RBA OFFICIAL
 

 創業70年の歴史を持つ住宅・不動産業界紙の株式会社住宅新報社が「新聞部門」と「出版部門」を分社化し、資本増強することが分かった。同社は「細部について提携先と詰めの段階で、決定したら発表する」としている。

 住宅・不動産業界紙は昨年5月、同じ業態の「週刊住宅新聞社」が破綻、その後、会社は破産手続きの開始決定を受け、業界紙「週刊住宅」の版権は元社員らが設立した週刊住宅タイムズへ譲渡され、同年8月から復刊されている。

◇       ◆     ◇

 「週刊住宅」の一連の動きに相当ショックを受けたが、今回の「住宅新報」の分社化も、厳しい週刊形態の紙媒体の経営と、「宅建士」などの資格本市場の競争が激しくなっていることを改めて浮き彫りにした。

 昨年3月、東急不動産HD・金指会長が「このままでは業界紙は生き残れない」などとショッキングな発言をし波紋を呼んだが、なにやら波乱含みの展開になってきた。

「このままでは生き残れない業界紙」 東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3/9)

image002.png
「杉並区永福4丁目有料老人ホーム計画」

 三菱地所レジデンスは2月1日、有料老人ホーム、シェアハウス事業に参入し、有料老人ホームの第一弾「杉並区永福4丁目有料老人ホーム計画」を同日付で着工したと発表した。

 有料老人ホーム開発は新たに組織したネクストスタイル企画グループにより行い、シェアハウス開発は築古ビル等を再生するReビル事業部で行う。

 同社は2013年、中古住宅ストックの「リノベーション事業」を立ち上げたのをはじめ、2014年には築年数の経過した中小ビルなどを再生して賃貸する「Reビル事業」を、2016年にはワンルームを中心として分譲する「資産形成コンパクトマ ンション事業(ワンルーム事業)」に参入している。

 「有料老人ホーム」は、同社が建物を開発し、オペレーター会社に賃貸するスキームにより展開する予定。「シェアハウス」は、「古い社宅を手放さず有効活用したい」という企業の解決策として同社が一括賃借したうえで、シェアハウスにリノベーションし、オペレーター会社に運営を委託する。

 「杉並区永福4丁目有料老人ホーム計画」は、京王井の頭線西永福駅から徒歩8分、杉並区永福4丁目に位置する敷地面積1,162.07㎡、5階建て延床面積2,578.55㎡の全48室。居室面積は19.93~40.19㎡。設計は日建ハウジングシステム。施工は谷津建設。竣工予定は2019年2月。

 今後、ネクストスタイル事業は年間売上目標を50億円と設定し、Reビル事業は2020年度末までに貸床面積25,000坪を目指す。

IMG_7627.jpg
「MIMARU 東京 上野NORTH」

 コスモスイニシアは2月1日、〝暮らすように滞在する〟をテーマとした新ホテルブランド「APARTMENT HOTEL MIMARU(アパートメントホテル ミマル)」の第一弾「MIMARU 東京 上野NORTH」のメディア向け内覧会を行った。

 新ブランドは、増加する外国人旅行者の約6割は家族・親族・友人などのグループで訪日している一方、グルー プでの宿泊に対応した40~50㎡のアパートメントホテルは少ないことに着目。敷地面積が100坪、客室数が40室程度確保できれば、同社のこれまでのレジデンシャル事業やソリューション事業のノウハウを生かし、飲食設備を設けないことでオペレーションコストを抑制し差別化が可能になったことから参入した。

 同社が土地を取得・建設・所有するほか、オーナーの土地有効活用として提案していく。昨年設立した子会社・コスモスホテルマネジメントが運営・管理するほか、「ソーシャルアパートメント」を展開するグローバルエージェンツなどと提携する。一定期間運用したのちファンドなどへ売却する意向だ。

 ブランドロゴは世界の「世」の異字体「卅」をモチーフにしており、「MIMARU」は〝みんなで泊まる〟意を込めたもの。

 東京・京都・大阪を対象エリアに積極的に開発を進めており、現在、17棟878室が開発中で、「赤坂」(40室)「水天宮」(32室)「京都堀川六角」(42室)「京都新町三条」(69室)など今後続々開業する。2020年までに1,500室の稼働を目指す。

 内覧会で同社・高木嘉幸社長は「2018年度を最終年度とする中期経営計画は順調に進捗しており、4期連続増収増益を達成できる見込み。ホテル事業は、新たな投資枠を設定せずともこれまでの分譲と同じノウハウが生かせ、圧倒的な競争力があるのが強み。参入障壁が低くて追随するところがあるかもしれないが、先行者利益で優位に立てる」などと話した。

 コスモスホテルマネジメント・藤岡英樹社長は「コンバージョンは工期が短くて済みコストも抑えられるが、窓が確保できないなど適合する案件は少ない」とも語った。

 「MIMARU 東京 上野NORTH」は、上野駅から徒歩8分、台東区上野7丁目に位置するオフィスビルをコンバージョンしたもので、2月8日にオープンする。敷地面積407.66㎡、8階建て全40室。客室面積は約34~60㎡、4~8名の定員制で、人数に関わらず同額のルームチャージとする。4名定員で宿泊料は2~3万円の後半(平均3万円前後)。ミニキッチン、調理器具、レンジなどを備え、スマートフォンの貸し出しを行う。共用部にはランドリーを設置している。2月の予約状況は約6割、うち9割が外国人。

IMG_7658.jpg
高木社長(右)とコスモスホテルマネジメント・藤岡社長(藤岡社長の法被がとてもよく似合っていた)

IMG_7655.jpg IMG_7665.jpg
フロント(左)と本物の子ども神輿

IMG_7653.jpg
組子デザインが美しいエントランスラウンジ

◇       ◆     ◇

 いくつになっても初めて経験するものはワクワクドキドキ緊張するものだ…小学校の入学式、ひげが生えたとき、タバコを吸い、酒を飲んだとき、革靴を履きネクタイを絞めたとき、ファーストキス・初体験、求婚のとき、子どもが生まれたとき…。

 この日、高木社長は「アパートメントホテルは欧米ではどこにでもある施設」と話したが、中国とモンゴルしか行ったことがない記者は初体験であることに変わりはない。小学校の遠足のように見学を心待ちしていた。

 もちろん、記者の取材フィールドはマンションだから、〝究極のマンション〟であるホテルはリッツを筆頭に名だたるラグジュアリーから旅館、民宿、バンガローに禅寺、宿泊特化型にビジネスホテル、ラブホテル、カプセルホテルまであらゆる形態のホテル・旅館に泊まっているし、賃貸アパート、寮・社宅、外断熱モデルルームに全館空調モデルハウス、さらには特養に有料老人ホームなども体験している。零下30度のモンゴルではパオで厚いもてなしを受けた。宿泊経験はないがシェアハウス、サービスアパートメント、サ高住の取材もそれなりに行ってきた。

 泊まったことがないのは刑務所とアパホテルくらいだと思っていたら、記者のはるか上をいく剛の者がいた。わが高校同窓の後輩女性記者だ。

 「ダッカのホテルはものすごく高かったけど、バングラディッシュの田舎で150円(ドルではない)の監獄のようなホテルに泊まったことがあるわよ。ベッドとトイレ、桶(おまるか)があった。シャワーはなかったような気がする。冷暖房? あるわけないでしょ。怖い? 全然平気。ゲストハウス、ドミトリーも知ってる。それらと今回のホテルを比べるのはどうかと思うけど、これはもう最高、天国のよう」とのたまうではないか。

 記者はというと、やはりラグジュアリーが念頭にあるものだから、浴室・トイレの段差(約20㎝)、家具・什器、アメニティ、シート張りの浮造りアート、擬石の大谷石カウンターなどを見るにつけ〝ビジネスホテルを広くしたようなもの〟に映った。ベッドが4床もあるのに違和感を覚えた。

 それもこれも、〝ホテルは一人か2人で泊まるもの〟という固定観念があり、家族・友人などグループで泊まる外国人の生活スタイルや利用目的が全然見えていないからだという意識はあった。

 そうしたもやもや感に断を下した同業の記者がいた。「訪日客はオリンピック後も間違いなく増加する。このような施設は一定の層には理解されるはず。太いニッチ」と語った。

 なるほど言いえて妙だ。この言葉をそのまま頂いて「骨太ニッチ」と形容したがどうだろう。

IMG_7649.jpg IMG_7644.jpg
客室

 長嶋修氏著の「不動産格差マンションは『駅7分以内』しか買うな!」(日本経済新聞出版社)に対する批判記事を(上)と(中)にわたって書いた。記者の言いたいことは十分伝えられた。今回は付録のようなものだが、(下)として参考になる長嶋氏の指摘について書こうと思い、その予定原稿を最終チェックしている段階で、何か情報はないかネットで「長嶋修」について検索した。

 アマゾンの同氏の作品一覧には、「不動産格差」の本にはどういうわけかあの帯が外されていた。帯なしは締まりがないのはともかく、これはこれで結構なのだが、何と、その隣に「マンションは足立区に買いなさい!」の帯付きの「5年後に笑う不動産」(ビジネス社)が紹介されているではないか。

 これにはわが目を疑った。仰天した。発行されたのは「不動産格差」の3カ月後の昨年8月25日だ。「駅7分」以内しか買うなと仰った同じ人が、まさに舌の根も乾かないうちに、手のひらを反すように(足立区居住の人には失礼だが)東京23区内でもっともポテンシャルが低い「足立区」のマンションを買えという。

 いったい、消費者はどっちを選べばいいのか。二枚舌にもほどがある。参考までに足立区内で分譲されているマンションを情報誌で調べたら5物件ある。うち4物件(1物件を記者は取材している。コスモスイニシアの物件でものすごくいい商品企画だ)が「駅7分」以上だ。やはり買ってはいけないのか。ユーザーはそれこそまた裂き状態になる。

 断っておくが、記者は足立区のマンションはダメとは言っていない。これまで伊勢崎線のマンション・戸建ては200件以上取材している。50年代の後半、あの一世を風靡した日本ランデッィクの素晴らしいマンションを取材したことがあるのだが、2,500万円以上だったため大幅に売れ残り、結局は約500万円値下げせざるをえなくなった。残念に思った記者は、東武鉄道からクレームが付くのを覚悟して〝魔の伊勢崎線〟と大見出しで記事を書いたこともある。

 しかし、それでも東武伊勢崎線は好きだし(他に理由があるのだが)、厳しいエリアだけに余計にいとおしい。だから応援する意味でたくさん取材してきたのだ。投資・資産性を最優先して伊勢崎線のマンションを買うユーザーがどこにいるか。冗談はやめてほしい。

 まだ言い足りない。(上)と(中)では長嶋氏はデベロッパーと消費者の敵だと思っていたのが、今回のあまりにもの変わり身の早さにまた沸々と怒りが湧いてきた。長嶋氏は敵でも味方でもない、売る(儲ける)ためにはどちらにも寝返りする無節操な人だと結論付けた。これ以上、業界と消費者を愚弄しないでいただきたい。「足立区のマンションを買え」というのも似非評論家が言いたそうな言葉だ。(残念なのか喜ぶべきなのか、北千住の「駅近」は坪300万円をはるかに超えてきた)

◇       ◆     ◇

 なので、予定を変更してもう「不動産格差」について言及することをやめる。(中)を書いたあと、「記事にしたことで、この本の購入者が増加して長嶋氏の思惑にはまった感が致します」とある方からわざわざご忠告のメールを頂いた。その通りの展開になってきた。わかってはいるが、馬鹿なのは記者だ。

 一つだけ最後に敵に塩を送りたい。書籍に誤字脱字はつきものだが、「6刷」を重ねるベストセラーにしては基本的なミスが多すぎる。

 まず、冒頭からして「はじめに」のすぐ21行目に「供給を無視した新築住宅建設は続き…」とある。これは明らかに「需要を無視した…」だろう。20ページの「株価の動きはまず、都心の中古マンション、そして外側の地域へ波及していきます」とある。株価とマンションなどの不動産価格は連動していることを言いたいのはわかるが、これは意味不明。

 「7刷」の予定があるのなら、これだけは修正したほうがいい。アマゾンの帯なしも具合が悪い。帯はしっかり締めたほうがいい。タイトルに「駅7分」は論外だが、「コンサルの話は聞くな」というのは冗談が過ぎるか。

 ついでにもう一つ。ノンフィクション作家の佐野眞一氏はかつて「昭和の終わりと黄昏ニッポン」(文春文庫)で「足立区」をコテンパンにやっつけたため、区が抗議する事態まで発展したが、その佐野氏の「だれが『本』を殺すのか」(新潮文庫)を皆さんにお勧めする。「読書離れ」は結局、著者と出版社など身内にあると、佐野氏は指摘している。同感。

住友不も反論「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」の本は買うな!(中)(2018/1/25)

羊頭狗肉だ「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」の本は買うな!(上)(2018/1/24)

 

 

 

 

 NTT都市開発は1月30日、シンガポールの不動産会社・The Ascott Limited(以下、アスコット)とわが国でのサービスレジデンスの共同開発を行うことで合意に達したと発表した。

 同社は2015年10月、ホテル・リゾート事業部を設置し、「ザ・ひらまつホテルズ&リゾーツ」などホテル・ リゾート事業の拡大に取り組んでいる。

 アスコットは、シンガポールの不動産会社CapitaLand Limitedの子会社であり、世界的なサービスレジデンスの運営会社。現在、日本を含む世界30カ国以上、43,000室以上のサービスレジデンスを運営している。2017年3月には東京大手町に「アスコット丸の内東京」を開業している。

 共同開発第一弾として、同社が開発を検討している福岡市と横浜市の案件についてアスコットを運営委託の候補先として協議を開始した。

 サービスレジデンスは、ホテルとマンションの両方の機能を持った長期滞在にも適した宿泊施設。客室には備え付けの家具やキッチンを設置し、フロントサービスやハウスキーピングサービスも提供される。

IMG_7565.jpg
第16回建築基準制度部会

 国土交通省は1月30日、「今後の建築基準制度のあり方」について第16回建築基準制度部会と第41回建築分科会をそれぞれ開催し、第三次報告案を論議し最終報告書として取りまとめた。

 今回の第三次報告では、新たな技術開発の促進と更なる性能規定化に向けた建築規制のあり方や、既存建築ストックを有効に活用する観点から、今後の建築基準制度のあり方を示したもの。

 既存建築ストックの有効活用については、安全性を確保しつつ防耐火性能などの建築規制の合理化を求めている。

 木造建築については、現行制度では一律に耐火性能などの性能を要求され、木材らしい外観を実現することが難しいが、安全性が確保されれば対象となる建築物の対象を合理化し、設計の自由度の拡大を図るべきとするなど、規制の適切な見直しを行うべきとしている。

◇       ◆     ◇

 木造ファンの記者としては、規制が緩和されそうで画期的な報告だと受け止めた。

 ただ、厳密にいえばこれは正確ではない。全15ページにわたる報告書の中には「建蔽率を緩和」とい文言は1カ所あるが、「建築規制を緩和」するとは一言も触れられていない。「規制が緩和されそう」というのはあくまでも記者の解釈だ。

 それでは、全くの憶測にすぎないかといえばそうでもない。「緩和」の文言はないけれども「合理化」の言葉は16カ所あり、このほか「支障」「課題」「問題」「簡素化」「見直し」「過度な負担」「ニーズに対応」「整備」「除外」などの言葉が頻繁に使用されていることと合わせ解釈すれば「合理化」=「緩和」と受け取れなくもないというのが記者の結論だ。

 会合の後、双方の部会長を務める深尾精一氏(首都大学東京名誉教授)に「これは画期的な報告ではないか」と訊ねた。深尾氏は「具体のことについてコメントは差し控える。全体として世界に追いついてきたということ」と話した。 

 また、部会の最終報告について国土交通省住宅局長・伊藤明子氏は「安全性を確保しつつ、性能規定化を進め総合評価する、より一歩進んだ報告」と高く評価し、各委員をねぎらった。

 「世界に追いついてきた」「より一歩進んだ」をどう解釈するかだが、木造の「現し」(ゼネコンなどの研究開発が進んでおり、防火性能を備えた外壁材もある)が準防火でも実現する日も近いのではないかと、分科会を傍聴して強く感じた。

◇       ◆     ◇

 弁護士の齋藤拓生委員(日弁連消費者問題委員会土地住宅部会幹事、元日弁連副会長)が、第三次報告案の「今後の建築基準制度のあり方について」のサブタイトルについて疑義を唱えた。

 前回の会合までは「建築物の安全性確保と既存建築ストックの有効活用及び木造建築関連基準の合理化の両立に向けて」となっていたものが、最終案では「既存建築ストックの有効活用、木造建築を巡る多様なニーズへの対応並びに建築物・市街地の安全性及び良好な市街地環境の確保の総合的推進に向けて」へと「建築物の安全性確保」が削除されたことについてだった。

 この意見に対して、深尾部会長は「建築物の安全性確保は自明のこと。わざわざ書くと却ってわかりづらくなる」と話し、齋藤氏も「言わずもがなというのはわかる」と了承した。

 このやり取りを聞いていて、記者は別のことを考えた。国土交通省に限らず、どうしてこのような報告書はタイトルが長いのかということだ。今回のサブタイトルは68文字で、メインタイトルを含めると81文字にもなる。新聞1行の文字数を13字とすると実に7行にも及ぶ。

 誤解を招かないよう中身を正確に伝えようと、さらには各委員の意向を忖度して結果として長くなるのか理由はわからないが、深尾部会長の言葉のように却って分かりづらくなりはしないか。

 なぜこのようなことをいうかというと、かつて櫻井敬子・学習院大教授が「建基法関係の法律は窮屈。もっとおおらかでいい」と発言されたのが頭にこびりついているからだ。

 櫻井氏が言うようにもっと鷹揚に構え、サブタイトルはAKBやSKDにあやかって「より安全(A)で、より快適(K)に、より賢い(K)建築(K)制度に向けて」にでもすれば「AKKK」にするか、Kが3つ並ぶのがまずいのであれば「賢い」をスマート(S)にすれば「AKSK」となり、だれからも文句はつけられないはずだ。

0-2_外観(日比谷公園側).jpg
「東京ミッドタウン日比谷」(日比谷公園から) 

 三井不動産は1月30日、事務所、店舗、文化交流施設、産業支援施設などからなる複合開発「東京ミッドタウン日比谷」(事業者:同社)が竣工するのに伴う記者会見・見学会を行った。

 施設は、旧三信ビルと旧日比谷三井ビルの跡地で、東京メトロ日比谷線・千代田線に直結。都市再生特別地区制度などを活用して、双方のビルの間にあった道路を廃道にし一体開発した。敷地面積約10,700㎡、地下4階地上35階建て延べ床面積約189,000㎡の複合ビル。マスターデザインアーキテクトはホプキンスアーキテクツ、都市計画・基本設計・デザイン監修は日建設計、実施設計・監理はKAJIMA DESING。施工は鹿島建設。地下から7階が商業施設、11階から34階がオフィス、6階がビジネス連携拠点。3月29日にオープンする。

 会見に臨んだ同社・菰田正信社長は、「グローバルな都市間競争が激化し、成熟した社会への対応が求められ、ライフスタイルの急激な変化が起きている中で、様々な問題を解決し、街固有の歴史、文化、伝統を活かし、魅力ある街づくりが求められる。当社が掲げる〝経年優化〟の街づくりをここでも実現した。『日比谷』はは霞が関、大手町・丸の内、銀座、虎ノ門・新橋の各エリアの結節点であり、JAPAN VALUEを世界に発信し続ける街、質の高いミクストユースの街づくりがコンセプトである『東京ミッドタウン』にふさわしい立地。エンターテイメントの聖地、都心のオアシス、近代化をけん引した歴史を継承し、サスティナブルな街づくりを進めていく」などと述べた。

 また、「『東京ミッドタウン』を冠せる案件は数件ある」と今後の同様な街づくりに意欲を見せた。テナントの入居については「極めて良好。(当社の)トップクラス」と語った。

IMG_7578.jpg
菰田社長

0-1_外観(日比谷通り側).jpg
日比谷通り側

0-3_外観と日比谷ステップ広場(夜).jpg
夜景

◇       ◆     ◇

 完成した建物を初めて見た。感動で胸が震えた。寒さでは断じてない。写真を見ていただきたい。なにより美しい。伝統的な100尺ラインを踏襲しながら、緩やかなアール・曲線を描いたガラスファサードが、隣のやはり曲線が美しい日比谷シャンテと見事に調和し、双方の空間・空気さえもデザインに取り込んでいるではないか。これを見て、すぐあの曲線美が特徴の「パークコート青山ザ・タワー」を思い出した。

 曲線は、オフィス空間も同じで、図面を見ただけではその曲線部分がデッドスペースになるのではと考えたが、実際はそのようなことはない。むしろ、同社 日比谷街づくり推進部部長・山下和則氏が話したように「サード・プレイス、コミュニティ空間として多様な使い方ができる」はずだ。

 全体の外観デザインは、見る角度によって2つに分かれても見え、微妙に表情を変える〝ダンシングタワー〟というのがコンセプト。配布資料には「柔らかな印象のファサードはいかなるビルとも一線を画し、どこから見ても目立つランドマークとして唯一無二の存在感を発揮します」(ホプキンスアーキテクツ サイモン・フレーザー氏)とある。

 このほか、高さ20mもある1階のアトリウム、6階の緑のパノラマ空間「パークビューガーデン」、9階の2層スカイロビーもなかなかいいが、8階のパークウェルネスが素敵だ。

 同じような施設は昨年、三菱地所の「大手町パークビルディング」でも見学したが、比較すれば今回の「日比谷」に軍配を上げる。なにがすごいかといえば、女性専用パウダーコーナー・シャワーブースだ。男性用のシャワーブース(4室)もあるのだが、これは普通のシャワー室だ。一方の女性用パウダーコーナーは、10人以上が同時に化粧できそうな大きさだった。これには絶句した。例えていえば電線に並んだスズメかツバメのような壮観が展開されるのは間違いない(東急不動産の日比谷のビルは、夜の顔に変身できる鏡付きのパウダールームもあったが)。化粧室に入ったまま職場に戻らない女性が激増しないか心配。

 さらにそれより驚いたのがシャワー室だ。4室のうちの1室は何と日比谷公園が眼下に見降ろせ、その向こうのビル群も眺めながらシャワーを浴びられるようになっている。これは日比谷公園だからできる芸当で、皇居だったら記者は許さないし、宮内庁から撤去を申し立てられるはずだ。

 たまたま通りかかったいささか薹が立った女性に声を掛けたら、「いいんじゃないですか、魅せたい人には」とそっけない返事が返ってきた(「あなたはどうですか」とはさすがに聞き返せなかった)。

IMG_7573.jpg
右が「東京ミッドタウン日比谷」、左が「日比谷シャンテ」

 なにはともあれ、「東京ミッドタウン日比谷」が日比谷の新しい顔になるのは間違いない。以下、街で拾った声も紹介する。

 「よく母と一緒に宝塚を観に来ます。わたしは地震の時、ガラスが(落ちないか)心配。母はどう? 」(大丈夫、鹿島の最新の制震技術が採用されている=記者注)「(工事用の)幕が外れる前は圧迫感を感じましたが、幕が外れたらとても素敵」(60歳代と30歳代の母子)

 「(外観の)カーブが美しい」(30歳代の男性)

 「仕事場が近いので楽しみにしていた。曲線がきれい」(30歳代と40歳代の女性)

 「日比谷は食事や買い物でよく来ます。近くに住んでいますので(どこですか)築地です。確かに『六本木』(ミッドタウンのことか)に似てますよね。曲線がいい。必ず一度利用します。広場にカフェがあるといいわね」(40歳代の女性)「(70歳代ですよね)いいえ、68ですのよ。ホホホ。これができて線路の向こう(有楽町)から人の流れが変わるんじゃないかしら」(これはまずかった。記者はいつも見た目より10歳若くおべっかを使いインタビューすることにしている。「人の流れが変わる」ことについては、前出の山下氏は「街を訪れる人の行動範囲が広がることを願っている。目指すのは共存共栄」と話した)

 「仕事が近いのでよく通ります。素敵、すごい。変ったわね。公園に合う」(70歳代と60歳代の女性)

 「うーん、なんとなくインパクトに欠ける。丸の内みたいじゃない」(40歳代女性⇒「丸の内」とはコンセプトが違います)

2-2_1階 アトリウム.jpg
アトリウム

8-1_フィットネスルーム.jpg 8-2_パウダーコーナー.jpg
フィットネスコーナー(左)と女性用パウダールーム

IMG_7599.jpg
女性専用シャワーブース(ここは脱衣所か、この奥にシャワーブースがある)

IMG_7592.jpg
壁から床、エレベータホールに本や物の無垢材が使われていた(6階部分)

2-8_6階 パークビューガーデン.jpg
パークビューガーデン

皇居に隣接 三菱地所 最高級Sクラスの「大手町パークビルディング」竣工(2017/2/14)

名称未設定 1.jpg
イメージ

 三井不動産とつくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道(TX)は1月29日、つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス」駅北側高架下に商業施設を開発し、6月に開業すると発表した。

 「屋台」をモチーフとした19区画の小型飲食店舗を整備することで、店主と周辺の居住者や就労者、大学関係者、来街者など多様なお相互のコミュニケーションを活性化し、地域の新しいコミュニティを醸成することを目指す。出店店舗については未定で、公募による誘致も予定している。

 店舗面積は約421㎡。施工は大和ハウス工業。開業予定は今年6月。

◇       ◆     ◇

 結構なことだ。「柏の葉」の駅周辺には現在、そのような店はないはずだ。

 新興住宅地に何が欠けているかといえば「屋台」だ。多摩センターも当初、パチンコ屋といかがわしい店(記者は入ったことがない。念のため)がなぜかあったが、仕事の帰りや仲間で飲むような「屋台」らしきものがなく困ったものだ。いまはありすぎて、利用するのがためらわれるひどい店もたくさんある。

 

IMG_7522.jpg
平成30年「新春経済講演会」(グランドプリンスホテル新高輪で)

IMG_7542.jpg
平田代表

 ナイスパートナー会連合会とナイスは1月26日、恒例の平成30年「新春経済講演会」を行った。関係者ら約1,600名が参加した。

 冒頭、ナイスグループ・平田恒一郎代表がグループの概況と取り組みについて講演し、日本経済・業界動向について「職人・材料不足、資材高騰などの懸念材料があり、世界の様々な政治リスクがあり、何が起きるかわからない不安材料もあるが、イノベーションが成長を促す。今年はデフレからインフレに向かうのではないか」と述べ、「〝清く正しくまじめなナイス〟を掲げ、環境・耐震・健康の3つのキーワードで『素適革命』を加速させ、『素適開花』させるべく未来にワークする。当社には現場力と理念の武器がある。ナイス真・次元の年にしたい」などと語った。

IMG_7528.jpg

IMG_7553.jpg

 以下、パネルディスカッションに参加したパネリスト各氏の今年の住宅着工戸数、株価予想、景気動向などコメントを紹介する。(50音順)

 SMB建材・角柄明彦社長 経済は緩やかに回復。人手不足、物流コストアップなど懸念材料はあるが、オリンピック・パラリンピックに向け消費マインドはプラスに働く。住宅着工は後半に消費税アップに伴う駆け込みもあり97万戸くらいとみている。株価は25,000~26,000円、為替は115~120円。〝自国主義〟が跋扈するのが怖い

 セイホク・井上篤博社長 エコロジーを推進するナイスさんはエコ贔屓する。株価はわが国への投資が増えそうで27,000円。住宅着工は92万戸と低めに見ている。輸入を減らし、国産材を採用した合板をフル生産し、森林・林業再生に貢献したい

 大建工業・億田正則社長 住宅着工は後半に伸び96~99万戸。日経平均は米国の株価の伸びなどから換算して27,840円もありうる。この業界に人が入ってこないので、働き方改革も進める

 TOTO・喜田村円社長 当社は昨年、創業100周年を迎えた。住宅着工は分譲が高くなりすぎなので95~96万戸ていど。株価は26,000~27,000円で落ち着く。中国経済は底堅いものがある。省エネは消費者に分かりやすいアプローチを考えている

 ニチハ・山中龍夫社長 経済は別だが政治状況がひどい。注意する必要がある。原油高、資材高、金利高も懸念材料で、目先の株価は27,000円もあるかもしれないが後半まで持つか。規制緩和の副作用も怖い。そうなると22,000円に戻る。住宅着工は94~95万戸が着地点。職人不足がこたえてきた。サイディングのプレカット? 実現すれば爆発的に広がる

 パナソニック エコソリューションズ・北野亮社長 悲観材料見えにくい。株価が下がるとは考えていない。3万円もあるかと考えたが、25,000円と予想しておく。住宅着工は前年並みの95万戸。スマートスピーカー? 当社は予定ない。今更(参入しても)勝ち目はない。景気はオリンピック後の2025年には崖があるのではないか

 吉野石膏・須藤永作社長 住宅着工は96.5~95万戸。マンションは価格が上昇し買い控えが進む。賃貸は過剰だが、後半に向け全体として回復する。株価は27,000~28,000円(別掲の石こうボードの値上げを示唆した記事参照

 LIXIL・大坪一彦副社長 グループ再編を進める。新生LIXILの年。価格制度を変更する。キッチン、バスルームなど水回りが好調。水晶7割、石3割のハイブリッド新商品も投入する。スマートエクステリアにも力を入れる。着工は強気も考えたが96万戸くらいにしておく。株価は経済成長率などから判断して25,000円くらい

IMG_7558.jpg
パネルディスカッション後の懇親会

 タカラレーベンがオーナーチェンジに特化した中古マンション買取再販事業に参入する。進出に伴い、グループ会社のタフコの社名を2月1日付で「レーベンゼストック」に変更し、代表取締役社長に岡部剛氏が就任する。

 新会社は、1戸から複数戸まで買い受け、入居者が退去した後にリノベーションを行い、新築マンションブランド「LEBEN」で培った高いデザイン性と住み心地を兼ね備えたリニューアルマンションを供給する。

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン