業界初 家庭の脱炭素の取り組みに特典・商品提供 三井不レジ「くらしのサス活」
三井不動産レジデンシャルは11月15日、東京電力エナジーパートナーとファミリーネット・ジャパンの協力のもと、日々のくらしを豊かに、楽しみながら、持続的に脱炭素活動が行える「くらしのサス活」を12月1日から開始すると発表した。この種の取り組みは住宅業界初という。
「くらしのサス活」とは、すまいとくらしにおける脱炭素行動のリスト化と同社マンションの住戸ごとのCO2排出量・削減量の見える化を実施し、これらを活用した脱炭素活動への参加を募り、その参加者に対し抽選で商品・特典を提供するもの。
今年度は、第一弾としてTOKYO UNITE(東京をホームタウンとする14のスポーツチーム・団体が参画)とタイアップした「くらしのサス活2022冬」を開催。厳しい電力需給が想定される12月1日から2023年1月31日の2か月間、自宅でできる脱炭素活動をまとめた「くらしのサス活リスト」を配布、期間内にリスト記載の脱炭素活動を実施し、応募の中から抽選でTOKYO UNITE参画チーム・団体による特典を提供する。取り組み期間中に約1,000tのCO2削減を目指す。
同社は、首都圏マンションの各住戸でCO2排出量・削減量をDXにより自動集計および見える化し、入居者が定量的なCO2削減量に応じた様々な特典を得られる仕組みの構築を進めている。
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結構な取り組みだが、業界初とは驚いた。業界では、集客を増やすためにモデルルーム来場者に分譲価格にオンされる数千円の商品券などを配布する一方で、一括受電や高効率エアコン、エネファーム、エコジョーズ、保温浴槽、節水トイレ、LED照明などの採用により年間光熱費は数万円も節約できるなどと宣伝している。
CO2削減では、マンション家計簿もそうだ。例えば、三菱地所レジデンスの「soleco(ソレッコ)」。同社はもう10年くらい前から光熱費などの「見える化」を進めており、戸別のCO2排出量を記載している。同様のサービスをみんな行っていると思っていた。
三井不動産レジデンシャルのマンションでの脱炭素の取り組みでは、建築時に高耐久部資材を採用することで、運用段階のCO2排出量を約38%削減し、60年間で大規模修繕工事回数を2回減らすことができ、約14%のコストを削減する試みに注目している。その第一弾「パークホームズ志木コンフォートテラス」135戸に消費者はどのように反応するかにも興味がある。
既に分譲は始まっており、物件ホームページでは購入者22名のアンケート調査による「購入のポイント」がYouTubeで配信されている。最大の評価ポイントは「70㎡超で5,000万円台」の価格帯で、その他は生活利便性、立地、眺望、共用部、間取りなどだった。CO2削減・コスト削減も購入のポイントになっていることの言及はなかった。
マンション購入検討者としては、3K(価格・交通便・環境)が重要であって、管理費や修繕積立金の額は二の次になるのは理解できるが、デベロッパーのこのような脱炭素の取り組みを適正に評価することも求められている。
この点に関連することだが、マンションの資産価値・居住価値の見える化を進めるマンション管理適正評価制度がスタートした。管理の良否を★5つ(★なしを含めて6段階)で評価するもので、現在126物件が登録されている。このうち満点の★5つは43件で、管理会社別では三井不動産レジデンシャルサービスの7物件が最多。以下、伊藤忠アーバンコミュニティーの5物件、長谷工コミュニティの4物件、野村不動産パートナーズの4物件、東急コミュニティーの3物件、三菱地所コミュニティの3物件となっており、この6社で半数以上を占めている。
あと数年もすれば、マンション管理会社もデベロッパーもこのようなデータによって評価・選別される時代が間違いなくやってくる。
全館空調「withairⓇ CUBE(ウイズエアーキューブ)」開発 長谷工コーポなど
長谷工コーポレーション、プライム ライフ テクノロジーズ、パナソニック建設エンジニアリングの3社は11月14日、住戸内の空調管理をルームエアコン1台で行うことのできるマンション専有部向け全館空調熱交換気システム「withairⓇ CUBE(ウイズエアーキューブ)」を共同で開発したと発表した。長谷工の賃貸マンション「サステナブランシェ本行徳」の一部住戸に採用する予定。
パナソニックの空調機器をベースとし、長谷工のマンション建築・設備のノウハウをシステムに反映しており、パナソニック建設エンジニアリングがシステムの設置工事を行う。
①居室間や非居室間の温度差を縮小し、ヒートショックリスクや熱中症リスクを低減②粉塵除去率の高いHEPAフィルターを搭載することで、住戸全体で高い空気清浄性能を実現③メンテナンスが不要かつ自動給排水を可能にする④寝室で発生する二酸化炭素を住戸内全体に希釈しながら室外に排出⑤換気による熱ロスを最小限に抑え、暖冷房の消費電力量を約7%削減するのが特徴。
今後、長谷工グループが手掛ける分譲マンションや長谷工の設計施工マンションを中心に導入提案を積極的に進めていく。
「サステナブランシェ本行徳」は、東京メトロ東西線妙典駅から徒歩6分、5階建て全36戸。1990年2月(築32年)竣工。改修竣工は2023年春頃。
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マンションの全館空調システム開発は、三菱地所レジデンス・三菱地所ホームの「エアロテック」、野村不動産の「床快full(ゆかいふる)」、三井不動産レジデンシャルの「AirLOGY」に次いで4件目だ。長谷工の開発によって、ほとんどのマンションに採用が可能になった。
階高・天井高が低い中古マンションでは施工は難しいのだろうが、加速度的に普及しそうな気がする。
資産価値と共に居住価値の見える化に全力 適正評価制度 マンション管理協
マンション管理業協会は11月10日、恒例の記者懇親会を開催し、同協会副理事長でマンション管理適正評価制度委員会委員長・福田明弘氏(野村不動産パートナーズ社長)は「今年4月から制度をスタートさたが、不動産流通会社やポータルサイトとの連携ができており、会員各社へのアンケートの結果、公開件数は今年度末までに1,000件、3年後には1万件超になる目途がついた。居住価値の見える化を図ることによって、資産価値だけでなくハード・ソフト両面で中古マンションが適正に評価されるよう、業界を挙げて取り組んでいく」と語った。
マンション管理適正評価制度は、良好な管理のマンションが中古市場で適正に評価されるようにするために設けられた制度で、マンションの管理状態を①管理体制②建築・設備③管理組合収支④耐震診断関係⑤生活関連の5つのカテゴリー、30項目について評価し、★5つ(特に優れている)から★なし(管理不全の疑いあり)まで6段階でインターネットを通じて公開するもの。
これまで同協会ホームページのほか東急リバブル(8月3日)、三井不動産リアルティ(9月29日)、アットホーム(11月8日)が各社のWEBで公開している。
11月1日現在、登録物件は100件に達しており、うち★5つは39件、★4つは37件、★3つは23件、★2つは1件。(10日までに129件に達したと報告された)
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まだ登録件数は100物件だから答えは返ってこないとは思ったが、「★の数が多い物件の販売スピードが上がったとか、成約価格が想定を超えたとかのデータはないか」と質問した。やはり「データはまだ集まっていない」(福田氏)とのことだった。
しかし、同協議会は制度の成果を立証するため学識経験者と民間調査会社に調査を依頼していることを明らかにした。
どのようなマンションが高い評価を受けているのか、成約価格は周辺相場と比べてどうなのか、管理会社別ではどうか、さらには分譲デベロッパー、施工会社との関連性はあるのかないのか興味津々。
記者は、★2つとか★1つなどの低い評価しか受けていない物件が★1つでも2つでも上積みできるような支援も欠かせないと思うが…。
「三井のリハウス」でもマンション管理適正評価表示スタート(2022/10/4)
マンション管理適正評価 登録件数100件到達 ステッカーを販売 マンション管理協
マンション管理業協会は11月1日、マンション管理適正評価制度の登録件数が100件に到達し、これに併せて、登録ステッカーを発行すると発表した。登録件数は2023年3月末日までに1,000件超を見込んでいる。
100件の★の数(なしから★5つまで)の内訳は、★5つが39件、★4つが37件、★3つが23件、★2つが1件。戸数別では100戸以下が69件、築年数では2000年以降が49件。
登録ステッカーは有償で、直径150mm、費用は500円/枚。販売サイト:http://www.kanrikyo.or.jp/shopping/guest/products/list.php(一般)、http://www.kanrikyo.or.jp/shopping/member/products/list.php (会員)
「三井のリハウス」でもマンション管理適正評価表示スタート(2022/10/4)
坪単価520万円でも人気 最終分譲へ 大和ハウス「プレミスト大濠2丁目」
「プレミスト大濠二丁目」
大和ハウス工業は11月1日、福岡市中央区の分譲マンション「プレミスト大濠二丁目」の第2期(6戸)分譲を11月11日から開始すると発表した。
物件は、福岡市空港線唐人町駅から徒歩6分、福岡市中央区大濠2丁目に位置する敷地面積約1,956㎡、10階建て全35戸。設計・監理はH.S.R.プランニング。施工は松尾建設。竣工予定は2023年3月下旬。専有面積は82.33〜148.03㎡、第2期(6戸)の価格は1億円台~2億6,000万円台(82.33~113.66㎡)。平均坪単価は520万円。
現地は、大濠公園から徒歩2分、地下鉄空港線唐人町駅から徒歩6分の旧日本銀行大濠家族寮の跡地で、全住戸がZEH Oriented仕様、かつ住棟単位でZEH-M Orientedの基準を満たしており、「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)」を取得済み。全戸1億円超。分譲開始は3月上旬ですでに29戸が分譲済み。今回が最終分譲となる。
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このマンションについては、先月28日に記事にしているので、参照していただきたい。これまでの福岡市の最高値をはるかに上回る単価だ。凄いというほかない。
福岡・大濠公園に近い一等地で坪500万円超 大和ハウス「プレミスト大濠二丁目」(2022/9/28)
3項道路を知った 賃料は1.8万円/坪 サブスクの時代へ コスモスイニシア「内神田」
「コスモグラシア内神田」完成予想図
コスモスイニシアの賃貸マンション「コスモグラシア内神田」を見学した。同社とLaspy(ラスピー)が参画する不動産関連のスタートアップ育成プログラム「Open Network Lab Resi-Tech(Onlab Resi-Tech)」を通じ、住まいへの導入検討を進めてきたサブスク型防災備蓄サービス「あんしんストック」を初めて導入したものだ。
物件は、JR・東京メトロ神田駅から徒歩4分、東京メトロ・都営地下鉄大手町駅から徒歩6分、千代田区内神田2丁目に位置する敷地面積約325㎡、7階建て全24戸。専用面積(間取り)は25㎡(1DK6戸)・35㎡(1LDK6戸)・47㎡(2LDK12戸)。賃料は1.8万円/坪。竣工は2022年10月下旬。施工は大木建設。
加入者(入居者)は月額料金をLaspyに支払い、Laspyは3日分の防災備蓄を用意し、賞味期限の管理や備蓄品使用後の再補充などを行う。「置く場所がない」「管理が面倒」「気づいたら賞味期限が切れている」などの課題を解消するシステム。
このほかスマートロック、置配サービスなどが標準装備で、住戸プランは北向き。間口は1DKが471ミリも1LDKは6950ミリ、2LDKは8210ミリのワイドスパンで、直床、天井高は2400ミリ。蛇口はマイクロバブル。
同社によると、DINKS向きの2LDKを中心にリーシングは順調で想定内のようだ。
中庭
エレベーターの天井
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現地取材の大事さを改めて学んだ。収穫もあった。
最大の収穫は「3項道路」を知ったことだ。建物は、幅員3mくらいの狭い路地に建築されていた。記者は、「道路」とは幅員4m以上で、建築物の敷地はその道路に2m以上接道しなければ建てられないと理解していたので担当者に聞いたら、「道路は確かに幅員3m。建築基準法第42条3項の適用を受けているので問題はありません」とのことだった。
同法を読んだ。平成15年改正の建築基準法第42条(道路の定義)では「『道路』とは(道路法他=略)幅員4m(略)以上のもの」と定義しているが、同条第3項では「特定行政庁は、土地の状況に因りやむを得ない場合においては、前項(2項道路=建基法が制定される以前の4m未満の道路)の規定にかかわらず、同項に規定する中心線からの水平距離については2m未満1.35m以上の範囲内において、同項に規定するがけ地等の境界線からの水平距離については4m未満2.7m以上の範囲内において、別にその水平距離を指定することができる」となっている。
例外があるということだ。密集市街地の建物はみんな既存不適格かと思っていたが、必ずしもそうでないことが分かった。逆にそのようなエリアでの再開発を促すため改正されたようだ。
もう一つは、もちろんマンションもそうだが、都心部の賃料は高いということだ。先日、野村不動産のコンパクトマンション「プラウド銀座一丁目」を見学したが、坪単価は700万円台の半ば。10坪で約7,500万円。利回りを3~4%と仮定すると賃料は18.8~25.0万円だ。
今回の「内神田」も大手町へ徒歩6分。道路付けがいま一つなので分譲にしたら坪700万円は高く、しかし、かといって坪500万円以下はありえない。仮に坪600万円として10坪で6,000万円。利回り3~4%とすると、賃料は15.0~20.0万円。実際の賃料1.8万円/坪とほぼ一致する。
サブスクもそうだ。車、音楽、家具、洋服…防災備品も考えてみればなるほどというサービスだ。「所有から利用」の時代の流れは今後も加速するはずだ。人材派遣も広義の意味でその一種だし、婚姻・離婚だって、近年は年間婚姻件数60万件に対し離婚件数は3分の1の20万件、再婚件数は15~16万件で推移している。婚姻が激減し、離婚が激増している図形だ。共働きが主流の今は利用するのは夫か妻か。「気づいたら賞味期限が切れている」のはどっちか。
エントランス
3戸1エレベーター、突板フローリングがいい 大京「一宮グランフォート」
「ライオンズ一宮グランフォート」
先ほど紹介した大京「ライオンズ桑名八間通マスターフォート」に続いて、大京「ライオンズ一宮グランフォート」について。こちらは一宮市初の「ZEH-M Oriented」認証物件で、3戸1エレベーター、突板フローリングが特徴だ。
物件は、JR尾張一宮駅から徒歩10分・名鉄一宮駅から徒歩11分、一宮市大宮2丁目の近隣商業地域に位置する敷地面積約3,000㎡、15階建て88戸。専有面積は57.79~80.29㎡、価格は未定。竣工予定は2024年5月。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売開始は11月中旬。
敷地西側は幅員23mの音羽通りに、南側、東側、西側もそれぞれ接道。建物は道路から25~37mセットバックさせて建設し、敷地の77%を空地として確保、建物南側には提供公園を整備するなど豊かな緑地空間を設ける。建物外観は「尾州織」をモチーフに縦糸と横糸をマリオンなどで表現し、手摺り、タイルもそれぞれ3種を用いてデザイン性も高めている。
住戸は3戸1エレベーターを採用することで、1フロア6戸のうち角住戸を含めた4戸を両面バルコニー付きとしている。プランは2LDK~3LDKまで6タイプ。一宮市初の「ZEH-M Oriented」認証のほか、「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」で最上級の5つ星をそれぞれ取得している。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2450ミリ、ウォールナットの突板フローリング、食洗機、Low-Eガラス、タンク付きトイレなど。
同社営業推進部営業六課係長・青野直樹氏は「当社のZEHマンションとしては全国で28棟目、愛知県では2棟目。床暖房はついていませんが、Low-Eの断熱性が分かる体験コーナーを設け、ZEHの魅力を丁寧に説明することで、お客さまには納得していただけるようにします。長谷工コーポさんとしては一宮市初の施工物件で、床は突板としているのも特徴の一つです」と語った。
駐車場ゲートエントランス
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販売事務所の近くで草取りをしていた小生と同じくらいの年齢と思われる夫婦に「すいません、これからそこのマンションを取材するのですが、河村市長がいつも話すように名古屋弁で聞きたいので、話し方を教えてくれませんか」と声をかけた。
快く受けてくれたのだが、「市長の名古屋弁はパフォーマンス。いまどきあんな汚い言葉を使う人はおらへん。昔、朝鮮戦争が始まるまでは、名古屋弁は美しかった。語尾に〝なも〟〝だわ〟を付けてとても柔らかった」とのことだった。
なるほど。とはいうものの、やっぱり名古屋弁を使いたく、「東京からどえりゃあ時間かけてやってきたなも、じべたの価格を聞かんことにはどもならん。あんた、あんばよう教えてちょーよ」と質問した。
意味は通じたようだが、青野氏からは丁重に、かつきっぱりと「坪単価は非公表でして…」と断られた。
最上階の80㎡で予定価格は5,600万円ということなので、坪単価は約230万円。名古屋駅圏は坪400万円超でも売れていることを考えると、半値に近い。安いとは思うが…。
突板フローリングはいい。首都圏では最近はほとんど見られなくなった。価格的には変わらないようだが(ものによる)、突板はキズが付きやすく、居住者のクレームを避けるためにシート張りにしているようだ。
しかし、突板、挽き板のフローリングがいいに決まっている。真冬に比べていただきたい。突板、挽き板は暖かく感じるのに対して、フローリングは氷のように冷たいままだ。
突板フローリング
現地
三重県初のZEH-M 立地、デザインがいい 大京「桑名八間通マスターフォート」
「ライオンズ桑名八間通マスターフォート」
大京のZEHマンション、「ライオンズ一宮グランフォート」と「ライオンズ桑名八間通マスターフォート」を見学した。まず、三重県初のZEH「桑名八間通」から。
物件は、JR・近鉄名古屋線桑名駅から徒歩7分、桑名市末広町の商業地域に位置する15階建て全95戸(分譲対象戸数93戸)。三重県初の「ZEH-M Oriented」認証を取得し、「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」で最上級の5つ星を住棟全体と全住戸で取得済み。先着順で分譲中の住戸(6戸)の専有面積は66.72~85.84㎡、価格は4,390万~5,890万円。竣工予定は2024年2月。設計は柴山コンサルタント、施工はTSUCHIYA。モデルルームのインテリアデザインは三井デザインテック・岩崎裕子氏。第1期28戸を10月29日に分譲するが、うち22戸が成約見込み。
現地は、桑名駅と歴史文化資源が多く残る桑名城跡エリアをつなぐ八間通り沿いに位置。敷地北側は、電柱が地中化されている車道22m、歩道10mの八間通りに、敷地南側は幅員6mの道路にそれぞれ接道。南側は3階建ての小学校に隣接。
建物の外観は白、グレー、黒のモノトーンを基調に、縦マリオンの位置をずらすなどして印象的な外観にしている。住戸は2階からで、南向き53戸と東向き42戸で構成。間取りは3LDK・4LDK(66.72㎡~85.84㎡)まで10タイプ。
主な基本性能・設備仕様は、直床、食洗機、Low-E複層ガラス、シート張り床、リビング&主寝室床暖房、タンク付きトイレ、タオル掛けなど。
同社営業推進部営業六課主任・中澤あさ美氏は「今回の物件は、当社としては桑名市内で6物件目。価格が高い角住戸や上層階のほうから売れており、販売は順調。来場者はシニアの方とファミリーが半々。市内のほか、名古屋勤務で地元に何らかの縁のある方が中心です」と語っている。
◇ ◆ ◇
わが故郷・三重県の分譲住宅は、三交不動産のレベルの高い戸建てをいくつか見学しているが、マンションは初めて。桑名駅に降り立つのも初めてだった。
現地まで歩く間に同社のマンションを2物件見た。いずれも外観デザインがよく、八間通りは城下町の面影はあまりないが、道路幅が広く、銀行の支店が3つあるなど、中心市街地だったことがすぐわかった。街路樹のケヤキは強剪定されており、無様な姿をさらけ出しているのは気になったが、嫌悪施設などはなく街並みもまずまずだった。
物件の基本性能・設備仕様レベルは、首都圏の郊外物件よりはるかに高い。71㎡のプランの間口は8.6mあった。モデルルームのインテリアデザインに岩崎氏を起用しているのも正解だと思った。同社は坪単価を公表していないが、価格の高い住戸は坪230万円くらいだろうが、戸建てから買い替えを検討するシニアには受け入れられるはずだ。
市内では三交不動産のほかマリモ、フージャースコーポレーションなども供給しているようだが、トップシェアを占め、需要者のニーズを知悉している自信からだろうか、「競合しても負けません」と中澤氏の顔には書いてあった。
モデルルーム
現地
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読者の皆さんはご存じないだろうから少し紹介する。三重県に誇れるものは「伊勢神宮」「赤福」「的矢牡蠣」、歴史的人物として松尾芭蕉、本居宣長、三井高利(三井・越後谷創業者)、江戸川乱歩、村山龍平(朝日新聞創業者)、小津安二郎…くらいで少ないが、桑名はかつて「日本の山林王」と称された諸戸財閥の発祥地だ。1863年(文久3年)に諸戸清六が創業。現在、諸戸林業の所有林は約2.800haで全国15位(トヨタ自動車が所有する約1,630haは諸戸林業から取得したもの)。
「桑名の焼き蛤」も有名だが、小生は美味しいとは思わない。三重県由来のおいしいのは伊勢エピ、アワビ、サザエもそうだが、さめのたれ、うつぼ、かいづの干物が絶品。酒は「宮の雪」。
駅前のケヤキ(ムクドリ対策として毎年剪定しているようだが、ケヤキ本来の美しい樹形でないのが気になった)
八間通
かいづの干物(記者は目がうっとりしており、抱き合っているようなので「夫婦和合の干物」と呼ぶ)
助走に過ぎない コンパクト坪700万円突破 野村不「プラウド銀座一丁目」
「プラウド銀座一丁目」
野村不動産が分譲中のコンパクトマンション「プラウド銀座一丁目」を見学した。「銀座」アドレスとしては過去10年間で6物件しか供給されておらず、「銀座一丁目」では初の物件。坪単価はコンパクトとしては過去最高額と思われる700万円台の半ばだが、希少立地と設備仕様レベルの高さなどが会社オーナーや周辺エリア勤務者に評価されているようだ。
物件は、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅から徒歩7分他、JR東京駅から徒歩16分、中央区銀座一丁目の商業地域に位置する9階建て32戸。専有面積は34.96(2スパン16戸)・53.63㎡(8戸)・54.44㎡(8戸)。現在先着順で分譲中の住戸(2戸)の価格は7,890万円・8,090万円(34.96㎡)。2022年2月竣工済み。設計・施工・監理は野村建設工業。昨年5月から販売を開始しており、残りは2戸のみ。
現地は、2003年竣工の期間50年の定期借地権付き三菱地所「銀座タワー」(180戸)に近接。敷地は西側と北側に幅員8mの道路に接道。建物は西向きシンメトリーで、バルコニーのガラス手摺りは屏風のように波打っており、印象的なデザインが特徴の一つ。住戸は2階からで、1フロア4戸、34.96㎡の1LDK(2スパン)と53.63㎡と54.44㎡の2LDKで構成。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2700ミリ、食洗機(1LDKは除く)、二重・防音サッシ(角住戸)、Low-Eガラス(西側、一部北側居室)、エアコン、食器棚、折り上げ天井、フィオレストーンキッチン天板、物干しポール、ミストサウナ、ハイサッシ、ガラスウォールドア、イタリア産60cm角大盤玄関タイルなど。
同社プラウドギャラリー虎ノ門担当の橋本泉氏は「過去10年間で銀座一丁目アドレスは初、銀座アドレス6物件のうち4物件は8丁目。希少性が高いのと通常ならプラウド仕様でもオプションになるものも標準装備しているのが評価されています。価格からして利回りが高くありませんので、投資というよりは会社オーナーや東京駅圏の勤務者など実需が中心です」と話している。
玄関
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「設備仕様レベルの高さが評価されている」という橋本氏の言葉に納得だ。コンパクトマンションは総じて単価が高く、その割には設備仕様レベルが低いが、今回の物件はレベルが高い。
坪単価も予想した通りだった。過去10年間で分譲された6物件のうち3物件を見学取材している。最後に見学したモリモト「ピアース銀座8丁目」の坪単価は確か550万円くらいだった。その後、銀座の隣接地「築地」では2020年前後に5物件が分譲されたが、もっとも駅に近かった旭化成不動産レジデンス「アトラス築地」の坪単価は500万円だった。これらと比較して、銀座一丁目なら坪700万円を突破するのは当然だ。
今回のマンションは、コンパクトマンションの最高値だと思うが、これは助走に過ぎないとみている。今後都心部の一等地で供給されるコンパクトは坪1,000万円くらいになるはずだ。
エントランス
「晴海」より面白い 坪500万円の攻防 目が離せない旭化成不レジ「アトラス築地」(2020/1/17)
銀座の柳の下に泥鰌? 人気「パークリュクス」近接 モリモト「ピアース銀座8丁目」(2017/10/28)
石神井公園駅南口の再開発組合設立 マンションは230戸 野村不動産
「石神井公園駅南口西地区第一種市街地再開発事業」
野村不動産は10月17日、参加組合員として参画している「石神井公園駅南口西地区第一種市街地再開発事業」の市街地再開発組合が9月16日に設立認可され、10月15日に設立されたと発表した。2027年竣工を目指す。
事業地は、西武池袋線石神井公園駅から徒歩1分、練馬区石神井町三丁目に位置する施行面積約約0.6ha、26階建て北街区と9階建て南街区で構成。住宅は北街区が210戸、南街区が20戸の予定。