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「ブランズタワー・ウェリス心斎橋SOUTH」(右が「NORTH」)

 東急不動産(事業比率75%)は12月20日、NTT都市開発(同25%)と共同で建設を進めてきた大阪市営地下鉄長堀橋駅から徒歩1 分(心斎橋駅から徒歩7分)の30階建てマンション「ブランズタワー・ウェリス心斎橋SOUTH」が竣工したのに伴う記者見学会を行った。

 物件は、大阪市営地下鉄長堀橋駅から徒歩1 分(御堂筋線心斎橋駅から徒歩7分)、大阪市中央区東心斎橋一丁目に建つ30階建て全202戸。専有面積は40.02~126.74㎡、価格は2,700万円台~1億3,600万円(平均5,100万円台)、坪単価は260万円。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。入居予定は2017年12月下旬。

 現地は、昨年3月に入居済みの隣接する36階建て「ブランズタワー・ウェリス心斎橋NORTH」246戸の隣接地。建物は制震構造で、住戸プランは40~60㎡台が約7割。昨年3月から分譲を開始し今年9月までに完売している。

 同社住宅事業ユニット関西住宅事業本部開発部事業企画グループ部長・澤浩正氏ら関係者によると、同社は2013年から大阪御堂筋線でのマンション事業を強化するためプロジェクトチームを立ち上げ、これまで積極的に展開してきており、同線での供給シェアは15~20%に達する〝マーケットリーダー〟の役割を果たしているという。

 坪単価は「NORTH」が240万円、先に竣工した「ブランズタワー御堂筋本町」276戸が300万円で、現在分譲中の「ブランズタワー梅田North」 653戸が340万円という。「梅田North」もすでに4割が成約済みと好調のようだ。これからの新規物件は軒並み坪300万円を突破すると話した。

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屋上からの眺望

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 大阪のマンション市場は全くわからない。「心斎橋」は東京でいえば銀座の外れ「東銀座」をイメージすればいいという。もともとオフィス街でマンションはあまり建たなかったエリアのようだ。

 それにしても単価は安い。仮に同規模のマンションが東銀座で建設されたら坪700~800万円にはなるはずだ。坪260万円は、浦和や大宮より安く、わが街・多摩センターと同じ郊外マンション並みだ。

 すぐ近くの長堀橋駅から心斎橋駅まで地下の商店街でつながっており、心斎橋まで歩いたが、人通りは銀座の3分の1もなく、とにかく若い女性の姿が少なかった。せわしなくスマホを操る人も東京ほどではない。(行きは現地が分からず、若い女性に声を掛けたら『わたしもよくわからない』と言いながらスマホで検索して教えてくれた)

 地下鉄の車内放送では(そこが最寄を示す)民間施設の宣伝をやっていたが、あれはやめるべき。

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心斎橋の地下商店街

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 アベノミクスではなく「あべのハルカス」にも登った。記者は東京の超高層マンションやビルにいつも登っているので、「わが国最高層」と言われてもピンとこない。百貨店のこともよくわからないし、人出が多いのか少ないのかもコメントのしようがない。

 ビル内にある「やさい家めい」で食事をしたが、ものすごく量が多くお酒もおいしかった。いまその時もらったパンフレットを見たら、本家は表参道ヒルズとあった。

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あべのハルカス展望台から都心方向の眺望

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2層の吹き抜けステージ空間

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 安藤忠雄氏が発案した「新梅田ビル」の積水ハウス「希望の壁」と、同ビル内に開設された「絹谷幸二 天空美術館」を観たくて訪れた。「希望の壁」は高さ9m、長さ78m。隣の「新・里山」はすっかり冬支度を済ませているのに、この壁は青々とした観葉植物が威勢よく壁面を飾り、バラのような花も咲いていた。絶句した。

 絹谷氏はむかしからのファンで、以前、名古屋で買ってボロボロになるまでつけていた絹谷氏デザインの同じネクタイをまた買った。値段は据え置きだった。大阪-新梅田ビルは人でごった返していた。ここなら坪500万円でも安いのではないか。

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「希望の壁」

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壁面の花

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「絹谷幸二 天空美術館」カフェラウンジ

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人でごった返す「新梅田ビル」

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「グレーシアタワー三鷹」完成予想図

 相鉄不動産と三菱地所レジデンス(事業比率は未公表、幹事会社は相鉄不)は12月21日、JR三鷹駅直結のタワーマンション「グレーシアタワー三鷹」のモデルルームを2018年1月6日にオープンすると発表した。坪単価は450万円前後の予定で、すでに約5,000件の問い合わせがあり、人気は必至だ。同日、報道陣向けの見学会を行った。

 物件は、JR中央線三鷹駅(南口)から徒歩1分、三鷹市下連雀3丁目に位置する26階建て全184戸(事業協力者住戸39戸含む)。容積率は650%(総合設計により緩和措置あり)。専有面積は40.06~90.66㎡、予定価格は5,000万円台(予定)~17,000万円台(最多価格帯8,000万円台、坪単価は450万円戦後になる模様。入居予定し2019年4月下旬。販売代理は三菱地所レジデンス、相鉄不動産販売。施工は五洋建設。設計・監理はタカハ都市科学研究所。デザイン監修は三菱地所設計、メック・デザイン・インターナショナル。

 三鷹駅直結で、商業施設、オフィスなどとの複合再開発物件。公開空地を確保していることなどから都の総合設計制度の容積率の緩和措置(650%)を受けている。

 住戸は6階以上で、ファミリー向け3LDK 住戸を中心とした全15タイプ。中層階以上の西向き住戸からは富士山が眺望できる。角住戸比率は約46%。設備仕様は相鉄の「良水工房」を採用しているほか、水栓はグローエ社製、キッチン天板は御影石(シーザーストーンに変更可能)、パウダースクラッチの建具・面材、イタリア製TSJ社塗装建具など。

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モデルルーム

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 シアターやパンフレットでも強調しているように、1995年以降、東京都所在で分譲された12,547物件のうち20階建て以上+最寄駅から徒歩1分以内+駅直結はわずか約0.2%の22物件しかない希少性を最大の売りにしている。

 記者はこの22物件をほとんどすべて見学している。ごく一部を除いてことごとく早期完売している。この物件も売る前から早期完売が約束されたマンションだ。

 そのためか、この規模の物件にしては販売事務所やモデルルームの設備仕様は普通で、シアタールームもなし、模型も小ぶりなもので、販売経費をかけない姿勢がありありだ。坪単価もかなり抑制したようだ。

 この商品企画はともかくとして、数年前、相鉄不が京王線の調布駅前の再開発を分譲したときも驚いたが、いよいよ同社は中央線三鷹の一等地で大手を出し抜くようになってきた。すごいの一言だ。

 プランで注文を付けるとすれば、例えば30坪(100㎡)から40坪(132㎡)くらいでも欲しい人はたくさんいるのではないか。天井高2450ミリもやや低い。このエリアの高さ規制はないはずだ。(駅北口の野村不動産の物件は完売まで時間がかかったが、あれはリーマンの影響をもろに受けたから。三鷹駅直結の億ションだったら2億円でもまちがいなく売れる)

 個人的には、この物件の西側に建つモリモトのマンションに購入を考えたほどほれ込んだ。当時の坪単価300万円は超割安だと思った。記事には「玄関ドアは重厚感のある突き板仕様で、廊下は全て大理石張り、建具はイタリア製。フローリングはチーク、ゼブラウッド、タモの3種からセレクトできる。都心部の億ション仕様と何ら遜色がない」と書いた。

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共用部

モリモトの三鷹駅前ランドマークタワー人気必至(2006/3/20)

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「ポレスター甲府駅前プレミア」

 マリモが分譲している「ポレスター甲府駅前プレミア」を見学した。1995年以降の分譲マンションでは駅から最も近い物件で、分譲開始の10月末から1カ月半で全84戸のうち約7割が契約・申し込み済み。50歳代以上の高齢者の購入が目立ち、女性の単身・親子の購入比率が高いのが特徴。

 物件は、JR中央本線甲府駅から徒歩2分、山梨県甲府市北口1丁目に位置する15階建て84戸。現在分譲中の第2期(残6戸)の専有面積は71.32~85.60㎡、価格は3,090万~4,210万円(最多価格帯3,800万円台)。完成予定は2019年3月末。設計・監理はマリモ。施工はナカノフドー建設。

 現地は、甲府駅北口から徒歩2分の中高層ビル・マンションが建ち並ぶ商業地域で、敷地は元財務省所有の跡地。東側道路(武田通り)と北側、西側の3方道路に面している一等地。

 建物は全戸南向き。一括受電、スラブ厚250ミリ、戸境壁220ミリ、天井高2500ミリ、4枚建てワイドサッシ、引き戸の多用、引っ越し無料サービス、食材宅配受取サービスなど。

 販売を担当する同社営業本部東日本営業部おもてなし課の営業員は、「当社としては甲府駅エリアで9棟目のマンション。これまで約600戸を供給している。これほどのスピードで売れているのは、希少立地の資産性の高さと、車がなくても生活できる利便性に加え、これまでの実績による他社との差別化を図っているのが大きな要因。女性の親子、単身者の購入が多いのが特徴。中心市街地活性化基本計画区域内に位置しているため、購入する世帯に50万円の補助が出るのも後押ししている」などと話した。

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モデルルーム

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 市内中心部に移住すると50万円の補助が出るという話。市の制度によると、平成26年5月から平成31年3月末までに市が定めた区域内で住宅を建設・購入した場合、最高50万円を補助する。中心市街地への定住を促進するためだ。住宅購入への意欲向上に、公的な制度も一役買っているともいえる。

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現地(北西側から写す)

甲府の一等地で坪単価120万円 大京「ライオンズタワー甲府丸の内」(2010/3/2)

 青木茂建築工房が設計・監理を担当した大田区蒲田の賃貸住宅「HYGGE kanda heim」に併設した「GELLERY TEBUKURO」12月20日オープンする。

 「HYGGE kanda heim」は大田区蒲田の商店街に建つオーナーのミトンデザイン住戸を含めた22戸の賃貸共同住宅。1階にオーナーが運営するギャラリー「GELLERY TEBUKURO」とカフェ「Cafe Slik」を併設。賃貸住戸はDIYが可能な内装の仕様となっており、入居者が自由に空間をカスタマイズできる。

 「GELLERY TEBUKURO」は、不定期で展覧会を中心に企画開催をするギャラリーで、オーナーが全国で出会ったクリエイターによる良質な作品や活動を紹介する。「Cafe Slik」は添加物を使わず卵の力だけでふわふわに焼き上げた手作りシフォンケーキと、ティーコーディネーターが選ぶスペシャリティティーの店。

 詳細はミトンデザインHP:http://mittendesign.jpへ。

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海外研修グループ6名のプレゼンテーション

 マンション管理業協会の「マンションいい話コンテスト2017(管理会社編)」の表彰式の記事を先に紹介したが、管理協海外研修グループ6名(ほか2名は欠席)が行った「日本のマンション管理の将来像について」と題するプレゼンテーションと、野村不動産パートナーズ会長・関敏昭氏の「顧客満足度向上の取り組み」についての講演がまた素晴らしかった。

 まず前者から。20~30歳代と思しき6名の若いグループが登壇したとき、記者は朝からなにも食べておらず、お腹がすいており、大した話にはならないだろうと高を括っていた。

 伊藤忠アーバンコミュニティ・中島英一郎氏がトップバッターとして台湾とわが国のマンション管理の共通点と違いについて話し出したころも〝はやく終わってくれないか〟と考えていた。

 日本と台湾の共通点は価格重視で管理会社のステータスが低いことだそうだ。「管理会社のステータスが低い」のに納得して聞いていたのだが、その違いに触れる段階になって、話に引き込まれるようになった。

 わが国は予防保全の考え方で修繕積立金制度がある(台湾は事後保全で積立金制度はなし。以下同じ)、役員はなり手不足(積極的)、現場スタッフの高齢化(若年層)、管理の考え方は効率重視(有人対応)、居住の考え方は終の棲家(住み替え前提)とまるで違うではないか。とくに台湾では現場スタッフのホスピタリティが高いというのには驚いた。

 続いて、研修メンバーはわが国のマンションと管理の現状について、管理会社不在のデザインであること、管理会社不在の施工であること、無理のある管理仕様であることなどと容赦ない批判を加えた。「つまらない管理はお客様にとって物足りない」と。

 ここまで聞いて記者の背筋が伸びた。痛いところを突かれた。心当たりがあるからだ。「マンションは管理を買え」などと管理の何たるかを知らないのに平気で書いてきた若いころを思い出した。

 研修グループはさらに追い打ちをかけた。赤色の大きな文字でしかも斜めに「見た目で行こうぜ!」をプロジェクター画面に映し出した。

 何の意味か分からず面食らったのだが、グループは顧客軽視のマーケットを変えるため、デザイン設計の段階から管理会社が参画し、魅せる管理を提案すべきと訴えた。なるほど。「見た目で行こうぜ!」というのは言いえて妙だ。管理の〝見える化〟に置き換えればいいのだろう。

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 記者は約40年間、ずっとマンションの取材を行ってきた。年間にして100件は見学している。最近は管理協の記者懇親会などのイベントも欠かさず出席している。しかし、管理会社の若い社員からこの種の話を聞くのは初めてだった。  

 いまのマンションが「管理会社不在のデザイン」と一蹴されたときは頭をどやされたような気がした。と同時にマンション管理業の将来は明るいと感じた。若い方々が会社で重要な立場に立っているころにはデベロッパーとの関係も一変しているだろうと。

 このグループのプレゼンの後に登壇した関氏も「私も台湾研修に同行した。(グループは)みんな若いし元気。頼もしい。そのあとで(話すのは)やりづらい」と会場を笑わせたが、関氏もまた管理業の明るい未来を指し示す講義を行った-内容については稿を改める。

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 6名のプレゼンテーターは以下の通り(登壇順)。( )は欠席者

伊藤忠アーバンコミュニティ・中島英一郎氏

ケイエスコミュニティ・永野達夫氏

ライフポート西洋・吉村治人氏

レーベンコミュニティ・雨木将吾氏

野村不動産パートナーズ・小林伸氏

アイワマネージメント・高倉亮氏

(三井不動産レジデンシャルサービス関西・奥田隆司氏)

(東急コミュニティー・鈴木志氏)

住友建物サービス亀谷氏が最優秀賞 管理協「いい話コンテスト2017(管理会社編)」(2017/12/14)

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左から皆川氏、後藤氏、辻氏

 積水ハウス、山梨県、山梨県森林協会の3者は12月15日、山梨県産材の需要拡大と、県内林業・木材産業の振興に資する連携協定を締結した。

 山梨県は平成27年、「やまなし森林・林業振興ビジョン」を策定。「材」「エネルギー」「場」の3つをキーワードに県の特性・優位性・森林が持つポテンシャルを最大限に発揮させる森林・林業・木材産業の将来像を示し、成長産業化を目指す取り組みを行っている。県下の約35万㏊の全森林のうち46%が県有林で、このうち14.3万㏊はFSC森林管理認証を取得している。

 山梨県森林協会は一昨年、県の面積の78%が森林である優位性を発揮するため森林・林業関係の28団体によって設立された。

 積水ハウスは、持続可能な木材の積極利用を推進しており、新たに「甲州檜」を木造住宅・シャーウッドの柱に採用して販売するほか、社員教育や施業体験活動などを行っていく。

 協定締結式で山梨県知事・後藤斎氏は「県は県産材のブランド化、需要拡大に取り組んでおり、県下で最大のメーカー積水ハウスさんとの連携は材の利活用、ブランド向上につながると確信している。また、森林協会さんの様々な支援活動により都市と山村の交流が深まることに期待している。今日の3者の固い握手は『甲州檜』と同じ堅いもの」と述べた。

 積水ハウス執行役員 東京営業本部長・皆川修氏は「当社は平成19年、業界で初めて『木材伐採ガイドライン』を策定し、国産材の採用を積極的に進めてきた。今回、木造住宅シャーウッドのラインアップに『甲州檜』の選択肢を設けることができた。その普及を強く促進することで、山梨県の林業、木材産業、地域経済の活性化に貢献したい。『甲州檜』を東京、山梨県のお客様の満足度の向上、ファン拡大につなげていく」と語った。

 山梨県森林協会会長・辻一幸氏は「今回の連携によって県の森林・林業をより一層活性化させていく」と話した。樹齢は伐採期にあたる50年以上が4割に達するという。

 同社によると、「甲州檜」の先行販売を3カ月前から進めており、6件の成約があるという。

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 記者は、森林・林業の再生・活性化は国土強靭化の肝だと思っている。デベロッパーやハウスメーカーが果たす役割は大きい。今回の協定締結はとてもうれしい。

 山梨県には過去2回、三菱地所の「空と土プロジェクト」の取材で北杜市を訪れている。素晴らしいカラマツの県有林も見ている。

 関係者によると、同県の森林のうち44%が人工林で、適地適木を進めてきた結果、ヒノキ約30、カラマツ約30%、アカマツ約18%、スギ約17%とほどよい分布になっている。「甲州檜」は色がきれいで堅く、香りがいいのが特徴だという。

 専門的なことはよくわからないが、山梨県産材は〝地産地消〟-消費地(東京・山梨)に近いのが最大の強みだろうと思う。そのための路網整備や製材・加工システムの効率化が求められているのではないか。甲州檜も現地で製材・加工(集成材)されるのではないようだ。

 さらに注文。最大の消費地・東京に住む人の圧倒的多数の人はそれぞれ地方出身者だ。夫婦が同じ都道府県出身というのも少数派のはずだ。各都道府県にはそれぞれの木、花がある。「5本の樹」計画に加え、「夫婦和合の家」としてそれぞれの出身地の木や草花を採用したり植えるようにしたら大ヒットするのではないか。

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〝ケロ、ケロ、ケロ〟カエルも歓迎 三菱地所・空土プロジェクト田植えツアー(2015/6/3)

 

 

 

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「アトラス品川中延」完成予想図

 旭化成不動産レジデンス(事業比率75%)と首都圏不燃建築公社(同25%)のマンション「アトラス品川中延」を見学した。特定防災街区整備地区(中延二丁目旧同潤会地区)指定によって建築が進められているもので、既報のように第1期72戸の販売が完了するなど、好調な売れ行きを見せている。

 物件は、東急池上線荏原中延駅から徒歩4分、品川区中延二丁目に位置する13階建て全195戸(非分譲住戸72戸含む)。専有面積は33.45~87.05㎡、坪単価は352万円。竣工予定は2019年2月下旬。設計・監理は日建ハウジングシステム。施工は長谷工コーポレーション。

 モデルルームは72㎡の3LDK。二重床・二重天井、御影石のキッチン・洗面カウンタートップ、ペニンシュラキッチン、食洗機、物干しポール付きなどが特徴。

 防災街区整備事業とは、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」に基づく事業で、木造家屋が密集し防災上の不安を抱えた地区を対象とし、密集市街地の防災機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図ることが目的で、東京都の防災街区整備方針によると、平成26年12月現在、都内82地区、5,135haが防災再開発促進地区に指定されている。

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 防災再開発促進地区指定の威力を現地で確認することができた。

 一つは事業スピードだ。平成22年の検討会発足から今年6月の着工までわずか7年しか経過していない。周辺の建物はほとんど2階建て、3階建てのビルや住宅ばかりで、道路幅も4mあればいいほうで、狭隘で2m幅もなさそうなところもあった。マンションが建つエリアは権利関係者が140名にも上っている。両者がコーディネーター・参加組合員としてよく権利調整を行ったということだろう。

 もう一つは、容積率緩和だ。現地の用途地域は第1種住居で、建ぺい率50%、容積率200%だが、建基法52条第8項の規定により公開空地などを設けることで容積率は40%の緩和措置を受けている。もともとなかった敷地南側に新たに軒先空地(壁面後退6m)を設けるなどして建物周辺に約500㎡の空地を確保、敷地北側には提供公園・地域交流広場や防災備蓄倉庫を設置している。

 坪単価はやや高いという印象も受けるが、周辺エリアの価格がどんどん上昇していることを考慮すれば相場並みか。第1期72戸の販売が完了したのには驚いたが…。

旭化成不動産レジ・不燃建築公社「アトラス品川中延」 第1期72戸の販売完了(2017/12/11)

旭化成不動産レジデンス 品川区中延で密集法に基づくマンション195戸建設へ(2016/12/13)

 

 

 

 

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左から岡本理事長、最優秀賞を受賞した亀谷氏(すまい・るホールで)

 マンション管理業協会は12月14日、「マンションいい話コンテスト2017(管理会社編)」の公開最終審査・表彰式行い、1~3次審査を通過した6作品の中から最優秀賞に住友不動産建物サービス・亀谷和弘氏の「コミュニケーション、それが全てです。」を選んだ。管理会社編が設けられたのは今回が初めて。応募は全126作品だった。

 亀谷氏の作品は、「『転職したばかりでフロントとはなんぞやという事も理解していないペーペーだった』」僕が、いきなり『担当フロントを変えろ!はっきり言って力不足だ!』と100人近くいるマンション管理組合の定期総会で罵倒される場面から始まり、最後は「冒頭激しく責め立て(られた)方とは1年間みっちり向き合ってコミュニケーションをとったところ、一年後の総会の後に本人から『去年の総会はごめんね』と照れくさそうに言われました」と括っている。タイトル通り、コミュニケーションの大切さをストレートに綴った内容だ。

 最優秀賞を受賞した亀谷氏は「関さん(表彰式の前に野村不動産パートナーズ会長・関敏昭氏が講演した話を受け)もコミュニケーションが大事と話された。最後は人。わたしの考えは間違っていなかった。(管理業の)未来は明るい」と喜びを爆発させた。賞金として10万円相当の商品券が贈られた。

 コンテストではこのほか、優秀賞1点(商品券3万円分)、特別賞4点(5千円相当の賞品)、佳作6点(3千円相当の賞品)か選ばれた。

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管理協関係者、選考委員らと記念写真

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 表彰式の前に6作品のプレゼンテーションが行われたので、記者も採点することにした。作品は報道陣に配布されたが、プレゼン時間は1作品当たり5分くらい。作品を読む時間はほとんどなかったので、プレゼン力で評価した。

 ワンフレーズ、ワンイッシューで他を圧していた亀谷氏が最優秀賞を獲得すると思った。その通りの結果となった。

 同管理協理事長・岡本潮氏(東急コミュニティー会長)が「どの作品も皆さんの日頃の苦労がよく伝わってきた。差はほとんどなかった」と講評の中で話したように、限られた時間内で自分の言いたいことを簡潔に伝えたのが評価されたと思う。

 惜しかったのは、穴吹ハウジングサービス・杉町竜童氏の「退去したお子様からの手紙」。文章の半分近くを費やし、小学生の子どもが管理人に送った手紙を原文のまま紹介した。この子どもの作文がとてもよかった。(この作品が受賞したら、賞金・商品の半分は子どもが受け取る権利があると思った。杉町氏は特別賞を受賞。このお子さんと喜びを分かち合っていただきたい)

 岡本理事長、賞金・商品は少なくありませんか。まあしかし、この日のイベントは参加した人に最高の年末プレゼントになったはず。

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「ポプラ文庫」がすごい 「マンションいい話コンテスト2017」マンション管理協(2017/12/2)

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「健康生活支援講習支援員養成講習」受講風景(日本赤十字社東京都支部で)

 大京グループのマンション管理事業を手掛ける大京アステージは12月13日、日本赤十字社が実施している「健康生活支援講習支援員養成講習」を活用し、「地域包括ケアシステム」の推進へ向けて協力していくことで合意に達したことを受けて、報道陣に講習の一部を公開した。

 同社社員が「健康生活支援講習」を受講、認定を受け、日赤と協力しながら、全国で42万戸を超える同社の管理受託物件を中心に自助・互助の輪を広げ、「地域包括ケアシステム」の推進に貢献する。また、習得した健康生活や介護に関する知識を生かしてマンション居住者の日常生活をサポートすることに加え、サービス品質の向上、新商品・新サービスの開発・提供を目指す。

 日赤の「健康生活支援講習」には一般の人中心に毎年約4,000名が受講し、約3,500名が「健康生活支援講習支援員」として認定を受けている。マンション管理会社がこのような取り組みを行うのは初めて。

 同社は当面、同社ライフサービス事業部のCA(カスタマーアドバイザー)推進室に所属する女性など34名が受講する。受講時間は12時間。講習終了後に試験を受け合格すると「健康生活支援講習支援員」の認証が交付される。支援員は日赤の指導員になる受験要件を付与される。

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 同社ライフサービス事業部長・中村忍氏、同部次長・似田稔氏が講習を受けるに至った経緯、取り組み内容などを記者発表会で説明した。

 同社が2015年、居住者宅を訪問し、住まいに関する〝お困りごと〟を解決する女性中心の「お客さま係」を設置したことはニュースリリースで知っていたが、担当者の数が32名に達しているのにはびっくりした。将来目標として「60名を目指す」とは聞いていたが、まさか2年でこれだけの人数に育てるとは。

 そして、さらに驚いたのが日赤事業局副局長兼救援・福祉部長 山澤將人氏と事業局救援・福祉部参事 大西浩子氏がそれぞれ日赤の「人間のいのち・健康・尊厳を守る」使命(理念)を話したことだ。「いのち」も「健康」ももちろん重要だが、日赤が「尊厳を守る」ことを理念に掲げていることを知らなかった。敬服するほかない。

 今回の両者の連携が、講習の目的・内容でもある〝自分のために、地域のために、家族のために〟力を発揮することを期待したい。それと、同社には性急な要求かもしれないが、適正なフィーを得られるビジネスに「お客さま係」を育ててほしい。30名ものスタッフが日々収集する情報は利益を産む源泉ではないか。

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大輪が咲くはず 大京アステージ 「お客さま係」新設 将来60名体制(2015/3/17)

 

 

 

 

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左から宮島氏、高橋氏、小山氏

 都市再生機構、積水ハウス、医療法人財団健貢会 総合東京病院の3者で構成される江古田三丁目地区まちづくり協議会は12月12日、江古田の杜プロジェクト「リブインラボ(コミュニティ施設)」内施設の食堂・レストラン運営に東京・青山のレストラン「Casita(カシータ)」グループを運営するサニーテーブルの参画が決定いたことを受けてプレス向け説明会・試食会を行った。

 説明会・試食会に出席したサニーテーブル代表取締役会長・高橋滋氏(65)は「いまのレストラン業を始めて16年になるが、その前の20年間は貿易の仕事をしていた。仕事で世界中を飛び回り、あらゆるエアサービス、ホテル・レストランサービスなどを受けていたが、1994年、うわさの『アマンプロ』を初めて利用したとき、総支配人がわたしの名前を呼んでエントランスで迎えてくれたのに衝撃を受けた。これがヒントになった。〝サービス〟を切り口にするレストラン業は成功するのではないかと。

 『カシータ』も100%ではないが、お客さまの名前をお呼びして迎えることにした。お蔭さまで予約が取れないレストランになった。リブインラボは500円、1,000円のメニューかもしれないが、システムと情熱をかければ高いサービスを提供できる」と語った。

 積水ハウス 開発事業部 東日本設計統括部長・宮島一仁氏は、子どもを核に多世代の交流によって生まれるコミュニティ、地域の緑・環境の活用、防災拠点、充実した医療施設との連携などにより、街づくりのコンセプトである「コドモイドコロ」について説明した。

 積和不動産取締役・小山健氏は、これまでの同社の縦代交流施設事業について説明。「江古田の杜」プロジェクトは、これまでに例がない学生向け・就業者向け住宅を併設することで日本版都市型CCRC(Continuing Care Retirement Community)のモデルにしたいと話した。

 リブインラボ全体の運営・管理事業者には積水ハウスグループの積和不動産が決定しており、子どもから高齢者まで多世代で育む持続可能なコミュニティづくりを進める。

 「江古田の杜プロジェクト」は、「多世代により育まれる持続可能な地域をつくる」をコンセプトにUR都市機構、積水ハウス、総合東京病院が協働して進めている住宅、医療、保育施設などの複合プロジェクト。

 国家公務員宿舎跡地(約4.4㏊)に、積水ハウスが分譲マンション「グランドメゾン江古田の杜」531戸、子育て世帯向け賃貸マンション263戸、サービス付き高齢者向け住宅121戸、学生向けマンション85戸、医療従事者向けマンション56戸、介護付き有料老人ホーム94室を建設するほか、総合東京病院の病院棟、コンビニエンスストア、認可保育所、学童クラブなどが併設される。

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「リブインラボ(コミュニティ施設)」

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 高橋氏が受けた驚愕のサービスを記者も10年前、開業当日の「ザ・リッツ・カールトン東京」で経験しているので紹介する。

 「(宿泊の翌日)タバコを吸いたくなったので、ロビーで『タバコを吸う場所は外しかありませんか』と聞いたところ、『バーなら結構ですので、よろしかったらどうぞ』とスタッフが応えた。内心、真っ昼間から1杯2000円以上もするワインを飲まなきゃならないのかと思ったが、飲み物はオーダーしなくてもいいと言われた。こんなサービスをするホテル・旅館は日本中のどこを捜してもないだろうと思った」

 (皆さん、ロビーからピアノ演奏の美しい音楽が流れてくるリッツのバーで一人タバコを吸う光景を思い浮かべていただきたい。お金持ちだったら絶対、ビールかワインかウイスキーを注文するはずだ。あのときロビーにいたスタッフは記者が貧乏人であるのを見抜けなかったのか、それともこの〝もてなし〟について誰かにしゃべるその効果を読んでいたのか…今でも謎だ)

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試食会で供された食事(同社が運営する「青山食堂」とほぼ同じメニューだそうだ。ハンバーグとから揚げがメイン。記者はご飯の量を減らしてもらったが、それでもから揚げは1個残した。カロリーは1200キロカロリーくらいか)

 

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