賃貸にも災害時の防災ツール設置 三菱地所レジ「中野富士見町」竣工
「ザ・パークハビオ 中野富士見町ガーデン」
三菱地所レジデンスは10月25日、災害時に居住者同士が行動に迷わず助け合うための防災ツール「First Mission BoxⓇ(ファーストミッションボックス)」(FMB)」を設置した「ザ・パークハビオ 中野富士見町ガーデン」の竣工記者見学会を開催し、担当者によるデモンストレーションも行った。同社を含めデベロッパーは分譲マンションの「防災」には力を入れているが、賃貸でこのような取り組みをするのは珍しいのではないか。
物件は、東京メトロ丸ノ内線中野富士見町駅から徒歩4分、中野区弥生町2丁目に位置する14階建て全115戸。専用面積は25.08~51.84㎡、賃料は100,000(25.92㎡)~227,000円(51.00㎡)、坪賃料は1.5~1.7万円。竣工予定は2023年8月。設計はIAO竹田設計。施工は村中建設。これまで52戸を募集し、80%に申し込みが入っている。
「FMB」は、長野県飯田市と危機管理教育研究所により考案されたもので、災害時(震度5強以上の地震を想定)に共用部に設置されたボックスを開け、中に入った指示カードの通りに動くことで、自然とその場に集まった居住者同士で災害時の初期活動を実施することができる仕組み。
指示カードには、「本部の設営」からマンション内の「安否確認」「救護活動」「トイレの設置や運用」「防犯対策」の対応をどのように行動すればいいか、専門知識や経験がなくても誰にでもできるような内容になっている。
近所との関係が希薄になりがちな単身世帯や、居住者による組合組織がない賃貸マンションでも、万一の時に取るべき行動に迷うことなく、居住者同士で迅速に活動するための初動期のオペレーションを実行することができる。
同社はまた、長引く被災生活を想定して「Second Mission Box(セカンドミッションボックス)」(SMB)を制作・導入。「FMB」と「SMB」を賃貸マンションに導入するのは初で、このほか屋上に設置した太陽光パネルで発電した電力を蓄電池に貯め、災害時に活用するシステムの構築、各住戸用の備蓄ロッカー(MY防災倉庫)を備えている。
外観デザインには、外壁には天然の貝などから作られた自然の風合いのある塗材、西面の最上階軒天などには木目調塗装を採用するなど、周辺の並木道や敷地内の豊かな緑地帯と調和するシンボリックなものにしている。
防災ツール デモンストレーション(左から同社賃貸住宅開発部開発第三グルーフ・日比剛史氏、同リーダー・最田真生子氏、同社経営企画部サステイナビリティ推進グループ サブチーフ・澤野由佳氏)
「FMB」設置イメージ
コワーキング
◇ ◆ ◇
記者はこれまで、同社が分譲した大規模マンション「奏の杜(かなでのもり)」での三菱地所コミュニティとエリアマネジメント組織・奏の杜パートナーズと共同の防災訓練を何度か取材している。どこの集合住宅でも行っている、セレモニーのようなお茶を濁すイベントではなく、市や消防署とも連携した本格的なもので、半日がかりの取り組みだった。
今回、賃貸マンションに「FMB」と「SMB」を導入するのは、エリア内にいくつかの分譲マンションを供給している背景があるようで、その本気度に感服した。何事にも真剣に取り組むのが三菱地所グループのいいところだ。2014年に立ち上げた同社と三菱地所コミュニティ社員有志によるボランティア組織「三菱地所グループの防災倶楽部」は約140名にのぼっているようだ。
見学会では、各フロアに備蓄ロッカー(MY防災倉庫)を備えているのに驚いたが、居室はガスとIH設備をフロアごとに替え、半々にしているのもそれぞれの弱点を補うものだろうと理解した。
デモンストレーションは約15分。実演者も記者連中(とくに小生)は緊迫度に欠けていたが、3.11のとき「新浦安」を取材しトイレに困ったことがある(仕方なく公園の隅っこで用を足したが、女性はそうもいかないだろう)のでその対策の重要性はよくわかる。
習志野市「奏の杜」防災訓練に過去最多1,000名 三菱地所グループ&管理組合(2018/3/11)
郊外部も坪300万円の時代へ 予算額との隔たりどう埋めるか 総合地所「花小金井」
「ルネ花小金井ザ・レジデンス」
総合地所、積水化学工業、大栄不動産は10月25日、総合地所の〝ルネシリーズ〟として都内初のZEH-M Oriented基準を満たした「ルネ花小金井ザ・レジデンス」(162戸)の販売を開始したと発表した、同日、報道陣にモデルルームを公開した。坪単価310万円には驚いたが、第1期として供給した50戸のうち37戸が成約済みと聞き、これまた驚いた。
物件は、西武新宿線花小金井駅から徒歩4分、小平市花小金井南町一丁目の商業地域・第一種中高層住居専用地域に位置する8階建て全162戸。専有面積は44.46~88.92㎡。2023年11月上旬に販売予定の1期4次(戸数未定)の価格は4,100万円台~8,500万円台(最多価格帯6,200万円台)、坪単価は310万円。着工は2023年5月。竣工予定は2025年2月。設計は長谷工コーポレーション。施工は長谷工コーポレーション・森組。販売代理は長谷工アーベスト。
9月30日に販売を開始し、これまで供給した第1期50戸のうち37戸を成約。資料請求は約1,000件、来場者は約280件。来場者の属性は30歳代がもっとも多く約35%、40歳代が約20%。現居住地は小平市が約40%。予算額は今回の物件の最多価格帯6,000万円超は30%で、予算額との乖離は1,000万円以上の差がある。一方で、希望面積は70㎡以上が約50%、80㎡以上も約15%。
従前土地は金融機関の施設で、主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認定、リビング天井高2500ミリ、直床、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス(共用廊下側窓)など。
見学会で総合地所分譲事業部マンション開発部開発1課課長・石井大祐氏は、「駅から徒歩4分の得難い立地で、当社のZEHでは『南柏』『上尾』に次ぐ都内初のZEH対応のシンボリックな物件。また、花小金井は、当社社長・梅津が手掛けた2011年分譲の『ルネ花小金井』に次ぐ〝ゆかりの地〟であり、〝泣かせるシアター〟も思い出させる」と話した。
左から石井氏、同社分譲事業部マンション開発部開発1課・根岸拓海氏、同・中村瑞輝氏
エントランスホール
◇ ◆ ◇
石井氏とは、RBA野球大会の選手として出場していたころだからもう20年くらいのお付き合いか。元気そうな様子だったので、とても嬉しくなった。そのお返しのつもりで、見学会に出席していた約10人の記者の方に〝泣かせるシアター〟のことを話したのだが、一人を除いて何の反応も示さなかった。その一人こそ〝家族の絆〟をテーマにしたシアターに映り出されたサラリーマンと自らをだぶらせて「ほろりとさせられた」と語った記者だ。当時、娘さんは小学生のころか。
あれからまだ12年しか経っていないのに〝泣かせるシアター〟は通用しない。十年一昔、隔世の感がする。要するに、腰を落ち着けて継続してマンションを見学する記者はいないということだ。ものを見る目がなければ、見たことにはならず、その分だけ時間が無駄ということだ。
さて、坪単価。前回は、駅から14分で坪155万円だった。今回は駅に近く、用地・資材・人件費の上昇が続いていることから、土地代がただでも坪200万円以下はありえないが、新宿まで似たような電車所要時間ではあるが、街の利便施設の集積度では問題にならないわが街多摩センターの坪250万円以下だろうと予想した。
結果は大外れ。言い訳はしない。多摩センターと比較したのがいけなかった。私情を挟み過ぎた。冷静に考えたら坪310万円というのはありうる価格だ。工期も従前なら15か月くらいだろうが、今回の物件は21か月になっている。これも建築費を押し上げている要因の一つだ。
いよいよ郊外部でもマンション坪単価は300万円の時代に突入したということだ。ユーザーの予算額、希望面積との隔たりをデベロッパーはどうして埋めるのだろうか。〝買いあがる〟余力のある人はいるのだろうか。
建設現場
◇ ◆ ◇
初めて知ったのだが、花小金井駅南口の駅前ロータリーには車道と歩道が交差しているにも拘わらず信号はなく、すぐ先の東京都道132号小川山田無線と交差する三叉路(幅員4mくらいの市道とも交差するのでほとんど四叉路)にも信号機はひとつもなかった。
三叉路近くにいたお年寄り夫婦に聞いた。「こんな広い道路(幅員15mくらいか)に信号がなくて大丈夫ですか」と。すると、ご夫婦の方は「車が停まってくれるんですよ」と答えた。嘘だろうと思ったが、女子高校生らしき集団がこの三叉路を渡ろうとしていたとき、確かに車は停まった。全て世の中は車優先かと思っていたが、そうでもないところがあるのに驚いた(別の記者は「それだけ車が少ないということ」と冷たく言い放ったが)。
ネットで調べた。面白いデータが見つかった。日本自動車連盟(JAF)の調査によると、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとした際に一時停止した車の都道府県別の割合は全国平均で21.3%、トップの長野県は72.4%、最低は宮城県の5.7%とある。なぜこんなに差があるのか、その理由は示されていない。
駅近くの四叉路(左側が今回のマンション販売事務所)
「昭島」1期は262戸/建築費5割アップへ2024年問題からみ深刻化 大和ハウス(2023/9/15)
埼玉県初のZEHマンション 総合地所「ルネ上尾」 第1期45戸が即日完売(2021/6/29)
分譲一筋に30年 〝ルネ〟の総合地所 執行役員・梅津英司氏が語る(2018/4/16)
初めて見た 泣かせるマンション 総合地所「ルネ花小金井」(2011/5/17)
ランドスケープ秀逸 坪賃料に納得 「HARUMI FLAG」の賃貸「PORT VILLAGE」公開
「PORT VILLAGE」C棟
三井不動産レジデンシャルなど「HARUMI FLAG」の事業主10社は10月23日、賃貸街区「PORT VILLAGE」の一般賃貸住宅のメディア向け内覧会を実施し、一般向けの内覧会を10月27日(金)から開始すると発表した。
「HARUMI FLAG」は、「東京オリンピック選手村」としても供用された、都心に近接する敷地面積が約18haに及ぶ分譲4,145戸、賃貸1,487戸、全体5,632戸の住宅開発。計画人口は約12,000人。晴海緑道公園、水素ステーション、ららテラスHARUMI、BRTを含むマルチモビリティステーションなどのほか、中央区認可保育園、小・中学校などが整備され、電柱・駐車場の地下化も図られている。
「PORT VILLAGE」は、「まち」の持続性、多様性を担う街区として整備された全4棟で、デザインコンセプトは〝結(ゆい)〟。わが国の伝統工法である「ひだ」「もやい」「照り むくり」が外観その他のデザインに採用されている。
約7,000㎡の中庭は、多世代との交流の場としても利用できるように計画されており、共用施設としてはイベントスペース、パーティルーム、ワークスペース、パブリックバス、フィットネスルームなどが設置されている。各種のコンシェルジュサービスも行う。
物件は、都営地下鉄大江戸線勝どき駅から徒歩14~16分、中央区晴海五丁目に位置する敷地面積約2.6ha、15~17階階建て全4棟1,487戸で、総専用面積は約58,800㎡。内訳は一般賃貸住宅1,258戸、シニアレジデンス158戸(別途ケアレジデンス50室)、 シェアハウス(71戸/114室) 。専用面積は一般賃貸住宅が28.71~103.03㎡・159.20㎡・171.66㎡、シニアレジデンスが36.68~66.31㎡、ケアレジデンスが18.17~20.57㎡、シェアハウスが25.01~92.09㎡。設計は日建ハウジングシステム、東急建設。施工は東急建設。竣工予定は2024年1月15日。
一般賃貸住宅の賃料は49.10㎡が188,000円(坪賃料12.6万円、11階)、71.14㎡が295,000円(坪賃料13.7万円、2階)など。159.20㎡・171.66㎡の賃料は未定。シェアハウスの賃料は25㎡が12~13万円台、4~5人用のユニット型が9万×4~5=36~45万円台。
一般賃貸住宅を対象に8月29日からエントリーを受け付け、9月29日から申し込みを受け付けており、10月20日現在、募集160戸に対して、地元中央区や江東区居住者中心に100件超の申し込みがある。
ホルトノキ
中庭
外観 B棟
◇ ◆ ◇
賃貸街区のみだが、初めて完成間近の「HARUMI FLAG」を見た。マスターアーキテクトとして街全体のデザインを統括する光井純氏から「諸外国のどこの街にも負けないものをつくる」と聞いていたので、ランドスケープ・ファサードデザインにもっとも注目した。
分譲街区も見ないと何ともいえないが、外構などは同じはずで、素晴しい、この一語に尽きる。光井氏が設計した「パークシティ浜田山」もそうだが、記者が最近の分譲・賃貸でもっとも感動した「桜上水ガーデンズ」に負けないはずだ。
樹高10m近くありそうなシンボルツリーのホルトノキ、赤い実をたくさんつけていたナナミノキのほかシラカシ、クスノキなどの巨木になる樹木もたくさん植えられていた。光井氏が語ったように「地上は緑に覆われた」街になるのは間違いない。
共用施設では、左官仕上げの塗り壁、木組みデザインが施された天井が印象的だった。ポピンズナーサリースクールが運営する保育園(定員:204名)の床はコルク材で天井高は約2.8m。園庭も広々としていてとてもいい。
シニアレジデンス・ケアレジデンスの「グランクレール」は、いかにも運営する東急イーライデザインの造りだ。リビタが運営するシェアハウスは記者のような年寄りは理解できない。
大浴場やワークスペースは、利用時間に制限はあるが、無料なのがいい。ただ、ワークスペースの内装には集成材が多用されているのに、そのよさを半減どころか無に帰すフェイクグリーンで覆われていたのには唖然とした。
最後に賃料。坪賃料は1.3万円前後になるはずで、高くもなく安くもないと感じた。分譲の平均坪単価300万円強の利回りを5%と想定すれば年間15万円強、月額にすると1.3万円になる。リーズナブルな設定だろう。共用施設の充実ぶりを考慮したら〝超〟の字が付くほど割安か。
ペントハウスの賃料は未定だが、159㎡の住戸は賃貸仕様だが、なかなかいい。記者は賃料100万円でどうかと思ったが、同業の記者の方は300万円を予想した。確かに、金に糸目をつけないお金持ちならありうるかもしれないが、月額賃料を300万円にしたら年額3,600万円、坪賃料は6万円だ。利回り5%として価格は7億2,000万円(坪単価1,494万円)だ。これはありえない。事業者はそんな暴利をむさぼるような高値には設定しないはずだ。せいぜい月額150万円とみたがどうだろう。
床はコルク、天井の木組みデザインが美しい保育園
エントランスホール B棟
159㎡のペントハウス(下層階)
シニアレジデンスクレールダイニング(左)とケアレジデンス内廊下
シェアプレイス(完成予想図)
左官仕上げの塗り壁
大浴場(女性用)
ワークスペース
「ひだ」「もやい」「照り・むくり」を「結う」デザイン 「HARUMI」賃貸募集へ(2023/8/29)
「HARUMI FLAG」で美しい花を咲かせたい 光井純氏 建築美を語る(2023/1/30)
「類まれな」レベルの高さ 野村不・三井レジ「桜上水ガーデンズ」完成(2015/8/28)
木質化PJ「KIGOCOCHI(キゴコチ)」マンションリフォーム提案 三菱地所ホーム
「KIGOCOCHI(キゴコチ)」ショールーム(モデルルーム)
三菱地所ホームは10月13日、空間木質化のプロジェクトの一環として新商品「KIGOCOCHI(キゴコチ)」の販売を10月14日に開始すると発表。第一弾として、マンションリフォームを提案するショールーム・モデルルームを「みなとみらい」にオープンした。
「KIGOCOCHI」は、「KI=木」から得られる「IGOCOCHI=居心地」のよさを追求することから名付けられたもので、モデルルームでは、家の中に木の塊(コア)を機能的にレイアウトし、人間が木に囲まれたり、大木に寄りかかったりするときに得られる居心地のよさを再現する「木と共生する暮らし」を提案する。
モデルルームの広さは約70㎡。「コア」は、「水回り」「キッチン・家具・スタディスペース」「玄関・寝室」の3つからなり、従来のnLDKの間取りにとらわれず、柔軟で回遊性の高い空間を提案しているのが特徴。内装材は構造材として用いられている3×6判(914mm x 1829mm)の愛媛県産材のヒノキ合板を採用することでコストも抑制。同社の全館空調システム「エアロテック」も装備している。
「水回り」は、ユニットバス・脱衣所・サウナといった水回りを集約し、脱衣所の床は名栗(ナグリ)仕上げ。オプションでサウナを設置可能。
「キッチン・家具・スタディスペース」は、動線に配慮して3方向からアクセスできるキッチン、パントリー、洗濯といった家事スペース。書斎にもなるデスクも内包している。
「玄関・寝室」は、「木のトンネル」状とすることで廊下をなくし、ドアを開けた瞬間から木の心地よさに包まれる空間とし、夫婦別室を提案している。
記者発表会・見学会で同社代表取締役社長・細谷惣一郎氏は「ショールームは、『木』のぬくもりと住み心地を体感できるものにした。今後も『木』と言えば三菱地所ホームと言われるように非住宅も含めて取り組みを強化していく」と話した。
ショールーム・モデルハウスの空間設計を担当したトラフ建築設計事務所・鈴野浩一氏は「1年半前から三菱地所ホームさんから依頼を受けて取り組んできた。大木(コア)に寄りそう暮らしを実現した。3つのコアは部分的に採用することにも対応した」と話した。
ショールームは、みなとみらい線みなとみらい駅から徒歩4分、JR京浜東北・根岸線、横浜市営地下鉄桜木町駅から徒歩9分、横浜市西区みなとみらい2丁目に位置。営業時間は10:00~18:00、定休日は水曜日、日曜日(祝日を除く)。TEL:0120-429-115。
細谷氏
アートてせぃレクションを担当した金井あき氏(左)と鈴野氏
モデルルーム
キッチン&ダイニング(上部は「エアロテック」)
玄関収納
ドアノブ
◇ ◆ ◇
素晴らしい提案だ。モデルルームの玄関を開けたとたん、マンションではまずありえない本物の木の空間「玄関・寝室」が目に飛び込んできた。廊下は取り払われており、その奥に「水回り」「キッチン・家具・スタディスペース」が広がっていた。
洗面室の床は名栗(ナグリ)仕上げ。ドアノブはおしゃれなウォールナット材。有孔パネルの壁面はフックや棚板をレイアウトできるようになっており、天井は漆喰仕上げ。床はリノニウム。
◇ ◆ ◇
素晴らしいショールームではあるが、記者の率直な感想を1つ2つ言わせていただく。
一つは、ヒノキ合板に違和感を覚えたことだ。記者は三重の田舎育ちで、実家はごくありふれた農家だったが、構造や柱、梁にはスギ、ヒノキ、マツはもちろんだが大黒柱や框、建具面材にはケヤキやヤマザクラが多用されていた。ケヤキもそうだが、とくにヤマザクラは時代を経るごとに赤みが増し、ピカピカ光る。紫檀や黒檀などと同等の面材だと思う。
住宅の内装材に合板(ベニア板)が用いられることはなかった。なので、見てすぐわかる構造合板のコア(とくに小口)には引っかかるものがあった。無垢・突板と区別がつかない化粧合板のほうがよかったのではないかと思った。
もう一つは単価だ。同社は70㎡でフルリフォームした場合の価格は2,000万円台の半ばとしか話さなかったが、だとすれば坪単価は100万円以上だ。
この価格には驚いた。確かに新築マンションも中古住宅も資材も価格が暴騰しているのは分かる。まさかリフォーム価格まで上昇しているとは思わなかった。
しかし、これは記者が知らなかっただけだ。リフォームだけが数年前と変わらないということはありえない。合板の価格指数は2020年を100とすると50%くらい上昇しているようだ。リフォームも坪100万円の時代に突入したということか。
「水回りコア」の一部(床はナグリ仕上げ、奥はサウナ)
内観
有孔パネル
◇ ◆ ◇
肝心なことを書き忘れた。モデルルームに入ったら、鈴野さんから「木を飲んでみませんか」(違った表現だったかも)を勧められた。「KAMOSHIKA Drinks(カモシカ飲料)」だった。紙コップに半分。少し泡立っていた。口に含んだ。木の味はさもありなん。得も言われぬ味が口中に広がり、田舎の山と森の香りが鼻腔を蕩かした。一瞬、ウイスキーかと思ったが、甘みがあり炭酸が入っていそうなので、酒ではないことは分かった。ラベルの原材料にはカラマツ、アカマツ、アブラチャン、ヒノキ、タイム…などが記載されていた。
いまネットで調べた。リフォームも高いが、250mlで2,300円。(糖尿になるまでは3~4日に1本空けていたバランタインよりはるかに高い。いま飲んでいる焼酎一升とほぼ同じくらい…ウーン)そのあとの会見でも同じ量のおなじものが供された。
貧乏人の記者は飲めないが、同社のお客さんだったら浴びるように飲めるのではないか。砂糖を入れず原液をロックで飲むか、ジンとかビールで割っても美味しいはずだ。三菱地所グループの〝空と土プロジェクト〟の一環として造られた日本酒「丸の内」も美味しいが…日本酒やワインにはあわない。
「木の居心地を徹底追求・従来間取りを解体」 三菱地所ホーム リフォーム新提案(2023/7/27)
木造木質化を推進するプラットフォーム「KIDZUKI(キヅキ)」始動 三菱地所ホーム(2022/6/15)
期間72年の定借で坪410万円 早期完売も納得 大和地所レジ「門前仲町」
「ヴェレーナグラン門前仲町」(南東側から写す)
大和地所レジデンスは10月11日、「ヴェレーナグラン門前仲町」75戸が完成したのに伴うメディア向け見学会を行った。駅から徒歩3分の期間72年の定期借地権付きで、分譲開始は昨年6月。坪単価は410万円で、決して安くはなかったが、わずか3か月で完売した。
◇ ◆ ◇
添付した記事と一緒に読んでいただきたい。物件を案内して頂いたのは、昨年6月に竣工・完成見学会を行った「ヴェレーナシティ西新井」と同じ同社建築企画第2部長兼建築管理部長・木村美則氏(57=昨年)だった。(記事にはできないが、本音で話して頂いた。記者のみなさん、こういう方とお友だちなるべき。三跪九叩頭すればせんべろでも大丈夫だろう、マンションのイロハを教えてくれるはずだ)
何も言うことはないが、駅近ながら敷地南側と北側の眺望が担保されており、商品企画レベルが極めて高いマンションだ。単価は安くはないが、街のポテンシャルを考えたら、湾岸マンションに負けないのも納得だ。
マンションではありえない玄関上の明り取り(左)と最上階の全4戸の吹き抜け空間5350ミリのメゾネットタイプ。専有面積107㎡で価格は18,000万円
敷地北西側の景観(スカイツリーも見える)
〝せんべろ〟の店がたくさんある門前仲町(マンションはこの先1分くらい)
駅近ながら桜並木に面した静かな環境に高い評価 大和地所レジ「門前仲町」(2022/7/26)
販売好調の秘密を見た15カ月で全戸完売 歩留まり率23.6% 大和地所レジ「西新井」(2022/6/9)
首都圏中古マンション 成約件数は4か月連続増 単価上昇も続く 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は10月10日、2023年9月度の主不動産流通市場動向をまとめ発表した。
中古マンションの成約件数は前年同月比6.7%増の3,191件で、4か月連続して前年同月を上回った。㎡(坪)単価は同4.8%増の72.44万円(239万円)で、20年5月から41か月連続上昇、価格は同4.5%増の4,618万円で、20年6月から40か月連続上昇した。専有面積は同0.3%減の63.75㎡となった。
地域別では、成約件数は千葉県以外の地域が前年比で増加し、東京都区部は2 ケタ増となり4か月連続で前年同月を上回った。成約㎡単価は埼玉県と神奈川県他以外の地域が前年比で上昇が続き、東京都区部は41か月連続、千葉県は38 か月連続で前年同月を上回った。埼玉県は20年5月以来40か月ぶり、神奈川県他は20年11月以来34か月ぶりに前年同月を下回った。
中古戸建は、成約件数は同2.2%減の1,099件で、22年1月から21か月連続で前年同月を下回った。価格は同2.2%増の3,924万円、土地面積は同3.2%減の139.52㎡、建物面積は同0.9%減の104.39㎡となった。
地域別では、成約件数は東京都区部と多摩以外の地域が前年比で減少し、千葉県は2ケタ減となり3か月連続、神奈川県他も3か月連続で前年同月を下回った。成約価格は横浜・川崎市と多摩、千葉県が前年比で上昇し、多摩は6か月連続で前年同月を上回った。
〝ぶっ飛んだみどり〟だけでない 「グラングリーン大阪」タワマンに絶句
「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE(ザ ノースレジデンス)」
積水ハウスなど「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」開発事業者JV9社は10月12日、北街区タワーマンションの販売概要に関する記者発表会を開催し、レジデンスサロンを報道関係者に公開した。分譲マンションの名称は「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE(ザ ノースレジデンス)」とし、10月12日から公式HPでのエントリー受付を開始し、2024年2月に販売を開始する。発表会には37のメディアが参加した。
「うめきた地区」は、鉄道4社7駅が乗り入れ、1日約250万人が行きかう西日本最大のターミナルエリアに位置する、約24haの旧梅田貨物駅跡地の再開発区域の総称。「うめきた1期」の先行開発「グランフロント大阪」(開発面積約7ha)は事業者12社によって2013年3月に着工、2013年にまちびらきが行われた。
「グラングリーン大阪」は、「うめきた2期」のプロジェクト名称で、開発面積は大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級の約45,000㎡の「うめきた公園」を含む約9.1ha。三菱地所を代表とする事業者9社によって「北街区」「南街区」全体で延床面積約54.4haの分譲マンション、賃貸住宅、オフィス、ホテル、商業施設などが整備される。「うめきた公園」は来年9月に先行まちびらきが行われる予定。全体まちびらきは2027年度の予定。(延床面積は約55.3haの「Torch Tower」や約56.5haの「神宮外苑」に匹敵)
発表会で、「うめきた1期」の「グランフロント大阪オーナーズタワー」(525戸、2013年竣工)に続き幹事会社になった積水ハウス代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は、物件の特徴であるロケーション、カーギャラリー、電力融通システムを紹介し、「われわれJV9社は、年代を経るごとにと味わいを増し、街の財産になることを目指す」と挨拶した。
販売を担当する積水ハウス取締役専務執行役員・石井徹氏は「今回のプロジェクトメンバーである阪急阪神不動産さんとオリックス不動産のグループの阪神タイガースとオリックス・バッファローズが優勝した。野球と同じように、今回のマンションで関西を盛り上げていく」と、三菱地所レジデンス取締役専務執行役員・加治屋倫浩氏は、「第1期に続き今回のプロジェクトに参画できて感慨深い。グループの1社としてノウハウを結集し、積水ハウスさん、阪急阪神不動産さんと協力しなからさらに関西の活性化につなげられるよう取り組んでいく」と、阪急電鉄取締役兼阪急阪神不動産代表取締役社長・諸冨隆一氏は「阪神タイガースが18年ぶりに優勝した。同じJVのメンバーであるオリックスさんのオリックス・バファローズと日本シリーズで戦うことを楽しみにしている(決まったわけではないが、記者も9分9厘そうなると思う)今回のマンションが関西ナンバーワンマンションになることを確信している」とそれぞれ語った。
続いて登壇した積水ハウス大阪マンション事業部長・宮田浩氏が物件の特徴について、「次代の王宮」をテーマに、迎賓思想を体現した陰翳のある外観と贅を尽くした共用部、機能・設備などを説明し、専有部では「間」と「シンメトリー」を取り込んだ住戸プランにし、最上階の住戸(305㎡)は関西圏史上最高価格の25億円にすることを明らかにした。
物件は、JR大阪駅から徒歩7分、阪急電鉄大阪梅田駅から徒歩9分、Osaka Metro梅田駅から徒歩9分、大阪市北区大深町に位置する敷地面積約7,318㎡、46階建て延べ面積約72,291㎡、46階建て全484戸(募集対象外住戸248戸を含む)。専有面積は45.61~305.46㎡、価格は未定。完成予定は2025年12月下旬。売主は積水ハウス、大阪ガス都市開発、オリックス不動産、関電不動産開発、竹中工務店、阪急電鉄、三菱地所レジデンス、うめきた開発特定目的会社。販売代理は積水ハウス、三菱地所レジデンス、阪急阪神不動産。設計は竹中工務店・日建ハウジングシステム。監理は日建ハウジングシステム。施工はうめきた2 期共同企業体(竹中工務店・大林組)。販売予定は2024年2月上旬。
仲井氏(梅田スカイビル36階スカイルーム1で)
左から石井氏、加治屋氏、諸冨氏、宮田氏
フォトセッション
「うめきた公園」(手前が大阪駅)
レジデンスサロンに再現したコリドール
◇ ◆ ◇
先週の同じ木曜日、三菱地所レジデンスの「三菱地所レジデンス 大阪ギャラリー」と「ザ・パークハウス 大阪梅田タワー」の取材に行ったばかりなのに、2週続けて大阪の取材入るとは…しかし、「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」を見逃したら一生悔いが残ると出かけた。前段でも書いたが、延べ床面積は「Torch Tower」と「神宮外苑」に劣らないビッグプロジェクトだ。これを見ずして街づくり、再開発、億ションを語れない。
取材する決断を自ら下したのにはもう一つの理由がある。関西人の気質を見事に表現している天童よしみさんの〝負けたらあかん東京に〟がプロジェクトに反映されているのではないかという期待があったからだ。
結果はその通りとなった。意想外の収穫があった。一瀉千里とはいかないが、思いつくままに気がついたことから紹介する。
まず、「大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級の約45,000㎡の『うめきた公園』」から。このような都市公園はわが国にあるか。東京の「上野恩賜公園」がすぐに思いついたが、「恩賜公園」と名付けられているように歴史も成り立ちも全く異なる。主催者に外国の例はどうかと聞いたが、明確な答えは得られなかった。仲井社長が語ったように「世界的にもまれ」と言うことなのだろう。
都市公園は大阪府と大阪市が折半で事業費(用地取得費及び整備費)を賄うことになっているので、その「価格はなんぼやねん」と聞いたが、事業者は明らかにせず、同様の質問を大阪府にもしたが「現段階で明らかにできない」と言うことだった。
断られると探りたくなるのが記者の習い性だ。今年のうめきたエリアの地価公示は坪4,620万円だ。これは容積率が700~1000%のエリアであるはずなので、容積率100%(1種当たり)坪単価は462~231万円だ。
ただ、都市公園は建築規制が強く、容積率は最大でも200%だ。これを勘案して土地所有者の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)から府と市が用地を取得する費用は600~700億円とはじいた。これに公園整備費が加わるので事業費は1,000億円くらいになるのではないか。それぞれ負担額は500億円だ。高いか安いかはともかく、元橋下市長が話した「ぶっ飛んだみどり」が実現するのだろう。事業者もそれを享受できるということだ。
次に〝ぶっ飛んだマンション〟について。最高価格が25億円(305㎡、坪単価2,687万円)と聞いても、これは全然驚かなかった。記者はバブル期に坪2,000万円、3,000万円の物件を結構取材している。1戸の最高価格はドムス「元麻布」の44億円だった。バブル崩壊後の1戸の最高価格は三井不動産レジデンシャルの「六本木」55億円だ(これより高い物件もあると聞いているが記者は知らない)。何かにつけ、大阪は東京の半分だから今回の25億円というのは妥当な値段だ。
驚いたのはそんなことではない。驚嘆したのは基本性能・共用施設・設備仕様レベルの高さだ。免震タワー、日本初の72時間稼働可能な自立型エネルギーシステム、ZEH oriented、CASBEEのSランク、低炭素建築物認定もなることながら、記者が絶句し、息をのんだのはシアターに映し出された「カーギャラリー」「次代の王宮」の象徴であるコリドール、景石と桜のゲート、水景、庭園、屋上庭園などの共用施設、オートスライドドア、全戸独立キッチン・ダイニング・リビングの商品企画だった。シアター(製作したのは電通か)には、字幕に「言葉はいらない」が出たのみで、ナレーションは一切なし。(手あかにまみれたフレーズではあるが、感動のあまり声をなくすのはよく分かる。記者が最高のシアターだと思っているのは、第九の第4楽章がBGMとして流された野村不動産他「Tomihisa Cross」だが、今回はそれに匹敵するか)
記者と一緒にシアターを見ていた記者の方(記者よりずいぶん年下だが、トップクラスの記者だと思う)が感極まったのか「今まで見たマンションでこれが最高」と声をあげた。40年以上にわたって数えきれない億ションを見学・取材してきた記者も、これほど豪華なマンションは初めてだった。「カーギャラリー」はシンガポールなどの海外ではまれにあるそうだが、全然知らなかった。記者は車のことは知らないが、個別に駐車するスペースは4畳大必要なことをネットで調べた。専用のエレベータや動線も確保しないといけないだろうから、とてつもないコストをかけているのだろう。28戸が対象という。
モデルルームは2戸。111㎡は白が基調のデザイン。額縁付きの重厚なドアがとくに目を引いた。キッチン・ダイニング・リビングをそれぞれ独立させているのも特徴だ。リビング天井高は2700ミリ。
305㎡のタイプは、これまで見たこともないものであ然とするほかなかった。目がくらみ、足がすくんだ。(王室などは小説かテレビドラマ、映画でしか見たことがない)。両開きのオートスライドドア幅は1.5mくらいか。かつて同じようなのを見ているので驚かなかったが、これまた凄い。玄関・ホールは10畳大はある。シャワールーム付きの浴室も10畳くらいか。リビングは32.7畳大で、高さは5m。ダイニングは21.7畳大で、高級レストランかラグジュアリーホテルの個室そのもの。主寝室は15.3畳大。玄関は2か所。
レジデンスサロンに再現したコリドールは高さ6メートル。列柱はせっこうと石造り、床も石。ガラスの外には水景。家具・調度品は海外の特注品。ベルベッドのカーテン布はえも言われぬ手触り感がし、タッセルは豪華な刺繍つき。椅子は1脚150万円はしそうなものだった。
最後に坪単価予想。記者はこの「うめきた2期」のプロジェクトが発表されたときから、マンションの坪単価は1,000万円と予想していた。梅田駅前のマンションが坪400万円もしなかったころだ。今回、モデルルームを見学して、予想は間違いでなかったことを確信した。坪650万円の東建「堂島」も素晴らしいが、その倍と聞いても驚かない。上方修正して坪1,200万円もあるかと思うが、〝商いは牛の涎から〟。大阪商人の後継である積水ハウスなどが一獲千金の一網打尽の利益を追求するはずがない。腹八分目、ここは1,000万円か、高くとも1,100万円に抑えると読んだ。
「三田ガーデンハウス」のように的中するかどうかだが、記者は坪1,000万円以下だったら、JV9社の鼎の軽重を問う。これで坪1,000万円を超えられなければ、いつまで経っても東京を超えられない。後塵を拝すことになる。もう一度言う。〝負けたらあかん東京に〟-それが表現されているマンションだ。
もう一つ、今回の取材で注目すべきなのはその売れ行き・注目度だ。総戸数484戸のうち販売対象は236戸で、残りの248戸は「募集対象外住戸」と記載している。他の記者の皆さんはどう考えているか知らないが、一般分譲する前から半分以上が〝縁故販売〟(クローズド)で確定しているということだ。これまた凄いが、当然のような気がする。
コリドール
ガーデンラウンジ
屋上庭園
カーギャラリー
最上階305㎡モデルルーム
最上階305㎡モデルルーム
最上階305㎡モデルルーム
最上階305㎡モデルルーム
最上階305㎡モデルルーム
最上階305㎡モデルルーム
塗装・額縁仕上げのドア
1脚150万円はしそうなイタリア製チェア
タッセル
単価予想1,300万円的中! 三井レジ&地所レジ「三田ガーデンヒルズ」700戸供給済み(2023/9/20)
〝三菱地所と次にいこう〟発信拠点 大阪に開設 第一弾は超高層免震「梅田タワー」(2023/10/3)
〝三菱地所と次にいこう〟発信拠点 大阪に開設 第一弾は超高層免震「梅田タワー」
「ザ・パークハウス 大阪梅田タワー」
三菱地所レジデンスは10月3日、大阪市内エリアで分譲する新築マンションの販売拠点「三菱地所レジデンス 大阪ギャラリー」と「ザ・パークハウス 大阪梅田タワー」のメディア向け内覧会を行い、10月7日に「大阪ギャラリー」をオープンし、「大阪梅田タワー」のモデルルームを公開すると発表した。ギャラリーは、同社グループと連携して、全体ブランド〝三菱地所と次にいこう〟の発信拠点にする。
内覧会で同社関西支店開発部長・魚住尚史氏は「首都圏と同様、大阪エリアのマンション市況は好調に推移しており、今回の「梅田タワー」を皮切りに、その次の『(仮称)大阪市中央区博労町3丁目計画』も決まっており、年間200~300戸をコンスタントに供給できるよう開発を積極化する。ギャラリーは当社グループの複合拠点としても展開していく」と語った。
「大阪ギャラリー」は、JR大阪環状線桜ノ宮駅から徒歩10分、JR東西線大阪天満宮駅から徒歩10分、大阪市北区天満橋1丁目に位置する「OAPタワー」内の2階と16階に開設する。2階は総合受付・ブランドルーム・シアタールーム、模型を、16階はプレゼンションルーム、モデルルーム、インテリアコーディネートルーム、商談ルームをそれぞれ設置。
プレゼンテーションルームでは、デジタル模型やジオラマ、VRを用いて担当者が個別に操作し、物件説明を行う。
「ザ・パークハウス 大阪梅田タワー」は、ギャラリーでオープンする第一弾。阪急神戸線・宝塚線・京都線大阪梅田駅から徒歩6分、JR大阪駅から徒歩10分、大阪市北区中津1丁目の商業地域に位置する36階建て全173戸。専有面積は55.53~173.50㎡、価格は未定だが、55㎡台の低層階は6,000万円台前半になる模様。販売開始予定は2023年12月中旬。完成予定は2025年8月中旬。事業主は同社(事業比率60%)のほか安田不動産(同20%)、JR西日本プロパティーズ(同20%)。施工は熊谷組。
主な基本性能・設備仕様は、超高層免震、角住戸比率70%、AI搭載パーキング、各戸玄関前宅配ボックス、リビング天井高2450ミリ(最上階は3000ミリ)、二重床・二重天井、フィオレストーンキッチン・洗面天板、ディスポーザー、食洗機(138㎡モデルルームはMiele社製)、浴室タオル掛け2か所など。共用施設・設備はビューラウンジ、ゲストルーム、コワーキングスペースなど。
敷地は2021年3月に入札により取得したもの。これまでエントリーは1,400件超、モデルルーム来場予約は300件。30~50代の市内居住者が5割弱で、あとは都内1割、海外1割など広域からも反響があり、「うめきたエリア」「梅田エリア」「茶屋町エリア」に近接している立地と資産性が高く評価されているという。
エントランス
エントランスホール
◇ ◆ ◇
同社の関西圏の〝ザ・パークハウス〟マンションを見学するのは「京都鴨川御所東」「中之島タワー」「神戸タワー」に次いで4件目だ。「梅田エリア」には「グラングリーン大阪」もあるので、「これは見ないといけない」と取材を申し込んだ。
モデルルームは2戸。138㎡のタイプは設計変更対応で、都内の億ションと比較してそん色ない出来だ。玄関ホールは3帖大くらいあり、アール形状の折上げ天井リビング、フィオレストーンキッチン・洗面天板、ガラス製のアクセント壁などが印象的だった。
67㎡のタイプは、オプションだが、6帖大の「ホームオフィス」提案がとてもいい。照明付きの2段小上がりとし、床は畳(ケミカル)で堀こたつのような丸いスペース付き。事前内覧会の来場者に好評とか。
モデルルームもそうだが、共用部施設はアール形状を多用し、エントランスホールに香拡散システム「Air Aroma」を採用するなど五感に働きかける仕掛けも施している。
肝心の坪単価は、前段で書いた通り、55㎡の低層階が6,000万円台の前半と言うことのようだから約360万円だ。上層階のプレミアム住戸は坪700~800万円で、均すと500万円くらいではないか。(「グラングリーン大阪」の記者見学会が10月12日に行われることをこの日知った。多分、坪単価は1,000万円を超えるはずで、検討者にとっては「梅田タワー」との選択は悩ましい)
もう一つの「博労町3丁目計画」は、「馬喰町(ばくろちょう)」の誤字だと思ったが、「ばくろうまち」と読み、意味は同じのようだ。こちらも「梅田」に負けない価格になるのではないか。
138㎡のモデルルーム リビング
138㎡ 主寝室
「ホームオフィス」
◇ ◆ ◇
魚住氏などからギャラリーとマンションの説明を受けたあと、シアタールームに案内された。これまで百万遍も見てきたものだ。他と比べても似たり寄ったりだろうと高をくくった。
ところが、豈図らんや。真っ暗闇のルーム内の左袖から音もなく一人の女性が現れた。靴もスーツも真っ白。背丈は高からず低からず、身は太からず細からず。その美しさに小生はハッと息を詰まらせる…ではない息を呑んだ。あの鶴の化身の「つう」か、空の青にも海の青にも染まない白鳥か、はたまた花にたとえればバラでも百合でもない、楚々と咲くドクダミかカスミソウか、山なら春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香具山か。
記者はもう話の中身などどうでもよくなった。隠し撮りするように写真に収め、彼女を凝視した。韓流ドラマと大違い。口パクも一分一寸の隙もない。こんな精巧なアバターなど見たことがない。記者の仕事もそうだが、マンションギャラリーの女性スタッフはAIに駆逐されると確信した。
帰りしな、「このアバターは凄いですね」と声を掛けた。担当者曰く「生身の女性ですよ」「∑(๑ºдº๑)!!」(写真掲載は肖像権の問題があり不可とか。小生の視力は眼鏡をはめて0.2)
シアタールーム
〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える 東京建物「堂島」は坪単価650万円(2021/11/25)
大阪府の最高坪単価に 大和ハウス「梅田」 東急不「芦屋」には及ばず(2018/9/15)
素晴らしい!親子&木製シースルー玄関ドア 三菱地所ホーム「江北小路」完成
「江北小路」
三菱地所ホームは9月28日、東京都の「都有地活用による魅力的な移転先整備事業」第1号プロジェクト「江北小路」のメディア向け完成見学会を行った。同社が開発したFMT(Flat Mass Timber)構法を採用することで頑丈でフレキシブルな居住空間を造りだすとともに、外観・内装に〝現し〟をふんだんに採用している。素晴らしい建築物だ。
物件は、日暮里・舎人ライナー江北駅から徒歩11分、足立区江北4丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約775㎡、準耐火の木造一部鉄骨造3階建て延床面積約1,142㎡。1階が店舗、2~3階が賃貸住宅16戸。専用面積は29.57~72.13㎡、月額賃料は69,000円(坪7,700円)~。事業主は東京都都市づくり公社。設計監理はスタジオ•クハラ•ヤギ。施工は三菱地所ホーム。管理会社はハウスメイトパートナーズ。着工は2022年3月、竣工は2023年9月。木材使用量は約350㎥。2階の5戸が木密地域からの移転先対象住戸で、うち1戸が申し込み済み。全体では5個が申し込み済み。
移転先整備事業は、木密地域居住者の移転を促すため、コミュニティに配慮した共同住宅を整備するもので、三菱地所ホームなど4者による提案がプロポーザルで採択された。
建物は、南と北の2棟に分棟し、その間に自由歩行空間「みんなの小路」を整備することで、隣接する公園の緑と建物-戸建て住宅街を繋ぎ、設計・施工では、同社が開発した住宅用FMT構法を非住宅用に改良し、最大7.3mスパン(住宅用は6.6mスパン)、キャンチスラブ5.0m(同3.1m)を実現した。さらに、メンブレン防火被覆設計と燃え代設計により、1時間準耐火構造とし、外壁は多摩産材スギ材、床・壁・軒裏はカラマツCLT・集成材パネルを採用するなど、木造現しのデザインとしているのが特徴。
住戸の商品企画では、玄関ドアは1.2mの親子ドアで、ベイマツ材の框ガラスドアを採用。ドアと居室の間を土間空間とすることで、外と内を緩やかにつながる工夫を施している。居室床はカバザクラ、ドアはツガ材。窓はLow-Eガラス。
見学会で、同社常務執行役員ソリューション事業部門 部門長 都市木造開発推進部長・越川喜直氏は「都の木密地域の移転促進を図る事業の第1弾。当社などの4者の提案が採択されたポイントは、公園の緑と道路をつなぐ『みんなの小路』を整備し、コミュニティを醸成するプランにしたこと、FMT構法を非住宅用に改良することで自由なレイアウトを可能にしたこと、燃え代設計で構造を被覆しないで木の温かみを現しで表現したこと」などと語った。
越川氏(背後は現しの国産材の壁)
「みんなの小路」
親子&木製框玄関シースルードア
床、ドアも挽き板仕上げ
◇ ◆ ◇
現地に着いた途端、フェイクではない本物の木が現しで採用されている建物が目に飛び込んできた。と同時に、同社本店営業部長・鈴木正人氏(54)から声を掛けられた。もう、これで取材の100%が達成されたと思った。
その通りの結果となった。施設は文句なしにいい。今年の冬に取材したJKK東京「カーメスト興野町」もよかったが、さすが都の公社だ。これほどふんだんに木が使われている賃貸マンションは皆無だろう。玄関ドアが木製框のガラスなのにも驚愕した。かつて建築家の山本理顕氏がUR都市機構の「東雲キャナルコート」でSOHO利用を想定してシースルーの玄関ドアにしたのを見て以来だ。三菱地所ホームと設計監理のスタジオ•クハラ•ヤギに拍手喝采!
鈴木氏からは「わたしがソリューション事業部にいたときに受けた案件。余計なことは書くな」と、球速にしたら50~60キロもない牽制球(記者にとっては痛くもかゆくもない)を投げられたので多くは書かないが、知る人ぞ知る知らない人は知らない同社の〝名物男〟だ。記事を添付したので読んでいただきたい。
鈴木氏
宏遠側からの外観
◇ ◆ ◇
取材を終え、一杯飲もうと駅に向かっていたら、「江北小路」に近接する東京女子医大病院の隣接地に「カフェ&バー マリガン」「ビールセット1,000円」の看板・メニューが目に留まった。すぐ店に飛び込み「ビールセット1,000円」を注文した。コロナ禍で〝せんべろ〟を覚えたのだ。
写真を見ていただきたい。これで1,000円だ。ビールはもちろん、つまみのポテトチップス、特大のから揚げ、長崎のゆずドレッシング添えサラダはとてもおいしかった。お腹がいっぱいになったが、もう1杯ビール(400円)を注文した。料金は「興野町」の取材の帰りに飲んだ江北駅前の店の2分の1もなかった。
店内は「江北小路」ほどのスパンはないが、アメリカ・オークランドの飲み屋をイメージさせてくれる。いい店だ。
「カフェ&バー マリガン」の「ビールセット1,000円」
三菱地所ホーム 木造の常識を覆す新構法「FMT」 富裕層・非住宅用途に照準(2020/9/4)
駅前の再開発タワーマンション 住友不「シティタワー綾瀬」(422戸)販売開始
「シティタワー綾瀬」
住友不動産は9月25日、綾瀬駅前の32階建て再開発タワーマンション「シティタワー綾瀬」(全422戸)の第一期86戸の登録受付を9月23日(土)から開始したと発表した。
「綾瀬駅東口周辺地区地区まちづくり計画」に基づき、隣接地で足立区が開発を進めている「東口駅前交通広場」とともに、敷地内に歩道状空地・広場状空地を整備するなど地域に開かれた憩いのスペースを創出する。
共用部には個室ブースを備えたテレワークラウンジやフィットネスルームなどを備え、専有部は天井高最大約2,620から~2,670ミリ、食洗機、ディスポーザーなどを標準装備。一次エネルギー消費量を現行の省エネ基準値から20%削減する省エネ性能「ZEH-M Oriented」仕様とする。
物件は、東京メトロ千代田線綾瀬駅から徒歩1分、足立区綾瀬三丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率500%)に位置する32階建て422戸。9月23日から9月30日まで登録を受け付ける第1期(86戸)の専有面積は58.93~74.18㎡、価格は7,600万(坪426万円)~11,800万円(坪525万円)、最多価格帯7,600万円台。登録締め切りは9月30日。竣工予定は2025年8月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
これまでの問い合わせ件数は2,200件。都心直結、「大手町」駅直通21分の交通利便性、物件から徒歩1分圏内には飲食店や総合スーパーマーケット、公園などが揃う生活環境など資産性が評価されているという。