ケイアイスター マンション市場本格参入 3年後300億円 「大宮」はグロス圧縮

「K HOUSE 大宮」
ケイアイスター不動産は3月2日、マンション「K HOUSE 大宮」のメディア向け見学会を行った。リクルートの「住みたい街(駅)ランキング」で14年連続埼玉県1位(2025年2位)の大宮駅東口から徒歩8分、全住戸角住戸で敷地北側は小学校に隣接。専有面積を圧縮し、単身・DINKSにターゲットを絞り込んでいるのが特徴。
物件は、大宮駅から徒歩8分、さいたま市大宮区仲町三丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)に位置する敷地面積約619㎡、13階建て全45戸。専有面積は43.01~55.89㎡、価格は未定だが5,400万円台から、坪単価は540万円を予定。竣工予定は2027年8月31日。設計・監理は西尾建築設計。施工は新日本建設。管理は新日本コミュニティー。販売代理はシティインデックス。販売開始は3月中旬。
現地は、商住混在エリアの一角で、敷地北側は小学校。氷川参道に近接(徒歩2分)。建物は内廊下方式を採用し、1フロア4戸構成、全戸角住戸タイプで、40㎡台が43戸、55㎡台が2戸。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食洗機、ウルトラファインバブルなど。
同社グループのケイアイスタービルド営業部マンション課参事・福田伸矢氏は「グロスを抑えた。坪単価700万円の『浦和』には負けない。2年前、マンション課を設置した。3年後には売上高300億円を目指す」と、同社広報部部長・堀込勇介氏は「(RBA野球の同社エースで取締役常務執行役員Co-CSO・浅見匡紀氏)浅見? 元気。毎日10キロ走って出社している」とそれぞれ語った。

モデルルーム

現地(敷地南側から写す)
◇ ◆ ◇
人それぞれで、何を重視するかで街の評価は異なるが、街の賑わいを重視すれば、「住みたい街(駅)ランキング」で「横浜」に次ぎ首都圏2位に「大宮」がランクインしているのは納得する。都心部の主要ターミナル駅と横浜には負けるが、他には負けない。大宮駅グランドセントラルステーション化構想など再開発計画がいくつもあり、今後の発展がさらに期待される。
取材の帰り、駅に近い飲食店でビールとわが三重県の瀧自慢、ザ・マッカラン12年ものを飲んだ。雑多な街も魅力の一つだ。
同社がマンション事業に本格参入するのは大賛成。市場縮小が続く中で、後発が消費者の評価を受けるためには徹底した差別化が必要だと思う。浅見さんも頑張れ。
申し分ない住環境 平均専有面積85㎡ ケイアイスター不動産「仲町台」(2025/10/24)
タウン快勝 投げて打って松原 サイクル安打5打点 ケイアイスター浅見の1打点のみ(2025/10/9)
〝不惑超え〟エース 本業も率先垂範 好調ケイアイスター・浅見匡紀氏(41)に聞く(2020/7/7)
タカラレーベン コンセプト特化型賃貸第二弾 ペットと共生がテーマの「藤沢」完成

「LUXENA+ PAWS藤沢(パウズフジサワ)」
タカラレーベンは2月25日、同社のコンセプトに特化した賃貸マンションシリーズ「LUXENA+(ラグゼナプラス)」の第二弾「LUXENA+ PAWS藤沢(パウズフジサワ)」のメデイア向け見学会を行った。全41戸の大半を60㎡以上とし、ドッグラン、トリミングルームを共用部に設置するなど、大型犬の飼育も可能な商品企画に特化しているのが特徴。賃料設定は高めだが、約4割が契約済み。
「LUXENA+ PAWS藤沢」は、一般的な「ペット飼育可」の賃貸ではなく、良質な暮らしを提供する「LUXENA」で、「高級賃貸×ペットフレンドリー」をテーマにしたコンセプト型賃貸マンション。
共用施設には天然芝の100㎡超の天然芝ドッグランやウルトラナノバブルのシャワー付きドッグバス、箱型乾燥機も装備したトリミングルームを備え、各住戸にはペットに配慮したフローリングや腰壁クロス、ナノイー発生器を採用しており、獣医師などの専門家による24時間電話相談(アニコム24)サービスにも対応している。ファミリータイプでは大型犬を含め最大4匹まで飼育可。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2400ミリ、食洗機(ファミリータイプのみ)、バックカウンター・収納、二重サッシ(敷地南側はJRの線路)、バリアフリー玄関(框の小上がりなし)、ワイドスパンなど。
坪賃料は、周辺相場より2割くらい高い11,700円だが、30~40代のファミリーを中心に約4割が契約済み。ペット飼育者は約半分。
物件は、JR・小田急線藤沢駅から徒歩12分、藤沢市弥勒寺一丁目の第一種住居地域に位置する7階建て全41戸。専用面積は35.18~66.04㎡。坪賃料は11,000円。設計・監理はDAN都市デザイン。施工は新都市建設。竣工は2026年1月27日。

4.8]畳大の「Multi Room」

玄関もバリアフリー

トリミングルーム
◇ ◆ ◇
約62㎡のモデルルームを見学して驚いた。玄関を入ってすぐ隣にタイル張りの約4.8畳大のMulti Roomが目に飛び込んできた。大型犬の〝個室〟利用を想定したものだった。2つの居室の広さは4.5畳大と4.0畳大だから、それより広い。
この住戸だけでなく、他の住戸とも玄関と上がり框はバリアフリーになっていた。理由を聞いたら、小型犬などは框につまずいて怪我をすることもあるそうだ(本当だろうか)。
間口の広さは分からないが、Cタイプは7200ミリある。床暖房や「たからの水」などは装備されていないが、居住性能は高い。家賃は高いような気もするが、仮に、これが分譲マンションだったら坪300万円以上はする。利回り6%として坪18万円だ。分譲も賃貸もどんどん高くなっている。
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取材後、以前にも紹介したことがあるが、写真が抜群に美しく、記事もとても面白い、小生より一つ年上の写真家で「ココログ」のブロガー「融通無碍」氏と藤沢駅の超人気店という「古久家」で歓談した。URLを添付する。〝お気に入り〟に登録することをお勧めする。
タカラレーベン「ミライ人間洗濯機」お披露目イベントに35社54人メディア殺到(2026/1/22)
時は春、すべて〝外〟は音もなし 全戸防音ルーム付き タカラレーベン「南千住」(2025/4/8)
オープンハウス〝イノバス〟第一号「不動前」 情報サイトの全国人気№1

「イノバス不動前」
オープンハウス・ディベロップメントが分譲中の「イノバス不動前」(建設中)を見学した。同社が謳う〝便利地、好立地〟を生かした1LDK~3LDK+SRまで多彩なプランが特徴で、マンションブランドを〝イノバス〟にリブランディングした第1号物件。不動産情報サイト「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」の「2025年度 新築マンション人気ランキング」で全国1位に選出されたという。
物件は、東急目黒線不動前駅から徒歩3分、品川区西五反田四丁目の近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率300%)・第一種住居地域(同60%、同200%)・商業地域(同80%、同500%)に位置する敷地面積約3,331㎡、9階建て延床面積約12,160㎡。先着順で分譲中の住戸(3戸)の価格は12,998万~34,798万円、専有面積は64.35~105.43㎡。竣工予定は2026年8月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
現地は、桜並木が美しいかむろ坂沿い。従前は駐車場。住戸プランは神室通りに面した南東向きと、北西向きが半々。全体では、専有面積は約35㎡から150㎡台、間取りは1LDKからファミリータイプの3LDK+SRまで64タイプの多彩なプランを揃えているのが特徴。2024年11月から販売を開始しており、これまで7割を成約済み。モデルルーム来場は約1700組超。

モデルルーム(コンセプトルーム)

現地
〝一生に一度〟⇒〝一生に三度〟2次取得層5割超 売却益3000万円超 野村不の顧客

中村氏(左)と吉村氏(BLUE FRONT SHIBAURAで)
野村不動産は2月19日、報道機関向け住宅事業スモールミーティングを開催し、同社取締役専務執行役員住宅事業本部長・中村治彦氏と、同社取締役専務執行役員住宅事業副本部長・吉村哲己氏が分譲マンション市場を中心に、分譲戸建て、リノベーションマンション、賃貸住宅、サービス付き高齢者向け住宅など、顧客ニーズを取り込み、住宅事業の〝深化〟と〝進化〟を進めると語った。
まず、同社は2024年のマンション供給戸数は3,584戸と全国1位の供給実績(不動産経済研究所調べ)があり、過去10年間においても、継続的にTOP3以内を維持し続けていると説明。マンション業界を取り巻く環境としては、建築費指数(工事価格)は2015年基準に対して38%上昇、労務単価は働き方改革や労働者不足の影響を受け、今後も上昇基調見込み(2015年比で49%上昇)、用地の仕入れ環境においても、各社厳しい状況が継続しているとした。
東京都の人口・世帯数は予想を上回り、厚い需要基盤を形成しており、2023年以降、東京都の賃上げ率は大幅に上昇。勤労者世帯の世帯年収は増加傾向にあり、住宅ローン金利は利上げの動きが見られるものの、依然低金利である状況は変わらず、「消費者の住宅取得意識の旺盛さ」が継続すると見ている。
マーケットのトレンドとしては、2013年をピークに供給戸数は減少、2025年は21,962戸となり、首都圏平均価格は9,182万円、坪単価460万円と上昇が継続。価格高騰が継続するマーケット下ではあるものの、供給戸数減少により需要が維持されている状態にある一方で、初月契約率は直近では好調ラインである70%を下回っており、エリアや物件ごとに好不調が出始めており、濃淡がより鮮明になっていると指摘した。
エリア別では、23区の平均価格は1.3億円台、都心6区は1.9億円台と首都圏平均を大きく上回っており、千代田区・港区・渋谷区では2億円超が3割以上を占め、異なる価格感のマーケットを形成。新築マンション価格の上昇に伴い、リノベーションや間数・広さが確保できる都市型戸建のニーズの高まりも見られるとしている。
定借マーケットについては、取得の難化、価格高騰を背景に都市部を中心に定期借地権物件の増加が見込まれ、2025年は供給戸数1,500戸と前年の2.7倍になると予想。
中古マーケットについては、新築マンションの価格高騰から中古ニーズも拡大、成約数・価格ともに伸びており、都心部は売出価格が成約価格を大きく上回り、強気の売り出しが続く売り手市場を形成。成約価格は首都圏平均で164%・23区では181%と高いリセールバリュー、売却・購入の両面で活発な状況を呈していると説明した。
賃貸マーケットは、成約件数は年々増加傾向で、平均賃料も全タイプで上昇と好調なマーケットを形成、ストック全体の入れ替え時賃料(賃料変動率)も上昇が継続しており、広めの間取りほど変動率は高いとしている。
顧客動向については、同社が行った首都圏居住者2,982件を対象にしたアンケート調査結果を報告。年収は、単身者は1,000万円以上が62.1%、世帯は1,200万円以上が68.8%、83.3%が共働き世帯で、テレワーク実施率は51.7%。
顧客の趣向サマリとして、①8割弱の人は住宅購入マインドが高いと回答(昨対比2.5pt低下)、特に予算1億円以上顧客の意欲が高く、全体の数字を大きく押し上げている②都心志向が継続しており、現在のエリアよりも都市の内側に入ろうとする動きが強い。一方、都心6区居住者は城西エリアへの流出もみられる③面積帯では70~80㎡希望が継続してボリュームゾーンで、昨年同様の傾向。駅近ニーズが前年よりもやや強まっている④予算を上げてでも得たい間取りや生活動線の良さ、日当たり・方位など条件上位は継続。「共用部の充実・仕様」を求める層は6割が1,000万円以上かけてもいいと回答⑤収納スペースや水回り設備(食洗機・浴室乾燥機等)は継続してニーズが高い⑥世帯年収1,500万円以上の割合が約半数と過去最多。予算も1億円以上で3割強。金利は上昇すると考える層が約8割だが、購入時期に影響がないとの回答も約8割となっている。
また、昨年の傾向同様に「都心6区」に対する流入が多く、特に城東エリアは流出者の半数を占めており最大となっており、都心6区内の居住者においても8割近くが同エリア内で検討しており、需要の底堅さがうかがえるとしている。
顧客動向トピックス・マイホームの概念変化として、購入目的は自己居住用の実需が中心であるが、永住予定は2割程度にとどまり、1次取得、2次取得層の共に購入前から将来の住み替えを前提に家探しをしているなど 「一生に一度の買い物」から「一生に三度の買い物」を志向する人が多いとしている。
購入意欲に影響を与える要素としてライフイベントなどの実需に加え、「資産性」「値上がり期待」などが年々増加しており、給与以外に副収入がある人は5割に上り、日ごろから資産形成や投資的志向も強く、「住むためのマイホーム」から「住みながら資産となるマイホーム」という認識に推移しているとしている。
同社物件への反応者は、2次取得層は過半を超え53%と年々増加にあり、売却意向は6割、うち売却益の見込みがあると回答した人は9割に上っている。同社物件の購入を検討している人のうち、3,000万円以上の利益予定の人が約5割、都心6区居住者、予算~2億円未満では5,000万円以上の利益予定の人が約5割を占めている。
今後の首都圏マンション市場は、人口・世帯数の厚い需要基盤に支えられ、堅調を維持し、物件価格の上昇に対し、年収倍率は微増で維持し、持家志向・資金計画ともに底堅く、また優良なストックも多く存在する年、今後も安定的な供給を目指していくと締めくくった。
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昨年の12月3日、三菱地所レジデンスはメディア向け懇談会を開催し、同社代表取締役社長・宮島正治氏(2026年4月1日付で三菱地所代表執行役執行役専務に就任予定)が約40分間、マンション事業について熱弁をふるったが、この日の中村氏と吉村氏の話も、予想はしていたがすさまじかった。
高額分譲マンションの用地ストックは6,000億円を超えているという、その代表的物件である「愛宕地区第一種市街地再開発事業F地区」「西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業A街区」について具体的な話が出るのではないかと思ったが、出なかったのは残念だった。
「一生に一度の買い物」から「一生に三度の買い物」志向が強まっているのは分からないでもないが、宮島氏は今年の年頭所感で「2026年は、マンションの付加価値がより一層重視されると考えている。『ザ・パークハウス』のコアバリューは『一生ものに、住む。』」としていた。どちらも正解なのだろうが、微妙な差があるのが面白い。両社に亀裂は入らないだろう。
2025年末の完成在庫率〝最悪〟の16%マクロデータでは見えないマンション市場(2026/2/23)
首都圏最大1,100坪マンションギャラリー野村不「芝浦」「新宿」と同じあふれる緑(2026/2/19)
「葉山に住みたい」「湯沢買った」「誰も本音はかない」三菱地所レジ宮島社長(2025/12/5)
2025年末の完成在庫率〝最悪〟の16% マクロデータでは見えないマンション市場
2025年 東京の供給は着工の半分以下 千葉は着工上回る〝怪〟
野村不動産は先日(2月19日)、報道機関向け住宅事業スモールミーティング&「プラウドギャラリー芝浦」見学会を行った。マンションギャラリーの記事は紹介したが、スモールミーティング関する記事を紹介する前に、業界関係者も意外と分かっていない基礎データについて書く。
まず、着工戸数と供給戸数の乖離について。この問題については、これまで何度も書いてきたので、そちらの記事を参照していただきたい。要は、不動産経済研究所が発表する供給戸数は着工戸数の半分に過ぎないということであり、残りの消えたマンションはどこに行ったを探る必要があるということだ。
2025年はどうか。着工戸数40,305に対し、供給戸数21,962戸で捕捉率(カバー率)は54.5%だ。都県別では、東京都の着工戸数24,238戸に対し供給戸数は10,316戸でカバー率は42.6%、神奈川県は着工9,070戸に対して供給は4,918戸でカバー率は54.2%、埼玉県は着工4,416戸に対して供給は3,153戸でカバー率は71.4%、千葉県は着工2,581戸に対して供給は3,078戸でカバー率は119.3%となっている。
千葉県のカバー率が100%超なのは、2025年前に着工された物件が供給されたためで、カバー率は東京、神奈川が高く、埼玉、千葉が低いのは、30㎡未満の動向、インナー販売、再開発・建て替えなど地権者住戸に割り当てられるマンションが多いか少ないかを示している。マクロデータだけでは正確な市場を把握できないということだ。
完成在庫率〝最悪〟の16.7% それでも好調市場の〝謎〟
完成在庫について。2025年12月末の完成在庫は3,678戸で、供給戸数に対する完成在庫率は16.7%となっている。この数値をどう見るかだが、リーマン・ショック後の最悪市場だった2009年の完成在庫は約4,800戸(推計)で、完成在庫率は13.2%だった。それを上回っている。数値だけなら〝最悪〟の市場だ。
記者は適正在庫率(顧客の多様なニーズに応えられる)は年間供給量の1か月分(8.3%)と見ているので、10%超は危険ラインだ。銀行の貸出金利が低いからいいようなものの、販売が長期化すれば経費も掛かるし、管理・維持費も負担になる。間違いなく収益を圧迫する。
それでも、大手デベロッパーの直近の決算は軒並み絶好調で、粗利益率は20%どころか30%超えも少なくない。完成在庫は激減している。
この不可解な数値をどう読むかだが、前述したように、着工戸数と供給戸数の間にはかなり隔たりがあることに注目しなければならない。市場構造が激変しているのだ。完成在庫率は供給戸数に対してではなく、着工戸数に対する割合で見る必要もあるということだ。それで計算すると2025年の完成在庫率は9.1%だ。適正在庫率よりは高いが、2009年の12.0%を下回っている。
今後、完成在庫率がどうなるか読めない部分も多いが、金利動向、市場動向次第で収益に大きな影響を与えるので注視する必要がありそうだ。とくに郊外部は商品企画力が問われることになると見ている。
首都圏最大1,100坪マンションギャラリー 野村不「芝浦」「新宿」と同じ あふれる緑(2026/2/19)
新卒女性〝めっちゃ住みたい〟フージャースコーポ シニア向け「千葉蘇我」完成

「デュオセーヌ千葉蘇我」
フージャースコーポレーションは2月20日、分譲中のシニア向けマンション「デュオセーヌ千葉蘇我」が竣工したのに伴う関係者・メディア向けお披露目会を開催した。シリーズ15棟目となる物件で、すでに約6割強の成約があり、隣接する一体開発した同社のファミリー向けマンション「デュオヒルズ蘇我ザ・スカイ」(263戸)も9割弱が成約している。
物件は、JR蘇我駅から徒歩12分、千葉市中央区宮崎一丁目の第一種住居専用地域に位置する敷地面積約4,955.21㎡、7階建て延床面積約11,374㎡の全144戸。現在分譲中の専有面積は50.37~63.73㎡、価格は3,490万~6,500万円。坪単価は250万円。レンタブル比率は約85%。竣工予定は2026年2月中旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
1階にレストラン、プレイラウンジ、多目的室、カラオケルーム、温泉大浴場(人口)などを設けているほか、無料シャトルバス、見守りサポート、健康サポート、介護サポートなどのサービスが受けられる。建物内に介護事務所が併設される予定。
これまで約6割強が成約しており、入居予定者の年代は50歳代から90歳代まで(平均71歳)と幅広く、夫婦入居は約4割。約4割がリバースモーゲージを利用している。
同社はこの種のシニア向け所有権付きマンションの草分け的な存在。入居制限が40歳以上という制限はあるが、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と異なり、所有権付きであるため住宅ローンが利用でき、売却も自由なのが特徴。

内観

ラウンジ

レストラン
◇ ◆ ◇
モデルルームを見学したとき、同社社員ではなさそうな若い女性2人がいたので声を掛けた。広告代理店に勤める新卒だった。そのうちの一人は「めっちゃ住みたくなった」と話した。何がいいかと尋ねたら「廊下が広い(メーターモジュール)。私は両手に荷物を抱えて横歩きしている。引き戸が多くて、使いやすさそう」と答えた。ご両親は50歳代で、十数年前に購入した川崎市内の戸建て(豪邸ではなさそう)に住んでいるのだそうだ。
みなさん、いかがか。記者は40年も昔からユニバーサルデザインを採用すべきと書いてきた。廊下・階段幅をメーターモジュール化しているハウスメーカー・デベロッパーは数えるほどしかない。年寄りだって若い人だって廊下幅が広いほうがいいに決まっている。〝コスバ〟だか〝タイパ〟だか〝メンパ〟だか知らないが、これからの住宅はメーターモジュールが当たり前になるはずだ。
同社の営業担当者からも面白い話を聞いた。話題は「デュオセーヌ東京ジャイアンツタウン」に及び、小生が「あれはジャイアンツファンにはたまらない」と話したら、「確かに。広めを希望される方が多いと聞いている。単価も300万円台半ばで価格も安い。すでに50戸くらいが売れているのではないか。顧客を『ジャイアンツタウン』に奪われている」と答えた。
単価について。記者は「ジャイアンツタウン」の坪単価を320~350万円と予想したが、そんなに外れていないようだ。今回の「蘇我」も共用部分の価値を考えあわせれば〝めっちゃ安い〟。土地を安く仕入れることができて、資材が暴騰する前に着工したからこれだけの単価に抑えられた。今なら坪300万円でも無理なはずだ。
同社に注文もある。〝シニア向け〟もいいが、今回のように親子が近居できる、あるいは臨居できる、さらには若いファミリー層向けと混在するマンションを開発すべきだと思う。小生は、じいさんばあさんだけの共同住宅には住みたくない。若い人も年寄りも、お金持ちも貧乏人もあらゆる階層・階級の人が住むのが街だ。記者は、これだけ価格が上昇しているのだから、専有圧縮を図って価格を抑え、その代わり共同利用できる設備を備えれば、Z世代に大うけすると考えている。
ものはついでだ。メディアに一言。記者は、お呼びがかかる現場取材をすべて受け入れている。得意分野だとか企業の大小で差別など一切しない。だから、公平にモノが見えていると思う。マンションのモデルルームを見て瞬時に坪単価をはじき出せるのはそのお陰だ。
しかし、小生のように楽しい取材をしている記者は圧倒的に少ないと断言できる。吉永小百合さんがゲストとして招かれた三井不動産の「パークウェルステイト西麻布」の発表会には約100人の報道陣が集まったのは別格としても、大手デベロッパー・ハウスメーカーの発表会・見学会に数十人が出席するのに、そうでないと激減する。要するに上っ面をなでることしかしない。現場取材より重視しなければならない仕事はあるのか。拝金主義、事大主義は感極まった。

外構

左が「デュオセーヌ千葉蘇我」、右が「デュオヒルズ蘇我ザ・スカイ」
垂涎の的巨人2軍戦がタダで観戦可フージャースコーポ「東京ジャイアンツ」(2025/10/16)
フージャースシニア向け分譲 10年間で15棟約2800戸「さいたまサウス」見学会(2025/3/15)
. ファミリーとシニア向け一体開発フージャース「蘇我」「オハナ」と合わせ500戸超(2024/6/21)
他に比肩するものなし三井不レジシニア向け「パークウェルステイト西麻布」開業へ(2024/7/30)
ファミリーとシニア向け一体開発フージャース「蘇我」(2024/6/21)
フージャースHD シニア向け「デュオセーヌ豊田」竣工半分強が契約済み(2019/8/7)
フージャースシニア向け「ちはら台駅前」入居前に6割が契約・申し込み済み(2018/1/22)
高級住宅街の一角にシニア向けフージャース他「デュオセーヌ緑山」(2016/10/11)
根づくかシニア向け分譲マンション年間500戸の市場へ(2015/1/26)
首都圏最大1,100坪マンションギャラリー 野村不「芝浦」「新宿」と同じ あふれる緑

「プラウドギャラリー芝浦」エントランス(グリーンは本物)
野村不動産は2月19日、本社ビルのある「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」8階に、同社最大の新築分譲マンション販売拠点「プラウドギャラリー芝浦」を開業すると発表。同日、メディア向けに公開した。
広さは約1,100坪(3,630㎡)の大規模販売拠点で、同社の「プラウドギャラリー新宿」の約1,320㎡はもちろん、これまでの首都圏最大級の住友不動産「総合マンションギャラリー新宿館」の約1,700㎡をはるかに上回る規模。フロアデザインはFLOOATが担当している。観葉植物をふんだんに設置し、リラックスできる空間演出を行っているのは「新宿」と同様。
分譲マンションのコンセプトルーム、各種デジタルコンテンツのほかインテリアの提案も可能な「インテリアサロン」を設置。グループ会社の野村不動産ソリューションズと連携し、物件の売却サポートもスムーズに行う体制を整えている。
ウェルカムラウンジでは、「Tourism」をコンセプトに4面LEDを活用し、同社の住宅事業以外の取り組みも紹介する。2027年までに累計10物件以上の新築分譲マンションを取り扱う予定。

ウェルカムラウンジの4面LED

接遇エントランス

おもてなしの生花

接客個室

接客個室

90㎡台のコンセプトルーム

「インテリアサロン」
◇ ◆ ◇
全フロア約1,100坪のうち約300坪は「OWNERS SALON」に当てられているのだが、約800坪の「GUEST SALON」が最高に素晴らしい。あれやこれや書かない。写真を観ていただきたい。
コンセプトルームは70㎡台と90㎡台の2タイプ。70㎡台は坪数百万円円から1,000万円以下の標準的な仕様で、一方の90㎡台は坪1,000万円から2,000万円くらいのレベルだと思った。明らかに仕様が異なる。天井高は前者が2470ミリ、後者が2600ミリ。天井高はマンションの質を測る分かりやすいものさしの一つだ。記者は必ず確認する。
ただ、今年分譲予定の同社の目玉物件の一つ「愛宕地区第一種市街地再開発事業」は坪2,500万円とはじいているのだが、コンセプトルームの仕様では物足りないと思ったので担当者に聞いたら、「愛宕」は別にモデルルームを設置するとのことだった。つまり、「愛宕」は今回公開する90㎡台のコンセプトルームよりさらにグレードを上げることが分かった-これで坪2,500万円予想は現実味を増したと記者は勝手に思っているのだが…皆さんの予想はどうか。
あふれる本物の緑デジタル技術駆使した仕掛けも阪急阪神不新宿に常設モデル(2025/4/17)
. 徒歩10圏内で9駅13路線が利用可能パークビュー売り積水ハウス「御徒町公園(2025/2/22)
まるで植物園五感で体験できる野村不動産マンション総合ギャラリー「新宿」(2023/2/21)
令和の住まいトレンドは「癒し消費」「メンパ」オープンハウス&Afternoon Tea調査

左から和泉氏、太田氏、榎戸氏(GINZA SIX オープンハウス「INNOVACIA(イノベシア)サロンで)
オープンハウスグループのオープンハウス・ディベロップメントは2月18日、Afternoon Tea LIVING(アフタヌーンティー・ラウンジ)」と共同で行った「ひとりの時間(ME TIME)」に関するアンケート調査結果を発表した。両社の「お客様の声を大切にする」共通理念に基づき、より快適で魅力的な住まいと暮らしのあり方を追求し、今後の商品開発や新たな価値創造につなげるのが目的。
調査は、2025年9月から11月末まで全国のアフタヌーンティーのメンバーズ会員と、オープンハウス・ディベロップメントのマンションを購入した世帯の男女5,008人(マンション購入者103人)が対象。メンバーズ会員は女性が87%を占め、40~50代が約60%。オープンハウスのマンション購入者は1~2人居住が74%で、年代は30~40代が約60%。
調査結果についてオープンハウスグループコミュニケーションデザイン本部広報PR G係長・和泉華乃子氏は次のように報告した。
「直近一週間で、ほっと一息する時間はありましたか? 」の問いには、「ある」と「どちらかというとある」と答えた人は78.4%で、「直近一週間で、オンオフは切り替えられていましたか? 」では74.5%が肯定的な回答をし、「ME TIMEを確保することは大切だと思いますか? 」についてはほとんど「そう思う」と回答した。
ME TIMEを1日どれくらい確保できているかの問いでは、「30分未満」が15.7%、「30分~1時間」が30.6%、「1時間~2時間」が28.4%、「2時間以上」が45.2%だった。ME TIMEを1日にどれくらい確保したいかの質問には、「1時間~2時間」が33.0%、「2時間~3時間」が30.5%、「3時間以上」が27.0%だった。
ME TIMEの目的については。「リラックス」が40.4%、「リフレッシュ」が30.5%で、休息、創作活動、自己成長などが続いている。
ME TIMEを確保する際に困る要素としては、「家族や同居人がいることで物理的にひとりになれない」人は66.0%、「家事や残業など日々の作業で物理的に時間が取れない」人は79.1%だった。
家のどんな空間でME TIMEを過ごしているかの質問では、「リビング」がもっとも多く46.6%、「自分の部屋」が26.5%、「寝室」11.2%、「おふろ場」7.1%などと続いた。ME TIMEを過ごしたいと思う空間もME TIMEを過ごしている空間とほぼ同じだった。ME TIMEに利用している雑貨はマグカップ、紅茶、クッション、アロマや香りなど。
和泉氏は、総括として時間不足以上に「空間不足」の現状があり、令和の住まいトレンドは「癒し消費」「個室への回帰」「心のシェルター」だと語った。
続いてオープンハウス・ディベロップメントマンション開発事業部首都圏建築部オーダーシステムG課長代理・太田紗生氏は、同社のオーダーシステム、アップグレード対応、間取り変更などについて説明した。
Afternoon Tea LIVINGブランド戦略部コミュニケーション課・榎戸胡桃氏は、同社のマグカップやティーフォーワン、フレグランス、アロマ商品、お菓子などを紹介し、お土産としてプレゼントした。

紹介されたAfternoon Teaの商品

「INNOVACIA(イノベシア)サロン」エントランス
◇ ◆ ◇
同社の取材案内の冒頭には「令和は『タイパ』や『コスパ』に続く『メンパ』を重視した○○消費!? 」とあった。タイパやコスパは、わが国でいえば、バブル崩壊後に生まれ育ったZ世代(〝失われた35年〟世代)が、時間や費用を重視して合理的に生きようとする考え方なのだろうが、〝メンパ〟はさっぱりわからなかった。「メンタルパフォーマンス」を重視する最近のトレンドのようだ。
会場で配布された資料には「ME TIMEアンケート調査」が大書きされていた。記者は担当者に「MY TIMEじゃないの」と聞いたら、「ME」に誤りはないと。つまり、「I my me」の「me」(目的格)に関するアンケート調査ということだった。
それからずっと「my」と「me」の違い、「個」と「孤」を考えながら、3氏の話を聞いた。調査対象者の詳しい属性は公表されなかったが、圧倒的多数は女性のはずだ(その後、提供された回答者データによると女性の回答者が9割くらいに達していそうだ)。
衝撃を受けたのは、「直近一週間で、ほっと一息する時間はありましたか? 」の問いに、何と「どちらかというとない」と答えた人は860人(17.2%)で、「ない」の220人(4.4%)を合わせ21.6%もあったことだ(この前の衆院選の無所属を含めた全野党の議員占有率は24%)。そしてまた、「ME TIME」を確保できないのは「家事や残業など日々の作業で物理的に時間が取れない」と答えた人が約45%を占めたことだ。
あとの質問の答えは上段の通り。「個」とは、人間も自然もその独自性が尊重されるべきという意味が含まれており、「孤」とは、飲食店で〝おひとり様? 〟と聞かれることもあるが、記者も読んだ上野千鶴子氏の著書「おひとりさまの老後」(文春文庫)の一人ぽっちの世界のことだと思っていた。
いずれにしろ、今回のアンケート調査は「個」と「弧」を考える貴重な資料になる。先に書いたパナソニックホームズのアンケート調査記事と一緒に読んでいただきたい。小生がこの記事を書いている傍で、かみさんは資料を見ながら「私と一緒」と嫌味な一言を発した。
返す言葉などない。悪いのは小生だ。だが、しかし、ものは考えようだ。人間も動植物も環境に適応して生きてきた。「ME TIME」の場所をリビングや自分の部屋と答えた人が大多数を占めてはいるが、「おふろ場」(358人)「寝室」(561人)「ダイニング」(174人)「キッチン」(77人)「トイレ」(30人)「その他」(63人)と多岐に分かれている。ここにヒントが隠されている。時間と場所より大事なのは心の居場所だ。とにかく自立することだ。小生などは、大げさに言えば365日、24時間「自由」だ。
「Afternoon Tea」といえば、デベロッパーでは三菱地所だ。30年くらい前か、アッパーミドルをターゲットにしたどこかのマンションでコラボし、モデルルームを設けた。女性を意識したおしゃれな設えだったのを覚えている。〝便立地、好立地〟のオープンハウスとの相性は分からないが、どんどんやるべきだ。

〝亀は万年〟(高円寺の中華料理店で。親子か夫婦か知らないが、冬季はこのようにして冬眠状態に入るのだそうだ。長生きの秘訣だ。ヒトも亀も地球環境を守らないと万年は生きられないだろう)
家事労働の見える化、専業主婦(主夫)の死語化を 面白いパナソニックホームズ調査(2026/2/18)
オープンハウス ラグジュアリーブランド「イノベイシア恵比寿」(2025/11/26)
「HARUMI FLAG」都と事業者で利益折半へ 利益増は1,000億円(双方500億円)か

「HARUMI FLAG」
東京都が事業者と平成28年4月から開発を進めてきた「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」(以下「HARUMI FLAG」)が令和7年10月に事業完了し、当初、譲渡計画に盛り込まれていた「著しく利益が上がった場合は、譲渡金額について協議する」条項に基づき、協議することが確定した。都は、協議の開始は2027年4月以降で、事業者からの報告を受けて、当初予定額の1%を上回った利益について折半することでスケジュール調整に入ったことを明らかにした。
現段階では、当初予定額からどれだけ利益が上回ったかは不明だ。以下は、記者の予想だ。外れたかと言って責任は取らない。当たるかどうかは半々だと見ている。
まず、当初の事業概要から。「HARUMI FLAG」の施行者は東京都(個人施行)で、施行地区は中央区晴海五丁目の一部、施行面積は約18ha。事業費は約540億円(土地売却価格は約130億円、1種当たり単価は約8万円)。三井不動産を筆頭とする特定建築者が24棟、5,632戸の分譲・賃貸マンションを建設した。マンションは2020年開催される予定だった東京オリンピック選手村として、都が一時的に事業者から賃借することになっていたが、コロナ禍で大会が1年伸びたことから、分譲も1年延期された。
都と事業者が交わした譲渡契約の内容は分からないが、記者は、土地代と当時の建築費などから分譲坪単価は250万円とはじき出した。この価格には絶対的な自信がある。週刊文藝春秋がその後、譲渡契約書を入手し記事にしているが、分譲予定単価は248万円になっていたはずだ。
さて、では、事業者はどれだけの利益を上げたか。2021年の第1期分譲の坪単価は300万円だった。この時点で記者は、利益折半になるのは間違いないと読んだ。2023年に最終分譲されたタワー棟の坪単価は420万円だった。これらから推測して、全分譲マンションの平均単価は坪350万円をくだらないとみた。つまり、当初予定坪単価250万円から最終的には100万円以上上回ったのではないかと思われる。
「HARUMI FLAG」は、分譲と賃貸を合わせて5,632戸のほか、商業施設、保育施設、介護住宅も整備しているので、総売上高が読めないし、販売延期による経費増、資材高騰、人材確保などのコスト増などからどのあたりに着地したのかよくわからない。
よくは分からないのだが、トータルでは当初予定の4,000億円くらいから5,000~6,000億円になったと予測する。粗利益率は25%くらいではないか。これらを勘案して、利益増は好きなく見積もって1,000億円ではないかと。つまり500億円ずつで山分けすると見た。
東京都の年間予算は9兆円超なので500億円は1%にも満たないが、約77万世帯数で割ると1世帯当たり6.4万円になる。小池都知事は批判をかわそうと、苑一部を全世帯に余剰金として配布することもありうると見た。
都とデベロッパーとの間に当初交わされた譲渡契約で「著しく利益が上がった場合は、譲渡金額について協議する」条項について、小池百合子都知事は2019年7月26日の記者会見で、記者団の質問に次のように答えている。
「この条項については、全ての住戸の引渡しが完了しまして、収益が確定した時点で分譲予定収入、1%を超える増収があった場合には、敷地譲渡金額の変更について協議することといたしておりまして、その増収分については、経費などを除いて折半するという確認書を今年の5月に事業者側と取り交わしたということで…」
つまり、全住戸の販売が完了・引き渡しが終了した時点で、当初提出された計画より売り上げ・利益が1%以上上回ったら、その利益を折半するとした。
◇ ◆ ◇
以下に、「HARUMI FLAG」に関する記事約30本を紹介する。いま読み返しても、それぞれの社会状況、マンション市場からして間違った記事を書いてこなかったと思う。
2016年に都が総額約130億円で事業者に用地を売却したのには驚き、「売却価格は公示地価の10分の1」と書いた。当時は日経のWEB・住宅サーチにも記事が転載されていたので、アクセス数は5~6万件に達したはずだ。記事は独り歩きし、何の断りもなしにあちこちに転載されたのにはうんざりした。
土地売却価格から分譲坪単価を250万円と予想したのはかなり勇気がいったが、住宅供給戸数5,632戸(分譲4,14戸、賃貸1,487戸)の多さからして妥当な値付けだと判断した。「地価公示の10分の1以下という安値で売買されたのであるから、デベロッパーはそれに見合う適正価格で分譲し、土地値が安い分だけ購入者に還元すべき」という考えは間違っていなかったはずだ。
裁判については記事を読んでいただきたい。何度か傍聴したが、罵詈雑言の応酬にうんざりした。原告は官製談合と批判するのであれば、証拠を示すべきだったし、被告もまた〝特殊ケース〟を繰り返すのみで、分かりやすい説明を行わなかった。記者なら「都民に買いやすい価格で分譲することのどこが悪い」と居直る。
コロナ禍で販売が1年延長になったときは、記者の基本である〝記事は足で書く〟ことができなかったので、とても苦しかった。オリンピック終了後に分譲された第1期の坪単価が約300万円になった時は、事業者は「利益折半」に舵を切ったと判断した。
引き渡しが伸びたことから、契約者から裁判提起されたが、「天変地異の免責特約」があり、原告が勝訴することはありえないと思った。
マンションの商品企画は最高に素晴らしい。デザイン監修した光井純氏に約1時間にわたってオンラインでインタビューした。光井氏は、「仮に一般的な都市開発として都があの土地を売却したとすれば、分割され、ばらばらに開発されていたかもしれません。選手村として使われるという運命が『HARUMI FLAG』を実現させた。このような街は今後出てくる可能性は極めて少ないと思います」「『浜田山』『「HARUMI』もそうですが、〝他にはない〟〝ずっと住み続けたい〟と思える未来の世代のために良質な住環境を残していきたい。その場所にしかない、美しい花を咲かせたい」と述べた。
また、記者との「美」についてのやり取りでは、「花はがけ地、水辺、森の中とか、それぞれの場所の制約の中で一生懸命咲いています。それぞれが美しく、どれが一番だと比べることはできません。建物も同様に、敷地の特性、気候、場所の文化や歴史などをしっかりと研究しながら建築家が様々な思考を巡らせ時間をかけて取り組んだら、それぞれの場所でその場所でしか咲かない美しい花になれるのだと思います」と語った、
この記事は今でも燦然と輝いている。読まれていない方は是非読んでいただきたいし、現地を見ていない方は是非見学していただきたい。50年近くマンションを取材してきたが、これほどランドスケープデザインが優れたマンションは他にない(「浜田山」も素晴らしいが)。今後も分譲されないだろう。神宮外苑の再開発に反対している方々にも現地に足を運んでいただきたい。プロジェクトを主導したのは三井不だ。いろいろ問題はあるが、三井不は、神宮外苑も「HARUMI FLAG」に負けない街づくりをすると記者は信じて疑わない。
「投資目的」について。記者は、公的資金が投入されている再開発事業などは分譲当初から契約事項に「専ら居住」を義務付け、合理的理由なしに売却することに制限を設けるべきだと思っていた。〝投資目的〟が問題になるのは当然だ。過去にもこのような事例はたくさんある。ただ、ことさらに〝外国人〟をやり玉に挙げるのは明らかな差別だ。外国人であろうと日本人であろうと、守るべきなのは法律・ルールだ。
「事業比率」について。事業者は各社の比率を公表していないが、「利益折半」は事業比率通りに按分されるのか。幹事の三井不も比率はそんなに高くないはずだ。事業貢献度からして、もっとインセンティブを与えてもいいのではないか。
50階建てツイン1,455戸の入居開始「HARUMI FLAG」全5,632戸完成(2025/9/21)
ランドスケープ&デザイン、共用施設…最高に素晴らしい「HARUMI FLAG」板状棟(2023/12/11)
「HARUMI FLAG」タワー棟第1期573戸平均15.3倍で即日完売坪単価421万円(2023/7/18)
ランドスケープ秀逸坪賃料に納得「HARUMI FLAG」の賃貸「PORT VILLAGE」公開(2023/10/23)
「HARUMI FLAG」で美しい花を咲かせたい光井純氏建築美を語る(2023/1/30)
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「HARUMI FLAG」「SUN」1期465戸・「SEA」2期166戸平均8.7倍で即日完売(2021/12/2)
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選手村裁判不可解な調査報告書は2つ&掘削工事の事実ない原告の準備書面(2021/9/19)
選手村裁判が結審「HARUMI FLAG」利益は消費者(購入者)に還元すべき(2021/9/9)
またも平行線「早く結審を」(被告)「議事録開示を」(原告)第8回選手村裁判(2020/1/18)
「選手村マンション増収分折半」選手村裁判の原告団が声明文(2019/9/18)
黒白を付ける意味はあるのかオリンピック選手村裁判双方の舌戦にうんざり(2019/9/18)
オリンピック選手村裁判安値売却は都と事業者の筋書き通り原告側が意見陳述(2019/9/16)
オリンピック選手村裁判原告側桝本鑑定士の意見書は証拠価値なし被告側が意見陳述(2019/9/16)
和解、ノーサイドの道はないのかオリンピック選手村裁判第7回口頭弁論(2019/9/13)
「HARUMI FLAG」土地と建物の価格比率は調整区域並みの7:93 算定は妥当(2019/8/30)
「HARUMI FLAG」「著しく利益増」の「著しく」とは当初売上計画の1%(2019/7/30)
「官民癒着」と原告「誹謗中傷」と被告応酬第6回選手村住民訴訟口頭弁論(2019/5/18)
文句なしにいい街づくり・基本性能坪単価280万円か「HARUMI FLAG」(2019/4/24)
「HARUMI FLAG」土地代の安さ価格に反映を坪250万円が妥当と考えるが…(2019/4/21)
オリンピック選手村住民訴訟も佳境に原告、被告双方相手を「著しく」非難(2019/2/20)
東京2020オリ・パラ選手村敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟(2016/8/4)
2020東京オリンピック・パラリンピックの特定建築予定者に三井不レジなど11社(2016/7/30)
〝ALL IN ONE〟すべてが揃う 自然林も近接 新日本建物「多摩永山」販売好調

「エクセレントシティ多摩永山」
新日本建設が分譲中の「エクセレントシティ多摩永山」を見学した。駅から徒歩4分の高台立地で、〝ALL IN ONE〟を謳うように、駅前の商業施設にはあらゆる生活利便施設が揃っており、物件のすぐ近くには自然林に近い里山がある。しかも、製販一貫システムだからこそ可能な単価(価格)の安さもある。多様なニーズに応えられるマンションだ。
物件は、京王線・小田急線永山駅から徒歩4分、多摩市永山2丁目の近隣商業地域(建ぺい率57.80%、容積率267.11%)に位置する10階建て全159戸。2月5日から販売を開始した第1期2次(50戸)の専有面積は44.22~83.95㎡、価格は3,998万〜9,998万円(最多価格帯5,800万円台、6,400万円台、6,900万円台、7,300万円台、8,300万円台)、坪単価は330万円。竣工予定は2027年2月下旬。設計・監理・施工・販売は新日本建設。
エントリー開始は4か月前からで、これまでの反響数は約1,200件。モデルルームオープンは昨年11月からで、同時に販売開始。これまで全住戸の約3分の1を成約している。
現地は、損保会社の研修所跡地。敷地北側は、自然林に近い永山駅前緑地(さえずりの森)。建物は4棟構成で南東向きと南向きが中心。住戸プランは40㎡台の2LDKから80㎡台の4LDKまで55タイプ。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、ディスポーザー、食洗機、床暖房、ミストサウナ、フルオートタンクレストイレ、洗面タッチレス水栓など。

モデルルーム
◇ ◆ ◇
この記事を読まれる全ての方に、先日書いたセミナー記事「なぜ世界の都市は『木の量』を競い始めたのか 〜樹冠被覆率が示す都市の本当の実力〜」を読んでいただきたい。
セミナーでは、講演したSMiLE・増田義彦氏は、樹冠被覆率は景観だけでなく、健康・経済にとっても大きな効果を発揮するかを強調した。
紹介した物件の現地図を見ていただきたい。緑で溢れ返っている。これほど周辺に緑が揃っているマンションはまずない。
記者が多摩センターのマンションを選んだのは、何よりも歩車分離の安全な街づくりと、緑が豊富な子育て環境が優れていたからだ。駅前にはホテルもデパートも文化施設も揃っていた。都心までの約1時間の通勤時間は犠牲にした(今はホテルもデパートもなくなったが)。
永山はどうかというと、ホテルもデパートもないが、〝ALL IN ONE〟は嘘ではない。あらゆる公共施設、生活利便施設が揃っている(均質な街というなかれ)。多摩センターにあって永山にないものを探そうとしたが、見つからなかった。逆に永山にあって多摩センターにないものは、生物多様性の宝庫である自然林に近い里山が駅前にあることだ。
違いは景観だと思う。多摩センターには、駅とパルテノン多摩を直線でつなぐ幅員40m、全長約330mの歩道空間パルテノン大通りがあり、道路の左右には樹齢70年くらいのクスノキの巨木数十本が植わっている。この通りにあった京王プラザホテルは複合マンションが計画されている。着工は伸びているが、記者は坪単価は450万円以上と予想している。景観美はどこの街にも負けないからだ。
価格について。どこを起点にするかだが、ターミナル駅から40分くらいで坪330万円の住環境に恵まれた物件はまずない。いま人気の「昭島」くらいか。ここも住環境が素晴らしい。樹齢100年超のイチョウ並木がある。立飛企業(現立飛ホールディングス)が整備したからだ。
他はどうか。「川越」「大宮」「柏の葉」などは坪400万円をはるかに超えている。横浜から40分といえば、平塚あたりか。坪350万円なら売れるかもしれない。
デベロッパーは、物件の広告宣伝で交通利便性や資産性を強調するのも結構だが、景観美(住環境)や樹冠被覆率、緑被率(東京都はみどり率)も加えていただきたい。

現地案内図

現地

永山駅前緑地(さえずりの森)

駅前の商業施設と現地をつなぐデッキ
「樹冠被覆率」の導入に大賛成 SMiLE・増田氏とロッシェル・カップ氏がセミナー(2026/2/10)
坪270万円第1期1次100戸即完スタート新日本建設など5社JV「ザタワー」(2022/4/1)


