AIアバターの能力は高いが宅建士との差は歴然 「東急リバブル・銀座サロン」見学

「東急リバブル・銀座サロン」
東急リバブルは6月1日、先にオープンした新築マンション・戸建ての販売拠点「東急リバブル・銀座サロン」をメディアに公開した。デジタル技術を活用した原寸大の室内空間の再現や3D建物模型、間取りプランのVR化などにより、一つの拠点で継続的に複数物件のリアルな体感を提供でき、販売事務所・モデルルームの設置に伴う経費を大幅に削減できるのが特徴。
「銀座サロン」は、東京メトロ銀座一丁目駅から徒歩2分、京橋駅から徒歩5分、銀座駅から徒歩5分、JR有楽町駅から徒歩7分、中央区銀座1丁目8-19に位置するキラリトギンザ8Fの135坪。営業時間は10:00~18:00(予約制)。定休日は水・木・第3火曜日(祝祭日除く)。
今後、同社の分譲マンション「L’GENTE」シリーズ「ルジェンテ駒込六義園リビオレゾン」(51戸)をはじめ、販売受託物件の紹介やイベント、WEBセミナーなどを行っていく。
特徴の一つである「バーチャルシアター」は、3方向の壁面と床に投影されたVR内覧システム「ROOV」による3DCGの室内空間で、各階・各住戸からの眺望を投影でき、入居後のイメージがリアルに体感できる。
AIアバターはウェルヴィルと共同開発したもので、顧客の受け付け、物件説明を行う。物件説明は同社の新規物件「ルジェンテ池袋立教通り」から採用する。
このほか、VR&物件検索スペースでは、顧客が操作して室内空間を体感でき、同社が販売する物件情報をタッチ式モニターで閲覧できる。

受け付け

VR&物件検索スペース
「バーチャルシアター」
◇ ◆ ◇
AIアバターの能力について。4月4日付で書いた記者の記事を参照していただきたい。AIは利発そうな若い女性で、目つきはやや険しく口元もぎこちなく、さげすまされているのではないかという印象を受けたので、記者は好きになれなかったのだが、質問などの言葉は完全に理解し、瞬時に文書に変換できる。物件説明もよどみがない。かなり能力は高い。割り算や掛け算、円周率の小数点以下や素数など数学や科学に関することはすらすらと答えられるのではないか。日本語だけでなくあらゆる国の言葉も理解できるかもしれない。
しかし、宅建士にははるかに及ばないと断言できる。記者は坪単価について質問したが〝お答えできません〟と返ってきた。天井高が高いのか低いのか、浴室のタオル掛けが1本なのか2本なのかなども答えられないと見た。同社の宅建士がAIアバターに職を奪われるようなことは少なくとも現状ではない。学習能力もないのは致命傷だ。
全フロア・全住戸からの眺望が体感できる「バーチャルシアター」はいい。ここまでやれるのは同社だけかもしれない。技術的には問題なくできるはずだが、コストはかかる。
課題もある。AIやVR、ARをいくら駆使してもリアルにはかなわない。どれだけリアルに近づけられるか。例えば、シート張りの建具・家具と木や石などの本物のそれとの違いを具体的に説明でき、納得させることができるかだ。
もう一つ。同社に販売を委託するデベロッパーにとっては販売事務所・モデルルーム設営の経費・運営費が大幅に削減できるメリットは大きいのは確かだが、記者は同社の「L’GENTE」は結構見学してきた。完成在庫などはほとんどないはずだ。いっそのこと全て竣工販売に切り替えたらどうか。AIもVRも必要ないのではないか。近く分譲開始する坪単価500万円前後の「ルジェンテ駒込六義園リビオレゾン」はすでに予約が50件入っているそうだ。

「東急リバブル・銀座サロン」

AIアバター

「14階からはこのような眺望が得られます」(女性はAIアバターではなくリアルの美しくとても機知に富む同社広報担当者)
約300の質問に瞬時に回答AIアバター(♀)開発 東急リバブル+ウェルヴィル(2022/4/4)
「L'and+」企画ヒット 残り僅か〝そうなの!〟 東急リバブル「ルジェンテ日暮里」(2022/2/1)
敷地南側は公園に隣接 大和地所レジ「練馬ぬくいの森」/環境価値の可視化を

「ヴェレーナ練馬ぬくいの森」
大和地所レジデンスが6月中旬に分譲する「ヴェレーナ練馬ぬくいの森」のモデルルームを見学した。西武池袋線富士見台駅から徒歩13分の全61戸で、敷地南側は「ぬくいの森緑地」に隣接。同社初の国土交通省「こどもみらい住宅支援事業」にも認定されている。
物件は、西武池袋線富士見台駅から徒歩13分・同線中村橋駅から徒歩16分、都営大江戸線練馬春日町駅から徒歩18分、練馬区貫井四丁目の準工業地域に位置する5階建て61戸。第1期1次(9戸)の予定価格は4,600万円台〜7,500万円台、専有面積は61.80~86.82㎡。竣工予定は2023年7月中旬。設計・監理はプラスデコ 一級建築士事務所。施工は大洋建設。デザイン監修は小寺源太郎氏。
現地は、環八と目白通りの交差点から一歩入った準工エリア。南側、東側、北側にそれぞれ接道。敷地南側は歩道3mを挟んで3層分くらいある傾斜地の「ぬくいの森緑地」に隣接。敷地東側は5m道路を挟んで一戸建て、西側は低層倉庫など。
主な基本性能・設備仕様は、逆梁ハイサッシ(東向き)、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食洗機、浴室タオル掛け2か所、ミストサウナ、天然御影石・フィオレストーンキッチン天板、メーターモジュール廊下(一部)など。オープンエアリビング&プライベートガーデン付きは12戸。
「こどもみらい住宅支援事業」認定(省エネ性能)を受けていることから、60万円/戸の補助が受けられる。
同社営業マネージャーは、「沿線の大規模物件とは一部競合していますが、当社の物件は設備仕様が高く評価されています」と語った。

◇ ◆ ◇
予定価格について。この前書いたパラダイスリゾート「調布ワンダーランドプロジェクト」と比較していただきたい。調布市と練馬区・富士見台の街のポテンシャルはどちらが高いか。記者は調布市だと思うが、選ぶのはお客さんだ。これ以上書かない。
モデルルームを見た印象(この日は大雨が予想されており、現地は確認していない)では、小寺源太郎氏のデザインもそうだが、何といっても「ぬくいの森緑地」に隣接しているのがいい。この緑地を享受できるのは25戸だが、計り知れない価値がある。
少し長くなるが、練馬区の緑被率と「ぬくいの森緑地」について。同区の緑被地は約1,160ha、緑被率は24.1%で23区内トップ。一方、23区のみどり率は平均19.8%(練馬区は不明)だ。みどり率とは、緑被率に「河川等の水面が占める割合」と「公園内で樹木 等の緑で覆われていない面積の割合」を加えたもので、緑被率より高い数値を示す。都は今後、みどり率を緑化指標にする予定だ(このほか、緑視率という指標もある)。
米国などでは緑の価値を貨幣価値に置き換える手法が普及しているというのに、情けないかな、わが国は緑の価値を分かりやすく伝える指標がない。
同区は平成23年5月、練馬区景観条例を施行した。目的は「区の自然、歴史、文化等の地域特性を反映した景観の形成を図り、もって区民が誇りと愛着を持って住み続けられる、魅力あるまちの実現に寄与すること」となっており、基本理念に「ア 良好な景観は、区の個性であるみどり豊かな自然、歴史、文化および地域の特性に応じたまちなみの調和により形成されなければならない。イ 良好な景観は、現に存する良好な景観を保全することのみならず、まちづくりを通じて良好な景観を新たに創出し、区民共通の資産として次世代に引き継いでいくことを旨として形成されなければならない」と掲げている。
素晴らしい。ところが、「ぬくいの森緑地」についての情報はほとんどない。面積は1,404 ㎡と分かったのだが、どのような地形・形状で、どのような樹木、草花が鑑賞できるかの資料・データは公表されていない。区民に豊かな緑の実相を伝えないで、どうして次世代に引き継ぐことができるのか。
わが多摩市は市内の全公園リストを公表しており、公園にどのような樹木があるか分かるサイト「木を知ろう」にたどりつけるようにしている。ここが違う。
その「木を知ろう」には「ぬくいの森緑地」の樹木の情報がきちんと提供されている。コブシ、サクラ、コナラ、エゴノキ、クヌギ、マユミ、ゴンズイ、ツバキ類、アブラチャン、ムラサキシキブ、クルメツツジ/キリシマツツジ、ハナミズキ、ナンテン、カエデ類、ヤツデ、アジサイ、イヌガヤ、キョウチクトウ、オオムラサキツツジ、ヤツデ、ネズミモチ、チョウセンアサガオ他があると記されている。
小さい公園だが樹種は豊富だ。記者は「マユミ」を初めて知った。昔はこの木から弓を作ったそうで、将棋の駒の材料になるとある。なるほど。
そこでマンションデベロッパーに提案。デベロッパーはマンションを通じて〝幸せを売る〟のが商売だ。制度はつくっても魂を入れない自治体任せではよくならない。
敷地内に植樹する草木はパンフレットなどに記載しているが、周辺の公園や街路樹にはどのような樹木があるか詳しく書かないし、販売担当者も木の名前など知らないから詳しい説明をしない。これではだめで、しっかり調べて環境価値を可視化することだ。そうすれば、来場者に〝ここに住めば、心が豊かになりますよ〟といえる。歩留まり率は間違いなくアップ(ダウンする街もあるが)するはずだ。
書き忘れた。同社は完成在庫を残さないデベロッパーだが、前期末で4戸が残ったそうだ。それでも4月までに全戸完売したという。同社には大手に負けない、互角以上に戦える商品企画の武器がある。
大激戦地で販売好調 デベロッパーの良心を見た パラダイスリゾート「調布」(2022/5/25)
分譲企画⇒バブル崩壊⇒ホテル⇒分譲コンバージョン リスト「三浦海岸」

「リステージ三浦海岸」
リストグループのリストプロパティーズが分譲中のコンバージョンマンション「リステージ三浦海岸」を見学した。1992年(平成4年)に竣工したリゾートホテル「マホロバマインズ」別館全106戸を取得し、大規模修繕・内装工事を施し、セミオーダー方式も導入し今年4月27日から分譲開始しているもので、これまでに20戸を成約するなど、順調なスタートを切った。海好きにはたまらないマンションだ。
物件は、京急久里浜線三浦海岸駅から徒歩7分、三浦市南下浦町上宮田の第二種住居地域の高台に位置する10階建て全106戸。現在分譲中の住戸(30戸)の専有面積は57.86~100.86㎡、価格は1,898万~5,098万円(最多価格帯2,600万円台)。リフォーム済みの平均坪単価は約150万円。既存建物施工は日成工事。既存建物竣工は平成4年6月。大規模修繕工事完了は令和4年2月下旬。売主はリストプロパティーズ。販売(仲介)は成和建物。
「マホロバマインズ三浦」は、四季の自然舎(綱川髙司社長)が経営するリゾートホテルで、バブル期に当時のダイカンホームが分譲マンションとして企画したが、バブル崩壊によって分譲からホテルに用途変更したため、マンションのような客室が多いのが特徴。本館の客室数は200室で、今回、同社が取得した「別館は」全106戸。1階の食堂などの共用部分や客室のエントランス部分なども一部専有化している。
建物はL字型で、ライトウェル(ボイド)付きで、玄関窓付き。全体の8割を占める東南向きと南西向き角住戸からは三浦海岸が一望できる。海岸までは徒歩7分。二重床・二重天井、天井高は2400ミリ。トイレ・浴室は段差があるが、サッシ高は2000ミリくらいあり、ワイドスパンの親子リビングドア付き住戸もある。
大規模修繕、内装工事を施したうえ、要望に合わせ3パターンのセミオーダープランを選択できるようにし、最上階の約260㎡はフルオーダーで分譲することを想定している。モデルルームのリフォーム代は約800万円。これまで20戸を成約しており、うち3分の2は居住用、残りはセカンドユースという。

上層階からの眺望(右側の建物が「マホロバマインズ三浦」ホテル)

ボイド

スケルトン状態(260㎡)

モデルルーム

専有面積 88.73m²(約26.84坪)
◇ ◆ ◇
確かにバブル期、ダイカンホームが三浦海岸で分譲マンションを企画していたのは知っている。価格は思い出せないが、当時の相場からして坪単価は最低250万円はしていたはずだ。
見学した印象では、もともとファミリーマンションとして企画されたため豪華なリゾートホテルの雰囲気はないが、坪単価は納得だ。従前のホテル仕様のままなら坪100万円くらいだろうが、リフォーム代に20坪で1,000万円とすれば坪150万円だ。
同じようにリゾートマンションがバブル崩壊でホテルに転用されたのは、現在「ウェルネスの森 伊東」ホテルとなっている三武が伊東市で分譲した事例がある。記憶に間違いがなければ全300戸とも専有面積は120㎡で、価格は全て1億2,000万円、坪単価300万円だった。
バブル期のレベルの高い社宅をコンバージョンし、圧倒的な人気を呼んだ代表的なマンションは、タカラレーベンが2009年に分譲した「ル・アール蘇我」がある。
新築で海に近いマンションは、経済設計の相鉄不動産「グレーシア湘南平塚海岸」を見学したが、坪単価は175万円だった。
床暖房もタオル掛けもなし 経済設計の極み それでも海好き惹きつける 相鉄不「平塚」(2022/4/13)
タカラレーベン 好調リニューアルマンション 「ル・アール蘇我」は4日間で120組超(2005/5/25)
大激戦地で販売好調 デベロッパーの良心を見た パラダイスリゾート「調布」

「調布ワンダーランドプロジェクト」
飯田グループ会社パラダイスリゾートが分譲中の「調布ワンダーランドプロジェクト」を見学した。京王線西調布駅から徒歩10分の全220戸で、今年4月に分譲した第1期50戸が完売するなど好調なスタートを切った。同沿線のつつじヶ丘駅圏から聖蹟桜ヶ丘駅圏にかけてここ3~4年の間に十数物件が分譲されており、今現在15物件2,000戸超が分譲中の大激戦地だ。早期完売したのは大和ハウス工業のコンパクト「調布」くらいで、完成物件では値下げも行われている。同社物件が好調なのは、価格もさることながら設備仕様レベルの高さにある。価格上昇に比例するように面積縮小、設備仕様の退化が著しい市場にあって、最低限の質を維持しようというデベロッパーの良心を見た。
物件は、京王線西調布駅から徒歩10分、調布市多摩川1丁目の準工業地域に位置する8階建て全220戸。6月下旬に分譲する2期(戸数未定)の専有面積は60.17~88.25㎡、予定価格は3,900万円台~7,400万円台(最多価格帯5,400万円台)、平均坪単価は260万円。竣工予定は2023年1月下旬。設計・監理は谷口建築企画一級建築士事務所。施工は多田建設。販売代理は長谷工アーベスト。4月から分譲を開始しており、これまでに50戸を成約。来場者は300件。
現地は、雪印乳業の倉庫跡地。用途地域は準工だが、マンション化が進んでいるエリアの一角。北側と南側2方に接道。北側は道路を挟んで小さな工場などがあり、南側は戸建てと中層のホッピー工場、敷地東側と西側はマンション。東宝調布スポーツパーク(ゴルフ場)や多摩川にも近い。
建物は南東向き、南西向き中心の4棟構成。住戸プランは平均70㎡のファミリータイプが中心。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400~2450ミリ、フィオレストーン天板、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、タオル掛け2か所、ワイドスパン(70㎡以上は6400ミリ確保している住戸が多い)、トイレ「アラウーノ」(パナソニック製)など。共用施設はオーナーズラウンジ・サロン、460㎡の自主管理公園など。
同社銀座不動産部課長・田中大介氏は、「価格もそうですが、設備仕様に高い評価を頂いています。レベルは落としていません。お客さまには他と見比べていただきたいと話しています」と、販売代理の長谷工アーベスト東京支社販売第二部門販売一部エリアマネージャー・上田雄一氏は「モデルルームの出来などはお客さまから『段トツ』と言われています」とそれぞれ語った。
また、最近のマンションは価格が上昇する一方で、基本性能・設備仕様がどんどん退行していることを話したら、パラダイスリゾート取締役・田原伊知郎氏は「大手はブランド力があるから売れるんでしょうが、わたしどもがそれをやったらおしまい」と話した。

83㎡のモデルルーム
◇ ◆ ◇
京王線沿線に40年以上住んでおり、主だったマンションはほとんど見学している記者だが、コロナ禍でここ2年間は数えるほどしか見ていない。ただ、上田氏が話したように、設備仕様レベルは「断トツ」だと思う。坪単価260万円レベルではまずほかにないはずだ。単価設定もどんぴしゃり。第一次取得層の取得限界だと思う。
些細なことだが、「アラウーノ」について。最近はコストを下げるためタンク付きトイレが復活しているが、この「アラウーノ」は最新の機能付きで、マンションに採用されたのは初めだそうだ。尾籠な話で申し訳ないのだが、みなさんは用を足すとき便座に座ることはしないはずだ。勢いよくほとばしる小水の飛沫が便器の外に飛び出し、床やら壁やらを汚し、奥さんに怒られているはずだ。〝座って用を足せ〟と。
「アラウーノ」はその難点を解消するもので、泡立つ洗剤が飛沫を防ぐスグレモノだ(小生のような糖尿病も小水が泡立つが、アラウーノにはかなわない)。同社がこれを採用したのは「私のオフィスの近くにあるカフェはこれが採用されている。とてもいい」と語った田中氏が採用を決めたかどうかは聞かなかった。
タオル掛け2か所について。1本わずか1万から2万円のタオル掛けをコスト削減のためなくすデベロッパーが増えていると書いてきたが、いま分譲されている京王線沿線の物件で、きちんと2本設けている物件はどれだけあるか。半分もないのではないか。「デベロッパーの良心を見た」と書いたのはそのためだ。
田原氏について。名刺交換をするとき「ご無沙汰です」と声を掛けられた。全然覚えていなかったが、7~8年前に他のデベロッパー社長らと飲み会で一緒だったそうだ。記者が酷評している飯田グループの戸建て記事などもよくチェックされているようだが、小生に苦情を申し立てることはなかった。
ありがとうございます。田原さん。わたしは是々非々を旨としており、為にする記事は書いておりません。飯田グループ入りする前の飯田産業の森和彦社長(現飯田グループ会長)や東栄住宅の故・佐々野俊彦社長、一建設の創業社長の故・飯田一男氏は結構取材しています。
今回の物件を見学して、大手、中小などの固定概念でものごとを考えてはいけないことも改めて学んだ。やはり記者は現場を見ないといけないということだ。

アクアパティオ

アラウーノ
全戸南西向き 幅員23mの桜並木・遊歩道・道路に隣接 ポラス「武蔵浦和」

「ルピアシェリール武蔵浦和」
ポラスグループ中央住宅が分譲中のコンパクトマンション「ルピアシェリール武蔵浦和」を見学した。駅から徒歩3分の全55戸で、桜並木の緑道に面しているのが特徴。販売は好調。
物件は、JR埼京線・JR武蔵野線武蔵浦和駅から徒歩3分、さいたま市南区別所6丁目の第一種住居地域に位置する7階建て全55戸。専有面積は32.28~47.46㎡、坪単価は300万円超。現在先着順で分譲中の3期(5戸)の価格は3,090万~3,750万円(32.28~32.79㎡)。竣工予定は2023年1月下旬。売主は同社のほかアートランド。施工はCMC。販売代理はアートランド。昨年11月から販売開始しており、販売は順調。
現地は、埼京線高架線に沿って整備された花と緑の散歩道・道路に隣接。建物は南西向きで、1フロア7~10戸構成。全て散歩道向き。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、複層ガラス(一部Low-Eガラス)、食器棚、ピクチャーレール、物干しポール、マイギャラリーなど。このほか自動ドアゴミ置き場、シェアリングサービスとしてスクリーン、電動工具、ロボット掃除機、ロボット窓拭機、高圧洗浄機、脚立などの貸し出しなど。
同社マインドスクェア事業部マンションDv担当者は、「広域からも集客できているのが特徴で、販売は順調です。食器棚、ピクチャーレール、物干しポールなど設備仕様に高い評価を頂いています」と話している。

モデルルーム(LDK)

キッチン
◇ ◆ ◇
埼京線の県南エリアは緑被率が低いとこれまで何度も書いてきたが、今回の物件は緑環境に恵まれている。桜並木と遊歩道が整備された幅員約23mの道路・歩行空間に隣接。2車線(各4m)の交通量はそれほど多くなさそうだ。
間取りもよくできている。コンパクトマンションだが、32㎡の住戸の間口は4.3m確保されている。食器棚、物干しポール、ピクチャーレールなどを標準装備としているのも評価できる。

現地
〝建築の魔術師〟青木茂氏と共同の6棟目リファイニング「信濃町」完成 三井不動産

「シャトレ信濃町」
三井不動産と青木茂建築工房は5月17日、両社が共同で取り組む「リファイニング建築」の6物件目となる賃貸マンション「シャトレ信濃町」の竣工見学会を行った。建て替えと比較して建築コストを約3割、CO2削減量を72%それぞれ削減し、工期を3分の1程度に短縮し、さらに市場価格以上の賃料設定を可能にした物件だ。
物件は、JR中央線信濃町駅から徒歩7分、新宿区信濃町3丁目の第一種中高層住宅専用地域に位置する敷地面積約968㎡のSRC造9階建て延べ床面積約2,610㎡の全35戸(うち3戸は自家用、従前は21戸と店舗1戸)。専用面積は41~82㎡。賃料は45㎡で22~23万円(管理費含む)。三井不動産レジデンシャルリースがサブリースを行う。大規模模様替えとして確認申請を行い、検査済証を取得。設計は青木茂建築工房。施工は大末建設。改修竣工は2022年5月16日(従前は1971年)。工期は13か月。
耐震性に問題があり、建て替えた場合は日影規制などの規制を受けるため5階程度しか建てられず、間取りも3LDKが中心だったため十分な事業採算を確保できない課題を抱えていたのを、リファイニング建築を活用して再生した。
既存躯体の耐震性を向上させるため、コンクリートの既存バルコニー手摺をポリカーボネートに変更することで建物の軽量化を図り、耐震補強したうえで84%を再利用しているのが特徴。建物は東京大学との共同研究により建替えの場合と比較して、CO2を72%削減することも実証されている。
また、従前は1フロア3LDKの3戸構成だったのを、周辺の賃貸マーケットニーズに合わせた各階1LDK~2LDKの5戸構成とすることで事業性能の向上と安定稼働の実現を図っている。
共用部の再生にも力を入れており、従前の植栽をそのまま継承するとともに、エントランスにあった御影石の壁・フェンスを取り払い外に開かれた空間にし、御影石は共用部や専用部に用いることでデザイン性を高めている。既存の水盤は既存庭園が写り込むように一新。1階のロビー・応接室は事業性を高めるため87㎡の住戸に変更し、別にエントランスを新設している。
見学会でオーナーのケーズコート代表取締役社長・木村達央氏(72、昨年10月の段階)は、「耐震診断を行ったら南側の窓、駐車場などに×点がつき、建て替えたら5階程度にしかならず大幅に事業採算が悪化することが分かった。リファイニングは費用が7掛け、8掛けになり、工事期間も3年くらいが約1年に短縮できた。間取りもマーケットにふさわしいものになった」などと語った。
青木茂氏は、「18年前に、スクラップ&ビルドよりCO2が83%削減できると発表したときは『あっそう』という反応しかなかった。今回は構造面で苦労したが、かなりやりたいことができた。これからは脱炭素の有力な手法の一つとして普及させたい」と話した。

左端が木村氏、一人置いて青木氏

Before(左)とAfter

Before(左)とAfter

Before(左)とAfter

Before(左)とAfter
◇ ◆ ◇
今回の物件については、昨年10月に行われた解体見学会を取材しており、記事にもしているのでそちらも併せて読んでいただきたい。この日は、解体見学会でお会いした服部夏子さんにお会いできるのではないかと楽しみにしていたのだが、作品をロビーに展示するとそのまま帰られたそうだ。残念。
百聞は一見に如かず。物件内にはリファイニング建築サロン(モデルルーム)も7月下旬まで設けられるので、興味のある方にお勧めだ。目からうろこが落ちるのは間違いない。フランク・ロイド・ライトは“空間の魔術師”と呼ばれるそうだが、記者は青木茂氏を〝建築の魔術師〟と呼ぶ。

服部夏子さんのアート

水盤

ポリカーボネートの手摺(サッシは全てLow-Eガラス)


以上、御影石の再利用

家歴書の一部
「建築は愛。母の家と一緒」青木茂氏 りそな銀行「リファイニング」セミナー(2022/3/30)
世界へ 建築業界に新風 青木茂リファイニング×服部夏子アート 「信濃町」見学会(2021/10/8)
4月の中古マンション・戸建てとも成約減り、価格上昇続く 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は5月13日、首都圏の2022年4月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,094件(前年同月比9.7%減)で4か月連続して前年同月を下回った。成約坪単価は226.8万円(同16.3%上昇)で20年5月から24か月連続、成約価格は4,363万円(同14.0%上昇)で20年6月から23か月連続してそれぞれ前年同月を上回った。専有面積は63.5㎡(同1.9%縮小)となった。在庫件数は37,360件(同9.3%増)、在庫坪単価は240.1万円(前年同月比13.3%上昇)となった。坪単価は18年2月の190.1万円から51か月連続、26.3%上昇している。
地域別では、成約件数はすべての地域が前年比で減少が続き、埼玉県は前年比2割台、横浜・川崎市と多摩、千葉県は1割台の減少となった。成約単価はすべての地域が前年比で上昇が続き、東京都区部は24か月連続、横浜・川崎市と埼玉県は23か月連続、千葉県は21か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建ての成約件数は1,190件(同11.7%減)となり、4か月連続で前年同月を下回った。成約価格は3,664万円(同7.6%上昇)となり、20年11月から18か月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比3.5%縮小し、建物面積は同3.1%縮小した。
◇ ◆ ◇
中古市場のことはいま一つよく分からない。毎月の成約件数はこの1年間3,000件前後で推移している一方で、成約単価・価格、在庫坪単価がどんどん上昇し、在庫も積みあがっているのをどうとらえればいいのか。
成約坪単価は24か月前の20年5月は171.7万円から32.1%、成約価格は23か月前の20年6月の3,541万円から23.2%それぞれ上昇したことになる。単価の上昇幅のほうが大きいのは、その分専有面積が縮小しているためで、21年5月の65.08㎡から11か月連続して縮小している。
問題はこの先どうなるかだが、さっぱり分からない。可処分所得はこのところ伸びているようだが、円安による物価高は家計を直撃し、新型コロナも第7波が懸念され、ロシアのウクライナ侵攻も収束する気配がない。
中古市場と連動する新築住宅市場は、マンションの着工戸数が減少していることから供給は減ることになるだろうが、分譲価格を左右する建築資材・労務費が上昇するのは間違いない。価格はすでに一般的な世帯の取得限界を超えている。大幅なローン金利の引き上げはないと読んでいるが、マインド一つで新築も中古も市場は崩れる可能性があるとみている。
この1か月の新築マンション市場は来場者が減り、成約も伸び悩んでいるという声を聞いた。これまで市場のターニングポイントはなぜか正月休み明け、ゴールデンウイーク明け、夏休み明けが多い。踊り場に差し掛かっているのかもしれない。現場取材が激減しているのも不安を増大させている。
業界初 屋上・外壁からの漏水18年保証 CO2排出量38%削減 三井不レジ「志木」

「パークホームズ志木コンフォートテラス」
三井不動産レジデンシャルは5月10日、業界初となる屋上・外壁からの屋内漏水18年保証の高耐久部材をマンションに採用すると発表した。これにより試算上、国土交通省ガイドライン推奨周期と比べて60年間で大規模修繕工事回数を2回減らすことが期待されるとしている。第一弾の「パークホームズ志木コンフォートテラス」を7月から分譲開始し、今後順次展開する。
高耐久部資材は、建物外皮の劣化抑制効果が期待される①タイルはく離・はく落防止性能が優れる外壁タイル張りに「有機系接着剤」②屋上アスファルト防水に「高反射塗料」③耐候性・耐久性にすぐれた外壁シーリング材-の3点セットからなる。
これにより、マンション業界では初めてとなる新築時の屋上および外壁から屋内への漏水保証について、現行の10年間から18年間に延長し、大規模修繕工事を長周期化することで、運用段階のライフサイクルCO2排出量を約38%削減できるとしている。
「パークホームズ志木コンフォートテラス」は、東武鉄道東上線志木駅から徒歩7分、埼玉県新座市東北1丁目に位置する8階建て135戸。専有面積き56.66 ~83.24㎡。竣工予定は2023年11月上旬。施工は長谷工コーポレーション。販売開始予定は2022年7月中旬。
第2回グリーンインフラ優秀賞受賞 フージャース「つくば」のマンション

「デュオヒルズつくばセンチュリー」に隣接する公園
フージャースホールディングスは4月28日、グループ会社のフージャースコーポレーションの「デュオヒルズつくばセンチュリー」が第2回グリーンインフラ大賞「生活空間部門」優秀賞を受賞したと発表した。
グリーンインフラ大賞は、国土交通省が事務局を務める「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム」において、グリーンインフラに関する優れた取組事例を表彰し、広く情報発信することを目的に令和2年度に創設された表彰制度。第2回グリーンインフラ大賞では、全国から応募のあった27件の取組事例から、国土交通大臣賞(4件)と優秀賞が発表された。
「デュオヒルズつくばセンチュリー」は、茨城県つくば市の公務員宿舎跡地開発。産官学及び地域との連携の下、敷地境界線をシームレスにつないだ空間設計、開発地隣の公園(つくば市所有)の緑化リニューアルを行い、公園とマンションの敷地境界を取り払い、エリアに地元で人気のベーカリーカフェを誘致。公園の価値を維持する仕組みづくり及び地域コミュニティの場の創出のためのボランティア団体「つくばイクシバ!」を立ち上げ活動を行っている。公園利用人数は、リニューアル前後で283%増加した。
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とてもいい表彰制度だと思う。同社の「デュオヒルズつくばセンチュリー」は見学取材しており、記事にもしているのでぜひ読んでいただきたい。このような取り組みが全国に広がることを期待している。「公園」を住民から切り離すことしか考えていない自治体には刺激となるはずだ。
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「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム」が発行した令和4年3月版「グリーンインフラ事例集」には100を超えるプロジェクトが掲載されている。デベロッパーが参画したプロジェクトも10件はある。分譲マンション事例はフージャースコーポしかないはずだ。
気になったのは、プラットフォームの会員構成だ。会員は都道府県と市町村の一号会員、関係府省庁の二号会員、民間企業、学術団体の三号会員、個人の四号会員からなり、2022年1月現在、一号は81、二号は9、三号は404、四号は838の合計1,332会員(設立当初は409会員)と増えてはいるのだが、一号会員は少なすぎる。全都道府県が会員になっているとすれば、市町村会員はわずか34にしか過ぎない。
何かにつけ官主導ではうまくいかないのは分かるが、都市公園などは各自治体が管轄していることを考えれば市町村会員が圧倒的に少なすぎる。各市町村を参画させることが課題ではないか。
「街のシンボルになる」来場者 公園との垣根なくしたフージャース「つくば」に感動(2021/4/28)
坪1300万円でどうか 旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」

「綱町三井倶楽部」庭園からの完成予想図
三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスが4月25日に発表した旧逓信省簡易保険局庁舎跡地(1929年竣工)の大規模マンション「三田ガーデンヒルズ」に注目している。今年最大どころか、両社が2007年に分譲した定期借地権付き「広尾ガーデンフォレスト」以来の究極の億ションになるとみているからだ。
物件は、東京メトロ南北線・都営大江戸線麻布十番駅から徒歩5分、都営三田線芝公園駅から徒歩10分、港区三田一丁目の第二種住居地域・第一種文教地区に位置する敷地面積約敷地面積 25,246.㎡、14階建て他全1,002戸。専有面積は29㎡台~370㎡台。竣工時期は2025年3月。設計・施工は大成建設。
分譲マンションとしては港区最大となる敷地面積約25,000㎡で、両社が共同で「ガーデンヒルズ」を分譲するのは「広尾ガーデンヒルズ」以来38年振り。敷地南側にジョサイア・コンドルが設計した歴史的建築物「綱町三井倶楽部」を望む立地であるのも特徴の一つ。
国内最大規模となる全戸ZEH-Orientedを取得する予定で、電気・ガスともに CO2排出量実質ゼロとなるサービスを導入、太陽光発電と中圧ガスを利用したオンサイト発電を有事の際にも活用するなどレジリエンス機能も強化する。
この他、帝国ホテルと提携したコンシェルジュをはじめワークスペース、ジム、ゴルフラウンジ、サウナや岩盤浴、シアタールーム、ミュージックルーム、カフェラウンジ、 バー、レストラン(店舗)などの共用施設、サービス提供を予定している。
設計デザインは、東京ミッドタウン日比谷を手掛けたホシノアーキテクツがメインで、新丸ビルを担当したロンドンを拠点に国際的活動を行う建築設計事務所ホプキンスアーキテクツが国内マンションのファサード・デザインに初参画。旧逓信省簡易保険局庁舎を一部保存・再生する。起伏がある敷地を利用して既存樹を含む植栽約130種による約7,700㎡のランドスケープを計画している。

中庭

旧逓信省簡易保険局庁舎階段室

旧逓信省簡易保険局庁舎 入口
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現地の旧逓信省簡易保険局庁舎は入ったことはないが、何度も眺めてはため息をついた。〝ここにマンションが建ったらどんな素晴らしいものになるか〟と。目の前はジョサイア・コンドルが設計した数少ない現存建築物「綱町三井倶楽部」があり、三井不動産レジデンシャル「パークマンション三田日向坂」「パークマンション三田綱町」のほか、アパの高級賃貸マンション「THE CONOE三田綱町」、イタリア大使館、オーストラリア大使館、三田共用会議所、元神明宮(元祖神社)、赤羽小学校、都立三田高校などがある。
麻布十番駅近くでは約1,450戸のマンションを含めた「三田小山町西地区第一種市街地再開発事業」も進行中だ。
両社は今秋に販売サロンを開設すると発表した。メディア見学会も行われるはずだが、いつものように単価予想を試みる。ズバリ坪単価は最低1,300万円、1,500万円もあると見た。
根拠は、これまで分譲された大規模億ションのなかでもっとも住環境に恵まれており、最高レベルの基本性能・設備仕様が期待できるからだ。
比較する物件はないが、現地に近接する三井不動産レジデンシャル「パークマンション三田日向坂」(18戸)が参考になる。2011年竣工物件で、リストグループが開発した高額物件に特化したAI査定システム「mAI List(マイリスト)」が昨年の価格上昇率トップに上げたマンションだ。分譲当初の平均価格約2.4億円(平均面積128.24㎡)から約4.0億円へ坪単価は625万円から1,022万円へ1.6倍に上昇している。
もう一つ、2014年分譲の三井不動産レジデンシャル「パークマンション三田綱町」(98戸)もある。坪単価725万円で瞬く間に完売した。ネットで調べたら、現在の中古価格は1,000万円を突破している。「THE CONOE三田綱町」も坪単価1,000万円超で分譲されると思われたが、急きょ賃貸に変更された。
これらより低くなることはありえない。ただ、戸数が多く、目先の社会経済動向も読みづらいので坪1,500万円となると自信はない。1,300万円くらいが妥当ではないか。自信はない。外れたからと言って責任は取らない。

帝国ホテルイメージ
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