〝安さ〟売り「ザ・ビッグ」に近接 三井不レジ他「昭島中神」 収穫大の今年初の見学
「パークホームズ昭島中神」
三井不動産レジデンシャル(事業比率60%)・西日本鉄道(同20%)・総合地所(同20%)3社JVの「パークホームズ昭島中神」を見学した。マンション見学はほぼ1か月ぶりで、この日(12日)は小雪舞う中、鼻水が出るはメガネが曇るはでマスクに悪態をつきっぱなしだったが、終わってみれば収穫の多い1日だった。今年も極力現地に足を運びレポートしていきたい。コロナはもちろん怖いが、記者が現場を見なくなったらそれは死も同然だ。デベロッパーの広報担当の皆さん、そして現場の販売担当の皆さん、今年も馬鹿な記者に付きあっていただきたい。
物件は、JR青梅線中神駅から徒歩9分(昭島駅から徒歩16分)、東京都昭島市宮沢町の準工地域に位置する10階建て全313戸。1月下旬に販売予定の第1期3次(戸数未定)の専有面積は58.80~81.72㎡、予定価格は3,200万円台~5,100万円台(最多価格帯3700万円台)。坪単価は180~190万円。竣工予定は2022年1月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
昨年12月から販売を開始し、これまで第1期1・2次58戸を供給し、50戸強が成約済み。
現地は、圧倒的人気を呼んだ2002年竣工の「プレイシア」(527戸)に隣接。用途地域からも分かるように工場跡地。周辺はマンション化も進んでおり、嫌悪施設は確認できなかった。〝安さ〟が売りのイオン「ザ・ビッグ昭島店」が徒歩2分、昭島駅前の大型ショッピングモール「モリタウン」が徒歩11分。
建物はF字型で、標準階1フロアの南西向きが14戸、南東向きが13戸、コミュニティガーデン・駐輪場に面した南西向きが8戸。住戸プランは各住棟の角住戸を除きほとんどが66㎡台。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2500ミリ、食洗器、エコガラスなど。
販売事務所所長で三井不動産レジデンシャル都市開発三部事業室主査・太刀川慶氏は「来場制限していることを考え合わせば、販売はまずは順調なスタート。わたしも担当するまで中神も昭島もよく知らなかったのですが、現地近くのスーパー『ザ・ビッグ』はとにかく安い。店がオープンする9時半にはレジに行列ができるほど。大規模『モリタウン』も徒歩圏というのが特徴。来場者の50~60%は市内です。青梅線での当社のマンション? 立川昭和記念公園と河辺の事例があります。昭島市では初です」と話した。
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販売事務所を訪れてすぐ太刀川氏から「北千住の取材でもお会いしている」と言われたとたん、その時の光景がよみがえった。「北千住」は太刀川氏も驚くほどの人気になったが、今回は果たしてどうか。
ほとんどの住戸が60㎡台で、床暖房がついておらず、引き戸もソフトクローズ機能付きでなかったのには驚いたが、生活利便施設が整っている立地第一次取得層にターゲットを絞り込み、価格4,000万円以下にして売る戦略が成功するかどうか。
三井不動産レジデンシャルが青梅線でマンションを分譲するのは今回が初めてではないかと思っていたが、事例はあるようだ。
モデルルーム
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太刀川氏の「安い」と強調したスーパー「ザ・ビッグ昭島店」がいかほど安いか確認することにした。
店内の至る所に「買えば買うほどに安さが分かります!」と大書きされた赤い垂れ幕(看板)が掛かっていた。
取り敢えずタバコを買った。値段は安くなかった。女性のレジ担当者に「タバコは安くならないんですか」と聞いてみた。「タバコは法律で安く売ってはいけないことになっています」と返ってきたので、「他の商品は他社と比べて安いんですか」と畳みかけたら、「当店は安さが売りですが、他店も安くしていますので…飲み物などは安いと思います」とのことだった。
そこで、1缶190円(+消費税10%)のサントリーのプレミアムモルツと東京クラフトビール(この生ビールはとてもおいしい)、特売品の1パック450円(+消費税10%)のイチゴ1パックを買った。ビールはコンビニなどで買ったら230~240円はするので間違いなく安いし、イチゴはこの前、友人にあげるためにスーパーで買ったのは2パック1,500円だったので、これも破格値でないか。太刀川氏の言葉に嘘はなかった。太刀川さんも飲んだことがなかったらぜひ東京クラフトを飲んでみてください。
このマンションを検討される方に一言。昭島市の新型コロナ感染者は1月7日現在315人(わが多摩市は285人)で、人口10万人当たりの感染者(率)は278人(多摩市は192人)なので、10万人当たり1,000人を超える新宿区や港区、渋谷区などの都心の物件を担当するよりはるかに感染リスクは低い。油断は禁物だが、郊外マンションのいいところだ。
もう一つ、途中で大変な僥倖に恵まれた。マリモ「ポレスター昭和記念公園」のモデルルームを見学できたことだ。この記事は後ほど紹介する。
「ザ・ビッグ昭島店」
ほぼ電柱の高さでぶった切られていたトチノキの街路樹
三井不レジ「パークホームズ立川」 「半ソト空間」だけでない魅力あり(2015//9/28)
都の区市町村別コロナ感染者 人口10万人当たり新宿、港、渋谷区の順で1000人超
1月7日現在の東京都の新型コロナの累計感染者と人口10万人当たり感染者(率)を区市町村別にまとめた。
もっとも多いのは世田谷区の5,300人で、以下、新宿区、大田区、足立区、練馬区、港区、杉並区、江戸川区、中野区、板橋区の順。23区でもっとも少ないのは荒川区の1,041人。市で最多は八王子市の1,340人で、町田市、調布市が続く。市部で少ないのは羽村市、武蔵村山市、国立市の順。
人口10万人当たり最多は1,410人の新宿区で、港区、渋谷区を合わせた3区が1,000人を超えている。以下、中央区、目黒区、中野区、台東区、千代田区、豊島区、世田谷区の順。もっとも少ないのは江戸川区。市でもっとも多いのは351人の武蔵野市で、西東京市、三鷹市の順。市部で少ないのは東村山市、東大和市、青梅市の順。
新型コロナ都道府県別感染者 人口10万人当たり最多は東京都493人 最少は秋田県17人
厚労省のデータをもとに1月7日現在の都道府県別感染者数と人口10万人当たりの感染者(率)をまとめた。
感染者は、東京都がもっとも多い68,790人で、以下、大阪府、神奈川県、愛知県、埼玉県、北海道、千葉県、兵庫県、福岡県、沖縄県の順。もっとも少ないのは鳥取県の156人で、以下、秋田県、徳島県、島根県、香川県、福井県、岩手県、山形県、佐賀県、青森県の順。累計感染者は263,158人。
人口10万人当たりでは、もっとも少ないのは秋田県の16.7人で、以下、新潟県、鳥取県、徳島県、島根県、岩手県、香川県、山形県愛媛県、青森県の順。もっとも多いのは東京都の493.3人で、以下、沖縄県、大阪府、神奈川県・北海道、愛知県、埼玉県、京都府、千葉県、兵庫県の順。全国平均は209.3人。
都の新型コロナ感染者 職業公表 医師・医療従事者など多数 大雑把すぎるのが欠点
東京都が新型コロナウイルス感染症対策サイトで公表している昨年10月から1月3日現在の感染者36,858人のうち職業欄に記載がある21,382人の職業を別表にまとめた。
もっとも多いのは会社員の8,062人で、以下、無職2,403人、学生2,105人の順。医師は225人、医療従事者は979人となっている。
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都の職業データからは、全体としてはコロナ禍でも生活維持に欠かせないエッセンシャルワーカーの感染が多いことは伝わってくるが、〝見えない敵〟新型コロナをあぶり出す意味では大雑把すぎて実態は把握できていないのが欠点だ。職業分類表のように分類する必要はないだろうが、もう少し詳しく調べるべきではないか。以下、記者の感想。
まず会社員。これは漠として捉えようがない。業種や内勤か外勤かなど勤務形態についても聞いていいのではないか。経営者や役員なども記載があっていい。
無職は、10歳未満の51人を含め若年層から高齢者まで幅広く分布しているが、これももう少し詳しく調べるべきだろう。
学生は、10代以上の人数を表にまとめたが、中学生や高校生なども含まれていると思われるので、大学生や専門学校生と区別すべき。
その他、自営業、接客業、サービス業、アルバイト、パート職員もどのような職種なのかさっぱりわからない。これでは職業を調べる意図がまったく分からないではないか。
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医師と医療従事者の年代別・性別感染者の分布を表とグラフにまとめた。
医師は、225人のうち約77%の人が男性で、医療従事者では、979人のうち約83%の811人が女性で、このうち20代と30代は512人で63%を占めている。
このデータからも分かるのだが、他の職業を含めて新型コロナは社会的弱者に集中的に襲い掛かり、ジェンダー性差をいやというほどあぶり出している。
菅総理は一都三県の緊急事態宣言発出について記者会見し、以下のように若い人向けに述べた。
「さらに、若い方々にお伝えしたいことがあります。最近の1都3県における感染者の半分以上が30代以下の若者の皆さんです。こうした皆さんは、感染されても多くの場合、重い症状が出ることはありません。しかし、若い方々への感染が更なる感染拡大につながっているという現実があります。どうか皆さんの御両親や祖父母、御家庭、友人など、世代を超えて大切な命を守るために御自身のことと捉えていただいて、行動をお願いしたい、このように思います」
これではやはり総理としての発信力はやや弱い。若い人の感染は確かに多いが、若い人たちの中には医療・介護従事者、接客業、サービス業、その他のエッセンシャルワーカーの感染が多いはずで、十把一絡げの物言いは若者の心に響かない。第2波のとき〝夜の街〟などと〝口撃〟したのと同様だ。小生はこのような時だからこそイソップ童話の〝北風と太陽〟が効果的ではないかと思う。
新型コロナ 爆発的に増加 感染者の〝職業不明〟割合 都は40%超82021/1/9)
新型コロナ 爆発的に増加 感染者の〝職業不明〟割合 都は40%超
東京都の新型コロナ感染拡大が止まらない。1月7日に2,447人となり初めて2,000人台に乗せると8日は2,392人、9日は2,268人と3日連続して2,000人台を記録した。経路不明者は12月23日以降、18日連続して60%台で推移しており、保健所業務もパンク寸前になっているようだ。
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東京都は10月から感染者の職業など属性をホームページで公表している。そこで10月1日から1月3日までの感染者36,858人の年代別・性別属性をオープンデータから調べた。以下、分かったことを紹介する。
まず、オープンデータの職業欄が空白になっている職業不明者について。不明者は15,448人で、不明率は41.9%となっている。この間の感染経路不明率は50~60%台で推移していることと考え合わせると、感染経路不明者の多くは職業も不明であることをうかがわせる。
職業不明者を性別・年代別で見ると、10代の28.6%と20代の38.8%を除く各年代で40%超えとなっている。
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感染者の4割以上の人が自らの職業を明かさないということの意味をみんな考えないといけない。これは前後不覚の状態で病院に担ぎ込まれた人というよりは、むしろ保健所の聞き取り調査に応じない人が圧倒的に多いことをうかがわせる。
調査に応じないのは、感染者の自宅に石が投げられたり落書きされたり、あるいは子どもの登所・登園を断られたりするなどコロナ自警団・警察が蔓延している背景があるからだが、自らの感染リスクにおびえながら必死で医療活動を行っている関係者のことを考えたら、これはいかにも不公平だ。
いま政府は特措法の改正作業を進めており、事業者や法人の罰則を盛り込むようだが、保健所などの経路調査などに応じない感染者に対しても何らかの措置を講ずべきではないか。都もまた、感染者の職業や感染経路を明らかにすることがコロナ感染拡大を防ぐ重要なポイントであることを分かりやすく都民ら伝える必要がある。
調査に協力的でない感染者に対しては、神奈川県のようなポイント制を導入したらどうか。調査に応じない人はマイナスポイントを付与し、治療に優先順位をつけたら、職業不明者は限りなくゼロになるはずだ。
新型コロナ感染者 職業の最多は「不明」35% 退院後の心のケア必要 都のデータ(2020/11/16)
正鵠を射る「ドワンゴ、七尾さん」の質問 国や自治体はもっと分かりやすい説明を
昨日(7日)の新型コロナ感染症に関する菅総理の会見をテレビで視聴した。もっとも的を射た質問をされたのは「ドワンゴ、七尾さん」だと思った。質問が終わった段階でNHKは中継を打ち切った。首相官邸ホームページには全文が掲載されているので、そのまま紹介する。
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(内閣広報官)
それでは、内閣記者会以外の方の御質問も頂きたいと思います。では、ドワンゴ、七尾さん。
(記者)
ドワンゴの七尾と申します。連日お疲れさまです。
第1波のときなのですけれども、西浦教授を始めとする尾身先生ら脇田先生、専門家会議によるシミュレーション、接触8割減という具体的な数値目標を立て、これは奇跡的だと思うのですが、かなり実現できたと思います。
それ以降、今日まで、東京都などの自治体発表による日々の感染者数等以外、大きく伝われているものはございません。国民が納得し、取り組むことができる一体感、これは大事だと尾身先生もおっしゃいましたけれども、今回では、かつてのような人流データ、あるいは企業等のテレワークの実施率、脇田先生のところで進められているゲノム分析など、こうした接触機会を減らすことにつながる様々なデータ、そして国民が一体感を持って目指すことのできる科学的な数値目標をアドバイザリーボードや分科会を始めとする、これまでの国内の科学的知見を総動員して、今後、政府の下で掲げる必要性についてお考えをお聞きします。お願いします。
(菅総理)
まず、科学的な知見に基づいて対策の具体的な内容だとか指標を定めることが重要だというように政府も認識しています。これまでの専門家の皆さんの御議論の中で、ステージ3、ステージ4という、そういう指標をつくってきているところです。
感染者数、病床使用率などについて、具体的な数値は定めさせていただいています。そのほか、感染状況を分析するための各地の人流、このデータも参考にしています。今後とも専門家の皆さんの知見を総動員しながら、その意見や評価を踏まえて政府としては対策はしっかり打っていきたい、そういう思いであります。
具体的な数値目標については、科学的知見については尾身会長からお願いします。
(尾身会長)
今の御質問は、多分2つあったと思いますけれども、1つ目のいろいろなデータを基に、それをしっかりと国民、一般の人にということですが、全くそのとおりで、我々も実は最近で言えば、多分御記憶が、分科会などの記者会見に参加していただいて、1つは人流の流れと、その感染の状況はどういうふうな関係があるかというのは随分分析をして、既に結果をまとめています。
それから、いろいろな介入がありますよね。時短介入だとか、それから当時8月ぐらいの、このいわゆる重点的に、比較的、いわゆる飲食を伴う、そういうとこの検査をしたことによってどれだけ効果があったというのは既にお示ししている。それから若い、これはつい1か月ぐらい前で御記憶があるかと思いますけれども、この無症状者の人が、無意識に感染を起こしているという、これは無意識ですから責任はありません。このこともデータとして、そういう意味で、まだまだやるべきことがあって、さらにデータがあればこれからも発信していくつもりですけれども、そういうことだけは。
あとは、目標という意味ですが、例えば今回のいろいろな解除についての目標とかということですけれども、これは数値の目標というものは一つの目安であって、それを総合的に判断しなくちゃいけない。なぜかといいますと、2つの理由があって、感染の状況というのを把握するのは数値だけではなくて、その他定性的な医療の体制の問題だとか、そういう我々は実態を知りたい、実態に近付くためには、感染者数だけあっても極めて部分的なこと、実態の部分的なことしか見られないということがまず一点です。
もう一点は、仮に数を決めて、例えば解除するとか何か対応、いわゆる数値の感染者数が幾つということだけでやったときに何が起こるかというと、実は感染者の数はある程度合格したけれども、実際に医療の体制がまだ全く求められるレベルに行っていないということもあるので、そういう意味で、数をそれだけ、当然、目安としての数はもう示しているわけですよね。だけれども、それだけで判断するというのは、私は誤る、だから、数値も参考にして総合的に判断するということが極めて大事だと思っています。
◇ ◆ ◇
小生は昨年の3月以降、東京都の新型コロナ感染症対策サイトが公表している感染者のオープンデータを入手し、リソースから年代別・性別感染者属性の推移を追い、その都度記事にしてきた。感染者を年代別・性別に分けることで、コロナは不公平な社会をあぶり出したと思う。
データ収集でもっとも注目してきたのは経路不明比率だった。感染が少ない時も多い時も都の経路不明者は50%前後で推移しているのは、保健所が疲弊して追跡調査が行えなくなったことよりも、感染者側に事情があるのではないかという仮説を立て、「新型コロナ 感染経路不明者が減らない理由 〝闇社会〟〝二重就業〟も一因」(2020/5/11)という見出しの記事を書いたところ、アクセスが殺到した(1月8日現在アクセス数は約5.6万件)。
「ドワンゴ、七尾さん」が「今日まで、東京都などの自治体発表による日々の感染者数等以外、大きく伝われているものはございません」と語ったのは正鵠を射るものだ。数値を生活者の視点で眺めれば、医療・介護従事者だけでなく、飲食店などで働く二重就労の問題にたどり着くのは容易なことだ。
厚労省は感染者の数値を毎日公表している。アドバイザリーボードは実に詳細だ。しかし、その数値の意味するものについて分かりやすく国民に伝えているかとなるとはなはだ疑問だ。各都道府県のホームページも同様だ。
1月7日現在、全国で約258,000人、東京都で約69,000人もの感染者がいるが、その具体的な情報は共有されているのか。今回の新型コロナでは疫学者の活躍が目立つが、先生方も正確な情報収集に苦労されているのではないか。
国と自治体が正確なデータ収集と公表を怠った典型的な例は、Go Toキャンペーンだろう。東京都も対象になった10月の段階で感染者は減少を示す数値ではなかった。むしろ、北海道などの数値は明らかに〝東京経由〟の感染拡大であることをうかがわせていた。
それでも国はキャンペーンを強行した。メデイアも煽った。10月半ばから都でも増加が目立ち始めたが、政府は一貫してキャンペーンと感染者の数値はエビデンスがなく、因果関係は分からないと言い張ってきた。そもそもキャンペーン利用者を追跡調査することなどはなから考えていなかったのだろう。
今回の緊急事態宣言発出について、菅総理は「経路不明の大半は飲食」と語ったが、劇的な効果が果たして期待できるのか。
飲食店を十把一絡げにして論じるべきではないと思う。例えばホテル。記者はこの10か月間ほとんど外食はしていないが、やむを得ないときは一番安全と思われるホテルやレストランを利用した。十分な感染対策を施し、利用者の追跡調査などを行っている飲食店は時短の対象外としてもいいのではないか。時短要請と追跡調査を一体として実施しないと、感染抑制は難しいような気がしてならない。
経路調査でいえば、北海道に注目している。12月25日現在、北海道の経路不明率は28.2%で、全国平均の47.9%を大きく下回っている。
これが感染者の減少とどのような関係があるのか分からないが(これこそ国民が一番知りたいこと)、感染経路がたどれているのは、厚生労働省のクラスター対策班の一員として北海道の第一波を早期に収束させた功労者といわれる西浦博・京都大学大学院教授(当時北海道大学教授)が説く「徹底してクラスターを叩く」ことを守っているからではないか。
宣言当日 都のコロナ感染者 激増の2,447人 経路不明は16日連続60%超
一都三県に新型コロナ緊急事態宣言が再発出された1月7日、東京都の感染者は2,447人となり、前日記録した過去最多の1,591人を856人も上回る最多記録を更新した。
年代別では、20代、30代、40代、50代が前日より100人以上増加するなど、90代を除く各年代で最多記録を大幅に更新した。
年代・性別では、20代男性が10,267人となり10,000人を突破した。経路不明者は1,645人(不明率67.2%)となり16日連続して60%を超えた。累計感染者は68,809人となった。
前日との比較
生と死の永遠のテーマを考えさせてくれる「丸山健二の〈文学〉オンラインサロン」
酒もたばこも嗜なまず粗食に徹し、ギャンブルや女男・風俗とも無縁で、権力や反権力、文壇、神仏などの類との関りも絶って長野の田舎町に引っ込み、ひたすら人類と純文学の永遠のテーマである生と死のあり方を問い続ける作家-丸山健二氏(76)を皆さんはご存じか。※
酒とたばこを断ち切れず、ギャンブルや風俗にも人並み以上に足を突っ込み、神様仏様(それと稲尾様)にすがったことも数えきれないほどある、丸山氏と真逆の人生を歩む小生だが、なぜか丸山小説にはまり込んで30年以上が経過する。
酒を嫌悪される丸山先生に失礼だが、例えていえばビンテージのワインかウィスキー、あるいは日本酒の古酒だ。
並みの小説とは比べものにならないが、敢えていうなら、並みの小説などは1時間に50~100ページくらいは読めるが、丸山小説はせいぜい20ページくらいではないか。これくらいの差がある。丸山小説は、数行読んだだけで行き詰まり、ぱたりと本を閉じることもしばしばある。見たことも聞いたこともない難しい語句・語彙が登場するからでもあるが、ぐさりと肺腑をえぐられ、呻吟せざるを得ないからだ。
尋常では考えられない暗喩、隠喩(メタファー)が文中の至るところにさりげなく散りばめられており、それを探すのは、あたかも砂漠の中でダイヤモンドを探り当てるような楽しみも丸山小説にはある。
丸山氏ほど日本語を自在に操る作家を小生は寡聞にして知らない。わが国の作家でノーベル文学賞を受賞したのは川端康成と大江健三郎氏の2人(カズオ・イシグロ氏は日本語では書かれていないはずだ)だが、小生は丸山氏こそが世界に誇れる日本人作家だと信じて疑わない。(同じように考えている人はほかにたくさんいるはず)
しかし、丸山氏の最近の小説は「詩小説」とも呼ばれるように韻を踏む言葉も多発するので外国語に訳すのはとても無理-つまりノーベル文学賞の選考対象にならない-のが残念でならない。(ノミネートされたら丸山氏は拒否するかもしれないが)
※丸山氏より1歳下の同じ芥川賞作家の辺見庸氏は昨年10月、毎日新聞のインタビューで菅義偉首相について「特高顔が怖い」と答え、そのまま大きな見出し付きの記事になった。
この記事を読んで小生は驚愕した。辺見氏は特高を知らないはずなのでよくぞそんなことをしゃべったものだと。そしてまた、毎日もそのままそんな見出しを付けたものだと。
これには続きがある。菅総理はこの記事に激怒したと週刊誌が報じた。菅首相は「辺見って何者だ」と関係者に聞いたそうだ。同じ団塊世代の菅氏が辺見氏をご存じなかったというのに小生はまた驚いた。辺見氏をご存じないのなら、あの学術会議の任命を拒否した6氏のこともご存じなかったのだろうと確信した。
菅首相は辺見氏と同等かそれ以上に〝過激〟な丸山氏をご存じだろうか。
◇ ◆ ◇
記者はこれまで、わが業界紙について何度も批判的な記事を書いてきた。他意は全くなく、ひとえにジャーナリズムとして業界に役立つ記事を書いてほしいと願うからだ。
もう一度、ここで業界紙の記者としてどうあるべきかの見本を紹介する。小生のことではない。前段で紹介した丸山氏の著作とその姿勢だ。
丸山氏は1994年、「まだ見ぬ書き手へ」(朝日新聞社)を著した。プロの小説家を目指す人向けではあるが、われわれ記者にも、そしてあらゆる職業の人に対しても示唆するものが多いはずだ。少し紹介する。
「(本物の小説家を目指す人は)できれば交際を絶ってください。これまでだらだらと付き合ってきた友人を遠ざけ、職場の同僚とも一線を画してください」
「見て気付いたこと、思いついたことを片っ端から書きとめるノートをたくさん用意してください。外出用のノート、枕元用のノート、居間用のノート、トイレ用のノート、職場用のノートとあれこれ使い分けてください」
「他人を見る、世間を見る、外界を見る、それも必要以上に見るということは、自己の内面を覗き込む以上に、小説書きにとっては大切なことなのです」
「小説に限らす、どんな仕事でもきちんとやってのけようと思い、少しでもいい仕事を考えるなら、時間がかかって当然なのです」「(書き直しは)最低でも七回くらいはやる必要があります」
「時の首相と食事をしたり、勲章の類を喜んでもらったり、芸術院の会員になりたがったり、政府が呼びかける協力に応じたりするときは、もはや自分が芸術家でも何でもない、ただの俗人になりさがってしまったことを自覚すべきなのです」
「これからの書き手は孤独と戦うことから始めなくてはならないのです。口先だけではなく、ポーズだけではなく、真に救済の文学を目指すのでしたら、孤独に立ち向かい、孤独を捩じ伏せ、孤独を超越する道を歩かなくてはならないのです。その道を歩む書き手だけが、より高い未踏峰に登ることができ、新しい鉱脈を掘ることができるのです」
◇ ◆ ◇
皆さん、どうですか。仲間との交際を絶てとか、ノートは何冊も用意しろとか、書き直しは最低でも七回行うべきだとか、これを実践できる人はそういないはずだが、その姿勢だけは吸収したい。最近話題になっている会食や学術会議についても、丸山氏は26年も前に厳しい指摘を行っている。耳が痛い評論家や芸能人、文化人はたくさんいるはずだ。
いま丸山氏は、自ら立ち上げた「いぬわし書房」を通じ、これまで語ってこなかった自著の背景を語り、さらに参加者の悩みや質問に回答する「人生相談」コーナーも設けた「丸山健二の〈文学〉オンラインサロン」を昨年から開催している。
オンラインサロンは1時間30分で、これまで12回行われており、丸山氏は何度も〝冷徹な観察眼〟〝嫌らしいほどの観察〟を強調した。記者は「先生のおっしゃる嫌らしいほどの観察とは、見えないところを観る心眼ではないか」と質問したら、次のような回答があった。
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もちろん心眼も大事だが、核心に迫るには肉眼での観察が大事になってくる。肉眼での観察は昆虫学者、動物学者、植物学者と同じ。冷徹な観察眼でじっくり見るということです。
皆さんは、目を開けてちゃんと生きているが、本当は見ているようで見ていない。細かいとこまで見ていない。それをやってしまうと時間がだんだん無駄になって、生きていくのが大変ですからね。生活できなくなるから。
われわれ小説家はそれが生きる証みたいなもの。じっくり見るというのは、対象が誰でもいいということではない。自分の感性に引っかかった人、あれっこの人何? これはなんだろうと。どうでもいいやと思わないで2歩も3歩も前に出て見てしまう。
カメラでいえば、ズームではなくて普通の50ミリレンズで肉薄する。普通に撮れる正確に撮れる画面がゆがまない普通のレンズを付けて撮るには、一歩も二歩も踏み込まなければならない。
踏み込まれたほうはたまったもんじゃないですよね。カメラはともかくとして、近くから肉眼で(わたしのような)サングラスをかけた反り込みのおっさんにじっと見られたら迷惑ですよね。それでも見ちゃう。なるべく近づいて、その人の話を立ち聞きし、身なりから髪型、服装までじっくり見る。そういうところから核心に迫れるんです。
これはスパイがよくやる方法なんです。普通のスパイは観察だけでいろんなことを組み立てていくわけです。そこからとんでもないことが分かる。性格からから趣味、弱点まで分かる。そのような観察はその気にならないとそこまで到達できない。それと修練。修練を積むうちにだんだんわかってくる。
ただし、われわれは探偵やスパイではない。捉え方が間違っていても構わない。単なる妄想でも構わない。それでも小説としては成り立つ。かなり生々しい現実をバックボーンにして物語を組み立てられる。これが大事なこと。
絵空事の物語ではあるが、リアリティをもって読者に伝える。読み手の皆さんを読んでいる間がっちり捕まえて、読んだ後、これはもしかしたら自分のことではないか、ひょっとしたら現実そのものを描いているのではないかという、重い感動を与えられたらと思っては書いています。それが純文学の所以ではないかと。
◇ ◆ ◇
皆さん、どうですか。記者の質問に丸山氏は上記のように丁寧に答えてくださった。わが国の現代作家の最高峰から直接声を聞き、質問にも答えてもらえる-こんな僥倖はない。
コロナ禍で苦労されている皆さんにもオンラインサロンへの参加をお勧めしたい。1時間30分も丸山節が視聴できて2,500円(+消費税)というのは、わが多摩市の名酒・原峰の泉とほとんど同じだ。先生、またまた酒と比較してごめんなさい。
「丸山健二の〈文学〉オンラインサロン」のURLを紹介する。
宣言前夜 コロナ爆発的に増加 都は1,591人 不明率は70%超
1月6日の東京都の新型コロナ感染者は1,591人となり、1日の感染者としては12月31日の1,337を大きく上回る過去最多を記録した。年代別では10代、80代、90代を除く各世代で過去最多を更新した。全国でも6,001人となり、初めて6,000人を突破した。
経路不明者も1,140人で、経路不明率は71.7%と70%台に乗せた。不明率が60%を超えるのは15日連続。1週間の感染者は7,503人で、経路不明者は5,124人で、平均不明率は68.3%と7割近くに迫っている。保健所の追跡調査も危機的状況にあることをうかがわせている。
以下、最多記録を更新した各年代の感染者数。( )内は過去最多。
・10代未満 41人(12/24 30人)
・20代 441人(12/31 385人)
・30代 330人(1/5 256人)
・40代 287人(1/5 205人)
・50代 192人(12/31 178人)
・60代 105人(1/5 88人)
・70代 81人(1/5 73人)
5日の都のコロナ感染者 過去2番目の1,278人 経路不明率は14日連続60%超
1月5日の東京都の新型コロナ感染者は1,278人となり、1日当たりの感染者は12月31日の1,337人に次ぐ多さとなった。年代別では30代、40代、70代が過去最多を記録した。経路不明者は881人(不明率68.9%)で、14日連続して60%を超えた。過去最多となった年代・性別は次の通り。( )内は過去最多。
・30代男女 256人(12/31 248人)
・30代男性 155人(12/31 149人)
・30代女性 101人(12/31 99人)
・40代男女 205人(12/31 195人)
・40代男性 132人(12/31 122人)
・40代女性 73人(12/31 73人)
・70代男女 73人(12/31 62人)
・70代男性 47人(12/31 33人)
・80代男性 27人(12/31 19人)
新型コロナ 緊急事態宣言へ 飲食店の時短だけで効果あるか/どうなる特措法の罰則(2021/1/5)