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「北浦和みのりプロジェクト」

 ポラスグループ中央住宅は4月22日、既分譲の戸建て住宅地「北浦和みのりプロジェクト」(全51棟)に設置したポタジェ(家庭菜園)を活用したワークショップを開催し、その模様をメディアに公開した。

 同プロジェクトは、最寄り駅の武蔵野線東浦和駅、京浜東北線の北浦和駅からそれぞれ徒歩時間を含めてバス利用で20分前後かかる難点を逆手に取った「居・食・住」のコンセプトが奏功し、昨年3月に分譲した第1期分譲の34戸を即日完売するなど早期完売した。

 今回のワークショップは、近くにある見沼田んぼの「こばやし農園」とコラボしたもので、春・夏・秋の3回予定されているうちの1回目で、午前・午後の2部構成で参加は任意。午前の部には、前日とは打って変わった寒さだったにもかかわらず、対象25世帯のうち11世帯が参加。それぞれ自己紹介を行い、配布されたミニトマト、シシトウ、レタスの夏野菜の特徴、植え方などをこばやし農園の小林弘治社長からレクチャーを受け、それぞれ持ち帰って自宅のポタジェなどに苗木を植えた。欠席した家庭にも苗と植え方、育て方などが書かれたこばやし農園作成の資料が配布された。

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会場になった提供公園

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配布された左からシシトウ、ミニトマト、レタス(このほかこばやし農園自家製の米ぬか、鶏糞が原料のボカシ肥料も配布された)

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 昨年7月に行われた同プロジェクトの見学会でも記事にしたが、マンションも戸建ても、その地域特性にマッチしたコンセプト、ターゲットを明確にすれば、アクセスなど多少の難点があっても売れることを証明した物件だ。

 ワークショップに集まった全世帯とも、小さな子ども1~3人の子育て世代だった。通学区の小学校まで遠い家でも2分とかからないのではないか。交通事故などの心配もいらないはずだ。周りには畑などもあり遊ぶには事欠かない。育児・教育環境は抜群なのをこの日も確認することができた。

 記者自身も学ぶことが多かった。ミニトマトは育てたことがあるので知っているが、水遣りなどはあまりやらず、ストレスを与えたほうが美味しい。確か多年草のはずで、そのことを小林氏に聞いたらその通りで、わが国では冬の寒さに耐えられず枯れてしまうということだった。

 シシトウもよく食べるが、辛いのが好きなのにスーパーで買うシシトウはどうして辛くないのか、また小林氏に聞いたら、シシトウもストレスを与えたほうが辛いものができるということだった。辛いか辛くないかは食べてみないと分からないという(記者は黄色味を帯びているのが辛いと思っていたが…)。1つの苗で、収穫期には毎日食べても食べきれないほど実がなるそうだ。

 なるほど。野菜はストレスを与えたほうが美味しいものができる…人間はどうなのだろう。

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「ポタジェの土壌を分析しました。pHは6.13。うちの農園と同じくらい非常にいい。トマトの水遣りは天気に任せて大丈夫。ほっとくと2mくらいに育ちますので、適当なところで切り、支柱で支えてください。わき芽は取ってください。かなり楽しめるはずです」小林氏

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「シシトウは山のように育ちますので、本当は50cmくらい離して植えたほうがいいのですが…7月から11月ころまで収穫できます」小林氏

奇跡の「見沼たんぼ」に着想 立地難逆手に取った商品企画光る ポラス「北浦和」(2022/7/10)

 

 

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「Rita School(リタ スクール)利他の郷」

 ナイスは4月21日、同社が施工を担当した横浜市戸塚区の保育施設「Rita School(リタ スクール)利他の郷」の完成現場見学会を開催した。同社グループが構造計算から施工(元請け)に至るまで一気通貫で対応した延べ床面積約340㎡の木造2階建て。内外装に同社オリジナル商品を採用するなど、自然素材をふんだんに用いているのが特徴だ。

 物件は、横浜市戸塚区吉田町に位置する建築面積約245㎡、延べ床面積約340㎡木造2階建て。旧東海道に面している。工期は2022年10月~2023年4月。設計は小野建築設計室。事業主は大覚寺真言宗宝蔵寺。木造使用量は躯体材が75㎥(うち国産材24㎥)、内装材が国産材11㎥。炭素貯蔵量は69t-CO2(189人が1年間に呼吸で吐き出すCO2に相当)。

 建物の1階は一般にも開放する三和土付きの「学びカフェ」、幼児用トイレ、フッドデッキ、八角堂(保育室)など、2階は八角堂(吹き抜け空間)、キャットウォーク、貸室2室、ルーフバルコニーなど。敷地の高低差を生かし、4層にも5層にも見えるよう設計されており、八角堂の天井高は9m、最大スパンは11m。

 「みんなの寺」をモットーとし、子どもたちが日本の風土を感じられるよう、自然素材を多用してほしいという事業主の要望に応えるため、サイディング、ルーバー、床材、羽目板などには同社オリジナルの宮崎県産飫肥杉の赤身のみを商品化した「ObiRED」を採用し、強度の必要なところは特許商品の「Gywood(ギュッド)」加工を施している。柱材はヒノキ。躯体材は欧州赤松。

 また、天井・壁面仕上げには、柿渋の抗菌・消臭・防腐力、漆喰の強さ、珪藻土の調湿力を兼ね備えるパーシモン社のパーシモンEウォールを採用しているのも特徴の一つ。

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八角堂

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薪ストーブ

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1階(手前が三和土)

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 同社が施工した木造建築物は結構取材している。みんないいのだが、今回は柿渋タンニンと米ぬか油、ごま油、桐油、ひまし油などの植物油を混ぜて壁などを仕上げているのに驚いた。

 柿渋は、記者の田舎でも漁網や住宅のいたるところに使用されていたのを知ってはいたが、現在はどこのハウスメーカーもデベロッパーも使用していないはずなので、この日、実演を行ったパーシモン社エイブル・エンジニアリングラボの林育美氏に「高価だから使わないのですか」と聞いたら、林氏は「いえ、そうではありません。1㎡当たり250円。石油そのものの輸入製品はこの3倍の値段です。油も自然油、唯一無二の柿渋のよさをみんな理解していない、勉強していないだけです」と即座に答えた。

 「石油そのもの」という言葉に頭をどやされた気がした。クロスには紙や布、まれに本革も採用されるが、ほとんどがケミカル製品の塩ビクロスだ。これは考えないといけない。

 住宅リフォームにも最適で、ビニールクロスの上にそのまま塗るだけで済むそうだ。カラーバリエーションは25色もある。和紙クロスも販売されている。

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パーシモンEウォール

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塗り壁実演

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 さすが寺院の「利他の郷」だと感服したのだが、刮目すべきことはほかにもあった。保育施設の奥まったところに本堂があるのだが、その一角にはヤギやニワトリの小屋のほか、1羽の雄鶏が飼育されていた。田舎で飼っていた玉子を産む雌鶏より一回り大きく、威風堂々そのもの。近づいても動じる気配はなく、頸を高く伸ばし、鋭い眼光で記者を睨みつけ〝コケコッコー(クックドゥードゥルドゥー)〟と一喝した。その時(鬨)を告げる声は気高く、寺院の雄鶏は格が違うと畏怖すら覚えた。

 雄鶏だけではない。本堂の男子用トイレには水を流さない小便器が採用されていた。女子用トイレを利用した人にも聞いたら同じ無水の和式トイレだったそうだ(小水はどのようにして流れるのか、傾斜が掛かっているのだろうか)。

 まだある。樹齢数百年と思われるイチョウの巨木には3匹のリスが生息していると教えられた。記者も目撃した。体長は尻尾を含めると30cmくらいあった。ほとんど真っ黒。樹皮にしがみつき移動する様はかわいいというより不気味。人間を恐れる様子もなかった。

 図鑑や映像でみるニホンリスでも中国で見たリスでもなかった。どうやら、日本全国で大繁殖している2005年に特定外来生物に指定されたタイワンリスのようだ。

 唯一無二の柿渋仕上げの八角堂で学び(英語も教えるそうだ)、ヤギやニワトリ、リスとも会話することができる「Rita School」は素晴らしいではないか。ただ、中国ではリスに近づいたら、現地の人に「人を襲うから危ない」と注意された。タイワンリスも狂暴化しないことを祈るのみだ。中国と台湾は違うのか。蛇足。

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雄鶏

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ヤギ(後方にニワトリ)

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無水トイレ

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タイワンリス(左の写真の立札の上の黒っぽいのがリス)

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「ルピアコート大宮ザ・レジデンス」

 ポラスグループ中央住宅が近く分譲する「ルピアコート大宮ザ・レジデンス」を見学した。駅から徒歩16分とややあるが、幼稚園・保育園、小・中学校、男女共学の大宮高校、区役所・図書館、氷川参道、大小の公園などが徒歩10分圏内にあり、子育てファミリー層をターゲットにしたマンションだ。

 物件は、JR・東武線大宮駅から徒歩16分、さいたま市大宮区浅間町2丁目の第二種住居地域に位置する7階建て全51戸。専有面積は55.60~80.45㎡、価格は未定。竣工予定は2024年2月下旬。施工は川口土木建築工業。設計はエイツカ企画設計一級建築士事務所。販売代理は長谷工アーベスト。販売開始は5月の予定。

 現地は、大宮駅からタカシマヤなどの商業エリア-氷川参道-低層住宅街を抜けた産業道路に面した住宅街の一角。

 建物・住戸プランは全戸南西向きで全11タイプ。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食洗機、ピアキッチン(28戸)、おかえりクローク(23戸)、Low-Eガラス、かくれんBOX、変身クローク、FUTONクローク、アソボタス、まもるんスペースタオル掛け2か所、玄関収納に大型電動アシスト自転車充電器コンセント&下部内倒し窓など。

 モデルルームをオープンして2週間で来場者は約180組。すべて満席。同社マンションディビジョン部・西牟田奈津子氏は「新たな商品企画として、ピアキッチン付きでないタイプに下足入れの隣に『おかえりクローク』を設けました。コート、カバンなどを収納できるもので、お客さまにはとても好評です。55㎡の中住戸でも3LDKとして使用できるようにしたのも特徴です。ルピアコートはどんどん進化しています」と語った。

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ピアキッチン

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氷川参道

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氷川参道

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氷川参道(ビールの宣伝ではない。テラスではタバコも吸える飲食店)

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 基本性能・設備仕様レベルは、前回紹介した「ルピアコート和光本町」とほとんど同じで、坪単価も「和光本町」の坪321万円と同じくらいになるのではないか。問題は駅から徒歩16分がどう評価されるかのみだ。

 感心した取り組みもあった。パンフレットなどに「しあわせにまじめなレジデンス」と謳っているように、同社オリジナルの設備仕様などを分かりやすく〝見える化〟していることだ。

例えばLow-Eガラス。遮熱性能が高く、冷暖房費は単板ガラスのほぼ半額で済み、複層ガラスと比べても相当の差が出るはずだ。Low-Eガラスを採用している物件はパンフレットなどでその旨を説明はしているが、モデルルームで体感できるようにしているものはごく一部しかない。

 同社はどうしているかといえば、体験コーナーを設け、単板ガラスとLow-Eガラスにコールドスプレーをかけて温度差を比較できるようにしていた。西牟田氏に試してもらったら、単板ガラスは12度前後なのに対し、Low-Eガラスは見学した当日の室内温度と同じ18度くらいだった。

 何でもないことと捉える人もいるかもしれないが、記者はこのよう真面目な取り組みがじわじわと消費者に浸透していくと考える。同社のマンションの歩留まり率は他社と比べて高いはずだ。今度聞いてみよう。

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Low-Eガラスと単板ガラスの遮熱性能の違いが分かる体験コーナー

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モデルルームで(漫画は同社のキャラクター「いくちゃん」)

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Before&After(一般的なマンションと同社の商品企画の違いを来場者が問い、答えられるようにしているのが味噌)

ピアキッチンだけでない ポラスのマンションはなぜ売れるのか 中央住宅「和光本町」(2023/4/1)

神奈川県横須賀市が地方自治体で初めてChatGPTの活用を開始したと、多くのメディアが報じた。ChatGPTなるものを一度も利用したことがない記者は、下案を作成し、職員が校正を行ったという市のプレス・リリースを読んだ。自分の拙い記事を棚上げにして、AIの文章の粗を探してやろうという魂胆が丸見えなのは承知のうえだ。

文章は651文字。A41枚に収まる分量で、誤字脱字など一つもない(はず)。文末を「職員は、人にしかできない、人だからこそできる仕事に注力することで、市民の幸福を実現する取り組みを、進めてまいります」と締めくくっているのには感心した。頭の悪い人間をからかうのか慮るのか、あるいは両方の意図が込められているとすれば、これは脅威だ。〝人にしかできないものなどない〟と言われているようで、背筋が寒くなった。

いったい、人間の手はどれくらい加わっているのか。市の担当者に聞いた。職員の指示を受け、ものの数十秒で下案を作成したというから、ChatGPTの能力の高さを率直に認めざるを得ない。ただ、前述した文末は職員が「心、思いを込めるため」(担当者)加筆したようで、AIが忖度して作成した文章ではないことも分かった。

記者はこれに少し安堵したのだが、重箱の隅をつつくように文章をチェックした。文法、用法などの誤りがいくつか見つかった。以下に紹介する。

主語がない

書き出しは「横須賀市役所において」となっているが、「おいて」は場所を示す連語だから主語ではない。主語は言うまでもなく「横須賀市」だ。主語を省いても意味は通じるが、行政文書だから、ここはきちんと「横須賀市は、市役所内において」とすべきだし、そもそも「おいて」なる文言は古臭い。記者はほとんど使わない。

5W1Hが欠けている

リリースを発表したのは418日だが、肝心のChatGPTをいつから活用するのかの記述がない。どこかに「420日から」を入れるべきだ。

③…たり…たりの用法が変

AIと会話をしながら、質問に答えたり、文章を作ったり、言葉を翻訳したり、文章を要約することができます」という文章も変だ。会話をしながら質問に答えるのはAIだろうということは分かるが、ここは「質問を入力すると、ChatGPTは質問に答えたり」とすべきだ。記者もそうだが、ChatGPTが何者か知らない市民だっているはずだ。本当に会話が交わせ、質問もされるのではないかと誤解する。

また、一つの文章に「たり」が3つもあり、しかも「言葉を翻訳したり、文章を要約する」の用法も間違っている。「たり」を用いるなら「言葉を翻訳したり、文章を要約したりする」とするのが正解。

④「自治体初!」の根拠が示されていない

ChatGPTを採用するのは横須賀市が全国の自治体で初めてとタイトルにあるが、その根拠は本文には示されていない。全国の自治体は2,000近くある。裏付けは取れているのだろうか。どうして調べたのか。OpenAI社が把握しているのだろうか。情報をリークすることに問題はないのか。

このほか、主体は市なのかChatGPTなのか分からない部分もあるが、指摘はこれくらいにしておく。ChatGPTは学習能力もあるようだから、進化したらわれわれメディア記者の仕事がなくなる時代がやってくるかもしれない。以下、横須賀市の418日付プレス・リリース。

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令和 5 年(2023 年)4 18

報道機関各位

横須賀市デジタル・ガバメント推進担当部長

 

自治体初!横須賀市役所で ChatGPT の全庁的な活用実証を開始

横須賀市役所において、「ChatGPT」の全庁的な活用実証を行います。

ChatGPTは、OpenAI社によって開発された、自然言語処理技術を活用し人工知能が自然な会話を行うことができるシステムです。AIと会話をしながら、質問に答えたり、文章を作ったり、言葉を翻訳したり、文章を要約することができます。

横須賀市では、(株)トラストバンクが提供する自治体専用ビジネスチャットツール「LoGoチャット」にChatGPTAPI機能を連携させることにより、すべての職員が、普段業務で使用しているチャットツールにおいて、文章作成、文章の要約、誤字脱字のチェック、またアイデア創出などに活用できるようにします。これにより業務の効率化が見込まれるとともに、広く職員が活用していくことで、さまざまなユースケースを生み出していくことを期待しています。

なお、横須賀市では、ChatGPTへの入力情報が二次利用されない方式で使用し、また機密情報や個人情報は取り扱わない運用とし、情報の安全な取扱いを徹底します。

横須賀市では、「スマートシティ推進方針」、「横須賀市デジタル・ガバメント推進方針」に基づいて積極的にテクノロジーを活用し、様々な業務の効率的、効果的な実施を図っています。それにより、職員は、人にしかできない、人だからこそできる仕事に注力することで、市民の幸福を実現する取り組みを、進めてまいります。

なお、本リリースはChatGPTで下案を作成し、職員が校正を行いました。

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「mitaseru(ミタセル)」

 三井不動産は4月19日、食材調達から調理人の確保、商品の製造代行までを担う食のプラットフォーム「mitaseru(ミタセル)」を4月から本格的にサービス開始すると発表。mitaseruは、2018年度に創設された同社グループの事業提案制度「MAG!C」の審査を経て生まれたもので、提案者の同社ビジネスイノベーション推進部事業グループ・松本大輝氏と佐々木悠氏のほか、参加店の菰田欣也氏(中華/ファイヤーホール4000)、松本一平氏(フレンチ/La Paix)、野永喜三夫氏(和食/日本橋ゆかり)が出席し、記者説明会・試食体験会・トークセッションを行った。

 mitaseruを開発した経緯について松本氏と佐々木氏は、日本の飲食事業は、世界からも高い評価を受けていながら、①他産業と比べても人手不足が顕著②立地や客席数が売上の制約となっている③国内マーケットの縮小など3つの課題を抱えており、さらに家事時間の半数を占める料理の負担の課題を解決し、「美味しさ」「手作り」「安心感」のある料理をいつでも好きなときに食べられるようにしたと説明。

 商品製造から販売までをmitaseruが請け負うため、飲食店は人材確保や設備投資などの負担なく事業拡大が可能で、店の料理と同じクオリティの味を多くの顧客に提供できるメリットがあり、顧客は予約困難店やミシュランガイドで星を獲得したお店の料理を取り寄せることを可能にしたと話した。

 一般的な監修商品とは異なり、有名飲食店などで実際に提供されている料理と同じレシピ・味にこだわりながら、専門シェフが手作りで調理し、調理後すぐに最新の急速凍結技術を用いることで、保存料は使用していなくとも鮮度をそのまま保存可能としているのが特徴。

 参加店舗は、「ファイヤーホール4000」(中華)「La Paix」(フレンチ)「日本橋ゆかり」(和食)のほか「Ata」(ビストロ)「牛タン焼専門店司」(和食)「後楽園飯店」(中華)「ざくろ」(和食)「讃岐うどん白庵」(和食)「JASMINE THAI」(タイ料理)「Series」(中華)など21店30品目でスタート。料金は800円台から5,000円台でレシピ付き。今後、顧客の意見を聞きながら店舗ラインナップやサービスの充実を図っていく。

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左から佐々木氏、菰田氏、松本氏、野永氏、松本氏(三井不)

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 試食体験会で提供された「具たくさんの豚汁」(日本橋ゆかり)「ビーフストロガノフ」(La Paix)「激辛!!火鍋肉団子」(ファイヤーホール4000)ともとてもおいしかった。それぞれのオーナー・シェフも「完成度の高さにびっくりした」(松本氏)「クオリティは高い。本格的なおふくろの味を体と心で満たせる味」(野永氏)「そんなことできるのかと半信半疑だったが、(mitaseruの)メンバーはみんな凄い」(菰田氏)などと絶賛した。

 気になったこともいくつかある。一つは、記者は試食に供された店の料理は食べたことはないが、実際にシェフ・オーナーがつくった料理をその場で食べるのとどれほどの味の差があるのかということだ。

 仮に、まったく味落ちがないとすれば、mitaseruが大量生産・大量販売したら価格は大幅に引き下げられる。店もその場でつくる手間はいらないから、冷凍食品を温めて提供することも可能になる。われわれは手間・暇をかけた料理だからこそ価値を認め、高額な料金を払う。店の味と冷凍食品の味が同じになったらどのような世の中になるのか。

 もう一つは、特許の問題だ。調理レシピは特許も可能らしいが、門外不出の秘伝の調理レシピがわが国だけでなく全世界に流出しないかということだ。

 まあ、しかし、料理は味はもちろんだが、もてなす人の心・愛情が伝わるものだし、その場の雰囲気、調度家具、什器、そえものも重要な役割を果たすから、記者の危惧などは当たらないことを祈ろう。

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ファイヤーホール4000_激辛火鍋肉団子

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La Paix_ビーフストロガノフ

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日本橋ゆかり_具たくさんの豚汁

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 リリースには「MAG!C」は、「当社グループ社員一人一人の『妄想』を起点に、会社を巻き込み『構想』『実現』へ昇華させ、そのイノベーションにより『不動産デベロッパー』の枠を超えた『産業デベロッパー』というプラットフォーマーを目指す」提案制度とある。

 これら「妄想」「構想」「実現」「産業デベロッパー」の文言は、同社が昨年12月9日に行った社長交代記者会見場で、植田俊社長(当時同社取締役専務執行役員)が語ったフレーズそのものだ。つまり、「MAG!C」は植田氏の発意によるものだろうか。

 今後、「MAG!C」から何が飛び出すか興味津々。

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Ata 真鯛のブイヤベース

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司_ほろほろ牛タン

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千陽_心技体

「産業デベロッパー目指し、日々妄想」植田俊・三井不動産次期社長(2022/12/11)

 

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「ザ・パークハウス 聖蹟桜ヶ丘」

 三菱地所レジデンスが分譲中の「ザ・パークハウス 聖蹟桜ヶ丘」を見学した。駅から徒歩5分の1フロア3戸の全42戸だが、建物を全面道路と平行にではなく西側に振らせることで生まれた空地に植栽を施し、眺望に配慮するとともに、型枠に国産材を、共用部に多摩産の集成材を多用し、住戸プランも「ザ・パークハウス」仕様にしている。

 物件は、京王線聖蹟桜ヶ丘駅から徒歩5分、多摩市関戸2丁目の商業地域に位置する敷地面積約621㎡、15階建て42戸。現在販売中の住戸(11戸)の専有面積は66.92~71.97㎡、価格は4,968万~5,988万円。坪単価は252万円。建物は2023年1月に竣工済み。施工は大末建設。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、食洗機、カップボード、ミストサウナ、タオル掛け2か所など。

 昨年10月にホームページを開設し、これまでのエントリー数は500件超、モデルルーム来場者は約150件。建物が完成した4月から販売を開始し、これまで15戸を成約している。来場者・成約者は地元居住者が約3割、その他は京王線沿線居住者。

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エントランス

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エントランスホール壁面

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風除室壁面

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風除室

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エントランスホール

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 小規模マンションではあるが、造り込みはしっかり行っている印象を受けた。写真をいくつか添付したので見ていただきたい。とても美しい。先日、野村不動産も国産材を多用した「プラウド参宮橋」(19戸)を分譲すると発表した。どこまで販売促進に結びつくかは不明だが、「木」は今後のマンションのキーワードのひとつに間違いなくなる。SDGsの観点からも必須要件となるはずだ。

 商品企画にも手抜きはない。浴室にタオル掛けは2か所ついていた。これはずっと前から同社が標準仕様としているものだ。カップボードだって、オプションなら数十万円するはずだ。

 この物件に近接する東京建物他「Brillia Tower 聖蹟桜ヶ丘BLOOMING RESIDENCE(タワー棟)」(520戸)「Brillia 聖蹟桜ヶ丘BLOOMING TERRACE(テラス棟)」(253戸)を見学していないので何とも言えないが、同社の物件の坪単価は「Brillia Tower」より20万円くらい安く、20坪で5,000万円以下というのがポイントだ。

 同社も売主になっている、同じ坪単価252万円の「THE GRAND CROSS多摩センター(ザ・グランクロス多摩センター)」(289戸)との比較については、多摩市民の記者はコメントしない。双方とも単価は他の沿線と比べ割り負けしているとだけ言っておくことにする。

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モデルルーム

みどりの価値再認識すべき 三菱地所レジなど6社JV「多摩センター」は坪252万円(2023/3/21)

型枠に国産材 共用部に多摩産の集成材多用 三菱地所レジ「聖蹟桜ヶ丘」(2023/3/28)

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La Tour(ラ・トゥール)新宿ファースト」

住友不動産は418日、同社の最上級賃貸マンションシリーズ「La Tour/ラ・トゥール」の最新物件で28棟目の「La Tour(ラ・トゥール)新宿ファースト」が完成したのに伴うメディア向け完成内覧会を実施し、420日から入居を開始すると発表した。同シリーズは、今回で約3,900戸の規模となり、平均専用面積100㎡以上、平均賃料約70万円で、入居率は98%に達し、今回の物件も約半数が契約済み。24時間バイリンガル対応のフロントコンシェルジュサービスなどが富裕層に評価されている。

 物件は、JR・小田急線・京王線「新宿」駅徒歩17分東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線中野坂上駅から徒歩6分、東京メトロ丸ノ内線西新宿駅から徒歩7分、新宿区西新宿五丁目に位置する敷地面積約7,980.01㎡、地下2階地上35階建て免震構造のオフィス・住宅複合施設で、延床面積約90,611㎡(うち住宅専有面積約21,958㎡)。住宅は1935階で総戸数170(同社持分166)。専用面積は70.35297.33㎡。21階の161㎡(49坪)の賃料は118万円/月、坪単価は2.4万円。35階の297㎡(90坪)の賃料は300万円超/月、坪単価は3.3万円。竣工は20233月。入居開始は420日。

現地は、同社をはじめ三菱地所、三井不動産が事業参画している西新宿の再開発エリアの一角。新宿中央公園、神田川に近接。

全住戸が地上80m以上の1935階の高層エリアに位置(下層階にあるオフィスの天井高を高く設定しているため、19階でも平均的なマンションの27階相当の地上高)。2LDK80150㎡台、3LDK100170㎡台、ペントハウスは約300㎡超。24時間常駐のバイリンガルコンシェルジュが宅配物の一時預かり(冷蔵・冷凍含む)のサービスに加え、来訪者の一時対応(レセプションサービス)を行い、全5棟の新宿エリアで初となるヴァレーサービスも導入する。

内覧会で同社賃貸住宅事業所長・永山貴氏は「今回の物件は、2000年の第一号『芝公園』から数えて28棟目。奇をてらったものは入れていない。お客さまが志向しているものをグレードアップし、新宿エリアでトップレベルに仕上げた。粋を集めた自信物件。『ラ・トゥール』シリーズはトータルで約4,000室になるが、20233月末の入居率は98%。入居者サービスが実を結んだ結果だ」と話した。

また、同社賃貸事業所営業統括・鳴海智也氏は「ラ・トゥール」の顧客動向や高額賃貸マンション市場について説明。20年前の顧客は外国人が51%だったのが、現在は日本人が86%となっており、年代も60歳以上が43%を占めていたのが、現在は49歳以下が69%を占めている。坪単価は10年前の1万円台の半ばだったのが現在は2万円台の半ばに上昇。空室率は平均3.4%、主要3区の賃料は初めて2万円/坪を超え、面積が広いほど賃料単価は上昇しており「150㎡以上は供給事例が少ないことから飽和状態にある」などと語った。

鳴海氏は「ニッチな市場で競合はしていないが、ブランド価値を維持するため数値目標は掲げず、立地、環境に適したものを開発していく」とし、今後の開発物件として「目白御留山」「御殿山」「みなとみらい」「南青山」「渋谷松濤」「元麻布」などをあげた。

同社は同日、「La Tour(ラ・トゥール)」シリーズの「代官山」「大阪梅田」など5物件が日本政策投資銀行(DBJ)による「DBJ Green Building認証」の最高評価を取得したと発表した。省エネ性、入居者の快適性、防災・防犯性が評価された。

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外観(今回の物件は中央)

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天井高約8mのアトリウムイメージパース

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両氏の話を聞きながら、「ラ・トゥール」は高額分譲マンションとどこが異なるか、なぜ富裕層の圧倒的な支持を得ているかを考えた。

専用部の設備仕様・仕上げは、「奇をてらっていない」と永山氏が語ったように、億ションに負ける部分もあるが、空間設計、ホスピタリティは「ラ・トゥール」が勝る。

今回の物件のエレベーターは乗用4基、非常用兼荷物用1基、自転車用兼ペット用2基あり(この規模の分譲はせいぜい23基)、エレベーターホールは広く、廊下幅は3mもあった。21階のエレベーターを降りてから展望が開ける北東角の161㎡の住戸に着くまで約50mあり、専用部の廊下幅は1350ミリ、天井高は2650ミリ、35階の297㎡のペントハウスのLDK55帖大、御影石キッチン天板は1200×3000ミリ、玄関、浴室はそれぞれ2か所あった。

24時間バイリンガルコンシェルジュサービス、宅配物の一時預かり、専用部サービス、来訪者のチェック、ヴァレーサービスなどは分譲にはまずないはずだ。鳴海氏が「ビル屋だからこそできる。入居率は驚異的」と胸を張ったのもよく分かる。

これらを総合的に評価すると、100㎡で賃料70万円(坪単価2.31万円)は分譲よりむしろ割安だと思った。法人契約にすれば賃料の少なくない金額は経費・損金として処理できるはずで、節税対策ともなる。分譲は法人による所有は可能だが、管理組合の「専ら居住」の制約があるため、法人登記はまず不可で、事務所などとしての利用も認められない。管理組合の役員就任を拒否することもできない(最近は第三者管理方式を採用するマンションは増えてはいるが)。

経営者や弁護士、医者などは1日十数時間働く人は多いはずで、煩わしい管理組合などの活動から解放され、都心に住むことで大幅に時間を節約できる「ラ・トゥール」の優位性を思い知らされた。

分譲マンションも法人登記を認め(法的な規制はないはず)、民泊のような不特定多数の人が出入りするのを認めるのはどうかと思うが、多様な利用を可能にしてもいいのではないか。

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Zタイプイメージパース

住友不 高級賃貸〝ラ・トゥール〟「渋谷神南」「渋谷宇田川」完成(2019/2/23

住友不 44階建て全842戸の賃貸マンション「セントラルパークタワー ラ・トゥール新宿」竣工へ(2009/9/18

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「プラウド参宮橋」

 野村不動産は4月17日、CLT・鉄骨ハイブリッド構造を採用し、建物全体で約80㎥の国産材を使用した「プラウド参宮橋」を6月上旬に分譲すると発表した。木材使用量は同社のマンションで過去最多となり、全住戸がZEH-Oriented相当の性能を満たしている。

 物件は、小田急線参宮橋駅から徒歩3分、渋谷区代々木四丁目の第二種低層住居専用地域に位置する4階地下2階建て全19戸(広告募集対象外住戸6戸含む)。専有面積は58.13~105.22㎡、価格は未定。竣工予定は2024年5月上旬。施工は大成建設。

 B2階~3階まではRCコアウォール+TWFS構造(厚肉床壁構造)、4階・R階はRCコアウォール+CLT・鉄骨ハイブリッド構造とし、構造CLT、天井、壁面ルーバーなど建物全体で約80㎥の国産木材を使用。同規模のRC構造のマンションと比較した場合、建築時のCO2削減量は約96トン、CO2固定量は約73トンと試算されている。全戸に空調システム「床快full」を採用している。

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フローリングや建具には突板を採用しCLT を活かした仕上げ

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共用部のアート作品にも国産ヒノキ材を使用

◇        ◆     ◇

 完成予想図のドーマー(トップライト)がとても印象的だ。このようなマンションは見たことがない。

 同社は現段階で価格は未定としているが、いったいいくらになるか。立地条件からして坪単価700万円以下はありえないのではないか。さらに「床快full」を全戸に採用し、ZEH-Oriented相当の性能を満たしていることなどを考えると、設備仕様レベルにもよるが坪750万円になっても記者は驚かない。

 「木造マンション」は、三井ホームの賃貸「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」(51戸)が最大のはずだが、どこが最初に分譲マンションを供給するか注目している。今回の物件のような第一・二種低層住居専用地域などは最適なはずだ。 

賃料は「調布並み」でも申し込み殺到 三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)

 


 

 

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伐採されたイチョウ

 東京都千代田区は4月12日、「神田警察通り道路整備工事における暴力行為について」というタイトルの樋口高顕区長名の文書を区のホームページに掲載し、「4月11日(火曜日)早朝、神田警察通り道路整備工事の作業において、安全確保のフェンスを設置中に、工事の反対者の体当たりなど暴力的な妨害行為により、警備員と区職員の2名が転倒させられ負傷する事案が発生しました。警備員は全治4~6週間の重傷で、区職員は軽傷を負っています」と報告した。

 これに対して「神田警察通りの街路樹を守る会」は4月13日、樋口区長宛てに「ホームページ掲載文の撤回・謝罪を求める通知文」を提出。「私たち住民を『工事の反対者』と呼び、『暴力的な妨害行為』を行って警備員と区職員を転倒させて負傷させたという全く事実でないことを広報したことは…一般の区民から分断させようとする誤った広報活動」であり、「直ちに撤回し、私たちに対して謝罪することを求める」と抗議している。

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神田警察通り道路整備Ⅱ期工事区間

◇     ◆     ◇

 〝暴力事件〟が起きたのは4月11日の午前4時過ぎのようだが、双方の言い分は真っ向から対立している。区側にも住民側にも与しない、イチョウの味方である記者は現場を見ておらず、コメントのしようがないのだが、区側には明らかな嘘が少なくとも2つある。

 区の文書では「この間、一時、工事を見合わせました。しかしながら、双方の一致点を見出すことはできず、また『守る会』等の工事に反対する一部の方々による妨害行為もあり、工事が進められない状況になりました。その後、工事に反対する一部の方から、損害賠償請求訴訟、住民訴訟が提訴されるなど、双方が歩み寄るかたちで工事を行うことは難しいものと判断するに至りました」とあるが、整備事業を議会決定したのは令和3年10月13日であり、その後、工事には着手せず中断し、再開を決定したのは令和4年4月25日だ。この間、住民による妨害行為はなかったはずだ。反対運動を「妨害行為」と呼ぶなら、もう何をか言わんやだ。

 この「妨害行為」によって工事が進められなくなり、「双方が歩み寄るかたちで工事を行うことは難しいものと判断するに至りました」というのも明らかに虚偽だ。話し合い継続を断念し、「現在の一致点が見出せない状況が長く続けば、意見の対立を深め地域に亀裂を生じさせることにもなりかねないと認識」「(令和4年4月25日から神田警察通り道路整備Ⅱ期工事を再開したのは)行政として苦渋の決定」をしたのは樋口区長で、損害賠償請求訴訟、住民訴訟が提訴されたのは、そののち令和4年5月以降だ。

 行政文書は正確でなければならない。文書作成は職員が行ったのだろうが、関係者が読めば明らかに間違いであることは分かる。区長の鼎の軽重が問われる。

 ただ、工事をさせまいとイチョウに抱きつく住民の方もいかがなものか。中には若い方もいらっしゃるが、皆さんは記者と同様おじいさんおばあさんばかりだ。健康が心配だ。

 警察署にも一言。守る会の通知文によれば、救急車が出動したのを受けて住民が110番通報し、警察官を呼びだしたところ「私たちは中立の立場。区と住民とでよく話し合ってほしい」と話したそうだ。警察官とは〝事件〟が起きた目の前の神田警察署の警察官か。区が言う「反対者の体当たりなど暴力的な妨害行為」とは認識していなかったということか。さすがと言うべきか。

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神田警察通り道路整備Ⅰ工事区間

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区役所前で横断幕を掲げる「神田警察通りの街路樹を守る会」(3月30日写す)

「約束を反故。許せない」住民怒る 健全木のイチョウ 新たに4本伐採 千代田区(2023/2/7)

 

 


 

 

 三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事の事業者4者は4月14日、東京都から4月6日付で受けた「神宮外苑地区におけるまちづくりに関する再要請」に答える形で「神宮外苑地区まちづくりを進める意義等について」を発表。都の指摘を真摯に受け止めており、新たな取り組みを今秋にスタートし、4月からプロジェクトサイトの構成や文章、デザインを刷新し、より見やすい内容にリニューアルしたと報告した。

 都は、令和4年5月26日付文書で「外苑の成り立ちを踏まえた幅広い都民参加や既存樹木の保全、わかりやすい情報発信などに取り組み、多くの都民の共感と参画を得ながらまちづくりを推進するよう」求めていたにも関わらず、4月6日付で「未だ具体的な取組内容や実施時期などが示されていない」と再要請していた。

◇               ◆     ◇

 今回、改めて都から都民の共感と参画を得るよう要請されたのを受け、報告では、「4列のいちょう並木が伐採される」「神宮外苑のみどりが減る」というのは誤解、憶測であり、4列のいちょう並木を保存し、みどりの量と樹木本数を増やすと強調。計画地のオープンスペースは現行約21%から再開発後は44%へ、緑の割合は25%から30%へ、樹木は1,904本から1,998本に増えるとしている。

 これは理解できる。4事業者のうち「経年優化」をスローガンに掲げる三井不動産は、同社の分譲住宅、オフィス・商業施設などの取材を通じて、他のデベロッパーに負けない充実した植栽を施しているのを知っている。今回の開発でもみどりをふんだんに採用するのは間違いない。

 しかし、今年2月17日付記事でも書いたが、問われるのは緑・樹木の質だ。計画では伐採樹木741本の具体的な樹種、樹齢などは記載されていない。

 この伐採樹木の明細をきちんと公開し、その是非を問うべきだ。例えば聖徳記念絵画館前の広場の再生。「広場の再生」とは、戦後、軟式野球場として利用されてきた約40,550㎡の敷地をテニス場・駐車場としてリノベーションすることだが、「再生」などといわれると、記者も20数年間RBA野球大会の取材で通った軟式野球場は老朽化し、樹勢も衰えているかのような印象を受ける。

 軟式野球場をテニス場にリノベーションするその是非はともかく、ここには樹齢100年くらいの立派なヒマラヤスギ、イチョウ、コブシ、ケヤキなどの巨木がグラウンドを囲むようにたくさん植わっている。この先100年も200年も生きるはずだ。

 計画では巨木はほとんど伐採されるようだが、巨木を避けてテニス場を整備することはできないのか。上位計画には「歴史的景観を将来に継承」とあるではないか。

 どうしても伐るのなら、参加者を募り伐採式を行い、伐り倒した樹木の墓碑銘くらいつくってほしい。〝ここに神宮外苑の樹齢100年の御神木眠る〟と。

 いま、千代田区の神田警察通りの街路樹である樹齢60年のイチョウ30本が「枯損木」として伐採されようとしている。神宮外苑と千代田区の街路樹問題の根は同じ-樹木をないがしろにするのは人間をそのように扱うのと一緒だ。

緑、樹木は増えるが問われるのは質 三井不動産など「神宮外苑」再開発 施行認可(2023/2/18)

これは事実か「枯損木記載は都の慣例に倣ったもの」千代田区の主張 住民訴訟(2023/1/17)

 

 

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