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 積水ハウスは7月27日、同社グループの顧客の資産管理・継承をサポートする「積水ハウス信託株式会社」を設立し、営業を8月1日から開始すると発表した。

 これまで同社が供給する賃貸住宅「シャーメゾン」を積和不動産グループが一括して借り上げ、入居者募集や維持管理など賃貸経営をサポートしてきたが、オーナーの高齢化などによる経営不安、相続時のトラブル、資産継承方法への不安など従来のサポートでは補えない悩みをワンストップで対応する。

 積水ハウス信託株式会社は、本社所在地:渋谷区代々木2-2-1、新宿マインズタワー、代表者:稲澤良樹氏、資本金:3億円(持ち株比率:積水ハウス95%、三井住友信託銀行5%)。事業内容は管理型。

◇      ◆     ◇

 富裕層を中心とする顧客の資産管理・運用は、ハウスメーカーに限らずデベロッパーや不動産流通会社も行っているはずだが、信託業法の規制もあり、信託会社として営業しているのはスターツ信託(運用型)、大東みらい信託(管理型)くらいしかないようだ。

 スターツについていえば、もう20年以上も前、「お前にすべて任せる」と富裕層からすべての資産の管理を任せられた営業マンを取材したことがある。この方はその後、役員になられた。

 期待以上の満足が得られればユーザーはみんなそう考える。営業マンはコンシェルジュになれる。FPと宅建士の資格取得は必須だと思う。

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「第18回ジャーブネット全国大会&シンポジウム」(ホテルイースト21東京で)

 全国の工務店・ビルダーが加盟する日本最大級の工務店ネットワーク「ジャーブネット」(主宰:宮沢俊哉・アキュラホーム社長)は7月24日、「第18回ジャーブネット全国大会&シンポジウム」を開催した。約800名が参加した。

 宮沢主宰は2016年度の総括として、会員数は249社、受注棟数は6,006棟(アキュラホーム含む)、1社平均棟数は21.9棟(アキュラホーム除く)、累計棟数は129,429棟だったことを報告。

 2017年度は「日本一の豊かな暮らしをデザインする、オンリーワンの集団へ」を基本方針に掲げ、学会、行政、住まい手、匠などと垣根を超えた連携を強化し、「スマートアライアンスビルダー ~賢いホームビルダー連携~」を目指すと発表した。

 シンポジウムでは、芦原太郎建築事務所所長・芦原太郎氏の基調講演と、伊藤圭子氏(アキュラホーム住生活研究所所長)が司会進行役を務めたパネルディスカッションが行われた。パネラーは芦原氏のほか古川亮太郎氏(フルカワデザインオフィス代表)、 堀木エリ子氏(堀木エリ子&アソシエイツ代表)、井草健二氏(アキュラホーム常務)。各氏が「豊かな暮らしとは何か」を語りあった。

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宮沢氏

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 全国大会はこれまで数回取材している。当初は会員数や受注棟数を追う大会だったが、ここ数年は「永代家守り・暮らし守り・まち守り」という高い理念を掲げ、デザインに力を注ぐなどより質の高いレベルを目指す大会へ進化している。

 その取り組みを象徴するのがパネルディスカッションだった。テーマは「人をつなぐ、豊かな住まいと暮らしを創る」-この難しい本質的な問題に各コメンテーターが挑戦した。

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パネルディスカッション

 ここでは詳細について触れられないが、各氏が語った印象的なフレーズを順不同で紹介する。

伊藤氏 かつて住まい手は美しいものを評価する芸術家だった。住む人の想像力を大事にすることが肝心

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古川氏 豊かな住まい、暮らしは人さまざま無限にあるが、自然に近い暮らしは普遍的な要素になる。草木をどう取り込むかに取り組んでいる(吉川氏はアキュラホームの若葉台プロジェクトに参画している)

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堀木氏 人間も自然の一部。紙は神に通じる。〝美しい〟と感じる背景には日本人の精神性、美学、技がある(会場には堀木氏の大きな亀甲をデザインした光壁が展示されていた)

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芦原氏 自然とともにある、人とともにあるとホッとする。イタリアの村はこれが機能している(芦原氏は基調講演で父・芦原義信氏が戦後渋谷区に15坪の家を建て、その後、自宅に露天風呂を掘ったことなどを話した。アキュラホームは芦原氏が設計したモデルハウスを馬込に建設する)

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井草氏 若葉台のプロジェクトではハード、ソフト両面でコミュニティを育てる仕掛けを施す(若葉台プロジェクトは、京王線若葉台駅から徒歩17分の全50棟の戸建て分譲。内と外をつなぐ「U」スペースが特徴になる模様)

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 記者は三重県出身なので、各賞にどこが受賞するか楽しみにしているが、今年も森大建地産が顧客満足度優秀賞を受賞した。同賞は、受注棟数20棟以上で、OB紹介率50%以上が選考基準。同社は毎年のようにクリアしている。森秀樹社長は「今後も地域守りに貢献していく」と語った。

 受注12棟以上で営業人員に対する受注棟数の割合が高い企業を顕彰する全国営業優秀賞(営業人員4名以下の部門)で最優秀賞を受賞した東京都の小林建設・小林伸一社長は「今年度はすでに前年度受注39棟の半分を受注しているが、当社は40棟以上を受注しないことにしている。これを超えるとお客様をフォローできない」と話した。

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森氏(左)と小林氏

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 宮沢主宰は全国大会で、「私はあと7年で主宰も当社の社長も退く。後任に任せる」と話した。

 びっくりしたので同社広報に確認したところ、宮沢氏は社内外でそう話しており、周知の事実だそうだ。

 宮沢氏は現在58歳。65歳で社長交代を考えているようだが、その考えを支持したい。軸足を業界全体に移し、「豊かな暮らしをデザインする」社会的なテーマに取り組んでいただきたい。

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会場のイベント・展示など

 大和ハウス工業の賃貸について記事を書いたあと、「独身でマンションを買うと結婚できない」は本当? 」と大書きされたタイトルのニュース・リリースが飛び込んできた。

 不動産関連の比較査定サイト「スマイスター(https://www.sumaistar.com)」を運営するシースタイルによるもので、20代以上の全国1,280人を対象に「“独身で住宅を購入すると結婚できない”という噂」について調査を行ったとある。

 そんな噂があることすら記者は全く知らなかったので、驚いてリリースを読んだ。

 結論から言えば「この噂は迷信であることがわかりました」とある。噂については「そう思う」5.9%、「ややそう思う」12.6%、「ややそう思わない」10.8%、「そう思わない」70.8%となった。

 当然の結果だ。男性も女性も、住宅を購入する動機は、同社の調査結果でも1 位は「老後を考えて」32.9%となっており、2位は「自分の城を持ちたかった」24.5%、以下「通勤や移動に便利な所に住みたかった」15.1%、「金利が安く買い時と思った」14.2%、「一人暮らしを満喫したかった」10.4%、「結婚を意識した恋人がいた」9.4%、「投資目的」8.5%などだ。

 同社の調査で面白いというか滅入りそうな気持になったのは、独身時に住宅を購入したと回答した人の購入時の年齢が「25歳未満」21.7%、「25~30歳未満」19.8%と41.5%が30歳未満で購入していることだ。親がかりであるかどうかは不明。

 若年層が将来に不安を抱いているということは厚労省などの調査でも明らかになっているが、将来に夢が持てない社会を何とかしないといけない。

 ついでだが、面白いのは独身者の住宅購入動機として「結婚をあきらめた」男性は2.8%いるのに、女性はゼロだったことだ。これも当たり前。独身女性がマンションを購入するケースが目立ってきたころ取材したことがあるが、女性は結婚をあきらめて住宅を購入する人などほとんどいないことを知った。女性はしたたかに生きている。

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「ロイジェントパークス四ツ谷」

 大和ハウス工業が「第6回 業界動向勉強会」を開催し、賃貸住宅事業について同社取締役専務執行役員・堀福次郎氏が講話したことを紹介し、その関連として新浦安のホテルついて書いた。今回は、その本題について書く。

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堀氏

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 わが国の住宅着工はここ数年、政府の景気刺激策、震災後の住宅再建、消費増税前の駆け込み、相続対策などの要因により意外と健闘しているが、人口・世帯減少が加速度的に進むことを考えれば賃貸市場が縮小するのは誰が考えても同じだ。堀専務も同じだ。

 「当社の2017年度の賃貸事業売上高はセグメント別で初めて1兆円を超える見通しで、売上高の85%は2階建て、3階建てだ。しかし、将来的には現商品のほかの改良商品、新商品、関連市場、新市場分野を伸ばし、現商品とその他の商品比率を50:50にしなければならない」とマトリックスを示しながら説明した。

 その通りだと思う。堀専務が伸ばしたい分野として例示したのは家具家電付き賃貸、外国人向けサービスアパートメント、シェアハウス、新築民泊、外国人留学生向け宿舎、サ高住、アパートメントホテルなど30近い事業を挙げた。

 堀氏が「ガラパゴス」と語ったように、従来型のレベルの低い利回り優先の賃貸事業は完全に曲がり角に来ている。(レベルが低いからこそ分譲が伸びる)

 同社が現商品の改良型として挙げたのが「S&SW仕様」の賃貸だ。女性向けにホームセキュリティシステムを標準装備とし、ワイドな洗面化粧台、1616サイズのバス、10%以上の収納率確保、女性に好まれるデザインなどを採用して飛躍的に伸ばしたのだそうだ。(わが家のかみさんが「ダイワハウスの賃貸はいいわよ」と絶賛していたが、記者は見たことがない)

 もう一つ、紹介したのが家具家電付き賃貸住宅だ。報道陣に公開した「ロイジェントパークス四ツ谷」だ。四谷三丁目駅から徒歩4分の14階建て全91戸。専用面積は約25~40㎡。賃料は15~20万円。家具、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、照明、炊飯器、ポットなどがついており、オプションで寝具や食器類も借りられる。キャスター付きトランク一つで引っ越しができるものだ。男性を中心に契約・申し込みが10件あり、1棟売りとしての話もあるようだ。

 立地条件からして分譲マンションにしたら坪単価は最低450万円だろう。グロスで3,400万円以上だ。投資用ならともかく、25㎡で3,400万円の分譲マンションが早期に売れるかどうかは疑問だ。リスクが大きすぎる。賃貸にしたのは正解だろうと思った。一等売りにすれば一定の利回りも確保できるはずだ。

 勉強会では、堀氏は全827戸の「パシフィックロイヤルコートみなとみらい」の100戸分を外国人居住向けに七面鳥が焼けるオーブンを採用したりしてプランを設定したのが大正解であったことも話した。

 企画段階で「私は面の皮が厚いので聞き流したが、827戸の賃貸などありえないなどと侃侃諤諤、喧喧囂囂の論議があった。企画はヒットしたが、こんなに外国人居住が増えるとは夢にも思わなかった」と語った。現在、827世帯のうち350世帯が外国人居住だという。

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「ロイジェントパークス四ツ谷」の室内(左にテレビ、天井には室内干しポールもあった)

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 堀専務の話は面白いと前回書いた。ものを見る目が人とは違うからだと思う。漫然と日々生起する出来事を眺めていては問題点など浮かばない。不動産業に限らずあらゆるビジネスはソリューションだ。「わが国の賃貸業はガラパゴス」という視点が新しい発想を生み出すのだろう。

 裏を返せば、圧倒的多数派を形成する賃貸の守旧派の存在が同社の賃貸を伸ばしている要因だ。堀氏は一方で守旧派を応援しているのではないか。記者もそうだ。時代遅れの賃貸が続く限り分譲市場は縮小はするけれども事業として継続できると考えている。

大和ハウス ファミリー向け「ラ・ジェント・ホテル 東京ベイ」ヒット 稼働率80%超(2017/7/25)

 

 

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「ラ・ジェント・ホテル 東京ベイ」

 大和ハウス工業は7月25日、第6回 業界動向勉強会を開催した。今回のテーマは「賃貸住宅事業篇」で同社取締役専務執行役員・堀福次郎氏がわが国の賃貸住宅を取り巻く環境や今後の動向、同社の展開などについて1時間30分くらい話した後、完成したばかりの賃貸マンション「ロイジェントパークス四ツ谷」の見学会を行った。

 本題の賃貸事業については稿を改める。その前に「ラ・ジェント・ホテル 東京ベイ」を紹介する。

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堀氏

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 記者は賃貸住宅に詳しくないが、堀専務が講話されるというので参加した。堀氏の話はとにかく面白いのだ。この日も「わが国の賃貸はガラパゴス。欧米ではキャスター付きのトランク一つで引っ越しができる」など冗談とも本音ともとれるフレーズがたくさん飛び出した。

 その一つ、「ラ・ジェント・ホテル 東京ベイ」について触れたい。このホテルの開業について同社は昨年12月22日付でニュース・リリースを発表しているので旧聞なのかもしれない。記者が知らなかっただけだ。

 同ホテルは、JR京葉線新浦安駅から車で約10分の鉄骨造3階建て全291室。ツインベッドと2段ベッドを備えた4ベッドルームタイプを中心に、広さは約21~44㎡。ルームチャージは約12,000円から。レストランはないが、宿泊客には朝食として千葉の名物駅弁・万葉軒の「カツサンド」と「そぼろご飯」が配布されるのだそうだ。

 いかに宿泊特化型とはいえ、最寄り駅から車で10分もするホテルなど常識では考えられないが、堀専務は「子ども連れの家族が中心なので、金曜・土曜は満室だが、日曜から木曜は50%くらい。平均すると稼働率は80%を超える」と話した。ルームチャージが12,000円なら一人当たり3,000円だ。圧倒的な安さが人気を博しているというのもよくわかる。

 それを可能にしたのはディズニーの存在であることは素人でも予測できる。田舎から家族連れでディズニーに行く話は記者もよく聞くが、4人家族だと20~30万円はかかる。

 このファミリー向けの宿泊特化型〝アパートメントホテル〟事業を都心で展開しようとしているのが同社グループのコスモスイニシアだ。

 1室40㎡くらいで、すでに10カ所で合計474室の建築を進めており、将来的には1,500室を目指すという。

 堀専務は高尾山の話もした。都心から1時間くらいで自然に近い形でサルを見ることができるのが欧米人に受けているというのだ。欧米にはサルはいないそうだ。

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客室

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勉強会で参加者に配られた同じ゛駅弁が宿泊者に配布されるのだそうだ

「わが国の賃貸業はガラパゴス」 大和ハウス・堀専務 賃貸が伸びる理由を聞いた(2017/7/25)

 

 

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「レインボーフィールド(佐賀工場)」

 ポラスグループのプレカット事業を展開するポラテック西日本は7月21日、佐賀県唐津市の新工場「レインボーフィールド(佐賀工場)」が竣工し、7月から稼働を開始したと発表した。地元から22名(新卒6名含む)の雇用も創出した。

 「レインボーフィールド(佐賀工場)」の年間のプレカット生産能力は柱や梁(はり)などの構造材が月間10,000坪(34坪換算で約295棟分)、年間戸建住宅約3,500棟の加工を計画。将来的には工場の拡張、加工機の増設により生産能力を拡大する計画。

 今回の新工場の竣工・稼働により、ポラスグループ・ポラテックの工場は茨城県、滋賀県、宮城県、静岡県に加え5拠点となる。生産能力は月産166,000坪(約4,882棟分)となり、プレカット最大手としてさらに拡大を進める。

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ホロレンズを体験する同業の記者(左)と同社関係者

 野村不動産は7月21日、7月に分譲する「プラウドシティ越中島」のモデルルーム見学会を行った。坪単価は300万円強になる模様で、価格的には近隣の湾岸物件よりかなり安い。都心に近く、住環境も思われているほど悪くない「越中島」の良さを訴えきれれば早期完売しそうだ。資料請求は約2,000件。

 物件は、京葉線越中島駅から徒歩4分、東西線門前仲町駅から徒歩11分、江東区越中島二丁目に位置する15階建て全305戸。専有面積は63.98㎡~91.24㎡、第1期は100戸くらいの模様で、予定価格は5,400万~9,000万円、坪単価は300万円強になる模様。施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は平成31年1月下旬。分譲開始は9月。

 現実世界と仮想世界を複合させた「マイクロソフト ホロレンズ」をマンション販売に活用するのは日本初というのが記者向けの触れ込みだ。「ホロレンズ(HoloLens)」は、日本マイクロソフトが2017年1月から国内の法人と開発者向けに提供を開始した製品で、VR(Virtual Reality)と異なり、現実世界と仮想世界が見えている状態のまま、3Dの仮想物体である「ホログラフィック」を重ねて表示できる。より臨場感が体験できる。

 見学会では、ホロレンズを装着して建設中の敷地を見学すると完成後の建物が見える現場見学会も行われた。

 約83㎡のモデルルームには、IoT家電により予約時間に自動で開くカーテン、カメラ付き・スマホ連動で食材管理ができる冷蔵庫が備えられ、46プランの中から最大2,592通りの無償セレクトメニューのうち「時短コンフォート」を選ぶと、排水-洗浄-お湯張りが自動でできる「自動洗浄浴槽」も提案されている。

 来場者にはパンフレットと同様の内容が盛り込まれているタブレットを配布することでペーパーレスも実現している。同じ取り組みでは三井不動産レジデンシャルが「浜離宮」「晴海」で採用しており、同社も「綱島」で初めて採用した。

 資料請求は約2,000件で、先週、約100組を対象に事前案内会を開催し、約30件の購入申し込み希望があったという。関係者は「想定外の多さ。歩留まり率も極めて高い」と販売に自信を見せている。

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外観

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 「ホロレンズ(HoloLens)」のことはよくわからない。記者も体験しようと思ったのだが、「屋外で使うことを想定していなかった」(同社広報)ため、暑さのせいでバッテリーが切れてしまい見ることができなかった。記者と同じように体験出来なかった人もいた。なので、このことについては記事にしようがない。スグレモノなのだろうとしか言いようがない。

 それより注目したいのが価格設定だ。同じ湾岸では「晴海」で三井不動産レジデンシャルが、「有明」で住友不動産が、「品川シーサイド」で京浜急行と積水ハウスがマンションを分譲中で、トータルすると約4,450戸にもなる。坪単価は「品川シーサイド」がやや安く308万円からで、「晴海」「有明」は320~340万円(一部予想)だ。

 これらのエリアと比べると、「越中島」は知名度で負ける。越中島駅には普通の人はまず降りない。記者は取材で2度ほど駅に降りたことがある。海洋大でのイベント取材と伊藤忠都市開発が6年前に分譲したマンションの見学が目的だった。行く前は倉庫街かと思っていたが、嫌悪施設はなく、住環境としてはまずまずという印象を受けた。東京駅に2駅だ。

 同社もマイナーなイメージを払しょくするために様々な仕掛けを行ない、価格的な割安感を印象付けようという狙いであることがわかる。記者は坪単価300万円前後を予想していた。300万円をはるかに超えてくるようだと、他の物件には勝てないと読んでいた。坪単価は300万円強と聞いて十二分に戦えると思った。

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ハーバースカイテラス

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 販売事務所で物件を担当する同社住宅事業本部営業推進部プロモーション課・佐々木まどか氏から声を掛けられた。どなたか全然記憶になかった。佐々木氏から「富久クロスの担当…」と言われ、すぐ「第九」を思い出した。興味のある方は添付した「富久クロス」の記事を読んでいただきたい。

 「越中島」は驚くほどの音楽は流れなかったが、佐々木さん、今度機会があったら記者の好きなラヴェル「ボレロ」、ヘンデル「水上の音楽」を挿入音楽として採用していただきたい。「ボレロ」の演奏時間は約15分。独身の頃、起きて出勤するまでの時間だった。これを聞くとやる気が出た。「水上の音楽」はとにかく美しい。死んだらこの曲を流してもらうようにしている。エンヤも好きだが、これは何か所のモデルルームで聞いたことがある。

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プレミアム・スカイラウンジ

“地揚げ”から30年 坪330万円のマンションに再生「Tomihisa Cross」(2013/9/5)

「富久クロス」完成 四半世紀の波乱乗り切り街再生(2015/9/14)

伊藤忠都市開発 マンション〝空白区〟の越中島に 「クレヴィア越中島」分譲(2011/2/1)

 

 

 

 

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「MFLP船橋Ⅱ」完成予想図

 三井不動産は7月20日、「三井不動産ロジスティクスパーク」(MFLP)6棟の開発を決定し、2012年の事業開始から稼働中の13棟を含め開発・運営施設数は28棟・総延床面積は約240 万㎡、累計総投資額は約4,000億円に達する見込みと発表。船橋・羽田エリアでは街づくり型ロジスティクスパークの開発を始動させる。

 新たに開発を進めるのは、「MFLPつくば」(つくばみらい市、約25,500㎡、2018年3月竣工予定)」、「MFLP川口Ⅰ」(川口市、約54,100㎡、2019年4月竣工予定)、「MFLP船橋Ⅱ」(船橋市、約225,000㎡、2019年10月竣工予定)、「MFLP羽田」(大田区、約84,400㎡、2019年6月竣工予定)、「MFLP川崎Ⅰ」(川崎市、約26,900㎡・約14,600㎡、2019年9月竣工予定)、「MFLP大阪Ⅰ」(大阪市、48,300㎡、2020年4月竣工予定)。

 同社は、グループ中長期経営計画「イノベーション2017」でロジスティクス事業を積極的に展開していくとしており、今後も年間4棟、400億円くらいを継続して投資していく。

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 同社常務執行役員ロジステックス本部長・三木孝行氏は、この日行われた記者説明会で約1時間にわたって話した。

 この中で「当社の強み」「後発の強み」「先進的商品企画」「入札に頼らない」「土地が安い」「競合しない」「稀有な立地」「得難い土地」「信じられない用地」「二度と手に入らない」「金額で勝負しない」などと、いつもマンションの取材をしている記者にとって〝信じられない〟文言が次々発せられた。

 記者はロジスティクスについては全くの門外漢だが、国土交通省の「新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」(座長:進士五十八 福井県立大学学長)を傍聴して、物流倉庫も都市公園、緑、オープンスペースと関係が深いことを知った。

 後発の同社がここまで急激に事業を拡大させられたのも、従来の「物流業」「倉庫業」はそれだけ多くの課題を抱えており、同社はその「問題解決」に新しい発想で提案・応えてきたからだろうと思う。三木氏が「世の中にない」と話した大阪府茨木市の「屋上テラス」を設けた「MFLP茨木」、「これまで皆無」と自賛した外観デザインを重視した「MFLP船橋Ⅰ」もそのような発想から生まれたものに違いない。

 でなければ「稀有な立地」「二度と手に入らない」用地が「競合しないで」買えるわけがない。同社の同事業部にはかつてマンションの用地取得を担当していた方がいる。その方が会うといつも「高くて買えない」とぼやいていたのを思い出す。きっと足を棒にしても買えないのだろうと想像すると、声を掛けるのも気の毒に思った。マンションとロジスティックスの用地取得はなんという違いだ。信じられない。

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「MFLP羽田」完成予想図

 

 大手不動産9社で構成される不動産広報研究会は7月18日、恒例の記者懇親会を開き、幹事会社の長谷工コーポレーション広報担当の常務執行役員・岡田裕氏が「マンション価格の上昇で若年層が取得しづらい環境にあるが、原点に戻って買いやすいマンションづくりに取り組もう」と呼びかけた。

 同研究会の記者懇親会は今回が10回目。冒頭、あいさつに立った岡田氏は「このような会合はゼネコンにはない。お互い競合はしているが仲がいい証拠」と語りだし「私の話したいのは3つ」として、①マンション市場②10年ごとに起きる金融危機③企業の社会的貢献-についてわかりやすく呼びかけた。

 マンション市場については、価格が上がりすぎて供給量が減り、プレーヤーが激減していることを紹介しながら「都心物件や郊外の駅近物件がけん引し、購入マインドは上がっている」と分析。

 金融危機については、1987年の世界同時株安、1997年のアジアの経済危機、2007年のサブブライムローン危機など「7」のつく年は注視しなければならないと注意を喚起した。

 そして、企業の社会的貢献については、同社はトヨタと同じ創業80周年を迎えることを引き合いに出し、「トヨタの関係者と話したが、トヨタが社会に一番貢献したのはセルシオやレクサスなどの高級車ではなく庶民の足になったカローラ。当社もかつて〝コンバス〟を開発した。トヨタと一緒。もう一度原点に戻って若年層が買えるマンションの開発に取り組んでいく」と話した。

 同研究会は、同社をはじめ住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、 三井不動産、三菱地所、森ビルの広報担当で構成されている。毎年この時期、メディア関係者との懇親会を行っている。

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 岡田氏がとっくの昔にお蔵入りしたものとばかり思っていたコンバスに言及したのにびっくりした。長谷工コーポレーション元専務のトータルブレイン・久光龍彦氏が1カ月前に話したのと同じだった。

 確かに、最近供給されているマンションの間取りは30年も昔のコンバスそっくりで、何とか価格を抑制しようと〝長谷工詣で〟を行っているデベロッパーの姿を浮き彫りにしている。

 それにしても、話題を3つに絞り、ゆったりした岡田氏の語り口はあいさつの見本といえる見事なものだった。参加者は百数十人はいたはずだが、この時だけはしわぶき一つ聞こえなかった。

「お蔵入りしたコンバスが亡霊のようによみがえった」 トータルブレイン久光社長(2017/6/7)

 

 

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 ナイスホームは7月15日(土)、同社2棟目となる住宅展示場内のモデルハウス「パワーホーム」を「tvkハウジングプラザ藤沢」にオープンした。2015年11月にオープンした「tvkハウジングプラザ横浜」に続くもの。

 パワーホームは、住宅性能表示制度の「耐震等級」「断熱等性能等級」「一次エネルギー消費量等級」などで最高ランクを満たす高い基本性能を備えており、今回出展したモデルハウスは「自然とつながる」をコンセプトに、自然素材を多用するとともにUA値0.46の高い断熱性能を持つ湘南ライフスタイルを提案している。

 ナイスは藤沢市を中心とした湘南エリアを重点エリアとして位置付 け、「ナイスパワーホーム鵠沼藤が谷陽だまりの街」(全14区画)など今期100棟を超える供給を計画。モデルハウスは湘南エリアにおけるパワーホームの供給活動の新たな拠点となる。

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