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安否確認

 三菱地所レジデンスと三菱地所コミュニティは3月14日、エリアマネジメント組織「奏の杜パートナーズ」と共同で千葉県習志野市「津田沼奏の杜(かなでのもり)」エリアで3月12日にリアルでは4年ぶりとなる防災訓練を実施したと発表した。コロナ禍ではオンラインでの実施を余儀なされていた。

 参加者は2.2haある谷津奏の杜公園に集合し、家族の安否確認方法・ケガ人を助ける「布担架」・水を運ぶ方法を学んだほか、被災生活で重要となる「情報」の入手・共有・発信の仕方、仮設トイレ・防災井戸・かまどベンチなどの使い方を学んだ。

 防災訓練は2015年3月、「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜」(721戸)で始まり、その後、同エリアの三菱地所レジデンス分譲マンションにひろがり、エリアマネジメント組織「奏の杜パートナーズ」の協力を経て、周辺の戸建や他社分譲マンションに広がり、現在は約2,300世帯が対象エリアとなっている。

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習志野市「奏の杜」防災訓練に過去最多1,000名 三菱地所グループ&管理組合(2018/3/11)

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長崎県五島市・鬼岳

 三井不動産レジデンシャルは3月14日、多様なライフスタイルをサポートする多拠点居住サービス 「n’estate(ネステート)」の第二弾として、未就学児の子育て世帯に向けた保育サービス付プラン「n’estate with kids」を3月14日から募集開始、5月13日から利用開始すると発表した。

 「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」(山形県鶴岡市)と「カラリト五島列島」(長崎県五島市)の2つの施設運営会社(ヤマガタデザイン/カラリト)と「まちづくり包括連携協定書」を締結。さらに鶴岡市、酒田市、五島市と連携し、両施設で滞在中に未就学の子どもを近隣の保育園に通わせることができるよう一時預かり保育を活用する。利用料金は一時預かり保育料を含めて8日間で約12万円~、16日間で約24万円~。

 鶴岡市はサイエンスパークを拠点に産学官が連携した地方創生のモデルとして注目されている。酒田市は短期移住プログラムや移住者と市民とが交流するオープンスペースを設けるなど移住定住施策に取り組んでいる。五島市は2017 年からの5年間で1,000人以上が移住し、うち7割を30代以下が占めるなど、若者世代に人気の移住先として注目さている。

 「n’estate(ネステート)」は、「住の自由化」をコンセプトに、都心や地方都市を中心に展開する同社賃貸マンションや三井不動産グループ企業、パートナー企業の施設を活用し、生活拠点を組み合わせることでライフステージの変化やそのときの気分に合わせて生活の拠点と体験を最適に設計、自分自身に合ったくらし方を生成できるサービス。2022年9月29日から都市型拠点8施設、郊外型拠点2施設でトライアルを開始。開始1か月で全拠点に申し込みがあったという。

「多拠点居住」の難点解消 〝こころ〟解き放つ 三井不レジ「n’estate」(2022/10/3)

 


 

 

 千代田区二番町(日テレ通り)の地区計画変更の撤回、外神田(秋葉原)の再開発計画の見直し、神田警察通りの街路樹伐採中止を求める区民・住民団体は3者は3月13日、強引な街づくりを進める千代田区の姿勢を改めるよう共同声明を発表し、同日、記者会見を行った。区民らは非民主的な区の対応に批判を強めており、区は異常な事態に発展しつつある。

 専門家として記者会見に臨んだ明治大学特任教授・東京大学名誉教授・大方潤一郎氏は「地区計画はきめ細かい質の高い街をつくるのが制度。その計画は大多数の賛同が得られているのが前提。今回の番町地区の地区計画の案は過半の人が反対しており、外神田は3分の2以上の地権者の賛同が得られていない。区は住民合意が得られていないことを知りながら都計審に報告し、二者択一を迫り、強引に都市計画決定を行おうとしている。暴挙と言わざるを得ない。区は提案を取り下げ、住民の80%の賛同が得られるようもう一度時間をかけて協議会などで話し合うべき」と話した。

 弁護士の大城聡氏は、「同じ区で、同じ時期に、同じような問題で3者がこのような会見を開かざるを得ないことが異常事態。問題はとてもシンプル。地区計画のルール内で日テレさんが自社の土地にどのような建物を建てようとそれは自由。そうではなくて、自社の利益のためにルールを変更し、区がバックアップしようといているのが問題。今後、法的手段も含めても3者が連携していく」と語った。

 二番町地区地区計画では、建物の高さが60m以下と定められているが、日テレが所有する土地を計画区域から切り離し、90mまで認める地区計画案が区から提示され、都市計画変更の手続きが行われている。これに対し、地域住民らは上位計画である都市マスタープランや現行の地区計画が定める「中層・中高層の住居系の複合市街地」に反すると反発している。

 この日の記者会見で、グロービス経営大学院学長・堀義人氏は、「公式アンケートでも地区計画変更に反対する声が賛成を上回っているにも関わらず、強引に計画を進めようとする区に問題がある。町会のガバナンスも民主的な手続きを踏んでいない」と語った。

 外神田は、外神田一丁目地内の約1.9haの「外神田一丁目南部地区地区計画」で、親水広場など公共施設、オフィス、店舗、宿泊施設などを整備する計画。住民らは、計画で示されている建物の高さ170mは秋葉原になじまず、地区計画の策定要件である地権者の3分の2の同意が得られていないと反対している。

 神田警察通りの道路整備については、街路樹の伐採を決めた議会決定は、区の虚偽答弁によって議決されたものであり違法として、住民らが行政訴訟を提起し、係争中。

◇        ◆     ◇

 記者は、石丸アセットマネジメント・石丸俊之社長の次の発言が本質をついていると思う。

 「わたしはほぼ毎回、区の環境まちづくり特別委員会を傍聴していますが、区は本来、レフリーとして両方から意見を聞き、ではどうですかと案を出すべきなのに、強引かつ実に不透明の説明しかしない。言葉に詰まるとその場限りで済ましてしまう。要するに区のマネジメントは、論語で学んだ『由らしむべし知らしむべからず』そのものです。わたしは商人ですからいろいろな人の声を聞きますが(三方良しという意味か)、区はその逆」

 石丸氏はまた、「(メディアの)皆さん、是非1回、どれほど区が傲慢な議事運営を行っているか、出席していただきたい」と呼び掛けた。

都市マス、地区計画に背馳していいのか 問われる公平性と企業倫理(2023/2/27)

「地区計画変更には大きな疑義」東洋大・大澤准教授 日テレ本社跡地再開発(2023/2/23)

「約束を反故。許せない」住民怒る 健全木のイチョウ 新たに4本伐採 千代田区(2023/2/7)

 

 

 


 

 

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は3月10日、2月の首都圏不動産流通市場の動向についてまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,240件(前年同月比3.0%増)となり、7か月ぶりに前年同月を上回り、成約㎡単価は68.71万円(同9.9%上昇)となり、30年5月から34か月連続で上昇し、成約価格は4,359万円(同8.3%上昇)となり、20年6月から33か月連続で前年同月を上回った。専有面積は63.43㎡(同1.4%縮小)となり、21年6月から21か月連続で前年同月を下回った。

 地域別では、成約件数は東京都区部と横浜・川崎市、千葉県が前年比で増加し、横浜・川崎市は21年12月以来14か月ぶり、千葉県は7か月ぶりに前年同月を上回った。成約㎡単価はすべての地域が前年比で上昇し、東京都区部は34か月連続、横浜・川崎市と埼玉県は33か月連続、千葉県は31か月連続、神奈川県他は27か月連続で前年同月を上回った。

 中古戸建ては、成約件数1,057件(同13.4%減)、成約価格3.863万円(同2.5%上昇)、土地面積150.14㎡(同4.8%増)、建物面積104.20㎡(同1.1%増)となった。

 

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 東日本大震災から今日3月11日は12年目を迎えた。震災被害を受けた太平洋岸39市町村の2023年2月1日現在の人口は、前年比16,595人減少の245万1,341人となり、減少幅は前年の0.5%から0.7%へ0.2ポイント上昇した。

 前年より人口が増加したのは仙台市、多賀城市、名取市の3市(前年は10市町村)にとどまった。仙台市の上昇幅は前年の0.4%増から0.2%増へ縮小した。

 県別の人口増減は、岩手県は1.4%減(前年1.4%減)と変わらなかったが、宮城県は0.5%減(同0.2%減)、福島県は1.3%減(同0.8%減)、茨城県は0.8%減(同0.1%減)と減少幅が拡大した。

 

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仲井氏

 積水ハウスは3月10日、前日に発表した第6次中期経営計画(2023~2025年度)説明会を開催した。

 同社代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は、第5次中期経営計画(202~2022年度)を振り返り「営業利益を当初計画より421億円上回ったのは自信になった。戦略は間違っていなかったことを確認できた。初年度は新型コロナやウッドショックの影響などにより441億円利益を押し下げ、このうち100億円を価格に転嫁し、70億円は内部努力で取り戻したが、残りの270億円は吸収できなかった。しかし、最終的には270億円を回収し、なおかつ戸建住宅、賃貸事業が好調だったことにより205億円上方修正することができた」とし、第6次中期経営計画については、「この自信を背景に〝『わが家』を世界一幸せな場所にする〟30年グローバルビジョン実践するため、基本方針は『国内の〝安定成長〟と海外の〝積極的成長〟』とした」と語った。

 第6次中期経営計画では、「国内の“安定成長”と海外の“積極的成長”」を基本方針とし、「技術力」「施工力」「顧客基盤」と、商品・技術開発から、営業・設計・施工・アフターサービスまで、住まいづくりに関わるすべてのプロセスを独自のバリューチェーンを活かし、既存事業の深化と拡張を図る。

 請負型ビジネスでは、戸建住宅事業は価格レンジ別の3ブランド戦略を深化させ、CRM(Customer Relationship Management)戦略の推進を図り、新たなビジネスとして、地域ビルダーと連携して1stレンジの強化を図る。

 建築・土木事業では、鴻池組の強みである環境対応・技術力をドライバーに、土木分野での環境ソリューションを強化し、建築分野での受注チャネル拡大・深化を図る。

 開発型ビジネスでは、徹底したエリアマーケティングを実施、仲介・不動産事業では、資産価値の高い美しい分譲地を開発するとともに、緑化環境の整備や既存住宅の流通・活性化に取り組む。マンション事業、都市再開発事業では、四大都市圏において厳選したエリアへ資産価値の高い物件を供給するとともに、ZEHマンション・ZEBの開発を推進する。また、「Trip Base 道の駅プロジェクト」をはじめ、地方自治体等との連携による地方創生にも貢献していく。

 国際事業では、米国・豪州・英国での戸建住宅の年間供給戸数1万戸を目指す。

 2026年1月期の経営目標は売上高36,760億円(2024年1月期30,800億円)、営業利益3,180億円(同2,650億円)、経常利益3,110億円(同2,590億円)、純利益2,140億円(同1,930億円)、ROEは11%以上を安定的に創出し、配当は中期的な平均配当性向40%以上(110円を下限)とする。

 基本方針を「コアビジネスのさらなる深化と新規事業への挑戦」と位置づけた2022年度を最終年度とする第5次中期経営計画は、3か年合計の業績は当初収益計画を上回り、2022年度では過去最高の売上高・利益を達成した。

◇        ◆     ◇

 仲井社長は説明会で何度も「自信」を口にした。5~6回はあったはずだ。その理由を記者も考えた。

 2022年の持家の着工戸数は前年比11.3%減の25.3万戸となり、16年ぶりに分譲住宅に抜かれた。賃貸や分譲住宅が前年比で伸びているのに、どうして持家のみが大幅に減少しているのか。巷では物価高などを中心とする消費マインドの低下がその理由に挙げられているが、ならば分譲住宅だって影響を受けるはずだ。分譲戸建ては一昨年のような勢いはなくなったが、戸数は増加している。

 記者は、持家の減少は、消費マインドの低下だけではなく、いわゆるパワービルダーの分譲戸建てに市場を奪われているからではないかと考えている。2022年の分譲戸建て着工戸数約14.5万戸だが、うち全国区のパワービルダーの着工比率は50%を突破しているはずだ。

 その影響は、今後発表されるハウスメーカーなどの決算に表れるはずだ。その点、積水ハウスは健闘していると思う。戸建住宅事業は売上高3,524億円(前期比0.1%減)、営業利益は383億円(同9.8%減)となった。減益になったのは原価高の影響だろうか。1棟当たり単価は4,619万円、分譲戸建ての建物部分の1棟単価は3,885万円、マンションも1戸5,207万円と極めて高い数値を示している。

 飯田グループホールディングスの注文住宅単価は2,103万円、戸建て分譲単価は2,987万円(2023年3月期3Q)と比較すると、積水ハウスの住宅は似て非なるものがよくわかる。マンション単価で突出している三井不動産の2022年3月期の単価は6,442万円だ。同社と三井不のこの価格差は関西圏中心と首都圏中心の差だろう。

 これらから読み取ることができるのは、同社の顧客は景気変動に影響されない高所得層が中心で、ハード・ソフト・サービスの融合によりZ住宅など付加価値の高い住宅を供給し、徹底したエリアマーケティング戦略を取っているということだ。同社の顧客の自己資金比率は25.9%、戸建ての紹介比率は38.9%というデータが裏付けている。仲井社長の「自信」はそうした盤石な基盤が構築できているからではないか。疲弊するばかりの競争が激しい市場に人材を投入しないという意思の表れでもあると記者は理解している。

 10日の説明会で好調な分譲住宅について聞かれた仲井氏は「当社はCRMによって、フェースツーフェースによる顧客相談を年間30万件受けている。DXを駆使して土地なし顧客などに対応できているのが大きい」と語り、金利動向に対する質問に対しては「(1次取得層向けの)1stレンジは影響を受けるかもしれないが、主力の中高級路線の顧客への影響はそれほどでもないと見込んでいる」と話した。

 

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MIMARU SUITES東京・日本橋」

 大和ハウス工業は3月7日、恒例の第21回「業界動向勉強会」開催し、グループ会社コスモスイニシアが展開するアパートメントホテル事業について、コスモスイニシア代表取締役社長・髙智亮大朗氏が概要を説明し、コスモスホテルマネジメント代表取締役社長・藤岡英樹氏がこれまでの取り組み、今後の展開、課題などを報告。「MIMARU東京STATION EAST」「MIMARU東京八丁堀」の見学会も行った。

 髙智氏は、アパートメントホテルについて、訪日外国人が増加しているにもかかわらず、わが国には3名以上の宿泊に対応するホテルが少ないことに着目し、①40㎡、4名から宿泊可能な「みんなで泊まれる」客室②全室キッチン、リビング・ダイニング、洗濯機付き(一部除く)③世界中から集まったスタッフのフレンドリーな対応-をコンセプトに2015年から検討開始し、2018年2月に第一号「MIMARU東京 上野NORTH」を開業。これまで5年間で東京15・京都8・大阪5の合計28施設1,470室を開業(2023年6月開業予定の「MIMARU SUITES京都Ⅱ」含む)し、将来的に倍増の3,000室を目指すと語った。

 藤岡氏は、「検討を始めたときホテル業界にヒアリングしたら、ほとんど〝そんなニーズなどない。やめたほうががいい〟と言われた」などと振り返り、「一番大事なのはサービス。スタッフには〝おもてなし〟など言わなくていい、フレンドリーになりなさいと言ってきた」などと順風満帆のスタートを振り返った。

 しかし、その直後、新型コロナが業界を直撃したことについて「9割の市場が消えた。恐怖を覚えた。大半を休館せざるを得なくなった。地獄を見た。『ポケモンルーム』が食いつないでくれた」と当時の惨状を明らかにした。

 その後、旅行受け入れ緩和措置によりインバウンドが回復したことにより、「現在の200名弱のスタッフはフル回転、大半は外国籍、インターナショナルな構成となっている」と現状を報告。

 ホテル業界の今後の見通しについて藤岡氏は、外国人ターゲットは物価高と経済成長で価格が上げやすい環境にあり、一方で日本人ターゲットはリモート普及による出張の減少などで稼働・価格は上げにくい環境が続き、価格の二極化が進むと話した。

 また、今後の課題については、人手不足と人件費の上昇、光熱費・水道代などの物価上昇をあげ、「日本人向けはかなり厳しい」(藤岡氏)としている。

 この点、MIMARUは①1施設当たり従業員数は5~6名(マネージャー含む)②レストランがないなどシンプルな共用部③小さめのロビー、開放廊下などによる空調費の軽減④長期滞在による清掃業務の軽減などの特徴をあげ、コロナ禍でも人気だった「ポケモンルーム」(現在7施設)や浮世絵ルームなどコンセプトルームを増やしてきたと語った。

 アパートメントホテル市場については、「デベロッパーやホテル業界から参入しているところは少なくないが、市場を形成できるから歓迎したい。クオリティ、価格設定などから負けない。自分たちが切り開いた市場。市場ナンバーワンを目指す。民泊施設がどう動くか、これは不透明」などと、先行者利益を享受できていることからか楽観的な見方を示した。

◇        ◆     ◇

 記者は、MIMARUの開業時からずっと取材を続けてきた。10施設近く見学しており、「MIMARU京都 新町三条」には1泊させてもらった。

 取材はしてきたが、正直いまだによく分からない。仕事でビジネスホテルはよく泊まったし、宿泊特化型もかなり取材見学している。しかし、〝究極のマンションはホテル〟と信じて疑わない記者は、ラグジュアリーホテルばかりを見てきた。名だたるホテルも勉強のため自費で泊まった。

 リビングがあるのは便利だが、ホテルで食事をつくり(カップラーメンはつくったことがある)、洗濯をするのが信じられない。丁寧なホスピタリティ(おもてなし)を受け、美味しい料理を食べ、備え付けのウイスキーを飲み、夜は寝るだけ、朝はゆっくり起きコーヒーを飲み、タバコを吸いながら新聞を読む-これがホテルではないのか。コンセプトルームのように、ホテルに泊まることが目的(ラブホテルはよくわかるが)など理解できない。

 検討段階で藤岡氏は〝そんなニーズなどない。やめた方がいい〟と言われたそうだが、記者も当時、「この種のホテルは欧米では当たり前」と聞いたが、そんなものを〝輸入〟して大丈夫かと思ったのを思い出す。

 新しい市場を開拓するということはそのようなものなのだろう。この日の髙智氏と藤岡氏の説明は分かりやすく、何よりも藤岡氏がとても元気だったのはとても嬉しかった。

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ポケモンルーム

◇        ◆     ◇

 以下、勉強会で紹介されたアパートメントホテル、MIMARUについて紹介する。

 2023年1月の訪日外客数は約149.7万人で、2019年の5割強に回復。一方、2022年12月のわが国の延べ宿泊者の内訳は日本人が87%であるのに対し、MIMARUの2023年宿泊者の国別割合は日本11%、台湾29%、中国3%、香港13%、韓国9%、シンガポール2%、その他アジア8%で約65%がアジア圏、豪州は15%。

 これはスキーなどを目的とする季節的な要因もあると思われるが、興味深いのは外来客のMIMARU宿泊者割合が極めて高いことだ。オーストラリアの8.3%を筆頭にインドネシアの4.1%、台湾の3.5%がMIMARUを利用しており、海外全体でも1.8%に該当する約2.7万人(50人に1人の割合)がMIMARUに宿泊していることだ。

 面白いデータは他にもある。同社のMIMARU開業からわずか1年後の2019年7月のトリップアドバイザー「外国人に人気の日本のホテル2019」TOP20に同社の「上野稲荷町」(16位)「東京赤坂」(18位)「日本橋水天宮前」(19位)がランクインしたことだ。他では北海道トマム、白馬などのリゾート地もランクインしているが、圧倒的多数は3施設のリッツを始めコンラッド、パーク・ハイアット、マンダリン、パレスホテルなどラグジュアリーホテルだ。

 同社がこのことをリリースしたとき記者は何かの間違いではないかと思った。名だたる高級ホテルに混じってMIMARUの3施設がランクインするはずがないと。なぜそうなのか考えた。つまりツインで1泊数万円のホテルを利用するお金持ちの外国人は少なくないものの、家族・グループの外来客は1人換算で1~2万円のMIMARUは魅力に感じているのだろうと。

 もう一つ、同社は興味深いデータを示した。「MIMARU東京 八丁堀」(74室)の2023年1~3月の予約者属性は、国別では日本18%、台湾16%、アメリカ16%、オーストラリア11%、韓国8%で、宿泊人数は大人4名32%、ファミリー4名23%、大人3名10%など、宿泊日数では1泊15%、2泊14%、3泊26%、4泊17%、5泊13%となっており、日本人はほとんど1~2泊ということだ。

 なぜ日本人は1~2泊なのか。その理由はよく分からない。利用目的にもよるが、同じところに連泊したほうがいいと思うが…。

全室にパソコン装備VRChatも楽しめる コスモスイニシア「MIMARU東京 池袋」(2022/11/2)

145年の自然と人の歴史を次代に繋ぐ コスモスイニシア「ETOWA KISARAZU」開業(2022/12/16)

日常と非日常演出 従来の「スイート」とは異なる「ミマルスイート 東京・日本橋」(2022/9/26)

高評価に驚愕 コスモスイニシア 7件目「MIMARU京都 新町三条」に体験宿泊(2018/11/27)

〝家族に愛されるホテル目指す〟 コスモスイニシア「MIMARU京都 堀川六角」開業(2018/4/13)

〝骨太ニッチ〟アパートメントホテルで独走 コスモスイニシア第一弾「上野」開業(2018/2/2

三井不動産は38日、約2,300kwh/年の発電量を確保するメガソーラー事業用地を取得したと発表した。

同事業は、北海道苫東地域や関東2県、山口県の計7か所で、いずれもメガワット級の大規模太陽光発電施設となる。遠隔地に太陽光発電設備を建設・運用し、送配電気事業者の送電網を利用し、首都圏や北海道地方、中国地方の同社保有物件に送電する。

同社は、2050年度のGHG排出量ネットゼロ達成を目指しており、2030年度までに約3.8kwh/年(首都圏における自用電力相当)のメガソーラー開発を進めている。

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B/N大宮区大成町 リミテッドエディション」

 ポラスマイホームプラザの「B/N北浦和」、「フォレストレ リミテッドエディション(FORESTLE Limited Edition)南浦和」に次いで「B/N大宮区大成町 リミテッドエディション」について。戸数は1戸で価格は1億円超。物件名に「リミテッドエディション」を付しているように、一分の狂いも許さないぞと言わんばかりの同社設計課営業企画係主任・塚原俊紀氏の徹底したこだわりにあきれ返るほかなかった。注文住宅そのものだ。

 物件は、JR大宮駅から徒歩11分、さいたま市大宮区大成町1丁目の第2種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積112.41㎡、建物面積120.69㎡、価格10,280万円。建物は木造2階建て。施工はポラテック。竣工は20231月中旬。昨年7月に販売し、同月内に完売している。

 さて、塚原氏のこだわり。記者は全然気付かなかったのだが(それが狙いか)、巾木の見付けは7ミリだと説明を受けた。同社の標準は14ミリだそうだから、その半分だ。〝シンプル イズ ベスト〟-余分なものは見せたくないという考えだろう。

 光を取り込む高窓・スリット窓を多用したこだわりがまた凄い。数えたわけではないが、通常の窓と合わせば20数か所はあるはずだ(今回見学した他の2物件も数は同じくらいか。他社物件と比較して間違いなく多い)。数が多いだけでなく、窓枠に黒または白を採用し、しかも天井いっぱいまで高さを取るなどしてデザインとして取り込んでいる。

 照明計画もしかり。調光機能付きだと思うが、間接照明、ダウンライトを多用し光の演出を行っている。

 まだある。1階のLDK22.0帖)に面した方丈の間くらいの中庭にベンチ付き吹抜け空間を設置し、そこにシンボルツリーのシマトネリコを配することで緑を取り込み、また玄関、玄関手洗い、書斎コーナーから眺められる坪庭を設置し、やはり光と緑を取り込む工夫を凝らしている。限られた空間に意味を持たせる仕掛けが施されている。

 このほか、ヘリンボーン柄の壁などへの採用、ストリップ階段・ガラス引き戸、木の格子リビング天井、2.38mのハイドア、ウッドパネル、ミストサウナガス衣類乾燥機(乾太くん)、タンクレストイレなどを装備。家族それぞれが自分の衣類などを片付け・整理できるバックヤードを1階キッチンの裏側に設けているのも目を引いた。

 塚原氏は、「シンプルデザインをテーマに、オンとオフが切り替えられる間取り、動線などに力を注ぎました」と語った。

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リビング

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巾木見付

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トイレ(収納は隠れて見えない)

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寝室の照明

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検眼手洗い(右側が坪庭)

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唯一理解できなかったのは浴室ドアにタオル掛けがなかったこと

LDK天井高最大4m 1棟現場にN1手法用い成功 本来そうあるべき ポラス「南浦和」(2023/3/8

Z世代の声反映 可変性、多様性、シェア…住宅本来の役割具現化 ポラス「北浦和」(2023/3/8)

 


 

 

 

 

 

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「フォレストレ リミテッドエディション(FORESTLE Limited Edition)南浦和」

 ポラスマイホームプラザの「B/N北浦和」に次いで「フォレストレ リミテッドエディション(FORESTLE Limited Edition)南浦和」を紹介する。1棟現場だから可能にしたのだろうが、分譲住宅の難点である誰でも住めそうな無難なプランではなく、欲しいひと一人にターゲットを絞り込んだ企画が奏功した。これまた住宅分譲の基本だ。

 物件は、JR南浦和駅から徒歩9分、さいたま市南区文蔵二丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約110.71㎡、建物面積約102.89㎡、価格7,998万円。建物は木造2階建て。施工はポラテック。建物竣工は2022年9月。

 同社の7つのブランドの一つ「FORESTLE」は、森を意味する「Forest」と、心地よい、寄り添うの意味を持つ「Nestle」を組み合わせたもので、「Limited Edition」には注文住宅のようにリアルな顧客の声を生かそうという想いが込められている。

 現地は、戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角で、敷地は東南角地。建物は外からの視線を遮るため高窓にするなど窓の位置にも配慮。2階LDK(20.2帖)はこう配屋根を採用することで最大天井高4000ミリ、二連大開口窓、スキップリビング、大容量の収納、1階と2階をつなぐ吹抜け空間などを実現。

 このほか主な基本性能・設備仕様は長期優良住宅認定、挽板の床、ソフトクローズ機能付き開き戸・引き戸、ガス乾燥機(乾太くん)、1.25坪の浴室など。

 同社設計課営業企画設計2係主任・金井琢哉氏は、「マーケティング手法の一つであるN1分析により、近隣に居住し、エリア特性も熟知している方のお宅を訪ね、どのような住まい方をしているかなどをヒアリングしました。その結果、1階リビングを2階リビングにし、スキップフロアを止め、キッチンを回遊性にするなど当初プランを3回変更しました。反響が20~30件に達し、昨年4月の販売時には2組の申し込みがあるなど更地の段階で完売しました」と語った。

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最大天井高4mのLDK(正面は二連大開口窓)

◇        ◆     ◇

 この種の手法は、大量供給時代にもあった。分譲住戸全てに異なるプランを提案し、成功した事例もある。最近の事例では、先日記事にもした大和地所レジデンス「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」だ。全111戸に対して63タイプを提案して人気を呼んだ。ましてや戸建てだ。一つひとつ潜在的な顧客ニーズを引き出す企画力が問われている。どんなエリアであろうと敷地形状が異なろうと、経済設計のブロイラーのような「箱」そのもののマンションや分譲戸建てが売れることこそ異常だ。

 金井氏は「家を建てる体験ができ、そのまま買ってもいいというビジネスモデルにしたい」と語ったが、ぜひともそうしていただきたい。街づくりは無理としても、このような手間暇をかける手作りの手法は支持されるのではないか。

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吹抜け空間

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洗面(左)と浴室

Z世代の声反映 可変性、多様性、シェア…住宅本来の役割具現化 ポラス「北浦和」(2023/3/8)

光と風、照明計画、巾木見付一分の隙もないこだわり ポラス「大宮区大成町」(2023/3/9

 

 

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