東急不動産「旧軽井沢ホテル」 「キュリオ・コレクションby ヒルトン」として開業

客室イメージ
東急不動産とヒルトンは1月10日、東急不動産が昨年3月に取得した長野県・軽井沢町の「旧軽井沢ホテル」においてフランチャイズ契約を締結し、ヒルトンのコレクションブランド「Curio Collection by Hilton(キュリオ・コレクションby ヒルトン)」の日本初進出ホテル「KYUKARUIZAWA KIKYO, Curio Collection by Hilton」として2018年春にリニューアルオープンし、東急リゾートサービスに運営を委託すると発表した。
東急不動産ウェルネス事業ユニットホテル・リゾート事業本部長兼東急リゾートサービス社長・速川智行氏は「軽井沢の地で、ヒルトンの国内初出店となるコレクションブランドの出店により、日本の魅力をさらに高め世界に発信できることをうれしく思います」とコメント。
また、ヒルトンのアジア・オーストラリア地区開発担当上席副社長のガイ・フィリップス氏は「ヒルトンでは東京、大阪、沖縄を含めた主要都市に、現在14のホテルを展開しています。当社の新しいブランドを日本に、さらには軽井沢のような魅力的な土地に紹介できることを、大変嬉しく思います」とコメントしている。
「旧軽井沢ホテル」は、旧軽井沢エリアに立地し、敷地は明治時代を代表する実業家や文化人、政治家の別荘として利用されてきた。約9割の客室が40㎡を超す間取りとなっている。
「キュリオ・コレクションby ヒルトン」は、世界で40軒以上展開しており、「キュリオ」という言葉は〝興味深く、ユニークで、他に類を見ない〟という意味が込められている。
「KYUKARUIZAWA KIKYO, Curio Collection by Hilton」は長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢491-5外に位置する地下1階地上3階建て延床面積6,989.12㎡(他に木造平屋建て81.57 ㎡の教会)。客室数は50室。
積水ハウス&マリオット 日本初上陸「Wホテル」大阪に2021年開業

「W OSAKA」完成予想図
積水ハウスは1月10日、マリオット・インターナショナルが展開するラグジュアリー・ライフスタイルホテルブランド「Wホテル」のわが国初の「W OSAKA」を2021年に開業すると発表した。
大阪・御堂筋に面した大阪市中央区南船場4丁目の土地約2,544㎡に同社が建設するもので、建物は27階建て全337室。安藤忠雄氏がデザインを監修し、日本設計が設計監理、竹中工務店が施工をそれぞれ担当する。開業は20121年2月の予定。
各客室のインテリアは、斬新でスタイリッシュなデザインコンセプトを貫き、ブランドのシグネチャーでもあるオールデイ・ダイニングレストランを含むレストランやバー「WOOBar」のほかプール「WETDeck」、フィットネスセンター「FIT」、スパ施設「AWAYSPA」を備える。イベント施設として400㎡のボールルームと会議室も設置する。
記者会見に臨んだ積水ハウス会長兼CEO・和田勇氏は「マリオットグループとは『セントレジスホテル大阪』や『ザ・リッツ・カールトン京都』などで連携しているが、今回、大阪のメインストリートで第1号の『Wホテル』を建設することになり、また設計を日建設計、監修を安藤忠雄氏に行ってもらうことで関心も高く、鳴り物入りのホテルになるはず。今後、宿泊に特化した郊外型も展開していきたい」などと述べた。
マリオット・インターナショナル アジア太平洋社長兼マネージングディレクター クレイグ・スミス氏は「大阪は『Wホテル』発祥の地のニューヨークにもっともよく似ているエキサイティングな街。日本の国内・海外の方に、日本の美しい自然、歴史、文化と当社のホスピタリティを堪能していただける。今回の連携を心から感謝している」と語った。Wホテルは現在、世界52カ所で展開中で、2020年までに75カ所に増やす予定。
また、ゲストとして登壇した安藤忠雄氏は「(積水ハウスの)『希望の壁』はメンテナンスが大変なことはわかっていたが、(話すと同社が断念するのではと思い)黙っていた」と会場を笑わせ、「今回は日建さんがすべてやってくれるので、私は『結構ですね』というだけだが、環境も人間も大切にするイマジネーションが湧いてくる。チームワークで頑張りたい」などと話した。


和田氏(左)とクレイグ・スミス氏(ザ・リッツ・カールトン東京で)
◇ ◆ ◇
ザ・リッツ・カールトン東京の会場の着くなり、ハードロックかクラブミュージックかダンスミュージックか、記者にはまったく理解不能の耳をつんざくBGMが流れ、演壇中央には大きな「W」の電飾看板のようなものが置かれ、赤や青、緑、紫、黄色、白に目まぐるしく明滅した。
これには、〝ひょっとしたらリッツ・カールトンのような〟ホテルかもと予想していた記者は完全にKO状態。
さらにまた、関係者の口からは「エキサイティング」「fuel(活気、熱量)」「エネルギー」「「カオスとカルチャー」「24時間眠らない」「不可能を可能にする」「固定概念、限界をやすやすと超える」「cheeky acdacious(生意気な)」「spontaneous(自発能動的な)」「bold(大胆な)「witty(機知に富んだ)」「insider(通)」「目立ちがりや」などの単語が次々と飛び出した。
「W」には“いつでもどんなことでも”(Whenever/Whatever)という意味が込められているようだが、これはもう和田氏の「W」そのものだし、〝Wa―すごい〟ホテルだと納得させるしかなかった。
リッツとは全くコンセプトが異なる。料金そのものはリッツより安くなりそうだが、ルームチャージなどについてスミス氏は明言を避けたように、〝高いか安いか〟の尺度で測れないホテルだ。〝負けたら あかんで東京に〟の関西の富裕層にはぴったりかもしれないし、東京なら六本木、渋谷、湾岸なら間違いなく受ける。
それにしても、この前の日曜日には、積水ハウスの「御園座タワー」完成お披露目会で隈研吾氏直々に劇場とマンションのコンセプト説明を受けた。この日は安藤忠雄氏だ。年明けからこんな嬉しい取材ができるなんて何と幸せなことか。

安藤氏(左)と和田氏

未来創造を力強く推進する2018に! コスモスイニシア社長 高木嘉幸/年頭所感
旧年中は、米国大統領に就任したトランプ氏による選挙公約実現へのアクションに世界が動揺し、北朝鮮の脅威も増大し、また、中東やヨーロッパで継続するテロなど世界には不安定要因もありましたが、日本経済はデフレ脱却に向け着実な歩みを進めた一年となりました。安倍政権の安定継続が確実視される中、日本経済の好循環が着実に進展する2018年となることに大きく期待し、「CIグループとしての独自の成長戦略」を更に推進する上でのファンダメンタルズは良好であろうと考えています。
「中期経営計画2018」もいよいよ最終年度を迎えますが、昨年5月には、「その先の未来」をイメージした「中長期事業戦略と事業規模イメージ」を公表し、成長戦略の実践を宣言しています。今期もこれまで「その先の未来」を創造するべく、新たな展開が実践されており、CI株価も昨年末終値が「609円」となり、長らくの400円台での推移から大きな上昇となりました。これもCIグループの色々な取り組みがマーケット評価に繋がってきていることと確信しています。
今年は「明治150年」ともなり、「更なる維新・革新」が進展・本格化する年となるであろうとの見解もあります。IT技術の進化と共に、グローバル化も進化・変化を加速させることは間違いなく、社会の要請・消費者ニーズの変化への対応施策も進化・変化していかざるを得ません。そうした環境下にありながらも「不動産をベースとした事業展開」には、リアルなニーズに応えるリアルを創造する必要からのユニーク性があり(参入障壁は意外と高い)、CIグループとしてのこれまでの経験と実績の上に、革新を創造できれば成長可能分野は多く存在するとの思いは変わりません。
「成長戦略の実践~その先の未来創造~」を変わらぬテーマとして掲げることは、継続企業として、企業価値を高め、お客さま・株主・お取引先・従業員の全てに評価していただけるために必要・不可欠なことです。そうした経営を実現・継続するためには、「それを支える企業文化や風土」が醸成され、かつ、継続・進化することが必要・不可欠です。勿論、そうした企業文化や風土を醸成し、成長への事業戦略を推進するための強力なリーダーシップも重要ですが、やはりそのベースとなるファンダメンタルズが無ければどうにもなりません。今年も企業価値向上に継続して取り組みますが、より一層、株主への還元と従業員への還元に注力すべきと考えています。
「中期経営計画2018の総仕上げ」と「2021への経営計画策定」を推進する2018年となりますが、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ!」のスピリッツのもと、やはり今年もみなさんと一緒に「革新創造」を継続していきたいと考えますので、今年もどうぞ宜しくお願いします。
積水ハウス わが国初全戸ZEH対応「グランドメゾン覚王山菊坂町」

「グランドメゾン覚王山菊坂町」完成予想図
積水ハウスが分譲中のわが国初の全住戸ZEH対応マンション「グランドメゾン覚王山菊坂町」を見学した。名古屋市内の高級住宅街として知られる「覚王山菊坂町」の高台の一角に立地。順調な売れ行きを見せている。
物件は、名古屋市東山線覚王山駅から徒歩6分、名古屋市千種区菊坂町3丁目に位置する地下1階地上3階建て全12戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は82.54~151.84㎡、現在分譲中の住戸(3戸)の価格は7,390万~13,880万円。竣工予定は平成31年2月下旬。設計・監理は計画工房。施工は鴻池組。
現地は、駅からなだらかな坂を上った戸建てや中層のマンションが建ち並んでいる一角で、南東角地のヒルトップ。椙山女学園が近接。
外構には錆石の擁壁をめぐらし、外周には同社の「5本の樹」計画を採用。建物は「創エネ」「畜エネ」「省エネ」を駆使して全住戸ZEH基準を見たいしているのが最大の特徴。「省エネ」では、窓のアルミ・樹脂複合サッシにアルゴンガス封入複層ガラスを採用、開口部の断熱性能を従来比2倍に高めている。
「創エネ」「畜エネ」では、全住戸平均約4kWの太陽光発電システムと、燃料電池「エネファーム」を搭載。住宅の省エネ性能を評価する「BELS」で最高ランクの☆5つを獲得している。
設備仕様は、天然石のキッチン・洗面カウンタートップ、ウレタン塗装仕上げ扉、空気環境配慮システム「エアキス」、スマート・ユニバーサルデザイン、ドアのセットバック、メーターモジュールの廊下幅など。リビング天井高は2,200~2,700ミリ。
◇ ◆ ◇
バブルのころ、大京の「エルザ星が丘」78戸を見学したことがあるが、名古屋市のマンション市場はまったくわからない。
しかし、このマンションは間違いなく億ションにふさわしい仕様レベルだと思う。

建築中の現地
「今年こそデフレ脱却を」 菰田正信・不動協理事長 FRKと2018年合同賀詞交歓会

不動産協会&不動産流通経営協会 合同賀詞交歓会(ホテルオークラ別館で)

菰田氏(左)と榊氏
不動産協会と不動産流通経営協会(FRK)は1月9日、恒例の合同新年賀詞交換会を行った。約1,100名が参加した。
冒頭、挨拶に立った不動産協会・菰田正信理事長(三井不動産社長)は、「今年こそデフレから脱却し、経済の好循環に向けて成長が加速する年にしなければならないという思いを強くしている」と切り出し、デフレ脱却について踏み込んだ発言をした。
続いて、「わが国の経済は、企業収益や雇用情勢の改善などでゆるやかに回復している。先行きは世界情勢の不確実性など不透明な点もあるが、今後さらに力強い成長を促し、経済の好循環を実現するために官民が総力を挙げて都市と地方の活性化を図ることが大変重要だ。
当協会はこうした観点から平成30年度の税制要望活動を積極的に進めてきた。先月決定した『平成30年度の税制改正大綱』では、最重点要望だった『土地固定資産税の負担調整措置』の延長が認められた。その他『居住用財産の買換え・売却に伴う特例』や『新築住宅に係る固定資産税の軽減特例』など、当協会の主要な要望がすべて認められた。
また、都市政策や住宅政策についても、都市再生特区の用途変更の柔軟化、エリアマネジメントの充実、団地型マンションの建て替えに関する制度の整備、宅配ボックスの容積率に関する運用の弾力化が図られるようになった。
当協会は、魅力的な街づくりと豊かな住生活を実現するとともに、これらを通じて経済の成長に一層寄与するため都市政策、住宅政策、税制について官民一体で要望活動に取り組んでいく。
今年は都市再生プロジェクトの推進を図るとともに来年度に期限切れを迎える都市再生促進税制について的確に対応するほか、AIの活用、街づくり、働き方改革、多様化する住宅ニーズへの対応、国際化、物流など幅広い取り組みを行い、真の豊かさを実感できる社会の実現に貢献していく」などと述べた。
乾杯の音頭を取ったFRK・榊真二理事長(東急リバブル社長)は、「当協会が長年要望してきた買取りリフォーム販売における不動産取得税の減額措置の敷地への適用が認められたほか、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の特例の適用期限の延長、地方の空き家等の定額物件の負担軽減措置なども実現した」と先の税制改正で同協会の要望がほぼ認められたことに触れた後、「昨年の不動産流通市場は成約件数、成約価格とも1年間通じて堅調に推移した。足元でも既存住宅への底堅い需要を実感している。
今年も低金利に加え、税制による支援ローン策などを背景に好取引が続くと期待している。
人生100年時代、超長寿社会を迎え、不動産の利活用も各様々なパターンが増える。社会の要請を受け止め、新たな制度や技術を活用して隠れた価値を見出すことによって地域の魅力や既存住宅のよさを発信し、不動産流通を活発化させることで内需拡大と諸課題の解決に貢献したい」と述べた。
来賓として登壇した国土交通省・石井啓一大臣は、「人口減少社会を迎え、持続可能な社会を実現するため、一昨年は生産性革命元年として位置づけ20のプロジェクトを立ち上げた。昨年はその前進の年としたが、今年は深化の年とした。不動産活用の最適化、都市の高度利用、既存住宅の利活用の促進など社会全体の生産性向上に注力していく」と述べ、また、「近年問題になっている所有者不明土地問題、都市のスポンジ化対策、都心部の余剰駐車スペースの有効活用策などについても通常国会へ法案提出に向けて準備を進めている」と語った。

石井大臣

◇ ◆ ◇
今年の賀詞交歓会での取材のテーマは〝デフレ脱却〟だった。バブルが崩壊して28年。もうそろそろ脱却宣言をしないとこれから先〝デフレ脱却〟は死語と化すのではないかという危機感があるからだ。誰でもいいから脱却宣言を引き出すのが目的だった。
なので、のっけから菰田理事長が話したのにはびっくりした。一昨年、当時の木村惠司理事長(現三菱地所会長)もあいさつの中でデフレ脱却について触れたが、それほど強い口調ではなかった。それだけに今回の菰田氏の発言は重い。以下、会場で拾った各氏のコメント。順不同
岩沙弘道・三井不動産会長 (会長、今年デフレ脱却を宣言しないともう永遠に無理では)そう、今年こそ宣言しないといけない。今年は明治改元150年。記念すべき年。来年は元号が変り、消費税も上がる。英知を振り絞ってデフレ脱却を宣言しないといけない
樋口武男・大和ハウス工業会長 デフレ脱却? そや、素晴らしい年にせにゃあかん。僕は大丈夫だと思う。全体の流れは上向き。プラス思考じゃないといかん。マイナス思考は経営の敵じゃ
神山和郎・日神不動産会長 昨年と変わらない。デフレ脱却? ムードだけ。実体経済は悪くはならないだろうが、完全に脱却という状況にはなにないのでは。賃上げだけではない条件もある

左から岩沙氏、樋口氏、神山氏
髙井基次・大和ハウス工業常務執行役員(マンション事業担当) 業界は(大手の)寡占化が進む。(御社はその一角に食い込まないと)ブランディングをしっかりやって大手の一角に食い込むぞ
柿崎宏治・明和地所取締役執行役員 名古屋支店開設準備室室長に就任した。用地仕入れはこれから。目標? 年間100戸くらいはやりたい(隣にいた同社福眞吉葉執行役員に「100戸でいいんですか」と言われ)それじゃ200戸にするか

左から高井氏、福眞氏、柿崎氏、明和地所・三平慎也執行役員
荒井正昭・オープンハウス社長(元高校球児) さらに成長の年にしたい。RBA野球? どうも最近の新入社員は野球に興味がないみたいだ
脇英美・三菱地所レジデンス社長 最高の年にする。〝戌笑う〟っていうじゃない。走り回る

左から2人置いて荒井氏、脇氏
高林学・三交不動産社長 (三重県の伊勢出身で、御社のファンですから)そうですか。わたしも伊勢出身(今度、和光市でマンションを分譲するとか。かならず見学する)
島田和一・タカラレーベン社長 ライフスタイルに新常識をつくる年にする。今週金曜日、銀座8丁目にコンパクトマンションのサロンを開設する。案内状? 届いてない。(間違いなくお伺いします)
手島芳貴・タカラレーベン常務取締役 RBA野球に復帰する。選手としても出場するつもりでいたが…(同社は東京ドームに進出した経験あり)

左から高林氏、同社・盛田哉東京支店本部長、手島氏、島田氏、同社・岡部剛専務取締役
野村均・東京建物社長 今年は中計の4年目の年。右肩上がりの年にしたい。順調に推移している
神園徹・野村不動産アーバンネット執行役員人事部長 お客さんにも社内でも世の中でも当社が№1と評価される会社にする(ずいぶん成長されたようですねとカメラを向けたら)写真はかんべんしてよ。前とかわらないよ
廣岡哲也・フージャースホールディングス社長 ホテル、シニアなど業界の垣根を越えてチャレンジしていく
木村惠司・三菱地所取締役(前不動産協会会長) 消費者物価指数2%の壁があるから…まだわからない

左から野村氏、廣岡氏、木村氏
不動産協会・不動産流通経営協会2017年 合同賀詞交歓会に過去最多の1,200名(2017/1/6)
和の格式と伝統の継承を 隈研吾氏監修の御園座タワー完成 積水ハウス・御園座

「御園座タワー」
積水ハウスと御園座は1月7日、積水ハウスの分譲マンションと御園座の建て替え複合再開発プロジェクト「御園座タワー」が竣工したのに伴い、監修を担当した建築家の隈研吾氏を招きメディア向け内覧会を行った。
同プロジェクトは、市営地下鉄東山線伏見駅から徒歩1分、名古屋市中区栄1丁目に位置する1896年(明治29年)の開業以来、名古屋市の芸能・文化を象徴する劇場として親しまれてきた「御園座」の建て替え商業施設と分譲マンションからなる40階建て延べ床面積約56,000㎡の複合再開発。監修は隈研吾建築都市設計事務所。施工は鹿島建設。工期は平成27年4月から29年11月。
計画に当たっては、新たな「賑わいのあるまち」を創出するため名古屋市総合設計制度を活用。劇場部分の外装は「なまこ壁」の意匠デザインを踏襲し、御園座の格式・伝統を受け継ぐ「朱色」「木調」「市松模様」を多用。客席数は1,298席、歌舞伎のほかコンサートなど幅広い演目に対応する。
分譲マンション「グランドメゾン御園座タワー」304戸は平均専有面積92.22㎡と広めに設定。坪単価は350万円と〝断トツ〟の高さであったが、ほとんどクローズで全戸が約1年で完売した。
内覧会に臨んだ御園座代表取締役会長・小笠原剛氏は「いよいよ4月に新生御園座の開業となるが、世界でもっとも著名な隈研吾先生に斬新で素晴らしいデザインの劇場につくり上げていただいた。隣接する岡崎信用金庫も先生が担当されており、二つの建物は街のシンボルとなるはずで、街の活性化につなげていきたい」と挨拶した。
コンセプトなどについて説明した隈研吾氏(東京大学教授)は、「中心市街地の活性化は世界の都市のテーマ。今回は、日本の伝統を継承し発展させるために御園座の歴史をリサーチ」し、「ファサードの白い格子のなまこ壁は、特殊な照明計画も用いて光をまとったユニークであざやかなデザインとした。名古屋の勢いを象徴する朱色の御園座レッドの祝祭空間はロビー・ホワイエから街路まであふれ出るようにデザインした。華やかな市松模様は音響にも効果があることが分かり客席全面に展開した。住宅部分も格式のある繊細なデザインにした」と語り、「これまでもたくさん劇場を手掛けてきたが、日本の伝統を未来につなぐこのような劇場は他にない。名古屋の新しい文化の核になり、さらにこれからの日本文化をけん引するコアになることを確信している」と締めた。
柿葺落(こけらおとし)は4月1日。二代目松本白鸚(松本幸四郎改め)と十代目松本幸四郎(市川染五郎改め)の襲名披露公演が行われる。

隈氏(左)と小笠原氏

大階段(左)とホワイエ

客席

◇ ◆ ◇
「なまこ壁」は下段、中段、上段でそれぞれデザインが微妙に異なり、壁面から浮かせて張られているため、見る方向で表情が変る。夜間はLEDでライトアップされる。
内装の日本古来の大和壁、市松模様、格子もさることながら、「わが国伝統の祝祭空間」(隈氏)が演出されているエントランスアプローチ、ホワイエ、客席など全面展開されている鮮やかで明るい「御園座レッド」が圧巻だ。えも言われぬ朱赤が高揚感を誘う。
緞帳も、大丸松坂屋百貨店・トヨタ自動車寄贈の松村公嗣氏作「野分(のわけ)」、名古屋鉄道・三菱電機寄贈の杉本健吉氏作「天人奉楽」、積水ハウスの寄贈の絹谷幸二氏作「黄金旭日名古屋城」の3張が披露された。絹谷氏の作品は1億円近いそうだ。
「グランドメゾン御園座タワー」は2015年9月からクローズで販売開始され、2016年12月までに完売。同社は価格を公表していないが、坪単価は当時としては断トツの350万円。それでも「〇〇さん(著名な歌手)は1フロア丸ごと買った」(地元記者)ように関係者・富裕層中心に圧倒的な人気を呼んだ。

大丸松坂屋・トヨタ自動車が寄贈した緞帳の前で記念写真に応じる二人

積水ハウスが寄贈した絹谷幸二氏作の緞帳

マンションのロビー(6階)


大和ハウスの新TVCM 「物流×AI」が最高に面白い
大和ハウス工業の新TVCM「物流×AI」
今年の正月は、年末に体調を崩し文字通り寝正月。お蔭で大和ハウス工業の新TVCMを何度も観ることができた。
「Daiwa Boys」が登場したとき、ボーカルはいつもの役所広司さんであることがすぐわかるのだが、ギター・ウッドベース・アコーディオン・パーカッションこれまた全てプロで相当の腕前であることもすぐに分かった。
軽妙な役所さんの歌と踊りもいいのだが、何より面白いのがテーマの「物流×AI」の「AI」を日本語の「愛」に置き換える部分だ。〝物流の未来を変えるんだ 「愛」をローマ字にすると「AI」になるんだ 「AI」は、そうなんだ、「愛」なんだ〟と。
◇ ◆ ◇
市場規模は約25兆円、就業者数は約250万人もある巨大マーケットでありながら記者などはほとんど物流についてしらない。一般の人もそうではないか。
そんな「物流」を劇的に変えるのは「AI」であり「愛」であると役所さんはコミカルに演じて見せる。確かに〝ヒト モノ カネ〟の核にあるのは「物流」だ。
ちなみに記者のモットーは〝記事はラブレター〟座右の銘は〝人生は愛〟だ。


“永代家守り”を進める アキュラホーム社長 宮沢俊哉/年頭所感
新年あけましておめでとうございます。2018 年の年頭にあたりご挨拶を申し上げます。
昨年アキュラホームグループは様々なことに挑戦しました。例えば、中大規模木造建築物として埼玉北支店に続き、つくば支店の〝住まいと暮らしサロン〟を完成させました。中大規模木造建築の技術を様々な人から学ばせていただくとともに、デザイン面でも評価をいただきました。まちづくりも、住まい手の深層心理を考え、理想の暮らしを実現できるつくり手になることが重要だと考え、現在取り組んでいます。創業40周年の節目となる今年は、それらが各地で具現化される年になると考えています。
企業の未来を語る上では、イノベーションやチャレンジという言葉がよく使われます。しかし、めずらしいものや変わったことを行うことが主になってはいけないと思います。古い固定概念を打ち破るイノベーションも良いのですが、私は温故知新の考えがとても大事だと思います。日本には すばらしい文化や伝統、学ぶべき歴史がたくさんあります。生きていく中での本質的なものは過去 から学ぶことが多くあります。その学びの中から新しい技術などを進化させながら、働き方までもが大きく変化しようとしています。
外部環境を考えると、今年の大発会では日経平均株価は26年ぶりに高値を記録するなど景気の回復が顕著になっています。その一方で急速な少子高齢化、消費増税が控えています。2020年には世帯数の減少により個人消費も減少し、働き手も減ると言われています。さらに医療費問題、年金問題、介護問題と、ある意味では住まいどころではないと思うこともあります。そのような中で今までの常識や価値観も変わり、時代革新、科学も進歩して、AI やIoTが浸透し、様々なものが人からロボットやITに入れ替わっていくことでしょう。
しかしながら我々は、理想の住まいづくり、まちづくりを提唱し、建てた後も住まい手と永く関わっていく“永代家守り”を進め、人の輪を広げていくことで、大きな環境の変化があっても乗り越えることができると思っています。そしてチームワークの力をもって、本質を見極めることができれば、人々の暮らしを豊かにするとともに、働く人たちもやりがい、生きがいを持ち、豊かな人 生を歩める模範の企業となることができると考えます。本質、理想、あるべき姿を追求し、日本の住環境を豊かにする一助となれればと思っています。
各事業シェアナンバー1など4つのお願い 大和ハウス工業社長 芳井敬一/年頭所感
平成30 年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨年の日本経済は、企業収益の改善により緩やかに拡大しましたが、一方で個人消費の盛り上がりに欠け、近隣諸国の動向により世界情勢が混沌とするなど、先行きの見えづらい状況で推移しました。
住宅業界では、年前半は賃貸住宅の需要に支えられましたが、戸建住宅に関しては依然、力強さを欠く厳しい状況が続きました。
そのような中、皆さんの弛まぬ努力により、「第5次中期経営計画」の最終年度計画を上方修正するなど、売上高4兆円に向けた歩みを着実に進めることができました。
新体制での新年を迎え、持続的発展とさらなる成長を実現するために、役職員全員にお願いしたい ことが4つあります。
一つ目は各事業でのシェアナンバー1 の奪取です。当社は住宅・建設・不動産業界においてトータルの売上高は1位ですが、ナンバー1の事業はありません。そのため、今一度、原点に立ち返り、世の中に必要とされる商品・サービスの提供とお客さまの視点に立った商品開発を他社に先んじて取り組み、首位を奪取してください。特に、役職員全員が「住宅営業担当者」であるという気概を持 ち、コア事業である住宅事業の改革を推し進め、全事業部門にも拡げてください。
二つ目は行動第一主義の徹底です。近年は事業規模の拡大に伴い、お客さま情報を数多くいただけるようになりました。しかしながら、本当に肝要なのはお客さまのもとに直接出向き、お客さまのご要望をお聞きし、その夢を叶えることです。「頭でっかちで足腰の弱い人間」にならないよう、「熱意と足」で仕事に結びつけてください。
三つ目は海外事業の拡大です。2017年度の海外売上高は2,000億円、2018年度には2,500億円超を目指して事業に邁進していますが、その目標達成には人財が不足しています。そのため、皆さんはいつでもすぐに海外で活躍できるよう、日頃から「精神力」「経営感覚」を養うことはもちろんのこと、「日常英会話の能力」「世界中で活躍できる姿勢・意欲」を持ってください。
四つ目が人財育成です。当社は2055年に創業100周年を迎えますが、その時の社長は、今の若手 社員かもしれません。創業者の夢の実現に向けて、「このメンバーならば創業100周年に売上高10兆円を達成できる」という人財を育ててください。
「先義後利」をキーワード ポラスグループ代表 中内晃次郎/年頭所感
消費者目線ではあまり実感はありませんが、政府の景気判断よると約5年間に及ぶ好景気が続いております。北朝鮮の核ミサイル開発など、不安定要素が存在する国際情勢ではありますが、突発的な事象や大きな変化などが無ければ、本年も引き続き景気の良い年となりそうです。
しかし、来年2019年は消費税の10%への増税や東京五輪に向けた一つのピークの年になると考えられ、その後は厳しい状況が訪れると予想されます。
ですから当社では、来たる増税による反動減などのマイナス局面に備え、しっかりとした土台作りをする年にしたいと思います。
本年は「先義後利」をキーワードとして事業運営を行います。「当然あるべき道、商売における正しい道を優先させ、利益を後回しにする」という意味ですが、社訓や経営理念等の考え方にも通じるもので、当社の原点を再認識することともいえます。
これを推進することで、創業時から培ってきた「地域密着」・「顧客密着」・「社員密着」を徹底し、①お客様に喜んでいただき、②地域から感謝され、③世の中全体に感謝され、④社員がいきいきと働ける、存在価値の高い企業グループとして成長を遂げたいと考えております。
そして来年に控えた創業50周年、さらにはその先の半世紀をも、持続的に発展する強固な企業基盤を全社一丸で構築してまいります。

