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第2回「住宅団地再生連絡会議」(すまい・るホールで)

 「住宅団地再生」に関する研究調査報告、意見交換を行う第2回「住宅団地再生連絡会議」が1月23日行われ、広島市、東京藝術大学准教授・藤村龍至氏、千葉大学准教授・鈴木雅之氏(NPO法人ちば地域再生リサーチ事務局長)、NPO法人さくら茶屋にししば、大分市、大阪府住宅供給公社、近鉄グループホールディングス、豊明市・UR都市機構・藤田保健衛生大学の8つの先進事例が報告された。参加者は約260名。

 広島市は「負のスパイラルに陥らないよう、空き家が発生する初期段階で効果的な対策を行う必要があることを強調した。

 藤村氏は、自治会活動の有無が再生の取り組みを左右する事例として「鳩山ニュータウン」「椿峰ニュータウン」「白岡ニュータウン」など大規模民間団地の事例を報告。マルシェ、住み開きが再生のカギを握ると強調した。

 鈴木氏は、千葉県・海浜ニュータウンの高洲・高浜エリアでの産官学の取り組みを紹介。「成功するのは3割。失敗することのほうが多いが、試行錯誤も必要」と話した。

 大分市は、公助、共助、自助の取り組みを通じて空き家を劇的に減らしたモデル団地「富士見が丘団地」の事例を紹介した。

 大阪府住宅供給公社は、堺市の補助事業や民間のDIY会社と連携して、2戸を1戸にリノベし、約90㎡の賃貸住宅にリノベして成功したことを報告した。

 近鉄ホールディングスは、奈良県生駒市と連携し、「暮らしと住まい」の両輪から問題解決に取り組んでいると紹介。仮想地域通貨の社会実験が予想以上の効果を上げていることも発表した。

 藤田保健衛生大学は、「生活現場で学ぶ」ことが教育の一環として、教職員(10名)、学生(50名)がURの賃貸に入居し、住民らと地域包括ケアを実践していることを報告した。

 国土交通省は昨年行った団地住宅の実態調査結果について、面積が5㏊以上の住宅団地は全国で2,886団地、約19.4万㏊存在し、そのうちの約6割の自治体が問題意識を持っているが、団地再生の取り組みを実施しているのは予定を含めて3割に過ぎないと報告した。 

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 8つの先進事例で一番面白かったのはNPO法人さくら茶屋にししば・岡本溢子氏(74)と阿部茂男氏(68)の報告だった。

 NPOは、横浜市金沢区西柴にある西武不動産が開発した全1,800戸の「西柴団地」の居住者らが組織するもので、「アンケートによると70歳代、80歳代が50%以上で、60歳代を加えると80%以上」「日本全体の数十年先を歩んでいる」(岡本氏)すさまじい超高齢化住宅地だ。

 市の補助事業に応募して当選して活動を始めたのが8年前。以来、日替わりランチや総菜販売、喫茶サービス、手作りパンなどを販売する「さくら茶屋」のほか固定収入となるレンタルボックス、朝塾や夜話会、趣味の教室、子どもの居場所、認知症カフェなど多彩な事業・イベントなどを継続して行っている。

 今ではボランティアは80名以上に達し、年間3,000円の金銭的支援をする賛助会員か170名にのぼっているという。

 岡本氏は「年齢? 始めたのは60歳代。今? 74歳。みんなの要求に応えること、無理をしないこと、できる範囲でやること、楽しくやること。これが継続してできるコツ。今朝? 雪でバスが運休したので駅まで20分歩いた。滑らなくてよかった」と破顔一笑した。阿部氏は「会員80人のうち男性は1割。男性会員を増やすのが課題」と話した。

 このような話を聞くと、日本の将来は明るいと思えてくる。この元気はどこから来るのか。600円の日替わりランチ(アナゴは900円だったか)はみんなプロ級の腕前だそうだ。必ず取材してレポートする。

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阿部氏(左)と岡本氏

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 この日報告された先進事例は昼の休憩時間を除き、午前と午後の部を合わせ8事例で都合5時間。1事例につき約30分で、プロジェクターに映し出された資料は約300ページ。1分に1枚の割合だ。呑み込みが悪い年寄りの記者にはこれはもう苦行だ。

 もう少し余裕をもって行っていただきたい。プレゼンを行う人も、あれやこれや盛り込もうとせず、3から4点くらいに絞れば理解されやすいのではないか。前後半合わせ10人強しか集まらなかった報道陣も残念。 

全国276団体が参加する「住宅団地再生連絡会議」設立 国土交通省(2017/1/31)

 

 

 

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「デュオセーヌ千葉ちはら台駅前」

 フージャースホールディングスグループのCCRC(Continuing Care Retirement Community)事業を展開するフージャースケアデザインは1月18・19日、建物が完成し、近く入居が始まるシニア向け分譲マンション「デュオセーヌ千葉ちはら台駅前」を関係者に公開した。坪単価195万円で、約6割が契約・申し込み済みとなっており、順調に販売は進んでいる。

 物件は、京成千原線ちはら台駅から徒歩2分、千葉県市原市ちはら台西二丁目の商業地域に位置する10階建て全208戸(住戸204戸、店舗4戸)、他に管理事務室など。現在分譲中の第三期(30戸)の専有面積は44.27~79.21㎡、価格は2,498万~5,398万円(最多価格帯2800万円台)、坪単価195万円。レンタブル比は約85%。竣工は2017年11月。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。

 管理運営費(月額)は38,340円~68,600円。食費は朝食500円、昼食600円、夕食900円で30日/60,000円の予定。入居条件は満50歳以上、自身で身の回りのことができ、共同生活が可能な人(一定の審査があり、原則身元引受人が必要)。駐車場は平置き76台。

 同社・佐藤多聞社長は「商業立地なのでラウンジを充実させるなど、これまでの物件(過去3物件)を進化させることができた。今後も都内初の『国立』『豊田』で分譲する予定」などと話した。

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 同社のシニア向けマンションを見学するのは今回で4件目だ。最初に案内されたホール・ラウンジは住戸3戸分の約240㎡。天井高が折り上げ部分で約3.5メートルあり、グランドピアノが置かれ、突板仕上げの床、壁(一部を除く)などとともにグレード感がするものだった。ほとんど瞬時に、これまでの3物件と比べ良くなっていると判断した(「鶴川緑山」もグレードは高い)。廊下も天井高は約2.7m、幅は約2mあり、長さは80mあった。

 居室はこれまでの物件と比べそれほど変わっていないが、トイレは「柏の葉」と同様、スイングドアが採用されていた。ゲストルームは2室で、食堂・レストランの床は一部ヘリンボーン仕上げで、一般にも開放されるカフェ付き。

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ちはら台駅から写す

高級住宅街の一角に シニア向けフージャース他「デュオセーヌ緑山」(2016/10/11)

「ららぽーと」に隣接 坪単価230万円でも人気 シニア向けフージャース「柏の葉」(2016/5/2)

根づくかシニア向け分譲マンション 年間500戸の市場へ(2015/1/26)

フージャースコーポ シニア向け「つくばみらい」 新しい選択肢として人気(2014/5/31)

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平成29年度「財界賞」「経営者賞」贈呈式(パレスホテル東京で)

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村田主幹

 雑誌「財界」を発行する財界研究所(村田博文社長兼主幹)は1月19日、各界から約1,000名を集め、今回が62回目となる恒例の平成29年度「財界賞」「経営者賞」の贈呈式を行った。「財界賞」を受賞した榊原定征氏(経団連会長)、「財界特別賞」に選ばれた金丸恭文氏(フューチャー会長兼社長グループCEO)、「経営者賞」に選定された矢野龍氏(住友林業会長)、後藤高志氏(西武ホールディングス社長)、本庄八郎氏(伊藤園会長)、藤田晋氏(サイバーエージェント社長)、巌浩氏(EPSホールディングス会長)がそれぞれ登壇、喜びを語った。

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 贈呈式の招待状が届いた1カ月前からこの日を心待ちにしていた。その時点で受賞者の名前は決まっており、錚々たるメンバーのなかに住友林業の矢野龍会長の名前があったからだ。

 記者は矢野氏と大和ハウス工業会長兼CEO・樋口武男氏、積水ハウス会長兼CEO・和田勇氏の3氏をハウスメーカーの〝雄弁御三家〟と呼ぶ。

 年齢が樋口氏が79歳、矢野氏が77歳、和田氏が76歳と近く、しかも樋口氏と和田氏は関西学院大の同窓で誕生日が同じ4月29日(矢野氏は九州大卒)。そして何より3人を御三家たらしめるのは、イリオモテヤマネコと同様、絶滅危惧種の関西弁(大阪弁なのか)を不倶戴天の東京で堂々としゃべるからだ。

 あの人を小ばかにした“毒”をたっぷり含んだ関西弁・大阪弁でまくしたてられると、気の弱い記者などはもう笑うしかなく腰抜け状態になる(記者も「首都圏」の意味がある「近畿」の三重県出身だが、伊勢の「な言葉」はすっかり忘れてしまった。なお「絶滅危惧種」「近畿」については国際日本文化研究センター教授・井上章一氏の著作を参考にしました。大阪弁を「絶滅危惧種」とわたしが言っているのではありません)。

 それでも、怖いもの見たさも手伝って3氏が出席する会見は必ず出席することにしている。今年も樋口氏と和田氏の関西弁を聞くことができたのだが、矢野氏には、2年前に木住協会長を退任されたとき以来お会いしていなかった。その矢野氏にお会いできる僥倖に歓喜した。

 2年前と同じ元気な姿で登壇した矢野氏は「このような賞は小学生のとき、運動会で一等賞を貰って以来。わたしのキャリアは中途半端でしかないが、当社の創業者・住友政友の『天下国家、社会、国民のためになる事業であるべき』という住友精神を愚直に守ってきた。人類がこれから1000年、1万年生きていくために地球上で唯一の再生可能エネルギーの森林・林業の伝道師として今後も頑張っていく」と語った。

 降壇した矢野氏に「木住協会長を退任したときの名演説『time flies like an arrow 光陰“矢野”如し』と同じように、今回の受賞を英語で語るとどうなるか」と聞いた。すかさず矢野氏は「Time and tide wait for no man 歳月人を待たず」と呵々大笑し、すらすらとサインした(英語を理解できない記者は「tide」を「tired」と勘違いし〝矢野さんも時とともに疲れるのか〟と訳した)。

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「2018年ミス・インターナショナル」日本代表・杉本雛乃さんから花束を受ける矢野氏

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矢野氏のサイン入り「Time and tide wait for no man 歳月人を待たず」

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 受賞者のコメントは必至でメモしたが、正確な受賞の喜びは2018年1月2日付「財界」新年特大号に詳しい。選考経過、選考所感も掲載されている。ここでは榊原氏と後藤氏に留める。

 榊原氏は、「村田主幹は19分話したのに私が与えられたコメントは1分だけ」と会場を笑わせた後、経団連会長としての3年5カ月を振り返り「2017年のGDPは540兆円を超え、この5年間で50兆円積みあがった。税収も増え、雇用の改善、企業収益の改善などもあり、経済は新たなステージに入った。デフレ脱却を宣言する年にしなければならない。そのために賃上げもしっかりやっていく」とコメントした。

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選考委員の堺屋太一氏(左)から賞状を、杉本さんから花束を受ける榊原氏

 村田主幹は冒頭、榊原氏を選考した理由を語り、「政治乱調、経済好調の表裏一体の緊張感がみなぎっているときに〝政治と経済は車の両輪〟を掲げ、デフレ脱却へ向けて頑張ってこられた」と讃え、他の受賞者に対してもたっぷり時間を取って話した。その時間を19分と数えていた榊原氏はただ者ではないし、村田主幹の話も参加者を飽きさせない迫力があった。

 後藤氏は、「今回の受賞はわたし個人ではなく、13年間一緒に働いてきたグループ職員、お客様、株主などすべてのステークホルダーに対してだと考えている」と語り、「これからは日本最強の生活応援企業として観光大国のトップランナーを目指す」と力を込めた。

 記者はもう60年来の西鉄・西武ファンだ。2004年に発覚した総会屋利益供与事件、証券取引法違反事件を受けて堤義明氏が退陣し、2005年に後藤氏が社長に就任したのだが、その後一連のリストラ、事業再編、上場廃止、訴訟、外資サーベラスの敵対的TOBなどを見聞して、ライオンズも身売り必至とみていた。

 しかし、後藤氏は見捨てなかった。昨年は久々に2位になり、観客数も過去最多の167万人を記録した。

 後藤社長は「今年の西武は優勝しかないですよね」の記者の挑発に「そう、優勝するぞ」と受けて立った。

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杉本さんから花束を受ける後藤氏

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 一通り取材を終えた宴もたけなわのころ、記者の好きなビバルディの「四季」の生演奏が始まったのだが、ビバルディ本人が聴いたら卒倒しそうな、まるで軍艦マーチのように編曲(変曲)されていた。

 近くにいた音楽に詳しそうなきれいな女性によると、「20年前くらい流行した女性グループのbondと同じ。クラシックをこのようにアレンジするのも素敵」とのことだった。もらった資料には「実力派DJと、美人すぎるプロの音楽家たちによる奇跡のユニット…サウンド東京」とあった。

 贈呈式には「2018年ミス・インターナショナル」日本代表の東京大学に在学知友の杉本雛乃さんが各受賞者に花束を贈った。杉本さんは今年11月9日に行われる世界大会に出場する。受賞者の巌氏は「11月9日は私の誕生日。なににも代えがたいプレゼント」と話した(受賞のことか、杉本さんに花束をもらったことに対してかは不明)。

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「サウンド東京」の演奏に魅入る参加者

「time flies like an arrow 光陰“矢野”如し」 木住協・矢野会長(住林会長)が退任(2016/5/30)

4月1日付 特報!「アンタロ」に匹敵する業界名物男を業界団体が公募(2017/4/1)

 

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ロゴ

 大和ハウス工業は1月19日、同社とグループ会社7社の既存住宅の売買仲介、買取再販、リノベーション・リフォームなどの住宅ストック事業を強化するため、グループ統一の新ブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げたと発表した。

 同社グループの売買仲介拠点40カ所を2025年度までに新たに60カ所オーブンさせ、計100カ所を目指すとともに、地方の不動産業者約80社と提携して全国ネットで展開する。現在のグループ全体の売上高1,150億円、営業利益140億円を2025年度までに2,000億円、200億円にそれぞれ増やす目標。

 1月25日に各社が保有する不動産情報を閲覧できるWEBサイトを開設。ホームページに会員登録すると、先着1,000名に簡単なVRゴーグルを贈呈し、ゴーグルを装着するとマンション、戸建てなど最大500件の物件を内見できる「どこでもストア」がスマホ、タブレットを通じて利用できるようにする。また、テレビ電話によって直接営業スタッフと相談できるサービスも行う。

 国が掲げる「住宅生活基本計画」では、既存住宅流通の市場規模は2013年の4兆円から2025年には8兆円へ倍増させ、リフォーム市場規模を2013年の7兆円から2025年には12兆円に拡大させるとしている。

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看板

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 この日の発表会には芳井敬一社長が臨む予定だったが、インフルエンザで欠席。代わりに同社大友浩嗣・取締役常務執行役員が「仲介、買取再販、リノベ・リフォームを一気通貫で提案していく。業界ナンバー1を目指す」と抱負を語った。

 〝やる気〟を内外に示そうという意欲が伝わってきた。不動産流通のことはよくわからないのだが、ハウスメーカー各社の流通事業はデベロッパー系のそれと比べ圧倒的に弱い。

 この日配布された資料によるとグループの日本住宅流通の平成29年3月期売上高は239億円で、店舗は34カ所だ。業界トップの三井不動産リアルティの仲介・アセットマネジメントの売上高は879億円(29年3月期)で、店舗数は281店舗(29年10月)だ。また、業界4位の野村不動産アーバンネットの売上高は299億円(29年3月期)で、店舗数は78店舗(29年9月)だ。大都市圏に特化している野村にも後塵を拝す。

 同社がこれまで販売した戸建て約60万戸のうち流通段階で同社グループが仲介を担当し捕捉できているのは1割くらいだというから、これも圧倒的に少ない。

 他社に引けを取らないのは買取再販だ。グループのコスモスイニシアも積極化しており、日本住宅流通とあわせ500戸を超えるという。ベスト10に入る勢いにある。今後は構造10年、設備10年、地盤10年の保証・保険を付与するという。

 今回の「Livness(リブネス)」は劣勢を一挙に挽回する戦略とみたが、グループの新築マンションや分譲戸建ての顧客にも対応できるよう〝ワンストップ〟型の店舗展開を目指してはどうかと思う。

 「Livness(リブネス)」とは直接関係ないかもしれないが、このところのコスモスイニシアのマンション、分譲戸建て、リノベの商品企画は他を圧している。業界ナンバー1のカギはコスモスイニシアとどう連携するかだと思う。起爆剤になるはずだ。

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 「Livness(リブネス)」のデザインについて。中堅デベロッパーの「リブラン」によく似ているのはともかく、色が大和ハウス工業の素敵な「赤」ではなく「オレンジ」なのが理解できなかった。

 そこで、同社住宅ストック事業推進室 事業統括グループ長・矢田幸司氏に聞いたら「グループ各社の店舗カラーがオレンジなので」ということだった。

 なるほど。ならば、ブランドを浸透させ、〝ダイワレッド〟を〝ダイワオレンジ〟に変えるくらいの意気込みで取り組んでほしい。そういえば、うちのかみさんは〝リハウス〟と〝リバブル〟の区別がつかず〝リブハウス〟と呼ぶ。ここに〝リブネス〟が食い込むとどうなるのか。〝love less〟にはならないか。

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内見イメージ

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岡本理事長(第一ホテル東京で) 

 マンション管理業協会は1月18日、恒例の新年賀詞交換会を行った。例年とほぼ同じ約500名が参加した。

 冒頭、挨拶した岡本潮理事長(東急コミュニティー会長)は、「業界は3つの役割がある。一つ目はハードとしての建物を守る役割、2つ目は居住者の生命・安全を守る役割、3つ目は快適で豊かな生活とコミュニティ支援を通じて居住者の生活を守る役割だ。

 この社会的に重要な役割を社会に広く深く伝え、高い評価、厚い信頼を得るために2つの基本目標として2つのミッションを提示した。

 一つは業界の成長・発展、社会的評価の向上、もう一つは業界従業者の処遇改善、社会的評価の確立に向けて大きく踏み出した。また昨年の一番のトピックスである『マンション管理業務共通見積書式』を策定・公表した。今後、書式を明示し、専有サービス、高齢者ニーズ、民泊対応などの働きかけを行っていく」などと管理員などの処遇改善が業界の発展に欠かせないと強調した。

 また、「3月に公表予定の今後5年間の中期計画を策定中だが、基本方針としてマンション管理業の3つの役割をしっかり果たすことができる体制を確立すること、さらに従来の取り組みから一歩踏み出し、マンションの資産価値と居住価値の維持発展に寄与し、総合的なマネジメント手法の構築の検討、実施を検討している」と述べた。

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 以下、参加者のコメント。順不同

三井不動産レジデンシャルサービス・高松茂社長(同協会副理事長) (「ザ・タワー 横浜北仲」では管理者管理手法を採用されたが)住宅・設備など複雑な複合開発なので、自信をもって提案した。広報を通じていただければ、詳しい話ができるかもしれない。(処遇改善は)給与面では当社は高いほうだと思うが、年齢制限は現在68歳。今年度中に72歳くらいまで引き上げるよう検討を進めている

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高松氏

大京アステージ・栗原清会長(同協会副理事長) 処遇改善は一番重要な課題。当社は、管理組合の声があれば72歳でも73歳でも働ける環境整備を進めている。「共通見積書式」の徹底も重要。管理員に電話対応など業務以外の多大な負担がかかっているのが現状だ

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栗原氏

大和ライフネクスト・山根弘美会長(同協会前理事長) イスラエルでの事業展開を進めていく。(大和ハウス工業会長の)樋口からも「お前のミッションだ」と言われている。日本はゼロから1は作れない。リノベーションは改善なのに対して、イスラエルは破壊的な改革でゼロから1を造る。シリコンバレー化している。エルサレムが怖い? 全然(北朝鮮など)日本のほうがよほど怖い(ヘブライ語が話せて書ける業界人は少ないはず)

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山根氏

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山根氏の自筆サイン(上は左から ネマヤ アュシヨ、下はjoshua 山根)

黒住昌昭氏(同協会元理事長) 今? 合唱と50年以上続けている合気道、それにそろばん教室を開いた。こどもはいいですよ。わたしの経歴なんか全然関係ない。すぐ嫌だという。3人しかいないが、辞められないよう必死ですよ。合気道? 合気道は「気」、信じることだ(記者も「気合い」を入れてもらったが、全然効果がなかった。へそ曲がりには信じる力がないということか)

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黒住氏

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「浦和BRIGHTS(ブライツ)」モデルハウス サンクンリビング

 ポラスグループ中央住宅の「ボゥ ヴィラージュ浦和美園~イストワール87~」が絶好調という記事を先に書いたが、今回は販売開始から1週間で全20棟のうち6棟を成約した「浦和BRIGHTS(ブライツ)」を紹介する。県都・浦和にふさわしいハイグレードの認定低炭素住宅&長期優良住宅だ。

 物件は、JR浦和駅から徒歩24分(バス9分、徒歩4分)、さいたま市緑区原山2丁目の第1種中高層住居専用・準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全20棟。敷地は県警の官舎跡地。土地面積は100.10~118.50㎡、建物面積は95.22~109.5㎡、現在分譲中(14戸)の価格は4,280万~6,380万円(最多価格帯5,400万円台)。構造は木造2階建て(在来工法)。完成予定は6月16日。

 現地は、戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角で、駒場スタジアム(駒場運動公園)に隣接。浦和高校も徒歩圏。

 建物は、周囲の戸建て環境・景観に配慮して屋根には敢えて太陽光パネルを置かず粘土瓦を採用。外構・舗道には鳥海石、ピンコロ石、天然石などの天然素材を配し、外壁には汚れにくい光触媒のサイディングを施し、各戸に宅配ボックス、サイクルポートを設置している。

 住戸の商品企画では、全熱交換型24時間換気システム、高性能樹脂窓のU値は北海道の基準値2.33を超える1.67を実現。さらに先進の省エネ、ハイブリッド給湯・暖房システムを搭載し、低炭素住宅&長期優良住宅認定を受けている。

 天然素材を多用しているのも特徴で、床は厚さ2ミリのビーチ、オーク、ウォルナット、バーチの無垢材挽き板、壁は珪藻土塗り壁や銘木の端材を活用した壁材を用いている。

 設備仕様では、ワンランク上のキッチン「ベリー」を、浴槽はミストサウナを、階段は16段を、窓にはタイマー式電動シャッターをそれぞれ採用している。

 同社は今後、ハイスペックの「BRIGHTS(ブライツ)」をシリーズ化することも検討している。

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ステージリビング

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 同社の戸建てのリビング天井高は2700ミリが標準であることは何度も書いてきたが、今回のモデルハウスではダイニングの床面よりさらに200ミリ下げて「サンクンリビング」とし、天井高を際立たせるとともに、段差を設けることで上段に腰掛けるなどして多様な使い方ができる空間としている。天井高が一般的な2500ミリではこのような演出はできない。

 一つ驚いたのは、すべての窓にクレセントが付いていなかったことだ。記者は2階だからコストを下げるためだろうと思ったのだが、そうではなくて気密性が高い樹脂サッシだから不要なのだそうだ。鍵はきちんとドア枠のところについているので防犯面でも問題はない。

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クレセントがない2階窓

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 「BRIGHTS(ブライツ)」のシリーズ化だが、同社が地盤とする埼玉県内にはそのような適地は少ない。強いてあげれば、何度も記事にしている浦和美園だ。産官学が連携して街づくりを進めれば、広域からも集客できる街になる。「浦和美園E-フォレスト」がそれだ。

 都内でも十二分に戦える商品企画だと思うし、傍観者としての記者は真っ向勝負を挑んでほしいと考えるが、問題は〝ポラス〟のブランド力だ。同社はこれまで板橋区や練馬区、城東エリアなどを除く23区内での供給は少ないから、即完売というわけにはいかない。〝浦和レッズのスポンサー〟はサポーターの役割を果たすかもしれないが、決定力不足といわれる日本サッカー同様、あと一歩足りない。

 同社(ポラテック)は三井不動産レジデンシャルの戸建ての施工実績があり、好評を博した。販売代理として三井不動産リアルティや野村不動産アーバンネットなどと組めば成功するような気がするが、同社・中内晃次郎代表は石橋を叩いても渡らないような慎重派だし、販売を他社に委託するようなことはやらないはずだ。(中長期的にはありうるか)

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現地(住宅の後ろに駒場スタジアムの照明塔が見える)

〝魂が込められている〟4カ月で31棟成約 ポラス中央住宅「浦和美園」絶好調(2018/1/16)

どこにも負けない先進の街づくり「浦和美園E-フォレスト」竣工 街びらき(2017/3/27)

 積水ハウスは1月16日、自社が建設する新築戸建住宅で東京ガスの家庭用燃料電池「エネファーム」の採用台数が累計1万台を達成したと発表した。

 同社は2008年に住宅のライフサイクルでCO2排出を2050年までにゼロにする「脱炭素宣言」 を行い、2013年には戸建住宅におけるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)「グリーンファースト ゼロ」の販売も開始し、日本最多のZEH販売実績を達成している。

 東京ガスが2009年に「エネファーム」を販売開始してから2017年11月27日時点での累計販売台数は9万台となっている。同社は約11%のシェアを占めていることになる。2位は同社の約半分という。

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「ザ・パークハウス オイコス 赤羽志茂」完成予想図

 三菱地所レジデンス・大栄不動産・三菱倉庫3社JVの「ザ・パークハウス オイコス 赤羽志茂」を見学した。南北線志茂駅から徒歩6分の工場跡地に建つ全500戸の大規模物件。物件名は〝オイコス〟だが、追い越す敵はいない。自らの限界を超えるしかない。キャッチフレーズ〝早く家に帰りたくなるマンション〟も最高に素敵だ。

 物件は、東京メトロ南北線志茂駅から徒歩6分、北区志茂3・4丁目に位置する15階建てサードスクエア399戸と11建てフォーススクエア101戸の2棟全500戸(一団地認定取得)。専有面積は65.26~84.52㎡、全体の坪単価は未定だが200万円台の半ばになる模様。竣工予定は2019年1月中旬。施工は長谷工コーポレーション。第1期1次55戸の専有面積は65.26㎡・67.82㎡、価格は3,988万~4,988万円(最多価格帯4,400万円台)。1月19日(金)から20日(土)まで登録受付が行われる。

 現地は日本化薬の工場跡地。敷地東側に隅田川、荒川が流れる。建物はサードスクエアとフォーススクエアの2棟で、今回分譲はサードスクエアの西向き住戸の3LDK。

 〝早く家に帰りたくなるマンション〟がテーマ。広大な敷地面積約18,000㎡を生かし、カフェラウンジ、ブックラウンジ、DIYルームやエクササイズルームなど多彩な共用施設を整備するのが特徴。

 80.38㎡と84.52㎡の4LDKはサードスクエアの角住戸30戸に限定し、そのほかはすべて3LDKとしているように、第一次取得者層をメインターゲットとし、宅配ボックスと「ネットスーパー」がコラボして宅配サービスを行うほか、国産材を用いた木の小部屋「箱の間」(記事参照)を初めてモデルルームで提案しているのが特徴。赤羽駅までシャトル便39本を運行(約8分)する予定。徒歩だと約18分。

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 〝オイコス〟と言えば、三菱地所レジデンスが7年前に分譲した「パークハウス吉祥寺OIKOS(オイコス)」が強烈な印象として残っているが、コンセプトは「時代が求めるニーズに呼応するイノベーティブでデザイン性の高いシリーズとして、ザ・パークハウスの安全性や品質のもとに、自由度の高い、入居者にあった自分らしい住まい方を提供」するというものだ。

 これまで首都圏の「八潮」「金沢文庫」の2物件と大阪の1物件を供給しているように、第一次取得者層向けの野村不動産〝オハナ〟に近いのか(同社は「野村さんの〝オハナ〟を〝オイコス〟ということではない」と否定)、それとも三井不動産レジデンシャル・同社他「ザ・ガーデンズ東京王子」864戸を〝オイコス〟のか(これまた同社は否定)よくわからない。

 坪単価について。記者は計画が明らかになった時点で同社も事業主として販売した「ザ・ガーデンズ東京王子」と競合すれば、アクセスと街並みで引けを取るので同じ単価では厳しいとみていたが、「東京王子」は圧倒的な人気で完売した。最終期などは坪280万円くらいしたのではないか。

 「東京王子」と競合しなくなれば、〝オイコス〟競争相手はいなくなる(大成有楽不動産の「十条」はあるが)。自らがどう物件の特性をアピールするかだ。

 北区は一昨年、住みよいまち北区をPRし、子育てファミリー層・若年層の定住化を促進するため、シティプロモーション方針を策定。北区出身の漫画家・清野とおる氏を起用して積極的にPR活動を行っている。これに乗る手はある。

 「志茂」は「しもた屋」「下々」「下僕」「ピアニシモ」などを連想させるが、「だれ志茂好きになれる」街でもある。「北区と帰宅を掛けたわけではない」と同社はまたまた否定したが、これくらいのダジャレは飛ばしていい。物件ホームページには、多くの人が18時前に帰宅し、平日でも家族みんなで夕食を楽しんでいるオランダの例を紹介している。

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北区が推進するシティプロモーションのポスター

マンションの概念を変えた歴史的な物件 三菱地所「パークハウス吉祥寺OIKOS(オイコス)」(2010/11/12)

三菱地所 〝CSRからCSVへ〟新たな価値創造目指す「3×3 Lab Future」(2016/3/29)

 

 

 

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「アセットシェアリング北千住駅前」

 インテリックスは1月15日、3月開業予定の新築ビジネスホテル「アセットシェアリング北千住駅前」の不動産小口化商品を一口100万円単位(5口以上)募集総額19億円(1,900口)で販売開始したと発表した。

 物件は、東京メトロ千代田線・東武スカイツリーライン・つくはエクスプレス北千住駅から徒歩4分、足立区千住4丁目に位置する敷地面積623.77㎡、6階建て延べ床面積1,902.01㎡の全103室。運用期間は30年間。予定利回りは5.1%。

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「ボゥ ヴィラージュ浦和美園~イストワール87~」森の家

 ポラスグループの中央住宅が分譲中の戸建て「ボゥ ヴィラージュ浦和美園~イストワール87~」と、1週間前に分譲開始した「浦和BRIGHTS」を見学した。「浦和美園」は昨年9月から分譲しているもので、わずか4カ月で全87棟のうち31棟を、「浦和」もまた全20棟のうちすでに6棟をそれぞれ成約している。なぜ売れるのか。一言でいえば1棟1棟に〝魂が込められている〟からだと思う。

◇       ◆     ◇

 まず「浦和美園」から。同社は昨年9月、全体で87戸の戸建て「イストワール」を販売すると発表し、同時に記者見学会も行った。その時の記事も参照していただきたい。

 今回見学したのは、「+Smart」「+Comfortable」「+Health」の3つの〝もっと〟をプラスした「ハイグレードタイプ」の4棟。全棟に2ミリ厚の挽き板フローリング、銘木の端材を活用した壁材「レリーフ」、珪藻土壁、タイマー式電動シャッター、高性能ハイブリッド窓、ミストサウナ、4枚引き戸などを採用、モデルハウスはすべて家具付き分譲というのが特徴だ。

 4棟のうち「和みの家」と「森の家」は1.25坪の浴室を採用しているのが特徴だ。1.25坪の浴室はバブル時に各デベロッパー、ハウスメーカーが積極的に採用したが、その後はすっかり見なくなった。これはインパクトがある。

 「森の家」はブラックウォールナットのフローリングや壁材を採用することで落ち着いた空間を演出し、マスターウォールの本皮ソファをコーディネートしている。

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森の家(古垣氏担当)

 「繋がりの家」は、床から約800ミリスキップさせた「スキップリビング」付き。1階の天井高を2.7m確保、スキップリビングの天井も上げているので、狭さを感じさせないのが特徴だ。

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繋がりの家(角張氏担当)

 「つどいの家」は、他のモデルハウスと異なり、床をコーティング加工して艶やかな表情にしており、回遊性のキッチン天井は一部下げ、間接照明とダウンライトを採用しているのが特徴。

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集いの家(山口氏担当)

 「和みの家」は、天井が網代仕上げの和室が印象的で、オレンジのソファが美しく、勾配天井のリビングによくマッチしている。

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和みの家(山口氏担当)

◇       ◆     ◇

 この日は、同社戸建分譲設計本部設計一部 営業企画設計課課長の古垣雄一氏と同じ部署の主任・角張泰広氏、さらに同社の広報マンに案内してもらった。全部で4棟。このあと「浦和BRIGHTS」の2棟も見学したので都合6棟見学した。

 この間、サッカーに野球、街づくりなどについて侃々諤々の争いをするもんだから何が何やらさっぱりわからなくなった。どういうやり取りをしたのか、少し紹介する。

 記者が「浦和レッズは昨年7位。観客数も39万人、多い時より半減。人気ナンバーワンにしては情けない。〝レッズタウンにしたい〟と熱く語る淵田敬三社長は立派だが、タウンマネジメント協議会は機能していないではないか。一方の西武ライオンズは2位。観客数も167万人。どうしてポラスは西武を応援しないのか。サッカーは裸になって踊ったり、頭突きをしたりと野蛮で、しかも1試合に2点くらいしか入らない退屈なスポーツ」などと〝挑発〟すれば、「野球とサッカーは異なるので比較はできない。西武の1試合当たりの観客数は2万人強でしょ。浦和レッズは平均3.2万人、最多は5.7万人。西武を応援しようにも、野球はみんな親会社がスポンサーになっている」などと広報マンが反撃する。また「あんたたちは立派な本物の木を使っているのに、どうして観葉植物はフェイクを相も変わらず飾るのか」と一発放てば、「本物は枯れたり、虫が付いたり手入れが大変。その代わりうちは1棟1棟インテリアコーディネーターが知恵を絞っている。同じものは提案しない。書院造の窓は右か左か」などと返され、どこまで行っても平行線だった。

 しかし、何が何やらわからないということは、どれがいいか選別するのが難しいという意味で、みんな同じということではない。甲乙つけがたい出来であるのは間違いない。

 そして何より、同社の力の注ぎようが並外れていることは、昨年の9月からすでに31棟を成約したという数字に如実に表れている。年間にすると80~90戸になる計算だ。このペースだと、全体で87戸を計画している「イストワール」を今年中に完売するかもしれない。

 価格もしかり。坪単価150~160万円のマンションが四苦八苦しているエリアで、高いものは6,000万円を超えてくる。これはマンションにもヒントになる。価格を安くすれば売れる時代ではない。ユーザーの心に響く商品企画であれば売れるということだ。

 〝閑古鳥が鳴く〟この街でこの販売スピードと価格は信じられない。ポラスに拍手喝采だ。

 その一方で、街づくりを主導するさいたま市やUR都市機構関係者も奮起していただきたい。イオンモールとポラスや浦和レッズに〝おんぶにだっこ〟でいいのか。大学にも声を掛け協議会活動を機能させてほしい。都市間競争は益々激化する。浦和美園が取り残されないか心配だ。

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和みの家

ポラス 浦和美園で大規模戸建て87棟分譲 マンション340戸含め1000戸 複合開発強化(2017/9/17)

 

 

 

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