三井不動産グループ初 木造4階建てカーボンゼロの賃貸「北千束MOCXION」完成

「パークアクシス北千束MOCXION」
三井不動産レジデンシャルと三井ホームは9月5日、同社グループ初の木造4階建てカーボンゼロ賃貸マンション「パークアクシス北千束MOCXION」が竣工したことに伴う記者見学会を行った。「木」を構造材に用いることで、鉄筋コンクリート(RC)造と比較して建築時のCO2排出量を約50%削減し、再生可能エネルギーの一括受電とオール電化によりCO2排出量を実質ゼロにする。
「北千束」は、三井不動産レジデンシャルが事業主で、設計・施工を担当した三井ホームの木造「MOCXION」技術により、全フロアの構造部材に木を採用し、RCと同様の高気密・高断熱を実現した。共用部の一部には三井不動産グループの保有林から採取した木材を使用している。三井不動産レジデンシャルリースが運営する。
再生可能エネルギーの一括受電×オール電化と「太陽光パネル」の設置によりCO2排出量実質ゼロと創エネを実現。「LEED®認証」のほかBELS に基づく評価「ZEH-M Ready」を取得。国土交通省「優良木造建築物等整備推進事業」にも採択されている。
物件は、東急大井町線北千束駅から徒歩4分、大田区北千束二丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率200%)に位置する木造(枠組壁工法)4階建て33戸。専用面積は28.12~54.95㎡。家賃は129,000円~313,000円。平均坪賃料は1.7万円。竣工は2023年8月31日。事業主は三井不動産レジデンシャル。設計・施工は三井ホーム。
耐火・断熱・遮音性能を高めるため界壁厚380ミリ、界床厚490ミリ確保しており、RC造以上の厚さとなっているのが課題のようだ。(柱・梁型はでないが)
見学会では、遮音性能LH55、LL45をクリアしている界床の性能を確認できるよう、実験装置を使って、子どもがバタバタと飛び跳ねる音と同じくらいの音を上階でたて、下階ではどのように聞こえるか体験できるコーナーが設けられていた。記者はまったく聞こえなかった(他の若い記者の方はかすかに聞こえているとのことだった)。
賃料設定は、近隣相場より1割増の坪賃料1.7万円。募集を開始したばかりだが、3戸に申し込みが入っている。
「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」で行っている全館空調の実証実験のデータは収集しているが、実用化にはまだ時間がかかることを明らかにした。

木調バルコニー、ルーバーデザインを施した外観

木調庇デザイン

本物のカバザクラを採用した共用部分の天井

〝三井の森〟から採取した木片を共用部分の壁に採用
◇ ◆ ◇
記者は、わが国で一番美しい女性は吉永小百合さんで、もっとも美しい木造住宅を建てるのは三井ホームだと信じて疑わないのだが、同社の「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」を取材したとき、同社技術研究所研究開発グループマネージャー・小松弘昭氏が「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し。木の性能、コストなど科学的・合理的なことのほうが大事」と言い放ったアフォリズムがその後ずっと頭の片隅に棲みつき、ことあるごとに〝お前はまだその呪縛から解き放たれないのか〟という叱声がよみがえり、責め苦となっている。
今回も現しを期待はしていなかったが、やはり外観も内観もボードやらクロスなどケミカル製品にほとんどが覆われ、鉄やコンクリ造となんら変わらなかった。歌舞伎の女形は理解できるのだが、赤子の柔肌のように美しい木をなぜ覆い隠すのかさっぱり分からない。
気になったのは、にもかかわらず、プレス・リリース、説明資料にはCO2削減など木造が果たす経済的価値だけでなく、「1階の風除室からエントランスホール、共用部ラウンジの天井には、天然木である赤樺の仕上」「木調庇」「木目のバルコニースラブと縦ルーバーを外観デザインの軸として、『木』を強調するデザイン」「『木』ならではの安らぎを共用部で感じていただけるよう、共用ラウンジの壁面に三井不動産グループ保有林から採取した木材を使用」「木のぬくもりが心地よい」「木の香りに癒される」「室内の湿度を調整する」などと「木」(調を含めて)の効果を強調していることだ。
この建物に入居者は木のぬくもりや香りによって癒されるのか、「木調」デザインは「木」そのもののデザインと同じ効果をもたらすのか。家賃設定は相場の1割増と言うのは「木」の価値を価格に転嫁したためか。
小松さんは、あれ以来発表会には〝お現し〟にならない。もう一度、現しがもたらす効果・価値は経済的価値と比べれば低位なのか、しっかり説明してほしい。小生の呪縛を解いていただきたい。一日千秋の思いでお待ち申し上げております。(それでも小生を説き伏せることは無理だと思うが)

界壁(左)と界床
賃料は「調布並み」でも申し込み殺到 三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)
外貌の呪縛を解き放つか 「現しを求めるのは木造コンプレックス」三井ホーム小松氏(2021/12/9)
建ぺい率40%、容積率80%の1低層に全6棟 積水ハウス「The 山手プロジェクト」

「グランドメゾンThe山手118」
積水ハウスが先にオープンした「グランドメゾンThe山手118」(7戸)と「グランドメゾンThe山手249」(18戸)のコンセプトルームを見学した。高級住宅街として知られる横浜市中区山手台で展開する3階建て全6棟74戸の「The山手プロジェクト」のうちの2棟。神奈川県で初めて坪700万円を突破するだけでなく、中心プランは120~130㎡以上、価格は2~3億円以上という桁違いのプロジェクトだ。同社の矜持を見た。
同プロジェクトは全6棟74戸の規模で、用地は山手エリアに点在していたインターナショナルスクールが校舎の老朽化により本牧へ移転するのに伴い、同社が取得したもの。2023年6月に竣工した「グランドメゾンThe山手241」(11戸)と今回の2物件のほか、「グランドメゾンThe山手253」の「Garden」(14戸)「Marks」(14戸)「Hills」(10戸)を順次分譲する。
現地は、建ぺい率40%、容積率80%の第一種低層住居専用地域に指定されており、旧外国人居留地として形成された街の歴史や文化を継承するため設けられている「山手地区都市景観形成ガイドライン」によって色彩、建築物の絶対高さ、眺望の確保、樹木・緑地の保全、屋外広告物の禁止などの厳しい規制が設けられているエリアの一角。
「グランドメゾンThe山手118」は、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩9分、横浜市中区山手町118番に位置する3階建て全7戸。専有面積87.64~164.56㎡。すでに4戸が分譲済みで、2023年9月15日から分譲される住戸(3戸)の価格は29,000万円(138㎡)~50,000万円(164㎡)、坪単価722万円。完成予定は2024年5月下旬。
「グランドメゾンThe山手249」は、同駅から徒歩6分の横浜市中区山手町249番に位置する3階建て全18戸。専有面積は76.06〜124.25㎡。すでに12戸が分譲済みで、2023年9月15日から分譲される住戸(6戸)の価格は12,800万円(79㎡)~22,000万円(124㎡)。坪単価572万円。完成予定は2024年6月中旬。全6棟のうち唯一90㎡以下の住戸が中心。
「グランドメゾンThe山手241」は、同駅から徒歩10分、横浜市中区山手町241番に位置する3階建て全11戸。9戸が分譲済みで、現在分譲中の住戸(2戸)の価格は28,000万円(130㎡)・32,000万円(133㎡)、坪単価753万円。建物は2023年5月竣工済。
3物件とも設計・監理は坂倉建築研究所。施工は佐藤秀。
ギャラリーは、元町・中華街駅から徒歩1分。大野幸子氏、守谷玲太氏、吉井こころ氏、大野愛氏の4氏のアーティストの19作品が展示されており、コンセプトルームは137㎡で、LD27.5畳大、K7.4畳大、主寝室14.5畳大、クローゼットルーム8.4畳大、玄関5畳大など。基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented対応、リビング・居室天井高2500ミリ(一部除く)、突板ドア・建具、挽板フローリング、食洗機、ディスポーザー、ハイサッシ、ミストサウナ、スロップシンクなど。オーダーメイドにも対応する。
同社東京マンション事業部販売部リーダースペシャリスト・長嶺伸之氏は、「プロジェクトは、街になじみ調和することをコンセプトに、山手エリアの歴史と文化を継承し街並みになじむよう、時代の流行を追わず、正統派を追求しました。平均専有面積が162㎡だった『伊勢山』ほどではありませんが、住戸は130㎡以上を中心に、駐車場は100~150%、緑被率を20%確保しました。来場者の皆さんには当社の考えに共感を頂いています」と語った。

「グランドメゾンThe山手249」

「グランドメゾンThe山手241」
◇ ◆ ◇
同社がアーティスト・星野源氏を起用してグランドメゾンのブランド広告をスタートし、コンセプトルームを公開すると発表したのは8月17日だった。〝これは見ないといけない〟と考え、見学をお願いし実現した。
ギャラリーに着いた途端、その造り込みの丁寧さに相当力の入っているプロジェクトだと直感した。その通りであることは前段の記事を読んでいただければ分かるはずだ。同社は最近、「5本の樹計画」をオープン化し、東大との生物多様性と健康に関する共同研究、さらには地域工務店と連携した「SI(エス・アイ)事業」の立ち上げなど、環境共生、地域共生の取り組みを強化している。今回のプロジェクトもその一環なのだろう。
長嶺氏とは「伊勢山」以来久々にお会いした。今回もまた桁違いの商品企画だ。長嶺氏は「グランドメゾンと街をつなぎ、価値を高めていく自負がある」とも語ったが、デベロッパーが分譲するタワーマンションの億ションとは一味も二味も異なるのは間違いない。
第一種低層住居専用地域(1低層)について補足する。建ぺい率40%、容積率80%の高級住宅街は今回の山手のほかでは芦屋市六麓荘、大田区田園調布、世田谷区成城、尾山台、等々力、上野毛など、千葉県の市川市国府台、菅野などがよく知られている。(埼玉県の都心寄り地域にはないはず)
この建ぺい率40%、容積率80%の1低層に位置するマンションとしては、三菱地所が2014年に分譲した「ザ・パークハウス上鷺宮」くらいしか思い出せない。(隈研吾氏が設計した建ぺい率40%、容積率60%の「プロスタイル札幌 宮の森」は別格)

マンションギャラリー外構

マンションギャラリーエントランス

吉井こころ氏のガラスアート

コンセプトルーム キッチン

コンセプトルーム リビング

コンセプトルーム 玄関
隈研吾氏が設計 坪700万円超でも好調スタート プロポライフ「札幌 宮の森」(2022/9/23)
23区最大の第一種低層 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス上鷺宮」(2014/4/4)
億ションの歴史を変える積水ハウス「グランドメゾン伊勢山」(2011/5/13)
「ひだ」「もやい」「照り・むくり」を「結う」デザイン 「HARUMI」賃貸募集へ

賃貸街区「PORT VILLAGE」
三井不動産を幹事会社とする「HARUMI FLAG」の賃貸街区事業主10社は8月29日(火)、賃貸街区「PORT VILLAGE」のオフィシャルサイトを開設したと発表した。賃貸街区は全4棟1,487戸で、2023年9月下旬に入居者の募集開始し、2024年1月下旬に入居開始を予定している。
「PORT VILLAGE」は、街区中央にサクラやケヤキなど62種約700本の植栽を施し、約7,000㎡の中庭空間を設け、噴水とともに水景を配置した「MINAMO GARDEN」、子ども用の遊具などを配置した「KODOMO PLAZA」を整備する。街区内には、保育園が開設されるほか、隣接地には中央区立小中学校が新設される予定。
建築物のスカイラインは「ダイナミックシンメトリー」を採用。日本の洗練された建築の伝統が感じられるスカイラインをデザイン。建物は3層の構成とし、分節手法による「ひだ」「もやい」「照り・むくり」を外装の要素に取り入れ、それらの要素を「結」うランドスケープを創出する。
一般賃貸住宅は、単身者やDINKS、ファミリー、シニア層の入居を想定し、幅広いプランバリエーションを用意。共用部分には約350㎡の大浴場のほか、多目的に使用できるイベントスペース、キッチン付きのパーティルーム、フィットネスルーム、シアタールーム、ワークスペースや会議室を設置する。
シニア・ケアレジデンス、シェアハウス、保育施設の運営は東急イーライフデザイン、シェアハウスの運営はリビタ、保育施設の運営はポピンズ エデュケア。
物件は、都営地下鉄大江戸線勝どき駅から徒歩14~16分(新交通システム「BRT」により新橋駅や虎ノ門に直結予定)、中央区晴海五丁目に位置する敷地面積約26,300.㎡、15~17階建て4棟1,487戸(一般賃貸住宅1,258戸、シニアレジデンス158戸、シェアハウス(71戸/114室)、ケアレジデンス50室)。専用面積は一般賃貸住宅が28.71~103.03㎡・159.20㎡・171.66㎡、シニアレジデンスが36.68~66.31㎡、ケアレジデンスが18.17~20.57㎡、シェアハウスが25.01~92.09㎡。竣工予定は2024年1月15日。入居予定は2024年1月下旬。設計は日建ハウジングシステム、東急建設、施行は東急建設。
「HARUMI FLAG」は、約13haの東京都施行による晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業で、特定事業者11社による5,632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設の合計24棟から構成される、人口約12,000人の街づくり計画。

全体敷地配置図

「PORT VILLAGE」配置図

中庭
◇ ◆ ◇
戸数規模だけなら、UR都市機構のほか民間賃貸でも今回の「PORT VILLAGE」より大きい物件はありそうだが、これほど多彩なプランを備えたものはまず他にないはずだ。
記者はランドスケープデザイン、建物のファサードに注目した。とくに建物の外観デザインは、超高層の「HARUMI FLAG SKY DUO」もそうだが、シンメトリーなのがいい。それに「ひだ」(プリーツ)「もやい」(結び方)「照り・むくり」(反り・起伏)「結う」(結合)などのわが国の伝統的な建築手法を用いているという。街区名に三井不動産のマンションブランド「Park」(公園)でも三菱地所の「Park」(駐車場)でもなく、「PORT」(港)にし、かつて東急不動産のブランド「VILLAGE」を用いたのは施工が東急建設で、シニア・ケアレジデンス、シェアハウスなどの運営を東急イーライフデザインが担当するからか。完成したらしっかり見学したい。

ファサードデザイン

メゾネット住戸

シェアハウス共用部分
三井不レジ シェアリング型賃貸マンション「SOCO HAUS(ソコハウス)」開発

専用部
三井不動産レジデンシャルは8月28日、都会の〝身軽でゆたかな暮らし〟を目指したシェアリング型の賃貸レジデンス「SOCO HAUS(ソコハウス)」を開発し、同日、ブランドサイトhttps://www.soco-haus.comを開設したと発表した。第一弾の女性専用「SOCO HAUS KORAKUEN」を2024年春に開業する。
同社グループの事業提案制度「MAG!C」を通じて生まれたもので、都市部での家賃は上昇を続けており、若年層にとっては豊かな暮らしをおくることのハードルが高くなっていることに着目し、使用頻度の少ない家具・家電を共用部に配置、自室をコンパクトにしながら自由に使えるスペースを確保しているのが特徴。
共用部には上質な空間や高機能でこだわりのある家具・家電を用意し、入居者の嗜好性にフォーカスし、ライフスタイルや価値観と親和性の高いサービスを厳選して提供する。企画にあたっては、プロジェクトの想定顧客と嗜好性の近い社員モニターを対象とした実証実験を実施している。
第一弾の女性専用「SOCO HAUS KORAKUEN」は、かつて同社の社員寮であった建物をリノベーションしたもので、東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅から徒歩9分、都営地下鉄大江戸線・三田線春日駅から徒歩9分、文京区春日二丁目に位置する敷地面積約755㎡、6階建て全76戸。専用面積は15.90~18.00㎡。入居募集開始予定は2023年12月。竣工予定は2024年2月。

ラウンジ

ライブラリー

キッチンスタジオ
◇ ◆ ◇
ネーミングの「SOCO HAUS(ソコハウス)」から、記者は徒然草の「心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば」を思い浮かべ、あるいはまた、都会の「底」に住むしかない若年層の住まいを連想したのだが、そうではないようだ。
「SOCO」は、「Small Options, City Oasis」というキーワードの略称とかで、狭いキッチンや使用頻度の少ない家具・家電は居室の外に置き、生まれたスペースで住む人が実現したい新しいライフスタイルを叶えるという想いを表現しているのだという。
なるほど。いわゆるZ世代の人と話し合ったことがあるが、些細なことには徹底してこだわる一方で、モノを所有する、独り占めにするという意識は希薄で、共用に対する抵抗感がないことに驚かされた。
賃貸だけでなく、分譲マンションにもこうしたシェアリング型がどんどん増えるのではないか。
コスモスイニシア BLEA学園とコラボ 第1弾「北千住の街紹介」SNSで発信

コスモスイニシアは8月25日、型にはまらない若者に合わせた教育を展開する「BLEA学園」とのコレボレーションにより、新築分譲マンションの建設地域周辺の「街紹介」を女子高生が企画・立案・作成した動画として同日からSNSで配信開始したと発表した。第1弾は「北千住の街紹介」。
BLEA学園運営責任者/放課後ぴーす代表:中野純吾氏は「『不動産業界とギャル』というのは、普通ならば絶対に交わる事のない要素ですが、それらが交わった時に今までにない新しいコンテンツが生まれて、尚且つそれが教育にも繋がる内容であればとても素晴らしい企画になると感じました…また今回の“マチカツ”の1つのテーマでもある『“不動産業者は有利な事しか言わない“という消費者イメージを払拭する』を達成するために、自由奔放なギャル学生を起用することで、インタビュー内容に真実味を持たせられるのではないかと考えました。世間的には“勉強が苦手なギャル”というだけで将来を不安視されることもありますが、それぞれの個性や特技を活かせる環境を用意することで、成功体験を積み、自信と経験を付け、いずれは社会で活躍できる大人に成長してもらえたらという期待を込めて、今回の企画を取り組ませていただきます」とコメントしている。
同社はこれまで、マンション建設地域の住民らと花を植える街の美化活動「ハナサカ」、防災イベント「防災コミュニティ」づくりなどの「マチカツ」活動を実施している。

◇ ◆ ◇
リリースは何のことなのかさっぱりわからず、スルーしようと思ったが、中野氏の「不動産業界とギャルというのは、普通ならば絶対に交わる事のない要素」「“不動産業者は有利な事しか言わない“という消費者イメージ」「世間的には“勉強が苦手なギャル”」という直截的なコメントに気を引かれたので、「BLEA学園」のサイトを見てみた。
同学園には、高等部・専門部・大学部があり、「美容、芸能、アパレル業界と共に“即戦力となる人材育成”を行っている学校」と紹介されている。画像も見たが、確かに〝普通〟とは異なるようだ。
そんな〝普通と違うギャル〟が、記者歴40年以上の記者ですら見抜くのが難しい〝不動産業者は有利な事しか言わない〟-つまり嘘や不利なことを発見し、どうしてそのイメージを払拭するのか、そのSNS第一弾の「北千住の街紹介」を視聴した。ほんの数秒しか流れなかった。そのあとは「ケセラセラ」。なんだこれは。
マンション管理適正評価制度にインセンティブを 国土交通省へ要望 マンション管理協
写真左は国土交通省 住宅局・下村参事官(左)と同協会 小佐野 業務・法制委員長、写真右は同省不動産・建設経済局・宮本参事官(左)小佐野氏
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は8月25日、「マンションの適正な管理を確保するための方策に関する要望」を国土交通省に8月23日に提出したと発表した。要望は以下の通り。
【Ⅰ】マンションの適正な管理を実現するための方策
(1)管理計画認定マンションで長寿命化に資する大規模修繕工事が実施された場合の固定資産税額を減額する特例措置が創設されたが、同協会で行う評価制度において、一定の評価を受けたマンションのインセンティブとして、制度の対象の拡充を検討いただきたい
(2)住宅金融支援機構によるマンション共用部分リフォーム融資(高齢者向け返済特例)の金利について、マンションすまい・る債積立管理組合に適用される金利と同程度に優遇していただきたい。同融資の保証料についても、減免もしくは免除を検討いただきたい。また、住宅金融支援機構によるマンションの専有部分において部分的バリアフリー工事やヒートショック対策工事を行う際のリフォーム融資(高齢者向け返済特例)の金利優遇や保証料の減免もしくは免除を検討いただきたい
【Ⅱ】適正な管理組合運営を担保するための法関連の見直しに関する要望
(1)マンション標準管理規約の改訂を検討いただきたい
(2)分譲マンションにおける管理員配置義務の緩和について、東京都23区では各区毎にマンションに対する条例(規定)が設けられているが、管理員の駐在体制について、廃止もしくは緩和に関する国土交通省の力添えを頂きたい
東京建物不販 「マンション管理適正評価制度」サイトに掲載
東京建物不動産販売は8月22日、東京建物住みかえサイト「マンションデータベース(https://sumikae.ttfuhan.co.jp/database/)」にマンション管理業協会が運営する「マンション管理適正評価制度」で評価された物件を同日から開始したと発表した。
同制度の紹介サイトは東急リバブル、三井不動産リアルティ、野村不動産ソリューションズ、アットホーム、大京穴吹不動産に次いで6社目となる。
★5つは21% 会員間の競争を促すべき マンション管理協 マンション適正評価制度
マンション管理業協会理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は8月18日、2023年度第1四半期のマンション管理適正評価制度の登録状況をまとめ発表した。
登録件数は1,359件(2022年3月末1,195件)で、★の数別では★2つが167(登録件数に占める割合12.3%)、★3つが457件(33.6%)、★4つが444件(32.7%)、★5つが291件(21.4%)。竣工年別では最多竣工年帯が2001年~2010年が全体の27%を占め、戸数が多くなるほど★5の割合が高くなり、築浅になるほど★5の割合が高くなっている。
今後の加点ポイントとして、管理規約の改正、認定基準の要件に準拠した「長期修繕計画」の作成、国の基準額を上回る修繕積立金の設定、防訓練の実施などをあげている。
◇ ◆ ◇
記者は、中古マンション購入検討者だけでなく、新築マンション購入検討者もまた、この適正評価制度は参考になると期待している。
なので、2023年3月末時点での★5つのマンション232件を管理会社別にまとめたのが添付した記事だ。
ベスト5は①伊藤忠アーバンコミュニティ(UC)43件②三井不動産レジデンシャルサービス35件③野村不動産パートナーズ33件④長谷工コミュニティ24件⑤東急コミュニティー18件だった。
伊藤忠都市開発のマンション商品企画は高いレベルにあるのは取材を通じて分かってはいるが、累計供給戸数では上位10社にも入らないはずだ。なのに、どうして★5の管理戸数が多いのか。今年9月に行われた同協会の総会で、伊藤忠アーバンコミュニティ代表取締役社長・深城浩二氏に聞いた。
深城社長は「星の数が多いことのみが高い評価を得ているとは考えていない。星が2つでも3つでも進んで登録しようとする管理組合を増やすようにしなければならない。そこに価値がある。当社のスタッフもそのために頑張っている」と話した。
★の数より登録件数という優等生的な回答に驚き、納得もしたのだが、ならば、同協会副理事長・小佐野台氏(日本ハウズイング代表取締役社長CEO)が「2年後のマンション適正管理評価件数を1万戸にするには、会員354社の管理件数の1割で達成できます。ちょうど1割、たった1割で達成できます」と呼び掛けたように、同協会は管理会社別の登録件数や管理戸数に占める登録件数比率を公表し、会員会社間の競争を促すべきだと思っている。そうしないと2年後の登録件数1万件達成は難しいのではないか。
星の数より件数2年後の適正管理評価1万件目指す マンション管理協 総会・懇親会(2023/6/14)
登録件数1000件突破 ★5つ最多は伊藤忠アーバン マンション管理適正評価(2023/4/2)
長谷工総研「CRI」2023年下期のマンション市場見通し/カバー率、工期を考える

国土交通省 住宅着工統計から

住宅着工統計、CRI、レインズデータから作成
長谷工総合研究所の「CRI」最新号540号(8月号)は、「首都圏 近畿圏 分譲マンション市場動向」を特集し、2023年上半期と下半期の見通しを紹介している。総括として、首都圏の上半期の販売初月販売率は70%を上回り、購入者の多くが選択する変動型住宅ローン金利は低位で推移していること、賃上げの動きも購入マインドに好影響を与えていることなどから、販売状況の見通しでは下半期も販売は堅調に推移し、首都圏の通年供給戸数は31,000戸と予測している。
詳細はCRIを読んでいただきたいが、注目点は大幅な価格(単価)上昇だ。首都圏上半期の供給戸数は10,502戸で、分譲坪単価は前年比38.9%アップの436万円、平均価格は同41.1%アップの8,873万円となり、ともに過去最高値となった。主な要因として、都心部で大規模物件の供給があり、都内23区の供給比率を46.7%(前年36.5%)に高め、坪単価も同49.4%アップの635万円となったことをあげている。
ここでは、マンションの基本性能・設備仕様の退行はさておき、CRIで触れられていないことを中心に記者なりの考えをまとめてみた。

着工統計、CRIから記者作成
まず、先行指標であるマンション着工戸数と供給戸数の乖離(記者はカバー率と呼ぶ。以下同じ)について。CRIは、総戸数200戸以上の大規模物件は、着工から分譲までの期間が延びる傾向にあるとし、1年超の物件比率は2012年が31.1%だったのに対し、2022年は60.7%に上昇していると指摘している。着工=供給ではなく、タイムラグを考慮に入れないといけないということだ。しかし、着工された物件が途中で工事中止になり、供給されないことはまずありえない。
その着工と供給の関係を図示した。2009年から2022年のマンション着工戸数は首都圏が823,304戸、近畿圏が325,652戸、合計1,148,956戸で、首都圏:近畿圏は71.7:29.9となっている。一方、供給戸数は首都圏が543,325戸、近畿圏が276,660戸、合計819,985戸で、首都圏:近畿圏は66.3:33.7となっている。着工戸数に占める供給戸数割合(カバー率)は首都圏が66.0%、近畿圏が85.0%となっている。
なぜこのような結果になっているか。関係者はご存じのはずだが、首都圏の調査対象には専有面積が30㎡未満は除外されており、近畿圏は含まれているからだ。着工比率は首都圏71.7%:近畿圏29.9%なのに、供給比率は首都圏66.3%:近畿圏33.7%になっているのはこのためだ。
問題は、着工戸数から供給戸数を引いた首都圏279,979戸、近畿圏48,992戸はどうなったかだ。記者は、着工戸数の2割近くが30㎡未満で、約15%が地権者向け・優先住戸とみている。カバー率は好況期で着工が増加したときは下がり、不況期で着工が減少したときは上昇する傾向にある。景況感を判断するにはこのカバー率や価格(単価)動向、在庫数をチェックする必要がある。好例は2008年と2009年だ。カバー率がもっとも高かったのは2009年の90.8%で、もっとも低かったのはその前年の2008年の43.4%だ。リーマン・ショックの影響により中堅デベロッパーが相次いで破綻し、市場が混乱したことを数値は示している。
次に、市場規模について。マンション着工戸数、供給戸数、平均価格、カバー率などから推計すると、金額ベースでは、過去もっとも供給が多かった2000年(95,635戸)は約4.7兆円で、2022年は約3.2兆円だ。着工・供給が激減しているものの、金額ベースではそれほど落ち込んでいないことが分かる。
中古マンション市場はどうか。東日本レインズのデータによると、2022年の成約件数は35,429件で、過去最多だった2021年の39,812件を下回ったものの、11年連続して3万戸台を維持した。1戸当たり平均価格は前年比10.5%上昇の4,276万円となり、過去30年間で最も高く、坪単価は前年比12.4%上昇の221.9万円となり、こちらも過去30年間で最高価格になっている。金額ベースでみると、2000年は約5,200億円だったのが、2022年は1.5兆円と2.9倍に拡大している。
これらの数値から、新築と中古を合わせた市場規模は、2000年が約5.2兆円であるのに対し、2022年は4.7兆円と推測される。リーマン・ショック前に戻りつつあると見ることができる。
問題はこの先どうなるかだ。新築マンション着工・供給戸数は社会経済動向のほか、高値圏にある価格水準、住宅ローン金利動向などから判断して漸減するのは間違いない。
中古マンション市場はいま一つよく分からないのだが、在庫件数は成約件数のほぼ同数で、在庫の1戸当たり平均価格も過去30年間で最高の4,064万円になっており、市場では高値警戒感も浮上している。新築と連動しているので注視したい。

建設物価調査会「建設物価 建築費指数」
とはいえ、新築価格が下がる要因はほとんどない。日本建設業連合会(日建連)の「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」パンフレット(2023年7月版)によると、全建設コストに占める割合が50~60%を占める建設資材物価は2021年1月と比較して26%上昇し、全建設コストを13~15%引き上げている。全建設コストの3割を占める労務費も上昇しており、全建設コストは3%上昇。この29か月間で全建設コストは16~18%上昇しているとしている。現在も躯体、仕上げ、設備など幅広い分野で納期遅延が発生し、職人不足による工期への影響が出ており、ウクライナ情勢次第では、さら幅広い資材の納期遅延や逼迫が発生する恐れがあるとしている。
また、建設物価調査会の2023年7月の「建設物価 建築費指数」では、集合住宅(鉄筋コンクリート造)の工事原価指数は2015年を100とした場合、123.1(木造住宅は131.3)となっており、2020年比で20ポイント近く上昇。日建連のパンフレットを裏付けている。
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以上述べたように、建築費の上昇は顕著だが、消費者の住宅取得意欲は旺盛で、今後も堅調な市場が続くと記者も見ている。
いまひとつ分からないのは工期だ。国土交通省は「適正な工期」を徹底させることを求めており、他業種と比べて圧倒的に高い中小企業比率、常態化している長時間労働、生産性・営業利益率の低さ、人材不足、低賃金など建設業の働き方改革は喫緊の課題とされており、その一環として2024年4月からは「時間外労働の上限規制」の適用も実施される。
これらはコスト上昇の要因になるはずなので、実態はどうなっているか調べようと思ったが、そのようなデータはない。(かつて長谷工コーポレーションは、工期を最大約40%短縮する「マンションEC工法」を開発した)
データがないどころか、「適正な工期」を徹底させるためには大きな壁があることを、国土交通省の「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」(2023年5月31日発表)結果は示している。
注文者から提案された工期について、「妥当な工期の工事が多かった」と回答した建設企業は66.6%であったものの、「短い工期の工事が多かった」は29.2%を占めた。休日の取得状況については、「4週6休程度」が44.1%でもっとも多く、「4週8休以上」は8.6%にとどまっている。
適正工期を確保するための有効な方法として、発注者の81.0%は「受注者が、発注者に施工に必要な工期を説明すること」をあげたのに対し、建設企業を対象とした調査では76.0%が「注文者の理解が重要」と回答した。
ここに〝同床異夢〟であり、発注者と受注者の綱引きの構図が読み取れるのだが、ことは容易でない。監視役の国交省の手加減次第で揺れ動く。その背後には消費者の価格下げ圧力もある。
同省は、全建設プロセスにICTを導入するプロジェクト「i-Construction」により、これまでより少ない人数、少ない工事日数で同じ工事量の実現を図り、2025年までに建設現場の生産性2割向上を目指しているが、どうなるか…。
7月の中古マンション成約件数 前月に続いて前年比増加 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は8月10日、首都圏の7月の不動産流通市場動向をまとめ発表。成約件数は、マンションは前月に続いて前年同月比で増加し、戸建ては19か月連続で減少した。
マンションは、成約件数3,236件(前年同月比4.3%増)、坪単価は237.3万円(同5.0%増)、価格は4,563万円(同4.9%増)、専有面積は63.44㎡(同0.03%減)となった。坪単価は39か月、価格は38か月連続の上昇。地域別では、成約件数は埼玉県以外の地域は前年比で増加したが、埼玉県は19か月連続して減少した。坪単価は全ての地域で上昇した。
中古戸建ては、成約件数1,155件(同1.8%減)、成約価格3,848万円(同1.5%増)、土地面積140.98㎡(同0.6%増)、建物面積103.47㎡(同0.05%増)。地域別では、成約件数は東京都区部と横浜・川崎市以外の地域が前年比で減少し、埼玉県は19か月連続で前年同月を下回った。

