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 東京都の5月2日の新型コロナ感染者は879人となり、日曜日の感染者数としては1月24日の986人に次ぐ高い数値を示した(累計感染者数は141,005人、人口比で約1.0%)。変異株の影響か、10代の感染者が激増しているのが特徴で、2~3月では1日平均18人だったのが、4月以降は43人と2.4倍に増加、最近は連日のように60人を突破している。

 4月9日にまん延防止等重点措置が取られてから20日以上、4月25日の緊急事態宣言から1週間経過した。第一波のときは、5月3日(日)に93人と100人を切ってから5月17日(日)には5人まで減少し、7月2日(木)に107人を記録するまで約2か月間は2ケタにとどまっていた。今回の第四波はどのように推移するのか、目が離せない。11日の宣言解除まで8日間しかない。

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 メディアはこの日(5月2日)、西村康稔経済再生担当相が記者会見で「変異ウイルスの感染力の強さに注意を促し、『屋外でマスクを付けていても感染が確認される事例の報告が相次いでいる』と警戒を呼び掛けた」と報じた。

 記者は、この西村大臣の発言にショックを受けた。確かにゼロリスクはありえない。「杞憂」はもはや死語と化しつつある。車が歩道に突っ込み、時には空からも人や車が降り注ぐこともある。一寸先は闇、何でもありの時代だ。

 だが、しかし、屋外でマスクを付けていても感染する事例が相次いでいるというのは具体的にどのようなケースか、空気感染もありうるのか。

 この西村大臣発言と、厚労省の「新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、他の人に感染させているのは2割以下で、多くの人は他の人に感染させていないと考えられています。このため、感染防護なしに3密(密閉・密集・密接)の環境で多くの人と接するなどによって1人の感染者が何人もの人に感染させてしまうことがなければ、新型コロナウイルス感染症の流行を抑えることができます」(この日本語は分かりづらい=多くの感染者は他人に感染させる率は低いといいながら、すぐ打ち消して、1人の感染者が何人もの人に感染させるとはどういう意味か=新型コロナウイルス感染症の〝いま〟に関する11の知識)とはどこで整合するのか。

 そういえば、菅総理も第三波の緊急事態宣言を発令するとき「経路不明の大半は飲食関係とする専門家の知見がある」と発言した。しかし、「大半」はどの程度なのか説明はなかった。

 具体的数値・知見を示さず「相次ぐ」「大半」を語ったところで、コロナの嘲りに対する反撃にはならない。疑心暗鬼を招くだけだ。

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 記者がどうしても腑に落ちないのは、改正「特措法」「感染症法」が2月13日に施行され、保健婦を増強し、積極的疫学調査に力を入れているはずなのに一向に感染経路不明率が下がらないことだ。

 都の経路不明率は4月に入ってから5割を切ったのは1度もなく、逆に6割超は11日もあり、1日平均58.4%に達している。〝5割の壁〟は突破できていない。この5割超の不明者のうち「大半」は飲食関係なのか、「屋外でマスク付けていても感染」するのは本当か。

2日は879人 第四波突入 日曜としては1/24以来の高水準 東京都 新型コロナ感染者

 


 

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「Sumi-Ka+ №.3 空の稔」

 ポラスグループ中央住宅が分譲中の「Sumi-Ka+ №.3 空の稔」を見学した。共働き夫婦など小家族向けにターゲットに絞り込み、建物面積を80㎡に抑えることで価格もファミリー向けより500万円くらい低く設定し、プランも1LDKにするなど工夫を凝らしている。分譲戸建ての常識を覆す商品企画が注目される。

 物件は、新京成電鉄みのり台駅から徒歩7分、松戸市稔台7丁目の第二種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する子育てファミリー向けの「HITO-TO-KI」(14棟)と共働き夫婦向けの「Sumi-Ka+」(4棟)からなる全18棟。従前は社宅。現在分譲中の「Sumi-Ka+」(2戸)の土地面積は120.10~120.11㎡、建物面積79.49~83.63㎡、価格は3,780万円。構造は木造在来工法2階建て。施工はポラテック。建物は完成済み。

 現地は、分譲済みのファミリー向けの「HITO-TO-KI」との一体開発だが、「Sumi-Ka+」は東西軸が細長い敷地形状で、南西側の前面道路も4~5mしかなく、住宅も道路から約2.6mの擁壁の上に建っており、駅からほぼフラットで全面道路幅も10mの「HITO-TO-KI」と比べ立地条件はやや劣る。

 コンセプトは、「共働き夫婦2人の住処」「2~3人家族の住処」「Farst Stage家族」。住戸プランは、2階にグランピングバルコニーを設けたものも2戸あるが、残りの2戸はバルコニーが付いておらず、どちらかといえば外に閉じられたプランだ。小家族の居住を想定しているため、1階は広々としたLDKのほかは2ボウルのパウダールーム、浴室、トイレなどで、2階は寝室にもなるセカンドリビング、主寝室、SOHOルーム、室内物干しスペースなどとしているのが特徴。間取りは1~2LDK。

 設計を担当した同社不動産ソリューション事業部不動産開発部のプロジェクトリーダー・村田嵩胤氏は、「コロナ禍でチラシなど広告などを打っておらず、ホームページによる告知のみだが、コンセプトに共感を頂いている。この種のプランに対するニーズが存在することは同じプランの『浦和』でも経験済みで、他のエリアでの展開も考えている」と話した。

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住棟配置(右側がファミリー向け「HITO-TO-KI」)

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「HITO-TO-KI」

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 「Sumi-Ka+」は、従来の分譲戸建てのイメージ・概念の盲点をついた商品だ。これまでの分譲戸建てはほとんど100%子育てファミリーの入居を想定している2~3階建てで、間取りも4~5LDKというのが一般的だ。共働き夫婦二人向けなどは、郊外部でたまに供給される高齢者向け平屋建てくらいしかない。

 しかし、「Sumi-Ka+」はDINKS向けにターゲットを絞り込んだ商品のため、難点を逆手に取った大胆な提案を可能にしている。土地・建物面積を小さくする一方で、2人の豊かな居住空間を作り出し、価格は同じ道路付けの「HITO-TO-KI」と比べ500万円くらい低く抑えられている。

 こうした大胆な提案ができるのは、不動産ソリューション事業部の仲介部門からもたらされるお客さんの個別情報に基づくニーズがあることを把握しているからだろう。

 確かに、個人住宅ならともかく、ファミリー住宅で構成される中大規模住宅地では、コミュニティの輪に入っていけない世帯は少なくないのも事実だ。

 例えば、子どもが欲しくてもつくれない、あるいは子どもを欲しくない共働き世帯。そうした世帯にとって、親子が楽しそうに遊ぶ場面など見たくないかもしれない。老夫婦だってそうだ。3~4部屋などいらない。2階を物置にしている世帯も多い。

 意表を突いた商品企画ではあるが、潜在的なニーズは間違いなくある。記者は爆発的にヒットしても驚かない。わが国の世帯構成は、高齢化も背景にはあるが、「夫婦のみ」がどんどん増加し、ほぼ3分の1を占めている。

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モデルハウス1

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モデルハウス2

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造作ダイニングキッチン

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 価格が安いからといって、基本性能・設備仕様が低いわけではない。リビング天井高は2.7mだし、サッシ高も2.2mある。全棟造作ダイニングキッチン、防犯ガラス・電動シャッター付きだ。2ボウルの洗面室など普通の分譲戸建てにはないはずだ。見学した2戸にはトップライトもついていた。主寝室にはセカンドシンク&冷蔵庫を設けるなど細かな配慮も見られる。

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2ボウルパウダールーム

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下部は冷蔵庫置き場にもなるシンク

納得の即日完売 デザイン・設備仕様レベル高い ポラス「市川菅野」16棟

コミュニティ育む仕掛けに驚嘆 従来の常識覆す ポラス「Sumi-Ka 新故郷」

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「佇美の家~たびのいえ~市川・菅野」

 ポラスグループ・ポラスガーデンヒルズの分譲戸建て「佇美の家~たびのいえ~市川・菅野」を見学した。高級住宅街として知られる「市川菅野」に位置しており、2月13日の販売開始の時点で即日完売した。デザイン・設備仕様レベルが高く、納得の即日完売だ。

 物件は、京成本線菅野駅から徒歩7分(JR市川駅から徒歩15分)、市川市菅野三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する開発面積約2,500㎡の全16棟。土地面積は104.60~110.50㎡、建物面積は95.43~108.90㎡、価格は5,790万~6,690万円。構造は木造在来工法2階建て。施工はポラテック。建物は完成済み。

 現地は、古くから別荘地として栄え、「東の鎌倉」として多くの文人などが住んだ「市川菅野」の高級住宅街に位置。良好な住宅地を形成するため、地区計画により最低敷地面積は110㎡以上と定められているエリアの一角。従前敷地はコインパークだが、以前は隣接する日出学園の敷地。

 建物外周にイロハモミジ、アオダモ、シマトネリコなどの中高木をふんだんに植え、自然石を採用した門柱、ベンチ、花壇、花台を設置しているのが特徴。樹木は有限会社田主丸緑地建設の協力を得て、九州のGreen Tankから取り寄せた山採り樹形が美しい樹木を選び、門柱は割肌仕上げのブラックの凝灰岩、植え込みの立ち上がり部分は「ランダムサイズ」「凹凸のある表情」がある天然石で仕上げている。

 各住棟は、和テイストの「趣」、非日常を提案した「彩」、食を楽しむ「心」を提案。天井化粧梁、突板フローリング、いぐさ畳、エコカラット壁、エンボス仕上げのキッチンカウンター、ミストサウナ、アルミ&樹脂複合サッシなどを装備。リビング天井高2.7m、サッシ高は2.2m。

 10月23日から予告広告を出し、2月13日の販売開始まで約380件の反響を集め最高5倍の倍率を集め即日完売。キャンセル住戸が1戸出たため、その後30件の上積みがあった。

 設計を担当した同社設計部企画設計課課長・工藤政希氏は、「営業と一体となった空間づくりを行ってきた成果。最近は外構、エクステリア、デザインに力を入れており、街づくりに磨きをかたい」などと語った。

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インテリアカラー:ブラックチェリー

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インテリアカラー:イタヤカエデ

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モデルハウス

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モデルハウス

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工藤氏

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 昨日記事にした「Sumi-Ka №.2 新故郷」(松戸市)にはインパクトの点で負けるが、即日完売は当然と思える出来栄えだ。添付した写真を見ていただきたい。敷地が100坪を優に超える周辺の邸宅にはかなわないが、きちんと街づくりを行っている。外構のカエデモミジなどの樹木は10m以上のものもあった。竣工の段階でここまでの高木を植えるデベロッパーは少ないはずだ。その緑を取り込む窓にも工夫を凝らしている。

 天然木のナラ、イタヤカエデ、ブラックチェリーの突板フローリングや、花壇、ベンチ、門柱などに自然石をふんだんに用いているのも目を引く。

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花壇

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門柱

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コミュニティ育む仕掛けに驚嘆従来の常識覆すポラス「Sumi-Ka 新故郷」(2021/5/1)

なぜ人気ポラス「船橋・北習志野」91戸潜在ニーズ引き出す「ヒーリング街区」①(2018/12/17)

なぜ人気ポラス「船橋・北習志野」在宅ワークも視野に「サードプレイス街区」②(2018/12/19)

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「Sumi-Ka+ №.2 新故郷」PLAN1

 ゴールデンウィークに突入し、普段なら心が浮き立つのに、昨年に続き今年も新型コロナが猛威を振るっているせいで現場取材は激減し、心はどんよりと沈んだままのこの日(4月30日)、ポラスの分譲戸建て「佇美の家(たびのいえ)」(市川市)「Sumi-Ka+ №.3 空の稔」(松戸市)「Sumi-Ka+ №.2 新故郷」(松戸市)を見学した。午後の半日を飲まず食わずで丸々費やしたが、取材を終えた後は心が沸き立った。それぞれコンセプトが斬新で、素晴らしい物件だ。

 さて、この3物件の中からどこから紹介するか。取材順なら冒頭に書いた通りだが、従来の分譲戸建ての概念を一変させた商品企画の「Sumi-Ka+ №.2 新故郷」を真っ先に取り上げる。

 物件は、新京成電鉄みのり台駅より徒歩7分、千葉県松戸市稔台2丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全3棟。敷地面積・建物面積・価格はそれぞれPLAN1が132㎡・118㎡・5,480万円、PLAN2が117㎡・98㎡・4,380万円、PLAN3が104㎡・80㎡・3,880万円。企画・設計は中央住宅不動産ソリューション事業部不動産開発部。施工はポラテック。構造は木造在来工法2階建て。建物は完成済み。

 最大の特徴は、3棟を異なる個性的なプランとすることで、3家族がお互いの価値観を尊重し、ともに助け合うコミュニティを創造する「『日本の古き良き文化』を現代に置き換えた街創りを提供」(同社)していることだ。

 3家族のコミュニティを醸成するための空間デザインとして、近所の人たちと会話できるようにPLAN1の道路に面した庭にはベンチを設置。PLAN1の1階の駐車ガレージと住居部分の間に幅165センチの「Common Space」(エントランスゲート)を設け、PLAN2とPLAN3の居住者が自由に通れるようにし、さらに、それぞれの住棟間にはフェンスを設けず、デッドスペースを家庭菜園や専用庭として利用できるように「協定」を結ぶことにしている。

 PLAN1は「Long Life」と名付け、子育てだけでなく将来親との同居を想定。子どもが独立したときは1階と専用庭を両親の空間とし、中2階のリビング繋いで2階は夫婦の寝室として利用できるように設計。PLAN2の子どもが病気になったときは預かり世話ができるスペースも確保している。

 「Family」と名付けたPLAN2は、共働きの家族を想定。PLAN3の夫婦と子ども2人が中央広場で遊び、PLAN1の家族と一緒に家庭菜園を楽しめるようにしている。

 PLAN3は、「Ko Kazoku」とあるように夫婦の「個」を尊重し、子供はいないが、PLAN2の子どもの面倒を見ることをいとわない夫婦の入居を想定している。

 企画・設計を担当した同社不動産ソリューション事業部は、店舗数25店、営業スタッフ150人の仲介事業を中心とする総勢190人の部署で、不動産開発部は年間約150棟の分譲戸建てを販売している。

 設計を担当したプロジェクトリーダー・村田嵩胤氏は、「『新故郷』の文字には、住人同士で支えあい信頼関係を気づける街づくりを目指す『信個共』、誰もが持つ心の弱さや孤独を補い合い境界のない関係を築く『心孤境』、震災などの記録・記憶を子どもたちに伝える『震子教』のメッセージを込めました。私は入社14年目で、最初からソリューション事業部所属。最初の3年間は仲介営業を担当し、設計希望だったので1級建築士の資格を取得しました。この種の商品企画は仲介営業を通じて得られるお客さまの様々なニーズから生まれたものです。今月5月12日が34回目の誕生日です」などと語った。

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エントランスゲート

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村田氏

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 夫婦2人の居住を想定しているPLAN3のモデルハウスは実によくできている。建物面積は80㎡だが、1階はLDKとトイレ、2階はセカンドリビングにもなる主寝室、スキップフロア&ベッドスペース、浴室、2ボウルの洗面、トイレ、ウォークインクローゼットの1LDKなので広々としている。リビングドア、サッシは高さ2.4m、リビング天井高は2.7m。

 床・壁・天井などに本物の木を多用し、トップライト、セカンドシンク、ミニ冷蔵庫置き場、造作ベンチなどを設置。価格には建具家具も含まれる。

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 見学したのは午後5時を過ぎていた。「佇美の家(たびのいえ)」を見学するために昼過ぎに家を出てから何も食べておらず、移動の合間にタバコ一服とミニペットボトルのお茶を飲んだきりだった。早く帰らないと西武ライオンズの応援ができないではないかと焦っていた。同社の戸建ての特徴は見なくても分かる、たかが3棟の戸建てを見てどうするのだと正直思った。

 ところが、どうだ。道路に面したPLAN1は立派な建物で、1階中央が通り抜けられるようになっており、しかも、その通路は「協定」、つまり民法で定めた地役権ではなく、紳士協定と村田氏がいうではないか。

 これまで共有のコモンスペースを設けたものや、境界線を取り払った戸建て住宅地はたくさん見学してきたが、このような住棟にエントランスゲートを設けたものは初めて見た。それぞれの敷地を家庭菜園や専用庭として使えるというのもまずないはずだ。普通のデベロッパーだったら敷地を四角に切って4棟にするはずだ。

 このような分譲戸建ての常識を根底から覆す商品企画を生み出したのは、村田氏も話したように、お客さんの生の声を日常的に聞いている営業と一緒に取り組んでいるからに違いない。記者は、今年のグッドデザイン賞大賞を受賞するのはこの物件ではないかと思う。

 取材を終え、帰途についたのは午後6時過ぎだった。みのり台駅近くの酒屋で缶ビールを買って店先で飲んだ。五臓六腑に染みわたるとはこのことを言う。ポラス広報と村田さんに感謝!感謝!西武ライオンズも完勝した。

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 野村不動産ホールディングスは4月27日、2021年3月期決算を発表。売上高は5,806億円(前期比14.2%減)、営業利益は763億円(同6.8%減)、事業利益764億円(同7.7%減)、経常利益は659億円(同9.7%減)、純利益は421億円(同13.7%減)となった。

 新型コロナウイルスの影響額は、事業利益ベースで約140億円(2020年7月時点では同200億円と想定)となり、当初予想から60億円減少。各部門の利益率向上・経費削減 による約100億円の利益の増加により、事業利益は前期比7.7%減の764億円となった。

 事業別では、住宅部門は計上計画が少なかったうえ、新型コロナの影響により一部物件の計上時期を変更したことで、マンションと戸建てを合わせた計上戸数が3,669戸(前期比1,070 戸減)と減少。粗利益率は22.6%(前期20.4%)と向上した。2022年3月期計上予定売上高3,150億円(戸数:4,400戸)に対する期初進捗率は65.3%と堅調に推移している。

 都市開発部門は、新型コロナの影響により商業施設の賃貸収入やホテル事業、フィットネス事業の収入が減少した一方で、オフィスビル、物流施設を中心とした物件売却が堅調に推移し、売却粗利益は211億円(前期比20.1%増)となった。

 サービス・マネジメント分野は、私募REITを中心に運用資産残高が増加し、CRE部門、運営管理部門は、新型コロナの影響を一部受けたものの、主に年度後半にかけて、仲介取扱高の増加、および受注工事の利益率改善などによって回復し、サービス・マネジメント分野全体では増収増益となった。

 2022年3期の業績予想は、売上高6,800億円、営業利益770億円、事業利益840億円、経常利益725億円、純利益495億円と増収増益を見込む。売上高、事業利益、純利益は過去最高となる見通し。

 配当は、2020年5月に公表した配当予想を修正し、2021年3月期の年間配当金を1株82.5円と9期連続の増配とする。2022年3月期の年間配当は85.0円の予定。

 アキュラホームグループと地域ビルダー組織・スマートアライアンスビルダーは4月28日、住宅を建てる際に建築費にとどまらず、月額の光熱費(電気・ガス代)を表示する「日本初(※)住宅の燃費表示制度」を5月1 日(土)から開始すると発表した。月額の住宅の燃費(光熱費)を表示することで、住宅のエネルギーを見える化し、省エネや脱炭素社会への消費者意識を高めるのが狙い。

 住宅建設時に1年間の光熱費をシミュレーションした数値を保証し、光熱費がオーバーした分をアキュラホームがキャッシュバックし、下回った場合は差額分を還元する。保証の1年間が終了した後も、省エネを意識した暮らしを促すことを目的としている。

※年間建築棟数2,000棟の全国規模での光熱費表示制度の開始、全棟1年間保証についての取り組みは日本初

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 光熱費の見える化はいろいろなところが取り組んでおり、光熱費アプリも普及している。新築住宅には省エネ等級などを示すBELS表示制度があるが、★印なので消費者にとっては分かりづらいという指摘もあることから、国土交通省は「住宅の省エネ性能の光熱費表示検討委員会」を立ち上げ、検討を進めている。

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「クレヴィアリグゼ門前仲町」

 伊藤忠都市開発は4月27日、結婚情報サービス「ゼクシィ」編集部と共同で考案し、新築賃貸マンション「クレヴィアリグゼ門前仲町」(2020年2月竣工)の1室で実物件化した「理想の新婚部屋 七夕カップルの愛ある家庭内週末婚」をメディアに公開した。

 「理想の新婚部屋」は、イマドキ新婚夫婦の理想や願望を叶える新発想の間取りをプロジェクトメンバーが考案したもので、「七夕カップル」と「猫っぽカップルの気まま暮らし」「恋人夫婦のルームロマンス」「カジュアル夫婦のお家フェス」の4タイプを開発した。

 「七夕」は、生活リズムが異なる新婚夫婦が、普段は相手に気兼ねなく過ごし、貴重な2人一緒の休日は仲良くまったりできる「週末婚」スタイルをイメージした間取りプラン。玄関からの導線を分け、左右均等に寝室、ロフト、収納などを平等に振り分けているのが特徴。新しい住まい方の提案が評価され、2020年グッドデザイン賞を受賞した。専用面積約50㎡、月額家賃は28.8万円。

 物件は、東京メトロ東西線・都営地下鉄大江戸線門前仲町駅から徒歩8分、江東区佐賀一丁目に位置する12階建て全79室。専用面積は25.23~58.91㎡。月額賃料は11.7万円から、平均13.1万円。満室稼働だったが、法人の解約があったため現在の稼働率は93.7%。

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七夕部屋リビング

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夫のロフト

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妻の寝室

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イメージ図

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 この賃貸マンションは、プレス・リリースが昨年4月2日に発表されたとき、見学を申し込んだのだが、そのあとすぐ新型コロナ緊急事態宣言が出されて実現しなかった。その後、グッドデザイン賞を受賞し、夫婦それぞれ専用洗面化粧台やテレワークとして使えるロフトがあることから、withコロナ時代に対応したプランとして注目され、3月9日のテレピ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」でも紹介されたという。

 テレビは見ていないが、この日見学した「七夕カップルの愛ある家庭内週末婚」はやはり理解できなかった。

 〝通い婚〟〝週末婚〟は理解できないわけではない。小生も独身のとき夢見たことがある。それぞれが自立した生活をしており、会いたければ会うというのが一番いいのではないかと。結婚は新たな人生の出発点ではあるが、それは同時に自らの生活を未来にわたって縛るという意味で終末点でもあると考えたからだ。

 実際、結婚を前提にそれに近いことを実践したことがある。ところが、相手は小生に〝もう一人の女性〟の影をかぎつけたのか、しばらく会わないうちに、見事に捨てられた。「花を愛せる人になって」というのが三行半の言葉だった。「週末婚」は「終末婚」になるのを思い知った。その時ほど〝遠くの美男より近くの醜男〟などと悔やんだことはない。青春の蹉跌というにはあまりにも痛すぎた経験だ。

 「七夕」を考案した方々はどのような考えの持ち主かわからないが(多分女性)、ふつうはいざ好きな女性(男性はわからない)ができたらメロメロになり、寝ても覚めても状態になるのではないか。4タイプのうち部屋の中央にビッグベッドを配置したプラン「恋人夫婦」がもっとも自然だ。

 どうして専用面積が50㎡あり、天井高が3.8mもあるのに、鍵付きの夫婦別室とし、かがまないと入れず、立ち上がれば頭を打つロフトに一人寝なければならないのか、なぜ専用の洗面台や収納が必要なのか、さっぱりわからなかった。家賃28.8万円は折半するのだろうか。

 まあ、しかし、記者のような団塊世代といまの方たちの結婚観は全く異なるということだろうと無理やり納得させた。

 他のタイプは見学できなかったが、一番人気の「猫っぽカップル」や「恋人夫婦」「カジュアル夫婦」はとてもいい。分譲でも十分採用できそうとも考えたが、ライフステージにより間取りの趣向は変化するので難しい面もある。

 今回に限ったことではないが、同社の伝統だろう。分譲も賃貸も面白い商品企画を考案する。

伊藤忠都市開発 「ゼクシィ」と共同開発した「理想の新婚部屋」具現化(2020/4/2)
 

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「デュオヒルズつくばセンチュリー」フォレストデッキ

 フージャースコーポレーションが分譲中の「デュオヒルズつくばセンチュリー」を見学した。この前インタビューした同社・小川栄一社長と同社事業推進部部長・友野珠江氏の話を確認するのが目的だった。疑ったわけではないが、裏を取るのは記者の基本でもあるからだ。

 現地をみて絶句するほかなかった。感動すら覚えた。〝公園はかくあるべき〟という見本だった。そして、記者の胸を打ったのは、ほかの誰でもない、「ここは市のシンボルになる」と語ったマンション来場者の言葉だった。

 物件は、つくばエクスプレスつくば駅から徒歩11分、茨城県つくば市竹園一丁目に位置する敷地面積約9,588㎡、14階建て全229戸。現在分譲中の住戸(9戸)の専有面積は75.21~75.32㎡、価格は3,598万~4,198万円、坪単価は175万円。建物は2020年10月竣工済。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。デザイン監修は野生司環境設計・野生司氏。ランドスケープデザイン監修は関東学院大学准教授・中津秀之氏。分譲開始は2019年3月。

 単価が低く、第一次取得層向けではあるが、1階に2層吹き抜けのベーカリーカフェ「「パン工房クーロンヌ」が入居しているほか、共用施設にワークスタジオ、ブックステーション、キッズスクエア&キンタ―プレイス、ゲストルームなどを整備し、専有部は75㎡中心で食洗器、ディスポーザー、リビング天井高2500~2600ミリ、スロップシンク、浴室ドアタオル掛け2か所など…基本性能・設備仕様レベルは水準以上だ。

 販売を担当する同社営業本部営業七部営業一課サブチーフ・入谷哲也氏は、「残りは未分譲の9戸を含め20戸。来場されたお客様に公園との垣根を取り払った取り組みなど物件の特徴を説明していたら、そのお客さまから『街のシンボルになるわね』と言われたのがとてもうれしかった」と話した。

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コモンラウンジ

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キンターラウンジ

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 マンション来場者が「市のシンボルになる」と話した-これが全てを物語っている。記者の拙文など全く必要ない。写真を見ていただきたい。

 この前、同社の小川栄一社長が話したようにマンションと公園はデッキでつながっており、どこまでがマンション敷地なのか公園なのか全く区別がつかない。必死で「官民」「民民」の境界標(栓)を探したが見つからなかった。

 「パン工房クーロンヌ」でパンと飲み物を買って、公園側のデッキ席で、今回の取材をセットしていただいた友野氏と歓談した。

 友野氏も完成した公園を見るのは初めてだったようで、市内で一番不人気だった、誰も利用しない〝砂利公園〟が、子どもたちが遊び、お母さんたちが談笑したり飲食したりしている公園に様変わりしたのに驚いていた。

 公園には「パン工房クーロンヌ」が用意した無料で利用できる茣蓙が置かれていた。店内には公園内の芝の手入れを行う「育芝チーム」についても紹介されていた。

 皆さんはこれをどう思われるか。先進的な取り組み事例としては、「立体都市公園制度」を活用したPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)施設の一つ「MIYASHITA PARK」を見学して驚いたし、フージャースグループのPFI法を活用した「原山公園再整備運営事業」もオープンしたが、これらは「公設民営」だ。今回のような官民連携というより、民が主導した公園再生の例など記者は寡聞にして知らない。画期的なことだ。

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デッキでつながっている公園(手前)と「パン工房クーロンヌ」

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マンション(左)と公園

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公園で遊ぶ子どもたち(滑り台では許可されなかったため傾斜としているのがみそ)

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無料のござ貸出

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つくば市の境界標

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 これまで街路樹や公園の記事をたくさん書いてきた。いつも突き当たるのは法律の分厚い壁だ。

 都市公園法には、「国の設置に係る都市公園における行為の禁止等」を定めた第十一条、第十二条には次のようにある。

 第十一条 国の設置に係る都市公園においては、何人も、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
一 都市公園を損傷し、又は汚損すること。
二 竹木を伐採し、又は植物を採取すること。
三 土石、竹木等の物件を堆積すること。
四 前三号に掲げるもののほか、公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの。

 第十二条 国の設置に係る都市公園において次の各号に掲げる行為をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、公園管理者の許可を受けなければならない。
一 物品を販売し、又は頒布すること。
二 競技会、集会、展示会その他これらに類する催しのために都市公園の全部又は一部を独占して利用すること。
三 前二号に掲げるもののほか、都市公園の管理上支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの。

 法文の冒頭に「みだり」(「淫ら」と同義語か)とおどろおどろしい言葉が躍るように、むやみやたらに大声を発したり、キャッチボールをしたりタバコを吸ったりすることは「公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼすおそれのある行為」として禁止される-その行為とは何かを決めるのは利用者のわれわれ市民ではない。管理者としての行政だ。

 新型コロナ緊急事態宣言が発令されたことを受け、東京都は都立公園の利用について「運動施設、遊具広場、及び駐車場などの使用を休止しております。また、散歩、ジョギングをしている皆様は、ご利用を1時間以内にしていただきますようお願いいたします」とし、有料の公園を休園した。

 他の自治体も同様だ。「利用中は、大声(発声・声援等)を出さないようにして下さい」(新宿区)「多くの利用者が『密集』『密接』することにより感染のリスクが高くなることが懸念されることから、当面の間、投球場と全ての遊具やベンチの使用を一時的に中止しております」(港区)「飲食の自粛」(渋谷区)「飲食を伴うご利用や長時間のご利用は可能な限り控え、密集・密接に注意しながらの公園利用を徹底していただきますようお願いいたします」(多摩市)などと規制を強化している。

 しかし、これはいかがなものか。記者は、これまで何度も書いた。コロナ禍でもっとも安全なのは公園だ。取材などで外出したときは、コンビニなどでおにぎりと缶ビールを買って公園など野外で飲食することにしている。公園にはほとんど利用者はいないし、隣の人との間隔を確保しようと思えばいくらでも開けられる。もう1年以上継続している。

 公園管理は、悪しき慣例主義・事なかれ主義の典型だ。公園が利用されようとされまいが、どうでもいいと考えているとしか思えない。

 いくつか例示する。写真は渋谷区の「幡ヶ谷第四児童遊園」を昨年9月に写したものだ。出入り口には工事中でもないのにバリケードが設置されていた。誰も利用しないのか、敷地全体が雑草で覆われていた。日常不断に利用されていたら砂場に雑草が生えることなどありえない。

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「幡ヶ谷第四児童遊園」

 砂場といえば、杉並区の公園では、ネットがかけられていた。猫のトイレ利用を防ぐためだという。立川市の柴崎中央公園は、飲酒や喧嘩を防ぐために公園全体が金網ネットで囲われ、鍵もついていた。利用は平日9時~16時のみで、土・日曜は閉鎖するとあった。その中で遊んでいる子どもをみて、檻の中に閉じ込められているような錯覚を記者は覚えた。(5年前の記事参照)

 目黒区の公園実態調査報告書には、2割近い公園・児童遊園の利用者は一人もいないと報告されている。

 わが多摩市は「愛でるみどりから関わるみどりへ」を掲げ、様々な取り組みを行っているが、民間や住民参加を取り込む具体的な策(柵ではない)が欠落しているような気がする。つくばに負けるな。

公園、山、川…地域の資源と接続 全面展開へ フージャースコーポ 小川栄一社長(2021/4/22)

フージャースHD PFIによる大阪府堺市の「原山公園再整備運営事業」オープン(2020/9/1)

若い人で溢れかえる 「立体都市公園制度」を活用した三井不「MIYASHITA PARK」(2020/9/6)

日本財団 渋谷区公園トイレ整備に17億円 「西原一丁目」完成/真逆の児童遊園(2020/8/31)

激減する利用者 激増する1人当たり占有面積 公園のあり方考える(2020/8/3)

〝日本一美しい多摩〟目指せ 多摩市街路樹よくなるプラン改定版 住民説明会(2019/1/21)

平日利用は9時~16時、土・日曜日は閉園! 立川市の柴崎中央公園の利用制限(2015/2/10)

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「Wood Residence MARE-希-(マレ)」

 大和ハウス工業は4月27日、同社の史上最高級の大都市圏の富裕層向け戸建て商品「Wood Residence MARE-希-(マレ)」を4月29日から発売すると発表した。木造とRC造の混構造とすることで設計の自由度を高め、自然素材をふんだんに採用し、自由自在に造ることができるのが特徴。駒沢住宅展示場に設けた2階建て延べ床面積約287㎡(87坪)のモデルハウスは建具・家具、外構などを含めて約3億円(坪単価345万円)と業界最高額となる模様。

 「Wood Residence MARE-希-」は、地下-地上3階建てが可能で、最大10mの大空間や最高天井高4.1mを実現。外壁の仕上げ材に防耐火認定を取得したヒノキ集成材や大判タイル、陶板外壁などを採用。さらに、屋内外の一体感を生み出すため、同じ素材やデザインで仕上げる連続壁や、室内の化粧板素材を連続させた軒天を提案している。

 天然素材には北欧の沼に3000年眠っていた「ボグオーク」をはじめ、天竜スギ、江戸唐紙の収納扉、ガラスコーティングを施したカシのキッチン天板、ナラ材などをふんだんに盛り込んでいる。

 販売に際しては、4 月29日にグランドオープンする住宅展示場「DaiwaHouse 駒沢展示場2」に加え、「ZIZAI DesignOffice Tokyo/Osaka」が手掛けたハイクオリティCGで製作したデジタル邸宅デザインギャラリー「DIGITAL SHOWCACE(デジタル ショーケース)」などのデジタル展開を強化することで、リアルとデジタルで顧客との接点を増やすという。

 販売対象エリアは首都圏、関西圏、名古屋の大都市圏で、本体価格は165万円~/坪(税込)。年間販売棟数は50棟。

 オンラインによる発表会に臨んだ同社取締役常務執行役員・大友浩嗣氏は、「直近の住宅着工は新型コロナの影響を受けダウントレンドにあるが、株価の上昇などを背景に富裕層向けビジネスは伸長しており、当社の5,000万円超の高額商品も堅調に推移している。当社史上最高級の新商品は1棟7,000万円(坪単価165万円)、年間100棟の受注を目指す。駒沢モデルは約3億円」などと、新商品投入の背景や狙いを語った。

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左から櫻井氏、大友氏、山﨑氏

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大空間イメージ

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青森ヒバを採用した天井

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天竜スギを採用した軒天と外壁

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主寝室

◇       ◆     ◇

 発表会の冒頭、大友氏が「駒沢モデルは3億円」と話したとき、運動能力だけでなく加齢とともにどんどん退行していく記憶力をフルに回転させて、「3億円」の意味を考えた。

 真っ先に「3億円事件」が浮かんだが、同社常務執行役員・山﨑考平氏と同社住宅事業本部事業統括部ZIZAIデザインオフィス室長・櫻井恵三氏の話を聞くうちに、今回の新商品は同社の史上最高級商品どころか、他のハウスメーカーのモデルハウスを含めた最高額商品であることを確信した。

 記者が取材した範囲内だが、これまでの最高坪単価モデルハウスは、三菱地所ホーム「新宿ホームギャラリー」の坪254万円(約223㎡、1億7,200万円)で、建物の最高価格は積水ハウスの古河にある軽量鉄骨2階建て「イズ・ステージ」の約2億円(約297㎡)であるはずだ。

 今回の「希」は、坪単価でもグロスでもこれらを上回る。駒沢のモデルハウスは、櫻井氏の説明と画像から判断して、業界トップクラスであることは間違いない。

 例えば、2階の浴室&洗面。床に「ボグオーク」、天井に静岡県産の天竜スギを採用しており、櫻井氏は「洗面のスペースの外側に高いバルコニーの壁を作り、天井の部分から50センチほどはスリットで空けていますが、外からの目線を完全に遮るような形でインナーバルコニーを作りました。インナーバルコニーも緑いっぱいにしており、浴槽からも見ていただけます。外からの目線が切れているので、洗面台も通常だと壁につけるところを思い切って透明ガラスにして窓ガラスにはめ込む形で作りしました。ミラーも同じようにサッシに組み込むような形にして、外とつながりのある気持ちのいい洗面台が出来上がったと思います」と誇らしげに語った。

 1階居間は、床と天井に青森ヒバを張り巡らせ、インナーガーデンには2階の吹き抜けまで届く本物の木が植えられている。階段室は畳コーナーを設け、階段はナラ材で覆っている。

 この他、自然石の浴槽、尾形光琳の光琳柄模様を模した江戸唐紙を用いた主寝室の収納扉など富裕層の心をくすぐる提案が随所に施されている。

 いい商品だから記者がそう思い込んだのか、櫻井氏のスピーチは何の衒いもなく、着ているスリーピースもまた「希」と同じような高額に映った。

 そこで、広報を通じて聞いた。スーツはこの日のために借りた貸衣装ではなく自前で調達したもので、値段は約10万円であることも打ち明けた。高いか安いかはさておくが、映像だけでは伝えきれない「質」をスピーチで補ったから高価なものに見えたのだろう。記者などは何を着ても貧相に見える。うらやましい。

 もう一つ。同社は今回も全体で約1時間の発表会のうち質疑応答に約30分の時間を割いた。的が外れていようがいまいが、質問にきちんと対応する姿勢は他社も見習うべきだ。

坪254万円 設備仕様は最高レベル 三菱地所ホーム 新宿(新大久保)にモデルハウス(2019/6/5)

人が歩くと床が鳴く「鴬張り」体験 匠の技と現代技術を融合 菊池建設のモデルハウス(2017/1/19)

ボタニカルが最高4つの商品・開発を発表 三菱地所ホーム(2018/5/30)

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「風通しの良い家」

 三菱地所ホームは4月27日、オンライン記者発表会を開き、コロナ禍によって変化した暮らし方と住まいへの新しいニーズに応える、全館空調「新・エアロテック-UV」を搭載した「風通しの良い家」のバーチャルモデルハウスを同日から公開すると発表した。

 「風通しの良い家」は、場所や用途を限定しないフリーアドレスの考え方を取り入れ、ゾーニング・動線・視線の工夫により、限られた空間を「さわやかな風のように」フレキシブルに活用する“目に見えない心地よさ”をテーマに、帰宅後すぐに手洗い・うがいができるよう「ウイルス・ケア・ゾーン」を設置し、京町屋などに見られる採光、通風、物の運搬など様々な用途に使われる「通り間」をヒントにした「TOHRI-NIWA」や、キッチン(K)を起点として、ダイニング(D)、リビング(L)へ、床レベル差をつけて段々とつながる「ステップKDL」を提案しているのが特徴。

 「新・エアロテック-UV」は、日機装が開発した医療機器に搭載されているものと同じ深紫外線LEDを採用し、空気内のウイルス、臭気、アレル物質をまとめて除去・消臭し、クリーンな空気で各部屋を24時間365日換気するもの。

バーチャルモデルハウスはこちら。

https://www.mitsubishi-home.com/lp/newlife2021

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イメージ

◇       ◆     ◇

 記者は、他の取材と重なりオンライン発表会は視聴できなかったが、同社から送られてきたバーチャルモデルハウスを「見学」した。

 バーチャルモデルハウスは、他社を含めこれまで数回見ている。いずれもきれいではあるが、やはり画像では住宅の質感は伝えられていない。今回のモデルハウスも、画像をクリックすれば、ところどころの特徴はコピーで説明されている。例えば、「Family salon」は「吹抜に面したホールは、住まう人により様々な使い方ができるニュートラルなスペースです」とあり、「TOHRI-NIWA」は「フレームレスの全開放サッシにより、庭のような開放感を感じられます。子供が遊んだり、軽い運動をしたり、近所の方との談笑の場にもなる、パブリックとプライベートの中間領域に」などとある。

 しかし、これだけでは肝心の「新・エアロテック-UV」の快適性はもちろん、ホールの天井高はどれくらいあるのか、床や壁、建具家具などはシート張りなのか、本物の木や石が採用されているのかどうかは分からない。

 やはり、画像では伝えきれない弱点をどう補い、分かりやすく伝えるかが大きな課題だ。スウェーデンハウスの村井秀壽社長も言った。「五感」にどう訴えるかだ。画像にナレーションや音楽を入れることなどは容易なはずだ。

 同社でいえば、CMに起用されている村上龍氏に全館空調と仕事について語ってもらうというのはどうか。出演料が高いのであれば、同社の名物広報マンYさんや、野球部のプレイングマネージャーSさんもタレントとして使える。

after&withコロナに即応 三菱地所ホーム ウイルス除去に効果的な新商品など発売(2020/10/21)

 

 

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