大和ハウス 八王子・高尾駅の大規模商業施設「イーアス高尾」開業
「iiasu(イーアス)高尾」
大和ハウス工業は6月22日、東京都八王子市の大規模複合商業施設「iiasu(イーアス)高尾」を開業する。
「イーアス高尾」は、「ちょうどいいが、心地いい」をコンセプトにした子育てファミリーからアクティブシニアまで利用できる地域密着型ショッピングセンターとして開発。約64,000㎡の敷地に核テナント5店舗、モール専門店115店舗の合計120店舗と、1,840台の駐車場と759台の駐輪場を備える八王子市最大級の施設。
施設は、高尾駅から徒歩6分、鉄骨造3階建て延べ床面積約49,000㎡。年間売り上げ目標は220億円、来場目標は年間1,000万人。
施設の開業を前に分譲した住・商一体のマンション「プレミスト高尾サクラシティ」416戸はわずか16カ月で完売している。
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年間売り上げ目標と年間来場目標の高さに驚いた。わが街・多摩センターには、接地型と高層の差はあるが、立地も規模もよく似ている7階建て延べ床面積約62,000㎡の大規模商業施設「ココリア多摩センター」がある。2011年にオープンした当初の売上高見込みは約130億円で、来客数見込みは約700万人だった。いまどれくらいの数字なのか、運営する新都市センター開発に問い合わせたが「公表していない」とのことだった。間違いなく当初の数字より下回っているはずだ。
仮にここでマンションを分譲すれば坪単価は250~260万円くらいになり、高尾の190万円(いずれも予想)に圧勝するのに、店舗売り上げも来場者数も完敗とは情けない。
いま、多摩センター駅圏では元「わんにゃんワールド多摩」の跡地で長谷工コーポレーションが創業80周年事業として4階建て延べ床面積約8,800㎡の「長谷工テクニカルセンター」を建設中だ。同社のものづくりが学べる「(仮称)長谷工ミュージアム」も新設されるが、いったいどれくらいの賑わいを創出してくれるのか。市は業務用用途を変更してマンションその他の施設も建てられるようにすべきだった。
大和ハウス・イニシア 「プレミスト高尾サクラシティ」全416戸を16カ月で完売(2016/11/1)
野村不他「プラウド綱島SST」 次世代スマートタウンにふさわしい高いレベル
「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」
野村不動産(事業比率60%)・関電不動産開発(同30%)・パナホーム(同10%)の「プラウド綱島SST」を見学した。極めてレベルの高いマンションだ。坪単価270万円台後半も、街全体の価値を含めれば割安感がある。圧倒的な人気を呼びそうだ。
物件は、東横線綱島駅から徒歩11分、横浜市港北区綱島東四丁目の37,000㎡超の次世代都市型スマートタウン「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」(Tsunashima SST)内の一角に建つ10階建て全94戸の規模。専有面積は70.76~85.40㎡、価格は未定だが、坪単価は270万円台の後半になる模様。施工は三井住友建設。入居予定は平成30年3月中旬 。販売開始は7月上旬。
事業地は、野村不動産が主導する約56,000㎡の「日吉複合開発計画地」に近接するほか、綱島駅前では再開発計画もあるなど街が一変しそうなエリアに位置し、敷地面積37,000㎡超のパナソニックの事業所跡地。持続可能な街の実現に向けて10団体が街づくりに参画。CO2排出量の2005年度比40%削減、新エネルギー利用率30%以上などの先駆的な数値目標を掲げ、新たに設置するタウンマネジメント拠点にはタウンエネルギーセンター、水素活用拠点、国際学生寮を設置する。マンションの1階には小規模保育所も設置される。
参画する団体のうち東京ガスグループはタウンエネルギーセンターでガスコージェネレーションシステムを導入する。JXエネルギーは水素活用拠点の運営に携わり、燃料電池自動車への水素供給のほか、未来の水素社会に向けた各種取り組みを推進する。慶應義塾大学は国際学生寮を開設。Appleはスマート技術開発施設を、ユニーはスマート商業施設をそれぞれ設置・利用する。
マンションは、①IOTの活用②快適性と経済性の両立➂高い環境性能④「デリバリーステーション」の導入-など業界初・同社初の取り組みが行われる。地区計画により高さ規制20mから31mに緩和されるのが特徴の一つ。
敷地は準工だが、南側には倉庫がある以外、戸建てに細分化されており高い建物が建つ可能性は低い。
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いろいろな切り口からアプローチできる魅力的なマンションだ。次世代都市型スマートタウンについては省略する。別掲の記事を参照していただきたい。
強調したいのは、先日も書いたのだが「CASBEE 横浜」の最高等級Sクラスを取得していることだ。延床面積2,000㎡以上は届け出義務、2,000㎡以下は任意となっている条件はあるが、平成21年以降「S」ランクを取得した分譲マンションは、22年度の「プラウド綱島」「プラウド横濱中山」、23年度の「Brillia City横浜磯子」、28年度の「ドレッセWISEたまプラーザ」とこのマンションの5物件しかない。野村不はこのうちの3物件を占める。
制度については市のホームページで確認していただきたいが、極めて高い価値がある。仮に市で年間3,000戸のマンションが供給され、1棟当たりの規模が50戸とすると、この8年間で供給されたマンションのうちSクラスは1%くらいしかないことになる。野村不などの意欲的な取り組みを評価したい。東京都の「マンション環境性能表示」制度は★の数で評価するものだが、満点の15点(旧制度は12点)は多くはないが、横浜のSよりははるかに多い。
何度も書いてきたが、環境性能比用事制度はとてもいいと思うが、質の高いマンションが市場で適正に評価されるようインセンティブを与えるべきだ。そうしないと最高を目指すデベロッパーはいなくなる。行政の印籠だけでは購入者も魅力を感じない。
専有部の快適性の取り組みでは、積極的な大京と同レベルのパッシブデザインの導入のほか、防水仕様で持ち運びができる「プライベート・ビエラ」が面白い。電気機器のリモコン操作ができ、浴槽でプロ野球中継を見ることもできる。電気機器はパナソニック製でないとリモコンが作動しないのは難点。
便器もパナソニック製「アラウーノ」だったのには少し驚いた。販売担当の植田忠尚氏によると座り心地が良く、洗浄剤をセットするだけで自動的に便器を掃除してくれるものだった。8階以上のプレミアム住戸にはこれまたパナソニック製の「酸素美泡湯」が標準装備。
費用がかかり重くて大量のCO2を排出するパンフレットをなくした〝ペーパーレス〟の取り組みもいい。来場者に配布される専用のパスワードが記入された名刺大のカードだ。パソコンにパスワードを打ち込むだけでパンフレットに記載されているものと同様の情報を見ることができる。近い将来、これが当たり前になるかもしれない。
ペーパーレスは三井不動産レジデンシャルも取り組んでおり、「浜離宮」や「豊洲」ではタブレットがパンフレットの代わりに来場者に手渡される。
オプションだが、ホテルに見られる電動カーテンをマンションでは初めて見た。リビングに設置されるもので、ちょうど居合わせた同業の名物記者Sさんに「これどうですか」と聞いたら「わたし、お金安くてもいらない」と断った。同感だ。寝室の電動カーテンならわかるが、リビングのカーテンくらい手で開け閉めすべきだ(記者はよく開けっ放しにし「外から丸見えじゃないの」とよく怒られたが)。
告知開始から2カ月で資料請求は1,000件を突破しており、販売担当の植田忠尚氏は手応え十分のようだ。「第1期は60戸程度を予定している。ここが売れなければ東横線の物件はみんな厳しい」と話した。「Tsunashima SST」の道路を挟んだ対面にある2011年分譲の「プラウド綱島」(99戸)は坪単価は200万円で即日完売している。
「Tsunashima SST」CO2排出量を40%削減目標掲げる 野村不など会見(2016/3/28)
長期優良住宅が「CASBEE」で評価されないのはなぜ(2013/6/13)
「CASBEE横浜」のSランクを取得した野村不動産「プラウド綱島」 全99戸一挙販売へ(2011/3/3)
日本郵政の野村不HD買収〝破談〟 〝縁談話〟公表した郵政の責任は大きい
日本郵政の野村不動産ホールディングス(野村不HD)買収計画が白紙に戻ったと報じられた。野村不HDも6月19日、「当社の企業価値の維持向上の観点から、日本郵政による当社株式の取得について、検討して参りましたが、今般、当該検討を中止することになりましたので、お知らせ致します」と発表した。
買収計画が5月13日に報道されたとき、記者は〝相思相愛〟とまで書き、報道翌日の株価が「ストップ500円高」などとあおる記事も書いた。非常に残念だし、恥じ入るばかりだ。
しかし、最初に報道したのはNHKだったのが不思議に思ったが、一般的に合併・買収計画は、交渉がまとまったあとにリークするものだし、日本郵政はメディアに嬉々として答えているような印象を受けたので、買収価格については交渉の余地はあるとはいえ計画は100%まとまると信じた。
それがどうしてわずか1カ月で〝破談〟したのか。記者はその真相に迫る取材力はない。各紙の報道を紹介するしかない。以下、各紙の報道。
「郵政は郵便事業の低迷を打開するため、業務多角化の一環として不動産事業の強化を掲げていた。郵政は直営郵便局を2万局持ち、不動産も多く所有している。野村不HD買収で開発ノウハウをいち早く取り込む狙いだった」「野村不HDも郵政の持つ土地をマンション事業などに活用することなどを模索していたが、収益拡大が見込めないとの判断に至ったようだ」(日経)
「買収計画が表面化して以降、野村不動産HDの株価が上昇した影響などから交渉が難しくなったためとみられる」「分譲マンションを手がける野村不動産HDも日本郵政傘下に入ることで、都心の不動産開発事業で相乗効果が見込めるとみられていた。筆頭株主の野村ホールディングスは資産売却を急いでおらず、保有株式の安値売却に慎重で、日本郵政との交渉で価格面での溝を埋めることができなかった模様だ」(毎日)
「関係者によりますと、株式の買い取り価格などの条件面で調整がつかず、日本郵政は野村側との交渉を中止することになりました」「社内の一部や関係者からは、企業の買収には慎重に臨むべきだという意見もあり、こうした事情も交渉を中止する背景にあるものと見られます」(NHK)
日経も毎日もNHKも「ようだ」「模様だ」「見られます」などと伝聞・憶測で書いているが、日本郵政が「買収計画が表面化して以降、野村不動産HDの株価が上昇した影響などから交渉が難しくなったためとみられる」という毎日の記事はありえないと思う。買収計画が発表されれば株価が上昇するのは当然だ。株価上昇が〝破談〟の原因だとすれば、そもそも買収計画など発表すべきではない。結納(婚約=契約)を交わしてから発表すべきだった。これは交渉のイロハだ。
このように各紙とも真相はつかめていないようだが、「Business Journal(ビジネスジャーナル)」が次のような興味深い記事を配信している。
「決算発表直前の5月12日夜にNHKがスクープするという情報の出方からして不可思議だ。官邸筋から『何も聞いていない』との声まで挙がった」「野村不動産HD買収を仕掛けたのは、日本郵便社長で日本郵政取締役の横山邦男氏です。日本郵政代表執行役副社長(不動産担当)の岩崎芳史氏と一緒に動いたといわれています(日本郵政関係者)」
記者はもちろん真偽のほどは分からないが、岩崎氏の名前が出てくるのがストーリーとしては面白い。業界関係者はご存じだろうが、岩崎氏は元三井不動産リアルティ社長で、社長を退任した後、NHK経営委員会にもなっている。NHKがスクープしたのはそれで納得もできる。
だが、しかし、助言を求められれば「郵政の事業の柱として都市開発事業は有望」くらいは話したかもしれないが、岩崎氏が出身の三井不動産を差し置いて野村不HDを日本郵政に売り込むことなどあり得ないと思う。
岩崎氏に会う機会があったら確かめたいし、日本郵政の社外取締役・野間光輪子氏とはコンタクトできる。話してはくれないだろうが、ヒントくらいはつかめるかもしれない。わかったらレポートする。(RBAタイムズWEBで紹介した岩崎氏や野間氏の画像がネット上に張り付けられているが、これは止めていただきたい)
それにしても、交渉ごとに「安く買いたい」「高く売りたい」は常識だし、報道に踊らされた投資家は自己責任だろうが、どちらが振ったかは分からないが、〝破談〟の可能性がある縁談話を公表した日本郵政経営陣の責任は大きい。
細田工務店 中古の買取再販に参入 新築を含めた再販業が乱戦模様に
細田工務店は6月19日、グループ会社「親和ファイナンス株式会社」の社名を「株式会社細田ライフクリエイション」に変更するとともに定款を変更し、中古住宅の不動産仲介業、買取再販を軸に事業展開すると発表した。
事業エリアは杉並を中心に23区、都下とし、他社施工の中古マンションを買取り、リノベーションを行い販売する。
細田ライフクリエイションは、所在地:杉並区阿佐谷南三丁目35番21号、代表者は小林和昭社長、資本金は9,000万円。
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中古マンションの買取再販戸数は業界トップのインテリックスが1,393件となっているほか、リフォーム産業新聞の調査によればフジ住宅、大京グループ、トータルエステート、イーグランド、リプライス、エフ・ジェー・ネクスト、長谷工リアルエステート、スター・マイカが500戸以上を販売している。また、新築の買取再販を行っている会社も相当数に上るとみられており、買取再販の実態については分からない部分も多い。
平成25年6月に公表された国土交通省「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会報告書」でも「買取再販事業については、我が国において潜在的な市場規模は相当程度あると思われる。また、消費者にとって、適切なリフォームのノウハウを有する事業者が自ら販売することは、中古住宅の質に対して一定の安心感を与えるものであり、中古住宅流通市場活性化の起爆剤となる可能性がある」と、「起爆剤となる可能性がある」としながらもその実態については明らかにしていない。
一方で、既存住宅の流通を促進するために買取再販で扱われる住宅の取得に係る不動産取得税の特例措置が平成27年に創設され、建物状況調査(インスペクション)の活用などを盛り込んだ宅地建物取引業法の一部が平成28年6月に改正され、インスペクションに関する規定は平成30年4月から施行されることになっている。
住宅リフォーム市場規模は平成23年の約6.5兆円から2020年には20兆円に伸びるとされており、参入障壁の低い成長分野である新築・既存住宅の買取再販業は乱戦模様の様相を呈してきた。「適切なリフォーム」とはいったいどのようなものかも問題となりそうだ。
野村不・関電不・パナソニック 「プラウド綱島SST」モデルオープン
「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」(Tsunashima SST)
野村不動産、関電不動産、パナホームの3社は6月15日、パナソニックの事業所跡地で開発中の「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」(Tsunashima SST)内にあるマンション「プラウド綱島SST」のモデルルームをオープンしたと発表した。
「次世代の暮らし」を提案するためプラウドシリーズで「初」の商品を多数導入。IOTの活用によりテレビ視聴、インターホン応答、家電のコントロール操作を、エネルギー情報と合わせて一つのデバイスでの操作やスマートフォンによる住まいの遠隔操作を可能とした。
快適性と経済制の両立を目指すため、パッシブデザインとともに次世代型エネルギーマネジメントサービス「エネコックe」を導入し、2005年度比でCO2約30%削減の実現と、一般のガス併用住宅に比べて約20%の光熱費の削減を目指す。
さらに、グローバルな環境認証評価「LEED」のGOLD取得を目指し、プレ認証を取得している。また、横浜市の建築物環境配慮制度「CASBEE 横浜」で最高の「S」クラスを取得済み。
また、「デリバリーステーション」を初めて導入し、マンション内の宅配ボックス設置率を住戸比約35%(一般プラウドの設置率約15%)に引き上げる。
物件は、東急東横線綱島駅から徒歩11分、10階建て94戸。専有面積は70.76~85.40㎡。施工は三井住友建設。竣工予定は2018年2月中旬。
告知開始後約2カ月で資料請求数1,000件を突破している。
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レベルの高いマンションであるのは間違いない。過去8年間で「CASBEE 横浜」の「S」ランクを取得した分譲マンションは、22年度の「プラウド綱島」「プラウド横濱中山」、23年度の「Brillia City横浜磯子」、28年度の「ドレッセWISEたまプラーザ」とこのマンションの5物件(このうち同社が3物件)しかない。それ以前を含めても6物件くらいしかない。
近く見学してレポートしたい。
「プラウド綱島SST」
「過去最高水準の2×4住宅はまだまだ伸びる余地ある」2×4協会・市川会長
市川氏
日本ツーバイフォー建築協会は6月15日、平成29年度定時総会後の懇親会を行った。
市川俊英会長(三井ホーム社長)は、平成28年度の2×4工法による建築物は前年比7.1%増の約12.3万戸となり、住宅着工に占める割合も0.2ポイント増の12.7%となり、いずれも過去最高水準に達したことを受けて、「いい結果になった。今年度はまだまだ伸びる余地がある。熊本地震の例でも2×4工法の住宅の半壊・全壊がゼロだったことからも高い耐震性が証明された。新築からストックの時代になり、流通も増加するが、2×4工法は精緻な基準で建てられており、資産性も流通性も高いことを発信していきたい」などと語った。
来賓として登壇した国土交通省住宅局長・由木文彦氏は、28年度の着工戸数が97.4万戸となり、4月の着工戸数から今年度は100万戸の水準で推移していることから、「8%の消費増税のときの反動減は解消されつつある。2×4住宅が伸びていることは結構なことで、国土交通省としても木造住宅の推進に積極的に取り組んでいく。国産材の使用やCLTの普及、中・大規模建築物の拡大を目指す必要がある。木材が使われることは喜ばしいことで支持していく」と語った。
由木氏
2×4協会 懇親会(都市センターホテルで)
大京穴吹不動産 「店舗間IT接客」メディア向けにデモンストレーション
「店舗間IT接客」デモンストレーション(左が対応車、右が相談者の設定)
大京グループで不動産流通事業を展開する大京穴吹不動産は6月16日、先に発表した「店舗間IT接客」のデモンストレーションを報道陣向けに行った。
「店舗間IT接客」は、同社の店舗・営業所からモニターを通じて現地担当者と遠隔地の不動産売買・賃貸の相談などができるもので、6月1日から導入している。今年10月から賃貸物件に限りIT重説が本格運用となるのに応えるもの。同社の全30都道府県71店舗で利用できる。予約制で、当面は賃貸に限定する。
同社は現在、8,000戸強の仲介扱い件数があり、首都圏顧客の売り依頼物件のうち約12%が遠隔地で、購入依頼も約7%あるという。沖縄の物件などは約50%が首都圏の購入者だという。
そうした顧客ニーズに対応するもので、月間約30件の相談を見込む。今後はグループの新築・中古の売買、リフォーム、インテリアのほか、税理士、介護、FP、ソフトサービスにも拡大していく。
この日は、同社スタッフが相談者になり、WEB会議システムを利用して同社大阪中央店、税理士、大京リフォーム・デザイン事務所とそれぞれ大阪の物件の売却、相続物件の相談、リフォーム済みの室内の模様などをリアルタイムで画面に映し出した。
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この種の対応を行っているのは、同社によるとアパマンくらいしかないのにやや驚いた。地方の相続物件や所有リゾートマンションの売却などは売却しても足が出たり、仲介業者も手数料収入で賄えない費用が掛かったり難しい問題もあるが、時代は間違いなくIT対応が普通になる。
今回の同社のデモンストレーションはものすごくわかりやすかった。いろいろな用途に利活用できるはずだ。
平均面積77㎡ 低め価格設定で競合に挑む 大和地所レジ・菱重プロパティーズ「戸塚」
「ザ・テラス戸塚グランターミナル」完成予想図
大和地所レジデンス(事業比率65%)と菱重プロパティーズ(同35%)が分譲を開始した「ザ・テラス戸塚グランターミナル」を見学した。駅から5分のフラットアプローチで後背地が森、道路を隔てた対面が大規模商業施設「サクラス戸塚」という立地。平均専有面積は77㎡のファミリーマンションだ。
物件は、JR・横浜市営地下鉄ブルーライン戸塚駅から徒歩5分、横浜市戸塚区戸塚町字二十ノ区に位置する11階建て全175戸。第1期1次(28戸)の価格は4,998万~8,298万円(最多価格帯5,600万円台)、専有面積74.51~93.29㎡、坪単価は260万円。竣工予定は平成31年1月下旬。施工は東亜建設工業・多田建設。
現地は、1階エントランス部分からヒルトップまで約8層分ある北下がりの斜面地。
建物は東南向き「ヴィラ ド デリス」とその背後にそれぞれ雁行させた東向きの「ヴィラ ド シエル」「ヴィラ ド ブリーズ」「ヴィラ ド エール」の4棟構成。住戸プランは平均専有面積77㎡のファミリー向けで60プランバリエーションの多彩な間取りを用意しているのが特徴。
基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、御影石カウンタートップ、食洗機、ミストサウナなど。メーターモジュールの廊下幅を確保しているのも特徴の一つ。
エントランス
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東戸塚と戸塚駅圏でのマンション供給が相次ぎ大激戦の様相を呈している。とくに戸塚駅圏では駅前の再開発が完了し、供給増と共に坪単価も高騰。駅近物件は300万円を突破した。
しかし、単価上昇はグロス価格の上昇につながり、7,000万円が厚い壁と言われている。
今回の同社の坪単価は、先行する三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 戸塚フロント」の坪270万円を意識した設定で、こちらのほうが駅から2分遠いこともあるが、低めに設定し、なおかつ面積を広くして競合に負けない商品企画にしている。93㎡のコーナーサッシ付きのモデルルームもよくできている。
同社広報担当の横山淳二氏から聞いたのだが、同社のマンション期末完成在庫は40戸程度、完成物件の5%しかないという。その理由を聞いたら、上場時と比べ平準化が進んでいるのが大きいという。
今回の物件は戸塚駅圏最大級(過去10年間においてJR東海道本線「戸塚」駅利用のバス便を除く新規分譲された物件で最大。MRC調べ、2017年1月現在)の規模で、森に隣接するというメリットをどうアピールするか。大手デベロッパーとの競合に挑む。
ウォーターコート
グロス7,000万円の壁突破した三菱地所レジ「ザ・パークハウス 戸塚フロント」(2017/6/14)
グロス7,000万円の壁突破した三菱地所レジ「ザ・パークハウス 戸塚フロント」
「ザ・パークハウス 戸塚フロント」完成予想図
三菱地所レジデンスが分譲中の「ザ・パークハウス 戸塚フロント」を見学した。戸塚駅西口から徒歩3分、駅前の市街地再開発が完了し、今後の開発が期待される「戸塚駅西口第3地区」の一角にあり、横浜市有地の公募売却によって建設されているもの。ハードルが高い「横浜市市街地環境設計制度」の適用により、通常約31mから約44mの高さ規制の緩和を受けている。2月から販売を開始し、現在、全106戸のうち約80戸が成約済み。
物件は、JR・横浜市営地下鉄ブルーライン戸塚駅西口から徒歩3分、横浜市 戸塚区戸塚町に位置する14階建て全106戸(ほかに店舗7戸、地域交流施設1戸)。専有面積は61.37~125.89㎡、6月末分譲予定の第3期(戸数未定)の価格は4,740万~6,750万円(最多価格帯5,900万円台)、坪単価は約270万円。竣工予定は2018年5月下旬。施工はフジタ。事業主は同社のほか大洋建設。
現地は、物件名にもあるように駅前の戸塚区総合庁舎、戸塚パルソ、トツカーナなどの駅前の再開発が完了し、今後開発が期待される「戸塚駅西口第3地区」のフロントに位置。
L字型の建物は、「横浜市市街地環境設計制度」の適用により、通常約31mから約44mの高さ規制の緩和を受けているのが特徴。デザイン監修は三菱地所設計の多田直人氏。格子を多用したシンボリックな外観で、基壇部には4種のタイルを採用し、一部ガラスカーテンウォール仕上げとしている。
1・2階に地域交流施設や「安心して利用できる店舗(未定だが、コンビニなどは不可)」が予定されている。
住戸は3階からで、採光面が多いプランが中心。ディスポーザ、食洗機、フィオレストーンカウンタートップが標準装備。
同社第一販売部販売グループリーダー・河嶋謙介氏は、「問い合わせは1,800件超、来場者は約700件。2月末から販売開始し、現在約80戸が成約済みの進捗は計画をオーバーしているが、当社の戸塚駅東口の物件も含め競合を避ける意味でもっと上を目指していた。現状、ファミリーがターゲットのグロスの壁とみていた7,000万円台は残り1戸、横浜市環境設計制度の恩恵を受けた11階以上も残り3戸なので、評価を得られたと考えている。7月には東口の駅近の『ザ・パークハウス戸塚ガーデン』129戸のモデルルームもできるのでぜひそちらも見ていただきたい」と話した。
ランドスケープ
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戸塚駅圏のマンションは昨年3月に伊藤忠都市開発他「クレヴィア戸塚」を見学した。まだ少し残っているようで、坪単価300万円(グロスで7,000万円)の壁は厚いのかと思っていた。
そのグロスの壁を三菱地所レジデンスは破った。駅近の資産性が評価されたのだろう。同社が東口で分譲予定の「ザ・パークハウス戸塚ガーデン」を検討しているユーザーも多いはずだ。いったいいくらの価格設定をするのか。坪300万円の壁を突破するか。
高さ規制について。もうばかばかしいからあまり書かないが、建築物の絶対高さ規制は緩和すべきだ。この物件は「横浜市市街地環境設計制度」の適用を受けてはいるが、それでもリビング天井高は2430~2455ミリだし、柱・梁型が結構出ている。公開空地や緑化率の確保以外に基本性能や天井高など居住性を制度の評価項目に入れるべきだ。優れたものは思い切った緩和をすれば、優良なストック形成につながる。人=居住性の視点が制度には欠けている。
モデルルーム
伊藤忠都市×神奈川中央交通×横浜公社 官民協業の「戸塚」人気必至(2016/3/1)
〝第三の老い〟 管理員の実態調査に着手 マンション管理協・岡本理事長
マンション管理業協会(管理協)は6月13日、定時総会後の懇親会を開き、先に理事長に就任した岡本潮氏(東急コミュニティー会長)が冒頭、「フローからストックの時代へ大きく変換した今、住みやすい住環境を整えるマンション管理業の役割は益々増大する」などと話したうえで、建物と居住者の2つの〝老い〟への対応に加え、管理員などの従事者の高齢化と人材不足という〝第三の老い〟について具体的な実態調査を行うと話した。業務範囲を明確にする標準管理委託契約書の改定も行うと語った。
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〝第三の老い〟問題については、前理事長の山根弘美氏(大和ライフネクスト相談役)もしばしば語っており、いよいよ本格的な取り組みが始まる。
しかし、一口に管理員といっても雇用形態は非正規雇用の準社員、パート、アルバイト、派遣などが一般的で、実態を把握するのは難しい。
全国にどれくらいの管理員がいるのか管理協に聞いたが把握していないということだった。管理戸数約43万戸のマンション管理業トップの大京アステージはホームページで「管理員等(マンションサポーター)」は5,362名としており、大京グループの穴吹コミュニティの1,761名を合わせると7,123名(16年3月末)だ。管理戸数では大京アステージを上回る約44万戸の日本ハウズイングは「準社員」が3,826名(平均62.8歳)で、このほかパートなどの臨時使用人が6,336名としている。準社員は必ずしも管理員だけではないので正確な数字は把握できないが、双方を合わせると1万人を突破する。
マンションの全国ストック約634万戸と、両社の管理員の数などから類推して全国の管理員の数は8~9万人とみたがどうだろう。
同協会が何から手を付けるのか不明だが、管理員の実態を明確にしていただきたい。でないと「マンション管理業に従事する職員が、生きがいや誇りをもって業務ができる環境づくりを強力に推進」(平成29年度事業計画)することは困難ではないか。
標準管理委託契約書の改定も待ったなしだ。同協会の調査資料でも、業務範囲が不明確なことから〝サービス労働〟に対する管理員のストレスが高いと報告されている。マンション管理の車の両輪の一つである「コミュニティ」の価値をどのように測るのかという難しい問題もある。
懇親会では民泊新法について来賓の国会議員の方々も触れたが、記者はマンション管理組合がしっかり対応すれば混乱は起きないと思う。
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懇親会後、新旧役員の歓送迎会が同じ第一ホテル東京内のレストランで行われることを聞きつけ、レストランの前と対面の喫煙室、1階下のカフェで張り込みをした。何か大きなニュースがつかめるかもしれないと思ったからだ。
残念ながら「何もないよ」(ある役員)で空振りに終わったが、記者と同じようによくタバコを吸う役員などから今後の取材に役立つヒントを得た。
マンション管理協 管理員の待遇改善を重要課題に 呼称も変えてほしい(2017/3/24)
第3の高齢化-マンション管理従事者の高齢化、人材難に取り組む 山根・管理協理事長(2017/1/18)