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2026/02/17(火) 05:50

「HARUMI FLAG」都と事業者で利益折半へ 利益増は1,000億円(双方500億円)か

投稿者:  牧田司

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「HARUMI FLAG」

 東京都が事業者と平成28年4月から開発を進めてきた「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」(以下「HARUMI FLAG」)が令和7年10月に事業完了し、当初、譲渡計画に盛り込まれていた「著しく利益が上がった場合は、譲渡金額について協議する」条項に基づき、協議することが確定した。都は、協議の開始は2027年4月以降で、事業者からの報告を受けて、当初予定額の1%を上回った利益について折半することでスケジュール調整に入ったことを明らかにした。

 現段階では、当初予定額からどれだけ利益が上回ったかは不明だ。以下は、記者の予想だ。外れたかと言って責任は取らない。当たるかどうかは半々だと見ている。

 まず、当初の事業概要から。「HARUMI FLAG」の施行者は東京都(個人施行)で、施行地区は中央区晴海五丁目の一部、施行面積は約18ha。事業費は約540億円(土地売却価格は約130億円、1種当たり単価は約8万円)。三井不動産を筆頭とする特定建築者が24棟、5,632戸の分譲・賃貸マンションを建設した。マンションは2020年開催される予定だった東京オリンピック選手村として、都が一時的に事業者から賃借することになっていたが、コロナ禍で大会が1年伸びたことから、分譲も1年延期された。

 都と事業者が交わした譲渡契約の内容は分からないが、記者は、土地代と当時の建築費などから分譲坪単価は250万円とはじき出した。この価格には絶対的な自信がある。週刊文藝春秋がその後、譲渡契約書を入手し記事にしているが、分譲予定単価は248万円になっていたはずだ。

 さて、では、事業者はどれだけの利益を上げたか。2021年の第1期分譲の坪単価は300万円だった。この時点で記者は、利益折半になるのは間違いないと読んだ。2023年に最終分譲されたタワー棟の坪単価は420万円だった。これらから推測して、全分譲マンションの平均単価は坪350万円をくだらないとみた。つまり、当初予定坪単価250万円から最終的には100万円以上上回ったのではないかと思われる。

 「HARUMI FLAG」は、分譲と賃貸を合わせて5,632戸のほか、商業施設、保育施設、介護住宅も整備しているので、総売上高が読めないし、販売延期による経費増、資材高騰、人材確保などのコスト増などからどのあたりに着地したのかよくわからない。

 よくは分からないのだが、トータルでは当初予定の4,000億円くらいから5,000~6,000億円になったと予測する。粗利益率は25%くらいではないか。これらを勘案して、利益増は好きなく見積もって1,000億円ではないかと。つまり500億円ずつで山分けすると見た。

 東京都の年間予算は9兆円超なので500億円は1%にも満たないが、約77万世帯数で割ると1世帯当たり6.4万円になる。小池都知事は批判をかわそうと、苑一部を全世帯に余剰金として配布することもありうると見た。

 都とデベロッパーとの間に当初交わされた譲渡契約で「著しく利益が上がった場合は、譲渡金額について協議する」条項について、小池百合子都知事は2019年7月26日の記者会見で、記者団の質問に次のように答えている。

 「この条項については、全ての住戸の引渡しが完了しまして、収益が確定した時点で分譲予定収入、1%を超える増収があった場合には、敷地譲渡金額の変更について協議することといたしておりまして、その増収分については、経費などを除いて折半するという確認書を今年の5月に事業者側と取り交わしたということで…」

 つまり、全住戸の販売が完了・引き渡しが終了した時点で、当初提出された計画より売り上げ・利益が1%以上上回ったら、その利益を折半するとした。

◇      ◆     ◇

以下に、「HARUMI FLAG」に関する記事約30本を紹介する。いま読み返しても、それぞれの社会状況、マンション市場からして間違った記事を書いてこなかったと思う。

2016年に都が総額約130億円で事業者に用地を売却したのには驚き、「売却価格は公示地価の10分の1」と書いた。当時は日経のWEB・住宅サーチにも記事が転載されていたので、アクセス数は56万件に達したはずだ。記事は独り歩きし、何の断りもなしにあちこちに転載されたのにはうんざりした。

土地売却価格から分譲坪単価を250万円と予想したのはかなり勇気がいったが、住宅供給戸数5,632戸(分譲4,14戸、賃貸1,487戸)の多さからして妥当な値付けだと判断した。「地価公示の10分の1以下という安値で売買されたのであるから、デベロッパーはそれに見合う適正価格で分譲し、土地値が安い分だけ購入者に還元すべき」という考えは間違っていなかったはずだ。

裁判については記事を読んでいただきたい。何度か傍聴したが、罵詈雑言の応酬にうんざりした。原告は官製談合と批判するのであれば、証拠を示すべきだったし、被告もまた〝特殊ケース〟を繰り返すのみで、分かりやすい説明を行わなかった。記者なら「都民に買いやすい価格で分譲することのどこが悪い」と居直る。

コロナ禍で販売が1年延長になったときは、記者の基本である〝記事は足で書く〟ことができなかったので、とても苦しかった。オリンピック終了後に分譲された第1期の坪単価が約300万円になった時は、事業者は「利益折半」に舵を切ったと判断した。

引き渡しが伸びたことから、契約者から裁判提起されたが、「天変地異の免責特約」があり、原告が勝訴することはありえないと思った。

マンションの商品企画は最高に素晴らしい。デザイン監修した光井純氏に約1時間にわたってオンラインでインタビューした。光井氏は、「仮に一般的な都市開発として都があの土地を売却したとすれば、分割され、ばらばらに開発されていたかもしれません。選手村として使われるという運命が『HARUMI FLAG』を実現させた。このような街は今後出てくる可能性は極めて少ないと思います」「『浜田山』『「HARUMI』もそうですが、〝他にはない〟〝ずっと住み続けたい〟と思える未来の世代のために良質な住環境を残していきたい。その場所にしかない、美しい花を咲かせたい」と述べた。

また、記者との「美」についてのやり取りでは、「花はがけ地、水辺、森の中とか、それぞれの場所の制約の中で一生懸命咲いています。それぞれが美しく、どれが一番だと比べることはできません。建物も同様に、敷地の特性、気候、場所の文化や歴史などをしっかりと研究しながら建築家が様々な思考を巡らせ時間をかけて取り組んだら、それぞれの場所でその場所でしか咲かない美しい花になれるのだと思います」と語った、

この記事は今でも燦然と輝いている。読まれていない方は是非読んでいただきたいし、現地を見ていない方は是非見学していただきたい。50年近くマンションを取材してきたが、これほどランドスケープデザインが優れたマンションは他にない(「浜田山」も素晴らしいが)。今後も分譲されないだろう。神宮外苑の再開発に反対している方々にも現地に足を運んでいただきたい。プロジェクトを主導したのは三井不だ。いろいろ問題はあるが、三井不は、神宮外苑も「HARUMI FLAG」に負けない街づくりをすると記者は信じて疑わない。

「投資目的」について。記者は、公的資金が投入されている再開発事業などは分譲当初から契約事項に「専ら居住」を義務付け、合理的理由なしに売却することに制限を設けるべきだと思っていた。〝投資目的〟が問題になるのは当然だ。過去にもこのような事例はたくさんある。ただ、ことさらに〝外国人〟をやり玉に挙げるのは明らかな差別だ。外国人であろうと日本人であろうと、守るべきなのは法律・ルールだ。

「事業比率」について。事業者は各社の比率を公表していないが、「利益折半」は事業比率通りに按分されるのか。幹事の三井不も比率はそんなに高くないはずだ。事業貢献度からして、もっとインセンティブを与えてもいいのではないか。

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