予定価格を公表したのに好感 「コンセプトサロン」 三井不レジ「西新宿」
「パークタワー西新宿」
三井不動産レジデンシャルは11月18日、新宿区西新宿で開発を進めている「パークタワー西新宿」で同社初の「オンライン上と実空間を連動させたハイブリッド型マンション販売拠点」の「コンセプトサロン」を開設、2023年1月中旬頃に実空間の「レジデンシャルサロン」をオープンすると発表した。
「コンセプトサロン」では、①コンセプトムービー②建物概要③室内空間④VR モデルルーム⑤間取り・予定価格を含めた販売スケジュール⑥Q&Aを紹介するなどして、実際に物件の外観や内装で使用される素材、専有部分の広さや高さなどを実際の空間を体験できるのが特徴。
物件は、都営地下鉄大江戸線西新宿五丁目駅から徒歩6分、東京メトロ丸ノ内線西新宿駅から徒歩10分、新宿区西新宿5丁目に位置する「西新宿五丁目中央南地区市街地再開発」(0.8ha)の40階建て全470戸(一般販売対象戸数287戸)。専有面積は42.48~108.88㎡。第1期販売開始は2023年3月下旬。竣工予定は2024年11月下旬。施工は熊谷組。
今回の隣接地の「西新宿五丁目中央北地区第一種市街地再開発事業」(1.5ha)では、三菱地所レジデンスの60階建て「ザ・パークハウス西新宿タワー60」953戸(分譲777戸)が2017年に竣工している。
また、近接地の「西新宿五丁目北地区防災街区整備事業」(2.5ha)に事業参画している住友不動産が35階建て「シティタワー西新宿」427戸(非分譲住戸254戸・非分譲SOHO11室含む)を近く分譲開始する。同事業ではA・B・C地区で合計1,000戸の住宅が建設される。
さらに、西新宿5丁目駅にもっとも近い「西新宿五丁目南エリア」(0.6ha)でも再開発の計画が進められている。
「パークタワー西新宿」オンライン上のコンセプトサロン画面イメージ
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上段はほとんどリリースのコピペだが、同社のリリースには、メディア向けに「コンセプトサロン」の一部をURLで公開するとあったので視聴した。
この種のオンラインによる物件販売現場を知らないからだが、視聴しても何がハイブリッドなのかさっぱりわからなかった。「無知は罪なり」なのか「無知は力なり」なのか。
しかし、間取りと予定価格を公開していることはとてもいいことだと思った。同社物件も含めて、ほとんど(例外はあった)の分譲マンションのホームページは、〝駅近〟などの特長のみが強調され、価格は販売直前にならないと告知されないし、設備仕様レベルも後回しになりがちだ。これは消費者不在であり、購入検討者に失礼だとずっと思ってきた。
「パークタワー西新宿」では、担当者が北向きの6.6mスパンの61㎡台が10,000万円台であるとか、西向きの7.3mスパンの61㎡台が12,000万円台、9.4mスパンの74㎡台が14,000万円台、108㎡の南西角住戸は27,000万円台ということを話した。
この価格が高いか安いかはコメントしないが、港区などでは立地環境に恵まれていなくとも坪700万円を超え、目黒や五反田駅圏でも坪600万円を超えても人気になっている。池袋駅圏では坪500万円をはるかに突破している。
なので、再開発により環境が一変した「西新宿5丁目」でこの価格帯というのは納得もした。免震でZEHは首都圏初ではないか。「水の景色」をコンセプトにしたデザインも印象的だ。
日本最高階数 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス西新宿タワー60」竣工(2017/10/24)
坪59万円で剛木造の新商品発売&総額5億円の光熱費応援キャンペーン アキュラ
「超空間の家 スマート」
アキュラホームグループは剛木造の新商品「超空間の家 スマート」の販売を開始するとともに、発売を記念して「総額5億円分光熱費応援キャンペーン」を11月19日~12月25日に実施する。
「超空間の家 スマート」は、5回にわたる実物大耐震実験などの研究成果や営業体制、設計体制、建材の商流などの合理化により27.6坪2階建てで税抜 1,460 万円(税込1,606万円)から販売するもの。
応援キャンペーンは発売を記念し、業績も好調なことから実施するもので、1等は太陽光発電システム3kw(35年間319万円相当の光熱費削減)、2等は太陽光発電システム1.125kw(35年間175万円相当の光熱費削減)など総額5 億円分の光熱費を軽減し家計を応援する。
風致地区で最高ブランド「ザ・プルーヴ」 野村氏&酒井氏共演 ポラス「船橋海神」
「ザ・プルーヴ船橋・海神」
ポラスグループ中央住宅が12月上旬に分譲する「ザ・プルーヴ船橋・海神」を見学した。先に紹介した「BASE88@NISHIARAI」と同じ4棟現場だが、コンセプトが全く異なる。こちらは同社が立ち上げたばかりの最高級ブランド「ザ・プルーヴ」の第二弾。現地は第一種低層住居専用地域の風致地区。船橋市にこのような住宅地があることを全然知らなかった。価格は8,000万円超だが、価格に見合う価値はあると見たがどうだろう。
物件は、JR・東武線船橋駅から徒歩14分(京成本線海神駅から徒歩5分)、船橋市海神4丁目の第一種低層住居専用地域・風致地区(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全4棟。土地面積は141.87~181.25㎡、建物面積は105.98~111.16㎡。予定価格は8,280万~8,480万円。建物は完成済み。引渡予定は2023年3月23日。施工はポラテック。構造は木造2階建(在来工法)。分譲開始は12月上旬の予定。
現地は東下がりの傾斜地。従前は1宅地だったことでも分かるように、船橋市内屈指の高級住宅街で、千葉県下には数えるほどしかない風致地区なのが最大の特徴だ。
「ザ・プルーヴ」は、千葉県内のポテンシャルの高いエリアに特化した最高レベルのブランドで、第一弾の「南流山」に続く第二弾。
建物は、同社戸建分譲設計本部設計一部部長・野村壮一郎氏と同部営業企画設計課係長・酒井かおり氏がそれぞれ2棟を設計。全窓樹脂サッシ、リンナイのガス衣類乾燥機「乾太くん」が標準装備なのは共通だが、それぞれコンセプトテーマを違えて訴求力を高めている。
1号棟(左)と2号棟
3号棟(左)と4号棟
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海神駅に降り立つのは初めてだった。現地は駅から徒歩5分だから、近所の人に聞けばすぐ分かるはずと高を括り、5~6人に聞いたが、誰一人として近接する「海神東公園」の位置を知っている人はいなかった。
ために、行きつ戻りつすること30分。おかげで「海神4丁目」がどのような場所なのかを自らの足で確認することができた。駅からの比高差にして数mか、敷地が100坪くらいありそうな豪邸がたくさん建っていた。敷地内にクロマツなどが植えられていることから、昔からの邸宅街であることもわかった。
最初に見学したのは、敷地面積が約181㎡の敷延地の2号棟だった。設計担当は野村氏。1階のLDKに足を踏み入れた途端、ナグリ調仕上げの「クールジャパン スリム」(朝日ウッドテック)のアクセント壁が目に飛び込んできた。このほかにも床や壁、柱、階段ステップに本物の木や挽き板が採用されており、全体のカラーリングの白とグレーによく馴染んでいた。
野村氏が手掛けたもう一つは敷地面積が約142㎡の公道に面した4号棟。玄関を入った真正面のリビングドアを開けるとキッチンが見えたのにはやや驚いたが、LDKの提案はさすがというべきか。天井シナ合板張り、小上がり畳コーナー、春日部市の伝統手工芸品「桐箱」などが採用されていた。
酒井氏が手掛けた敷地面積が約181㎡の敷延地の3号棟は、オーソドックスなデザインだが、対面の2号棟の壁面などの借景を額縁絵のように取り込んでいるのが印象的だった。写真を見ていただきたい。樹脂サッシの白の枠と網戸の黒い枠は開け閉めによって構図が変化するのがとても面白い。時にはモンドリアンのような、あるいはビュッフェのような。
もう一つの酒井氏の建物は、公道に面した1号棟。広い土間スペースがあり、リビングドアを開けると、これまた記者が好きなヘリンボーン仕上げの床が目を射た。(欲を言えば1階を全てヘリンボーン仕上げにしてほしかった。コストの問題か。記者が圧倒された「サンウッド青山」の記事を添付する。オプション仕様だったが、高級家具や楽器に用いられる最高級の「マダガスカル・ローズウッド、パリサンダー」がLDK、居室の床全面に使用されていた)
2号棟
3号棟
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4戸とも商品企画、設備仕様レベルは極めて高いとは思うが、いかんせん「海神」の風致地区が消費者にどのように評価されているのかさっぱりわからない。
昨年見学したポラスガーデンヒルズ「佇美の家~たびのいえ~市川・菅野」(16棟)も「東の鎌倉」と称された市川市菅野の高級住宅街だったが、価格は6,000万円前後だった。今回は2,000万円以上も高い。
興味深いのは、お二人の共演だ。一番人気の住戸がどれになるか。酒井氏が勝ったら、野村氏の面目丸つぶれだろうが、記者は2号棟が一番好きだ(好みは人それぞれ)。結果は公表されるのか。
両氏にお願いだ(他の方でもいいのだが)。和室床にはナグリ仕上げの桐材を使用し、提案していただきたい。絶対に受けると思う。
一石三鳥、四鳥 ビルトインガレージ採用 狭小地の課題解消 ポラス「BASE88」(2022/11/19)
一石三鳥、四鳥 ビルトインガレージ採用 狭小地の課題解消 ポラス「BASE88」
「BASE88@NISHIARAI」
ポラスグループ中央グリーン開発の「BASE88」シリーズ第3弾「BASE88@NISHIARAI」を見学した。道路側の整形地2棟、その奥の旗竿地2棟の4棟の現場だが、4宅地で協定道路を設定し、自転車も置けるビルトインガレージを4棟の中間部分に採用することで、街に対する緑視率を高め、約75㎡の公開空地(コモンスペース)を編み出すなど、一石三鳥、四鳥のプランが光る。
物件は、東武スカイツリーライン・東武大師線西新井駅から徒歩16分、東武大師線大師前駅から徒歩10分、足立区西新井2丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全4棟。土地面積は94.23~133.40㎡(共同利用地約8~28㎡含む)、建物面積は105.24~112.90㎡、価格は5,980万~6,480万円。構造は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。
この種の分譲戸建ては、道路側に4~6台のカースペースを設けるのが通常だが、地面をコンクリで固めるので植栽空間が減り、それぞれ玄関も離れていることから居住者同士のコミュニケーションも生まれづらい難点がある。
その難点を解消したのがこの物件の最大の特徴だ。まず、旗竿地の2住戸のそれぞれの接道部2m+2mと、整形地の敷地のそれぞれ50cmを協定道路(地役権設定)とすることで幅員5mの道路幅を確保。そして、自転車が置けるビルトインガレージ(建築基準法では延べ床面積の5分の1を上限に容積率に算入しない)を4棟の中央に配することで、前面道路側に植栽空間を確保。さらに各住戸の玄関が近くなることから、コミュニケーションが自然と生まれるようにしている。ガレージは照明・コンセント付きなので、車を所有しない人は多目的に利用できるのも〝味噌〟だ。
同社ブランディング課マネージャー・杉山秀明氏は、「自転車にフォーカスした『BASE88』ブランドの第一弾として『練馬光が丘』の34棟を分譲したところ好調裡に完売。2021年のグッドデザイン賞も受賞した。今回は、自動車にもチャレンジした。奥の住戸から売れたことからも、商品企画は間違いではなかったことが確認できた。狭小敷地の新しい開発手法として今後も供給していく。『BASE88』の“88”には、車や自転車の車輪のように見える“8”、横にしたら“∞無限大”にもなり、パパ”とも”母”とも読め、末広がりの”八”でもある」と語った。
同社設計部企画設計課課長・河内忠夫氏は、「ビルトインガレージにするのは、車を持っていない人のことを考えると抵抗感もあったが、通常3m弱のガレージ幅を3.1mに広げることで自転車も置けるようにし、街に対して緑視率を高めることができた。敷地延長の奥の住戸は2階リビングとすることで日照を確保できた」と話した。
河内氏(左)と杉山氏
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同社広報から取材の誘いを受けたとき、前期(2022年3月期)の分譲戸建ての契約戸数が3,050棟もあり、本拠地の西新井の4棟現場が好調だからといって、取材する価値があるのかと迷ったのだが、現場取材には基本的にNOと言わないので受けることにした。
大正解だった。広々とした公開空地が設けられているのを見たとたん飛び上がらんばかりの感動を覚えた。もう7年前だが、細田工務店の「グローイングスクエア杉並成田西グランフィールズ」を取材したとき、車庫・玄関スペースとは別に扉付きの自転車置き場が設けられていたのを思い出した。先日は100坪も敷地があるのに、植栽どころか雑草も映えないように地面はコンクリで固められていた分譲戸建てを見たばっかりだ。
ポラスグループも物件によっては自転車置き場を設けるケースもあるようだが、今回のように自転車と自動車に焦点を当てた企画は初めてという。様々な工夫を凝らすことで、狭小住宅地の難点・課題を一挙に解決している。
自転車を雨ざらしにしなくて済むことでサビなどの傷みを防ぐことができ、いたずらや盗難のリスクも軽減できる。車や自転車を利用しない人は物置など多目的用途に使える。
他にも利点はある。外からの視線を気にして道路側のリビングはカーテンを閉めっぱなしの家庭は多いはずだが、今回の物件の南道路に面した2棟の1階リビングは高窓とし、掃き出し窓はそれぞれオープンスペースに面した東側と西側に設けていることだ。これで採光・通風も確保できる。
価格差はそれほどないのに、道路側の住戸より旗竿地の奥側の住戸が先に売れたということでも商品企画の確かさが証明されている。車を持たない層が増えているので、これは受けるはずだ。このような取り組みを行うから年間3,000棟超を販売できるのだろうとも思った。
課題も見えた。緑被率・緑視率の視点からすれば、いっそのこと境界ブロックも取り払い、植栽帯にしたらどうか。雑草をどうするかの問題もあるが、芝生より丈夫で雑草を寄せ付けない特徴がある「ダイカンドラ」はいいと思うが、どうだろう。
整形地1号棟のプランENR53101.pdf 旗竿地25号棟のプラン ENR53102.pdf
旗竿地3号棟のプラン ENR53103.pdf 整形地4号棟のプラン ENR53104.pdf
敷地は100坪もあるのにぺんぺん草も生えない南栗橋駅圏の調整区域の開発(デベロッパーもひどいが久喜市の責任はより大きい)
ヤクルト「つば九郎=2,896万円」の住戸はないのか オープンハウス「南栗橋」
「オープンスクエア南栗橋」
オープンハウス・ディベロップメントが分譲中の「オープンスクエア南栗橋」を見学した。見学前、坪単価は150万円くらいだろうから、同社グループがトップ・スポンサーとなっている東京ヤクルトスワローズのマスコット「つば九郎=2,896万円」もあるのではないかと予想したが、まさにそうだった。2スパンある67㎡プランを2,896万円で売ったら、ヤクルトファンでなくても顧客が殺到するのではないか。
物件は、東武日光線南栗橋駅から徒歩3分、久喜市南栗橋4丁目の近隣商業地域(建ぺい率は角地緩和により100%、容積率200%)に位置する10階建て全107戸。専有面積は67.78~83.52㎡、11月下旬に販売予定の第3期(6戸)の専有面積は67.78~71.92㎡、価格は2,700万円台~3,400万円台、坪単価は150万円くらいのはず。竣工予定は2023年4月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
今年5月から販売を開始しており、これまで資料請求は1,500件を突破。半数以上が成約済みのようだ。
現地は、「ショッピングゾーン」「ウェルネスゾーン」「リビングゾーン」「パークゾーン」からなる開発面積約16.7haの官民学の複合再開発「BRIDGE LIFE Platform構想」エリアの玄関口に位置。四方道路に接道。徒歩2分にはオープンしたばかりの「イオンスタイル南栗橋」があり、小学校は徒歩4分。
建物は全戸南向きで、南側道路には見事な街路樹(カエデ)が植わっている。住戸プランは約71~73㎡の3LDKが9スパン、約67㎡3LDKが2スパン、東南角の約83㎡の4LDKが1スパン。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2500ミリ、可動間仕切り「ウゴクロ」、床暖房など(浴室タオル掛けはなし)。
住宅評論家・櫻井幸雄氏は、物件ホームページで「『オープンスクエア南栗橋』は、今まさに新しい街づくりがはじまった『南栗橋』駅の最前線に位置している。将来の楽しみが多いマンション」と絶賛している。
マンションの前は見事なカエデ
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記者は、西武ライオンズファン&アンチ巨人なので、セ・リーグは巨人以外だったらどこが優勝しても構わないのだが、宣伝のうまさではヤクルト(オープンハウス)が突出していると思う。
村上選手に「神宮球場で56本以上打ったら東京の家1億円プレゼント」を宣言し、最終戦で56本を放ち、しかも史上最年少で三冠王を達成したことから、荒井正昭社長の〝ツルの一声〟で「好立地の東京の家3億円(税込)プレゼント」に3倍増に大幅修正した。その後も「つば九郎ハウ巣」の公開、「日本で一番スワローズな家」(8,960万円)を提案し、早期に成約するなどその宣伝効果は数億円に達するはずだ。業績も絶好調。売上高1兆円を視野に捉えた。
そこで、提案だ。この「オープンスクエア南栗橋」も販売好調のようで何よりだが、何戸でもいいからも「つば九郎」の直筆色紙付きで「つば九郎=2,896万円」で販売していただきたい。つたない文字だからこそ、その分、価値もある。
まだある。例えばモデルルーム来場者にもれなく2,896円分の発泡酒「つばくろうのる~び~」をプレゼントするとか、年末までの契約者にお年玉プレゼントとして〝総額2,896万円の家具プレゼント〟(10人なら一人289.6万円)もいい。ぜひやっていただきたい。
「BRIDGE LIFE Platform構想」戸建て街区 右端は見事なメタセコイア
「日本で一番スワローズな家」(8,960万円) 発表後6日目で成約 オープンハウス(2022/11/3)
神宮外苑に総力を注いだ「つば九郎ハウ巣」公開 オープンハウス(2022/10/10)
村上選手「3億円の家」プレゼント 現段階で未定 戸建ての可能性大 オープンハウス(2022/10/10)
販売開始から4か月で完売 JR西日本プロ・大和地所レジ「横濱山手」全75戸
「プレディア横濱山手パークヴィラ」
JR西日本プロパティーズは11月16日、今年7月から販売していたマンション「プレディア横濱山手パークヴィラ」全75戸が約4か月で完売したと発表した。
JR京浜東北・根岸線山手駅から徒歩15分の6階建て全75戸。専有面積は63.27~100.28㎡、価格は4,598万~10,498万円。坪単価は260万円強。売主は同社(事業比率70%)のほか大和地所レジデンス(同30%)。
総反響数は1,279件、総来場数は355件。契約者の居住地は横浜市(45%)、東京都(31%)、横浜市を除く神奈川県内(16%)、その他(8%)。年代は20代~70代と幅広く、30代、40代が中心。
同社は人気の要因として①魅力あふれる立地を活かした、“ここにしかない”商品企画②豊かな家時間を叶える、リアルな住環境の良さ③住み手の意識の変化を踏まえた、一歩先を行く住まいづくり-をあげている。
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この物件は8月に取材している。参照していただきたい。早期完売は当然だと思う。
風致地区の高台立地 設備仕様レベルも高いJR西日本プロ・大和地所レジ「横濱山手」(2022/8/11)
業界初 家庭の脱炭素の取り組みに特典・商品提供 三井不レジ「くらしのサス活」
三井不動産レジデンシャルは11月15日、東京電力エナジーパートナーとファミリーネット・ジャパンの協力のもと、日々のくらしを豊かに、楽しみながら、持続的に脱炭素活動が行える「くらしのサス活」を12月1日から開始すると発表した。この種の取り組みは住宅業界初という。
「くらしのサス活」とは、すまいとくらしにおける脱炭素行動のリスト化と同社マンションの住戸ごとのCO2排出量・削減量の見える化を実施し、これらを活用した脱炭素活動への参加を募り、その参加者に対し抽選で商品・特典を提供するもの。
今年度は、第一弾としてTOKYO UNITE(東京をホームタウンとする14のスポーツチーム・団体が参画)とタイアップした「くらしのサス活2022冬」を開催。厳しい電力需給が想定される12月1日から2023年1月31日の2か月間、自宅でできる脱炭素活動をまとめた「くらしのサス活リスト」を配布、期間内にリスト記載の脱炭素活動を実施し、応募の中から抽選でTOKYO UNITE参画チーム・団体による特典を提供する。取り組み期間中に約1,000tのCO2削減を目指す。
同社は、首都圏マンションの各住戸でCO2排出量・削減量をDXにより自動集計および見える化し、入居者が定量的なCO2削減量に応じた様々な特典を得られる仕組みの構築を進めている。
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結構な取り組みだが、業界初とは驚いた。業界では、集客を増やすためにモデルルーム来場者に分譲価格にオンされる数千円の商品券などを配布する一方で、一括受電や高効率エアコン、エネファーム、エコジョーズ、保温浴槽、節水トイレ、LED照明などの採用により年間光熱費は数万円も節約できるなどと宣伝している。
CO2削減では、マンション家計簿もそうだ。例えば、三菱地所レジデンスの「soleco(ソレッコ)」。同社はもう10年くらい前から光熱費などの「見える化」を進めており、戸別のCO2排出量を記載している。同様のサービスをみんな行っていると思っていた。
三井不動産レジデンシャルのマンションでの脱炭素の取り組みでは、建築時に高耐久部資材を採用することで、運用段階のCO2排出量を約38%削減し、60年間で大規模修繕工事回数を2回減らすことができ、約14%のコストを削減する試みに注目している。その第一弾「パークホームズ志木コンフォートテラス」135戸に消費者はどのように反応するかにも興味がある。
既に分譲は始まっており、物件ホームページでは購入者22名のアンケート調査による「購入のポイント」がYouTubeで配信されている。最大の評価ポイントは「70㎡超で5,000万円台」の価格帯で、その他は生活利便性、立地、眺望、共用部、間取りなどだった。CO2削減・コスト削減も購入のポイントになっていることの言及はなかった。
マンション購入検討者としては、3K(価格・交通便・環境)が重要であって、管理費や修繕積立金の額は二の次になるのは理解できるが、デベロッパーのこのような脱炭素の取り組みを適正に評価することも求められている。
この点に関連することだが、マンションの資産価値・居住価値の見える化を進めるマンション管理適正評価制度がスタートした。管理の良否を★5つ(★なしを含めて6段階)で評価するもので、現在126物件が登録されている。このうち満点の★5つは43件で、管理会社別では三井不動産レジデンシャルサービスの7物件が最多。以下、伊藤忠アーバンコミュニティーの5物件、長谷工コミュニティの4物件、野村不動産パートナーズの4物件、東急コミュニティーの3物件、三菱地所コミュニティの3物件となっており、この6社で半数以上を占めている。
あと数年もすれば、マンション管理会社もデベロッパーもこのようなデータによって評価・選別される時代が間違いなくやってくる。
女性職人だけで建てる「女性1棟プロジェクト」 ケイアイスター不動産
ケイアイスター不動産グループのケイアイクラフトは11月14日、女性職人だけで新築住宅を1棟建てるプロジェクト「女性1棟プロジェクト」を立ち上げたと発表した。
同社は、2014年度から社員職人として採用する「クラフトマン制度」を発足。2015年から女性活躍推進の取り組みとして、産休・育休の制度改正を行い、2017年にダイバーシティ推進室を設立。女性管理職の登用や建設現場での女性の現場監督が増えたことをきっかけに女性の現場監督専用の作業服を制作するなどの取り組みを行ってきた。2015年に厚生労働省から子育てサポート企業「くるみん」の認定と、2017年は同省から女性活躍推進企業「えるぼし」に認定され、2019年と2020年は東証・経済産業省による「なでしこ銘柄」に2年連続で選定されている。
現在、8名の女性クラフトマンが大工職、内装工などで活躍している。
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おそらく女性クラフトマンの声を反映した取り組みだろう。2016~2017年だから5~6年前だ。「じゅうたく小町部会」を取材し、建築現場で働く女性の悩みなどを聞いている。建築現場の仮設トイレは使いたくなくて、時間をかけてもコンビニなどを利用するという人もいた。
その時の記事のアクセス数は3,000件近くあった。東日本大震災でも仮設トイレは利用せず、わざわざ十数分もかけて駅のトイレを利用したという女性の話も聞いた。男性もそうかもしれないが、女性にとってトイレは大きな問題なのだろう。女性ばかりだと、ストレスは少しは軽減されるのか。
「建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか(2017/5/30)
労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)
全館空調「withairⓇ CUBE(ウイズエアーキューブ)」開発 長谷工コーポなど
長谷工コーポレーション、プライム ライフ テクノロジーズ、パナソニック建設エンジニアリングの3社は11月14日、住戸内の空調管理をルームエアコン1台で行うことのできるマンション専有部向け全館空調熱交換気システム「withairⓇ CUBE(ウイズエアーキューブ)」を共同で開発したと発表した。長谷工の賃貸マンション「サステナブランシェ本行徳」の一部住戸に採用する予定。
パナソニックの空調機器をベースとし、長谷工のマンション建築・設備のノウハウをシステムに反映しており、パナソニック建設エンジニアリングがシステムの設置工事を行う。
①居室間や非居室間の温度差を縮小し、ヒートショックリスクや熱中症リスクを低減②粉塵除去率の高いHEPAフィルターを搭載することで、住戸全体で高い空気清浄性能を実現③メンテナンスが不要かつ自動給排水を可能にする④寝室で発生する二酸化炭素を住戸内全体に希釈しながら室外に排出⑤換気による熱ロスを最小限に抑え、暖冷房の消費電力量を約7%削減するのが特徴。
今後、長谷工グループが手掛ける分譲マンションや長谷工の設計施工マンションを中心に導入提案を積極的に進めていく。
「サステナブランシェ本行徳」は、東京メトロ東西線妙典駅から徒歩6分、5階建て全36戸。1990年2月(築32年)竣工。改修竣工は2023年春頃。
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マンションの全館空調システム開発は、三菱地所レジデンス・三菱地所ホームの「エアロテック」、野村不動産の「床快full(ゆかいふる)」、三井不動産レジデンシャルの「AirLOGY」に次いで4件目だ。長谷工の開発によって、ほとんどのマンションに採用が可能になった。
階高・天井高が低い中古マンションでは施工は難しいのだろうが、加速度的に普及しそうな気がする。
知る人は懐かしく、知らない人は行きたくなる 地所「TOKYO TORCH」仮囲いアート
「TOKYO TORCH Park」仮囲いアート
三菱地所が11月1日から掲出している「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に整備する「TOKYO TORCH Park」の仮囲いアートを見学した。全国1,741市町村すべての写真撮影を達成した写真家・仁科勝介氏と連携したもので、全長63m、高さ3mに全47都道府県の写真がそれぞれ1枚ずつ掲出されていた。どこにでもありそうな日常風景ばかりだが、だからこそ鑑賞する人の心を揺さぶるのだろうと思った。設置期間は2022年11月から2024年9月の予定。
下手な小生のコメントなど書かない。江東区木場に住んでおり、常盤橋タワーをよく利用するという20~30代の子ども連れの女性が全てを語ってくれた。
「普段意識しないメジャーでもない都道府県のありのままを見ることができるのがとてもいい。知っている人は懐かしいと思うでしょうし、知らない人は新鮮に映り、行ってみようと考えるかもしれません。新しい発見ができる」と。
三菱地所関係者も仁科氏も小躍りして喜びそうなコメントだ(まさか三菱地所関係者ではないだろう)。小生も嬉しくなって、仁科氏が大学生のとき2年間休学して、2年を待たずに全国47都道府県の全1,471区市町村を全て踏破したこと、旅費はアルバイトして稼いだことなどを伝えた。
左から静岡、愛知、三重、滋賀(岐阜の方には申し訳ない)
左から埼玉、千葉、東京、神奈川(柵があるのでうまく撮れない)
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仁科氏の著書「ふるさとの手帳」(KADOKAWA)を図書館で借りて読んだ。約300頁に写真は1~2枚から多い頁では20枚以上掲載されている。その数はざっと4,000枚か。旅行雑誌、ガイドブックによくある名所旧跡、景勝地はむしろ少なく、田舎のどこにでもありそうな日常の風景が切り取られている。
添えられているエトキ(キャプション)も、わが故郷・三重県を例にとると「気づけば稲穂は黄金色(いなべ市)」「江戸時代の風情を残す河崎へ(伊勢市)」「いつもの道路(度会町)」「友人が作ってくれた朝食(伊勢市)」「美味しいみかんあります(御浜町)」「土佐犬のゆりこさん(亀山市)」などといった具合だ。伊勢神宮も赤福も的矢の牡蠣も登場しない。全頁が「旅の決めごとはひとつ。『訪れたまちで写真を撮ろう』」(はじめに)で貫かれている。
仁科氏は著書で「市町村一周は遠い夢だった。全てのまちを巡った後、一体どんな景色が目の前に広がるのだろう。ただ知りたくて、旅に出た。そして旅は終わり、様々な景色が教えてくれた答えはシンプルだった。『知らない景色は、永遠にあるのだ』と。市町村を全て巡ろうが、日本を知ったつもりになんて到底なれない。行ったことがある、ないの問題でもない。知ることに並行して、何も知らない自分に気づく。市町村という果てしない単位は、終わりのない景色をわたしに見せてくれた」と綴り、「旅をしていたわたしは、主人公ではない。旅をすることで、何者かになりたかったわけでもない。踏切を駆ける列車、風に揺られる木漏れ日、雨でも咲く花々、誰かの散歩道。訪れた先々で出会ったわたし以外こそ、旅の主人公であった」「この本を読んでくださったみなさんも、わたしにとっては主人公である」(おわりに)と締めくくっている。
皆さんにも鑑賞をお勧めだ。隣には学生さんが経営する47都道府県地域産品セレクトショップ「アナザー・ジャパン」があるし、仮囲いの前は常盤橋タワーだ。レストランで食事しながら観るのがいい。小生は白ワインを1杯飲んだ。ハッピーアワーとかで550円だった。仁科氏風に書けば「日本一の街のど真ん中でワインが550円とは」(東京)か。
わが故郷・三重県の宣伝も一つ。東京建物の本社がある東京建物八重洲ビルの地階には「伊勢角屋麦酒 八重洲店」が入居している。いい店です。
東京建物八重洲ビル