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 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1月13日、2022年12月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表した。中古マンションの成約件数は2,835件で前年比1.6%減少し、5か月連続で前年同月を下回った。成約㎡単価は69.94万円(230.8万円)で前年比9.0%上昇し、20年5月から32か月連続、成約価格は4,373万円で同6.2%上昇し20年6月から31か月連続で前年同月を上回った。専有面積は62.52㎡で前年比2.5%縮小し、21年6月から19か月連続で前年同月を下回った。

 地域別では、成約件数は東京都区部以外の各地域が前年比で減少が続き、横浜・川崎市と埼玉県は12か月連続で前年同月を下回った。成約㎡単価はすべての地域が前年比で上昇が続き、東京都区部は32か月連続、横浜・川崎市と埼玉県は31か月連続、千葉県は29か月連続、神奈川県他は25か月連続、多摩は22か月連続で前年同月を上回った。

 中古戸建て成約件数は1,036件で前年比マイナス10.5%の2ケタ減となり、12か月連続で前年同月を下回った。成約価格は3,872万円で前年比8.7%上昇し、20年11月から26か月連続で前年同月を上回った。地域別動向では、成約件数は千葉県以外の各地域が前年比で減少が続き、東京都区部と多摩、埼玉県は12か月連続で前年同月を下回った。成約価格はすべての地域が前年比で上昇し、千葉県は22か月連続、神奈川県他は18か月連続、東京都区部は12か月連続、埼玉県は8か月連続で前年同月を上回った。

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 中古マンション、中古戸建とも成約件数は減少を続ける一方で、成約価格と㎡単価は上昇し、新規登録件数、在庫件数が増加し続けている。このデータをどう読むか。

 中古マンションの成約件数だが、コロナ前の2019年はほぼ毎月3,000件前後で推移しており、減少が顕著というよりはコロナ前の水準に戻ったと解すべきだろうと思う。

 それより注目すべきなのは価格・単価の上昇と面積の縮小だ。2022年12月と2019年12月を比較すると、価格は2019年12月の3,550万円から23.2%、㎡単価は27.4%それぞれ上昇し、逆に専有面積は3.3%減少している。

 価格・単価上昇率は異常とは言えないまでもかなり高く、専有面積の縮小と合わせ、市況は高止まり、踊り場に差し掛かっているのではないか。

 単価水準は平均的な需要層の取得限界に近付いている。記者は無理なく取得できる坪単価は今も昔も坪250万円とみており、それでも活況を呈してきたのは低金利のお陰だ。

 その肝心の金利が転換期を迎えた。日銀の金融緩和政策の軌道修正だ。長期金利の変動幅を従来の「±0.25%程度」から「±0.5%程度」に変更したのは、明らかに住宅市場にはマイナスだ。1.5%の変動幅自体は大きくないが、物価高もあり住宅購入検討者のマインドを冷やすことになるのは間違いない。中古マンション価格は4,000万円を超えると鈍くなると言われており、現状でもそれをはるかに超えている。価格を引き下げようにも、専有面積圧縮も限界だ。この先、どう動くか注視が必要だ。

 ひとつだけ楽観的な見方をすれば、新築マンション市場は引き続き供給減少が続き、価格も上昇する気配を見せており、その分だけ中古価格の割安感は増すことだ。基本性能・設備仕様レベルも現在分譲されている物件より10年くらいの物件のほうが相対的に高いものも少なくない。一筋縄では計れない市場に突入するのではないか。

 中古戸建ても同様のことが言えそうだが、成約価格は中古マンションと約500万円の差がある。これが今後の市場にどのような影響を与えるか。

 いずれにしろ、ここ1~2か月の動向から目が離せない。これまでの市場のターニングポイントはカレンダー変わりにあったからだ。年明けとか年度変わり、ゴールデンウイーク、夏休み明けだ。

 

 ヤマト運輸は1月16日、クロネコ見守りサービス「ハローライト訪問プラン」の新規申し込み3か月無料キャンペーンを実施すると発表した。同日から3月31日までに同サービスを新規に申し込んだ人は、月額料金1,078円(税込み)が3か月間無料となる。

 同サービスは、利用を希望する設置先の自宅内にIoT電球「ハローライト」を設置、ハローライトの点灯/消灯の動きを24時間(前日朝9時00分~当日朝8時59分)監視し、動きがない場合、事前に指定された通知先とネコサポサービスセンターに異常検知のお知らせメールを自動配信するもの。2022年12月末で約3,000件の申し込みがあるという。

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 いいサービスだ。同様の見守りサービスは有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では当たり前になっており、ホームセキュリティ会社などの参入も相次いでいる。今後の人口構成を考えたら、飛躍的に伸びる事業の一つだろう。

 記者が注目しているのは、電気、ガス会社と各自治体との連携による共同検針によるスマートメーター通信ネットワークの整備だ。すでにその研究は行われており、開発費用は莫大になるが、2025年から導入が開始される模様だ。

 そうなれば、検針に要するコストが大幅に削減され、高齢者世帯などの見守りもできるようになる。

 もう一つ期待したいのは火災の予防だ。連日のように住宅火災が報じられ、高齢者を中心とする死亡者も伝えられている。火災が発生しそうになったら、大声で危険を知らせ、蛇口にホースをつないで消火活動をするロボットの開発はできないのか。

 内閣府の高齢社会白書によると、令和3年10月1日現在、75歳以上の人口は1,867万人(男性733万人、女性1,134万人)で、総人口に占める割合は14.9%に達している。「団塊世代」が75歳以上となる令和7年に3,677万人にのぼり、令和47年には実に25.5%、約3.9人に1人が75歳以上になると推計されている。

 定義もなく、統計データはないようだが、「孤独死」は全国で年間30,000~40,000人と推測されている。「自死」を思いとどまらせるロボットの開発も急がれる。


 

 

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「ウエリス八千代村上」(物件ホームページから)

 NTT都市開発、名鉄都市開発、西日本鉄道、関電不動産開発、東方地所の5社は1月13日、千葉県八千代市内最大級となる総戸数967戸の大規模プロジェクト「ウエリス八千代村上」を着工したと発表した。2023年6月下旬から販売を開始する。

 駅とのつながり・商業施設とのつながり・自然とのつながり・人とのつながりを生み出す「ゆめいっぱいYACHIYO CONNECT TOWN」をコンセプトに、国民的人気アニメ「ちびまる子ちゃん」を広告キャラクターに起用する。

 物件は、東葉高速鉄道村上駅から徒歩3分、千葉県八千代市村上南1丁目に位置する敷地面積約23,292㎡、15階建て全967戸。専有面積は3LDK・70 ㎡超を中心に54.90~91.85㎡。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定はI工区が2025年2月上旬、II工区が2027年3月下旬。

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 このプレス・リリースを見て、コロナ禍でも驚異的な売れ行きを見せた、坪195万円の東武鉄道他「ソライエグラン流山おおたかの森」(794戸)と、坪190万円の大和ハウス工業「船橋グランオアシス」(分譲は571戸)を思い出した。

 今回の物件は、施工が長谷工コーポレーション、都心の大手町駅まで50分前後という大規模開発というのがよく似ている。坪単価は200万円を突破しそうだが、果たして〝三匹目の泥鰌〟はあるのか。

 もう一つの注目点は「ちびまる子ちゃん」だ。過去、俳優などを起用したマンションはたくさんあり、概ね成功しているが、漫画・アニメとなると、記憶にあるのは「アルプスの少女 ハイジ」を新聞の2ページ見開き広告に登場させたリビング住販「ロワジール那須高原」(452戸、1992年11月竣工)くらいだ。

 版権は著名人よりは安いと思うが、果たして費用対効果は。肝心なのは商品企画だ。寄りあい所帯なのは気になる材料だ。

 記者が思い浮かぶ漫画・キャラクターを列挙する。イガグリくん、赤胴鈴之助、月光仮面、鉄腕アトム、スーパーマン、バットマン、ポケモン、ゴジラ、サザエさん、ドラえもん、キティちゃん、クレヨンしんちゃん、アンパンマン、忍者はっとりくん、タイガーマスク、巨人の星、たっち、キャプテン翼、セーラームーン、ゴルゴ13、ドラゴンボール、鬼滅の刃、キン肉マン…。(このうちよく知っているのは10個くらい)

 「ちびまる子ちゃん」が成功したら、もう何でもありだろう。ヤクルト村上選手の人気にあやかりたい。

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 記者がこれまで見学取材したマンションの中から、俳優など著名人をイメージキャラクターとして起用した物件を・著名人 売主「物件名」(総戸数)竣工年月順に紹介する。敬称略

・ハイジ リビング住販「ロワジール那須高原ハイジ」(452戸)1992年11月
・オードリー・ヘプバーン 有楽土地「ティアラシティ」(279戸)2000年8月
・城戸真亜子 総合地所他「ルネアクシアム」(721戸)2001年5月
・片岡鶴太郎 モリモト「クレッセント東京サウス」(113戸)2002年10月
・東儀秀樹 三井不動産レジデンシャル「東京パークタワー」(324戸)2003年3月
・三國連太郎 野村不動産他「神楽坂トワイシア」(237戸)2004年2月
・古田敦也&中井美穂 モリモト「クレッセント川崎センティア」(116戸)2004年2月
・飯島直子 東京建物他「ガーデンアソシエ」(1,502戸)2004年8月
・本木雅弘 三菱地所「Wコンフォート」(1,149戸)2005年2月
・米倉涼子 オリックスリアル他「横浜タワーリングスクエア」(625戸)2005年3月
・ジャン・レノ 東京建物「ブリリアタワー東京」(644戸)2006年2月
・スマップ 三井不動産他「芝浦アイランド」(約4,000戸)2006年11月
・新庄剛志 名鉄不動産他「スターコート豊洲」(740戸)2007年2月
・田原俊彦 アパ「アップルタワー東京」(440戸)2007年2月
・渡辺謙 野村不動産「プラウド新浦安」(733戸)2008年1月
・リチャード・ギア オリックス不動産他「THE TOKYO TOWERS」(2,801戸)2008年1月
・太田光 相鉄不動産他「サクラディア」(821戸)2008年2月
・黒木瞳 三井不動産レジデンシャル他「パークシティ豊洲」(1,481戸)2008年2月
・中山美穂 伊藤忠都市開発他「ザ・コスギタワー」(689戸)2008年5月
・ディカプリオ オリックスリアル「レコシティTOKYO」(450戸)2008年10月
・マドンナ 東京建物他「ブリリアマーレ有明」(1,081戸) 2009年3月
・オダギリジョー 東京建物「ブリリア有明スカイタワー」(1,089戸)2011年3月
・米倉涼子 丸紅他「AQUA VISTA(アクアヴィスタ)」(308戸)2015年2月
・江口洋介 三井不動産レジデンシャル他「東京ワンダフルプロジェクト」(1,110戸)2015年3月
・石川遼 三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス晴海タワーズ」(1,744戸)2016年4月
・江角マキコ 東京建物他「BAYZ TOWER&GARDEN」(550戸)2016年7月
・前田敦子 東武鉄道他「ソライエグラン流山おおたかの森」(794戸)2021年7月

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 リストを観ていただければお分かりのように、バブル崩壊後の大規模マンションが中心で、著名人などを起用することで大量集客・大量販売につなげようというデベロッパーの意図がうかがえる。デベロッパー別ではジャン・レノ、マドンナ、飯島直子、江角マキコなどを起用した東京建物や、スマップ、黒木瞳などの三井不動産レジデンシャル、リチャード・ギア、ディカプリオのオリックスグループが目立つ。

 記者がもっとも衝撃を受けたのはオードリー・ヘプバーンを起用した有楽土地(当時)「ティアラシティ」だった。故人であるため肖像権は知名度の割には破格の安さだったとも聞いた。パンフレットを入れる袋、テレカももらった。探せばどこかに保管しているはずだ。ヘプバーンは他の物件にも起用されているはずだが、どこだったか思い出せない。

 米倉涼子さん、モックン(本木雅弘氏)、オダギリジョー氏などはよく知らないので集客効果を疑った。スタイルのよさが強調された米倉さんのポスターに目を見張ったが、オダギリジョー氏は小田原城かと思ったほどだ。

 石川遼氏はイメージキャラに起用された途端成績が落ちたのも印象に残っている。地所の幹部が嘆いていたのも思い出す。

 このほかにもタレントマンションはかなりありそうだが、残念ながら記憶がない。

大和ハウス 再生可能エネルギー100%の街づくり「船橋グランオアシス」完成(2021/4/2)

4LDKは最高15倍 コロナ禍で驚異的売れ行き 東武鉄道他「流山おおたかの森」(2020/8/25)

東京建物・東武鉄道「ブリリア有明スカイタワー」モデルルームを披露(2009/12/14)

〝ハッとしてお台場、グッときて銀座〟〝トシちゃん〟マンション アップルタワーに注目(2005)

 

 

 


 

 

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プレハブ建築協会「創立60周年記念式典」(アルカディア市ヶ谷で)

 プレハブ建築協会は1月13日、今年で同協会創立60周年を迎えることから「創立60周年記念式典」を開催。同協会会長・堀内容介氏(積水ハウス代表取締役副会長執行役員)が式辞を述べたほか、来賓代表として斉藤鉄夫国交相、山下隆一・経済産業省 製造産業局長がそれぞれ祝辞を述べた。式典では、同協会の活動に貢献した歴代会長、学識経験者に感謝状が贈呈され、功労者としてPC建築部会、住宅部会、規格住宅部会などの関係者が表彰された。

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堀内氏

 堀内氏は冒頭、次のように式辞を述べた。

 「昭和38年に設立された当協会は1月31日に満60周年を迎える。この60年間、住宅供給不足解消のためだけでなく、高品質な住宅供給を通じた安全・安心な暮らしの実現のため、工場生産によるプレハブ住宅の普及・発展に向け、官民一体、会員企業一丸となって活動を推進してきた。

 式典の中で前回の設立50周年以降の10年間に当協会の活動やプレハブ建築の発展に貢献された歴代会長や学識経験者、会員の皆さんへそれぞれ感謝状、表彰状の贈呈を行った。皆さまには心より御礼と受賞のお祝いを申し上げ、今後もさらにご活躍され、協会活動を支えていただきたい。

 この60年間で経済環境、社会環境は急激に大きく変化した。人口減少、少子高齢化、気候変動など解決すべき社会課題が顕在化し変革が求められている。住宅産業を取り巻く環境は激変した。果たすべき責任が一層大きくなり、役割も多様化してきた。

 住宅政策は住生活基本法や長期優良住宅法など量から質へと転換。業界全体でのエネルギー問題が深刻さを増す中で、住宅建築分野のカーボンニュートラルへの対策は待ったなしの状況を迎えている。

 当協会としても新築住宅に加え、リフォーム・リノベーションを通じて省エネ性能や耐震性能を始めとする住宅の性能、品質向上を一層推進し、それらが市場で評価され、流通が活性化されるように取り組みを進め、より良質な住宅ストックの形成と良好な住環境の整備を図っていく。

 また、安心・安全な建物づくりに寄与するPC建築の需要拡大のため、PC部材の品質の向上・管理・設計・製造・施工技術の進化と、後世に継承していく人材の育成を図っている。 

 さらに、協会の大きな使命の一つとし、応急仮設住宅の迅速な供給を始めとする災害時の復旧対策がある。近年、豪雨災害が激甚化し、各地で甚大な被害が発生している。日本は地震国でもあり、首都直下型地震や南海トラフ地震も想定されている。協会は平時から全国の自治体と連携強化を図り、応急仮設住宅の建設や住宅の復旧・復興を迅速かつ的確に行える体制の整備に取り組んでいる。

 これから先、豊かで暮らしやすい安全で持続可能な社会を作っていくために住宅産業の果たす役割はさらに広く大きくなっていくと考えている。

 当協会は今回改定した行動憲章にもとづき、社会の動きにスピード感を持って対応し、活発的な協会活動を展開し、先導的役割を果たしていく。

 また、60周年の節目に当たり『プレハブ建築協会60年史』を編集・発刊した。今後の協会活動の発展につなげる資料としてお役だていただきたい」

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斉藤氏

 次に登壇した斉藤氏は次のように祝辞を述べた。

 「貴協会は昭和38年の創立以来、プレハブ建築の研究開発と普及を通じて、わが国の建築生産の近代化、合理化を主導されるとともに、品質性能の高い住宅の安定的な供給を促すことにより、国民の豊かな住生活の実現に多大な貢献をされた。

 また、プレパブ建設の特性を生かして、短期間でかつ多くの仮設住宅を整備する貴協会の活躍はいまや災害対応に欠かすことのできない大きな存在。改めて敬意を表するとともに、深く感謝申し上げる。

 さて、将来世代に承継するふさわしい良質な住宅ストックの形成を着実に進めるためには、質の高い住宅の新築・建て替え、リフォームによる性能向上、空き家対策-この3本柱でそれぞれの取り組みを強化しなければなりません。

 とりわけ、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、ZEHなどの省エネ性能の高い住宅の普及や既存住宅の省エネ対策を加速するとともに、長期優良住宅のさらなる普及促進に取り組むことが重要。

 これらの諸課題の解決に向けては、貴協会を中心とする関係協会の皆様の力が必要。貴協会がこの60年間蓄積された知識・技術やノウハウを課題解決と社会の発展のために大いに活用され、今後とも国民の住生活向上のために取り組みを進めていただくことを期待する」

 また、山下氏は、同協会のこれまでの活動を讃えるとともに、「住宅建築物の省エネ、脱炭素化対策の取り組みは待ったなし」とし、「経産省も今年度の第二次補正予算では国土交通省、環境省との3省連携による住宅の断熱性能向上や高効率の給湯器の導入など住宅省エネ化を支援する新たな制度を創設した。引き続き、環境に配慮した住生活の更なる向上に向け、皆様のご理解とご協力を賜りながら意義ある政策を実行していく。

 60周年という節目を新たな出発点として、貴協会が一層の飛躍を果たされ、多くの人々の生活の基盤となる魅力的、かつ先進的な住宅を供給されることを期待している」と語った。

 

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「TERRACE(テラス)浅草橋」

 大成有楽不動産は1月12日、同社の賃貸マンションブランド「TERRACE(テラス)」の「TERRACE(テラス)浅草橋」をメディア向けに公開し、1月14日から入居を開始すると発表した。

 物件は、JR・都営浅草線浅草橋駅から徒歩2分、JR浅草橋駅から徒歩3分、台東区柳橋1丁目に位置する13階建て全90戸。間取りは1K~2LDK(専用面積25.44~50.88㎡)、賃料は103,000~265,000円。管理費は12,000~20,000円。竣工は2022年12月。施工は大成ユーレック。

 同社の分譲マンションブランド〝OBER(オーベル)〟のオリジナル収納〝O-range STORAGE(オレンジ収納)〟を初めて賃貸で採用(一部)したほか姿見、コートフック、ソフトクローズ機能付き引き戸・開き戸、物干しポール、人感センサー玄関照明、Wi-Fiを装備。リビング天井高は2~11階が2450ミリ、12~13階は2500ミリ。12・13階の6mスパンの50㎡の住戸(6戸)はエリアの最高値となる賃料261,000万~265,000円(坪1.7万円)。フィオレストーンキッチン天板、食洗機、ハンスグローエ水栓、14×18浴室など、〝オーベル〟並みの仕様となっている。

 このほか、共用施設・設備として1階に約30㎡のラウンジ、屋上にはテラス(ともに利用時間は8:00~24:00)を設置したほか、全戸分の無料駐輪場や宅配ロッカー、バイク置き場、駐車場など。

 同社投資開発事業部事業室(第二)次長・前田慶介氏は、「リーシングはこれから本格的に開始しますが、直前の三連休で約40件の来場があり、募集開始して4日間の内覧会で17件の申し込みが入りました。極めて順調なスタートが切れた。平均賃料は16,600円」と語った。

 同社の資料によると、「TERRACE」シリーズは2014年竣工の第一号の「上石神井テラス」からこれまで22物件が竣工・着工済み(1,059戸)。

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屋上テラスからはスカイツリーも眺望できる

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物干しポール(家事労働をしたことのない人はこの価値が分からない)

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 前田氏から微に入り細を穿つ説明を受けた。以下、記者のやり取りの一部を紹介する。( )が記者。

 (これ、分譲にしたら単価はいくらですかね)

 「わたしは分譲担当でないので…」

 (坪430万円でどうですかね)

 「そんな安値では売りませんから」と前田氏ではなく記者もよく知るI氏

 (なるほど、ならば坪450~475万円でどうですかね。500万円は無理なような気がします。わたしは売る自信がない)

 「どうですか。この50㎡の中住戸。スパン6mですよ、キッチンはフィオレストーン、水栓はハンスグローエ。2畳大のワークスペース付き。浴室も1418。オーベル仕様かそれ以上」

 (わたしは「築地」を観ていますからね。あれは最高によかった)

 「この屋上テラスからはスカイツリーも富士山も見えますから…」

 (タバコは? 酒は飲めないの? )

 「禁止です」

 (ペットボトルに酒を入れて持ち込んだら…)

 「騒がれると問題になるでしょうから、大人の対応で…」

 (このエントランスの有孔ブロックはいいね)

 「そうでしょ。ブロックそのものは高くありませんが、基礎の部分にお金がかかりました」

 (浴室にタオル掛けが付いているのはきちんと書きますから。最近の郊外マンションは1本も付けていないのが多い。浴室にタオル掛けは必要だと思いません? 前田さんは独身? 奥さんと一緒のタオル使います? )

 「既婚です。かみさんと一緒のタオルでもわたしは構いませんが…」

 (うちはひどいもんですよ。わたしのタオルは何年もつかっているガバガバのもの。ふかふかのよりよく拭けるとは思うんですが…。かみさんはきっとふかふか)

 (浴槽を取り払ってシャワー室のみという提案はどうですか)

 「以前検討したことがあるんですが、コストは浴槽付きの倍だったのでやめました」

 説明はものすごく分かりやすかった。これが分譲だったら、ものの1~2分で設備仕様レベルを判断し、売れる単価もはじき出せる自信があるのだが、そもそも賃貸マンション市場はあまり取材したことがないし、同社の賃貸を見学するのは初めて。設備仕様レベルが他と比べていいのか悪いのかさっぱりわからない。

 賃料は正直高いと思ったのだが、高いからこそ賃貸脱出派が分譲マンション市場を支えているのだから、なんとも言えない。本来は分譲であろうと賃貸であろうと、戸建て、マンションの別なく自由に選べるのがあるべき姿だと思うが…。

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エントランス

樹脂サッシ、ミストサウナ…水準以上大成有楽不のコンパクト「両国」(2022/4/25)

大成有楽不動産「銀座築地」同業他社に一括売却か(2019/11/27)

 

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高松氏

 マンション管理業協会は1月12日、令和5年新年賀詞交換会を開き、同協会理事長・高松茂氏(三井不動産レジデンシャルサービス会長)は次のように挨拶した。

 皆さんあけましておめでとうございます。

 理事長の高松でございます。

 年頭に当たり新年のご挨拶を申し上げます。

 まず、本日は3年ぶりの賀詞交歓会に、斉藤鉄夫国土交通大臣をはじめとする国会議員の先生方そして国土交通省をはじめとする多くの関係者の皆様にご臨席いただき厚くお礼を申し上げます。

 丸3年となるコロナ禍は、日本政府の舵取り、医療関係者の努力により、経済活動が緩やかに再開しつつあります。

 一方で、ロシアによるウクライナ侵攻による資源価格の高騰など、コスト上昇圧力が、当業界含め、今後の国内経済の課題となっています。

 マンション管理につきましては、昨年は大きなトピックスがあった年でした。まず昨年4月に国の管理計画認定制度が施行されました。

 認定制度の目指すところは、適正な管理・修繕の実施により、マンションストックの長寿命化を図ることにあります。さらに12月には、同認定を受けたマンションを対象とした「マンション長寿命化促進税制」が与党税制改正大綱に盛り込まれました。

 当協会がかねてより要望を続けていた事項が初めて取り上げられたものと理解しており、ご尽力いただいた先生方、国土交通省はじめ関係者の皆様に深く感謝しております。

 次期通常国会で関連法案が成立した暁には、本税制を管理組合に適切に説明することで、将来に向けた修繕積立金の積み増しが可能となり、適時必要な修繕工事の実施につながるものと、大いに期待しているところでございます。

 また、当協会は、認定制度と同じく昨年4月にマンション管理適正評価制度を始動させました。

 評価制度は、管理組合が管理の状況を毎年チェックし等級評価するもので、いわば人の健康診断と同じく良いところ、悪いところを自己確認していくものです。

 令和5年1月5日時点で215件の登録があり、協会HP上で情報を公表しています。また、不動産ポータルサイトや流通事業者のHPともリンクしています。

 この「管理の見える化」によってマンションの良質な管理が、資産価値、居住価値の維持・向上にも繋がって行く大事な制度と考えています。

 当協会は、評価制度の社会的定着に向け、令和6年度末までの3年間で1万件を超える登録を目標とする機関決定を行いました。

 この実現に向け、今後、評価制度の適正かつ円滑な運用のためシステムの改善を継続して参ります。

 また国の認定制度と評価制度の一括申請を可能とするワンストップサービスを実施しておりますが、より申請者や地方公共団体が利用しやすいよう改善を図って参ります。

 合わせて評価制度の登録促進に有効な損害保険のインセンティブの実現に向け、引き続き関係機関との折衝を進めて参ります。

 建物と人、いわゆる2つの高齢化は待ったなしの状況です。築40年以上のマンションストックは2021年末現在で115万戸、10年後には2.2倍の249万戸、20年後には3.7倍の425万戸に急増する推計もあります。

 ここに住まう居住者の方々の高齢化も進んでおり、役員の担い手不足による組合運営の機能不全、積立金不足により適切な工事の未実施からなる建物の不具合の進行など、ソフト、ハード両面からの管理不全が懸念されます。

 このため当協会は管理組合活動をサポートするマンション管理会社の団体として、管理組合運営を円滑化するための諸施策を強く推進して参ります。

 一方、従前より申し上げているマンション管理業界の成長発展と社会的評価の向上、業界従事者の処遇の改善と社会的地位の確立については、評価制度による業務の「見える化」の推進、適切な業務水準の確保と幅広い人材活用ならびにDX化も視野を置いた、標準管理規約、標準管理委託契約書の改正について関係機関との協議を進めて参ります。

 また社会的評価の向上は業界の信頼確保と表裏一体のものです。このため協会の基幹業務である会員会社のコンプライアンス体制の整備、各種試験講習の的確な運用、厳正な入会審査と与信管理の徹底等、web化を含め進めて参ります。

 当協会は本年も様々な課題に積極的に取り組んで参ります。

 そして、こうした諸施策を次期中期事業計画としてまとめ、令和5年度より実施して参ります。

 結びに、関係各位の協会活動への一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様のご健勝、またご活躍を心よりお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。

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HARUMI FLAG」メインストリート

三井不動産レジデンシャルなど「HARUMI FLAG」の売主10社は110日、「HARUMI FLAG」の最終章となる総戸数1,455戸の50階建て超高層ツインタワー「HARUMI FLAG SKY DUO」のメディア発表会を行い、マスターアーキテクトとして街全体のデザインを統括する光井純氏(光井純アンド アソシエーツ建築設計事務所代表取締役)と、タワー棟のデザインを担当する同社上席執行役員・緒方裕久氏が参加したトークセッションを行った。

発表会ではタワー棟の概要について、三井不動産レジデンシャル都市開発三部事業室・古谷歩氏が説明。

名称は「HARUMI FLAG SKY DUO」に決定し、東京最前列にふさわしい、今後のタワーマンションをけん引する、新たな一対のランドマークトなるようデザインしたと切り出し、建物は免震工法を採用、48階にはスカイラウンジ、ゲストルームを配置し、多様性を実現するため居住者だけでなくゲストも利用できる施設を整備、専有面積は40㎡台から100㎡超で、プラン構成は1LDK61戸、2LDK352戸、3LDK1,042戸。リビング天井高2600ミリ確保して間取りの更新性を高め、メーターモジュールの廊下幅、長期優良、わが国初の蓄電池とエネファーム全住戸に設置、低炭素住宅認定、4950階のプレミアム住戸には全館空調システムを採用するなどと話した。

4月上旬にモデルルームを公開、第1期の販売を6月下旬に予定しているとした。価格は未定で、4月に発表する。

物件は、50階建てSUN VILLAGE733戸)とPARK VILLAGE722戸)のツインタワーで、SUN VILLAGEの専有面積は49.38145.54㎡、PARK VILLAGEの専有面積は47.74161.12㎡。竣工予定は2025年秋。設計はSUN VILLAGEが三菱地所設計、前田建設工業、PARK VILLAGEが日建ハウジングシステム、三井住友建設、施工はSUN VILLAGEが前田建設工業、PARK VILLAGEが三井住友建設。

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完成予想図

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古谷氏

        ◆     ◇

トークセッションは、光井氏と緒方氏、三井不動産レジデンシャル都市開発三部事業室・高木洋一郎氏と同室・廣瀬俊輔氏の4氏で行われ、約1時間30分にわたり「SKY DUO」に込めた思いや「HARUMI FLAG」全体の街づくりなどについて語り合った。

光井氏は冒頭、廣瀬氏の問いに答える形で、かつてフランスのパリ博では都市軸をつくり、その中心部にシンボルとしてエッフェル塔を設置したことを紹介しながら、「今回のプロジェクトは、パリ博に負けないくらい大事な都市・街の開発であると考えている。『HARUMI FLAG』の最大の特徴は、非常に大きな敷地を一気に開発することができた。そしてまた、一気に開発するためには強いコンセプトが必要であったが、考えたのは都市軸。既存建物などがある内陸部では実現できない都市軸をつくることで、1キロ先、2キロ先の地球規模の空間を体験することができるデザインにした」と話した。

緒方氏は、デザインコンセプトであるわが国の伝統的なデザインを踏襲することについて、能の二人静の紫の色を盛り込んだことなどを紹介し「東京のビューを手中に収めることができる誇り高いタワー棟をデザインすることができた」と語った。

そして、最後に光井氏は「地下に駐車場を設置し、無電柱化も図ったので、地上部分は緑に覆われている。数値としてのSDGsはもちろん、視覚環境、体感環境として、快適な空間と空気、光を東京でもっとも感じていただけるはず」と締めくくった。

記者はトークセッションをワクワクしながら聴いた。とても分かりやすかった。聴きながら、この種の「住宅都市」の好事例である「幕張ベイタウン パティオス」や「ベルコリーヌ南大沢」と比較した。「南大沢」は施工不良が問題になったが、街づくり・デザインは双方とも素晴らしい。光井氏が力を込めたように「HARUMI FLAG」はまた異なるような気が気がする。「ここでしかできないデザイン」にしたのだろうと得心した。

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トークセッション(左から廣瀬氏、高木氏、緒方氏、光井氏)

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光井氏(左)と緒方氏

        ◆     ◇

記者は、光井氏のファンの一人だと自認している。最初にデビューされた物件は何だったのか思い出せないのだが、2013年以降の10年間の間に「光井純」に関わる記事を何本書いたか、RBAタイムズの「こだわり記事」で検索したところ35本がヒットした。

この35本がどのような意味を持つか、読者の方には伝わらないだろうから、他のワードと比較した。以下に列挙する。

・三井不動産    1,000件超※①
  ・三菱地所     1,000件超※①
 ・野村不動産     959
 ・積水ハウス     712
 ・ポラス         686
 ・住友不動産     543
 ・東京建物      533
 ・旭化成ホームズ   517
 ・長谷工       497
 ・ミサワホーム    496
 ・大和ハウス工業   487
 ・東急不動産     437
 ・リスト       357
 ・オープンハウス   343
 ・ナイス       333
 ・コスモスイニシア  330
 ・鹿島建設        275
 ・大京        238
 ・三菱地所ホーム   225
 ・ケイアイスター不    178
 ・サンフロンティア不 172
 ・小田急電鉄・不動産 166
 ・大成有楽不動産   165
 ・明和地所      153
 ・総合地所      131
 ・三井ホーム     116
 ・伊藤忠都市開発   115
 ・アキュラホーム   115
 ・モリモト      112
 ・大和地所レジデンス  103件※②
 ・日鉄興和不動産   103
 ・隈研吾       100
 ・飯田建設グループ   87
 ・NTT都市開発     61
 ・菰田正信       61
 ・吉田淳一      43
 ・安藤忠雄      39
 ・青木茂       37
  ・光井純      35
 ・吉永小百合     32
  ・沓掛英二       29
 ・芳井敬一        29
 ・仲井嘉浩     28
 ・岩沙弘道     26
 ・アーキサイトメビウス24
 ・坂茂       14
 ・山本理顕       6

※①1,000件を超えるとカウントされない※②大和地所レジデンスは日本綜合地所の記事も含む

皆さんいかがか。長々と書いてしまったが、ここを入れたらあそこはどうかと考えたら次々に入れざるを得なくなった結果だ。抜けているデベロッパーもほかにあるかもしれない。

リスとは、小生の主な取材フィールドは分譲マンションや分譲戸建てなので、その事業を展開している住宅・不動産会社が上位に並び、RBA野球大会でお世話になっている会社が多いのは記者の好みの反映だ。

注目していただきたいのは、個人名で検索した結果だ。菰田正信氏、吉田淳一氏、沓掛英二氏、芳井敬一氏、仲井嘉浩氏、岩沙弘道氏は業界・企業トップとして会見の回数が多いことと、記者の嗜好だ。

自分でも驚いたのは、建築家の隈研吾氏が実に100件も入っていることだ。これは〝木造ファン〟の記者が何かにつけ隈氏を取り上げるからだ。建築家では、安藤忠雄氏は隈氏の半分以下の39件で、その次は「リファイニング建築」の青木茂氏の37件。そして光井氏の35件と続く。光井氏は女優の吉永小百合さんの32件とほぼ並んでいる。ここが大事なことだ。(吉永さんの次位が沓掛氏とは。これはもう笑うしかない。沓掛氏も大満足のはずだ)

なぜ吉永さんかというと、記者が好きだからで、建築物の美しさを形容する形で、ご本人の了解は得ていないがよく名前を使わせていただいている。問題はないはずだ。共通するのは〝美しい〟ということだ。

光井氏はトークセッションで、「近景・中景・遠景がとても重要」と話したが、記者はその外観を遠くから見ただけでほとんど光井氏の作品であることが分かる。光井純=三井不動産レジデンシャルといえるほど記念碑的な物件も多く手掛けている。

デザインの特徴は、シャープで都会的であり、カラーリングではアースカラーのオレンジ、イエロー、赤などの暖色系を多用し、かつブルー、ブラウンなどの抑制的な色彩をマリオンに配したりしてバランスを保っていることだ。目立つのだが主張しないで周囲の街並みにしっくりと溶け合う-これこそ吉永さんではないか。こころの美しさが表情・外貌に現れる。

光井氏の作品(物件)でもっとも好きなのは「パークシティ大崎」だ。あの工場街のイメージを一新した。

そこで東京都と事業者にお願いだ。光井氏は「視覚環境、体感環境が大事」と話した。建物はほぼ完成しているのだから、メディアにも購入検討者にも現場見学会を行い、ランドスケープ・建物デザインを体感できるようにしていただきたい。

文句なしにいい 街づくり・基本性能 坪単価280万円か 「HARUMI FLAG」(2019/4/24

街の価値を評価したい三井不動産レジデンシャル他「パークシティ大崎 ザ タワー」(2013/11/27

 

 

 

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 東急不動産は1月10日、隈研吾氏がデザイン監修した免震工法で千代田区初のZEH-Mを取得したフラッグシップ「ブランズ千代田富士見」を1月14日から販売開始すると発表した。同日、隈氏も出席した記者発表会を行った。

 「環境先進マンション」のフラッグシップ物件と位置付け、建物は免震工法を採用し、千代田区で初の「ZEH-M Oriented」と低炭素建築物の認定を取得し、デザイン監修に世界的な建築家・隈研吾氏を起用しているのが特徴。

 外観デザインは「豊かな緑の中に浮遊する厳かな石のヴェール」がテーマで、外構に自然石を用いているほか、ロビー・ラウンジの前には大きな水景を設置。さらに本物の石の質感を上層階まで設えていくことで、先進的なデザインを目指しているという。

 主な基本性能・設備仕様は、免震、ZEHのほか、リビング天井高は2~15階のスーペリアが2750ミリ(16~18階のプレミアムは1フロア2戸で、専有面積は210㎡、リビング天井高は3000ミリ)、リビング・居室とも床暖房、挽板のリビング床、主寝室はオーク材のナグリ仕上げ(オプション)、ガス衣服乾燥機「乾太くん」、グローエ水栓、Miele食洗機、廊下幅1.2m、Low-Eガラス(プレミアムは二重サッシ・樹脂サッシ)、60cm角床タイル、框ドアなど。

 このほか、駐車場は全戸分設置し、緑化率22%、コンクリート型枠合板に認証材・国産材)を使用。マンションギャラリーのジオラマ模型や建物模型作成を行わず、デジタルツインを活用したデジタルコンテンツによる接客など。

 12月16日に物件ホームページを開設してからこれまで資料請求は約1,000件、2月までのモデルルーム見学はすべて満席。インナーセールで既に全住戸の4割が成約見込みとなっている。

 記者発表会に臨んだ隈氏は、「ここには、落ち着いた歴史を感じさせる雰囲気がある。陰翳礼讃と言われているように、今回のために自然石を特別加工し、全面的に採用することで繊細な細かい陰翳、ヒダを演出し、ヒューマンスケールのデザインとした。これまで木を多用してきたが、最近は石にも興味があり新しいデザインとして使うようになった」と話した。

 物件は、東京メトロ・都営新宿線九段下駅から徒歩5分、JR飯田橋駅から徒歩8分、千代田区富士見一丁目の第1種住居地域に位置する18階建て全69戸。専有面積は72.96~210.89㎡、坪単価は1,000万円強。竣工・引渡予定は2025年4月下旬。設計・施工・監理は東急建設。デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所。

 現地は、九段下駅など7路線が利用可能な「千代田区富士見」エリアの高台に立地。暁星小・中・高校、お茶の水小学校(仮校舎)、フィリピン大使館公邸、野村不動産「プラウドタワー千代田富士見」などに隣接・近接。

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隈氏

◇        ◆     ◇

 モデルルームを見学してすぐ、同社が過去に千代田区番町で分譲した2物件を含め見学取材した30物件くらいの中で最高レベルだと確信した(免震&ZEHは千代田区内に1物件もない)。

 隈氏のデザインによる総延長約35mの御影石張りの外構・エントランス、木調ルーバーパネル、水景を中心としたランドスケープデザインが圧巻だし、設備仕様レベルも極めて高い(もっと高いものもあったような気がするが)。鏡面仕上げの框ドアのデザインがいい(通常のドアの選択も可とか)。

 坪単価は、「番町」(現在、三菱地所レジデンスが分譲中で、隣接地では三井不動産レジデンシャルが『ザ』を冠した『パークコート』を今春に分譲する)もあるので1,000万円弱と読んだのだが、甘かった。同社は敢然と挑戦するようで、坪1,000万円を超えると話した(隈氏を起用したのだから、それも理解できる)。上層階のプレミアムは1,500万円と聞いて、これは安いと思った。現地を観ていないのでよく分からないのだが、眺望がよければ坪2,000万円でも安いと思う。2住戸をセットで販売することも可能ということなので、1フロア丸ごとで約25億円。360度丸ごと所有できるのだから安くはないか。

 記者は質疑応答で「総合的な評価は『番町』に負けないのではないか」と挑発的な質問をした。同社の担当者は「番町は邸宅街だが、当社の物件は利便性と再開発エリアという特性からして負けていない」と否定しなかった。

 参考までに、坪単価470万円の「プラウドタワー千代田富士見」(306戸)は2007年に一挙販売され、平均2.9倍で即日完売している。2012年に分譲された三井不動産レジデンシャル「パークコート千代田富士見ザタワー」は坪単価476万円で、全505戸のうち425戸が億ションだったが、わずか10か月で完売している。

◇        ◆     ◇

 もう一つ、この物件の特徴である容積率を消化しきれていない点について。現地は建ぺい率60%、容積率400%の第一種住居地域・文教地区に指定されているのだが、敷地の前面道路は6~7m弱であることから、容積率は約260%しか消化できていない。

 これは地価の減価要因になるが、逆手にとれば〝売り〟にもなる。小生は、駅前などの商業エリアのタワーマンションよりも、少し奥まった住居系エリアのマンションのほうが住むにはいいと思う。バブル崩壊までの億ションはほとんど全て住居系エリアに立地していた。

 ちなみに、千代田区には用途地域は第一種住居地域、第二種住居地域、商業地域の3地域が指定されており、第一種住居地域は皇居、日比谷公園、靖国神社、紀尾井町から富士見町にかけての一帯、容積率300%の地域は皇居、日比谷公園、靖国神社、紀尾井町の一部しかない。今回の物件と同じ容積率が400%のエリアは番町4~6番町もそうだ。

 東京都の人口予測で、向こう40年間の2065年までに増加すると見込まれているのは千代田区のみで、中央区、港区、渋谷区、新宿区、文京区などは2030年から2045年の間にピークを迎えると予測されている。

 このことを考慮すると、区内の主要エリアでマンションの坪単価が1,000万円を超えるのは当然か。

8物件目〝グラン〟「三番町26」 高値更新の坪1000万円前後 三菱地所レジ(2022/9/14)

これぞ正統派の億ション 話題の東急不動産「ブランズ ザ・ハウス一番町」竣工(2017/1/23)

東急不「BRANZ(ブランズ)」リブランディング 第一弾「四番町」

反響1万件!野村「プラウドタワー千代田富士見」(2007/5/17)

ひと・もの・かねの動きを一変 三井不動産「飯田橋」再開発が完成(2014/5/31)

江戸の「粋」と西洋の「エスプリ」を融合 三井不レジ「パークコート千代田富士見ザ タワー」(2012/11/5)

 

 

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「GRAND RESULt (グランリザルト)」

 細田工務店は1月7日、総合展示場「小金井・府中ハウジングステージ」にフラッグシップとなるモデルハウス「GRAND RESULt (グランリザルト)」 をオープンした。社歴76年の同社のノウハウを注ぎ込んだ集大成となるもので、2階のリビング天井高を約3.6m確保するなど「大開口×大空間」+「高耐震」の秀作だ。6日、モデルハウスがメディアに公開された。

 「GRAND RESULt」とは「大いなる成果」の意で、プランコンセプトは①新〝木〟流②未来の継手③暮らしを軸組む-の3つ。

 ①では、耐震等級3を実現した構造強度を確保。天然木サッシ、天然無垢床材、ホタテ漆喰壁を多用し、大開口窓と約7mの吹き抜け空間を設けている。

 ②では、高気密・高断熱のZEH仕様を実現。IoTで快適性を向上し、蓄電池、非常用貯水タンク、かまどベンチなどの防災アイテムを装備。

 ③では、自分が自分らしく自然体でいられる場所として「Withキッチン」「ダウンリビング」「プライベートリビング」「Nook(ヌック)スペース」「ウォッシュサロン&ワークスペース」「ウォークスルークローク」「コーディネートルーム」、「ソライオ」「グリーンテラス」「プライベートバルコニー」などを採用している。

 モデルハウスは、東京都小金井市前原町5丁目に位置する総合展示場「小金井・府中ハウジングステージ」内の軸組工法2階建て延床面積226.21㎡(68.42坪)。

 同社は現段階で価格は未定としながら、概ね4,000万円以上を対象に初年度は年間24~25棟の受注を見込んでいる。分譲戸建てでの展開も考えているという。同社の分譲戸建ては年間150戸前後、法人受注は年間200~250棟で推移している。

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1階

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2階

◇        ◆     ◇

 同社はモデルハウス仕様でどれくらいの価格になるか公表していないが、最低で坪150万円、アッパーで坪200万円近いと見た。これまで記者が見学した坪345万円の大和ハウス工業「Wood Residence MARE-希-(マレ)」、坪254万円の三菱地所ホーム「新宿ホームギャラリー」などにはかなわないが、軸組工法では最高レベルではないかと思う。

 何が素晴らしいかといえば、自然素材をふんだんに用いている点だ。窓は木製サッシで、ガラスはLow-Eを採用し、窓面が大きいのにZEH基準を満たしているのはさすがだ。

 また、外構やエントランスには鉄平石を、床や壁にはオーク材を、そして壁の仕上げには消臭効果もあるホタテ漆喰壁を採用しているのが特筆できる。1階リビングの波打つオークの壁は大工仕事で仕上げたのだそうだ。

 エントランスホール-ウォッシュサロン&ワークスペース-パウダールーム・バスコードや、天井高3.7mの2階のプライベートゾーンの提案もいい。

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1階のオーク材の壁

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階段室に設けられた植栽(こちらは本物)

◇        ◆     ◇

 ただ一つ、難点を指摘すれば、2階の構造梁に巡らせたフェイクの観葉植物だ。床や壁、天井に天然素材をふんだんに用いているのに、どうして一見してまがい物と分かる観葉植物を飾りに使うのか。

 記者には理解できないのだが、これは同社に限ったことではなく、マンションも含めたこの業界の宿痾、陋習だ。みんなで渡れば怖くない、右に倣え、以下同文…。

 本物の観葉植物は維持管理が大変ということから模造品にしたのだろうが、小生は観葉植物レンタル会社が定期的に点検し、捨てる予定のオフィスのポトスの小枝をもらって自宅に飾っている。5年近くになるが、陽に当たらない玄関や洗面室でも枯れない。たまに水遣りするだけだ。

 いまからでも遅くない。ポトスを這わせることを提案する。初期費用は1万円で十分。毎月の管理費は水遣りだけ。労力もほとんどかからない。その効果はフェイクの数十倍であることは間違いない。坪200万円も300万円もする住宅を建てられるお金持ちがフェイクの衣服を身に付けたりカバンを持ったりするはずはない。それと同じだ。

 どこもやらないことをするから、人は感動する。同社の「杉並和泉」の記事を添付する。

匠の技を見た 語り尽くせぬ魅力 細田工「グローイングスクエア杉並和泉」(2008/2/6)

「希」に見る設計依頼1か月で来場100組超 大和ハウス 富裕層向け「MARE」(2021/6/2)

アーチ型天井と列柱の無柱空間に驚嘆 旭化成ホームズ 「新宿」に富裕層向けモデル(2020/6/16)

坪254万円 設備仕様は最高レベル 三菱地所ホーム 新宿(新大久保)にモデルハウス(2019/6/5)

 

 

 

 


 

 

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左から岩沙氏、植田氏、菰田氏(ホテルオークラで)

 三井不動産の代表取締役会長・岩沙弘道氏、代表取締役社長・菰田正信氏、取締役専務執行役員・植田俊氏、野村不動産ホールディングス・沓掛英二社長は1月6日、それぞれ今年1年間を次のような漢字に託した。

岩沙弘道氏 志

菰田正信氏 躍

植田俊氏 妄想

沓掛英二氏 挑

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沓掛氏

◇        ◆     ◇

 記者は不動産協会とFRKの新年賀詞交換会が開かれる前日、参加者に今年1年間の夢を漢字一文字に託してもらおうと決めた。30枚くらいは集まるのではないかと。サイン帳と筆ペンも用意しようと。

 しかし、翌日起きてすぐやめることにした。いきなり眼の前にサイン帳を突き付けて「今年1年間を漢字一文字で託してください」などと話しても、とっさに答えられる人などいないだろうし、漢字力はワープロ・パソコンのお陰で小学生並みに退行している小生と同じような人がおり、書こうと思っても書けなかったら恥をかかせることになるのではないかと考えたからだ。

 そこで、菰田理事長などのあいさつが終わったら、早々に退散することに決めた。

 と、そこに威風堂々、どこからでもすぐ誰かが分かる野村不動産ホールディングスの代表取締役社長・沓掛英二氏が現れ、声を掛けられた。早速、「社長交代は以前から決めていたのですか」と尋ねたら、沓掛氏は即座に「そう。社長に就任して8年。末広がりで区切りがいいと。サクセッション考えないと。向こう10年先を志向したら新しい発想も必要だと」と答えた。

 同社は昨年末、沓掛社長は今年4月1日付で取締役会長に、新しい社長には副社長の新井聡氏がそれぞれ就任すると発表した。

 ものは試しだ。「沓掛社長、今年1年間を漢字一文字に託すとどうなりますかね」と聞いてみた。沓掛氏は間髪を入れず「挑戦の『挑』だよ」と答えた。

 これには驚いた。経営者は頭の回転が違うと。小生も「挑」は書けた。「ちょうは、億、兆の兆に手偏ですよね。しんにょう(逃)じゃありませんよね」とつぶやいたのだが、沓掛氏には聞こえなかったようで反応はなかった。(沓掛氏に自筆を頼めばよかった)

 ならば、ひょっとしたら三井不動産の菰田社長、岩沙会長も漢字一文字で夢を語ってくれるのではないかと、退散することを改め聞いてみることにした。

 菰田社長もさすがだ。沓掛氏と同じくらいの速さで「飛躍の『躍』」と記者が差し出したノートに記したのだが、記者はそのサインに目が釘付けになった。 

 「素晴らしい文字ですね」

 「いや、わたしの字は女文字なんだよ。かみさんは男文字」

 皆さんもとくとご覧あれ。バランスがとてもよく美しい。(いつか機会があったら、奥さんの字を見せてもらおう。まさか書道家じゃあるまい)

 次に岩沙会長。「うーん、いま日本に一番欠けているのは…」と「志」と記した。なるほど。

 これで完成!お二人を写真に収め、帰ろうとしたら、菰田社長は「次の社長も」と近くにいた植田氏を呼び寄せた。〆た。

 「植田さん今年の漢字を」

 「もうそうでもいいですか」

 「もちろん」

 字余りだが、「妄想」と認めた。これこそ植田氏の真骨頂だ。

 同社もまた昨年12月9日、今年4月1日付で取締役専務執行役員・植田俊(うえだ たかし)氏が代表取締役社長 社長執行役員に、代表取締役社長 社長執行役員・菰田正信氏が代表取締役会長に、代表取締役会長・岩沙弘道氏が取締役にそれぞれ就任し、岩沙氏は6月開催予定の株主総会で取締役を退任し、同社相談役に就任する予定と発表したばかりだ。

 みなさん、「妄想」にはどのような意味が込められているか。是非とも添付した記事を読んでいただきたい。

 小生の今年の漢字一文字は「愛」。「哀」にならないように。

「経済・社会の発展に貢献」不動産協会・FRK新年賀詞交歓会 菰田正信理事長(2023/1/7)

「産業デベロッパー目指し、日々妄想」植田俊・三井不動産次期社長(2022/12/11)

三井不動産 植田俊(たかし)専務が社長に 菰田社長は会長へ 岩沙会長は相談役へ(2022/12/9)

野村不動産HD 新社長に副社長の新井聡氏、沓掛英二社長は会長へ(2022/12/14)

 


 

 

 

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