裏山の借景活かし 断熱等級6クリア ブルースタジオ 賃貸住宅「SUNKA(サンカ)」

「SUNKA(サンカ)」
ブルースタジオは12月25日、横浜市栄区の長屋建て賃貸住宅「SUNKA(サンカ)」のメディア・関係者向け竣工内覧会を行った。敷地の一部は市の土砂災害特別警戒地区に指定されているため、その部分を広場・バスケットコート・菜園とすることで課題を解消し、隣接する「特別保全利緑地地域」借景を活かし、建物は断熱等級6をクリアするなど付加価値の高いプロジェクトだ。
物件は、JR大船駅からバス7分徒歩3分、横浜市栄区飯島町に位置する敷地面積約449㎡(他に広場・菜園面積約561㎡)の木造長屋2階建て全7戸。専用面積は44.71〜61.28㎡、月額賃料は127,000円~133,000円。竣工は2023年12月。建築設計監理はブルースタジオ、施工はジェクト。
現地は、広重の東海道五十三次に描かれた旧鎌倉道「戸塚宿」に近接。町名に「飯島町」とあるように、何代も続く地主・飯島家の敷地。敷地北側には飯島家の裏山や約4.7haの「特別保全利緑地地域」、三島神社など自然に恵まれたエリアの一角。従前は賃貸住宅6棟。
従前建物の老朽化に伴い建て替えるものだが、敷地北側の一部は土砂災害特別警戒地区に指定されているため、広場・バスケットコート・菜園として整備。新たに建設する建物は雁行させ、裏山の借景を取り込むデザインとし、Ua値0.37とするなど断熱等級6をクリアしているのが特徴。床はナラ材の無垢フローリング、サッシはアルミ樹脂複合+Low-Eペアガラス。「SUNKA」には、「山家」「山下」「賛歌「SUN」の意が込められている。
内覧会で同社専務取締役クリエイティブディレクター・大島芳彦氏は「栄区は本郷台、桂台などの地域で人口が減少しているが、飯島町は人口ピラミッドを子細に調べた結果、ミニ開発などで社会増も見られるエリア。子育て世代を呼び込み、古い地域のよさを生かしながら街全体で迎え入れようというのがコンセプト。環境性能にも配慮した」と語った。


シンメトリックな外観デザイン

北川エントランス

大島氏
◇ ◆ ◇
同社のこの種の内覧会を楽しみにしている。毎回、新しい発見があるからだ。今回は裏山の自然林とゆったりした配棟計画に目を奪われた。敷地面積を単純に戸数で割ると1戸当たり約64㎡だが、広場などを含めると約144㎡で、手つかずの小鳥が飛び交う森が毎日眺められる価値は計り知れないものがある。
シンメトリックな建物外観と得も言われぬ〝鶯色〟の外壁にも魅了された。記者は油絵を描くがなかなか出る色ではない。大島氏は「かなりこだわった」と話したように、このような細かな配慮が支持を得るのだろうと思う。シースルー玄関ドアもいい。
家賃は近隣相場の3割高で、大船駅周辺と変わらないそうだが、記者はこの設定に納得した。この日は見学会のために玄関などは開け放たれており、暖房も付けられていなかったが、内覧会に参加する検討者はUa値0.37の威力を体感できるはずだ。

裏山

左から広場、バスケットコート、菜園
爛漫の春満喫 「hocco(ホッコ)」イベントに1000名超 小田急バス×ブルースタジオ(2022/4/2)
素晴らしい!親子&木製シースルー玄関ドア 三菱地所ホーム「江北小路」完成(2023/10/28)
RBA復活 感動の5物件 腸煮えくり返った千代田区の仕打ち 2023年記者の回顧

「HARUMI FLAG」の「PARK VILLAGE」に導入された足湯(ASHIYU LOUNGE)=純水素型燃料電池で発電時に発生した熱を居住者が利用できる足湯とし活用したもの。熱を発生させるコストはゼロというスグレモノ
今年も残りひと桁を切った。この時期になると、わが業界紙は必ず大所高所の視点から〝重大ニュース〟と称し、様々な出来事を紹介する。記者は、野球に例えれば、9つあるポジションのうち1つどころか、補欠にも入れない技量しか持ち合わせていない。マウンドから指呼の間しかない18.44m先のホームベースまで〝アレ、アレレレ〟球が届かない。そんな馬鹿な記者が書くことをご承知のうえで、以下の1年間の回顧記事を読んでいただきたい。
RBA野球大会 4年ぶり開催 54チーム参加
東急リバブル、三菱地所が優勝
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東急リバブル(左)と三菱地所の胴上げ
記者にとって最大のトピックスは、コロナ禍で中止となっていたRBA野球大会が4年ぶりに開催されたことだ。水曜ブロックは33チーム、日曜ブロックは21チームが参加した。コロナ前より参加チームは若干減少したが、かつてない盛り上がりをみせた。水曜ブロックは東急リバブルが18年ぶり、日曜ブロックは三菱地所が28年ぶりにそれぞれ優勝した。発信した記事は約150本。総アクセス数は8万件くらいに達しているはずだ。
皆さんは〝たかが野球〟と思われるかもしれないが、売上高が1兆円以上の住宅・不動産業界の企業のうち参加していないのは住友林業(4年前までは参加)と飯田グループくらいで、参加54チームの所属する会社の売上高をトータルすると約50兆円(うちトヨタ自動車は37兆円)に達する。社会人・都市対抗には勝てないが、住宅・不動産業界だけでなく鹿島建設、清水建設、長谷工コーポレーションなどゼネコンも参加するこのような幅広い業種を束ねた野球大会を弱小企業が35年も継続して行っている。延べ参加選手は3万人くらいになるのではないか。親子で同じ会社・チームに参加する事例も出始めた。そんな大会を30年間にわたって取材できたことに感謝!感謝!感謝!
価格上昇続くマンション、変調きたす分譲戸建て市場

「HARUMI FLAG」(板状棟)「MINAMO GARDEN」

「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」305㎡のモデルルーム

「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」カーギャラリー

麻布台ヒルズ外観(ⒸDBOX for Mori Building Co., Ltd. - Azabudai Hills)
野球大会より長く40年以上にわたり取材してきた分譲住宅の記事を今年1年間でマンション約120本、一戸建て約20本を書いた。しかし、現地見学・取材はコロナ以降激減しており、市場を把握するには程遠く、内心忸怩たるものがある。
調査機関による今年の首都圏マンション供給量は約3万戸だが、着工戸数の6割くらいしか捕捉できていないことを忘れてはならない。残りの4割は高額物件のクローズド販売、建て替えマンションの地権者住戸、30㎡未満の住戸などだ。
いわゆる億ションも4,000戸くらい供給され、平均価格も1億円に上昇したことが報じられているが、郊外部の坪単価が250万円くらいのとその4倍もある1,000万円超の物件などすべてを合算し、平均値を出せばそのような数値になるのは当然だ。マクロデータだけでなく、基本性能・設備仕様レベルがどうなっているかも調べないと、市場を把握したことにはならない。
今年見学取材した物件でもっとも印象に残ったのは「HARUMI FLAG」(板状棟)だった。ランドスケープデザインが抜群で、これほど素晴らしいものは過去にないはずで、将来も供給されないだろう。街づくりでは「麻布台ヒルズ」も最高に素晴らしいと思った。
「三田ガーデンヒルズ」の坪単価1,300万円を的中させたのは我ながらあっぱれ。記者冥利に尽きる。郊外物件では大和ハウス「プレミスト昭島」(481戸)が圧巻だった。残りは100戸しかない。販売スピードにびっくりした。「うめきた2期」の積水ハウス他「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」は〝負けたらあかんぞ東京に〟の意地を見た。
分譲戸建ては、圧倒的シェアを占めている飯田グループなどの物件を10年以上見ていないので語る資格もないが、コロナ後の勢いは完全に止まり、資材高騰などの影響を受けそうで、今後の展開には注視する必要がある。
見学した物件では、建ぺい率30%、容積率50%のポラス「NOEN KASHIWA SAKASAI-ノエン柏 逆井-」(8棟)が最高に素晴らしかった。

「NOEN KASHIWA SAKASAI-ノエン柏 逆井-」
価格上昇〝もうはまだ〟なのか〝まだはもう〟


新築市場と連動するから当然といえば当然だが、中古マンションの単価、価格上昇が続いている。買取り・再販事業も伸びるはずで、立地、環境に恵まれたいわゆるビンテージマンションの争奪戦が始まるのではないか(もう始まっているか)。課題は中古物件の断熱性能を高めることだ。管理規約を改正し、単板ガラスサッシを二重サッシや樹脂サッシに容易に変更できるようにすべきだ。改正区分所有法ではそうなるはずだ。
もう一つの問題は、新築も中古もいつまで価格上昇が続くかだ。〝もうはまだ〟なのか〝まだはもう〟なのか。これは分からないのだが、少なくともアッパーミドル・富裕層向けは現在の好調市場が続くのではないかと記者は見ている。
2023年の港区の課税標準額が1億円を超える層は2016年の957人から45.5%増の1,392人(全納税者の0.9%)、課税標準額1,000万円超の納税者も7年前より40.2%増の27,680人(全納税者の18.6%)になっているのもその根拠の一つだ。格差社会は加速度的に進んでいる。
落ち込む持家 木造は増えるのか 住宅着工
住宅着工では、持家の落ち込みが気になる。今年10月まで23か月連続して前年同月比で減少しており、今年1~10月では前年同期比10.6%減の189,532戸だ。前年に引き続いて分譲住宅を下回る可能性が高い。
記者は持家の着工戸数は元に戻らないと悲観的な見方をしている。建て替えはともかく、適地は減少しているはずで、価格は高いがアクセスに恵まれた分譲マンションや、圧倒的に価格が安い分譲戸建てに相当数が流れていると思う。
構造別では、平成21年度に木造率が50%を超えてから50%台の半ばで推移しているが、記者は近いうちに6割に達するのではないかとみている。大和ハウスが11月に行った「戸建住宅事業 計画説明会」で2022年度実績の5,762棟(請負:4,191棟、分譲1,571棟)から2027年度には10,000棟(請負:3,000棟、分譲7,000棟)に拡大し、分譲戸建ての鉄骨:木造比率が7%しかない「木造」を「分譲は全て木造にしたいくらい」と同社取締役常務執行役員住宅事業本部長・永瀬俊哉氏が語ったのに衝撃を受けた。
一方で、25年の歴史を持ち累計販売棟数16万棟を突破している工務店ネットワーク「JAHBnet(ジャーブネット)」(主宰:AQ Group宮沢俊哉社長)は2023年12月末日をもって解散すると発表した。プレカットを含めた分譲戸建て業界の再編があるかもしれない。
第三者管理者方式増加へ 区分所有法改正へ マンション管理
マンション管理では、第三者管理者方式のガイドラインの整備に関するワーキンググループの会合が始まった。来年3月までに答申される模様で、予算に余裕のある管理組合や富裕層向け、投資向けマンションに採用するケースが激増するのではないか。
また、法務省は、区分所有建物の管理・再生の円滑化、被災建物の再生の円滑化に向けた区分所有法制の見直しは喫緊の課題とし、所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組み、管理不全状態にある専有部分や共用部分の管理に特化した新たな財産管理制度、共用部分の変更決議の要件の緩和、建替え決議の多数決要件の緩和などの見直し作業を進めている。来年度には法改正が行われる見込みだ。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家等対策特別措置法)が改正され、今年5月に施行されたが、テーマが大きすぎで、記者は取材をしたことがほとんどない。どうなるのかもさっぱりわからない。
危機に瀕するみどり環境 SDGsはどうした
記者は最近、胸にSDGsバッジをつけ、目標17項目に少しでも貢献できるように心がけている。折に触れ千代田区・神田警察通りのイチョウの街路樹伐採、神宮外苑まちづくり、都市公園、フェイクグリーンなど「みどり」について記事にしてきた。緑環境は危機に瀕している。
どれだけ軽視されているか。東京都の「マンション環境性能表示」制度で公表されている961物件の「断熱性」「省エネ性」「再エネ」「維持管理・劣化対策「みどり」の5段階表示の分布を以下に紹介する。
| 評価項目 | ★3つ | ★2つ | ★1つ |
| 断熱性 | 488 | 336 | 137 |
| 省エネ性 | 786 | 157 | 36 |
| 再エネ | 73 | 90 | 472 |
| 維持管理・劣化対策 | 420 | 386 | 155 |
| みどり | 131 | 309 | 461 |
いかがか。「再エネ」もそうだが、マンションの「みどり」の取り組みが遅れていることが一目瞭然だ。なぜそうなのかは全物件を調べる必要があるが、マンションの立地(用途地域)と関係があるはずで、★1つは商業系用途、★3つは大規模再開発や第一種低層住居専用地域など住居系が大半を占めていると思われる。
★3つの物件をデベロッパー別にみてみた。共同事業や再開発物件をどう案分していいか分からないので正確ではないが、★3つを取得しているデベロッパーは20社くらいしかない。もっとも多いのは三菱地所レジデンスの27件で、住友不動産の24件だった。他では野村不動産と三井不動産レジデンシャルが続き、東京建物や積水ハウスも目立つ。この6社で過半を占める。供給がそれほど多くない〝5本の樹計画〟を推進している積水ハウスの〝健闘〟が光る。
カーボンニュートラル実現への道のり
カーボンニュートラル実現、建築物の木質化の具体的取り組みでは、長谷工コーポレーション「ブランシエスタ浦安」、三井ホーム「IZM(イズム)」モデルハウス、ナイス「Rita School」、ポラス「体感すまいパーク柏」、三井ホーム「MOCXION四谷三丁目」、三井不動産レジデンシャル「北千束MOCXION」、三菱地所ホーム「江北小路」、AQ Group「8階建て純木造ビル」、三菱地所ホーム「KIGOCOCHI(キゴコチ)」ショールーム(モデルルーム)、三菱地所レジデンス「上野毛テラス」、野村不動産&清水建設「溜池山王ビル」などを取材した。
道のりは容易ではないが、この種のつくる段階からCO2削減・固定化する取り組みが加速することに期待したい。ウッドデザイン協会と農水省・経産省・国交省・環境省が「建築物木材利用促進協定」を締結したのもとてもいいことだと思った。
各省庁へお願いだ。アメリカなどで普及している景観価値を含めた樹木・緑の定量的評価制度「i-Tree Eco」の日本版を開発していただきたい。都市計画に関する審議会の議事録を読むと、建ぺい率、容積率、建物の絶対高さなどの論議が中心で、この「i-Tree Eco」の視点が欠落していると強く感じる。環境経済学の出番だ。
2050年のカーボンニュートラルの実現を図る事業として、子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、リフォームを対象とした「こどもエコすまい支援事業」が創設された。予算額は1,709億円で、注文・分譲住宅は1戸当たり100万円、リフォームは60万円。3月から受付が開始され、9月末で予算額(注文・分譲住宅134,573戸、リフォーム294,031戸)に達したため完了した。結構な事業だが、期間限定ではなく、継続して行うべきだし、ZEHレベルに応じて補助額に差をつけてもいいのではないかと思う。
感動した5物件 はらわたが煮えくり返った千代田区の対応

野村不動産&清水建設「溜池山王ビル」
野球大会を除き、年間取材を通じもっとも感動を覚えた建築物は「HARUMI FLAG」「麻布台ヒルズ」「グラングリーン大阪」「溜池山王ビル」「ノエン柏 逆井」の5物件で、逆にはらわたが煮えくり返るような怒りを感じたのは、千代田区・神田警察通りの道路整備に関する区の蛮行だった。「メディアは信頼できるか」の記事と併せて読んでいただきたい。

11月30日20:00ころの神田警察通り
世界的潮流か 大河のようなウェーブ、アール形状が美しい 森ビル「麻布台ヒルズ」
ランドスケープ&デザイン、共用施設…最高に素晴らしい 「HARUMI FLAG」板状棟(2023/12/1)
〝美は現しにあり〟木と鉄骨のハイブリッド実現 野村不&清水建設「溜池山王ビル」(2023/11/21)
〝ぶっ飛んだみどり〟だけでない 「グラングリーン大阪」タワマンに絶句(2023/10/12)
初めて見た30%・50%×200㎡の分譲戸建て まるで別荘 ポラス「柏 逆井」(2023/5/2)
「アレ」を「暗黒社会」「ファッショ」に置き換えた…千代田区の仮処分申立書(2023/12/2)
うろつくだけで工事妨害!? 暗黒社会へ突入千代田区イチョウ守る会を犯罪扱い(2023/12/2)扱い
〝やめてくれよ区長さん千代に千代田のイチョウが泣いている〟30日夜の無法地帯(2023/12/1)
メディアは信頼できるか 「事実(ファクト)」とは何か 読売報道に想う(2023?11/25)
暖房停めても室内温度変わらず 大和ハウス 賃貸住宅「GRACA(グラサ)」公開

「GRACA(グラサ)」の実棟
大和ハウス工業は12月20日、二部構成の「2023年度 賃貸住宅事業 計画説明会」を開催。第一部では同社取締役常務執行役員 集合住宅事業本部長・出倉和人氏が事業環境と経営指数、エリア戦略、ZEH-M推進、分譲事業、オーナーフォロー、グループ連携などについて説明し、第二部ではZEH-Mに対応した都市型賃貸住宅商品「GRACA(グラサ)」の実棟見学会を実施した。
出倉氏は、2023年度上期の集合住宅セグメントの上期実績は6,092億円、営業利益は601億円、営業利益率は9.9%と順調に推移しており、2023年度売上高計画12,000億円、営業利益1,170億円、営業利益率9.6%を達成する見込みであると報告した。
賃貸住宅市場については、人口減が続いていることから着工戸数は漸減すると予測。首都圏以外では差別化を図った建物・付加価値を高めた物件を提供することが必要と話した。
同社の取り組みでは、2022年10月に発売した軽量鉄骨造2・3階建て「TORISIA(トリシア)」を核に都市部向けの「GRACA(グラサ)」や中層以上のD.RCシリーズを強化すると話した。確認申請シェア(延床面積)は全国で13.1%(大東建託が約18%、積水ハウスが約12.5%)で、11.5%の首都圏など東名阪のシェア拡大を目指すと語った。
ZEH-Mの取り組みを加速させており、2026年度目標のZEH-M比率50%は前倒しで達成する見込みであることを明らかにした。今後の展開では、全体の約3割を占める分譲事業、海外事業を強化すると述べた。
同社の強みであるオーナーフォロー体制にも言及し、顧客9万人のうち2万人を組織する「オーナーズクラブ」を通じて日時要的にセミナー、勉強会、研修会、親睦会、旅行など行っており、税務相談など資産管理サポートが充実していると強調した。
グループ会社の大和リビング、大和ハウス賃貸リフォームとの連携については、約64万世帯を管理する大和リビングは毎年2万世帯が積みあがっており、賃料は2020年の平均69,959円(約50㎡)から2023年9月は72,408円(同、坪賃料約4,800円)に3.5%引き上げたにも拘わらず入居率は95%超となっていると話した。

出倉氏

◇ ◆ ◇
同社の賃貸集合住宅を初めて見学した。かみさんを通じてだが、同社の賃貸に住む人が「ダイワさんの賃貸は素晴らしい」と絶賛しているのを、当にそうか確認するのが取材の目的だった。
建物は、JR中央線東小金井駅から徒歩8分、小金井市緑町2丁目に位置する敷地面積535㎡、鉄骨造3階建て延床面積905㎡の全12戸。このうち公開されたのは84.35㎡の3LDKのモデルハウス。賃料は18.5万円(坪賃料7,200円)。建物は2023年3月に完成。入居者のほとんどは20~30代。
結論からすると、基本性能の高さは確認できたが、最高かどうかは保留する。何しろ今回が初めての見学であり、他のハウスメーカーの賃貸は旭化成ホームズ「母力」くらいしか観ておらず、同社よりシェアが大きい大東建託などのレベルは分からないし、大手デベロッパーの賃貸マンションは結構見ているが、自社所有やリートなど投資家向けなどが主流で、今回の低層・中層物件とは比較は難しいからだ。何事もそうだ。たくさん見比べて初めて良否が分かる。
基本性能は間違いなく高い。住宅の質は基本的には広さ、断熱・遮音などの基本性能だし、その点でZEH-Mをクリアしているのだからレベルは高い。どのような物件と比較するかだが、坪賃料も間違いなく安いはずだ。
特徴の一つでもある同社の外張り断熱工法の効果もしっかり確認できた。朝のうちに暖房を停めていたにもかかわらず、12時ころのリビングや他の居室・廊下なども室温は20度くらいに感じられた(個人差あり。外気温は12度)。同社の資料では、外気温0度、室内気温20度と仮定して、同社の外張り断熱工法では室内側の最低温度は17.9度で、鉄骨住宅メーカーでは13.4度というデータが示されたが、今回もその通りの結果が得られたということだ。
このほか、収納が多く、クローゼットの床・壁にもクロスを張り、食洗機は付いていないが分譲仕様とそれほど変わらないキッチン、ネコの飼育を想定した壁クロスの見切り板などはなるほど思わせるものだった。本物の石を採用した外観デザインやタイル調サイディングも高級感が漂っていた。
最高かどうかを保留したのは、3階建てでエレベーターは付いておらず、リビング天井高は2400ミリ、直床、水回りの床段差、浴室タオル掛けなし…明らかに分譲仕様にはかなわないからだ。(なにかにつけ賃貸は分譲より劣り賃料も高いから、手厚い住宅取得支援策が講じられている分譲住宅に流れるのだと思う。本来は出倉氏が冒頭に語ったように〝私たちは選べる。生き方も、住む街も、住む家も。〟という同社のMissionが当たり前となる世の中にしないといけない)

「GRACA(グラサ)」内観

エントランス付近の植栽
ネイチャーポジティブの視点欠けていないか 大和ハウス業界動向勉強会<環境篇>

リコージャパン茨城支社(右の自動車はEV車)
大和ハウス工業は12月18日、業界動向勉強会<第23回:環境篇>として、同社環境部長・小山勝弘氏が気候変動関連の動向と同社グループのカーボンニュートラル実現の取り組みを説明し、同社か施工したリコージャパン茨城支社の実例見学会を行った。
ドバイで開催された気候変動会議COP28にも参加したという小山氏は、〝地球沸騰化〟の時代を迎え、IPCC第6次評価報告書統合報告書(2023年3月)で示された「気温上昇を1.5℃に抑えるために残されたカーボンバジェットは500Gt-CO2(2020年時点)しかなく、約10年で上限に達することや、G7広島サミット(2023年5月)で共有された「決定的に重要な10年」などを紹介し、個人的見解としながら「2030年に、新築でZEH・ZEB水準」とのロードマップが描かれているが、竣工後10年に限れば、エンボディドカーボン(建物の建設・解体・廃棄に伴うCO2排出量)が約7割を占めことの課題を指摘した。
同社グループのカーボンニュートラルの取り組みでは、2030年までに「やれることはすべてやる」決意を掲げ、①原則すべての屋根に太陽光パネルを設置②2030年度 原則ZEH・ZEB率100%③新築自社施設の原則ZEB化・太陽光、23年度再エネ100%――を取り組みの3本柱として2030年までにバリューチェーン全体で40%維持用のCO2削減を達成すると話した。
ステークホルダーとの共創共生の取り組みも強化し、信金中央金庫との連携締結や、今回の実例見学会会場となったリコージャパンのZEB化支援を紹介した。
リコージャパン茨城支社は、築30年の老朽化したオフィスを建て替えたもので、2022年に竣工。建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)で定める「Nearly ZEB」の第三者認証を取得、一次エネルギーの75%以上削減を達成した。
新オフィスのキーワードは「集中」と「コミュニケーション」で、照明・空調をスケジュールとセンシングで自動調整するほか、時間帯による調光調色の省エネ、太陽光・蓄電池による創エネ、EV(電気自動車)などを導入している。

小山氏

◇ ◆ ◇
自社のオフィス内をメディアに公開する会社などほとんどないはずなので、今回の勉強会を楽しみにしていた。見学会では、女性の方が1階から3階と屋上を丁寧に案内・説明した。
他社の施設を見ていないので何とも言えないのだが、オフィス内はとてもゆったりしていて、スタッフ約80人が働く環境としては最高に素晴らしいと思った。廊下幅は1.8mと広く、休憩室のお茶、紅茶、コーヒーなどは70~90円(たくさん買って家に持ち帰るのは可能か聞けばよかった)。
課題もあるように思った。同社だけの問題でもないと考えるので敢えて書く。敷地はとても広いのだが(駐車スペースが信じられないほど広いのは、車なしでは移動できない市の街づくりによる)、樹木は1本もなく、法面などは人工芝だったことだ。SDGsの17の目標がスタッフの収納扉、階段室に貼られていたが、そのうちの13の目標である「気候変動」、15の目標の「陸の豊かさ」を考えたらこれはありえない。
なぜ、このようなことを記者は言うか。10年以上前から「街路樹が泣いている」記事を書いているからだが、つくば市は、緑被率が60%を超える緑豊かな都市で、同市の取材の楽しみの一つは、街並みの美しさを見られることにある(わが多摩市は60%弱なのでつくば市には負ける)。
もう一つは、オフィス内の「みどり」は全てフェイクグリーンだったことだ。ただのフェイクではなく、光触媒加工により大気中の有害物質を取り除いてくれるのはいいのだが、本物の緑の効果には勝てないはずだ。なぜか、同社に聞いたら「本物は手入れが大変」といつも聞く答えが返ってきた。
本当にそうだろうか。スタッフが自らとみんなの働きやすい環境を整えるのに「手入れが大変」を理由にフェイクでいいと考えるならそれはそれで結構。何も言わない。記者は、オフィスの観葉植物を定期的に点検・手入れする会社の方が「捨てる」といったポトスの枝葉をもらってデスクに飾った。1~2週間に1度くらいの水交換で十分。取材の帰りには道端に咲いている雑草のドクダミなどを摘んでは仕事先や自宅に飾る。
まだある。敷地内は館内も含め禁煙だった。これもSDGsの10の目標「人や国の不平等をなくそう」、16の目標「平和と公正をすべての人へ」に反する。つくば市はとくに喫煙規制がきつい。麻布台ヒルズには喫煙室が完備している。日本一お金持ちの東京都港区の取り組みを見ていただきたい。港区は「たばこを吸う人も吸わない人も、誰もが快適に過ごせるまちづくり」の一環として、屋外の公園を含めた指定喫煙場所を約40か所設けている(屋内は数えきれないほどある)。禁煙を強いるのは差別だ。生産性を低下させると信じている。
さらに、また一つ、これが一番肝心なことだ。ハウスメーカーもデベロッパーも建物のZEH化、ZEB化に必死で取り組んでいるのは結構なことだが、「みどり」の取り組み=ネイチャーポジティブが決定的に欠けていると思う。なせ「神宮外苑」問題が炎上したか。みんな生理的に「みどりが破壊される」と感じたからではないか。

リコージャパン茨城支社のエントランスのフェイクグリーン(同社だけでないが、記者はこのような神経が理解できない)

電力使用量を〝見える化〟

個人ロッカー(SDGsのステッカーが張られていた)

階段にもSDGsのステッカー

自動ではないが、ブラインドは操作するとせりあがってくる

これもフェイク

太陽光パネル
氷の微笑、根回し、考え方更新、都市公園とは…神宮外苑を考えるシンポ 千葉商大

左から原科氏、石川氏(千葉商大丸の内サテライトキャンパスで)

左から藤井氏、Rochelle氏(千葉商大丸の内サテライトキャンパスで)
千葉商科大学環境情報科学センターは12月17日(日)、「神宮外苑の歴史的文化的資産の価値を守る-イチョウ並木と100年の森-」と題する対面&オンライン形式によるシンポジウムを同大学丸の内サテライトキャンパスで開催。同大学学長で日本不動産学会会長・東京工業大学名誉教授の原科幸彦氏が趣旨説明、中央大学研究開発機構教授・石川幹子氏(イコモス日本国内委員会理事/東京大学名誉教授)が基調講演をそれぞれ行い、藤井英二郎氏(千葉大学名誉教授)、Rochelle Kopp氏(経営コンサルタント/神宮外苑問題の署名活動代表)を加えた4氏がパネル討論会を行った。
冒頭、原科氏は「神宮外苑は都市公園です。樹木伐採は停まっているだけで、危険な状態。神宮外苑は公共空間ですが、この10年間、密かにことが進み、民間企業の利潤追求の場に使われようとしています。これはおかしい。カーボンニュートラルを実現するため環境に配慮した都市開発を行うのが基本。都市開発事業者、不動産開発事業者の責任は、公園緑地を減らす都市開発はできないということです」と切り出し、神宮外苑の果たしてきたCO2固定化など公共的な役割ついて語り、SDGsの観点からも再開発計画は大量のCO2を排出し、歴史的文化的価値を無視するものであり、イコモス本部が緊急アラートを発したにもかかわらず応えようとしない事業者の対応を批判した。
続いて登壇した石川氏は、論点として①移植すれば、森を守ることができるか、本数が増えればいいのか②危機に瀕するイチョウ並木を公明正大、科学的調査に基づいて論議すべき③江戸・東京の400年の歴史をどう考えるか④社会が分かち合う社会的共通資本(コモンズ)とは何か-を示し、〝見えないところを見なさい〟という恩師の教えを紹介しながら、フィールドワークで調査した神宮外苑のシラカシ、スダジイ、ヒトツバダゴ(なんじゃもんじゃ)、イチョウ並木などの惨状などを報告し、環境影響評価書には虚偽があり、間違いは正すべきと主張した。また、新宿御苑(高遠藩)・明治神宮内園(井伊家下屋敷)・明治神宮外苑(青山練兵場)は公園三部作であり、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した折下吉延のパークシステムを紹介しながら、社会的共通資本(コモンズ)を維持しなければならないと語った。
藤井氏は、神宮外苑創建に関わった職人の土壌改良、根回しなどの技術を「素晴らしい」と称え、「過去の歴史の年輪を刻んでいる情報を謙虚に受け取るべき」とし、一変して新国立競技場に話を転じ、「実態はひどすぎる。担当者も工程表も設計担当も、施工も悪い。オリンピックが無観客だったのが幸いした。大勢の世界の人々に恥をさらすところだった」と皮肉った。
Rochelle氏は、「緑に尊敬していない。〝更新〟という言葉を使い、古い樹木を若い樹木に植え替えようとしている。ひどい。これを人間に言ったら大問題になるでしょ。樹木をモノとしか考えていない。何度も何度もそのようなことが伝えられるとそれが力となる。樹木に対する考え方を更新すべき」と訴えた。
このほか、シンポに参加していた大方潤一郎氏(東大名誉教授)は、風致地区のただし書き、地区計画制度の問題点などを指摘した。

「神宮外苑の歴史的文化的資産の価値を守る-イチョウ並木と100年の森-」シンポジウム(千葉商大丸の内サテライトキャンパス)
◇ ◆ ◇
記者は、いつものように〝街路樹の味方〟として今回のシンポジウムをリアルで視聴した。嬉しかったのはRochelle氏の話だった。10年以上前から「街路樹が泣いている」の見出しで記事を書いてきた甲斐があった。神宮外苑のイチョウは雄株か雌株か垂乳根(雄株にできるのか)も見られるので、古木ではないにしろ立派な成木だが、人間に例えれば志学15歳か破瓜の16歳か芳紀18歳の伸び盛りの神田警察通りのイチョウを死刑宣告した千代田区こそ無期懲役刑(記者は戦争が最たるものだが、人が人を合法的に殺すことには同意しない)に処すべきだと思っている。Rochelleさん、「RBA」ホームページから「街路樹」「都市公園」などで検索していただくと200件以上の記事がヒットするはずです。
藤井氏のスピーチは複雑な気持ちで聞いた。隈研吾ファンだからだ。完成した新国立国技場を何度も見たが、建物本体はともかく植栽計画にはがっかりした。プアそのものだ。藤井氏が「貧困」と語ったのだから間違いない。
Rochelle氏と藤井氏もそうだが、石川氏が何を話すかをリアルで聴くのが今回の取材の最大の目的だった。イチョウ並木の毎木調査を行い、現存植生図など一連の報告書、提言、要望書を主導したからだ。何千本もある樹木データが頭の中に詰まっているはずで、一部でもいいからその中を覗き見ようと思った。
石川氏は最初、厳しい表情を崩さなかった。最高の写真を撮ろうとデジカメのシャッターを押し続けた。10分間くらいか。ことごとく空振りに終わった。石井氏は視線をそらした。これは一筋縄ではいかないぞと覚悟を決めた。
それでもしつこく迫った。石川氏もあきらめたのか、講演が半ばに達したころから表情を崩し始め、それからというもの、微笑は最後まで絶えることがなかった…微笑…と、突然、何の脈絡もなしに「氷の微笑」のシャロン・ストーンと重なった。気難しい学者からいっぺんにファンに変わった。(農学者に惹かれるのはなぜか)紹介する1枚はその一つだ。
石川氏は、「わたしはあきらめない。一言いいたい。なぜマスコミは事実を報道しないのか」と締めくくった。肺腑をぐさりとえぐられた。
新しい発見もあった。石川氏の配布資料には秩父宮ラグビー場の所有者は「国」と書かれていた。ご本人にも確認した。現在もそうだという。事業者は新ラグビー場の土地・建物所有者は独立行政法人日本スポーツ振興センターと「想定している」と公表している。つまり、現在の秩父宮ラグビー場の土地・建物の権利は新ラグビー場に移転し、代わりに現在の秩父宮ラグビー場の土地・建物は明治神宮所有になるものだと理解していた。すでに所有権は移転・交換しているのではないかと(新ラグビー場もまた「未供用」になるのか=だとすれば多額の税金が減免されることになるはずだ)。
そうでないとつじつまが合わない。国が所有する土地に、六大学や東都大学野球大会が行われるので公共性は高いとはいえ、プロ野球球団の本拠地とし、営利を目的にしたホテル建設などありえないからだ。いま、この点について関東財務局に問い合わせたところ、土地・建物の権利者は日本スポーツ振興センターとの回答があった。
そこで、日本スポーツ振興センターに聞いた。石川氏の資料も関東第無極の回答もその通りで、記者の推測も的は外れていない。都市再開発法に基づく市街地再開発事業の権利変換手続きはこれから行われる模様だ。
今回のセミナーで唯一、腑に落ちなかったのは原科氏が最初と最後に「神宮外苑は都市公園」と2度も話したことだった。都市公園と都市計画公園は似て非なるものだと思う。神宮外苑が都市公園だったら、このような再開発計画は俎上に上らなかったはずだ。事業者も「公園を整備するものではない」と明言している。

神宮球場(12月13日撮影、以下同じ)

イチョウ並木

この木は何の木か(スダジイか)
樹木を避けて再開発は可能のはず 「神宮外苑地区まちづくり」をまたまた問う(2023/12/10)
「アレ」を「暗黒社会」「ファッショ」に置き換えた…千代田区の仮処分申立書(2023/12/2)
戦争と同じ「見解の相違」で済ませていいのか「神宮外苑地区まちづくり」を考える(2023/11/7)
〝喬木は風に折らる〟誤解解く取り組みの見える化急げ「神宮外苑地区まちづくり」(2023/10/17)
樹木を避けて整備都の日比谷公園整備PJ/「生き物を殺していいの」二の句継げず(2023/8/7)
洗い場とバスタブを兼ねた「Roomot BathMor」「日本橋三越前」に導入 地所レジ

「Roomot BathMor」
三菱地所レジデンスは12月14日、賃貸マンションシリーズ「ザ・パークハビオ」の間取りの改善や自分らしい暮らし方にスポットを当てた「Roomot」の新アイテム第4弾「Roomot BathMor」を開発し、「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」に導入すると発表した。
「Roomot」シリーズでは第2弾として、自宅にバスタブを必要としない顧客向けにシャワーブース「Roomot Luxwer(ラグジャー)」を開発しているが、バスタブを利用したい人も一定数いることから、今回のバスタブと洗い場を兼用した「Roomot BathMor」を開発した。
「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」には、今回開発した「Roomot BathMor」と共に、第1弾の「Roomot MIXINK」、第3弾の「Roomot desko」も導入する。
物件は、半蔵門線・銀座線三越前駅から徒歩7分、中央区日本橋堀留町1丁目に位置する10階建て全54戸。専有面積は27.86~61.32㎡。引渡予定は2025年3月10日。

「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」
◇ ◆ ◇
とてもいいアイデアだ。記者は風呂が大嫌いで、バスタブを利用するのは冬場しかない。掃除も大変だ。シャワーで十分。伊藤忠都市開発が2020年に分譲した「クレヴィア山吹神楽坂」では、浴槽をなくしシャワールームのみのとして、浴槽分(0.5帖)を「+HANARE」に充てた事例もある。大阪万博では「人間洗濯機」も登場するというではないか。記者が提案したいのは、いつでもどこでも利用できる水虫にも効く「足湯」の開発だ。ポットの原理を応用すればいとも簡単にできるはずだ。
住宅事業の深化&進化さらに追求 共働き・富裕層向け強化 野村不動産
野村不動産は12月6日、同社取締役兼専務執行役員住宅事業本部長・中村治彦氏と同社取締役兼専務執行役員住宅事業副本部長・吉村哲己氏が出席して報道関係者向け住宅事業スモールミーティングを開催した。 記者は取材案内を失念しており参加できなかった。後日、同社広報から資料を送っていただいたので、以下にその内容を紹介する。前日の12月5日には三井不動産レジデンシャルがメディア向け「住まい探しのシン常識」説明会を行っており、その記事と併せて読んでいただきたい。
野村不動産の2022年度の住宅供給戸数は4,240戸で、今後も安定的に4,000~5,000戸の供給を維持する。プラウド会員は26万人(三井不動産レジデンシャルは33万人、三菱地所レジデンスは対象を広げており約60万人)。
分譲マンション市場動向では、1億円以上の住戸は年々増加し、2023年は1~9月で3,000戸超の供給で、23区供給戸数全体の約4割が1億円以上、1億~2.5億円住戸では80㎡未満が7割、2.5億円以上住戸では100㎡超が6割と、商品構成は高額帯から大きく変わるとしている。
スモールミーティングでは、アッパーミドル・富裕層向けの市場動向、意識調査に焦点を当てた模様で、興味深い調査結果も公表されている。
一つは、全国居住者(首都圏49.1%、中部地方11.4%、近畿地方18.7%、その他20.8%)の純金融資産額2億円以上または、単独年収3,000万円以上/世帯年収4,000万円以上を対象としたアンケート調査だ(回答数796件)。
これによると、200㎡超の希望者は2割、予算10億円以上も一定数存在しており、予算10億円以上顧客においてもっとも重要視するポイントの1位は「広さ」、サービスではコンシェルジュ、個別宅配を求める声が多く、設備ではスパ/温泉、パーティスペース、サウナ/水風呂を希望している。
車は首都圏では平均1.5台所有しており、「セキュリティ」「室内平置き駐車場」「複数台駐車」へのこだわりが強く、EV充電可能な駐車区画などのニーズも強いとしている。
もう一つのアンケート調査は、首都圏の同社のモデルルーム来場・問合者を対象にしたもので、世帯年収は1,000万円以上が約63%、約60%が共働き世帯(回答数2,074件)。
調査結果では、「約8割の方が住宅購入マインドは高い」「価格と広さ、利便性のバランスから都心6 区を除く23区エリアを希望する動きが見られる」「80~100㎡の広めを希望」「駅近ニーズも強いが、価格バランスで広さの重要度が上がってきている」「コロナの影響で突出した収納スペースや 水回りの設備機器(食洗機・浴室乾燥 機等)・大容量のWi-Fi設備などのニーズ は家時間の減少に伴い、落ち着いた」「月々の支払いは『2万円超のゆとりがある』 層が半数」「環境配慮型住宅購入希望層は8割超で『「ZEH』『太陽光発電・蓄電池』の評価が高い」結果が得られた。
同社は、これらの動向・結果から今後は住宅事業の深化と進化を追求し、多様化する顧客ニーズに沿った住宅をサステナビリティ(環境配慮)への対応も強化しながら展開し、顧客利便性を重視した販売手法として総合ギャラリー設置やオンライン対応(DX化)も推進するとしている。
具体的には、共働き世帯に向けた商品展開•富裕層顧客に向けた商品展開として「大規模太陽光発電システムの導入」「プラウド全物件でEV充電設備3割設置」「木造・木質を用いた住宅の推進」をあげ、ランドリークローク、各階・各戸宅配BOXの採用、おそうじ浴槽・床ワイパー洗浄機能付きユニットバスの採用、共用部のワークスペースの採用を進めるとしている。一括受電サービス(enecoQ)の活用も推進する。
◇ ◆ ◇
同業他社もそうだろうが、同社は価格が2億円以上の高額マンション需要層の取り込みを指向しているのは間違いない。これまでの高額物件市場は、三井不動産レジデンシャルが圧倒的にリードしており、同社や三菱地所レジデンス、住友不動産、東京建物、東急不動産などが大きく引き離された2位争いという図式ではないかと思う。
バブル期はコスモスイニシア(当時リクルートコスモス)と億ション市場で覇権を争っていた大京は現在、リブランディングを進めており、これらの一角に食い込むのかどうか。戸数は少ないが、森ビルは「麻布台ヒルズ」などで桁違いの富裕層をターゲットにしている。ハウスメーカーでは積水ハウスが各社に迫っている。
野村不動産は野村證券との連携をもっと強化すれば、この分野で優位に立つ可能性は高いと思うがどうだろう。
高額市場は、いわゆる億ションは年間4,000戸くらいだろうが、バブル期もリゾートマンションを含めてこれくらい供給されたはずだ。10億円以上の〝ネオ億ション〟も飛ぶように売れた。「うめきた2期」の「グラングリーン大阪THE NORTH RESIDENCE(ザ ノースレジデンス)」では最上階の専用ガレージ付き住戸(305㎡=坪単価2,750億円)は関西圏史上最高価格の25億円になったではないか。大阪が坪単価2,750億円なら、東京ならその2倍5,500万円だ。記者の予想通りだ。
港区の記事も添付する。2023年5月段階の同区の課税標準額が1億円超の納税者は前年度比11.4%増の1,392人(全納税者の0.9%)となり、過去最多を更新した。7年前の957人から45.5%増だ。課税標準額1,000万円超の納税者も7年前より40.2%増の27,680人(全納税者の18.6%)だ。

◇ ◆ ◇
スモールミーティングで公表されたデータについて一言。分譲マンション市場動向では、2023年は約30,000戸の供給予測(前年並み)、2023年1-9月の平均価格は8,618万円で前年比+40%(都心6区、平均価格2億円超の大規模物件「三田ガーデンヒルズ・WORLD TOWER RESIDECE」の供給により大幅上昇)、影響要因となった2物件を除くと、首都圏の平均価格は7,038万円で前年比+12%と報告された。
専有面積は、「都心6区は拡大、その他の23区は縮小、都下・神奈川・千葉は近年続いていた面積縮小傾向が落ち着き、横ばいまたは拡大傾向」としている。以下に、資料から2018年比の数値を示す。
都心6区 2018年61.8㎡⇒2023年74.6㎡
その他 2018年63.3㎡⇒2023年61.0㎡
都下 2018年70.0㎡⇒2023年67.3㎡
神奈川県 2018年71.0㎡⇒2023年67.3㎡
埼玉県 2018年69.5㎡⇒2023年65.0㎡
千葉県 2018年73.6㎡⇒2023年70.4㎡
この数値から何が読み取れるか。都心6区は前出の「三田ガーデンヒルズ」「WORLD TOWER RESIDECE」のほか「HARUMI FLAG」などアッパーミドル・富裕層向け特殊物件が数値を引き上げている。これらを除けば都心6区の専有面積の縮小が続いているはずだ。
この専有面積と平均価格の推移を比較すれば、いかに価格(単価)が上昇し、面積圧縮が続いているかがわかる。本来は、これに基本性能・設備仕様レベルの推移を見ないといけない。例えばリビング天井高。どこもそのような数値を公表していないが、記者は2018年当時、リビング天井高は2500ミリ以上が大半を占めていたと思う。それどころか2600~2700ミリにして天井高の高さを〝売り〟にしていた物件が少なからずあったはずだ。価格上昇、面積圧縮、性能退行の傾向は継続している。
面白いのは、メジャー7(三井不動産レジデンシャル・三菱地所レジデンス・住友不動産・東急不動産・東京建物・大京・野村不動産)と全体の初月契約率を比較している資料だ。都心6区の全体の契約率は93.8%であるのに対しメジャー7は95.3%で、埼玉県は全体が57.0%であるのに対しメジャー7は58.0%とメジャー7が上回っているが、その他23区、都下、神奈川、千葉は全て全体契約率がメジャー7の契約率を上回っている。神奈川県は全体が70.4%であるのに対しメジャー7は61.8%で8.6ポイントの差がある。
その理由は資料には示されていないが、圧倒的シェアを占め、ブランド力が高いはずのメジャー7がその他のデベロッパーより契約率が低いのはなぜか。価格(単価)、その他の物件特性を比較すれば面白い結果が出るはずだ。記者は以前、それをやったことがある。メジャー7に対抗できるヒントがここにある。


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建ぺい率40%、容積率80%の風致地区の規制逆手に ポラス「アバナイズ市川菅野」

「アバナイズ市川菅野」
ポラスグループのポラスガーデンヒルズは12月15日、市川市菅野の分譲戸建て「アバナイズ市川菅野」のメディア向けモデルハウス見学会を行った。建ぺい率40%、容積率80%の第一種低層住居専用地域・風致地区に位置する全5棟で、厳しい規制を逆手に取った商品企画がいい。
物件は、都営新宿線本八幡駅から徒歩20分(京成本線菅野駅から徒歩17分)、市川市菅野5丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)・風致地区に位置する全5棟。土地面積は125.05~130.79㎡、建物面積は89.83~100.49㎡、価格は6,790万円~7,690万円。引渡予定は2024年1月下旬。構造は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。
現地は、風致地区規制により建物は道路境界から2m以上、隣地境界から1m以上セットバックさせることが条件づけられていることから、風致ラインにはインターロッキング舗道-アーチフレーム-シンボルツリー-フラットテラス-ウッドテラスなどで外と内を緩やかにつなぎ、水平ラインを強調した横基調のランダムフェンスを設置し、足元は緑量を増やしているのが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅、天井高2700ミリ、サッシ高2400ミリ、突板フローリング、食洗機、突板フローリング、樹脂サッシ、防犯合わせガラス、家電リモート操作など。
同社設計部企画設計課課長・工藤政希氏は「2019年にYKKapさんとグリーンクリエーター・小西範揚さんとコラボして街づくりを開始してから今回が7件目。これまでの『ノエン柏 逆井』などで得たノウハウを生かし、家と庭をどうつなげるかをコンセプトに、風致地区の厳しい条件をクリアした。価格相場は著しく上昇しているが、ニーズに応えられる商品企画」と語った。
また、同社ガーデンヒルズ事業部設計部街並デザイン室デザイナー・阿佐美直也氏は「心地よい空間を創造するため目隠しの役割も持つ横ルーバーフェンス、テラス、グリーンベールなど外構など細部にも工夫を凝らした」と、2・5号棟のプランを担当した同部プロモーションデザイン係主任・西村馨氏は、「2号棟は、水濡れに強く床暖房付きのフロア材。観葉植物を置いたり、ペットの居場所として活用したり、子供のプレイスペースとしても利用できるコンサバトリースペースやshu-shuBOX、5号棟は隣地の集合住宅の視線を回避するゾーニング、光を取り入れる吹き抜けにより縦にも空間が広がるように企画した」とそれぞれ話した。

モデルハウス

テラス

外構

玄関引き戸(メーターモジュールにしてほしかった)
◇ ◆ ◇
外構はモデルハウスの1棟しか完成していなかったが、工藤氏が紹介した「ノエン柏 逆井」は鮮明に覚えているし、同じ「市川菅野」エリアの人気物件も取材している。ともに植栽・外構が最高に素晴らしかった。しかし、物件のことはよく覚えているのに、「逆井」の見学からまだ半年しか経っていない工藤氏の名前と顔は記憶から抜け落ちていた。おそらく加齢により小生の脳内記憶容量の限界を超えているのだろう。
今回の物件でとてもいいと思ったのは、敷地延長住戸の4号棟の玄関は引き戸だったことだ。玄関に限らず住宅は引き戸がいいのに決まっている。カチッと締まるドアも開発されるはずで、マンションもそうなる時代がやってくるのではないか。
価格について。本八幡駅からはややあるが、マンションなら坪単価は300万円をはるかに超え、30坪もあれば1億円を突破するエリアだ。市場と物件特性をきちんと説明すれば、これまでの来場者73組からして早期完売できるのではないか。

左から工藤氏、西村氏、阿佐美氏
初めて見た30%・50%×200㎡の分譲戸建て まるで別荘 ポラス「柏 逆井」(2023/5/2)
納得の即日完売 デザイン・設備仕様レベル高い ポラス「市川菅野」16棟(2021/5/2)
リスト ホテルコンド「(仮称)ラヴィーニュ白馬by 温故知新」来冬開業

「(仮称)ラヴィーニュ白馬by 温故知新」
リストグループのリストデベロップメントは12月13日、同社初のラグジュアリーホテルコンドミニアム「(仮称)ラヴィーニュ白馬by 温故知新」を長野県白馬村で2024年12月に開業すると発表した。
施設は、長野県北安曇野郡白馬村大字北城に位置する敷地面積約3,950㎡、5階建て客室数38室。客室面積は53.96~144.89㎡。開業は2024年12月。売主はリストデベロップメント。価格は未公表だが、坪単価はン百万円になる模様。
飲食店街「エコーランド」が徒歩圏で、特徴は、全客室角部屋仕様としハイサッシを採用。山々の景色をダイナミックに演出し、特に西側のお部屋は八方尾根を望むことが出来る。間取りはStudio~3ベッドルームの全10タイプ。1 階部分には1,000本以上の長野ワインと長野県産の食材を活かした鉄板焼きレストランが入居する予定。
温故知新は「宿を磨き続ける」集団として、スモールラグジュアリーホテルや老舗旅館、日本初のスタジアム一体型ホテルなど、旅の目的地になるようなホテルをプロデュース・運営しており、ミシュラン最高評価を獲得したホテルを複数運営している。
〝プラチナトライアングル〟立地 設備仕様も水準以上 大和地所レジ「二子玉川」好調

「ヴェレーナグラン二子玉川」
大和地所レジデンスが分譲中の「ヴェレーナグラン二子玉川」モデルルームを見学した。設備仕様レベルはこれまでの同社の物件とほぼ同じで、二子玉川公園へ徒歩2分、二子玉川ライズへも徒歩9分の立地が評価され、分譲開始約3か月で全42戸の約半数が成約済み。
物件は、東急田園都市線・東急大井町線二子玉川駅から徒歩14分、東急大井町線上野毛駅から徒歩10分、世田谷区上野毛二丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,729㎡、5階建て全42戸。現在先着順で分譲中の住戸(6戸)の価格は7,998万~12,998万円(最多価格帯8,600万円台)、専有面積は58.48~71.49㎡。坪単価は約530万円。竣工予定は2024年5月上旬。設計・監理はアアル建築計画。施工は風越建設。デザイン監修はインターデザイン・小寺源太郎氏。モデルルームのコーディネートは三井デザインテック。
現地は、約5.2haの二子玉川公園まで徒歩2分、二子玉川ライズまで徒歩9分。敷地形状は四角形に近い菱形で、幅員約6mの東側道路に接道。南側は一戸建て住宅街。住戸プランは南向き24戸、4面開口の独立型東向きが4戸、西向きが4戸。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、リビング天井高2400ミリ、キッチン・洗面・トイレカウンターは天然御影石、またキッチン、洗面、トイレともタッチレス自動水栓、浴槽は、肩も腰も心地よい刺激でリラックスできる肩楽湯&腰楽湯採用、キャセロール付きグリル、メーターモジュール廊下、浴室タオル掛け2か所、ミストサウナ、スロップシンク(1階住戸)など。
6月末にエントリーを開始、7月からモデルルームをオープンし、販売開始は9月。これまでエントリー数は1,300件、モデルルーム来場者は200組、42戸の約半数が成約済み。東急線を中心に広域から集客できているのが特徴。
1階住戸の8戸はオープンエアデッキ・テラス・プライベートガーデン付きで、上層階と価格差はないものの残りは1戸のみ。

モデルルーム
◇ ◆ ◇
同社のマンションはたくさん見学しているが、今回も上段に設備仕様レベルを紹介したように水準以上だ。意匠デザインもいい。渋谷-二子玉川-自由が丘を結ぶ三角形の〝プラチナトライアングル〟エリアに立地しているのも人気を呼んでいるのだろう。
坪単価は安いような気もするが、欲をかかないで早期完売を目指す戦略なのだろう。

