野村不の再開発タワー「musako」(武蔵小金井)は「musako」(武蔵小杉)を越えたか
「プラウドタワー武蔵小金井クロス」完成予想図
野村不動産は2月26日、JR武蔵小金井駅前の全716戸の再開発タワーマンション「プラウドタワー武蔵小金井クロス」の記者見学会を行った。約9割を同社が所有するショッピングセンターのほか、医療施設、子育て支援機能を併設する複合物件で、様々な共用施設や設備を備えることで、ファミリー、共働き世帯、単身世帯、アクティブシニアなど多様なニーズに応える。販売開始は3月9日。
物件は、JR中央線武蔵小金井駅から徒歩3分、小金井市本町六丁目に位置する24階建て(イースト)と26階建て(ウエスト)の2棟全716戸(うち非分譲の地権者住戸103戸含む)。専有面積は34.03~112.42㎡、価格は未定だが、坪単価は370万円の予定。入居予定は2020年6月中旬。施工は清水建設。
現地は、10年前に完成した駅南口の第一地区再開発エリアに隣接しており、今回の再開発と合わせ約5.2haの中央線沿線過去最大級の規模。建物は制震構造を採用。
主な共用施設は、スカイワークサロン、ライブラリー&カフェラウンジ、フィットネススタジオ、635(ムサコ)ベースなど。また、地域のコミュニティ形成を支援する開かれた空間としてアトリエコモレビ、ムサコヒロバ、ムサコテラスも整備する。
主な基本性能・設備仕様は、天然石キッチンカウンタートツプ、ディスポーザー、食洗機、木製リビングドア、天井高2.5~3m、Low-Eガラスのコーナーサッシ、ミストサウナなど。
販売責任者の同社・平野拓也氏は、「戸数も開発規模も中央線沿線過去最大級。タワーマンションは活況を呈しており、当社の価格についてはお客さまから『安い』という評価を得ている」と話した。
これまで約2,700件の問い合わせがあり、来場者は約950件。
アクアラウンジ
サイクルベース
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絶妙な値付けだと思う。中央線だからひょっとしたら坪単価380万円もあるかなと思ったが、坪単価370万円と聞いたとき〝なるほど〟と得心した。「東雲」と同様、最近の同社は高値を追求しない。賢明だ。
第1期の供給戸数は200戸くらいではないかと予想したら、「百数十戸くらいは行きたい」(平野氏)とのことなのでこれもぴったりだ。
シアター、パンフレットなどを見て、いつもながら宣伝の巧みさに感心した。平野氏は何度も「中央線初」と話した。父子の絆をホームドラマ仕立てにしたシアターも流れた。
ここ数年、このような〝泣かせる〟シアターばかりを見せつけられているので辟易しているのだが、来場者にしてみれば、これが新鮮に映るのかもしれないし、そしてまた、「Rest Tokyo」「私を、休もう」「武蔵野で、休もう」「始発通勤で、休もう」などと別刷りの小冊子「Pause」で繰り返されたら、「musako」(武蔵小金井をそう呼ぶらしい)こそ、終の棲家に思えてくるのではないか。
「musako」について。小生は全然知らなかった。「武蔵小杉」も「武蔵小山」も「musako」と呼ぶらしい。発音を聞いたら「ko」は語尾を下げるのだそうだ。
記者などは小さいころ、「夕鶴」の「tsu―」(司のtsu)としか呼んでもらえなかったので、語句を短縮するのは好きになれない。「タワマン」などまず書かないし、少し前、「ワーママ」なる言葉が業界紙の見出しに使われていたのに仰天した。
「musako」ついでだ。平野氏は「私は神奈川出身なので『musako』は武蔵小杉のことだと思っていた」と話したが、平野氏は「もう間もなく完売する」「プラウドタワー川口」も担当しており、記者が取材したとき「川口は〝埼玉の武蔵小杉〟と言われています」としゃべった。
単価は「musako」(武蔵小杉)を越えたか。だが、しかし、個人的には「musako」をベンチマークにするより坪単価400万円の勢いのある「kitasen」(北千住)に注目したほうがいいと思う。わが「tamasen」(多摩センター)だって「musako」(武蔵小金井&武蔵小杉)より富士山は圧倒的に近い。
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商業施設を同社が所有するのは、商業を強化するためだと平野氏は話した。隣接のイトーヨーカ堂との競合について聞いたら、「ヨーカ堂の面積は16,000~18,000㎡だが、当社は日用品中心なので競合はしない」と語った。街の適正店舗面積はまったく分からないが、多摩センターのほうがはるかに大きいのでは。
スカイワーク
第1期174戸が即日完売 三井レジ・東急不「コスギ サード アヴェニュー」(2018/12/4)
長谷工コーポ 賃貸〝ブランシエスタ〟第4弾「白山」完成 入居前に70%に申し込み
「ブランシエスタ白山」
長谷工コーポレーションは2月25日、同社の賃貸マンション〝ブランシエスタ〟シリーズ第4弾「ブランシエスタ白山」が完成したのに伴う記者内覧会を行った。多様なニーズに応えるためコンセプトルームを8つも用意した企画がヒットしたのか、3月初めの入居を前に全63戸のうち44戸(70%)に申し込みが入っている。
物件は、都営三田線白山駅から徒歩6分、文京区白山一丁目の白山通りに面した内廊下方式の14階建て全63戸。専用面積は34.74~57.44㎡、月額家賃は154,000~277,000円。貸主は長谷工ライブネット。施工は長谷工コーポレーション・不二建設。
それぞれ入居者特性を考慮したコンセプトルームをFRENCH(13戸)、JAPANESE(4戸)、CAFETERIA(10戸)、BAR STYLE(7戸)、LUXURY(5戸)、CALIFORNIA(7戸)、DISPLAY LIGHT(12戸)、DISPLAY DARK(7戸)用意している。
主な設備仕様は、リビング床暖房、食洗器、ミストサウナ、アクアネオ(シャワーパネル)、フィオレストーンキッチン天板、エコカラット壁(一部除く)など。
内覧会に臨んだ同社執行役員・大門栄城氏は、「今回第4弾となる物件の用地取得は2015年。分譲マンションのクオリティと賃貸の自由度を兼ね備えた、これまでとは一味も二味も異なるハイグレードマンションに仕上げた。今後も第9弾まで予定に入っており、賃貸マンションを中心とする保有資産は1,000億円に積みあがってくる」などと語った。
FRENCH
LUXURY
JAPANESE(タタミがうまく写っていないのが残念)
CALIFORNIA
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記者は分譲が中心なので、利回りを5%として分譲価格に置き換えた。ならすと坪単価は430万円くらいになった。
相場より高いような気もしたが、それでも申し込み率が入居を前にして70%というのは企画がよかったからだろうし、コンセプトルームのデザインを担当したのは同社エンジニアリング事業部デザイン室2チームのチーフデザイナー・佐々木美枝氏の貢献度は高い。
コンセプトルームは、それぞれ好みがあるので何とも言えないが、記者が気に入ったのは居住面積57.44㎡のうちリビングなど半分以上をタタミ敷きにした意表をつくJAPANESE(4戸)だった。ただ、畳表は化学タタミというのはどうか。本物の藺草だったら度肝を抜かれるのに残念。冒険だろうが、分譲でもやってはどうか。気に入る人はいるはずだ。
このほか、個性的なドア把っ手を採用したFRENCH、有孔ボードを多用したDISPLAY LIGHT、DISPLAY DARK、サインボードやタイル壁でカフェの雰囲気を醸し出したCAFETERIA、男性の入居を想定した落ち着きのあるBAR STYLEも目についた。照明、トイレにもかなり力が入っていた。キッチン収納扉が紫色の鏡面仕上げのLUXURYは面食らった。紫色はお金持ちが好む色のようだが、品のある人は着ないのでは。どちらかといえば成金か。貧乏人の記者の趣味ではない。
佐々木氏は、分譲マンションでもたくさんモデルルームのデザインを担当されているようなので、見学してレポートしたい。
CAFETERIA
DISPLAY LIGHT(左)とDISPLAY DARK
BAR STYLE
住友不 高級賃貸〝ラ・トゥール〟「渋谷神南」「渋谷宇田川」完成
「ラ・トゥール渋谷宇田川」
住友不動産は2月22日、高級賃貸マンション「ラ・トゥール」シリーズの「ラ・トゥール渋谷神南」と「ラ・トゥール渋谷宇田川」の竣工見学会を行った。前者はNHKや明治神宮、代々木公園の借景が素晴らしく、より渋谷駅に近い後者は免震構造のオフィスと合築で、空地率が半分くらいあるのが特徴。双方とも平均坪賃料は3万円くらいになる模様だ。ともに総合設計制度の適用を受けている。
「渋谷神南」は、JR渋谷駅から徒歩10分、渋谷区神南1丁目に位置する敷地面積約775㎡、延床面積約6,966㎡の22階建て全54戸。専用面積は73.68~130.28㎡。竣工は2019年1月8日。容積は500%から650%へ緩和されている。
「渋谷宇田川」は、JR渋谷駅から徒歩7分、渋谷区宇田川町に位置する敷地面積約5,226㎡、延床面積約37,942㎡の免震構造21階建て総戸数40戸(権利者住戸17戸含む)。専用面積54.31~126.22㎡。竣工は2019年2月28日。容積は400%から550%へ緩和されている。
「ラ・トゥール」は、2000年に竣工した「代官山」を皮切りにこれまで25棟・約3,400戸を所有。平均専有面積は100㎡以上、平均賃料は約60万円。入居者は企業経営者、外資系企業駐日役員、各界著名人など。ほとんどが満室という。
見学会に臨んだ同社賃貸住宅事業部長・堀慎一氏は「今期、当社は6物件760戸の賃貸を完成させ、トータルで5,000戸を突破する。そのうち約7割、3,500戸を占める都心立地に絞った『ラ・トゥール』は今回の渋谷の2物件のほか、『京都東山』『札幌伊藤』の地方も初進出する。20年前の第一弾の『代官山』を供給したころは外国人の比率が高かったが、最近の外国人比率は2~3割で、日本の富裕層の比率が高まってきている。マーケットの拡大、すそ野の広がりを感じる。渋谷はこれまで高級賃貸が少なく、賃料水準は著しくあがってきている」などと語った。
「ラ・トゥール渋谷神南」
「ラ・トゥール渋谷神南」眺望
「ラ・トゥール渋谷宇田川」眺望
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同社の「ラ・トゥール」を見学するのは10年ぶり。平均賃料が約60万円で、約3,400戸が満室というからすごい。
今回の「渋谷神南」は旧マンションで、標準階フロア3戸すべてが角住戸。天井高は2.65m以上。22階の128㎡の住戸の賃料は130~140万円になるというから、坪賃料は3.5万円くらいか。利回りを5%ととすると、分譲マンションの坪単価に換算すると850万円くらいになる(三井不動産レジデンシャルの定借「渋谷タワー」は坪単価900万円を突破しているのではないか)。北側住戸の眼下にはNHK、明治神宮、代々木公園などが見渡せる。
賃料は「神南より気持ち高くなる」(関係者)「宇田川」は、総合設計制度の適用を受けているのか、大きな公開空地を設けており、免震構造を採用。18階以上が賃貸となる。17階には200㎡を超える屋上庭園が設置されている。17階まではサイバーエージェントの「アベマタワーズ」が入居する。
よくもこんな広い土地が残っていたものだと聞いたら、スタジオなどかあったところで同社は10年くらい前から地権者などと協議を進めてきたという。
「ラ・トゥール渋谷宇田川」
「ラ・トゥール渋谷宇田川」
「ラ・トゥール渋谷宇田川」屋上庭園
狭小敷地だがプランは抜群 いくらになるか モリモト「ピアース旗の台」
「ピアース旗の台」完成予想図
モリモトが3月末に分譲するコンパクトマンション「ピアース旗の台」の現地を見た。駅から3分、ワイドスパンが特徴。価格は全く見当がつかない。皆さん、考えていただきたい。
物件は、東急大井町線・池上線旗の台駅から徒歩3分、品川区旗の台二丁目の商業地域・第一種中高層住居専用地域に位置する敷地約384㎡、11階建て全48戸。専有面積は20.91~53.71㎡、価格は未定。完成予定は2020年2月中旬。設計・監理はスペーステック一級建築士事務所。デザイン監修は南條設計室。施工は小川建設。
現地は、駅北口から商店街を通って、中原街道との交差点を左に曲がった角地。敷地南側は3階建てくらいまでの一戸建てや共同住宅・ビルが建ち並んでいる。建物は1フロア3~5戸。アウトフレーム、内廊下、最大約10.6mのワイドスパンが特徴。
35㎡のプラン(中住戸でもスパンは約5.1m)
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この前、みかんの値段をかみさんに問われ「20~30円」と答えたら「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と怒られた。
まあ、みかんの値段が分からなくても大勢に影響はない。しかし、マンション記者が現地を見てモデルルームを見て価格が分からなければおしまいだ。だから、「価格は未定」でもいつも単価予想をする。
だが、しかし、このマンションの値段は予想がつかない。決定的(と記者は思う)な難点があるからだ。これまで〝ピアース〟はたくさん見てきたが、敷地面積が100坪強という規模はほとんど前例がないのではないか。北側の中原街道に面しているのもマイナス要因だ。高速に面し、坪単価300万円台の前半だった「ピアース初台」が売れたのには驚いたが、敷地はもっと広かった。
プラス要因はある。さすがモリモト。スパンは30㎡でも約5.1m、35㎡で約6.0m、53㎡は約8.6m確保していることだ。これは他社も真似ができない。
デザイン監修に南條設計室・南條洋雄氏を起用しているのもプラス要因。狭小敷地のマンションに著名な建築家を起用するデベロッパーなどまずいない。南條氏はパンフレットで「周辺と調和するのではなく、この地の新たなシンボルとなるようなスタイリッシュかつ主張的なファサードを目指します」と書いている。
さらにもう一つ、昨日書いた「木になるリニューアル」駅舎はマンションの坪単価に換算して1万円の価値はあるのではないか。
さて、価格。コンパクト事業担当の方々にお聞きしたい。いったいいくらなら売れるか、みなさんはいくらに設定するか。
近隣には事例がないと思うが、坪単価320万円くらいの三菱地所レジデンス「ザ・プレミアスカイ品川中延」、坪単価352万円の旭化成不動産レジデンス「アトラス品川中延」はよく売れた。地所レジの「不動前」はいくらなのか。
他のコンパクトでは、立地に恵まれ、高額以外は瞬く間に売れた三井不動産レジデンシャルの「幡ヶ谷」は坪単価400万円だった。
ヒントを一つ。モリモトの関係者は「うちはどこと戦っても負けない(商品企画だけでなく価格もという意味か)」と豪語していることだ。先月書いた「72㎡より64㎡のほうが有効面積は広い〟ワイドスパンで差別化 モリモト『高津』(2019/1/28)」の記事と合わせて読んで頂きたい。
野村不動産 豊島区新庁舎東側で再開発タワー248戸 着工
「東池袋四丁目2番街区地区第一種市街地再開発事業」完成予想図
野村不動産は2月19日、特定業務代行者として参画している「東池袋四丁目2番街区地区第一種市街地再開発事業」の工事を2月12日付け着工したと発表した。
建設地は、東京メトロ有楽町線東池袋駅から徒歩1分の敷地面積約2,665㎡。建物は36階建て延べ面積約31,192㎡全248戸。竣工予定は2022年3月。事業コンサルタントは日建設計。設計・監理は日建設計・日建ハウジングシステム。施工は前田建設工業。
同事業は、2012年10月に準備組合設立、2017年3月に都市計画決定、2017年10月に再開発組合の設立認可を受け、今回着工したもの。木造住宅が密集し細分化された地区内の宅地を共同化し高度利用することによって、地区全体の不燃化を促進し、建物の1~3階部分に店舗、子育て支援施設などを整備する。
現地は、豊島区新庁舎の東側エリアに位置。同社が参画している「東池袋五丁目地区第一種市街地再開発事業」(「プラウドタワー東池袋」)にも近接。
東急不ほか 全1,152戸の「豊洲」事業説明会に40名超の報道陣 〝愛〟に反応
「ブランズタワー豊洲」完成予想図
東急不動産(事業比率55%)、NIPPO(同25%)、大成有楽不動産(同15%)、JR西日本プロパティーズ(同5%)は2月18日、江東区豊洲五丁目で開発を進めている「豊洲地区1-1街区開発計画」のタワーマンション「ブランズタワー豊洲」に関する事業説明会を行った。メディアの関心が高いのか、40名を超える記者が駆け付けた。
物件は、東京メトロ有楽町線・ゆりかもめ豊洲駅から徒歩4分、江東区豊洲五丁目に位置する48階建て全1,152戸。専有面積は43.41~219.44㎡、価格は未定で、3LDKで8,000万円台の予定。竣工予定は2022年10月。施工は熊谷組。販売開始は今年10月上旬。6月にモデルルームをオープンする。
現地は、約2.4haの東京ガスの元所有地で、2014年に東急不動産が取得。その後、冒頭の3社と共同で開発することとなった。敷地内には、マンションのほか生活利便施設、保育所が設置される。また、敷地の一部は江東区に小学校用地として譲渡されている。
計画では、敷地に隣接する「東電堀」の水辺資産を取り込んだ約7,950㎡のプロムナードを整備。また、地域の継続的賑わいや活性化・価値向上に貢献するためエリアマネジメント手法を採用し、事業主がサポートする管理組合が主体の一般社団法人を設立する。財源には区分所有者からの会費とテナントへの賃貸料を充当する。
説明会で東急不動産執行役員住宅事業ユニット首都圏住宅事業本部本部長・大谷宗徳氏は、「戸数は当社としては過去最大級。都心で『タワー』とつけるのも初めて。今秋より販売を始めるが、海に面した立地、敷地計画、利便性からいっても競合に負けない。即日完売を目指す」と語った。
記者団の価格についての質問に、同部マンション開発第二部統括部長・武田敬氏は、「現段階では、3LDKで8,000万円台とまでしか公表できない。『月島』(三井レジ)がベンチマークになる。あと半年あるのでよく精査したい」と語るにとどめた。
空撮
プロムナード
左から大成有楽不動産マンション事業本部長・糺幸男氏、大谷氏、NIPPO執行役員 開発事業部長・真田昭彦氏、JR西日本プロパティーズ執行役員不動産開発部長・前久司氏
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「晴海シビックセンター」に設けられた事業説明会場に入ったとたん、報道陣の数の多さにびっくりした。大谷氏も「これだけたくさんの方が集まるとは予想していなかった」と切り出したほどだ。どれだけ多いか説明しないと分からないので、少し書く。
昨年10月に行われた「HARUMI FLAG」説明会に参加した記者は約100名だった。ここには数では負けるが、事業主の数は「「HARUMI FLAG」は11社だ。今回は4社だから、1社あたりの数では「豊洲」の勝ちだ。
今年に入って三菱地所レジデンスが立て続けに行った「本厚木」「高輪」「北千住」の記者見学会の参加者も多くて20数名だった。吉田社長、隈研吾氏も出席した画期的な「CLT」発表会だって40名はいなかったような気がする。
過去にさかのぼったらどうか。記憶は定かでないが、あるいは6年前の三井不動産レジデンシャル「千代田富士見」と東京建物ほか「池袋」、5年前の東京建物「目黒」などが上回っていたかどうか。住友不動産が10年くらい前に行った見学会には50名集まったのは知っている。広報責任者が「うちは動員力があるんだ」と豪語したからだ。
よって、記者の記憶に間違いがなければ、今回は10年ぶりの記者動員力ということになる。間違っていたら謝るほかない。
しかし、皆さん、昔はもっとすごかった。17年前の8社JV「東京ツインパークス」は100名集まった。1社当たり12.5名だからこれが近年の記録かもしれない。
馬鹿なことと思うかもしれないが、それだれ最近のデベロッパーのマンション記者見学会への動員力は落ちているし、メディアの〝見る目〟はどんどん退化・劣化している。
なので、今回、これだけたくさんの記者を集めた関係者に拍手喝采したい。同社の「四番町」も「一番町」もこれほど集まらなかったはずだ。
説明会場(晴海シビックセンター)
建設現地(向こうの高層マンションは晴海)
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ここからが本題。いちばん知りたかったこと、聞きたかったことだ。商品企画と価格だ。
記者は、三井不動産レジデンシャルの「MID TOWER GRAND」記者見学会のとき、次のように書いた。
「『豊洲』は中央区でなく江東区だが、ポテンシャルは負けていないと思う。『月島』が434万円なら400万円超はありうるような気がするがどうだろう。『月島』は制振で『豊洲』は免震。規模もはるかに大きい。チャレンジしてほしいが、戸数が1,230戸(本日発表は1,152戸)もあるのでそんな勇気があるかどうか」
残念ながら今回は詳細な商品企画は明らかにされなかったし、価格も武田氏は「3LDKで8,000万円台。ベンチマークは『月島』」としか話さなかった。モデルルーム公開の記者見学会を行うそうだからそこまで待とう。
同業の記者の方にも一言。こんなにたくさん集まったのは嬉しいのだが、最近の各社のマンション見学会に集まる記者の数から判断して、半数くらいの方は普段現場を見ていないのではないか。記者は現場を見ないジャーナリズムを信じない。自分の視点を持たないか、持とうとしないと言ったら言い過ぎか。これをきっかけに、是非とも周辺の湾岸マンションを取材して記事にしていただきたい。自らが情報発信者にならないとだめだ(していたらごめんなさい。小生は他の媒体はあまり読まない)。
言い忘れたことが一つ。現場の囲いに「愛が、長続きするタワー。」と大書きされていた-これにいたく興味をそそられた。エリアマネジメントのことだろうが、愛が長続きするタワーマンションなんて想像もつかない。これだ、愛だ。昨年、大和ハウスの正月のTVCM「物流に愛《AI》を。」が最高に面白かった。みんな「愛」に飢えている。ここに切り込めば大ヒットするのではないか。間違っても「HARUMI」などと価格競争すべきではない。
工事現場の囲い
左側がマンション建設地。手前が公園、その奥が東電堀
聞きたいことは不明 オリ・パラ選手村の街の名称「HARUMI FLAG」来春分譲(2018/10/31)
三井レジ 「月島」再開発タワー「MID TOWER GRAND」第1期189戸 坪単価434万円(2018/7/17)
分譲では初か オーバル型の中庭がいい20数年前の〝アート〟蘇る 野村不「東雲」(2018/11/15)
好スタート 第1期は330戸 住友不「シティタワーズ東京ベイ」 プラン秀(2017/8/17)
大和ハウスの新TVCM 「物流×AI」が最高に面白い(2018/1/5)
住友不 広域・未確定顧客向け情報拡充 「総合マンションギャラリー」リニューアル
体験イメージ
住友不動産は2月15日、2011年10月から展開してきた同社が販売する全てのマンション物件情報を提供する「総合マンションギャラリー」を、まだ具体的な検討物件を決めていない顧客のニーズにも応えるため、「新宿館」の2月16日(土)を皮切りに「池袋館」「秋葉原館」を順次リニューアルすると発表した。
同社は2011年10月、都心ターミナルの「新宿」「渋谷」「池袋」「秋葉原」「田町」に「総合マンションギャラリー」をオープンし、その後、横浜、大阪、名古屋にも開設し、現在9店舗まで拡大している。
ギャラリーでは、ネットと異なり環境・間取り・設備・インテリアがリアルに体感できることから支持を集め、首都圏7館では年間約15,000件の来場がある。このうち具体的な希望物件を特定していない人が約3,000件にのぼることから、これらの顧客に幅広い物件情報や不動産購入に関する知識などを提供するギャラリーへと衣替えする。
リニューアルに際しては、効率的な物件探しを求める共働き世帯の増加や検討エリアの拡大傾向がみられることから、近郊・郊外のコンセプトルームを新規導入する。これによって、物件非特定の顧客を年間3,000件から5,000件に増やす。
「新宿館」エントランス・ラウンジ
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同社は一昨年、全国で7,177戸のマンションを発売するなど4年連続で供給ランキング首位の座を占め、2018年もトップは確実と見られている。業績も絶好調で、他社のように完成完売を目指さなくとも利益を確保できている。これも向こう5年間約3万戸分の用地の仕入れができており、市況に応じて供給を早めたり遅らせたり自在に調整できる強みがある。
しかも、ギャラリーは全9館のうち自社ビルが5館なので維持費も低く抑えられているはずで、他社ではまず真似ることができない芸当だ。報道陣に公開した「新宿館」は約1,700㎡もある。希望を言えばきりがないが、コンセプトルームの設備仕様は水準以上だと思う。
具体的な検討物件を特定していない顧客向け情報を拡充するのも大賛成。個人的には、会員制にしてカードキーで出入りを自由にし、不動産にかんする書籍、雑誌が自由に読め、コーヒーなども飲める空間も設けてほしい(長谷工コーポレーションの多摩センターの研究所はマンションの歴史が学べる)。「住まいクラブ」を充実させて、三菱地所レジデンスクラブ(会員数約60万世帯)のようなワンストップ対応体制も整えてはどうか。100万世帯になるのではないか。
報道陣に公開された新しいコンセプトルーム(カーテンで隠れているが天井までのハイサッシが特徴)
住友不 トップシェア狙う 名古屋に初の「総合マンションギャラリー」 「葵」分譲へ(2019/2/9)
明和地所 名古屋の販売拠点 サロン・モデルルームは首都圏を上回る出来栄え
「クリオライフスタイルサロン名古屋」
明和地所が1月に開設した名古屋市のマンション販売拠点「クリオライフスタイルサロン名古屋」を見学した。
サロンは名古屋の商業の中心地・栄に位置し、1階にグッチの店舗が入居するRICCO栄ビル4階。全体で約100坪の広さで、明るくて軽やかなアースカラーのカラーリングが特徴。モデルルームは約80㎡のファミリータイプと約36㎡のコンパクトタイプの2つ。
80㎡のモデルルームは、インテリアショップACTUS(アクタス)がコーディネートしたもので、約8mスパンの2LDK。主な設備仕様はフィオレストーンキッチン天板、食洗機、二重床・二重天井、天井高2500ミリ、16×20の浴室などドアの把手を壁面までセットバックしている。
接客ブース
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サロンに入ったとたん、同社の横浜、銀座の常設販売拠点を上回ったと感じた。全体は淡いグリーンやベージュが基調で、壁には木目調の縦格子パネルが張られており、天井は今流行りのネイキッド。陰影を巧みに利用した照明計画も目立った。
名古屋圏の市場が分からないので評価しづらいのだが、首都圏の仕様レベルと比較してもそん色ない。
同社は名古屋では後発だ。他社との差別化をどう図るのかに興味があった。サロン、モデルルームは十分戦えるとみた。あとは目利き力、物件次第だ。
モデルルーム
住友不 トップシェア狙う 名古屋に初の「総合マンションギャラリー」 「葵」分譲へ
「シティタワー葵」完成予想図
住友不動産は2月8日、東海圏初のマンション総合展示場「総合マンションギャラリー」を報道陣に公開し、地下鉄栄駅徒歩圏内で最大級のタワーマンション「シティタワー葵」の概要を説明した。
ギャラリーは、名古屋市営地下鉄東山線・名城線・名港線栄駅から徒歩3分、名古屋市中区新栄2丁目10番地、NTT栄ビル1階(西館)に設置。対面のサンシティビル15階に設けるモデルルームなどとあわせ広さは約760㎡。2月9日にオープンする。
2011年から首都圏で、2014年から関西圏でそれぞれ展開している「総合マンションギャラリー」は今回で9館目となる。
「シティタワー葵」は、名古屋市営地下鉄東山線新栄町駅から徒歩4分・同桜通線高岳駅から徒歩6分、名古屋市東区葵一丁目に位置する敷地面積約4,598㎡、延床面積約33,896㎡の20階建て全354戸。専有面積は58.87~88.68㎡。価格は未定。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2020年10月下旬。モデルルームオープンは3月2日。
主な特徴は、①栄駅徒歩圏内最大級のタワーマンション②尾張徳川家御下屋敷跡③総合設計制度適用④総戸数の約8割となる駐車場284台分確保⑤2つのゲストルームなど多彩な共用施設⑥ガラスカーテンウォールの外観-など。
東海支店長・竹田晃氏は、「名古屋のGDPは大阪を抜き2位。人口も増加しており、リニアがトリガーとなり経済・社会構造も劇的に変化する。名古屋市も人口増に備えるべく規制緩和も含めて都市計画を進めており、他都市に負けないけん引力となっている。市のマンション市場規模は年間3,000戸くらいでシュリンクしているが、当社は年間300~400戸くらいの良質なマンションをコンスタントに供給し、トップシェアを狙う」と話した。
また、総合マンションギャラリー栄館館長・康本裕次氏は「まだ具体的にマンション購入を決めていない、絞り込めていないお客さまに対してワンストップで様々な提案を行えるようにする。『葵』はフラッグシップとなる物件」と語った。
春の庭
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三重県出身の記者は、竹田氏と康本氏から名古屋弁が発せられることに期待し、ずっと二人の口ばかりを見つめていた。昔の東海圏は地域意識が強く、よそ者を受け入れない風土があった。電力は中部電力というのは当然だが、新聞は中日新聞と中日スポーツ(記者の小さい頃は伊勢新聞)、銀行は東海銀行(百五銀行)、デパートは松坂屋(三重は三交デパート)が圧倒的なシェアを誇っていた。よそ者の住友はそんな風土を取り込み、言葉でもって慰撫するであろうと読んだからだ。
しかし、待てど暮らせど、二人から名古屋弁の名の字も発せられず、香りすらも漂わなかった。質問した報道陣もみんな東京弁を使った。
たまらず記者は「名古屋弁で話してもらえへんか」(これ名古屋弁じゃなく伊勢の言葉)と注文したが、「わたしは山形出身。名古屋弁は難しい」(竹田氏)「わたしも関西」(康本氏)とつれない返事。
それにしても、どうして名古屋圏のマンションは、東京や大阪資本に牛耳られているのか。トップシェアは野村不動産だそうで、大阪のプレサンスコーポレーションが第一次取得層向けでリードしているとか。「葵」もトヨタのディーラー跡地というではないか。名鉄不動産、三交不動産はどうした。どえりゃあ、負けてるとちゃうんか〟。
取材後、名古屋弁を仕入れた。「カギをかう」(掛ける)「けった」(自転車)「ほかす」(捨てる)…。同業の記者から聞いたのだが、関西圏ではオプションは「まけときなはれ」、つまりタダにしろといわれるのだそうだ。
「コンセプトルーム」イメージ図
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価格、設備仕様などはモデルルームがオープンされていないし、名古屋の市場が全く分からないので書きようがないが、キッチン天板は御影石、直床で天井高は2500ミリ、複層ペアガラスなどになるという。
総合設計制度の認定(容積率400%⇒560%)を受けているのは評価できる。昨年見学した坪350万円の積水ハウス「御園座タワー」がそうだという。その近くで近鉄不動産が定借のマンションを坪260万円くらいで分譲するそうだ。「葵」の坪単価は300万円を超えないと見るのは同業の記者の弁。
立地特性を生かした商品企画 明和地所 練馬の2物件 即完スタート
「クリオ練馬ガーデンマークス」完成予想図
明和地所が分譲開始した「クリオ練馬ガーデンマークス」28戸と「クリオ練馬北町」60戸を見学した。それぞれ地域特性を生かした商品企画で、好調なスタートを切った。
「練馬」は、西武池袋線練馬駅北口から徒歩7分、練馬区桜台4丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する6階建て全28戸。専有面積は45.04~90.33㎡。坪単価は300万円台の前半。入居予定は2020年4月上旬。竣工予定は2020年3月下旬。設計はいしばし設計。施工は岩田地崎建設。
「練馬北町」は、東武東上線東武練馬駅から徒歩6分、練馬区北町1丁目の近隣商業・準工業に位置する10階建て全60戸。専有面積は54.75~71.90㎡。坪単価は280万円前後。竣工予定は2020年3月下旬。設計はオームラ建築設計。施工は岩田地崎建設。
前者は、1995年以降わずか4物件しか供給がなく、住居系に限れば2物件しか事例がない駅北口の物件。周囲はほとんどが戸建て。
住環境のよさに加え、多くの住戸が7.6mのワイドスパンであることから人気になっており、1月26日の第1期8戸が即日完売した。
後者は、立地は近商・準工だが、北側道路に面した一部住戸を除き、日照・眺望条件は悪くない。価格も軒並み坪単価300万円を超えてきている西武池袋線の物件と比較し抑制気味だ。1月26日の第1期9戸が即日完売した。
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「練馬」は、敷地は高さ規制60mの東南角地。住戸は東向きと南向きが半々。よくぞこれほど恵まれた土地(元邸宅)を仕入れられたものだ。仕入れ担当者に〝あっぱれ〟を献上したい。
プランがまたいい。ほとんどの住戸が全室採光で、間口は7m以上。売れるのは当然だ。
「練馬北町」は、現地を見たとき完売まで時間がかかると思ったが、日照にやや難のある東向き住戸は専用庭付きとし、地域特性を考慮したグロス抑制型中心なのに納得もした。
「クリオ練馬ガーデンマークス」の現地(手前が南側)
「クリオ練馬北町」の現地(手前が北側)