サンフロンティア「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2025」 アジラが優勝

「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2025」
サンフロンティア不動産は11月19日、スタートアップ支援イベント「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2025」を開催。本選に進出した8社がピッチを行い、審査の結果、株式会社アジラが優勝した。
「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2025」は、これからの日本社会・経済を牽引するスタートアップ企業を対象に「日本を盛り上げるスタートアップ」をテーマとして開催するピッチコンテスト。審査はビジョン(熱意)/ビジネスモデル(市場性)/独創性・新規性/推進力の4項目。
優勝した株式会社アジラは、“テクノロジーの力で安心で快適な世界へ”をコンセプトに、行動認識AIを用いてトラブルの予兆を捉え、防犯カメラを事件・事故の「記録」から未然防止のインフラへと進化させることに取り組む企業。姿勢データのみを抽出・解析し、リアルタイムにインシデントを検知・通報できる点が高く評価された。優勝賞品として、家具付きのセットアップオフィスの1年間無償利用権(1,800万円相当)が贈呈された。
審査員を代表してサンフロンティア不動産代表取締役社長・齋藤清一氏は「志を持った皆さんが、これからマネタイズや経済的な収支の面でも成果を伸ばしていくことで、『論語とそろばん』を両立させながら、社会に貢献していかれることを期待しています」語った。

左から齋藤氏、アジラ 代表取締役CEO・尾上剛氏
優勝はFRDジャパン サンフロ「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2024」(2024/9/30)
野村不動産 コリビング賃貸第二弾「田端」160室 メンバー登録開始

「TOMORE 田端」
野村不動産は11月19日、コリビング賃貸レジデンス第2弾「TOMORE 田端」のメンバー登録を同日から開始したと発表した。今年2月に竣工した第一弾「TOMORE 品川中延(東京都品川区)」(135室)は80室以上が入居済み。同社は現在、第3弾の物件も開発中。
「TOMORE 田端」は、田端駅から徒歩7分、北区東田端一丁目に位置する敷地面積約639㎡、8階建て全160室。専用面積は12.24~15.68㎡、月額賃料は90,000 円~135,000円、共益費は15,000円、敷金・礼金0円(保証会社利用必須)。竣工予定は2026年3月。設計は長谷建築設計事務所、施工はライト工業、デザイン監修はUDS。120㎡超のコリビングスペース」と90㎡超のコワーキングラウンジ」を備えている。
第1弾「TOMORE 品川中延」(135室)は2025年2月に竣工。80名以上が入居済み。入居者の属性は、女性割合が57%、年代は20~30代が87%、職業は会社員が87%、シェア型初体験が69%となっている。
ニッケイ、ヨモギ、スミレなどを用いたカクテル提供 東京建物「森の市」

第3回「森の市」
東京建物は11月19日(水)~21日(金)の3日間、第3回目の「森の市」を大手町タワー・大手町の森で開催した。今年は「森呼吸(しんこきゅう)BAR」がテーマで〝都市の森で、呼吸するような一杯を味わってほしい〟という思いを込めて、カクテルプロデューサー バーテンター・加藤晋悟氏がプロデュースしたオリジナルカクテル4種が提供された。イベントの前日18日にはメディア説明会を行い、カクテルなどが振る舞われた。


加藤氏
◇ ◆ ◇
記者は酒ならなんでも飲むが、正直に言えば、カクテルのような甘い酒はほとんど飲まない。しかし、柚子、ニワトコ、ヤブニッケイ、野草ヨモギ、スミレなどを用いたカクテルは酒が飲めない人も楽しめたのではないか。ニッケイは小さいころ、仲間と直径1mもある巨木の根っこを掘って楽しんだ。ニワトコも名前だけはよく聞いた。
◇ ◆ ◇
大手町タワー・大手町の森は、事務所が丸の内にあったころよく通った。昼食では地下街のお粥やカレーライスをよく食べた。大手町の森は約3,600㎡。東京のど真ん中にこれほどの規模の〝森〟はないはずだ(積水ハウス「新・里山」は約8,000㎡)。同社資料によると、森で発見された昆虫は129種、鳥類は13種、年間CO2吸収量は18.3t。ヒートアイランド現象の緩和の効果も大きく、敷地内の温度は開発前が35.0℃だったのが開発後は33.3℃になっている。国土交通省「優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG)」でも満点の「★★★」を獲得している。

「大手町の森」

「大手町の森」
国交省「TSUNAG 認定」トリプル・スター 東京建物/三菱地所など/積水ハウス(2025/3/19)
環境配慮の紙の食器と〝ヴィーガン〟の食材に拍手喝采 三井ホーム記者懇親会

ケータリング会社提供
三井ホームが11月4日に行った記者懇親会の記事は先に紹介したが、記者は野島社長や他の方との懇談もさることながら、驚いたのはフロアには建築に関する専門書がたくさんあったことと、供されたつまみ類などを盛る皿などが紙の食器だったことだ。同社を通じてケータリング会社から許可が下りたので、紹介する。
紙の皿は、竹とサトウキビの繊維で作られた「wasara」だった。記者はこれまで、数えきれないほどのデベロッパー、ハウスメーカー、業界団体などの記者懇親会に出席してきた。圧倒的に多いのは一流ホテルなどだが、コップや皿が紙製なのも経験している。しかし、今回の「wasara」は初めてだった。ひょっとしたら食べられるのではないかとかじってみたが、硬くて無味無臭だった。デザインもなかなかいい。
提供された食べ物については、酒しか興味がない記者は何とも言えない。メニューには①ファラフェルとドライトマトとグリーンオリーブのピンチョス②うなぎとだし巻き玉子と胡瓜のピンチョス③焼き茄子のポン酢ジュレ いくら添え④紅ずわい蟹といくら・イカ墨ポテトのタルトレット⑤3種の手鞠寿司⑥ロースカツサンド⑦真鯛の昆布締めと蕪のカルパッチョ⑧じゃがいものニョッキ かぼちゃ豆乳クリームグラタン⑨nonpiのサスティナブルカレー⑩ヴィーガンカカオムース-などとある。このうち記者が食べたのは⑤⑥⑦⑨くらいか。
いま知ったのだが、動物由来の食品を使用していないヴィーガンメニューも取り入れられていた。これもいい取り組みだ。我々はバーチャルウォーターの考えを食卓に取り込むべきだとずっと考えてきた。ネットで調べたら、牛丼一杯で使用されるバーチャルウォーターは2,404ℓで、内牛肉が2,060ℓを占める。
この種のイベントは歓談するのが目的だ。高価な食材や食器など必要ない(やはりワインはグラスで飲みたいが)。環境や健康を優先する同社に拍手喝采。追随するところが増えてほしい。

「wasara」

「wasara」(ケータリング会社提供 )
「木造の建築物を建てれば最後は森になる」三井ホーム野島秀敏社長 記者懇親会(2025/11/7)
「MFLP船橋プレミアムフェスタ2025」来場者4000人超

「MFLP船橋プレミアムフェスタ2025」
三井不動産ロジスティクス本部が主催し、各テナント企業・関係者・テナントワーカーが協賛・協力して11月8日に行われた第4回「MFLP船橋プレミアムフェスタ2025」を見学した。記者が訪ねたのは午後2時過ぎで、地元船橋市の人気キャラクター「ふなっしーファミリー」が登場するスペシャルステージは黒山の人だかりができており、会場の至るところにパレットが椅子やテーブルに利用されており、段ボールのワークショップも行われていた。来場者は4,000人を突破した。
「MFLP船橋」は、これまでも数回取材している。単なる物流倉庫ではなく、「アイスパーク船橋」や広場、一般も利用可能なカフェ&レストランなども併設されており、同社がテーマとしている〝街づくり型ロジスティクス〟は実現されていると思う。
見学の目的は、不動産流通促進センターが〝嫌悪施設〟として例示している「倉庫」(ロジスティクスは「倉庫」でないという意見もある)敷地内で行われるイベントはどのようなもので、どのような人が参加するのかを確認することにあった。
訪れたのは午後2時過ぎだった。至るところにパレットが休憩スペースの椅子やテーブルとして利用されており、段ボールによるワークショップも行われていた。いかにもロジスティクス施設でのイベントだと感心もし、納得もした。
来場者は圧倒的に家族連れが多かったのだが、会場の一番奥に設けられていた「スペシャルステージ」は長蛇の列ができており、地面に敷物を敷いてイベントを待つ、年代にしたら40~60代の女性で溢れていた。
なにが始まるのか聞いたところ、船橋市の人気キャラクターふなっしーとそのファミリーが登場し、トークショーを行うとのことだった。どこから訪れたかも聞いた。地元の人もいたが、立川市、川崎市、流山市、墨田区など1~2時間かけて駆けつけた人も多かったのに驚いた。(皆さん、ご家族やお友達ですか)「いえ、〝なしとも〟です」(なしともって果物の梨ですか)「いえ、ふなっしーの友達です」(なるほど、ほとんどの人がふなっしーの布袋、人形を持っており、帽子をかぶっていた)。
どこがいいのか聞いたら、〝かわいい〟〝癒される〟〝頭がいい〟〝機敏な動きが素晴らしい〟などの答えが返ってきた。
スペシャルステージでは、和狼太鼓、千葉ジェッツ、船橋小学校音楽クラブ、高橋大輔氏、サウンドストリームジャズオーケストラ、元サッカー日本代表坪井慶介氏、船橋市立若松中学校吹奏楽部などによる演奏やトークショーが行われ、南船橋にゆかりのあるスポーツチームのアトラクション、館内見学、バスツアー、フードコーナー、ワークショップ、マルシェなども行われた。イベントは今回で4回目、来場者は4,000人超となった。
会場内では酒は提供されておらず、タバコも不可なので、早々に退却し、駅前の「三井ショッピングパーク ららテラスTOKYO-BAY」の「どうとんぼり神座」のラーメンを食べ、ビールを飲んだ。ここには喫煙所もある。

ふなっしーのイベントを待つ人



休憩所の椅子などに利用されていたパレット

段ボールのワークショップ

隣接のマンションは外資系デベロッパーが開発して話題になった

三井不動産ロジスティクス事業国内外78施設約610万㎡累計投資額1兆3,000億円(2025/8/4)
お披露目イベントに招待客2500人三井不・MIXI「ららアリーナ東京ベイ」完成祝う(2024/5/29)
三井不 2棟目のハイブリッド木造賃貸オフィス「日本橋本町一丁目5番街区」着工

「(仮称)日本橋本町一丁目5番街区計画」
三井不動産は11月4日、同社にとって「日本橋本町三井ビルディング&forest」に次ぐ2棟目のハイブリッド賃貸木造オフィスビル「(仮称)日本橋本町一丁目5番街区計画」を11月1日に着工したと発表した。
高層階の8~11階を純木造のオフィス空間とし、低層階の2~7 階にも主要構造部の一部にて木造耐震壁を採用することで、900 ㎥超の木材を活用し約660トンの二酸化炭素を固定化する。また、三井ホームが独自開発した木造技術「MOCXWALL」をオフィス向けに改良し国内初適用するほか、大径木(末口30㎝以上の丸太)の製材を活用、一般流通規格の木材を積極的に活用し、1万㎡超のオフィスビルで都内初、Nearly ZEB(事務所部分)を取得予定。建物のエネルギー消費量を基準値に対して75%削減する。同社グループが保有する約5,000ha(東京ドーム約1,063個分)の森林の木材も活用する。
施設は、中央区日本橋本町一丁目に位置する敷地面積約2,000㎡、鉄骨造・木造・一部SRC造11階建て延床面積約18,000㎡。設計は山下設計、施工は大林組。竣工予定は2028年2月末。

東京都港区の億万長者 納税者の1%超 一人当たり所得は数十億円




東京都港区の令和7年度の納税義務者は154,298人で、前年度の148,411人より3.7%増加し、このうち課税標準額が1億円以上(便宜的に億万長者と呼ぶ)の納税者は1,677人で、前年度の1,523人より154人増加し、全納税者に占める割合は1.1%で、前年度の1.0%から0.1ポイント増加した。
別表はこの10年間の港区の段階別納税義務者数の推移を見たものだ。億万長者は、9年前の平成28年度の957人から720人増加し、ついに全納税者の1%を突破した。また、億万長者を含む課税標準額が1,000万円以上の納税者は30,485人で、構成比は19.8%となっており、千代田区(18.3%)、中央区(13.7%)、渋谷区(13.3%)を上回り23区トップとなっている。
億万長者の所得割額は約334億円、構成比は30.3%で、前年度の36.2%から5.9ポイント減少した。億万長者の一人当たり所得割額は1,989万円で、全納税者の71.4万円の約28倍となっている。
所得割の税率は、所得に対して10%(道府県民税4%、特別区民税6%)で、前年の1月1日から12月31日までの所得で算定される。
◇ ◆ ◇
いかに港区に億万長者が多く住んでいるか他区と比較したいのだが、残念ながら他区は課税標準額の段階別納税者数は「2,000万円以上」と、それ以上を一括りにしているので港区との比較はできない。以下、東京都の「令和6年度市町村税課税状況等の調(特別区関係)」のデータを紹介する。
令和6年度の23区の所得割の納税義務者数は約523万人で総所得金額等は前年度比6.6%増の約31兆円。総所得金額等から所得控除額を控除した課税標準額は約23兆円で所得割額は約1兆円。納税義務者一人当たりの所得割額は21.8万円。
納税義務者に占める課税標準額1億円以上は0.1%、6,000人。納税義務者一人当たりの特別区民税額の平均は20.6万円で、最も多いのが港区で67.0万円、次いで千代田区46.9万円、渋谷区44.0万円となっている。もっとも低いのは足立区の12.6万円。
このデータから、23区の億万長者の28.0%が港区に住んでいることになる。1戸当たり4億円、全1,000戸の「三田ガーデンヒルズ」の引き渡しが今年行われたが、この居住者の納税額は反映されていないので、来年度はもっと実数、比率が高まるのは間違いない。総所得と所得割額の税率や、このところの不動産価格の上昇と株高を加味すると億万長者の一人当たり総所得は20~30億円、総資産はその数倍にのぼると思われる。この数値はまだまだ上昇することになりそうだ。

港区役所
港区の億万長者納税者の1%1,500人超激増に拍車かける億ション続々竣工へ(2024/10/18)
無限の可能性秘める 若手クリエイターを支援するalter.(アルター)作品展示イベント

「11 PROJECTS.56 CREATORS.PRODUCT DESIGN.」(日本橋三井ホール)
alter.実行委員会(特別協賛:三井不動産)は11月7日~9日、「11 PROJECTS.56 CREATORS.PRODUCT DESIGN.」を日本橋三井ホールで開催した。前日の6日にはメディアにも展示会場が公開された。イベントは資金・コスト面で開発が難しい若手クリエイターを支援するのが目的で、会場には11組・56名が出展。建築材にはならない樹木の皮、産業廃棄物として捨てられる陶器くずを商品・アートとして再生したり、わが国の伝統的な縄による梱包手法をアートに昇華させたりしている。無限の可能性を秘めた作品ばかりだった。
〝alter.〟は「変える」という意味で、全てを入れ替える〝change〟とは異なり、一部を作り変えて全体をよりよくするというもの。プロダクトやインテリアのプロトタイピングにはコストがかかり、若い世代のクリエイターの参入障壁になっている現状を変えようと、若い世代が持つ新しい発想を形にする支援するのが目的で開催された。
イベントには35歳以下の国内若手デザイナーを中心に現代美術家、写真家、編集者、研究者、音楽家、ダンサー、アートディレクター、エンジニアなど11組・56名が出展。コミッティメンバーには、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やポンピドゥーセンターのキュレーターなど国際的に活躍する審査員が名を連ねている。

◇ ◆ ◇
記者の一押しは、京都と福井で活動しているLIVE phenomenonの上田樹一氏(26)のヒノキの椅子(32万円)とオットマン(7.5万円)だ。ヒノキの樹皮が座面になっているのを初めてみた。摩耗したらどうなるかとは思ったが、微細なデザインは壁材など様々な用途に採用できるはずだ。
HAMA Reimaginedもいい。「HAMA」とは、陶磁器の焼成時に生じる台座のことで、器ごとに形が異なるため使用後は再利用されず、廃棄されることが多いが、展示では様々な商品やアート作品に仕上げられていた。SDGsの時代の流れにぴったりで、爆発的にヒットするのではないか。無限の可能性を秘めていると思った。
Packing listは、わが国の伝統的な石工の縄による梱包手段をアートに昇華させた作品。これもまた梱包のあり方を世に問うものだ。不織布は雨ざらしにしても5年間は持つというスグレモノだ。

上田樹一氏の作品

座面

HAMA Reimagined

HAMA Reimagined

Packing list
◇ ◆ ◇
一つ腑に落ちないことがあった。イベント説明者によると、この種のクリエイターは圧倒的に男性が多く女性は少ないということだ。今回のイベントでも応募総数59人のうち女性は8人だったという。ジェンダー・ギャップがこの創造的分野でも解消されていないことを知って衝撃を受けた。
これはなぜか。素人の記者が考えるに、扱う素材が重いとか制作現場が汚い、制作するのに力がいる、危険が伴う、時間がかかる…このようなハンディはありそうだが、プロダクトに対する審美感は男性以上に優れているはずだ。女性の活躍(これまた嫌な言葉)を阻む何かがわが国には存在するのか(記者と同じグループのメディア関係者は圧倒的に女性の方が多かったのはなぜか)。
〝唯一無二のデザイナーズホテル〟幽玄の世界演出 オープンハウス「箱根強羅」開業

「KÚON 箱根強羅」
オープンハウスは11月8日、同社初の直営ホテル「KÚON 箱根強羅」を開業するが、開業に先立つ10月31日、メディア向け内覧会を行った。〝お茶と和菓子〟がコンセプトになっているように、得も言われぬ「玉露」などのおもてなしを演出、共用部や客室に石、土器、アンティーク家具、麻、布クロスなど自然素材を多用しているなど〝唯一無二のデザイナーズホテル〟に嘘はない。
建物は2008年に竣工したホテルをリノベーションしたもので、中庭にあったドッグランはふんだんに緑を配し、客室は中庭を囲むように配置、かつてあった大浴場は共用施設に変更している。
共用部、客室に自然素材を多用しているのも特徴。1階ラウンジのカウンターには、真鶴町産の横3m×楯2m×高さ1m、重さ20tの小松石を採用。演奏者が叩く鏧(きん)の音曲が流れる中、カウンターで淹れたかぶせ茶「ふゆひかり」で宿泊客を迎える。
2階のレストラン入り口には江戸時代の常滑土器が置かれ、レストラン内には弥生土器と江戸時代の薬箱をさりげなく設置。和モダンのティーラウンジではスタッフが氷だしの玉露茶や淹れ方に工夫を凝らした煎茶、ほうじ茶と和菓子作家・坂本紫穂氏監修の和菓子が供される。
客室は、わが国の伝統的な生活様式であった床座スタイルを採用。床は全面に麻が敷かれ、寝室には麻の天蓋、壁は布クロス、照明はスタンドタイプ…額縁風の窓と天井高3,500ミリの空間に広がりを見せる工夫が施されている。
内覧会で、運営を担当するオープンハウス・ホテルズ&リゾーツ代表取締役・渡部達也氏は「ホテル事業は、オープンハウスグループのブランド価値を向上させるのと新しい収益源の柱に育てるのが目的。箱根強羅のブランドイメージにふさわしいデザイナーズホテルに仕上げた。リノベによりコストダウン、工期短縮も図られており、新しい事業モデルの創出にもつながる。客室料金には朝・夕食、ティータイム、酒類の提供などインクルーシブで提供しており、リーズナブルな価格だと思う」と話した。
設計を担当した建築家・永井健太氏は「空間は全てオリジナルなもので、素材にはこだわった。日本文化を継承する床座スタイルを採用し、居心地のいい空間に仕上げた」と語り、この日メディアに提供された焼き鳥風の鹿肉について統括料理長・瀧田英伸氏は「限りなく生に近い鹿料理を研究する」と語った。
施設は、東京駅から電車で1時間30分、都内から車で1時間30分、神奈川県足柄下郡箱根町強羅に位置する敷地面積約2,286㎡、地下1階地上2階建て延床面積約906㎡(このほか駐車場約198㎡)。2009年竣工のホテルをリノベーションしたもので全14室。客室面積は32㎡と42㎡の2タイプ。源泉かけ流し温泉付き(42㎡は露天風呂)。チェックイン・チェックアウトは13:00・10:00。宿泊料金は42,000円~/人。運営はオープンハウス・ホテルズ&リゾーツ。開業は2025年11月8日。

ラウンジ

ティーラウンジ

客室

露天風呂

客室

鏧(きん)
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ラウンジの生け花

料理
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料理

お茶のおもてなし

ティーラウンジ
◇ ◆ ◇
同社が8月に行った開業説明会の印象からは、ターゲットはインバウンド客で、デザインはアジアンテイスト、悪く言えば無国籍ではないかと懸念したのだが、そうではなかった。どちらかといえば、ターゲットは麻の感触を理解できる、二人ゆっくり非日常を楽しむ夫婦かカップルではないかと思う。外国人や子どもにはこの幽玄の世界は理解されないかもしれない。タレントを起用した〝便利地、好立地〟の同社のイメージとは真逆なのもとても面白い。
出身が三重県尾鷲だという瀧田氏とは田舎のサンマの干物、さめのたれなどについて歓談し、鹿肉の調理方法についても意見を交わした。記者は田舎に帰ると、隣家の方が用意してくれる鹿の刺身で酒を飲んだ。凍らせたものをルイベにしてワサビ醤油で食べるもので、酒のつまみに最適だ。おかずにはならない。「モミジ」と呼ばれるように赤肉で、高タンパクで低脂肪、癖もない(「さくら」と呼ばれる馬刺しは、競馬をやっていた記者はかわいそうで食べない)。
ただ、鹿肉は寄生性原生生物・肉胞子虫が食中毒を起こすリスクがあることから、厚労省のガイドラインには「野生鳥獣は、家畜とは異なり、飼料や健康状態等の衛生管理がなされていないことを踏まえれば、安全に喫食するためには十分な加熱を行うことが必須である」として、飲食店で生肉が提供されることはまずないはずだ。(寄生性原生生物・肉胞子虫は冷凍すれば死滅するともある。記者はそれを食べていたはずだ)
瀧田さん、その他の関係者の皆さん、鹿肉はヨーロッパでは高級料理と言われているではないか。鹿肉を刺身で食べられるよう研究開発を進めていただきたい。獣害に悩んでいる山林・農業従事者のためにもなる。
参考までに。記者が大好きな食材は(ほとんど酒のつまみだが)〝野草の女王〟コシアブラをはじめフキノトウ、カラスミ、豆腐よう、アオサ、ホヤ、カニ味噌、アユ…大量のバーチャルウォータを消費する牛肉・豚肉などとはみんな無縁だ。

外観

小松石のカウンター

小松石

鏧(きん)の生演奏

中庭

客室 床

客室 手洗い

内風呂

ティーラウンジ

ティーラウンジ窓から(まるで額縁絵)

焼き鳥風鹿肉料理

江戸時代という薬箱(その上は弥生土器)

江戸時代という常滑土器
オープンハウス初のリノベ直営ホテル「強羅」開業〝お茶と和菓子〟コンセプト(2025/8/2)
令和7年9月の住宅着工 持家、貸家、分譲とも6か月連続減
国土交通省は10月31日、令和7年9月の住宅着工戸数をまとめ発表。持家は 18,273戸(前年同月比 5.6%減)で6か月連続の減少、貸家は28,494戸(同8.2%減)で6か月連続の減少、分譲住宅は16,428戸(同8.3%減)で6か月連続の減少となった。分譲住宅の内訳はマンション6,121戸(同20.0%減)、一戸建住宅10,070戸(同0.4%減)で、ともに6か月連続の減少となった。
首都圏は、総戸数は23,009 戸(同8.1%減)、持家は4,008戸(同0.9%減)、貸家は11,764戸(同8.1%減)、分譲住宅は7,164戸(同11.9%減)。
首都圏マンションは2,498戸(同31.7%減)で、内訳は東京都1,929戸(同20.4%増)、神奈川県400戸(同71.8%減)、埼玉県169戸(同41.9%減)、千葉県0(同100.0%減)。首都圏分譲戸建ては4,469戸(同3.1%増)で、内訳は東京都1,310 戸(同4.7%減)、神奈川県1,226戸(同0.2%増)埼玉県1,024戸(同1.2%減)、千葉県909戸(同 29.5%増)。


