エコ・ファースト推進協 第8回「エコとわざ」コンクール 環境大臣賞など30作品
エコ・ファースト推進協議会(議長:和田勇・積水ハウス会長)は10月23日、第8回「エコとわざ」コンクール審査結果発表した。
同コンクールは、環境省の後援、全国小中学校環境教育研究会の協力を得て、7月1日から9月9日まで全国の小中学生から募集し、最優秀作品には「環境大臣賞」(1点)、その他「エコ・ファースト推進協議会」優秀賞、 日本ことわざ文化学会賞(各1点)、各加盟企業賞(27点)の合計30作品が選ばれた。
■最優秀作品賞 環境大臣賞
「ちきゅうのえ あおとみどりで かきたいな」(大阪市立東小路小学校1年 中田理仁さん)
■エコ・ファースト推進協議会優秀賞
「電気消し 名月愛でる エコな夜」(浦安市立日の出中学校2年 竹田真亜さん)
■日本ことわざ文化学会賞
「物心つく前の エコ心」(神戸海星女子学院小学校4年 藤田あまねさん)
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全30作品を読んだ。身びいきかもしれないが、記者が一番好きなのはわが業界の積水ハウス賞に選ばれた東近江市立蒲生西小学校1年 和田昂志郎さんの「じいちゃんの むかしのあそびに エコまなぶ」だ。
樹影を映し込む外観 まるで絵画のよう モリモト「アールブラン横浜仲町台」
「アールブラン横浜仲町台」完成予想図
モリモトが近く分譲する「アールブラン横浜仲町台」を見学した。いつものことながら実に美しい。メタセコイアの並木を映し込む北側のファサードは絵画のようだ。
物件は、横浜市営地下鉄ブルーライン仲町台駅から徒歩6分、横浜市都筑区茅ヶ崎南2丁目に位置する7階建て全130戸。専有面積は65.54~86.07㎡、価格は未定だが、坪単価は260万円くらいになる模様。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。デザイン監修はSKM設計計画事務所。住戸デザインはカン・デザイニングオフィスの鈴木ふじゑ氏。竣工予定は平成30年12月下旬。販売開始は11月下旬。
現地は、「グリーンマトリックスシステム」や「歩車分離」など計画的に整備された街区の一角で、敷地はメタセコイアの街路樹に囲まれた3方道路の角地。
建物はコの字型で、南向き、東南向きが中心。平均専有面積は約70㎡。設備仕様は二重床・二重天井、食洗機、ディスポーザー、ミストサウナ、ハイサッシ、全戸無料駐車場付きなど。
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このマンションも、同社のデザインへのこだわりがよく表現されている。
冒頭の、SKM設計計画事務所代表・柴田知彦氏のデザイン監修による北側のファサードを見ていただきたい。白のマリオンとグリット、ガラス手すりが幾何学的に配置されており、まるで絵画のようだ。敷地に隣接するメタセコイアの樹影を映し込むはずだ。
住戸デザインは鈴木ふじゑ氏。鈴木氏のデザインは数えきれないほど見てきたが、今回は〝グレージュ〟の鏡面仕上げの建具・面材がいい。絵画のグレーは白と黒を混ぜれば好きなように濃淡が表現できるが、どこか寒々しい印象を与える。その冷たさを消すためにベージュを何度も上塗り(グレーチング)して微妙な色を出す。今回も鈴木氏はそのような微妙な色を演出している。
価格について。単価は高いような気もするが、その分だけ専有面積を圧縮してグロスを抑えている。全戸に無料の駐車場を設置しているのもインパクトがある。港北ニュータウンの居住者は車の所有率が高いはずだ。
敷地南西側には線路が走っているが、敷地を囲むように植わっているメタセコイアが緩衝帯になっており、嫌悪施設にはなっていない。
友の会優先住戸が40戸もあるように、完売まで時間はかからないとみた。
日本最高階数 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス西新宿タワー60」竣工
「ザ・パークハウス西新宿タワー60」
三菱地所レジデンスは10月23日、日本最高階数60階建て、高さ208.97mの「ザ・パークハウス西新宿タワー60」が完成したのに伴い竣工見学会を行った。
同マンションは、東京メトロ丸の内線西新宿駅から徒歩9分、新宿区西新宿5丁目に位置する「西新宿五丁目中央北地区第一種市街地再開発事業で。60階建て全953戸(分譲は777戸)。専有面積は33.90~156.99㎡、価格は3,198万~3億5,000万円。2015年2月から分譲が開始され、年内に全戸が完売した。同社は相鉄不動産、丸紅とともに参加組合員として事業に参画していた。
同社・脇英美社長は、再開発の話が持ち上がってから25年の歳月が経過し、生物多様性や防災、コミュニティ支援の企画がヒットし、圧倒的な人気で早期完売したことなどを受け、「足元のマンション市場は、職住近接、生活利便性、資産性がポイントになるが、都心部も郊外部もお客様目線でしっかり造りこみをすれば評価される。今後もコンパクト、リノベーション、シニア向け、シェアハウスなど多様なニーズに応える商品を供給していく」と話した。
360度パノラマ
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見学会場に入った途端、美しい本物の木で作られたテーブルに見惚れてしまった。別掲の写真を見ていただきたい。直径4メートルの円卓だが、よく見ればわかるようにスギの板目、柾目のスギ材のピース(小片)を交互に組み合わせた小机(全部で20卓くらいか)を合体させたものだ。椅子25脚分あり、管理組合の理事全員が座れるように造られたのだそうだ。
これだけでもうマンションの企画意図を理解したのだが、案内板表示に従って一通り見て回った。「東京おもちゃ美術館」が監修した2階の約280㎡の「フォレストハウス」、2階の約170㎡のゲスト&パーティルーム、ほとんどが1,000円以下の洋食、ワイン・ウイスキーメニューが用意されている富士山も眺望できる44階の約130㎡のビューラウンジ&バー、44階のマンション1戸分の広さがある和洋室のゲストルームなどだ。
それぞれが素晴らしいものだったが、何よりも感動したのは約1,900㎡の公開空地「結いの森」だった。同社が最近力を入れている「生物多様性」の取り組みの一環として整備したもので、近接する新宿中央公園や新宿十二社、熊野神社、神田川と緑のネットワークを形成する意図が手に取るように伝わってきた。調査によるとカマキリ、コオロギ、バッタ、チョウ、トンボなど20種の生き物が確認できたという。見学したときにもハクセキレイが芝生で虫をついばんでいた。
圧巻は高さ12~13mはありそうなまっすぐに伸びた円錐形のシラカシの高木だった。シラカシは20mくらいまで育つといわれているが、剪定が難しく下手に切ると枝が荒れて修復不可能な形になる。ここのシラカシはそれが全くなかった。並みの職人技ではないと思った。
「結いの森」について説明した同社クオリティ事業部・浅岡友也氏は「生物多様性保全の取り組みはこれまで100件になるが、20種もの鳥や虫の飛来が確認できた。確かな手ごたえを感じた」と話した。
スギ材でできた見事な円卓
「富久」「目黒」に続き60階建ての三菱地所他「西新宿」も分譲777戸が全戸完売(2015/12/4)
三菱地所レジ「西新宿タワー60」〝しいたけマンションにしよう〟曽根原氏が提案(2015/5/4)
ここも唯一無二か わが国最高階数の三菱地所レジ他「ザ・パークハウス西新宿タワー60」(2014/11/7)
絶景かな 日本の道100選のさくら通りに近接 総合地所「ルネ常盤平さくら通り」
「ルネ常盤平さくら通り」完成予想図
総合地所は10月19日、新京成線常盤平駅圏では8年ぶりのマンション供給となる「ルネ常盤平さくら通り」の竣工記者見学会を行った。「日本の道100選」にも選定されている美しい桜並木「常盤平さくら通り」から一歩入った全55戸で、坪単価は168万円。すでに13戸が申し込み済み。〝リビング〟〝ナガラ〟〝クローク〟の3つの〝ポケット〟が面白い。
物件は、新京成電鉄常盤平駅から徒歩8分、松戸市常盤平3丁目に位置する9階建て全55戸。専有面積は61.82~78.11㎡、第2期(戸数未定)の予定価格は2,898万~3,978万円(最多価格帯3,300万円台)、坪単価は168万円。建物は平成29年8月31日に竣工済み。設計は長谷工コーポレーション。施工は森組。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、「新・日本の街路樹百景」に選ばれた「常盤平けやき通り」と「日本の道100選」にも選定されている「常盤平さくら通り」に近い住宅街の一角。
建物は、空・桜・緑をモチーフに、ホワイトとウッドカラーのマリオンが印象的な外観とし、プランは子育て世帯を意識した〝リビングポケット〟〝ナガラポケット〟〝クロークポケット〟の3つの〝ポケット〟を作りこんでいるのが特徴。
〝リビングポケット〟は子ども学習ができるスペースを、〝ナガラポケット〟は家事をしながら子どもを見守れる、〝クロークポケット〟は家族みんなが共有できるスペースをそれぞれ設置している。食洗機、床暖房が標準装備。
これまで来場者は約90件、申し込みは13件。来場者の86%が松戸市居住者で、60歳代以上と40歳代がほぼ同数の2割。シニア層の買い替え需要も見られるという。
モデルルーム
ナガラポケット(左)とリビングポケット
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新京成線はマンションの見学でよく訪れた。とくに常盤平駅は駅前からほぼまっすぐ伸びるけやき通りと、それと交差するように八柱-五香まで東西に続くさくら並木が圧巻だ。
そんな美しい街でありながら、マンションの供給は8年振りというのにある種の感慨を受ける。後背地には多摩ニュータウンと同じ歴史がある約4,800戸の常盤平団地がある。入居は昭和34年から始まったというから60年近くになる。街の活性化は喫緊の課題だろう。
同社の販売担当者は「桜が咲くころには…」と話した。あと半年だ。1か月に10戸成約すれば完売する。
坪単価については、はやりそうかと思った。実は、見学前に同業の女性記者とばったり出会い、あれやこれやと歓談したのだが、その女性記者の単価予想が当たったら拍手喝采しようと約束した。大外れだった。残念。Doutor Coffeeはタバコが吸えず、平日は夜7時で閉店とは驚いた。
この前、「公園・眺望価値」の記事を書いた。さくらを愛でる、けやき通りを散策する「価値」を富裕層に訴えれば買う人もいるのではないか。隅田川の花火を見るためだけにマンションの一室を買った金持ちもいる。
プランはなかなかいい。似たようなプランは他社も提案しているが、〝クロークポケット〟はバルコニーに面して設けられており、一人籠って何かするのにふさわしいスペースだ。布団だって敷ける。
クロークポケット
勝負に出た 三菱地所ホーム エアロテック+フルリフォームで1,100万円
三菱地所ホームは10月19日、トイレ・洗面室を含めて室内をくまなく365日24時間換気冷暖房ができる「新マンションエアロテック」の販売を開始し、同時に、定額制のスケルトンリフォーム「Re Dia (リディア)」の発売も開始したと発表した。
「新マンションエアロテック」は、三菱地所レジデンス、メックecoライフと共同で開発したもの。従来の全館空調システム「マンションエアロテック」ではダクトを敷設する室内の天井高さが確保できないという課題があったが、二重床下空間(ふところ厚約18センチ)をダクトに代わる空気の経路として確保することができるように開発した。
①温度が快適②空気がきれい③空間がすっきり④間取りが自由自在⑤維持・管理がラクで長期保証-などが特徴。スケルトンリフォームを前提とした販売価格は250万円(税別)。
導入にあたっては、2016年7月から基礎実験、2017年2月からの実証実験を経て、従来の「マンションエアロテック」 と同等の室内温度環境が実現できることを確認している。
スケルトンリフォーム「Re Dia (リディア)」は、2016年秋に発売した水回り中心の「Re Dia (リディア)」をバージョンアップしたもの。従来型は、三菱地所レジデンスが開発した「EYE’S PLUS(アイズプラス)」商品の設備交換などがセットになった定額制で、価格は498万円(税別)だった。「新マンションエアロテック」を開発したのに合わせフルスケルトンリフォームの定額制を実現した。
専有面積に応じた定額制で、70㎡の3LDKを2LDKにスケルトンリフォームした場合の価格は「マンションエアロテック」の250万円を含め1,100万円(税別)。
発表会に臨んだ加藤博文社長は「今期上期は、リフォームが30%伸びるなど全体の受注でも30%増といい結果を残せた。通期目標も達成したい。今回3つのリリースを出したが、モデルハウスでは国産材採用率を80%にし、マンションエアロテックの発売は、私もマンションの商品企画を担当した経験があるからわかるが、田の字型プランを一新できる可能性を秘めている。新築、リフォームを含めて拡大する。来年にはマンションの常設モデルルームを設置したい」と拡大に意欲を見せた。
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「エアロテック」と最初に出会ったのは今から10数年前、野村不動産「千都の杜」の販売開始時にモデルハウスの1棟として建設されたのを見学した時だった。当時、マンションでは外断熱工法が話題となっており、同じような機能を持つエアロテックは〝大ヒット〟すると確信した。
ところが、同社がエアロテックを発売開始した1995年から現在まで、新築に搭載した戸数は6,000棟だ(マンションは8棟)。年間にして約300棟。優れた商品性を考えると、これはどう考えても少なすぎる。
しかし、今回の「新マンションエアロテック」と定額制の「Re Dia (リディア)」、新モデルハウスの「グリーンガーデン」提案などを取材して、同社のやる気をひしひしと感じた。加藤社長のムチが入った。
マンションエアロテックが250万円、フルリフォームが850万円、トータルで1,100万円。同業他社のリフォームは70㎡で1,000万円くらいのはずだ。価格が若干高くなるが、全館空調の価値を訴えきれれば圧倒的な優位に立てるはずだ。
〝やる気〟は会見の冒頭でも感じられた。「今年10月、新たに広報戦略グループを立ち上げた。心を込めてわかりやすく説明していく」経営企画部 広報戦略グループのグループリーダーに就任した横須賀直人氏がこう語った。〝心を込める〟-記事も同じだ。
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「これからは住宅の価値観に〝空気の価値〟が付加される時代になる」中島秀敏常務が「エアロテック」の説明でこう話した。
なるほどと思った。この1カ月の間に記者は〝空気〟〝音〟に関して考えさせられる取材を立て続けに行った。
一つは入間市のジョンソンタウンの取材の時だった。入居者が「都心はいつでも何らかの音がする。ここに来ると音が消えるんです」と話した。
もう一つは、日本ツーバイフォー建築協会の「ツーバイフォー6階建て実験棟プロジェクト報告会」だった。「環境振動」について研究している大学教授が「常時微動記録には数十メートル離れた位置にある道路交通による振動も記録された」「構造的に問題となるレベルとは考えられないが、環境振動レベルでは注意が必要」と語った。
さらに先週。エアロテックを搭載した三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス二子玉川碧の杜」を取材したとき、モデルルーム来場者が「音がしないね」「静かだね」と感嘆の声を上げたと聞いた。
まだある。エコ・ファースト企業などが主催したイベント「エコ・ファースト サステナブルカフェ2017」で、参加者が「エアコンいらずの世の中」を実現すべきとカードに記した。
記者はもともと〝音〟には鈍感で、〝空気が読めない〟性格なので気にならないのだが、言われてみれば今の世の中〝雑音〟が多すぎる。交通騒音もそうだが、駅前の再開発、建築物の解体・建設から振り込め詐欺電話、家電の音、隣家の風鈴の音、連れ合いのいびき・歯ぎしりの音まで我慢できないようだ。夕方になると「よい子のお子さん…」が限界集落ですら放送されるし、風力発電の低周波に人間ばかりかイノシシも脅かされ、夜中には止めてある携帯が〝緊急地震速報〟で叩き起こし、はるかかなたなのに北朝鮮のミサイル発射のJアラートまで聞かされる。いい加減にしてほしいと思う。
これは余談。昭和47年に発売された筒井康隆「にぎやかな未来」(角川文庫)には、生活の全てが政府のコマーシャルに利用され、ラジオの電源を切ると罰せられる法律が制定されたというショートストーリーが盛り込まれている。CMの聞きすぎで頭が痛くなった主人公がコマーシャルの入っていないレコードはないのかとレコード屋で聞くくだりを引用する。
「『…ところで、コマーシャルのぜんぜん入っていないレコードはないのか』
『ございます。10万円です』
そんな大金は、とても払えない。
『で、それにはどんな曲が入っているんだ』
『曲も入っておりません。何も音の出ないレコードです』
主人はにやりと笑い、うなずきながらいった。
『現代でもっとも高価なものは、静寂です』」
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この前、三菱地所レジデンスの新宿御苑の記事で、「公園・眺望価値」は坪500万円以上と書いた。ならば「音・空気の価値」はいったいいくらか。エアロテックの250万円を70㎡で割ると坪単価は12万円にもならない。そんなものなのか…。
三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設(2017/10/20)
三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設
「ONE ORDER(ワンオーダー)」モデルハウス
三菱地所ホームは10月21日(土)、同社オリジナルの全館空調システム「エアロテック」を搭載した最新モデルハウス「ONE ORDER(ワンオーダー)」をtvkハウジングプラザ横浜内にオープンする。
ファサードは、レンガと木を組み合わせた自然な素材感を醸し出す外装と大開口サッシで構成。
内部空間は、約6畳大の空間に2階まで届く自然の中木を配した「グリーンガーデン」を提案。「光天井造作」と「グリーンガーデン」を配することで光と緑にあふれたカリフォルニアモダン風にまとめている。
また、三菱グループの小岩井農場(岩手県雫石町)で産出したスギ、ヒノキ、アカマツなどの原木を構造材として採用することで国産材化率を80%に高めているのが特徴。延床面積は277.30㎡(83.88 坪)。
グリーンガーデン
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「グリーンガーデン」の提案がいい。玄関を入った正面にそれが配置されていた。広さは約6畳大。本物のゴムノキ、ベンジャミン、カポック、エバーフレッシュなど数えきれないほどの中低木、地衣類(一部はフェイク)が植わっていた。実際は鉢植えなのだが、地衣類などで覆っているので自然のままのような印象を受ける。緑の効用など今更言うまでもないことだ。
光源はLEDと光幕から採っているが、光合成に問題がないよう調節しているとのことだった。費用は約100万円。
報道陣からは「虫が付かないか」の質問が飛んだ。確かに虫嫌いの夫、または妻がいる家庭は虫の飼育はよしたほうがいい。不和のもとになる。
仲が良くてもカエル、アリ、クモ、ミミズ、ヘビなどは無理だろうが、スズムシ、マツムシ、コオロギ、ホタルなどを飼育できる環境にしたら素晴らしいのではないか。三菱地所レジデンスが小金井のマンションで採用した水琴窟は最高にいい。自然の太陽光を取り込むこともそのうちに開発される。
東急不動産 渋谷駅西口の再開発 外装デザイン決定
「道玄坂一丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」
東急不動産は10月18日、道玄坂一丁目駅前地区市街地再開発組合と共に事業を推進している「道玄坂一丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」の外装デザインを決定、商業施設のリーシングを開始すると発表した。
同プロジェクトは、旧東急プラザ渋谷と隣接する街区を一体開発するもので、店舗、事務所、駐車場などからなる地下4階地上18階建て延べ床面積58,970㎡。設計は手塚建築研究所(デザインアーキテクト)、 日建設計(マスターアーキテクト)。設計・施工・監理は清水建設。竣工は2019年秋の予定。
多様な文化が混在する渋谷を表す「小さな物語の集積」をコンセプトに、渋谷駅西口の新たな玄関口を目指す。外装デザインは、街のエネルギーが凝縮された結晶体のような建築を軸として表現している。
マンションは資産になるか 進む分断社会 都心部は坪1000万円以上が相場に
今年9月、分譲マンションとシニア住宅の複合開発「世田谷中町プロジェクト」の完成を祝う「世田谷中町まつり」で、奥さんと小さな子ども2人の4人家族の入居者(35)は「定期借地権付きなので娘に資産を残せないのが気掛かり。終の棲家にするかどうかは…」と語った。
この言葉にショックを受けた。このマンションの定借期間は70年。定借マンションは更地にして返却しなければならないので、その時点での不動産の価値はゼロになる。親の気持ちは痛いほどよくわかる。
深刻なのは、このように将来の不動産価値がゼロになると示されている定借だけでなく、これからは一部のエリアを除き第一次取得層向けの郊外マンションは〝二束三文〟の価値しか残らないと考えられることだ。すでに郊外部の築年数が古いマンションは坪20~30万円が相場となっている。昭和50~60年代に建設されたマンションは、取得価格の2割、3割に過ぎないのではないか。
株の世界では〝半値八掛け二割引〟という格言がある。仮に取得価格を1,000円とすると半値で500円、これが80%になるから400円、さらに2割引きで320円まで下落するというものだ。マンションも同様で、バブル期の物件はほぼこの水準以下だろう。
人口減少・世帯減少がこれから加速度的に進行する。マンションの需要層も様変わりした。単身者、DINKS、高齢者が相当数のシェアを占めるようになっている。富裕層による投資需要も活発だ。
ファミリー層向けも共働き世帯が専業主婦世帯を逆転して20年が経過する。〝職住近接〟が絶対条件になった。働き方改革を進めない限り、郊外型ファミリーマンションは大きなハンディを抱える。価格の問題ではない。
分譲と同じレベルの賃貸が圧倒的に少ないことが分譲マンション市場を成り立たせているのだが、これも未来永劫続くのか不明だ。富裕層はともかく、一般のサラリーマン層にとって土地・住宅が資産にならないという論調は認めざるを得ない。朝日新聞が「負動産」特集を行っているが、もう笑うしかない。
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普通のサラリーマン層にとって不動産は資産にならないのではと書いたが、その逆に〝富める者〟とっては千載一遇、超然絶後のチャンスが到来し、われわれが経験したことがない「格差社会」「分断社会」が進行・実現するような気がしてならない。
人口・世帯減少、空き家、相続放棄の激増などはあまねく全国均等に進行するわけではないからだ。一極集中は加速し、東京都千代田、港、中央などの都心部では2050~2060年までは人口が増加すると予測されている。
例えば港区。港区では昭和36年(1961年)の256,088人をピークに一貫して減少し続け、バブル崩壊後の平成8年(1996年)には149,716人へと40%以上も減少した。コミュニティの崩壊を恐れた同区などは、一定規模以上の建築物に対して住宅を付置する条例を設けたほどだ。
その効果というより、都心回帰のマンションブームの効果のほうが大きいとみているのだが、その後は徐々に人口が増え始め、現在は249,242人までに回復した。富裕層も増える一方だ。平成72年(2060年)には過去最多の260,805人になると推計している。
千代田区も同様だ。同区の総人口は平成7 年の34,780人まで減少したが、その後増勢に転じ、平成29年は60,940人(9月1日現在)と実に36年ぶりに6万人の壁を突破した。同区の描く出生率高位シナリオによれば、平成72年(2060年)には98,810人に達すると見込んでいる。現在の約62%増だ。
現在人口73,800人の中央区も平成36年内(2024年)に20万人を突破すると予測している。
需要と供給の市場原理が貫徹されると考えれば、これらのエリアのマンション価格はまず下がらない。港区や千代田区などは軒並み1,000万円を突破し、いわゆるビンテージマンションは坪2,000万円、3,000万円となっても不思議ではない。都心に隣接する江東区湾岸や周辺各区もつられて高くなるのは必至だ。
その一方で、地方の人口が半減し、限界集落が激増したらどうなるか。都心に一部の超富裕層が住むようになったら、郊外にはどのような階層の人が住むのか。
「デフレ脱却絶望的。郊外マンション価格は下がらない」トータルブレイン・久光社長(2017/5/30)
第一次取得層向けの郊外マンションは復活するのか(2016/8/30)
唯一無二「公園・眺望価値」はいくら 三菱地所レジ「新宿御苑」は坪500万円以上?
「ザ・パークハウス 新宿御苑」
三菱地所レジデンスは10月16日、最高価格2億6,900万円を含む全47戸をわずか3カ月間で完売した「ザ・パークハウス 新宿御苑」が竣工したのに伴う見学会を行った。当日はあいにくの雨天で御苑は霧にかすんでいたが、メディア関係者は歓声やらため息やらを漏らした。
物件は、東京メトロ丸の内線新宿御苑前駅から徒歩1分、東京都新宿区新宿2丁目に位置する14階建て全52戸。専有面積は55.46~100.63㎡、第1期の価格は6,400万~26,900万円。坪単価は570万円。施工は日本国土開発。設計は日建ハウジングシステム。
昨年5月7日に第1期47戸を抽選分乗し、最高8倍、平均2.1倍で即日完売していた。駅から徒歩1分で、敷地南側が道路を隔てて新宿御苑に面しているのが高い評価を得た。
この希少立地を生かすため、見学会で設計監理を担当した日建ハウジングシステム設計監理部・横手和宏氏は「(御苑を)取り込み、感じる、溶け込むをコンセプトにした」と語った。
基壇部
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ここ1~2年、大きな公園に隣接・近接するマンションを結構見学してきた。野村不動産「プラウドタワー木場公園」、三井不動産「パークコート浜離宮ザ・タワー」、東京建物「BrilliaTower上野池之端」、東京建物「Brillia Tower代々木公園」、三菱地所レジデンス「ザ・ パークハウス 国分寺四季の森」、住友不動産「シティテラス小金井公園」、住友不動産「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」、伊藤忠都市開発「クレヴィア日本橋浜町」、東京建物「Brillia大山Park Front」、住友不動産「シティタワーズ東京ベイ」などだ。
「公園眺望」の価値を考えてみた。今回の「新宿御苑」は、南側眼下に公園が見渡せる14階住戸は100㎡で価格は2億6,900万円。坪単価は891万円だ。一方、ビルの壁面しか見えないであろう北側住戸の最低価格は55㎡で6,400万円。坪単価は380万円だ。その差は約510万円。平均坪単価よりも300万円以上高い。
この唯一無二ともいうべき「公園・眺望価値」は絶対的なものなのか相対的なものか、記者もわからない。最近見た例では東建「Brillia大山Park Front」、大和地所レジデンス「ヴェレーナグラン大宮大門町 瑞景」だ。最高価格住戸はいったいいくらの値をつけるか。三井不動産レジデンシャル「ザ・タワー横浜北仲」の最高価格は坪単価1,200万円らしい。
エントランスホール
三井不&青木茂建築工房 築52年の市場性ない共同住宅をリファイニングで再生
「林マンション リファイニング工事」before-and-after(afterはパース)
三井不動産と青木茂建築工房は10月16日、青木茂建築工房のリファイニング建築手法を活用した、旧耐震の老朽化不動産の再生コンサルティングサービスの第二号案件「林マンション リファイニング工事」の解体現場見学会を行った。関係者など約200名が参加した。
林マンションは昭和41年に建てられた築52年の共同住宅。内外装を一新するとともに、耐震補強をするため耐震改修促進法の認定制度を活用し、確認申請、検査済証を再度取得するリファイニング工事を実施。
見学会で三井不動産レッツ資産活用部・宮田敏雄氏は、「オーナーの方が3年前、当社のセミナーに参加されたのがきっかけ。耐震性に問題があり空き家率は約7割。建て替えると既存建物の半分くらいしか建てられないので、青木氏と連携して今回の手法を採用することになった。工事により戸数は、今のニーズに合わせて40戸から30戸に減らし、賃料については新築の90%に設定。30年の融資も受けられるようにした。ワンストップのソリューションが実現できたのか大きい」と話した。
リファイニング建築は、①躯体以外は全て改修し、内外観ともに新築同等の仕上がり。改修箇所も全て履歴を残す②新築の60~70%の予算③構造上、計画上不要な壁などを撤去し建物を軽くすることで、ブレースを使用しない耐震補強④遵法性の確保。確認申請の再提出、検査済み証の再取得を実施⑤提携金融機関で一定の条件をクリアすれば法定対応年数を超えても融資が可能-などが特徴。
既存建物は、東急大井町線、東急池上線旗の台駅から徒歩10分、都営浅草線馬込駅から徒歩10分、大田区北馬込1丁目に位置する環七通りに面した6階建て延べ床面積約1,049㎡(確認申請当初)。昭和41年竣工の共同住宅兼店舗。既存不適格事項は建築基準法第20条:構造耐力、日影規制、高度地区、容積率。施工は三井不動産リフォームで、2018年3月末に竣工する予定(工期は約8カ月)。竣工後は三井不動産レジデンシャルリースがサブリースを担当する。
見学会では、建築工事として初の中性化対策として実施する亜硫酸リチウム圧入工法も公開された。
亜硫酸リチウム圧入工法
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青木茂氏がただ者でないことを知ったのは2013年の「千駄ヶ谷緑苑ハウス」の解体工事見学会だった。約300名もの見学者が詰めかけ驚嘆した。以来、見学会、講演などで10回くらいはお会いしているだろうか。その都度記事にしているので、「青木茂」と「RBA」で検索していただければ記事は10数本ヒットするはずだ。
建築のことはさっぱりわからないが、リファイニングはリフォームやリノベーションとはまったく次元が異なる、信じられない建築物の再生手法だ。はなはだ失礼だが、青木氏に「建築の魔術師」というあだ名をつけた。
今回の見学会では、1フロアに326本の亜硫酸リチウムを圧入する工事を見てあっけにとられた。工事関係者によると「コンクリートの強度を高めるのではなく、鉄筋の腐食を防ぐ効果がある」工法とのことだ。人間でいえば老化を防ぐ点滴か(内外装、間取りなども一新するから、全体として老いさらばえたおばあちゃんを20歳はともかく30歳くらいに若返りさせるのがリファイニングだ)。
仕事が殺到しているようで、青木氏は「スタッフが足りないのでぜひ応募してください」と茶目っ気も見せた。
青木氏
三井不動産&青木茂建築工房 練馬区のリファイニング見学会に200名(2017/2/27)