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原告側弁護士の千葉恵子氏(左)と淵脇みどり氏(裁判後の日比谷図書館での集会で)

 いわゆる東京オリンピック選手村裁判【事件番号 平成29年(行ウ)第388号】の第8回口頭弁論が1月17日、東京地裁で行われ、被告側の東京都は、原告側主張の裏付けとなっている桝本鑑定士による鑑定評価の問題点の指摘や、開発法に基づく鑑定手法の正当性を盛り込んだ厚さ数センチに及ぶ書面を提出。「論点、争点は明らかになったはず。一日も早く結審していただきたい」と主張した。

 これに対して、都民ら原告側は「『廃棄した』とされる議事録を開示しない限り違法、不正の全貌は明らかにならない。人証申請も検討する」と反論した。

 裁判官は、「(原告側の)調査嘱託申し入れは(裁判に)なじまない。現時点で(裁判は)ズルズルと進んでいる。最終的にどのようにするか、(裁判が)五月雨式に進むことのないようにしていただきたい」と双方に注意を呼び掛けた。

 次回は6月12日、東京地裁419法廷で午後3時に行われることが決まった。

◇       ◆     ◇

 原告、被告の主張はどこまでいっても交わることのない平行線だ。いい加減、手打ちをしたほうがいいと思うが、双方ともその気は全くないようだ。このまままでは2020東京オリンピック開幕日の7月24日までに結審しそうもない。原告側は「会場に横断幕を掲げてやる」と息巻いている。

 争点となっている1:10もの開きがある双方の不動産鑑定評価額は、鑑定手法次第でそのようなものになるということであり、いくら論議しても合意に達することはなく、くんずほぐれつの泥試合となり、結局は裁判の長さだけ徒労感が募り、ぺんぺん草も生えない不毛の地を歩くことになるしかないと、右でも左でもないニュートラルの記者は思えてならないのだが、それぞれの立場だったらどうするか。

 まず。原告側。鑑定額の是非を問うのはもうやめる。いかようにもなることは分かったはずだ。不動産鑑定の権威を貶めたのは大きな成果だ。

 そんなことより、特約条項に盛り込まれている〝利益の山分け〟の不当性を徹底して突く。賭博のてら銭のようなやり取りを許していいのかを都民に問う。

 さらにまた、切り札があるとすれば、あの鳩山邦夫総務相の〝売却価格は安すぎる〟の一声で「かんぽの宿」の売買契約が白紙に戻ったように、政治力に頼ることだ。そんな影響力のある政治家がいるかどうかは知らないが…。

 次いで被告側。原告側が攻め立てる「情報開示」を真正面で受けとめ、堂々と詳らかにしてはどうか。痛くもない腹を探られるのは本意でないはずだ。

 そして、「特殊要因」をもっとアピールする。中央区の陸の孤島に4,000戸を超えるマンションを建設し、市場価格で売れるわけがないではないか。破格の価格で売却したのは、オリンピックを成功させるためであり、もはや取得が絶望的になった安価で良質マンションを都民に分譲することのどこが悪いのかを訴えるべきだ。

 ついでにもう一つ。記者は当初から〝レガシーマンション〟にするのなら、選手村に宿泊するアスリートのサイン、手形、足形、人拓(こんな言葉があるかどうかしらないが、つまり魚拓と一緒のようなもの)を残し、オークションにかけたら数億どころか数十億円の収入が得られるはずと主張してきたが、これはやろうとすればやれることが分かった。

 浅田真央さんや錦織圭さんのCMで知られるエアウィーヴの寝具が選手村の寝具に採用される。同社は何と、オリンピックに参加する選手の体重や体型、筋肉の付き方などを調べ上げ、18,000体の「個別仕様」ベッドを開発したのだそうだ。

 これをそのまま利用すれば、18,000体の人拓が完成する。わが国の金メダリストの人拓なら100万円以上の値がつくはずだし、平均50万円としても100億円近い金が転がり込むではないか。〝利益の山分け〟などというやくざの親分のような、あるいは一度は振った男に復縁を迫るような女々しい愚行を小池都知事は再選を目指すならやめたほうがいい。

◇       ◆     ◇

 この日、最高に盛り上がったのは、被告側男性弁護士が座ったまま裁判官の了解も得ずに発言した場面だ。これに対し、原告側女性弁護士は「座ったまま発言する態度は許せない」(〝そうだ!〟の野次)と息巻いた。

 記者は主にアメリカの法廷小説をよく読む。このようなシーンは度々登場する。裁判官は「法廷侮辱罪で退廷させる」と脅すのが普通だ。

 確かに座ったまま不規則発言をする弁護士は退場させてしかるべきだし、傍聴人に対しても注意を喚起すべきだ。(罵詈雑言の無法地帯となったら、それはそれで見ものだが)

黒白を付ける意味はあるのか オリンピック選手村裁判 双方の舌戦にうんざり(2019/9/18)

「かんぽの宿」売却問題について考える(2009/2/2)

カテゴリ: 2019年度

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「財界賞・経営者賞贈呈式」で喜びを語る岩沙氏パレスホテルで)

三井不動産会長・岩沙弘道氏が経済研究所の雑誌「財界」の「財界賞(第64回)」を受賞した。「財界賞」はグローバルに社会に貢献し、広く日本経済を牽引した経済人を対象に選ばれるもの。今回で64回目。1月17日行われた授賞には1,000名超が詰めかけた。

岩沙氏は授賞式で、「身に余る光栄。Jリート創設や都市再生の街づくりを評価されたことは無上の喜び。社長に就任した22年前の不動産市場は資産デフレの極みにあったが、ピンチはチャンスと捉え、健全な市場形成に取り組んだ。Jリート市場は今や64リートが上場し、資産総額は19兆円まで成長した。日本橋、柏の葉、ミッドタウン六本木などの課題解決型の都市再生街づくりも推進してきた。もはやデフレは脱却した」などと喜びを語った。

「財界」の主幹で財界研究所代表取締役・村田博文氏は「Jリートを立ち上げ、不動産と金融を融合させることで金融危機を乗り切り、〝残しながら、蘇らせながら、創っていく〟街づくりをされた」と岩沙氏を称えた。

授賞式ではこのほか、「財界賞特別賞」を受賞したJXTGホールディングス名誉顧問・渡文明氏、「経営者賞」を受賞した日本電気会長・遠藤信博氏、ANAホールディングス社長・片野坂真哉氏、ディー・エヌ・エー会長・南場智子氏、東海バネ工業顧問・渡辺良機氏、エアウィーヴ会長兼社長・高岡本州氏がそれぞれ喜びを語った。

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村田氏

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 記者は岩沙氏が同社社長に就任した1998年の就任会見でいっぺんにファンになった。出身地がわが三重県のとなり愛知県であることもさりながら、テノールに近い声は歯切れがよく美しく、「えー、あー」などの機能語をほとんど使わず所信を表明したからだ。〝この人は間違いなく三井と業界を変える〟と確信した。

 その後の岩沙氏の活躍は読者のみなさんもご存じのはずだ。記者がもっとも印象深いのは2001年(平成13年)の「六本木防衛庁跡地」の落札だった。同社など6社によるコンソーシアムを組み1,800億円で落札した。記者は入札日の半年前に「落札価格は1,750億円」と業界紙紙上で予測し、見事に的中させた。2位グループ以下とは確か400億円の差があったはずだ。

 そればかりでない。〝タイム イズ マネー〟だ。敷地内の埋蔵物発掘作業があったにも関わらず、6年後の2007年(平成19年)330日に開業してみせた。

 その後の「日本橋」「柏の葉」「豊洲」「芝浦」「川崎」などの面開発や「ららぽーと」などの商業施設開発でも他を圧倒した。〝機を見るに敏〟-この言葉にぴったりなのが岩沙氏だ。

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2020ミス・インターナショナル日本代表の寺内千穂さんと

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 授賞式後の懇親の場でも岩沙氏は他を圧した。他の受賞者にも多くの方が列をなしたが、岩沙氏の周りには、やや崩れかけた体形を覆い隠すのにぴったりの和服姿の日本橋の料亭女将然の方や才気煥発そのものの女子大の先生など、霊験にあやかろうとする女性が蝟集した。

 誰とでも分け隔てなく接するところが女性にも好かれるのだ。「岩沙さん、女性に持てるんですね」と声を掛けたら「いやいや、こういう日だからだよ」と満面に笑みを浮かべた。

 「財界」を創業したのはわが三重県尾鷲市出身の三鬼陽之助だ。

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「財界賞」は榊原・経団連会長 「経営者賞」に矢野・住林会長 後藤・西武HD社長など(2018/1/21

三井不動産・岩沙社長が経団連副会長に 八面六臂の活躍を期待(2008/2/1)

〝有言実行〟岩沙社長 目標達成に自信みせる(2007/5/10

カテゴリ: 2019年度

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「三井ガーデンホテル六本木プレミア」

 三井不動産・三井不動産ホテルマネジメントは、「三井ガーデンホテル六本木プレミア」を1月24日に開業する。六本木駅から徒歩5分の14階建て客室数257室で、グループホテル31施設目。開業に先立つ1月15日、メディア向け内覧会・試食会が行われた。アーティスティックなホテルだ。Studio Akane Moriyama 森山茜氏の2層吹き抜けのファブリックアートは圧巻。

 国内外で活躍する日本の建築家やアーティスト、デザイナーを集結し、国際都市・六本木に相応しい艶やかさと日本らしさを併せ持つデザインを表現しているのが最大の特徴。

 外観・外構は光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所、エントランス・ロビーはテキスタイルデザイナーStudio Akane Moriyama 森山茜氏の2層吹き抜けのファブリックアート、ラウンジはアーティスト言上真舟氏によるガラスアート、レストラン&バーはインテリアデザイナーGLAMOROUS co., ltd. 森田恭通氏…など。

 外観は木目調素材を多用し「折り」を演出したデザインで、ファブリックアートはアルミのコーティングを施した極薄のピンクの布を重ね合わせたもので、オーロラのような不思議な世界を表現。ガラスアートはシンデレラになったような気分にさせ、森田氏は「モダン・アールデコ」で魅了する。

 施設は、東京メトロ日比谷線六本木駅から徒歩5分、港区六本木3丁目に位置する14階建て全257室。客室面積は20.5~63.1㎡、平均客室面積はホテルシリーズのなかで最大の約27㎡。ルームチャージは2万円台から3万円台が中心。フィットネスジムが併設されている。

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エントランス

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ロビー

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ロビーアート

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客室廊下アート

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 いつもそうなのだが、同社は内覧会後に最上階14階のレストラン&バー「BALCÓN TOKYO」(バルコン・トーキョー)での試食会を行った。

 記者はシャンパンを一杯頂き、もう一杯と何か食べようと長蛇の列に並んだ。と、そのとき、スタッフの方が「これは美味しいですよ。『腰長エビ』。爪の先まですべて食べられます」と「腰長エビ」なる料理を運んできた。

 隣に並んでいたよく知っている若い女性記者は「手が長いんですか」と話しかけたのに、品性に欠ける記者はスタッフに向かって「あなたは手が早いでしょ。わたしは手も足も出ない」と口走っていた。するとそのスタッフは「うまい!」と応えた。

 この二人の絶妙なやり取りを分からないふりをしたのか、女性記者は全然反応しなかったのだが、「腰長エビ」は抜群にうまかった。そこでもう一皿頂き、ついでにシャンパンを立て続けに2杯飲んだ。いい気分で帰る頃には「腰長エビ」はなくなっていた。店長!山菜の女王「コシアブラ」も美味しいですぞ!

 それにしても、同社の広報担当は記者がお願いした取材の件はすっぱり忘れていたのに、シャンパンを3杯でなく4杯飲んだことをなぜ知っていたのだ!

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レストラン

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レストラン個室

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 この日は、ホテル取材の前にアキュラホームの「木のストロー」イベントを取材した。取材をし終え帰ろうとしたら、同社広報課長・杉山正純氏のスーツの襟元のいつも見るものとは異なるSDGsバッジが目に留まった。

 物欲しげな顔をしていたのを杉山氏は感知したのか、「これは当社オリジナルの木で作ったもの。売りものじゃありません。予備があります。内緒で上げます」とくれた。

 嬉しくなって舞い上がり、早速胸に付けホテル会場で胸を張ったのだが、誰も反応を示さなかった。同業の記者に〝この胸の威光が目に入らぬか〟とばかり見せびらかしたら「何? それ」とつれない返事しか返ってこなかった。〝あんたたちはモグリか〟と出かかったのを必死でこらえた。

 だが、しかし、さすがかみさんだ。ほろ酔い気分で家に帰ったら、コートを会社に忘れてきたのには気が付かないのに、バッジを目ざとく発見するや否や「何よ、それ、みっともない」と、玄関先でバッジを剥がしにかかった。

 剥がされてなるかと記者もすぐさま反撃に出た。ちょうドそのとき、不倫騒動から風向きが変わった小泉進次郎環境相のバッジを付けた姿がテレビ画面に映し出されたので、「ほら、小泉さんだって付けている。そんじょそこらにあるものとは違うんだ」とやり込めたつもりだが、「フン、国会議員先生じゃあるまいし」とまるで取り合わない。

 確かに、SDGsバッジは大きく、いかにもこれ見よがしの善意の押し売りのような嫌みを感じ、付けるのは免罪符のように思えなくもないのだが、記者だって17項目の目標のうち10項目くらいは貢献している。こうなったら意地でも付け続けてやる。

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杉山氏からもらったSDGsバッジ

カテゴリ: 2019年度

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津田氏

〝サラリーマン登山家〟津田三佐雄氏(72)が「サラリーマンと二足の草鞋を履いたとてつもない冒険野郎の軌跡と奇跡~5大陸最高峰に挑むと南極物語~」と題する講話を昨年末、OSI研究会(代表:篠原勲氏)の定例勉強会で行った。

「瑞宝中綬章」の受章者で齢85の明大名誉教授・百瀬恵夫氏をはじめ多くの参加者は、息つく暇もない生と死が紙一重の言語に絶する南極(難局)物語にあ然茫然するほかなく、話は1時間半にもわたったにもかかわらず、席を外す頻尿老人は一人としてなく異議を唱えるしわぶき一つ漏らさず、まるで氷原の南極に放り込まれて一瞬にして凍りつき、大人しく聞き入った。

津田氏は1948年生まれ。神奈川県小田原市出身。早大を卒業後、1971年富士フィルムに入社。「40歳以降は札幌、広島、中国、東京本社、医薬品製造の関連会社へと渡り歩き、本業のフィルムからはやや離れた辺境ばかり」(同氏)を歴任。2012年に退社した。

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登山の魅力・魔力にとり付かれたのは中学生の頃から。サラリーマンを続けながらヨーロッパアルプス最高峰のモンブラン(4,810m)、アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(5,895m)、北米大陸最高峰マッキンリー(6,194m)、南米大陸最高峰アコンカグア(6,959m)の登頂を40歳代までに成し遂げた。

 エベレストは何回かチャンスはあったものの、この時代会社の要職にありながら、2か月以上の長期休暇は許されず、ベースキャンプまで3回行くに留まっている。

 5大陸制覇を目指した南極大陸最高峰ビンソンマシフ(4,450m)への道のりは平たんではなかった。最初のトライは1993年。準備は着々と進んだが、富士山トレーニング中に靭帯を断裂。「登頂はできるかもしれないが、下りてこられない」と医師から忠告され断念。

チャレンジ2度目の2017年には、外国隊に参加を申し込んだが、言語や登攀スピードに不安を覚えまたも頓挫。

そして20188月の70歳のとき、「もう体力の限界。これが最後のチャンス」とばかり日本からの公募隊に応募、夢は実現した。メンバーは6名。他は4561歳の熟練者ばかり。津田氏は圧倒的な最年長者だった。

準備には万全を期した。装備は8,000mクラスのものを用意しなければならず、数十万円を掛け全て一新。低酸素室での訓練のほか、ほぼ毎日、ジムで標高差800mの登行、筋トレ、水泳(2,500m)を行った。

メルヴィルの「白鯨」が描いた厳しい自然にたじろぎながらチリ最南端のプンタアレナスを飛び立ったのは1226日。そして翌日の深夜1時、南極大陸の基地・ユニオングレッシャー(UG)に到着した。

それからベースキャンプ(2,100m)-ハイキャンプ(2,750m)-アタックキャンプ(3,750m)-頂上アタック(4,750m)-登頂目前での撤退までの9日間の生と死が紙一重、隣り合わせの想像を絶する過酷な体験談を津田氏はこともなげに語った。いかに南極が過酷であるかを次のように列挙した。

・飛行機はロシアの軍用機、好天の一瞬を狙って飛ぶ

・南極は雪原が広がるのではなく急峻な氷の山脈が連なっている

・ハイキャンプからアタックキャンプへは平均斜度は40度、最大斜度は45度の難所が立ちはだかる。    

・夜がない、音がない、臭いがない、色がない、変化がない

・吐く息は白くならない。液体物はすべて凍る。寝袋の中に抱いて寝る

・荷物は自身で約25キロ背負い、そりに約40キロ。ひたすら歩く

・排泄物、ごみはすべて持ち帰る(排泄物はあまり匂わないそうだ)

 頂上まで残り百数十mの地点で登攀を断念せざるを得なかったが、「登山の目的は登頂することではなく、無事に生還すること」を改めて学ぶことになる。「登頂はできたかもしれない。しかし左耳は感覚を全く失い、恐らく凍傷で切除せざるを得なかったであろう」とも語る。

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       ◆     ◇

 津田氏は、仕事では辺境(富士フィルムの今では基幹事業、しかし当時は周辺事業)をひたすら歩き、変狂(偏狂とは言わなかった)の軌跡(奇跡⇒鬼籍によくぞ入らなかった)を生々しく語った。

「植村直己さんが北米最高峰マッキンレー(現デナリ)で消息を絶った翌年(1985年)、我々はその頂きに立った。そしてその時リーダーであった和田昌平氏が、翌年冬季、南米最高峰アコンカグア南壁を登頂後、消息を絶った。翌年その奥さんの嘉代子さんを伴い、捜索を兼ねて登頂したが、昌平氏の姿を見つけ出すことはかなわず、頂上から離れようとしない彼女を下ろした。彼女は夫の亡霊に取りつくように、夫の登った山々の足跡を辿り始めた。そして1995年ヨーロッパアルプスのグランジョラス(4,208m)で悲劇が起きた。我々の目の前でパートナーとロープで結ばれたまま、岩壁を落ちていった。

 そして翌1996年、今度はグランジョラスで一緒だった岳友、難波康子がエベレストを登頂後遭難した。世界で二人目のセブンサミッターとなった直後の悲劇であった。この遭難は公募隊の功罪を問う事故として、話題を呼び、米国でベストセラーとなり映画化された」

自らも何度も奇跡的に危機を乗り越えた。2012年、エベレストのベースキャンプで突然尿閉塞に襲われた。ヘリで緊急搬送され一命をとりとめたときは、「1日遅れていたら死んでいた」と医者に言われたそうだ。

津田氏は登山の経験からサラリーマンとしての心構えについても言及した。

登頂成功の条件を3つ挙げた。

1)ベースキャンプをしっかり作ること

危機的状態にあっても、戻れるところがあれば再起を期すことができる。会社も個人も同じ。得意分野を持つことだ。

2)パートナーに対して常に自分の状況を伝えておくこと

ザイルを組んだ時からパートナーとは運命共同体だ。ヤバいと思ったら、背伸びせず、パートナーに伝えておけば救うことができる。上司と部下、先輩と後輩、友人、夫婦の間も同じだ。

  3)計画は戦略は楽観的に大胆に、戦術は最悪の事態を想定し、悲観的で緻密、細心であれ。これを逆にすると命を落とす。ビジネスも同じで必ず失敗する。

長期休暇の取得の手順についても語った。最初に了解を得るのは同僚で、次に取引先。外堀を固め、そして上司-社長だそうだ。有給休暇の範囲内であるにもかかわらず、7回の海外遠征の全てが社長決裁であったようだ。

 遠征の前後は無茶苦茶仕事をし、絶対行くという本気度を示し、殺し文句は「仕事の遅れは取り戻せるが、青春は取り戻せません」であったというと同時に「人は私のことを冒険家というが、山での1か月の冒険より、会社の長期休暇の取るまでの道程の方が、長く冒険的であった」という。

  全て周囲を固め同意を得たうえで、最後の難関壁は奥さん。しかし意外な言葉が返って来た。「わたしがダメと言ったらあなたはやめるの」「そういうのって、相談と言わない。宣言でしょ。だったら生きて帰って。死ぬときは捜索隊に迷惑(お金か)が掛からないようすぐ見つかるところで死んで」だという。津田氏は「何だかんだ言っても、死んだら残せるのは保険金だけ」と笑った(掛け金、保険金はいくらか話さなかった)。(サラリーマンはこれを見習うべき。順序を間違ってはいけない)。

しかし後で聞けば、1年前から準備し、そわそわしている姿を見ながら、薄々は「これは何か企んでる」とお見通しであった 奥さんもまたすごい。出掛ける時はいつもと変わらず「行ってらっしゃい」の一言で、決して不安を覗かせるような表情を浮かべず、玄関先か精々バス停までで、決して空港まで見送ることもなく送り出す。振り向きもしない。

「無理をしないでね」とは言うが、内心「無理をしないと山は登れない。しかし無茶はしない」といつも心に誓って出発したという。

そして帰還すると、全身を見渡し、真っ先に確認するのは身体のどこかが欠落・欠損していないかチェックが入るそうだ。

公募隊ついても津田氏は触れ、商業登山が蔓延し、技術が備わっていなくてもガイドが何とかするという安易な募集が遭難事故を起こすと問題点を指摘した。

最後にこれからの計画について語った。

2012年、64歳でリタイアを決意すると、再び冒険心が目覚めたという。体が動き、アドベンチャラスなことができるのは後10年、75歳までと心得「私の夢10年計画」を立てた。

   ヒマラヤ8,000m峰登頂がかなわなければ、14座全てのベースキャンプを巡る

   南極大陸最高峰ビンソンマシフ登頂

   ヨーロッパアルプスのオートルート(モンブランからマッターホルンまで)山スキーで滑走

   シルクロードからポルトガルロカ岬までユーラシア大陸を自転車で横断

   北極点到達

   7つの海をスキューバダイビングで泳ぐ

   宇宙ステーションから空に飛び出し星になる

 70歳を過ぎ、夢計画のほぼ半分を達成したというが、まだまだ挑戦は続く。

 最後に齢85の百瀬氏から質問が飛んだ。「あなたはいくつまで生きるつもりか」

 津田氏の答えは「明日死んでもいいと思って今日を生き、永遠に生きると思って今日も学びたい」

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篠原氏

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百瀬氏

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芳井氏(アルカディア市ヶ谷で)

 プレパブ建築協会は1月15日、令和2年新年賀詞交歓会を行った。約480名が参加した。

 冒頭、芳井敬一会長(大和ハウス工業社長)は、「年頭に当たり3点ほどお話ししたい」とし、「一つは、仮設住宅のお礼。台風15号、19号などで多くの被害を受けた長野県、宮城県、茨城県で313戸の応急仮設住宅を建設し、現在は埼玉県でも76床を3月末までに引き渡せるよう建設を進めている。協力いただいた関係者に感謝申し上げる。二つ目は、10月の消費増税に際して様々な対応策を講じていただいた。感謝申し上げる。幸い駆け込み需要は発生しなかったが、その後の新築着工は10%くらい落ち込んでいる。新たな対応策をお願いするかもしれない。三つ目は優良なストック住宅の普及促進について。わが国には耐震性に問題がある住宅は900万戸、省エネに問題がある住宅は2,200万戸もある。当協会としてリフォーム・建て替えで対応し、レジリエンスの高い住宅を供給していく」と語った。

 また、自らの88歳の母親のことにも触れ、「おなかが痛い、足が痛いと言えば、両親や家族が撫でてくれた。痛いところに手を当てることから全てが始まる。自然災害の被害者対応も同じ。しっかり手当てしていく」と話した。

 来賓として出席した赤羽一嘉・国土交通大臣は、同協会の迅速な仮設住宅建設対応に謝意を示し、質の高い住宅供給に対する支援策を講じていくと述べた。

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〝今年、どうするかって? 心身とも豊かだよ〟大和ハウス・樋口会長(右は芳井社長)

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〝社長、年を越すごとに成長されていますよね〟「変わらんよ」旭化成ホームズ川畑社長(「そんなこと言っても川畑は喜ばない。『痩せましたね』と言ったほうがいい」と同社関係者は忠告したが…)

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菰田氏(The Okura Tokyoで)

不動産協会(理事長:菰田正信・三井不動産代表取締役社長)と不動産流通経営協会(理事長:山代裕彦・三井不動産リアルティ代表取締役社長)の合同新年賀詞交歓会が1月8日、関係者ら約1,250名が参加して行われた。

冒頭、菰田理事長は次のように挨拶した。

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

昨年を振り返ってみますと、5月に新天皇が即位されて元号が変わり、令和の新たな時代の幕開けとなった年でした。日本初開催となったラグビーワールドカップでは、日本代表の躍進とともに大会も大成功を収め、日本の良さ、素晴らしさを世界に発信することができました。一方、一昨年に続いて台風や集中豪雨が相次いで発生し、自然災害が激甚化・常態化していることに改めて気づかされた年でもありました。10月には消費税率の引上げが実施されましたが、総じて大きな混乱を招くことはなく、不動産業界においても、政府による税制・予算措置が功を奏し、大きな駆け込み、反動減は見られませんでした。

さて、今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックイヤーとなります。日本の魅力を世界の人々に知っていただき、我が国のプレゼンスを高める絶好の機会です。不動産業界としても魅力的なまちづくりを通して、世界から来られた方々に日本の魅力を積極的に発信していきたいと思います。

振り返ってみますと、56年前の先のオリンピック・パラリンピックから日本の高度経済成長が始まりました。2020年は、既に先進国となり 成熟した日本が新しい成長を始めるスタートの年になるのではないでしょうか。

足元の我が国の経済は、ほぼ踊り場に近い状況にありますが、米中貿易摩擦や中国経済の減速懸念、それに加えて年明けに生じた米・イラン関係の緊張等といった地政学的なリスクが日本経済に与える影響などをしっかりと見極めていかなければいけないと考えております。

こうした中で、足元の不動産市場は今のところ堅調に推移しておりますが、一般経済情勢や金融マーケットの状況が大きく変化するような場合、あるいは地政学的リスクが顕在化するような場合には、不動産市場にも大きな影響があると認識しております。

一方、中長期的には、人口減少や少子高齢化が進行するとともに、AIIoT・ロボティクスなどを使ったデジタル・トランスフォーメーションが進むなど、不動産を取り巻く環境や都市のあり方も大きく変わってきております。

そうした変化や新しいニーズを的確に捉えたまちづくりを通して、新たな価値を創造し、持続可能な経済社会の実現に貢献していくことが、我々不動産業界に求められている役割であると認識しております。

当協会では、そうした観点から、税制および政策について、要望活動を積極的に進めております。先日決定された令和2年度与党税制改正大綱では、最重点要望であった「事業用資産の買換特例」について延長が認められました。また、「新築住宅の固定資産税の軽減特例」、「居住用財産の買換え・売却に伴う特例」、「国家戦略特区の特例」の延長をはじめ、当協会の主要な要望はすべて認めていただいております。経済の力強い成長に寄与する措置として大いに歓迎したいと思います。ご尽力いただいた先生方、関係の皆様方に、厚く御礼申し上げます。

都市政策につきましては、都市の国際競争力を高め、世界中から人材・企業・資金・情報を呼び込むためには、デジタル・トランスフォーメーションをまちづくりの中にスピード感を持って取り込み、まちづくりを通して様々な社会課題解決を行い、イノベーションや新しい産業が次々と生まれ続ける魅力的な都市づくりを行うことが必要であります。そのためには時代のニーズに対応し、都市の多様性を柔軟に受け入れる開発のあり方を検討していくことが重要です。

また、台風等の自然災害が激甚化・常態化している中、防災性能を高める取り組みも大切です。

住宅政策につきましては、多様なニーズに対応した質の高い住宅ストックを形成し、新たな住宅循環の環境を整備していくためには、既存住宅の活用だけでなく、性能の不十分なストックの更新を図るため、新規ストックの創出が重要です。こうしたことから、需給のミスマッチ解消に向けた多様な住宅ニーズへの対応や、マンション再生の一層の推進、優良な住宅ストックの維持保全・管理の推進が必要です。

環境への取り組みも引き続き重要です。近時の自然災害についても、地球レベルの気候変動に起因するものと考えられます。そうした中、不動産業環境実行計画のさらなる推進により、SDGsに掲げられた諸課題を解決するためのサステナブルなまちづくりに向けた取り組みを行うとともに、環境に関する規制の動きに適切に対応していきます。

その他、国際化への対応を進めるほか、事業環境の整備について、物流不動産やリゾートの開発なども対象として、幅広く取り組んでまいります。

当協会としては、国民の暮らしを豊かにするまちづくりや住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に向けて、貢献していきたいと考えております。

皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りし、また今年一年が皆様にとって明るく良い年となることを祈念申し上げて、新年の挨拶とさせていただきます。

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山代氏

 

乾杯の音頭を取った不動産流通経営協会(FRK)理事長・山代裕彦氏(三井不動産リアルティ代表取締役社長)は、「税制改正では様々な特例措置を講じていただき、また不動産流通市場の活性化につながる税制も盛り込まれた。10月の消費増税は、手厚い対応策もあり、マーケットはおおむね順調に推移した。底堅い一年であった。当協会は今年5月、創立50周年を迎える節目の年。ビジョン2030に示されたように業界が一段となってストック社会の実現に向け努力していく。消費者の信頼を得るため、最重要課題である情報の扱いに万全を期し安心・安全の取り引きを心掛けていく」と語った。

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オークラ プレステージタワーエントランスに飾られていた奥平清鳳氏作「苔松 苔梅 やぶ椿」(器は1辺が約2mの六角形で水盤付き)

第2次湾岸戦争? 「大丈夫」岩沙氏・沓掛氏 「分からん」吉田氏 不動産協会・FRK賀詞交歓会に1250名(2020/1/8)

 


 

 

 

 

カテゴリ: 2019年度

 統合型リゾート施設(IR)への日本参入を目指していた中国企業から現金を受け取った収賄容疑で昨年12月25日、東京地方検察庁特別捜査部に逮捕された‪前国土交通副大臣の秋元司氏から以下の封書が届いた。

 この度は、このような事態になり、ご心配ご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。

 しかし、私は、一切不正には関与しておりません。

 このことをしっかりと主張して参ります。

 しばらくは活動ができませんが、引き続き日本の元気のため、全力で働く気持ちに変わりはありません。

 変わらぬご指導よろしくお願いいたします。

 令和元年十二月二十五日

   衆議院議員 秋元 司

◇       ◆     ◇

 日付が昨年12月25日で、きれいな毛筆による印刷文書であることから類推して、封書は本人の意向を受け、議員秘書らが代筆・代行したものと思われる。

 記者は、秋元氏が国土交通副大臣を務めていたとき、不動産協会のイベント会場で名前が同じ「司」なので名刺交換をした。「頑張ってください」とも伝えた。

 まさか、その「司」さんが逮捕されるとは…。「司」さんに悪人はいないはずだ。無実を証明していただきたい。

 個人的にはIRに賛成だ。お金持ちがIRで浪費、散財するのは大歓迎。

 

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会場となったThe Okura Tokyo オークラ プレステージタワーエントランスに飾られていた奥平清鳳氏作「苔松 苔梅 やぶ椿」(器は1辺が約2mの六角形で水盤付き) 

 不動産協会(理事長:菰田正信・三井不動産代表取締役社長)と不動産流通経営協会(理事長:山代裕彦・三井不動産リアルティ代表取締役社長)の合同新年賀詞交歓会が1月8日、関係者ら約1,250名が参加して行われた。以下、会場で拾った声を紹介します。順不同。

(双方の理事長の挨拶はもうしばらくお待ちください)

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樋口氏

 大和ハウス工業取締役会長・樋口武男氏 (会長、今年はどのような年になるでしょうか)どない年になるかはあかん。どない年に持っていくか主体性を持つことが大事。(絶滅危惧種の関西弁を話す人が少なくなりました)平常心じゃ、アハハハハ

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岩沙氏(左)と沓掛氏

 三井不動産代表取締役会長・岩沙弘道氏&野村不動産ホールディングス代表取締役社長グループCEO会長・沓掛英二氏 (会長、財界賞受賞おめでとうございます)ああ、ありがとう(必ず駆け付けますので。いつでしたか)17日だよ(岩沙氏は、雑誌「財界」主催の令和元年「財界賞」の受賞が決まっており、1月17日に授賞式が行われる)

(お二人に、第2次湾岸戦争にはなりませんか)大丈夫(お二人とも)(SDGsのバッジを付けていらっしやいますが)これは経団連のバッジ。沓掛さんのは普通のバッジ(岩沙氏がつけているバッジはやや小さめ)バッジは昨年からほぼ役員全員がつけている。当社は投資家からの評価も高い(沓掛氏)

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押味氏

 鹿島建設代表取締役社長・押味至一氏 (鹿島のファンです。マンションの施工はどうですか)やりたいね。価格? まあまあ(確か、オリンピックが決まった後は「あまりやりたくない」と仰ったはず)

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タカラレーベンの出席者

 タカラレーベン代表取締役兼CEO兼社長執行役員・島田和一氏 (三菱地所レジデンスさんから譲り受けた「上尾」が大変な人気になりました)あれは昨年のもっともよく売れたマンション。わたしが話を付けた? いや、手島の手柄(取締役兼専務執行役員・手島芳貴氏)。都心部は土地が買えないから郊外と地方で頑張る(記事参照)

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大栗氏(左)と島田氏

 長谷工コーポレーション代表取締役会長・大栗育夫氏 (今年のマンションの価格はどうなりますか) 坪単価? 安くはならないが、努力して抑える。(久光さんが亡くなられました)そう。残念。まあ、好きなこと(スキューバダイビング)してだから…

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高木氏

 コスモスイニシア代表取締役社長・高木嘉幸 いつも言っていることですが〝新しい価値を創造する企業〟-それが当社

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 三菱地所代表執行役執行役社長・吉田淳一氏 (昨年は業界でもっとも目立った活躍をされました)いやいや、心配事ばかりだよ…世界情勢とか(第2次湾岸戦争にはなりませんか)全く分からない

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脇氏

 三菱地所レジデンス代表取締役社長執行役員・脇英美氏 (「北千住」は残り1戸、「本厚木」も残り10戸程度とか。笑いが止まらいのでは)ワハハハハ

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浜中氏

 大成有楽不動産代表取締役社長・浜中裕之氏 (「中野」のマンションが素晴らしい)繁華街の中だから工事車両などを入れるのが大変なんだよ(「築地」は大儲けでは)契約が済んだとはいえまだ完成していないからお金はこれからだよ

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斎藤氏

 三菱地所リアルエステートサービス副社長執行役員・斎藤哲二郎氏 RBAの野球部は強くなったでしょ。今年も頑張ります

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左から前氏、高橋氏、野間口氏

 JR西日本プロパティーズ常務執行役員・高橋直見氏 (首都圏でのマンションが増加していますが、今後は年間1000戸では)地方を含めてもそこまでは。+αを目指す。野球? 話は聞いている義積とか(そう、名前は私と一緒の「司」ちゃん。ほら、前さんだって「司」が付いているでしょ。アハハハハ)「仲町台」はいいですよ(執行役員不動産開発部長・前久司氏)

記者が選んだ2019年「話題のマンション」28物件(21~28)

記者が選んだ2019年「話題のマンション」28物件(11~20)

記者が選んだ2019年「話題のマンション」28物件(1~10)

2019年ベスト3マンション 三井他「晴海」地所「北千住」大和レジ「上大岡」

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久光龍彦氏(2018年6月撮影)

長谷工コーポレーションの専務から長谷工不動産、長谷工アーベスト、長谷工コミュニティの社長を歴任したマンションのコンサルティング・設計会社のトータルブレイン代表取締役社長・久光龍彦氏が昨年1229日、死去した。享年79歳。葬儀、告別式は家族親族のみで執り行われた。後日、「お別れの会」を開催する予定。

問い合わせは同社03-5575-7761

            ◆     ◇

マンションの川上から川下まで知り尽くしている不動産業界の名物男が逝った。年の初めにこれほどつらい訃報記事を書くことになるなんて。

敢えて久光さんと呼ばせていただく。

記者には不動産業界の恩人が三人いる。久光さんはそのうちの一人だ。お付き合いをさせていただくようになったのは、長谷川工務店(当時)が分譲した1987年竣工の「モアクレスト西台」(181戸)がきっかけだった。それまでの〝コンバス〟から脱却した第一号マンションだ。

それまでの同社の「コンバス」については徹底して批判を加えた。〝20坪(66㎡)がどうして広めの3LDKなのか〟と赤坂の本社にねじ込んだこともあった。もう時効だから書くが、昭和60年の頃か、勤務していた業界紙の営業部長から「長谷工さんから広告が出るようになった。だから批判記事を書くな」と言われたこともあった。「モアクレスト」が分譲されたのはそれからしばらくたってからだった。

分譲開始は昭和622月。第179戸が最高72倍、平均27.0倍で即日完売した。引き続いて4月に分譲された第289戸も最高84倍、平均26.5倍の競争倍率で即完した。ワイドスパンの71㎡プランや、LDK18畳大で主寝室が7.9畳大のプランなどがヒットした。当時の新聞広告に掲載されたプランを見て驚愕したのを覚えている。

その後は、長谷工不動産のマンションや長谷工アーベストの販売手法などについてたくさん取材した。記者が前職を退いたときも、久光さんからは生活面の援助と貴重なアドバイスを頂いた。いま記者があるのはそのお陰だ。

 20176月、記者の質問に対して久光さんは次のように語った。

「わたしが長谷工不動産の社長に就任し、コンバスから脱却しようと社運をかけたのが『モアクレスト』でした。第一弾の『西台』はよく覚えています」

 トータルブレインを立ち上げられてからは年に1、2回はお会いしてマンション市況についての記事を書いた。最近は他のメディアもよく取り上げるので、記者の出る幕ではないと判断し、お声が掛る以外はお会いしていない。昨年の夏ごろだったか、久光さんが行きつけの料亭でいつものように奢ってもらったのが最後となってしまった。

 今年の年賀状には「会長」の肩書で「お元気でご活躍のことと存じます」の手書きの文章が添えられていた。以前は、小さな字でびっしりマンション市況や商品企画などについて書かれていた。

 年が明け、早速、1月1日付の会長就任と新しい社長に就任された佐々木睦氏を訪ね、副社長に就任された杉原禎之氏や専務の井上文孝氏などと一緒に記念の写真でも撮り、記事にしようと電話したら、秘書の方から訃報を知らされた。

 久光さん、不義理をお許しください。もう涙が出て止まらない。なんでなんで…。

合掌

◇      ◆     ◇

 関係者の話から、久光さんの死因らしきものが分かった。死亡したのは、フィリピンのルソン島とミンダナオ島にはさまれたビザヤ諸島にあるボラカイ島で趣味のスキューバダイビングを終え、装備を解き、はしごで船に上がるときに倒れたそうだ。クルーが人工呼吸などを施したがそのまま息を引き取られたという。検視などは行われなかったそうで、状況からすれば心不全と思われる。

 記者も病死ではないと思っていた。お会いするといつも〝潜り〟の話になった。どれほど好きだったか、4年前にインタビューしたときの記事を添付する。

 〝もぐり〟はスキューバダイビングのことだ。空気を詰めたタンクを使って海の中にもぐるスポーツだ。「とにかく珊瑚も魚が美しい」と魅入られたのだそうだ。

 久光氏が九死に一生、奇跡の生還を遂げたのが2004年12月26日早朝、インドネシア・スマトラ島沖で起きたマグニチュード9.1の大地震だった。死者は約26万人に達した。

 この日、久光氏はタイの観光地プーケット沖で潜っていた。地震が起きたときも全く気が付かず、ホテルに戻って初めて大惨事を目の当たりにした。3階建てのホテルは2階まで壊滅状態で、1階に預けていた財布などもさらわれていた。

 奇跡は本人だけではない。「旅行は女房も一緒で、普段女房は部屋にいるかビーチに出て本でも読んでいるのですが、この日に限って大きなクルーザーだったので一緒に乗ることになった。女房が一緒でなかったらと思うとぞっとする」と当時を振り返る。

 着の身着のまま、ビーチサンダル履きで29日に帰国した際、真っ先に久光氏のインタビュー姿がNHKのテレビに映し出された。

 このニュースで久光氏が奇跡の生還を遂げたことを知った業界人は多いはずだ。「夜の7時のニュースで私のことが伝わると、『奥さんは大丈夫か』という連絡がたくさんありましたが、女房は(カメラクルーから)とっさに逃げましてね、映らなかったんです」

 この惨事で懲りたのかと思いいきや、そうではない。その後もずっと潜っている。

 「わたしは暖かいところしか潜りません。夏の沖縄とか台湾、パラオ、サイパン、インドネシア、プーケットなどです。この20年間で980本潜りました。1本とはボンベのことですが、ダイバーは潜るごとに記録につけるんです。それが今年で1,000本になるんです。リゾートばかりで1,000本という人はそういないはずです。時間と体力とカネが必要なスポーツですから。この三拍子はなかなか揃わない。

 1,000本記念のTシャツも用意してます。達成したら仲間にサインをもらうんです。寝室には300本達成以降の100本単位のTシャツを飾っているんです」

 「ゴルフはダイビングを始めるのと前後して止めましたね。ダイビングには女房も連れて行くから文句を言われない」

 -「住友不動産の安藤太郎さんは98歳までゴルフをやっていました。久光さんもそれくらい続けてほしい」と水を向けたら、安藤太郎さんの話になった。

 「安藤さんとは(長谷川工務店時代の)水上社長と(専務の)私とよくやりましてね、泉カントリーです。さすが安藤さんですね、平気で自分の都合のいいようにOBラインを変えるんです。しかも、ラウンドの前後一組を開けるんですよ。せっつかれることはまったくない」

 事故死であることが分かり、記者も少しは救われた。モンブラン(4810m)、キリマンジャロ(5895m)、マッキンリー(6194m)、アコンカグア(6959m)、南極大陸最高峰ビンソンマシフ(4750m)などを踏破、奇跡的に命を落とさなかった元富士フィルムのサラリーマン津田三佐雄氏(71歳)の話を聞いたばかりだ。海や山には人知を超えた魅力・魔力があるのだろう。

商品企画、販売手法見直して激変市場を乗り切れ トータルブレイン・久光龍彦氏(2018/6/26

「お蔵入りしたコンバスが亡霊のようによみがえった」 トータルブレイン久光社長(2017/6/7

「デフレ脱却絶望的。郊外マンション価格は下がらない」トータルブレイン・久光社長(2017/5/30

「共働き中心のマンション市場に激変」 トータルブレイン久光社長(2016/8/12

情報の十字路に立つ トータルブレイン・久光龍彦社長のアドバイス(2015/11/30

「利便性、資産性がこれほど重視される時代はない」 トータルブレイン久光社長(2014/8/28)

トータルブレイン・久光龍彦社長に今後のマンション市場を聞く供給量は6万5千戸前後 ブランド格差広がる(2007/10/1

「物件力のある新価格マンションは売れる」トータルブレイン久光龍彦社長が語る(上)(2007/1/23

 

 

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すてきナイスグループは1223日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の嫌疑があるとして証券取引監視委員会の強制調査と横浜地方検察庁の強制調査を受けた今年516日以降、初めてメディア向け説明会を開き、同社グループ経営推進本部副本部長兼広報部長・ 森隆士氏が約1時間にわたって「1220日時点における当社グループの置かれた状況について」説明した。

森氏は「来年の今頃には特定注意市場銘柄の指定解除がなされるようガバナンス、内部管理体制を強化していく」とし、〝新生〟ナイスグループの経営方針を来年124日に杉田理之社長が発表すると語った。

       ◆     ◇

 森氏の説明を細大漏らさずメモした。説明は①金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の嫌疑、刑事事件②金融商品取引法(有価証券報告書提出等)対応、上場廃止基準への対応③会社法対応④再発防止策の骨子の策定と実行⑤今後について-の5項目。

 そのほとんどはこれまで開示されたもので、真新しい「事実」の報告はなかったと思うが、「スマートウェルネス体感パビリオン」を今年12月いっぱいで閉館すると聞いたときは少なからず衝撃を受けた。

 パビリオンについて森氏は、開設してから4年以上経過し、来館者は約18,000人、学校関係者は約1,300人、海外からの視察は約250人に達し、「スマートウェルネスに関するデータの収集、知見を得ることができ、情報を発信してきた効果は果たせた。残念だが、当社の置かれた状況などを踏まえ閉館することを決めた。スマートウェルネスの取り組み自体は事業で継続して行っていく」と語った。

 添付した記事を読んで頂きたい。パビリオンの果たした役割はものすごく大きい。伊香賀俊治・慶大教授や学生さんたちは100本以上の論文が書けたのではないか。ナイスはほとんど独自の報告・情報発信を行ってこなかった。ここに〝儲けること〟が下手という問題はあるような気がするが。

       ◆     ◇

 説明会で最も関心があったのは、消費者の反応だった。同社グループの「BtoB」:「BtoC」の事業比率は7:3くらいだろうが、マンションや分譲戸建ての顧客が今回の事件で離れたら同社は持たないと思っていた。

 それを確認するためにも「新横浜」のマンションや「辻堂」の戸建てを見学した。これも記事を参照していただきたい。営業担当者は「お客さんへの影響はあまりない」と話したし、森氏も「影響は最小限にとどまっている。信頼回復へ向け健全な体制を再構築することに全力を注いでいく」と強調した。

 第2四半期決算数値からも消費者離れは最小限にとどまっていると読める。

       ◆     ◇

 もう一つの関心事は、平田恒一郎元会長と日暮清元副会長の去就と同社の対応だった。これまでの開示情報からして同社が平田家と「決別」するのは分からないわけではないが、〝どぶに落ちた犬を叩く〟ようなことはしてほしくないと思っている。

 いま平田氏と日暮氏がどこに収監されているか分からないが、だれか記者の以下の想いを伝えてはくれないか。

 平田さん、貴殿が幹部に「ワイシャツは白」「役員は喫煙禁止」「ゴルフ禁止」などと指示するのはやりすぎだと思うが、嫌疑理由はただただ株主や社員や取引先のことをおもんばかり〝赤字〟を出すことに恐怖を抱いた結果の〝嘘〟であり、私利私欲に走ったわけではなく、反社と関わったわけでもなく、あるいはまた酔っ払った女性をホテルに連れ込み、人倫にもとる「不倫」を棚上げにし「犯罪行為をしていない」とうそぶく元ジャーナリストの類ではもちろんないはずだ。

すっぱりと罪を認めれば執行猶予付きになるのではないか。保有株をどこかの恵まれない団体にでも寄付すれば、「前科者」のレッテルを木っ端みじんに吹き飛ばし、「木造ゼネコン」の生みの親として圧倒的支持を得るのではないか。日暮氏も同様だ。悪人には全く見えない。

 それにしても、経営者はどうしてそんなに〝赤〟が怖いのか。この日(23日)あとで取材したさいたま市役所に飾ってあった浦和レッズのユニフォームは真っ赤だし、「赤ヘル」広島は女性の支持をじわじわと拡大している。デベロッパーは〝丘に住まう〟などと〝手垢〟にまみれた宣伝文句でもってユーザーを誘惑しているではないか。記者は赤いトマトが大好きだし、吸うのは赤キャビンだ。思想的にもどちらかといえば〝アカ〟だ。赤がどうした。

ナイス 免震「新横浜」 好調スタート 第一期35戸完売へ(2019/10/31)

※その後10戸を追加供給し、これも売れたようだ。

ナイス 分譲戸建て・建築条件付土地分譲「湘南辻堂」 好調な売れ行き(2019/10/21)

平田元会長の独断専行が粉飾決算招く 住宅事業伸ばせ すてきナイス再生に期待(2019/7/27

すてきナイス 三井、野村と肩を並べた分譲戸建て これからが正念場(2017/6/3

内装木質化は熟睡長く、知的労働も向上 慶大・伊香賀教授が実証(2016/3/22

ナイス 環境・健康が学べるパビリオン 「木造のよさ医学的に証明する」平田社長(2015/10/29

 

 

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