施工会社が決まらなくてもマンション広告は打てるか
建築工事費の上昇、職人不足は深刻の度を増しているが、その影響はマンションの広告にも表れている。施工会社が決まらず、物件概要に「未定」とするものが散見されるようになってきた。そのような「広告」を見るにつけ、デベロッパーの苦悩が伝わってくる。
広告の開始時期の制限を定めた宅地建物取引業法第33条には、「宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第29条第1項又は第2項の許可、建築基準法第6条第1項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない」とあるが、この規定には施工会社を明記しなければならないとはなっていない。
つまり、施工会社が決まらなくても広告は打てる。不動産広告の自主規制団体、不動産公正取引協議会では「好ましくはないが違反ではない。施工会社が決まっていないマンションを消費者がどう判断するか」(首都圏)「厳密に言えば違反だが、諸事情があり『予告広告』の段階では未定でも認めている。本広告の段階ではきちんと明記するよう指導している」(近畿地区)としている。
記者はマンションの施工会社も設計・監理会社も極めて重要な選択肢の一つだと思うが、やはり一番重要なのはデベロッパーの姿勢だ。施工がどこであっても、「これが当社のマンション」と自負できるようなブランドを目指すべきだ。
とはいえ、施工会社が分からない(そもそも設計会社も監理会社も管理会社も広告で表示する義務はない)マンションの購入を検討する人はどれくらいいるだろうか。施工や設計、監理、管理がどこであるかも重視されるのが本来の姿であると思う。
福島県最北端の「環境未来都市」新地町 「リタイア」の言葉は死滅するか

新地町のホームページ トップ
北は宮城県山元町に、東は太平洋に接す福島県の最北端の町、相馬郡新地町は人口約8,000人。町のプロフィールには「西部の阿武隈山系からのびる丘陵の間の平地に、市街地や田畑、果樹園が広がり、海は遠浅で澄んだ水と美しい砂浜が続いています」とある。
この「遠浅で澄んだ水と美しい砂浜が続く」町を東日本大震災が襲った。「沿岸部は壊滅的な打撃を受けた」(第一次新地町復興計画)。津波は標高10m 未満の多くの土地に浸水し、浸水面積は町の全面積の5分の1約904haに達し、500 戸を超える住宅が全半壊、JR 常磐線新地駅も全壊した。死者・行方不明者は118人にのぼっている。
町は2012年4月、①命と暮らし最優先のまち②人の絆を育むまち③自然と共生する海のあるまち-の3つを骨子とする復興計画をまとめた。復興計画「『やっぱり新地がいいね』~環境と暮らしの未来(希望)が見えるまち~」は、柏市、横浜市、北九州市などとともに国の「環境未来都市」にも選ばれた。
「環境未来都市」構想は、21世紀の人類共通の課題である環境や超高齢化対応などについて世界に類のない成功事例を創出し、国内外に普及展開することでわが国の持続可能な経済社会を実現するプロジェクトだ。
新地町の計画書では、2050年の将来像を次のように高らかに謳っている。
「木質バイオマスや太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーによる『エネルギーの地産地消』を達成してきました」「地域の基幹産業である農業や水産業などの一次産業は、豊富な再生可能エネルギーを背景に、最先端の生産・貯蔵技術などを活用し新鮮な食品を供給することで、市場の高い評価と信頼を獲得し、今では国内外に通用するブランドを確立するに至っています」「地域の高齢者には、もはや『リタイア』という言葉はありません」「多様なインフラを介して、多様なコミュニティビジネスが生まれ…人の絆が強くなり、生活の利便性においても、大都市圏に劣らないほど充実しています」
◇ ◆ ◇
記者は2050年の新地町が「エネルギーの地産地消」を達成し、一次産業が国内外に通用するブランドを確立し、「リタイア」の言葉は死滅し、「大都市に劣らない」利便性を確保し、そしてこの「成功事例」が全国に波及することを願いたい。
それにしても、この楽観主義はどこから来るのだろう。千葉県柏市の「環境未来都市」計画も未来をバラ色に描いて見せる。「長寿・高齢化社会は手放しで喜ばしいことと歓迎される」(柏市)社会は到来するのか。新地町のように「リタイア」の言葉は本当に死滅するのだろうか。
最近ではベストセラーになった「里山資本主義日本経済は『安心の原理』で動く」(角川oneテーマ21) もそうだ。わが国の「里山」は危機に瀕しているというのに、「マネー資本主義」を補完するサブシステムとして十分機能するという。「国家」もそのうちに死滅するのかと思ってしまう。
◇ ◆ ◇
しかし、現実は厳しい。新地村の平成21年度決算報告によると、一般会計の歳入は44億円、歳出は40億円。歳入のうち町税が21億円(48.5%)で、その他の収入などを含めた自主財源額は28億円(65.4%)だ。歳出で多いのは総務費7億円(19.3%)、民生費8億円(20.4%)、土木費5億円(12.6%)、農林水産費4億円(10.6%)などだ。
地方都市では自主財源比率が1割~3割しかないのが常識であることからすれば、当時の新地町の財政は極めて健全といえなくもない。
これが震災によって一変する。平成24年度の歳入は279億円、歳出は263億円。歳入のうち町税は18億円(6.6%)で、繰入金が35億円(12.8%)となっている。国庫支出金は165億円に達した。
21年度と比較すると予算規模は6.3倍に膨れ上がったが、自主財源比率は65.4%から一挙に22.7%までに低下。震災の影響か、人口は震災前より430人、5.1%減少し、町税も実に14%、3億円も減少した。
◇ ◆ ◇
この新地町の復興事業の目玉となるのが「新地駅周辺被災市街地復興土地区画整理事業」だ。施行面積は約23.6ha。施行後は道路、公園などの公共用地が約8.2ha(34.4%)で、宅地は約12.5ha(52.9%)、保留地は約3.0ha(12.6%)。減歩率は25.4%。事業期間は平成25年から30年度末まで。総事業費約66億円のうち保留地処分金約4億円を除く61億円はほとんど公費で賄う。
被災前の地区内の人口は約190人で、人口密度は8.0人/ha。地価の平均額は7,700円/㎡だ。区画整理後の人口は約370人、人口密度は16人/haとしている。整理後の地価は11,900円/㎡。
平たく言えば、9.6億円(坪25,000円)の土地を15億円(坪39,000円)の宅地にするために61億円を投じ、人口を約150人増やす計画だ。安心・安全の復興まちづくりは途方もないお金がかかるということだ。これが強くしなやかな「国土強靭化」政策なのか。
同じような土地区画整理事業は被災地の50カ所以上で計画・進行している。
東建他「Brillia City横浜磯子」竣工 料理の鉄人「中村孝明 貴賓館」も併設

左から東建・田代氏、中村氏
東京建物は2月25日、東京急行電鉄、オリックス不動産、日本土地建物販売、伊藤忠都市開発とともに開発を進めている横浜市磯子区のプリンスホテル跡地の大規模マンション「Brillia City横浜磯子」(全1,230戸)が完成し、敷地内の歴史的建造物「旧東伏見邦英伯爵邸」(通称:貴賓館)に出店する創作和食レストラン「中村孝明貴賓館」が2 月28 日にオープンすると発表した。同日、報道陣向けに中村氏も出席して試食会も兼ねた内覧会を行った。
物件は、JR京浜東北線・根岸線磯子駅から徒歩4 分(敷地入口/グランドゲートまで)、横浜市磯子区磯子3 丁目に位置する敷地面積約10.2ha、3~10 階・地下1~2 階、住宅棟13 棟、商業棟1 棟からなる全1,230戸の規模。専有面積は61.27~140.13㎡。坪単価は約190万円。設計・施工は大成建設・長谷工コーポレーション。入居開始はⅠ工区が平成25 年8 月22 日、Ⅱ工区が26 年2 月27 日。

タイをさばく中村氏
◇ ◆ ◇
さすが〝料理の鉄人〟中村孝明氏だ。内覧会のメーンはマンションが竣工したのでランドプランや共用施設の見学が中心かと思ったが、そうではなかった。メーンは中村氏だった。報道陣もいつもの記者とは異なる人のほうが多いように感じた。
中村氏の料理は「有明」で食べたことはあるが、ご本人にお会いするのはもちろん初めてだ。中村氏は、「このようなところで開店するのは夢だった。天ぷらはなだ万時代から20年来の友人。1階はカジュアル、2階は懐石。調理人だけでなく接客、洗い場が一緒に力を合わせるから最高の『お・も・て・な・し』となる。地域の方々との交流も行っていきたい」と語った。
試食会で「これを陳建一がばくった」と中村氏が話したフォアグラのムースのようなものはえも言われぬおいしさだった。
「貴賓館」は鉄筋造の3階建て。延べ床面積は約1100㎡。マンションの管理組合が所有するが、建物の価値、賃料などは公表されなかった。都心なら何万円/坪もするはずだ。

貴賓館と正面に新設された滝
◇ ◆ ◇
マンションそのものは素晴らしい出来だった。特徴は、①「貴賓館」に和食レストラン「中村孝明貴賓館」がオープン②横浜プリンスホテル跡地約10haを開発③スーパーマーケットやクリニックモールなどの商業施設を併設④駅から徒歩4分の場所に高低差約60mを解消する高速エレベーターを設置⑤地域のコミュニティ活動を広げるタウンマネジメント倶楽部の発足⑥CASBEE横浜でSランクの評価――などで、記者も最高レベルの「S」評価だ。こんなマンションは他にはない。
唯一納得できないのが売れ行きだ。記者は分譲開始時に見学し、圧倒的な人気を呼ぶと思った。駅につなぐエレベーターを設置し、988台の駐車場の多くを地下化し、大型スーパーに内科・小児科、歯科・耳鼻咽喉科、薬局、認可保育園、美容院、コンビニなどを備えたマンションなどまずないからだ。(分譲開始時は中村氏のレストラン計画はなかったはずだ)
全13棟もあり駅から遠い住棟は10分以上もかかるが、平均で200万円をはるかに突破しても売れると読んでいた。190万円という単価はいまでも信じられない。これほど予想を外した物件はそうない。
冷静に振り返ると、眺望の良さと共用施設の充実ぶりを過大評価し、「坂」のマイナスを過小評価したのかもしれない。ホテルがあったとき一度だけ歩いたことがあるが、息が切れた。生活者の視点が欠けていたのだ。
販売状況については、内覧会に出席した同社プロジェクト開発部部長・田代雅美氏は、「一昨年の初めからこれまで930戸を供給しているがほぼ完売。順調に売れている。お客さまのニーズにあったたくさんの〝売り〟があるマンションだと自負している」と語った。街が完成したことで、販売スピードは加速度的にアップするのではないか。

貴賓館と客室からの眺め

竣工した建物

磯子駅前で咲いていた早咲きの桜
アキュラホーム 「第1 回埼玉県環境住宅賞」アイディア部門で入選
アキュラホームは2月21日、埼玉県住まいづくり協議会が実施した「第1 回埼玉県環境住宅賞」アイディア部門に1 作品が入選、4 作品が佳作、住まい手部門では2 作品が佳作を受賞したと発表した。
アイディア部門で入選したのは「『輪になって暮らすしあわせ』~Common のあるまちづくり~」。わが国の三軒両隣の住文化をヒントに、5~10戸程度のコモンを持つ住宅群をクラスター状に配置した街づくりを提案したもの。
埼玉県環境住宅賞は、環境への負荷が少ない新築やリフォームの実践例、住まい方のアイディアなどを募集したもので、4部門72作品の応募の中から最優秀賞1作品、優秀賞3作品、入選10作品、佳作21作品が選ばれた。審査委員長は三井所清典・日本建築士会連合会会長。
最優秀賞(住まい手部門)は竹田篤史氏による「緑がつなぐ家~街並み・コミュニティ・環境・世代~」(設計者:オーガニックスタジオ)。3世代同居の平屋建て住宅で、パッシブデザインを取り込み、柿、キーウイ、ビワ、ジューンベリーなどの果樹をふんだんに配したもの。講評では「緑を中心に、世代、人、街をつなぐように配慮した家づくりの考え方はとても素敵である」と評価された。
◇ ◆ ◇
アイディア部門で入選した作品に取り入れられている「コモン」は、これまでも多くのデベロッパーやハウスメーカーが提案しているのでやや独創性に欠けるが、風・水・光・土・育・環の仕掛けはすぐにでも実践できる。
受賞について、同社を代表して商品開発部課長・太田雅彦氏が「今後の住まいづくりが、家単体の環境に配慮する自己満足のハイスペック住宅を供給するという考え方でなく、太陽の熱や光・風などの自然の恵みを有効に利用しながらエコに心地よく暮らすとともに、近隣との絆づくりのサポートを住まいやまちが行うことで、『地域の満足』へとつながることを信じている」とコメントした通りだ。
来場者も絶賛 モリモト「ディアナコート小石川竹早」

「ディアナコート小石川竹早」完成予想図
モリモトが3月に分譲する「ディアナコート小石川竹早」を見学した。文京区内で過去10年間に供給されたマンションは320棟と少なくはないが、住所が「竹早町」で春日通りに面していないのはこの物件だけで、デザイン性にも優れていることから早期完売は必至だ。
物件は、東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅から徒歩8分、文京区小石川4丁目に位置する9階建て全75戸。専有面積は39.89~98.35㎡、価格は未定だが坪単価は360万円台になる模様。竣工予定は平成27年10月中旬。設計・監理は日本エーコン一級建築士事務所、デザイン監修はアーキサイトメビウス、施工は森本組。敷地はエーザイが所有していた土地。
現地は、春日通りから一歩入った吹上坂に面したマンションなどが建ち並ぶ一角。デザイン監修はこれまでも〝成熟した大人の感性をもてなす〟がコンセプトの「ディアナコート」シリーズを多く手掛けてきたアーキサイトメビウス・今井敦氏と建築家・藤原益男氏。建物は白を基調に陰影の深い外観で、エントランス部分には錆石割り肌仕上げ。シンボルツリーとして約9のシマトネリコを配置する。
モデルルームは約89㎡の億ションタイプ。玄関・ホールの床は大理石張り、壁はアフリカ産「ドンシェ」の突板仕上げ。このほかキッチン、洗面室、出窓などに天然石をふんだんに使用しているのが特徴。
プランは単身者・DINKS向けのコンパクトタイプから億ションまで33タイプ。平均は約72㎡。
モデルルームをオープンして2週間で来場者は約120組。スタッフ10人で対応しているが、数週間先まで満席のようだ。

モデルルーム
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同社の〝ディアナコート〟シリーズは昨年も今井氏と藤原氏のコンビで「ディアナコート小石川播磨坂」(20戸)が分譲された。見学しようと思っていたが、5週間で完売してしまったため見逃した。コンセプトは「播磨坂」と同じのようで、来場者は異口同音に「素晴らしい」を連発するそうだ。
来場者が絶賛するのも当然だ。先日見学した同社の「ピアース高田馬場」もハイセンスなデザインと間取り提案が素敵だったが、今回の「小石川竹早」は大人の感性に訴えるデザインだ。
「ドンシェ」は樺桜に似た温かみのある赤褐色。これはいい。藤原氏がお気に入りの面材だとか。

エントランス(完成予想図)
駅1分(15m)で坪単価153万円 新日鉄興和不動産「ハミングテラス」

「ハミングテラス」完成予想図
新日鉄興和不動産が分譲中の売れ行き好調マンション「ハミングテラス」を見学した。日暮里・舎人ライナー高野駅から徒歩1分(15m)で坪単価は153万円。東京23区内の駅1分のマンションでこれほど安いマンションはまずない。売れ行きが好調なのもうなずける。
物件は、日暮里・舎人ライナー高野(こうや)駅から徒歩1分、足立区扇二丁目に位置する15階建て全102戸の規模。専有面積は67.89~87.54㎡、坪単価は153万円。竣工予定は平成27年2月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
◇ ◆ ◇
日暮里・舎人ライナーが開業した平成20年前後には沿線のマンションを結構見学をしたが、最近はまったく見ていない。リーマンショック後は供給も激減したはずだ。すっかり忘れられた沿線になったと思っていた。高野駅圏ではマンション供給はこれまでない空白区であるはずだ。
ところが、昨年の11月、同社は第1期(30戸)を即日完売したと発表した。第1期の価格は2,898万~4,398万円(最多価格帯3,600万円台、3,700万円台)で、契約者の居住地は足立区が約43%、勤務地は千代田区が約26%、港区が約17%だった。
記者は、足立区の居住者が5割を切り、勤務地が都心であることに興味を抱いた。「高野」駅を「こうや」駅と読める人はまずいないと思われるくらいマイナーなエリアなのに、都心勤務のサラリーマンがよくぞ購入したものだと思った。
もちろん、即日完売の要因は「駅1分」という近さと、3LDKで3,000万円の半ばという価格の安さだ。販売担当者も「来場者の6割は地元以外。北区、豊島区、大田区や千葉、埼玉方面も多い。ほとんどの人は初めて降りる駅のようだ」と話したことがすべてを物語っている。現地周辺にはコンビニはあるが、飲食店や喫茶店など商業施設はほとんどない。購入者はそんな不便さはもちろん百も承知の上だろう。
単価を低く抑えられたのは、第一に土地代が安かったのだろうが、もう一つは住空間をカスタマイズできる「One’s Select」を採用していることだ。これは、〝過剰〟な設備を廃し、グレードの高いアイテムはオプションで変更できるものだ。追加費用はローンに組み入れることができるのも特徴だ。
このため、下足入れなどは同社がモデルルームで提案している数十万円のものを選ぶ人と、ホームセンターなどで販売されている数万円のものを自ら購入する人の割合は半々だという。
消費増税と建築費の上昇による分譲価格の上昇で第一次取得層の住宅取得はますます難しくなる。少しでも購入価格を抑えられる「One’s Select」はよく理解できる。
このところのマンション価格上昇で、23区内の駅近ならまず坪単価は200万円を下らないだろうし、駅力のあるエリアなら250万円以上だろう。まだまだこれからも上昇すると考えているはずだ。ここは坪で50~100万円、20坪で1,000万~2,000万円は安い。〝購入するなら今しかない〟と考えたのだろう。
その後もコンスタントに売れており、現在までに約7割が契約済みだ。
一駅先の「江北(こうほく)」駅ではタカラレーベンも「TOKYO ECOSMA PROJECT」(127戸)を分譲する。こちらの単価はもっと高くなりそうだ。
大成有楽不動産「オーベル代々木上原」 2カ月で全38戸完売

「オーベル代々木上原」完成予想図
大成有楽不動産は2月19日、等価交換マンション「オーベル代々木上原」が販売開始2カ月で完売したと発表した。
物件は、小田急小田原線代々木八幡駅から徒歩3分、渋谷区上原一丁目に位置する5階建て46戸(一般分譲38戸、事業協力者住戸8戸)。専有面積は41.91~73.29㎡、価格は4,470万~9,170万円。竣工は2013年10月。設計・監理は安宅設計。施工は青木あすなろ建設。
人気の要因として同社は、「駅周辺の利便性と閑静な住環境を兼ね備える『上原一丁目』住所では16年ぶりの供給」だったことをあげている。問い合わせは1,700件を超え、総来場者は約480件。
大京 上大岡のマンションに業界初の「スマートコミュニTV」採用

「ライオンズ横浜上大岡ガーデシティザ・イースト&ザ・ウェスト」完成予想図
大京は2月19日、マンション業界で初めて「スマートコミュニTV」を採用した「ライオンズ横浜上大岡ガーデシティザ・イースト&ザ・ウェスト」の記者見学会を行った。
物件は、横浜市営地下鉄ブルーライン上大岡駅から徒歩12分、横浜市南区別所1丁目に位置する6階建て2棟全147 戸。専有面積は57.75~85.82㎡。ザ・イーストの予定価格は4,100万円台~(58㎡台)、4,500万円台~(70㎡台)、坪単価は230万円台。入居開始予定は平成27 年2月27日。設計は東畑建築事務所。施工は佐藤工業。
スマートコミュニTVは、テレビのHDMI入力端子に専用機器を接続するだけでマンションの電子掲示板ディスプレイとして利用できる、ファミリーネット・ジャパンが提供するマンション一括型の情報配信サービス。エネルギーの見える化を可能にするほか、入居者の生活利便施設の情報、マンション内のイベント、点検・設備交換情報などの配信も行うことによりコミュニティ形成を円滑に行う役割を担っている。
建物外観は、自然の風合いを持った柔らかい色彩を基調に、低層部にはレンガ調・サンドベージュ、ダークグレーのタイルやマリオンなどで深い陰影を演出。
商品企画では、「太陽光全量売電システム」と「電力一括購入サービス」「エネルギーの見える化」を組み合わせる「スマートシステム」を採用して最大21%の節電効果を図るのが特徴。また、専用庭は専用カーポート付きや基本セレクト4タイプに3種類のオプションが選べる「プラスフィールドガーデン」を提案。自然の力を生かした「新・パッシブデザイン」なども盛り込んでいる。
これまで160組の来場があり、分譲は3月から。反響者の年齢は30~40代が中心だが、60代も20%あるという。


「スマートコミュニTV」概念図
◇ ◆ ◇
物件の売りものの「スマートコミュニTV」は説明を聞いてもよく分からなかったが、簡単に言えば、従来では「見える化」の情報はパソコンやタブレットでしか見られなかったものが、テレビの画面で見えるようにしたのが最大の特徴とのことだった。
これを発展させれば、テレビでPCの映画を見たり新聞を読んだりすることができるのだろうし、スポーツ観戦しながら友達と戦況をチャットのように語り合ったり、それこそテレビ電話など双方向の情報伝達も可能になるのだろう。すごい時代がやってきたものだ。
単価はやや高い気がしないわけではないが、70㎡台が中心というからグロス価格を抑えて建築費高騰に対応しているようだ。新・パッシブデザインも同業他社より抜き出ており、キッチン天板に天然御影石を採用するなど全体的な設備仕様レベルも高い。駅からフラットなアプローチもアピールできるか。
音楽好きにはたまらない 日土地がシェアハウス「シェアリーフ西船橋グレイスノート」公開

「シェアリーフ西船橋グレイスノート」
日本土地建物は2月19日、入居募集を開始した大型シェアハウス「シェアリーフ西船橋グレイスノート」を報道陣向けに公開した。築27年の同社の研修施設をコンバージョンしたもので、バブル仕様を生かした豪華・ハイグレードの共用部分と、入居者同士の豊かなコミュニティの創造を目指した完全防音仕様の音楽スタジオ3室を設置したのが最大の売りだ。
物件は、JR総武本線、武蔵野線、東京メトロ東西線西船橋駅から徒歩12 分、船橋市本郷町に位置する地下1階地上5階建て延べ床面積3,727.27㎡。総戸数は85戸。1戸当たり専用面積は12.80~25.60㎡、賃料は51,000~83,000円(別途共益費18,000円)。保証金50,000円(退去時に3万円償却)。契約形態は1年間の定期建物賃貸借契約。施工は増岡組。
従前建物は1986年に完成。日土地の宿泊施設付きの研修所として利用されていた。
見学会に臨んだ同社執行役員都市開発部長・阿部徹氏は、「当社のシェアハウスは2年前の『千歳烏山』に次ぐ第2弾。その経験と従前の建物の特徴を生かし、業界最高レベルの質を追求した。ハイグレードな共用施設を配し、音楽をコミュニケーションツールとして仕掛けたのが特徴」と話した。

地下の音楽室(従前は機械室)
◇ ◆ ◇
音楽はまったく分からない記者でも、音楽好きにはたまらない施設だろうということは容易に想像できる。3室のうちもっとも大きいスタジオは本格的なバンド練習ができるよう50万円もするトラムゼットが置かれており、壁には音楽を聴くのに最適な環境をつくる有孔ボードが貼られていた。同様の楽器類を備えた時間貸し施設を利用する場合、1時間2,000円くらいするそうだ。
共用部分・施設が充実しているのもよく分かる。階段室の廊下幅は約1.4m、内廊下の幅は約1.65mと広く、エントランスホールは壁にアートパネルを施した高さ約7mの2層吹き抜け空間となっており、自然採光のトップライト付きだ。74畳大のリビング・ダイニング、49畳大のキッチン、53畳大の多目的室なども桁違いの広さだ。2階ラウンジには、自分の好きなアーティストのCDや、自己制作したCD等を展示できるキャラクターボードを設置。入居者同士でシェアすることもできるという。
デザイン意匠にも工夫を凝らしている。階段のステップはコンクリートのままなのがいい。外付けのネットやテレビの配線もパンチングされたアルミを使用してデザイン処理されていた。

エントランスホール(左)とリビング・ダイニング
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驚いたのはキッチンだった。独身寮のように賄いの人がいて食べさせてもらえ、後片付けもしてもらえるのかと思ったが、そうではなかった(だから独身寮ではなくてシェアハウスなのだが)。それぞれが自前で作って食べるのだという。最大3合炊ける炊飯器も、炊いた後はご飯を出して、内釜は洗って返すのがルールだという。
つまり、すべて自分でやらないといけないことになっていた。調理に自信がある人はともかく、調理などしたことのない若い女性が衆目監視の中で一人調理する勇気はあるのだろうか。記者も若い独身だったら、若い女性がたくさんいる前でラーメンだって恥ずかしくて作れなかっただろう。米は鍋に蓋をしないと炊けないのを覚えたのは確か24歳のころだ。
しかし、キッチンには素晴らしいカウンターもついていた。コミュニケーションの場となる仕掛けだ。いっそのこと、入居者同士で調理人を雇い、酒を飲みながら談笑できるようにはならないのだろうか。はるかに食費や飲み代が安くなるのではないか。
入居者の平均居住年数は約2年で、退去する理由は結婚とか転勤だそうだ。入居条件に年齢制限はないが、見学者の最年長は40歳代だという。
居室には浴室もトイレもないが、家賃を節約し、その一方で豪華な共用施設を利用したり、入居者同士のコミュニケーションが図ったりできるのがシェアハウスの魅力なのだろうが、居住年数が2年というのは意外だった。

居室(左)と階段室
日土地 〝業界最高水準〟の共用部を備えたシェアハウス第2弾「船橋」(2013/9/17)
単身者・DINKS向けの最高レベルマンション モリモト「ピアース高田馬場」

「ピアース高田馬場」完成予想図
モリモトが3月に分譲する予定の「ピアース高田馬場」を見学した。駅から徒歩4分の立地で、敷地の東南側に東電の変電所があるために高い建物が建つ可能性が小さく、住戸プラン、デザインの出来が出色。単身者・DINKS向けとしては最高レベルのマンションだ。
物件は、JR山手線高田馬場駅から徒歩4分、新宿区高田馬場3丁目の準工業に位置する7階建て全52戸。専有面積は25.11~70.33㎡、価格は未定だが、坪単価は340万円ぐらいになる模様。施工は松村組。竣工予定は平成27年6月中旬。設計・監理は庵都市建築設計事務所。デザイン監修はプランテック総合計画事務所、清野燿聖事務所。
現地は早稲田通りから1歩入った住工混在エリア。敷地は南北軸が長い長方形で、東京電力の社宅跡地。敷地東側は4m道路を挟んで東電の変電所がある。敷地南側は、約5.7mの道路を挟んで中層ビルなどが建ち並んでいるが、日照は確保されそうで、駅近の割にはまずまずの住環境だ。
最大の特徴は、広告表示に〝ハイエンドデザインマンション〟と謳っているようにデザイン意匠や使い勝手が優れていることだ。デザイン監修に大江匡氏と清野燿聖氏を起用していることからも力の注ぎようがうかがわれる。
玄関・廊下は天然石張りで、キッチン天板はフィオレストーン、キッチンキャビネット、食洗機、ドラム式洗濯乾燥機などは標準装備。床は木目調のフローリングで、サッシは2.3m。
先週末からモデルルームをオープン。大雪に見舞われたが、約30件の来場があり、来場者からは高い評価を得たようだ。

エントランス
◇ ◆ ◇
正直に書くと、最初現地を見たときの記者の単価予想は「坪300万円でも厳しい」だった。敷地の東側には明日にでも高い建物が建ちそうな空き地があったからだ。現地が準工であることは知らなかったが、商業系のエリアだとすれば日照が全然確保できないと判断した。
ところが、販売事務所でモデルルームを見て、予想はどんどん吊り上った。これまで同社の〝ピアース〟シリーズはたくさん見てきたが、今回のデザイン、商品企画が最高かもしれない。モデルルームの出来が素晴らしかった。格子デザインをあしらったDENの提案もいいし、キッチンの背面からランドリー、浴室、主寝室への動線もいい。ワイドスパンの東側の窓側は腰壁にしてプライバシーにも配慮している。
見学を終えて、販売事務所の責任者から「いくらになるか知ってますか」と聞かれたので「坪340万円でしょ」と答えた。ぴったりだったようだ。
同駅圏では、坪単価370万円の大規模タワーマンションも分譲されているが、住戸デザイン・仕様だけならモリモトのマンションが勝っている。グロスを抑制しているので、「高田馬場」が好きなアッパーミドルの単身者・DINKS層にアピールできれば早期完売は間違いない。

外観

