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「プラウド虎ノ門」完成予想図

 野村不動産の「プラウド虎ノ門」を見学した。昭和48年竣工のマンションを建て替えるもので、再開発プロジェクトが目白押しの全国区の「虎ノ門」アドレスに加え、分譲マンションの供給は少ないことから自己居住・セカンドハウス用、投資対象として人気になっている。7月に分譲した第1期19が完売、残りの5戸が9月に分譲される。

 物件は、東京メトロ日比谷線神谷町駅から徒歩2分、港区虎ノ門四丁目に位置する19階建て全62戸(地権者住戸38戸含む)で分譲対象は24戸。第2期の専有面積は68.39~99.08㎡、予定価格は14,000万円台~24,000万円台(最多価格帯14,000万円台)。坪単価は780万円。竣工予定は2019年10月中旬。施工は前田建設。

 現地は「港区虎ノ門」アドレス。森トラストが開発中の敷地面積約16,000㎡、38階建てオフィス・ホテル・サービスアパートメント・レジデンス・商業・医療施設などの複合再開発「東京ワールドゲート」に隣接。

 このほか、虎ノ門エリアには気象庁虎ノ門庁舎(仮称)港区立教育センター整備事業、ホテルオークラ東京本館建て替え、(仮称)虎ノ門ヒルズステーションタワー、(仮称)虎ノ門ヒルズビジネスタワー、(仮称)虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー、東京メトロ日比谷線虎ノ門新駅、虎ノ門駅前地区市街地再開発、虎ノ門二丁目地区市街地再開発など10カ所の再開発プロジェクトが進行中で、その規模は約290万㎡にも及び、国家戦略特区の「国際ビジネス拠点」として位置づけられている。

 建物は免震・スケルトンインフィル構造の1フロア3~4戸構成。94㎡のモデルルームはオーダーメイド仕様で、玄関ホール、リビングダイニング、キッチンの床はイラン産のバニラグレーの大理石貼り、下足入れのつまみはスワロフスキー、ドア把っ手はイタリアコロンボ社、その他設備機器は高断熱ウレタン浴槽、ハンス・グローエ社、ミーレ社、ズケッティ社、ピレロイ&ボッホ社など。建具・ドアは框デザインの木製鏡面仕上げ。リビング天井高は2530ミリ。

 販売担当の同社・柴田慎介氏は「50~60歳代を中心に全国から問い合わせがあり、来場者は230件。用途は自己居住が約4割、セカンドハウス用が約4割、残りの2割が投資用。グレーの建具、ホテルライクな設備仕様に対する評価が高い」と話した。

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ジオラマ(青の部分が現地、白の部分が再開発プロジェクト)

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建築中の現地

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 同社の最近の都心部の高額マンションでは、一昨年見学した「プラウド六本木」の仕様レベルの高さに驚いたが、今回の物件もレベルは「六本木」に近い。だからこそ全国的な人気を集めたのだろう。坪単価はほぼ予想した通り。今後の富裕層向けの指標になるマンションだ。

 框デザインを施した鏡面仕上げのグレーの建具・家具を含めたカラーリングがとてもいい。イタリア・ズケッティ社の水栓がまた美しい。

 ただ、ドアは建付けが悪いのか、閉めると「パタン」と音がした。イタリア製なら「カチッ」と閉まる。唯一、これだけが残念だった。一脚100万円(4脚で400万円)の椅子にも座ったが、座り心地は普通の椅子と変わらなかった。

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一脚100万円のイタリア製椅子

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鏡面仕上げのリビング親子ドア

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イタリア・ズケッティ社の洗面水栓 

野村不動産の最高峰マンション 「プラウド六本木」最高のモデルルームの出来(2016/7/19)

愛宕山を眼下に見下ろす三井「パークコート虎ノ門 愛宕タワー」(2007/3/15)

三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス愛宕虎ノ門」普通借地権付きで坪350万円は安い(2011/5/10)

最近の流行に対するアンチテーゼ鹿島「虎ノ門タワーズレジデンス」(2005/11/28)

 

カテゴリ: 2018年度

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「ザ・パークハウス 文京千石一丁目」

 三菱地所レジデンスは8月7日、業界初の全住戸の玄関前に宅配ボックスを設置した「ザ・パークハウス 文京千石一丁目」のメディア向けモデルルーム内覧会を行った。一般公開は8月17日(金)からで、販売開始は9月中旬を予定している。また、同物件は、住宅設備機器の故障、不具合などにワンストップで対応する新サービス「レジデンスケア」の導入第一号となると発表した。

 物件は、都営三田線千石駅から徒歩3分、文京区千石1丁目に位置する10階建て53戸(事業協力者住戸7戸含む)。専有面積は39.35~82.24㎡、価格は未定だが、坪単価は300万円台の後半を予定(56~58㎡が中心)。施工は埼玉建興。竣工予定は2019年8月上旬。

 「各住戸玄関前宅配ボックス」を全戸に設置するのが特徴。宅配業者がICカードを利用することで、各住戸の玄関前に設置された宅配ボックスまで直接荷物を配達することが可能。

 宅配ボックスの寸法は幅約50cm×奥行き約60cm×高さ約150cm。飲料水の段ボール、精米、ゴルフバッグなど大型も受付可能。サービス対応会社はSAGAWA、ヤマト運輸、日本郵便の3社。

 同社担当者は採用の経緯などについて、「一般的な共用部分の宅配ボックスの全住戸に対する設置率は15%くらい。しかも、いつも満杯だったり、重い飲料水などを自宅まで運ぶのが大変だったりするなどの声も多く、再配達の削減と利便性の向上が同時に実現する」と説明した。

 「レジデンスケア」は、分譲住宅購入時に申し込むことで、引き渡しから10年間、住まいに関する様々なトラブルや不安を有償でサポートするサービス。   

 住宅設備機器はアフターサービス期間終了後も10年間は修理・部品交換、出張費用は無料となる。保証期間は売却時の次のオーナーにも残存期間が継承できる。また、専有部の不具合にも緊急対応や出張修繕を行う。スタッフ1名・作業時間30分以内で行う一次対応は無料で、それを超える二次対応も上限5万円まで何度でも利用できる。

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宅配ボックス(イメージ)

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 知らない、関心がないということはとても幸せで、なおかつ恐ろしいことで、「知る」こととはどういうことかを考えさせられた取材だった。

 まず、宅配ボックス。宅配便の再配達問題が社会問題にまで発展したのは報道などで承知しており、大京がいち早く採用した〝再配達ゼロ〟の宅配ボックス発表会も、ポラスが自動録画機能付き宅配ボックスを設置した戸建ての見学会も取材しているが、その報道陣の多さに驚いた。通常のマンションや戸建ての見学会の倍くらいでなかったか。この日の内覧会にも取材陣でごった返した(会場が狭いせいもあるが)。

 これは相当の有意(記者は販促という意味で用いるが)なことのようだ。同社が今後どれくらいの物件に採用するかは未定だそうだが、どんどん採用してほしい。10キロくらいある飲料水を共用部分の宅配ボックスから自宅まで運ぶのが大変という声があるのを初めて知った。そういえば、記者も玄関まで運んでもらった大瓶のビールケース(25キロ)を台所まで運ぶのに難儀したことを思い出した。しかし、宅配ボックスの扱い方は未だに知らない。

 「レジデンスケア」は、多くはなさそうだがいくつかのデベロッパーはすでにサービスを実施している。不動産流通会社も1年間くらいの保証をしていることを知り、びっくりした。中古住宅は〝現況有姿〟が基本で、住宅設備機器がメーカー保証期間を過ぎていようがいまいが、売主側にはまったく責任がない。築10年以上の中古でも保証する流通会社はどのような仕組みを構築しているのか。

 ここまでは、記者のよく知らないことだから無責任な記事であることを承知していただきたい。

 問題はこれから。マンションの取材を40年間続けてきた。多少は市場を「知っている」つもりだ。

 内覧会場で、わが同郷の高校の後輩女性記者と出くわした。よせばいいのに、先輩風を吹かせて、「この種の見学会でマンションの坪単価くらい予想できなきゃだめだ」と啖呵を切り、「この前の三井不動産レジデンシャルの『月島』はどんぴしゃりだった。今回は坪415万円だ」と大きな声でまくしたてたまではよかった。

 当然、当たると思ったからだ。頭の中には410万円で人気になった伊藤忠都市開発「文京関口」と、前日(6日)に書いた坪405万円で好調だった松尾工務店の「茗荷谷」が入っていた。〝地所のことだ、これらより安くするはずはない〟と熟慮などしないで5~10万円を上乗せし、言い放ったのだ。

 ところが、あにはからんや。女性の販売担当者がだしぬけに、聞きもしないのに平然と「坪単価は300万円台の後半」と明かしたではないか。予想は大外れ、自尊心はずたずたに切り裂かれた。無知を恥じるしかなかった。宅配ボックスの穴に遁走したくなるほどだった。

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 その腹いせで書くのではない。モデルルームの設備仕様レベルは確かに坪400万円のそれではなかった。玄関に御影石が採用されており、このほか食洗機、ディスポーザー、ミストサウナなどが標準装備だが、リビング天井高は2450ミリ、キッチン天板は普通のクォーツストーンだった。

 ややポテンシャルに欠ける「千石」ではあるが、坪400万円を超えられないということは、つまり今後、同業他社もよほどの物件でない限り、文京区では坪400万円を上回るのは難しいと判断した。他のエリアにも価格下げ圧力が強まるのではないか。

 日本橋界隈(といってもその外れだが)も一時期、坪400万円を突破し、総崩れとなった。記者には「バカの壁」が立ちはだかるが、いったい「坪400万円の壁」(50㎡で6,000万円、60㎡台で7,500万円)なるものがあるのかないのか。都心の50㎡台の2LDKのニーズは今後も高まるのは間違いない。これは確信を持って言える。

デザイン秀逸 第1期1次43戸が即日完売 伊藤忠都市・東急不「文京関口」(2018/4/7)

ポラスグループ 戸建て初 自動録画機能付き宅配BOX 約180棟に採用(2018/5/18)

〝再配達ゼロ〟宅配ボックス発表会に記者殺到 大京・フルタイムシステムが新商品(2017/4/10)

 

 

 

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「ジェイグランディア日吉」

 JR西日本プロパティーズ(略称:Jプロ、旧菱重プロパティーズ)が今秋に分譲する「ジェイグランディア日吉」が圧倒的な人気を呼びそうだ。日吉駅西口徒歩10分圏内では6年ぶりのマンション供給で、すでに資料請求は1,000件を突破し、事前案内会はお盆明けまで満席、同社は全86戸を一挙に供給する検討に入った模様だ。

 物件は、東急東横線、東急目黒線、市営地下鉄グリーンライン日吉駅から徒歩7分、横浜市港北区日吉二丁目の第一種低層住居専用地域、第一種住居地域に位置する地下1階地上6階建て全86戸。専有面積は45.78~90.68㎡、価格は未定だが、坪単価は300万円台の前半になる模様。設計・監理はIAO竹田設計。施工は風越建設。販売代理は野村不動産アーバンネット。モデルルームの監修には三井デザインテックを起用している。

 現地は、旧三菱重工社宅跡地で、前慶応大学留学生寮跡地の高台。敷地北西側は3~5mくらい低い住宅街。建物は用途地域が2つにまたがる特性を生かし7層と3層の4棟で、統一感を持たせるために基壇・中層・上層の三層構成にしている。緑地率は約11%確保。

 住戸プランは全35タイプ。柱や梁を屋外部分に設置することですっきりした空間を実現。バルコニーにはシンクを設置、床は木調シート貼りで、上裏も木調塗装を施す。北西向きのD棟はワイドスパン、スクエアプランを多用、南側の車や人通りが少ない道路に面したA・C棟の1階は専用庭・テラス付きとしている。

 設備仕様は、食洗機、ディスポーザー、フィオレストーン天板、グローエ水栓、ソフトクローズ収納、リビング天井高は2450ミリ(一部除く)。サッシ高は2200ミリ。敷地東側は線路に近いことから、サッシは遮音性の高いものを採用している。

 販売を担当する野村不動産アーバンネット担当者は、「資料請求は1,000件を突破。モデルルームを見学されて、設備仕様を評価される方が多い。」と話している。

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 このマンションについて、同社関係者から6月の段階で「ぜひ見てほしい」と言われていた。レベルが低かったらどうしようと考えていたのだが、杞憂に終わってよかった。相当力が入っていることが現地・モデルルームを見てわかった。

 現地の敷地東側は東急線に近いが、遮音性の高いサッシが採用されている。敷地南側は小公園と小高い森で、敷地北西側は低層の住宅街。

 それぞれ住棟のプランにも工夫が凝らされており、販売担当者が「どの住棟にするかお客さまも迷われている」というのもよくわかる。

 果たして全戸一挙供給ができるかどうかだが、事前内覧会は5回とも全て満席。キャンセル待ちが50件を越えるとか。話題を呼ぶ意味でもぜひ全戸一挙供給にチャレンジしてほしいが…。

 このところ、電鉄会社(系)のマンション攻勢が目立つが、西鉄に続きJR西日本も首都圏での地歩を築く狙いだろう。大手を脅かす存在になるか。今後、続々供給するそうだ。

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「シェフルール文京茗荷谷」

 松尾工務店の「シェフルール文京茗荷谷」が好調な売れ行きを見せている。7月末に分譲開始し、これまでに全46戸のうち約30戸に申し込みが入った。

 物件は、東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅から徒歩3分、文京区大塚三丁目に位置する14階建て全65戸(うち事業協力者住戸19戸)。9月上旬に分譲予定の第2期(戸数未定)の専有面積は35.17~60.06㎡、予定価格は3,560万~7,770万円㎡。坪単価は405万円。竣工予定は2019年3月上旬。土地売主は松尾工務店。建物売主はマツオプロパティー。設計・監理は飛鳥設計。施工は松尾工務店。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 現地は春日通に面しており、目の前にお茶の水女子大、すぐそばに教育の森公園と筑波大キャンパスがある。

 建物は、南西向き3戸、北東向き2戸の1フロア5戸(うち4戸が角住戸)構成の内廊下方式。二重床・二重天井、リビング天井高は2~6階が2600ミリ、7~14階が2550ミリ。耐震等級は2。ディスポーザー、食洗機、キッチン天板はフィオレストーン、収納はソフトクローズ機能付き。

 販売を担当する伊藤忠ハウジング担当者は「極めて好調。価格が安すぎたかもしれない」と相好を崩した。

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 坪単価を聞いたとき、確かに〝安い〟と感じたが、一方で〝高値追いしなかったのは正解〟とも感じた。

 グロスを抑えるため35㎡、40㎡、55㎡、60㎡、68㎡に面積を圧縮したのも人気を呼んだ要因だろう。

「まだ間に合う」 借景が見事な野村不動産「プラウド小石川」(2012/5/25)

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 インテリックスは7月31日、今年6月末にリノベーションマンション販売累計戸数2万戸を達成したと発表した。2006年から13年連続で1,000戸を超えた。

リフォーム産業新聞社による「買取再販年間販売戸数ランキング ベスト100」では3位にランクインしたという。

 

 

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「ライオンズ芦屋グランフォート」完成予想図

 国土交通省の「平成29年度(第1回)サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に選定された大京の「ライオンズ芦屋グランフォート」を見学した。1次エネルギー消費量を75%以上削減したわが国初の「NearlyZEH-M(ニアリーゼッチマンション)」で、電気・ガス・水道などのライフラインが途絶しても7日間以上生活でき、生物多様性に配慮するとともに自然のエネルギーを専有部に巧みに取り込むパッシブデザインを採用しているのが特徴で、CASBEE-建築(新築)最高位Sランクの評価も得ている。

 物件は、阪急神戸線芦屋川駅から徒歩17分、JR芦屋駅から徒歩19分、芦屋市朝日ケ丘町に位置する地下1階、地上5階建て全79戸。専有面積は67.96~87.27㎡、現在分譲中の住戸(5戸)の価格は4,460万~5,930万円。坪単価は225万円。設計は浅井謙建築研究所。施工は佐藤工業。竣工予定は2019年5月31日。

 「NearlyZEH-M(Nearly Zero Energy Mansion)」は、経済産業省の「集合住宅におけるZEHロードマップ検討委員会」が策定した省エネと創エネにより基準1次エネルギー消費量を75%以上削減した集合住宅のことで、今回の物件では断熱・省エネ性能を高め、アルゴンガス入りLow-E複層ガラスの高性能アルミ樹脂複合サッシと次世代燃料電池(エネファーム)を導入するなどして全戸平均32%の省エネと、太陽光発電により全戸平均48%の創エネも実現。これらの省エネ+創エネにより1次エネルギー消費量を約80%削減している。

 また、同社は2017年のグッドデザイン賞を受賞した「SONA-L SYSTEM」を採用し、災害時に「電気」「水」「ガス」全てのライフラインが途絶しても7日間以上電力を供給し、生活を持続することが可能とするとともに、平常時の共用部の電力使用や、井戸水の植栽自動灌水システム・共用部散水に利用する。

 生物多様性・パッシブデザインについては、敷地内緑地率を20%確保し、樹種は在来種を100%使用するとともに、六甲山地に生息する野鳥やチョウの飛来を想定した「実のなる植物」を植樹、「バードバス」「エコスタック」「巣箱」を設置し、再生材を使用した木チップや瓦チップの歩道、透水性インターロッキング舗装、風の流れを効果的に取り入れる独自のパッシブデザインを全戸に採用している。また、宅配物の再配達ゼロを目指し、世帯カバー率120%を実現した住戸専用宅配ボックス「ライオンズマイボックス」を導入している。

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モデルルーム エントランス

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 ZEHマンションについては今年1月、積水ハウスが分譲中の名古屋市の「グランドメゾン覚王山菊坂町」を見学しているが、このマンションもコンセプトは最高にいい。

 一次エネルギーを約80%削減できるのもさることながら、万が一の災害時でも、飲料水は確保しなければならないが、7日以上生活できるという。このようなマンションはまずほかにないはずだ。パッシブデザインもまた同社がこれまで力を入れてきたものだ。

 ただ一つ気になったのがアクセスだ。「芦屋」というだけで庶民のあこがれの的かもしれないが、記者の貧乏人の妬みひがみかもしれないが、個人的な見解ではお金持ちしか住めない特殊なエリアに思えてならない。

 坂だ。現地の標高は50~60mくらいだろう。芦屋駅との比高差も40~50mはある。徒歩の表示は17分だが、坂を上ったり下りたりするだけで記者のような年寄りは疲れ切ってしまう。電動付き自転車でないと移動は無理だ。この坂をどう評価するか。

 同じ日に、「芦屋」の坂の入口・出口に位置する東急不動産の駅から10分の「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」を見学したが、坪単価は関西圏過去最高の610万円だった。大京のマンションは徒歩にして7分の差なのに、単価は約3分の1だ。もちろん設備仕様、ターゲットは異なるが、これは何を物語るのか。考えてしまった。

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建築現場 

首都圏の億ションに負けない 関西最高峰の坪610万円 東急不「芦屋」(2018/7/23)

積水ハウス わが国初全戸ZEH対応「グランドメゾン覚王山菊坂町」(2018/1/10)

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「Re Dran(リグラン)」モデルルーム

 三菱地所ホームがマンション・一戸建てのリフォームに攻勢をかける。7月26日、住宅リフォームに関する多様なニーズに応える「赤坂リフォームギャラリー」をオープンするとともに戸建ての定額制メニューを採用した「Re Dia HOUSE(リディアハウス)」を発売開始すると発表した。

 「赤坂リフォームギャラリー」は、定額制リフォームメニュー「Re Dia(リディア)」と24時間空調システム「エアロテック」を搭載した最上級の「Re Dran(リグラン)」の2つのマンションモデルルームを設置。「Re Dia HOUSE(リディアハウス)」は、内外装、インテリアなどを含めた延べ床面積に応じた定額制を提案しているのが特徴。
 発表会に臨んだ同社社長・加藤博文氏は「当社は来年、創業35周年を迎える。水や空気もただの時代に24時間空調システム『エアロテック』を業界に先駆け主力商品とし販売してきた、その甲斐があった。他社の商品も含めニーズの高まりを感じる。今回のギャラリー開設によって、当社の本拠地である赤坂に来ていただければ新築からリフォーム、インテリアに至るまで全てを見ていただくことができる」と話した。

 今回のリフォームギャラリーの開設により、既設のリフォームラボ赤坂、赤坂ハウジングギャラリー、オーダーグラン赤坂、インテリアサロンなど新築・リフォーム・インテリアに関する市よ―ルームが赤坂に結集することになる。リフォーム事業は、先に発足した「三菱地所のレジデンスクラブラウンジ」と連携し、現在の売上高約50億円を2020年度までに100億円に伸ばす意向。

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「Re Dia(リディア)」モデルルーム

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加藤社長

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 ここ数年の同社の新築、リフォーム拡大にかける意気込みの大きさがひしひしと伝わってくるギャラリーだ。

 2つのモデルルームのうちひとつの「Re Dran(リグラン)」は約110㎡。「エアロテック」も含め内装・インテリアに約5,300万円を掛けたという意欲作であるのが一目見てわかる。

 場所にもよるが、都心・準都心の新築も中古も30坪のマンションは1億円をはるかに突破する。その2分の1か3分の1を追加すればこの空間が実現できるというのは魅力だ。「エアロテック」は大きな武器になる。

 もう一つの「Re Dia(リディア)」は、70㎡の定額制498万円からスケルトンインフィルの850万円などメニューに応じて出来栄えが体感できるのが特徴だが、ここも内装・インテリアに約2,300万円かけたというから、キッチンカウンターなどは三菱地所レジデンスの高額マンションに引けをとらないレベルの高さだ。

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玄関(左)とエアロテック吹き出し口

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 同社は詳細を明らかにしなかったが、今秋にはマンション用エアロテックの新商品を発売すると話した。容量とともに価格を引き下げ、拡大を図るようだ。

 既存マンションにエアロテックを搭載するには二重床にする必要があり、断熱性能を高めるにはサッシ・玄関ドアの変更も欠かせないが、ほとんどの管理組合はこれらの共用部分の変更は認めていないのが現状だ。標準管理規約の変更も考えていいのではないか。

効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)

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「ソライエ流山おおたかの森」(ホームページから)

 先月(7月14日)、スターツの流山おおたかの森駅前のスターツの「クオン流山おおたかの森」全162戸がわずか半年で完売したことを紹介したが、同じ駅圏の東武鉄道(事業比率60%)・清水総合開発(同40%)「ソライエ流山おおたかの森」も大健闘している。モデルルームのオープンは、「クオン」とほぼ同じ昨年9月で、これまで全352戸のうち半分以上の185戸が供給済みだ。

 物件は、東武アーバンパークライン・つくばエクスプレス流山おおたかの森駅から徒歩4分、流山市流山都市計画事業新市街地地区一体型特定土地区画整理事業区域内に位置する10階建て全352戸。専有面積は60.41~90.07㎡、7月下旬分譲予定の第2期の予定価格は2,900万円台~4,400万円台(最多価格帯4,200万円台)。坪単価は190万円。竣工予定は2019年6月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト、東武不動産。

 販売担当の長谷工アーベスト東京支社受託販売部門販売五部販売部長・黒須祐亮氏は「販売開始は『クオン』と同じころ。販促に『MADE OF MOTHER』と謡ったように、全国の女性5,000人の声を共用部分に反映させたのが特徴。広域からも集客できており、『クオン』と競合したという側面より相乗効果のほうが大きい。90㎡台の40戸がすべて完売した。千葉県内の郊外型ではもっとも売れているマンションではないか」と話している。

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 記者が「クオン」を取材したのは昨年11月。ほぼ同じ場所に「ソライエ」の販売事務所があったのだが、〝クオンが210万円で分譲するのでは、他の物件は影響を受けるだろう〟としか考えず、見学する気にもならなかった。

 沿線には隣駅の「流山セントラルパーク」では三井不動産レジデンシャルの、「三郷中央」では名鉄不動産や大成有楽不動産の、「八潮」では住友不動産のそれぞれ大規模マンションが分譲中で、またさらに先の「柏たなか」でもフージャースコーポレーションや東レ建設のマンションが分譲されていた。大激戦の沿線だ。

 しかし、その「クオン」がまさか半年で完売するとは予想しなかったし、「ソライエ」がこれほど売れているともとても想像できなかった。

 そして何より今回、記者を引きつけ、見学する気にさせたのは、電車の車内吊り広告だった。それは、「おおたかジェンヌ」の文字がピンク色でかわいらしくあしらわれたもので、次のような文言・コピーだった。

 「5,000人の声を集めた女性の街で輝く。おおたかジェンヌ。『流山おおたかの森』を愛するすべての女性に贈りたい。〝わたし〟が輝く全352邸誕生」と。

 そこで早速、取材見学を申し込んだのだが、もう一つ見学する理由があった。それは、野村不動産と長谷工コーポレーションが女性の視点で暮らしを楽しくする商品企画「OSEKKAI(おせっかい)」プロジェクトを共同で開始し、第一弾として「プラウドシティ東雲キャナルマークス」へ導入すると発表したリリースに興味がひかれ、それとどう違うのかを確認したかったからだ。女性の声をマンションの商品企画に取り込むのは永遠の課題でもある。

 「ソライエ」の販売スピードが速いことから判断して、「5,000人の女性の声」は大きな効果があったと受け止めることができる。モデルルームの出来もいい。

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 これは、「OSEKKAI(おせっかい)」プロジェクトにも、そして全てのデベロッパーにも言えることだが、「女性の声」が強調されればされるほど、記者などは滅入ってしまう。いかに女性が政治的に経済的に社会的に冷遇され、家庭においても様々な犠牲を強いられているかはよくわかる。あろうことか、大学入でも女性に不利な採点操作が行われている現実を突きつけられると、もう絶望の淵に叩き落とされたような気分にさせられ、国が発した「女性活躍」なるフレーズは詐術そのものであることを世間にさらけ出したことを当事者は自覚したのか、肝心の女性に不評だったためか、いつの間にやら「一億総活躍」に〝模様替え〟されたようだ。

 だが、しかし、国の狙いはともかく、本来、女性も男性も大人も子どもも健常者も障がい者も区別なく住みやすいユニバーサルデザインの社会・住宅づくりを進める役割を担っているはずだ。

 もうそろそろ、「女性の声」を超越・凌駕する、天と地をひっくり返す、世の閉塞感を一掃する斬新なアイデアを発信していいのではないか。最近のマンションは面積圧縮だけでなく基本性能、設備仕様でも退行する一方に見えてならない。

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モデルルーム

スターツ「クオン流山おおたかの森」 わずか半年で完売 歩留まりは驚異の30%(2018/7/14)

野村不・長谷工 女性による商品企画「OSEKKAI(おせっかい)」 記者も〝おせっかい〟(2018/6/29)

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「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」完成予想図

 東急不動産は7月23日、兵庫県芦屋市で建設を進めている関西圏最高坪単価となる610万円のマンション「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」の記者内覧会を行い、モデルルームを7月28日(土)からオーブンすると発表した。

 物件は、JR芦屋駅から徒歩10分、芦屋市親王塚町に位置する敷地面積約1,936㎡、地上3階地下1階建て全15戸。専有面積は126.14~200.41㎡、会員優先の第一期(3戸)を除く第2期の予定価格は1億9,000万円台~3.7億円台、坪単価は610万円。竣工予定は2019年6月中旬。設計・監理はIAO竹田設計。施工は森組。

 共用部の設計監修は坂倉建築設計、ランドスケープデザインは庄島設計室、ロビーなどのガラスオブジェは陶額堂、バルコニーのアルミ鋳物は傳來工房、ロートアイアン照明はトランスファー、照明計画は大光電機-などを起用している。

 現地は、芦屋駅からフラットアプローチの宮川に面した2方道路の角地。敷地はハウスメーカーのモデルハウス跡地。高さ規制12mのエリアの一角。

 建物は地下1階地上3階建て。内廊下方式、平均専有面積約150㎡、全戸億ション、最高約3mの天井高、住戸直結の専用エレベーター付き(一部)、全熱交換型24時間換気システムの採用などが特徴。

 同社関係者は「(芦屋の)山の手から降りてくる富裕層だけでなく、中広域からも集客できる」と、販売に自信を見せていた。すでに会員優先として4戸の成約が見込まれている。

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車寄せ

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ロビー

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 各地で記録的な猛暑を記録したこの日(23日)は、先に亡くなった大京の創業者・横山修二氏のお別れ会を最優先することを決めていたのだが、同業記者の「見るべし」という情報提供に心が揺さぶられ、急きょ変更した。片道4時間半も掛けて取材した甲斐があった。関西圏の最高坪単価マンションを見学することができた。同業記者に感謝するほかない。

 正直に言えば、半信半疑だった。億ションなら100件はこれまで取材している。果たしてわざわざ芦屋まで出かける価値があるのかと判断に迷ったが、同じ芦屋駅圏には大京のZEHマンション「ライオンズ芦屋グランフォート」があるので、両方見るなら〝損はない〟と決断した。

 それでも、同社の関西住宅事業本部開発部 統括部長・澤浩正氏の挨拶や同本部 販売部チーフ・田中悟氏の説明を聞いた段階では〝大したことないのでは〟と高を括っていた。

 ところが、モデルルーム見学の際に、担当者が「坪単価は610万円」と話したのにはわが耳を疑った。先の同業記者からは「坪500万円」と聞いていたからだ(別の同駅圏マンション担当者も坪500万円くらいと聞かされていたようだ)。

 バブル崩壊後、これほどの高単価マンションは関西圏では供給されたことがないはずで、その点を同社担当者に確かめたところ「当社の調べでは関西圏の最高単価マンションで、全住戸が1億円以上も初ではないか」ということだった。

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模型

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リビング(写真では分かりづらいが、手前と奥はシンメトリーになっている)

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コーナーサッシのデザイン

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主寝室(ベッドヘッドは本皮張り、床はホワイトハウスでも採用されているカーペット)

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 約163㎡の1LDKのモデルルームタイプは、約4,000万円をかけたフルオプション仕様だったが、見た途端、間違いなく首都圏の億ションと比較しても見劣りしないと判断した。澤氏や田中氏も強調したが、住宅の質は基本的には広さであり豊かさだ。このマンションはそれを具現化している。

 天井高3mもそうだが、玄関・ホールがいい。幅約1750ミリ×奥行き約6300ミリ=約11㎡(3.3坪)もある。玄関・ホールにこれほどの広さを割く億ションはそうないはずだ。

 主寝室のベッドヘッドの布団張り仕上げには本皮が採用されていた。床はホワイトハウスにも採用されているカーペットだそうだ。住戸内-バルコニーはフルフラット、ドア把手は真鍮製、巾木も含め床は天然石のホール…。

 もう一つ、このマンションが優れているのはファサードデザインだ。フランク・ライド・ロイドやル・コルビュジェの設計思想が確かに盛り込まれていると思わせる。記者はバルコニーのアルミ鋳物を担当した傳來工房のデザインに見惚れた。

 関西圏のマンションはよく知らないが、首都圏に負けない富裕層向けのレベルの高いマンション分譲に期待したい。(しかし、疲れた。この記事を書くのに通常の2倍かかった。それでもまだよくまとまっていない)

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現地の傍を流れる宮川

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現地(左)と宮川

 

カテゴリ: 2018年度

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「HITO-TUBO 〈ヒトツボ〉」の一例「プライベート ブティック」

 伊藤忠都市開発は7月20日、部屋の広さに応じて購入者にポイントを付与し、そのポイントを利用して部屋を無償でカスタマイズすることができるセレクトシステム「Life Arrangement(ライフアレンジメント)」を開発し、8種類のプランが選べるメニュー「HITO-TUBO 〈ヒトツボ〉」を現在販売中のマンション「クレヴィア池袋West」(総戸数64 戸)に導入したと発表した。

 消費志向が〝モノ〟の所有から〝コト〟(体験)に変化していることに着目し、アンケート調査の結果、約9割の人が〝住まいでやってみたいことがあるのに実現するスペースがない〟という不満を感じていることが分かったため企画・開発した。

 「プライベートブティック」「プライベートバー」「アトリエ」「ロフト」など8種類の広さ約1坪の「HITO-TUBO 〈ヒトツボ〉」プランがポイントに応じて選べる。

 物件は、JR池袋駅から徒歩5分の全64 戸。販売戸数(5戸)の専有面積は27.75~55.14㎡、価格は3,590 万~6,590 万円。

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