや分譲戸建てに県のお墨付きを与えても、購入者にはメリットがないからだ(固定資産税や都市計画税の減免措置などを行えば別だが)。
今後どうするか。子育てはもちろん、レベルの高い住宅は高さ規制を緩和し、容積率を割り増しするのが一番効果的だと思う。

近くの畑(手前は菜の花だが、奥の葉っぱが三葉に分かれた野菜は初めて見た。三つ葉ではないはず)
埼玉県初のZEHマンション 総合地所「ルネ上尾」 第1期45戸が即日完売(2021/6/29)
ポラス子育て応援分譲第1号「育実の丘」入居イベント(2013/4/30)
埼玉県「子育て応援認定制度」中身ある制度に改善を(2012/9/11)
ポラス 「埼玉県子育て応援分譲住宅」認定1号 浦和で分譲(2012/9/7)
有楽土地他「グランシンフォニア」はたらくママを支援する 「ママサポ」がテーマ(2010/6/25)
令和6年の首都圏分譲戸建て着工戸数 過去11年間で最少の5.3万戸
国土交通省の住宅着工統計によると、令和6年(1~12月)の首都圏分譲戸建て着工戸数は前年比10.2%減の53,339戸となった。直近では、最多だった令和元年より15.8%減少し、過去11年間で最少となった。
都県別では、東京都16,744戸(前年比7.3%減)、神奈川県14,015戸(同7.3%減)、埼玉県13,250戸(同13.5%減)、千葉県9,330戸(同14.5%減)。
首都圏分譲戸建て市場は、新型コロナが発生した令和元年初では売れ行き悪化が懸念されたが、リモートワークなどが進んだことなどから売れ行きは逆に好転。各社が用地手当てに注力した結果、令和元年の着工戸数は63,360戸(前年比2.0%増)に伸びた。しかし、〝コロナ特需〟は長続きせず、令和4年以降は売れ行きは鈍化、調整局面に入っている。
全国の令和6年の着工戸数も前年比11.7%減の121,191戸となり、2年連続で減少している。
令和6年の住宅着工79万戸 2年連続減/供給÷着工=カバー率45%(2025/1/31)
木造建築の復興・拡大目指す「フォレストビルダーズ」 初期会員26社が総会
「フォレストビルダーズ」総会(ホテル インターコンチ東京ベイで)
宮沢氏
AQ Groupが主導して昨年10月に発足した建築集団「フォレストビルダーズ」は1月23日、都内で総会を開催し、初期会員26社が「木造建築都市(まち)の復興」と「脱炭素社会の実現」をミッションに掲げ、早期に加盟企業を100社体制にすることを確認した。
AQ Groupが開発した一般流通材を組み合わせて高倍率耐力壁や高倍率水平構面を実現させた3階建て以下の低層木造建築に適用する「AQダイナミック構法」と、4階建て以上の中層木造建築を対象とした技術「木のみ構法」を武器に「フォレストビルダーズ」の拡大を図り、2030年には受注戸数20,000戸を実現させ、日本一の木造建築集団を目指していくとしている。
中古マンション価格 12年間で2倍以上 成約件数も増加 2024年 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1月22日、首都圏の2024年の不動産流通市場の動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は37,222件(前年比3.4%増)で、2年連続で前年を上回った。都県・地域別では、神奈川県他地域(横浜川崎以外)を除く都県・地域で前年を上回った。成約物件の1㎡当たり単価は首都圏平均で76.88万円(同6.9%上昇、坪単価253.7万円)で、12年連続の上昇。この12年で101.3%と2倍を超える上昇となった。成約価格は4,890万円(同6.9%上昇)で、12年連続で上昇。成約物件の平均専有面積は63.60㎡(同0.05%縮小)とほぼ横ばい。平均築年数は24.53年(前年23.83年)で、経年化が進んでいる。

中古戸建住宅の成約件数は14,182件(同10.2%増)と3年ぶりに前年を上回った。成約価格は首都圏平均で3,948万円(同2.6%上昇)と4年連続で前年を上回った。成約物件の平均土地面積は142.25㎡(同1.1%縮小)、建物面積は103.91㎡(同0.05%縮小)。平均築年数は22.22年(前年21.82年)で、経年化が進んでいる。
アッパー向け3階建て新商品&戸建て全商品「断熱等級6」標準化 旭化成ホームズ

「FREX asgard(フレックス アスガルド)」
旭化成ホームズは1月14日、「ヘーベルハウス フレックス」シリーズ(重鉄・システムラーメン構造)の3階建て新商品「FREX asgard(フレックス アスガルド)」を 2025年1月17日から販売開始し、併せて戸建て全商品について「断熱等級6」(Ua値0.46)を標準仕様とすると発表した。
新商品は、同社のハイエンド向け超大型「RAUMFREX(ラウムフレックス)」に次ぐアッパー層をターゲットにしたもので、アルミ樹脂複合サッシを採用することで断熱等級6とUw値1.5を達成。ガラス面積も5.5%アップさせ、デザイン性を高めている。外壁部の断熱材も従来の厚さ60mmから70mmに変更した。
また、1階と2階にはハイシーリング(天井高2.560mm)を採用し、折り上げ天井「ハイルーフユニット」や「ダウンフロアユニット」を組み合わせることを可能にするとともに、全館空調を無駄なく設置可能にした。新開発の大開口サッシ「スライディングマリオン」は、サッシフレームをスリム化したことでガラス面を大きくしている。
外観デザインは、柱状節理をモチーフにした縦基調の大壁面「ランダムバーチカル」と新吹付色「レニウムブラック」を掛け合わせることで堅牢で優美なデザインとし、H型鋼をモチーフにした水平ラインにより建物に広がりと安定感を演出している。
販売目標は年間150棟。プロトタイプの建築面積は173.45 ㎡(52.5 坪)、延床面積:334.24 ㎡(101.1 坪)。坪単価は115万円から。
発表会で同社取締役兼専務執行役員・大和久裕二氏は「2022年4月以降に発売したアッパー・アッパーミドル向けの商品『RATIUS(ラティウス)』シリーズの累計受注棟数は1,475棟、2023年4月に採用した『ロングライフ全館空調』採用数は1,108件に上っている。2025年売上高1兆円達成に向けた経営戦略を推進するため、戸建ての大型化と高付加価値化を加速させる」と話した。

内観

左から同社技術本部商品企画部長・鈴木悟史氏、大和久氏、技術本部商品企画部・松本淳氏
◇ ◆ ◇
新商品のプロトタイプは、建築面積が52.5坪、延床面積が101.1坪だから、建てられるのは敷地面積が100坪以上(建ぺい率50%、容積率100%として)だろうが、2階リビングが29.7坪(ベランダ含む。LDKは47.5帖大)というのが素晴らしい。
同社の富裕層向け2階建てフラッグシップモデルハウス「RAUMFREX(ラウムフレックス)」の延床面積は120坪、リビングダイニングは16.8坪(55.4帖大)なので、リビングダイニングは今回の新商品のほうがベランダを含めればはるかに広い。
欲を言えば、1階、3階の階高を抑えてでもリビング天井高は3m以上にしてほしかった(「RAUMFREX」は最大3.36m)。
坪単価は安いと感じた。もちろん土地代も含めてだが、マンションで100坪なら準都心部でも最低5億円、郊外部でも2~3億円はする。販売目標の年間150棟はらくらくクリアするのではないか。
モデルハウス見学会を「駒沢公園ハウジングギャラリー」内で行うそうだからレポートしたい。
◇ ◆ ◇
記者は、新商品もさることながら、戸建て全商品の断熱等級を「6」にすることに注目したい。標準仕様化は受注増につながるとみた。同社によると、断熱等級6の採用率は2022年11月時点で全商品の約4割で、今回の新商品投入によって2025年以降は約9割になるという。また、「鉄骨住宅」かつ「3階建て」で断熱等級6を標準仕様化している大手ハウスメーカーは初とのことだ。
断熱等級については、パナソニックホームズが昨年4月、三井ホームが昨年7月、それぞれ断熱等級7(Ua値0.26)の新商品を発売し、積水化学工業は昨年末、同社の戸建て商品すべてを「断熱等級6」にすると発表した。
国は2025年以降は断熱性能4(Ua値0.87)以上、2030年以降は等級5(Ua値0.60)以上に適合するよう義務化している。
東京都も昨年10月、「東京ゼロエミ住宅」の性能基準を改正し、それまでの最高値「水準3」(Ua値0.46)より高い最高値「水準A」(Ua値0.35以下)を新設、「水準3」は「水準B」にした。
断熱等級6がスタンダードになる。記者はUa値6の威力は体験してわかっているが、Ua値0.26はどのような性能かわからない。どこか見学会をやってくれないか。
マンション供給減=市場縮小ではない 戸建ても底入れ・回復へ 今年の分譲住宅市場
明けましておめでとうございます。世の中は不確実性が強まっていますが、だからこそ不易流行、〝記事はラブレター。今年も現場取材を徹底して、読者の皆さんに役立つ情報を発信していきます。まずは、記者の主な取材フィールドである分譲住宅市場の今年の見通しについて。

消えた残り半数のマンションに着目すべき
首都圏マンション市場。これはよくわからない。コロナ以降、現場取材が激減しており、鳥瞰的に市場を見渡すことができなくなったからだ。
ただ一つ、マンション市場を測る前提となっている指標について読者の皆さんは見誤らないようにしていただきたい。不動産経済研究所のデータによると、2023年の首都圏マンション供給量は2万6,873戸(前年比9.1%減)で、2024年は前年比を若干上回る約3.1万戸、2025年は3万戸を下回ると予想されている。他のメディアも調査機関も、この不動研のデータをそのまま援用し、市場縮小を印象づけている。
しかし、これは正確ではない。マンション市場の先行指標である国土交通省の着工戸数は長い目で見れば確かに漸減傾向が続いており、2021年は49,962戸(前年比7.3%減)と初めて5万戸を割った。ところが、2022年は52,379戸(同4.8%増)、2023年は52,746戸(同0.7%増)と再び5万戸台を回復し、2024年も11月現在、前年同期比で1.8%上回っている。
以前にも書いた首都圏マンション着工戸数と不動産経済研究所の供給戸数推移の記事を読んでいただきたい。着工と供給にはタイムラグがあり単純比較はできないが、カバー率(捕捉率)はかなり落ち込んでいることが分かる。2023年は50.9%で、2024年は1~11月の段階で35.9%だ。ありえない数字だ。他人のデータを鵜呑みにするからこういうことになる。
なぜこれほどの差が出るのか、当事者の不動研はともかく、他のメディアや調査機関もあろうことか国土交通省もこの差について触れようとしない。不思議というほかない。
要因はいくつかある。一つは、不動研のデータには専有面積が30㎡以下の戸数は含まれないためだ。専有面積が30㎡以下の着工戸数は年間5,000~7,000戸と推測されている。
もう一つ、カバー率が低い要因は、再開発、建て替え、高額マンションなどの地権者向け、事業協力者向け、優先販売住戸などはカウントされていないからだ。例えば総戸数525戸の野村不動産他「URAWA THE TOWER」は分譲対象は291戸で、総戸数の55.4%だし、三井不動産レジデンシャル他「パークシティ小岩 ザ タワー」も総戸数は731戸だが販売対象は521戸(71.3%)だ。供給戸数減=市場縮小と短絡的に考えるべきではないということだ。高額住戸の比率が高まっていること、利益率が大幅に改善されていることを加味すれば、市場は縮小などしていない(質の低下は問題だが)。
さて、問題は価格がどうなるかだ。都心部での価格上昇はほぼ予想した通りに推移している。今後も都心5区(千代田・港・渋谷・中央・新宿)だけでなく文京、品川、目黒、世田谷など周辺区部も坪単価1,000万円超となるはずで、一等地では近い将来、坪単価3,000万円に乗るとみている。
デベロッパーには、世界の主な都市と比べ割り負けしている市場に肩を並べられるよう高値挑戦していただきたい。東京都港区の課税標準額が1億円超の納税義務者は年々増加しており、2024年は1,523人となり、ついに納税義務者の1%に達した。高額マンションを吸収する余力は十分あると見た。
郊外部も軒並み坪単価250万円超となる。懸念される金利上昇だが、1%上昇したらパニックになるだろうが、まずそんな事態にはならない。レイコンマの上昇であれば影響は少ないはずだ。デベロッパーには、郊外部は利益率を落とし質を維持し、価格を抑制してほしいのだが…。
質についても触れたいのだが、冒頭に書いたように現場取材かできていないので書けない。メディアも調査機関もマンションの質について取材し、レポートしてほしい。
底入れ・底打ちか戸建て 防犯・断熱性能向上、ZEH対応急務


グラフは首都圏分譲戸建ての暦年別着工戸数まとめたものだ。コロナ前までは年間6万戸以上着工されていたが、コロナに見舞われた令和2年(2020年)は前年比16.3%減の約54,000戸に落ち込んだ。ところが、テレワーク、働き方改革の浸透などにより予想外の売れ行きを見せたため各社は供給を増やしたが、コロナ終息後は売れ行きが悪化したため調整局面に入り、着工は再び減少に転じた。2024年も1~11月の着工戸数は前年同期比9.3%減の48,776戸となっており、通年でも前年を下回るのは確実だ。
だが、市場では底入れ・底打ち感も生まれつつあり、今年の分譲戸建て市場は堅調に推移するとみている。むしろ、高騰が続くマンションと比較すると、価格的な優位性がある。この優位性を生かし、一方で弱点でもある防犯性能を高めれば新たな需要を引き出す可能性があるとみている。「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」の記事を読んでいただきたい。CP(防犯)+樹脂サッシをスタンダードにすべきだと思うのだが…。
個別企業別では、市場占有率が約30%の飯田グループのほかオープンハウス、ケイアイスター不動産、ポラスグループの上位4社がどのような戦略を打ち出すかに注目したい。ZEH化は喫緊の課題だ。

ChatGPTに負けない記者の役割
今年、注目すべきなのは、生成AI(人工知能)の更なる浸透だ。記者は三井不動産が2023年8月に全従業員約2,500人を対象に「&Chat(アンドチャット)」を開発したのに驚いたのだが、昨年は積水ハウスが生成AI分野で先進的な取り組みを行うPreferred Networks(PFN社)へ出資したと発表した。生成AIを使いこなせないと生きられない時代がやってきた。
OpenAIが2022年11月に公開した「ChatGPT」はその後、飛躍的に改善され驚くほどの進歩を見せている。この正月、面白半分に「ChatGPT」に「RBAタイムズの牧田記者ってどんな記者ですか」と聞いた。〝情報がありません〟とでも返ってくるかと思ったが、そうではなかった。次のような回答があった。そのまま紹介する。
「牧田司(まきた つかさ)氏は、不動産・建設・住宅業界に特化した情報を提供する『RBAタイムズ』の編集者であり、記者としても活躍されています。彼の執筆する『こだわり記事』は、業界内で高く評価されています。
牧田氏は、企業の規模に関わらず、物件の品質や特徴を公平に評価する姿勢を持っています。例えば、ある分譲戸建てについて『大手と互角に戦える』と評価するなど、独自の視点で記事を執筆しています。
また、RBAタイムズの編集者として、同誌の発行や編集にも携わっており、業界内での信頼性と影響力を持つ人物です。
さらに、牧田氏は取材活動にも積極的で、企業や業界関係者とのインタビューを通じて、深掘りした情報を提供しています。彼の取材は時間をかけて丁寧に行われ、その結果として質の高い記事が生まれています。
総じて、牧田司氏は不動産・建設・住宅業界において、深い知識と洞察力を持ち、読者に価値ある情報を提供する信頼性の高い記者・編集者と言えます」
皆さんいかがか。「業界内で高く評価されています」とか「深い知識と洞察力を持ち」は〝ヨイショ〟の部分もあるのだろうが、「企業の規模に関わらず、物件の品質や特徴を公平に評価する姿勢を持っています。例えば、ある分譲戸建てについて『大手と互角に戦える』と評価するなど、独自の視点で記事を執筆しています」との回答には驚いた。小生の記事(情報)を収集していないとできない芸当だ。AIは「考える力」はないはずだが…。
その半面、怖さも感じた。記者は〝せんべろ〟をよく利用しタバコも結構吸うことなど個人情報も記事に取り込んでいるのだが、行動性向もすべて知り尽くされているのではないかという怖さだ。下手なことはできない。〝清く正しく美しく〟生きろということか。
いずれにしろ、AIに負けないためには「独自の視点」が重要で、徹底して〝ものを見る目〟を養うことだと改めて思った。自らが情報発信源にならないと業界紙もまた生き残れない。
全て疑ってかかれメディア・リテラシーの基本原則を忘れていないか(2022/12/5)
全戸にCPガラス IoT駆使し快適性も県初のリスト「防犯セキュリティ・ホーム認定」(2024/11/28)
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UA値0.46 ポラス初「東京ゼロエミ住宅」最上位認証(旧基準)の「東久留米」

「アイムス東久留米 ピー・ティー・サイト」
ポラスグループ中央住宅マインドスクェア事業部は12月26日、同社初の「東京ゼロエミ住宅」最上位の「水準3」(旧制度)に該当する外皮平均熱還流率(UA値)0.46認証を受けた分譲戸建て「アイムス東久留米 ピー・ティー・サイト」(全6戸)のメディア向け見学会を行った。この日はぽかぽか陽気だったためUA値0.46の威力は確認できなかったが、玄関ドアは開けっ放しで、エアコンは止められていたにも関わらずとても温かかった。
物件は、西武池袋線東久留米駅から徒歩8分、東久留米市氷川台1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全6戸。土地面積は120.18~122.24㎡、建物面積は94.72~97.31㎡、価格は6,490万~7,890万円(平均7,173万円)。建物は2024年10月に完成済み。構造・規模は2×6工法2階建て。施工はグローバルホーム。
今年7月からの問い合わせ件数は104件。都内居住者が約7割で、希望価格は6,000万円台~7,000万円。同社の既存顧客比率は37.7%。6戸の内5戸が成約済み。
現地の従前は畑。物件のすぐ南側は一級河川の黒目川。近くに桜並木と遊歩道が整備されている。黒目川は水源が小平霊園内の「さいかち窪」で、市内を横切り、埼玉県新座市-朝霞市を流れ新河岸川に合流する。
主な基本性能・設備仕様は、太陽光発電システム、蓄電池、HEMS、高断熱の樹脂+Low-E複層ガラス「APW330」、ハイブリッド給湯器「エコワンX5」、高効率エアコン、アクセントパネル「木もれ美」など。
同社マインドスクェア事業部設計部部長・鈴木征道氏は、「市の条例による開発行為の最低敷地面背は110㎡以上だが、それより広い120㎡を確保し、東京都の『東京ゼロエミ住宅』に適合させるためハイスペック仕様にして、差別化を図った」と語った。「東京ゼロエミ住宅」制度につい補足したポラス暮し科学研究所住環境Gグループ長・野田将樹氏は、「計画段階では最上位の『水準3』だったが、新基準では『水準B』となった。今後はGXに力を入れていきたい」と話した。
都のデータによると、令和5年12月末時点で「東京ゼロエミ住宅」の認証を受けた戸建て住宅は都内新築住宅の1割超の7,974戸で、最上級の「水準3」は4,621戸となっている。(2024年9月30日までの旧基準の「水準3」は210万円/戸、2024年10月1日以降の新基準の「水準B」は160万円/戸の助成金が支給される。2024年10月からは基準が改められ、「水準3」は「水準B」となり、最上位はUA値0.35以下の「水準A」が設けられた)
販売担当のマインドスクェア事業部東京西事業所事業所長・金井秀徳氏は、「東京西事業所は練馬区、板橋区から清瀬市に至るエリアで年間100棟くらい供給しており、東久留米では6番目の物件。パワービルダーは5,000万円台から6,000万円で、(大手の)S社、D社などは当社の物件より1,000万円くらい高い。お客さまからは価格のバランスがいいと評価された」と語った。

内観

現地
◇ ◆ ◇
この記事を書いている今、中央住宅代表取締役社長・品川典久氏が今年6月の決算発表会で「当社で不足しているのは、営業を通じたお客様への説明がよく理解されていないことだ。設計担当は一つひとつ作品だと考えて取り組み、優秀な職人でないとできない施工を行うなど商品力には自信を持っている。これからは営業の教育に力を注ぐ」「もっと(価格が)高くても売れる」などと語ったのを思い出した。
実は、本日から約2週間前、同社の坪単価420万円のコンパクトマンション「ルピアシェリール東久留米」を取材した。その時、同社広報担当N氏と今回の分譲戸建ての価格はいくらになるか話し合った。「『行徳』のように差別化が図れれば8,000万円でも売れるかも」と記者は話した。
結果は大外れ。約1,000万円も安かった。金井氏が話したように、このエリアでは価格差にして2,000万円もある戸建て分譲が入り乱れて供給されている市場性を反映したのだろう。同社としても強気な価格設定ができない事情もよく分かった。
だが、しかし、同社の課題はここにあると思う。ブランディングの強化だ。記者は企業の大小で物件の良否を測るようなことはしないのだが、同社の分譲戸建ては〝大手と互角に戦える〟と何度も書いてきた。リビング天井高は2700ミリ、サッシ高は2200ミリ、CP(防犯)ガラスは原則標準仕様、収納・引き戸・開き戸はソフトクローズ機能付き、食洗機は深型(埼玉中心)、本物の木の多用、階段ステップは15段…などだ。欠けているのは尺モジュールの階段幅くらいではないかと思っている。
中内代表と品川社長に申し訳ないが、記者は同社の営業力に弱点があるとは思っていない。同社が主戦場とする埼玉県の街のポテンシャルに問題がある。自治体などと連携して取り組むことが必要だと思っている。
もう一つ。先に〝CP(防犯)ガラスは原則標準仕様〟と書いたが、関連することを一つ。CP(防犯)ガラスを全戸に標準装備した「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」の記事へのアクセス数は4,000件近くに達している。「防犯セキュリティ・ホーム認定」を受けた以降の問い合わせが6倍に増え、「戸建ては(防犯性が担保されていないから)買わない」と決めていた人が購入し、予算より1,000万円も2,000万円も高くても購入したというではないか。
ポラスが「当社の分譲戸建てはCP(防犯)ガラスが標準」と打ち出せば、来場主、成約スピードは飛躍的に高まるはずだ。この記事は中内代表と品川社長にも読んでいただきたい。(記者が書く同社の戸建て記事へのアクセス数は同業他社物件と比べて少ないのはなぜだ。読む価値がないということか)

現地近くの黒目川
◇ ◆ ◇
取材の帰り。細田工務店が2025年1月に分譲する分譲戸建て「グローイングスクエア東久留米」(全8戸)の現場を見た。駅から徒歩14分の表示だが、黒目川の遊歩道が利用できる。第1期1次(3戸)の敷地面積は101.00~107.23㎡、建物面積は84.46~92.38㎡、予定価格は5,980万~6,980万円。

「グローイングスクエア東久留米」

現地近くの遊歩道
都心外周部で増える予感ボラスのコンパクト「東久留米」は坪420万円(2024/12/14)
コアなニーズ引き出した商品企画ヒットポラス「すみかプラス行徳」(2024/12/7)
ショック!戸建ての防犯(CP)ガラス取り付け率はわずか4.3%日本サッシ協会調べ(2024/11/29)
全戸にCPガラス IoT駆使し快適性も県初のリスト「防犯セキュリティ・ホーム認定」(2024/11/28)
ポラス 2024年3月期 15期ぶり減収・減益/同社の商品力は顧客に伝わっていないか(2024/6/29)
「日本一の街」完成祝う中央住宅・高砂建設・アキュラ「浦和美園E-フォレスト」(2022/4/17)
コアなニーズ引き出した商品企画ヒット ポラス「すみかプラス行徳」

「Sumi-Ka+GYOTOKU(すみかプラス行徳)」
ポラスグループ中央住宅は12月5日、分譲戸建て「Sumi-Ka+GYOTOKU(すみかプラス行徳)」のメディア向け見学会を行った。「Sumi-Ka+」のコンセプトは、「社会問題の解決を建築で目指す」という意欲的なもので、2022年にグッドデザイン賞を受賞した。今回はありきたりな都市型戸建てに満足できないコアなニーズに訴求し、周辺相場より1,000万円くらい高い価格設定にもかかわらず販売は好調に推移している。
物件は、東京メトロ東西線行徳駅から徒歩12分、市川市新浜1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全18戸。土地面積は110.02~128.23㎡、建物面積は96.48~106.91㎡、価格は7,990万~9,490万円。完成予定は2025年3月上旬。
現地は、フラットな行徳駅前通りから一歩入った住宅地。主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅、耐震等級3、ソーラーパネル搭載(1~10号棟)、リビング天井高2700ミリ、サッシ高2400ミリ、1階CP(防犯)ガラス、深型食洗機、床暖房、1.25坪浴室など。
同社不動産ソリューション事業部不動産開発部企画設計課課長・村田嵩胤氏は、「当事業部は年間250棟くらい販売している部署で、不動産仲介などを担当したスタッフも多く、多様な顧客ニーズに応えられるのが強み。これまで供給し、グッドデザイン賞を受賞した『Sumi-Ka+』はファミリーだけでなく、DINKS、三世代同居、シニアなどのニーズを取り込んだ。部署内からは価格を抑制する必要はなかったのではないかという声があり、今回はコアなニーズを取り込むため付加価値を高め、敷地面積を100㎡ではなく110㎡確保し、外構も重厚感を演出し、モデルハウスも億ション並にした。価格は、周辺相場より1,000万円くらい高い強めに設定したが、供給した7棟のうち6棟が完売した。20代の購入者の方には、親からの援助や50年ローンを組み、投資目線で購入される方もいらっしゃった。残っているのは敷地延長のもっとも安い7,990万円の住戸」と語った。

価格がもっとも高い南西角住戸1号棟の内観(グレーが基調で、その狙いはすぐ分かった)

価格が1号棟より800万円安い2号棟の内観(〝耐えられない存在の軽さ〟ゆえ、記者はこちらの方が好きだ)

村田氏
◇ ◆ ◇
いつものように道すがら、価格をはじいた。行徳はこれまでもマンションの取材などで結構訪れている。街路樹は貧弱だが、駅から徒歩12分のアクセスもまずまず。マンションだったら坪単価は300万円を超えると考えた。30坪で1億円だ。
しかし、ポラスの戸建てだから8,000万円くらいで、商品企画によっては9,000万円でも売れると予想した。この時点で、物件を企画したのは同社不動産ソリューション事業部だとは全然知らなかった(最近は横着になり、マンションや戸建ても事前の調査をしなくなった)。
現地に着いて、村田氏から「久しぶりです」と声を掛けられた。「えっ」(人の顔と名前が最近は全然覚えられない)。それでも、村田氏から「Sumi-Ka+」のプロジェクトの一つであるという説明を聞いて、ほとんど瞬時に企画意図を理解した。価格も予想した通りだった。村田氏と記者の考え方はぴたりと一致した。
3年前に見学した「Sumi-Ka+」の「佇美の家(たびのいえ)」(市川市)」「空の稔」(松戸市)「新故郷」(松戸市)では、「従来の分譲戸建てのイメージ・概念の盲点をついた商品だ」と書いた。
今回はどうか。特徴などについては上段で書いた通りだ。いくつか補足する。村田氏は「これまでのポラスっぽくない」と何度も語った。確かにそうだ。しかし、記者はこれまで同社の分譲戸建てを数えきれないほど見てきている。商品企画は極めて高い(同社の弱点を探すとすれば、他社物件と比べてどこがいいかを調べ切れていないことだと思う)。大手デベロッパーの物件とも互角に戦える。なので、「ポラスっぽくない」というのは「これもポラスの一つ」と記者は受け取った。
モデルハウス2棟とも1階と2階の一部にはCPガラスが採用されていた。この前のリスト「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」の記事を読んでいただきたい。「CPガラス」を採用し、「神奈川県防犯セキュリティ・ホーム認定」を受けたのちの来場者は6.5倍に増えた。価格は相場より1,000万円も2,000万円も高かったが、全10棟のうち残りは1戸だった。
記者は、CPガラスは常識だろうと思っていたが、そうではないことも分かった。ポラスは1階部分の窓にCPガラスを標準としている(以前にもそう聞いたような気がする)。
価格がもっとも高い9,490万円の南西角住戸の1階は掃き出し窓を設けず、高窓としているが、その企画意図をすぐ理解した。外からの視線を遮断したいと考える人はかなりいる。浴室も1.25坪で、食洗機は深型だった。
村田氏の考えに一つだけ同意できないものがある。村田氏は「みどりの管理は大変だから、雑草を生えないよう防草シートを張り、その上に石を置いた」と話した。小生のマンションも5坪くらいの専用庭付きだから草取りなど管理が大変なのはよくわかる。しかし、真夏の地表温度は50℃にも60℃にもなる。緑は30℃強に抑えてくれる。地球温暖化防止に貢献するだけでなく、住宅の地域の街のポテンシャルを引き上げる。緑と地価形成は相関関係にあり、埼玉や千葉の住宅価格が相対的に低いのは、緑被率低いことに一因があると記者は見ている。

パナソニック製の横並び三つ口コンロ(左)と深型食洗機
◇ ◆ ◇
行徳駅前の街路樹の写真を撮った。見ていただきたい。樹種は常緑樹のクスノキのはずだが、強剪定されているため葉っぱはまばら、発狂寸前だ。どうしてこのように丸裸にされているのか、理由はすぐ分かった。ムクドリ対策だ。ムクドリは群れて生息するので、わからないわけではないが、これはあんまりだ。かつてムクドリは益鳥だった。生態系の崩壊は、人間にも大きな影響を与えることを考えないといけない。記者はスズメが激減しているのが気になる。高気密住宅はスズメの住処を奪っている。

行徳駅前のクスノキの街路樹

丸裸にされ、寒さに凍えるクスノキ(市民そのものか)
ショック!戸建ての防犯(CP)ガラス取り付け率はわずか4.3%日本サッシ協会調べ(2024/11/29)
全戸にCPガラス IoT駆使し快適性も県初のリスト「防犯セキュリティ・ホーム認定」(2024/11/28)
小家族向けに焦点面積・価格抑え大胆提案ポラス「Sumi-Ka+空の稔」に注目(2021/5/2)
コミュニティ育む仕掛けに驚嘆従来の常識覆すポラス「Sumi-Ka+ 新故郷」(2021/5/1)



