根拠希薄 スタイルアクト「中古マンション値上がり率ランキング」
11月29日付「住宅新報」WEB版は、「中古マンション値上がり率、日鉄興和不が7年連続関東1位 スタイルアクト調べ」と題する記事をトップで報じた。
調査は、宅建業者のスタイルアクトが運営する分譲マンションサイト「住まいサーフィン」が行ったもので、2008年以降に竣工した首都圏マンションを対象に、各住戸の新築時分譲価格と2021年10月から2022年6月までの間に中古マンションとして売り出された価格の値上がり率を算出し、新築を分譲したデベロッパーごとにランキングとして発表したものだ。
これによると、値上がり率トップは日鉄興和不動産の4.37%で、以下、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、東京建物などと続く。2008年以降で最多供給と思われる住友不動産はベスト10位で、供給量ではベスト10社入りするはずの〝中堅〟は1社もランクインしていない。
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小生は、このスタイルアクト=住まいサーフィンの調査は知ってはいたが、どこがどのような調査をしようと勝手だし、それを記事にするかしないかを決めるのはメディアの判断に委ねられるので、無視を決め込んできた。
だが、しかし、28万人(同社発表)もいる「住まいサーフィン」の会員(消費者)は不利益を被らないかと心配になったので、以下に書くことを決めた。
まず、中古マンションの値上がり率について。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)のデータによると、今年10月の首都圏中古マンションの成約価格は4,395万円(前年同月比13.1%増)、坪単価は229万円(同14.7%増)、築年数は23.73年となっている。
2008年の首都圏新築マンションはどうかというと、東京カンテイのデータでは平均価格は4,662万円、坪単価は233.7万円だ。
これを、スタイルアクトの値上がり率ランキングの計算式「中古値上がり率=中古売出価格/新築時価格/経過年数」に倣い計算すると、4,395万円/4,662万円/14年=6.7%となった。スタイルアクトが公表した値上がり率上位10社の数値よりかなり高いtが、最近の新築マンションの価格上昇率が高いことから、築浅の物件ほど上昇率は下がるはずなので、各社の物件の上昇率もこのようなものだともいえる。
これはさておき、上位10社についてみてみる。値上がり率トップの日鉄興和不動産を始めベスト10入りしている各社はどこも販売棟数、竣工戸数などを公表していない。このため、民間調査会社のデータに頼らざるを得ないのだが、日鉄興和不の2008年以降の販売戸数は年間800戸として10,000戸くらいのはずだ。1棟当たり戸数を50~60戸とすると、販売棟数は10,000÷50~60=167~200棟になる。ところが、スタイルアクトが対象としているのは41棟にしか過ぎない。販売棟数の20.5~24.5%しかカバーしていないことになる。(他社もほぼ同様)。
なぜそうなるのか。最大の理由は、スタイルアクトの計算式では「少数事例による誤差を抑制するため、総戸数10戸未満のマンションならびに事例数が5件未満のマンションは除外」しているからだと思われる。(販売戸数だけならベスト10入りするはずのデベロッパーは2~3社あるが、この適用除外に該当するためか)
この適用除外に問題はないのか。記者は中古市場のことはよく分からないのだが、年間5戸以上の売買事例がある中古マンションの1棟当たりの規模はどれくらいなのか。50戸で年間5戸以上というのは考えづらいのではないか。10年で所有者が入れ替わる計算だ。100戸でどうか。投資用や単身者・DINKS向けはあるかもしれないが、ファミリーマンションではあり得ないような気がするが…。(日鉄興和不は単身者・DINKS向けの供給比率が他社と比べて高い)
次に、資産性の問題。スタイルアクトは値上がり率の高いマンションは資産性が高いというが、果たしてそうか。短絡的に過ぎるのではないか。新築もそうだが、中古マンション価格はそのときどきの市場に左右される。上りもすれば下がりもする。資産価値が高いマンションは、「広尾ガーデンヒルズ」に代表されるように、市場動向に左右されず、居住環境や居住性能が高いことなどから賃貸市場でも適正に評価される物件だと思う。
これに関連することだが、釈然としない問題もある。ベスト10の住友不動産だ。他社の事例数を棟数で割ると、もっとも少ないのは阪急阪神不動産の9.7件で、あとは12~14件だが、住友不はほぼ倍の23.7件だ。値上がり率は低いが、市場流通性(換金性)が2倍というのをどう評価するか。
もう一つ、スタイルアクトはどのようにして膨大な中古マンションデータを収集したのかという問題だ。東日本レインズによると、2021年の首都圏の中古マンション成約戸数は約4万戸だ。同社が調査した10社合計の事例は11,596戸だ。レインズデータの29.0%だ。これは2008年以降の竣工物件に絞ったからでもあるが、いずれにしろ全物件のデータを収集・分析しないと割り出せないはずだ。
同社は宅建業者なので(調査主体は「住まいサーフィン」だが)、レインズデータは得られるはずだが、レインズは「不動産取引を促進するために物件情報や成約情報を集計・加工・分析し、物件や個人が特定されない範囲で外部に提供する場合、利潤を得ることはできない」とし、「会員は上記以外で、成約情報を広告・宣伝等で利用してはいけない」と規制を設けている。
であるとすれば、スタイルアクトはレインズのデータをもとに算出したと言えないはずで、ならはどのような調査を行っているかを明らかにすべきだ。根拠が希薄な「広告・宣伝」は不動産公正取引協議会連合会の「公正競争規約」で「実証されていない、又は実証することができない事項を挙げて比較する表示」「実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示」などを禁止している。
以上、縷々述べてきたが、新築・中古マンション市場について多少の知識があれば〝これはおかしい〟と感じるのが普通だ。無批判にリリースをコピペして発信する業界紙のメディア・リテラシーも問われている。
持続可能なみかん産地目指し協定 三重県御浜町、積水ハウス、クラダシなど5者協定
右から大畑氏、関藤氏、中尾氏、パーク七里御浜代表取締役社長・辻利文氏、ツーリズムみはま代表理事・湊賢一郎氏
三重県御浜町、積水ハウス、クラダシ、パーク七里御浜、一般社団法人ツーリズムみはまの5者は11月28日、「御浜町における食品ロス削減及び特産品のPRに向けた連携協定」を締結したと発表した。
積水ハウスとマリオット・インターナショナルが推進する地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」の地域活動の取り組みとして積水ハウスが主導したもので、「Kuradashi」での商品の販売をはじめ、各者が協力して担い手不足による未収穫産品の解消や不揃い、規格外果実の加工によるフードロスの削減、一次産業における消費行動への変容を促すとともに、御浜町のPRと地域活性化を目指すのが目的。
具体的には、全国の大学生・大学院生を対象に12月12日(月)~12月18日(日)、社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」を実施する。定員は6名で、道の駅パーク七里御浜に隣接する「フェアフィールド・バイ・マリオット・三重御浜」を学生の宿泊場所として利用し、学生は担い手不足により未収穫となってしまう可能性のあるみかんの収穫を支援するほか、学生が収穫したみかんを、道の駅パーク七里御浜内のジュース工場でみかんジュースに加工する。期間中に学生と役場職員の意見交換会も実施する予定。
クラダシは、フードロスや地方創生に興味のある学生が日本全国の人手不足で悩む地域・農家を訪れ、収穫支援や現地での交流を行う社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」を2019年から実施しており、参加学生の旅費や滞在費、食費などすべて同社が設立したクラダシ基金から拠出している。
積水ハウスは、「未知なるニッポンをクエストしよう」をコンセプトに、道の駅と隣接するホテルを拠点として、「地域の知られざる魅力を渡り歩く旅」を提案し、地域や自治体、パートナー企業とともに、観光を起点に地域経済の活性化を目指す地方創生事業「Trip Base道の駅プロジェクト」を展開している。
2020年10月から開業したホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット」は現在、9道府県20か所(約1,600室)を展開。2025年には26道府県、約3,000室規模への拡大を目指している。
協定式に臨んだ御浜町町長・大畑覚氏は、「町は長年にわたって年中みかんがとれる町として産業支援を行っているが、近年は高齢化や人口減少により収穫が困難になってきており、雇用も伸びていないのが現状。今回の協定が食品ロスの解消と街のPRにつながると期待している」と話した。
クラダシ代表取締役社長・関藤竜也氏は「当社は〝ソーシャル・グッド・カンパニーであり続ける〟をミッションに、〝日本で最もフードロスを削減する会社〟をビジョンにそれぞれ掲げている。会社設立以来、1万トンの食品ロスの削減を実現したことから様々な賞も受賞している。今回の協定で、町の未来が明るくなるよう事業を推進していく」と語った。
積水ハウス開発事業部トリップベース事業推進室長・中尾茂樹氏は「地方創生、持続可能な社会の実現を目指す非常に意義深い協定。地域を元気にするため全力で応援していく。同様の取り組みをこれからも展開していく」と述べた。
御浜町は三重県のほぼ南端に位置する人口約8,100人の町。「年中みかんのとれるまち」をキャッチコピーに様々な品種のみかんが栽培されているが、近年は高齢化や後継者の減少による担い手不足、それに伴う遊休農地や耕作放棄地の増加、農地の集積の停滞、獣害の増加などの課題を抱えている。町は「第6次御浜町総合計画」の重点プロジェクトの一つに「みかん産地の再生」を掲げている。
5者連携模式図
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三重県出身の記者は、御浜町は町名だけは知っていたが、和歌山県境に近い最南端なので行ったことはなく、「年中みかんがとれる町」であることも知らなかった。とてもおいしいさんまの丸干しの産地ではなかったか。今回の協定で〝全国区〟になりそうなので、とても嬉しい。
そしてまた、このような社会貢献型インターンシップがあることも全然知らなかった。三菱地所の学生が経営する「アナザー・ジャパン」も最高に素晴らしいと思ったが、「クラダシチャレンジ」は労働力を提供するだけで旅費、滞在費、食費が掛からず、役場の人たちと意見交換できる。大学にもよるだろうが、単位も取れるはずで、申し込みが殺到するのではないか。近ければ、飛んで行って取材したいのだが…。
ミカンの収穫作業
「フェアフィールド・バイ・マリオット・三重御浜」
「森を、つなぐ」東京プロジェクト始動 野村不HD 奥多摩町と協定
「つなぐ森」全景
野村不動産ホールディングスは11月28日、東京都奥多摩町が保有する約130haの森林について30年間の地上権設定契約を2022年9月に締結し、地産地消を目指す「森を、つなぐ」東京プロジェクトの取り組みを進めると発表した。
森林の川上(林業)⇒川中(加工)⇒川下(消費)をつなぎ、森林サイクルを再構築し、地球環境保全、土砂災害防止機能、水源涵養などの森林の有する多面的機能の回復に貢献するのが目的。
「つなぐ森」は約130haで、樹種はスギ、ヒノキの人工林が74.2%、広葉樹の自然林が25.8%。主伐、間伐、植林などを適切に行うことで、30年間で森林のCO2吸収量は約16,600t (森林放置時の約1.4 倍)を見込んでいる。管理は東京都森林組合に委託する。
伐採を予定しているのは約500㎥で、2025年に本社機能を移転する「芝浦プロジェクト」のトライアルオフィス床に「つなぐ森」の木材を活用するほか、同社グループの事務所、店舗などの内装材や住宅・オフィスにも活用していく予定。
奥多摩町は東京都の面積の約1割で、面積の94%を森林が占め、都民の水源地として知られているが、伐採適齢期を迎えているにも関わらず伐採されない森林も多く、人口はかつての約15,000人から3分の1の約5,000人に減少。空き家の発生などの社会課題も抱えている。
同社と同町が2021年8月に締結した「持続可能な社会の実現に関する包括連携協定」では、地元の産業・雇用の創出などにも貢献していくことが盛り込まれている。
オンラインの記者説明会で同社執行役員サステナビリティ推進担当 兼 コーポレートコミュニケーション部、サステナビリティ推進部担当・中村篤司氏は「伐採を予定している500㎥は多くはなく、現段階で住宅の構造材として利用することはコスト、耐火基準などの壁があり難しい。まずは身の丈から始め、脱炭素社会の実現に貢献するよう取り組んでいく」と話した。
「森を、つなぐ」伐採シーン
師岡伸公・奥多摩町長(左)と沓掛英二・同社代表取締役社長
「まちづくりGX」は都市局のメイン事業になるか 国土交通省の会合を傍聴して
第21回都市計画基本問題小委員会(国土交通省 合同庁舎3号館)
国土交通省は11月25日、第21回都市計画基本問題小委員会を開催し、まちづくりのグリーン化について議論した。
政府は今年6月、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画~人・技術・スタートアップへの投資の実現~」を発表し、新しい資本主義に向けた計画的な重点投資として①人への投資と分配②科学技術・イノベーションへの重点的投資③スタートアップの起業加速及びオープンイノベーションの推進④GX(Green Transformation=グリーン・トランスフォーメーション)及びDX(Digital Transformation=デジタル・トランスフォーメーション)への投資-の4つを掲げ、④では今後10年間に官民協調で150兆円規模のGX投資を実現すると謳っている。政府は7月、首相を議長とする「GX推進会議」を設置し、国土交通省も9月、斉藤鉄夫国交相を本部長とする「国土交通省グリーン社会実現推進本部」を設立している。
今回の小委員会はこのような経緯を経て開催されたもの。会合を振り返って同省都市局都市計画課課長・鈴木章一郎氏は「これまで緑に関する取り組みは制度設計も含めて弱かったのではないかという反省があり、世の中の価値観が変わってきたのを受け、なるべく多くのプレーヤーの方に参加していただこうというのが今回のテーマの底にあった。委員の方々から多くの示唆を頂いた。携帯の話も頂いたように、緑が多機能であるがゆえに、緑の定義を含めてわれわれの頭も整理しないといけないと痛感した」と総括した。
GXは、脱炭素社会を目指す文脈からすれば、Green (グリーン)=緑ではなく、多義的な意味を持つ。都市計画の観点から具体的にどのようなGXの取り組みを行うかが大きなテーマになっている。
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オンラインも可能だったが、リアルで傍聴した。同省から配布された資料は55頁もあり、日本政策投資銀行の「ESG投資・インパクト投資の潮流と評価について」(10頁)と参考資料「13頁」合わせると78頁にもわたる膨大なものだった。資料冒頭に都市緑地のグリーンインフラとして23の機能(効果)が記載されていた。「緑の価値」が余すところなくフォローされていると思った。GXのテキストになるはずだ。
これらの機能(効果)については誰もが認めるところだが、現実はどうかというと、緑被率(みどり率)は年々下がり、生物多様性は喪失されつつあり、都市農業は生活の糧として成り立たなくなり、森林・林業は危機に瀕している。
これを劇的に転換するにはどうしたらいいのかが今回の「まちづくりGX」のテーマだ。論点は①都市の緑地の確保や向上を図るための民間資金導入の可能性について②森林への都市の貢献のあり方について③市街地整備と一体となったエネルギーの面的利用について④自治体における「まちづくりGX」の位置づけについて-の4項目。
黒澤幸太郎・専門委員(むつ市都市整備部都市計画課長)は「『まちづくりGX』は市民に説明しやすい。国土交通省都市局のメインの事業になる」とエールを送ったが、記者は④の自治体の「まちづくりGX」に対する認識の薄さが大きな壁になると感じた。村木美貴委員(千葉大学大学院工学研究院教授)も「(何かは聞き取れなかったが)日本は欧州と比べ2周くらい(地球規模なのか400mのトラックか)遅れている。〝見える化〟と言われても、見に行かないと見えないではないか」と指摘した。
配布資料もそのことを裏付けている。例えば、都市計画区域設定を行っている自治体(n-1,375)に対する国土交通省が行ったアンケート調査。2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みについて自治体に聞いたところ、「目標なし」は66%にのぼっている。
また、市町村マスタープランにおける緑地保全・緑化推進の位置づけの設問でも、立地適正化計画で「位置づけなし」が57/70にのぼり、緑の基本計画に立地適正化計画に係る記載がある市町村は5.2%(36/692)にしか過ぎない。
記者も、これまで都市公園や街路樹、緑被率(みどり率)などについて取材してきた限りでは、首都圏自治体のこの種の取り組みは全然進んでいないどころか「緑の価値」について全く認識していないと思わざるを得ない。都市公園がどのように利用されているか実態を把握しておらず、どこにどのような樹種の街路樹が植えられているかも答えられず、墓標のように強剪定されることに何の痛痒も感じていない担当者が多すぎる。千代田区は、健全な街路樹を「枯損木」(「枯損木」の言葉すら知らない職員も多い)として処分を決定した。
国土交通省がいくら旗振りしても、自治体が積極的に取り組まないと前に進まない。絵に描いた餅だ。どなたかの委員が「自治体頑張れ」と叱咤激励した。(記者は、同省が令和2年に立ち上げた、個人参加資格も含めた多様な主体の参画による「グリーンインフラ官民連携プラットホーム」に期待している)
中川雅之・臨時委員(日本大学経済学部教授)もこのあたりの現状を踏まえてか、「テーマが多岐にわたり一般的すぎる。都市計画決定部局として具体的にどうすればいいか論点を整理すべき。森林への貢献と言われても都市と森林の関係性を明らかにしないと論議は進まない」と指摘した。
さらに、横張真・臨時委員(東京大学大学院工学系研究科教授)も「一口にグリーンと言っても文脈は様々。多様な概念をきちんと整理しないといけない。『まちづくりGX』も、個別の役割や機能の高度化ばかりを追求するのでなく、携帯情報端末のようにオールインワンであることの特性を伸ばすよう、その施策のあり方にかかわる発想の転換が必要」と話した。
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記者は、この種の会合で決まって海外との比較が論じられるのに辟易している。外国は中国とモンゴルしか知らないし、日本語しか話せないので劣等意識もあるのだが、わが国のあらゆる社会・経済指標は先進国の中で最低レベルだと指摘されると、それがどうしたと言いたくなる。
だが、しかし、政府のGX・DXに関する資料の中に「米国市場の企業価値評価においては、無形資産(人的資本や知的財産資本の量や質、ビジネスモデル、将来の競争力に対する期待等)に対する評価が大宗を占める。日本市場では、依然として有形資産に対する評価の比率が高く、企業から株式市場に対して、人的資本など非財務情報を見える化する意義が大きい」とあったのには〝ガラパゴス〟と揶揄されても仕方ないと思った。村木委員の手厳しい批判も心地よく響いた。
村木氏のほかにも「GXの見える化」が遅れているという指摘が相次いだ。「ESG投資・インパクト投資の潮流と評価について」話した日本政策投資銀行ストラクチャートファイナンス部・井栄階一氏も「私見」としながら「ESG投資家は定量的かつ客観的な評価を重視する」とし、わが国にはそれが欠けていると指摘した。
このことと関連する例を一つ。欧米では樹木などのグリーンの価値をを定量的に計る「i-Tree」が定着しているようだが、わが国は一部の研究家でしか流通していない。鈴木都市計画課長が「緑が多機能であるがゆえに、われわれの頭も整理しないといけないと痛感した」と話したように、数えきれないほどあるグリーン・みどりの価値を誰もが分かる定量的な指標で示さないといけない。
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斉藤大臣と幹部の方にお願いが一つある。小生は、扇千景氏が国交大臣に就任したとき、希望していた文部大臣などではなかったことから「冷や飯を食わされた」と語ったのに腹を立て、就任記者会見の会場で「冷や飯とはどういう意味か」と詰め寄ったことがある。今でも国交省と職員を冒涜するものであり、即辞任に値する暴言だと思っている。
その点、国交大臣を務められた齊藤氏の先輩、公明党の冬柴鐵三氏は立派だった。退任するとき国交省の職員を「わが国のシンクタンク」と称えた。
前書きが長くなった。何を言いたいかといえば、そんな優秀なシンクタンクが働きやすいよう国交省の本館である合同庁舎3号館に喫煙所を復活していただきたいということだ。
隣接する2号館の駐車場わきに喫煙所はあるのだが、3号館から喫煙所までは往復で6~8分かかる。喫煙時間を3~4分とすると10分以上だ。1日6回利用すると1時間を超える。これは職員にとっても国交省にとっても大きな損失だ(喫煙中に名案が浮かぶこともあるが)。
いったい、どれくらいの損失か計ってみた。写真を見ていただきたい。左は25日の会合が始まる午後5時前の灰皿だ。目視したところ吸い殻は40本くらいか。水に沈んで見えない層もあるはずで、その数は少なく見積もっても80本はある。ちょうど灰皿の水を入れ替える時だった。作業している方に聞いたらほぼ2時間置きで1日4回だという。
右の写真は、取材を終え帰るときの午後7時過ぎだ。やはり同じくらいの吸い殻が捨てられていた。
そこで計算した。灰皿は全部で8つ。2時間ごと4回掃除すると80×8×4=2,560本だ。これを労働時間に置き換えると2,560本×10分÷60分=427時間だ。職員の労働時間を8時間とすると、実に427÷8≒53人分だ。一人年間200日働くとすると53×200=10,600人分(来庁者含む)の貴重な時間と莫大な金額が浪費される計算だ。これに、タバコが吸えないことによるストレスをお金に換算したら…これも〝見える化〟していただきたい。
17時前の吸い殻(左)と19時過ぎの吸い殻(合同庁舎2号館で)
健全な街路樹を「枯損木」として処分 問われる住民自治 千代田区の住民訴訟(2022/11/12)
億万長者の人数&所得割額が激増 過去最多 アッパーミドルも漸増 東京都港区
日本一お金持ちが多い東京都港区の課税標準額1億円超の富裕層(以下、富裕層、またはお金持ち、億万長者)が令和4年5月現在、前年度より241人増の1,250人となり、この層の所得割額総額は前年度より65.8%増の約280億円となり、人数、所得割額とも過去最多だった令和元年度を上回った。われら庶民は相次ぐ値上げラッシュに青息吐息だが、お金持ちはまったく関係なし。〝富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる〟-聖書の言葉は健在だ。
別表をしかと眺めていただきたい。港区が公表している課税標準額段階別納税者・所得割額の推移をみたものだ。
課税標準額とは、総所得から様々な控除額を差し引いた住民税(市町村民税・都道府県民税)の計算の基礎となる金額で、住民税は「均等割額」(都民の場合は区市町村民税3,500円+都民税1,500円)と「所得割額」(課税標準額の10%)からなる。
これによると、富裕層は令和元年度に人数、所得割額とも最多となり、その後はコロナの影響などで減少していたが、令和4年度は一転して激増。人数、所得割額とも過去最多を更新した。
総所得割額から単純に総所得を推計すると、富裕層一人当たり約2.2億円となる。納税者の1%に満たないお金持ちが住民税の3割超を払っている-感謝すべきことなのか、それとも格差社会を呪うべきなのか…。
注目すべきなのは、億万長者だけでなく、課税標準額が1,000万円超(アッパーミドルと呼ぶ)もまた着実に増加していることだ。令和4年度のこの層は25,893人(全納税者に占める割合17.7%)で、5年前の平成29年度より5,129人(同2.7ポイント増)増加している。
富裕層が激増したことについて、区の課税課は「転入もそれほど増えているわけでもなく、外国人の動向にも変化はなく、お金持ちが株などで儲かったと分析しています。IT企業の社長さんも区内に多く住んでいます」と話した。
なるほど。だが、しかし、わが国の日経平均株価は昨年5月末の28,860円から今年5月の27,279円へとむしろ下落している。一方、米国のダウ平均は過去最高値圏ではあるが、昨年よりは下落している。
記者は、やはり不動産価格が上昇しており、その売買差益も所得を大幅に増やしている大きな要因ではないかとみている。
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)のデータによると、今年10月の首都圏中古マンション成約坪単価は229万円で30か月連続、在庫坪単価は243万円で57か月連続でそれぞれ前年同月を上回っている。23区の中古マンションの坪単価は340万円で、2020年10月の272万円から25.3%も上昇している。新規登録単価上昇も続いており、先高観も強い。
また、東京カンテイは今年10月末の都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)の70㎡換算の中古マンション価格は前年同月比16.4%増の9,950万円と13か月連続で上昇したと発表している。
株と不動産-錬金術の王道は今も昔も変わらないということか。
億万長者100人減少 人口も25年ぶり減 日本一裕福な港区財政 コロナが直撃(2021/10/13)
課題山積、前途多難 道・街に背を向ける建物「FUN MORE TIME SHINJUKU」
「FUN MORE TIME SHINJUKU」(京王プラザホテル東京前で)
11月19日から始まった、ファンモアタイム新宿実行委員会が主催し、東京都が共催し、住友不動産、大成建設、東京ガス、京王電鉄、野村不動産、都市再生機構が協賛する「FUN MORE TIME SHINJUKU」の街を歩いた。
三菱地所が中心になって行っている「Marunouchi Street Park」のような賑わいを期待していたのだが、新宿副都心4号街路に用意された椅子に腰かける人はなく、都民広場(議会棟前)のイベント参加者は数えるほどで、新宿中央公園は目視した限り一番賑わっていたのは喫煙所だった。期待は見事に裏切られ、失望から絶望に代わった。課題山積だ。
〝口ワル〟なのがよく似ている分だけ小生と相性が悪いハシブトかハシボソかは判別できないカラスは、残飯あさりで生活習慣病を患っているのか〝バーカー、バーカー〟と訳の分からないことを口走り、どこかは知らない塒に帰っていった。
都民広場のイベント
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まず、都民広場を訪ねた。人工芝の上では何やらイベントが行われていた。利用者は10人いるかどうか。「誰でもピアノ」も隅っこに置かれていたが、白いビニールに覆われていた。気を付けても見つからないはずだ。
少しはイベントに貢献しようと、「ビールを飲んでいいですか」と主催者らしき人に尋ねた。「売っているかどうかは分かりませんが、コンビニが地階にありますから」と言われたのでセブン・イレブンに入った。酒類は売られていなかった。
仕方なくタバコだけ買ったのだが、酒類の販売が解禁となった20年くらい前にタイムスリップしたかのような気がした。近くのレストランは閉まっていたが、看板には「おつまみ290円~」「2時間食べ放題・飲み放題3,580円~」「晩酌セット1,280円~」(「2」の部分は上書きされていた。値上げしたのか値下げしたのか)と表示されていた。路地裏の飲み屋と一緒だ。
そこで、都財務局に確認した。コンビニでは酒類を販売しないよう当初から指導しているとのことだった。
そんなこともあるのかと、県歌の〝(ダ)さいたまー、(ダ)さいたまー〟の軽快なメロディの電話呼び出し音が流れる埼玉県にも電話した。職員健康支援課によると、タバコは第2庁舎の屋上で吸えるが、1店あるコンビニでの酒類の販売は禁止しており、飲食店もコロナ禍で酒類の提供を中止しているとのことだった。
官公庁はみんな右へ倣えなのだろうと考え、ほかの県庁に聞くのをあきらめた。役所を利用する住民もそうだが、職員はストレスがたまらないのか、仕事の能率はどうなるのか、かわいそうになった。締め付けが厳しいから、時にはうっぷんを爆発させ、住民に対し権力を振り回すのではないか。
〝誰でもピアノ〟(新宿住友ビルのピアノではない。サクラでいいから誰か弾くべき)
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いい加減な公園管理にもあきれ果てた。都庁の隣にはデッキで結ばれた約88,000㎡の新宿区立新宿中央公園がある。学生のとき、彼女とベンチに座り、しっかりと手を握りあい永遠の愛を誓ったところだ。
愛は雲散霧消したが、あの頃はもっと活気があった。初冬のこの日は人もまばら(スターバックスはそこそこ人の影は見られたが、禁煙なので小生は利用しない)。一番賑わっていたのは公園入口近くの端に唯一設けられている喫煙所で、常時30人くらいが利用していた。この喫煙所の数十倍もありそうな広場では、喫煙所とほぼ同数の人がやはり端っこのベンチに腰かけていた。人は隅っこを好む習性があるのか。
公園の禁止事項もまた凄い。列挙する。①騒音を出すこと②飲酒による迷惑行為③自転車走行(自転車は降りて押してご通行下さい)④球技(ビニールボールを除く)⑤火気の使用・花火⑥犬の放し飼い・フンの不始末⑦動物への餌やり⑧タバコを吸うこと⑨歩きスマホ⑨自動車/バイク/電動キックボードの乗入れ⑩スケートボード⑪動植物を捕獲又は傷つける、その他施設の破損⑫園内の貼り紙、広告⑬ゴルフクラブ、金属バットなどの使用⑭その他、公園の形を変えたり、傷つけたり、汚したりすること、危険及び他の利用者の迷惑となる行為、適切な用途以外の使用…どうして飲酒と迷惑行為を結び付けるか。酒とたばこを禁止したのはヒットラーであり、イスラム国だったではないか。事なかれ主義を貫徹するお上に唯々諾々と従うわれら庶民にも問題がある。
問題といえば、区の公園管理だ(指定管理者:一般財団法人公園財団を代表とする昭和造園、日建総業、小田急電鉄)。みどり土木部みどり公園課は、この新宿中央公園を含め公園の利用者がどれくらいいるかなどの実態調査を行っていない。利用実態を把握せずしてどうして円滑な公園管理ができるのか。
国土交通省は先に「都市公園の柔軟な管理運営のあり方に関する検討会」(委員長:蓑茂壽太郎東京農業大学名誉教授)の提言をまとめた。多様な利活用ニーズに応え、地域の価値を高め続ける「使われ活きる公園」を目指すべきとし、そのためには従来の公園整備・管理運営から「都市アセットとしての利活用」「画一からの脱却」「多様なステークホルダーの参画」の3つの変革が必要とするものだ。
この「検討会」の提言に照らし合わせれば、区の公園管理も3つの変革が求められていると思うが、実態を知らないのだから何が課題かもわからないのではないか。前途多難だ。
そもそも、この新宿副都心4号街路に沿った建物は新宿住友ビル、新宿三井ビル、東京建物・新宿センタービルを除き、都庁も大学もホテルも道や街に開かれた造りになっていない。
新宿中央公園
公園入口の喫煙所
喫煙所に貼られているステッカー(これで受動喫煙が防げるなら結構なことだが、喫煙者を絶滅危惧種に指定してほしい)
喫煙所前の広場
公園入口に掲げられている禁止事項(もう悪意としか思えない)
ある都心部のビルの谷間に蝟集する喫煙難民(小生も含め20人以上が利用していた)
新宿副都心エリアで社会実験「FUN MORE TIME SHINJUKU」11/19~11/27(2022/11/4)
「使われ活きる公園」 逆読みは〝使われず危機に瀕する公園〟 国交省「公園検討会」(2022/11/1)
料理・風呂好きにはたまらない 設備仕様レベル突出 伊藤忠都市開発「三軒茶屋」
「クレヴィア三軒茶屋」
伊藤忠都市開発が分譲中の「クレヴィア三軒茶屋」のモデルルームを見学した。駅から徒歩11分の全52戸で、70㎡以上の住戸はトーヨーキッチン、浴槽の框にヒノキを採用した浴室を標準装備とし、1階の2住戸は露天風呂付き。既分譲の坪単価は約570万円だが、設備仕様レベルはこの価格水準では突出しているはずだ。価格上昇が著しく、一方で設備仕様レベルが劣化・退行している業界に一石を投じるマンションだ。
物件は、東急田園都市線三軒茶屋駅から徒歩11分、世田谷区若林1丁目の第一種住居地域に位置する5階建て全52戸。専有面積は36.36~133.66㎡。現在分譲中の住戸(9戸)の価格は7,990万〜28,990万円(54.17〜133.66㎡)。既分譲住戸の坪単価は約570万円。竣工予定は2023年9月下旬。デザイン監修はアーキサイト メビウス。設計監理は安宅設計。施工は大末建設。販売代理は伊藤忠ハウジング。
昨年12月に物件ホームページを開設し、これまで反響は約2,000件超、来場者は約260組。6月末から販売を開始しており、未分譲の1LDKなどを除き、約半数が成約済み。購入者の半分は世田谷区に地縁がある人が中心で、賃貸脱出派がメイン。
現地は、環七通りから奥まった2~3階建て住宅や5階建てのマンションなどが建ち並ぶ閑静な住宅街の一角。本件敷地より北側のエリアが下がっており、建物中央の中庭・吹抜け空間を囲むように住戸を配置。プランは36㎡台が6戸、40~60㎡台が27戸。70㎡以上が19戸。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、サッシ高約2400ミリ、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、グローエ水栓など。
同社・瀬戸氏は「立地は幹線道路から奥まった閑静な住宅街、かつヒルトップで、上層部は都心方面中心に眺望がたのしめる住戸も多く、この立地条件と設備仕様を掛け合わせた商品企画が評価されています。最近のマンションは価格が上昇しているのに設備仕様は変わっていないと考え、トーヨーキッチンやヒノキ框の浴槽を採用することなどで差別化を図りました。物件ホームページには〝露天風呂あります〟と謳っています」と話した。
中庭
トーヨーキッチンを採用したモデルルーム
パラレロシンク
モデルルーム
◇ ◆ ◇
今に始まったことではないが、同社ほどチャレンジ精神が旺盛なデベロッパーはない。この5年間の主な物件を直近の供給順に列挙した。
玄関手洗い収納を3LDKタイプに装備した「西馬込」、天井高2700ミリ&ワイドスパンの「新御徒町」、シャワールームのみで浴槽をなくした住戸も提案した「山吹神楽坂」、最上階にリモートワークや読書に利用できる「+HANARE Common」を設けた「両国国技館通り」、6か所の「ボイド」と9室の「離れ」を設けた「小杉御殿町」、5つ星ホテル並みの有楽町の「ギャラリー」、「理想の新婚部屋」を提案した「門前仲町」(賃貸)、角住戸率100%、約7.2m~約9.4mのワイドスパンの「上野池之端」、自分の生活スタイルに合わせてプラン(有償)が選べる「大井町」、住戸内の1坪を8種類の中から選べる「池袋West」、外観デザインが秀逸だった「文京関口」、ベランダから釣りができそうな「金沢八景」…。(RBAホームページで「伊藤忠都市開発」を検索していただければヒットするはず)
今回の「三軒茶屋」もこれらの物件に引けを取らない。驚いたのは〝ゼロ動線〟をテーマにしたトーヨーキッチンを標準装備(70㎡以上の住戸)していることだった。サイズは1990×1050ミリ(住戸により異なる)だから大きくはないが、天板がキラキラと輝き(ステンレス製)、何よりも洗・切・盛を手際よくできる76センチ四方のユーティリティシンクがいい。表裏リバーシブルのまな板付き。トーヨーキッチンの商品を標準装備しているマンションなど最近ほとんど見たことがない。料理好きにはたまらないキッチンだ。
もう一つは、框にヒノキ、浴槽内に御影石を採用した浴槽だ。この種の浴槽は最近ほとんど見かけなくなったが、なるほどと得心したのは浴室と洗面室の壁面を同じタイルとし、ガラスで仕切ることで一体的な空間を演出していることだ(一部の住戸のみ)。ホテル・旅館気分が味わえるはずだ。
1階の2住戸(約57㎡)には、住戸内の浴室のほかにテラス内に露天風呂を設けているのも面白い。記者は風呂が好きではないのでよく分からないのだが、これもまた風呂好きにはたまらないだろう。
洗面&浴室
CO2排出量 従来の2割削減 長谷工コーポ 新開発のコンクリート「上池台」で採用
「(仮称)大田区上池台5丁目計画」
長谷工コーポレーションは11月22日、長谷工不動産の分譲マンション「(仮称)大田区上池台5丁目計画」(42戸)で住宅性能表示を用いるマンションとして初めて独自開発した環境配慮型コンクリート「H-BAコンクリート」を建物の地上部分に全面採用すると発表した。
同マンションに使用するコンクリート約2,300 m3をH-BAコンクリートにすることで約117t(約8,400本のスギが1年間に吸収する量に相当)の温室効果ガス(CO2)排出量の削減効果を見込んでいる。
H-BAコンクリートは、普通ポルトランドセメントと高炉セメントB種を併用して製造することで、従来の普通コンクリートに置き換えが可能で、コンクリート材料に由来する温室効果ガス(CO2)排出量を約20%削減する環境配慮型コンクリート。
これまで、「ルネ横浜戸塚」(439戸)の回廊床や、学生向け賃貸マンション「学園東町プロジェクト」(120戸)での全面採用など実績を重ねてきた。新材料・新工法のため、住宅性能表示「評価方法基準」としては評価できなかったが、国土交通省の「特別評価方法認定」を取得したことで、住宅性能表示を行う分譲マンションへも採用できることになった。
同社は2021年には約100万m3 のコンクリートを使用しており、これをH-BA コンクリートとした場合には約5万t(約360万本のスギが1年間に吸収する量に相当)の温室効果ガス(CO2)排出量を削減できるとしている。
◇ ◆ ◇
1人の人間が1年間に排出するCO2は約350kgとされているので(小生は小柄なので平均値以下だと思うが、その代わり〝毒〟を含んだ記事を垂れ流しているのでイーブンか)、117tは人間にすると334人分だ。凄い数値だ。スギもまた立派だ。
だが、しかし、高く評価される一方で、木は粗末に扱われている。利活用されないままで放置されたり、なんだかんだの理由をつけてぶった切られたりする。
それにしても従来のコンクリと比べ2割もCO2排出量を減らせるとは…価格も気になるが…。
予定価格を公表したのに好感 「コンセプトサロン」 三井不レジ「西新宿」
「パークタワー西新宿」
三井不動産レジデンシャルは11月18日、新宿区西新宿で開発を進めている「パークタワー西新宿」で同社初の「オンライン上と実空間を連動させたハイブリッド型マンション販売拠点」の「コンセプトサロン」を開設、2023年1月中旬頃に実空間の「レジデンシャルサロン」をオープンすると発表した。
「コンセプトサロン」では、①コンセプトムービー②建物概要③室内空間④VR モデルルーム⑤間取り・予定価格を含めた販売スケジュール⑥Q&Aを紹介するなどして、実際に物件の外観や内装で使用される素材、専有部分の広さや高さなどを実際の空間を体験できるのが特徴。
物件は、都営地下鉄大江戸線西新宿五丁目駅から徒歩6分、東京メトロ丸ノ内線西新宿駅から徒歩10分、新宿区西新宿5丁目に位置する「西新宿五丁目中央南地区市街地再開発」(0.8ha)の40階建て全470戸(一般販売対象戸数287戸)。専有面積は42.48~108.88㎡。第1期販売開始は2023年3月下旬。竣工予定は2024年11月下旬。施工は熊谷組。
今回の隣接地の「西新宿五丁目中央北地区第一種市街地再開発事業」(1.5ha)では、三菱地所レジデンスの60階建て「ザ・パークハウス西新宿タワー60」953戸(分譲777戸)が2017年に竣工している。
また、近接地の「西新宿五丁目北地区防災街区整備事業」(2.5ha)に事業参画している住友不動産が35階建て「シティタワー西新宿」427戸(非分譲住戸254戸・非分譲SOHO11室含む)を近く分譲開始する。同事業ではA・B・C地区で合計1,000戸の住宅が建設される。
さらに、西新宿5丁目駅にもっとも近い「西新宿五丁目南エリア」(0.6ha)でも再開発の計画が進められている。
「パークタワー西新宿」オンライン上のコンセプトサロン画面イメージ
◇ ◆ ◇
上段はほとんどリリースのコピペだが、同社のリリースには、メディア向けに「コンセプトサロン」の一部をURLで公開するとあったので視聴した。
この種のオンラインによる物件販売現場を知らないからだが、視聴しても何がハイブリッドなのかさっぱりわからなかった。「無知は罪なり」なのか「無知は力なり」なのか。
しかし、間取りと予定価格を公開していることはとてもいいことだと思った。同社物件も含めて、ほとんど(例外はあった)の分譲マンションのホームページは、〝駅近〟などの特長のみが強調され、価格は販売直前にならないと告知されないし、設備仕様レベルも後回しになりがちだ。これは消費者不在であり、購入検討者に失礼だとずっと思ってきた。
「パークタワー西新宿」では、担当者が北向きの6.6mスパンの61㎡台が10,000万円台であるとか、西向きの7.3mスパンの61㎡台が12,000万円台、9.4mスパンの74㎡台が14,000万円台、108㎡の南西角住戸は27,000万円台ということを話した。
この価格が高いか安いかはコメントしないが、港区などでは立地環境に恵まれていなくとも坪700万円を超え、目黒や五反田駅圏でも坪600万円を超えても人気になっている。池袋駅圏では坪500万円をはるかに突破している。
なので、再開発により環境が一変した「西新宿5丁目」でこの価格帯というのは納得もした。免震でZEHは首都圏初ではないか。「水の景色」をコンセプトにしたデザインも印象的だ。
日本最高階数 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス西新宿タワー60」竣工(2017/10/24)
坪59万円で剛木造の新商品発売&総額5億円の光熱費応援キャンペーン アキュラ
「超空間の家 スマート」
アキュラホームグループは剛木造の新商品「超空間の家 スマート」の販売を開始するとともに、発売を記念して「総額5億円分光熱費応援キャンペーン」を11月19日~12月25日に実施する。
「超空間の家 スマート」は、5回にわたる実物大耐震実験などの研究成果や営業体制、設計体制、建材の商流などの合理化により27.6坪2階建てで税抜 1,460 万円(税込1,606万円)から販売するもの。
応援キャンペーンは発売を記念し、業績も好調なことから実施するもので、1等は太陽光発電システム3kw(35年間319万円相当の光熱費削減)、2等は太陽光発電システム1.125kw(35年間175万円相当の光熱費削減)など総額5 億円分の光熱費を軽減し家計を応援する。