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 三井不動産レジデンシャルは11月15日、東京電力エナジーパートナーとファミリーネット・ジャパンの協力のもと、日々のくらしを豊かに、楽しみながら、持続的に脱炭素活動が行える「くらしのサス活」を12月1日から開始すると発表した。この種の取り組みは住宅業界初という。

 「くらしのサス活」とは、すまいとくらしにおける脱炭素行動のリスト化と同社マンションの住戸ごとのCO2排出量・削減量の見える化を実施し、これらを活用した脱炭素活動への参加を募り、その参加者に対し抽選で商品・特典を提供するもの。

 今年度は、第一弾としてTOKYO UNITE(東京をホームタウンとする14のスポーツチーム・団体が参画)とタイアップした「くらしのサス活2022冬」を開催。厳しい電力需給が想定される12月1日から2023年1月31日の2か月間、自宅でできる脱炭素活動をまとめた「くらしのサス活リスト」を配布、期間内にリスト記載の脱炭素活動を実施し、応募の中から抽選でTOKYO UNITE参画チーム・団体による特典を提供する。取り組み期間中に約1,000tのCO2削減を目指す。

 同社は、首都圏マンションの各住戸でCO2排出量・削減量をDXにより自動集計および見える化し、入居者が定量的なCO2削減量に応じた様々な特典を得られる仕組みの構築を進めている。

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 結構な取り組みだが、業界初とは驚いた。業界では、集客を増やすためにモデルルーム来場者に分譲価格にオンされる数千円の商品券などを配布する一方で、一括受電や高効率エアコン、エネファーム、エコジョーズ、保温浴槽、節水トイレ、LED照明などの採用により年間光熱費は数万円も節約できるなどと宣伝している。

 CO2削減では、マンション家計簿もそうだ。例えば、三菱地所レジデンスの「soleco(ソレッコ)」。同社はもう10年くらい前から光熱費などの「見える化」を進めており、戸別のCO2排出量を記載している。同様のサービスをみんな行っていると思っていた。

 三井不動産レジデンシャルのマンションでの脱炭素の取り組みでは、建築時に高耐久部資材を採用することで、運用段階のCO2排出量を約38%削減し、60年間で大規模修繕工事回数を2回減らすことができ、約14%のコストを削減する試みに注目している。その第一弾「パークホームズ志木コンフォートテラス」135戸に消費者はどのように反応するかにも興味がある。

 既に分譲は始まっており、物件ホームページでは購入者22名のアンケート調査による「購入のポイント」がYouTubeで配信されている。最大の評価ポイントは「70㎡超で5,000万円台」の価格帯で、その他は生活利便性、立地、眺望、共用部、間取りなどだった。CO2削減・コスト削減も購入のポイントになっていることの言及はなかった。

 マンション購入検討者としては、3K(価格・交通便・環境)が重要であって、管理費や修繕積立金の額は二の次になるのは理解できるが、デベロッパーのこのような脱炭素の取り組みを適正に評価することも求められている。

 この点に関連することだが、マンションの資産価値・居住価値の見える化を進めるマンション管理適正評価制度がスタートした。管理の良否を★5つ(★なしを含めて6段階)で評価するもので、現在126物件が登録されている。このうち満点の★5つは43件で、管理会社別では三井不動産レジデンシャルサービスの7物件が最多。以下、伊藤忠アーバンコミュニティーの5物件、長谷工コミュニティの4物件、野村不動産パートナーズの4物件、東急コミュニティーの3物件、三菱地所コミュニティの3物件となっており、この6社で半数以上を占めている。

 あと数年もすれば、マンション管理会社もデベロッパーもこのようなデータによって評価・選別される時代が間違いなくやってくる。

 

 ケイアイスター不動産グループのケイアイクラフトは11月14日、女性職人だけで新築住宅を1棟建てるプロジェクト「女性1棟プロジェクト」を立ち上げたと発表した。

 同社は、2014年度から社員職人として採用する「クラフトマン制度」を発足。2015年から女性活躍推進の取り組みとして、産休・育休の制度改正を行い、2017年にダイバーシティ推進室を設立。女性管理職の登用や建設現場での女性の現場監督が増えたことをきっかけに女性の現場監督専用の作業服を制作するなどの取り組みを行ってきた。2015年に厚生労働省から子育てサポート企業「くるみん」の認定と、2017年は同省から女性活躍推進企業「えるぼし」に認定され、2019年と2020年は東証・経済産業省による「なでしこ銘柄」に2年連続で選定されている。

 現在、8名の女性クラフトマンが大工職、内装工などで活躍している。

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 おそらく女性クラフトマンの声を反映した取り組みだろう。2016~2017年だから5~6年前だ。「じゅうたく小町部会」を取材し、建築現場で働く女性の悩みなどを聞いている。建築現場の仮設トイレは使いたくなくて、時間をかけてもコンビニなどを利用するという人もいた。

 その時の記事のアクセス数は3,000件近くあった。東日本大震災でも仮設トイレは利用せず、わざわざ十数分もかけて駅のトイレを利用したという女性の話も聞いた。男性もそうかもしれないが、女性にとってトイレは大きな問題なのだろう。女性ばかりだと、ストレスは少しは軽減されるのか。

「建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか(2017/5/30)

労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)

 

 長谷工コーポレーション、プライム ライフ テクノロジーズ、パナソニック建設エンジニアリングの3社は11月14日、住戸内の空調管理をルームエアコン1台で行うことのできるマンション専有部向け全館空調熱交換気システム「withairⓇ CUBE(ウイズエアーキューブ)」を共同で開発したと発表した。長谷工の賃貸マンション「サステナブランシェ本行徳」の一部住戸に採用する予定。

 パナソニックの空調機器をベースとし、長谷工のマンション建築・設備のノウハウをシステムに反映しており、パナソニック建設エンジニアリングがシステムの設置工事を行う。

 ①居室間や非居室間の温度差を縮小し、ヒートショックリスクや熱中症リスクを低減②粉塵除去率の高いHEPAフィルターを搭載することで、住戸全体で高い空気清浄性能を実現③メンテナンスが不要かつ自動給排水を可能にする④寝室で発生する二酸化炭素を住戸内全体に希釈しながら室外に排出⑤換気による熱ロスを最小限に抑え、暖冷房の消費電力量を約7%削減するのが特徴。

 今後、長谷工グループが手掛ける分譲マンションや長谷工の設計施工マンションを中心に導入提案を積極的に進めていく。

 「サステナブランシェ本行徳」は、東京メトロ東西線妙典駅から徒歩6分、5階建て全36戸。1990年2月(築32年)竣工。改修竣工は2023年春頃。

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 マンションの全館空調システム開発は、三菱地所レジデンス・三菱地所ホームの「エアロテック」、野村不動産の「床快full(ゆかいふる)」、三井不動産レジデンシャルの「AirLOGY」に次いで4件目だ。長谷工の開発によって、ほとんどのマンションに採用が可能になった。

 階高・天井高が低い中古マンションでは施工は難しいのだろうが、加速度的に普及しそうな気がする。

 

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TOKYO TORCH Park」仮囲いアート

三菱地所が111日から掲出している「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に整備する「TOKYO TORCH Park」の仮囲いアートを見学した。全国1,741市町村すべての写真撮影を達成した写真家・仁科勝介氏と連携したもので、全長63m、高さ3mに全47都道府県の写真がそれぞれ1枚ずつ掲出されていた。どこにでもありそうな日常風景ばかりだが、だからこそ鑑賞する人の心を揺さぶるのだろうと思った。設置期間は202211月から20249月の予定。

下手な小生のコメントなど書かない。江東区木場に住んでおり、常盤橋タワーをよく利用するという2030代の子ども連れの女性が全てを語ってくれた。

「普段意識しないメジャーでもない都道府県のありのままを見ることができるのがとてもいい。知っている人は懐かしいと思うでしょうし、知らない人は新鮮に映り、行ってみようと考えるかもしれません。新しい発見ができる」と。

三菱地所関係者も仁科氏も小躍りして喜びそうなコメントだ(まさか三菱地所関係者ではないだろう)。小生も嬉しくなって、仁科氏が大学生のとき2年間休学して、2年を待たずに全国47都道府県の全1,471区市町村を全て踏破したこと、旅費はアルバイトして稼いだことなどを伝えた。

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左から静岡、愛知、三重、滋賀(岐阜の方には申し訳ない)

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左から埼玉、千葉、東京、神奈川(柵があるのでうまく撮れない)

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仁科氏の著書「ふるさとの手帳」(KADOKAWA)を図書館で借りて読んだ。約300頁に写真は12枚から多い頁では20枚以上掲載されている。その数はざっと4,000枚か。旅行雑誌、ガイドブックによくある名所旧跡、景勝地はむしろ少なく、田舎のどこにでもありそうな日常の風景が切り取られている。

添えられているエトキ(キャプション)も、わが故郷・三重県を例にとると「気づけば稲穂は黄金色(いなべ市)」「江戸時代の風情を残す河崎へ(伊勢市)」「いつもの道路(度会町)」「友人が作ってくれた朝食(伊勢市)」「美味しいみかんあります(御浜町)」「土佐犬のゆりこさん(亀山市)」などといった具合だ。伊勢神宮も赤福も的矢の牡蠣も登場しない。全頁が「旅の決めごとはひとつ。『訪れたまちで写真を撮ろう』」(はじめに)で貫かれている。

仁科氏は著書で「市町村一周は遠い夢だった。全てのまちを巡った後、一体どんな景色が目の前に広がるのだろう。ただ知りたくて、旅に出た。そして旅は終わり、様々な景色が教えてくれた答えはシンプルだった。『知らない景色は、永遠にあるのだ』と。市町村を全て巡ろうが、日本を知ったつもりになんて到底なれない。行ったことがある、ないの問題でもない。知ることに並行して、何も知らない自分に気づく。市町村という果てしない単位は、終わりのない景色をわたしに見せてくれた」と綴り、「旅をしていたわたしは、主人公ではない。旅をすることで、何者かになりたかったわけでもない。踏切を駆ける列車、風に揺られる木漏れ日、雨でも咲く花々、誰かの散歩道。訪れた先々で出会ったわたし以外こそ、旅の主人公であった」「この本を読んでくださったみなさんも、わたしにとっては主人公である」(おわりに)と締めくくっている。

皆さんにも鑑賞をお勧めだ。隣には学生さんが経営する47都道府県地域産品セレクトショップ「アナザー・ジャパン」があるし、仮囲いの前は常盤橋タワーだ。レストランで食事しながら観るのがいい。小生は白ワインを1杯飲んだ。ハッピーアワーとかで550円だった。仁科氏風に書けば「日本一の街のど真ん中でワインが550円とは」(東京)か。

 わが故郷・三重県の宣伝も一つ。東京建物の本社がある東京建物八重洲ビルの地階には「伊勢角屋麦酒 八重洲店」が入居している。いい店です。

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東京建物八重洲ビル

全国1,741市町村を走破した写真家・仁科氏の仮囲いアート 地所「TOKYO TORCH」(2022/11/2

最高に素晴らしい! 学生が経営する「アナザー・ジャパン」TOKYO TORCHIに開業(2022/7/27

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「5階建て純木造ビル」

 アキュラホームが川崎住宅公園に11月5日オープンしたわが国初の「5階建て純木造ビル」モデルハウスを見学した。一般流通材とプレカット技術で建設できる「普及型純木造ビル」のモデル棟で、①混構造ではない木造軸組工法による5階建て②免震構造ではなく耐震構造で特殊金物を使用していない③実物大耐震実験で強度を実証-しており、組子格子デザインの構造壁や柱を極力「現し」で表現しているのが特徴。

 モデルハウスは木造ビルを普及させるために開発したもので、木造軸組工法による5階建て延べ床面積約439㎡。1階が店舗、2階が事務所、3階が賃貸住宅、4・5階がオーナー向け専用住宅を想定した複合ビル。

 同社は、今後1年から1年半の間に同様のモデルハウスをさいたま市、錦糸町などで建設し、木造ビルの普及を目指す「Re:Treeプロジェクト」を本格化する。さいたま市で着工した純木造の8階建て新社屋は2年後に完成する。

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モデルハウス1階

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「現し」の組子格子デザイン

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階段室にも木造デザインを採用

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 同社はモデルハウスオープンに先駆け11月4日メディア向け見学会を行っており、同社常務執行役員・井草健二氏が約40分にわたって説明・質疑応答した。そのビデオを視聴した。

 井草氏は冒頭、木造の歴史について触れ、13万戸の家屋が全壊、44万戸が焼失した関東大震災と、1959年の伊勢湾台風の被害をきっかけに、「木造禁止令のような規制が進んだ結果、木造は劣勢に回った」と口火を切り、「この20年間は、技術者や学者などの取り組み・研究により歪んだ部分、世界観を是正する時代で、『仕様規定』から『性能規定』に変化した時代」と述べた。

 そして、関東大震災から100年を迎えた今年は、地球温暖化防止、脱炭素社会実現に向けた「黎明期」と話し、「さらに改善を進め、向こう2年間で木造ビルは本格的に普及する」と語った。

 一方で、本格普及のためには、「コストの壁」「工法の壁」「偏見の壁」の3つの壁を乗り越えるのが課題で、コスト的には、今回のモデルハウスは鉄やコンクリとほぼ同様ではあるが、工期が予定より延び労務費がかさみ、無駄な柱や梁もあるとし、競争力を高めるためには構造計算をできる設計者の育成も欠かせないと語った。

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4階から5階の階段室

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3階賃貸スペース

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5階バルコニー

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5階

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 木造ファンの記者も、井草氏が語ったように「純木造ビル」が日常の街並みになることを願っているのだが、一つお願いしたいことがある。木造の「断熱性」「調湿性」「快適性」「デザイン性」などの「優位性」のエビデンスデータを各社で共有し、定量的に示すことで〝見える化〟を図ることだ。

 同社の施設では、さいたま北支店とつくば支店がある。社員の病気が減ったとか生産性が向上したなどのデータは集まっていないのか。

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第5回「カベワンGP(壁‐1グランプリ)」で優勝したアキュラ・チーム匠

 同社は11月11日、ものつくり大学(埼玉県行田市)が主催して10月22日、23日に行った第5回「カベワンGP(壁‐1グランプリ)」にアキュラ・チーム匠として参加し、通算7度目のトーナメント優勝を達成したと発表した。

 同社グループの耐力壁は、「柔よく剛を制す」をコンセプトに開発した「檜三四郎」で参戦。面材を使用せず、木材は国産材のヒノキとシラカシにより3本の横枠と4本の縦貫で構成され、横枠への縦貫のめり込みにより、高耐力と高い靭性を兼ね備えたもの。

 「カベワンGP」は、東京大学・稲山正弘教授が阪神淡路大震災の後、木造は弱いという偏見を払拭し、構造耐力の向上や技術者の育成などを目的にスタートした前身の「木造耐力壁ジャパンカップ」から計25年間続く大会。今年はハウスメーカー、ゼネコン、大学や専門学校の研究者グループなど10組が参加した。

 同社グループの耐力壁開発に加わっている稲山教授は「埼玉県でアキュラホームの新しい8階建ての社屋が着工しました。この社屋は耐震構造を純木造で実現しています。『耐力壁ジャパンカップ』からチーム匠でやってきた経験が、高強度の耐力壁の開発の礎となって8階建てに至っている」とコメントしている。

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「檜三四郎」


 

 

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「レーベンプラッツ南栗橋」

 MIRARTHホールディングスグループのレーベンホームビルドが分譲中の木造平屋建て「レーベンプラッツ南栗橋」(16区画)を見学した。10月1日(土)から販売を開始しており、第1期8戸が完売するなど好調なスタートを切った。

 物件は、東武日光線南栗橋駅から徒歩10分~11分、久喜市北広島字下沼廻の市街化調整区域(建ぺい率60%、容積率100%)に位置する全16区画。11月中旬に販売開始する第2期4次(戸数未定)の土地面積は300.71~340.23㎡、建物面積は100.20~101.44㎡、価格は未定だが4,000万円前後になる模様。竣工予定は2023年1月~2月。施工はレーベンホームビルド。建物は木造1階建て(木造軸組み+パネル工法)。

 現地は、都市計画法第33条第4項の規定に基づき調整区域での開発が許可されたもので、条例で最低敷地面積は300㎡以上と規定されている。周辺は戸建て住宅街。

 主な商品企画は、ポーチは雨でも濡れないよう庇付きで、玄関ドアは1200ミリの親子ドア。シューズインクロークのほか手洗いスペースや土間スペースを設け、食洗機、LDK床暖房などが標準装備。同社グループのオリジナルウォーターシステム〈ルイックプロジェクト〉を導入。キッチンだけでなく家中全ての蛇口から浄活水が利用できる「たからの水」を採用。「たからのミラブルシャワー」も設置。リビング天井高は最大4.9m。キッチンは回遊性のあるアイランドキッチン。床、壁などは木目調仕上げ。居室はライフスタイル・サイクルによって変更できようにしている。

 同社戸建営業事業部戸建営業部戸建営業1課係長・梅崎裕二氏は「街をつくり植栽もふんだんに盛り込こんだ敷地が100坪超の平屋という商品企画が高い評価を受けています。来場者約100名のうちマンションと戸建てからの住み替えがベースで4割に達しています。地元以外の春日部市、越谷市、川口市など周辺エリアの反響も多いのが特徴」と語っている。

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モデルハウス

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最大天井高4.9mのLDK

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 同社グループの分譲戸建てを見学するのは3度目だった。2度目の「レーベンプラッツ大泉学園」(27戸)は素晴らしかったが、今回も商品企画レベルの高いのに驚いた。

 南栗橋駅圏ではトヨタホーム、東武鉄道、久喜市、イオン、早稲田大学の5者連携による約16万㎡の「BRIGE LIFE Platform構想」ではレベルの高い全172区画の戸建て分譲も行われているので、見学する前は期待より不安のほうが大きかった。

 駅から現地に向かう住宅街は悪くないのだが、メインストリートの道路の街路樹は手足をもぎ取られ、葉っぱを付けることも紅葉することも許されず、墓標のような無残な姿をさらけ出していた。

 さらにまた、現地手前の分譲戸建ての敷地はコンクリで固められ、樹木は1本も植えられておらず、緑といえば人工芝のみ。建物も出隅入隅などほとんどない総二階のデザイン性に乏しいものだった。畜舎だってもっとましではないかと思ったほどだ。

 この時点でレーベンのレベルが低かったら記事にするのをやめようと決めた。見学は、同業の記者の方の誘いだったのだが、うかつに受け、青山一丁目駅から1時間半かけたのを悔やんだ。

 ところが、どうだ。同社のモデルハウスの幟の先に本物の石や低中木で植栽された建物が目に飛び込んできた。瞬時に、その前に見学したトヨタホームの建物とほとんど遜色ないと判定した。

 梅崎氏から、トヨタホームの戸建ての価格が5,000万円と聞いて〝なるほど〟と思った。価格が同じなら勝てるはずがないし、かといって質を落とせば消費者を満足させることはできない。調整区域・開発規制を逆手にとって敷地を100坪、建物を30坪の平屋とし、かつ水準以上の設備仕様とし、価格差を1,000万円にすれば互角以上に戦える。建物が完成していないのに第1期8戸が完売したのに驚いたが、納得もした。住宅は平屋がいいに決まっている。

 余談だが、ミラースHDのマンションは、大手デベロッパーの単価の高い駅前などの物件と、少し距離を置いた物件をあえてぶつけるケースが少なくない。大手の物件には手が届かない需要層を取り込む戦略だ。 

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高さ6mくらいで強剪定されていた街路樹(ケヤキだそうだが、こんなみじめな樹形のケヤキはそうない。素晴らしい「BRIGE LIFE Platform構想」との整合性はあるのか)

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紅葉も許されないのか

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現地近くの分譲戸建て(左)と既存の住宅街

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敷地は広いのだが、雑草すら生えることが許されない分譲戸建て(奥に見える緑は人工芝)

タカラ フェンス排除した驚嘆の戸建て「大泉学園」(2013/6/7)

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神田警察署通りⅡ期道路整備区域のイチョウ(左は「テラススクエア」の公開空地の樹木)今年5月撮影

 東京都千代田区が進めている「神田警察通り」の街路樹であるイチョウ並木の伐採工事の是非を問う住民訴訟の第1回口頭弁論が11月8日東京地裁であり、伐採工事の中止を求める住民ら原告3人は、「区は私たちと3回話し合いの機会を持ったと主張いているが、単なるアリバイ作りにしか思えない」「伐採決定は全くの寝耳に水。区には『住民の声』を聞くシステムや機能が働いていない」「区職員の虚偽の答弁に基づく議会決定は無効。誰のためのまちづくりか」とそれぞれ述べた。次回は2023年1月17日13:30から703号法廷で行われる。

 口頭弁論後、原告側は記者会見を行い、訴訟代理人弁護士・大城聡氏は「区の行ってきたことには重大な瑕疵がある。住民の声は反映されず、住民自治が無視されている。極めて前代未聞の事態」と区を批判。虚偽答弁によって議決された決議は無効、違法であり、健全なイチョウを「枯損木」として伐採するのは、地方自治法2条14項、地方財政法4条にも違反すると主張した。

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 最初に旗幟を明らかにしておく。記者は原告でも被告の側でもないが、街路樹の味方だ。まずは、20代の女性原告の口頭弁論の一部を紹介する。

 「『人中心のまちづくり』を謳っていながら、こうした地域住民を分断してまでなぜ木を伐らなくてはならないのでしょうか。街に『賑わい』さえあれば、住民間の溝が深まり続けても良いのでしょうか。なぜ区民が『まちづくり』に参画できないのでしょうか。私たちは道路拡張工事に反対しているのではなく、ただ一期工事でそうしたように、イチョウを残して道路整備をしてほしいだけです。なぜ立派な前例がありながら、同じような工事を使用としないのでしょうか。環境まちづくり部の職員には、いったい誰のためにまちづくりをしているのか今一度考えて頂きたいです」

 「今回の沿道整備にあたり、区は当初イチョウの木を保存した上で整備を進めるとしていました。しかし、ごく一部の地元住民とデベロッパーのみが参画している沿道整備推進協議会の中で一方的に当初の計画を変更し、伐採の意向を決めました。さらには、区自らがガイドラインに定めた意見公募や住民説明会などを一切行わず、計画の変更を区民に周知することはありませんでした。区議会に対しては虚偽の答弁を行うなどし、故に区議会はその誤った情報に基づき本件を議決しました。事業者である大林道路との工事請負契約書には、樹木診断結果に反し、二期区間のイチョウが『枯損木』と記載され、工事契約が締結されました」

 この原告の「誰のためのまちづくりか」との訴えには、日ごろ再開発事業などを取材している記者はドキッとしたのだが、大きな争点になりそうな「枯損木」について。

 「枯損木」であるかどうかは樹木医の診断を受けて決定するのが一般的で、千代田区も事前に診断を受け、健全であることを確認している。にもかかわらず、区の担当者は「枯損木」として住民に説明し、工事契約書に記載したことの是非が問われている。

 原告側は、不要な支出を禁じる地方自治法2条14項(地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない)、地方財政法4条(地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない)を新たな盾として行政の不法行為を難じるようだ。

 この問題について、先の住民監査請求に対する監査結果は「契約書に添付された種別内訳書の『種別・細別・内訳』欄には、『枯損木』との記載があるが、これは東京都積算基準(道路編)の施工単価を適用したことからその施工単価名称(枯損木伐採工)を引用したものである。また、同じ契約書に添付された図面には『枯損木』とではなく『高木』と記載されており、本件街路樹が『枯損木』ではないという点については、本件工事契約の発注者である区と請負者である大林道路とが共通認識に立っていたものであって、本件工事契約に錯誤による瑕疵があったとはいえない」と住民の訴えを棄却している。

 区の担当者は「神田警察通り沿道整備推進協議会」で「枯損木」と説明し、その後「枯損木」でないことを認めている。工事業者との契約では「高木」としているから瑕疵はないと主張している。

 イチョウの立場からすると、これは都合のいいように言葉を使い分ける二枚舌、三枚舌といわざるを得ない。監査委員が「錯誤による瑕疵」はなかったというのを言い換えれば「確信犯による不法行為」だ。どうして「支障木」としなかったのか。これならまだ一理ある。

 健全な街路樹を「枯損木」として殺処分することはあるのかについて、東京都と「つくばの財産である街路樹を守り育てていく」と五十嵐立青市長が宣言しているつくば市にも聞いた。そのような事例は双方ともないということだった。千代田区のケースはやはり異例のようだ。

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 もう一つ、原告の「『神田警察通り沿道賑わいガイドライン』が街路樹伐採に都合のいいように改変され、区議会での虚偽答弁に使われた」という主張も大きな争点になりそうだ。この「ガイドライン」は法的根拠があるのかどうかという問題だ。

 区は、当初ガイドラインに盛り込まれていた「豊かに育った既存の街路樹を活用する(白山通りのプラタナス・共立女子前のイチョウなど)」の文言を、誤字脱字の訂正のように軽微な変更事項として課長権限で「など」を削除した。この是非が問われている。

 これも難しい問題だ。行政が定めるガイドラインには条例、その他の法令条項が明示され、行政や住民に対して命令・禁止する権限を有するものも少なくないと解されるが、今回の「ガイドライン」はそれに該当するのか。

 記者は、「等(など)」は法的に例外を設けない、すべてを捕捉する極めて行政側に都合のいい助詞だと思う。区が「など」を削除したのは、例外を認めないという強い意志が働いたからだと考える。これを原告らは突き崩すことができるか。

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もう一人の原告の口頭弁論を一部紹介する。

「私が疑問に思うのは、そもそも行政が区民の意見を聞いた、とする『神田警察通り沿道整備推進協議会』とはどういうものだったかという点です。沿道協議会は、13の町会長及び商店会や観光協会からの代表者、有識者2名、行政担当者など合計21名で構成され、その委員は千代田区長が任命(略)果たしてこの沿道協議会で了承したことが、『住民の総意』であったかどうかということです。(略)沿道協議会には『住民の声』を聞く十分なシステムや機能がなかったのではないかと思われます」

 任意団体である町内会会長が果たして住民代表になりうるかという問題だ。これも難しい問題だ。ただ、「協議会」は「沿道整備推進」と名付けられているように、沿道整備を推進するのが目的だ。だからこそ、区と区の別動隊である都市再生機構が樹種の変更の必要性を訴え、住民アンケートも街路樹伐採を誘導するような中身になっている。

 一連の「協議会」の議事録などを読む限り、町内会は上意下達の区の下請け機関になり下がっていと言わざるを得ない。街路樹伐採に賛成の人だって、都合のいいように利用され、利用価値がなくなると「枯損木」「支障木」としてごみのように捨てられる可能性もあるといったら失礼か。ある原告は「街路樹伐採に反対する人と賛成する人に分断されたという意味では双方とも被害者。加害者は千代田区」と話した。これは本質をついている。

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 馬鹿馬鹿しくて書く気にもならないのだが、イチョウ(果実)が臭いとか、落ち葉が排水溝を防ぐとかの意見について。

 確かにイチョウの実は悪臭を放つ。しかし、イチョウを含めた街路樹の果たしている役割をもう一度冷静になって考えて頂きたい。「臭い」というのであれば、もっとも「臭い」のはわれわれ人間ではないか。小生は今でも恥じているのだが、かつてわれわれ日本人は「臭い」といってニンニク臭のする人を嫌悪、排除した。「臭い」「汚い」「醜い」などはむやみやたらに用いるべきではない。人は死ねばみんな死臭を放つではないか。

 落ち葉の処理に困るというが、サクラの花と同様、イチョウほど散り際が見事な落葉樹はそうない。受忍責任について考えて頂きたい。

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 神田警察通りの賑わい創出について。

 記者は前途多難だと思う。この通り面する施設を西から東に向かって列挙すると、共立女子学園・防災センター・学術センター-学士會館・興和一橋ビル-テラススクエア・神田税務署・神田警察署-錦町トラッドスクエア-寿ビル・正則学園・錦城学園-神田スクエア・竹橋スクエア-島津製作所などだ(千代田通りまで)。

 これらのうち、総合設計制度などの適用を受けて道路側に公開空地を設けているのはテラススクエア、錦町トラッドスクエア、神田スクエアくらいだ。あとは、総合設計制度ができる前だろうからやむを得ない部分もあるが、ほとんどが道路と街に背を向け、敷地いっぱいに建物を建てている。賑わいを生み出す飲食・商店も少ない。ヨウコウザクラを植えても賑わうのはほんの1~2週間だ。桜が散れば閑古鳥が鳴くのではないか。

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 長くなるのでもうやめるが、最後に沿道協議会で発言された住民の声を紹介する。

 「私は、祖父が明治34年に、この地に製函業をはじめまして、それから、震災、戦火を免れまして、ずっとここに住んでおります。私が生まれまして、80年弱になりますが、私はこの木とともに、生活してきたと思っております…皆さん、どんなにこの木に思いを込めて頑張って復興なさったんだろうなって、そういう思いが近頃すごく思うんです。それを、それだけ見守ってくれたイチョウを、じゃあ邪魔だから、いらないからって伐るのはとってもいたましいと思います…あんなに今までの歴史を見守ってくれた木々を、このまちの歴史がなくなってしまうんじゃないかと、ものすごくそれが悲しいです。だから皆さんいろいろ、思いはおありだと思いますけれど、ともかく、その木のためにでも、少しでも議論を重ねて、何か妥協点を見出していけたらなって思います」

 「我々は、いつも日陰にいる者ですから、いつも思うことは(イチョウを)残していただきたいなと思っているだけです」(車椅子利用者)

 記者はこの「我々は、いつも日陰にいる者」の言葉に肺腑をえぐられた。と同時に、今回の裁判では「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル」(青空文庫)、そして〝伐れ、伐るな〟の罵詈雑言にも泰然として聞き流す物言わぬ街路樹の尊厳が認められるかどうかだと思っている。

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色づくことも許されず6mくらいで強剪定されているケヤキ(久喜市・南栗橋駅近くで)

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狂っているのは人間か 〝手足〟をもぎ取られ発狂しそうなケヤキ(同上)

街路樹伐採やめて 住民の監査請求棄却 千代田区監査委員 区のアリバイ作り追認(2022/7/1)

住民監査請求の行方 街路樹の価値の可視化必要 千代田区の「街路樹が泣いている」(2022/5/18)

民主主義は死滅した 千代田区のイチョウ伐採 続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/13)

 

 

 

 

 マンション管理業協会は1110日、恒例の記者懇親会を開催し、同協会副理事長でマンション管理適正評価制度委員会委員長・福田明弘氏(野村不動産パートナーズ社長)は「今年4月から制度をスタートさたが、不動産流通会社やポータルサイトとの連携ができており、会員各社へのアンケートの結果、公開件数は今年度末までに1,000件、3年後には1万件超になる目途がついた。居住価値の見える化を図ることによって、資産価値だけでなくハード・ソフト両面で中古マンションが適正に評価されるよう、業界を挙げて取り組んでいく」と語った。

マンション管理適正評価制度は、良好な管理のマンションが中古市場で適正に評価されるようにするために設けられた制度で、マンションの管理状態を①管理体制②建築・設備③管理組合収支④耐震診断関係⑤生活関連の5つのカテゴリー、30項目について評価し、5つ(特に優れている)からなし(管理不全の疑いあり)まで6段階でインターネットを通じて公開するもの。

これまで同協会ホームページのほか東急リバブル(83日)、三井不動産リアルティ(929日)、アットホーム(118日)が各社のWEBで公開している。

111日現在、登録物件は100件に達しており、うち★5つは39件、★4つは37件、★3つは23件、★2つは1件。(10日までに129件に達したと報告された)

           

まだ登録件数は100物件だから答えは返ってこないとは思ったが、「の数が多い物件の販売スピードが上がったとか、成約価格が想定を超えたとかのデータはないか」と質問した。やはり「データはまだ集まっていない」(福田氏)とのことだった。

しかし、同協議会は制度の成果を立証するため学識経験者と民間調査会社に調査を依頼していることを明らかにした。

どのようなマンションが高い評価を受けているのか、成約価格は周辺相場と比べてどうなのか、管理会社別ではどうか、さらには分譲デベロッパー、施工会社との関連性はあるのかないのか興味津々。

 記者は、★2つとか★1つなどの低い評価しか受けていない物件が★1つでも2つでも上積みできるような支援も欠かせないと思うが…。

「三井のリハウス」でもマンション管理適正評価表示スタート(2022/10/4

 

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 野村不動産と東日本旅客鉄道は11月9日、共同で推進している「板橋駅板橋口地区第一種市街地再開発事業」の権利変換計画の認可を10月28日に受けたと発表した。2022年12月の着工、2027年6月の竣工を予定している。

 事業は、JR東日本管内の駅で初となる駅施設に直結した住宅を含む複合開発で、敷地面積約3,860 ㎡、34階建て延べ床面積約51,200㎡。住宅は388戸の予定。設計・監理は東急建設、JR東日本建築設計。施工は東急建設。商業施設運営はアトレ(予定)。

 

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TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」外観(提供:三菱地所設計)

三菱地所と東京センチュリーは118日、東京駅日本橋口前で開発を進めている「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」街区の「Torch Tower」高層部ホテルにウルトララグジュアリーホテル「Dorchester Collection(ドーチェスター・コレクション)」を誘致すると発表した。開業は2028年度の予定。

Dorchester Collectionは、世界5つの都市(ロンドン、パリ、ミラノ、ローマ、ロサンゼルス)で9つのホテルを有するウルトララグジュアリーホテルブランドで、わが国では初となる。2023年には中東エリア初のホテル「The Lana, Dubai」をオープンする。

記者発表会に臨んだ三菱地所執行役社長・吉田淳一氏は「TOKYO TORCHはプロジェクトビジョン〝日本を明るく、元気にする〟を掲げ、東京の玄関口にふさわしい街づくりを進めている。ホテルはその象徴としての重要な位置づけ。Dorchester Collectionとパートナーを組むことを決定したのは、その哲学に強く共感したからで、場所、歴史に応じた強い個性を持ち、それが伝説に残るホテルを手掛けられている。そして、何よりも『人』を大切にしていることに感銘を受けた。ゲストだけでなく従業員を大事にしており、その人と人のつながりが生み出すホスピタリティが真のラグジュアリーにつながっている。同社が長年培ってきた文化とホスピタリティを吹き込むことにより、この場所でしかできない『唯一無二の体験』をこのホテルは提供できるものと確信している」と語った。

また、Dorchester Collection CEOChristopher Cowdray(クリストファー カウドレー)氏は「本ホテルは、日本のウルトララグジュアリーホテルを代表し、新たなベンチマークとして位置づけられることになると確信している。東京はアジアの玄関口であり、世界的にも重要な都市であることから、弊社の成長戦略にとって欠かせない場所。私どものビジョンである“We Careの哲学と価値観を同じくする三菱地所(ブランドスローガン「人を想う力、街を想う力」)と東京センチュリーとパートナーシップを組み、共に歩めることを大変光栄に思います」と述べた。

TOKYO TORCHは、日本・東京の玄関口として「都心観光の核」となることを目指して建設が進められており、日本一の高さとなる62階建て高さ約390mの「Torch Tower」の53階~58階部分にホテルは設けられる。延べ床面積は約21,400㎡。客室数は110室(予定)。「Torch Tower」の着工予定は2023年度。設計監理は三菱地所設計。施工は未定。5960階には大丸有初の賃貸レジデンスが併設される。

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左から東京センチュリー執行役員副社長・中居陽一郎氏、吉田氏、Christopher Cowdray

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 熱のこもった発表会だった。記者は、ド―チェスターは、小説に登場するイギリス南部の都市であることくらいしか知らないので、このホテルブランドの価値がいかほどか全く見当もつかなかったのだが、スタッフ約4,000人のうち35%が勤続25年以上で、レジェンドと呼ばれる高齢者の方もいるとか。「競合しても負けない」と自信を見せたのは、人材教育・ホスピタリティの質が高いからだろうと理解した。それを支えているのは哲学だろう。

 理解はしたのだが、関係者が「ウルトララグジュアリーホテル」「スーパーラグジュアリーホテル」「唯一無二」を連発したのには面食らった。数えたわけではないが、1時間30分の会見の間にそれぞれ45度は飛び出した。

これらの言葉からストレートに「超高級ホテル」と書いても隔靴掻痒。読み手にはなんのことやらさっぱりわからないはずだ。書き手のリテラシー、想像力が問われていると思うから、宿泊料金がいくらになるか以下に大胆予測してみた。

 記者は、ここに分譲マンションを建てたら坪単価は最低3,000万円と読んでいる。しかも上層階という条件などを加味すると坪単価は4,000万円から5,000万円になるはずで、10坪(33㎡)だと3億円から5億円。分譲すれば瞬く間に売れるはずだ。

この予想はかなり自信があるのだが、ここからが難しい。ホテル価格は変動制で、ましてや海外市場のことなどまったく分からないからだ。ヒントになるのは、最近の同社の大丸有の様々な取り組みと、吉田社長の言葉「マンションなどは『唯一無二』といってもすぐ真似られる。今回のホテルは常にブラッシュアップして他には真似できない本物を追求していく」だし、関係者が語った「マーケットトップを目指す」の言葉だ。となると、おおよその見当はつくのだが…〝ウルトラマンホテル〟〝スーパーマンホテル〟になりそうということに留めよう。

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Sky Hill(提供:三菱地所設計)

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ロビー(提供:Dorchester Collection)

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車寄せ(提供:Dorchester Collection)

 

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