踊り場に差し掛かった中古マンション市場 金利動向から目が離せない レインズデータ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は2月10日、2023年1月の不動産流通市場の動向をまとめ発表。首都圏の中古マンション成約件数は2,581件(前年同月比6.5%減)となり、6か月連続して前年同月を下回った。新規登録件数は16,588件(同31.7%増)、在庫件数は43,688件(同19.3%増)で、在庫件数は12か月連続で前年同月を上回った。
成約価格は4,276万円(同3.1%増)で、20年6月から32か月連続で前年同月を上回った。成約㎡単価は68.31万円(坪単価225.4万円)となり、前年同月比6.4%上昇、20年5月から33か月連続で前年同月を上回った。前月比では2.3%下落した。
新規登録㎡単価は74.31万円(同245.2万円)となり、前年同月比6.2%上昇、前月比も1.9%上昇した。在庫㎡単価は73.94万円(同244.0万円)㎡となり前年同月比4.1%上昇、18年2月から60か月連続で前年同月を上回った。前月比もプラス0.7%となった。専有面積は62.61㎡(同3.2%減)となった。
地域別では、東京都区部の成約㎡単価は100.05万円(同330.0万円)となり、前年同月比5.5%上昇、20年5月から33か月連続で前年同月を上回った。このほか神奈川、埼玉、千葉とも成約単価は上昇したが、多摩は50.11万円(同165.4万円)となり、21年2月以来23か月ぶりに前年同月を下回った。
中古戸建て住宅の成約件数は946件(前年同月比5.1%減)、13か月連続で前年同月を下回った。成約価格は3,827万円(同9.4%上昇)、20年11月から27か月連続で前年同月を上回った。土地面積は151.94㎡(同7.1%増)、建物面積も104.09㎡(同0.2%増)となった。
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この中古マンションデータをどう読むべきか。在庫数の5.9%(過去1年間で在庫数に占める成約比率がもっとも高かったのは2022年3月の9.0%)しか成約しないのに、新規登録数も新規登録単価も上昇しているのは、一般的な商品ならあり得ない。賞味期間がある食品類なら〝投げ売り〟〝大暴落〟してもおかしくない。
そうならないのは、〝ハコ〟としての住宅の耐用年数は無期限とまではいかなにしろ、向こう100年は顕在(「マンションは廃墟化する」などと、「国家は死滅する」と言ったマルクス・エンゲルと同じような過激なことを仰る方はいるが)だからであり、もう一つは、分譲マンションの賃貸化が進んでおり、売り急ぎなどの事情ではなく、投資対象として市場に出回っていることが考えられる。
マンションの賃貸化に関する正確なデータはないが、首都圏のストック数を約400万戸とすると、少なくともその10%、40万戸以上は賃貸化されていると推測されている。レインズの在庫件数は賃貸化されているマンションの10分11と考えれば、決して多くない。空き家になっている物件もあるだろうが、賃貸利回りと天秤にかけ、売却したほうが得と考える投資家が多いということなのだろう。
であれば、今後の中古マンション市場は金利、賃貸、新築マンション市場動向などによって大きく変化するということだろう。踊り場に差し掛かっているともいえそうだ。
もう一つ、成約、新規登録、在庫の単価がほぼ一貫して上昇を続けている一方で、成約専有面積は反比例するように縮小していることに注目している。2023年1月の専有面積は62.61㎡(前年同月比3.2%減)となっており、過去10年間では2013年1月の66.44㎡をピークに減少し続けている(暦年の最大面積は2009年の65.79㎡)。2013年1月比では3.83㎡(1.16坪)、5.8%減少していることになる。
さらにもう一つ注視したいのは、成約単価の上昇率が鈍化していることだ。上昇率は2022年12月の9.0%に引き続いて2カ月連続して10%を下回った。また、在庫単価上昇率も2022年7月以降は10%を割っており、2023年1月は4.1%増にとどまった。
これらの数値から、実需としての中古マンション市場もまた踊り場に差し掛かっていると言えるのではないか。金利動向から目が離せない展開がしばらくは続きそうだ。
「渋谷駅桜丘口」名称は「Shibuya Sakura Stage」/マンションは坪1,500万円超か
「Shibuya Sakura Stage」
ロゴ
東急不動産は2月9日、渋谷の新たなランドマークとなる「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」のメディア向け説明会を行い、施設名を「Shibuya Sakura Stage」に決定し、2023年11月30日に竣工、順次開業を進め、2024年夏にまちびらきイベントを実施すると発表した。約90名のメディアが参加した。
再開発は、100年に一度と言われる渋谷の再開発での渋谷駅中心地区の都市基盤整備を完成させるプロジェクト。計画地は、国道246号やJR線により東西方向、南北方向ともに分断されており、渋谷の街の特徴である谷地形の谷底から坂上に跨ぐ地形の高低差が大きい地区で、その難点を解消する駅の新改札口とつなぐ歩行者デッキや周辺地区と連携した縦軸動線「アーバン・コア」を整備し、後背地への接続を実現する。
施設名称には、多様な人々が自らのものがたりを発見・発信する舞台でありたいという想いが込められており、ロゴにはモダンでポップ、躍動感のあるピンクのカラーを採用。
施設のうち、SHIBUYAタワー、セントラルビル、SAKURAタワーの3棟に設けられるオフィスの基準階面積は約2,780㎡(約840坪)。大規模な企業からスタートアップ企業まで、様々な規模の企業の入居が可能。商業施設は約15,200㎡。最先端のトレンドやカルチャーを創出・情報発信を担う。
渋谷駅中心地区で唯一整備される住宅は、「ブランズ渋谷桜丘」155戸、専有面積は約12,800㎡(1戸平均82㎡)。屋上部分には太陽光パネルを設置するなど「環境先進マンション」を目指す。
このほか、外国人ビジネスパーソンに対応した約9,000㎡、全126室のサービスアパートメント「ハイアット ハウス 東京 渋谷」や子育て支援施設、国際医療施設、起業支援施設を併設する。
説明会で同社代表取締役社長・岡田正志氏は、「当社の創業の地である渋谷では100年に一度と言われる大規模再開発が進行中で、当プロジェクトは1998年10月に旧再開発準備組合が設立されてから約25年。約120名の地権者との会合はこれまでほぼ毎週開催され、計640回という膨大な時間を割いて思いを紡ぎ、当社のノウハウ、リソース注ぎ込み、地元の悲願であった街の分断を解消し、渋谷の特徴でもある谷地形を克服する大規模な基盤整備などを行ってきた。この再開発事業は他に類を見ない取り組みであると自負している。
渋谷の街の魅力は、後背地に住宅地を抱え、オフィスエリアと商業エリアが交じり合い、働く、住む、遊ぶ、憩いといったライフスタイルの全てが揃っており、それらがシームレスにつながっていることにある。今回の再開発では、これまで渋谷駅周辺にはなかった緑豊かな憩いの広場、賑わい広場も備えている。渋谷で培われた多様なカルチャーを承継し発展させ、より多様な人々を集め多様な文化を生み出すことを目指している」と語った。オフィスのリーシングについては約6割が契約済みで、竣工まで満床稼働すると自信を見せた。
同社執行役員都市事業ユニット渋谷開発本部長・黒川泰宏氏は、分譲マンション「ブランズ渋谷桜丘」について、「環境先進マンションとして、見たことがない暮らしを実現する」と語った。全155戸のうち50戸弱が同社の持ち分で、他は地権者住戸に充てられることを明らかにした。
施設は、施行面積約2.6ha。「SHIBUYAサイド(A街区)」「SAKURAサイド(B街区)」「日本基督教団 中渋谷教会(C街区)」から構成。事務所、店舗などの「SHIBUYAサイド」は39階建てと17階建て延床面積約184,700㎡、住宅、事務所、サービスアパートメントなどの「「SAKURAサイド」は30階建て延床面積約69,100㎡。「日本基督教団 中渋谷教会」は4階建て延床面積約820㎡。デザインアーキテクトは古谷誠章+NASCA+日建設計。基本設計・実施設計は日建設計のほか、ナスカ一級建築士事務所(SAKURAテラス)、日建ハウジングシステム(住宅部分)など。変更実施設計は鹿島・戸田建設共同企業体。
左から黒川氏、岡田氏、同社取締役常務執行役員都市事業ユニット長・榎戸明子氏
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会見には100名近いメディアが駆けつけた。プロジェクトの目玉の一つである分譲マンションについて、だれかが質問するかと思ったが、だれも質問しなかった。小生も、答えは返ってこないのを承知で手を挙げたが、指名はされなかった。なので、以下は記者の勝手な予想。
まず、渋谷のイメージ。女性の記者の方が「渋谷は若い人の街のイメージ」と質問した。これに対し、岡田社長らは「多様性の街」と答えた。記者もそう思う。100年に一度の再開発で渋谷は一変した。東京駅とはもちろん、新宿や池袋、品川などとは違う。品格にはやや欠けるような気がしないではないが、街の活性化に欠かせない〝若者〟〝よそ者〟〝バカ者〟がみんな揃っている。何だか訳が分からない混沌とした風情が漂う。何かをやってのけるのではないかという大きな不安の分だけ期待も持たせてくれるのが渋谷だ。
だから、〝イメージ〟などといったあいまいな既成概念で渋谷は語れない。後背地には青山、原宿、神宮前、代官山、恵比寿がある。
そんな立地条件を生かせば、坪単価は1,000万円どころか1,500万円でも売れるはずだ。富士山が眺望できる条件のいい住戸なら坪2,000万円でも安いと記者は思う。10坪で2億円、20坪で4億円、30坪で6億円。独り占めできる最上階は数十億円。楽勝ではないか。設計は日本設計と日建ハウジングシステム、施工は鹿島と戸田建設。役者は揃った。
渋谷駅圏の主なマンションについて記事を添付する。
住宅 イメージ図
サービスアパートメント イメージ図
一般分譲されない可能性高まる 旭化成不レジ「(仮称)宮益坂ビルディング建替計画」(2020/6/15)
三菱地所レジデンス 最高値更新の坪850万円「ザ・パークハウス渋谷南平台」(2018/10/4)
感動的ですらある鹿島建設「センチュリーフォレスト」(2012/1/25)
坪単価「400万円台の半ば」新日鉄都市開発「テラス渋谷美竹」(2012/1/13)
舎人ライナー江北駅13分の賃貸「カーメスト興野町」98戸 申込み倍率8.6倍 JKK東京
「カーメスト興野町」
東京都住宅供給公社(JKK東京)は2月7日、募集戸数98戸の新築賃貸マンション「カーメスト興野町」に844件の申し込みがあり、応募倍率は最高35倍、平均8.6倍にのぼったと発表。ファミリー向けから単身・DINKS向けの間取りまで、全ての間取りで幅広い申し込みがあった。
物件は、日暮里・舎人ライナー江北駅から徒歩13分、東武スカイツリーライン西新井駅から徒歩20分、東武大師線大師前駅から徒歩14分、足立区西新井本町四丁目に位置する8階建て128戸(募集戸数:98戸)。専用面積は35.03~66.52㎡、間取りは1DK・1LDK・2DK・2LDK・3LDK、月額家賃は80,900(坪7,621円)~132,400円(坪6,568円)。共益費は5,500円/月。竣工は令和4年9月。入居予定は令和5年3月。
募集は、令和5年1月13日~1月23日で、募集期間中2日間にわたって行われ現地オープンルームには約1,400名が来場。平均倍率の高かったファミリー向けの3LDK(65.81~66.52㎡)は、募集戸数16戸に対して平均14.7倍の応募があり、1DK(35.03~36.38㎡)は募集戸数15戸に対して平均10.1倍の応募倍率となった。もっとも倍率が高かったのは1DK(35.03㎡)の35倍。
JKK東京は募集倍率が高かったことについて、建て替えに合わせ住宅南側に「興野町いちょう公園」を新設するなど、子育て環境を整備し、ライフスタイルにあわせて間取りをフレキシブルに変えられる「ウォールドア」を設置したことなどが評価されたとしている。
中庭
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上段はJKK東京のリリースをコピペしたものだ。昨日(7日)、不動産流通研究所のWEB「R.E.port」が報じていた。それを読んでわが目を疑った。倍率の凄さもそうだが、日暮里・舎人ライナー江北駅から徒歩13分の立地条件と募集戸数の多さに驚いたからだ。
同沿線の分譲マンションはこれまで数件見学しており、2014年分譲の高野(こうや)駅から徒歩1分で、坪単価153万円の「ハミングテラス」102戸が人気になった以外は早期完売した物件はないはずだ。ここ数年の分譲マンションの値上がりで、もっとも単価相場が低い〝狙い目は舎人ライナー〟などと話す業界関係者は少なくないが、小生などは、商業施設など生活利便施設が乏しく、工場街のイメージしか残っていない。そのようなエリアの賃貸マンションの競争倍率が8.6倍に達したことなど信じられない。いま、同沿線で分譲マンションを供給したらいくらになるか。坪単価200万円だったら売れると思うが、そんな安値にはならない。坪220~230万円とみたが、これでも安いか。
分譲マンションと比較して、「興野町」の賃料は安いといえば安いのだろうが、施設住宅ではないから民間相場と比べてそれほど低いとも思えない。
公社募集センター担当者によると、これまで10倍超の応募倍率に達した物件はあるとのことだが、2日間の現地オープンルール見学時に申し込みを受けた住戸の割合は20%を超えたのは想定外の多さだという。
もうこれ以上書かない。物件を見ていないのにいい加減なことなど書けない。日を改め見学をお願いしてレポートしたい。
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賃貸市場のことはよく分からないのだが、分譲住宅市場と関連はあるはずなので、東京カンテイのデータを頼りに比較してみた。
同社のプレス・リリースによると、東京都の分譲マンションの坪賃料は表・図の通りここ数年かなり上昇している。2022年は坪12,385円で、2017年比18.6%の上昇だ。「興野町」は坪7,000円台のはずで、単純比較はできないにしろ、安いともいえるが、足立区の立地を考慮するとそれほど安いとも思えない。
中古マンション(70㎡換算)の坪単価は2022年は297万円で、2017年の227.5万円から30.5%上昇。上昇率は賃貸より11.9ポイントも高い。なぜそうなのかは詳細な分析が必要だが、賃貸住宅の供給増と需要動向、マンション適地の地価上昇、建築費の高騰、相対的に質が劣る賃貸から分譲への住み替え、先高観など様々な要因が働いているのだろう。
注目したいのは、分譲マンション坪賃料の利回りの低下だ。この10年間、利回りは一貫して低下しており、2022年は5.00%と2013年比で1.84ポイント下落している。金利先高観は強まっており、今後の金利動向から目が離せない。
東建不販 多世代交流目指した夏祭り「コーシャハイム千歳烏山」で実施(2014/8/30)
サ高住「コーシャハイム千歳烏山」 「囲い込み施設にしない」JKK狩野氏(2014/3/31)
荒井首相秘書官のオフレコ会見 報じなかった約10名のメディアの釈明はないのか
荒井勝喜首相秘書官が3日夜のオフレコ会見で、LGBTQなど性的少数者に対する差別的発言を行ったことが問題となり、その翌日、更迭されたことが報じられた。「見るのも嫌だ。隣に住んでいるのも嫌だ」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」などの発言は断じて許せない。更迭は当然だと思うが、同時にわれわれが考えないといといけないのは、そのような重大発言が飛び出すオフレコ記者会見が常態化しており、書くか書かないかは一部のメディアの判断に委ねられていることだ。これは危うい。
最初にこの問題を取り上げたのは、全国紙では毎日新聞のようだ。同紙は荒井氏の発言があった2月3日22:57にWEBで第一報を報じた。同紙によると、オフレコ会見に同席していたのは約10名の記者で、「現場にいた毎日新聞政治部の記者は、一連の発言を首相官邸キャップを通じて東京本社政治部に報告した。本社編集編成局で協議した結果、荒井氏の発言は同性婚制度の賛否にとどまらず、性的少数者を傷つける差別的な内容であり、岸田政権の中枢で政策立案に関わる首相秘書官がこうした人権意識を持っていることは重大な問題だと判断」(023/2/4 20:48)、オフレコを解除する旨を荒井氏に伝えたうえ記事化。4日付朝刊記事は遠慮がちの3段見出しだった。
そのほかの全国紙では、朝日新聞は、荒井氏がオンレコ会見で発言を撤回・謝罪したのを受け日付が変わった4日0時50分付WEBで記事化し、4日付朝刊で報じている。同紙記者はオフレコ会見には同席していなかったともしている。読売新聞は4日付夕刊トップ記事で、日経新聞は4日付夕刊で、産経新聞は5日付朝刊でそれぞれ報じた。
問題は、オフレコ会見にいなかった朝日新聞はともかく、毎日新聞が報じなかったら、同席していた約10名の記者はどうしたかということだ。同席していたメディアの釈明も知りたかった。私見を言わせていただければ、公人にオフレコなどありえない。それを許せば権力とメディアの癒着を生む。
かく言う小生もオフレコ取材は数えきれないほど経験している。その圧倒的多数は政治問題ではなく下半身、女性問題だった(男性問題はなかった)。情報源の秘匿は記者の生命線だし、小生だって脛に傷持つ。深入りはせず、口外したことはない。
「約束を反故。許せない」住民怒る 健全木のイチョウ 新たに4本伐採 千代田区
新たに伐採された伸び盛りのイチョウ(切り口はまさに芳紀十八、あっ、これは雄株か)
東京都千代田区は2月6日未明、「神田警察署通りⅡ期道路整備区域」にある街路樹であるイチョウ4本を伐採した。伐採に反対する「神田警察度通りの街路樹を守る会」(以下、「守る会」)は、「裁判で伐採の是非が問われているさ中のできごとで、昨年7月3日に区と取り交わした工事を再開する際は事前に連絡するという約束を反故にするもので、許せない」と怒りをあらわにした。
「守る会」によると、樋口高顕区長は抗議文を受け取らず「粛々と工事を進めていく」と語ったという。また、環境まちづくり部道路公園課長・谷田部継司氏、広報担当者、総務課長らの話を総合すると、この案件の実質的な責任者である坂田融朗副区長はこの日(6日)、午後1時45分からの副区長会に出席したのち2、3の会議に出席するとかで、区に戻らずそのまま退庁したという。
区が「工事をするときは必ず事前に連絡をします」と確約したことについては、環境まちづくり部長・印出井一美氏は「それは(昨年)7月当時の約束で、今は執行停止が出ていないから何ら法的に問題はない」と話したという。
「守る会」の区長などに宛てた抗議文は次の通り。
「2月6日未明 何の知らせもなく再び伐採の暴挙に怒りを通り越しています。 先般7月に工事をする時は事前に会に連絡する旨を約束していたにもかかわらず、ましてや裁判の最中であるにもかかわらず、このような事をするとは、人道上、信義に劣る事であり、断じて許せません。
私共区民をふみにじっているとしか思えません。区長、区議会、千代田区役所に厳重に抗議するものであります」
この問題については、区域内にある32本のうち樹齢60年超のほとんどが健全木のイチョウ30本を枯損木として伐採することが決まっている。樋口高顕区長は「現在の一致点が見出せない状況が長く続けば、意見の対立を深め地域に亀裂を生じさせることにもなりかねないと認識」「行政として苦渋の決定」として2022年4月25日、イチョウ2本を伐採した。残りの若木2本は移植するとしている。
現在、伐採に反対する住民が「精神的苦痛を受けた」として22万円の損害賠償を求めた訴訟と、伐採決定は区の区議会への虚偽答弁によって議決された決議は無効、違法であるとした住民訴訟が係争中。
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この街路樹問題については、最初に持ち上がった2016年から取材をしており、これまで40本以上の記事を書いてきた。住民の味方でも区の敵でもない街路樹の味方の小生は、〝伐採ありき〟の既定路線に沿って事業を強行してきた区側に非があると思う。住民間の分断を生んだのはひとえに区の説明不足にある。令和4年3月17日に行われた区議会企画総務委員会でも嶋崎秀彦委員長は「そうだね。それは、協議会の合意が必要だよね…そこのところの知恵出しというか、やり方というか…多少瑕疵があったのかもしれない…」と答えている。
「守る会」が話したことが事実であれば、「工事再開の際には事前に連絡する」約束を守らなかったことにについて「あれは7月のこと」としれっと言ってのける印出井氏はひどいの一語だ。夫婦間だって一方的に約束を破ったらひと悶着起きる。公人が吐く言葉ではない。
一番罪が深いのは樋口区長だ。「粛々と工事を進める」と語ったそうだが、「守る会」によると、6日には道路課の職員25名はほとんど出勤していなかったというではないか。
この件で、区側に事実かどうか確認した。「工事現場に派遣した人数は答えられない。振替休日を取った人数も答えられないが、適切に処理した」との回答があった。
なので、約5,000本の街路樹のたかが4本のイチョウを伐採するために全職員を出勤させ、当日に代休を取らせたかどうかは不明だ。とはいえ、夜陰に紛れて抜き打ち的に伐採工事を行うのは「粛々」ではないことは明らかだ。
「守る会」の皆さんへ。今回の工事再開に対抗するため、皆さんはまたまたイチョウ抱き着き作戦を取るようだが、それは人間でいえは思春期の雄株がほとんどのイチョウの本意ではないはずだ。女性の方に抱きつかれ、しがみつかれるのは体が火照るが、皆さんの中には年齢が80歳近い方もいるという。健康が心配だ。夜は酒か養命酒でも飲んで明日の英気を養ってほしい。
昨年5月に伐採されたイチョウ。今回は2度目の死刑判決(それでもしっかり生きていた)
これは事実か「枯損木記載は都の慣例に倣ったもの」千代田区の主張 住民訴訟(2023/1/17)
「苦汁」を飲まされたイチョウ 「苦渋の決定」には瑕疵 続「街路樹が泣いている」(2022/5/14)
なぜだ 千代田区の街路樹伐採強行 またまたさらにまた「街路樹が泣いている」(2022/5/10)
富裕層の心揺さぶる タカラレーベン 創業50周年記念「福岡天神」約1年で完売
「レーベン福岡天神ONE TOWER」
MIRARTHホールディングスは2月3日、グループ会社タカラレーベンのグループ創業50周年記念物件として2022年1月から分譲開始していた「レーベン福岡天神ONE TOWER」が2023年1月30日に全戸完売したと発表した。
再開発が計画されている「天神ビッグバン」内に位置する、天神エリアで38年ぶりの供給。同社は人気の要因として、①天神エリアを徒歩圏で楽しめる希少な立地と、2026年に再整備が完了する須崎公園に隣接する緑豊かな住環境②外観フォルム・デザインのほかスカイラウンジ、ゲストルームなどの共用施設や多彩なプランをあげている。
物件は、福岡市地下鉄空港線天神駅から徒歩7分、福岡市中央区天神5丁目に位置する23階建て全153戸。専有面積は37.05~142.99㎡。竣工予定は2024年2月中旬。設計・監理はデベロップデザイン一級建築士事務所。施工は大豊建設。
エントランス
モデルルーム
モデルルーム
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この物件については、2022年3月に見学取材し記事にもしているのでそちらを参照していただきたい。坪単価は書かないという約束だが、坪520万円の大和ハウス工業「プレミスト大濠2丁目」に抜かれるまでは福岡市エリア最高値だった。富裕層の財布の紐を緩めさせる見本のようなマンションだ。
福岡の最高峰 第1期100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15)
坪単価520万円でも人気 最終分譲へ 大和ハウス「プレミスト大濠2丁目」(2022/11/1)
2024年度着工から全てZEH-M仕様マンションに 大和ハウス工業
大和ハウス工業は2月3日、2024年度以降に着工するすべての新築分譲マンション「プレミスト」をZEH-M仕様にすると発表した。同社は、2022年5月に公表した「第7次中期経営計画」で、2026年度に分譲マンションのZEH-M比率を100%にする目標を掲げているが、その開発・販売態勢が整ったことから、2年前倒しして採用するもの。
同社は2018年からZEH-M仕様マンションの開発を開始しており、これまで全国で15物件を竣工。全体に占める割合は2022年度には76%(予定)に達している。
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同社のZEH-Mマンション比率が2022年度で76%(予定)に達していることなど全然知らなかった。知らなかったのは、首都圏での物件は「プレミスト平和台」(2021年竣工)しかないのも理由の一つだ。この物件は最高に素晴らしかった。コロナが怖く、恐る恐る取材したのを思い出す。
首都圏で供給されているマンションのZEH-M比率はどれくらいだろうか。20%もないはずだ。圧倒的少数なので、このZEH-Mのよさを消費者も知らないだろうし(記者が取材した約30物件はほとんど完成までに売れているはずだ)、ZEH-M仕様でなくとも販売面でマイナスにはならないだろうが、数年後には当たり前になる。そうでないと消費者から見放される。根雪のように残る。
その意味で、同社は一歩先に出た。主要な住宅・不動産業界では、ほぼ100%近いと思われるオリックスグループや積水ハウスなどとともにトップクラスではないか。住友不動産も2021年9月、同社が分譲するすべてのマンションをZEH-M仕様にすると発表している。
「3億円のマンション」村上選手の誕生日に鍵の贈呈式 オープンハウス
「3億円のマンション」鍵の贈呈式
東京ヤクルトスワローズのトップスポンサーであるオープンハウスグループは2月2日、ヤクルト村上宗隆選手にプレゼントする「3億円の家」は「3億円のマンション」に決定し、鍵の授与式を行ったと発表した。「3億円のマンション」の詳細は公費要されていない。
この企画は、村上選手が2022年シーズン最終戦で本塁打日本記録を塗り替える56号を放ち、史上最年少での三冠王を獲得した偉業を称えるもの。当初は1億円としていたが、荒井正昭社長の一声で一挙に3億円に引き上げられた。
2月2日は村上選手の23歳の誕生日であることから、同社からスペシャルケーキも贈呈された。
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記者は昨年10月の記事で、「3億円の家」は同社の分譲マンションには該当する物件がなく、戸建ての可能性大と買いたが予想は外れた。
戸建てならこの価格帯の物件は都内ならたくさんあるだろうが、庭があれば草取りが大変だし、ファンに押しかけられたりしたら隣近所に迷惑もかかる。同社が土地を購入して注文もあるだろうが、これとて管理、防犯面の課題は残る。村上選手が難色を記したのか。
マンションだって防犯面の課題はあるが、戸建てほどではない。しかし、都心部にたくさん供給されている高額マンションを同社が買い取るなり仲介して村上選手にプレゼントするとは考えられない。となると、同社の自社分譲ということになるが、現段階ではそれが見当たらない。
ホームページで探したら、目黒駅から徒歩8分の「オープンレジデンシア目黒コート」28戸がヒットした。しかし、最大の専有面積は63.42㎡なので、一人で住むには十分だが、価格は坪750万円としても価格は1億4,000万円だ。設計変更して2戸を1戸にする手はありそうだ。
さらにまた、小田急小田原線・京王井の頭線下北沢駅から徒歩5分の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率150%)に位置する「オープンレジデンシア下北沢」18戸もある。こちらも最大専有面積は74.91㎡。坪単価750万円としても価格は約1億7,000万円。2戸を1戸にしたら予算はオーバーする。
このほか、現段階では村上選手がほしがるような物件は見当たらない。今後供給する物件になるのだろうか。その噂が流れたら購入希望者が殺到…そうなれば予定価格を引き上げて3億円を回収できることになりそうだが…。
いずれにしろ、村上選手は多額の所得税を支払うことになりそうだが、今期年俸は6億円とか。痛くもかゆくもないか。人に貸す手も考えられるが、それではオープンハウスに失礼だ。お金持ちにはお金持ちの悩みはあるものだ。まだ23歳ですぞ。
オープンハウスも広告宣伝費と考えたら安いものだ。
スペシャルケーキ贈呈式
村上選手「3億円の家」プレゼント 現段階で未定 戸建ての可能性大 オープンハウス(2022/10/10)
初台駅に近接の約4.6ha 住宅は約3,200戸 野村不など4社 再開発組合設立
再開発エリア(左側が「新国立劇場」)
野村不動産、住友商事、東京建物、首都圏不燃建築公社の4社は2月2日、参加組合員として事業参画している「西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発事業」の市街地再開発組合を2月1日に設立したと発表した。
プロジェクトは、JR新宿駅と京王新線初台駅の間に位置する事業面積約4.6ha。「新国立劇場」に近接。総戸数約3,200戸の大規模集合住宅を整備するほか、駅方面の歩行者デッキ、4,500㎡の広場などを整備する。2031年の竣工を目指す。
「社員が明るくなった」川畑社長 旭化成ホームズ オフィスを全面リニューアル
グループ会社を含め社員の連携を生む共用エリア
旭化成ホームズは2月1日、神保町本社オフィスを全面リニューアルしたのに伴うメディア向け見学会を行った。2022年に策定した中期経営計画「2030年のあるべき姿Vision for 2030」の柱の一つである「働く人が輝くHappiness Company」を実現する施策の一つで、今年から在宅勤務、フレックスを織り交ぜ、オフィスはペーパーレス、フリーアドレスとするなどデジタル社会に対応した働き方にシフトチェンジした。
新オフィスは、業務内容に応じて最適な場所を選択するワークスタイルを想定し、ワークスペースはA集中作業スペース、B Phoneブース、C ベースワークスペース、D コラボレーションスペース、Eプロジェクトスペース、F会議室の6つに設定。
同社代表取締役社長・川畑文俊氏は「2030年のあるべき姿からバックキャスティングしたもので、ビジョンが掲げる①お客様から、社会から必要とされるEssential Company②住まいを創る会社から人生を創るLife Design Company③働く人が輝くHappiness Companyの3つの柱のうちの一つを具体化するもの。生産性の向上、グループ会社間の連携強化、社員エンゲージメントの向上につなげていく。席は2割から8割、平均5割を想定している。リニューアルして社員みんなが明るくなったように思う」「各社の役員が同じフロアにいるので、様々な事案を即決できる効果が生まれている」などと語った。
設計・監理・施工を担当したイトーキの営業本部執行役員法人営業統括部長・国領隆氏は「当社は空間設計の提案に力を入れており、今回のオフィスは川畑社長の2030年を想定した熱い思いによって実現した。社員のみなさんには魂を込めていただきたい」と挨拶した。
オフィスは、東京メトロ・都営新宿線神保町駅徒歩1分の千代田区神田神保町1丁目に位置する神保町三井ビルディング4~7階、延べ床面積は約9,547㎡。勤務人員は約1,200名。
川畑氏
概念図(青がA、濃い青がB、紫がC、黄色がD、ピンクがE、赤がF)
Library(ライブラリー)
Phoneブース
ベースワークスペース(小生のようなタバコの臭いがし、キーボードを叩かないと記事が書けず、声が大きい嫌われ者の居場所はあるのか。タバコを吸いなから記事の校閲と思索にふけるために1時間に1度は離籍したらAIに追尾されるのか)
Multi Sofa
◇ ◆ ◇
見学会では、無垢のテーブルと本革の椅子を備えた定員38名の同時通訳室付き大会議室や、「当社らしく華美ではありませんが」(担当者)という足がすくみそうな立派な応接室から、150円から200円のスナック菓子やチョコレートも備えられているCaféスペースまで公開された。
社員が執務中なので写真撮影はできず、声を掛けることはできなかったが、一つひとつのブースはフムフムと納得できるものばかりだった。社長室を見たかったのだが、役員室も含め不可だった。
何が嬉しかったかといえば、RBA野球史最強のチームの象徴である川畑社長が元気だったことだ。コロナの影響か、心なしかお尻の肉が落ちたように思ったが、体形はきりりと締まりスリムになっていた。
読者の皆さんはご存じないかもしれないが、45年間業界を取材してきて、川畑氏ほど立派(主に体格)な方はいない。頼もしい限りだ。相撲を取ったら、短躯頑健そのものの野村不動産の沓掛英二会長に投げ飛ばされるかもしれないが、柔道なら寝技に持ち込み失神させるはずで、ラグビーなら神戸製鋼ラグビー部出身の大和ハウス工業の芳井敬一社長のタックルなどものともせず、引きずったまま牛歩の歩みでトライするはずだ。
そして、控えめに語った「みんな明るくなったように思う」-このフレーズに、リニューアルが半ば成功したことを記者は悟った。
しかし、課題も見つかった。取材の会場にあてられていた6階のStadiumオフィスに入った途端、フェイクの観葉植物が目に飛び込んできた。ここだけかと思ったら、案内された役員フロアの7階を始め4階、6階もすべて緑はケミカル製品だった。
「パーク」(駐車場ではないはず)「パーゴラ」「オリーブ」「ミモザ」などと名つけられたスペースもカラーリングは「調」だった。
リニューアル工事を担当したイトーキの方に聞いたら「われわれが設えたのは全てフェイク。コストもあるが、管理が大変なので…」と話した。「これは書かざるをえません」と川畑社長に直訴もした。川畑社長は「貴重なご意見ありがとうございます。バージョンアップしていきます」と話した。いつかきっと改善されるだろう。
フレーム間仕切り(pergola)
大和ハウス工業のマンションモデルルームの天井に飾られていた本物のポトス
オフィスの観葉植物を定期的に点検する業者から枝葉をタダでもらってペットボトルに入れて育てたポトス。5年以上たつが育ち続けている
〝毒をもって毒を制す〟(季節にはドクダミなどを活ける。小生の記事は時には毒を放つが、ドクダミは周囲に香しい毒をまき散らし、加齢臭も消してくれる)
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