2つの老いへの対応 管理業者管理方式など具体策示す 国交省マンション政策小委
国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会第4回マンション政策小委員会(委員長: 齊藤広子・横浜市立大学国際教養学部教授)は2月7日、第4回目の会合を開催。同省は、とりまとめ(案)に関する令和6年12月26日から令和7年1月24日まで行ったパブリックコメントで寄せられた31の個人・団体の意見154件(うち賛成意見11件)を整理し、(案)に盛り込こんだことを報告し、各委員が論議した。(案)は修正を加えたうえで、近く最終とりまとめとして公表される。
パブリックコメントから(案)に反映されたのは、①区分所有者の責務が果たせない場合、行政代執行には行政コストを要する②管理不全マンションの再生の困難性を明示すべき③地方公共団体の権限強化の前提として、マンションが社会的資本であることを明示すべき④区分所有者や管理組合の意識等を高める方策について一層の強化が必要である⑤区分所有者や管理組合の意識等を高める方策について一層の強化が必要である⑥管理業者管理方式は利益相反(自己取引)となることが前提であり、その関係性を正しく記載すべき⑦監事はマンション管理士のほか、弁護士や公認会計士などの専門家も想定される-など。
とりまとめ(案)では、建物と区分所有者の「2つの老い」等が進行し、マンションの管理・再生の両面で課題が深刻化していることから、新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理・再生の円滑化等を実現するため、①マンション管理適正化を促す仕組みの充実②多様なマンション再生ニーズに対応した事業手法の充実③地方公共団体によるマンション管理適正化・再生円滑化への関与の強化・充実などが盛り込まれている。
(案)に対する各委員からの異論はほとんどなく、齊藤氏は「幅広い論議ができたことを大変うれしく思う」と感想を述べ、今後の取り組みで重要な3つの視点として①マンションは社会資本であり個人資産でもあるので、誤解を生じないようさらに論理的に詰める必要がある②区分所有法の改正を前提とした新制度へ対応するサポーターの人材確保が重要③管理主体者である管理組合の意識を高めるための環境整備と実態把握に努めることが重要などと述べた。
国交省住宅局長・楠田幹人氏は、昨年11月から短短期間で最終とりまとめを行った各委員の労をねぎらったあと、「建物と居住者の二つの老いに象徴されているように、マンションには様々な課題を抱えている。良好な居住環境を確保するためには、新築段階から再生-解体までの合意形成を円滑に進めることが大事。今回の最終とりまとめを踏まえ、関係機関と連携し、開会中の国会に提出する予定の法案に盛り込んでいく。今後とも様々な課題解決のため継続して論議していただきたい」と語った。
管理会社管理方式、自治体の体制強化など論議国交省・マンション政策小委員会(2024/12/20)
職住一体型の賃貸「The Parkhabio SOHO」第5弾 三菱地所レジ「関内」
「The Parkhabio SOHO 横浜関内」
三菱地所レジデンスは1月28日、コワーキングスペースを併設した職住一体型賃貸マンションシリーズ「The Parkhabio SOHO(ザ・パークハビオ ソーホー)」の第 5弾「The Parkhabio SOHO 横浜関内」の募集を2025年1月16日から開始したと発表した。
約120㎡1階のコワーキングスペースは24時間利用が可能。このほか、主な共用施設は屋上テラス「Sky Lounge」、BBQ ラウンジなど。専用部には18.30㎡と27.36㎡の住戸(各7戸)には住設機器「Roomot MIXINK」を、18㎡の住戸7 戸に壁面収納ベッドを採用。法人登記も可能。また、三菱地所が開発・提供する総合スマートホームサービス「HOMETACT(ホームタクト)」、DXYZの顔認証プラットフォーム「FreeiD(フリード)」、大崎電気工業のスマートロック「OPELO(オペロ)」を初採用する。
物件は、JR京浜東北・根岸線関内駅から徒歩4分、横浜市中区羽衣町2丁目に位置する敷地面積約521㎡、15階建て84室。専用面積は18.30~60.59㎡。竣 工予定は2025年3月上旬。
コワーキングスペース
屋上庭園
収納ベッド「カクセルベッド」
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「The Parkhabio SOHO」シリーズはこれまで3物件見学している。いずれもレベルはとても高かった。この物件も竣工見学会が行われたら、しっかり見学してレポートしたい。「BathMor」をどうして採用しないのかが不思議。
「その瞬間に、心が弾む」見事に表現 三菱地所レジ「The Parkhabio SOHO 祐天寺」(2023/5/31)
基本性能・設備仕様レベル高い 販売好調に納得 大成有楽不「秋葉原」
「オーベルアーバンツ秋葉原」
大成有楽不動産が分譲中のマンション「オーベルアーバンツ秋葉原」を見学した。同社は先に第1期1次・2次35戸の契約を完了したと発表したので、その人気の秘密を探るのが主な目的だった。道路を挟んで敷地南側は総武線の高架だが、二重サッシを採用して対処している。設備仕様レベルは高い。
物件は、JR・東京メトロ秋葉原駅から徒歩6分、JR総武線浅草橋駅から徒歩5分、台東区浅草橋4丁目の商業地域に位置する14階建て85戸(販売対象住戸71戸)。専有面積は34.64〜73.04㎡、坪単価は600万円。竣工予定は2026年4月中旬。設計・監理は安宅設計。施工は東鉄工業。
現地は、秋葉原駅と浅草橋駅のほぼ中間。敷地西側の清洲橋通りなど三方接道。主な基本性能はZEH-M Oriented、低炭素建築物認定、内廊下方式、二重床・二重天井、リビング天井高2,450ミリ、複層ガラス・Low-eガラス、二重サッシ、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、ウルトラファインバブル、ミストサウナ、室内物干し金物、オレンジ・ラボ収納、トイレ・アラウーノなど。
同社マンション事業部部長付・竹田直人氏は「等価交換事業で、地権者の方に喜んでいただける商品企画とし、建築部門とも連携しながら工期などもチェックして進めている。お客さまにも評価されているのでほっとしている」と、同社マンション事業部事業室(第一部)・日下田希氏は「廊下を含めて水回りをタイル張りとし、キッチン天板をフィオレストーンを採用し、間取りも7~9mスパンのワイドスパンにしていることが評価されている」とそれぞれ語った。
天板がフィオレストーンのキッチン
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取材の主な目的は、このところ台東区でのマンション供給が増えているので市場動向を探ることだった。秋葉原-浅草橋を歩いて見て回ったのだが、同社の物件の隣接地はヘーベルハウス(賃貸)で、三井不動産レジデンシャル、積水ハウス、阪神阪急不動産の建築中の共同住宅があった。
まず、価格(単価)。4~5年前だったら、坪単価400万円がアッパーで、それからするとずいぶん高くなったと感じたが、他も高くなっているのでこんなものか。総武線高架をどう評価するかだが、立地条件は他社物件と比べて同社の物件が一番いいと思った(みんな商業立地だから似たり寄ったりともいえるが)。基本性能・設備仕様レベルも高い。竹田氏と日下田が話した通りだ。
これは、物件と全く関係ないのだが、竹田氏は同社野球部の監督を務めている。部はRBA野球大会にも出場しており、通算成績は26戦し、12勝14敗、勝率.462だ。投手力はいいのだが、野手の高齢化が進み、拙守・拙攻で勝ちきれないのが現状だ。勝てないのはやはり監督の責任だ。人事部と連携し、年に1人くらいは野球経験者を採用したらどうか。
現地
全389戸の90%に可動収納「UGOCLO(ウゴクロ)」総合地所他「柏ディアパーク」
「ルネ柏ディアパーク」
総合地所は1月30日、ZEH-M Oriented、「BELS(ベルス)」5ランク、ABINC認証などを取得している京成電鉄、FJネクストとの共同事業マンション「ルネ柏ディアパーク」の販売を開始したと発表した。
物件は、JR柏駅から徒歩15分、柏市豊四季台1丁目に位置する14階建て全389戸。専有面積は61.98~84.94㎡、価格は4,188万~7,598万円(先着順)。竣工予定は2026年8月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
全50タイプ347戸の90%に長谷工コーポレーションが開発した可動収納ユニット「UGOCLO Plus(ウゴクロ プラス)」(2列可動)、「UGOCLO S(ウゴクロエス)」(1列可動)、また新築分譲マンションとして初めて「UGOCLO Half(ウゴクロ ハーフ)」(1列可動・通り抜け可)を採用。共用施設はパーティールーム・マルチラウンジ・ゲストルーム・サウナルーム、スタディラウンジ、ランドリールームなど。管理は外部管理者方式「smooth-e(スムージー)」を採用している。
物を持たない生活提案 三菱地所レジ「Roomot」第5弾「Sotomo」
イメージ図
三菱地所レジデンスは1月30日、多様化するライフスタイルに応じた間取りの改善や自分らしい暮らし方を賃貸マンションシリーズ「ザ・パークハビオ」で提案する「Roomot(ルーモット)」の第5弾「Roomot Sotomo(ルーモット ソトモ)」を「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」に導入すると発表した。
「Roomot Sotomo」は、専有空間だけでなく、「外も」もっと活用すれば自由で豊かな暮らし方ができるとし、PacPortが開発したIoT宅配ボックス「Pabbit Locker」サービスを活用し、シェアリングサービスなどと組み合わせ、物を持たない住まい方を提案するもの。
「Pabbit」は、専用アプリ「Pabbit APP」を用い、荷物の伝票番号を認証キーとしてマンションの集合玄関および着床制限付エレベーターのセキュリティを解錠することで、居住者が不在でも「Pabbit Locker」まで配達を可能にする。入居者は「Pabbit APP」を通じて宅配ボックスへの配達状況やシェアリングサービス、サブスクリプリションサービスなど外部サービスにアクセスできる。非対面配送だけでなく、日対面集荷(当面はクリーニング)も可能にする。
「Roomot(ルーモット)」は、2021年の第一弾「MIXINK」をはじめ第2弾「Luxwer」、第3弾「desko」、第4弾「BathMor」を2023年までに発表。今回の「日本橋三越前」には初めて「BathMor」を採用する。
発表会で同社建築マネジメント部長・森島大登氏は「今回の提案は『ルーモット』シリーズ初のソフト面での取り組み。社会情勢やトレンド、ライフスタイルが劇的に変化する中、限られた生活領域をどうしたら確保できるか試行錯誤を行ってきた。専有部分に留まらず外のサービスを上手に活用すれば、自由な暮らしが実現できる」と語った。
「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」は、東京メトロ三越前駅から徒歩7分、中央区日本橋堀留町1丁目に位置する敷地面積約385㎡、10階建て全54戸。専用面積は27.86~61.32㎡。竣工予定は2025年3月10日。
森島氏
「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」エントランス
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以下は、記者の持論であって今回の同社の発表会とは関係がないことをお断りしておく。
マンション購入者・居住者の不満が収納の少なさにあることから、発表会では収納率について語られた。従来から理想は専有面積の10%以上と言われており、デベロッパーは10%以上確保するよう取り組んできた。10年くらい前までは3LDKの広さは21~22坪(69~73㎡)が標準だった。
現在はどうか。首都圏で分譲される平均専有面積は約20坪(66㎡)まで縮小している。なぜか、理由は簡単だ。用地費・建築費などがどんどん上昇する一方で、購入検討者の収入は上昇してこなかった。デベロッパー各社は専有面積圧縮を図り、天井高を下げたり設備仕様レベルを下げたりして、利益を確保しながら価格抑制を行ってきた(収納効率を上げるため涙ぐましい努力はしているが)。
さて、そこで記者の提案だ。このまま用地・建築費高騰が続けば、デベロッパーは専有面積を広げ、収納率を挙げるようなことはまずしない。となると、購入者・居住者が対策を練るほかない。一番簡単で有効なのは、サブスクを活用しながら〝余分なものは持たない〟〝必要ないものは捨てる〟ことだ。
記者は自分の持ち物を捨てられたことは数えきれないほどあるが、妻の持ち物を〝捨てろ〟などとは一言も言ったことはない(自分が捨てられるのが怖いからでもあるが)。世の男性諸氏もそうだろうと思う。夫婦が共同で利用するものを除き、夫と妻の二人の所有物(収納量)を100としたら、持ち分比率は夫30%:妻70%くらいではないかと考えている(乖離はもっと大きいか)。
女性の皆さん、余分なものは捨ててはいかがか。今回の「三越前」を分譲マンションとして考えれば、坪単価は1,000万円だ。収納スペースを1坪とし、利回り5%として計算すると年間収納コストは50万円(月4.2万円)だ。郊外はどうか。坪250万円以下はほとんどないので、20坪で収納率10%とすれば収納コストは25万円(月2.1万円)。決して安くない。着なくなった衣服、履かない靴などを保管するためにいかに無駄遣いをしているかを考えてほしい。
以上。皆さんは馬鹿馬鹿しいと考えるかもしれないが、記者は大まじめだ。今回の提案は、記者の考えと一致する。
そして何よりいいのは、「Roomot」の第4弾「バスタブユニット」を「三越前」に初採用することだ。これは以前にも書いた。記者もそうだが、湯船につかる人は少なくなっているはずだ。シャワーで十分。浴槽を取っ払えば電気、ガス、上下水道代の節約になるし、苦痛なバス掃除からも解放される。
今は持ち運べるバスがあるではないか。マンションの共用部分に採用するのもいい。そうすれば価格は下げられるし、専有部の収納スペースを広げられる。仮にそのスペースを0.5坪とすれば50戸で25坪だ。その効果は計り知れない。
洗い場とバスタブを兼ねた「Roomot BathMor」「日本橋三越前」に導入地所レジ(2023/12/17)
阪急阪神不動産 新築マンションの管理業者管理方式を積極導入
阪急阪神不動産、阪急阪神ハウジングサポートは1月29日、マンションの管理組合の管理業務を管理会社が代わって行う「外部管理者方式(管理会社管理方式)」を今後分譲するマンションなどで積極的に導入すると発表した。
近年、マンションの高経年化及び入居者の高齢化による「管理組合の役員のなり手不足」や「管理不全マンションの増加」などが社会的な課題となっているのに対応するもの。
阪急阪神ハウジングサポートでは昨年10月、同方式に対応する専門の組織「外部管理者方式推進部」を新設。同部をマンション管理の実務を行う部門とは明確に切り分け、各管理組合に設置される監事については外部専門家(マンション管理士、弁護士など)を選任する体制にした。これにより、利益相反取引となり得るものについては、原則として組合員に情報を開示し、総会などで承認を得ることとしている。
導入するのは「ジオ練馬富士見台」をはじめ、「ジオ板橋浮間舟渡」、「ジオ市谷仲之町」、「ジオ横浜大通り公園」、「ジオ阪急川西The Front」など。
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新築マンションへの管理会社管理方式は各社が導入しているが、マンションの共用部分の維持・管理などの受託業務と、管理組合の総会などの業務との契約関係が不明確なケースが相当数あり、しっかり契約を定め、利益相反を生じない体制づくりが欠かせない。
記者は、新築だけでなく中古マンションへも管理業者管理方式を導入すべきだと思っている。
「今年に託す言葉」管理協賀詞交歓会&住宅広報連絡会新年会参加者に聞く(2025/1/20)
見事な模型紹介コーナー 物件に込めた意気込みひしひし 日鉄興和不「文京小石川」
「リビオシティ文京小石川」
日鉄興和不動産(事業比率60%)、東京建物(同15%)、中央日本土地建物(同15%)、住友商事(同10%)が分譲中の「リビオシティ文京小石川」モデルルームを見学した。定期借地権付きであることによる価格の安さ、小石川植物園に近接した文京区最大敷地面積の立地などからして人気になるのは分かるのだが、本物の石や地衣類・観葉植物を採用した50~60坪の模型展示コーナーの充実ぶりに物件に込めた意気込みがひしひしと伝わってきた。
物件は、東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅徒歩12分・茗荷谷駅徒歩13分、都営三田線・大江戸線春日駅徒歩11分、都営三田線白山駅から徒歩10分、文京区小石川四丁目の準工業地域に位置する敷地面積約12,487㎡、10階建て全522戸。期間75年の定期借地権付き。専有面積は35.89~95.57㎡。竣工予定は2026年11月下旬。デザイン監修はIAO竹田設計。設計・施工は長谷工コーポレーション。
2024年2月22日~2024年12月下旬までのエントリー数は12,000件、昨年10月から分譲開始し、これまで供給した155戸のうち130戸を成約。販売価格は9,090万円~21,990万円。坪単価は未公表だが、坪500万円台の半ばから後半と思われる。
現地は、茗荷谷駅からだと桜並木が美しい播磨坂を下ったところで共同印刷本社に隣接。敷地北側は千川通りに接道。敷地所有者は共同印刷。小石川植物園までは徒歩2分。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、低炭素住宅、ABINC、SEGES認定、二重床・二重天井、リビング天井高2460ミリ、ディスポーザー、深型食洗機、フィオレストーンキッチン天板、食器棚、多目的スペース「モアトリエ」、奥行2m超のバルコニー、浴室タオル掛け2か所など。主な共用施設は、屋上テラス、フィットネスラウンジ、ワーク&スタディルーム、ライブラリーラウンジ、ゲストルームなど。店舗面積1,700㎡超の都市型スーパーマーケットを併設する。
北側外観
屋上テラス
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これまでの区内の敷地面積がもっとも広いマンションは、2014年分譲の第一種低層住居専用地域に位置する住友不動産「インペリアルガーデン」(167戸)だった。用途地域が異なるので単純比較はどうかと思うが、それを上回る約1.2haの規模は希少だ。
物件特性などは上段で紹介した通りだが、記者が驚いたのは50~60坪はありそうな模型紹介コーナーだった(販売事務所の1フロアの面積は約80坪)。
模型そのものの大きさは50分の1だからそれほど大きいわけではないが、至るところに本物の観葉植物・地衣類を配し、屋上テラスに採用する静岡県真鶴町産の本小松石が敷き詰められていた。3m×8mのスクリーンは2つ。
これほど見事な模型コーナーは過去どれくらい見たか考えた。最近の物件では東京建物「堂島」、積水ハウス他「グラン・グリーン大阪」をすぐ思い出したのだが、東建では「番町」、積水ハウスでは「品川シーサイド」も見事だった。鹿島建設「勝どきザ・タワー」も凄かった。ほかにもあるのだろうが、ベスト10を選べば今回の「文京小石川」は間違いなく入る。
売主には同じみずほグループの東建と中央日土地が入っており(住友商事とはこれまでも共同事業が多いとか)、〝負けられない〟という強い意志が込められていると理解した。「品川」も見学を申し込んでいるので、実現したらレポートしたい。〝リビオ〟に注目だ。
販売事務所
模型展示コーナー
模型展示コーナー
「リビオ」の歴史紹介コーナー(日鉄ライフ・新日鉄都市開発・興和不動産の歴史を紹介してもよかった)
第一種低層の外観が美しい住友不動産「インペリアルガーデン」竣工(2015/3/19)
用地取得から10年 小石川植物園に隣接した住友不動産「インペリアルガーデン」(2014/1/14)
呉越同舟効果「5本の樹計画」の本領発揮積水「品川シーサイド」1期207戸!(2017/3/24)
首都圏初「実質CO2ゼロ」タワーマンション 設計・施工は竹中 関電不開発「南麻布」
「シエリアタワー南麻布」
関電不動産開発が分譲中の「シエリアタワー南麻布」を見学した。同社の首都圏初&南麻布アドレス初、さらに首都圏初の「実質CO2ゼロ」のタワーマンションで、設計・施工が竹中工務店というのも特筆できる正統派億ションだ。
物件は、東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅から徒歩9分、港区南麻布三丁目の商業地域・第2種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約2,467㎡、27階建て全121戸。専有面積は42.94~174.24㎡。供給開始は昨年12月で、第1期1次(36戸)の専有面積は約71~115㎡、価格は2.6億~9億円(最多価格帯4.3億円台)。竣工予定は令和8年10月中旬。設計・施工・監理は竹中工務店。販売代理は住商レジデンシャル、長谷工アーベスト。
従前敷地はオフィスビル。敷地南側が明治通り-高速道路に接道。主な基本性能・設備仕様は、制震構造、ZEH-M Oriented認定、リビング天井高2500~2950ミリ、ディスポーザー、中層以上は深型食洗機、東京都マンション環境性能表示★13個(再エネ設備・電気のみ★1個、他は満点の★3個)など。住戸は1フロア3~5戸。
特徴の第一は、関西電力の再生可能エネルギー由来の実質CO2フリーのゼロカーボン電気を一括受電し、さらにオール電化方式を採用することで、物件全体におけるCO2排出量を実質ゼロにした首都圏初のマンションであること。
第二は、港区の「建築物等の整備に関する基準」で建物の絶対高さが40m以下に定められているエリアだが、①歩道状空地の確保②敷地内通路の整備③広場状空地の確保④地域防災倉庫の設置などにより、高さ制限が94.7mまで緩和されていることで、これにより南麻布アドレスで初のタワーマンションが実現した。
さらにまた、工期が2024年7月から2026年10月まで27か月と短いことがあげられる。これは既存建物の地下躯体を活用する竹中の技術によるものとの事である。建物の階数からいって通常なら30数か月かかると思われる。
同社は、現在工事中の「虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業(業務棟)」のような大規模開発や中・小規模ビル開発、さらに今回のようなマンションやホテル、商業施設、賃貸住宅などを首都圏で積極的に展開していく。マンションは「シエリアシティ横浜東戸塚」(482戸)「シエリア杉並高井戸」(110戸)などが予定されている。
ガーデン
ラウンジ
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久々に本格的な正統派億ションを見た。同社のプレス・リリースによると、「ゼロカーボン電気」×「オール電化」×「タワーマンション」を組み合わせた首都圏初の「実質CO2ゼロ」タワーマンションが〝売り〟のようだが、記者はこれに〝竹中工務店の設計・施工〟を付け加える。
模型、モデルルームをみですぐその良さが分かった。明治通りに面していることをどう評価するかだが、外観フォルム(とくに北側)が美しく、仕上げは一部の隙もない。
外観デザインは、やはり設計・施工を竹中工務店が担当した「元麻布ヒルズ」と似ており、キノコのように上層階が突き出ている〝異形〟のフォルムと言えなくもないが、北側はほとんどシンメトリーだ。敷地北側には「元麻布ヒルズ」や「六本木ヒルズ」など一部しか高層建築物はないので、麻布エリアを展望することができる。そしてまた、麻布方面からはこの美しい建物を見上げることになる。
モデルルームは115㎡と87㎡の2タイプで、とくに115㎡が素晴らしい。玄関ドアを含めて突板ナグリ仕上げがドア、壁、収納扉などに多用されており、壁面には、ベり材のえも言われぬ文様が浮き出ている。ドアハンドルはカチッと閉まるコロンボ。浴槽はジャクソン。その他、巾木に至るまで奇を衒った仕上げは一つもない。
竹中施工のマンションはバブル期には結構見られたが、最近は少ないはずだ。直近では2023年竣工の「MEGURO NARK(目黒マーク)」くらいしか。東京本社のデベロッパーは、関西でのマンション事業を積極化させているが、それに対抗するように関西のデベロッパーも〝負けたらあかん東京に〟とばかり首都圏での事業を強化に乗り出した。面白い展開になってきた。
現地
緑被率43%(分譲棟)ランドスケープが最高 JR東日本・野村不「MEGURO MARC」(2023/12/9)
中古マンション価格 12年間で2倍以上 成約件数も増加 2024年 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1月22日、首都圏の2024年の不動産流通市場の動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は37,222件(前年比3.4%増)で、2年連続で前年を上回った。都県・地域別では、神奈川県他地域(横浜川崎以外)を除く都県・地域で前年を上回った。成約物件の1㎡当たり単価は首都圏平均で76.88万円(同6.9%上昇、坪単価253.7万円)で、12年連続の上昇。この12年で101.3%と2倍を超える上昇となった。成約価格は4,890万円(同6.9%上昇)で、12年連続で上昇。成約物件の平均専有面積は63.60㎡(同0.05%縮小)とほぼ横ばい。平均築年数は24.53年(前年23.83年)で、経年化が進んでいる。
中古戸建住宅の成約件数は14,182件(同10.2%増)と3年ぶりに前年を上回った。成約価格は首都圏平均で3,948万円(同2.6%上昇)と4年連続で前年を上回った。成約物件の平均土地面積は142.25㎡(同1.1%縮小)、建物面積は103.91㎡(同0.05%縮小)。平均築年数は22.22年(前年21.82年)で、経年化が進んでいる。
業績好調なのに供給減 売れ行き悪化 在庫率30%の不思議 2024年首都圏マンション
カバー率=供給戸数÷着工戸数
不動産経済研究所は1月23日、2024年の首都圏新築分譲マンション市場動向をまとめ発表した。
発売戸数は2万3,003戸(前年比14.4%減)で、1973年以降で最少となった。エリア別は東京23区8,275戸(シェア36.0%)、東京都下2,041戸(同8.9%)、神奈川県4,917戸(同21.4%)、埼玉県3,313戸(同14.4%)、千葉県4,457戸(同19.4%)。
初月契約率は66.9%で前年の70.3%から3.4ポイントダウン。戸当り平均価格は7,820万円(前年比3.5%下落)、1㎡当り単価は117.7万円(同4.0%下落)。販売在庫数は6,814戸(前年12月末比531戸の増加)。
2024年の特徴として①発売戸数は東京都の着工減などが響き調査開始以来の最少に②価格は戸当たり、単価ともに高値継続。東京23区は2年連続で1億1,000万円台乗せ③初月契約率は2020年(66.0%)以来の60%台に下落④この他に定期借地権付き物件が547戸⑤1都3県以外では茨城県南部で222戸を発売-などとしている。
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上段は同研究所が発表したリリースをそのままコピペした。記者もずいぶん昔、首都圏のマンションと分譲戸建ての販売動向調査を行ったことがあるので、その大変さはよくわかるのでコメントなどしたくないが、添付した記事の通り、2024年の着工戸数は前年を上回るのは確実だが、半面、カバー率(発売戸数÷着工戸数)は50%を割るのがほぼ確実となった。中でも神奈川県のカバー率は3割台にとどまりそうだ。
初月契約率が70%を割ったのと、完成在庫が約6,800戸もあるのはよくわからない。供給上位のデベロッパーの業績は押しなべて好調で、計上予定に対する契約進捗率は2Q段階で90%を超えている。業績はいいのに売れ行きは悪い。これをどう説明するのか。
完成在庫の多さも不可思議だ。約23,000戸の供給に対して在庫が約6,800戸だから在庫率は29.6%だ。これだけ残ったらまず利益は出ない。大赤字だ。売れないマンションだけが供給されていることでもないはずだ。
ただ、着工≒供給であれば、2024年の着工戸数は5万戸超となる見込みなので、だとすれば着工戸数に対する在庫率は10数%になる。やや多いようだが、危険ラインではないような気がする。
いずれにしろ、同研究所もメディアもシンクタンクも着工戸数と供給戸数との乖離について調査、取材して公表してほしい。やろうと思えばすぐできる。
マンション供給量は着工戸数の半分以下の不思議整合性図るべき(2025/1/8)
マンション供給減=市場縮小ではない戸建ても底入れ・回復へ今年の分譲住宅市場(2025/1/6)