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「IZM(イズム)」モデルハウス

 三井ホームは6月7日、35歳~45歳の子育て世代をメインターゲットにした新商品「IZM(イズム)」のモデルハウスを「レジデンスサイト横浜町田」内にオープンしたのに伴うメディア向け見学会を行った。住宅の内と外を緩やかにつなぐ半戸外空間「ラナイ」の提案や、内外観に木をふんだんに用いた仕様、白を基調にしたアースカラーのデザインが素晴らしい。

 「IZM(イズム)」は、コロナ禍による消費者の住宅選好の変化に対応する新商品で、〝仕事も遊びも自分らしく〟をテーマに昨年4月に販売開始。シャープな切妻屋根の「ウィングルーフ」、外からの視線をさえぎる「プライバシーウォール」、建物の家と外を緩やかにつなげる半戸外空間「ラナイ」、信楽焼のオリジナルタイル壁「モダンブリック」などを装備し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を満たし、住宅性能表示制度の最高等級「断熱等性能等級5」「一次エネルギー消費量等級6」に標準対応しているのが特徴。

 モデルハウスは4月29日オープン。3月26日に大阪箕面にオープンしたのに続く2棟目。敷地面積約241.92㎡(73.18坪)、建築面積約144.84㎡(43.81坪)、2階建て延床面積約187.64㎡(56.76坪)。価格は100万円/坪からで、提案段階では120万円/坪~150万円/坪が中心。

 昨年4月から今年3月末までの受注棟数は127棟で、50坪以上が33%、エリアは首都圏中心の関東が65%、関西が20%。顧客の年代は45歳以下が54%。

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1階LDK

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軒裏のレッドシダー

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「ダイニングラナイ」

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塚八幡宮の神木「ヒマラヤスギ」を採用したダイニングテーブル

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 見学会会場で配布された、マクロミル会員を対象にしたインターネット調査結果に注目した(有効回答1,317名)。調査は商品企画段階の2021年10月に実施されたもので、メインターゲット(以下、ターゲット層)の35歳~45歳の子育て世代が「環境問題や社会問題に配慮した商品を購入したい」という意向を示したのは75.8%(もっとも低いのは50~59歳の63.7%)、所有希望を含めた車所有が83.3%(同30~34歳の77.5%)、バーベキューが日常化しているのは44.7%(同50~59歳の27.1%)、多様な働き方が日常となっているのは75.8%(同50~59歳の52.9%)などの数値はなんとなく理解できる。

 家族で楽しめる中庭のニーズは26.9%で、「眺める庭」11.5%、「広めのバルコニー」15.2%、「屋外空間」10.6%、「庭は必要ない」8.6%などの回答は時代の変化か。

 驚いたのは、戸建てを購入すると想定した場合に購入したいデザインは「エレガント」「オーセンティック」「シンプル&スクエア」「ウッディ」のうちどれかという問いに対し、ターゲット層の52.8%は「シンプル&スクエア」を選んだことだ。他の年代の30%近くは「エレガント」+「オーセンティック」を選択したのに、ターゲット層は「エレガント」の9.4%、「オーセンティック」の11.3%を合わせ20.7%しかない。

 これをどのように解すべきか。小生などは三井ホームといえば「エレガント」+「オーセンティック」=吉永小百合さんで、「シンプル&スクエア」はパワービルダーの分譲戸建てしか思い描けないのだが、同社はコロナによる消費者の住宅選好の変化を取り込み、新たな顧客層の開拓に成功したとも受け止められる。

 とはいえ、前段の受注状況からして、「シンプル&スクエア」=低価格とみるのは早計だ。同業の記者の方が「ターゲットは富裕層が中心か」と質問したように、富裕層のニーズに十分応えられるものであり、ターゲット層のアッパーミドル、今風に言えばパワーカップルの潜在的なニーズを掘り起こし、受注単価増につなげた結果だと思う。

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「リフレッシュスタジオ」(天井には熊野ヒノキの木製ピーリング)

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 モデルハウスの「ダイニングラナイ」「オープンラナイ」「ガレージラナイ」などの容積不参入の「ラナイ」の提案が文句なしにいい。受注した127棟のうち50坪以上が33%で、同社の他の商品の受注棟数のうち50坪以上は22%であることからも「ラナイ」の提案がヒットしたことをうかがわせる。

 それと木の多用。1階の軒裏はレッドシダー、長さ約4m×幅約1mのダイニングテーブルは、2019年の台風19号で倒れた平塚八幡宮の神木「ヒマラヤスギ」、2階の「リフレッシュスタジオ」には、高級材とされているわが故郷・三重県の熊野産材のヒノキの木製ピーリングがそれぞれ採用されている。

 皆さんは熊野ヒノキをご存じか。年輪が密で強度が高いのが特徴で、急峻な山、土壌・地質、密植とも深い関係があるという。

 多雨地域で気候が温暖なことから木はよく育つと考えがちだが、肌理細やかで強かな建材にするには適度なストレスを与えることが必要だそうだ。(人間も同様だ)

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手前が2階の「リフレッシュスタジオ」、その奥がフラット床の裏ッと床の「スカイラナイ」

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左の壁が「プライバシーウォール」

 

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「オウカス世田谷仙川」

 野村不動産と野村不動産ウェルネスは6月6日、健康増進型・賃貸シニア向けマンションシリーズ「OUKAS(オウカス)」の第6弾で、同社最大級の「オウカス世田谷仙川」(全186戸)を2023年8月20日に開業すると発表した。

 「オウカス世田谷仙川」は、1954年に開園した第一生命保険の福利厚生施設・第一生命グラウンドなどで構成される敷地約9ha内に立地。健康増進、高齢者支援、地域活性化、子ども・教育、スポーツ振興、安全・防災、環境配慮など地域住民のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上を目指す、第一生命保険、丸紅都市開発、相互住宅、NTT都市開発、野村不動産の5社共創まちづくりプロジェクト「SETAGAYA Qs-GARDEN」の一つ。

 物件は、京王線仙川駅から徒歩14分、千歳烏山駅から徒歩15分、世田谷区給田1丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約9,064㎡、4階建て延床面積約11,521㎡186戸。専用面積は20~21㎡(3戸)、25~35㎡(62戸)、36~60㎡(121戸)。開業は2023年8月20日。事業主は野村不動産、運営は野村不動産ウェルネス。基本設計・デザイン監修は日建ハウジングシステム、実施設計・施工は熊谷組。テナントは看護小規模多機能型事業所(やさしい手)。

 共用部にはダイニング、ゲストダイニング、大浴場(人工温泉)、フィットネススタジオ、コミュニティカフェ、ゲストルーム、カラオケ&シアタールーム、ライブラリー&ラウンジ、コンシェルジュデスク、美容室などを備える。

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 住協グループは6月5日、埼玉西武ライオンズの公式スポンサーとして、水上由伸投手(背番号69)と古賀悠斗選手(背番号22)を起用した新CMを6月1日から開始したと発表した。

 CMは15秒と30秒の2種類で、1試合につき2回、ベルーナドームのコンコース・大型Lビジョンで放映される。放映期間は2023年8月27日まで。

 「一度聴いたら耳に残り、思わず笑顔になる」というのがコンセプトで、水上投手、古賀選手にはユニフォームだけでなく、現場監督の作業姿や大工の作業姿にもなってもらい、撮影は終始和やかな雰囲気で行われ、Youtube【住協チャンネル】で配信したメイキング映像は公開後2日で4,500回以上の再生数を記録したという。

 住協グループは2008年から埼玉西武ライオンズの公式スポンサーを務めており、レフト側外野フェンスにグループロゴを掲示している。

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 小学校3~4年生のころからだから、60年以上西武ファンの小生は、取材・飲み会など外出している以外は毎日CSで観戦している。4月の段階では絶好調で、優勝もできるのではないかと思った。

 ところが、5月に入って突如変調をきたし、急坂を転げ落ち、底這いを続けている。投手は踏ん張っても打線が援護できない、守れない。5月だけで勝率は3割以下。Y選手の不祥事が原因の全てだろう。もう楽天との最下位争いを楽しむことに切り替えた。そうしないとストレスは記事にも影響する。もうしているか。酒の量が増え、怒りに身を任せた思慮分別を著しく欠いた記事が増えているような気がする。

 住協グループが西武の公式スポンサーだったとは全然知らなかった。取材したのはもう20年も前だろうか。

開幕前に西武〝日本一〟 素晴らしいボールパーク化工事完了 人材流失に終止符(2021/3/9)

 


 

 

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前列左から国土交通省住宅局官房審議官(住宅)・石坂聡氏、藤木氏、経済産業省製造産業局生活製品課長・田上博道氏、環境省大臣官房政策立案統括審議官・角倉一郎氏、後列左から吉田氏、奥氏、市川氏、松崎裕之氏(竹中工務店参与・佐々木取締役社長代理出席)

 日本ウッドデザイン協会(会長:隈研吾氏)は6月5日、農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省の4省庁と「建築物木材利用促進協定」を締結し、記念式典&ウッドデザインフォーラムを開催した。協定により幅広い業種・分野をカバーし、木材利用促進を図るのが目的。期限は令和8年3月末。

 協定の主な内容は、①ウッドデザイン賞を通じた木材利用の認知拡大、ノウハウの提供、事業者間マッチングの推進②異業種・産官学民で構成される協会会員及び地域が連携・協働する部会・分科会・ワーキンググループなどの企画・運営を通じて、木材利用の新たな技術開発・マーケティング手法などを開発する③地方公共団体、研究機関、関係団体との連携・協働により、各種セミナー、イベント、研修などを開催し、木材利用の分野拡大、クオリティの向上に取り組む④オフィスや商業施設などでの積極的な木材利用促進により、健康や安全、生産性向上などのメリットを享受しながら脱炭素化のシフトを支援し、環境保全にかかる行動変容を後押しする-など。

 隈会長はビデオメッセージを通じ、「木を使った新たなデザインの力で、社会課題の解決をめざすウッドデザインは持続可能な社会づくりを考えるときに欠かせないもの。大きな変化を経験した暮らしや環境のなかで、私たちは改めて木の魅力や、日本の持つ木の文化的価値に目覚めた。今求められていることは、木をテーマにつながった多様な産業、専門家、地域がより深く連携し、新たな価値をつくりだしていくこと。産官学民の連携をより強固にし、皆さんにはこれまで以上のご参加、ご協力を期待したい」と語った。

 ウッドデザインフォーラムでは、農学者で造園家の涌井史郎氏が「持続可能な未来を拓く、日本の木と森の文化」をテーマに講演を行った。涌井氏は中世のペストの流行が封建制から資本主義社会への転換を促し、19世紀のコロナは公共衛生と都市計画を生んだとし、今回の新型コロナのパンデミックは生物界からの現代文明への警告・警鐘と捉え、自然との共生・バランスを図るきっかけにしなければならないなどと語った。

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 記者は、同協会からの取材案内に隈氏がビデオメッセージを寄せ、副会長の奥和登氏(農林中央金庫 代表理事理事長兼執行役員)、市川晃氏(住友林業代表取締役会長)、佐々木正人氏(竹中工務店取締役社長)または代理の方、吉田淳一氏(三菱地所取締役会長)が出席されるとあったので、楽しみにしていた。

 記念式典では、隈会長をはじめ来賓の藤木眞也・農林水産大臣政務官、経済産業省・国土交通省・環境省の代表の方6名全てが「大変嬉しい」と語った。木造ファンの記者も嬉しかった。

 一方で、ウッドデザインフォーラムで約45分間にわたって講演した涌井氏は前半の10分くらいの間に、少なくとも「残念」を6度発言した。自然・森林の果たしている価値が正当に評価されていない現状について語ったものだ。

 つまり「嬉しい」「残念」は表裏一体。4省庁との協定締結は嬉しいけれども手放しで喜べない。カーボンニュートラル実現への道のりは容易でないことを現実は示している。

 取材会では、各社の取り組みについて聞こうと思っていた。吉田氏には住宅・ビルなどの木質化の具体的な取り組みについて(同社はデベロッパーの先頭を切っていると思う)、市川氏には1,000億円の森林ファンドの意味するものや〝現し〟の重要性について、竹中工務店の方には施工上の課題についてなどだ。しかし、出席されたのはセレモニーのみで、一言も発しないで会場を後にされた。これはとても「残念」だった。

 同協会と各省庁には、アメリカなどで普及しているという景観価値を含めた樹木・緑の定量的評価制度「i-Tree Eco」を開発していただきたい。戦争に耐え、戦後の激動期を乗り切った街路樹が伐採・強剪定され、公園再生の名の下で大量の樹木が伐採されようとしている。開発か保護か、小生は人間中心主義にも非-人間中心主義にも違和感を抱いているが、歴史的に貴重な巨木は残すべきと考えている。

 「木育」にも力を入れていただきたい。先日、野村不動産と埼玉大学は子ども向けの授業向けプログラムを開発し、授業も行ったと発表した。資料を送ってもらったが、実に素晴らしい。同社は会員に入っていないようだ。

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 涌井氏の講演がとても面白かった。数回分の大学の講義をぎゅっと圧縮して話された。必死でメモを取ったが、ここで紹介する余裕はない。同協会はホームページなどで公開していただきたい。

 ただ一つだけ、先生の話に同意できなかったことがある。子どものタワーマンションからの転落事故が増えていることに関し、「高所平気症」がその原因ではないかと話されたが、そもそも超高層マンションが供給されるようになって40年そこそこだ。子どもの転落事故と関連付けるのは短絡的に過ぎる。もう少し科学的な分析・研究が必要ではないか。高齢者を中心とする大人を含めた住宅内事故は増えてはいるが、こどもの不慮の事故はこのところ激減している。

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涌井氏(ロイヤルパークホテルで)

「一般社団法人 日本ウッドデザイン協会」設立 会長に隈研吾氏(2021/12/9)

 


 

 

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ピアキッチン

ポラスグループの中央住宅は62日、同社初&東武東上線の200戸超のマンションで初のZEHM Oriented認定を取得している「ルピアグランデみずほ台(トレジャータウンプロジェクト)」の分譲を612日に開始すると発表した。同日、メディア向け見学会を行った。

物件は、東武東上線・東京メトロ有楽町線・副都心線みずほ台駅から徒歩16分、埼玉県入間郡三芳町竹間沢字新開の工業地域に位置する10階建て全304戸。612日(月)に抽選分譲する第1期(50戸)の専有面積は58.7383.16㎡、価格は2,798万~5,198万円(最多価格帯3,900万円台)。坪単価は未定だが、70㎡で3,900万円台(≒184万円)になる模様。竣工予定は20247月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。管理は長谷工コミュニティ。販売代理は長谷工アーベスト。

敷地は木村屋製パン所の工場跡地で、幅員20mの北側道路に接道。建物はL字型で、標準階31戸のうち南東向きが24戸、南西向きが7戸。住戸プランは58㎡台の2LDK20戸、80㎡台の4LDK28戸で、他は70㎡中心の3LDK3LDKのスパンは62006400ミリ。

主な基本性能・設備仕様は、一次エネルギー26%を削減するZEHM、扁平梁、直床、リビング天井高24502550ミリ、ディスポーザー、食洗機、食器棚付きピアキッチン(148戸)、リビング・居室床暖房、浴室タオル掛け2か所などのほか、同社オリジナルの「ポラスのしあわせメソッド」をフル装備。共用施設・サービスではコミュニティラウンジ、キッズルーム、屋外ワークスペース、ワーキングスペース、シェアリング倉庫、リサ育スペース、コミュニティプラットフォーム「GOKINJO」など。管理は長谷工コミュニティの第三者管理方式を採用する。

見学会に臨んだ同社取締役・成瀬進氏は、「当社が商圏とする埼玉や千葉の第一次取得層向けのマンション市場は安定して推移している。前期の供給戸数は311戸だったが、今年度は倍増させる計画で、うちコンパクトタイプは3割を予定している。デザイン、商品企画に磨きをかけ、他社との差別化を図っていく。ZEH化は2025年までに8割を目指す。このほか、チャンスがあれば再開発や建て替え、買取再販も手掛けていく」と語った。

販売代理の長谷工アーベスト東京支社販売第二部門のプロジェクトマネージャー・朝田美佳子氏は、「これまでの資料請求は400件、415日にオープンしたモデルルーム来場者は181組。約6割は第一次取得のファミリー層で、4割は住み替え希望層。ピアキッチンなど〝唯一無二〟の商品企画が評価されています。第150戸の即日完売を目指します」と話した。

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イメージパース

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浴室タオル掛け2か所

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 同社のマンションはかなり取材している。直近の記事「ピアキッチンだけでない ポラスのマンションはなぜ売れるのか 中央住宅『和光本町』」を参照していただければ、同社のマンションの特徴は分かっていただけるはずだ。

 モデルルームを見学した率直な感想を言えば、他の競合しそうな物件と比べたら、何よりもZEHMが優れているものの、同社の最大の〝売り〟であるピアキッチンをはじめ、ドアはソフトクローズ機能付きではなく、トイレのちょい置きスペースもないことなどから、仕様レベルは最近の物件と比較して落ちると判断した。

 この点について、同社マンションディビジョン部長・中島教介氏と話しあった。東武東上線ではトータルで2,000戸くらいが分譲されており、大激戦であることから価格を抑え、仕様も落としたのかとストレートに聞いたら、中島氏は「ピアキッチンの仕様はこれまでのシナ合板ではないものを採用したが、価格は同程度」と話した。また、中島氏の隣にいた長谷工アーベスト東京支社販売第二部門販売一部エリアマネージャー・吉田康一氏も「当社(長谷工コーポ)の施工比率は7割くらいではないか。競合しそうな他の大型物件もコンスタントに売れているが、設備仕様レベルは『みずほ台』がもっとも高い」と語った。

 記者はこの吉田氏の言葉は外交辞令ではないと受け止めた。ポラス仕様ではないかもしれないが、東武東上線の物件と比較して見劣ることはないはずだ。

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 感心したのはマンションギャラリーの演出だ。ギャラリー内には所狭しとばかり、三芳町の特産品や生息する昆虫類の模型が展示されていた。町の魅力(宝物)を探ろうと、中島氏や吉田氏ら1213名のスタッフが自転車を借りて丸一日、町内を駆けずり回り、調べ上げたものだという。同社マンションディビジョン参事・湯村元昭氏が「物件名を〝トレジャータウン〟としたように、わくわくする仕掛けを施した」と語った通りだ。

 いくつか列挙する。ホタル、カワウソ、アメリカザリガニ、オニヤンマ、クワガタ、カブトムシ、フクロウ、テントウムシ、カマキリ、カメ…皆さんは馬鹿馬鹿しいと思うかもしれないが。中島氏自身も「大変楽しかった。癒された」と語ったように、小生はとても大事なことだと思う。童心に還って自然を観察することは、人間を知ることにもつながる。来場者に物件特性を伝えるのは当然だが、〝ここに住めばどのような生活ができるか〟を担当者が説明できなければ、来場者の心をつかむことはできない。上記した昆虫類のうち23区に生息しているものはどれくらいあるか。人口一人当たりの図書の貸し出し冊数は21年連続埼玉県1位であることも紹介された。

 取材の帰りには、JAいるま野とサクマ製菓が共同開発した「さつまいもみるく」を頂いた。1個食べてみた。確かにサツマイモの味がした。町には「いも街道」があるそうだ。(「イモ!」ではない)

 この演出を見て、予想していた坪単価170万円を同社が予定している184万円から190万円に上方修正した。ZEHのよさをしっかり説明できるか、町の魅力を伝えきれるかが勝敗のカギを握る。

 小生は、今年の郊外マンションで、東(千葉)の「ちびまる子ちゃん(ウエリス八千代村上)」、西(東京)の「昭島(プレミスト昭島 モリパークレジデンス)」、そして北(埼玉)の「みずほ台(ルピアグランデみずほ台)」と「上福岡(Brillia City ふじみ野)」の大規模物件に注目している。施工が同じ長谷工コーポで、東京駅へ1時間圏というのが同じだ。4物件を合わせると約2,830戸だ。年間に売れるのは常識的に考えたら1物件当たり150戸として4物件で600戸くらいではないか。全部売れるまで4.7年もかかる。そんなことにならないよう祈るほかない。成瀬氏は来期(20253月)までの完売を目指すと話した。

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マンションギャラリー掲示板(ここに住めばこんな自然に触れられる)

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左から小生の親指ほどもあるホタル、伊勢海老かと思ったザリガニ、実物に近いカマキリ

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左から絶滅したと思っていたオニヤンマ、木に登るカメ、精巧なカブトムシ

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左から巨大フクロウ、ロブスターか、かわいいテントウムシ

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サツマイモの味がする「さつまいもみるく」

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「(仮称)大阪市北区堂島浜二丁目計画」

 三井不動産レジデンシャルと三井不動産は6月1日、同社初の分譲マンション(513戸)とホテル(220室)の複合プロジェクト「(仮称)大阪市北区堂島浜二丁目計画」を同日着工したと発表した。建物竣工、ホテル開業は2027年春の予定。

 物件は、JR大阪駅から徒歩11分、大阪市北区堂島浜二丁目に位置する敷地面積約5,755㎡、40階建て。主用途は分譲共同住宅・ホテル・飲食店舗・事務所など。設計・施工は清水建設。外観デザイン監修はホシノアーキテクツ。

 分譲マンションの共用部、専有部、ホテルを含む1棟全ての電力を実質再生可能エネルギー100%の一括受電システムで賄い、分譲マンションはZEH-M(ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)の認証を取得する予定。ホテルは三井不動産ホテルマネジメントが「三井ガーデンホテルズ」のプレミアシリーズとして運営を行う。

 両社は「水都大阪を象徴する堂島川のリバーフロントの好立地を生かし、大阪の未来を担う革新的なプロジェクトを目指す」としている。

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 現地はおおよその見当がつく。東京建物「Brillia Tower 堂島」の販売事務所に近いはずで、対岸には日銀大阪支店、大阪市役所、府立図書館、中央公会堂などの公的施設がある。最高の立地条件だ。東京でいえば、日本橋川、神田川、目黒川に面した都心のどこかだろう。

 この立地なら、坪単価は650万円でも圧倒的な人気になった「Brillia Tower 堂島」より上回るのは間違いない。大阪駅近接の「グラングリーン大阪(うめきた二期)」(482戸)は坪単価1,000万円くらいではないかと小生は踏んでいるのだが、これに次ぐ価格になるのではないか。

 物件のファサードデザイン監修は建築家・星野裕明氏が代表を務める「ホシノアーキテクツ」だ。星野氏と言えば、同社の「パークコート渋谷ザ・タワー」「パークタワー勝どきミッド/サウス」「パークコート渋谷北参道ザ・タワー」「ガーデンヒルズ三田」「東京ミッドタウン日比谷」なども手掛けている。これだけでも力の注ぎようがうかがい知れる。

〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える 東京建物「堂島」は坪単価650万円(2021/11/25)
 

 

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「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」

 コスモスイニシア、コスモスホテルマネジメントは6月1日、全室ベッドルームを2つ以上備えた「MIMARU SUITES」シリーズ第4弾の「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」を同日開業したと発表した。

 ホテルは、京都市市営地下鉄東西線・烏丸線烏丸御池駅から徒歩3分、京都市中京区衣棚通り御池下る長浜町に位置する10階建て延床面積1,944.60㎡の全19室。

 全室85㎡の客室にリビング、キッチン&ダイニング、畳スペース、2つのバスルームを備える。新しいサービスのトライアルとして、「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」と「MIMARU SUITES 東京2施設」との間を手ぶらで移動できるサービス、タクシー無料送迎サービス(京都駅 ⇔「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」間)、TaxFreeOnline.jp提携サービス」を用意した。

 

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「ルナつくば陣場 クルムフィールド」モデルハウス

 創建が分譲中の総区画195区画の土地・戸建て分譲地「ルナつくば陣場 クルムフィールド」を見学した。最寄り駅のつくばエクスプレス「みどりの」駅から徒歩26~29分の立地だが、1区画180㎡以上、戸建ては建物面積含めて3,500万~4,000万円台が中心。プラン&デザインのよさに感嘆した。

 物件は、つくばエクスプレス「みどりの」駅から徒歩26~29分・万博記念公園」駅から徒歩23分~26分、茨城県つくば市島名・福田坪一体型特定区画整理事業地内に位置する開発総面積約42,969㎡の全195区画。現在分譲中の停止条件付土地分譲(10区画)の土地面積は180.01~180.07㎡、価格は890万~1,590万円(最多価格帯1,500万円台)。分譲戸建て(3戸)は土地面積180.44~180.76㎡、建物面積119.20~142.79㎡、価格2,980万~3,670万円。建物は木造軸組み工法2階建て(外断熱工法)。施工は創建地所。

 区画整理事業の施行者は茨城県で、施行期間は平成12年度から令和11年度、施行面積は約242.9ha、総事業費は約481億円、減歩率は40.3%(うち公共減歩率は22.7%)、計画人口は約15,000人。同社のほかハウスメーカーなどの土地分譲・戸建て分譲が行われている。

 モデルハウスは、敷地面積約180㎡、建物面積約119㎡の2階建てと、敷地面積約181㎡、建物面積約140㎡の3階建て、敷地面積約180㎡、建物面積約142㎡の3階建ての3棟。建物面積が広く、設備仕様レベルも高いので価格は5,000万円超だが、一般住宅でも建物は全棟同社の外断熱工法「Kurumu」を採用するほか、51区画は次世代エネルギー基準値を上回るC値平均0.35㎠/㎡としたZEH対応とし、国産材を用いた高耐震・高耐久のハイブリッド工法・柱、窓は樹脂サッシのほか、床はウォールナット、チェリー、メイプル、オークなどの銘木単板、ガス乾燥機「乾太くん」を標準装備。

 事業地内には、敷地面積約241㎡、建物面積約129㎡の木造2階建てコミュニティハウス「人場テラス(ジンバテラス)」も設置。宅配ボックス、交流エリア、集会室、テレワークエリアなどを備える。

 今年2月から販売を開始しており、これまで約30区画を販売済み。順調な売れ行きとなっている。

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モデルハウス

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モデルハウス

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スカイバルコニー

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吹抜け空間と2階ホール

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 敷地が広く、建物も大きいからできることだが、プランがいい。2階建てモデルハウスは、1階は広いテラス付きでLDKは21.0帖、スキップフロアのスタディフロアは4.4帖、2階のセカンドリビングとしても利用が可能なホールと隣接する主寝室7.6帖を合わせると10帖以上だ。3階建てはさらに19帖分~24.7帖分のスカイバルコニーが付く。

 同社の取材は2020年2月の「災害被災神社再建・地域復興プロジェクト記者発表会&フォーラム」以来で、戸建て見学は2019年12月の「ルナ印西牧の原 クルム ザ クロス」以来実に3年半ぶりだが、カラーリングはさらに磨きがかかったという印象を強く受けた。好みはあるだろうが、今回のモデルハウスは内装は白と黒、グレーを中心にアースカラーを基調に、明るくて落ち着いた雰囲気をよく表現している。

 資料には、茨城エリアでは今回の物件を除き6物件645戸、千葉エリアは6物件1,630戸、埼玉エリアは4物件184戸、東京エリアは8物件176戸などを供給したとある。トータルすると24物件2,635戸だ。1物件平均約110戸。これほどまとまった規模を手掛けている首都圏ハウスメーカー・デベロッパーはまず他にない。郊外リスクを承知の上で郊外居住を希望する消費者のニーズをしっかり捉えているからできるのだろう。

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販売ギャラリー

千葉NT 印西牧の原の創建「INOCHI」(命)モデルハウス見学(2019/12/12)

「深く感謝」声詰まらせた閖上湊神社宮司 神社再建プロジェクト 第三弾発表 創建(2020/2/28)

 

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 野村不動産と埼玉大学は5月31日、持続可能な街づくりに向けた取り組みとして、昨年7月から約半年間にわたって共同で進めてきた小学生向け授業プログラムを開発し、プログラムに基づいた授業を行った結果を公表した。

 授業プログラムは、同社の支援と同大学教育学部生活創造講座技術分野・浅田茂裕教授の指導のもと、同大学の教育学部1年生が開発したもので、授業は小学校6年生3クラスで実施された。

 授業の流れは、①街の中で自分だけの「推しの木※」を見つけて写真を撮ってきてもらう②“推しポイント”や名前などをプロフィールシートに書き込んで、みんなに紹介する③「推しの木」をクラスみんなで共有。多様な視点を知る④街の「推しの木図鑑」としてまとめ地域に公開するというもの。

 今後は、同授業が住民の街への向き合い方に与える効果を継続的に検証するほか、授業プログラム内容や対象小学校の拡充を図り、“持続的に成長する街づくり”“支える人づくり”への貢献を果たしていくとしている。同社が開発中のエリアに位置する小学校でも同様の授業を今年6・7月ごろに行うことが決まっている。

※「推し」とは、人に薦めたいと思うほどに好感を持っている対象のことを指す言葉

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 素晴らしい取り組みではないか。「推し」なる言葉は〝イチオシ〟と同義なのだろうが、これまで20年以上にわたり街路樹や都市公園の取材を続けてきた甲斐があるというものだ。

 浅田先生と大学生の皆さんにお願いがある。埼玉県は、東京都と比べ住居系エリアは少なく、緑被率も高くなく、街路樹の強剪定が平気で行われている。小学生だけでなく、市民講座などを開いて緑の価値を可視化できるような取り組みを行っていただきたい。

 もう一つ。「推しの木」のリストを教えていただきたい。埼玉県の県木が「ケヤキ」であることを知っている人はいったいどれくらいあるのかも知りたい。東京都のイチョウも埼玉のケヤキもひどい仕打ちを受けている。茨城県つくば市の五十嵐市長は「街路樹は街の成熟度の象徴」と語った。小生は「街路樹は人間の成熟度の象徴」と受け止めた。

 

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堀内会長(如水会館で)

 プレハブ建築協会は5月31日、定時総会後の記者会見を行い、堀内容介会長(積水ハウス副会長)がこの1年間を振り返るとともに、今年度の活動について説明、記者団の質問に答えた。

 堀内会長はこの1年間について、昨年6月に改正された省エネ法によりカーボンニュートラル実現の道筋が示され、長期優良住宅の普及のための環境整備が進んだ一方で、昨年(2022年)の住宅着工戸数は、前年に引き続き持ち直し傾向がみられるものの、依然として回復途上にあり、厳しい環境が続いているとし、今年度は住宅市場の回復に向けたZEH化などの取り組みを強化すると語った。

 また、今年1月には協会設立60周年を迎え、新たに設けた協会行動憲章に基づくカーボンニュートラル・循環型社会・自然との共生を目指す取り組みを積極的に推進すると話した。

 さらに、今年は関東大震災の発生から100年目を迎え、頻発化・激甚化する自然災害に対応する体制の強化を図ると語った。

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 質疑応答では、記者団から注文住宅(持家)の減少や、その回復策などについて質問が飛んだ。

 これらの質問に対し堀内氏は、注文住宅市場は厳しいが、積水ハウスは分譲や賃貸でカバーしているとし、改正省エネ法が今年6月に交付され、省エネ基準の適合義務を住宅にも拡大し、100万円/戸の補助が受けられるZEH+などの政府の支援策により、協会会員の建売住宅事業への参入・拡大も可能になると語った。(国土交通省のデータでは2021年の注文戸建住宅のZEH普及率は26.7%、建売戸建住宅は2.6%)

 小生は再質問をしようとも思った。堀内氏が属する積水ハウスなど大手のハウスメーカーは、ZEH化コストを価格に転嫁するのは比較的容易で、政府の支援策の恩恵を受けられるだろうが、持家、分譲戸建て市場の圧倒的シェアを占める、第一次取得層をターゲットにする建売住宅専業、地場工務店はZEH化に対応するのは容易ではない。年間4万戸を販売する飯田グループの戸建ての平均価格は土地代を含め3,000万円を切る。大手ハウスメーカーの半分以下ではないか。

 さらにまた、消費者もZEH化することで住宅取得希望価格(3,000万円)の3~6%の100万~200万円も負担が増えるのにためらうのは当然だ。初期費用がゼロになる仕組みもあるが、いま一つ、これら圧倒的多数派の層への具体的なZEH普及策・支援策が見えてこない。

 しかし、質疑応答時間(15分くらいか)は限られており、プレ協としては答えづらいだろうと判断し、質問することを止めた。この種の会見では、参加するメディア全てが質問できるくらいの時間を取るべきだと思うが…。

 この日(31日)発表された令和5年4月の新設新規住宅着工戸数は、総数も持家も分譲住宅も2ケタの減少で、持家は実に17か月連続して減少している。プレ協がいう「回復途上」ではなく、中長期にわたって減少が加速するそのとば口に差し掛かっているような気がしてならない。誰か小生のこの悲観論を一蹴してくれないか。

コロナで減った住宅選好の幅 オーダー志向層を蚕食する〝建売り御三家〟(2023/5/28)

 

 

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