不審者、立入・火気禁止、強剪定…荒んだ世情の表れ 桶川駅の街路樹は泣いている

桶川駅西口ロータリーの街路樹(樹脂は不明)と駅近のマロニエ
桶川にはゴルフ場があり、何度か降り立ったことがある。今は昔だが、若くてかわいい女性社員の出身地でもあり、いいイメージしかない。ポラス「yoridokoro(拠りどころ)上尾」の取材を終え、埼玉県日高市が発祥という桶川駅東口直結の「日高屋」(ハイデイ日高)で昼食をとった。ビール2本とイワシフライで税込み950円。1,000円でお釣りが出た。いい店だ。
タバコが吸いたくて、東口には喫煙所がなさそうなので駅西口に向かった。だしぬけに異様な光景が目に飛び込んできた。駅前の街路樹がことごとく電信柱のように強剪定されていた。街路樹も〝殺されてなるものか〟と、必死でひこばえ、胴吹きで防戦していた。墓碑のような伐採木の株もそのまま残されているなど、ガザの戦場と五十歩百歩の人間界と自然界のすさまじい戦いが展開されていた。タバコを吸う余裕は吹っ飛んだ。その代わりムラムラと怒りが込み上げてきた。一部始終を見てやるぞと、約1時間半、西口周辺を歩いた。
言葉に詰まった。論より証拠だ。写真を撮りまくった。一つひとつ紹介する。

見事な非対称のケヤキの街路樹

駅前の商業施設の樹木(樹種は不明)
駅前のケヤキの街路樹だ。右側だけが強剪定されている。左側も樹形が乱れている。予算の関係か、交互に強剪定しているのだろう。街路樹は左右がシンメトリーだからこそ美しい。〝生かさず殺さず〟-ここのケヤキは過去も未来もない。半殺しのままだ。

「桶川駅西口公園」

「桶川駅西口公園」
駅西口から徒歩2分に桶川市シルバー人材センターが維持管理している「桶川駅西口公園」がある。立派な樹木がたくさん植わっており、モニュメントや子ども向けだけでなく、大人向けの健康遊具もあり、素敵な公園だ、しかし、駅前にも拘わらず、人影はまばら。1時間は滞在したが、出会った人は10人もいなかった。何だか変。「禁煙」の看板はないのは、何かの陥穽ではないかといぶかった。

「健康遊具ひろば」
「この器具は大人の健康増進のためです。(16歳以下の方は使わないでください)」「この器具を使うときは『使い方』に示す方法を守ってください」とある。記者も使ってみようと思ったが、肝心の「使い方」の文字は消えていた。

意味不明の注意書き。「砂場や遊具には近づかない。あそびおわったら手を洗いましょう」-いったい誰に注意喚起しているのか。

「公園内では、花火・たき火などの火気は使用禁止です」-これも分からないではないが、これではPark-PFIは導入できない。「禁煙」の看板はひとつもなかったが、たばこのライターは火気なのだろうか。

公園の入り口には地元のローターリークラブが寄贈したと思われるブロンズ像があり、台座には次の「四つのテスト」が記されている。①真実かどうか②みんなに公平か③行為と友情を深めるか④みんなのためになるかどうか-誰のためのテストなのだろうか。

伐採木サークルがモニュメントになっていた団地エントランス(これもありか)

「当団地は犬立入禁止」-犬は文字を読めないはずだから、野良犬には効き目がないと思うが、リード付きも不可なのか。時代遅れの「ペット不可」の団地か。

ごもっとも。ビラ配りのため無断でどこかの官舎に立ち入った人が逮捕されたこともあった。記者は団地内の様子を見ようと思ったが、「不審者を見たり聞いたら一一〇番」もあるので、誰何されそうだからやめた。
◇ ◆ ◇
街路樹が悲惨な目に遭っていたが、とにかくこの街は看板が多すぎる。市民の方々には大変失礼だが、すさんだ心、世情の表れではないか。やんぬるかな。累卵の危機にあるのではないか。わが街多摩センター駅前にも「受動喫煙からあなたを守ります」と大書きされた横断幕はあるが、公園内の注意書きは目立たないし、強剪定される街路樹はそれほど多くない。そんなことをしたら市民は黙っていない。
食・農・緑…地域共生テーマに専門家とコラボポラス全70戸の「上尾」
健全な街路樹を「枯損木」として処分 問われる住民自治 千代田区の住民訴訟(2022/11/12)
埼玉県 緑被率最低0.04の蕨市とワースト4の0.18の戸田市で異なる街路樹の量と質(2021/6/20)
食・農・緑…地域共生テーマに専門家とコラボ ポラス 全70戸「yoridokoro上尾」

「yoridokoro(拠りどころ)上尾」
ポラスグループ中央住宅は10月27日、地域共生型分譲戸建て「yoridokoro(拠りどころ)上尾」のメディア向け見学会を行い、モデルハウス内覧会を10月28日(土)に開始し、第1期を11月10日に開始すると発表した。35区画の分譲地が2つ繋がる全70戸の、同社グループが上尾市内で分譲する最大規模の住宅地。地域と関わる専門家8名とコラボしたプロジェクトだ。
物件は、JR高崎線桶川駅から徒歩17分、埼玉県上尾市大字上字熊野の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80)に位置する全70戸。土地面積は120.10~185.39㎡、建物面積は90.04~95.25㎡、第1期(12~13戸の予定)の予定価格は3,000万台前半~5,000万円前半。全体竣工は2024年8月の予定。
コンセプトは「地域共生」。上尾市やその周辺地域で活躍する農業経営、盆栽家、ネコの保護団体、キャンドル製造、タタミ製造、キッズ食育トレーナー、知育・脳育アドバイザー、女性の起業サポーターの8名の専門家とコラボし、入居後もワークショップを開き、個別相談にも対応していくのが特徴。
見学会の冒頭、同社戸建分譲さいたま事業部大宮営業所事業所長・関一匡氏は、「当事業所は浦和・大宮以北を中心に2007年から事業展開している。70戸という規模は当社として過去最大級。地域密着をコンセプトに、様々な専門家の方とコラボした。社内からも期待されているプロジェクト」と語った。
続いて登壇した同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課課長・古垣雄一氏は「2年前、伊奈町でマルシェを行っていた農家さんに声を掛けたことがきっかけとなり、今回の提案にたどり着いた」と話し、同課主任・菅原雄太氏は「地域密着に深く踏み込んでプランに落とし込んだ。専門家の好意で成り立ったプロジェクト。入居者の方には新たな豊かな暮らしを発見していただきたい」と話した。
大宮事業所主任・佐々木真央氏は、「この3か月間で問い合わせは58組。モデルハウス来場予約は26件。地元居住者が中心だが、東京・神奈川、千葉も2割に達するなど、子育てファミリーの注目度が高い」と説明した。
伊奈町でマルシェを行っていたのは、ベジタブルボーイズカンパニー代表・大橋一幸氏(38)で、大橋氏は「豊かな暮らしと『食』『農』はつながるものがある。住宅購入者の方と関わると、明日も頑張れというエネルギーをもらえる。様々な提案を行い、小さなつながりを造っていきたい」と話した。
屋号「鉢乃木屋」の盆栽家・齊藤真之氏は「大学の専攻は建築で、ゼネコンに8年務め、30歳になる直前に目覚め、一念発起して盆栽に没入し、今年5月に独立。妻と一緒に店を立ち上げた。アーティストなど様々な分野の方とコラボしていきたい」と語った。
モデルハウスは2棟で、1棟の2階建てには齊藤氏の作品がたくさん展示されており、もう1棟の平屋はキャットウォークが提案されているのが特徴。主な基本性能・設備仕様は、同社の標準である天井高2700ミリ、樹脂サッシ、ソフトクローズの引き戸・開き戸、挽板の床、現しの柱・梁、桐のデザイン壁などのほか、ビルトインコンロ「デリシア」、ハイブリッド給湯器「エコワン」など。

モデルハウス(2階建て)

モデルハウス(平屋)

左から関氏、古垣氏、大橋氏、齊藤氏、菅原氏、佐々木氏

齊藤氏(左)と大橋氏(大橋さん、貴殿が醜男と言っているのではない。念のため)
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専門家とコラボするマンション・分譲戸建ては珍しくないが、地域に特化したこれほど大掛かりな戸建てプロジェクトは少ないはずだ。
大橋氏と二言三言話しただけで旧知の仲のような気がした。記者も田舎の農家育ちだからだ。経営する農地は17町歩(1町は約1ha、多くは借地)で、従業員14名、パートを含めて35名の規模というから凄い。その苦労はよく分かる。農業で生計が立てられる世の中になってほしい。
齊藤氏は、盆栽家として独立したばかりというのに、粋な和服姿がすっかり板につき、その道を究めた大家に見えた。憎たらしいほどいい男ではないか。
記者はこれまで、マンションや分譲戸建て、その他の施設のフェイクグリーンをやめよと100本くらいの記事を書いてきた。齊藤氏はそれを実現してくれる傑物と見た。記者の目に狂いはない。

齊藤氏の作品(左からセイヨウガマツカ、セッカヒノキ、ヤツブサイチョウ)

齊藤氏
◇ ◆ ◇
「地域共生」について。同社グループが今年6月に分譲開始した「防災」「環境」「自助」「共助」「コミュニティ」「環境」をテーマにした「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」でも感じたが、難しいテーマによくぞ挑戦したと思う。佐々木氏は「どこでもできる」と語ったが、これまでどこも行わなかった。
上尾市の令和3年度の分譲住宅着工戸数は482戸だ。今回の物件はその約15%だ。常識的に考えれば、完売まで2年、3年くらいかかっても不思議でないが、同社は早期完売を目指しているのだろう。
価格は、見学する前に4,000万円台の前半だろうと読んだが、ほぼ予想通りだ。同業の記者の方は平屋が5,000万円を突破することに驚いていたが、驚くに値しない。建ぺい率、容積率からして土地を広くしないと平屋は建たないからだ。5,000万円を超えるのはその1戸のみだろう。平屋好きはどこにでもいる。

「yoridokoro(拠りどころ)上尾」モデルハウス(右が平屋)

現場近くのたわわに実った柿の木(何本もあった)

桶川駅西口のケヤキの街路樹(予算の関係か右のみ強剪定。街路樹はシンメトリーだから美しいのに、行政はこのようなことを平然と行う。業者はそれに従う。市民は異議を唱えない。つまり、いつまでたっても美しくないということ)
可視化難しい「防災」「コミュニティ」「環境」に挑戦 ポラス「東武動物公園」(2023/6/16)
ポタジェ(家庭菜園)活用したワークショップ ポラス「北浦和みのりプロジェクト」(2023/4/23)
まるで植物園 五感で体験できる 野村不動産 マンション総合ギャラリー「新宿」(2023/2/21)
管理会社の「第三者管理者」への道開く 国交省 ワーキンググループ初会合
国土交通省は10月26日、第1回「外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ」(座長:鎌野邦樹・早稲田大学法学学術院法務研究科教授)の会合を開催した。外部専門家などがマンション管理組合の管理者となるケースが増加している現状を踏まえ、「今後のマンション政策のあり方に関する検討会とりまとめ(2023 年8月)」にもとづき、管理形態における留意事項を示したガイドラインの整備などに向けた検討を行うのが目的で、来年3月までに5回の会合を開き、答申をまとめる予定。
◇ ◆ ◇
会合について一つひとつ紹介する余裕はない。詳細は国交省のホームページに掲載されるので読んでいただきたい。以下、記者が気付いたことを書き記すことにする。
まず、「第三者管理者」について。これまでメディアなどで「第三者管理」などの文言で紹介されるケースが多かったが、これだと管理組合や区分所有者が関わらなくともよいと理解される可能性もあるので、正確を期すため、今後は「第三者管理者」に統一すると同省から説明があった。
これは賛成だが、記事は文字数の制約もあるので「第三者管理」とすることも許容していただきたい。
次に、管理会社による「第三者管理者」について。この問題については10年前、「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」でも激しいやり取りが行われた。マンション管理業協会などは「利益相反」を招く恐れがあることなどから導入には反対の立場を取っていた。
記者も、区分所有者の高齢化、建物の老朽化・管理費滞納などを起因とする「管理不全マンション」を第三者が管理するのは現実的でないと書いた。第三者管理者に報酬を支払う余裕のある管理組合は10%あるかどうかだろう。富裕層向けや投資用、大規模複合などは有効だろうと考えていた。区分所有者の代理人を可能にするのも一考だ。
「利益相反」の問題をどうクリアするかだが、区分所有者第一主義を基本にすれば、これは検討会でもまとまるのではないか。同省の資料にも「『マンション管理トレンド調査(マンション管理業協会)』によれば、2023年時点で管理者業務を『受託して いる』、もしくは『今後受託を検討している』と回答した管理業者は167社となっており、2020年と比べて約3割増加している」「また、管理者業務を受託する管理業者のうち、理事会を設置しない方式を採用している管理業者が約7割存在している」とあるように、これからの新築マンションでは劇的に増えるのではないか。
同じようなことを、出口健敬委員(不動産協会事務局長代理)が話された。出口氏は、ガイドラインの対象とすべきマンションは、管理不全マンションもそうだが、専門知識が必要な大規模複合マンションとか、そもそも区分所有者が住まない投資用とかリゾートマンション、理事会などに入りたがらない高額マンションなど様々なケースがあるので、これらに対応するものにすべき旨の発言をされた。この通りだと思う。
驚いたのは、齊藤広子委員(横浜市立大学国際教養学部教授)も「衝撃を受けた」と話された、管理業者と契約を結ばずに第三者管理者契約を結んでいる管理組合が半数以上あることだった。つまり〝丸投げ〟しているということだ。これは、ありえないことだ。管理会社はきちんと説明し、契約書を交わすべきだし、権限、義務、報酬などを明記すべきだ。それを怠っている管理会社に猛省を促したい。
これに関連することだが、管理会社による第三者管理者は、マンション分譲時の原始規約に盛り込まれることになるのだろうが、購入者には管理会社を選ぶことも含めて選択の余地はない。主体はあくまでも区分所有者だし居住者だ。原始契約には選択できる仕組み(候補をいくつか列挙して、選べるようにしてはどうか)も必要だと思う。専用使用権があるバルコニーでの喫煙を原始規約などで禁ずるのは行き過ぎだ。
気になった発言もあった。どなたかの委員の方が「大手の管理会社は任せて安心だが、中小業者は事故を起こす可能性がある」「管理会社はピンキリ」と話された。それはそうかもしれない。しかし、こうもあからさまに見も蓋もないことを仰るのはいかがなものか。
そもそも、国交省担当者も話したように、区分所有マンションの主体は区分所有者であり、居住者だ。管理者(管理者とは何かという論議は必要だが)は区分所有者、居住者の味方であるべきで、大手管理会社は居住者の味方であり、中小業者はそうではないことを示唆する考え方はむしろ危険だ。
この意見に対して、確か戎正晴委員(弁護士)だったと思うが、「それは間違っている。大手とか中小という問題でない。第三者管理者制度が当たり前になるようなガイドラインにしなければならない」と指摘されたのは正鵠を射ていると思う。戎委員は「権利能力なき社団」「管理組合法人」「管理者方式」「管理組合方式」など難しい話もされたが、法を担保しないといけないので、とても重要なことを話されたのだろう。区分所有法や適正化法などとの整合性を含め、しっかり論議していただきたい。
最後に一言。同省の論点整理は8項目あったが、完璧だと思った。完璧のガイドラインになることに期待したい。
迷走する「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(2011/8/30)
賃貸にも災害時の防災ツール設置 三菱地所レジ「中野富士見町」竣工

「ザ・パークハビオ 中野富士見町ガーデン」
三菱地所レジデンスは10月25日、災害時に居住者同士が行動に迷わず助け合うための防災ツール「First Mission BoxⓇ(ファーストミッションボックス)」(FMB)」を設置した「ザ・パークハビオ 中野富士見町ガーデン」の竣工記者見学会を開催し、担当者によるデモンストレーションも行った。同社を含めデベロッパーは分譲マンションの「防災」には力を入れているが、賃貸でこのような取り組みをするのは珍しいのではないか。
物件は、東京メトロ丸ノ内線中野富士見町駅から徒歩4分、中野区弥生町2丁目に位置する14階建て全115戸。専用面積は25.08~51.84㎡、賃料は100,000(25.92㎡)~227,000円(51.00㎡)、坪賃料は1.5~1.7万円。竣工予定は2023年8月。設計はIAO竹田設計。施工は村中建設。これまで52戸を募集し、80%に申し込みが入っている。
「FMB」は、長野県飯田市と危機管理教育研究所により考案されたもので、災害時(震度5強以上の地震を想定)に共用部に設置されたボックスを開け、中に入った指示カードの通りに動くことで、自然とその場に集まった居住者同士で災害時の初期活動を実施することができる仕組み。
指示カードには、「本部の設営」からマンション内の「安否確認」「救護活動」「トイレの設置や運用」「防犯対策」の対応をどのように行動すればいいか、専門知識や経験がなくても誰にでもできるような内容になっている。
近所との関係が希薄になりがちな単身世帯や、居住者による組合組織がない賃貸マンションでも、万一の時に取るべき行動に迷うことなく、居住者同士で迅速に活動するための初動期のオペレーションを実行することができる。
同社はまた、長引く被災生活を想定して「Second Mission Box(セカンドミッションボックス)」(SMB)を制作・導入。「FMB」と「SMB」を賃貸マンションに導入するのは初で、このほか屋上に設置した太陽光パネルで発電した電力を蓄電池に貯め、災害時に活用するシステムの構築、各住戸用の備蓄ロッカー(MY防災倉庫)を備えている。
外観デザインには、外壁には天然の貝などから作られた自然の風合いのある塗材、西面の最上階軒天などには木目調塗装を採用するなど、周辺の並木道や敷地内の豊かな緑地帯と調和するシンボリックなものにしている。

防災ツール デモンストレーション(左から同社賃貸住宅開発部開発第三グルーフ・日比剛史氏、同リーダー・最田真生子氏、同社経営企画部サステイナビリティ推進グループ サブチーフ・澤野由佳氏)


「FMB」設置イメージ

コワーキング
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記者はこれまで、同社が分譲した大規模マンション「奏の杜(かなでのもり)」での三菱地所コミュニティとエリアマネジメント組織・奏の杜パートナーズと共同の防災訓練を何度か取材している。どこの集合住宅でも行っている、セレモニーのようなお茶を濁すイベントではなく、市や消防署とも連携した本格的なもので、半日がかりの取り組みだった。
今回、賃貸マンションに「FMB」と「SMB」を導入するのは、エリア内にいくつかの分譲マンションを供給している背景があるようで、その本気度に感服した。何事にも真剣に取り組むのが三菱地所グループのいいところだ。2014年に立ち上げた同社と三菱地所コミュニティ社員有志によるボランティア組織「三菱地所グループの防災倶楽部」は約140名にのぼっているようだ。
見学会では、各フロアに備蓄ロッカー(MY防災倉庫)を備えているのに驚いたが、居室はガスとIH設備をフロアごとに替え、半々にしているのもそれぞれの弱点を補うものだろうと理解した。
デモンストレーションは約15分。実演者も記者連中(とくに小生)は緊迫度に欠けていたが、3.11のとき「新浦安」を取材しトイレに困ったことがある(仕方なく公園の隅っこで用を足したが、女性はそうもいかないだろう)のでその対策の重要性はよくわかる。
習志野市「奏の杜」防災訓練に過去最多1,000名 三菱地所グループ&管理組合(2018/3/11)
郊外部も坪300万円の時代へ 予算額との隔たりどう埋めるか 総合地所「花小金井」

「ルネ花小金井ザ・レジデンス」
総合地所、積水化学工業、大栄不動産は10月25日、総合地所の〝ルネシリーズ〟として都内初のZEH-M Oriented基準を満たした「ルネ花小金井ザ・レジデンス」(162戸)の販売を開始したと発表した、同日、報道陣にモデルルームを公開した。坪単価310万円には驚いたが、第1期として供給した50戸のうち37戸が成約済みと聞き、これまた驚いた。
物件は、西武新宿線花小金井駅から徒歩4分、小平市花小金井南町一丁目の商業地域・第一種中高層住居専用地域に位置する8階建て全162戸。専有面積は44.46~88.92㎡。2023年11月上旬に販売予定の1期4次(戸数未定)の価格は4,100万円台~8,500万円台(最多価格帯6,200万円台)、坪単価は310万円。着工は2023年5月。竣工予定は2025年2月。設計は長谷工コーポレーション。施工は長谷工コーポレーション・森組。販売代理は長谷工アーベスト。
9月30日に販売を開始し、これまで供給した第1期50戸のうち37戸を成約。資料請求は約1,000件、来場者は約280件。来場者の属性は30歳代がもっとも多く約35%、40歳代が約20%。現居住地は小平市が約40%。予算額は今回の物件の最多価格帯6,000万円超は30%で、予算額との乖離は1,000万円以上の差がある。一方で、希望面積は70㎡以上が約50%、80㎡以上も約15%。
従前土地は金融機関の施設で、主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認定、リビング天井高2500ミリ、直床、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス(共用廊下側窓)など。
見学会で総合地所分譲事業部マンション開発部開発1課課長・石井大祐氏は、「駅から徒歩4分の得難い立地で、当社のZEHでは『南柏』『上尾』に次ぐ都内初のZEH対応のシンボリックな物件。また、花小金井は、当社社長・梅津が手掛けた2011年分譲の『ルネ花小金井』に次ぐ〝ゆかりの地〟であり、〝泣かせるシアター〟も思い出させる」と話した。

左から石井氏、同社分譲事業部マンション開発部開発1課・根岸拓海氏、同・中村瑞輝氏

エントランスホール
◇ ◆ ◇
石井氏とは、RBA野球大会の選手として出場していたころだからもう20年くらいのお付き合いか。元気そうな様子だったので、とても嬉しくなった。そのお返しのつもりで、見学会に出席していた約10人の記者の方に〝泣かせるシアター〟のことを話したのだが、一人を除いて何の反応も示さなかった。その一人こそ〝家族の絆〟をテーマにしたシアターに映り出されたサラリーマンと自らをだぶらせて「ほろりとさせられた」と語った記者だ。当時、娘さんは小学生のころか。
あれからまだ12年しか経っていないのに〝泣かせるシアター〟は通用しない。十年一昔、隔世の感がする。要するに、腰を落ち着けて継続してマンションを見学する記者はいないということだ。ものを見る目がなければ、見たことにはならず、その分だけ時間が無駄ということだ。
さて、坪単価。前回は、駅から14分で坪155万円だった。今回は駅に近く、用地・資材・人件費の上昇が続いていることから、土地代がただでも坪200万円以下はありえないが、新宿まで似たような電車所要時間ではあるが、街の利便施設の集積度では問題にならないわが街多摩センターの坪250万円以下だろうと予想した。
結果は大外れ。言い訳はしない。多摩センターと比較したのがいけなかった。私情を挟み過ぎた。冷静に考えたら坪310万円というのはありうる価格だ。工期も従前なら15か月くらいだろうが、今回の物件は21か月になっている。これも建築費を押し上げている要因の一つだ。
いよいよ郊外部でもマンション坪単価は300万円の時代に突入したということだ。ユーザーの予算額、希望面積との隔たりをデベロッパーはどうして埋めるのだろうか。〝買いあがる〟余力のある人はいるのだろうか。

建設現場
◇ ◆ ◇
初めて知ったのだが、花小金井駅南口の駅前ロータリーには車道と歩道が交差しているにも拘わらず信号はなく、すぐ先の東京都道132号小川山田無線と交差する三叉路(幅員4mくらいの市道とも交差するのでほとんど四叉路)にも信号機はひとつもなかった。
三叉路近くにいたお年寄り夫婦に聞いた。「こんな広い道路(幅員15mくらいか)に信号がなくて大丈夫ですか」と。すると、ご夫婦の方は「車が停まってくれるんですよ」と答えた。嘘だろうと思ったが、女子高校生らしき集団がこの三叉路を渡ろうとしていたとき、確かに車は停まった。全て世の中は車優先かと思っていたが、そうでもないところがあるのに驚いた(別の記者は「それだけ車が少ないということ」と冷たく言い放ったが)。
ネットで調べた。面白いデータが見つかった。日本自動車連盟(JAF)の調査によると、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとした際に一時停止した車の都道府県別の割合は全国平均で21.3%、トップの長野県は72.4%、最低は宮城県の5.7%とある。なぜこんなに差があるのか、その理由は示されていない。

駅近くの四叉路(左側が今回のマンション販売事務所)
「昭島」1期は262戸/建築費5割アップへ2024年問題からみ深刻化 大和ハウス(2023/9/15)
埼玉県初のZEHマンション 総合地所「ルネ上尾」 第1期45戸が即日完売(2021/6/29)
分譲一筋に30年 〝ルネ〟の総合地所 執行役員・梅津英司氏が語る(2018/4/16)
初めて見た 泣かせるマンション 総合地所「ルネ花小金井」(2011/5/17)
スタートアップと大企業を結ぶイベントに2,100名 「住友不動産ベンチャーサミット」

「住友不動産ベンチャーサミット」
住友不動産は10月24日、スタートアップ企業と同社テナントや取引先の大企業をマッチングさせるイベント「住友不動産ベンチャーサミット」を「新宿住友ビル」三角広場で開催。約2,100名が参加するなど大賑わいとなった。メディアにも一部公開された。
イベントは、事前に応募があった130社以上から厳選した15社のスタートアップ企業の代表が登壇し、一人6分のプレゼンテーションを行い、9人の審査員が優秀企業を選定するもの。コンテストでは優勝、準優勝、特別賞(5社)が決定・表彰された。
また、会場内には115社の企業展示ブースや商談ブースも設けられ、スタートアップ企業との出会いの場が設けられ、イベント後は懇親会も行われた。
優勝企業に選ばれたLeaner Technologies代表取締役CEO・大平裕介氏は「これほど多くの大企業、事業会社が参加するこの種のイベントはなく、優勝することができ、素直に嬉しく思っています。我々は調達DXというテーマではございますが、その中でも『日本の可能性』をスタートアップ企業がお見せできた一日になったのではないかと思います。また、登壇者としては人生で一番大きな会場でのピッチイベントに参加させていただき、熱量をどう伝えるかに心を配り、楽しくピッチすることが出来ました」とコメントした。わが国のスタートアップ企業の3年生存率、5年生存率が極端に低いことについて「スタートアップの内側だけで展開する企業が多く、大企業が応援する体制にないのが課題」などと語った。
審査員を代表して湯浅エレム秀和氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー)は「イベントのテーマは、大企業とスタートアップを連携させることで、これが新たな日本型のイノベーションになる。プレゼン15社は様々な分野でトラクションになりうることをアピールできていた」と総評した。
主催者の住友不動産ビル事業本部グロースサポート事業部部長・藤島正織氏は「目先の商売(利益)など追っていない。政府もスタートアップ育成5か年計画で、投資額を現在の5倍の10兆円に拡大することを打ち出した。長いスパンで考えていく」と語った。


企業ブース

左から大平氏、湯浅氏、藤島氏
◇ ◆ ◇
記者は途中からの参加だったので、肝心のPITCHは最後の2人しか聞けなかったのだが、審査員が「ワクワクする」「コンタクトしたい」「熱量に圧倒された」「世界観がいい」「多種多様、領域が広い」などと絶賛したように、同じ印象を受けた。
懇親会への参加も許されたので、会場に入った。参加者は1,000人を超えていたはずだ。話を聞こうにも、住宅・不動産のこと以外はまったくの素人。誰に何を聞いていいやらさっぱりわからないので、参加者の年代、服装などをチェックし、会場の様子を隈なく見て回った。
年代は30~40代の方が多く、女性の比率も3割くらいだと思った。男性でネクタイを締めているのは10人くらいしかいなかった。スタートアップ企業ブースには話を聞こうとする人が列をなした。「30人と名刺交換できた」と話したわが国を代表する企業参加者もいた。最高に素晴らしい取材ができた。それにしてもメディア参加者は数えるほどとは…。
同社広報担当から「いくら飲んでもいい」とも言われたので、チリ産の「ヴァイントレイル シャルドネ」の白をしこたま飲んだ。量にしてボトル1本くらいか。家に帰ってすぐ記事を書こうと思ったが、少し酔い眠くなったので寝てしまった。アップするのが翌朝になったのはこのため。

優勝企業に選ばれたLeaner Technologies代表取締役CEO・大平裕介氏

カンリ―代表取締役Co-CEO秋山祐太朗氏(左)と同社事業開発室・渡部哲哉氏

カエカ(kaeka)代表取締役/スピーチライター・千葉佳織氏(左)

最大1億円出資交渉権SBI Investment賞と博報堂DYメディアパートナーズ賞TVCMテスト出稿&効果検証パッケージ100万円分を獲得したトランスファーデータ代表取締役・村田佑介氏

懇親会
ユニコーン企業を育てるインキュベーションオフィス 住友不「虎ノ門タワー」に開設(2023/10/2)
優勝は「Solafune」 サンフロ「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2023」(2023/9/22)
ランドスケープ秀逸 坪賃料に納得 「HARUMI FLAG」の賃貸「PORT VILLAGE」公開

「PORT VILLAGE」C棟
三井不動産レジデンシャルなど「HARUMI FLAG」の事業主10社は10月23日、賃貸街区「PORT VILLAGE」の一般賃貸住宅のメディア向け内覧会を実施し、一般向けの内覧会を10月27日(金)から開始すると発表した。
「HARUMI FLAG」は、「東京オリンピック選手村」としても供用された、都心に近接する敷地面積が約18haに及ぶ分譲4,145戸、賃貸1,487戸、全体5,632戸の住宅開発。計画人口は約12,000人。晴海緑道公園、水素ステーション、ららテラスHARUMI、BRTを含むマルチモビリティステーションなどのほか、中央区認可保育園、小・中学校などが整備され、電柱・駐車場の地下化も図られている。
「PORT VILLAGE」は、「まち」の持続性、多様性を担う街区として整備された全4棟で、デザインコンセプトは〝結(ゆい)〟。わが国の伝統工法である「ひだ」「もやい」「照り むくり」が外観その他のデザインに採用されている。
約7,000㎡の中庭は、多世代との交流の場としても利用できるように計画されており、共用施設としてはイベントスペース、パーティルーム、ワークスペース、パブリックバス、フィットネスルームなどが設置されている。各種のコンシェルジュサービスも行う。
物件は、都営地下鉄大江戸線勝どき駅から徒歩14~16分、中央区晴海五丁目に位置する敷地面積約2.6ha、15~17階階建て全4棟1,487戸で、総専用面積は約58,800㎡。内訳は一般賃貸住宅1,258戸、シニアレジデンス158戸(別途ケアレジデンス50室)、 シェアハウス(71戸/114室) 。専用面積は一般賃貸住宅が28.71~103.03㎡・159.20㎡・171.66㎡、シニアレジデンスが36.68~66.31㎡、ケアレジデンスが18.17~20.57㎡、シェアハウスが25.01~92.09㎡。設計は日建ハウジングシステム、東急建設。施工は東急建設。竣工予定は2024年1月15日。
一般賃貸住宅の賃料は49.10㎡が188,000円(坪賃料12.6万円、11階)、71.14㎡が295,000円(坪賃料13.7万円、2階)など。159.20㎡・171.66㎡の賃料は未定。シェアハウスの賃料は25㎡が12~13万円台、4~5人用のユニット型が9万×4~5=36~45万円台。
一般賃貸住宅を対象に8月29日からエントリーを受け付け、9月29日から申し込みを受け付けており、10月20日現在、募集160戸に対して、地元中央区や江東区居住者中心に100件超の申し込みがある。

ホルトノキ

中庭

外観 B棟
◇ ◆ ◇
賃貸街区のみだが、初めて完成間近の「HARUMI FLAG」を見た。マスターアーキテクトとして街全体のデザインを統括する光井純氏から「諸外国のどこの街にも負けないものをつくる」と聞いていたので、ランドスケープ・ファサードデザインにもっとも注目した。
分譲街区も見ないと何ともいえないが、外構などは同じはずで、素晴しい、この一語に尽きる。光井氏が設計した「パークシティ浜田山」もそうだが、記者が最近の分譲・賃貸でもっとも感動した「桜上水ガーデンズ」に負けないはずだ。
樹高10m近くありそうなシンボルツリーのホルトノキ、赤い実をたくさんつけていたナナミノキのほかシラカシ、クスノキなどの巨木になる樹木もたくさん植えられていた。光井氏が語ったように「地上は緑に覆われた」街になるのは間違いない。
共用施設では、左官仕上げの塗り壁、木組みデザインが施された天井が印象的だった。ポピンズナーサリースクールが運営する保育園(定員:204名)の床はコルク材で天井高は約2.8m。園庭も広々としていてとてもいい。
シニアレジデンス・ケアレジデンスの「グランクレール」は、いかにも運営する東急イーライデザインの造りだ。リビタが運営するシェアハウスは記者のような年寄りは理解できない。
大浴場やワークスペースは、利用時間に制限はあるが、無料なのがいい。ただ、ワークスペースの内装には集成材が多用されているのに、そのよさを半減どころか無に帰すフェイクグリーンで覆われていたのには唖然とした。
最後に賃料。坪賃料は1.3万円前後になるはずで、高くもなく安くもないと感じた。分譲の平均坪単価300万円強の利回りを5%と想定すれば年間15万円強、月額にすると1.3万円になる。リーズナブルな設定だろう。共用施設の充実ぶりを考慮したら〝超〟の字が付くほど割安か。
ペントハウスの賃料は未定だが、159㎡の住戸は賃貸仕様だが、なかなかいい。記者は賃料100万円でどうかと思ったが、同業の記者の方は300万円を予想した。確かに、金に糸目をつけないお金持ちならありうるかもしれないが、月額賃料を300万円にしたら年額3,600万円、坪賃料は6万円だ。利回り5%として価格は7億2,000万円(坪単価1,494万円)だ。これはありえない。事業者はそんな暴利をむさぼるような高値には設定しないはずだ。せいぜい月額150万円とみたがどうだろう。

床はコルク、天井の木組みデザインが美しい保育園

エントランスホール B棟

159㎡のペントハウス(下層階)

シニアレジデンスクレールダイニング(左)とケアレジデンス内廊下

シェアプレイス(完成予想図)

左官仕上げの塗り壁

大浴場(女性用)

ワークスペース
「ひだ」「もやい」「照り・むくり」を「結う」デザイン 「HARUMI」賃貸募集へ(2023/8/29)
「HARUMI FLAG」で美しい花を咲かせたい 光井純氏 建築美を語る(2023/1/30)
「類まれな」レベルの高さ 野村不・三井レジ「桜上水ガーデンズ」完成(2015/8/28)
「多摩中央公園改修」の疑問氷解 樹木5000本 うち伐採予定1125本の8割は実生木

多摩センター駅前のパルテノン大通り
「神宮外苑」や「日比谷公園」の「みどり」が話題になっているが、都市公園の再編は全国的に進んでいるようだ。東京都も令和5年6月、都の諮問を受け東京都公園審議会(髙梨雅明会長)は「新たな都立公園の整備と管理のあり方について」答申をまとめた。
答申は、社会状況の変化に対応し、①全ての公園の質を向上し、個性を生かした多様な公園の創出②周辺環境と調和を図り、新たな時代の都民ニーズを踏まえアップデート③共に創り、共に育てる――を基本方針とし、今後10年間に重点的に取り組むべき事項として①豊かな緑を育み、次世代へとつなぐ公園②東京の活力と魅力を高め、まちづくりの核になる公園③都民一人ひとりのウェルビーイングに貢献する公園――の3つを提案している。
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答申で謳っている「まちづくりの核になる公園」に大賛成だ。記者がいまもっとも注目しているのは、大阪駅前の「うめきた公園」(4.5ha)だが、駅に近くて「まちづくりの核」になりそうな点では「うめきた公園」によく似ており、規模は約2.5倍のわが街・多摩センターの「多摩中央公園」を紹介する。
「多摩中央公園」は、京王・小田急京王多摩センター駅から幅員約50m、長さ約400mのレンガ調タイル敷の歩道空間に、シンメトリーのクスノキの街路樹が60本以上植わっている「パルテノン大通り」を抜けたところに位置し、広さは約11.3ha。公園内には中央の大池を取り囲むようにコンサートホールが備わった多目的施設・パルテノン多摩、みどりに関する書籍が揃い質問も受けられ、水琴窟もあるグリーンライブセンター、新設されたばかりの市立中央図書館、大芝生広場、江戸時代の地主の家を移築した旧富澤家などがある。
植生も豊かで、どこに植わっているかは教えられないが、絶滅危惧種のキンラン、ギンランも季節になると可憐な花を咲かせる。
多摩市はいま、2015年2月に決定した「第五次多摩市総合計画・第2期基本計画」、2018年5月に策定した「多摩中央公園改修計画」、国土交通省が2018年10月に改訂した「公園施設長寿命化計画策定指針(案)」などに沿って改修工事を進めている。
前述した「市立中央図書館」もその一つで、今後、公募設置管理制度(Park-PFI)を活用し、物林を代表企業とする指定管理者TAMAセントラルパークJVによって「フラワー&ベーカリーハウス」、「ケヤキハウス」などが令和7年度までに整備される予定だ。
記者は、図書館はもちろん、民設民営方式によってこれらの施設を整備するのに異論はない。ただ、一つだけ心配なことがある。図書館建設のときもそうだったが、大量の樹木が伐採されるのではないかということだ。
心配する根拠はある。公園の西側に隣接する「レンガ坂」の改修工事だ。名称にあるように、レンガ調タイルが敷き詰められ、その両側には見事なユリノキが植えられていた歩道・自転車専用舗道だ。市内でもっとも美しい道路景観を形成していたと思う。
ユリノキは、2019年の台風15号により植えられていた102本(推定)のうち13本が倒木したのをきっかけに市は伐採方針を決めた。しかし、美しい景観を残してほしいという市民の声が寄せられたことから、市は計画を変更。地下には共同溝があり、残しても倒木の恐れがあるとする専門家の声を聞いて68本を伐採、21本を残した。同時に、レンガ坂の勾配がきつく、レンガ調タイルは滑りやすいという苦情を受けて、アスファルト舗装に変更した。
倒木の恐れがある、滑りやすいといわれれば反論などできないが、無残に強剪定(高さ7m)された樹齢50年はありそうなユリノキを眺めるのはつらい。記者と同じような疑問を抱く人もいるようだ。先日、強剪定されたユリノキを1歩1本眺め、胴吹きの葉っぱを調べている人がいたので声を掛けた。その方は「ひどいね、市はビッグモーターと同じことをやっているではないか」と話した。
公園内の樹木伐採も心配なので、市に問い合わせた。公園緑地課の担当者によると、公園内の樹木5,000本のうち1,125本を伐採する計画だという。2割以上だ。その多さに絶句したのだが、丁寧な説明を受けて納得もした。
伐採の理由は3つあり、一つは多摩地域に蔓延しているナラ枯れに対応するものだ。2つ目は公園東側の斜面地の土砂崩壊対策(斜面地の下には戸建て住宅がかなり建っている)。3つ目は施設整備に伴うもので、全体として伐採する1,125本のうち実生により繁茂している樹木が約8割(900本)だという。疑問は氷解した。

レンガ坂

多摩市立中央図書館

歩道と図書館へのスロープはいいのだが、手摺り周りは雑草だらけ

改修後のレンガ坂の舗装(左)と新築された図書館側の舗装

従前の3分の1の7mに強剪定されたユリノキ(桜美林台の敷地近く)

痛々しいレンガ坂のユリノキ

剪定されていない樹齢が若いユリノキ(比較していただきたい)

工事中の多摩中央公園

このケヤキの大木は残されそう

廃校が決まった恵泉女学園のグリーンボランティア活動で整備されているクスノキの植栽ます(左)と旧京王プラザホテル(「ここのホテルはとてもおいしかった。大学もなくなり、市の格が落ちるわね」来街者)
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取り留めなく書いてきたが、市にはどうしても言いたいことが一つある。喫煙についてだ。喫煙は人権だと思う。
平成31年3月に市が実施した「多摩中央公園改修基本方針(案)」に関するパブリックコメントには11人の質問が寄せられており、「喫煙所を設けて」という意見は2件ある。これに対して、市は「受動喫煙に対しては、多くの方に公園を利用していただけるよう、前向きに今後取り組んでいきたいと思います」と回答している。
文字通り読めば、喫煙所を設けるとも受け取れるが、〝健幸都市〟〝受動喫煙からあなたを守ります〟と駅前の横断幕に掲げ、まるで喫煙者は健康でなく犯罪者扱いする市が〝多くの方〟でない(11分の2だから18%もあるが)喫煙者の意見など聞かないとも解釈できる。よくある玉虫色、二枚舌だ。
市は条例により公共施設などでの喫煙を全面的に禁じており、屋外指定喫煙所は多摩センター、永山、聖蹟桜ヶ丘駅など数か所しかない。
どこもそうならあきらめるしかないのだが、そうではない。流石なのは〝日本一金持ち〟の東京都港区と23区の財政力が最低クラスの足立区だ。港区は「たばこを吸う人も吸わない人も、誰もが快適に過ごせるまちづくり」の一環として、屋外の公園を含めた指定喫煙場所を約40か所設けている(屋内は数えきれないほどある)。足立区は、歩行喫煙を禁止しているが、公園内の喫煙そのものは禁止していない。「喫煙禁止」の看板もないはずだ。
記者は、日本一美しい街は多摩センターだと思うが、この横断幕を目にするたびに、健康でも幸せでもない、生きるに値しない者であることを自覚させられ、気が滅入る。そんな記者を横目に〝口悪〟カラスは〝バカー〟と一鳴きして飛び去った。

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インド・ムンバイで5千億円規模・総延床100万㎡超の開発 住友不動産

住友不動産は10月17日、インド現地法人を通じて同社単独でインド最大の経済都市・ムンバイの中心部の約8万㎡の超高層複合開発用地を795億円(1.7円/ルピー)で取得したと発表した。
物件は、リッツカールトン・セントレジス・フォーシーズンズなどの五つ星ホテル、富裕層向けのタワーマンション、外資系一流企業が入居するオフィスビルや高級ショッピングモールなどが密集し、職住遊が近接するムンバイ「ワーリー地区」の中心部に位置。同社は今後、総事業費5千億円規模・総延床100万㎡超の日本企業によるインド過去最大の都心再開発となる“超高層複合都市開発プロジェクト”として2030年代の全面開業に向けて事業を推進していく。
ムンバイを擁するマハラシュトラ州は、日本とほぼ同じ約1億2,600万人の人口を抱えるインド全州で最大の経済規模を誇り、州都ムンバイの市域人口は約1,840万人。古くから港町として栄え、中央銀行や国立証券取引所(NSE)、証券取引委員会、各銀行の本店、各国の商工会議所が立地するなど、アジア有数の金融センターとして知られている。1人当たりGDPはインド全州でもっとも高い都市。
同社はこれまで、2019年7月にムンバイの新都心BKC1号案件として地区最大級のオフィスビル用地(約12,486㎡、延べ床面積約13万㎡)を380億円で取得、2022年11月にはBKC2号案件としてオフィスビル用地(約11,885㎡、延床面積約13万㎡)を351億円で追加取得。双方合わせて総延べ床面積は約26万㎡。用地はそれぞれ80年の借地権付き。現在、1号案件は建築工事中で、2号案件も今年8月に土地引き渡しを受け、地下工事着手に向けて許認可手続きを進めている。2026年以降に順次竣工させる予定。
ムンバイBKC地区の優良オフィスビル賃料は東京都心並みの水準であり、投資効率は東京で取引されている収益不動産の3倍以上の利回りが期待でき、今回取得したワーリー地区の開発地は、①割増容積取得により床面積当りの土地代はBKC物件のほぼ半値まで低減させられること②用途制限がない大規模複合開発が可能な完全所有権の土地であることなどから高い収益性が期待できるとしている。
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国内のオフィス賃貸のことですらよく分かっていないので、海外、ましてやインドのことなどさっぱりわからないが、規模の大きさと収益性の高さに驚愕した。今回取得した用地の延床面積は100万㎡を超えるというではないか。約553,000㎡の「TOKYO TORCH Torch Tower(トーチタワー)」の2倍だ。
リリースによると、IMF(国際通貨基金)によるインドのGDP(国内総生産)は、2021年にイギリスを抜いて世界5位となり、2027年には日本とドイツを抜いてアメリカと中国に次ぐ世界3位の経済規模になると予測されている。
GHG排出量40%へ引き上げ 「ESGは経営そのもの。待ったなし」三井不・植田俊社長

植田氏
三井不動産は10月17日、脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画(ロードマップ)をまとめ、新たな目標として2030年度の温室効果ガス(Green House Gas)排出量削減率を40%へ引き上げ、国内全ての新築物件でZEB/ZEH水準の環境性能を実現し、木造賃貸オフィスビルの建築、新しい暮らしの提案「くらしのサス活」提案、再エネ活用、電力グリーン化を国内全施設へ拡大すると発表した。
同社は2021年、同社グループの温室効果ガス(GHG)排出量の2030年度削減目標を2019年度比で35%にすると発表していた。今回はそれを40%に引き上げた。
また、2050年度のカーボンニュートラルを見据えて、メガソーラー事業を約5倍に拡大し、洋上風力・地熱など創エネ事業、東京大学などのアカデミアや建設会社との研究開発、ベンチャー企業への出資や、実証実験の場の提供など新技術創造に向けたオープンイノベーションの推進、建設時CO2排出量削減の取り組みや森林活用など、サプライチェーン全体での脱炭素に向けたパートナーシップを強化することを明らかにした。
記者会見に臨んだ同社代表取締役社長・植田俊氏は「ESGは経営そのもの。待ったなしだ。地球を素材にしているわれわれデベロッパーの責任は重く、川上から川下までを結び付けるプラットフォーマーの当社の役割はさらに重要度を増す。社会的価値、経済的価値、企業価値は同質であり、それを追求していく」などと語った。
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植田社長は会見の冒頭で「社長に就任してから初めての会見」と前置きしたように、今回の会見でもっとも注目したのは植田氏が何を語るかだった。
大きな収穫があった。植田氏は「カーボンニュートラル実現に向けた三井不動産グループの街づくりについて」話したのだが、質疑応答の場面でテキパキと記者団の質問に答え、時間があれば延々と話すのではないかという印象を受けた。〝話し好き〟は歴代社長の誰と比較しても引けは取らないと確信した。(つい先日の10月10日、同社の記者懇親会が行われ、冒頭に植田社長が挨拶を行ったのだが、「記事にはしない」という縛りがあったので、メモはしたが記事にはしなかった)。
以下は、同社の歴代社長の社長就任時の年齢と就任期間だ。
故・江戸英雄氏(明治36年7月17日生)52歳 18年6か月(昭和30年11月~昭和49年5月)
故・坪井東氏(大正4年5月1日生) 59歳 12年1か月(昭和49年5月~昭和62年6月)
故・田中順一郎氏(昭和4年9月28日生)57歳 11年(昭和62年6月~平成10年6月)
岩沙弘道氏(昭和17年5月27日生) 56歳 13年(平成10年6月~平成23年6月)
菰田正信氏(昭和29年6月8日生) 57歳 11年10か月(平成23年6月~令和5年3月)
植田俊氏(昭和36年2月16日生) 62歳 (令和5年4月~)
記者が同社恒例の記者懇親会に出席するようになったのは昭和50年代に入ってからだ。記者懇は、まず坪井社長が挨拶に立ち、続いて江戸会長が乾杯の音頭を取って始まる。それぞれ話す時間は20~30分はあった。いざ乾杯の段階になると、コップのビールの泡は消え、用意されたビール瓶は汗だく状態で、コップに注がれると泡だらけになり、熱燗は冷酒に、冷酒はぬる燗に変わっていた。新米の記者は社長、会長の挨拶を細大漏らさずメモした。それだけで疲れ果てたのを思い出す。それ以来、同社の社長、会長の挨拶が長いのは伝統となった。多少短くなったのは岩沙氏あたりからか。
植田氏については、昨年12月9日に行われた社長交代の記者発表会で、記事の見出しにもとった「産業デベロッパー目指し、日々妄想」の簡にして要を得る強烈なメッセージを発したのを忘れない。
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三井不動産レジデンシャルは10月17日、住宅におけるペロブスカイト太陽電池の活用に関する共同研究を開始したと発表した。
京都大学発のスタートアップでペロブスカイト太陽電池の開発を手掛けるエネコートテクノロジーズと連携するもの。ペロブスカイト太陽電池は2009年に日本で発明されたもので、①20%以上の高い発電効率②薄い・軽い・曲がる③少ない工程で製造が可能などの特徴があり、実用化に向けて世界中で開発が進んでいるという。
今年度中にペロブスカイト太陽電池を同社が供給するマンションの共用部分におけるデザイン性の高い照明や家具、居室内のインテリアへ設置し、日中の太陽光を蓄電し、夜間利用などへの活用を予定している。
「産業デベロッパー目指し、日々妄想」植田俊・三井不動産次期社長(2022/12/11)

