さすが三菱 神戸の歴史的建物保存・復元「神戸タワー」 過去最高峰の坪単価266万円
「ザ・ パークハウス 神戸タワー」
三菱地所レジデンスは3月15日、JR西日本不動産開発、三菱倉庫、安田不動産とともに開発を進めている兵庫県神戸市中央区の「景観形成重要建築物等」に指定されている「旧ファミリアホール」の一部を保存・復元する制振タワーマンション「ザ・ パークハウス 神戸タワー」のプロジェクト発表会・モデルルーム内覧会を行った。
物件は、JR東海道本線神戸駅から徒歩5分、神戸市中央区相生町1丁目に位置する33階建て全352戸。専有面積は42.29~155.03㎡、予定価格は2,800万円台~2億4,800万円台、坪単価は266万円。施工は大林組。竣工予定は2019年11月下旬。
従前の建物は、1900年(明治33年)に完成したジョサイア・コンドルの指導のもと、建築家の曽禰達蔵が設計した「三菱合資会社神戸支店」で、その後、地元の呉服店・ファミリアホールとして利用されてきた。市の都市景観条例に基づく「景観形成重要建築物等」に指定され、神戸の街並みのシンボルとして親しまれてきたことから、今回の建て替えに当たって基壇部の一部を保存・復元することにしたもの。
保存・復元するのは高さ15m(一般的なマンションの5階相当)で、5,327点に及ぶ部材を保管し、 新築時に組み直す「生け捕り」という手法を採用して、外観のほか、旧三菱銀行時代の金庫扉や半円アーチをエントランスホールなどにも用い、クラシカルな空間を再現する。総合設計制度の適用を受けているが、市の条例では容積緩和を受けていない。
同社執行役員関西支店長・加治屋倫浩氏は神戸市のマンション市況とプロジェクトについて、「職住近接、利便性、資産性を重視する傾向が高まっており、市場は堅調に推移している。当プロジェクトは、市の条例では保存・復元を義務付けているわけではないが、東洋のウォール街と呼ばれ、銀行や鈴木商店などの企業が集積していた当地の歴史的な価値だけでなく、市民のシンボルとして100年以上愛されてきた建物を継承したいということから一部を保存・復元することにした」と語った。
昨年6月に物件ホームページを開設し、これまで約2,700件の問い合わせがあり、今年1月からのモデルルーム事前案内会には約500組の来場がある。分譲開始は4月上旬。
加治屋氏
基壇部(完成予想図)
◇ ◆ ◇
わざわざ神戸まで取材に行った価値があった。さすが三菱地所だ。この種のマンションは、大和ハウス工業「D’グラフォート横浜Cruising Tower」、オリックス不動産「グランサンクタス淀屋橋」があるが、5,327点にも及ぶ部材を手作業で保存し、洗浄したり修復したりして再現する「生け捕り」手法は珍しいと聞いた。いったいこの「価値」はいくらか。これは後述するとして、記者発表会に記者は感動した。
冒頭、販売を担当する関西出身らしい三菱地所レジデンス関西支店販売第三グループ リーダー・花房豪氏は「坪単価266万円」と明かした。
メディアが質問をしないのに単価を明らかにする東京のデベロッパーは総合地所以外ない。聞いてもうやむやに答える。お客さんの反応をうかがいながら値を上げたり下げたりするためだ。
地元メディアの方は「坪266万円」の意味が分かったはずだが、記者はなにしろ神戸駅に降りるのは初めて。右も左もわからない。神戸牛と神戸大くらいは知っているが、前川清「そして神戸」と渡辺真知子「ハーバーランド」しかイメージにない。(「あのカモメが飛んだはハーバーライト、彼女は横浜出身」と、家に帰ってからかみさんに言われた)
そこで聞いた。「わたしは266万円といわれても、神戸の市況が全く分かりません。高いのか安いのか」と。
この質問に答えたのが同社執行役員関西支店長・加治屋倫浩氏だった。「大阪の中心部は坪300万円を超えており、坪400万円を突破するところがここ1年以内に出てくる。兵庫県では芦屋は坪400万円を突破するが、中央区は震災の影響もあり(再開発などが)遅れている。坪266万円は過去最高」と。
簡にして要を得る-これほど分かりやすい説明はない。単価を聞かない記者も問題だが(聞いてもその価値が理解できない記者も多いが)、デベロッパーは進んで単価を公表すべきだ。スーパーがダイコンを「価格未定」と表示したら、翌日からお客さんは一人も来ないはずだ。
単価と設備仕様については首都圏と比較しても意味がないので、あまり書かないが、物件を見学する前までは「坪300万円もあるかも」と考えていた。
住友不動産などが神戸港開港150年プロジェクトとして、敷地面積約34,000㎡の「新港突堤西地区再開発事業」を行うことになっており、27階建ての約350戸のツインタワー2棟700戸を建設することを聞いていたからだ。着工はこれからで、同社は具体的なことは何も話していないが、記者は坪単価300万円を突破すると読んだ。
なので、三菱もあるいはと考えたのだが、建設地は三方を高さ20mくらいの建物に囲まれているので、昨年末見た東急不動産「心斎橋」と同じ260万円くらいではないかとはじいた。当たらずとも遠からずだ。
全体の設備仕様は高いと思う。2重床・2重天井は神戸ではよく採用されるそうだ。155㎡のモデルルームは2億4,800万円台になりそうで、これは東京のどこの億ションと比較してもそん色ない。
解体作業
金庫扉
石造りの半円アーチ
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ジョサイア・コンドルが建設に関わっていると聞いてびっくりした。同社関西支店計画第二グーループリーダー・高橋隆治氏によると、コンドルは建物を設計した曽禰達蔵の師匠で、コンドルは建設時に工事現場で曽禰にアドバイスし、しばらく神戸に逗留したそうだ。
コンドル彼が設計し、現存している建築物は、御茶ノ水のニコライ堂と三田綱町の三井倶楽部くらいだ。現在、コンドルが居住した六本木の敷地が東急不動産ほかの億ションとして建設されている。
それにしても5,000点を超える石などを保存し・復元するという大変な作業を行うものだ。いくらかかるか聞いたが、当然答えは返ってこなかった。この価値はものすごく高いと思う。
石は江戸城にも使用されているという山口県の黒髪島で採石された花崗岩だ。販売事務所に見本が置かれているのを触った。
蛇足。「ファミリア」は神戸の老舗呉服屋で、かつて三井不動産が第一次取得者層向けに分譲していた「パーク・ファミリア」とは全然関係ないそうだ。
現場
93㎡の5LDKはいい 坪単価は160万円台 三菱地所レジ「津田沼前原」
「ザ・パークハウス 津田沼前原ガーデン」完成予想図
三菱地所レジデンスが4月上旬に分譲する「ザ・パークハウス 津田沼前原ガーデン」のモデルルームを見学した。UR都市機構の「前原団地」のマンション建て替え事業5物件の中で最大規模プロジェクトで、「ザ・パークハウス」初の5LDKを盛り込むなど多世代・多様なニーズに対応しているのが特徴。坪単価は160万円台になる模様だ。
物件は、JR総武本線津田沼駅からバス7分・バス停下車徒歩2分、または新京成電鉄前原駅から徒歩7分、船橋市前原西6丁目に位置する6階建てA街区(105戸)と8階建てB街区(73戸)の合計178戸。専有面積は66.28~105.00㎡、予定価格は2,800万円台~6,200万円台(最多価格帯3,700万円台)、坪単価は160万円台になる模様。竣工予定は2019年2月中旬。施工は不二建設。
現地は、UR都市機構の「前原団地」の一角で、建て替えマンション事業として建設されるもの。過去、フージャースコーポレーション「デュオヒルズ津田沼」(132戸)、三井不動産レジデンシャル「パークホームズ津田沼前原の丘」(115戸)、近鉄不動産「ローレルコート津田沼」(70戸)、三菱地所レジデンス「MUJI VILLAGE パークハウス 木々 津田沼前原」(152戸)の4件のマンションが2010年までに建設されている。
今回の物件は、ゲストルーム付きの別棟の3階建て共用棟「ブルームヒルズ」を整備。平均専有面積約76㎡で、「近居」「同居」などのニーズに応えるため「ザ・パークハウス」としては初の約93㎡の5LDKタイプ(4戸)を盛り込んでいるのが特徴。このほか「トランクルーム」を全戸に設置したほか、「専用駐車場」「横入り玄関」「大型ポーチ」など多彩なプランを用意している。
2016年度の「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)」を取得している。
「ブルームヒルズ」
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現地は見ていないが、6年前に野村不動産が4,000万円台の後半から5,000万円台の後半の全61戸を3カ月で完売した戸建て「プラウドシーズン津田沼前原」を取材しているのでおおよその場所は分かる。
これまでマンションは4物件469戸が供給されており、どこまで需要が蓄積されているか、枯渇していないか心配な面もあるので、高値追究はないと読んだ。
それでも建築費の高止まりで、坪単価160万円以下はないと思った。170万円くらいだと予想したが、外れた。何と160万円台という(記者は最低160万円台半ばだと思う)。
設備仕様レベルは、他の沿線の郊外型とほぼ同じだろう。同社が標準装備としてきた浴室の上下可動式2フック付きスライドバーもついていなかった。(皆さんはどうでもいいことと考えるかもしれないが、これはスグレモノ。夫婦、子どもと一緒でも別でも、スライドバーが1つできつく固定されていると濡れた手だとなかなか調整できない)
さて、93㎡の5LDK。ナイスが70㎡台の4LDKを採用してヒットした。子ども部屋など個室を確保したいというニーズは間違いなくある。親子同居のニーズもある。
今回は93㎡でそれを実現したことに意味がある。キッチンは3.1畳大とやや狭いが、主寝室は7畳大確保されており、洗面は2ボウル、浴室は1620で、各洋室は5.0~5.7畳大で同じ広さだ。兄弟姉妹喧嘩をしない工夫か(トイレは1カ所しかないが大丈夫か)。
記者の個人的見解だが、子ども部屋は5畳大もいらない。3畳大くらいでいいのでは。そうすれば専有面積を圧縮できるし、圧縮しない場合はその他の用途に充てられる。
子ども部屋の大小が成長にどのような影響を与えるか与えないか-大小は関係ないと思う。育て方だし、夫婦、親子関係をどう築くかが大事なはずだ。間取りの可変性はとてもいいことだと思う。
野村不動産「プラウドシーズン津田沼前原」 全61戸が3カ月で完売へ(2012/7/24)
用地取得から10年 アンビシャスが満を持す「南柏」 南面に42万㎡の麗澤大学の森
「アンビシャス南柏」
アンビシャスが分譲を開始した「アンビシャス南柏」を見学した。リーマン・ショックの直前に用地を取得した物件で、紆余曲折を経て、難局を乗り切って満を持して分譲するものだ。建物は2月末に完成した。
物件は、JR常磐線・東京メトロ千代田線南柏駅から徒歩15分、流山市向小金四丁目に位置する6階建て全58戸。専有面積は66.17~88.94㎡、第1期(28戸)の価格は4,180万~4.860万円、坪単価は195万円。設計はアクシス環境デザイン。監理はアートプランニング。施工は住協建設。建物は平成30年2月末に完成済み。
現地は、麗澤大学の約42万㎡の森に隣接している住宅地の一角で、戸建て住宅街とは比高差にして約4m高いヒルトップ。
建物は東西に長いコの字型で、南面は麗澤大学の森、西側は小学校、東側は道路を挟んで小公園と麗澤大学の学生寮などに隣接。東側のエリアは同社のマンションが建築確認を取得したあと、条例により高さ12m規制が施行されている。
住戸プランは、間口6.4~6.6mの70㎡台のファミリー型が中心で、両面バルコニー、ワイドスパン、多面採光、専用庭付き、ビューバス、ベイウィンドウ、出窓付きなど多彩な25プラン。
基本性能・設備仕様では二重床・二重天井、リビング天井高2,500ミリ、天然大理石玄関床など。
販売を担当する同社営業第一部第三課課長・鈴木好美氏は「これから本格的に販売する。目標は半年で完売」と話した。
麗澤大学の森(左)と浴室から写した森
リビングダイニング
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この物件は、リーマン・ショックのすぐあと、同社関係者から存在を知らされた。商品化は難しいだろうと思っていた。何と10年後のいま分譲されるとは夢にも思わなかった。
現地のモデルルームを見学して、同社の商品企画は健在であることを確認した。ベイウィンドウ、出窓付きは建築費の高騰でほとんど姿を消したが、同社が得意とするものだった。窓などの開口・採光部が6~9カ所ある住戸は17戸、ビューバス付は9戸ある。
感心したのは、敷地南側の奥行約20m×幅約60mが空き地になっていることで、麗澤大学に依頼して実現したのだという。樹木が植わっていたら少なくとも4階あたりまではまず日照を確保することが難しかったはずだ。
坪単価について。195万円が高いか安いか、これは市場が判断することだからあまり書かないが、いま読んでいる小説、箒木蓬生著「悲素」(新潮文庫)には「法医学では、異常値だと騒いだところで、何と比較して異常な値なのか明確にしない限り、相手にされない」とある。
なので、少し書くと、少なくともいま首都圏郊外で分譲されている一次取得層向けマンションよりはるかにプランが優れており、住宅地から4m以上の高台立地、東側は高さ12m規制、南側は約42万㎡の麗澤大の森-この価値を考慮すれば決して高くないと思う。
グロスが張るので販売は容易ではないかもしれないが、こうした商品企画で勝負する以外、中堅デベロッパーの生き残る道はないと断言できる。
室内からの眺め
マンションの敷地南側(写真左側)は空き地になっている
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同社の安倍徹夫社長とは、記者が駆け出しのころ、安倍氏が大京(当時大京観光)の東京支店長を務めていた時だから40年近くのお付き合いになる。書きたいことは個人的なことを含めて山ほどあるのだが、記者が大好きな獺祭と生ガキとアメーラ、刺身などを前に「個人的なことは書かない」と約束させられたので書かない。ついでだが、酒を飲む前に「絶対二日酔いしない」ともらった薬を飲んだが、これは全く効果がなかった。
一つ二つ、これは個人的なことではないので紹介する。リーマン・ショックで多くのデベロッパーが破綻したことは周知の通りだが、同社が生き残ってきたのは、「弊社の営業哲学を理解して購入していただいたお客様、弊社を応援していただいた取引先、そして汗を流し懸命に働いてきた弊社幹部と社員のお蔭」と安倍氏は話すが、記者は安倍社長のパッションが取引先など関係者の心に響いたのだろうと思う。
実需向けのマンション事業一筋で、商品企画にこれほどこだわる社長はまずいない。
首都圏初の低床バス採用、バルコニー、外廊下の両側のアウトフレーム設計、建築基準法の改正に伴う外廊下の容積不算入部分の活用、タイヤメーカーと組んだ強化ゴムを活用した二重床(浮床)工法の採用、安全性を強化した立駐機の開発、環境共生住宅認定第1号マンションの開発などはいずれも安倍氏が大京の専務時代から扶桑レクセル社長時代に企画してきたものだ。
〝大京の7人の侍〟(記者がこう呼ぶ)の中で現在も経営トップとして活躍されているのは安倍氏のみだ。
そして今、ピーク時には120億円もあった借入金などの負債は今期末には15億円に圧縮するという。
野村不ほか 関西最大級の駅前複合「プラウドシティ塚口」(1,200戸)竣工
「プラウドシティ塚口」
野村不動産、JR西日本不動産開発、長谷工コーポレーションの3社は3月13日、兵庫県尼崎市のJR宝塚線塚口駅前の複合再開発プロジェクト「ZUTTOCITY(ズットシティ)」内に建設していた「プラウドシティ塚口」(全1,200戸)が竣工したと発表した。
「ZUTTOCITY(ズットシティ)」は、関西最大級となる総開発面積約8.4haの駅前複合再開発プロジェクトで、「プラウドシティ塚口」は街区全体のエネルギー消費量の「見える化」と、それに連動した地域通貨を導入しているほか、敷地内に整備した約8,000㎡の「みんなの森」など充実した共用部を活用し、居住者のコミュニティ形成をサポートする。
「プラウドシティ塚口」は15階建て全1,200戸。専有面積は66.96㎡~94.80㎡、価格は3,250万円~5,670万円、平均価格は3,977万円。設計・施工は長谷工コーポレーシ。
「みんなの森」
住友不動産販売元会長・社長の岩井重人氏(享年87歳)の「お別れの会」
去る1月6日、肺炎のため死去した住友不動産販売元代表取締役会長・社長の岩井重人氏(享年87歳)の「お別れの会」が3月12日、都内のホテルで行われた。主催者の同社代表取締役社長・田中俊和氏をはじめ、多くの関係者が最後の別れを告げた。
田中社長は礼状で「仲介業務で後発だった弊社の業績を著しく伸長させ、直営仲介ナンバーワンのリーディングカンパニーへと押し上げると共に、平成10年に東証二部上場、12年には一部上場を果たし…『不動産流通経営協会』と『東日本不動産流通機構』の理事長として、様々な課題に積極的に取り組んでまいりました」と岩井氏のこれまでの功績を称え、「弊社はこれからも故人が実践しておりました『顧客第一』の精神をしっかりと心に刻み、今後も社業の伸展に努力していく所存でございます」と認めた。
すごい数だ 第1期は78戸〝ディスカバ〟こと京阪電鉄不他「武蔵野富士見」
当欄既報の京阪電鉄不動産他「DISCOVER ★TERRACE★ ファインシティ武蔵野富士見」の第1期販売戸数が78戸になったことが分かった。驚異的な戸数だ。
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2月24日付記事で「敵か味方か」という見出しを付けた。「敵」とは、首都圏デベロッパーや近隣物件にとって、関西が本拠のデベロッパーにこんな企画をされたら困るという意味を込めた。「味方」とは、大手デベロッパーでなくとも(失礼、記者は大手デベロッパーとは6社くらいと規定している)、こんな企画をすれば売れるということを証明し、商品企画担当者に希望の光を点すのではないかと思ったからだ。
今の段階で「敵」なのか「味方」なのかわからない。ものすごい第1期供給量であることは確かだ。
長谷工の技術力&ルネの企画力生かせ なぜ火中の栗を拾うか 総合地所「ルネ八王子」
「ルネ八王子トレーシア」完成予想図
総合地所が販売中のマンション「ルネ八王子トレーシア」を見学した。八王子駅圏は駅直結のタワーマンションからやや離れた郊外型まで、規模も大小入り乱れて大激戦の様相を呈しているが、こちらの物件は坪単価170万円。その安さに驚いた。
物件は、JR中央線八王子駅から徒歩10分、八王子市八日町の商業地域に位置する15階建て86戸。先着順(5戸)の専有面積は68.11~80.34㎡、価格は2,998万~4,388万円(最多価格帯3,600万円台)。坪単価は170万円。竣工予定は平成31年1月。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
昨年12月から販売を開始しており、これまで20戸が成約済み。総来場者数は115件。年齢層は30歳代がもっとも多く25%、以下、20歳代が18%、40歳代が16%。現居住地は市内が56%、日野市が10%。年収は500万円台が27%、400万円台が18%。賃貸・アパート居住者が66%。
子育てママの声を取り入れた敷地・デザイン、共用施設、居住空間が特徴で、ライフスタイルを提案する「アーバンリサーチドアーズ」が首都圏分譲マンションでは初となるモデルルーム、ギャラリー、建物空間コーディネートを企画・監修。
モデルルームの家具はアウトドアテイストが特徴。オーク材本来の表情やナチュラル感を演出している。
モデルルーム
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八王子駅圏では坪単価300万円近い駅直結タワーマンションから坪150~160万円くらいの郊外型まで7物件が分譲されており、大激戦の様相を呈している。
記者は昨年12月、明和地所の物件を見学した。前建の影響を一部受けながらプランがよく、坪単価265万円でも好調に推移しているのに驚いた。
今回は、明和の物件と比べると立地、地形が劣るので単価は安くなるとは予想していたが、170万円と聞いて別の意味で驚いた。
販売開始から4カ月で20戸成約というのはまずまずの数字かもしれない。アーバンリサーチドアーズとのコラボも効果があると思うが、長谷工施工&〝ルネ〟の商品企画をもってすればもっと売れていいはずだ。どうして〝価格競争〟という火中の栗をわざわざ拾いに行こうとするのか。これが理解できない。
さらに問題なのは、西向き全86戸のうち5.8mスパンの住戸が56戸(65%)もあったことだ。これはいかがなものか。明和の物件と対照的だった。この前見学した「ルネ北綾瀬」は素晴らしかったではないか。
同社が2流、3流のデベロッパーだったらこんなことは書かない。同社は創業40周年というではないか。長谷工グループの業績も絶好調だ。総合地所には完売まで時間はかかっても利益率を落としても、輝かしい「ルネ」のブランド価値を高める商品を供給してほしい。長谷工は自社ブランド「ブランシエラ」がある。これを総合地所に移管し、パイロット的マンションを供給してはどうか。
習志野市「奏の杜」防災訓練に過去最多1,000名 三菱地所グループ&管理組合
「奏の杜」防災訓練
東日本大震災から7年を迎えた2018年3月11日(日)、三菱地所レジデンスと三菱地所コミュニティは千葉県習志野市で進められている土地区画整理事業による約35ヘクタールの街「奏の杜(かなでのもり)」で、エリアマネジメント組織である一般社団法人奏の杜パートナーズと共に4度目の防災訓練を行った。隣接する戸建て街区居住者を加え、過去最大規模の約1,000名が参加した。宮本泰介・習志野市長も出席し、活動を称えた。
訓練は、三菱地所レジデンスが分譲し、三菱地所コミュニティが管理する「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」(721戸、2013年竣工)をはじめ全4物件1,943戸の管理組合と、隣接する戸建住民や集合住宅居住者が加わって実施された。
朝9:00から安否確認、避難訓練(防災バッグ持参)を行ったのち、参加者全員が「谷津奏の杜公園」に集合。はしご車による救出訓練、トイレ組立訓練、水消火器訓練、AED 訓練などのほか、東日本大震災語り部・山田葉子氏と復興応援団・佐野哲史氏の講演会も行われた。
安否確認訓練では対象となっている2,051世帯のうち1,113世帯が応答し、実施率は54.3%に達したことが報告された。
「谷津奏の杜公園」で行われた総評集会に出席した宮本市長は、「皆さまの導きでこのような素晴らしい防災訓練が行われていることに対し、市長として心から敬意と感謝を申し上げます。また、様々な地域の課題もあろうかと思いますが、市政としてきちんと対応してまいります。
さて、昨日3月10日は東京大空襲の日、今日3月11日は東日本大震災の日です。1年の中でいちばん犠牲が伴った2日間です。それぞれで思いをはせて、平和であること豊かであることに思いを募っていただきたい。防災訓練でいちばん大切なことは、皆さんがそれぞれ知り合いであるということです。結束力が生かせる地域という利点を生かし、顔を見合わせることを目標にし、理解を深めていただければ幸いです。素晴らしい街づくりをともにしていきましょう」と呼び掛けた。
近接する千葉工業大学大学の院生らと参加した同大学附属研究室共同研究員で新習志野教務課学習支援センター職員の青木和也氏は「この種のエリアマネジメント活動などに参加すれば単位が取得できるように来年度からなる」と話した。
宮本市長
左から千葉工大・青木氏、小柴清人氏、北村勇樹氏、汐澤隆氏
◇ ◆ ◇
「奏の杜」の防災訓練を取材するのは今回で3回目だ。前回では、猛烈な風でメガネを吹き飛ばされた若い女性と遭遇し、パニックに陥りながらメガネをすぐ見つけたハプニングまで記事にしたことを、三菱地所コミュニティ関係者や管理組合理事の方々が覚えていてくれたようでとても嬉しくなった。
そして何より嬉しかったのは、記者もそうだが参加者の皆さんに余裕が感じられたことだった。管理組合の理事や三菱地所関係者のこれまでの努力が報われ、訓練はどんどん進化していることを実感した。
それは参加者の数と質に表れている。参加者は3年前の3倍増だし、先頭を歩く人は手書きのプラカード姿から立派な幟を掲げた〝隊長〟に変わっていた。どことなくぎこちなかった動きは一変していた。あってはほしくないが、いざというときこうした経験は間違いなく生きるはずだ。
取材に余裕も生まれた。参加者はもう他人ではなく、古くからの隣近所の友人のように思えてきた。AED訓練では「わたしは身内ならためらいなくやるでしょうが、若い女性の胸を触り、口づけをやる自信はない」などと軽口も叩けるようになった。
「あなた、やってみなさいよ」と勧められたのでやってみた。2度、3度ダメ押しされた。聞いていた通り、肋骨が折れるほどきつく押す必要があることを学んだ。しかも救急車が駆け付ける7分くらいの間ずっと、みんな交代でやらないといけないことも。
マンホールトイレ組み立て訓練
AED訓練
非常用井戸水試飲
安否確認47%→64%に 「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜」防災訓練(2016/4/18)
初の防災訓練に350人 「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」管理組合(2015/3/1)
女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)
液状化に悲鳴あげる浦安市 道路・上下水道ズタズタ、計画停電も(2011/3/17)
「砂上の楼閣都市」新浦安 それでも住宅はしっかり建っていた(2011/3/18)
積水ハウス 女性や子どもも快適に利用できる仮設「おりひめトイレ」開発(2014/5/1)
東急ハンズ「7人の店主」始動 金指会長また絶妙トーク 東急不HDが記者懇親会
西氏(左)と藤田氏(ザ・キャピトル東急ホテルで)
東急ハンズ新宿店が3月からリニューアルを行い、新プロジェクト「Hi! Tenshu(ハイテンションで語る店主に会いに行こう)」をスタートさせた。
「モノ提案」「コト提案」を支える「ヒト」に注目し、シューケア、メンズコスメ、眠り、ホビーなど店内に6つのコーナーを新設し、それぞれ超個性的なスタッフ(店主)の知識と豊富な品ぞろえで、お客さまの相談・悩みに応え、新たな暮らし提案を行っていく。
3月9日に行われた東急不動産ホールディングスの恒例の第39回記者懇親会で、同社・木村成一社長は「7人の店主でスタートさせたが、9月には20人の店主に増やす」と話した。
左から木村社長、藤田氏、西氏
◇ ◆ ◇
何ごとが始まるのかと思ったら、〝おとこっぷり商店〟の店主・西智氏(57)と〝輝く足元商店〟の店主・藤田康雄氏(58)が登場し、会場内に設けられたミニ店舗でデモンストレーションを行った。
西氏は、写真の通り、記者がイメージする〝かっこいい男〟とはほど遠いごく普通のおじさんだった。ご本人に聞いた。「おとこっぷりとは、今以上に自信が持てる男。まず健康であること、元気でよく動くこと、色つやがよく、目がぱっちりであること」と話した。なるほど、記者とは真逆の男だ。
藤田氏は、10万円もするというピカピカの足元のブーツだけでなく、頭までもピカピカに輝いていた。「生まれたのは1960年、安保の年。この仕事は1980年からやっている。ブーツ? きちんと手入れすれば20年ははける」と自信たっぷりに指南した。記者はじっと自分の足元を見つめた。
ハンズはすごい。ある東急不動産の社員も「不動産はハンズの子会社かと思った」そうだ。
左から木村社長の靴(28センチ)、記者の靴(24センチ)、10万円の藤田氏のブーツ
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昨年の記者懇親会で、別掲の通り「このままでは生き残れない業界紙」などと衝撃的な中締めを行った同社代表取締役会長・金指潔氏の〝続編〟が聞けるかもしれないと、録音機(ボイスコーダーと呼ぶそうだ)を用意し、手ぐすねを引いて待っていたが、「(昨年のようなことは)話すなと言われているんだよ」と事前に打ち明けた通り業界紙のことについては触れずじまいで、何を話したのかさっぱりわからなかった。録音機も雑音と参加者の笑い声しか入っていなかった。
金指氏は昨年話したことは覚えていたが、記者がそのまま記事にしたことや、その後の展開がその通りになったことまで正確には把握されていなかった。
ここまで書いて、同業の記者が助け舟を出してくれた。金指氏は次のようなことを話したそうだ(この記者の方に感謝したい)。
「昨年は業界紙が倒産するみたいな話をしたら本当に…今年は○○〇か、それは冗談として、見渡すと未だに化石みたいな人たちがいる(誰のことを言っているのか。記者も視界に入っていたのか。金指氏は72歳。早大卒だから、吉永小百合さんと同窓の同年)。わがグループは若い人が頑張っている。応援してほしい。月曜日はいい記事が出ると期待している。お土産の靴磨きは5,000円。皆さん飲んで食ったでしょう。分かりましたか? 」(確かに「飲んで食ったでしょう」だけは覚えている。ワインは10杯くらい飲んだが、話すのに夢中で食べたのは3皿くらい。靴など磨いたことがない。月曜まで待っていられない。記者は早い者勝ち)
積水ハウスはこの日、代表取締役の70歳定年制を決めたと発表した。記者はこれに納得できない。年齢は全然関係ない。ピカソは90歳くらいまで精力的に創作活動を続けたし、土光敏夫氏は91歳で亡くなったが、89歳まで行革審の会長を務め、行政改革の先頭に立った。わが三重県出身のライフコーポレーション会長兼CEO・清水信次氏は91歳で、日本チェーンストア協会の会長を務めている。今年5月の総会で小浜裕正会長代行(カスミ会長)が会長に就任するそうだが、小浜氏も76歳だ。金指氏は、絶対に自ら辞めるとは言ってほしくない。ある会社は〇〇賞の授賞を考えているようだ。
肝心なことを書き忘れていた。これを書かないと来年は金指会長からレッドカードを突き付けられそうだ。東急不HD社長・大隈郁仁氏は、昨年5月にスタートさせた2020年度を最終年度とする中期経営計画は経営課題としているESG(環境・社会・ガバナンス)マネジメントをはじめ計画通り進捗していると話した。
金指氏
大隈社長
「このままでは生き残れない業界紙」 東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3/9)
「取引事故の再発防止、信頼回復に不退転の覚悟」積水ハウス仲井社長、阿部会長
仲井社長(左)と阿部会長
積水ハウス取締役相談役・和田勇氏が1月24日の取締役会で代表取締役会長兼CEOを退任し、4月末の定時株主総会で取締役を退任することになった分譲マンション用地取得に関する事故について、同社代表取締役社長・仲井嘉浩氏と同社代表取締役会長・阿部俊則氏は3月9日行われた2018年度経営計画説明会で、再発防止と信頼回復に向け不退転の覚悟で取り組むと話した。
ブランドの棄損、業績への影響はないかというメディアの質問に対し、阿部会長は「(事故の影響を)何とか最小限にとどめている。問題は社員がどう考えているかだが、先の本部長会議でも説明したし、来週には社長とわたしで広島と東北に行って対話を行う予定だ。胸襟を開いてとにかく前向きにやっていく。ガバナンス改革を進め、若い社長をサポートしていく。今後10年、20年後、今回の問題が転機になったと言われるように不退転の覚悟で臨む」と語った。
仲井社長は「(事故は)あってはならないこと。再発防止に努め、信頼の回復に邁進していく。業績に影響がでないようにしたい」と述べた。
同社はまた、ガバナンス体制の強化として、代表取締役の70歳定年制の導入、女性社外役員の登用、取締役会の透明性、活性化、経営会議の設置などを決めたと発表した。
この問題については、3月6日付の「分譲マンション用地の取引事故に関する経緯概要等のご報告」と「当社取締役会の議事に関する報道について」の情報開示を行っている。
取引事故については「リスク情報への対応は非常に拙劣であったと評価せざるを得ず、地面師側の犯行が狡猾で大胆であったこともあり、本社のリスク管理部門までもが、現場の先入観に左右されてしまい…痛恨の事態に至った」としている。
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