アロハ! 商業・価格・平置き 3点セット奏功 1期162戸即完 新日鉄興和「葛西」
「リビオシティ・ルネ葛西(TOKYO ALOHA PROJECT)」完成予想図
新日鉄興和不動産(事業比率70%)・総合地所(同30%)の「リビオシティ・ルネ葛西(TOKYO ALOHA PROJECT)」の第1期162戸が即日完売した。両社は4月12日にニュース・リリースするはずなので、詳細はそちらを読んでいただきたい。ここでは率直な感想に留めたい。
物件は、東京メトロ東西線葛西駅から徒歩18分(バス8分徒歩1分)、江戸川区東葛西9丁目の工場地域に位置する14階建て全439戸。専有面積は58.48~84.08㎡、第2期(戸数未定)の予定価格は2,900万円台~5,900万円台(最多価格帯4,400万円台)、坪単価は214万円。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は平成31年8月下旬。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、大規模商業施設「アリオ葛西」と「ホームズ葛西」に隣接。用途地域は工場地域だが、商業施設やマンション化が進んでおり、嫌悪施設はほとんどない。
建物はL字型で、住戸は約3分の2が南向きで、3分の1が西向き。平置き駐車場が257台。今回分譲は南向きで、プランは68㎡、72㎡、76㎡、84㎡の4タイプ。
テラスラウンジ
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即完を知ったときはわが目を疑った。この物件について両社は2月、記者発表会を行った。記者は出席しなかったが、業界紙がその内容を伝えた。記事を読んで、単価は安いが、バス便で439戸もあるから、「アリオ」などの大規模商業施設があるとはいえ販売は長期化するのではと判断・予測した。その判断・予測がものの見事に外れた。
即完を知って、おっとり刀で現場に駆け付けた。新日鉄興和不動産の住宅事業本部都市創造部・野上晋佑氏が興奮気味に次のように話した。
「大規模商業施設に隣接し、価格の安さ、平置き駐車場の3点セットが奏功した。社内でも『大丈夫か』などと危惧する声もあり、賛否両論があったが、手応えを感じていた。ターゲットが絞りやすく、お客さんの顔がしっかり見えていた。この結果が業界にもお客さんにも伝わり、いい流れになってほしい」
現地
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お世辞にもいいプランばかりとは言い難い。間口が5.8mの68㎡の3LDKは全23スパンのうち6スパン(合計84戸)あるが、これなどは昭和50年代の長谷工コーポの〝コンバス〟そのもので、当時〝広めの3LDK〟として成功した間取りだ。
設備仕様レベルも高いとは言えない。ディスポーザーも食洗機もついていない。郊外型のマンションとそれほど違わない。
それでも、第1期162戸即日完売に快哉を叫びたい。ひょっとしたら住宅にそれほどお金をかけない今のミレニアル世代にぴったりなのかもしれない。マンションの共用施設にはゲストルーム、キッズラウンジ、カフェラウンジ、小規模保育所などがあり、様々なコミュニティプログラムや〝コンシェルジュサービス〟も受けられる。
隣に大規模な商業施設があるのも大きな魅力なのだろう。ここでほとんどすべてを済ますことができる。葛西臨海公園も近い。この魅力を同社は訴え切ったということだろう。申込者は共働き世帯より専業主婦世帯が多いと聞いたが、これも納得。〝ここは最高。あなたは少しだけ通勤難を我慢すればいい〟というしっかり者の奥さんの声が聞こえてくる。(「アリオ葛西」「葛西臨海公園」を過小評価してはいけない。記者は7年前にその威力を実感した)
販売事務所、モデルルームもよく出来ていると思った。コンセプトの〝ALOHA〟を分かりやすく伝えている。シアタールームには本物の砂が敷き詰められていた。モデルルームにはフェイクでない観葉植物がセットされていた。「ウゴクロ」を活用した10畳大の主寝室の提案もインパクトがあった。
シアタールームの砂と木片、貝殻など
有楽土地「オーベル葛西ベイパークス」即完に納得(2010/5/14)
レベルが高い 長期優良住宅認定 東急電鉄他「十日市場」 順調なスタート
「ドレッセ横浜十日市場」完成予想図
東急電鉄・東急不動産・NTT都市開発の3社JVマンション「ドレッセ横浜十日市場」を見学した。横浜市が推進する「環境未来都市 横浜」のモデル事業で、長期優良住宅認定を受けた敷地面積約14,500㎡、全311戸の緑区最大級の複合プロジェクト。3月から分譲が始まっており、第1期85戸が完売。順調なスタートを切った。
物件は、JR横浜線十日市場駅から徒歩7分、横浜市緑区十日市場町に位置する14階建て・9階建て・11階建て3棟の全311戸。専有面積は62.46~90.43㎡。坪単価は未分譲の「ガーデンテラス」を除くと210万円前後と思われる。竣工予定は2019年7月下旬。販売代理は東急リバブル、東急不動産、東急ライフィア。施工は長谷工コーポレーション。デザイン監修は梓設計。
今年3月から分譲開始され、第1期70戸と追加の15戸が完売。4月13日に第1期2次(6戸)が分譲される。価格は3,848万~5,998万円(62.48~87.98㎡)。
現地は、横浜市が取り組む「環境未来都市計画」の青葉区たまプラーザ駅北側地区、磯子区洋光台周辺地区、相鉄いずみ野線沿線地域とともに4つのモデル地区に指定されているエリアの一角。
全体で20街区・21街区・22街区から構成されている3つの市有地街区のうちの20街区が今回のマンション街区。隣接する21街区には期間50年の定期借地権付きとしてサービス付き高齢者向け住宅、高齢者向け賃貸住宅、8棟の戸建てなどが計画されている。
物件は、駅からはなだらかな坂を上ったところに位置するが、途中には信号が1カ所しかなく、歩行者専用の歩道も整備されている。市はバリアフリー構想に基づき、唯一バリアフリーになっていない橋の整備も行う予定。
エリアマネジメント手法を導入し、コミュニティ活動、地域環境活動、サスビナリティ活動を「クオル」がサポートしていく。
隣接する21街区と合わせ建物内には保育園、学童施設、ミニスーパー、コミュニティカフェなども併設される。
建物は、敷地の南端に位置するサニーテラス、交流の中心となるメインストリートに面した東向きのリビングテラス、中庭を眺望するガーデンテラスの3棟で構成。別棟として交流拠点の「HANA-RE」が設置される。
住戸プランは平均74㎡のファミリー向け住戸が中心。基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450~2500ミリ(14階の最上階は3000ミリ)、食洗機、ディスポーザー、可動間仕切りのウゴクロなどのほか、防犯サポート&見守りの「ドア・窓センサー」か「モーションセンサー」のどちらかを選択できる「イッツコムインテリジェントホーム」が標準装備。
モデルルーム
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十日市場は、横浜市の定期借地権付き戸建て分譲を見学して以来6年ぶりに訪れた。駅の南口と北口にパチンコ屋が入居するビルがあるのはいかがなものかと思うが、住むにはいい街だ。
物件は、長期優良住宅認定を受けているだけに第一級品のレベルの高さだと思う。先日見学した、第1期162戸が即日完売した「トーキョー アロハプロジェクト」の坪単価は214万円だったが、こちらのほうがはっきり言ってレベルは高い。これは用地の取得価格によるものだろうが、横浜市民は恵まれている。都内23区ではまずこの価格ではこのレベルのマンションは取得できない。都下でも難しいのではないか。
一つだけ言いたい。ここで詳しくは書かないが、どうして長期優良住宅認定マンションが横浜市の集合住宅環境性能評価制度「CASBEE 横浜」でSではなくAランクなのか。物差しが異なると言ってしまえばそれまでだが、一般ユーザーにとっては非常に分かりづらい。整合性を検討すべきだ。
駅近くの歩道
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幹事会社の東急電鉄にも一つ注文。同社が二流会社ならこんなことは書かない。
これほど基本性能が高いのに、販売事務所やモデルルームの観葉植物はどうしてフェイクばかりなのか。シアタールームにシダ類を配置しているのはアイデアとしてはいいが、すぐに偽物だということが分かる。せっかくの価値を押し下げるようなものだ。東急ともあろうものがといいたい。同社に求めているのは並みのデベロッパーではない。積水ハウスの「品川」を見習ってほしい。
前段で少し触れた「トーキョーアロハ」ではその逆に本物の観葉植物が配されていた。シアタールームにコンセプトが分かりやすいように砂浜をイメージした砂・小石が敷かれ、流れ着いたような木片や貝殻、空き瓶がランダムに置かれていた。
シアタールームのフェイクの観葉植物(左)と「トーキョーアロハ」のシアタールーム
長期優良住宅が「CASBEE」で評価されないのはなぜ(2013/6/13)
デザイン秀逸 第1期1次43戸が即日完売 伊藤忠都市・東急不「文京関口」
「クレヴィア文京関口」完成予想図
伊藤忠都市開発と東急不動産が先に第1期1次43戸が即日完売したと発表した「クレヴィア文京関口」を見学した。コンパクトとファミリーの混合型で、坪単価410万円。デザインが秀逸だ。
物件は、東京メトロ有楽町線江戸川橋駅から徒歩2分、新宿区改代町に位置する9階建て全85戸。専有面積は35.02~106.68㎡、第1期1次(43戸)の価格は3,998万~17,898万円。坪単価は410万円。竣工予定は2019年2月中旬。設計・監理は陣設計。施工は佐藤工業。
第1期1次は3月24日(土)に登録を締め切り、最高4倍、平均1.34倍で即日完売。1月からの来場者数は280件超。駅から2分の利便性、南東の角地、モダンな外観デザインなどが評価されたという。
現地は、準工地域だが住宅地化が進んでおり、嫌悪施設などはほとんどない。また、江戸川橋地蔵通り商店街に面しているが、それほど車の往来もなく、道路を挟んだ南側も中層の建物がほとんどで、東南角地ということもあり、上層階は眺望が開ける立地だ。
そして何より強調したいのは、外観デザインが秀逸であることだ。完成予想図の通り水平ラインを強調したグリットとハイサッシの明るいデザインが美しい。
モデルルームもよくできている。設備仕様は逆梁ハイサッシ(一部腰窓)、シーサーストーンのキッチンカウンター、食洗機、グローエ水栓、天然石仕上げの床など。
住戸プランは30㎡台の1LDKが14戸、50㎡台の2LDKが36戸、60~70㎡台の3LDKが29戸、ペントハウスなど1億円以上のプレミアムが5戸。このバランスも絶妙だ。
レジデンスサロンでは各種物件資料を格納したタブレット端末を使用し説明する手法を採用。契約者にはタブレット端末を進呈する。
:現地
東武スカイツリー大袋駅圏で10年振り 坪単価は157万円 リスト「越谷大袋」
「リストレジデンス越谷大袋」
リストデベロップメントが分譲中の「リストレジデンス越谷大袋」を見学した。東武スカイツリーライン大袋駅から徒歩2分の全121戸。同駅圏では10年ぶりのマンション供給で、約10カ月で3分の1強が成約済みだ。
物件は、東武スカイツリーライン大袋駅から徒歩2分、越谷市大字袋山に位置する14階建て全212戸。専有面積は65.04~70.02㎡、第2期(戸数未定)の予定価格は2,300万円台~3,600万円台(最多価格帯3,300万円台)。坪単価は157万円。竣工予定は2018年11月上旬。設計・監理・施工は川口土木建築工業。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、駅東口の商業地域。住戸プランは西向きで、専有面積は65㎡:70㎡が2:7の割合。
基本性能・設備仕様は直床、ディスポーザー、食洗機、床暖房、良水工房、一括受電など。
昨年5月から販売されており、これまでに3分の1強が成約済み。購入者は地元居住者が中心。レイクタウン越谷と競合しているとか。
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大袋駅圏のマンションを見学するのは10年ぶりで、そのとき見たのは「アンビシャス越谷」だった。
販売開始10カ月で3分の1強の成約が多いのか少ないのか、好調なのか不調なのか、判断は保留する。竣工までにどれだけ伸ばせるか。単価的にはこれ以上安い物件はまずありえない。
現地
省エネ対策に感服 三井不動産+青木茂建築工房 「林マンション」リファイニング完成
「林マンション リファイニング工事」
三井不動産と青木茂建築工房は3月30日、「林マンション リファイニング工事」完成見学会を行った。見学者は約360~370名になる模様。
両社が業務提携してから2号目になる案件で、昭和41年に建築された「検査済証のない共同住宅兼店舗」を耐震補強と大規模修繕を行い、検査済証を取得するリファイニング計画。
建て替えた場合、現行法の日影規制・高度地区の高さ制限・容積率制限など既存建物のボリュームが確保できないことから、既存建物のボリュームが維持でき、コスト削減・相続対策・環境負荷低減につながるリファイニング建築手法をオーナーが選択して実現した。
中性化対策として4、5、6階の梁に亜硝酸リチウム圧入工法を採用。物件は、特定緊急輸送道路沿いの耐震助成金の交付が予定されており、2018年3月末日に建物全体の検査済証を取得する予定。
商品企画では、既存3つのフレーム(スパン)内に各階4住戸(専用面積29㎡)だったのを、フレーム内に新規耐震補強壁を設け、各階3住戸(同34~40㎡)に変更することで競争力を高めた。断熱・遮音性能が高いLow-E複層ガラスを採用しているのも特徴。
見学会で、三井不動産ソリューションパートナー本部レッツ資産活用部チーフコンサルタント・宮田敏雄氏は「わたしの個人的な考えだが、普通のリフォーム、リノベーションでは省エネ性が確保できないものが多いが、今回の物件はLow-E複層ガラスの採用でそれがかなり向上している」と語った。
物件は、都営浅草線馬込駅から徒歩10分、大田区北馬込1に位置する6階建て全17戸の賃貸住宅と店舗。賃料は34㎡が11万円台の半ば、40㎡が12万円台の後半。設計監理は青木茂建築工房、総合企画は三井不動産レッツ資産活用部、商品企画・サブリースは三井不動産レジデンシャルリース。先日21日に入居者向けの内覧会を行い、当日だけで募集15戸に対して6戸の申し込みがあった。その後キャンセルが1件出たので申し込みは現在5件。
エントランス(左)と居室内
「マイミュート」のLow-E複層ガラス(左)と有孔折板
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この案件については昨年10月の工事現場見学会を取材しているし、今年2月に行われた青木氏の記念講演でオーナーの方にお会いしているので、そちらの記事を参照していただきたい。今回は完成物件を見て驚いたこと2つ3つに留める。
驚いたのは、最初に見学した6階の住戸の浴室にミストサウナが付いていたことだ。賃料は相場の9割と聞いていたので、これも商品力をアップするための策かと思ったら、これはオーナーサイドが入居するための特別仕様ということだった。
それより驚いたのは、サッシにLow-E複層ガラスが採用されていたのもさることながら、ガラスは旭硝子の「マイミュート」だったことだ。この製品は優れた断熱性能と防音・結露防止機能をあわせ持つのが特徴で、通常の複層ガラスの遮音等級「T―2等級」よりワンランク遮音性能が高い。額縁付きなのでデザイン性にも優れる。
「マイミュート」は値段が高く、分譲マンションでも採用しているところは少ないはずだ。このようなところにお金をかけるのがすごい。
もう一つ。環7通りに面した外壁には3ミリの鉄に塗装を施した有孔折板が採用されていた。デザイン性に優れるとともに15年間くらいは錆びずにメンテもしやすいという。
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この前も書いたが、青木氏は首都大学東京の特任教授を退任された。今後はリファイニング建築の普及に全力を尽くされるのではないか。仕事も多忙を極めているようだ。今回の見学会も参加希望を断らなければならないほど盛況だった。
配布された資料には、CLT材をふんだんに用いた岡山県の「真庭市中央図書館」と、廃墟となっていた建物を再生する福岡県の「上川端ビル」の見学案内とともに、スタッフ募集のA4の紙が添付されていた。建築を学んでいる人のほかプレス・秘書、学生アルバイトなど「再生建築及びリファイニング建築に興味があること」が応募条件だ。
応募希望者は電話03-5789-0488かE-mail:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。へ。
青木氏とその友人の方々(青木氏は今度は上下ともイッセイミヤケだそうだ)
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受かる可能性が高くなるとは保証できないが、応募希望者の方はぜひ記者が書いた記事も参考にしていただきたい。「青木茂 RBA」で検索すれば10本くらい記事がヒットするはずだ。この日の見学会で「マイミュート」が採用されていることを見抜く人はそうないはずで、人が気づかないことをほめる(けなす)のが受かる秘訣だ。
プレス・秘書も募集しているそうなので、面接の際には「先生もお気づきでしょうが、先日配布された資料には『雑誌掲載のご案内 新建築4月号(2018年4月1日発売) 日系アーキテクチュア(2018年4月12日号)』とありました。わたしは絶対このようなミスは見逃しません」と一発見舞うことをお勧めする。
さらにまた、「先生はイッセイミヤケがお気に入りのようですが、わたしなら先生の中身も含めてリファイニングして差し上げます」くらいぶちかましてはいかがか。
馬込で摘んだハナニラ
リファイニング建築の考案者 首都大学東京特任教授・青木茂氏が退官へ 記念講演会(2018/2/13)
住友不動産 国分寺駅直結の商・住複合の再開発タワー竣工 販売は順調に推移
「シティタワー国分寺ザ・ツイン」
住友不動産は3月27日、JR国分寺駅直結の商・住複合の免震ツインタワー「シティタワー国分寺ザ・ツイン」のプレス向け竣工内覧会を行った。分譲554戸のうち約350戸が成約済みで、販売は順調に進捗している。
物件は、JR中央本線国分寺駅から徒歩1分、国分寺市本町三丁目に位置する36階建てウエスト棟(299戸、店舗18区画)、35階建てイースト棟(284戸、うち事業協力者住戸30戸)の合計583戸(分譲は554戸)。専有面積は48.33~120.45㎡。坪単価は400万円強。設計・監理・施工は竹中工務店。
駅北口のランドマークとなるもので、再開発計画が持ち上がった昭和40年から約50年、都市計画決定から約28年、バブル崩壊、リーマン・ショックなどで再三計画の変更を経て竣工した。
同社は2013年に国分寺市に代わって工事を行う「特定事業者」に選定され、2015年7月に着工した。施行面積は約2.1ha、総事業費は447億円。
4月1日に市の公益フロア「cocobunjiプラザ」、4月7日に三越伊勢丹グループの商業施設「ミーツ国分寺」がそれぞれオーブンする。
内覧会で同社住宅事業分譲事業本部第二統括営業所長・岡本和也氏は「2016年2月に販売を開始して以来、順調に推移している。駅直結・複合・タワーのランドマークとして益々注目を集める」と話した。
◇ ◆ ◇
同社が明らかにした契約者分析は、物件の特性をよく反映している。居住地は国分寺市(22%)、隣接市(24%)のほか武蔵野市、杉並区、新宿区、三鷹市、立川市など中央線沿線が目立つ。
年齢は60歳以上が33%にのぼり、以下50歳代、40歳代がそれぞれ23%、30歳代以下が22%となっている。
職業は経営者、医師、無職(地主・シニア)が全体の6割を占め、会社員など(23%)は共働きや自己資金のある人が目立ったという。
購入目的は実需が8割で、投資+セカンドハウス用が2割。現在の居住形態は持ち家戸建てが37.6%、分譲マンションが28.1%。
-中央線の駅近マンションは、富裕層やアッパー三ドルしか購入できず、賃貸からの〝脱出組〟の取得は絶望的となっている。
面白いのは「グレーシアタワー三鷹」との競合だが、販売責任者の永田太郎氏は「ほとんどない」と語った。
エントランスホール
早期完売間違いなし 三鷹駅直結の相鉄不・三菱地所レジ「グレーシアタワー三鷹」(2017/12/21)
駅直結の「シティタワー国分寺ザ・ツイン」 即日完売スタート(2016/4/1)
サクラ満開 神田川遊歩道に隣接 清張も徒歩2分 大和地所レジ「浜田山」
「ヴェレーナグラン浜田山」完成予想図
久々に第一種低層住居専用地域の、しかも全戸南西向き建物が桜並木と神田川遊歩道に面し、また松本清張が住んでいた邸宅まで徒歩2分、さらにまた京王井の頭線浜田山駅と高井戸駅まで徒歩7~9分という空前絶後、唯一無二、万金に値するマンションを見た。
大和地所レジデンスが分譲を開始した同社フラッグシップ「ヴェレーナグラン浜田山」だ。
物件は、京王井の頭線浜田山駅から徒歩9分(高井戸駅から徒歩7分)、杉並区高井戸東一丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%、景観形成重点地区)に位置する敷地面積約3,030㎡、4階建て全32戸。専有面積は70.85~103.58㎡。竣工予定は2018年12月下旬。設計・監理は共同制作。施工は今井産業。3月から分譲が始まっており、すでに9戸に申し込みが入っている。
現地は、神田川遊歩道沿いの景観を守るため杉並区が指定した「水とみどりの景観形成重点地区」の一角。敷地が広く、前面に広い空地が確保されていることから、建基法第55条2項の規定により建物の高さが12mに緩和されているのが特徴。このため建物は半地下方式を取らなくても4階建てが可能になった。
建物は空地率60%を確保し、〝3戸1〟エレベーター方式を採用し、全住戸にエスコートポーチを設置。駐車場はシャッターゲート付きの全戸平置式。住戸プランは両面バルコニー、ルーフバルコニー、ワイドスパン(約8~10m)、専用庭付き(オープンエアデッキなど約10坪)など。
設備仕様はディスポーザ、天然御影石のキッチンカウンター・洗面台、グローエ水栓、ミストサウナ、スロップシンクなど。天井高は2,450ミリ。
◇ ◆ ◇
現地、モデルルームを見る前までは坪単価は400万円を超えることはないと予想していた。浜田山はマンションや戸建て見学で数十回は訪れている。同駅圏には約10年前、坪400万円で分譲された都心5区を除く準都心部の最高峰「パークシティ浜田山」が燦然と輝き、東急不動産の記念碑的マンション「プレステージ浜田山」もある。これらを上回る物件はあり得ないと思っていたからだ。
ところが、販売を担当する同社次長・喜多氏から坪単価を聞き、わが耳を疑った。いくら用地・建築費が上昇しているとはいえあり得ないと。
それでも喜多氏は、「23区で過去10年間供給された3,313物件のうち第一種低層住居専用地域の平置き駐車場100%付き物件は5物件しかない」と自信たっぷりに話した。
5物件のうち2物件は小規模で記者は知らなかったが、ほかの「グランドメゾン代沢」「Brillia大和郷」「プラウド代沢」の3物件は見学しているのでよく覚えている。「大和郷」は坪500万円だった。
いつもは冗談など飛ばさない同社の広報マン・横山氏もいつになく饒舌で「この物件は欠点がない」「野球にたとえるとこのマンションは〝トリプル3〟」と話した。
喜多氏と横山氏の話を聞いて記者の自信は揺らいだ。そして、現地を見て、喜多氏と横山氏の言葉に嘘はないことを理解した。
「代沢」「大和郷」も確かによかったが、立地・環境は「浜田山」に軍配を上げる。
この立地なら安すぎると思った。浴室が普通のユニットバスだったのは残念だが、全体的に仕様を上げれば間違いなく坪500万円でも売れる。(同社はこれまで100㎡マンションの経験はあるが、億ションの冒険はできなかったのだろう)
◇ ◆ ◇
この日は午前中、約30年間マンション一筋に歩んできた総合地所執行役員・梅津氏にインタビューした。話題は大手デベロッパーに対抗できる中堅はどこかになり、同社とモリモト、コスモスイニシアの名前がすぐ上がった。梅津氏は「大和(地所レジ)さんも…」と言葉を濁したので、記者は「いやいや大和さんも最近元気が出てきた」と話した。
この「浜田山」は完全復活を予感させる物件だ。モリモトのように大手がすり寄ってくるようにさらに仕入れ・企画力を磨いてほしい。
それにしても、同社に入札で勝てなかった(社名は書かないが)デベロッパーも情けない。売値を坪500万円とはじけば勝てたはずだ。資金力では比較にならないはずだが、目利き力には疑問符がつくと言っては失礼か。
喜多氏について。喜多氏はこの前までは新京成電鉄北初富駅から徒歩2分の「ヴェレーナ新鎌ヶ谷」(81戸)を担当し売り切り、同社の今期引き渡し予定の929戸完売、期末在庫ゼロに貢献した。今回は3倍以上の単価だが、「とても楽しい。パークシティからの買換えもある」と笑顔を見せていた。
東京建物の「Brillia 大和郷(やまとむら)」 坪単価500万円超の高額でも大健闘(2008/12/5)
野村不動産「プラウド上原」 垂涎の的の低層3階建て(2011/4/25)
感動的なマンション 三井不動産レジデンシャル「浜田山」(2007/11/8)
三菱地所 CLT床材を採用したわが国初の10階建て賃貸マンション着工
「(仮称)泉区高森2 丁 目プロジェクト」
三菱地所株式会社は3月26日、同社が開発した仙台市泉区の「泉パークタウン」内でわが国初のCLTを床材として使用した木造と鉄骨造のハイブリッド構造の10階建ての賃貸マンション「(仮称)泉区高森2 丁 目プロジェクト」を着工したと発表した。2019 年2 月下旬の竣工を目指す。
同社と三菱地所設計、竹中工務店、山佐木材の4社で取得したCLT床2時間耐火構造の国土交通大臣認定技術を初めて適用する。
2時間耐火の大臣認定を受けたCLT床のほかに、竹中工務店の特許技術「燃エンウッド」を柱に初めて採用した。
CLTを構造材に利用することで、通常の鉄筋コンクリート造に比べ3カ月程度の工期短縮を予定している。
竣工後は39戸の賃貸住宅として運営し、継続的に建物性能に関するデータなどを収集する。
計画地は周辺にホテルや商業施設、アウトレットなどが集積する街の中心部に位置し、小高い丘陵地に建つことから視認性も高く、街の新たなシンボルとなると同社はしている。
伊藤忠都市開発 女性ファッション誌「GINGER」とコラボした賃貸「松陰神社前」
「クレヴィアリグゼ世田谷松陰神社前」
伊藤忠都市開発の賃貸マンション「クレヴィアリグゼ世田谷松陰神社前」の2住戸を見学した。女性ファッション誌「GINGER」(幻冬舎発行)とコラボレーションし、アラサ―世代の女性が満足できるの研究開発を進めてきた「大人女子の部屋づくりプロジェクト」の企画を商品化したもの。
物件は、東急世田谷線松陰神社前駅から徒歩4 分、世田谷区世田谷4丁目に位置する9階建て全50戸。専用面積は25.0~55.55㎡。月額賃料は約11,000円/坪。2018年1月25日に竣工済み。光井純氏が設計を担当した「デザイナーズマンション」が売りのようだ。
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現地は昨年、コスモスイニシアがほぼ1カ月で完売した分譲マンション「イニシア松陰神社前」を見学したとき見ている。四差路の角地だ。分譲なら坪400万円になるかとも思った。
今回は単身者向け賃貸なのでよくわからない。しかも〝大人女子〟なるものがいったいどのような女性なのか皆目見当がつかない。社内の〝大人女子〟と思われる女性に聞いたら「オバサンも含まれることもあるから深く考えないようにしたほうがいい」と言われたので、とりあえず30歳代の独身女性をイメージして考えることにする。
とはいえ、いつも分譲マンションのことばかり考えているので、これは分譲にも生かせそうな商品企画を紹介する。馬鹿なことを書いて〝大人女子〟に嫌われたくない。
間違いなく分譲にも生かせそうなのが「癒しのバスルーム」「柔らかく区切られた寝室」「充実した洗面室」「いつでも勉強できるカウンター」などだ。狭い空間をよく生かしている。
モデルルームは1LDK/28.54㎡と1DK/25.12㎡で、やや狭いのではないかと思ったが、坪1万円以上もするのだから贅沢は言えないのだろう。分譲で坪単価400万円を超えたら販売は苦労するはずだ。同社も分譲のリスクを考えて賃貸にしたのだと思う。
「GINGER」は生姜焼きしか思い浮かばないが、丸の内北口ビルではパクチーの店が〝大人女子〟に大流行りだ。しかも、記者などはいくら無料とはいえトッピングなどはしたないことはしないが、彼女たちは山盛りにして食べている。よほど刺激に飢えているのか、たくましいのか、空恐ろしくなる。
マルチシューズインクローク(左)と多機能浴室
ワゴン付きキッチン(左)とパウダールーム
可動本棚付きカウンターキッチン
地主の意向を反映 古民家の緑を残す 月内完売したコスモスイニシア「松陰神社前」(2017/8/8)
〝グラン〟に負けない商品企画 三菱地所レジ他「ザ・パークハウス 恵比寿南」
「ザ・パークハウス 恵比寿南」完成予想図
三菱地所レジデンス(事業比率50%)、NTT都市開発(同25%)、東急不動産(同25%)3社JVマンション「ザ・パークハウス 恵比寿南」を見学した。恵比寿駅から徒歩7分(スカイウォーク出口から徒歩2分)の全56戸で、坪単価は600万円台の半ば。〝ザ・パークハウス グラン〟に負けない〝パーク・マンション〟にどこか似ている商品企画がよく、設計変更などについてお客さんと話し合う50畳大の接遇スペースがよく考慮されている好物件だ。
物件は、R山手線・埼京線・湘南新宿ライン恵比寿駅から徒歩7分(恵比寿スカイウォーク経由)、渋谷区恵比寿南2丁目に位置する9階建て全56戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は60.55~155.12㎡、坪単価は600万円台の半ば。完成予定は2019年7月中旬。施工は西松建設。デザイン監修は「ザ・パークハウス グラン 南青山」を担当したアーキサイトメヴウス・今井敦氏。
これまで約500件の来場者を集め38戸まで契約のメドが立っており、販売は順調に進んでいる。
現地は、「恵比寿ガーデンヒルズ」から徒歩2分。恵比寿駅圏の高台で住居系エリアとしては隣接する三井不動産レジデンシャルの「パーク・コート恵比寿」以来の17~18年ぶりの物件という。
住戸プランはワイドスパンの70㎡台、80㎡台、85㎡台、105㎡台が中心。南向き、東向き、西向きがそれぞれ3分の1くらいか。エントランスラウンジに飾られる浅見貴子氏の和紙に描かれた水墨画アートがまたいい。
98㎡のモデルルームはヤマモモの突板リビングドア、ヒッコリーの挽板フローリング、リビング天井高2500ミリ、メーターモジュールの廊下幅など。オプションにトラバーチンの壁を用意している。
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今井氏がデザイン監修したマンションは数十物件は見てきているが、今回の物件は代表作の一つになるはずだ。隣接する三井の物件のように主張はしていないが、イタリア大理石のトラバーチンをふんだんに使い、外壁に市松模様など凝ったタイルを採用することでシンプルながら存在感のあるデザインに仕上げている。
内装にも今井氏は関わっており、モデルルームは全体として白が基調のカラーリングで、ドアノブを壁面まで後退させ、把っ手に黒を採用してコントラストの美しさを演出している。
そして何よりヤマモモの突板リビングドアが美しい。床はヒッコリーの幅広の挽板。トイレも通常よりゆったり取っている。
全体としてこれまでの〝ザ・パークハウス〟とはやや趣が異なるマンションだ。これもまた、同社が最近供給してきた都心型マンションの顧客の声を生かしているのだと思った。
最近の三井不動産の〝パーク・マンション〟は見ていないので何とも言えないが、デザインはそれを彷彿させた。〝グラン〟にも負けないレベルだと思う。
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感心したのは接客スペースだ。個室と様々なカラーセレクト、設計変更などに使用する建具・家具スペースと合わせ50畳大くらいはある。普通はほ本程度しか見られないが、ここはゆったりと座り、出来上がったときのイメージが湧くようにセットされている。
これは、単に今回の物件だけでなく今後、三菱地所レジデンスが分譲する都心部の高級マンションの商品企画にも反映させようという狙いがありそうだ。同社は近く青山にも常設の販売事務所・モデルルームを設けるとかで、赤坂とこの広尾の3カ所体制で高額マンションを販売するのだろう。
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販売を担当する同社第二販売部 都心コアユニット販売第三グループ長・坂田和生氏にはどこかで会ったような気がしたが、10年前に書いた丸紅の素晴らしいマンション「グランスイート六番町」の販売事務所でお会いしている。
以来、坂田氏は三菱地所レジデンスの「千鳥ヶ淵」「一番町」「三番町」「五番町」「西新宿」「恵比寿」など都心の高額物件ばかりを担当している。都心の市場を知悉している、なんともうらやましい人だ。
個人的なことは書かないという約束なので残念ながら書けないが、地所の高額担当として欠かせない人だと思う。
坪単価についても一言。商品企画はすばらしいが、立地・環境は恵比寿の一等地や代官山、広尾などには負ける。坂田氏も話したように富裕層が殺到するエリアではないのは確かだ。坪700万円の高値挑戦もあるかと思ったが、現状ではちょっと無理かもしれない。早期完売を狙うには丁度いい値付けではないか。