ベトナム・ハイフォンで1,550戸の大規模開発 設計は隈研吾氏 野村不動産など
「Vu Yen(ヴーイェン) プロジェクト(Royal Island)」
野村不動産、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)、東神開発、大成建設は6月25日、ベトナム・ハイフォン市で敷地面積約23.9ha、1,550戸の住宅などを整備する大規模都市開発事業に参画したと発表した。商品設計に隈研吾氏を起用した。
同国最大手不動産デベロッパーVinhomes社が推進する「Vu Yen(ヴーイェン) プロジェクト(Royal Island)」の一つで、連棟住宅(タウンハウス)のほか、2戸連棟住宅(セミデタッチドヴィラ)、戸建住宅(ヴィラ)の開発を予定している。
設計に隈研吾氏を起用し、川に囲まれた島というロケーションを活かし、「自然との調和」をテーマとした商品設計を行った。
隈氏は、「これまでに世界30か国以上での建築を手掛けてきたが、今回のプロジェクトは、川の中に自然の島があるという奇跡のようなロケーションから見てもこれまでにないユニークなものになると考えている。このような世界でもあまり例がない特別なプロジェクトに参加することができ、とても光栄に思う。川の流れ、緑の木々、その中でさえずる鳥たちなど、『自然との調和』の象徴となるようなプロジェクトとなるだろう」とコメントを寄せている。
横浜美術大学へ木糸50㎏を無償提供 ナイス
左からナイス田部博取締役、横浜美術大学加藤良次学長、横浜美術大学高瀬ゆり教授
ナイスは6月26日、間伐材などを原料とする「木糸(もくいと)」50㎏をトキワ松学園横浜美術大学へ無償提供したと発表した。木材利用の普及啓発や学生による作品制作などの実践的な学習を支援するのが目的。
「木糸」は、神奈川県厚木市に保有する社有林「ナイス丹沢の森」から伐採された間伐材の利活用を推進する「ナイス丹沢の森プロジェクト」の一環で、間伐材のうち建材などに使用できない未利用材や端材から制作したもの。
環境に優しい素材として、同大学のテキスタイルデザインコースを担当する高瀬ゆり主任教授が着目したことから、今回の無償提供となった。今後、有志の学生により、制作物のアイデア出しやサンプル制作が行われる予定。また、同社が今年11 月 27 日、28 日の二日間にわたりパシフィコ横浜で開催する大規模展示会「木と暮らしの博覧会」に制作物の発表を予定している。
能登半島地震による1,111棟の被害はゼロ 持家に占めるシェアは過去最高 2×4協会
池田氏
日本ツーバイフォー建築協会(会長:池田明・三井ホーム代表取締役社長)は6月13日、定時総会後に記者会見を行い、能登半島地震では地盤崩壊、液状化を除く強震変形による2×4住宅の被害は全壊、半壊、一部損壊ともゼロであったことを報告し、厳しい状況が続く住宅着工でも健闘しており、持家におけるシェアは20年前の約2倍、12.9%となり過去最高を更新したと発表した。池田会長は次のように述べた。
先の能登半島地震では大きな被害が発生したが、一方で2×4住宅については、当協会会員の独自調査(6社1,120棟)によると、震度6弱以上の地域では地盤崩壊と液状化を除いた強震変形による被害は1,111棟のうち全壊、半壊、一部損壊ともゼロという結果になった。改めて2×4住宅の優れた耐震性を確信するとともに、今後とも2×4住宅の供給を通じて、安全・安心な住まいを広める責務を果たしていく。
2023年度の住宅着工戸数は約86万戸で前年度比7%減少となった。特に持家は4月までの集計で29か月連続して前年同月比マイナスとなっており、大変厳しい状況が続いている。
一方、2×4住宅の着工は91,647戸で、対前年度比横ばい、全住宅着工に占めるシェアは11.5%、前年度に比べ0.8ポイント増加した。また2×4住宅の持家シェアは年々増加しており、20年前の6%から昨年度は約2倍の12.9%となり過去最高を更新した。ユーザーの皆様に支持されていると考えている。
住宅用途以外の2×4設計、建築についても、当協会の調査によると着工件数は前年度比7%増加した。性能面の高さに加え、生産性、施工性の高さ、木の建築として環境にやさしいことなどが評価されている。引き続き2×4による中高層、大規模建築の建築を強く推進していく。
また、今年度は2×4工法オープン化50周年に当たる。本日の講演会やポスターの制作など周辺事業を順次進めていく。
カーボンニュートラルの実現を目指すわが国において、建設時や建物維持におけるCO2排出量が少ない木造建築である2×4建築の供給を通じて、脱炭素社会の実現に貢献することを重要な使命と考え、引き続き普及発展に努めていく。
◇ ◆ ◇
質疑応答では、持家着工戸数の減少が続いていることに対する質問が相次いだ。これに対して、池田会長、副会長の蓮井美津夫氏(イワクラホーム代表取締役社長)、倉田俊行氏(ウイング代表取締役社長)、細谷惣一郎氏(三菱地所ホーム代表取締役社長)は、土地、資材、物価高などによる一次取得層の取得環境の悪化、コロナ禍による価値観の変化、資産性、コストパフォーマンス(コスパ)を重視する最近の傾向などが背景にあると答えた。
この種の質疑応答は、意見を言う場ではないので記者は黙って聞いていた。持家の着工減は繰り返し質問が飛び、同じような答えが返ってくる。もう聞き飽きた。耳にたこができるくらいだ。
しかし、どことは言わないが、厳しい環境下でも業績を伸ばしている会社はある。持家はアッパーミドル、富裕層にターゲットを切り替えるとか、持家がだめなら貸家、分譲にシフトしたり、他の事業を伸ばしたりするなど対応策はあるはずだ。
もう一つ、これは2×4協会だけではなくプレハブ建築協会、日本木造住宅産業協会などの会合・記者会見でも感じるのだが、どこも基本性能やコスト、工期、環境性能などしか話題に上らない。木造でいえば、鉄やコンクリとの比較だ。性質、特徴が異なるのに比較してどうなる。
記者は違った見方をしている。それは何よりも「住宅」と不可分な外構=みどりだ。しつこいほど「みどり」について記事を書いてきた。高級住宅地やポテンシャルの高い街は間違いなく「みどり」が豊かだ。ぺんぺん草も生えない狭小で貧しい住宅が隠花植物のようにはびこっているのに、みどり環境について質問する記者などいないし、主催者側も話さない。資産性=駅からの距離に矮小化する論議に辟易している。
先月、三鷹市の任意団体・ミライアクションみたかが主催した講演会で、千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏は「強剪定された街路樹は委縮した心と社会の表れです。だから、木とお互い様だよ、共認している生き物としての感覚でいえば、涼しくもなるし、心も豊かになる。そういう社会を目指そうじゃありませんか」と話した。講演後の拍手が鳴りやまなかった。アンコールを求めるコンサートのようだった。
これがヒントだ。荒んだ世の中に逆らうことも掉さすこともせず、病葉のように身をまかせる-このような意識が蔓延しているような気がしてならない。かくいう記者もそうだが…。
左から蓮井氏、倉田氏、細谷氏
前東急Re・デザイン監督 大和ハウスウッドリフォーム執行役員・大滝氏とばったり
大滝氏(ガス室ではない、リーガロイヤルホテルグループの都市センターホテルの喫煙室で)
対面にどこかで会ったような男がいた。ワインを5~6杯、もっとか飲んでいたが、自らを失う量ではない。胡乱な頭をフル回転させた。ここはどこだ、俺は誰だ。ガス室と大差ないとは思ったが、このまま絞首台に送られるどこかの国の政治犯ではない。話せるのは日本語のみだ。政治には背を向けてきた。性犯罪者でもない。歌舞伎町の風俗街とはもう20数年前に縁を切った。仮にあったとしても時効は成立しているはずだ。
ここは6月13日、日本ツーバイフォー建築協会懇親会が行われた都市センターホテルに唯一ある喫煙ルームだ。何よりも安心・安全だ。それを確認して、恐る恐る声を掛けた。名刺を渡した。相手も名刺をくれた。えっ!名刺には「大和ハウスウッドリフォーム執行役員技術本部長 大滝信一」(大書きはされていなかったが)とあった。
知る人ぞ知る、知らない人は知らない、昨年までの〝出ると負け〟の東急Re・デザインの監督その人だった。そのとたん、あの禿のツルツルテンの稲本、不惑に近い田口、投げても投げても野手に足を引っ張られた佐藤投手が眼前に現れた。
なぜ、その大滝監督がここにいるか。プレス・リリースを読んでいただきたい。記者は知らなかった。東急Re・デザインは2023年10月24日付で、同社の新築事業および首都圏の戸建リフォーム事業を2024年4月1日付で大和ハウス工業に譲渡すると発表している。その結果、大滝氏とお会いできたということだ。大滝氏はRBA大会復帰にイエスともノーとも言わなかった。いえる立場にないのも理解した。
芳井社長、久米大会委員長、それと東急リバブル、大和ハウスのチームの皆さん、大滝さんや田口さん、佐藤さんがRBAに出られるようにしていただきたい。RBAは勝つことだけが目標ではないはずだ。
一条工務店 大量31点コールド勝ち 中野サイクル安打 東急Re・デザイン田口(悲)
ナイス横澤が満塁弾東急ホームズ53歳田口超遅球を駆使燦然と輝く稲木は落日(2018/7/6)
長寿命化促進と管理適正評価制度に力 高松理事長 マンション管理業協会懇親会
高松氏(提供:不動産流通研究所)
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は6月11日、第一ホテル東京での定時総会後に懇親会を開き、副理事長に問田和宏氏(野村不動産パートナーズ代表取締役社長兼社長執行役員)と、世古洋介氏(三井不動産レジデンシャルサービス代表取締役社長兼社長執行役員)がそれぞれ新任したと報告した。高松理事長のあいさつは次の通り。
◇ ◆ ◇
マンション管理業協会理事長の高松でございます。本日は、公務お忙しい中、斉藤国土交通大臣はじめ、多くの国会議員の皆様、国土交通省の皆様、関係者の方々にご出席を賜り、心より厚く御礼を申し上げます。
最初に、本日開催されました第45回定時総会において、各議案が承認され、つつがなく終了いたしましたこと、ここに報告いたします。また、引き続き開催されました理事会におきまして、2名の副理事長が選任され、わたくし高松が理事長に再任されました。引き続きよろしくお願いいたします。副理事長につきましては、後ほどご紹介いたします。
本日は、ご挨拶として、マンション管理業協会の取組等についてご案内したいと思います。先ず、マンションを取り巻く現状です。
皆様もご承知の通り、マンションは国民の約1割が居住し、永住意識も高まっている重要な居住形態である一方、建物と居住者の「2つの老い」という問題が久しくクローズアップされています。
こういった課題に対応すべく、弊会は様々な施策を推進しております。本日は、そのうちの2点、マンション管理適正評価制度と政策提言・要望活動等について、少し詳しくご案内させていただきたいと思います。
先ずは、政策提言、要望活動等についてでございます。幣会では、毎年、国土交通大臣宛てに「マンション管理の現場に則した政策提言等」を行っておりますが、本年度もその一つとして「マンション長寿命化促進税制」の期間延長と適用要件の緩和を要望していこうと考えております。
令和5年度から適用されているこの制度は、マンションの長寿命化を促進していく上で、極めて重要な支援策でありますが、是非とも、より使い勝手の良い税制に緩和していただきたく要望するものです。
この税制における減税措置の概要は、対象マンションの築年数や管理計画認定取得の有無、過去に行った大規模修繕工事の実施時期等の様々な要件を満たすことが求められており、この適用期限が令和7年3月末までと限られております。
ところが、長寿命化を図るべきマンションは、まだまだあります。是非とも延長をお願いしたいと思います。
マンション管理適正評価制度についてご案内させていただきます。マンション管理適正評価制度は、弊会において令和4年度にスタートさせた制度です。
管理状態を5つのカテゴリーに分類してソフト面とハード面両面から、30項目について評価し、その結果をサイト上で公表する制度であるということについては、これまでも繰り返しご案内しているところです。
この制度のメリットですが、大きく5つの流れがあります。
評価制度に登録することで、管理の状態を把握して様々な課題等が明確になり、早期に対策・予防することで良好な管理状態を維持継続することにつながります。
そして、この制度に登録しますと、ご覧いただいているように協会ホームページの専用サイトに掲載されまして、マンション購入を検討されている方を始めとして誰でもが閲覧することができるものです。
更に、この制度は不動産仲介のポータルサイトと連携しておりますので、購入検討者への情報開示が行われ、また、一部金融機関における金利優遇等もあることで、マンションの市場価値向上に繋がることとなります。
横浜市立大学の齋藤広子先生の研究で、「管理水準の高いマンションは価格が高い」という分析結果が、公開シンポジウムで披露されておりますので、ご紹介させていただきます。
星3つ以上の場合は、評価を取得していない物件と比べて価格が高い、更に星5つのマンションですと11%の価格プレミアが生じていることが確認できたというものです。
この制度には、本日現在で4,535件の登録をいただいております。わたくしどもとしましては、次なる登録目標として、協会会員社が受託している管理組合数が約10万管理組合、その約1割である「1万件」を掲げております。 「マンションは管理を買え」、そのために弊会は「管理の見える化」に取り組んで参ります。
マンション管理を巡る課題は多岐に亘るものがあります。幣会では、これら様々な課題について各委員会で議論を進めて参ります。
幣会は、これからもマンション管理を巡る諸課題に精力的に取り組み、良好な社会資産としてのマンションストックの形成に寄与していきたいと考えております。
本日ご臨席の皆様からの引き続きの深いご理解、ご協力を心からお願い申し上げまして、本日のあいさつとさせていただきます。
ワーカーのウェルビーイング向上目指す食堂整備 東京建物「八重洲一丁目B地区」
東京建物は6月7日、再開発組合の一員として参画している「東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業」にワーカーのウェルビーイング向上を支援する食堂等を整備することを決定したと発表した。
八重洲プロジェクト13階にオフィス入居者向けのウェルビーイングフロア「(仮称)Wab. (ワボ)」を設け、食を通じてワーカーの生き生きとした生活をサポートする食堂や、生産者を招き食材・レシピの紹介等を通じてワーカーと交流するイベントキッチンなど、ウェルビーイング向上に寄与する施設を導入する。
食堂では、キリンホールディングスと協業し、免疫ケアフードメニューを提供するほか、47都道府県各地の郷土料理やこだわりの調味料の提供を通してコミュニケーション機会の創出と地域の食文化の継承・発展を目指す。
◇ ◆ ◇
記者は、この種の取り組みについてはよくわからないのだが、今年3月、コリアーズ・インターナショナル・ジャパンの取材をしたとき、同社レポートで多くのオフィスワーカーが希望する設備として「食堂」「コンビニ」「リフレッシュルーム/カフェスペース」を求めていることを知った。
また、日本ビジネスシステムズ(JBS)は2024年4月に本社を虎ノ門ヒルズ ステーションタワーへ移転し、併設するカフェ&ダイニング「Lucy’s Tokyo」の利用とともに、集い行き交うコミュニケーションプレイス=“ Park ”(公園)を実現するというニュースもあった。
最近はせんべろの日高屋しか利用しないが、47都道府県の郷土料理が食べられるというのはとてもいい。わが故郷の「伊勢うどん」がお勧めだ。黒いおつゆ(昔はたまり醤油)に真っ白で柔らかいうどんが浮かび、それと歯ごたえのある赤白のかまぼこ、青々とした細ネギが載っているのみ。シンプルで美しい。600円くらいか。
オフィスワーカーの欲しい設備「食堂」/Z世代の働きたい場所「東京」コリアーズ(2024/3/18)
本物の緑に感動 無国籍・多国籍の店舗構成も納得 東急プラザ原宿「ハラカド」
「ハラカド」(左)と「オモカド」
表参道と明治通りが交差する神宮前交差点にある「東急プラザ原宿『ハラカド』」を見て回った。東急不動産と東京地下鉄が共同で開発を進めてきた75の物販・飲食店舗からなる施設で、2024年4月17日(水)にオープン。7階の屋上テラスをはじめ4階フロアの「みどり」はすべて本物で、その圧倒的な量に感動し、わが国と思えない無国籍・多国籍の人の集まりを想定した店舗構成になるほどと思った。小生のような日本人年寄りはほとんどいなかった。平日にも拘わらず多くの人で賑わっていた。
施設は、感度の高いヒト・モノ・コトと「出会う」「つながる」「体験する」「楽しむ」を掛け合わせることで、新たな原宿カルチャーの創造・体験の場を実現するのがテーマだそうで、対面にある「東急プラザ表参道『オモカド』」とともに原宿の名物になるのは間違いない。
訪れたのは6月3日の午後2時過ぎ。何か食べようと5階に上った。そのものずばりの「FAMiRES」や「居酒屋スタンド ジャンプ」「一風堂」「TOKYO MEAT 酒場」「紫金飯店」「原宿牡蠣屋 Tokyo Seafood」「da pai dang 105」「まぐろ問屋 恵み」「カンブチキン」「トーキングゴリラ」「PRETTY PORK FACTORY & KATSU プリポー」など、路地裏の屋台を1フロアに収めたような造りにしばし呆然。一番なじみやすい昭和レトロの居酒屋に入り、ビール2杯とアジフライを注文した。〆て2,000円少し。小生が最近ほれ込んでいる日高屋のメニューの倍の料金だ。〝ここは原宿〟と自分を納得させるほかなかった。
周囲を見渡した。小生のような日本人年寄りはほとんど皆無。アジア系と思われる外国人が多数派を占め、ファッションショーから抜け出してきたような長身でスタイル抜群の若い人には口をあんぐり。遮るものがない通路を眺めながら酒を飲めるのもまたいい。
7階の屋上テラスの豊富な樹木にも圧倒された。写真を撮ったり、ベンチで寝そべったり食事をしたりする人の姿が目立った。これまたあまり見ない光景だ。
4階の約312坪のフロア全体を「ハラッパ」に見立てた企画もまたいい。各方面のクリエイターが演出を担当しており、国籍・性別・年齢に関わらず皆がボーダレスに体験できるインスタレーション、コンテンツはもとより、配置されている観葉植物はすべて本物なのに、「フェイクをやめよ」と主張してきた記者はとてもうれしくなった。
これは不確実なので断定はできないが、東急不動産ホールディングスグループはもう10数年前から新卒採用基準を平均点主義から特技、長所などを重視する方針に変更しているはずだ。若い社員が「オモカド」や「ハラカド」の商品企画に加わっているからこそ、斬新なアイデアが生まれるのではないかと記者は考えている。
屋上テラス
屋上テラス
屋上テラス
4階「ハラッパ」
最低面積要件の緩和要望、不動産IDの活用進める FRK・太田理事長
不動産流通経営協会(FRK)は5月30日、定時総会後に懇親会を開催、太田陽一理事長(東急リバブル社長)は次のようにあいさつした。
理事長の太田でございます。第55回定時総会が無事開催されましたことをご報告申し上げます。
さて、足下の不動産流通市場は、令和5年度の首都圏の既存住宅市場について東日本レインズのデータでは、令和4年度に比べて中古マンション・中古戸建ともに成約件数が増加し、成約価格も上昇するなど、引き続き順調に推移しております。
不動産業におきましては、少子化、高齢化の進行に伴う空き家の増加、脱炭素への取り組みなど多くの課題が山積しております。これからの若い世代が持っている多様な価値観をしっかりとらえて、画一的ではないサービスの提供に努めるべきと考えます。
FRKでは、税制改正要望として、各種特例における最低床面積要件の緩和を求めております。これは、様々な価値観を持つ人が、多様な選択肢の中で、床面積にかかわらず、住宅取得の機会が与えられるべきという考えに基づいています。二拠点居住や多拠点居住についても、使える人には複数の住宅を使っていただくことで、空き家問題解決の一助にもなるのではないでしょうか。
今年度も「政策提言」と、その基となる「調査研究」、そして適時・適確な「情報発信」
を重点に取り組みを進めてまいりたいと思います。
また、不動産IDの活用など、デジタル社会における共通インフラを活用し、新たな不動産流通制度・システムの構築にも貢献して参りたいと考えております。
不動産流通市場において、売主と買主の間に仲介が入る、人を介することで取引を順調に進めるシステムは、先人から引き継がれた知恵であります。消費者の皆様から信頼され、高く評価されるよう、その担い手となる従事者への教育研修には、これまで以上に注力して参りたいと考えております。
今後とも、関係団体の皆様と連携しつつ、会員相互の結束のもと、協会活動の一層の充実を図り、不動産流通業の発展に寄与して参る所存であります。
分譲戸建て18か月連続減 首都圏持家は28か月ぶり増 4月の住宅着工戸数
国土交通省は5月31日、令和6年4月の新設住宅着工統計をまとめ発表。持家が減少したが、貸家、分譲住宅が増加したため、全体で前年同月比13.9%増、11か月ぶリ増の76,583戸となった。持家の減少幅は2か月連続して5%以内に収まっている。首都圏持家は前年同月比2.1%増の3,780戸で、令和3年12月以来28か月ぶりに前年同月を上回った。
内訳は、持家は17,878戸(前年同月比3.9%減、29か月連続の減少)、貸家は34,598戸(同20.6%増、先月の減少から再びの増加)、分譲住宅は22,955戸(同16.5%増、4か月ぶりの増加)。分譲住宅の内訳はマンション12,226戸(同69.0%増、4か月ぶりの増加)、一戸建住宅10,579戸(同14.4%減、18か月連続の減少)。
首都圏の総数は26,747戸(同11.7%増)、内訳は持家3,780戸(同2.1%増)、貸家12,039戸(同8.2%増)、分譲住宅10,856戸(同19.8%増)、マンションは6,247戸(同66.2%増)、都県別は東京都2,451戸(同11.6%増)、神奈川県1,887戸(同53.4%増)、埼玉県505戸(同92.0%増)、千葉県1,404戸(同1,905.7%増)。
◇ ◆ ◇
持家もそうだが、分譲戸建ての着工減も目立つ。3カ月連続して2ケタ減だ。4月の首都圏着工戸数は4,501戸で前年同月比13.8%減少。都県別は東京都1,461(同5.9%減)、神奈川県1,047戸(同15.4%減)、埼玉県1,220戸(同10.0%減)、千葉県773戸(同28.2%減)となっている。この1年間では東京都と埼玉県はそれほど落ち込んでいないが、神奈川県と千葉県の減少が目立つ。
分譲戸建て供給上位の飯田グループホールディングス、オープンハウスグループ、ケイアイスター不動産の直近の決算数字も芳しくない。各社ともここ当分は在庫圧縮に取り組むはずで、底入れは見通せない。
ケイアイスター 2024年3月期 売上増も大幅減益 原価上昇、需要正常化響く(2024/5/13)
飯田グループHD 2024年3月期 売上高は前期並みも利益半減 戸当り営業利益146万円(2024/5/14)
オープンハウスGr 2024年9月期2Q 戸建ては増収も利益率低下し減益(2024/5/16)
遅々として進まない公共建築物の木造化・木質化をチクリ 木住協・市川会長
市川氏
日本木造住宅産業協会(木住協)の市川晃会長(住友林業代表取締役会長)は5月30日行われた総会後の懇親会の冒頭、「住宅着工の持家は28か月連続して減少しており、厳しい状況が続いているが、木造は様々な支援策もいただいている。今後も木造の普及促進を推進していく」としたうえ、次のようにあいさつした。
「少し気になっているのは、かつて学校関係は全体の20%超が木造だったのが、直近は15%以下に減っていることだ。これはコロナ禍、資材の高騰などの要因もあるが、木造の公共建築物をもっと増やさないといけない。その心はなぜかというと、建物は永久ではなく、必ず建て替えが必要になってくる。例えば木造住宅の解体費用は200~300万円なのに対して、RCは倍以上かかる。耐用年数、解体費用を含めてどのような建物が一番適切であるかを考える必要がある。高層ビルはまだまだ木造は技術的にこれからという部分はあるが、少なくとも中大規模建築物は木造の方がRCや鉄骨造より優位性かある。さらにCO2の吸収・炭素固定に加えて、将来コストなどライフサイクルを考え、木造の価値を見直さないといけない。木住協は住宅以外の新しい建築物にも取り組んでおり、公共建築物の木造化・木質化にしっかり寄与していく」
木住協懇親会(明治記念館)
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木住協の前任の矢野龍会長(住友林業会長=当時)もそうだったが、市川会長の公式ではないこの種の会合での話はとても面白い。この話はメディア向けというよりは国土交通省住宅局長・石坂聡氏、林野庁木材産業課長・石田良行氏、住宅金融支援機構・毛利信二氏、 住宅生産団体連合会・芳井敬一会長(大和ハウス工業社長)など来賓を意識したものだろう。
別表を見ていただきたい。国土交通省「建築着工統計」をもとに林野庁が試算したものだ。令和4年度の建築物全体の床面積約11,872万㎡のうち木造率は41.1%なのに対して、公共建築物の木造率は13.5%でしかなく、国に至ってはわずか2.7%だ。3階建て以下では、建築物全体の木造率は67.9%に達しているのに対して公共建築物は29.2%にとどまっている。国の施設は8.2%しかない。
学校関係はどうなっているかわからないが、市川氏はきちんとチェックしているのだろう。記者も以前書いたことがあるが、国の木造化・木質化の取り組みは遅々として進んでいないという印象を受ける。市川氏の指摘は正鵠を射ていると思う。また、建基法の耐火・防火基準が厳しいからでもあるが、施設のうち自転車置き場、倉庫、車庫、トイレなどの比率が少なくないことも考えないといけない。
市川氏に続いて登壇した石坂氏は「建築物のライフサイクルカーボン算定ツールを公表したばかり。公共木造建築物、中大規模の木造建築物もしっかりと取り組みたい」と、石田氏は「川上から川下まですべてが成長発展していくグリーン戦略に取り組んでいる。木材や木造建築物が適切に市場で評価されるよう願う」とそれぞれ祝辞を述べたが、国の施設の木造化・木質化については言及がなかった。
この場の雰囲気を和らげる意図があったのかなかったのか、毛利氏は「昨年に続いてご挨拶させていただく機会を与えていただき、また、温かい拍手で迎えていただき、ありがとうございます。さすが木(気)遣いの木住協さん」と爆笑を誘い、雰囲気を一変させた。芳井氏は「住団連の会長としても、中大規模の木造建築物の取り組みは大切なことだと思う」とエールを送った。
左から石坂氏、石田氏、毛利氏、芳井氏
脱炭素・循環型社会への取組み推進木住協・市川会長/三交不・中村社長と歓談(2024/6/2)
「木の特性を分かりやすく伝える必要あり」市川会長木住協が総会・懇親会(2023/5/26)
またショック全国10万人以上259市の地価公示下落率最大はわが故郷・伊勢市(2023/3/25)
平成30年度国の低層建築物木造化率は9割超多くは車庫など20坪国交省(2020/3/18)
木造建築物は不遇・暗黒の50年か、進化の50年か木住協の懇親会で考えたこと(2018/5/26)
トイレ、車庫、犬(舎)小屋…情けない国の木材利用状況(2017/3/8)
公共建築物の木造化 24年度は100戸のマンション1棟分(2013/11/9)
「time flies like an arrow 光陰〝矢野〟如し」木住協・矢野会長(住林会長)が退任(2016/5/30)