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「SHINTO CITY(シント シティ)」

 東京建物、住友不動産、野村不動産、近鉄不動産、住友商事、東急不動産は531日、さいたま市新都心エリアで埼玉県最大級の総戸数約1,400戸の分譲マンション「SHINTO CITY(シント シティ)」の開発に着手したと発表した。2018 年秋にモデルルームをオープンする予定。

埼玉県内で駅徒歩5 分以内かつ1,000 戸以上の物件は22 年ぶりの供給で、約2,880 ㎡の緑地空間やオープンスペースを確保し、居住者のコミュニティを支援する。開発に当たって、共用施設は1 万人以上の生活者を対象に実施した「幸せに関するアンケート」に基づく意見をもとに商品・ソフトサービスをHITOTOWAと提携して提案する。

物件は、JR京浜東北線・東北本線(宇都宮線)・高崎線さいたま新都心駅から徒歩5分の都市計画事業北袋町一丁目土地区画整理事業施工地区7 街区に位置する総開発面積26,000 ㎡超の15 階建て約1,400戸。第I・第II街区は約1,000戸で、専有面積は66.40 ㎡~92.15 ㎡。施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は第I街区が202012月下旬、第II街区が202112月中旬。

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まだ先の話だが、果たして単価はいくらになるか。坪単価230万円くらいだったらよく売れると見たが、そこまでは安くないはずだ。坪250万円はないのではないか。

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芳井氏

 

プレハブ建築協会は531日、通常総会を開き、樋口武男会長(大和ハウス工業会長)の任期満了に伴う新会長に芳井敬一氏(大和ハウス工業社長)を選任した。

芳井氏は、総会後の記者会見で「業界の経験は浅いが、様々なニーズの変化に迅速に対応し、プレハブ住宅の生産の合理化や長期優良住宅の普及などに積極的に、前向きに取り組み、大役を果たしたい」と語った。

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 答えは返ってこないだろうと思ったが、芳井氏は神戸製鋼のラガーマン出身なので、いま大騒ぎの例のアメフトの件について聞いてみた。

 芳井氏は「ラグビーとアメフトはぜんぜん違う。アメフトは分からないので、あのプレーや処分について答えようがない」と語った。

 関西学院大学卒の前会長・樋口武男氏ならどう答えただろうか。30分間くらい熱弁をふるったのではないか。

 

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不動産流通経営協会 懇親会(ホテルオークラで)

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榊氏

 不動産流通経営協会(FRK)は5月31日、定時総会後の懇親会を開いた。

 冒頭、同協会・榊真二理事長(東急リバブル社長)は、「平成30年度の税制改正に際しましては、住宅土地税制などの期限延長のほか、当協会が長年要望してまいりました、宅建業者による買取再販事業に際しての不動産取引税の減額措置の敷地への適用などを実現していただきました。

 この制度改正は、売買価格に占める割合が高い既存住宅の取引の活性化に大きく寄与するものと期待している」と税制改正を評価し、昨今の不動産流通市場については「平成29年度の首都圏におけるレインズデータを見ますと、成約件数は約6万9千件と、前年度比2%減少の水準に留まったものの、平均成約件数はマンション、戸建て、土地ともに前年度を上回っております。

 一言で言えば、取引件数が高い水準を維持している中で、価格も堅調に推移している状況と申せましょう。本年4月以降の市況についても、昨年度に続き税制改正や低金利政策の下支えなどにより、概ね順調に推移していくものと考えております。

 本年度の4月には、改正宅建業法が全面施行され、建物状況調査がスタートしたところでありますが、この新たな仕組みは、既存住宅に対する消費者の信頼を高め、流通市場を活性化するうえで、大きな効果が期待されるところでございます。

 当協会も、その担い手である宅建業者が混乱して消費者に不便をかけることのないよう、現場の意見を吸い上げるとともに、行政、業界関係者としっかり情報共有しながら、定着を図ってまいりたいと考えております」と述べた。

 また、不動産流通市場の活性化、円滑化を進めるための重要な活動として、「政策提言」と「調査研究」に取り組んでいるとし、「当協会におきましても、昨年度、米国において不動産テックビジネスがどのように成長し、それらが不動産取引上で、どのような使われ方をしているのか、つぶさに見聞してまいりました。

 一方、近年、不動産流通市場を取り巻く社会・経済環境も大きく変化し、消費者のライフスタイルや価値観などが多様化していく中で、消費者が期待するレベルも益々多様化・高度化してきております」とし、これまで実施した「住宅市場ポテンシャル調査」や「ひとり住まいの持ち家ニーズ調査」結果などを踏まえ、「『住宅取得という夢の実現』をお手伝いすることを使命とする不動産流通業といたしましても、こうした潜在的なニーズをどのように顕在化させていくか、さらには多様化するお客さまのニーズにどのようにお応えするのか、会員の皆様とともに知恵を絞ってまいります」と述べた。

 最後に、「消費者にとって 不動産取引が、分かりやすく、安心し、満足していただけるものとなるよう、不動産取引の透明性をさらに高め、不動産流通の発展と内需の拡大に全力で取り組んでまいります」と締めた。

 続いて、来賓として登壇した国土交通省 土地・建設産業局長・田村計氏は、「国土交通省は平成28年度から小さなインプットで大きなアウトプットが得られる生産性革命を推進しているが、今年はさらに進化、深める年にしたい」として、コンパクトシティ、人手不足対策、スポンジ化、都心部の余剰駐車場活用、ストック活用、山林取引の透明性などについて言及した。

 乾杯の音頭を取った同協会副理事長・田中俊和氏(住友不動産販売社長)は、「インスペクション制度がスタートしたが、現場は混乱なく、いいスタートが切れた。既存住宅の魅力を発信し、前に進めたい」などと語った。

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田村氏(左)と田中氏

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 目的・理由は明かせないが、懇親会の途中、会場を抜け出しホテルにA4の文章4枚のコピーをお願いした。費用は172円。スーツのポケットをまさぐり、手のひらに糖尿の薬とともに数個の100円玉のほか50円玉、10円玉、1円玉を示し、払おうとした。ところが、1円玉は1個しかなく、171円を差し出し、「1円まけてもらえないか」と頼んだら認めてくれた。

 ホテルオークラに料金を値切ってまけてもらったことがなによりも嬉しかった。記者は何が嫌かと言えば、ポケットに小銭がジャラジャラと入っていることで、何が嬉しいかと言えば、小銭が過不足なく料金として払えることだ。

 ある男性は「ホスピタリティを考えたら、当たり前のこと」と話したが、記者はそうではないと思う。余分の金を払ってでもサービスの提供を受けようと考えさせるのが本物のプロだ。手数料の値引きを売りにするような宅建業者は疑ってかかるべきだ。

 コピーを取ったことで、1円まけてもらったことで、どこよりも早く榊氏の挨拶をほぼ完ぺきにホームページにアップすることができた。

 

 

 

 

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「3Dティンバーフレーム」を搭載した浜田山ホームギャラリー

 三菱地所ホームは5月28日、記者発表・見学会を行い、①二対の壁柱と梁、隅柱、金物を組み合わせたオリジナル「3Dティンバーフレーム」を搭載した浜田山ホームギャラリーを公開②建築とグリーンを一体で考える新しい空間デザイン「ボタニカル リラクゼーション」の発売③国産材FSC認証材を注文住宅の床構造用合板に標準採用④「定額制戸建リフォーム」発売開始-の4つを発表した。

 発表会に臨んだ同社・加藤博文社長は、住宅着工が伸び悩む中、2017年の2×4工法のシェアは過去最高の11.3%に達するなど健闘しているとし、4つの新発売・開発を通じて他社にない独自性を発揮して受注拡大に結び付けたいなどと話した。

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加藤社長

◇       ◆     ◇

 発表会には加藤社長を始め、月田徹執行役員が商品企画について、中島秀敏取締役常務執行役員がリフォーム事業などについて説明したが、冒頭、前座であるはずの司会役を務めた経営企画部広報戦略グループ・横須賀直人氏が絶妙な弁舌を披露して主役の座を奪った。加藤社長も「へんな紹介をされて、やりづらくてしょうがない」と脱帽した。

 書きたいことはたくさんあるが、まずは横須賀市の話を紹介する。「本日は分かりやすい(最近、同社は『三菱地所ホームはやすい』というキャッチコピーの広告を展開中)記者発表にするために、お茶とお菓子を提供させていただきました。(お菓子で買収できるなどと)甘いことは考えておりませんが、食べていただきながらお話を伺っていただければ理解が深まると思います。説明にはインスタ映えする加藤社長などを揃え、心を込めて説明させていただきます。どうか大きな記事を書いていただきたい」(多少、記者が手を加えました)

 そのお菓子を食べながら聞く記者は皆無だったはずで、記者も朝食を食べ、血糖値が下がりだしたときにお菓子を食べるわけにはいかないし、普段からほとんど食べないが、せっかくなので家に持って返った(これは〝住みやすい〟でも〝暮らしやすい〟でもなく〝値段が安い〟か)。

 横須賀氏は記者発表会の司会の見本だ。もっともっと発表会を仕掛けるべき。

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横須賀氏

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会見場で報道陣に供されたお茶とお菓子

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 さて、何から書くか。もう業界各紙が書いているはずなので最小限にとどめたいのだが、横須賀氏が「大きく書け」というから、声を大にして言いたいことから書く。

 「ボタニカル リラクゼーション」が最高にいい。木や植物の効用などについては街路樹を含め人一倍書いてきたつもりだが、植物を家の中に取り込む仕掛けは同社が一歩も二歩も他社をリードした。同社は初年度の販売目標として「3D」「ボタニカル」「定額戸建リフォーム」とも20~30棟と少なめな数字を上げたが、三菱地所グループ全体で取り組めば飛躍的に伸ばせると確信している。施工能力を高め、営業部隊を拡充すべきだと思う。

 その傍証を紹介する。記者は、マンションや分譲戸建ての販売事務所・モデルルームのフェイクの観葉植物をやめよと口を酸っぱくして言ってきた。

 それが通じたかどうかは分からないが、最近では、積水ハウス「品川」、東建「一番町」、大成有楽不「鷺沼」、コスモスイニシア「練馬田柄」「成城」、ポラス「法典」、住友不動産「中野」などは本物の観葉植物を配していた。例外なく売れ行きも好調だ。

 「浜田山ホームギャラリー」では、キッチンでハーブを植え、食べることも隠し味にできることも提案しており、犬猫用のワンニャン草も植えられるようにしていた。手入れが不要の自動潅水システムを採用したのもいい。壁は一部フェイクもあったが、ぜひ、メンテフリーの「サントリーミドリエ」(他社もあるかもしれないが)を参考にしていただきたい。決して高くない。何しろ坪単価120万円だ。お金持ちにそれくらいの提案をしないでどうすると言いたい。

 水の音が聞こえる機器も提案されていたが、ならば一歩進めて「五感に訴える」仕掛けもいいのではないかと思う。

 朝は富士山8合目の涼風とコケコッコーの声で目覚め、昼はチャイコフスキーの舟歌を聴き、夜は「吠えろライオンズ」(ヤクルトファンは東京音頭)で酒を飲み、寝るときは冷え切ったスープのような夫婦仲を劇的に改善する催淫剤のじゃ香の香りを嗅ぎながら、深海魚のつがいの画像を観るのは最高ではないか。外観の格子デザインには1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)を採用しているくらいだから、全然問題ないはずだ。

 「3D」は、旭化成ホームズが先にモデルハウスを建設した「のきのま」と発想が近いものだが、それぞれ一辺4.5メートル、3.5メートル、サッシ・天井高約2700ミリの大開口は圧巻。ただ、これは緑などで視界を遮ることができる100坪くらいの敷地でないと難しい。狭小敷地では、外からは見えないが、内からは見える遮光フィルターはどうか。

 「定額リフォーム」は30坪で540万円。これも同業他社と比較して安いはずだ。エアロテックはオプションだが、これを搭載して飛躍的に伸ばせるのではないか。

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2週間に1度の水やりでOK

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こちらは自動潅水

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ハーブが育てられるキッチン(これはフェイクだが)

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ワンニャン草(右隣りは犬猫の棲家)

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1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)を採用した格子デザイン

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浜田山の道端で摘んだドクダミ

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フェイクの馬と本物のはずの騎手(京王線新宿駅でJRAのイベント=これを見ていただければ「フェイクをやめよ」という意味が分かってもらえるはず)

三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設(2017/10/20)

1週間に5 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物(2018/4/19

いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫(2017/5/23

売上げ倍々増 これはヒットする サントリーミドリエ「パフカル」(2010/6/7)

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「グランフォーラム国立 松景の邸」

 「語り尽くすには3~4時間かかります」-コスモスイニシア「グランフォーラム国立 松景の邸」の担当者、同社レジデンシャル本部 分譲事業部 分譲二部 プロジェクトマネージャー・吉田和子氏はこう語った。この記事でその特徴・魅力を全て書き記す能力を記者は持ち合わせていないのが残念だが、先に紹介した「グランフォーラム田園調布本町 桜坂」と「グランフォーラム成城学園前」を合わせ商品企画担当者必見の三部作だ。

 物件は、JR中央線国立駅北口から徒歩4分、国立市北一丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全12区画。土地面積104.20~172.93㎡、建物面積98.61~140.97㎡、価格は10,000万円前後。建物は竣工済み。施工は西武建設。構造・工法は木造(枠組壁)2階建て。

 現地は、駅北口の商業エリアを抜けた文教地区の低層住宅街の一角で、敷地は元社宅・マンション跡地。従前の「北一丁目第一遊園」内に植わっていた樹齢100年は越しそうな市の保存樹に指定されている赤松3本を地元住民の希望に沿って残し、さらに木の階段など整備を整備し、また、電線類を地下に埋設するなど景観の保全・向上を図ったために、街区内を幅5メートル以上のインターロッキング舗装としたにも関わらず、その道路は私道ではなく公道として国立市が認めたのが大きな特徴。

 建物は、こう配屋根の最大4.3メートルの2階リビングとし、デザインはシンメトリーとアンシンメトリーを巧みに組み合わせ、リビング壁にはエコカラット、主寝室、寝室には外国製のアクセントクロスを採用。

 吉田氏は「赤松を伐採することも考えましたが、残してほしいという地元の方々の声を取り込んだ結果、ゲートツリーにもなり素敵な街になりました。袋小路状のインターロッキング舗装が公道になるなんてあり得ないこと。価格は1億円を超えますが、窓の位置も近隣の戸建て居住者の意向に沿って設置していることなどを説明すれば、『注文よりいいわね』と分かっていただける」と街の出来栄えを興奮気味に話した。

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「北一丁目第一遊園」(提供公園)内の赤松

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一緒に植わっているハナモモ

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モデルハウス リビング

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 まず、全体敷地図を見ていただきたい。このような形状の道路と建物の配置にするかどうか、記者は専門家でないので分からないが、かつて宮脇檀がこのように「道から創った」街づくりを思い出した。

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 ランドスケープデザインも秀逸だ。一部の擁壁はコンクリと本物の石のように見えるタイルをアクセントとして採用。シャープなこう配屋根と高級感がするタイルを多用している。

 モデルハウスはビルトインカーポート付きで価格は1億3,998万円。インテリアデザインは同社の提携デザイナーが担当。黒の建具・家具をシンメトリーやアンシンメトリーに配置、寝室には全体として全く違和を感じさせないエコカラット壁紙が採用されていた。

 価格だが、国立駅近の戸建て分譲は20年振りとのことだが、この商品企画なら1億円超えも納得できる。分譲は始まったばかりだが、すでに2戸が成約済みで、近く価格の高い住棟が分譲される。

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主寝室(左)と子ども部屋

一頭地を抜く コスモスイニシアの都市型戸建て「田園調布 桜坂」「成城」(2018/4/20)

 

 

 野村不動産ホールディングスは5月29日、同社グループのビル・マンションなどの運営管理事業を展開する野村不動産パートナーズとマンションや戸建てのリフォーム事業が中心の野村不動産リフォームを8月1日付で合併すると発表した。存続会社は野村不動産パートナーズで、社長には福田明弘氏が就任する。

 合併により野村不動産リフォームが提供してきた専有部のリフォーム事業を備えることとなる。

 2017年3月期の売上高は野村不動産パートナーズが786億円、野村不動産リフォームが34億円。

 

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住宅リフォーム・紛争処理支援センター専務理事 後藤隆之氏(左)とアキュラホーム住生活研所所長・伊藤圭子氏

 5月24日(木)行われた日本木造住宅産業協会(木住協)懇親会で拾ったコメント。

◇      ◆     ◇

 ある広報マンから「国交省の伊藤住宅局長とアキュラホームの伊藤さんは姉妹」と聞かされ、びっくりした軽薄短小、直情径行、軽佻浮薄の記者はアキュラホーム住生活研究所所長・伊藤圭子さんに迫った。「お二人は姉妹か」と。

 そんな質問をいつもされるのか、伊藤さんは「違います。国交省の先輩後輩です」と、紛争処理の後藤氏に助けを求めた。

 だれだ!そんなデマを流布したのは。それにしても同姓の京大卒で国交省の先輩後輩、美形であり、姿かたちも声も瓜二つだ。性格は少し違うようで、伊藤局長は知の富者、伊藤さんは情の賢者か。

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伊藤局長

木造建築物は不遇・暗黒の50年か、進化の50年か 木住協の懇親会で考えたこと(2018/5/26)

 

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木住協の懇親パーティー(明治記念館で)

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市川氏

 日本木造住宅産業協会(木住協)は5月24日、定時総会を開き、平成30年度事業計画の重要事項として、支部未設置地域への支部設置を促進し、地域貢献の強化を目指すほか、災害時の木造応急仮設住宅の供給に向けて都道府県と協定締結を促進すること、21回目を迎える「小学生作文コンクール」のテーマを「木のあるくらし」に変更し、新たに外務省の後援を得て内外に「木」の持つ可能性の追求と普及啓発に取り組んでいくことなどを決めた。

 同協会会長・市川晃氏(住友林業社長)は総会後の記者会見で、「ストック型社会の潮流に乗り遅れないように進め、住生活産業が国内経済をけん引することにつなげたい。住宅以外でも公共建築物や商業施設などの中大規建築物の『木質化』の波が起きている。2020年東京オリンピックに向けた大規模施設の建築計画も相次いでおり、『木』にとって大きなチャンスだ。『木』は唯一再生可能な資源であり、オリンピックなどの世界的イベントで日本の『木材先進性』を世界にアピールする絶好の機会」などと述べた。

◇       ◆     ◇

 総会後の懇親会で考えさせられる発言があった。冒頭、挨拶に立った市川会長は木・木材の優位性を述べたうえで、「でも鉄やコンクリのほうが強いと言われる。こうした誤解を解く意味でも、もう一度木の文化・技術を体系的に整理し、新たな木造建築物の時代に向け努力していく」と語った。

 この挨拶を受けて登壇した来賓の国土交通省・伊藤明子住宅局長は、昭和34年に日本建築学会が「木造禁止」を決議したことを紹介し、「それ以来、木造住宅は不遇な時代が続いている」と述べた。

 さらに、乾杯の音頭を取った同協会副会長・平田恒一郎氏(ナイス社長)は、伊藤氏の話を引き継ぐ形で「暗黒の50年」と形容した。

 伊藤氏が紹介した「木造禁止」について日本建築学会は2010年、「(伊勢湾台風の被害を受けた昭和34年の)決議は建築物の火災、風水害の防止を目的として、特に危険の著しい地域に対する建築制限のひとつとして『木造禁止』を提起したもの」「決議前後の状況と切り離されて『木造禁止』だけが一人歩きしますと、『木造禁止』の意味および本会の活動に対する誤解を招くことになります」と文書で公表している。

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伊藤氏(左)と平田氏

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 伊藤氏と平田氏がどうしてこの「木造禁止」に言及したのかその意図がよく分からないが、今国会に上程されている建築基準法の一部改正が成立すれば、耐火構造とすべき木造建築物の対象が見直され、耐火構造以外でも木材のあらわしが可能となることを念頭に置いたものと思われる。

 木造ファンの記者は以前から建基法の耐火・防火規制が強すぎる、あらわしを可能にすべき、どうして鉄やコンクリと同じ土俵(各種の規制)で相撲を取らせるのかなどと主張してきた。「燃えてもいいのか」などと言われると黙るしかないのだが、木は日本の文化だ。全てを合理性で判断する物差し(建基法)はは改めるべきだと思う。

 その意味で、建基法の改正は当然のことだと思うが、一方で「不遇の時代」「暗黒の50年」という認識には違和感を覚える。

 着工戸数が漸減し、木造住宅が鉄やコンクリにどんどん侵食されてはいるが、その一方でツーバイフォーは年々戸数もシェアも伸ばしている。市川氏が社長を務める住友林業は、ヒノキ造りの住宅なら右に出るものはいないと記者は思う。積水ハウスも木造シャーウッドが健闘しており、強化することを打ち出した。平田氏は「暗黒の50年」と話したが、同社は慶大と共同で木造実験棟を建設し、CLTやハイブリット建築に力を注いでいる。同協会副会長・中内晃二郎氏が社長を務めるポラスも木質ハイブリッド構造ビルや木造建築物先導モデル「ポラス建築技術訓練校」を建設した。分譲戸建て市場では圧倒的な存在感を示している。理事・宮沢俊哉氏が社長のアキュラホームは先日、わが国で初と思われるCLTによるモデルハウスを完成させた。

 このように見ると、木造住宅が「不遇の、暗黒の50年」の環境下に置かれてきたというのは事実だろうが、他方では、あるハウスメーカー広報マンが語ったように「木造進化の50年」でもある。

 市川氏は「『木』にとって大きなチャンス」と力を込めた。このチャンスを生かせないのなら「不遇の時代」「暗黒の50年」は永遠に続くのではないか。木住協と会員会社の真価が問われる。

 懇親会に出席していた東洋大学名誉教授・上杉啓氏(82)は、この問題について「木造が一気に使えなくなったのはその通り。プレハブメーカーが鉄やコンクリに努力してきたという一面もある。車の両輪のようにうまくかみ合うべき。そのことより、わたしは木が十分育ったのに赤字になるので伐れない、さらに、伐った後の50年、100年先を見据えたロングビジョンがないのが問題だと思う」と森林・林業の将来を憂慮した。

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上杉氏

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平田氏(左)は「ヒグラシ(日暮清社長)からコグレ(小暮)です」と次期すてきナイスグループ社長に就任する小暮博雄氏を紹介していた

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明治記念館の素晴らしい庭園(上)とガス室のような狭い喫煙所(以前は庭園を眺めながら吸えた)

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酸欠状態にはならないものの、立錐の余地もない上の喫煙所と大差ない懇親会会場

 

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「ヘーベルハウスのきのまent(エント)」

 旭化成ホームズが5月1日から販売を開始した、アウトドアリビングと玄関アプローチを兼ねた半屋外空間「のきのま」付き戸建住宅「ヘーベルハウスのきのまent(エント)」のモデル棟を見学した。

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のきのま

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 モデル棟は静岡県富士市に同社が建設したもので、先に同社が記者発表会を行っており、その時に書いた記事通り〝ありそうでない〟ユニークな企画だと改めて感じた。

 「のきのま」は約8畳大だが、玄関の親子ドアをあけ放つとその奥の約6畳大の土間と、さらに約18畳大のLDKと一体利用できるのがミソだ。キッチンはアイランド型で、調理をしながら「のきのま」の子どもの様子が眺められるようになっている。

 「のきのま」とリビングとの段差は約20センチ。これはフラットもありかと思ったが、同社もそれを検討したという。実売ではスキップにする提案もするそうだ。

  1階リビングや2階子ども部屋の窓が幅広の高窓になっているのもなかなかの工夫だ。1階のリビングの高窓は道路から約1.8mの高さにあり、中の様子をうかがうのはまず無理だ。その逆に、リビング側からの窓の高さは約1.2mなので大人なら外が眺められる。

 2階の子ども部屋の窓は、掃き出し窓とするより高窓にしたほうがいいというお客さんの要望が多いことから採用したとのことだった。高窓にすることでその下の壁面を有効活用できるからだという。

 水回りを2階に移したのも、「のきのま」は東西南北、どの方位でも設置可能というのもいい。

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玄関(左)とリビング

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キッチンから「のきのま」を写す

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子ども部屋(窓の位置、形状に注目)

旭化成ホームズ アウトドアリビングと玄関アプローチに半屋外提案「のきのま」発売(2018/4/26)

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「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」

 東急不動産、NTT都市開発、ミリアルリゾート ホテルズの3社は5月21日、沖縄・瀬良垣島のホテル「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」を8月21日(火)に開業し、宿泊予約を6月1日(金)から開始すると発表した。

 同ホテルは3社が共同で設立した瀬良垣ホテルマネジメントが運営する、沖縄本島とリゾートホテルが一本の橋で繋がるユニークなロケーションが特徴のディスティネーションホテルとして開業する。

 沖縄県国頭郡恩納村瀬良垣に位置する全344室。料飲施設はセラーレ(オールデイダイニング、イタリアンダイニング) スペシャリティレストラン シラカチ (炉端、鮨、鉄板焼、日本料理) ラウンジ&バーなど、その他スパ、フィットネスセンター、屋外・屋内プール、宴会場、チャペル(瀬良垣島教会)など。

◇       ◆     ◇

 最近は宿泊特化型のホテルばかりで、久々に本物のリゾートホテルのニュース・リリースに接する。記者は三重県出身だから、もちろんピンは鳥羽国際から志摩観光、エクシブ鳥羽、タラサ志摩、志摩スペイン村からキリはビジネスホテル、かんぽの宿、民宿、真冬に暖房が故障し震え上がった旅館まで結構経験しているが、本格的なリゾートホテルはよく知らない。

 東急不動産によると、ADR(平均客室単価)は4~5万円というからいいホテルに違いない。海は大好きだが、暑いのはたまらないし、泳ぐのは大浴場で十分だ。ベッドでサメのような深海魚になるのはかつて昔。

 

 

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