隈研吾氏デザイン〝番町に負けない〟東急不 フラッグシップ「千代田富士見」
東急不動産は1月10日、隈研吾氏がデザイン監修した免震工法で千代田区初のZEH-Mを取得したフラッグシップ「ブランズ千代田富士見」を1月14日から販売開始すると発表した。同日、隈氏も出席した記者発表会を行った。
「環境先進マンション」のフラッグシップ物件と位置付け、建物は免震工法を採用し、千代田区で初の「ZEH-M Oriented」と低炭素建築物の認定を取得し、デザイン監修に世界的な建築家・隈研吾氏を起用しているのが特徴。
外観デザインは「豊かな緑の中に浮遊する厳かな石のヴェール」がテーマで、外構に自然石を用いているほか、ロビー・ラウンジの前には大きな水景を設置。さらに本物の石の質感を上層階まで設えていくことで、先進的なデザインを目指しているという。
主な基本性能・設備仕様は、免震、ZEHのほか、リビング天井高は2~15階のスーペリアが2750ミリ(16~18階のプレミアムは1フロア2戸で、専有面積は210㎡、リビング天井高は3000ミリ)、リビング・居室とも床暖房、挽板のリビング床、主寝室はオーク材のナグリ仕上げ(オプション)、ガス衣服乾燥機「乾太くん」、グローエ水栓、Miele食洗機、廊下幅1.2m、Low-Eガラス(プレミアムは二重サッシ・樹脂サッシ)、60cm角床タイル、框ドアなど。
このほか、駐車場は全戸分設置し、緑化率22%、コンクリート型枠合板に認証材・国産材)を使用。マンションギャラリーのジオラマ模型や建物模型作成を行わず、デジタルツインを活用したデジタルコンテンツによる接客など。
12月16日に物件ホームページを開設してからこれまで資料請求は約1,000件、2月までのモデルルーム見学はすべて満席。インナーセールで既に全住戸の4割が成約見込みとなっている。
記者発表会に臨んだ隈氏は、「ここには、落ち着いた歴史を感じさせる雰囲気がある。陰翳礼讃と言われているように、今回のために自然石を特別加工し、全面的に採用することで繊細な細かい陰翳、ヒダを演出し、ヒューマンスケールのデザインとした。これまで木を多用してきたが、最近は石にも興味があり新しいデザインとして使うようになった」と話した。
物件は、東京メトロ・都営新宿線九段下駅から徒歩5分、JR飯田橋駅から徒歩8分、千代田区富士見一丁目の第1種住居地域に位置する18階建て全69戸。専有面積は72.96~210.89㎡、坪単価は1,000万円強。竣工・引渡予定は2025年4月下旬。設計・施工・監理は東急建設。デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所。
現地は、九段下駅など7路線が利用可能な「千代田区富士見」エリアの高台に立地。暁星小・中・高校、お茶の水小学校(仮校舎)、フィリピン大使館公邸、野村不動産「プラウドタワー千代田富士見」などに隣接・近接。
隈氏
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モデルルームを見学してすぐ、同社が過去に千代田区番町で分譲した2物件を含め見学取材した30物件くらいの中で最高レベルだと確信した(免震&ZEHは千代田区内に1物件もない)。
隈氏のデザインによる総延長約35mの御影石張りの外構・エントランス、木調ルーバーパネル、水景を中心としたランドスケープデザインが圧巻だし、設備仕様レベルも極めて高い(もっと高いものもあったような気がするが)。鏡面仕上げの框ドアのデザインがいい(通常のドアの選択も可とか)。
坪単価は、「番町」(現在、三菱地所レジデンスが分譲中で、隣接地では三井不動産レジデンシャルが『ザ』を冠した『パークコート』を今春に分譲する)もあるので1,000万円弱と読んだのだが、甘かった。同社は敢然と挑戦するようで、坪1,000万円を超えると話した(隈氏を起用したのだから、それも理解できる)。上層階のプレミアムは1,500万円と聞いて、これは安いと思った。現地を観ていないのでよく分からないのだが、眺望がよければ坪2,000万円でも安いと思う。2住戸をセットで販売することも可能ということなので、1フロア丸ごとで約25億円。360度丸ごと所有できるのだから安くはないか。
記者は質疑応答で「総合的な評価は『番町』に負けないのではないか」と挑発的な質問をした。同社の担当者は「番町は邸宅街だが、当社の物件は利便性と再開発エリアという特性からして負けていない」と否定しなかった。
参考までに、坪単価470万円の「プラウドタワー千代田富士見」(306戸)は2007年に一挙販売され、平均2.9倍で即日完売している。2012年に分譲された三井不動産レジデンシャル「パークコート千代田富士見ザタワー」は坪単価476万円で、全505戸のうち425戸が億ションだったが、わずか10か月で完売している。
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もう一つ、この物件の特徴である容積率を消化しきれていない点について。現地は建ぺい率60%、容積率400%の第一種住居地域・文教地区に指定されているのだが、敷地の前面道路は6~7m弱であることから、容積率は約260%しか消化できていない。
これは地価の減価要因になるが、逆手にとれば〝売り〟にもなる。小生は、駅前などの商業エリアのタワーマンションよりも、少し奥まった住居系エリアのマンションのほうが住むにはいいと思う。バブル崩壊までの億ションはほとんど全て住居系エリアに立地していた。
ちなみに、千代田区には用途地域は第一種住居地域、第二種住居地域、商業地域の3地域が指定されており、第一種住居地域は皇居、日比谷公園、靖国神社、紀尾井町から富士見町にかけての一帯、容積率300%の地域は皇居、日比谷公園、靖国神社、紀尾井町の一部しかない。今回の物件と同じ容積率が400%のエリアは番町4~6番町もそうだ。
東京都の人口予測で、向こう40年間の2065年までに増加すると見込まれているのは千代田区のみで、中央区、港区、渋谷区、新宿区、文京区などは2030年から2045年の間にピークを迎えると予測されている。
このことを考慮すると、区内の主要エリアでマンションの坪単価が1,000万円を超えるのは当然か。
8物件目〝グラン〟「三番町26」 高値更新の坪1000万円前後 三菱地所レジ(2022/9/14)
これぞ正統派の億ション 話題の東急不動産「ブランズ ザ・ハウス一番町」竣工(2017/1/23)
東急不「BRANZ(ブランズ)」リブランディング 第一弾「四番町」
反響1万件!野村「プラウドタワー千代田富士見」(2007/5/17)
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江戸の「粋」と西洋の「エスプリ」を融合 三井不レジ「パークコート千代田富士見ザ タワー」(2012/11/5)
天然素材ふんだんに用い、大開口×大空間実現 細田工 集大成のモデルハウス開設
「GRAND RESULt (グランリザルト)」
細田工務店は1月7日、総合展示場「小金井・府中ハウジングステージ」にフラッグシップとなるモデルハウス「GRAND RESULt (グランリザルト)」 をオープンした。社歴76年の同社のノウハウを注ぎ込んだ集大成となるもので、2階のリビング天井高を約3.6m確保するなど「大開口×大空間」+「高耐震」の秀作だ。6日、モデルハウスがメディアに公開された。
「GRAND RESULt」とは「大いなる成果」の意で、プランコンセプトは①新〝木〟流②未来の継手③暮らしを軸組む-の3つ。
①では、耐震等級3を実現した構造強度を確保。天然木サッシ、天然無垢床材、ホタテ漆喰壁を多用し、大開口窓と約7mの吹き抜け空間を設けている。
②では、高気密・高断熱のZEH仕様を実現。IoTで快適性を向上し、蓄電池、非常用貯水タンク、かまどベンチなどの防災アイテムを装備。
③では、自分が自分らしく自然体でいられる場所として「Withキッチン」「ダウンリビング」「プライベートリビング」「Nook(ヌック)スペース」「ウォッシュサロン&ワークスペース」「ウォークスルークローク」「コーディネートルーム」、「ソライオ」「グリーンテラス」「プライベートバルコニー」などを採用している。
モデルハウスは、東京都小金井市前原町5丁目に位置する総合展示場「小金井・府中ハウジングステージ」内の軸組工法2階建て延床面積226.21㎡(68.42坪)。
同社は現段階で価格は未定としながら、概ね4,000万円以上を対象に初年度は年間24~25棟の受注を見込んでいる。分譲戸建てでの展開も考えているという。同社の分譲戸建ては年間150戸前後、法人受注は年間200~250棟で推移している。
1階
2階
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同社はモデルハウス仕様でどれくらいの価格になるか公表していないが、最低で坪150万円、アッパーで坪200万円近いと見た。これまで記者が見学した坪345万円の大和ハウス工業「Wood Residence MARE-希-(マレ)」、坪254万円の三菱地所ホーム「新宿ホームギャラリー」などにはかなわないが、軸組工法では最高レベルではないかと思う。
何が素晴らしいかといえば、自然素材をふんだんに用いている点だ。窓は木製サッシで、ガラスはLow-Eを採用し、窓面が大きいのにZEH基準を満たしているのはさすがだ。
また、外構やエントランスには鉄平石を、床や壁にはオーク材を、そして壁の仕上げには消臭効果もあるホタテ漆喰壁を採用しているのが特筆できる。1階リビングの波打つオークの壁は大工仕事で仕上げたのだそうだ。
エントランスホール-ウォッシュサロン&ワークスペース-パウダールーム・バスコードや、天井高3.7mの2階のプライベートゾーンの提案もいい。
1階のオーク材の壁
階段室に設けられた植栽(こちらは本物)
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ただ一つ、難点を指摘すれば、2階の構造梁に巡らせたフェイクの観葉植物だ。床や壁、天井に天然素材をふんだんに用いているのに、どうして一見してまがい物と分かる観葉植物を飾りに使うのか。
記者には理解できないのだが、これは同社に限ったことではなく、マンションも含めたこの業界の宿痾、陋習だ。みんなで渡れば怖くない、右に倣え、以下同文…。
本物の観葉植物は維持管理が大変ということから模造品にしたのだろうが、小生は観葉植物レンタル会社が定期的に点検し、捨てる予定のオフィスのポトスの小枝をもらって自宅に飾っている。5年近くになるが、陽に当たらない玄関や洗面室でも枯れない。たまに水遣りするだけだ。
いまからでも遅くない。ポトスを這わせることを提案する。初期費用は1万円で十分。毎月の管理費は水遣りだけ。労力もほとんどかからない。その効果はフェイクの数十倍であることは間違いない。坪200万円も300万円もする住宅を建てられるお金持ちがフェイクの衣服を身に付けたりカバンを持ったりするはずはない。それと同じだ。
どこもやらないことをするから、人は感動する。同社の「杉並和泉」の記事を添付する。
匠の技を見た 語り尽くせぬ魅力 細田工「グローイングスクエア杉並和泉」(2008/2/6)
「希」に見る設計依頼1か月で来場100組超 大和ハウス 富裕層向け「MARE」(2021/6/2)
アーチ型天井と列柱の無柱空間に驚嘆 旭化成ホームズ 「新宿」に富裕層向けモデル(2020/6/16)
坪254万円 設備仕様は最高レベル 三菱地所ホーム 新宿(新大久保)にモデルハウス(2019/6/5)
三井不の岩沙氏・菰田氏・植田氏、野村不HDの沓掛氏の今年に託す漢字
左から岩沙氏、植田氏、菰田氏(ホテルオークラで)
三井不動産の代表取締役会長・岩沙弘道氏、代表取締役社長・菰田正信氏、取締役専務執行役員・植田俊氏、野村不動産ホールディングス・沓掛英二社長は1月6日、それぞれ今年1年間を次のような漢字に託した。
岩沙弘道氏 志
菰田正信氏 躍
植田俊氏 妄想
沓掛英二氏 挑
沓掛氏
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記者は不動産協会とFRKの新年賀詞交換会が開かれる前日、参加者に今年1年間の夢を漢字一文字に託してもらおうと決めた。30枚くらいは集まるのではないかと。サイン帳と筆ペンも用意しようと。
しかし、翌日起きてすぐやめることにした。いきなり眼の前にサイン帳を突き付けて「今年1年間を漢字一文字で託してください」などと話しても、とっさに答えられる人などいないだろうし、漢字力はワープロ・パソコンのお陰で小学生並みに退行している小生と同じような人がおり、書こうと思っても書けなかったら恥をかかせることになるのではないかと考えたからだ。
そこで、菰田理事長などのあいさつが終わったら、早々に退散することに決めた。
と、そこに威風堂々、どこからでもすぐ誰かが分かる野村不動産ホールディングスの代表取締役社長・沓掛英二氏が現れ、声を掛けられた。早速、「社長交代は以前から決めていたのですか」と尋ねたら、沓掛氏は即座に「そう。社長に就任して8年。末広がりで区切りがいいと。サクセッション考えないと。向こう10年先を志向したら新しい発想も必要だと」と答えた。
同社は昨年末、沓掛社長は今年4月1日付で取締役会長に、新しい社長には副社長の新井聡氏がそれぞれ就任すると発表した。
ものは試しだ。「沓掛社長、今年1年間を漢字一文字に託すとどうなりますかね」と聞いてみた。沓掛氏は間髪を入れず「挑戦の『挑』だよ」と答えた。
これには驚いた。経営者は頭の回転が違うと。小生も「挑」は書けた。「ちょうは、億、兆の兆に手偏ですよね。しんにょう(逃)じゃありませんよね」とつぶやいたのだが、沓掛氏には聞こえなかったようで反応はなかった。(沓掛氏に自筆を頼めばよかった)
ならば、ひょっとしたら三井不動産の菰田社長、岩沙会長も漢字一文字で夢を語ってくれるのではないかと、退散することを改め聞いてみることにした。
菰田社長もさすがだ。沓掛氏と同じくらいの速さで「飛躍の『躍』」と記者が差し出したノートに記したのだが、記者はそのサインに目が釘付けになった。
「素晴らしい文字ですね」
「いや、わたしの字は女文字なんだよ。かみさんは男文字」
皆さんもとくとご覧あれ。バランスがとてもよく美しい。(いつか機会があったら、奥さんの字を見せてもらおう。まさか書道家じゃあるまい)
次に岩沙会長。「うーん、いま日本に一番欠けているのは…」と「志」と記した。なるほど。
これで完成!お二人を写真に収め、帰ろうとしたら、菰田社長は「次の社長も」と近くにいた植田氏を呼び寄せた。〆た。
「植田さん今年の漢字を」
「もうそうでもいいですか」
「もちろん」
字余りだが、「妄想」と認めた。これこそ植田氏の真骨頂だ。
同社もまた昨年12月9日、今年4月1日付で取締役専務執行役員・植田俊(うえだ たかし)氏が代表取締役社長 社長執行役員に、代表取締役社長 社長執行役員・菰田正信氏が代表取締役会長に、代表取締役会長・岩沙弘道氏が取締役にそれぞれ就任し、岩沙氏は6月開催予定の株主総会で取締役を退任し、同社相談役に就任する予定と発表したばかりだ。
みなさん、「妄想」にはどのような意味が込められているか。是非とも添付した記事を読んでいただきたい。
小生の今年の漢字一文字は「愛」。「哀」にならないように。
「経済・社会の発展に貢献」不動産協会・FRK新年賀詞交歓会 菰田正信理事長(2023/1/7)
「産業デベロッパー目指し、日々妄想」植田俊・三井不動産次期社長(2022/12/11)
三井不動産 植田俊(たかし)専務が社長に 菰田社長は会長へ 岩沙会長は相談役へ(2022/12/9)
野村不動産HD 新社長に副社長の新井聡氏、沓掛英二社長は会長へ(2022/12/14)
「経済・社会の発展に貢献」不動協・菰田理事長/日本を「菅」変える 新年賀詞交歓会
菰田理事長
不動産協会と不動産流通経営協会(FRK)は2023年1月6日、合同新年賀詞交歓会を開催。不動産協会・菰田正信理事長(三井不動産社長)は次のように挨拶した。
皆様、明けましておめでとうございます。不動産協会理事長の菰田でございます。
本日は不動産協会、不動産流通経営協会合同の新年賀詞交歓会に、斉藤国土交通大臣をはじめ、日頃よりご指導いただいております国会議員の先生方、関係諸官庁・友好団体や報道関係の皆様など、多数ご出席いただき、まことにありがとうございます。主催者を代表いたしまして、ひとこと年頭のご挨拶を申し上げます。
新年賀詞交歓会は3年ぶりに開催することができました。コロナ対策をしっかりと講じながら、進めていきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
まず、昨年を振り返ってみますと、コロナ禍は想定以上に長引いているものの、ワクチンと治療薬の普及とウイルスの弱毒化によりコロナと共生できる環境になりつつあり、次第に経済活動の正常化が図られてきました。
コロナに代わって最大の脅威となったのがロシアのウクライナ侵攻であります。世界平和を守る秩序が真っ向から否定された形となり、未だに解決の糸口が見出せない状況です。
経済面でもコロナからの回復による需要急増とロシア・ウクライナ紛争などによる供給制約で世界の各国でインフレが急速に進行し、それを抑えるために金融の引き締めが行われました。国内では金融緩和を継続したこともあって、為替が大きく円安に振れました。今後も海外経済の下ぶれが懸念されるなど、先行きについては非常に不透明な状況にあります。
今年の展望ですが、ロシア・ウクライナの紛争は長期化を覚悟せざるを得ない状況ですし、経済についても物価・金利・為替など非常にボラティリティの高い状態が続く見通しです。
ただ、コロナ禍については、コロナ後の世界がある程度見通せる状況になって来ましたので、今年はコロナがもたらした価値観や社会構造の不可逆的な変化を的確に捉えて、コロナ後の世界で持続的な成長を果たすための新たな飛躍の年にしなければなりません。
コロナの拡大は、DXの進展や価値観の多様化等、コロナ以前から進んでいた構造的な変化を大きく加速させ、それに伴って不動産業を取り巻く環境や求められる役割も大きく変わってきております。リモートワークが浸透する一方、リアル空間でのコミュニケーションの重要性も再認識され、リアルとデジタルの組み合わせの最適化が重要になってきています。また、国を挙げてGXが推進される中、まちづくりや住まいの環境整備を通じて、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献することが求められます。
当協会では、そうした観点から、税制および政策について、要望活動を積極的に進めております。先日決定された令和5年度与党税制改正大綱では、最重点要望であった「長期保有土地に係る事業用資産の買換え特例」と「都市再生促進税制」の延長が認められたのをはじめ、当協会の主要な要望は概ね認めていただいています。経済の力強い成長に寄与する措置として大いに歓迎したいと思います。ご尽力いただいた先生方、関係の皆様方に、厚く御礼申し上げます。
さて、今後の協会の活動として、環境政策につきましては、「GXの先導的対応」と「豊かなまちづくり」を同時達成する実効性の高い脱炭素施策推進を支援することが必要です。
そうした中で、建物・都市の脱炭素化を目指し、省エネ政策強化への能動的対応を行うとともに、再エネ導入・利活用の促進を図っていきます。
また、木造化促進への基盤整備を行うとともに、省エネ性能の劣る数多くの既存ストックに対する脱炭素政策を強化することも極めて重要と考えます。
都市政策につきましては、都市構造の変化に対応し、ストック利活用を有効に進めるため、土地利用・建築規制の一層の柔軟化に取り組みます。また、国際競争力強化のため、世界からヒト・モノ・カネ・情報が集まるような、時代をリードする都市開発の進展が必要であり、再開発等諸課題ヘの対応に取り組みます。
住宅政策につきましては、良質な住宅ストックの形成・循環に向け、ZEH等環境性能の高い住宅の供給支援に取り組みます。併せて、建替えの促進、長期優良住宅の普及促進に必要な取組みを行います。また、防災性能の向上に向けた対応を行うほか、子育て世帯等への支援措置の充実を図るとともに、新しい働き方への対応に関する支援拡充に向けた働きかけを行います。
その他、国際化への対応を進めるほか、事業環境の整備について、物流不動産やリゾートの開発なども対象として、幅広く取り組んでまいります。
当協会としては、国民の暮らしを豊かにするまちづくりや住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に向けて、貢献していきたいと考えておりますので、引き続きご理解、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
結びにあたりまして、皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りし、また今年一年が皆様や国民にとって明るく良い年となることを祈念申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。
不動産協会・不動産流通経営協会(FRK) 合同新年賀詞交歓会(ホテルオークラで)
◇ ◆ ◇
来賓として挨拶した国土交通大臣・斉藤鉄夫氏は「不動産業はわが国の豊かな国民生活や経済成長を支える重要な基幹産業であり、国土交通省も皆さんと連携しながら様々な施策を推進している。令和5年度の税制改正では、事業用資産の買換え特例の延長など主要な税制の拡充・延長が認められた。こうした施策を通じ、経済の好循環を支え、不動産市場の活性化を図っていく。また、政府全体で取り組んでいるデジタル田園都市国家構想の実現に向けた建築・都市のDXの推進や2050年カーボンニュートラルの実現に向け、必要な施策の推進に努めていく。国民の住まいの場や働く場を提供する不動産事業にはこれまで以上の大きな期待が寄せられている」と述べた。
斉藤氏
ピンチをチャンスに 明るい日本へ「菅」変える
続いて登壇した前総理・菅義偉氏は、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに為替が1ドル150円の円安に振れたことについて触れ、「あまりにも円安のデメリットだけが強調されていると思えてならない。メリットも多くある。円安のメリットを最大限に活用した対策を講じることが大事。そてし、それはインバウンドであり、農産物の輸出であり、国内の投資だ。インバウンドは、安倍内閣のもと7年間で840万人から3200万人に増え、消費額も約1兆円から5兆円であります。地方の地価も27年ぶりに上昇した。2020年の目標4000万人はコロナのためにストップしたが、2030年目標の6000万人は達成可能。ピンチをチャンスとして捉え、日本を明るい国にすげかえる(「菅」変えると記者は聞こえた)よう取り組んでいかなければならない」と語った。(菅氏が立派なのか、参加者が行儀よいのか、あの時のように会場は水を打ったように静まり返った)
菅氏
また、前自民党税制調査会会長で衆院議員・甘利明氏は「夢を形にするのが皆さんの仕事、障害を取っ払っていくのが我々の仕事であります。いま日本で一番足りないのは、明日は今日よりきっといい、高度成長期に全国民が共有したわくわくする思い、教育が出来ていないことだが、DXの普及によって、今までできなかったことが、夢を形にすることができるようになってくる。来年が待ち遠しい、わくわくする街づくりのために今年も健闘されることをお祈りします」とエールを送った。
甘利氏
乾杯の音頭をとったFRK理事長・竹村信昭氏は、「令和5年度の税制改正で、長寿命化に資する大規模改修を行なったマンションに固定資産税を減額するという税制が盛り込まれたのは画期的であり、事業用資産の買換え特例の延長や空き家に係る譲渡所得控除の延長と共に既存住宅流通市場の裾野を広げる非常にありがたい税制と評価」し、不動産流通市場については「東日本レインズのデータが示す通り、首都圏の2022年の首都圏の既存マンションの成約価格は前年比プラスを維持するなど総じて底堅く推移した。今年はウィズコロナでの経済活動の正常化、不動産市場の安定が期待されているが、これに応えるため業界としてしっかり取り組んでいく。中でも、ライフスタイルの変化に合わせて一生のうちに何度でも住み替えを可能とする長期ビジョン『住宅循環システム』の構築について、税制を始めとする政策面での支援を頂き、他団体とも連携しながら、必ずやその実現を目指し注力していく」と語った。
竹村氏
年頭所感 「今年のキーワードは〝臨機即決〟」長谷工コーポ・池上一夫社長
明けましておめでとうございます。
昨年は、新型コロナウイルスの影響が残る中、ロシアのウクライナ侵攻とそれに伴う燃料高や資源高、中国のゼロコロナ政策などによるサプライチェーンの混乱など、激動の1年でした。また、年末には日本銀行による金融政策の修正発表がありました。当社グループの強みであるマンション事業にも大きく影響を与える可能性があるため、今後の動向から一瞬たりとも目が離せません。
国内のマンション市場ですが、今年の販売戸数は首都圏で約32,000戸、近畿圏で約18,000戸と一昨年並みの水準に戻ると見込んでいます。なお、今年も平均価格の上昇傾向は続くと思われます。
中期経営計画「NS計画」3年目となる今期も、連結経常利益850億円の期初目標の達成に向けここまでは順調に進捗しており、期末に向け追い込みを図ります。最終期2025年3月期の経常利益1,000億円と5年間累計経常利益4,000億円の目標達成に向け、長谷工コーポレーションにおいては工事受注案件の積み上げと着実な利益確保、グループ各社においては経常利益300億円の達成が必須です。
また、2030年に連結経常利益1,500億円という長期ビジョン実現に向けて具体的な行動に移す時期になってきました。収益構造の大きな変革に向けて、建替・再開発事業、海外事業は更なる拡大を目指すとともに、グループ各社においては各社ごとの成長戦略と業務効率化へ積極的に投資し、DXによる新たな収益源を創出します。全社的取り組みである「DX アカデミー」は、各社から選抜した 80名のメンバーに専門的な知識を身に着けてもらうフェーズ2が完了しました。各リーダーが学んだことを各社内に展開し、大きなうねりを起こしてもらいたいと思います。
さて、2024年から災害復興などを除き残業時間規制が罰則付きで導入されることが決定しています。建設業界はかねてより他の産業と比べて残業時間が多いとされていますが、24年3月期までに現場作業所の4週8休は着実に達成させなくてはなりません。各部門が密に連携して2025年までに現場の生産性20%アップに向け取り組んでください。
続いて統合報告書についてです。財務情報だけでなく非財務情報や中長期的な企業価値の創造に関して、幅広いステークホルダーへ向けて統合報告書を発行しました。長谷工グループとして脱炭素を中心とした気候変動対応の具現化にも触れています。TCFDへの賛同やSBT認定取得等一定の進展はありましたが、具体的な行動が伴っていなければ、ビジネス上も大きなリスクになります。全員が、脱炭素を意識していただきたいと思います。
今年のキーワードは、“臨機即決(りんきそっけつ)”とします。四字熟語「臨機応変」と「即断即決」を掛け合わせた造語で、世界情勢や外部環境の急変に翻弄されることなく、柔軟かつスピード感をもって対処する。先行きの不安に恐れて縮こまるのではなく、積極果敢に成長に向けてチャレンジしながら、ひとたび環境が変われば素早く冷静に対処してほしいと思います。
今年も皆さんと一緒に力一杯、明るく元気よく頑張っていきましょう。
年頭所感 様々なビジネスモデルの変革に挑戦 三井ホーム・池田明社長
令和5年の年頭にあたり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
新型コロナ感染者数が増加と減少を繰り返すなか、社会経済活動は徐々に回復基調にありますが、戸建ての注文住宅市場については、部資材価格の高騰、円安や物価上昇などの外部環境の激変に加え、将来のインフレ懸念による消費マインドの低下等により、厳しい事業環境が続いております。しかしながら、6月に国会成立した「建築物省エネ法」の改正、11月に閣議決定が公表された「こどもエコすまい支援事業」の創設などを追い風に、今年はポストコロナや脱炭素を見据えた住宅や木造施設系建築への新たな需要の活性化が期待されます。
このような事業環境の中、当社はお客さまの「すまいとくらし」へのニーズや価値観の変化、脱炭素社会実現への課題に的確に対応すべく、様々なビジネスモデルの変革に取り組んでおります。
主力の注文住宅事業では、昨年4月、新商品『IZM(イズム)』を発表いたしました。脱炭素社会のモダンデザインを標榜し、ニューノーマルにおける自分らしく、自由で豊かな暮らしを叶える商品として、子育て世帯のお客さまを中心に多くのご支持をいただいております。今後も耐震性・断熱性・耐久性に優れた「プレミアム・モノコック構法」の基本性能はもとより、ZEH等の環境負荷が少ない新商品企画や様々な面での品質向上に努め、お客さまの「憧れ」に寄り添い、一つひとつ丁寧にかたちにする、ハイクオリティな住まいづくりに注力してまいります。
また、賃貸・施設系建築事業では、木造マンション「MOCXION(モクシオン)」の訴求を強化し、昨年11月に三井不動産レジデンシャルと協業で国際的環境認証「LEED認証」を取得予定の木造4階建て賃貸マンション「パークアクシス北千束MOCXION」が着工、その他医療・介護施設等の分野においても主要都市で中大規模の木造施設系建築が竣工するなど、中層・大規模建築の木造化・ 木質化を促進しております。
さらに、10月には三井不動産や三井不動産レジデンシャルとともに、北海道、北海道森林組合連合会、北海道木材産業協同組合連合会と「建築物木材利用促進協定」を締結するなど、今後は当社グループの建築物において、国産木材も積極的に活用することで、2050年のカーボンニュートラルや持続可能なサプライチェーンの構築、林業とその関連産業の活性化による地方創生の実現に貢献してまいります。
三井不動産グループは、&マークに象徴される「共生・共存」「多様な価値観の連携」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、社会・経済の発展と地球環境の保全に取り組んでおります。当社は、「高品質な木造建築の提供を通して、時を経るほどに美しい、持続可能なすまいとくらしを世界に広げていく」ことを使命と考えており、今後もその取り組みを強化することで、専用住宅や「MOCXION」をはじめとした賃貸住宅、木造施設系建築の普及・拡大に努め、SDGsや脱炭素社会の実現に貢献してまいります。また、リフォーム・賃貸管理などのストックビジネス、北米圏における海外事業の業容拡大を通じて、より一層の飛躍を目指してまいります。
本年も心新たに、持続的な成長に向け真摯に課題解決に取り組んでまいりますので、今後とも変わらぬご愛顧、ご支援賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
年頭所感 「まだ見ぬ新たな価値創造」徹底追求 野村不HD・沓掛英二社長
沓掛社長
野村不動産グループは、2030年グループビジョン「まだ見ぬ、Life&Time Developerへ」を掲げ、昨年より新たな中長期経営計画をスタートしている。その実現に向け、本年より、年8%の高い利益「成長」を達成することが重要である。そのうえで、中長期のターゲットと位置付ける2031年3月期へ向けた「成長」の準備を着実に行う。
事業を取り巻く国内外の環境が大きくが変化するなかで、我々の不動産開発や不動産に関連するサービスマネジメント分野において、まだ見ぬ新たな価値創造を徹底して追求するとともに、成長分野を先見性を持って見極め、挑戦し続ける。
そして、成長著しいアセアン諸国を中心に、人口増や所得の大幅拡大により住宅・オフィス等への需要増が加速する海外におけるビジネスを、真の成長ドライバーとしていく。
年頭所感 「共感できるまちづくり」推進 三菱地所・吉田淳一社長
吉田社長
2022年は、引き続き新型コロナウイルス感染症の流行はありながらも、外国人観光客受け入れが徐々に緩和されるなど、「ウィズ・コロナ」へのシフトが進んだ 1 年となった。他方、地政学リスクや世界経済の先行き不透明感は増しており、その中で経済や人々のくらしの変化は着実に進んでいる。こうした状況下だからこそ、中長期的な視点をもちながら、時代の変化を柔軟にチャンスに変えていける骨太の企業グループへの変革を目指し、持続可能な経営を追求していくことが一層求められている。
当社の10ヵ年計画「長期経営計画 2030」も4年目と折り返し地点に差し掛かっているが、個人のクオリティオブライフ向上と社会課題の発見・解決につながるまちづくりに向けたチャレンジが現場で進み、良い流れが起きている。直近では、常盤橋・有楽町において、地方連携をはじめ、アーティストなど多彩な人が集う多様性あふれるまちづくりが進んでいるほか、スマートシティ化の推進およびその基盤としての5Gなどのインフラ整備、DXによる体験価値向上の施策も深化している。
2023年は、脱炭素の流れが更に加速することが見込まれる。当社グループにおいても「三菱地所グループのサステナビリティビジョン 2050」「三菱地所グループの Sustainable Development Goals 2030」を掲げており、昨年は日本で初めてSBTネットゼロ認証を獲得した。建物全体の再エネ電力への切替は、当社グループだけでなく、入居テナント様のRE100達成に向けてもプラスになる取り組みであり、確実に進捗させていく。また、新事業やDXの推進を三菱地所グループ全体の横串として、よりスピード感もって取り進めていく。
時代の変化に応じてまちをマネジメントしながら、多様なステークホルダーとともに魅力的な要素を盛り込んでいき、多様な来街者・生活者に寄り添った「共感できるまちづくり」を進めていきたい。
年頭所感 脱炭素社会の実現に貢献 三菱地所レジデンス・宮島正治社長
宮島社長
2022年は、コロナ禍に加え、ロシアのウクライナへの軍事侵攻やサプライチェーンの混乱による世界的なインフレなど、社会や経済が混乱した激動の1年であった。その中において国内の新築分譲マンション市場は堅調で、利便性の高い都心物件の人気は引き続き高い。郊外においても、広さや間取りの多さが魅力となり、駅に近い大規模マンションが好調に推移している。
当社においても都心では「ザ・パークハウス グラン 三番町26」、「ザ・パークハウス 広尾」、郊外では「ザ・パークハウス 横浜川和町ガーデン」などが特に多くの反響をいただいている。
コロナ禍において住まいと向き合う時間が増えたことにより、「住み心地」に対するお客様の意識の高まりも強く感じている。資産としての住まいの価値に加え、引渡後のお客様の暮らしに寄り添い、その満足度を上げていくことも重要であると考えており、常にお客様から選ばれ続ける企業でありたいと考えている。
2023年の住宅市場においては、住環境や建物の企画、品質に加えて、地球環境に配慮したマンションがさらに重要視されると考えている。
当社は、昨年1月に「CO2排出量削減戦略」を打ち出し、CO2排出量を2030年までに2019年比で50%削減することを宣言した。当社では、太陽光発電パネルと高圧一括受電を組み合わせた創エネシステム「soleco(ソレッコ)」を2010年より導入しているほか、今後はマンション電力の非化石化、マンションのZEH 化など、CO2排出量削減につながるようなマンションづくりを進めていく。また、住戸ごとのCO2排出量や水道光熱費のランニングコストを記載した「マンション家計簿」を購入検討者に配布するなど、お客様とともに地球環境について考えていく取り組みも継続し、バリューチェーン全体で脱炭素社会の実現に貢献する。
年頭所感 お客様に寄り添うオンリーワン企業へ アキュラホーム・宮沢俊哉社長
宮沢社長
新年あけましておめでとうございます。2023年の年頭にあたりご挨拶申し上げます。
昨年は、資材高騰やウクライナ情勢の緊迫化、円安の急進など、国内外を取り巻く経済環境は大変厳しい状況にありました。アキュラホームグループでは、このような状況下でもESG、SDGs を行動の基本として、独自の合理化やコスト削減により、価値ある住まいを適正な価格で提供、売上げを拡大することが出来ました。
2022年は、事業の2本柱となるTOPブランド戦略「中規模木造建築事業」と「AQ PRIME」が本格的に始動しました。「中規模木造建築事業」では、新社屋「8 階建て純木造ビル」が着工しました。そして、9月には日本初の「5階建て純木造ビルモデルハウス」がオープン。さらに、東京大学、京都大学の耐震技術の研究者とともに世界初「5階建て純木造ビル実物大耐震実験」を行い、「普及型純木造ビル」プロトタイプの性能を実証。純木造ビルモデル棟の完成によって、日本の街並みに木造建築を復興する「Re:Tree プロジェクト」がスタートしました。
また、日本が世界に誇る最高峰の名工たちとともに最高級の邸宅を提供する「AQ PRIME」では、日本トップクラスのモデルハウスが建ち並ぶ住宅展示場「駒沢公園ハウジングギャラリー」(東京都世田谷区)に出展しました。
著名な邸宅建築家と、通常は建築家と協業することのない日本の伝統工芸を継承する世界的な7 名の匠たちの技術をアキュラホームがプロデュースし、展示場内でも唯一無二のクオリティを実現しています。
この2つの事業の知見を活かし、2022年グッドデザイン賞を受賞した「超空間の家」は、邸宅や5階建てまで実現することが可能となり、住まいの「つくり手集団」として、これまで以上にお客様のニーズにお応えすることが可能となりました。
2023年は、引き続きインフレや物価高、光熱費高騰や金利上昇も見込まれ、経済変動の影響が大きな年になることが予想されます。そして、アキュラホームグループは創業から45周年を迎える年です。創業当初から木造注文住宅を独自の合理化やコスト削減によって、適正な価格で価値ある住まいを提供し続けてきました。本年は、その原点に立ち戻り、さらにコストパフォーマンスに優れた低価格帯の木造注文住宅をも提供してまいります。
昨年、TOPブランド戦略で得られた中規模木造建築事業の技術力や邸宅建築の知見を活用し、オリジナル木造軸組構法「剛木造」を開発しました。これまで注文住宅事業は中価格帯を主流としてきましたが、低価格帯の注文住宅にも対応し「1,000万円からの“お手ごろ価格帯”から5億円超の“邸宅”まで」、「平屋から5階建てまで」と幅広いラインナップでお客様の様々なニーズに対応することが可能となりました。この「剛木造」は、新事業である次世代フランチャイズ事業「アキュラホームFC」によって全国に展開します。アキュラホームグループの技術力とブランド力をもって、地元愛溢れるビルダー・工務店とともに、地域の皆さまの豊かな暮らしを提供します。2027年度には直営店とFC店をあわせて注文住宅日本一となるグループ1 万棟超の販売を目指してまいりす。
また、これまでの蓄積と投資によって、様々な事業が相互にシナジーを発揮し、賢く連携できる組織としての基盤が形成できました。分譲住宅事業は注文住宅の「つくり手」として培ってきたノウハウを活かし、コストパフォーマンスの良い分譲住宅を展開しています。さらに、注文住宅を建築する目線でトータル提案ができる「ランドサーチ事業(土地探し)」や、多くのお客様のニーズにお応えしてきた経験を活かす「リフォーム事業」、エリア特性を理解し最適な提案を行う「資産活用事業」など、新たな領域で展開する事業も飛躍的に成長しています。
中規模木造建築事業は、米国で開催される世界初の木造10階建て実物大耐震実験が目前に迫りました。そして今夏、東京都墨田区に新たな中層モデルハウス(4階建て以上)をオープンする予定です。今年は千葉、埼玉にも建築し、一都三県を中心に展開していきます。さらに、埼玉県上尾市に木造建築技術に関する総合研究施設の建築を進めています。国内に留まらず世界の研究機関とも連携をとり、木造建築の普及発展に貢献するとともに技術向上を目指してまいります。
厳しい経済情勢下においても、誰もが理想の住まいを実現できるよう、「剛木造」だからこそ実現するコストパフォーマンスの良い木造注文住宅を核とし、「住」に関連するサービスをグループ全体で一貫し提供するオンリーワン企業を目指してまいります。この新しい年が皆様にとって実り多く素晴らしい一年となりますことを祈念して、私の年頭のご挨拶とさせていただきます。