あきる野市、江東区、神川町、台東区、三芳町…これは何か 首都圏 用途地域全調査
今週はほとんど取材の予定が入っていない。暇に飽かせて、国土交通省の平成31年都市計画現況調査をもとに首都圏区市町村の用途地域について調べてみた。何かの参考にしていただきたい。
低層住居指定比率がもっとも高いのはあきる野市
低層住居がゼロなのは江東区、八潮市など30区市
まず、第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域の低層住居系用途指定の多いところと少ないところから。
全用途地域に占める割合が50%以上の区市町は34自治体で、もっとも比率が高いのはあきる野市の72.7%。以下、東大和市、日の出町の順。都県別では、埼玉県でもっとも比率が高いのは鳩山町の63.5%、神奈川県は逗子市の60.3%、千葉県は四街道市の55.3%。低層用途指定面積が最も広いのは八王子市で、町田市、世田谷区などが続く。
低層住居専用地域の指定がない区市町は30自治体。用途指定の大きい順では江東区、八潮市、戸田市、墨田区、千代田区、台東区、荒川区、中央区の順。港区は全用途に占める低層住居は0.1%存在するが、四捨五入するとゼロなので31番目とした。
都県別の低層住居指定割合では、東京都が37.4%、東京23区が20.4%、埼玉県が18.1%、千葉県が31.4%、神奈川県が31.0%となっている。東京都は意外と高く、埼玉県の割合が低いのが目立っている。
埼玉県神川町は用途指定全てが工業専用地域
工業系地域がないのは箱根町、千代田区など
工業系用途地域の占める割合が100%なのが埼玉県児玉郡神川町。用途指定されている33haすべてが工業専用地域。ただ、行政区域面積は2,317haなので、住めない町ということではない。人口は約1万3千人とある。
神川町を除けば、全用途のうち70.8%が工業系の江東区をはじめ荒川区、袖ケ浦市、神奈川県愛川町、神奈川県中井町、大田区、墨田区、千葉県芝山町が50%以上となっている。袖ケ浦市、愛川町、中井町は工場団地が多く、芝山町は成田空港があるからか。秩父市、横浜市に次いで市域面積が首都圏3番目の市原市は1,975haの工専地域がある。工業系用途が全くないのは箱根町、千代田区、葉山町など8区市町。
商業系用途割合がもっとも高いのは台東区
三芳町、大井町、九十九里町は1%以下
商業系用途の占める割合がもっとも高いのは78.6%の台東区。以下、中央区、千代田区、墨田区、湯河原町、港区、豊島区、新宿区、文京区、渋谷区などと続く。少ないのは三芳町、大井町、九十九里町など。
落葉のメタセコイアとよく似た常緑のセンペルセコイア 名前つけて 大手町仲通り
「BATON PARK-KAWABATA-RYOKUDO-」
一般社団法人大手町歩専道マネジメントと三菱地所が10月24日~30日の7日間、大手町仲通で行った社会実験「BATON PARK-KAWABATA-RYOKUDO-」(BATON PARK)を10月27日見学した。
BATON PARKは、東京・大手町の歩行者専用道路「大手町川端緑道」の未来の空間活用を見据え、神田と大手町を繋ぐ場所として“外空間”の居方を検証するため。
「大手町フィナンシャルシティグランキューブ」と「大手町フィナンシャルシティノースタワー」の間に植えられているスギ科の常緑樹センペルセコイアやケヤキの街路樹がとても美しく、歩行者専用道路「大手町川端緑道」とつながっていた。三菱地所が事業参画している2025年竣工予定の「(仮称)内神田一丁目計画」と大手町仲通りは橋でつなぐことになっている。
「大手町川端緑道」
◇ ◆ ◇
最初にセンペルセコイアを見たときは樹種が分からなかった。メタセコイアと似ているとは思ったが、メタセコイアは落葉樹だ。そろそろ葉っぱが色づくころなのにその気配がなく、青々と茂っていたので、常緑樹のヒマラヤスギの仲間ではないかと考えた。
実証実験を行っている担当者が「常緑のセンペルセコイア」と教えてくれた。樹高は10m以上ありそうだったが、幹回りからして樹齢は数十年だろうとみた。
ネットで調べたらスギ科だった。アメリカなどでは樹高は100mを超えるものもあるそうだ。やっぱり、建築物の「定礎」と同じように、街路樹には名前を付けて、特徴なども分かるようにすべきだ。
センペルセコイア
「大手町フィナンシャルシティノースタワー」(左)と「大手町フィナンシャルシティグランキューブ」(手前は「(仮称)内神田一丁目計画」)
神田と大手町繋ぐ“外空間”の居方を検証 三菱地所「BATON PARK」社会実験(2022/10/20)
丸の内仲通り ウォーカブルな街づくり「Marunouchi Street Park 2022 Summer」(2022/8/3)
3項道路を知った 賃料は1.8万円/坪 サブスクの時代へ コスモスイニシア「内神田」
「コスモグラシア内神田」完成予想図
コスモスイニシアの賃貸マンション「コスモグラシア内神田」を見学した。同社とLaspy(ラスピー)が参画する不動産関連のスタートアップ育成プログラム「Open Network Lab Resi-Tech(Onlab Resi-Tech)」を通じ、住まいへの導入検討を進めてきたサブスク型防災備蓄サービス「あんしんストック」を初めて導入したものだ。
物件は、JR・東京メトロ神田駅から徒歩4分、東京メトロ・都営地下鉄大手町駅から徒歩6分、千代田区内神田2丁目に位置する敷地面積約325㎡、7階建て全24戸。専用面積(間取り)は25㎡(1DK6戸)・35㎡(1LDK6戸)・47㎡(2LDK12戸)。賃料は1.8万円/坪。竣工は2022年10月下旬。施工は大木建設。
加入者(入居者)は月額料金をLaspyに支払い、Laspyは3日分の防災備蓄を用意し、賞味期限の管理や備蓄品使用後の再補充などを行う。「置く場所がない」「管理が面倒」「気づいたら賞味期限が切れている」などの課題を解消するシステム。
このほかスマートロック、置配サービスなどが標準装備で、住戸プランは北向き。間口は1DKが471ミリも1LDKは6950ミリ、2LDKは8210ミリのワイドスパンで、直床、天井高は2400ミリ。蛇口はマイクロバブル。
同社によると、DINKS向きの2LDKを中心にリーシングは順調で想定内のようだ。
中庭
エレベーターの天井
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現地取材の大事さを改めて学んだ。収穫もあった。
最大の収穫は「3項道路」を知ったことだ。建物は、幅員3mくらいの狭い路地に建築されていた。記者は、「道路」とは幅員4m以上で、建築物の敷地はその道路に2m以上接道しなければ建てられないと理解していたので担当者に聞いたら、「道路は確かに幅員3m。建築基準法第42条3項の適用を受けているので問題はありません」とのことだった。
同法を読んだ。平成15年改正の建築基準法第42条(道路の定義)では「『道路』とは(道路法他=略)幅員4m(略)以上のもの」と定義しているが、同条第3項では「特定行政庁は、土地の状況に因りやむを得ない場合においては、前項(2項道路=建基法が制定される以前の4m未満の道路)の規定にかかわらず、同項に規定する中心線からの水平距離については2m未満1.35m以上の範囲内において、同項に規定するがけ地等の境界線からの水平距離については4m未満2.7m以上の範囲内において、別にその水平距離を指定することができる」となっている。
例外があるということだ。密集市街地の建物はみんな既存不適格かと思っていたが、必ずしもそうでないことが分かった。逆にそのようなエリアでの再開発を促すため改正されたようだ。
もう一つは、もちろんマンションもそうだが、都心部の賃料は高いということだ。先日、野村不動産のコンパクトマンション「プラウド銀座一丁目」を見学したが、坪単価は700万円台の半ば。10坪で約7,500万円。利回りを3~4%と仮定すると賃料は18.8~25.0万円だ。
今回の「内神田」も大手町へ徒歩6分。道路付けがいま一つなので分譲にしたら坪700万円は高く、しかし、かといって坪500万円以下はありえない。仮に坪600万円として10坪で6,000万円。利回り3~4%とすると、賃料は15.0~20.0万円。実際の賃料1.8万円/坪とほぼ一致する。
サブスクもそうだ。車、音楽、家具、洋服…防災備品も考えてみればなるほどというサービスだ。「所有から利用」の時代の流れは今後も加速するはずだ。人材派遣も広義の意味でその一種だし、婚姻・離婚だって、近年は年間婚姻件数60万件に対し離婚件数は3分の1の20万件、再婚件数は15~16万件で推移している。婚姻が激減し、離婚が激増している図形だ。共働きが主流の今は利用するのは夫か妻か。「気づいたら賞味期限が切れている」のはどっちか。
エントランス
街路樹虐待は許されるのか、殺していいのか 愛知県一宮市のイチョウは丸裸
葉っぱを付けることも許されない一宮駅前の街路樹(垂れ下がっているのはクリスマス用のイルミネーションのライト)
一宮・音羽通りのイチョウ(電柱より低くするためか)
以下の記事は、大京の「一宮グランフォート」「桑名八間通マスターフォート」と一緒に読んでいただきたい。「一宮」の記事では坪単価は「安いと思うが…」と書いたのには理由がある。記者はこれまでしつこいほど街路樹について書いてきた。一宮市の街路樹もまたひどい有様だった。
写真を見ていただきたい。樹種は分からないが、一つは駅前ロータリーに植わっていた樹木だ。葉っぱの形からしてナンキンハゼと思われるが、高さは4mくらいに強剪定され、葉っぱもまばら。紅葉することすら許されていない(管理者は鉄道会社か)。
もう一つは、音羽通りに植えられていたイチョウだ。樹幹の大きさから判断して樹齢は30年くらいか。高さは6mくらいにちょん切られ、ほとんど丸裸状態だ。葉っぱを付けることすら許されず、ひこばえもない。それでもよくぞ生き延びられているものだといとおしくなった。
その一方で、生殺し同然のひどい剪定を行う市に怒りが沸々と湧いた。イチョウが話すことができたなら〝いっそのこと一思いに殺してくれ〟と叫ぶのではないか。そうしたら、市民はどんな反応を示すか。小生は「街路樹の虐待はありか、殺していいのか」といいたい。「街路樹暴行罪」「わいせつ物陳列罪」の適用はないのか。
一宮市の緑被率や都市計画(用途地域)を調べた。緑被率は市域面積の35%を占めているのだが、2006年度(平成18年度)~2014年度(平成26年度)の経年変化を見ると、市街化区域では13%から5.1%と約8%減少。一宮駅や市役所が位置する本庁地区は4.8%ともっとも低い。市民一人当たりの都市公園面積は5.4㎡で、国が定める標準値(10.0㎡/人)や愛知県の平均値(7.7㎡/人)より下回っている。用途地域は商業系が10.8%、工専1.2%を含めた工業系が53.2%、第一種低層住居専用地域は1.4%だ。
長々と書いたが、読者の皆さんもお分かりのはずだ。マンション価格を引き上げられないのは、緑の量と質が劣り、街のポテンシャルが低いからだ。民力が低いといったら失礼か。
これほど緑被率が低く、工業系用途が多いのは首都圏でもそうないはずだ。例えば東京都江東区。同区の用途地域には第1・第2種低層住居専用地域は1か所もなく、商業系が10.0%、工業系が73.8%だが、1人当たり都市公園面積は6.6㎡で、緑被率は18.71%だ。
江東区のマンションは、都心に近いことから坪単価は400万円を突破しているところもある。一宮駅は名古屋駅から10分だ。名古屋が坪400万円なら、坪300万円もありかと思うが、住環境を考えるといつまでたっても名古屋に近づくことはできないのではないか。行政担当者には考えてほしい。名古屋から一宮間の景色もグレー一色で、緑は極端に少ない。
参考にはならないが、「BATON PARK-KAWABATA-RYOKUDO-」(BATON PARK)実施エリア(常緑のセンベルセコイアが見事)
3戸1エレベーター、突板フローリングがいい 大京「一宮グランフォート」(2022/10/28)
三重県初のZEH-M 立地、デザインがいい 大京「桑名八間通マスターフォート」(2022/10/28)
神田と大手町繋ぐ“外空間”の居方を検証 三菱地所「BATON PARK」社会実験(2022/10/20)
イチョウ伐採中止求める国家賠償・住民訴訟 千代田区で3件目/街路樹を原告にしたら(2022/8/8)
怒り心頭 イチョウは殺していいのか 船橋・二和向台の無残な街路樹(2021/11/12)
貧しい街路樹 低い緑被率 「緑」に対する市民の不満率44% 「八潮らしさ」を考える(2020/2/15)
3戸1エレベーター、突板フローリングがいい 大京「一宮グランフォート」
「ライオンズ一宮グランフォート」
先ほど紹介した大京「ライオンズ桑名八間通マスターフォート」に続いて、大京「ライオンズ一宮グランフォート」について。こちらは一宮市初の「ZEH-M Oriented」認証物件で、3戸1エレベーター、突板フローリングが特徴だ。
物件は、JR尾張一宮駅から徒歩10分・名鉄一宮駅から徒歩11分、一宮市大宮2丁目の近隣商業地域に位置する敷地面積約3,000㎡、15階建て88戸。専有面積は57.79~80.29㎡、価格は未定。竣工予定は2024年5月。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売開始は11月中旬。
敷地西側は幅員23mの音羽通りに、南側、東側、西側もそれぞれ接道。建物は道路から25~37mセットバックさせて建設し、敷地の77%を空地として確保、建物南側には提供公園を整備するなど豊かな緑地空間を設ける。建物外観は「尾州織」をモチーフに縦糸と横糸をマリオンなどで表現し、手摺り、タイルもそれぞれ3種を用いてデザイン性も高めている。
住戸は3戸1エレベーターを採用することで、1フロア6戸のうち角住戸を含めた4戸を両面バルコニー付きとしている。プランは2LDK~3LDKまで6タイプ。一宮市初の「ZEH-M Oriented」認証のほか、「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」で最上級の5つ星をそれぞれ取得している。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2450ミリ、ウォールナットの突板フローリング、食洗機、Low-Eガラス、タンク付きトイレなど。
同社営業推進部営業六課係長・青野直樹氏は「当社のZEHマンションとしては全国で28棟目、愛知県では2棟目。床暖房はついていませんが、Low-Eの断熱性が分かる体験コーナーを設け、ZEHの魅力を丁寧に説明することで、お客さまには納得していただけるようにします。長谷工コーポさんとしては一宮市初の施工物件で、床は突板としているのも特徴の一つです」と語った。
駐車場ゲートエントランス
◇ ◆ ◇
販売事務所の近くで草取りをしていた小生と同じくらいの年齢と思われる夫婦に「すいません、これからそこのマンションを取材するのですが、河村市長がいつも話すように名古屋弁で聞きたいので、話し方を教えてくれませんか」と声をかけた。
快く受けてくれたのだが、「市長の名古屋弁はパフォーマンス。いまどきあんな汚い言葉を使う人はおらへん。昔、朝鮮戦争が始まるまでは、名古屋弁は美しかった。語尾に〝なも〟〝だわ〟を付けてとても柔らかった」とのことだった。
なるほど。とはいうものの、やっぱり名古屋弁を使いたく、「東京からどえりゃあ時間かけてやってきたなも、じべたの価格を聞かんことにはどもならん。あんた、あんばよう教えてちょーよ」と質問した。
意味は通じたようだが、青野氏からは丁重に、かつきっぱりと「坪単価は非公表でして…」と断られた。
最上階の80㎡で予定価格は5,600万円ということなので、坪単価は約230万円。名古屋駅圏は坪400万円超でも売れていることを考えると、半値に近い。安いとは思うが…。
突板フローリングはいい。首都圏では最近はほとんど見られなくなった。価格的には変わらないようだが(ものによる)、突板はキズが付きやすく、居住者のクレームを避けるためにシート張りにしているようだ。
しかし、突板、挽き板のフローリングがいいに決まっている。真冬に比べていただきたい。突板、挽き板は暖かく感じるのに対して、フローリングは氷のように冷たいままだ。
突板フローリング
現地
三重県初のZEH-M 立地、デザインがいい 大京「桑名八間通マスターフォート」
「ライオンズ桑名八間通マスターフォート」
大京のZEHマンション、「ライオンズ一宮グランフォート」と「ライオンズ桑名八間通マスターフォート」を見学した。まず、三重県初のZEH「桑名八間通」から。
物件は、JR・近鉄名古屋線桑名駅から徒歩7分、桑名市末広町の商業地域に位置する15階建て全95戸(分譲対象戸数93戸)。三重県初の「ZEH-M Oriented」認証を取得し、「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」で最上級の5つ星を住棟全体と全住戸で取得済み。先着順で分譲中の住戸(6戸)の専有面積は66.72~85.84㎡、価格は4,390万~5,890万円。竣工予定は2024年2月。設計は柴山コンサルタント、施工はTSUCHIYA。モデルルームのインテリアデザインは三井デザインテック・岩崎裕子氏。第1期28戸を10月29日に分譲するが、うち22戸が成約見込み。
現地は、桑名駅と歴史文化資源が多く残る桑名城跡エリアをつなぐ八間通り沿いに位置。敷地北側は、電柱が地中化されている車道22m、歩道10mの八間通りに、敷地南側は幅員6mの道路にそれぞれ接道。南側は3階建ての小学校に隣接。
建物の外観は白、グレー、黒のモノトーンを基調に、縦マリオンの位置をずらすなどして印象的な外観にしている。住戸は2階からで、南向き53戸と東向き42戸で構成。間取りは3LDK・4LDK(66.72㎡~85.84㎡)まで10タイプ。
主な基本性能・設備仕様は、直床、食洗機、Low-E複層ガラス、シート張り床、リビング&主寝室床暖房、タンク付きトイレ、タオル掛けなど。
同社営業推進部営業六課主任・中澤あさ美氏は「今回の物件は、当社としては桑名市内で6物件目。価格が高い角住戸や上層階のほうから売れており、販売は順調。来場者はシニアの方とファミリーが半々。市内のほか、名古屋勤務で地元に何らかの縁のある方が中心です」と語っている。
◇ ◆ ◇
わが故郷・三重県の分譲住宅は、三交不動産のレベルの高い戸建てをいくつか見学しているが、マンションは初めて。桑名駅に降り立つのも初めてだった。
現地まで歩く間に同社のマンションを2物件見た。いずれも外観デザインがよく、八間通りは城下町の面影はあまりないが、道路幅が広く、銀行の支店が3つあるなど、中心市街地だったことがすぐわかった。街路樹のケヤキは強剪定されており、無様な姿をさらけ出しているのは気になったが、嫌悪施設などはなく街並みもまずまずだった。
物件の基本性能・設備仕様レベルは、首都圏の郊外物件よりはるかに高い。71㎡のプランの間口は8.6mあった。モデルルームのインテリアデザインに岩崎氏を起用しているのも正解だと思った。同社は坪単価を公表していないが、価格の高い住戸は坪230万円くらいだろうが、戸建てから買い替えを検討するシニアには受け入れられるはずだ。
市内では三交不動産のほかマリモ、フージャースコーポレーションなども供給しているようだが、トップシェアを占め、需要者のニーズを知悉している自信からだろうか、「競合しても負けません」と中澤氏の顔には書いてあった。
モデルルーム
現地
◇ ◆ ◇
読者の皆さんはご存じないだろうから少し紹介する。三重県に誇れるものは「伊勢神宮」「赤福」「的矢牡蠣」、歴史的人物として松尾芭蕉、本居宣長、三井高利(三井・越後谷創業者)、江戸川乱歩、村山龍平(朝日新聞創業者)、小津安二郎…くらいで少ないが、桑名はかつて「日本の山林王」と称された諸戸財閥の発祥地だ。1863年(文久3年)に諸戸清六が創業。現在、諸戸林業の所有林は約2.800haで全国15位(トヨタ自動車が所有する約1,630haは諸戸林業から取得したもの)。
「桑名の焼き蛤」も有名だが、小生は美味しいとは思わない。三重県由来のおいしいのは伊勢エピ、アワビ、サザエもそうだが、さめのたれ、うつぼ、かいづの干物が絶品。酒は「宮の雪」。
駅前のケヤキ(ムクドリ対策として毎年剪定しているようだが、ケヤキ本来の美しい樹形でないのが気になった)
八間通
かいづの干物(記者は目がうっとりしており、抱き合っているようなので「夫婦和合の干物」と呼ぶ)
大丸有エリア最大級の緑地空間6,000㎡「Otemachi One Garden」 三井物産・三井不
三井物産と三井不動産は10月25日、「Otemachi One」に大丸有エリア最大級の約6,000㎡の緑地空間「Otemachi One Garden」を12月16日(金)にオープンすると発表した。
「Otemachi One」は敷地面積約20,900㎡、31階建て三井物産ビルと40階建てOtemachi One タワーの2棟からなるオフィス・商業・多目的ホール・ホテルなど延べ床面積約358,700㎡の複合施設。
「Otemachi One Garden」は緑地空間6,000㎡。中・高木約300本、低木約6,600本を植樹し、約3,000㎡の芝生を中心としたイベントスペースや水辺空間も整備。対面に位置する皇居の広大な緑との連続性により、大手町における緑のネットワーク形成と豊かな緑地空間の創出に貢献する。
2020年2月に竣工した「Otemachi One」が備える最先端のオフィス、ホール、カンファレンス、ホテル、飲食店、ランニングステーションなどの機能に、今回「Otemachi One Garden」が新たに加わることで、都心で自然を感じながら「憩う」「潤う」「賑わう」「働く」「思索する」場を提供する。「Otemachi One Garden」のオーブンをもって両社による複合開発は完成する。
オープンを記念して12月16日(金)から25日(日)までオープニングイベント「Winter Bloom」を開催。世界的なフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン氏によるフラワーライブパフォーマンスや様々なイベントを行う。
緑地空間約6,000㎡の規模は、三菱地所が開発中の「TOKYO TORCH」の街区中央に位置する約7,000㎡の大規模広場「TOKYO TORCH Park」には及ばないが、「Otemachi One」に隣接する三菱地所「大手町ホトリア」の緑地面積約3,000㎡の2倍。
フラワーディスプレイ
イルミネーション
申し込み殺到するか 松屋福袋にハワイの7億円のコンドミニアム宿泊権20万円 リスト
「WAIEA(ワイエア)」アメニティデッキ
リストグループのリストインターナショナルリアルティ(LIR)は10月25日、7億円相当のハワイの高級コンドミニアム「WAIEA(ワイエア)」の宿泊体験を松屋の2023年福袋商品として1件提供すると発表した。
「WAIEA(ワイエア)」は36階建て全174戸。専有面積は約223㎡(3ベッドルーム、3バスルーム)、竣工は2016年。
福袋の応募期間は2023年1月2日(月)-3日(火)、応募場所は松屋銀座1階特設スペース。応募資格は松屋カード保有者、価格は税込202,300円。商品内容は「ワイエア」滞在権1週間(5泊7日)、松屋商品(キャリーケース、アロハシャツ、リュック、アイマスク、スーツケースタグ、圧縮袋、ネックピロー 各2点ずつ)。宿泊可能日は2023年3月1日(水)-12月31日(日)のうち7日間(別途、航空券代)。
LIRは、高級不動産仲介ブランド「サザビーズ インターナショナル リアルティ®」の日本国内での独占営業権を2010年に取得しており、ハワイでは2か所にオフィスを構え、大規模都市開発計画「ワードビレッジ」の日本におけるオフィシャルパートナーとしてコンドミニアムの売買を手掛けている。宿泊が可能な「ワイエア」は「ワードビレッジ」内で最初に販売されたコンドミニアムでオーシャンフロントに位置している。
プール
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海外のコンドミニアムは全く知らないが、対象住戸の坪単価をはじいたら1,026万円だ。都内にこの単価で総額7億円超のマンションはどれくらいあるだろうか。バブル期を含めた分譲時点で集計すれば300戸くらいありそうな気がするが、現在価格では100戸あるかどうかではないか。
そんな高級マンションに約20万円で5泊7日できるのだから、1泊当たり4万円だ。家族4人だと一人当たり1万円。これは安い。申し込みが殺到するのではないか。
だが、しかし、リスト北見社長、期待が大きいからこそあえて言わせていただく。オープンハウスは三冠王を獲得したヤクルト村上選手に「東京の家3億円」をプレゼントし、事業費5,000万円を投じて「つば九郎ハウ巣」を建設したではないか。ヤクルトが2年連続日本一になったら、オープンハウス荒井社長はまた何かやるはずだ。
北見社長と荒井社長は1965年生まれの同級生で、ともに野球好き。RBA野球大会では直接対決はどれだけあったか分からないが、通算成績はリストが80勝37敗、勝率.684、オープンハウスは41勝22敗、勝率.651だ。リストが上回っている。売上高の多寡など関係ない。オープンハウスの向こうを張って度肝を抜くプランを提案し、荒井社長の鼻を明かしていただきたい。宿泊権1件というのは少なすぎる。50件の申し込みがあるのではないか。
7億円といえば、小生は自慢じゃありませんが、三菱地所ホームの時価7億円はしそうな全館空調「エアロテック」モデルハウスに無料で1泊させてもらった。もう時効だから書くが、加藤社長からは高価なシャンパンのプレゼントもあった。浴室、トイレだけでなく押入れの中まで気温が一定で、あまりにも快適・豪華すぎて、7億円の価値を堪能することはできなかったが、記事へのアクセス数は5,000件を突破した。少しはPRに貢献したはずだ。
効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)
助走に過ぎない コンパクト坪700万円突破 野村不「プラウド銀座一丁目」
「プラウド銀座一丁目」
野村不動産が分譲中のコンパクトマンション「プラウド銀座一丁目」を見学した。「銀座」アドレスとしては過去10年間で6物件しか供給されておらず、「銀座一丁目」では初の物件。坪単価はコンパクトとしては過去最高額と思われる700万円台の半ばだが、希少立地と設備仕様レベルの高さなどが会社オーナーや周辺エリア勤務者に評価されているようだ。
物件は、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅から徒歩7分他、JR東京駅から徒歩16分、中央区銀座一丁目の商業地域に位置する9階建て32戸。専有面積は34.96(2スパン16戸)・53.63㎡(8戸)・54.44㎡(8戸)。現在先着順で分譲中の住戸(2戸)の価格は7,890万円・8,090万円(34.96㎡)。2022年2月竣工済み。設計・施工・監理は野村建設工業。昨年5月から販売を開始しており、残りは2戸のみ。
現地は、2003年竣工の期間50年の定期借地権付き三菱地所「銀座タワー」(180戸)に近接。敷地は西側と北側に幅員8mの道路に接道。建物は西向きシンメトリーで、バルコニーのガラス手摺りは屏風のように波打っており、印象的なデザインが特徴の一つ。住戸は2階からで、1フロア4戸、34.96㎡の1LDK(2スパン)と53.63㎡と54.44㎡の2LDKで構成。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2700ミリ、食洗機(1LDKは除く)、二重・防音サッシ(角住戸)、Low-Eガラス(西側、一部北側居室)、エアコン、食器棚、折り上げ天井、フィオレストーンキッチン天板、物干しポール、ミストサウナ、ハイサッシ、ガラスウォールドア、イタリア産60cm角大盤玄関タイルなど。
同社プラウドギャラリー虎ノ門担当の橋本泉氏は「過去10年間で銀座一丁目アドレスは初、銀座アドレス6物件のうち4物件は8丁目。希少性が高いのと通常ならプラウド仕様でもオプションになるものも標準装備しているのが評価されています。価格からして利回りが高くありませんので、投資というよりは会社オーナーや東京駅圏の勤務者など実需が中心です」と話している。
玄関
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「設備仕様レベルの高さが評価されている」という橋本氏の言葉に納得だ。コンパクトマンションは総じて単価が高く、その割には設備仕様レベルが低いが、今回の物件はレベルが高い。
坪単価も予想した通りだった。過去10年間で分譲された6物件のうち3物件を見学取材している。最後に見学したモリモト「ピアース銀座8丁目」の坪単価は確か550万円くらいだった。その後、銀座の隣接地「築地」では2020年前後に5物件が分譲されたが、もっとも駅に近かった旭化成不動産レジデンス「アトラス築地」の坪単価は500万円だった。これらと比較して、銀座一丁目なら坪700万円を突破するのは当然だ。
今回のマンションは、コンパクトマンションの最高値だと思うが、これは助走に過ぎないとみている。今後都心部の一等地で供給されるコンパクトは坪1,000万円くらいになるはずだ。
エントランス
「晴海」より面白い 坪500万円の攻防 目が離せない旭化成不レジ「アトラス築地」(2020/1/17)
銀座の柳の下に泥鰌? 人気「パークリュクス」近接 モリモト「ピアース銀座8丁目」(2017/10/28)
「桐の街・春日部」匠の技を未来に繋ぐ ポラス+地元企業連携 建材・インテリア開発
「フレーベスト新河岸WA plus」
ポラスグループは10月24日、〝桐の街〟として知られる春日部桐箱工業協同組合や建材メーカー・厚川産業と協働・開発した住宅用内装用無垢桐パネル「KIRINOKA」の活用を進めるとともに、伝統的工芸品をインテリア雑貨「KIRIHAKO」としても商品化し、同社ショールームなどで販売していくと発表。同日、分譲戸建て「フレーベスト新河岸WA plus」のモデルハウスに設けた「アンテナモデル」をメディアに公開した。
桐は、軽くて断熱性が高く、調湿性に富み、防虫効果もあることから桐箪笥、桐箱などとして利用されてきたが、「表層が柔らかく、傷がつきやすい」などの理由から国内建材メーカーは建材としてほとんど扱ってこなかった。
一方で、春日部市では、日光東照宮の造営に携わった匠が市内に住み着き、桐を使った製品を作っていたことから「春日部桐箱」として全国に知られるようになり、1980年代のバブル期には贈答品のパッケージとして重宝がられた。しかし、その後、1990年代の容器包装リサイクル法や環境意識の高まりの中、桐箱は過剰包装として生産量が減少。春日部桐箱工業協同組合が設立された昭和60年(1985年)当時、約50社あった桐箱業者は現在10社まで減少している。桐箱の生産は全国で行われているが、春日部以外では組織化されておらず、職人の高齢化、後継者難、価格決定権がないことなどから廃れる一方とされている。
こうした状況を打破しようと、伝統手工芸品「桐箱」の住空間への転用と地域産業の活性化のために、10年前から同社グループと春日部桐箱工業協同組合、厚川産業が研究を進め、浮造りや多重塗装など試行錯誤を重ね、無垢桐パネル「KIRINOKA」として開発。2021年度グッドデザイン賞を受賞し、今年度は200棟を超える分譲住宅に採用している。
「KIRIHAKO」は、「KIRINOKA」のテイストに合わせてインテリア雑貨として開発したもので、「Kinu-hako「Iro-hako」「Yuki-hako」と名付けテーブル、アロマペット、貯金箱、蛇腹の箱、アートパネル&フレームとして、同社のショールーム、大手通販サイトなどで販売していく。
ポラスグループ中央住宅戸建分譲設計本部設計一部部長・野村壮一郎氏は「『KIRINOKA』は年間200~300棟で採用していく。『KIRIHAKO』はインテリアとしていろいろなパターンで作れるので桐の価値を高めることができる」と語った。
春日部桐箱工業協同組合理事長で、明治31年創業の厚川産業代表取締役・厚川秀樹氏は、「桐は成長が早く30年で直径50cmくらいになる。わが国の桐の生産地としては会津、岩手が知られるが、国有林が多く、自然林はなくなってきており、中国や北米産が中心。我が家は床材に桐を採用しており、暖かくべたべたしない。ネコも喜ぶ(引っ掻けがいがあるためか)。ただ、施工が難しく畳材と競争するのには課題もある」と語った。発表会に臨んだ同社常務取締役・厚川雅信氏については「もう代替わり、来年度からは社長」と社長交代を明言した。
「フレーベスト新河岸WA plus」は、東武東上線新河岸駅から徒歩11分、川越市大字藤間字開発に位置する全41戸。敷地面積は110.03~154.82㎡、建物面積は95.63~106.61㎡、価格は3,980万~4,980万円。8月から21戸を販売開始しており、現在、14戸を成約するなど好調に推移している。
モデルハウス見学会(手前の小物、壁は桐材、床はシナの挽き板)
塗装は4種から選べる
「KIRIHAKO」
◇ ◆ ◇
若い人はどうか知らないが、小生などは桐は日常だった。嫁入り道具として桐箪笥をトラックに載せて嫁ぐのは女性の夢だったし、引き出しを締めると隣り合わせの引き出しが開くのを楽しんだものだ。母親の宝、自分の分身のへその緒は桐箱に収められた。
大きくなっても、一時は桐壺が最高ではないかと「通い婚」を夢見し、きれいな女性にキリキリ舞いし、結局は裏キリにあい、キリ捨てらてばかりいた。それでも、キリの摩周湖は数少ない持ち歌の一つだった。今でも江戸キリ子で酒を飲む。
そんな桐が使われなくなり、ミクロの世界で生きる匠の技が廃れるのは見るに忍びない。今回の取り組みが花開くことを望みたい。
その可能性はかキリなく大きいと見た。厚川氏が自宅の床材に桐を採用していることを前段で紹介した。野村氏もまた「最初、厚川さんから提案されたのは実は床材だった」と打ち明けた。ナイスが商品化した「表層圧密ギュッド」のように圧縮すると、桐本来のよさが失われるので圧縮材は不向きのようだが、柱の傷で子供の成長を計ったように「傷をデザイン」することは可能なはずだ。
その可能性を証明することを一つ経験した。この日はとても寒く、モデルハウスは暖房がつけられていたのだが、コロナ対策なのか窓という窓は開け放たれていたのでその効果はなかった。
ところが、床材は同社の分譲戸建ての特長でもある挽き板が採用されており、その寒さの分だけ暖かく感じられた(小生のマンションはシート張り)。桐も同じであるはずだ。その差のテータもあるはずだ。
アンテナモデル内観
現地