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「Brillia Tower 堂島」

 東京建物が分譲中の大阪市内初の「Four Seasons Hotel」とコラボした複合タワーマンション「Brillia Tower 堂島」を見学した。コンセプトの〝旅とアート〟が具現化されており、日建設計による外観デザインとピエト・ブーン氏による236㎡の「白」を基調としたモデルルームの美しさに仰天、魅了された。坪単価は大阪市のこれまでの最高値400万円をはるかに超える650万円ながら、第1期1次130戸は約540件の登録を集め4.2倍で即日完売した。価格は東京のほぼ半値で、基本性能・設備仕様レベルも劣る大阪のマンション市場を変える衝撃的な物件だ。

 物件は、JR大阪駅から徒歩9分、大阪市北区堂島二丁目の商業地域に位置する敷地面積約4,828㎡、49階建て全463戸(募集対象外住戸53戸含む。住宅フロア4~27階、38~49階、ホテルフロア28~37階)。11月15日に抽選分譲した上層階が対象の第1期1次130戸の価格は5,280万~108,000万円(最多価格帯11,000万円台)、専有面積は38.71~236.06㎡、坪単価650万円。竣工予定は2024年1月下旬。施工は竹中工務店。設計は日建設計。デザイン監修はSTUDIO PIET BOON。

 現地は、竹中工務店本社-電通大阪支社跡地。〝旅とアート〟をコンセプトに、国際水準の機能を備えた住宅とラグジュアリーホテルブランド「Four Seasons Hotel」と共同開発した超高層複合タワーで、設計を担当する日建設計のチーフデザインオフィサー・大谷弘明氏による「帆」をイメージさせる優美な外観デザインが特徴。また、大阪で初めて「宿泊施設の整備に着目した容積率緩和制度」の適用による特定街区の都市計画決定を受けており、法定容積率480%から1200%へ大幅に緩和されている。

 主な基本性能・設備仕様は、木製玄関ドア、二重床・二重天井、リビング天井高2.7~4.0m、ディスポーザー、食洗機、Low-Eガラス、ジーマティックキッチン、VOLA社・ドンブラハ社製水栓、JAXSON社製浴槽など。2階と43階にコンシェルジュを配置し、エントランス部分に警備員が常駐。最上階にはラウンジ・パーティルームをはじめとした共用施設を設置するほか、アート監修の南條史生氏のキュレーションにより7氏のアート50点超が共用部分に配置される。

 物件の統括所長・加覧憲一氏は、「反響は大阪が7割、東京と兵庫、その他がそれぞれ1割。立地条件をカバーするホテルと一体とした意匠・デザイン、商品企画が高い評価を得ています。第1期1次130戸の登録件数は約540件。12月上旬に予定している第1期2次50戸と合わせ即日完売する可能性が高い」と語っている。

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完成予想図(合成)

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ギャラリーラウンジ

◇       ◆     ◇

 最初に断っておく。記者は関西圏のマンションは数えるほどしか見学していない。トータルで20件あるかどうかだろう。大阪の市場もまったく分からない。以下は、あくまでの記者の独断と偏見に満ちた記事だ。

 見学したのは11月23日(火)の祝日だった。取材を許可して頂いた同社広報と、顧客対応に忙しいはずなのに快く対応していただいた統括部長の加覧氏にお礼申し上げる。加覧氏とはRBA野球大会を通じて以前からお付き合いしていただいており、久々にお会いできるのを楽しみにしていた。昨年4月から単身赴任されているようで、持病の痛風も治まりつつあると聞いた。何よりだ。

 販売事務所を訪れる前に現地を見た。用途地域は商業地域だが、大小のビル、マンション、店舗などが混在しており、準工ではないのかと思った。「堂島」は小説の舞台にもなっているのでよく知ってはいたが、街並みはイメージしていた「銀座」とは全く異なっていた。

 販売事務所は、それぞれ2層はありそうなシアター、模型コーナー(模型は35分の1)などはこれまで観た大阪の好調物件と同等ではないか。

 75㎡と127㎡のモデルルームはシンプルなデザインで、都内のこのクラスの物件と比較してそん色ないと思った(大阪市内ではトップクラスなのだろう)。

 驚いたのは、ピエト・ブーン氏が手掛けた236㎡のモデルルームだった。木製でナグリ仕上げの玄関扉は、単価を考えたらこれもありだと判断したが、扉を開けたとたん6畳大はありそうな白が基調のホワイエが目の前に飛び込んできた。昭和57年に見学した「広尾ガーデンヒルズ」のモデルルームがまざまざと蘇った。そこも玄関ホールは6畳大あった。

 次に66.8畳大のLDK、32.7畳大の主寝室、ドレッシングルーム、浴室、トイレなどを見て回ったのだが、今度は「これほど〝美しい〟マンション見たことない」という見出しを付けた平成19年の鹿島建設「加賀レジデンス」が思い出された。

 一分の隙もない端正なきりりとした美しさが際立った「加賀」とは異なる、曲線を多用した優美な白の美しさに言葉を失った。シアターに映し出された〝どうみても美しく、どう考えてもおもしろい〟というキャッチコピーに嘘はないと思った。このコピーライターもただものではないと。

 そこで考えた。この美しさを何に例えたらいいか。しんと静まった雪原に舞い降りた一羽のツルか、それとも空の青にも海の青にも染まず漂う大海原の白鳥か、あるいは立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花の女性か。女性でいえば、きらきら輝く光沢があるシルクもいいが、記者などは木綿の白襦袢に白足袋の女性に背筋がゾクッとする。そんな白だった。

 モデルルームに使用されている什器・食器類も、釉薬を掛けていない素焼(テラコッタ)が多かったのではないか(よく観察すべきだった)。そこにも抑制された白の美しさがあった。

 さらにまた考えた。70歳を超えボケも始まったのではないかと自覚する記者の39年前、14年前のマンションの記憶を蘇らせるピエト・ブーン氏は何者なのか、どのような感性の持ち主なのかと。

 白が基調の販売事務所、モデルルームはたくさん見てきた。白はどのような家具とも調和する。無難な色ではある。しかし、安物のケミカル製品だと雰囲気をぶち壊すこともある。光の乱反射、跳ね返りによって目がくらみ、疲れることもある危険性もはらむ。ピエト・ブーン氏の白はそれがない。すべてを受け入れる優しい白だった。

 東京建物のプレス・リリースには、同氏は「オランダ生まれのデザイナー。そのものづくりや天然素材への情熱、インスピレーションは育ってきた母国や家族環境の中で培った伝統に基づく創造と彼自身の挑戦的な精神によるものである」とあり、別のネットには「彼のデザインスタイルは、クラシックでエレガントです。天然材とくすんだ色の組み合わせ、本格的なスタイル」とあった。63歳のようだ。

 なるほど、ヒントは「天然材とくすんだ色の組み合わせ」だ。同氏を起用したのは日建設計か東京建物かFour Seasons Hotelか分からないが、これもコラボの大きな成果だろう。

 東京建物は、メジャーセブンの中で唯一大阪ではマンションの供給実績は少ないはずで、だからこそ〝負けないぞ〟という意地が働いたのか、あるいはまた、価格は東京の2分の1で、基本性能・設備仕様レベルも落ちる大阪の市場を知らなかったのが幸いしたのか。いずれにしろ、大阪のマンション市場に一石も二石も投じたのは間違いない。歴史を変える物件だ。これがメルクマールになるはずだ。

 「うめきた2期」が楽しみになってきた。〝安かろう悪かろう〟という市場から脱却していただきたい。「近畿」はもともとわが国の中心地だったのだから。天童よしみさんは〝負けたらあかん 負けたらあかんで東京に〟と熱唱しているではないか。

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ピエト・ブーン氏

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ナグリ仕上げの木製玄関扉

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236㎡のモデルルーム

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同上

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同上

負けへんぞ横浜北仲に ここは〝北浜〟の一等地 三井レジ他「北浜ミッドタワー」(2018/2/20)

〝首都圏に負けない〟レベル 販売好調 野村不・大林新星和不「プラウドタワー北浜」(2018/9/1)

首都圏の億ションに負けない 関西最高峰の坪610万円 東急不「芦屋」(2018/7/23)

さすが三菱 神戸の歴史的建物保存・復元「神戸タワー」 過去最高峰の坪単価266万円(2018/3/15)

三菱地所レジ 「京都鴨川御所東」 坪単価はいくらになるか(2015/10/8)

これほど〝美しい〟マンション見たことない 鹿島建設「加賀レジデンス」(2007/5/18)

集合住宅の最高傑作の一つ 鹿島建設「加賀レジデンス」が完成(2008/9/16)

 

カテゴリ: 2021年度

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「ドレッセタワー新綱島」

 東急新横浜線・新綱島駅直結の商・住・公の東急「ドレッセタワー新綱島」の第1期66戸が即日完売する見通しだ。「新駅直結」「再開発」が大きな支持を集めている。11月17日にモデルルームが報道陣に公開された。抽選分譲は11月19日(金)。

 物件は、2022年度下期開業予定の東急新横浜線新綱島駅に直結、東急東横線綱島駅から徒歩3分、新綱島駅前地区第一種市街地再開発事業地内に位置する地上29階地下1階建て全252戸(非分譲住戸73戸含む)。専有面積は44.88~113.45㎡、第1期(66戸)の価格は5,360万~1億8,290万円(最多価格帯6,500万円台・7,800万円台各4戸)。第1期の坪単価は400万円。竣工予定は2023年10月下旬。設計・監理は東急設計コンサルタント。施工は東急建設。販売代理は東急リバブル、東急ライフィア。

 第1期の登録申し込みは11月13日(土)からで、抽選日は11月19日。2021年4月のホームページ開設以来、物件エントリー数は4,500件超に達している。

 現地は、約4.4haのA~F地区のソーンに分けられている綱島東一丁目地区地区計画地内の施行面積約0.6haのB地区に立地。建物は制震構造で、マンションと7階建て商業棟で構成され、商業棟の4~5階には港北区の区民センターが併設される。

 住戸は3階以上で、27階までの標準階は1フロア9~10戸。28・29階は1フロア7戸。主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2480ミリ、二重床・二重天井、ディスポーザー、深型食洗機、フィオレストーンキッチン天板のほか、全自動おそうじ浴槽、Google Home、ウルトラファインバブル水栓などのほか、「イエナカ+α」によるマイスタジオを標準装備。共用施設はコモンラウンジ、ゲストルーム、スカイラウンジなど。

 同社沿線開発事業部住宅開発グループ分譲推進(2)担当課長補佐・田中翔太氏は、「購入要望の75%は横浜市内で、港北区が約5割。都内は20~25%。武蔵小杉や日吉など川崎市中原区の居住者の反響はいま一つ。競合物件はほとんどなく、『勝どき』や『HARUMI FLAG』を検討されている方は結構います。第1期の申し込み状況は、コンパクトに4倍の倍率が付いており、100㎡超のプレミアム住戸も2倍くらいで、抽選の時点でほぼ完売の見通し」と語っている。

 地区計画内のA・D・F地区の詳細は未定だが、区画整理事業方式により駅前広場、バス・タクシー乗り場なども整備される予定で、E地区は歴史的資産・緑地・農地として保存される。

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建設現場

◇       ◆     ◇

 坪単価を聞いたときはずいぶん高いと思ったが、横浜は500万円を突破し、武蔵小杉も400万円をはるかに超える勢いだ。他のエリアも信じられないほど価格・単価は上昇しているので〝こんなものか〟と納得した。若い読者の方は信じられないだろうが、かつてバブルのころ、「綱島」のマンション相場は坪単価500万円だった。それと比べれば(比べるのがおかしいが)安い。参考までに10年前の野村不動産「プラウド綱島」の記事も添付する。坪単価は200万円だった。

 76㎡の東南角のモデルルームはよくできていた。無償の窓付きの2.5畳大のマイスタジオの評価は高いようで、5.2畳大のキッチン、全自動おそうじ浴槽(有償で床掃除も可)など、全体の設備仕様レベルは他が低くなっている分相対的に高いと思う。このタイプは1期に用意した14戸に申し込みが入っているようだ。

 それにしても、鉄道会社のやることは凄い。新駅をつくってマンションなどと直結させるのだから。

野村不動産「プラウド綱島」 全99戸一挙販売へ(2011/3/3)

カテゴリ: 2021年度

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「プレミスト和光丸山台」

 大和ハウス工業が分譲中の「プレミスト和光丸山台」を見学した。最近の東上線・有楽町線沿線の人気化・価格上昇を受け、坪単価は307万円と300万円を突破しているが、販売は順調に進んでいる。

 物件は、東京メトロ有楽町線・副都心線和光市駅から徒歩10分、和光市丸山台ニ丁目の第一種住居地域、第一種中高層住居専用地域に位置する5階建て全36戸。先着順で分譲中の住戸(10戸)の専有面積は55.22~72.33㎡、価格は5,070万~6,650万円(最多価格帯6,100万円台・6,300万円台)、坪単価は307万円。施工は新日本建設。竣工予定は令和4年2月。売主は同社のほか三信住建。

 同社東日本初の抗ウイルス・抗菌加工の建材を採用しているほか、在宅ワークスペースを確保し、同社初の「埼玉県子育て応援マンション」に認定されているのが特徴。販売開始は9月11日からで、11月12日現在、半数強が成約・申し込み済み。

 現地は、東側と北側に接道。東側の道路は幅員16mあり、北側は幅員6mを挟んで東武線の線路。敷地の西側は中学校に隣接。建物は全戸東南向き。27戸が65~66㎡の3LDK。他は72㎡が4戸、55㎡が5戸。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、リビング天井高2450~2500ミリなど。トイレドアを壁面までセットバックさせている。

 販売担当の同社東京本店統括マンション事業部東京マンション事業部第三課・大原正義氏は、「和光市は、埼玉県下で浦和、大宮に次ぐ都心に近くてポテンシャルの高い街。しかも始発駅。駅北口には5年後くらいに34階建ての再開発タワーマンションが予定されているなど将来性も期待されている。65㎡中心だが、アウトポールを採用し収納に工夫を凝らしているので70㎡と遜色ない。RBA野球? 春日部共栄時代の甲子園組で東海大卒の新人が入社した。わたし? 4番は無理だが代打、DHならいける。トミー? 冨長さんは50歳を超えだが、投げられるよう調整している。来年、グラウンドで会いましょう」と語った。

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建築中の建物

◇      ◆     ◇

 大原氏(45)とは、RBA野球大会で20年来のお付き合いだ。若いときは主砲として活躍し、チームの高齢化で勝てなくなったときはプレーイングマネージャーとしてチームを引っ張ってきた。口達者で、決して弱音を吐かず、選手をけなすこともなかった。

 今回、大原氏がこの「和光」を担当しているということを聞いて取材を申し込んだ。注文住宅の戸建てを20年担当し、マンション担当になってから2年目とのことだった。

 饒舌は野球と一緒。坪単価307万円は決して安くないが、同じ沿線の「大山」は坪単価350万円で、3年前に坪単価265万円で分譲された近接物件はそれより高い値段で取引されていることなどを説明した。この物件についても「65㎡でも70㎡の機能がある」と自信たっぷりに話したのには口をあんぐりさせるほかなかった。

 「トミー」とは、和歌山の名門・箕島高校から立命大に進み、抑えのエースとして活躍した冨長氏だ。50歳を超えてまだ投げる気力があるのか。ストレートは100キロか。投げたらつるべ打ちにあうのではないか。それでも必死に投げる姿を見たい。

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大原氏

◇       ◆     ◇

 現地を見学するため舗道を歩いていたら、元素番号が付されたプレートが7~8メートル置きに埋設されていた。元素は100くらいあったはずで、学校で暗記させられたものだと思った。

 後で確認したら、これは理化学研究所和光研究所(理研)の森田浩介博士を中心とした研究グループが原子番号113番の新元素の合成に成功し、平成28年11月30日に国際純正応用科学連合(IUPAC)がこの新元素の名称を「ニホニウム」とすることを認定したことを受け、その偉業を記念するため、和光市駅から理研までの道を「ニホニウム通り」と命名。元素記号1番から118番までのプレートを路面に埋設し、駅南口に記念碑、外環上部にモニュメント、市道113号線に通り名表示板などを設置したとある。

 いい取り組みだ。市によると「ニホニウム通り」の総延長は約1,070m。一方で、街路樹には名前は付けられておらず、市のホームページには街路樹の本数、樹種などは記載されていない。緑被率は33.8%。これは埼玉県の各市と比較して高いほうではないか。

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和光市駅南口の原子番号1「水素」のプレート

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駅前の記念碑


 

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「nears(二アーズ)川崎」

 コスモスイニシアのシェアレジデンス「nears(二アーズ)川崎」とシェアオフィス「MID POINT川崎」を見学した。まず前者から。

 「nears」は、従来のシェアハウスや一般的な賃貸住宅にはなかった要素をハード・ソフト両面に取り入れ、プライベート空間を維持しながら、入居者同士が“ゆるやかにつながる”心地よい暮らしを実現する新しいタイプのシェアレジデンス。

 ハード面では、約100㎡の共用フロアには複数の用途に対応した空間を備え、気分やすごし方に合わせた居場所の選択が可能とし、全居室にトイレ・シャワー室・洗面など水回りを完備、収納スペースや家具家電の配置に工夫を施している。

 ソフト面では、コミュニティデザイナーを採用し、入居者同士の会話のきっかけづくりや共用フロアに集まる仕掛けを実施。コミュニティインフラツール「station」を全国で初めて賃貸住宅に導入し、オフラインとオンラインの両面から入居者同士のコミュニケーションを促進することで、“ゆるやかな隣人”が生まれやすい環境を提供する。

 さらに、スマートロック、freeアルコール、Freeコーヒー・ナッツ、ライブラリー、引っ越し&買取、クラウド倉庫などのサービスも行う。

 物件は、JR川崎駅から徒歩4分、川崎市幸区中幸町3丁目に位置する14階建て69戸(他に共用スペース、店舗2戸)。専用面積は14.4㎡66戸と18.2㎡3戸。賃料は14.4㎡が賃料99,500円+共益費で122,500円/月~、18.2㎡が126,000+共益費で149,000円/月~。契約期間は3か月、1年、2年の選択が可能。竣工は2021年10月22日。入居開始は11月21日。

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共用部

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ライブラリー

◇       ◆     ◇

 前段はほとんどプレス・リリースのコピペだ。記者はこれまで「シェアハウス」を見学したのは数えるほどしかなく、いいのか悪いのかさっぱり分からないので、そうするほかないからだ。

 見出しに「めっちゃ、珍しい」と取ったのは、女性担当者がそう話したからだ。記者はこれまで「めっちゃ」など使ったことは一度もないが、これほど端的に特徴を言い表した言葉はないのではないか。

 その「めっちゃ、珍しい」のはシャワー室、トイレ、洗面などの水回りが完備していることと、乾式戸境壁は分譲マンション並みの138ミリ確保することで遮音性を高めていることだ。一般的なシェアハウスの水回り共用部分にしかなく、使いたいときに使えないケースも多く、遮音性が劣るものも少なくないそうだ。

 なるほど。シャワー室にはタオル掛けが付いていたし、トイレも便ふたが自動開閉するタンクレスだった。これは単価が低い郊外マンションよりランクは上かもしれない。戸境壁も最近は薄いものを採用するケースが増えていそうな気がする。

 共用部分の水回り備品もいいものが採用されていた。ダイニングテーブルは〝この木なんの木〟で知られるモンキーポットの無垢材だったが、価格は70~80万円はするはずだし、炊飯器、湯沸かしポット、トースターなどは「BALMUDA」だった(「BALMUDA」を知らないのはあなただけとかみさんに言われた)。

 隔週土曜日にはfreeアルコールを設け、予算内ではあるが地ビールや入居者ゆかりの日本酒を提供するという。酒飲みにはたまらないサービスだ。

 難点は喫煙が居室も共用部分では不可で、1階まで下りないとだめだという。喫煙は文化だ。多様性の時代だ。ホテルもそうだが、専用部での喫煙は認めるべきだと記者は思うが、どうだろう。

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モンキーポットの無垢材のテーブル

〝駒込駅圏ナンバーワン〟 三菱地所レジ 第2号シェアハウス「駒込」完成(2018/6/12)

壁面にアートがいっぱい 三菱地所レジ 初のシェアハウス「永福町」完成(2018/4/27)

日土地 〝業界最高水準〟の共用部を備えたシェアハウス第2弾「船橋」(2013/9/17)

イヌイ倉庫 「企業寮をシェアする」新発想の「月島荘」が竣工(2013/9/29)


 

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「パークコート神宮北参道 ザ タワー」

 三井不動産レジデンシャルは11月10日、フジタ本社跡地に建設中の「パークコート神宮北参道 ザ タワー」(471戸)の第1期販売2021年4月29日から開始し、第1期222戸のうち211戸(平均約2億2,800万円)が販売済みと発表した。同日、モデルルーム記者見学会を行った。

 物件は、東京メトロ副都心線北参道駅から徒歩1分、JR代々木駅から徒歩6分、渋谷区千駄ヶ谷4丁目に位置する敷地面積約4,837㎡、27階建て全471戸。第1期222戸の専有面積61.35~237.49㎡、価格は1億2,880万~13億7,000万円。全体の平均坪単価は900万円弱になる模様。竣工予定は2023年6月下旬。設計・監理は清水建設。施工は清水・フジタ建設共同企業体。デザイン監修はホシノアーキテクツ。

 10月31日現在の来場者は1,659組で、申込者の年齢は30代が約15%、40代が約25%、50代が約26%、家族数は1人が約23%、2人が約30%、3人が約14%、居住地は渋谷区が約17%、新宿・港区がそれぞれ約9%、その他都内が約48%。

 現地はフジタ本社跡地で、「明治神宮・代々木公園」「新宿御苑」「神宮外苑」の3つの公園が眺望できる立地が最大の特徴。

 デザイン監修に、同社の「TOKYO MIDTOWN HIBIYA」「パークコート渋谷 ザ タワー」などを手掛けた星野裕明氏を起用。「鳥や動物が羽を休め、生命を育てる安全で居心地の良い巣=NEST」に見立て、緩やかな曲線と編み込まれた形状を内外装デザインに採用。ランドスケープは、総合設計制度の認可を受け公開空地を確保しているほか、屋上緑化、基壇部の壁面緑化などの植栽にも力を入れている。

 共用部には、屋上にフィーリングデッキ、パブリックビューイングや貸切パーティーを満喫できるスクリーンデッキを設け、地下1階~2階の3層吹抜け空間に5つの多層構造の共用空間を用意。このほかフィットネスルーム、ゲストルーム、パーティーラウンジ、ゴルフラウンジ、シネマラウンジ、ランドリーラウンジを装備。スポーツバイクのレンタサイクル、サイクルワークショップサービスも行う。

 また、大建工業と共同で開発したCO2最大約48%削減が可能な冷暖房システム「AirLOGY」を3住戸に初採用。ZEH Orientedを取得している。

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グランドエントランス

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フィーリングデッキ

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パーティーラウンジ

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 フジタの本社跡地を空から見たら「明治神宮・代々木公園」「新宿御苑」「神宮外苑」に近いなどと考えたことは一度もない。「北参道」駅もこれまでほとんど利用したことがない。「代々木」駅といえば、代ゼミ、大京本社、共産党本部、NTTドコモビルのイメージしかない。そこにタワーマンションを建て、その眺望を最大限の売りにする同社の企画力・発信力には舌を巻くほかない。

 坪単価900万円弱は、とてつもなく高いとも思うが、最近の新築・中古マンションの値上がりを考えると、こんなものかとも思う。

 この単価でわずか半年の間に211戸を販売済みとしたのはやはり凄い。同社担当者も「好評」「連日満室」「想定外」「高い評価」などを連発した。約130戸ある1LDKタイプは未分譲だが、坪単価からして全て億ションにはならないようだ。

 競合する物件は、同社の「パークコート渋谷 ザ タワー」はともかく、担当者によると「パークタワー勝どき」を観ている人が多いというのにはびっくりした。単価が全然違うし、住環境もまったく異なる。最近の〝お金持ち〟は何を考えているのかさっぱり分からない。

 総合設計制度の適用を受け、屋上緑化のほか外周約370mにわたって基壇部の8割を壁面緑化し、明治通り沿いの公開空地は2列並木を配する計画としているのがいい。完成すれば見事な景観になるのは間違いない。

 冷暖房システム「AirLOGY」は3戸にしか装備しないのは〝三井ともあろうものが〟と不思議に思ったが、コストを削減するためではなく、開発に時間がかかり間に合わなかったという説明だった。先行する三菱地所「エアロテック」、野村不動産「床快full」との比較を聞いたら、「いいとこ取り。冷暖房の効きが速い。今後他の物件にも採用していく」とのことだった。全館空調が当たり前の時代がやってくるかもしれない。期待したい。

◇       ◆     ◇

 2つあるモデルルームのうち、スタンダードの90㎡は窓側がアール形状のLDK(34.7帖大)のほか「NEST Room」とホテルライクな主寝室(11.5帖大)や「Dressing Room」の提案はいいと思ったが、シート張りの建具・家具はやや拍子抜けした。

 星野氏がデザインしたペントハウスの237㎡のタイプは白が基調。やはり窓側が曲線のLDK(80.2帖大)は「パークコート青山 ザ タワー」でも感じたのだが、正直目が回った。この種のデザインを好む人はどのような人種か。

 この他、リビング天井高は最大3200ミリとしているほか、モザイクタイルを多用した壁面、Lavatory にはTOTOのネオレストNXを採用しているのが目を引いた。

 一つ納得できなかったのがBette社製のLuxury Bathの浴槽だった。夜景も眺められるものだが、跨ぎは50cm以上あった(間違っていたらごめんなさい)。踏み台か手摺がないと年寄りは入れない。上層階だから周辺ビル・マンションから覗かれる心配はなさそうだが、ブラインドがないと女性は利用できないのではないか。貧乏人のひがみか。

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主寝室(11.5帖大)と「Dressing Room」

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237㎡のLDK(80.2帖大)

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Bette社製のLuxury Bathの浴槽

渋谷区庁舎・公会堂 建替え事業 定借の三井不レジ「渋谷」竣工 一部は賃貸化も(2020/12/15

星野裕明氏がデザイン 柔らかな曲線が美しい外観 三井レジ「駒沢二丁目」(2019/12/5)

マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工(2018/4/11)

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「ザ・パークハビオ 麻布十番」

 三菱地所は11月4日、スマホ一つで住設機器・家電などのIoT機器をまとめて操作・ 管理できる総合スマートホームサービス「HOMETACT(ホームタクト)」を開発し、2021年11月5日から入居を開始する三菱地所レジデンスの賃貸マンション「ザ・パークハビオ 麻布十番」(106戸)へ導入すると発表した。同日、メディア向け発表会・見学会を行った。

 「HOMETACT」は、集合住宅のエントランス解錠や玄関ドアの施解錠、居室内照明・空調・ロボット掃除機などの遠隔操作が特定のブランドやメーカーに依存しなくても可能なだけでなく、住空間に居ながらスマートスピーカーによる音声操作で複数メーカーのIoT機器を横断的かつ一括制御できるのが特徴。

 開発に至った背景について、同社は①メーカーごとに機能やアプリが細分化されており、統合的なサービスがない②設置・設定が難しい上に、利用開始までのフローがユーザー任せになってしまっている③アフターケアやトラブル時の緊急対応などエンドユーザーをサポートする機能が充実していないなどわが国の後進性(導入障壁)を挙げ、これらの問題を一挙に解決し、2030年には現在の10倍の市場規模に成長すると予測されるスマートホームの〝旗振り役〟を果たすべく総力を結集して開発したと説明した。

 同社は今後、順次「ザ・パークハビオ」シリーズに導入するほか、HOMETACTの標準仕様化や分譲マンションへの導入を目指し、将来的には他社デベロッパーや賃貸管理会社へのシステム提供も視野に入れているという。宅配サービス、ベビーシッター、家事代行、買い物代行など「家ナカサービス」にも広げることが可能となる。

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  ◇       ◆     ◇

 前段は、ほとんどプレス・リリースをコピペしたものだ。スマホは、頼みもしないのに勝手に映し出されるニュースを観ることはあるが、使い方がよく分からないので電話・メール機能くらいしか利用しない記者にとって〝猫に小判〟だし、〝アプリ〟なるものが何者なのかよく分からないからだ。

 液晶画面に向かって指をせわしなく走らせ、叩いたり凝視したりしている人たちを観ると、狂っているのは小生ではなく、世の中だとつくづく思う。

 しかし、今回の同社の開発に掛けた熱意だけはよく伝わってきた。発表会に臨んだ同社住宅業務企画部長・細谷惣一郎氏と同部主事・橘嘉宏氏は、世界から「ガラパゴス」などと揶揄されるわが国の後進性を指摘したうえで、マスク越しなのでくぐもってはいたが、「総力を挙げた」「画期的」「新規ビジネス」「デベロッパーの役割」「日本メーカーを束ねる」「導入の前例は少ない」「自由自在」「指揮する」「旗振り」などの魅惑的な言葉が湯水のようにほとばしり出た。記者はあんぐりと口を開けることもできず、聞き入るほかなかった。

 「HOMETACT」の開発には二けたのスタッフが関わっており、アメリカのIoTプラットホーム会社の技術とわが国メーカーをつなぎ合わせるため東奔西走し、通常なら2~3年かかるのにわずか1年で実用化にこぎつけたという。

 新型コロナが猛威を振るっていた時期と重なることを想像すると、「総力を結集した」という言葉の重みがズンと胸を衝いた。

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 マンションモデルルームではデモンストレーションも行われた。この種の取材はこれまで何回もあるが、それぞれ製造したメーカーの機器・サービスしか使えず、汎用性がないのは欠点・致命的だとずっと思ってきた。質問してもまともに答えたメーカーはない。それを解決した今回のスマートホームは「画期的」なのだろう。

 ただ、ロボットに話しかけることだけは全く理解できない。記者は〝OK Google〟に直接年齢と性別を聞いたことがある。確か「申年」と答えたので5歳の女の子だと思う。そんなロボットに〝行ってきます〟〝ただいま〟と話し掛け〝行ってらっしゃい〟〝お帰りなさい〟と返されて、どこが楽しいのか、侘しくないか。

 起床の効果を狙うなら、在籍する会社の社長の声に勝るものはない。〝〇〇くん、朝だよ〟と呼び掛けられたら飛び起きるはずだし、起こされる前に目が覚めるのは間違いない。寝る前は、捨てられた女性がいい。耳元で〝〇〇さん、おやすみなさい〟と囁かれたたら、絶対朝まで眠れなくなる。

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デモンストレーション

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 記者が驚いたのは他にもある。三菱地所レジデンスの賃貸マンション事業「パークハビオ」は2004年の第一号から2021年9月末までの供給実績は94棟7,741戸に上るということだった。同業他社では三井不動産や東京建物の実績も凄いが、よくぞここまで積み上げてきたものだ。

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「ファーストリンクレジデンス」

 マリモと小田急不動産の市街地再開発マンション「ファーストリンクレジデンス」を見学した。小田急線厚木駅圏では15年ぶりのマンション供給で、競合するとみられる隣駅・海老名の物件を意識した価格の安さ(広さ)と仕様レベルが特徴だ。分譲開始は12月上旬。

 物件は、小田急小田原線・JR相模線厚木駅から徒歩1分、海老名市河原口一丁目の厚木駅南地区第一種市街地再開発事業地内の近隣商業地域(建ぺい率70%、容積率300%)に位置する敷地面積約6,191㎡、14階建で全201戸(販売戸数193戸)。専有面積は58.53~87.47㎡、価格は未定だが、坪単価は200万円を切る可能性が高いと見た。設計・監理は長谷工コーポレーション。施工は長谷工・馬淵建設共同企業体。完成予定は2023年4月末日。

 現地は、一戸建てや低層店舗などが混在していたエリアで、平成26年10月に準備組合が発足、令和元年6月、「厚木駅南地区市街地再開発組合」が認可された。両社は事業協力者として事業に参画している。 事業地内にはマンションのほか、商業棟、広場、ワーク・スペースラウンジなどが整備され、自走式駐車場は163台(うちマンション居住者用は144台)。

 マンションは2棟構成で、南向きと東南向き。住戸プランは平均74㎡で、主な基本性能・設備仕様はリビング天井高2500~2600ミリ、直床、ディスポーザー、食洗機、ハンズフリー玄関キーなど。共用施設にゲストルーム、ラウンジなど。

 販売を担当するマリモの販売事務所長・目崎真美氏は、「反響は約500件で順調に集客できています。仕事、家事、趣味、読書など目的によって間取りが変えられる当社独自の選べる『コモラボ』のほか、食洗機、ハンズフリー玄関ドアキーなどを装備しており、自走式駐車場もセールスポイントになるはずで、競合物件には負けません」と自信をみせている。

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ゲストルーム

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 記者は今年1月、「ポレスター昭和記念公園」168戸を見学しており、その商品企画レベルの高さに驚いた。分譲開始は昨年9月で、今年8月までに完売したというのも頷ける。

 今回は、それを上回るのではないかと期待していたのだが、はっきり言えば、やや物足りなさを感じた。87㎡の角住戸のモデルルームは、6800ミリのワイドスパンで、1.5畳大ワークスペースの提案がよく、いかにもマリモらしいプランだ。

 ところが、浴室ドアにはタオル掛けがなく、トイレはタンク付きで、洗濯機置き場には棚もついていなかった。どうしてか、目崎氏に聞いたら「設備仕様レベルはうちのほうが上」という答えが返ってきた。

 なるほど。最近のマンション市場は、価格のみがウナギ上りで、中身はサンマのように細る一方だ。商品企画はどんどん退行している。競合物件に合わせる戦略もありか。200戸規模でゲストルームがついている物件は少ないはずだ。

 競合物件の専有面積は平均70㎡で、食洗機はオプション、キッチン収納もソフトクローズ機能はついていないようだから、同社は1坪(3.3㎡)以上広くし、設備仕様レベルを競合物件に負けないようにし、しかもグロスは競合物件と同じくらいに設定して勝負する戦略だと読んだ。したがって、坪単価は競合物件の坪220万円より低い坪200万円を切る可能性もあると読んだ。

 追記。マリモがこれまで埼玉県鴻巣市、神奈川県秦野市など全国で20か所の再開発事業実績と、今回の物件を含めて5つの再開発事業に関わっていることを知らなかった。首都圏では千葉市の案件も近く始動するという。千葉市の物件に期待しよう。

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建設現場

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現場近くの相模川

平均75㎡ レベル高いマリモ「昭和記念公園」4カ月で半分以上の90戸超成約済み(2021/1/13)

 


 

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「リーフィアレジデンス橋本」(今年6月写す)

 小田急不動産、積水ハウス、神鋼不動産は11月1日、町田市橋本の大規模マンション「リーフィアレジデンス橋本」(425戸)を2019年12月に販売を開始して以来、2年を待たずに2021年10月までに完売したと発表した。累計問い合わせ数は約2,200件、来場者は約1,280件で、予定を前倒しして全戸を契約完売したとしている。竣工は2021年4月。

里山を所有し維持管理も行う 小田急不他「橋本」に高い評価 バス便の難点克服(2021/6/24)

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「アンビシャス府中武蔵野台」

アンビシャスが竣工販売を開始した「アンビシャス府中武蔵野台」を見学した。駅から徒歩12分の全35戸で、京王線沿線の調布駅から府中駅まで物件の数にして十数物件、戸数にして1,000戸くらいが供給されている大激戦地で、坪単価250万円の安さと、他にはない住環境を〝売り〟に挑戦する。

物件は、京王線武蔵野台駅から徒歩12分、府中市押立町三丁目の第1種中高層住居専用地域に位置する6階建て全35戸。第1期(9戸)の専有面積は66.0069.57㎡、価格は4,390万円~5,840万円、坪単価は250万円。竣工は1029日。設計・監理は谷口建築企画一級建築士事務所。施工は菊池建設。

現地は、イチョウ並木が美しい白糸台通りと緑道に面した二方角地。徒歩10分圏内に大小11の公園があり、保育園・幼稚園、小・中学校、商業施設も近接。多摩川へは徒歩15分。

主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高24002500ミリ、ホーローキッチンパネル、食洗機、浴室ボーダーフルミラー・調光LED照明など。

販売を担当する同社事業部兼営業推進部次長・鈴木好美氏は「反響は100件弱。大激戦のエリアですが、どこにも負けない自信があります。お客さんから『他のマンションと比べ、ものが違う』と仰っていただいています」と話している。

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白糸台通り

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エントランス

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住民自身がそう思っていないのに、商・住・工混在の街を「本当に住みやすい」と祭り上げ、根拠などまるでないのに〝マンションは駅から7分以内は買うな〟と売らんがための本を出版しようと勝手だが、それに対して異を唱えるのも記者の勝手だ。雨垂れ石を穿つ-そんな流言飛語が通用しなくなるまで小生は徹底して批判し続けるつもりだ。

なぜか。私事だが、バブルが発生する前、上の子どもが小学校1年生、下が1歳のときだ。賃貸住宅が手狭になったので、都内の郊外マンションを〝購入〟した。かなりの倍率だった。建物が完成し、内覧会も済ませ鍵ももらった。

入居まで1か月の夜中。いつものように酒を飲んでいた。突然上の子が起きだし〝お父さん、友だちと別れるのは嫌だ〟と泣きじゃくった。夢でも見たのだろうと思ったが、これには堪えた。購入をキャンセルした。もちろん手付金も放棄した。
 あのときの選択が正しかったのかどうかよく分からないが、子どもの通学のことを最優先に考えるのはどこの家庭でもそうではないか。多摩センターを選択したのも、歩車が完全に分離されており、学校の行き帰りに交通事故に遭う心配が全くなく、緑環境が素晴らしいのを知っていたからだ。

さて、今回の「武蔵野台」。現地は、これまで何度か取材しているのでよく知っていた。駅から少し坂はあるが、白糸台通りの道幅・歩道は広く、樹齢数十年のカエデ、イチヨウ並木が延々と続いている。

現地は、その美しいイチョウ並木と緑道に面した角地だった。販売担当の鈴木氏と通学区である小学校と中学校方面に向かって歩いた。ここにも素晴らしいケヤキ、ヤマモモ(雄株か雌株か不明)、コブシ、その他の高木が植わっており、舗道はインターロッキング舗装。車は少なく、信号は1、2か所あっただろうか。真夏でも木陰の中を通って通学できるはずだ。畑もあった。子育て環境はこれ以上望めないほど整っていた。徒歩10分圏に大小11の公園があるのにはさすがに驚いた。多摩川にも徒歩15分だ。

いまマンション業界は「駅近」「賑わい」の〝カエル(買える)〟の大合唱だ。デベロッパーはどこも都心への交通便、生活利便施設の充実度を物件広告でアピールする。同社も今回「行政サービス水準総合1位」、隣接他市との比較において「公園数1位」「保育園数1位」「図書館数1位」「病院数1位」などと謳っている。

これはこれで必要なことだと思うが、マンション選好基準にもう一つ「緑被率」「みどり率」(緑環境)を加えていただきたい。「みどり率」とは、地域全体に占める緑が地表を覆う部分に公園区域・水面を加えた面積割合のことで、東京都全体では52.5%で、区部に限ると24.2%だ。府中市のみどり率は39.8%(多摩市は53.9%)と高い数値を示している。

冒頭に書いた「本当に住みやすい街」ナンバーワンの街の緑被率は13.8%だ。1人当たりの公園面積は3.2㎡で、府中市の7.1㎡(多摩市は16.2㎡)の半分以下だ。「緑被率」「みどり率」の視点からみれば最悪の街ということになる。つまり、ものごとは裏返して観ることが必要で、メディアが無批判にこの種のフェイクニュースを鵜呑みにするのは自殺行為だ。

かなり脱線した。「武蔵野台」の話に戻す。基本性能・住戸プランは、当然でもあるが、全部で7タイプあるうち角住戸の4タイプが優れている。68㎡のEタイプはワイドスパンで7面採光、69㎡のFタイプは8面採光だ。
 共用部では、エントランスラウンジの坪庭付き群青色デザインタイル、エレベータ基内の布張りが印象的だ。

敷地南側前方に走っている中央自動車道の騒音が心配だったが、防音壁があるためか、窓を開けても気になるほどでもなく、窓を閉めれば全く聞こえない。住戸によっては富士山も展望できるという。

冒頭にも書いたが、成否のカギを握るのは買えない・買います・買う・買うとき・買えば・買えのカエルの大合唱に抗して、「緑被率」「みどり率」(緑環境)の価値をどれだけユーザーに訴えられるかだろう。

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現地近くの緑道

「ローカル」の大事さ浮き彫りSUUMO「住み続けたい街ランキング」(2021/10/6)

不快な臭い芬々 〝住みやすい〟街ランキング調査 無聊をかこつ記者のつぶやき(2020/12/14

 

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 不動産流通研究所の10月29日付「R.E.poot」は「首都圏の3LDK新築マンション、面積徐々に縮小」の見出しを付け、次のように報じている。

「東京カンテイは28日、全国主要都市における2000年以降の3LDK新築マンション専有面積の推移を調査、分析結果を公表した。

 首都圏における20年(9月まで)※の3LDKマンションの平均専有面積は、東京23区75.05㎡、横浜市71.39㎡、さいたま市70.15㎡、千葉市71.98㎡。タワーマンション等で面積の広いプレミアム住戸が設定されるケースも多いことから、23区が最も広かった。他の3都市は60㎡台目前となっている」

 ここまで読んで、記者は何かの間違いではないかと思った。「LDK」は単に居室の数のみを表示するもので、専有面積と「≠」ではないとはいえ23区の3LDKが最大であるはずがないと。

 続けて「R.E.poot」は次のように書いている。

 「東京23区の面積帯別構成比率の推移をみると、50㎡台以下が1.1%(20年通年比0.1ポイント低下)、60㎡台前半が7.1%(同0.8ポイント低下)、60㎡台後半が24.2%(同3.2ポイント上昇)、70㎡台前半が38.7%(同4.7ポイント低下)、70㎡台後半10.8%(同1.0ポイント低下)、80~90㎡台12.4%(同2.6ポイント上昇)、100㎡以上5.7%(同0.6ポイント上昇)」

 この部分だけ読むと、80㎡以上の供給が増えているほかは全て減少しているので、23区の3LDKが他市より広いのは、この80㎡以上の3LDKをカウントしているからだろうと判断した。

 参考までに紹介すると、建築基準法には居室(LDKも含む)の広さに関する規定はなく、あるのは床面積の7分の1以上の採光のための開口部や窓を設けること、換気のための開口部の面積を床面積の20分の1以上確保すること、天井高を2100ミリ以上とすることのみだ。

※「20年(9月まで)」とあるのは「21年(9月まで)」の誤り

◇      ◆     ◇

 まさか東京カンテイがそのようなデータを公表するわけがないと思ったので、元データに当たった。記者の推測通り、「R.E.poot」の報道は正確ではなかった。東京カンテイのレポートは次のようにある。

 「東京23区における専有面積別の新築マンション供給シェアの推移を見てみると、直近にかけては70㎡台(特に広めの「70㎡台後半」)のシェアが縮小する一方で、「60㎡台後半」の存在感が増している。プレミアム住戸に該当する「80㎡台~90㎡台」と「100㎡以上」の合計シェアは10%程度まで縮小する時期もあるが、この10年間では概ね15%~20%の水準を維持している」

 つまり、70㎡台のシェアが縮小し、「『60㎡台後半』の存在感が増している」(存在感が増すとは「幅を利かす」という意味だろう)ということだ。なのに、3LDKの面積は23区が最大となっているのは、前段で書いたように「≠」の専有面積とLDK表示を機械的に処理しているからだ。

 では、10年以上前の23区の専有面積はどうだったか。リーマン・ショック前の2004年⇒2021年(9月まで)の供給比率は、50㎡以下0.5%⇒1.1%、60㎡台前半4.5%⇒7.1%、60㎡台後半11.2%⇒24.2%、70㎡台前半26.2%⇒38.7%、70㎡台後半24.4%⇒10.8%、80㎡台~90㎡台29.3%⇒12.4%、100㎡以上3.9%⇒5.7%だ。全体として専有面積が大幅に縮小していることが読み取れる。横浜市も同様で、専有面積圧縮は著しい。

 面積と価格は不可分なので東京カンテイのデータを紹介すると、2010年の首都圏マンションの平均専有面積は65.40㎡で、平均坪単価は202万円だ。2020年の専有面積は61.09㎡へ6.6%(2.6畳大)縮小しており、坪単価は202万円から328万円へ62%上昇している。

 問題は面積と価格だけではない。肝心の基本性能・設備仕様も大きく後退している。例えば敷地面積、用途地域、免震、二重床・二重天井、リビング天井高、外階段側のアウトフレーム、アルコーブ付き、スロップシンク、御影石キッチンカウンター、食器棚、床暖房、食洗機、ミストサウナ、突板フローリング、ワイドスパン…。

 東京カンテイにはこれらも調査して公表していただきたい(データは持っているはず)。価格と面積、基本性能・設備仕様は切り離して語れないはずだ。

カテゴリ: 2021年度
 

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