登録件数と成約件数の乖離は重複登録が理由 レインズ情報の疑問に機構から回答
1月24日と1月26日に書いたレインズ情報に関する疑問について東日本レインズに問い合わせていたが、その回答があった。以下に紹介する。
まず、新築戸建ての登録件数と成約件数の乖離(新規登録件数に占める成約件数は8.4%)が大きいことについて。
レインズは「売却の仲介を一社だけに依頼する専属専任媒介や専任媒介物件は宅建業法でレインズに登録する義務が定められています。売買物件のうち宅建業者が所有している物件(売主物件)や賃貸物件はレインズへの登録は任意ですが、レインズを利用して取引を促進するため相当数が登録されています。
そのため、登録件数は一般媒介契約のように複数の業者から一つの物件を登録されていたり、売主物件で一つの物件を複数回登録されていたりする場合もあります。
一方、成約件数は取引が成立した一つの登録のみがされます。分母の登録件数と分子の成約件数はベースが異なるため、登録件数に占める成約件数の比率は小さくなります」としている。
-つまり、一つの物件が複数回登録されている可能性が多いということだ。同じ物件であることはデータ処理の段階でチェックできるはずなので、重複登録を避けることはできるのではないか。着工件数より多い新規登録件数の情報など信用できるのか。
次に、「成約報告をしない業者が信じられないほど多い」との業界紙記者の指摘について。
回答は、「登録したままになっている物件数は把握しておりません。成約報告を怠った場合は事務局指導や当機構委員会の協議による処分が行われます。宅建業法上の措置については監督官庁(国交省、都道府県庁)にお問い合わせください」となっている。
-これは国土交通省、都庁などに聞くことにする。
レインズ情報に記載されている物件概要・項目についてレインズは、「当機構ではレインズ情報の記載内容は開示しておりません。マンションの登録情報では施工会社、管理会社の項目はありますので(会員不動産会社が登録していれば)確認することができます。間取り図は販売図面を登録していれば確認することができます」とのことだ。
-これは残念だが、これ以上深入りしない。レインズの会員である親しい不動産会社に聞けば教えてくれるところがあるかもしれないが、「社員は発行されたID・パスワードを使用してレインズを利用することができます。利用者は会員不動産会社で管理するよう指導しています」(レインズ)とあるように、記者など第三者に閲覧させることは禁止されているはずで、そんなことは記者もしたくない。
レインズ情報の加工・公表などの禁止については、レインズは「事実確認・指導を行うケースは年に1~2件のペースで発生しています。規程に違反している場合、事務局指導や当機構委員会の協議による処分が行われます」とのことだ。
一つ、面白いことが分かった。これは業界の常識かもしれないが、「会員になるには宅建業者でレインズ構成団体(FRK、宅建協会、全日本不動産協会、全国住宅産業協会)に入る必要があります。会費はそれぞれの団体で異なります」(レインズ)とのことだ。不動産協会は入っていないようだ。同協会会員はほとんどFRKの会員でもあるはずなので、不都合は生じないと思うが…。会費も加入団体によって異なるというのも初めて知った。各団体に聞くことにしよう。
業界初 猫の日に水洗トイレ・シャンプーシンク一体型「ネコレット」発売 大和ハウス
「ネコレット」
大和ハウス工業は2月22日、水洗トイレ・シャンプーシンク一体型猫専用ユニットバス「ネコレット」を2021年2にゃん月2 2にゃんにゃん日(猫の日)に発売すると発表した。この種の商品は業界初。ニューノーマル時代を見据えた住まい提案第三弾。
商品は、猫がトイレに尿を排泄し、退出後に自動洗浄ができるようにセンサーを搭載したトイレ「猫トイレパン」を設置し、ファンを内蔵した光触媒作用による脱臭器も併設することで、トイレ空間にこもる臭いを軽減する。
また、水が嫌いな猫のシャワーに対するストレスを軽減させるため広々とした深型シンク(深さ22cm×幅63cm×奥行37.5cm)に加え、猫の転倒防止用滑り止めゴムマットを採用。シンクは三面を高くしたため「猫シャン」時の水跳ねも気にならなくしているのが特徴。シャワーヘッドにはマイクロバブル水栓を搭載している。
開発に当たっては、日本を代表するアーティストで愛猫家のDREAMS COME TRUE 中村正人氏がコンセプター/発案者として企画した。
寸法は幅98cm×奥行59cm×高さ110cm。販売目標は年間100ユニット。本体価格は36万3,000円(税込)。
猫トイレパン(左)とシャンプーの様子
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報道関係者向け発表会がこの日(猫の日)10:30~12:00、オンライン配信によって行われた。同社取締役常務執行役員・大友浩嗣氏と中村正人氏が登壇し、メディアとの質疑応答にも30分くらい時間をかけるなどとても面白い発表会だった。
記者も小さいころ、実家がオス猫を飼っていた。放し飼い同然だったので家の中で排泄することはなかったが、ネズミを捉えるとこれ見よがしに三和土で食べ、抜け毛をそこら中にばらまき、泥足で動き回り、隣近所の野良猫を引き込み、食器棚を難なくこじ開ける狼藉には閉口した。
さらに、猫の尿は草花を枯らすほどの威力があり、強烈な悪臭を放つ。大きな家ならともかく、マンションなどの家の中で飼育するというのは理解できない。そもそもそもそも猫は風呂など水が大嫌いなはずだ。給排水の設備にはそれなりの費用が掛かり、どこに設置するかも問題だろう。
まあ、しかし、ペット飼育者の悩みを解決しようとする姿勢は買える。年間販売目標が100ユニットなのは、多いのか少ないのかわからないが、業界初という宣伝効果を考えたらもとは回収できると読んでいるに違いない。
大友氏は賃貸住宅への展開について聞かれ、「賃貸は大家さん次第。サービスの一環。」と答えたように爆発的なヒットは考えていないようだ。中村氏も「(排せつ物の処理など)課題解決のために考えたもので、風呂ありきではない」と答えた。猫に対する愛の深さとはあまり関係がなさそうだ。
ペットフード協会の調査によると、2020年10月現在、全国の犬の飼育頭数は約8,489千頭、猫の飼育頭数は約9,644千頭で、1 年以内に新たに飼われた猫と犬は約95万頭・匹(前年比約15%増)と推計されるという。わが国の世帯数は約5,690万世帯だから、多頭飼育を考慮しなければ約31.8%の世帯で飼育していることになる。凄い数だ。
大友氏(左)と中村氏
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記者は、じわじわと自動洗浄バスが売れているように感じる。風呂掃除ほど面倒で時間のかかる家事労働はない。その労力をお金に換算したら1万円/月はくだらないはずだ。
それより、記者が期待しているのは人間自動洗浄バス(人間洗濯機)だ。これが開発されたら、浴室スペースは半分以下に収まるだろうし、水道使用量も激減し料金は半減する。そしてまたバーチャルウォーターの概念を取り込み、その効果を金額に換算したら1世帯当たり年間100万円、全世帯では数兆円に上るはずだ。
大和ハウス工業がこれを開発したら、売上高は10兆円どころかその数倍に上るはずだ。大友さん、ぜひ開発に着手していただきたい。
ニャンともうらやましい 大和ハウス「猫と暮らすまちなかジーヴォ」オープン(2017/3/22)
〝絶好調〟の分譲戸建て市場 着工は激減 各社の動向の一端を遠望する
昨日(2月19日)は、スタイルアクトの調査による首都圏分譲戸建て市場に関する記事を書いた。住宅着工戸数を上回る戸数が新規発売され、着工戸数を1万戸以上も上回る戸数が成約したなどとする吃驚仰天の記事なのだが、その真偽のほどを確認する材料を記者は持たない。
新型コロナの影響で時間はあるのに分譲戸建ての取材が激減し、どうなっているのかさっぱりわからない記者に、万里の長城のような〝ビッグデータ〟を持ち出されたらぐうの音も出ない。
だが、しかし、各社が発表する決算数値などから市場動向の一端を捉えることはできる。以下、ガリバー企業の飯田グループホールディングスをはじめ供給2位グループのオープンハウス、ケイアイスター不動産、ポラス、さらにはこれら各社とは一線を画す三井不動産、野村不動産の分譲戸建ての動向について書く。スタイルアクトのレポートが事実なら記者は大恥を〝書く〟ことになるが…。
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まず、分譲戸建て市場の30%を占めるガリバー企業・飯田グループホールディングスから。
飯田グループ6社の2020年3月期の戸建事業の売上高は1兆2,159億円で、売上棟数は45,773戸だ。2020年度の分譲戸建ての着工戸数は146,154戸なので、同社のシェアは30.8%にも達する。今期も業績を伸ばしており、土地仕入れ原価、建築費の上昇を価格に転嫁できており、売上高、棟数、利益とも上昇し、課題だった在庫数も減らしている。
同社の最大の強みは47都道府県のうち営業拠点の空白県は鳥取、島根、長崎県のみ(前期は高知、大分、宮崎に進出)という全国展開力と他社を圧倒する価格の安さだ。
価格の安さでは、同社の1戸当たり全国平均価格は2020年3月期で2,650万円だ。エリア別は公表されていないが、首都圏でも3,000~3,500万円くらいではないかと記者は予想する。
どれだけ安いか。仮に建物を30坪としたら飯田グループは坪117万円だ。マンションならどうか。首都圏のどんな山奥でも坪150万円以下は絶無だろうから20坪でも3,000万円、30坪だと4,500万円だ。飯田グループにかなわないことが素人でもわかる。
しかし、一口に分譲戸建てといっても他の商品と同様ピンとキリがある。飯田グループと対極に位置するのが三井不動産(三井不動産レジデンシャル)だ。
同社の2020年3月期の売上戸数は481戸で、1戸当たり価格は6,785万円だ。これには地方物件も含まれるはずで、首都圏に限れば7,000万円を突破するのではないか。つまり、飯田と三井の首都圏戸建て価格は1:2ほどの差がある。
これほど差があるのに、三井不動産は売れていないわけではない。その逆だ。同社は2015年3月期、過去最多の916戸を計上したが、その時の1戸当たり価格は5,425万円だった。その後、戸数を減らしているが、1戸当たりの価格は6年間の間に1,360万円も上昇している。戸数をほぼ半減させながら、売上高は496億円から328億円へと34%減にとどまっている。ここが機を見るに敏な同社のすごいところだ。競争力の強い利益率の高い都心部に注力しているのは間違いない。
それでも売れ行きは好調だ。2020年3月期末では58戸だった完成在庫は2020年12月末で36戸しかない。(飯田グループの2020年3月期末の完成在庫は10,104戸)
他社はどうか。〝東京に、家を持とう〟〝オペンホウセ〟をキャッチフレーズに別表のように驚異的な伸びを見せるオープンハウスは、2021年9月期を初年度とする中期経営計画の中で「行こうぜ1兆!2023」を打ち出し、2023年9月期のグループ売上高1兆円を目標にすると発表した。
大手デベロッパーでも売上1兆円以上は数えるほどしかないのに、1997年創業の、人間でいえばまだ20歳を少し超えたばかりの企業がそれを眼前に掲げるまでに成長したのに驚くほかない。
記者は2012年、荒井正昭社長にインタビューしたことがある。その時、荒井社長は将来の目標について「夢は1兆円といいたいところだが、売上は2,000~3,000億円ぐらいには伸ばしたい。飯田一男さんを見習いたい。不動産会社を興した人で、いまも伸ばしているのは飯田さんとこぐらい。最近、お会いした」と話した。
「飯田一男さん」を知らない人は多いだろうから少し書く。記事も添付したので読んでいただきたい。
飯田一男氏は、飯田グループの核をなす一建設の創業者で、荒井社長と会ったその翌年の2013年12月に亡くなられた。その1か月前には飯田グループホールディングスが設立され、グループ会社の合計売上高は9,075億円だった。
飯田氏には年に1、2度うかがい、「数字だけは教えるが、オレのことや会社のことについて記事にするな。写真はもちろんメモも取るな」「ただで話すのだから新聞購読料をただにしろ」という条件つきで取材し、1時間も2時間も話し込んだ。当時の本社屋は駅から遠く、プレハブ造りでエアコンなどなく、コンクリ床にストーブが1つしかなかった。
荒井社長と飯田氏がどのような話をしたか知らないが、荒井社長はその時から売上1兆円を夢に描いたのは間違いない。荒井氏ほど時代を読む能力の高い人を記者はしらない。
同社の2020年9月期の分譲戸建て計上戸数は2,804戸で、ポラス、アイダ設計、ケイアイスター不動産などを一挙に抜き去った。注目すべきは1戸当たり平均価格が前期比140万円減の4,160万円に抑制できたことだ。比率にすれば3.4%だがこれは大きい。
同じように業績が急伸しているケイアイスター不動産はどうか。同社は2月9日、2021年3月期通期業績予想を上方修正。売上高1,480億円(前期比22.6%増)、経常利益116億円(同83.6%増)、当期利益70億円(同95.3%増)と全段階で過去最高を予想。期末配当も前回予想の44円から95円へ増配すると発表した。
ものすごい数字だ。記者はこの会社が急成長したのは、ポラス出身の専務取締役・瀧口裕一氏と取締役第二分譲事業部長・浅見匡紀氏の功績が大きいと思っている。オープンハウス荒井社長にインタビューした翌年の2013年、瀧口氏にインタビューしている。瀧口氏は2008年1月、同社に請われて入社。いきなり常務取締役に就任した。浅見氏は瀧口氏より2か月後の2008年4月に入社している。お二人の記事も添付したので読んでいただきたい。
同社には大変失礼だが、瀧口氏を最初に取材したときは、本社屋は高崎線の本庄、しかもバス便で、地元や群馬県、栃木県が営業エリアだったので、ポラス商圏では戦えず、せいぜい埼玉県の北西部から群馬県、栃木県のビルダーにとどまるのだろうと思った。とんでもない見込み違い誤算だった。
同社は2015年に東証2部、翌年に東証1部に指定替えとなり、東京本社を設置したあたりから業績が急伸した。2016年は43店舗だったのを今期末には121店舗に拡大する。この間、ローコストの商品開発、FC展開などを矢継ぎ早に打ち出し、M&Aも進めた。現在のグループ販売棟数は4,457棟に達するというではないか。
オープンハウス、ケイアイスターの後発の急襲を受け、売上戸数では瞬く間に抜かれたポラスはどうか。
グループ代表の中内晃次郎氏の本心は分からないが、唯我独尊我が道を行くではないかと思う。上場する気などまったくなく、越谷にある本社から車でスピーディーに駆けつけられる埼玉県・千葉県・東京都の一部エリアのみを商圏とする方針に変わりはないはずだ。
同社の2021年3月期業績予想は、売上高2,300億円(前期比1.9%増)、経常利益170億円(同10.4%増)、純利益47億円(同7.4%増)と過去最高を目指すが、関係者からは〝絶好調〟の声も聞かれる。業績予想を上回る可能性が高いと見た。
デベロッパーでは、野村不動産が2018年に初めて三井不動産を上回る607戸(三井は501戸)を計上したが、その後はやや頭打ちだ。最近は準都心・郊外の大規模から三井不の独壇場だった都心部への攻勢を強めている。
この二強に割って入るデベロッパーはないのか注目しているのだが、いまのところその気配はない。
分譲戸建て市場は、好況と逆行するように首都圏着工戸数は2019年の63,360戸から2020年は54,340戸へと14.2%も減少しており、用地争奪戦が激化していることを裏付けている。これが質の低下につながらないことを願うほかない。
驚天動地 首都圏着工を上回る新規戸建て分譲 成約戸数!スタイルアクト調査(2021/2/19)
旧聞のみ 実態に迫れず羊頭狗肉の記事 週刊住宅1/18号〝ミニ戸建てがブーム〟(2021/1/21)
敷地60㎡未満の分譲「狭小住宅」 都心部は軒並み50%超 最少の練馬は1.9%(2019/8/19)
建売住宅のガリバー企業誕生 飯田グループホールディングス(2013/11/2)
オープンハウス荒井社長「いまは踊り場。成長戦略を構築する」(2012/1/19)
驚天動地 首都圏着工を上回る新規戸建て分譲 成約戸数!スタイルアクト調査
小規模開発が圧倒的に多く、杳として知れないのが実態とされてきた新築分譲戸建て市場が、ひょっとしたらこのコロナ禍にもかかわらずバブル期を凌ぐ活況を呈していると受け取れるデータの出現などについて書く。
不動産経済研究所は昨年3月、数十年間にわたって調査を続けてきた首都圏の建売住宅市場動向調査(以下、分譲戸建て市場)をやめた。調査対象を原則として10戸以上の開発規模としてきたため、市場全体の1割未満しか捕捉できないことが大きな理由だと思われる。
同社の決断は正解だと思う。そもそも十把ひとからげのマクロデータはあてにならない。株価だってバブル崩壊後最高値を付けたからと言ってみんな上昇しているわけでも、実体経済を反映しているわけでもない。
分譲戸建てでいえば、直近のテータによると飯田グループの1戸当たり平均価格は2,756万円で、三井不動産のそれは6,663万円だ。これを足して2で割った4,710万円が平均価格なのか、そして飯田グルーフの住戸が売れて三井不が売れ残り、あるいはその逆だったら、契約率は50%でも中身はまったく異なる。好調なのか不調なのか誰も正解を出せない。
ところが、不動研の〝撤退〟に呼応するのか待ち構えていたのかよくわからないが、分譲戸建て市場の全体像に迫ろうとする調査がある。
一つは、2015年4月から公表されている東京カンテイの「一戸建て住宅データ白書」だ。最新の2020年版では全国で110,938戸、首都圏で52,193戸がそれぞれ供給され、首都圏の1戸当たり平均価格は3,997万円、平均土地面積は115.7㎡、平均建物面積は98.9㎡とある。
国土交通省の2020年の分譲戸建て着工戸数は全国で130,753戸、首都圏で54,340戸だから、同社レポートの捕捉率は驚異的だ。刮目に値する。
レポートでは首都圏供給戸数は着工戸数より約2,100戸少ないのは、同社は調査対象を最寄駅から徒歩30分以内かバスで20分以内、さらに土地面積が50㎡以上で300㎡以下としているからだと解すれば、東京都で増加していると思われる土地面積が50㎡以下の相当数の物件がこの中に含まれていると合点がいく。
ただ残念なのは、同社のレポートは分譲された物件のうちどれだけ売れたのか、成約価格は売り出し価格とどれほどの乖離があるのか、売主ごとの販売状況はどうなのかはわからないことだ。冒頭にも書いたように、分譲戸建てをマクロデータにまとめただけでは参考にならない。詳細な分析結果を知りたい。
さらに言えば、同社は各社の物件ホームページや住宅検索WEBなどから調査しているはずなので、広告する前に売れてしまった物件の調査漏れはないのか、その逆に多数あるといわれるダブロカウントはないのかも気にかかる。
それにしても、よくぞここまで捕捉したものだ。脱帽するしかない。記者も昔、分譲戸建ての販売動向を調べていたことがあるが、捕捉率は5~6割くらいだった。
もう時効だろうから書く。同社は1979年10月、都心部でレベルの高いマンションを分譲していた朝日建物の子会社として設立された。同時期に取材したのを覚えている。目黒駅前の小さな雑居ビルだった。規模は数人だったはずだ。
親会社の朝日建物はマンション専業に徹していればよかったのだが、バブル期にマンション転がしに手を染めたのがいけなかった。創業社長の長田高明氏の実兄が東京相和銀行(現・東京スター銀行)の頭取だったことから湯水のように事業資金が注ぎ込まれ、同社はそれで中古マンションを買い漁った。年間数百戸を転がしていたはずだ。
そして、バブル崩壊後の1999年に朝建は破綻した。その後、セコムが営業権を譲り受け、やはり破綻したホリウチコーポレーション(堀内建設)と合併させてセコムホームライフとしてマンション分譲を継続してきた。そのセコムホームライフは昨年10月、穴吹興産グループ入りし、社名もあなぶきホームライフに変更された。
朝日建物のブランドはこれで完全に消えたが、東京カンテイとマンション管理の朝日管理は健在だ。社長は長田千江美氏とあるから、長田家と姻戚関係のある方だろう。現在の従業員は250名とある。すごい会社に成長したものだ。
◇ ◆ ◇
東京カンテイのレポートに驚嘆するのだが、もっとすごいのが出現した。〝住まいサーフィン〟〝沖式儲かる確率〟で知られるスタイルアクト(旧社名:アトラクターズ・ラボ)の「首都圏新築分譲戸建の市場動向2020年のまとめ」と題するレポートだ。おおよそ次のようにある。
・年間売出戸数は57,331戸で住宅着工戸数とほぼ同数(売出時期は着工時期とほぼ同じ)
・年間販売戸数は65,104戸で、年間売出より約1,000戸上回る
・在庫戸数は2019年12月の32,437戸から、2020年12月の24,664戸になり、7,773戸と大幅減少した
・販売月数は首都圏平均で4.9か月まで下がり、売れ行き好調の目安である5か月を割り込んでいる
・2020年12月には24,664戸と5か月分の適正在庫に収まっており、売れ行きは順調である
・首都圏の平均売出価格は4,105万円、㎡単価は41.6万円で前年水準を維持した
これを読んで、記者はわが目を疑った。年間売出戸数は東京カンテイの調査より約5,000戸も多いのはさておくとして、2019年度末で32,437戸もあった在庫(完成在庫の意味か)が2020年12月末で24,664戸へと年間で7,773戸減少し、一方で新規売出戸数が57,331戸ということは、32,437戸+57,331戸-24,664戸=65,104戸が成約することなどありうるのか。これが事実なら、かつてのバブル期など比較にならない。狂乱どころではない。驚天動地だ。
信じられないのは他にもある。レポートは「年間売出戸数は57,331戸で住宅着工戸数とほぼ同数(売出時期は着工時期とほぼ同じ)」としているが、これはありえない。明らかに間違いだ。前述したように2020年の首都圏着工戸数は54,340戸だ。それより約2,700戸も多く分譲されるはずがない。着工=建築確認済みとは限らないだろうが、建築確認前に分譲すれば宅建業法違反になるではないか。推察するに、この約2,700戸はいわゆる売り建てか、2019年に着工した63,360戸のうちの相当分が2020年に分譲されたのではないか。これだと辻褄があう。そうであればきちんとレポートに書くべきだ。
「販売月数は首都圏平均で4.9か月まで下がり、売れ行き好調の目安である5か月を割り込んでいる」「5か月分の適正在庫に収まっている」としているのもいま一つよくわからない。売り出しから4.9カ月で完売するのなら、着工から完成まで3~6カ月と仮定すれば、完成まで完売になる計算だ。在庫となるのは9月以降に分譲した数千戸くらいにとどまるはずだ。どうして桁違いの在庫が出るのか。そしてまた、在庫が順繰りに売れればいいが、そうでないと「新築」として売れなくなるのではないか。適正在庫が年間供給の5か月分というのも信じられない。在庫を抱えないのが分譲事業の鉄則ではなかったのか。年間分譲の5か月分の完成在庫を抱えたら社長のクビは飛ばないのか。
これも善意に解釈すれば、在庫とは完成在庫ではなく、仕掛物件も含まれると理解すればそれなりに納得はいくのだが…。
解せないのはまだある。「首都圏の平均売出価格は4,105万円、㎡単価は41.6万円で前年水準を維持した」とあるが、日本不動産流通機構(東日本レインズ)は2020年の新築戸建住宅の成約件数は6,334件(前年比7.9%増)で、成約価格は平均3,486万円(前年比0.7%下落)と発表した。レポートでは成約価格の値引き率は売出価格の2.2%(約90万円)としているが、この乖離はどう説明するのか。また、「㎡単価」はいったい何を指すのか。土地面積なのか建物面積なのか説明しないとわからない。
これらの疑問点について同社にメールで問い合わせているのだが、10日以上経過しても回答が得られない。記者は9年前、同社を批判する記事を書いたが、それが影響していると思いたくないが…。疑問に答えていただきたい。
東京都 新型コロナ感染者 報告漏れ838人を追加 昨年11/18~1/31分
東京都は2月15日、新型コロナ感染者数に未入力データがあるとして11月18日から1月31日まで合計838人分を追加すると発表した。2月15日まで累計感染者は107,609人となった。
患者数の急増により保健所の業務が増大し、報告データに未入力が生じたためとしている。
◇ ◆ ◇
予想されたことだ。第一波の時から専門家から「保健所業務はひっ迫している」「疲弊している」などの声が上がっていた。都は毎日、メディア向けに午後3時までに感染者数を発表してきたが、無理があったようだ。
記者はこの日(16日)、追加分のデータを入力するため午前9時から作業を行っているが、16時現在、作業は完了していない。
日鉄興和 横浜初の〝リビオ〟「関内」 販売は橋本、多摩センター早期完売のリスト
「リビオレゾン横濱関内」
リストグループのリストインターナショナルリアルティが先日(2月10日)、販売代理を受託したと発表した日鉄興和不動産「リビオレゾン横濱関内」のギャラリー・モデルルームを見学した。VR内覧システムを利用した体感型VRモデルルームを設けているのが特徴で、ギャラリー内の大型ビジョンに壁面、床面に部屋やインテリアなどのイメージ映像を投影することで、実際のモデルルーム以外にも様々なタイプの部屋をリアルに体験することができる。
物件は、JR京浜東北線・根岸線関内駅から徒歩5分(市営地下鉄ブルーライン伊勢佐木長者町駅から徒歩5分)、横浜市中区翁町二丁目に位置する11階建て全39戸。専有面積は32.21~61.46㎡、予定価格は3,500万円台〜6,500万円、坪単価は356万円。竣工予定は2021年11月中旬。施工は風越建設。販売代理は同社のほか野村不動産アーバンネット。
これまで約500件の反響があり、モデルルーム来場者は約60組。販売開始は3月中旬。
現地は、横浜中華街・山下ふ頭とともに地域指定が拡大された「特定都市再生緊急整備地域」内に位置し、「横浜市役所路地再開発計画」、「関内駅前港町地区第一種市街地再開発事業」、さらには横浜文化体育館の再開発施設「横浜ユナイテッドアリーナ・メインアリーナ」、すでに完成した横浜総合高校跡地を活用した「横浜武道館」などに近接し、飛躍的な発展が期待されるエリアの一角。
建物は、南東側、南西側それぞれ幅員約6mの市道に接道する角地。住戸プランは1フロア4戸構成で、32㎡台の1LDKが19戸、45㎡台の2LDKが9戸、54㎡台の1LDK+Sが1戸、61㎡台の3LDKが10戸。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2400ミリ、リビング床暖房(1LDK除く)、各階各住戸専用宅配ボックス、非接触ボタン搭載エレベーター、無人コンビニなど。
販売を担当する同社販売営業部主任・山中勇樹氏は、「日鉄興和さんの横浜初の〝リビオレゾン〟シリーズ。来場者の中心は地元だが、反響はかなり広域からある。再開発計画が目白押しのエリアの一角。割安感のある価格設定なので早期に完売したい」などと語った。
モデルルーム
◇ ◆ ◇
山中氏は、RBA野球大会を通じてもう何年か前からの友だちのような人だ。同社の野球チームを率いてきた元ロッテ-西武の倉持明前監督から褒められた場面などほとんど見たことはないが、同社チームの不動とまでは言えないまでも主砲の一人だ。
そして昨年、倉持氏から監督の座を禅譲され、いざ戦いに臨もうとした矢先、コロナの影響で野球大会は中止になり、一昨年入社した元西武の斉藤彰吾氏からも〝軟式なんて〟などと入部を〝拒否〟され、一度も実践で采配を振るったことがない情けない山中氏ではあるが、本業のマンション販売では、昨年責任者として担当した「ミオカステーロ橋本」(42戸)と「ミオカステーロ多摩センター」(26戸)を竣工前の昨年10月までに完売した実績の持ち主だ。
しかも、今回の「関内」は本社所在地でもあり、ギャラリー・モデルルームも本社内にある。知悉している街だ。さらにまた販売力のある野村不動産アーバンネット(4月1日付で野村不動産ソリューションズに社名変更予定)とタッグを組めば早期完売はありえないことではないとみた。坪単価は間違いなく安い。
この「関内」が日鉄興和不動産〝リビオレゾン〟シリーズで横浜初とは知らなかったが、同社はもっともコンパクトマンションの実績が多いデベロッパーだ。
各階各住戸専用宅配ボックス
ワイドスパン、多面採光がいい リストが販売復代理の山田建設「橋本」(2020/2/20)
レオパレス21 賃貸入居率低下止まらず 2021年3月期業績 大幅下方修正
レオパレス21は2月12日、前回2020年6月5日に公表した2021年3月期の業績予想を修正。売上高4,089億円(前回予想4,311億円)、営業損失346億円(同営業損失98億円)、経常損失398億円(同経常損失102億円)、純損失444億円(同純損失80億円)と予想している。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い第3四半期の賃貸住宅の累計平均入居率は78.58%(前年同期比1.89ポイント減)に低下しており、今後もこの傾向が継続し賃貸事業売上高が約219億円、営業利益が約283億円それぞれ減少し、営業外費用もかさむためとしている。
業績予想の下方修正に伴い、役員報酬の減額を2022年3月まで継続する。
住友不動産 2021年3月期3Q 不動産販売の期末営業利益進捗率は103%
住友不動産は2月12日、2021年3月期第3四半期決算を発表。売上高7,058億円(前年同期比8.1%減)、営業利益1,794億円(同2.6%減)、経常利益1,749億円(同0.5%減)と減収減益となったが、純利益は1,283億円(同13.7%増)と同期間としては過去最高を更新した。主力のオフィスビル事業は低水準の空室率を維持するなど増収増益となり、業績を下支えした。
不動産販売事業は、売上戸数が減少したが、粗利益率改善により営業利益は同期間として過去最高を更新。通期業績予想に対する営業利益進捗率は103%となった。通期業績予想に対する契約はすでに確保済みとなったほか、翌期計上予定分も2,000戸超に達した。
東京建物 2020年12月期決算 増収経常増益 増配へ 今期も増収増益見込む
東京建物は2月12日、2020年12月期決算を発表。売上高3,349億円(前期比3.7%増)、営業利益496億円(同5.3%減)、経常利益470億円(同5.5%増)、純利益317億円(同6.7%増)と増収経常増益となった。
ビル事業及びクオリティライフ事業において投資家向け物件売却が増加し、分譲マンションも堅調に推移した一方、前連結会計年度に計上した大型マンションの売上の剥落、新型コロナウイルス感染拡大によるホテル、商業施設、駐車場などの売り上げ減少などから営業利益は減少した。しかし、営業外損益の改善により経常利益、純利益は増益となった。
次期の業績予想は、ビル事業・住宅事業の各セグメントで投資家向け物件売却の増加などにより営業収益は3,550億円、営業利益は540億円、事業利益は530億円と増収増益を見込む。
また、同期末配当は、1株当たり23円を予定していたが、業績が予想を上回ったことから1円増配して24円を予定している。次期配当金も、1株当たり48円(中間配当24円)を予定している。
オープンハウス2021年9月期1Q 大幅増収増益 増配へ/来年1月に持ち株会社へ移行
オープンハウスは2月12日、2021年9月期第1四半期決算を発表。売上高1,551億円(前年同期比22.2%増)、営業利益193億円(同33.6%増)、経常利益206億円(同47.0%増)、純利益148億円(同51.6%増)と大幅増収増益となった。引き続き戸建関連事業の販売が好調に推移し、業績を牽引した。
好業績を受け同社は同日、2021年9月期の業績予想を前回発表した11月13日公表したより上方修正。売上高7,676億円(前回発表比21.1%増)、営業利益838億円(同21.4%増)、経常利益825億円(同17.9%増)、純利益600億円(同20.0%増)を見込む。
配当も中間期、期末それぞれ44円から50円に、合計88円から100円に増配する予定。
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同社は同日、将来を見据えた経営体制の構築を図り、グループ全体の企業価値の最大化と持続的な成長を目指すため、4月1日付で持株会社体制への移行準備会社を設立し、2022年1月に持ち株会社に移行すると発表した。
移行方法は、同社の現社名・オープンハウスを新社名・オープンハウスグループに改め吸収分割会社とし、新たに設立する分割準備会社・オープンハウスを吸収分割承継会社とする吸収分割により、同社が上場を維持したまま持株会社体制に移行する。