感動の組子-ヘンデル-社長挨拶-内覧フルコース堪能 新日鉄興和「赤坂インターシティAIR」見学
「赤坂インターシティAIR」
新日鉄興和不動産は9月26日、事業協力者及び参加組合員として建設を進めていた複合大規模施設「赤坂インターシティAIR」(赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業、施行者:赤坂一丁目地区市街地再開発組合)が竣工したのに伴いプレス説明会・内覧会を行った。
施設は、東京メトロ銀座線・南北線溜池山王駅直結(14番出口)、港区赤坂一丁目に位置する敷地面積16,088㎡、制振構造の地下3階地上38階建て延べ床面積178,328㎡。用途はオフィスのほか共同住宅、会議施設、店舗、託児施設など。設計・監理は日本設計。施工は大林組。グランドオープンは9月29日(金)。
緑化率50%以上に当たる5,000㎡超の緑地を整備。建物を六本木通り沿いに寄せることで、敷地中央に大規模な緑地空間を生み出し、環状二号線に続く約850mの緑道を整備する「赤坂・虎ノ門緑道構想」に基づき、西側の拠点として約200mの街路樹空間を整備。虎ノ門に続く緑豊かな歩行者ネットワークを形成する。
オフィスはほぼ満室で稼働。入居検討テナントの43%はアメリカを中心とする外資系で、業種ではIT・通信が41%を占め、金融・保険、化学・製薬などが続く。
5階から12階に併設される住宅「赤坂AIRレジデンス」52戸は主に地権者用住居に充てられ、第三者に分譲することは禁止されている。
説明会で同社代表取締役社長は「赤坂・虎ノ門エリアの新たなランドマークとして、世界から選ばれる国際都市東京の顔にする」と語った。2018年春には当ビルに本社を移転することも明かした。
永井社長
水景
ベンチ
2012年(左)と現在の空撮
◇ ◆ ◇
取材のため施設に着いたのが午後12時30分過ぎ。プレス説明会・内覧会の開始時間1時にまだ少し時間があったので、地下1階の店舗をのぞくことにした。すぐ目に飛び込んできたのは、「鶏の西川 創業1949年」の看板が掛かった店だった。見事な組子が施されていたからだ。てっきりこけおどしのケミカル製品だと思ったが本物だった。創業1949年といえば記者と〝同級生〟だし、「宮川」は四万十川よりきれいなわが故郷三重に流れる川だ。
これだけで感動したのだが、これは序章に過ぎなかった。説明会場の天井高4.8mのコンファレンスホール「the AIR」に入ったとき、大好きなヘンデル「水上の音楽」などをアレンジした「Handel Collection」がBGMに流れていた。この演出に舞い上がった。これが第2楽章か。
そして第3楽章は、同社社長・永井幹人氏の挨拶だ。「事業規模は一挙に倍増した」と永井社長は5年前の新日鉄都市開発と興和不動産の経営統合から語り始め、その後の事業展開や今後の方針などを宮川のようによどみなく語った。
この地が、霞が関-六本木-新橋のトライアングルの結節点であり、再開発計画が目白押しの国際性、多様性に富んだ港区の「大街区」(75ha)の北側玄関口に位置し、また同社ビル事業発祥の地「赤坂一丁目」であることから「思い入れの強い土地」であることを強調。非常時には200時間の電力供給が可能であるBCPをはじめ、国内トップクラスのエネルギー・環境への取り組み、1フロア800坪のオフィス、隣接する虎ノ門病院と連携した人間ドックとクリニックの併設、5,000㎡の緑空間の創出などについて説明し、「厳しい外資系の目にかなうものにした結果、極めて高い評価を得てほぼ満室稼働でスタートすることができた。今後も関係者と連携して赤坂を国際都市東京の顔にしていく」と力を込めた。
ここまでの取材でもう満腹だったのだが、第4楽章は何と2時から4時までの内覧フルコース。4階のプレゼンルームからスタートし、3階の「ロウリーズ・ザ・プライムリブ&フランクバー」、2階・1階の緑地、10か所以上のレストラン・カフェ・ビアパブなどを回った。一つひとつ紹介すると日が暮れるので省略する。
取材を終え事務所に帰ったのが5時。この日は午前10時から三井不動産の「ホテル ザ セレスティン銀座」の取材があり、7時間も動き放しだった。この間、三井のホテルで「GINZA CASITA」の山田志樹社長から直々にアイスコーヒーを頂き、「赤坂インターシティ」では160年の歴史があるローマの「ボンドルフィボンカフェ」で250円のエスプレッソを飲ませてもらい、「THE ARTISAN TABLE・DEAN&DELUCA」ではほんのひと切れのシイタケのコンフィを試食させていただき、「COURTESY」でアイスティのもてなしを受けた以外なにも口にしなかった。万歩計は1万歩を超えていた。(RBA野球の取材のときは食事抜きで2万歩歩くが)一挙に疲れと空腹感が襲ってきた。
PARIYA
「ロウリーズ・ザ・プライムリブ&フランクバー」
「COURTESY」
「鶏の宮川」(写真は三代目社長・星英次氏)
◇ ◆ ◇
最近では皇居に隣接する三菱地所「大手町パークビル」、日比谷公園が目の前の東急不動産「日比谷パークフロント」にも驚いたが、「赤坂インターシティAIR」はいろいろな切り口で〝料理〟(記事化)できる、それこそ十人十色に映るわくわくする複合施設だ。記憶にとどめるためにも強い印象を受けたことを改めて書く。
第一は圧倒的な緑の量と質だ。量的には「新梅田シティ」の約8,000㎡の「里山」にかなわないが、約3,500㎡の「大手町の森」(オーテモリ)、約3,000㎡の「大手町パークビル」と「大手門タワー・JX ビル」のコミュニティ広場より広い。
その質がまたすごい。約200mの街路樹空間を創り出し、水景も配置。樹木は極力自然に近い形で植樹している。これを虎ノ門方面に続く850mの緑のネットワークとして構築するという。
第二は、オフィスもさることながら店舗の内装・デザインが桁外れの本物志向(味はしらない)であることだ。「鶏の西川」の軒先に組子が用いられていることは先に書いたが、同じ地階にある「もつ鍋やまや」もまた内装材はすべて本物のスギ材だったし、内覧で回った10以上のレストランのカウンターなどはほとんどすべて大理石。壁などにも無垢材が多用されていた。
「ロウリーズ・ザ・プライムリブ&フランクバー」は天井高が5m。ホテルの宴会場かレストランに似ているが、少人数掛けのテーブルのほか20人くらいが座れる大テーブルがどんと据えられていたのには度肝を抜かされた。アートや個室の設え、照明計画もまた印象的だ。日本人が利用するにはかなり勇気がいりそうで、お金もそうだが気が小さい記者などは足がすくむ。
第三は、BCPやエネルギー・環境の取り組みだ。非常時200時間の電源確保など聞いたことがない。環境性能評価「CASBEE」、東京都エネルギー性能評価制度、DBJ GREEN Building認証などはすべて最高ランクを取得し、約35%の省エネ効果、CO2約35%削減を実現している。
永井社長が「赤坂を国際都市東京の顔にしていく」と語ったが、このビルが今後の街づくりのベンチマークになるのではないか。20・21階には同社が入居するが、眼下に首相官邸、国会議事堂、米国大使館が眺望できる。社長室はそれらを眺められる位置には設置しないとも聞いたが、社員の生産性はどれだけアップするのか、これにも期待したい。
住宅は将来にわたって分譲されることはなさそうだが、記者は借りに分譲されれば坪単価は1,500~2,000万円とはじいた。
かつて記者は、デベロッパーを超えるのはデベロッパーではなく、異業種だろうと思ったことがある。日鉄ライフが新日鉄の社宅跡地で優れたマンションを分譲したときだった。恐るべし新日鉄興和不動産。
同社が本社を移す21階(窓の左が虎ノ門ヒルズ、右のクレーンはホテルオークラの建て替え、その右は坪単価500万円で分譲された鹿島の最高峰マンション)
皇居に隣接 三菱地所 最高級Sクラスの「大手町パークビルディング」竣工(2017/2/14)
日比谷公園の緑取り込む 東急不「日比谷パークフロント」竣工 同社の勢いまざまざ(2017/5/26)
三井不動産 新ブランド「ザ セレスティン」ホテルの第2弾「銀座」開業
「ホテル ザ セレスティン銀座」
三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは9月26日、滞在そのものが旅の目的となる「デスティネーション型ホテル」を目指す新ホテルブランドの「ホテル ザ セレスティン銀座」を10月5日にオープンすると発表。同日、メディア向けの見学会を行った。
「ザ セレスティンホテルズ」は、アッパーミドルとラグジュアリーの中間層がメインターゲットで、ブランドコンセプトは①「ローカル エクスペリエンス(Local Experience)-その地域を象徴する文化・歴史性が深いロケーション②「プライベート スタイル(Private Style)-「第2の我が家」のように寛げるプライベート空間の創出③「パーソナライズド ホスピタリティ(Personalized Hospitality)-日本ならではのさりげないおもてなし-の3つ。9月7日に開業した「ホテル ザ セレスティン京都祇園」に続く第2号。
施設は、JR新橋駅から徒歩3分、中央区銀座8丁目に位置する14階建て全104室。客室はスーペリアダブル(23.5㎡、65室)~セレスティンデラックス(47.5㎡、2室)。設計は日建設計。インテリア設計はHirsch Bedner Associates。敷地は元銀座日航ホテル。
建物は免震構造で、館内は1階ロビーおよび客室階12層、14階レストランの計14フロアで構成。14階には青山・麻布十番のダイニングレストランCasitaによる「GINZA CASITA」が出店する。
インテリアは、ロビーに配置された凹凸のあるガラスのアートウォールを中心に、シンプルなデザインの中にも光と影を演出し、上質で落ち着いた空間に仕上げている。天井高はロビーは6.5m、客室は約3.1m(窓側)を確保している。(地区計画で当地の建築物の高さ規制は57m=1層3mとして19階まで)
アメニティは、ブルガリの最高級シリーズ「オ・パフメ」と資生堂の「ルモンドール」を用意。外国人宿泊者向けに銀座三越と連携したサービスも提供する。
見学会に臨んだ三井不動産ホテル・リゾート本部ホテル事業部長・鴉田隆司氏は「外国人客数は今後も増加が見込まれるが、多様化しているニーズに応えるために今回、新たに『ザ セレスティンホテルズ』をラインアップに加えた。今後も案件は目白押しで、現在、23施設5,811室を2020年までに1万室にする」と話した。
スーペリアツイン
バスルーム
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記者は「ホテル ザ セレスティン京都祇園」の記者発表・見学会を取材して次のように書いた。
「一つだけ気になったのは客室の浴室とトイレだ。コンセプトの一つが〝第2のわが家〟で、スパがあるからいいのかもしれないが浴室は14×16サイズで、トイレは普通のマンションと変わらない。同社の〝パークホームズ〟のほうが豪華だと思った」
この疑問をストレートに今回の見学会席上でぶつけた。鴉田氏は「おっしゃる通りでして、『京都』は高さ規制(15m)もあり、一番苦労した部分」と話した。
その後、ホテル見学会が行われた。浴室、トイレも含めしっかりチェックした。「京都」の記事の取り消しはしないが、今回の「銀座」は〝パークホームズ〟レベルをクリアしており、〝パークマンション〟には程遠いが、〝パークタワー〟仕様に近いと判断した。同社の狙いもまさにそこにあるのだろうが、一般的なマンションに住んでいる多くの人はなるほど〝第2のわが家〟だと納得するはずだ。
ルームチャージはスーペリアツインで2~3万円台だから、これもまたリーズナブルだと思う。ブルガリや資生堂のアメニティの価値は猫に小判、牛乳石鹸とどう違うのかまったくわからないが、水栓はグローエ、随所に御影石が使用されていた。女性客をかなり意識したアメニティだろう。
ブルガリ「オ・パフメ」
三井不 「ホテル ザ セレスティン京都祇園」開業 〝日本一の朝食〟メニュー(2017/8/29)
三井不動産 宿泊型上級の新ブランドホテル「ザ セレスティンホテルズ」開発・開業(2017/2/3)
わが意を得たり 人工植物は販売促進に逆効果 三井デザインテック調査研究
三井デザインテックは9月22日、職業能力開発総合大学校・橋本幸博教授とオフィス空間における植物配置の好ましさに関する共同研究を行い、その結果の概略を発表した。
調査の結果、観葉植物を天井面や側面に配した空間が高い評価を売るなど、オフィスの閉鎖的な作業スペースでは観葉植物によって良好な心理的効果が得られる一方、人工植物や過剰な植物量、あるいは不具合な配置にすると、心理面以外に作業効率にも好ましくない影響を及ぼすことが確認されたとしている。
また、「作業効率がよい」という評価を得るためには「集中できる」と「コミュニケーションが取れる」の両者が満足されている必要があることが分かったとしている。
実験は今年1月、同社内オフィス内に7つの異なるグリーンを配置した空間を作り、オフィスワーカー延べ42名を対象に、評価グリッド法を用いて実施した。
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調査研究の詳細は日本建築学会で発表されたので、興味のある方はそちらで確認していただきたい。プレス・リリースにはわが意を得た記述があった。「人工植物…作業効率にも好ましくない影響を及ぼす」という部分だ。
マンションのモデルルームや戸建てのモデルハウスには、例外なくいろんなところに観葉植物が配置されている。本物の植物は少なく、人工植物、つまり偽物が圧倒的に多い。そんなまがいものを見るにつけ、〝せっかくの商品企画が台無しになるではないか。品格を落とすもの〟と担当者に口酸っぱく言い続けてきたが、みんな右に倣え、改善される気配は全くない。
三井デザインテックの調査の「作業効率に好ましくない」文言はそのまま「販売促進に好ましくない」と言い換えられるはずだ。日に焼けて変色し、ほこりが被ったような食品サンプルが陳列されている店などに誰も入らないのと一緒だ。
イミテーションの観葉植物は即刻やめるべきだ。売れるものも売れなくなる。記者なら今が旬の秋の七草(絶滅危惧種もあるが)を道端や空き地で摘んできて飾る。お客さんは感動するはずだ。
蛇足ながらもう一つ。同社は「過剰な植物量」もまた「好ましくない影響を及ぼす」と言っている。吉永小百合さんが「フン、フン、フン」と歌えば鹿の糞も食べられそうに思えるが、三流役者がどんなに着飾っても道化師にしか見えないのと一緒だ。過ぎたるはなお及ばざるがごとし。これはマンションや戸建てのモデルルーム・モデルハウスにも該当する。
アキュラホーム 第20回木造耐力壁ジャパンカップで総合優勝 大会はいったん幕
木造耐力壁「紬~final~」
アキュラホームの「チーム匠 (アキュラホームグループ+東京大学木質材料学研究室+篠原商店)」が開発した木造耐力壁「紬~final~」が、9月16日(土)~18日(月)に行われた「第20回木造耐力壁ジャパンカップ」で総合優勝を果たすとともに、文化性・独創性、デザイン性が評価され「デザイン部門賞」も受賞した。
「紬~final~」は、日本の伝統技法である継手・仕口で行う「設計」、手作業による「加工の技術」、正確に組み立てる「施工の技術」の3つの要素技術を高次元で結実させた耐力壁。金物や接着剤を一切使わず柱・桁・土台には国産針葉樹製材を用い、壁内部も全て国産材で構成されているのが特徴。東京大学木質材料学研究室、篠原商店と共同開発した。主材料は国産桧、赤松、白樫で、最大荷重は43.66kN(大会公式記録)約4.5t(1kN=0.102t)。
同社は、「出場耐力壁の多くが強度を高めるために、ビスやボルトなどの金物を多用する中、あえて金物を一切使用しない耐力壁で総合優勝できたのは、東京大学木質材料学研究室(稲山教授)による、金物を使用せず初期剛性と終局耐力の両面で高耐力を引き出すことを目指したバランスのとれた設計、篠原商店による材料調達と全て職人の手による高度な加工技術、そしてアキュラホーム熟練大工たちによる寸分たがわぬ正確さで組み立てる施工技術」としている。
木造耐力壁ジャパンカップは、阪神大震災後の平成10年、木造住宅の構造耐力向上、伝統工法の継承を目的として「NPO法人 木の建築フォラム」が主催しスタートした大会。大会はトーナメント戦を勝ち抜いたもっとも強度の高い耐力壁に贈られるトーナメント優勝と、強さ(耐震評点)に加えて環境負荷費、デザイン評点、材料費、加工費、施工費など総合的に優れた耐力壁に贈られる総合優勝(ジャパンカップ)の2つのタイトルがある。毎年、大学、専門学校、住宅関連企業、設計事務所などが参加している。
今年は静岡県富士宮市の日本建築専門学校で開催され、13体の耐力壁が出場した。トーナメント戦はポラス暮し科学研究所の「SHINMEI」が優勝した。
大会事務局によると、20年の節目の今回で大会は終了し、装いを新たにして再開するという。
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この木造耐力壁ジャパンカップを10回近く取材してきた。素人には理解し辛いことがたくさんあるが、毎回、楽しませてもらった。今回は別の取材が入っており残念ながら取材できなかった。主催者や稲山正弘教授にこれまでの成果や課題、今後の予定などについて聞きたかったが、機会があればまた紹介したい。
私見を言わせていただければ、競技の前提条件を明確にし、あとは創意工夫に任せて結果を問うのか、それともレギュレーションを取っ払って強いか、美しいか、安いかなどの総合力を競うようにしたらわかりやすいと思う。
左から篠原商店・糸井剛夫、大工・並木隆明、東京大学大学院木質材料学研究室教授・稲山正弘、大工・武原勉、商品開発部課長・田村明、組子職人・和田伊弘の各氏
ポラスグループが準優勝と審査員特別賞 第19回木造耐力壁ジャパンカップ(2016/9/22)
東京建物「Bloomoi(ブルーモワ)」が企画 機能的で美しい 公園隣接の「大山」
「Brillia大山Park Front」完成予想図
東京建物が10月下旬に分譲開始する「Brillia大山Park Front」を見学した。同社女性社員を中心とする働く女性が提案する住まいの共創プロジェクト「Bloomoi(ブルーモワ)」の企画商品が随所に採用されている、出色の出来のマンションだ。
物件は、東武東上線大山駅から徒歩7分、板橋区大山西町に位置する7階建て135戸。専有面積は56.91~83.16㎡、予定価格は4,400万円台~8,000万円台(最多価格帯5,900万円台)、坪単価は270万円台。竣工予定は平成30年10月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。分譲開始は10月下旬。
「Bloomoi(ブルーモワ)」は、平成24年10月に発足した、同社女性社員を中心とする組織で、翌年にはメンバーが考案した商品企画を盛り込んだ第一弾マンション「Brillia大山 The Residence」「Brillia下丸子」が、一昨年には第二弾「Brillia日本橋三越前」が分譲されている。
今回の「大山」は、昨年2月、「理想のリビング空間」として公開したものを採用しているのが特徴。
1階には小規模認可保育園が設置され、隣接する公園と調和するようファサードデザインに木調横ルーバーを採用している。
物件ゲストサロンのチーフアドバイザー・島田康光氏は「構造やらを廃したBloomoi(ブルーモワ)に特化した事務所の設えやモデルルームの評価が高い」と話している。
モデルルーム リビング
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いま、「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」という、デベロッパーが卒倒しそうなおどろおどろしい帯がついた本が店頭に並んでいる。記者はこの種の本を読まないので中身はわからないが、いかにもじり貧の出版業界がやりそうな一発逆転の、あるいは当たりそこないのポテンヒットを狙ったハウツー本であるのは間違いない。
その伝でいえば、この「大山」は駅から徒歩7分、坂もないからぴったり。関係者は胸をなでおろしているかもしれないが、そんな些末(これは言い過ぎか)なことよりはるかにアピールできる魅力をこの物件は持っている。
それは、敷地南西側は区立板橋公園に隣接しているということだ。もともと敷地は区立小学校が建っていたところで、隣接地は交通公園と一体として整備される。
もう一つの特徴は、「Bloomoi(ブルーモワ)」の商品企画を世に問う第一号案件ということだ。詳細は添付した記事を読んでいただきたいが、昨年2月、「理想のリビング空間」としてメディアに公開された「アイランドキッチン」「ブルーモワライブラリー」「ブルーモワポケット」「壁面収納」などが商品企画に盛り込まれている。
モデルルームは76㎡の東南角の住戸だから表現できた部分もあるが、とにかく機能的でかつ美しい。一つひとつ紹介しないが、玄関の見せ方が巧みで、5畳大の子ども部屋もうまく処理している。特に記者がほれ込んだのは細い木調枠を施したキッチン収納だ。この木調枠と白の面材は絵画のようだ。住戸内の床はシート張りフローリングだが、突板仕上げのように映る。
辛子色や淡いブルーのクッションを配したキャンパス地のようなL字型ソファーセットは、〝こんな提案がしたかったのよ〟と言いたそうな、「Bloomoi(ブルーモワ)」のメンバーの誇らしげな顔が目に浮かぶ。
この〝最強〟の女性目線のマンションの販売を担当するのが、RBA野球にも参加している加覧憲一氏をリーダとするチームだ。加覧氏はかつて国学院久我山の選手として、今でいえば清宮くんみたいに騒がれた人だが、本人とチームメンバーの加齢により弱体化する一方で、今では〝最弱〟チームに成り下がっている。
この最強と最弱の取り合わせが面白い。販売事務所は商品企画意図を最大限表現できていると記者はみた。販売動向に注目だ。加覧氏の名誉のために言い添えるが、加覧氏は同社のヒット作をたくさん担当している。
「Bloomoi(ブルーモワ)」収納
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公園に隣接・近接するマンションをここ1~2年たくさん取材してきた。同社のマンションでいえば、加覧氏がリーダーを務めた「Brillia上野池之端」がそうだ。
今回の「大山」は、都の民設公園制度を活用した第一号「Brillia萩山四季の森公園」を彷彿とさせるような物件だ。詳細は省くが、この民設公園制度はその後一件も供給されていない。残念だ。
美しく機能的な「Brillia大山Park Front」を演出する東建・加覧-磯田コンビ(2017/9/19)
東京建物 「Bloomoi(ブルーモワ)」が「理想のリビング空間」公開(2016/2/18)
西武鉄道「S-TRAIN(Sトレイン)」が内閣総理大臣賞 第11回「キッズデザイン賞」
若林西武鉄道社長(右)と鳥居車両部長(六本木ヒルズ・アカデミーヒルズ49で)
「S-TRAIN(Sトレイン)」
キッズデザイン協議会の第11回「キッズデザイン賞」記者発表・表彰式が9月25日行われ、最優秀賞「内閣総理大臣賞」に西武鉄道・川崎重工業の「新型通勤車両40000系」が選ばれた。住宅・不動産業界からは、子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン一般部門の優秀賞経済産業大臣賞に積水ハウスの「分譲マンションにおける安全・安心のための取り組み」が、子どもたちを産み育てやすいデザイン男女共同参画部門の優秀賞男女共同参画担当大臣賞にミサワホーム「マミーズプロジェクト」などが選ばれた。
キッズデザイン賞は、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品・空間・サービス・研究活動などを表彰するもので、今回は298点の受賞作品の中から最優秀賞・優秀賞・特別賞など優秀作品34点が発表された。
冒頭にあいさつした同協議会会長・山本正巳氏(富士通取締役会長)は、「今年度で総受賞数は2,453点、応募総数は4,081点となった。今回の受賞作品は、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つアイデアに満ち溢れたものばかり。今年6月に発表した『キッズデザイン宣言』の冒頭にある『すべての子どもは社会の宝であり、未来そのもの』の核心・原点を具現化している」などと語った。
また、安倍晋三内閣総理大臣から「安倍政権は、すべての子供たちが、それぞれの夢に向かって頑張ることができる社会を目指す」などとのメッセージが寄せられた。
積水ハウスの展示コーナー
ミサワホーム営業本部 分譲開発事業部 分譲営業部・梅田毎美氏(左)と大谷内裕美氏
◇ ◆ ◇
個人的なことで申し訳ないが、わが西武ライオンズが勝ち、楽天が敗れたためにゲーム差は3に広がり、ほぼ2位を確定した翌日に西武鉄道が内閣総理大臣賞を受賞した。こんなうれしいことはない。
西武線はマンションなどの取材で結構乗っているが、「新型通勤車両40000系」なるものに出くわしたことはない。授賞式に参加した同社代表取締役社長・若林久氏、取締役上席執行役員鉄道本部車両部長・鳥居武徳氏の話や資料などからしてなるほどこれはスグレモノだ。
座席指定の車両を特急ではなく通勤電車に採用したのがみそで、名称は「S-TRAIN(Sトレイン)」。土休日は西武秩父-元町・中華街を、平日は所沢-豊洲間を今年3月25日から運行開始した。10両編成に2車両だけで、運行本数は限られているが、座席シートがロングシートと着座シートに変換できるほか、車いすやベビーカー利用者、大きな荷物を持っている乗客のためにパートナーゾーンを設置。大人や子どもも利用しやすい手すり、腰椅子、トイレもついている。
鉄道会社には、乗り越し防止のために降りる駅に着くと眠っている客の肩をたたくとか尻をつつくシートの開発とか、すり防止のために本人以外の人が触ると警報が鳴るとか、女性または男性のお尻を触ると蛍光塗料が付着するとかそんなサービスを編み出してほしい。西武鉄道の杉山さんはその後どうなったのか。昇格してものが言えなくなったのか。
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積水ハウス、ミサワホームの受賞は喜ばしい。ただ、積水ハウスの安全・安心アイテムはすでに各社が採用しているものが多い。同社の〝5本の樹計画〟の圧倒的な緑の確保やメーターモジュールの廊下幅、ドア把っ手の壁面までの後退などUDの取り組みが群を抜いていることは評価の対象にならなかったのか。
ミサワホームの取り組みでは、分譲地での地域の子育てママとのコラボによって営業モデルをシステム化し、玉川上水の一戸建て1棟をわずか20日間で完売した事例が紹介されている。
今後も子育てしながら活躍できる女性社員の働く環境の整備に力を入れていくそうなので、機会があったら取材したい。(どうでもいいことだが、配布された資料には『子どもたちを産み育てやすい』と〝たち〟の接尾語が付いていた。子ども以外に産み育てる〝もの〟はあるのかと考えてしまった)
コスモスイニシアの「イニシア西新井」が何の特別賞ももらわなかったのは不可解。高木嘉幸社長が授賞式で破顔一笑した夢まで見たのに…。
報道陣でごった返す会場
高いハードル越える 「東京都子育て支援住宅認定制度」第1号 「イニシア西新井」(2017/2/28)
大和ハウス 天井高+スペックで№1目指す 天井高3mの防音室付きモデルハウス開設
「平沼xevoΣ展示場」
大和ハウス工業は9月23日、日本最多棟数を誇る住宅展示場「tvk ハウジングプラザ横浜」に天井高3.08mの同社オリジナル「防音シアタールーム」付きモデルハウス「平沼xevoΣ展示場」をオープンする。21日、メディア向けに披露された。
「防音シアタールーム」は、二重窓・二重ドアを採用した約13.4畳大の広さ。天井高3.08mは、基礎断熱工法を採用し、リビング・ホールの床面より36センチ低くして実現した。同社は昨年、新築とリフォームで約300棟の防音室を受注しており、業界トップのヤマハについで2位という。
見学会で商品企画について説明した同社住宅事業推進部商品開発部長・藤原 陽介氏は、「リビング天井高2.72mは4年前にオプションとして導入し、昨年に標準化したが、いまでは採用率は75%を超えている。今回は36㎝床面を下げることでシアタールームを3.08mにした。ドア高も2.72mとし、サッシ高も上下2つのサッシを組み合わせて大開口とした。防音室は、従来の〝狭くて暗く(価格が)高い〟イメージを払しょくする〝広くて明るく求めやすい〟を実現した」と話した。
また、同社横浜支社住宅事業部長・金田健也氏は、「今後はxevoΣなどの中高級の拡大と非住宅の拡販に力を入れて、戸建てでシェア№1を目指す。一棟単価は2年前と比べ約1,000万円高い約4.800万円に上昇した。天井高はモノサシの戦い。必ず他社が追いついてくる。スペック、コンサル営業に力を入れることがシェア№1を達成する唯一の方法」などと語った。
リビング
天井高の違いを示すシール
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ご存知のようにtvk ハウジングプラザ横浜は45社が出展する日本最大の住宅展示場だ。様式も和、洋、折衷、多国籍、無国籍何でもありで、形状もまるでルービックキューブ、レゴのようで、色彩といえば万国旗、満艦飾そのものだ。住宅展示場の集客力が落ちてきており、派手さで他社を出し抜こうという浅はかな狙いはエスカレートする一方だ。記者は訪れるたびに歌舞伎町の歓楽街(キャッチバーに捕まり多額ではないが少額でもないお金を払ったことがあり、それ以来足を向けない)や雄琴の温泉街(車中から眺めただけで行ったことはない)を思い出す。歩くのも恥ずかしくなるほどだ。だから住宅展示場は好きになれない。
取材を終え、このように考えながら歩いていたら、「牧田さん」と後ろから声を掛けられた。客引きではないかとビクッとして振り向くと、何と先日のRBA野球大会で決勝トーナメント進出を決めたS林業のYさんで、名字はまたかの遊郭街として知られたYと一緒。
馬鹿なことを考えていたからだろうが、グラウンドでのユニフォーム姿とは全く異なるYさんの美男子ぶりに記者は惚れ惚れした。毎年1,000名くらい参加するRBA選手とは比較にならないほど凛々しい。眉目秀麗とはこのYさんのような男のことを言う。プロ野球でいえば西武・金子クラスだ。Yさんのすごいのは、野球ができるということにとどまらない。本業でも同社の全国ベスト3に入る営業マンだと同僚から聞いている。(大和ハウスさんももっと野球に力を入れてほしい。ハウスメーカーではS林業にもSハウス、Aホームズ、Mホームなどに全然歯が立たない)
冗談はここまで。「平沼xevoΣ展示場」の外観はとてもいい。「えっ、このモデルハウスはS不動産の外観と〝そっくり〟じゃないの」これが記者の第一印象だった。ブラウン・セピア色の彫の深い軒先が特徴だ。
記者は木造ファンなのでここの展示場で一番好きなのはMホームの丸窓付きで、あとは機能性も加味してS不動産、Sハウス(2社とも)、S林業、I工務店などだ。地元密着で展開するN社も応援したい。それらと比べても今回のモデルハウスは引けを取らない。端正な姿が美しい。
そして最大の売りの一つであるリビング天井高2.720+80=2,800ミリだ。記者は結構これくらいの天井高を確保したマンション、戸建てを見学しており驚かないのだが、一般的な2,400~2,500ミリの住宅に住んでいる人は驚くに違いない。この〝㎥の価値〟をどれだけアピールできるかだが、これからは他社が追随するのは必至だ。
もう一つの売りの快適防音室「奏でる家」は、スグレモノであるのは間違いないが、記者自身あまり関心がないので正直よくわからない。
それより強調したいのは、2階バルコニーの吐き出し窓がフルフラットであることだ。これを標準化しているのは同社だけのはずで、これも他社が追随する動きにでると見ている。
一つ注文を付けるとすれば、天井の高さをわかりやすく体験できる工夫だ。2,800ミリのリビング天井高、1,800ミリの階段下書斎スペース、約4,000ミリのラウンジなどはそれぞれ独立型になっているが、これらを連続させて一体型にすれば、より高い天井高が体験できる。最近見学したポラスの分譲戸建ては2,700ミリのリビングと2,400ミリのキッチン・ダイニングとをスキップフロアにして、リビングの高さを一層際立たせていた。
藤原氏にこのことを伝えたら、「関西では連続性を持たせたものをつくっている」とのことだった。
自然素材を多用しているのも特徴の一つ。ホールには大谷石、リビングには石英、床はナラ、タモ材。このほかヘリンボーン、ナグリ仕上げもある。軒先は約3m。坪単価は135万円だそうだが、天井高、仕様レベルから判断して安いと記者は思った。
三層の空間(左)と「防音シアタールーム」
2階居室(居室とバルコニーがフラットであることがよくわかる)
「緑環境と広い空が最高」入居者 東急不 「世田谷中町プロジェクト」 完成祝うまつり
「世田谷中町プロジェクト」
東急不動産は9月18日、分譲マンションとシニア住宅の都内屈指の大規模複合開発「世田谷中町プロジェクト」のマンション「ブランズシティ世田谷中町」第2工区が竣工し、全ての街区が完成したのに伴う「世田谷中町まつり」を開催した。
様々な縁日のほか洗足音楽大学学生による金管5重奏コンサートや地元学童クラブのソーラン節、東急ハンズの手作りワークショップ、ヨガ教室、マンション見学ツアーなど多彩な催しに、マンションやシニア・ケア住宅の入居者を始め近隣住民など数百人が参加し賑わった。
まつりに参加した70代の奥さんとマンションに住む80代の男性は、「6年前にグッドデザイン賞を受賞したM社の等々力のマンションを買った。中庭もあって住居そのものは天井高が高く快適だったのだが、集会室など共用部分が狭かった。ここ(世田谷中町)は車で通って、これはいいと一発で購入を決めた。私は緑の環境、家内は空の広さに満足している。駅から遠い? 車もバスもある。毎日が日曜だから不便さは全く感じない。終の棲家にしたい。娘夫婦は桜新町の中古だが120㎡のマンションを買った」と、環境のよさにほれ込んでいた。
また、主催者がセットしたマンション入居者インタビューでは、85歳の男性Kさんは、「購入を決断した理由は2つ」とし、「一つは、これまで住んでいたたまプラーザの家は坂が多く、家内(82歳)の通院、リハビリにも何かと不便だった。ここは、姪から『いい物件がある』と紹介された。ケアに移り住めるシステムが気に入って購入した。もう一つは、私は世田谷生まれの世田谷暮らし。岡本の社宅に住んだこともある。皆さんは知らないだろうが、世田谷区の鳥はオナガで、昔はたくさんいたんだよ」と、地縁があるのも大きな購入動機と話した。
もう一人、奥さんと2歳の娘さんの3人家族のSさん(35)は、「結婚して子どもが生まれ、賃貸より分譲がいいと判断し、また、私は高津駅に勤務しているので通勤、通学の便、沿線イメージを考慮して田園都市線を選択した。道路沿いは嫌だったので、緑が豊富なここが気に入った。バス便はハンディにならなかった。一つ気掛かりなのは、定期借地権付きなので娘に資産を残せないこと。終の棲家にするかどうかは…」と語った。
「ここにはオナガがたくさんいたんだよ」Kさん 「娘に資産を残したいが…」Sさん
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「世田谷中町プロジェクト」は、第一種低層住居専用地域に位置する約1万坪のNTT社宅跡地で開発が進められているもので、分譲マンション「ブランズシティ世田谷中町」252戸(うち第一工区131戸は分譲中)と、シニア住宅「グランクレール世田谷中町」251戸(シニアレジデンス176戸、ケアレジデンス75戸)、地域住民も利用できる「コミュニティプラザ」、認可保育園などからなる複合開発。第一種低層住居専用地域の複合開発としては都内屈指。
東京都の「一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅整備事業」第一号選定プロジェクトでもあり、地域包括ケアの拠点として子育て期から高齢期までの多世代が気持ちよく暮らすことができる「世代循環型」の街づくりを目指す。
シニアレジデンスからケアレジデンスへの住み替えが可能。マンションからケアレジデンスへの住み替えに際してはマンションの買い取り保証サービスも実施する。
様々な社会課題に対する取り組みを行うのも大きな特徴の一つで、シニア向けワンストップ型生活サービス「ホームクレール」では、介護予防プログラムや入居者自身が講師として活躍できるカルチャースクールなどのメニューを提供する。また、英国スターリング大学、順天堂大学、東京都市大学などの「学」との連携も行う。
分譲マンションの第1工区131戸は90戸が分譲済み。第2工区はこれから分譲される。シニアレジデンスは176戸のうち100戸超が契約済み。
洗足音楽大学学生による金管5重奏コンサート(左)と地元学童クラブのソーラン節
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以前にも書いたが、この分譲マンションの購入者の約4割が高齢者だ。果たして、ケアレジデンスへ移り住むことができるというだけの理由なのか、ほかにも高齢者を引き付ける何かがあるのか興味深い。
また、Sさんの「定借は子どもに資産として残せない」という言葉にドキリとさせられた。定借も含めてマンションは資産になるのかどうかも考える必要がありそうだ。
この問題については稿を改める。
直線距離100m、臨棟間隔25mの舗道空間
東急不「世田谷中町」シニア向け 契約は過去最高ペース 分譲の4割が60歳以上(2017/6/29)
東急不動産 「世代循環型」の街づくり「世田谷中町プロジ ェクト」一部完成(2017/4/28)
東急不動産の記念碑的マンション 定借「ブランズシティ世田谷中町」は坪308万円(2016/9/3)
ポラス 浦和美園で大規模戸建て87棟分譲 マンション340戸含め1000戸 複合開発強化
「ボゥ ヴィラージュ浦和美園イストワール87」
ポラスグループの中央住宅は9月16日、さいたま市「みそのウイングシティ」内の大規模戸建て開発「ボゥ ヴィラージュ浦和美園イストワール87」の分譲を開始した。分譲に先立つ15日、報道陣向け見学会を行った。
物件は、埼玉高速鉄道浦和美園駅から徒歩14分、さいたま市岩槻区美園東1丁目に位置する全87棟。土地面積は150.08~160.09㎡、建物面積は97.10~116.28㎡、第1期(19棟)の価格は4,000万円台前半から5,000万円半ば。構造は木造2階建(2×4工法、在来工法)。
同社マインドスクェア事業部と戸建分譲事業部が共同で企画・開発した案件で、同エリアでは12年前の第一弾の「ボゥ ヴィラージュ美園」(172棟)以来2度目。
フランス語で〝美しい村〟を意味する従来の〝ボゥ ヴィラージュ〟に〝歴史〟〝物語〟の意味がある〝イストワール〟を加え、〝人生を深く味わう〟を新たなコンセプトに、同社オリジナルの3種類の瓦屋根を用いたほか、珪藻土、銘木床、自然素材の壁を採用してそれぞれのライフスタイルにあった家を選択できるようにしているのが特徴。
見学会で挨拶した同社取締役事業部長・金児正治氏は「12年前の172戸の第一弾は徹夜組が40組も出るほどの人気で早期完売した。涙を流された方もいた。心を込めれば買っていただけるということがよく理解できた。以来、当社グループは当地で約500戸の戸建てを供給してきた。今後は来年2月譲のマンション340戸を含め1,000戸超の供給を予定している。戸建てとマンションなどとの複合開発を当地など6カ所で進めており一層力を注ぐ」などと語った。
同社取締役・石井克利氏は、「12年前の第一弾以来の社内JV。5月からこれまで161件の資料請求があり、月にして平均40件。第1期19戸についてはすでに9棟の要望がある。想定通り反響」などと話した。
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浦和美園駅に降り立つのは10回目以上だ。何度も指摘してきたのだが、日本一ファンが多いというサッカーチーム・浦和レッズのホームスタジアムがあるというのに街づくりは遅々として進んでいない印象を受ける。金児氏が「12年前と比べ隔世の感がある」と述べたが、記者は逆だ。
やはり同時進行の形で開発が進められてきた千葉県の柏の葉キャンパスと比較してしまう。柏の葉の当初のマンション単価は160万円くらいだった。浦和美園は140万円台だったと記憶している。現在は、柏の葉のマンションは坪200万円を突破する。戸建ては6,000万円か。浦和美園のマンションは坪170万円でも苦戦している。
この差を当事者は考えないといけない。一言でいえば官主導と官民学連携の差だ。
見学会が行われた15日、会場の美園コミュニティセンターにある図書館で埼玉新聞を読んだ。スポーツ欄トップは西武・菊池雄星が14勝をあげた記事で、県のアマゴルフ大会の模様に全面を割くなどいい新聞だ。
さいたま市の2018年度の予算についての記事もあり、過去最大の459億円の予算不足が生じるとか。その理由の一つに都市整備に関わる建設事業費280億円が増加するためとあった。
いつもそうだが、浦和美園駅に降りて、コーヒーを飲むにもタバコを吸うのにも徒歩13分のイオンモールに行かないといけない。飲み屋などもほとんど駅前にない。スタジアムまで徒歩26分だ。サッカーファンはよく暴動を起こさないものだ。誰のための街かと考えてしまう。
そんな中で、ポラスグループはこの12年間で約500棟を供給してきたという。当地での戸建て着工シェアが知りたいところだが、圧倒的な数字だろうということは容易に想像できる。
「フレンチハウス」(左)と「こもれ美の家」
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今回の企画設計を担当したのは、先に取材した同社の分譲戸建て新ブランド〝Machie(マチエ)〟を作った古垣雄一氏。「美園エリアは建築条件付きの住宅が多く、植栽が少ない。当物件は緑を意識的に多くすることで美園エリアの街並みを牽引していきたい」と語った。
物件はよくできている。4棟のモデルハウスのうち、「フレンチハウス」は、6色から選べるキッチンカウンタータイルと、ミルキー仕上げのキリ材を用いたデザイン壁が美しい。このプランの説明を、第1期の外構設計を担当し、全体としては販売戦略・パンフレットなどの販促も担当している同社戸建分譲設計本部設計一部 営業企画設計課 企画設計課主任・角張泰広氏が行った。(角張さん、せっかく自然素材を多用し、レベルの高い住宅をつくったのに、あの安っぽい造花はないと思います。画竜点睛を欠くとはこのことを言うのではないですか)
「アトリエの家」は、リビングサイドの小上がり50~60センチの「スキップアトリエ(DEN)」の提案がいい。DENの部分の天井高は2.1~2.2m確保されており、リビング床の天井高を2.7m確保しているからこそできる芸当だ。
「こもれ美の家」は、リビング東の高窓から光を取り込み、国産材のスギを壁全面に張って自然の風合いを演出しているのが特徴。1階水回りの部分を利用して、2階の1室の天井高を2.7mにしているのも面白い。参考までに。スギの学名はCryptomeria japonicaで、〝隠れた日本の財産〟という意味だ。英語のCedarを使ってほしくない。
「リゾートハウス」は、アーチ状と擬石の壁を配した天井高3mのキッチン・ダイニングと、3面の窓とつながったウッドデッキを配してリゾート感覚を演出しているのが特徴。小上がりの和室は床下収納付き。
この日の駅前の道路(左)と8月25日の道路(記者がひどいと書いたから刈ったわけでもなさそうだ)
驚嘆のプランと売れ行き ポラスの戸建て新ブランド〝Machie(マチエ)〟(2017/8/25)
アパ・元谷代表 「中国人宿泊客シェアは減少したが、書籍問題は全く影響なし」
元谷外志雄代表(左)と元谷芙美子・アパホテル社長
アパは9月15日、アパ赤坂見附本社ビル1階に「アパ情報館 INFORMATION CENTER」を開設した。セレモニーに出席した元谷外志雄・アパグループ代表は「現在開発中の物件も含め全国最大の433ホテル72,205室に拡大し、2016年11月期決算で売上高1,105億円、経常利益338億円まで成長した。2020年までに10万室をめざす。オリンピック後はオーバーホテル状況が予想されるが、当社は逆にチャンスととらえ、アジアを含め買収、パートナーホテルなどネットワーク拡大を進める」と話した。
また、先の書籍問題について、「中国人宿泊客のシェアは問題になって以降、それまでの5.2%から現在1.9%に減少したが、〝アパ頑張れ〟の応援もいただいたし、知名度が世界的になった。全くマイナスにならなかった。今月の稼働率は93%、都心は100%」などと語った。
過熱する用地争奪戦については「12年前と比べ用地は3~4倍、建築費は倍になった」とも話した。
「アパ情報館」は、アパグループの情報を発信するとともに、ホテル投資を検討している顧客向けにフランチャイズシステムへの加盟、新築・リニューアル、用地の取得などの相談拠点にする。
テープカットする左から衆議院議員 消費者問題特別委員長・原田義昭氏、元谷代表、元谷芙美子氏、ライフコーポレーション 代表取締役会長兼CEO・清水信次氏
「アパ情報館 INFORMATION CENTER」