保護実践、教育普及、子ども・学生3部門構成もいい 「日本自然保護大賞2021」視聴
左から保護実践、教育普及、子ども・学生部門大賞受賞(同協会ブレス・リリース)
公益財団法人日本自然保護協会が3月13日行った「日本自然保護大賞2021」授賞記念シンポジウムをオンライン配信で視聴した。大賞を受賞された皆さんの活動はみんな素晴らしい!保護実践部門、教育普及部門、子ども・学生部門の3部門構成という構成もいい。
同大賞は2014年、日本の自然保護と生物多様性の保全に大きく貢献した取り組みを表彰するため創設され、生物・生態系の研究、自然保護の実践、環境教育の推進などの優れた活動を表彰している。
7回目の今回は、129件の応募があり、審査の結果、保護実践部門は、熊本県・天草における47年間にわたる長期的かつ総合的な自然環境保全活動を行っている吉崎和美氏が、教育普及部門は、滋賀県に拠点を持つ企業8社の連携によるによる生物多様性びわ湖ネットワーク活動「トンボ100大作戦~滋賀のトンボを救え!」が、子ども・学生部門は、兵庫県相生市の小学生兄弟によるカニの観察活動がそれぞれ大賞を受賞した。このほか、特別賞として3件が受賞した。
◇ ◆ ◇
大賞を受賞された皆さんの活動はみんな素晴らしい。吉崎さんは、調査研究・実践年数からして70歳近いのではないか。天草の生物多様性を守るため干拓事業をやめさせた実績があるそうだ。プレゼンの最後に「これ以上の環境の衰退を止めないといけない。人間の食べ物は全て自然から得ている。人工でコントロールはできない」と締めくくったのには胸が打たれた。視聴者の「先生のスーツ姿を初めて見た」というメッセージから普段の活動ぶりがよく理解できた。
生物多様性びわ湖ネットワーク活動は、旭化成ホームズのプレス・リリースで知ったのだが、皆さんは普段はしっかり仕事もされているはずで、企業連携だけでも難しいのに地域や専門家などを巻き込んでいるのが素晴らしい。頭が下がる。この種のSDGsの取り組みは企業価値を測る物差しになるはずだ。それにしてもわが国のトンボの種類200種のうち滋賀県に100種が生息(活動で78種を確認済みとか)するとは驚きだ。
審査員のイルカさんも絶賛したが、相生市の小学生兄弟のプレゼンが最高に面白かった。独自の6年間の調査・観察で22科75種のカニを確認したという。「どの本にも載っていない、カニの息遣いを伝えたい」という執念・姿勢に脱帽だ。カニはすっぱいものが嫌いで、チョコレートや甘口カレーのルーをよく食べるとか、カニの毛はドライヤーで乾かそうとしてもなかなか乾かないとか、ウンコは匂わないなどの驚きの報告もあった。
二人はカニカマが大好きだが、カニは食べないと話したのには笑ってしまった。酒のつまみに最高のカニみそを知らないのは分からないでもないが、小生の小さいころは、モズクガニが面白いように獲れたし、やはりカニみそがとてもおいしかったのを思い出す。ご兄弟!そんなにカニを愛するのなら、しっかり食べてやるのもカニのためだとおじさんは思うがどうだろう。
来年の大賞表彰式が楽しみだ。
続・恥ずべき素人記事を許す編集・経営の問題 記者は御用評論家に頼るべきではない
昨夜の週刊住宅に関する記事は怒りに任せて書いた。Webにアップしたとき、ちょっとやりすぎと思わないではなかったが、一夜明けても怒りは収まらない。むしろ逆だ。今後のことを考えるともう一度整理して書くべきという結論に達した。いくつか問題点を指摘する。
一つは、このような記事をよしとする同紙の編集部・経営の問題だ。記事を事前にチェックすれば、プロの読者を満足させる内容でないことはすぐわかるはずだ。週刊紙だから取材の目的を明確にし、どこにどのように取材すればいいか、書く担当者が素人であっても指示できた時間的なゆとりはあったはずだ。
同紙は、前社長の急死をきっかけに破綻し、その後、再刊を望む支援者の出資で復活したことはみんな知っている。その支援者に報いるためにも、旧に倍する努力でもってオピニオンペーパーの役割を果たすべきではないか。残念ながら、貴紙にはその姿勢が欠けているように思えてならない。
もう一つ、素人記者は無知であることを恥じるどころか居直って、あろうことか現時点で最高レベルの野村不動産「プラウドタワー亀戸クロス」を俎上に上げ、そのレベルの高さには一切口をつぐんでいることが許せない。
小生は、野村不動産が昨年2月、代表取締役社長・宮嶋誠一氏(4月1日付で副会長に就任予定)と取締役兼専務執行役員・松尾大作氏(同じく社長に就任予定)も出席して記者発表会を行ったときも、昨年末も同物件が最高レベルであることを書いた。
その商品企画レベルは、省エネ性と居住性能を飛躍的に高める全館空調(床快full)、間取りの可変性を実現した「Mi-liful(ミライフル)」、断熱性能の高い樹脂サッシとLow-Eガラス、電気室への浸水を防ぐ止水扉など他社の追随を許さない。大げさに言えばマンションの歴史を塗り替えた記念碑的なマンションだ。
そんなマンションなのに、週刊住宅の記事によれば、地元業者は他の物件と十把一絡げにして「そこそこの売れ行き」とみているようだ。亀戸のポテンシャルを引き上げるためにも、この誤解を解くべきだ。「亀戸」で坪単価350万円は確かに高いと思う。第一次取得層の取得限界を超えている。それがゆえに「そこそこ」であったとしても、もう一度しっかりと物件特性を伝えるべきだ。
そこでお願いだ。この記者をモデルルームに呼んで、レクチャーしていただきたい。本人は「定点観測を続けたい」と言っているではないか。ここでしっかり「最高レベル」マンションとはどのようなものなのか認知させることは、今後続々供給される御社の城東エリアの再開発マンションにもつながるだろうし、デベロッパーは記者を育てる役割を担っているはずだ。
記者の方にも再度言いたい。昨日はかなり辛辣なことを書いた。二度と立ち直れなくなったらどうしようかという心配もないわけではないが、これしきのことでへこたれるようではそもそも記者になる資格がない。人は過ちを犯すものだ。今回の蹉跌を糧に一流の業界紙記者を目指してほしい。
そのためには、昨日も書いたが評論家などの言葉を信じないことだ。小生は業界紙の記者になってからすぐ、この業界には〝評論家〟と呼べる人は、故・佐藤美紀雄氏(2005年9月17日死去)しかいないことを知った。佐藤氏の死後も佐藤氏を超える〝評論家〟は一人も出現していない。〝御用評論家〟ばかりだ。
そんな人たちに頼らず、ジャーナリストとして自立の道を歩んでいただきたい。
いい加減にしろ 野村不「亀戸」を知らず、地元の賃貸業者に取材する週刊住宅記者
わが業界紙のひどい記事については再三再四その都度指摘してきたが、「週刊住宅」3月8日号の「都内城東マンション市況/好調の波、来ている/地元業者「錦糸町は活況」、亀戸で大型タワー建設工事進む」の長ったらしい見出しの記事には悲しいやら情けないやら腹が立つやら…。そうでなくてもコロナ禍でストレスは爆発寸前なのに、いい加減にしろといいたい。編集部のチェック機能はどうなっているのだ。
◇ ◆ ◇
この週刊住宅記者は、「本紙で連載を持つ櫻井幸雄氏が21年2月15日、ダイヤモンド不動産研究所(ダイヤモンド社)で東京・城東エリアにおける新築マンション市況に関する記事寄せている」(そのまま。意味不明)と書き起こし、「櫻井氏の記事を読んで亀戸に興味を覚えた。私事で恐縮だが、江東区で生まれて育った。そのため亀戸は小さいころから馴染みがある。そこで亀戸に足を運び、地元の不動産業者を訪ねてみた。亀戸は新築マンションで賑わっているのか、実際に取材して話を聞いてみようと思ったのだ」と取材の目的を明かしたうえで、本文でいきなり「JR亀戸駅のそばで大規模なマンションが建築中であった。マンション名は『プラウドタワー亀戸クロス』、価格は未定」と書いている。
冗談にも程がある。貴殿、あるいは貴女はそれでも業界紙の記者か。「プラウドタワー亀戸クロス」を知らないのは記者として失格。もぐり同然だ。野村不動産に聞けば、これまでの販売状況などについて教えてもらえるはずだ。これを怠って、どうして何も知らないはずの街の不動産業者(失礼)にアポなしで飛び込み取材を敢行するのか。相手だって迷惑だ。コロナに罹ったらどうするのだ。
案の定、その業者には「うーん、どうだろうな。新築マンションが売れているという話も聞くけど、ウチは賃貸中心だから、よくわからないな」と言われ、その後も2軒回って大した成果は得られなかったようだ。
当たり前だ。素人同然の記者が、同じ不動産業者とはいえ業態がまるで異なる業者に取材して成果が得られるはずがないではないか。
それでも懲りないこの記者の方は「亀戸を根城に定点観測を続けてみたい」と結ぶ。やめたほうがいい。マンションの「マ」の字を知らなくて、地元業者を百回だろうと千回だろうと回ってもプロの読者に読んでもらえるような記事ネタは一つもつかめないだろう。そんな記事ばかり書いていたら、根城どころか、生計を維持するための「塒」(ねぐら)すら確保することはできないだろう。(どこかにどっぷり住みついていたらご同慶の至りだ)
それより、どこでもいい(とはいえプラウドは欠かせないが)。デベロッパーに頼んで週に2~3件くらい現場を回れば、1年後にはマンション専門記者に育つかもしれない。記者の仕事を甘く見てはいけない。
もう一つアドバイス。評論家だろうが何とか不動産研究所だろうが、人のしゃべることや書いたものは疑ってかかるべきだ。自らが現場に赴いてしっかり確認することが記者の基本だ。この基本を忘れると、それこそ「か・ち・も・な・い」=「価値もない」記事を垂れ流すことになる。
参考までに小生の「プラウドタワー亀戸クロス」に関する記事を添付する。異論反論があるなら指摘していただきたい。
全て読んだわけではないが、同紙の他の記事では、中身が何もない住宅リフォーム市場記事もひどく、3.11に関する記事も各社のあれやこれやの取り組みやオンラインによるインタビュー記事でお茶を濁している。
3.11に関する記事は、住宅新報も1面で三井不動産の「わたす日本橋」の取り組みを紹介している。補足取材も行ったようで「週刊住宅」よりはましだが、これもまたプレス・リリースが基本だ。記事の中には「三井不動産の社員が足で稼いだ食材や物品を販売」「現地へ出向くことに大きな意義がある」とあるではないか。
コロナ禍で現場取材は難しいのだろうが、心を揺り動かすような現地からのレポート記事は書けないのか。〝記事は足で書く〟-小生は耳にタコができるほど聞かされた言葉だ。
昨日道端で摘んだ草花。黄色の花の名前が1時間調べたのに分からない。誰か教えて(紫の花はムラサキナバナ)
南三陸町産の杉材のえも言われぬ香りに感動 三井不動産「わたす日本橋」(2021/3/11)
価格上昇・専有圧縮 質の低下…マンション市場データは消費者目線欠落していないか(2021/3/3)
坪単価496万円でも販売好調 伊藤忠都市開発「新宿若松町」/「渋谷富ヶ谷」も順調
「クレヴィア新宿若松町」
昨年12月から販売を開始した伊藤忠都市開発の「クレヴィア新宿若松町」が好調な売れ行きを見せている。都営大江戸線若松河田駅から徒歩3分の149戸(販売対象住戸71戸、事業協力者住戸78戸)で、坪単価496万円ながらすでに半分以上の40戸を成約している。
物件は、都営大江戸線若松河田駅から徒歩3分、新宿区若松町の商業地域、第1種住居地域に位置する13階建て全149戸(販売対象住戸71戸、事業協力者住戸78戸)。専有面積は25.50~80.85㎡。先着順で分譲中の住戸(5戸)の価格は4,098万〜7,398万円(専有面積25.50~54.01㎡)。坪単価は496万円。竣工予定は2022年2月下旬。販売代理は伊藤忠ハウジング。デザイン監修はレーモンド設計事務所。設計・監理・施工はアイサワ工業。
現地は、阪急阪神不動産が分譲した「ジオ若松河田」の隣接地。敷地北側は都市計画道路予定地。
建物は内廊下方式で、住戸プランは南向きの50~80㎡台の2LDKタイプと、25~53㎡台のワンルーム~2LDKのコンパクトタイプの混在型。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ(Bタイプ1戸は3000ミリ)、ディスポーザー、食洗器、シーサーストーン天板など。
販売代理の伊藤忠ハウジング・大倉嘉隆氏は、「絶好調。昨年12月から販売を開始し、すでに折り返し点を過ぎた」と話している。
◇ ◆ ◇
単価を聞いて驚いた。2016年に日本エスコンの「Grand Le JADE若松町レジデンス」31戸を見学している。レベルの高いマンションだったが、坪単価は400万円台の前半だった。それより100万円近く高くても売れるとは…。
ただ、設備仕様レベルは高い。販売対象住戸はどちらかといえば、ファミリータイプよりコンパクト住戸のほうが多い。このまま順調に売れるのだろうか。
◇ ◆ ◇
取材の主目的は、同社の常設「ギャラリークレヴィア新宿」にある「クレヴィア渋谷富ヶ谷」のモデルルームを見学することだった。
この物件については、同社のプレス・リリースをコピペして記事にしているので参照していただきたい。「富ヶ谷」アドレスで、坪単価600万円にふさわしいレベルにあると思う。
細部にもデザインにこだわっているのが特徴だ。例えば、バルコニーの手すり壁の裏側もタイル張りにしており、住戸の玄関にはオリジナルのガラスアートを配している。オプションのテレワーク用の個室もよくできていた。
販売も順調で、伊藤忠ハウジングのプロジェクトマネージャー・尾林拓氏は「販売対象22戸のうち11戸を供給し、現在4戸を先着順に分譲中。2LDK、3LDK中心に予定通り進捗している。モデルルームはRBA野球チームの大倉が担当している『新宿若松町』と共通で、『新宿若松町』も好調」と話した。
尾林氏が「大倉」の名前を出さなかったら、そのまま取材を終え、「渋谷富ヶ谷」の記事だけに済ます予定だったが、予定を急遽変更して「新宿若松町」をメインにすることに決めた。
大倉氏は、RBA野球屈指の強打者でチームの主砲だ。記録は取っていないが、これまで5年くらいの通算打率は5割に達するのではないか。昨年、チームにはすごい投手も加入したというから、期待通りに活躍すれば優勝できる戦力があるとみた。いま伊藤忠都市開発(伊藤忠ハウジング)はマンション事業でもっとも〝元気〟がある会社の一つだ。
「クレヴィア渋谷富ヶ谷」
「クレヴィア渋谷富ヶ谷」(左上が玄関のガラスアート)
伊藤忠都市開発 建て替えマンション「渋谷区富ヶ谷」分譲開始(2021/2/24)
三菱地所レジデンス 都心部のマンション事業強化 札幌、仙台は撤退
三菱地所レジデンスは3月11日、組織改正を発表。それぞれ4月1日付。
首都圏分譲マンション事業で都心部を強化し、機動的な組織体制を構築するため「第一 用地部」「第二用地部」「第三用地部」及び「第一計画部」「第二計画部」「第三計画部」を、「第一用地部」「第二用地部」及び「第一計画部」「第二計画部」へ用地・計画各3部体制から各2 部体制へ再編し、再開発事業の強化を図るために再開発事業部門を新設する。
また、分譲マンションの販売に関連する機能集約化による販売力強化並びに顧客ロイヤルティ向上を目的として「第四販売部」を新設。関東以北における事業機能を首都圏第一事業部門に集約するため、「札幌営業所」は2021年3月末に、「仙台営業所」は同6月末に廃止する。さらに、再開発事業の強化を図るために再開発事業部門を新設する。
この他、「サステナビリティ推進グループ」、「C・DX 企画部」をそれぞれ新設する。
◇ ◆ ◇
都心部や再開発に力を入れるというのは納得できる。都心部の高額では同社だけでなく、住友不動産も野村不動産も三井不動産レジデンシャルに圧倒的に負けている。3社が束になってもかなわないのではないか(これは失礼か)。「ザ・パークハウス グラン」はどうしたのだろう。再開発も他社と比較するとやはり弱い。
札幌、仙台から撤退…地方のことはよくわからないが、各社が入り乱れて用地争奪戦を展開しているのではないか。そんなところで血みどろの戦いをしないというのも賢明な選択ではないか。「金持ち喧嘩せず」といったらこれまた失礼か。
代々木上原の1低層 デザイン性高く借景見事 小田急不・大和ハ・地所レジ「上原」
「リーフィアレジデンス上原」
小田急不動産(事業比率40%)・大和ハウス工業(同30%)・三菱地所レジデンス(同30%)の3社は3月11日、分譲中のマンション「リーフィアレジデンス上原」の記者見学会を行った。代々木上原駅から徒歩9分の第一種低層住居専用地域の高台立地の4階建て全65戸。雁行設計と吹き抜けを多用することで居住性を高めているのが特徴。販売も順調に進んでいる。
物件は、東京メトロ千代田線・小田急小田原線代々木上原駅から徒歩9分(小田急小田原線東北沢駅から徒歩3分)、渋谷区上原三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する4階建て65戸。専有面積は62.03~125.10㎡、現在先着順で分譲中の住戸(3戸)の価格は10,990万~21,700万円(63.19~121.03㎡)。坪単価は非開示だが635万円くらいか。建物は2021年2月に竣工。設計・施工は第一建設工業。デザイン監修は西山建築デザイン事務所。
現地は、南側と東側(私道)に接道。高さ規制が10mの第一種低層住居専用地域だが、敷地四方に空地を設けたことから12mに緩和されており、建物は内廊下、逆梁ハイサッシ(2400ミリ)を採用、南側を雁行設計とし、中庭、吹き抜けを多用することで、全戸多面採光としているのが特徴。
住戸の主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、メーターモジュールの廊下、シーザーストーン天板、バックカウンター・収納(一部)、食洗器、ディスポーザーなど。
平均専有面積は88㎡、約4割が100㎡以上。昨年6月から販売を開始しており、これまでに7割が契約済み。購入者の8割が都内居住者で、うち4割が渋谷区居住者。
エントランス
「リーフィアレジデンス上原
中庭
◇ ◆ ◇
小田急不動産の都心部マンションの見学は久々だったが、デザイン性が高いのは昔のマンションと同じだった。レベルの高いマンションだと思う。皆さんはご存じないかもしれないが、記事に「モンドリアンの絵画のよう」と見出しを付けた、デザイナーズマンションの走りの一つといえる2003年竣工の「コアロード六本木フロンテ」30戸を思い出した。
デザイン監修の山建築デザイン事務所はどこかで聞いたことがあるような気がしたので、「RBA」で検索したら記者がほれ込んだモリモトの「ディアナコート浜田山」がそうだった。
今回は、水の流れ、ゆらぎを表現したエントランスの御影石トレンチ加工、1階のエレベータホール、ラウンジに面した中庭のデザイン・植栽、車寄せなどが秀逸だ。
もう一つ、大きな特徴は借景だ。南側の道路を挟んだ対面はエネオスの〝迎賓館〟で、まるで公園のようなクスの巨木などが植わっている。
単価は記者の予想だが、そんなに的を外していないはずだ。建築費は上昇しているが、同じ駅圏の最高レベルの三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス代々木上原」の647万円を上回ることはないと読んだからだ。
同社にこれから都心部のマンションの供給を増やすのかどうかは聞き忘れた。
1階エレベーターホール
1階ラウンジ
南三陸町産の杉材のえも言われぬ香りに感動 三井不動産「わたす日本橋」
「わたす日本橋」内観(日本橋三井タワー2階)
東日本大震災から10年のこの日3月11日、三井不動産が先日プレオープンした東北の情報発信・交流拠点「わたす日本橋」を見学した。「日本橋三井タワー」の2階にある約246㎡の店内は、宮城県南三陸町産の杉材が壁や天井、椅子、テーブル、カウンター、収納扉、ドア、その他建具・家具に至るまで張り巡らされており、杉独特の得も言われぬ香りが鼻孔を満たし、心にしみわたった。素晴らしい施設が新たに誕生した。
「わたす日本橋」は、東日本大震災後に社員が個人で取り組んでいた南三陸町でのボランティア活動を契機とし、2015年から同社の事業と位置づけて活動しているもので、「日本橋から、未来へ、わたそう。世界中へ、笑顔を、わたそう。」をキャッチフレーズに、国内外で活動を続けてきた。これまで約10万人の来場者を集めている。
開設から6年目を迎えた今年、施設を日本橋三井タワーに移転・グレードアップし、地元の食材・お菓子などの販売のほか、東北の生産者から仕入れた食材を用いた「わたすダイニング&パル」、東北に関する本を読める「わたすライブラリー」、最大12名で利用できる「わたすプライベートルーム」、多彩なイベントも可能な「わたすLOOP」を備えている。
店舗の内装工事では、天井・壁・建具・カウンター・化粧梁・パネルなど店舗の92%の木材にFSC認証材を使用し、デベロッパーとしては初めて2020年に「FSCプロジェクト認証」を取得している。
移転新装オープンに際して、南三陸町長・佐藤仁氏は「『わたす日本橋』では南三陸産の食材を提供していただいたり、町内の中学校と交流していただいたりと、これまでお付き合いが続いていることに感謝しています。私にとって『わたす日本橋』は、南三陸町で出会った方々と東京で再会できる、大切な拠点でもあります。南三陸杉の香りに包まれた心やすらぐ空間で、おいしい料理を食べながら、人が出会い、つながる。新店舗でもそのような素敵な時間を過ごすことを、楽しみにしています」とコメントを寄せている。
また、三井不動産代表取締役副社長執行役員・北原義一氏は、「東日本大震災から10 年を迎えて南三陸町の人達との出会い。皆例外なくいい顔、いい笑顔。あんなに過酷な体験したのに、どうして? 応援に行ったつもりの私たちが、逆に元気や勇気をもらった。他人の悲しみや苦しみを自分のこととして受け止め、一緒に泣き笑い、解決したときには喜びを分かち合う。極限の状況の中、人として皆で手を携えて、前を向いて生き抜いていくことの圧倒的な迫力を目の当たりにした。南三陸の人たちから心と体で教わった『優しさ』『思いやり』『絆』『助け合い』『慈愛』『自己犠牲』そういったたくさんの人の気持ちが、一杯に詰まった宝石箱として「わたす日本橋」をこれからも大切に育んでいきたい。そして、Covid-19、大震災、台風等々激甚自然災害が襲いかかってきても、毅然として立ち向かえる大人であり続けたい。未来を背負って立つ子供達の笑顔のために」とコメントしている。
「わたす日本橋」外観(隣は千疋屋本店)
「わたすダイニング&パル」
東北載淑材 イメージ
わたすライブラリー
建具・家具・壁・天井も杉材
カウンター
◇ ◆ ◇
同社の木材を用いた建築物では2019年にオープンした「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」に感動したが、今回の「わたす日本橋」はまた違った感動を覚えた。同社の本丸の一等地のど真ん中に移転したことに意味がある。
床は国産産材ではなくオーク材だと思うが、その他は南三陸材をふんだんに用いている。しかも節などほとんどない立派なものだ(節はまた美しいのだが)。これほど本物の杉材を用いた店舗はそうないはずだ。
残念ながら、コロナの影響で飲食は不可で、大好きな蠣や酒、ワインなども楽しめなかったが、コロナが収束したら必ず利用することを決めた。コース料理でも4,000円と安い。
スタッフには東北出身の人が何人か勤めており、そのうちの一人のサービスマネージャー・長野優大氏に話を聞いた。長野氏は次のように語った。
「わたしが二十歳の時。専門学校の卒業式を終え、実家の青森市に帰省中で、久々に会った友人と会食をしていると、強い揺れを感じ、すぐ停電しました。ただ事ではないと思い、宮城などにも友人がいたので、安否確認をしました。仙台空港にいた友人はすぐに避難して無事でした。停電は翌日の夕方まで続きました。今年で10周年を迎え、新たに震災のことは認知されると思いますが、まだ家に帰れない人がたくさんいる(約4.1万人)。このような東北の情報を発信する拠点があることを知り、私も力になりたいと就職しました」
長野氏
◇ ◆ ◇
うれしかったのは他にもある。プレス・リリースの最後に同社のSDGsへの貢献について紹介しているのだが、今回の取り組みは
目標2 飢餓をゼロに
目標4 質の高い教育をみんなに
目標10 人や国の不平等をなくそう
目標11 住み続けられるまちづくりを
目標14 海の豊かさを守ろう
目標15 陸の豊かさも守ろう
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
と具体的に項目を示していることだった。特に「人や国の不平等をなくそう」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさを守ろう」というのがいい。
各社のプレス・リリースをすべてチェックしているわけではないが、このように項目を明示しているのは少ないはずだ。取り組みの一つひとつをこのように目的意識的に発信しないと受け手には伝わらない。
3.11から10年 人口減少幅 拡大と縮小が拮抗 太平洋岸39市町村の人口動態(2021/3/7)
コロナ禍貧困、飢餓、健康福祉、不平等解消などSDGs達成の妨げにPR総研調査(2021/2/27)
耐震+制震の性能持つ高性能耐力壁「Endure Wall(エンダーウォール)」 ポラス
「Endure Wall (エンダーウォール)」
ポラスグループのポラス暮し科学研究所は3月8日、耐震・制震の性能を併せ持つ高性能耐力壁「Endure Wall (エンダーウォール)」を開発し、すでに注文住宅への採用も決まったと発表した。同日、同研究所内の実大実験施設で、従来の耐力壁との性能の違いが分かる記者見学会を行った。
「Endure Wall」は、複数回の地震にも耐えられる強度を持つ耐力壁と、地震の揺れを吸収する高い剛性を持つ特殊な「性能復元材」KOA制震ダンパーを組み合わせることで、コストパフォーマンスに優れ、設計やデザインの自由度も高めることを可能としたのが特徴。
同じ耐震性能を持つ30~40坪の一般的な住宅の場合、従来では22枚の耐力壁が必要なのを、「Endure Wall」はバランスよく配置すれば4枚で済ますことを可能とした。価格は1戸当たり約40万円(坪単価1万円)。すでに4件の成約があるという。木造軸組み工法と2×4工法に対応する。
従来型の耐力壁を用いた建物と「Endure Wall」を組み込んだ建物に阪神淡路大震災の揺れの50と70%の揺れ(中地震)を2回、熊本地震の前震と本震(大地震)の揺れを2回、合計4回それぞれ与えた実験の結果、「Endure Wall」を用いた建物の変形は小さく、構造性能を低下させないことが実証されたという。
現在の耐力壁は熊本地震のような大きな地震が度重なって起きた場合、耐震性が弱まるとされている。
同じ力を加えた場合の比較(左が「Endure Wall (エンダーウォール)」、右が従来の耐力壁)
熱を込めて説明するポラス暮し科学研究所 構造グループ課長・照井清貴氏
KOAダンパー
土台にも工夫がある
東京ガスなど15社 カーボンニュートラルに貢献 LNGバイヤーズアライアンス設立
「カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス」設立記者発表会(ホテルニューオータニで)
東京ガスを筆頭にアサヒグループホールディングス、いすゞ自動車、オリンパス、堺化学工業、ダスキン、玉川学園、東芝、東邦チタニウム、ニュー・オータニ、丸の内熱供給、三井住友信託銀行、三菱地所、ヤクルト本社、ルミネの15 社は3月9日、「カーボンニュートラルLNG(以下、CNL)バイヤーズアライアンス(以下、アライアンス)」を設立した。
アライアンスは、持続可能な社会の実現に向け、CNLを調達・供給する東京ガスと購入する各社が一丸となり、CNLの普及拡大とその利用価値向上の実現を目的として設立されたもの。気候変動対策やSDGsへの貢献、ESG企業経営に直結する重要なソリューションの一つとする。
アライアンス参画各社は、2050年の「カーボンニュートラル社会の実現」に貢献することを目指し、CNL を世の中に広く認知させるとともに、投資機関による評価向上や国内各種制度における位置づけの確立に向けて取り組みを推進していく。
CNLは、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスをCO2クレジットで相殺(カーボン・オフセット)し、燃焼させても地球規模ではCO2が発生しないとみなすLNG。東京ガスが2019年に輸入を開始し、カーボンニュートラル都市ガスとして日本で初めて供給を開始した。対象となるCO2クレジットは、信頼性の高い検証機関が世界各地の環境保全プロジェクトにおけるCO2削減効果をCO2クレジットとして認証したもの。
◇ ◆ ◇
この日(9日)の記者発表会場となったホテルニューオータニの広い宴会場正面には、欠席したアサヒグループ、オリンパス、ヤクルトの3社を除くそれぞれの業界を代表する会社の代表全員が、社章バッジではなくSDGsバッジを襟に付けて並んだ。わが住宅・不動産業界では三菱地所執行役員コマーシャル不動産戦略企画部長兼都市計画企画部長・井上俊幸氏とグループ会社の丸の内熱供給取締役社長・土屋正裕氏が出席していた。
冒頭に、経産省資源エネルギー庁長官・保坂信氏と環境省総合環境政策統括官・和田篤也氏からのビデオメッセージが紹介され、それから東ガスソリューション共創部長・清水精太氏から概要説明があり、各社のあいさつもあった。
年を取るごとに横着になっている記者は、事前にしっかり勉強しなかったために、清水氏が「今後CNLの輪を100社、1000社に、世界に広げたい。東京ガスのGはGoodのD」と語ったのは印象に残ったが、意義や問題点、今後の展開などをよく把握できなかったというのが率直な感想だ。
もちろん、記者だってSDGsのバッジを持っているし、脱炭素社会実現の取り組みは待ったなしなのはよくわかる。菅総理が昨年10月26日の所信表明で、「わが国は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」と表明した。アメリカ・バイデン大統領は今年1月、「パリ協定」に復帰署名を行い、中国・習近平主席も2060年のカーボンニュートラルを表明した。これから一挙にこの取り組みは加速する。
しかし、一方ではよくわからない問題も多いような気がする。カーボン・オフセットは果たして問題の解決につながるかという問題だ。様々な問題が指摘されている。例えば、ある地域での森林減少を抑制しても、他の地域で森林破壊が増大すれば、カーボンニュートラルにならないとか、国境を越えて金で売買されるクレジットは結果として発展途上国の様々な問題解決につながらないどころか矛盾、格差を拡大し固定する…などだ。
さらにまた、わが国は電源の自給率は11.8%(2018年度)にしかすぎず、化石燃料への依存度は85.5%にも達する。3.11以前は電源の11.2%を占めていた原子力発電は今後どうなるのか、30年先には水素、太陽光、地熱、風力などの再エネとLNG、原子力、石炭がバランスよく利用されるのか、バイオエタノールや南海トラフに大量に眠っているといわれるメタンハイドレードの開発・利用は可能になるのか、森林はきちんと管理できているのか…。
最後に資源エネルギー庁によるわが国の2018年度の電源構成比率データを紹介する。( )内は2010年度。
・石炭 25.1%(22.7%)
・石油 37.6%(40.3%)
・LNG 22.9%(18.2%)
・原子力2.8%(11.2%)
・水力 3.5%( 3.3%)
・再エネ8.2%( 4.4%)
ホテルの近くで咲いていたムササキナバナ
開幕前に西武〝日本一〟 素晴らしいボールパーク化工事完了 人材流失に終止符 更新
「メットライフドームエリアの改修計画」竣工式セレモニー 後藤オーナー(右)と辻監督
後藤オーナー(左)と辻監督
西武ライオンズは3月8日、投資額約180億円、工期3年3カ月をかけてリニューアル工事を進めてきた「メットライフドームエリアの改修計画」のすべての施設が完了したのに伴い、竣工式を行った。当日はオーナーの後藤高志氏(西武ホールディングス社長)のほか、代表取締役社長・居郷肇氏、辻発彦監督、施工主の鹿島建設・押味至社長などが出席し、メディア関係者に施設を公開した。公式戦開幕日の3月26日(金)には一部の施設を除きオープンする。
改修計画は、「ボールパーク化」と「チームと育成の強化」の2つを軸に、2017年12月から工事が開始されており、自然豊かな周辺環境と半ドームという特性を活かすことで、開放感に満ちた、四季折々の風情が楽しめるボールパークを目指し、屋根の外側の広がりを有効に活用して大型フードエリアやこども広場などを整備した。
また、ライオンズ トレーニングセンター(室内練習場)、若獅子寮、CAR3219フィールド(西武第二球場)など選手の育成環境面についても施設を刷新し、野球に集中できる環境を整備した。
野球観戦以外にも楽しめる「ボールパーク化」に加え、選手の練習・育成環境の刷新を行ったことにより、「ファンにとっても選手にとってもより満足できる施設」へと変貌した。
ドーム内で行われたセレモニーで後藤オーナーは次のようにあいさつした。
「事故や遅延なく、予定通り『メットライフドームエリアの改修計画』の完了を迎えることができたことを、大変うれしく思っております。
メットライフドームエリアの改修計画には、『ボールパーク化』『チームの育成/強化』という2つの目的がありました。さまざまなエンターテインメント性の高いものを用意させていただいたことで、年齢、性別を問わずあらゆる世代の方に埼玉西武ライオンズの試合、そしてコンサートなどのイベントを心からエンジョイしていただけると思います。『チームの育成/強化』については、既に完成しておりますライオンズ トレーニングセンター、若獅子寮、さらにはCAR3219フィールドを整備したことで、若手のプレーヤーの育成、強化に存分に活かされることを期待しております。
コロナ下の中で、行動変容、価値変容、などを言われる時代ですが、プロ野球の開幕により、多くのファンの皆さま、国民の方に希望、元気、勇気、笑いをお届けして、日本を元気づける大きな力になっていきたいと考えております。西武グループの理念である『地域・社会の発展、環境の保全に貢献する』、『安全・安心、そして快適なサービスをご提供する』という理念に基づいて、このメットライフドームエリアをしっかりと運営していきたいと思います。
続いて、辻監督は次のようにあいさつした。
「グランドオープンを迎える年に、監督として指揮をとれることを大変うれしく思っております。この改修工事を経て、本当に新しい座席も増えた中で、先ほど『アメリカン・エキスプレス プレミアム ラウンジ』に足を運び拝見しましたが、ゆったりとした環境で野球を楽しめる素晴らしい場所だと思います。選手たちと同じ目線で野球を楽しめる、近くで選手と触れ合える、そんな素晴らしい場所を、メットライフドームの大きな目玉のひとつとして皆さまに楽しんでいただきたいです。
そして、メットライフドームの新たな歴史の幕開けとなるこの2021シーズン、日本一という大きな目標に向かって戦ってまいります」
セレモニー
◇ ◆ ◇
ここまでの記事はほとんど球団のプレス・リリースのコピペ。過不足なく伝えられたと思う。以下が、西鉄・西武ファン歴60余年の記者の独断と偏見の記事。やや我田引水的な部分もあるが、極力客観的に書くつもりだ。西武が嫌いな人もお付き合い願いたい。
素晴らしい施設が誕生した。記者は他の取材が入っており、公開された施設のうち半分くらいしか見学できなかったが、見学した施設は多分〝日本一〟だと思う。
その前に、どうして三重県出身の記者が西鉄ファンになったのかの経緯を紹介する。
熱烈なファンになったのは、知将・三原修監督時代の1956年から1958年まで読売巨人軍を下して日本シリーズ3連覇を達したあたりだ。ご存じない方も多いかもしれないが〝神様仏様稲生様〟が流行ったころで、中西太氏のほか、すでに鬼籍に入られた豊田、関口、仰木、高倉、島原の各氏らが活躍した時代だ。記者は7~9歳だった。
強かったからファンになったわけではない。伏線があった。小さい頃のことはよく覚えていないのだが、4歳年上の頭の悪い兄は捕手をしており、キャッチボールをしても記者に手加減などしなかった。別棟の風呂や便所の下見板、戸板などをどれだれ壊したことやら。兄との仲は最悪となった。1954年、記者が5歳のときだ。西鉄と中日が日本シリーズで対決した。中日・杉下投手が3勝するなど4-3で中日が日本一になった。当然、兄は中日ファン。ならば俺は負けた西鉄を応援しようとそのとき決めた。西鉄が負けたことがその後の記者の性格形成に大きな影響を与えた。
西鉄が西武に身売りされても心変わりなどせず、ずっと応援してきた。後藤オーナーは1949年の2月生まれで、記者より2か月年上だが、西武ファン歴は記者の方が長いはずだ。
さて、肝心の施設。トレーニングセンター、CAR3219フィールド、エントランスゲート、レンガサークル、ライオンズチームストア プラックス、3塁側コンコース新飲食エリア、グリーンフォレスト デリ&カフェはみんな素晴らしい。
トレーニングセンターは12球団最大級の広さということだ。内野フィールドエリアは内寸50m×50m、メットライフドームと同じ人口芝が採用されており、試合と同様の環境で練習が可能。ブルペンは5レーン、バッティングは4レーン。一部空調設備付き。ファンも練習風景を見学することができる。トレーニングセンターと全4層の若獅子寮(28室)は廊下でつながっており、野球に集中できる環境を整備したという。
記者は、神宮球場しかトレーニング室を見たことはないので比較は難しいが、雲泥の差だと思う。施設全体のスマートスタジアム化も行っているそうなので、投球や打撃データを駆使して選手育成に生かせるはずだ。
寮は門限が定められているが「門限破りはいない」(球団広報=本当かしら)そうだ。清原氏はしょっちゅう門限を破ったはずだ。
ライオンズチームストア プラックスは2階層で、600㎡を誇る大型旗艦店。ファンはたまらないだろう。
残念ながら、バックネット裏のアメリカン・エキスプレス プレミアム、4人掛けテーブル4、6~8名が利用できるバーティテラス、ブルペンかぶりつきシート、立見席ステンレスカウンター、パノラマウッド4など17種の客席や、これまでは芝生席だった外野に設けられた4,374席の指定席は見学できず、さらにベンチ内の空調設備も見ることができなかった。
トレーニングセンター
トレーニングセンター内
CAR3219フィールド
CAR3219フィールド ブルペン
ライオンズチームストア プラックス
ベンチ内空調設備
パーティーテラス
ネット裏テーブル4
ネット裏指定席
アメリカン・エキスプレス プレミアム ラウンジ
テイキョウキッズフィールド
テイキョウキッズルーム
◇ ◆ ◇
セレモニーが行われた約20分間、記者は〝夏熱く冬寒い〟球場の欠点はよくわかってはいたが、後藤オーナーや辻監督がスーツ姿なのにコートを着たままはというのはいかにも失礼だと思い、コートを脱いで震えながら必死にメモを取った。
後藤オーナーも辻監督も〝ペナントレース奪還〟〝日本一目指す〟をそれぞれ1~2回、合計で6回は口にしたはずだ。記者は、日本シリーズで勝つのは容易だと予想するが、目の上のたん瘤・ソフトバンクを倒すのは容易ではないと思う。現有勢力ではどうひいき目に考えても〝神様仏様稲生様〟のような計算が立つ投手が足りない。
しかし、練習環境は間違いなく日本一だと思う。これで、毎年のように続いていた全日本クラスの人材の流失に終止符が打たれると確信した。西武の黄金期(何度目になるのか)が始まる。
もう一つ、球団、野球ファンの方々にいかに西武が優れたチームであるかの客観的データを紹介する。
記者は以前、ドラフト選手の現役稼働年数を数日かけて調べたことがある。確証があったわけではないが、〝西武がナンバーワン〟という確信があったからだ。結果はその通りだった。次位は広島だったか。
スカウト陣の目利き力が優れていることの証左だ。そしてまた、監督やコーチに就任するスタッフの数も西武が他を圧倒しているはずだ。辻監督が就任した2017年には、ソフトバンク・工藤公康氏、ロッテ・伊東勤氏、中日・森繁和氏の西武出身者4人が監督をそれぞれ務めた。12人の3分の1だ。
もういい加減止める。辻さん、優勝できなくてもいい。行きつけのヤクルトファンの酒屋の親父は「いいんじゃないですか。西武は選手の育て方がうまい。儲かればいいんです」と、後藤オーナーが喜びそうな言葉を発した。ヤクルトがんばれ。
あっ、一つ肝心なことを書き忘れた。大型ビジョンは従前のものより2倍になり、臨場感溢れるものになった。その大型ビジョンの下の1塁側のフェンスには「野村不動産グループ」の広告が掲出されていた。
このほか住宅・不動産関係の広告では「住友不動産」が1塁側、「菊池建設」が3塁側の天井部分に掛かっていた。
「ボールパーク」に唯一欠けているのはやはりホテルだ。首都圏の他の球場は全て立派なホテルが近接している。
レンガサークル(1個2万円で昨年売り出されたが、予定5000個のうち残りはわずか。増加する予定はないとか)
辻監督のレンガ
メヒア選手のレンガ(家族など9個を刻んだとか。このほか東尾氏、ニール投手、源田選手の名も刻まれている)
住友不動産の広告(1塁側)
野村不動産グループの広告
菊池建設の広告(3塁側)