都の新型コロナ 100歳以上の感染者も激増 1月だけで21人 昨年末の累計16人突破
一都三県に新型コロナ緊急事態宣言が再発出されてから2週間以上が経過したが、東京都の100歳以上の感染者は1月に入ってから21人に達しており、昨年末までの16人を超えている。
別表のグラフは都内の100歳以上の感染者をまとめたものだ。昨年末までの感染者は男性が5人、女性が11人の合計16人だったのが、1月4日に女性2人の感染が明らかになると、その後は連日のように感染し、22日と23日はそれぞれ4人が感染。1月だけで男性は3人、女性は18人、合計21人に達し、累計では37人となった。
男女別では圧倒的に女性が多いが、人口10万人当たりの感染者(率)で見ると、男性(昨年9月15日現在人口9,475人)は84.4人、女性(同70,975人)は40.9人となり、感染率は女性のほうが圧倒的に低いことが分かる。データは〝女性は強し〟を裏付けている。
着工の倍の新築戸建て登録 在庫はどうなる 情報の非対称性など レインズ情報の謎
昨日(1月23日)の中古マンションの成約件数などの記事は、東日本レインズの発表資料をそのままコピペしたものだ。新築マンションや新築戸建てなら多少のことは分かるのだが、それと連動するはずの中古マンションや中古戸建ては、実のところ何も分かっていない。
分からないことを書かないのが記者の鉄則だ。知ったかぶりは間違いなく墓穴を掘る。致命傷にもなりかねない。以下は、何も分からない記者がどうしても腑に落ちない疑問点を書き連ねたものだ。
まず、新規登録件数と成約件数の隔たりについて。中古マンションも中古戸建て、新築戸建て、土地ともその差は大きい。
2020年の中古マンションでは、新規登録件数は181,750件で成約件数は35,825件なので、登録件数に占める成約件数の割合は19.7%だ。同じように中古戸建ては20.7%、新築戸建ては8.4%、土地(100~200㎡)は11.2%だ。
新築マンションや分譲戸建てではまずありえないことだ。100戸分譲し、売れるのは年間20戸だとしたら、完売まで5年かかる計算になる。普通のデベロッパーは持ち堪えられない。
不動産は腐らないからいいようなものの、店頭に並べたトマト100パックのうち20パックしか売れなかったら店主は真っ青になる。売れない不動産は根雪のようにずっと残り続けることになるのか。それとも在庫を処分する奥の手でもあるのか。
次に、新築戸建ての新規登録件数の多さについて。レインズのデータによると、2010年は約35,000戸だったのが、年々増加しており、昨年は前年比で16.5%減少したものの登録件数は約75,000件もある。倍増だ。これが分からない。
国交省のデータによると、首都圏の建売住宅の着工戸数はここ10年来ほぼ5~6万戸台で推移している。このうち、レインズに登録しない自社分譲と販売委託する戸数比率を50%と仮定すると、レインズの登録件数はその倍だ。信じられないほど多い。これはなぜか。畢竟するに、着工時には持家、あるいは貸家として申請したのち何かの都合で分譲に切り替えたということなのか。
それにしても、新築戸建ての新規登録件数に占める成約件数割合は8.4%にしか過ぎない。これも不自然だ。「新築」の定義は完成してから1年間だれも住んでいない住宅のことだから、売れなかった数万戸の「新築」はそのまま「中古戸建て」に移行するのか、それとも売主の都合などで登録が解除されるのか。これも謎だ。
もう一つ、レインズ情報の非対称性だ。ビッグデータは全て公的機関や不動産会社に握られている。一般の人はレインズ情報にたどり着くことはできない。
なので、記者はレインズ情報にはどのような項目が盛り込まれているのか知る由もないが、レインズが公表しているデータから推測すれば、物件の基本的な概要は全て入力されているはずだ。
新築戸建てであれば、駅からの距離、用途地域(建ぺい率・容積率)、土地面積、建物面積、価格、間取り、売主、施工会社、完成年月などだ。
レインズ会員の不動産業者がこれらを並び替えれば、ほとんど瞬時に全体のマーケットを把握することができる。記者が先日書いた土地面積が「60~80㎡」のミニ戸建てだって、どれくらい供給され、契約率はどうなっているかなど手に取るように分かるはずだ。
レインズは、利用規定で「会員(不動産業者)は機構から取得した物件情報・成約情報を、原則として、会員自らが機構を通して不動産取引を成立させるために適正に利用すること」(利用の目的)とし、「機構から取得した物件情報・成約情報を外部に開示することはできません」(目的外利用の禁止)としているが、実際は「機構から取得した物件情報・成約情報を集計・加工・分析したもの」(同)としか思えない情報がWEBサイトに飛び交っている。
2020年首都圏中古マンション成約は約3.6万戸 中古戸建ては過去最多 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1月22日、首都圏の2020年(2020年1~12月)の不動産流通市場の動向をまとめ発表した。
中古マンションの成約件数は35,825件(前年比6.0%減)で2年ぶりに前年を下回った。
成約物件の1㎡当たり単価は首都圏平均で55.17万円(前年比3.2%上昇)で、8年連続の上昇。この8年で44.5%上昇している。
成約物件価格は3,599万円(前年比4.6%上昇)で、1㎡当たり単価と同様に8年連続で上昇。5,000万円超の各価格帯が成約件数、比率とも拡大している。
成約物件の平均専有面積は65.24㎡(前年比1.3%拡大)と2年ぶりに拡大、平均築年数は21.99年(前年21.64年)で、経年化が進んでいる。
中古戸建住宅の成約件数は13,348件(前年比2.4%増)と2年連続で前年を上回り、2016年(13,195件)以来4年ぶりに過去最高を更新している。
成約物件価格は首都圏平均で3,110万円(前年比0.2%下落)と2年連続で前年を下回った。
成約物件の平均土地面積は147.99㎡(前年比0.8%拡大)、建物面積は105.24㎡(同0.3%拡大)となっている。平均築年数は21.62年(前年21.38年)で、経年化が進んでいる。
新築戸建住宅の成約件数は6,334件(前年比7.9%増)と、2年連続で前年を上回った。
成約物件価格は首都圏平均で3,486万円(前年比0.7%下落)と、2年ぶりに前年を下回った。
成約物件の土地面積は122.95㎡(前年比0.3%縮小)、建物面積は98.40㎡(同0.5%縮小)となっている。
土地(100~200㎡)の成約件数は5,828件(前年比0.02%増)で、ほぼ横ばいながら前年を上回った。
成約物件の1㎡当たり単価は首都圏平均で19.41万円(前年比2.8%下落)と、2年連続で前年を下回っている。
成約物件価格は2,810万円(前年比3.0%下落)で、2年連続で前年を下回っている。
大和ハウス 湘南最大級全914戸の「プレミスト湘南辻堂」が完成
「プレミスト湘南辻堂」
大和ハウス工業は1月22日、神奈川中央交通と長谷工コーポレーションと共同で開発を進めている神奈川県藤沢市の大型分譲マンション「プレミスト湘南辻堂」全街区が同日完成したと発表した。
「プレミスト湘南辻堂」は、35 000㎡超の敷地に建設した総戸数914戸で、全16か所の多彩な共用施設を設けた湘南エリア最大級のマンション。2017年から分譲開始されている。
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この物件については、分譲開始時と第1街区が完成したときの記者見学会の模様を記事にしているので、こちらも参照していただきたい。
一つだけ、プレス・リリースにもあるのだが、辻堂エリアがARUHI presentsの「本当に住みやすい街大賞2021」で3位にランクされたことについて触れておきたい。
どこが「本当に住みやすい街大賞」として祭り上げるのは勝手だが、小生はどうして川口が2年連続でトップとなり、2位の大泉学園に次いで辻堂が3位になっているのか全然理解できない。どう読んでも根拠が希薄だ。
川口は商住混在の雑多な街だ。マンション価格も駅近は坪300万円をはるかに突破する。大泉学園も、同じレベルの街なら100か所くらいあるのではないか。
辻堂はどうか。〝海好き〟の記者は辻堂に限らず湘南の藤沢、茅ヶ崎、平塚、大磯…もいいと思うが、「住みやすいか」と問われても答えようがない。何をもって住みやすいか、それは人それぞれ〝住めば都〟だからだ。辻堂に住む人は、どうして川口や大泉学園に〝負ける〟のか理解できないのではないか。
その一方で、「本当に住みやすい街大賞2021」のシニアランキングは1位が武蔵小山で、2位は南大沢、3位は平塚だ。これも根拠はまったく不明。少なくとも南大沢よりわが街・多摩センターのほうがはるかに住みやすいと思うし、平塚と辻堂はどちらのほうがシニア向けで上位か知りたいものだ。
まあ、こんなことを書いてもARUHIの宣伝に加担するだけなのでこれくらいでやめる。
辻堂のマンションについては、大京の「湘南 C-X」と関電不動産他の「シエリア湘南辻堂」の記事などを添付するので参照していただきたい。
大和ハウス工業の大規模マンションでは「プレミスト船橋塚田」が素晴らしいので、こちらも記事を添付する。
実質10か月で300戸超の驚異的売れ行き 大和ハウス「プレミスト船橋塚田」(2020/10/20)
川口元郷-現地-川口 徒歩30分 街路樹は1本もなし 「本当に住みやすい街大賞」? (2020/2/25)
植栽計画がいい シニア層はもっと増やせるはず 大和ハウス「湘南辻堂」A敷地竣工(2019/3/20)
業界初の体力測定装置に狂喜 大和ハウス「プレミスト湘南辻堂」 同社は販売に自信(2017/9/11)
首都圏第1弾「シエリア湘南辻堂」第1~3期1次199戸が登録完売 関電不動産開発(2016/11/8)
大京 テレワーク想定した賃貸 入居開始/各社の「新しい生活様式」提案 一挙掲載
壁面レール収納(左)と壁面デスク
大京は1月22日、壁面レール収納や壁面デスクなどテレワーク機能付きの間取りを導入した新築賃貸マンション「ライオンズフォーシア秋葉原イースト」「ライオンズフォーシア築地ステーション」の入居を2021年1月下旬から開始すると発表した。
「ライオンズフォーシア秋葉原イースト」は、東京メトロ日比谷線秋葉原駅から徒歩6分に位置する全38戸。専用面積25.82~52.34(1K~2LDK)、賃料は127,000円~250,000円。5戸にオリジナルの壁面レール収納を導入した。
「ライオンズフォーシア築地ステーション」は、東京メトロ日比谷線築地駅から徒歩2分の全37戸。専用面積は25.89~57.51㎡(1K~2LDK)、賃料は156,000円~305,000円。10戸に壁面収納をアレンジしたデスクを標準装備しも上部にはプリンターなどを置ける2段の棚収納を設けている。
壁面レール収納は、壁面に設置したレールにカウンターデスク、棚板、ハンガー棚を自由に組み合わせてワークスペースを作ることができる。
壁面デスクは、幅86センチ、奥行き58センチ、高さ70センチ。部屋の畳数を損なわず、限られたスペースで集中できる環境づくりを目指している。上部に設けた棚板は高さを変更でき、プリンターや書類などデスク周りのものを収納可能。
同社はまた、昨年5月に実施した一都三県(一部エリアを除く)の新築マンション購入予定者935人を対象としたアンケート調査結果によると、約8割が在宅勤務を実施しており、「ワークスペースがほしい」「生活と仕事の空間を分けたい」などの声が寄せられたとしている。
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壁面レール収納も壁面デスクもいい提案だ。それほどコストもかからないだろうから分譲マンションにも採用できる。
アンケートで「ワークスペースがほしい」と答えた人が多かったのも当然だろう。この種のアンケート結果は出尽くした観があるが、総合住宅展示場ハウジングステージのアンケート調査では、「コロナ禍で今後の住まいや暮らしに欲しくなったもの」の男性1位は「自分専用の個室や間仕切りされたスペース」の52.6%で、女性1位は「遊べる広い庭・屋上・バルコニー」の52.2%となっている。戸建て志向の人は当然だろう。
記者が注目しているのは、三井不動産レジデンシャルが行った「三井のすまいLOOP会員(n=6,169)」と「三井不動産レジデンシャル販売物件資料請求者・来場者(n=1,343)」を対象とした「アフターコロナのすまいやくらしに関する意識調査」の結果だ。
この結果については「パークタワー勝どき」の記事でも書いたのだが、もう一度紹介する。
アンケートによると、回答者(うち約70%が共働き世帯)の73.2%がテレワーク(出社/在宅の併用を含む)を経験したと答え、75.1%が収束後には「オフィスとテレワーク」の併用を希望。
また、テレワークを経験した人に対して「今後のテレワーク場所の意向」を調査したところ、自宅内の「書斎」「自分の部屋」のニーズが高く、在宅勤務経験者の55.1%は「自宅・オフィス以外」のテレワークも希望していることが分かった。
さらに、共働き比率の高い住宅検討層にとってもっとも譲れないのは「生活利便性の高さ」(68.5%)、「住環境が良いこと」(54.9%)が高い数値を示した。
コロナ前後の住宅希望エリアの変化(2020年3月以前からの住宅検討者:n=1,590)を聞いたところ、「都心エリア希望で変わらず」は57.4%、「郊外エリア希望で変わらず」は16.5%、「都心エリア⇒郊外エリア希望に変化」は7.5%、「郊外エリア⇒都心エリア希望に変化」は1.3%だった。
つまり、戸建て派であろうとマンション派であろうと、自宅内の「書斎」「自分の部屋」を希望している人が極めて多いという結果が出た。
地価・建築費の高止まりで、デベロッパー各社はマンションの価格を抑制するためにダウンサイジングに懸命だが、専有面積の圧縮は当然居住性の低下につながる。現状の2LDKや3LDKにもう一部屋増やすのは容易ではない。
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コモリワーク
この難しい問題の解決のために各社は取り組んでおり、今回の大京もその一つだ。これまで記事にしたテレワークなどに対応した具体例を添付する。
記者が〝スグレモノ〟だと思ったのは、コスモスイニシアのリコーと共同開発した「コモリワーク」だ。これは、「エド・コモン西早稲田」(東西線早稲田駅から徒歩13分)をリノベーションした1室(専有面積約67㎡)に採用したもので、床から1段30cm×3段=90cmの部分に1.2×2.0mのスペースを設けている。腰掛けることも寝転ぶこともできるので仕事や趣味室として最適だ。その下部は収納などに利用できる。
大和地所レジデンス「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」の提案もよかった。最上階8戸のリビング天井高3,050ミリとし、スキップフロアを採用。下段には約21畳大の床下収納を設置していた。収納部分の高さは740ミリなので仕事場にはならないだろうが、その上段部分は天井高が十分確保できる。
この「コモリワーク」と「赤羽北フロント」をかけ合わせれば素敵なプランが完成する。
「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」モデルルーム(このスキップフロアの下部が床下収納)
もう一つ、東急不動産のコクヨと共同開発したインテリアオプションにも注目している。「ブランズシティ世田谷中町」と「ブランズ浦和別所沼公園」に導入したもので、写真のように収納や家具の一部にワークスペースを組み込み、居住性を損なわずインテリア性の高いワークスペース空間を提案している。収納の一部に化すのに抵抗を感じる人もいるだろうが、ユーザーはどのような反応を示しているのだろうか。
このほか、伊藤忠都市開発「クレヴィア小杉御殿町」の「離れ」、積水ハウス・清水総合開発「世田谷喜多見ザ・テラス」のメゾネットも時宜を得たプランだ。
東急不動産の提案
稀有な駅近で大規模な1低層 積水ハウス・清水総合開発「世田谷喜多見ザ・テラス」(2021/1/16)
東急リバブル 検温機能付き顔認証システム 賃貸マンションに導入(2020/12/21)
三井不レジ・鹿島・清水「パークタワー勝どき」第1期1次は237戸 坪単価425万円(2020/11/18)
6か所に「ボイド」 専有・共用に9室の「離れ」付き 伊藤忠都市「小杉御殿町」(2020/10/28)
天晴れ!大和地所レジ 仕入れの妙 商品企画にも生かす「赤羽北フロント」(2020/9/9)
大和ハウス工業 テレワークを想定した空間 戸建て用に提案開始(2020/6/1)
野村不 多様なニーズに対応する「DOMA-STYLE」×「つながROOM」開発(2020/8/1)
東急不動産 在宅テレワークに対応したインテリアオプション マンションに導入(2020/7/15)
「Doma(土間)」とLDK一体化 コスモスイニシア「日暮里テラス」企画秀逸(2020/6/26)
Afterコロナ先取り ポラス「東京5LDK@練馬光が丘」テレワーク想定した企画ヒット(2020/6/19)
コスモスイニシアとリコー共創 住空間×働き方テーマに新提案 リノベに採用(2020/4/3)
三井不レジ家の中まで宅配物を届ける「ナカ配サービス」第一弾は「月島二丁目」(2020/1/23)
不在時の受け取り・受け渡し可能 トランクルームサービス 「日暮里」に採用 野村不(2019/12/7)
ダウンサイジング流行りにぴったり 三菱地所〝部屋の中の小屋〟「箱の間」発売(2019/8/27)
穴吹工務店 日本初のマンション入館&宅配ボックス顔認証システム導入(2017/10/4)
三菱地所 丸の内エリア中心に19棟の全電力を再生可能エネルギー由来に RE100に対応
三菱地所は1月21日、丸ビルや新丸ビルなど丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)の18棟と横浜ランドマークタワー計19棟(延床面積計約250万㎡)の全電力を2021年度から再生可能エネルギー由来(以下、再エネ電力)とすると発表した。これによりCO2削減量は年間約18万トンを見込んでいる。
今回導入する再エネ電力は、「生グリーン電力」及び「トラッキング付FIT非化石証書」を併用して「RE100」対応としており、かつビルで使用する電力量の全量であるため、対象ビルの入居企業は自社で再エネ電力を利用していると認められる。
この取り組みは、同社グループの長期経営計画2030の重要テーマの一つである「Environment:気候変動や環境課題に積極的に取り組む持続可能なまちづくり」の一環で、また、「RE100」参加(2020年1月)にあわせて策定した再エネ電力比率(2030年までに25%、2050年までに100%)については約30%となる見込みであり、2030年までの中間目標を前倒しで達成する予定。
丸の内エリアにおけるCO2削減量は年間約16万トンで、同社所有ビルCO2排出量の約8割に相当する。
旧聞のみ 実態に迫れず羊頭狗肉の記事 週刊住宅1/18号〝ミニ戸建てがブーム〟
〝ミニ戸建てがブーム〟などと新型コロナの変異種が発生したかのような衝撃的な見出しを掲げ、大上段に構えたものの、ぬゑのようなつかみどころのない相手にたじろぎ、結局は腰砕けとなり、太刀を振り下ろすどころか鞘に収めることすらできずすごすごと逃げ去った-こんなたとえがぴったりの記事が1月18日付「週刊住宅」に掲載されていた。
読んだのはWeb版なので紙媒体ではどのように扱われているのか分からないが、かなりのスペースを割いているはずだ。記事の書き出しはこうだ。
「コロナの蔓延(まんえん)で新築戸建ての需要が伸びている。中でも急伸しているのがミニ戸建てと呼ばれる物件だ。いまなぜミニ戸建ての需要が伸びているのか。その理由を探るとともに、戸建てブームは今後も続くのか考察してみたい」
小生は、この段階で地団太を踏んだ。〝抜かれた〟と思った。小生も一昨年、「狭小住宅」の実態に迫ろうと挑戦したことがあるからだ。その時の記事を添付する。3週間くらいにわたり資料をあさり、現場を見学し、狭小住宅専門の業者に取材を申し込んだがかなわず、結局はなにも分からずじまいに終わったことが読んで頂ければわかるはずだ。
狭小住宅が隠花植物のようにじわじわと領域を広げているのはなんとなくわかるのだが、そもそも建売住宅のデータはほとんどないし、住宅着工統計では戸数や住宅の面積は把握できるが、敷地面積の記載はない。民間の調査会社もどこも市場を把握できていない。
なのに、ミニ戸建てがブームであることを週刊住宅が突き止めたとなれば、脱帽するほかない。
ところが、同紙の記事をどこまで読み進めても、新築や中古マンションのデータや住宅購入予定者の意識調査結果ばかりで、肝心のミニ戸建てについての言及がない。同紙は「新築戸建ての需要が伸びている」と書くが、本当だろうか。住宅着工統計では持家も分譲戸建てもこの1年間というもの毎月ずっと二ケタ近い減少を示している。着工と分譲とは時差があるので、あるいは需要増を背景に今後は着工も伸びるのか。(その可能性はあると思う)
やっと登場するのは、全体の分量2,000字の半分を過ぎたころだ。
だしぬけに「業績がV字回復したのがオープンハウスだ」(これは誤り。落ち込んだのは緊急事態宣言時のみ。同社はずっと業績を伸ばしてきた=記者注)とあり、「オープンハウスが取り扱う物件は都心の戸建てが中心。それもミニ戸建てと呼ばれる物件が多い。ミニ戸建ての厳密な定義はないが、多くの場合狭い土地に建てられた建て売りを指し、敷地面積は60~80平方メートル以下、1階に駐車場を持つ3階建てタイプが標準と言えるだろう。
オープンハウスの戸建て仲介契約件数は、20年4月は前年同月比39.1%減であったが、5月には反転し43.0%増、6月には52.3%増と大幅に伸長した。その結果、20年9月期の連結経営成績は前年度の約540億円(5,403億円の誤り=記者注)から575億円超(5,759億円の誤り=同)に伸びている。
コロナ禍を受けての好況はオープンハウスに限らず、ケイアイスターの不動産(これもケイアイスター不動産の=記者注)分譲住宅契約金額の対前年比増加率は32%と急伸しており、新築戸建て人気は数字の上でも見て取ることができる」とある。
長々と引用したが、ここで初めてミニ戸建ては敷地面積が「50~80㎡以下」ということが分かる。そして、その代表格としてオープンハウスとケイアイスター不動産を取り上げた。よく読むと、両社の決算数字など開示データをそのまま記しているに過ぎないのだが、それにしても何の根拠も示さずミニ戸建て=オープンハウス、ケイアイスター不動産と断定的に書くのは乱暴に過ぎる。
そこで、小生はオープンハウスに確認した。同社広報によると、グループの分譲戸建てを展開するオープンハウス・ディベロップメントが展開する分譲戸建ての敷地面積が「60~80㎡以下」の供給比率は50%に達しており(2020年9月期の戸建て計上戸数は2,804戸)少なくはないが、ミニ戸建て=オープンハウスにはならない。また、記事にある同社の営業成績の数値は一桁少ない。売上1兆円を目指す企業だ。荒井正昭社長が知ったら激怒するのではないか。(笑い飛ばすか)
そして同紙は「都心のマンション需要は高値の花になりつつあり、加えて部屋数の少なさがマンションの弱点として露呈した。持ち家事情の変化は、選ぶ側のニーズに対応して今後も(ミニ戸建て人気が)加速する気配が濃厚だ」などと遁辞でもって締めくくっている。
はっきり言って記事のすべてが旧聞で、自らの足で書いた真新しい事実は皆無だ。結局、「60~80㎡以下」のミニ戸建ての市場は〝闇〟のままだ。ひょっとしたら、書いた記者の方は一度もミニ戸建ても建売住宅も見ていないのかもしれない。そうでなければ、記事に添えられている立派な分譲戸建ての街並み写真を使うはずがない。この写真は敷地規模が60~80㎡以下のミニ戸建てでないことは明らかだ。どうしてこのような写真を使ったのか。写真も記事のうちだ。刺身のツマのように扱うのはいかがか。
ここまで結構辛辣なことを書いた。〝何もここまで〟と思う読者の方もいるかもしれないが、同紙は数少ない業界紙として影響力を持っているはずだし、持つべきだと思うからこそ、誤った記事に対してはきちんと記事で批判すべきというのが小生の立場だ。他意はない。小生の願いはいい記事を書いてほしい-この一点だ。
この小生の批判記事を同紙も読んでくれるはずだ。今度は素晴らしいミニ戸建ての第2弾、第3弾の記事を発信してほしい。小生が知りたいのは、ミニ戸建てが中古市場でどのような評価を受けるのかということだ。ここに焦点を当てるのもいいのではないか。不動産流通会社やレインズは狭小住宅のデータはないのだろうか。スムストックはきちんとデータを収集しているではないか。
敷地60㎡未満の分譲「狭小住宅」 都心部は軒並み50%超 最少の練馬は1.9%(2019/8/19)
2020年12月の訪日客は5.9万人 年間では前年比87%減の約412万人
日本政府観光局(JNTO)は1月20日、2020年12月の訪日客は前年同月比97.7%減の58,700人で、15カ月連続で前年同月を下回り、2020年の訪日客は前年比87.1%減の4,115,900人となったと発表した。
小田急不動産 全10棟の分譲戸建て「リーフィア世田谷喜多見」3週間で完売
「リーフィア世田谷喜多見」
小田急不動産は1月20日、昨年10月31日から販売を開始していた分譲戸建て「リーフィア世田谷喜多見」(総戸数10戸)が11月22日に完売したと発表した。
2020年7月に公式ホームページを公開してから、資料請求は441件、9月からの来場者は155組に達した。
人気の要因として、同社は①新しい生活様式に対応したプランニング②街並み・外観のデザイン性③生活利便性と緑あふれる住環境など、コロナ禍で定着した「在宅勤務」やステイホームによる「おうち時間」に対応した商品展開がニーズとマッチしたとしている。
物件は、小田急線喜多見駅から徒歩12分、世田谷区喜多見七丁目に位置する全10棟。敷地面積は106.66~116.34㎡、建物面積87.79~98.01㎡。構造・規模は木造2階建(2×4工法)。施工は細田工務店。
モデルホーム
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この物件は昨年11月上旬に見学している。その時も残り1戸だったので、早期に完売となるのは間違いないと読んでいた。
ランドスケープデザインが抜群で、平均6,000万円台後半の価格もものすごく安いと思った。
ダイニングスタディカウンター
野村不動産HD 100億円のサステナビリティボンド発行へ
野村不動産ホールディングスは1月19日、環境・社会双方の課題解決に貢献する施策・プロジェクトに充当する資金の調達手段として、同社初の「サステナビリティボンド」を発行することを決定したと発表した。
発行予定は2021 年2 月以降で、発行額は100億円。資金使途はPMO(ピーエムオー)、H¹T (エイチワンティー)、OUKAS(オウカス)に要した資金のリファイナンスを目的とした子会社への投融資資金。
不動産業界では、東京建物が昨年7月、200億円(発行年限5年)と200億円(発行年限10年)の、東急不動産ホールディングスが昨年12月、300億円(発行年限40年)のサステナビリティボンドをそれぞれ発行している。