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元谷外志雄代表(左)と元谷芙美子・アパホテル社長

 アパは9月15日、アパ赤坂見附本社ビル1階に「アパ情報館  INFORMATION CENTER」を開設した。セレモニーに出席した元谷外志雄・アパグループ代表は「現在開発中の物件も含め全国最大の433ホテル72,205室に拡大し、2016年11月期決算で売上高1,105億円、経常利益338億円まで成長した。2020年までに10万室をめざす。オリンピック後はオーバーホテル状況が予想されるが、当社は逆にチャンスととらえ、アジアを含め買収、パートナーホテルなどネットワーク拡大を進める」と話した。

 また、先の書籍問題について、「中国人宿泊客のシェアは問題になって以降、それまでの5.2%から現在1.9%に減少したが、〝アパ頑張れ〟の応援もいただいたし、知名度が世界的になった。全くマイナスにならなかった。今月の稼働率は93%、都心は100%」などと語った。

 過熱する用地争奪戦については「12年前と比べ用地は3~4倍、建築費は倍になった」とも話した。

 「アパ情報館」は、アパグループの情報を発信するとともに、ホテル投資を検討している顧客向けにフランチャイズシステムへの加盟、新築・リニューアル、用地の取得などの相談拠点にする。

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テープカットする左から衆議院議員 消費者問題特別委員長・原田義昭氏、元谷代表、元谷芙美子氏、ライフコーポレーション 代表取締役会長兼CEO・清水信次氏

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「アパ情報館  INFORMATION CENTER」

 

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「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋Ⅰ」

 三井不動産は9月12日、三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋Ⅰに「MFLP  ICT  LABO」を開設し、ICT関連機器16種類を展示し、機器の導入コンサルも実施すると発表した。人材確保が喫緊の課題となっている物流業界で、業界に先駆けて様々な省力化・自動化へのニーズに対応していく。同日、報道陣向けに内覧会を行った。

 LABOには、岡村製作所が販売している「オートストア」などICT関連機器16種類を展示。同社施設の入居企業や入居検討企業に広く紹介するとともに、LABO内で実際に機器を稼働させ、その効果が体験できるようにしている。

 また、各メーカーと連携して購入サポート、貸出スキームを提供するほか、様々な課題解決へ向けたコンサルティングサービスも行っていく。

 内覧会で挨拶した同社ロジスティクス本部ロジスティクス事業部長・寺島道人氏は、「数年前から物流革命が起きると考え、プロジェクトチームを立ち上げ取り組んできた。2030年には人工知能により完全自動化の工程表も示されている。当社は〝ともにつなぐ、ともに生み出す〟をコンセプトに課題解決へ向け先駆的な役割を果たしていく」と語った。

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岡村製作所「オートストア」

◇       ◆     ◇

 同社は先に記者会見し、ロジスティクス事業は2012年の事業開始から稼働中の13棟を含め開発・運営施設数は28棟・総延床面積は約240万㎡、累計総投資額は約4,000億円に達する見込みと発表した。今後も年間4棟、400億円くらいを継続して投資していくとしている。

 今回のLABOは事業拡大の一環だと思う。ICTには疎い記者でも実際に16種(すべてではないが)の機器が稼働しているのを見て、間違いなく物流革命は起きると確信した。

 もっとも驚いたのは、デンソーウェーブの「ピッキング」機器だった。同社ロジスティクス本部 業務推進室 業務推進グループ統括・溝口賢治氏が実演したのだが、一瞬で50枚くらい重ねられていTシャツのバーコードを読み取った。距離が離れていても大丈夫だというから驚きだ。

 そんなことができるなら、女性の裸身まで見えるメガネが開発されたらいくらになるか、政治家には24時間365日行動を捕捉できるタグを身体に埋め込むことを条件づければだれも立候補する人がいなくなるだろうかなどと想像するだけで楽しくなった。

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デンソーウェーブ「ピッキング」

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 同社が7月に行った記者会見にもたくさんの記者が駆け付け、大和ハウスが先に行ったセミナーにも定員いっぱいの約300名が参加した。物流革命はすで始まっているのだろうし、モノはもちろんヒト、コトの動きを一挙に変える時代がそこまでやってきていることを実感した。

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〝もう我々の出番ない〟 三井不動産〝かつて〟の主力、溝口も福田もICTに脱帽((2017//12)

三井不動産 ロジスティクス事業拡大28棟、延床240万㎡、投資額4,000億円に(2017/7/20)

大和ハウス工業 企業向け物流セミナーに300名が参加(2017/8/3)

 

 

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純米焼酎「大手町」お披露目

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「三菱地所グループの森」フォトセッション

 三菱地所は9月8日、同社グループが〝都市と農山村がお互い元気になる社会〟の実現を目指し取り組んでいる山梨県北杜市のCSR活動「空と土プロジェクト」が10周年を迎えるのを記念して、純米酒「丸の内」」に加え純米焼酎「大手町」を販売開始するとともに、木材供給を行う「三菱地所グループの森」を始動させたと発表した。

 「空と土プロジェクト」は、同社グループが2008年度に「地域社会との共生」をテーマとした取り組みとして始動。山梨県北杜市で活動を行うNPO法人「えがおつなげて」と連携し、限界集落地域である増富地区を中心にともに支えあう持続可能な社会の実現を目指し活動を行っている。2011年には山梨県と「山梨県産材の利用拡大の推進に関する協定」を締結し、国産木材、山梨県産材の活用を積極的に行っている。

 これまでグループ社員や顧客などを対象とした体験ツアーを81回実施し、延べ参加者は2,331名に上っている。

 純米酒「丸の内」は、耕作放棄地を開墾し、棚田を復活させ、有機農法で酒米をつくり地元の蔵元で醸造。2011年から丸の内のレストランやショップで販売開始。2013年には約4,700本を販売したが、近年の天候不順や獣害により2016年は約3,000本に減少している。

 純米焼酎「大手町」は、食品ロス削減の観点に立ち、純米酒原料の使用基準に満たない酒米と東京農業大学が開発した天然酵母(花酵母)を使用して、地元の武の井酒造と共に開発。9月15日(金)、はせがわ酒店パレスホテル東京店で販売開始する。4合入り1,689円(税抜)。

 収益の一部はNPO法人「えがおつなげて」に寄付される予定(2015年は約36万円、2016年は約28万円)。

 「三菱地所グループの森」は、北杜市市内の管理が行き届いていない山林を再生し、三菱地所グループへの木材供給及び社員研修の場として利用するもの。

 会見に臨んだ三菱地所執行役社長・吉田淳一氏は、「私は小学生のころ、山口県下関の親戚の田んぼで田植えをしたことがある」と自らの体験を交え、「今年3月までCSRの担当役員をしていた関係で、6回ほど体験ツアーに参加し、田植えも経験した。田んぼの泥があたたかく包んでくれる感動を思い出させてくれた。今後も持続可能な社会の実現のため取り組みを強化する」と話した。

 また、純米焼酎「大手町」で乾杯の音頭を取った同社取締役会長・杉山博孝氏は、「10年前にプロジェクトを立ち上げたとき、私が担当役員を務めた。やるんだったらずっと継続し、事業に結びつけるような活動をしないといけないと考えてきた。このように活動が発展してきたのがとてもうれしい」と語り、「私どもは〝大・丸・有〟を掲げているので、〝有楽町〟が欠けているは残念」と参加者を笑わせた。

 NPO 法人えがおつなげて代表理事・曽根原久司氏は、「耕作放棄地、森林、空き家の資源を活用して10兆円市場にするのが私の夢。夢の実現のためさらに活動を強化する」と力を込めた。

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左から吉田氏、杉山氏、曽根原氏

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 記者は過去2回、田植えと稲刈りの体験ツアーを取材している。吉田氏が小さいころ、田んぼにある肥溜めに落ち糞尿まみれになったことまで聞き出し、感動的な記事を書いた。今回の発表会を楽しみにしていた。

 聞きたいことがたくさんあった。今回の空土プロジェクトも含めデベロッパーのCSR活動はどうあるべきか課題は何か、メディアは何を伝えるべきか、獣害をどう防ぐのか、北杜市の市花ヒマワリをテーマにした〝有楽町〟の商品を加えるべきではないかなどだ。残念ながら吉田社長も杉山会長も質疑応答の前に退席されたので聞けなかった。

 ヒマワリといえばあのソフィア・ローレンの「ひまわり」畑が目に浮かぶ。あれは悲恋物語だったか。〝有楽町で逢いましょう〟もまた古いか。

 曽根原氏にはシカ、イノシシなどの獣害のほか山ヒルについて聞きたかった。

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純米焼酎「大手町」

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 CSRを含めてデベロッパーの広報活動に参考になる記事をハウジングライター・藤原利彦氏が9月4日付「週刊住宅」のコラムで書かれている。

 メディアモニタリング業務や広報効果度分析を主業務とするデスクワンが、全国紙5紙に掲載された記事スペースを金額に換算してランキングとしてまとめたもので、デベロッパーでは昨年度は3億3,000万円の三菱地所がトップで、2億6,000万円の三井不動産、2億2,600万円の森ビルがベスト3。以下、住友不動産、東京建物、東急不動産、野村不動産、コスモスイニシア、大京、東急不動産ホールディングスの順だ。

 三菱地所、三井不動産が1、2位を争っているのは納得できる。しかし、記者は売上高に比して森ビルとコスモスイニシアが突出しているのに注目したい。何かと話題が多い森ビルはともかく、主力のマンションや戸建て以外にリノベーションやアパートメントホテル事業など話題を提供しているのが評価されているようだ。

 さらに言えば、上場企業のCSR活動に対する拠出金(お金では換算できないものも多いのは承知するが)はバブル崩壊後一貫して減少しているはずだ。経常利益のせめて1%、できれば3%くらい拠出してもいいのではないか。CSR活動が企業価値を計る重要な指標になる社会にしなければならないし、企業もまた、CSR活動が投資家やメディア、一般の人に正当に評価されるように広報活動を強化すべきだ。

三菱地所グループ 山梨県産FSC認証木材の企画提案コンペに当選(2015/12/11)

〝ケロ、ケロ、ケロ〟カエルも歓迎 三菱地所・空土プロジェクト田植えツアー(2015/6/3)

三菱地所グループ「空と土プロジェクト」体験ツアーに同行取材(2012/10/19)

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 港区の平成29年度行政資料集が公表された。課税標準額段階別納税義務者数などの数値を概観した。

 納税義務者数は138,285人で前年より約4,000人増加。課税標準額の段階別納税義務者数の区分では、課税標準額が1,000万円以上の層は20,745人で前年より962人増加。全納税者に占める割合は15.0%で前年より0.7ポイント上昇した。人数、構成比も過去最高を更新。

 総所得金額は1兆2,312億円で前年より約2,600億円減少。段階別区分では1,000万円超の層が前年の9,332億円から7,406億円へ、10万円以下の層が321億円から179億円へ大幅に減少している。

 所得割額は687億円で前年より12億円増加。段階別区分では、10万円以下の層が前年の8.6億円から22億円へ増加。構成比も前年の1.3%から3.2%へ大幅に増えた。1,000万円超の層の所得割額は442億円(前年452億円)で構成比は64.4%(同67.1%)とやや減少した。

 特別区税調定額799億円に対する収入済額は768億円で、収入歩合は平成19年の95.2%を上回る過去最高の96.1%となった。

◇       ◆     ◇

 納税者数が増加しているのは人口が増加している反映だが、年間4,000人も納税者が増えているのはすごい数字だ。

 課税標準額が1,000万円の層も毎年増加を続けている。年間1,000人近く増加しているのもこれまたすごい数字だ。

 課税標準額が10万円以下の層と1,000万円超の層が大幅に減少しているのは、平成28年から株式などの保有・譲渡した場合の税制が改正されたことによるものと思われる。申告が不要な源泉分離課税か累進税率の幅が大きい総合課税制度かを天秤にかけて税率が低いほうを納税者が選択したことがうかがわれる。課税標準額10万円以下の層の人の所得割額・構成比が激増しているのも、この分離課税の影響と思われる。

◇      ◆     ◇

 注目したいのは、特別区税の収入済額の増加と収入歩合の改善だ。

 特別区税には特別区民税、軽自動車税、特別区たばこ税、入湯税がある。区が課税することを決定した調定額と実際の収入済額、収入歩合を見ると、特別区民税の調定額は735億円(収入済額704億円、収入歩合95.7%)で、その他の税を含めた合計では調定額799億円(同768億円、同96.1%)となっている。

 過去10年の収入済額は平成23年の581億円をボトムに平成28年は768億円へ実に32.2%も増加している。収入歩合は平成23年の91.7%が最低だった。  

 港区では、未納に対する徴収の取り組みを強化しているのも収入歩合が改善している要因の一つと話している。(政府はアベノミクス効果と言うにきまっている)

 参考までに。総務省のデータによると、平成27年度の地方税の滞納額は現年分で3,123億円、繰越額は9,087億円となっている。税収100円当たりの徴税コストは大都市が2円台、地方が5円台と言われている。タバコ税は〝前払い〟(実際に税を納めるのは事業者だが)だからコストはほとんどかからないのではないか。これに課税を強化し、喫煙者を社会から排除しようとしているのは全く理解できない。

東京都港区 平成28年度 課税標準額1,000万円超が約2万人 過去最多を更新(2016/9/27)

全国90万人の「高所得層」のうち21%、19万人が東京23区に集中(2016/4/15)

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「東京ミッドタウン日比谷」

 三井不動産は9月4日、千代田区有楽町一丁目で開発を進めている複合開発「(仮称)新日比谷プロジェクト」の名称を「東京ミッドタウン日比谷」に決定したと発表した。

 「東京ミッドタウン日比谷」は、地上35階地下4階建て、延床面積約189,000㎡のオフィス・商業などから構成される大規模複合開発。日比谷公園を眼下に望むオフィスフロアは9・10階のロビー階から11~34階に位置。6階にはベンチャー企業や大企業、多種多様な人材が集結したコミュニティ拠点「(仮称)日比谷ビジネス連携拠点」を設置するほか、シネマコンプレックス「TOHOシネマズ日比谷」など全60店舗(店舗面積約18,000㎡)が地下1階から地上7階に出店する。開業は2018年3月29日。

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 リンナイが首都圏在住の約1,900名を対象に行った「キッチンスペースに関する意識調査」結果をまとめ発表。現在のキッチンに満足している人は半数に満たないことが分かった。

 現在のキッチンスタイルは、「独立型」が38.9%でもっとも多く、「オープン型」30.5%、「カウンター型」26.5%、「アイランド型」1.6%の順。

 現在のキッチンの満足度は、「そう思う」12.8%、「ややそう思う」32.7%と満足している人は半数に満たないことがわかった。

 キッチンを他人に見せることができるかどうかについては、「そう思う」13.7%、「ややそう思う」26.3%となり、他人に見せることができる人は4割しかいないことがわかった。

 住宅を購入・リフォームする際にキッチンにこだわりたいかどうかについては、「そう思う」44.7%、「ややそう思う」35.9%で約8割に達した。

 その際、重視するのは「使い勝手(便利な機能)」87.4%、「お手入れ・掃除のしやすさ」73.5%、「収納性」70.9%など。デザインについては、「シンプル」71.1%、「清潔感がある」66.8%となった。

 理想のキッチンスタイルは「カウンター型」35.0%「アイランド型」25.7%と対面キッチンが多数を占めた。

◇       ◆     ◇

 調査対象者の属性がいま一つよくわからないが、わが家のキッチンに満足している人は過半に達せず、理想のキッチンスタイルにほど遠いことが分かった。

 分譲マンションについていえば当然の結果だ。調査では不満の理由について聞いていないが、「他の家庭のキッチンを見たとき目についてしまう箇所」でもっとも多いのが「間取り・広さ」47%であることからも、広さに問題があることが推測される。現在、ファミリーマンションのキッチンの広さはせいぜい3.5畳大だ。記者の〝主夫〟の経験からいってもこれは狭い。4.5畳大はほしい。プロの料理家に聞いたことがあるが、理想は6畳大だった。

 理想のキッチンはカウンター型、アイランド型が多数を占めたが、個人的には独立型がいちばんいいと思う。料理に集中したら、子どもや家族と会話しながらなどというのはまず無理。火加減、味付けがおろそかになる。手を切る可能性もある。オープン型、カウンター型、アイランド型は水や油が飛び散り、掃除が大変だと思うし、あちこちに調理器、具材、ごみなどが散らかっているのをどう始末するのか。

 さらに言えば、ガスとIHの両方が使えるハイブリッド型がいいと思うが、どこも積極的に提案しない(リンナイが最初に提案したのではなかったか)。家庭料理の定番であるチャーハン、野菜炒めなどは絶対ガスがいい。

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 「週刊住宅」が復刊した。送られてきた8ページ建ての8月29日号に一通り目を通した。1面で不動産流通マーケット、最終面で民泊の記事が大きく扱わられ、週刊住宅の元編集長でハウジングライターの藤原利彦氏と住宅ジャーナリスト・櫻井幸彦氏のコラムが復活した。全体として記事内容は従来の同紙とそれほど変わらない印象を受けた。記事下広告は東急不動産、ポラス、積水ハウスの3社。

 業界紙のあり方については、東急不動産HD・金指潔会長の「このままでは生き残れない業界紙」の発言をきっかけに10回くらい書いてきたので省略するが、逆風荒波に抗して再出発した同紙にエールを送りたい。

 とはいえ、同紙が直面する課題について触れざるを得ない。

 今週の住宅新報は全14ページ。週刊住宅は8ページ。購読料はどうか。新報は年間換算で税込み16,458円、週刊住宅は19,980円。比較を容易にするたる1ページに換算すると新報は1,175円、週刊住宅は2,497円。さらに年間50回発行として1日1ページ当たり単価は新報が23.5円、週刊住宅が49.9円。

 双方ともあまりにも単価が安いのに驚く。広告収入が多ければいいのだが、双方ともいわゆる〝自社広告〟のほうが多い。金指氏が「生き残れない」と話したのもこの数字が裏付けている。野垂れ死にするのは必定だ。

 紙面の量・金額では倍以上の開きがある。週刊住宅は1ページ23.5円の新聞と同じものを作って生きていけるはずがない。新報に絶対に勝てないことがわかる。

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 どうすればいいか、そのヒントを8月29日付の住宅新報が示している。

 同紙元編集長・本多信博氏の署名記事「庶事万感」の中で、リノベーション住宅推進協議会の内山博文氏が「一つは業界の常識を疑うこと。業界の習慣に捉われると柔軟なコンサルができなくなる。もう一つは、未来に思いを馳せて、未来はこうあるべきだから、法律はこう変えていくべきではないかという〝逆算発想〟ができること。今はこういう規制があるから、このようにしかできませんということでは、世の中を変えていく力にはならない」と語っている。

 内山氏は、リノべるホームページでも次のように語っている。

 「今までの既成概念を一旦崩して考えることができるかどうか。自分の専門領域や価値観を崩せない人だとなかなか難しいかもしれませんが、いまの世の中と照らし合わせて自分がいま何をやるべきか、何ができるかを考えることのできる設計者・デザイナーなら、決して難しくないと思います」

◇      ◆     ◇

 〝常識を疑え〟-これはジャーナリズムの基本でもある。意図したものではないだろうが、今週号の新報も内山氏を介して週刊住宅にエールを送っている。新報と同じ土俵で戦わない-ここに生きる道があると見ている。

 小生からもヒントを一つ。記者は小さいころからあまのじゃくで、人が右を向けば左を向いていた。席は一番後ろに座り、先生の話より友だちの反応を観察するほうだった。いたずらばかりするので、廊下に立たされ、教壇の真ん前に座らされたこともあった。

 この性格はいまもあまり変わらない。他人が書いた恋文(プレスリリース)を引き写して恋人(読者)に渡すほうが誤報より罪が重い。〝記事はラブレター〟と、好きな人が読んでくれればいいという居直りともいえる心境に達するまで10年かかった。自分の物差しでしか人は物事を測れない。その見る目を養うのもまたものを見ること以外ない。

 頑張れ週刊住宅!新報と同じ土俵で戦うな!

「週刊住宅」が復刊 元社員らが「株式会社週刊住宅タイムズ」設立、発行へ(2017/8/10)

「このままでは生き残れない業界紙」 東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3/9)

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「ホテル ザ セレスティン京都祇園」

 三井不動産は8月29日、滞在そのものが旅の目的となる「デスティネーション型ホテル」を目指す新ホテルブランド「ザ セレスティンホテルズ」の第一号店「ホテル ザ セレスティン京都祇園」を9月7日(木)に開業すると発表した。開業に先駆け同日、プレス説明会&見学会を行った。

 「ホテル ザ セレスティン京都祇園」は、京都東山エリア・八坂通に面し、京都五山の一つ建仁寺に近接。祇園・清水寺・八坂神社・鴨川なども徒歩圏。敷地はNTT西日本ビル跡地で、NTT西日本アセット・プランニングが建物を建築。三井不動産が賃借し、三井不動産ホテルマネジメントが運営する。

 建物は地下1階地上5階建て、延べ床面積7,956㎡。客室は約30~35㎡のスーペリアツイン(120室)中心に約26~66㎡まで157室。

 「東山悠遠(ひがしやまゆうえん)の邸」が開発コンセプトで、地下1階のロビー階にはスパ(大浴場)、レストランが、エントランス階にはゲスト専用ラウンジおよび「BAR 近江栄(おうみえ)」を設置。レストランは京都の老舗天ぷら店「八坂圓堂(やさかえんどう)」の新店が出店する。

 客室は日本の伝統様式や京の歴史・風景を現代に置き換えてデザインし、靴を脱いで寛ぐスタイルを採用。「東山」「八坂」を冠したデラックスタイプのコンセプトルームも用意する。チェックインは、着物姿のスタッフが出迎え、ロビーのソファに座ったままチェックインできる「シッティングチェックイン」を取り入れている。

 プレス説明会に臨んだ三井不動産ホテル・リゾート本部ホテル事業部 事業グループ長・小田祐氏は、「訪日外国人は今後も増加が見込まれ、ニーズも多様化している。『ザ セレスティン』は、当社が誘致したリッツ・カールトン(東京ミッドタウンやフォーシーズンズ(OH-1計画)のラグジュアリーと宿泊特化型・アッパーミドルの中間ハイグレード層がターゲット。焦らず運営していく」と話した。

 また、圓堂代表取締役・遠藤弘一氏は「一年半かけ〝日本一の朝食〟を作り上げた。夕食はビバリーヒルズ店の人気メニューになっている天ぷら料理や京懐石も用意する」と語った。

 今回のホテルの開業により、同社の京都エリアは、既存のアッパーミドルクラスの宿泊主体型ホテルである「三井ガーデンホテル京都新町 別邸」、「三井ガーデンホテル京都三条」、「三井ガーデンホテル京都四条」の3ホテルとともに4ホテル733室を運営することとなる。

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エントランス

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左からプレス説明会に出席した三井不動産ホテルマネジメント社長・足立充氏、遠藤氏、同ホテル総支配人・柴田律幸氏、小田氏

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 もっとも驚いたのは遠藤氏が話した〝日本一の朝食〟メニューだ。2017年9月7日~2018年3月31日までの期間限定だが、〝日本一の朝食〟付きのスーペリアツインが13,715円(一人)で泊まれる。これはインパクトがある。

 外国人のニーズはわからないが、主要なターゲットであるアクティブシニアや女性ペアには間違いなく受けると見た。スパは同時に10名くらいが入れるのではないか。外観デザイン、2層吹き抜けのロビー空間、客室のアメニティ、寝具などもいい。

 一つだけ気になったのは客室の浴室とトイレだ。コンセプトの一つが〝第2のわが家〟で、スパがあるからいいのかもしれないが浴室は14×16サイズで、トイレは普通のマンションと変わらない。同社の〝パークホームズ〟のほうが豪華だと思った。

 しかし、そんなあら捜しを吹き飛ばす同社と遠藤氏の意気込みがよく伝わってきた説明会・内覧会だった。〝日本一のホスピタリティ〟を目指してほしい。是非ともここに泊まって日本一の朝食を食べようと思う。圓堂には澤田ふじ子「高瀬川女船歌」(1~9)にたくさん出てくる「泥鰌の蒲焼」メニューはないのだろうか。

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客室 デラックスツイン

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吹き抜けロビー

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スパ

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建仁寺

三井不動産 宿泊型上級の新ブランドホテル「ザ セレスティンホテルズ」開発・開業(2017/2/3)

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竹芝夏ふぇす「TAKESHIBA Seaside Music&Dining」

 東急不動産と鹿島建設らは8月23~25日、両社が共同で開発する「(仮称)竹芝地区開発計画」におけるエリアマネジメント一環として地域活性化を目的とした竹芝夏ふぇす「TAKESHIBA Seaside Music&Dining」を竹芝客船ターミナルで開いた。3日間で約5,000人が参加した。

 今回が3回目となるイベントで、一般社団法人CiP協議会(代表:中村伊知哉・慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)と連携し、CiP協議会を代表とするコンソーシアムによる次世代先進技術を将来まちづくりに活用するため社会実験も実施。

 JAZZや食事を楽しむだけでなく、ロボットやAIの先進技術を、まち活性化や課題解決に活用する可能性を検証した。

 「(仮称)竹芝地区開発計画」は、東京都が行う「都市再生ステップアップ・プロジェクト」一つであり、国家戦略特別区域計画特定事業の認定を受け、15,600㎡の都有地を期間約70年の定期借地によって借り受け、約20万へいの業務棟と住宅棟からなる国際ビジネス拠点を整備する。完成は2020年。

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「(仮称)竹芝地区開発計画」

◇      ◆     ◇

 最終日の23日に取材した。この日もうだるような暑さで、浜松町駅から会場の竹芝桟橋まで着くまでに汗みずくになったが、潮風に吹かれながら見る埠頭の対岸に広がる夜景は格別だった。また、東京湾を周遊する遊覧船に乗るのを待つ浴衣姿の若者が多く、浜松町-竹芝の近未来を垣間見た気持ちになった。

 分譲マンションが坪600万円を突破するのも納得できた。

〝孫の学芸会みたいなもんですよ〟

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千葉・幕張から参加した親-子ども-孫3世代のご家族(お父さんは80歳。お孫さんがイベントの司会をしているので参加したとか)

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トヨタ自動車と本田技研工業が燃料電池自動車による屋外イベントへの電源供給を実施

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遊覧船の乗船客でごった返すターミナル(浴衣姿だと通常2,600円が1,600円に割引されるのが人気とか)

野村不動産 全51戸に反響4,000件近く 「プラウド芝公園」が人気(2017/2/14)

人気は全国区 坪600万円でも圧倒的人気 三井レジ「パークコート浜離宮ザ・タワー」(2017/1/23)

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和田会長 

 優良ストック住宅推進協議会(会長:和田勇・積水ハウス会長兼CEO)は8月23日、活動・発信力を強化するため今年10月に一般社団法人化し、国土交通省が告示を予定している「安心R住宅団体登録」の団体登録を行うと発表した。

 同協議会は優良なストック住宅の普及を図るのを目的に2008年7月に任意団体として発足。会員は現在、旭化成ホームズ、住友林業、積水化学工業、積水ハウス、大和ハウス工業、トヨタホーム、パナホーム、ミサワホーム、三井ホーム、ヤマダ・エスバイエルホームの10社。

 「スムストック」とは、①住宅履歴があること②建築後50年以上の長期点検制度があること③新耐震基準であることを満たしている住宅で、同協議会が認定したスムストック住宅販売士が独自の「スムストック査定」を行い、再調達価格を構造部分(スケルトン)と設備・仕上部分(インフィル)に分けて評価するのが特徴。

 スムストックの成約棟数は2016年度末で1,632棟(前年比113%)、累計成約棟数は6,822棟、スムストック住宅販売士は2017年6月末現在5,576名。

同協議会10社の戸建てストックは約360万棟で、このうち年間約1.4万棟が流通しており、スムストックで仲介した物件は1,632棟(2016年度)、捕捉率は約12%となっている。

 会見に臨んだ和田氏は、「団体発足から今年は10年目の節目の年。スムストックの認知度は高まってきたが、年間約1,600戸しか捕捉できていない。何とか1万戸くらいに伸ばしたい。スムストックを伸ばすことは、若者の家を持てる夢をかなえるとともにCO2排出量を減らすことにつながる。築20年、25年で建物価格がゼロとなるような制度を改め、新しいマーケットを作ろう」と呼びかけた。

◇       ◆     ◇

 一般社団化を歓迎したい。方針が打ち出されなかったら、和田会長に「一般社団化を目指すべき」と質問する予定でいたくらいだ。団体発足当初は〝笛吹けど踊らず〟全然足並みがそろっていなかった。さかんに記者会見やイベントを行うようになったのはここ数年だ。

 いい制度であるにも関わらずスムストックの捕捉率が10%強にとどまっているのは、価格ありきの住宅を供給している住宅業界、古い商習慣を守っている不動産流通会社、そしてわれわれ記者の責任でもある。

 和田会長は「若者が家を買えない」と話したが、これは正確ではない。〝若者はいい家を買えない〟というべきだ。

 〝悪家は良家を駆逐する〟-品質が劣った分譲住宅が大量に供給され、それがまた売れている現実がある。その住宅を販売する仲介会社は「値段が安いのは、中古並みの価格」と平気でいう。

 そしてわれわれも質が劣る住宅を供給する会社を批判しない。この日集まった記者は34名だという。このうち〝悪いものは悪い〟と書く記者はどれだけいるか。

 「安心R住宅」についても一言。この「R」はreuse(再利用)、reform(改良)、renovation(改装)の頭文字から取ったものだが、これらは必ずしも「安心」につながらない。英語を用いるならreliableだろうし、もっと気の利いた日本語はないのか。

 かつて「優良マンション融資」「優良中古マンション融資」制度があった。最低限の条件を満たしていれば「優良」のお墨付きが与えられた制度だった。

 国土交通省は「安心R住宅」制度をブラッシュアップしていくそうだが、レベルの高いものがきちんと評価されるものにしてほしい。現在の制度は〝それなりのもの〟が〝安心〟できる免罪符になる危険性もあると見た。

 

カテゴリ: 2017年度
 

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